JPWO2014013718A1 - 気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータ - Google Patents

気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータ Download PDF

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Abstract

本発明は、広範囲な負荷重量の変化への対応が容易かつ、位置変化に伴う吸排気が不要な気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータを提供することを課題とし、この課題を解決するため、内部空間の圧力と大気圧の差圧に比例した力を発生する気体バネ(3)と、気体バネ(3)の内部空間の気体量を調節可能な吸排気部(8a)と、気体バネ(3)に接続され気体バネ(3)の発生力によるトルクが作用する回転体(12a)と、回転体(12a)に接続され回転体(12a)の回転動作と連動して変位する変位部(14a)と、回転体(12a)と変位部(14a)との間、気体バネ(3)と回転体(12a)との間のいずれか若しくは双方に設けられる変速部(80a)と、気体バネ(3)の内部空間の気体量が特定の値である場合に回転体(12a)に作用するトルクを略0にするトルク補償部(81a)と、を備えている。

Description

本発明は、収縮に伴う圧縮気体の圧力変化を活用したバネ装置において、トルク補償装置を用いることで広範囲な発生力調整を可能にする気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータに関する。
バランサー装置等に用いられる、発生力の調節が可能で負荷重量の変化に対応できる弾性要素として、金属バネ(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)、及び、空気バネ(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、変位に応じて変化する空気バネの発生力を、非真円板を用いて一様化する方法が考案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−119249号公報 特許第3794743号公報 特許第4649105号公報
遠藤工業株式会社 スプリングバランサーカタログ、2010年4月発行
しかしながら、弾性要素として金属バネを用いる場合、負荷重量の変化に対応するためには、負荷重量と釣り合う力が作用している弾性体を変位させる必要があり、容易には調整できないとともに、バネの許容ひずみの限界から、調整範囲をあまり広くできないという課題があった。また、空気バネを用いる場合、空気バネ内の空気量を調節することで負荷重量の変化への対応は容易に行えるが、従来の構成では、位置変化が生じるたびに空気の吸排気が必要になり、エア消費量が多くなるという課題があった。逆に、エアを消費しないように非真円板により発生力を一様化した場合には、特定の負荷重量にしか対応できないという課題があった。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、広範囲な負荷重量の変化への対応が容易かつ、位置変化に伴う気体の吸排気が不要な、気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、フレームに固定され、内部空間の圧力と大気圧との差圧に比例した力を発生する気体バネと、
前記気体バネに配置され、前記気体バネの前記内部空間の気体量を調節可能な吸排気部と、
前記フレームに回転可能に配置されかつ前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力によるトルクが作用する回転体と、
前記回転体に接続され、前記回転体の回転動作と連動して変位する変位部と、
前記フレームに配置されるとともに、前記回転体と前記変位部との間に設けられて前記気体バネの発生力により前記回転体に作用するトルクと前記変位部に作用する力とを変換すること、並びに、前記気体バネと前記回転体との間に設けられて前記気体バネの発生力と前記回転体に作用するトルクとを変換すること、のいずれか若しくは双方を行う変速部と、
前記フレームに配置されかつ前記回転体に接続され、前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が所定の値である場合に前記回転体に作用するトルクを略0にするトルク補償部と、
を備える気体バネ装置を提供する。
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、方法、並びに、システム及び方法の任意の組み合わせにより実現してもよい。
本発明の前記態様によれば、回転体に気体バネの発生力によるトルクとトルク補償部によるトルクとを作用させることで、変速部により規定される特性(例えば定荷重)を維持したまま気体バネの内部空間の気体量に応じて変化する力を変位部に作用させられるようになる。すなわち、本発明の前記態様によれば、気体バネの内部空間の気体量の調節により発生力を容易に変化できるとともに、気体バネの内部空間の気体量を一定としたまま、変位部の位置にかかわらず一定の力を発生することができるようになる。よって、広範囲な負荷重量の変化への対応が容易で、かつ、位置変化に伴う気体の吸排気が不要な、気体バネ装置を得ることができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1は、本発明の第1実施形態における空気バネ装置の圧縮状態の概略を示す部分断面図であり、 図2は、本発明の第1実施形態における空気バネ装置の膨張状態の概略を示す部分断面図であり、 図3は、本発明の第1実施形態及び第2実施形態における第1空気バネの変位と発生力の関係を示す図であり、 図4は、本発明の第1実施形態における円板部材の回転角度と円板部材に作用する第1空気バネの発生力によるトルクとの関係を示す図であり、 図5は、本発明の第1実施形態における円板部材の回転角度と円板部材に作用する第1空気バネ及び第2空気バネの発生力によるトルクとの関係を示す図であり、 図6は、本発明の第1実施形態における円板部材の回転角度とスチールベルトに作用する張力との関係を示す図であり、 図7Aは、本発明の第1実施形態における非円板部材の形状とθ=0における共通接線との関係を示す図であり、 図7Bは、本発明の第1実施形態における非円板部材の形状とθ=θmax/2における共通接線との関係を示す図であり、 図7Cは、本発明の第1実施形態における非円板部材の形状とθ=θmax/における共通接線との関係を示す図であり、 図8は、本発明の第1実施形態における基準円と共通接線と円板部材の形状との関係を示す図であり、 図9Aは、本発明の第1実施形態における円板部材にθ=0において作用するトルクの様子を示す図であり、 図9Bは、本発明の第1実施形態における円板部材にθ=θmax/2において作用するトルクの様子を示す図であり、 図9Cは、本発明の第1実施形態における円板部材にθ=θmaxにおいて作用するトルクの様子を示す図であり、 図10は、本発明の第1実施形態における空気バネ装置を用いたバランサーの概略を示す図であり、 図11は、本発明の第1実施形態における空気バネ装置を用いた空気圧アクチュエータの概略を示す図であり、 図12は、本発明の第1実施形態における空気バネ装置を用いた重力補償アクチュエータの概略を示す図であり、 図13は、本発明の第2実施形態における空気バネ装置の圧縮状態の概略を示す部分断面図であり、 図14は、本発明の第2実施形態における空気バネ装置の膨張状態の概略を示す部分断面図であり、 図15は、本発明の第2実施形態におけるコネクタの変位と円板部材に作用する第1空気バネの発生力によるトルクとの関係を示す図であり、 図16は、本発明の第2実施形態におけるコネクタの変位と円板部材に作用する第1空気バネ及び第2空気バネの発生力によるトルクとの関係を示す図であり、 図17Aは、本発明の第2実施形態における円板部材にθ=0において作用するトルクの様子を示す図であり、 図17Bは、本発明の第2実施形態における円板部材にθ=−θmax/2において作用するトルクの様子を示す図であり、 図17Cは、本発明の第2実施形態における円板部材にθ=−θmaxにおいて作用するトルクの様子を示す図であり、 図18は、本発明の第3実施形態における複合空気バネ装置の概略を示す図である。
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態について説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、フレームに固定され、内部空間の圧力と大気圧との差圧に比例した力を発生する気体バネと、
前記気体バネに配置され、前記気体バネの前記内部空間の気体量を調節可能な吸排気部と、
前記フレームに回転可能に配置されかつ前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力によるトルクが作用する回転体と、
前記回転体に接続され、前記回転体の回転動作と連動して変位する変位部と、
前記フレームに配置されるとともに、前記回転体と前記変位部との間に設けられて前記気体バネの発生力により前記回転体に作用するトルクと前記変位部に作用する力とを変換すること、並びに、前記気体バネと前記回転体との間に設けられて前記気体バネの発生力と前記回転体に作用するトルクとを変換すること、のいずれか若しくは双方を行う変速部と、
前記フレームに配置されかつ前記回転体に接続され、前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が所定の値である場合に前記回転体に作用するトルクを略0にするトルク補償部と、
を備える気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、回転体に気体バネの発生力によるトルクとトルク補償部によるトルクとを作用させることで、変速部により規定される特性(例えば定荷重)を維持したまま気体バネの内部空間の気体量に応じて変化する力を変位部に作用させられるようになる。すなわち、本発明の第1態様によれば、気体バネの内部空間の気体量の調節により発生力を容易に変化できるとともに、気体バネの内部空間の気体量を一定としたまま、変位部の位置にかかわらず一定の力を発生することができるようになる。
本発明の第2態様によれば、前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が、前記内部空間の容積を最大にした際に内部圧力が大気圧となる気体量であるときに、前記トルク補償部が前記回転体に作用する前記トルクを略0にする第1の態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、気体バネの内部空間が負圧にならない最小の気体量の時に回転体に作用するトルクを略0にすることができるようになるので、より広範囲な負荷重量変化への対応が可能な気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第3態様によれば、前記トルク補償部が、
前記フレームに配置された弾性体と、
前記弾性体に接続され、前記弾性体の発生力による張力が作用する第1可撓性連結部材と、
前記フレームに回転可能に配置され、前記第1可撓性連結部材が巻き付けられる第1非真円板と、
前記フレームに回転可能に配置され、前記第1可撓性連結部材の張力により前記第1非真円板に作用するトルクを前記回転体に伝達する第1伝達部と、
を備える第1又は2の態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、トルク補償部に求められる特性を簡易な構成で実現できるようになるので、性能の安定した気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第4態様によれば、前記第1非真円板は、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に前記第1可撓性連結部材が接触して巻き付けられる、
第3の態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、トルク補償部により回転体に作用するトルクが連続的に変化するようになるので、回転体の角度変化に伴う特性変化がなめらかな気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第5態様によれば、前記第1非真円板は、前記回転体の回転角度がθのときに前記回転体の回転軸の中心から前記第1可撓性連結部材の厚み中心までの距離R=2T/Fとなる形状である部材であり、Tは前記回転体に前記回転角度θにおいて前記トルク補償部が作用させるトルクであり、Fは前記弾性体で発生する力である、
第4の態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、回転体の回転に伴う弾性体の変形量を少なくすることができるので、トルク補償部のより小さい気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第6態様によれば、前記回転体と前記変位部との間に設けられる前記変速部が、
前記回転体に接続され、前記回転体と連動して回転する第2非真円板と、
一方が前記第2非真円板に巻き付けられ、他方が前記変位部に接続される第2可撓性連結部材と、
を備える第1〜5のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、変速部に求められる特性を簡易な構成で実現できるようになるので、性能の安定した気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第7態様によれば、前記第2非真円板は、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に前記第2可撓性連結部材が接触して巻き付けられる、
第6の態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、変速部により気体バネの発生力が連続的に変換されるようになるので、回転体の角度変化に伴う特性変化がなめらかな気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第8態様によれば、前記気体バネは、シリンダと、前記シリンダ内を移動するピストンとで構成され、
前記第2非真円板は、その形状が、前記回転体の回転角度が回転角度θのときに前記回転体の回転軸の中心から前記第2可撓性連結部材の厚み中心までの距離RがR=R/(1−Rθ/(2L))となるように形作られた部材であり、Rは回転角度θ=0における前記軸の中心から前記第2可撓性連結部材の厚み中心までの距離であり、Rは前記回転体の半径であり、Lは前記シリンダ内で前記ピストンが移動する内部空間の長さLである、
第7の態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、気体バネにより回転体に作用するトルクとトルク補償部により回転体に作用するトルクとの合成トルクから、変位部に対して回転体の回転角度にかかわらず一定の力を作用させられる気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第9態様によれば、前記気体バネと前記回転体との間に設けられる前記変速部が、
前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力による張力が作用する第3可撓性連結部材と、
前記フレームに回転可能に配置され、前記第3可撓性連結部材が巻き付けられる第3非真円板と、
前記第3可撓性連結部材の張力により前記第3非真円板に作用するトルクを前記回転体に伝達する第2伝達部と、
を備える第1〜8のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、変速部に求められる特性を簡易な構成で実現できるようになるので、性能の安定した気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第10態様によれば、前記変位部から取り出される力若しくはトルクが、変位又は角変位に関わらず一定である第1〜9のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、気体バネの内部空間の気体量にかかわらず定荷重特性が実現できるようになるので、発生力が可変な定荷重気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第11態様によれば、前記変位部から取り出される力若しくはトルクが、変位又は角変位に対して線形に変化する第1〜9のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、気体バネの内部空間の気体量にかかわらず線形バネ特性が実現できるようになるので、発生力、剛性が可変な線形気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第12態様によれば、特性の異なる第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を複数備え、各気体バネ装置の前記変位部及び前記回転体と前記変位部との間に設けられる前記変速部が互いに共有される構成である、複合気体バネ装置を提供する。
このような構成によれば、前記第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置の特性を合成できるようになるので、より複雑な特性の気体バネ装置が得られるようになる。
本発明の第13態様によれば、第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置と、
前記気体バネ装置の前記変位部に接続される物体の自重を支持する保持部と、
を備えるバランサー装置を提供する。
このような構成によれば、前記第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を備えたバランサー装置を構成することができて、前記気体バネ装置の作用効果を奏することができるバランサー装置を得ることができる。
本発明の第14態様によれば、第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置と、
前記気体バネ装置の前記吸排気部に接続され、前記気体バネの内部空間の圧力を制御することで、前記気体バネ装置の発生力を変化させる制御装置と、
を備える気体圧アクチュエータを提供する。
このような構成によれば、前記第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を備えた気体圧アクチュエータを構成することができて、前記気体バネ装置の作用効果を奏することができる気体圧アクチュエータを得ることができる。
本発明の第15態様によれば、第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置と、
前記気体バネ装置の前記変位部に並列に力を作用させるアクチュエータと、
を備えるバイアス荷重補償アクチュエータを提供する。
このような構成によれば、前記第1〜11のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を備えたバイアス荷重補償アクチュエータを構成することができて、前記気体バネ装置の作用効果を奏することができるバイアス荷重補償アクチュエータを得ることができる。
以下、本発明の実施形態にかかる気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータについて、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
<構成>
図1は、本発明の第1実施形態における第1空気バネ装置1aの圧縮状態の概略を示す。図2は、本発明の第1実施形態における第1空気バネ装置1aの膨張状態の概略を示す。
第1空気バネ装置1aは、気体バネの一例としての第1空気バネ3と、回転体の一例としての第1円板部材12aと、第1変速部80aと、第1トルク補償部81aと、第1変位部の一例としての第1コネクタ14aとを備える。
第1空気バネ3は、第1シリンダ4と、第1シリンダ4内を移動する第1ピストン5とで構成される。第1シリンダ4のそれぞれの端部には、第1貫通穴7及び吸排気部の一例としての第1吸排気バルブ8aが設けられている。
第1変速部80aは、第2非真円板の一例としての第2非円板部材13aと、第2可撓性連結部材の一例としての第2スチールベルト11bとで構成される。第1変速部80aは、第2非円板部材13aに伝達される第1空気バネ3の発生力によるトルクと後述する第1トルク補償部によるトルクとの合成トルクを、任意の比で変換して、第2スチールベルト11bに伝達する。
第1トルク補償部81aは、弾性体の一例としての第2空気バネ3aと、第1非真円板の一例としての第1非円板部材13bと、第1可撓性連結部材の一例としての第1スチールベルト11cと、第1伝達部の一例としての第1連結板82aとで構成される。第1トルク補償部81aは、詳細は後述するが、第1空気バネ3の第1内部空間21の気体量が所定の値である場合に第1円板部材12aに作用するトルクを略0にしている。
図1の第1空気バネ装置1aにおいて、第1フレーム2aは板状の部材である。気体バネの一例としての第1空気バネ3は、第1フレーム2aに固定されている。第1空気バネ3は第1シリンダ4と第1ピストン5とで構成されている。例えば、第1ピストン5は横方向に進退可能に配置され、第1ピストン5のストロークは、第1シリンダ4の内部の両端に設けられたストッパー6a、6bにより制限されている。第1シリンダ4の両端には、第1貫通穴7と吸排気部の一例としての第1吸排気バルブ8aが設けられている。第1吸排気バルブ8aは、第1シリンダ4の第1内部空間21の空気量を増加させる際には第1吸排気バルブ8aを介して接続された圧力源(例えば、図11の参照符号43を参照)との接続口となり、第1内部空間21の空気量を減少させる際には第1吸排気バルブ8aを介して周辺大気への放出口となる。しかしながら、それ以外の場合には第1吸排気バルブ8aで閉鎖され、第1内部空間21の空気量を維持し続ける。第1ピストン5には、第1内部空間21の空気圧と第1貫通穴7により維持される大気圧との差圧に比例した力が加わり、第1ピストン5の第1ピストンロッド5rの先端に設けられた第2軸9bを押圧する。第2軸9bには第1動滑車10aが回転自由に連結されている。第1動滑車10aには、一端が第1シリンダ4に固定された第4スチールベルト11aが巻き付けられている。第4スチールベルト11aの他端は、回転体の一例としての第1円板部材12aに固定されるとともに、第1円板部材12aの外周に巻き付けられている。第1円板部材12aは、図1では、第1動滑車10aの下方において、第1フレーム2aに固定された第1軸(回転軸)9aに回転自由に連結されている。このようにすることで、第1空気バネ3の発生力により、第1円板部材12aには第1軸9a回りのトルクが作用するようになる。
第1円板部材12aには、第1変速部80aの一例としての第2非円板部材13aと第2スチールベルト11bとが連結されている。第2非真円板の一例としての第2非円板部材13aは、第1円板部材12aに固定され、第1円板部材12aと一体になって第1軸9a回りに回転する。第2可撓性連結部材の一例としての第2スチールベルト11bは、一端が第2非円板部材13aの先端側の部分(幅狭部分)に固定されるとともに、その一端の近傍部分が第2非円板部材13aに巻き付けられている。第2スチールベルト11bの他端には、第1変位部の一例としての第1コネクタ14aが設けられ、第1コネクタ14aにより外部負荷と連結可能になっている。また、第2非円板部材13aの回転角度にかかわらず、第1フレーム2aにおける第1コネクタ14aの左右位置が一定となるように、第2スチールベルト11bは途中で第1滑車15aに掛けられている。第1滑車15aは、図1では第1円板部材12aの下方において、第1フレーム2aに固定された第3軸9cに回転自由に連結されており、第2スチールベルト11bの変位を妨げないようになっている。このようにすることで、第1コネクタ14aは、第1円板部材12aの回転動作と連動して変位することになる。なお、図1では、第2スチールベルト11bは、第1滑車15aに接触したのち、第2スチールベルト11bの下端の第1コネクタ14aは、第1滑車15aの下方に吊り下げられている。
また、第2非円板部材13aには、第1トルク補償部81aの一例としての第1非円板部材13bと、第1スチールベルト11cと、第2空気バネ3aと、第1連結板82aとが連結されている。第1非真円板の一例としての第1非円板部材13bは、第1非円板部材13bと第2非円板部材13aとの間に設けられた第1伝達部の一例としての円板形状の第1連結板82aを介して第2非円板部材13aに固定されている。なお、第1連結板82aの形状は円板形状に限るものではなく、任意の形状が利用可能である。第1連結板82aは、第1スチールベルト11cの張力により第1非円板部材13bに作用するトルクを第1円板部材12aに伝達している。第1非円板部材13bと第1連結板82aと第2非円板部材13aと第1円板部材12aとは、一体になって第1軸9a回りに回転する。
第1可撓性連結部材の一例としての第1スチールベルト11cは、一端が第1非円板部材13bの先端側の部分(幅狭部分)に固定されるとともに、その一端の近傍部分が第1非円板部材13bに巻き付けられている。第1スチールベルト11cの他端は、弾性体の一例としての第2空気バネ3aを構成する第2シリンダ4aに連結されている。
第2空気バネ3aは、図1では第1円板部材12aの下方でかつ横方向に(図1では左方向に)ずれた位置に配置され、第2シリンダ4aと、第2シリンダ4a内を移動する第2ピストン5aとで構成される。例えば、第2ピストン5aも横方向に進退可能に配置され、第2ピストン5aには、第2シリンダ4aの閉鎖された第2内部空間21aの空気圧と第2シリンダ4aの第2ピストンロッド5s側に設けられた第1貫通穴7aにより維持される大気圧との差圧に比例した力が加わり、第2ピストン5aの第2ピストンロッド5sの先端に設けられた第4軸9dを押圧する。第4軸9dには、第2動滑車10bが回転自由に連結されている。第1スチールベルト11cは、第2シリンダ4aと第1非円板部材13bとの間を、第2動滑車10bと第2滑車15bとに巻き付きながら、連結している。第2滑車15bは、第1フレーム2aに固定された第5軸9eに回転自由に連結されており、第1スチールベルト11cの変位を妨げないようになっている。なお、図1では、一例として、第1軸9aから第4軸9dまでの配置関係に関しては、上から下向きに、第2軸9b、第1軸9a、第5軸9e、第4軸9d、第3軸9cの順に位置するように配置されている。
次に、この第1空気バネ装置1aの作用を説明する。
図1の状態では、第1空気バネ3の発生力により、第1ピストン5が図1の左方向に移動して第1動滑車10aが時計方向に回転して、第4スチールベルト11aに張力が発生し、第1円板部材12aに反時計回りのトルクが作用している。また、第2空気バネ3aの発生力により、第2ピストン5aが図1の右方向に移動して第2動滑車10bが時計方向に回転して、第1スチールベルト11cに張力が発生し、第1非円板部材13bに時計回りのトルクが発生している。第1円板部材12aと、第2非円板部材13aと、第1非円板部材13bとは一体となって第1軸9a回りに回転するので、第2非円板部材13aには、第1空気バネ3による反時計回りのトルクと第2空気バネ3aによる時計回りのトルクとの合成トルクが伝達される。第2非円板部材13aに巻き付けられた第2スチールベルト11bには、合成トルクを、第1軸9aの中心から、第2非円板部材13aの湾曲した側面に対して第2スチールベルト11bが接線として接触する接点までの距離(半径)Rで割っただけの張力が作用し、第1コネクタ14aに対して図1の上方向への力が加わるようになる。
図1の状態から第1空気バネ3の第1内部空間21の空気が膨張し、図2の状態に至るまでには、各構成要素は、図1に示した矢印の方向に移動若しくは回転する。第1空気バネ3の第1内部空間21の空気が膨張することで失われるエネルギーは、第1コネクタ14aを介した負荷の移動及び第2空気バネ3aの圧縮に用いられる。
以下、第1空気バネ装置1aが動作する際に発生する力及びトルクについて説明する。
図3は、本発明の第1実施形態における第1空気バネ3の変位と発生力との関係を示す。図3において、Xは第1ピストン5の位置を表しており、X=0のとき第1ピストン5はストッパー6aと接触する位置にあり、X=0.7のとき第1ピストン5はストッパー6bと接触する位置にある。また、第1内部空間21の容積は、図2における第1内部空間21の容積が断面積Aと長さLの積ALで表されるとき、AL(1−X)で表される。すなわち、図1の状態で第1内部空間21の容積が0.3ALとなるよう構成されている。第1実施形態では、Xの最大値、すなわち図1における第1ピストン5の位置がX=Xmax=0.7である場合について示しているが、これに限るものではない。Xmaxは、一例として、実用上、0.3〜0.9の範囲の値とする。位置(変位)Xが増加するほど第1内部空間21の容積は減少し、圧力が高まることになる。また、Fは第1空気バネ3の発生力であり、第1内部空間21の圧力P/(1−X)と大気圧Pとの差圧に断面積Aを掛けた値となる。第1内部空間21の容積ALにおける圧力を絶対圧力Pとすると、等温過程と見なして、第1空気バネ3の発生力Fは、F=(P/(1−X)−P)Aとなる。図3では、第1空気バネ3の発生力FをPAで正規化して示している。図3より、第1空気バネ3の発生力は、第1ピストン5の位置により大きく変動することがわかる。一例として、圧力PをP〜7P程度とすれば、圧力が低く、空圧機器としての扱いが容易になる利点がある。また、一例として、圧力Pを30P〜80P程度とすれば、第1空気バネ3を小型化できる利点がある。
図4は、本発明の第1実施形態における第1円板部材12aの回転角度と第1円板部材12aに作用する第1空気バネ3の発生力FによるトルクTとの関係を示す。図4において、θは第1円板部材12aの回転角度を表している。図2における第1円板部材12aの回転角度θをθ=0とし、そこから時計回りに回転するほど、回転角度θは増加する。
図1における第1円板部材12aの回転角度θをθ=θmaxとしている。すなわち、X=0のときθ=0となり、X=Xmaxのときθ=θmaxとなる。Rは第1円板部材12aの半径である。第1実施形態では、第1動滑車10aを用いることで第1空気バネ3のストロークを2倍に拡大しているので、θ=2LX/Rとなる。そして、第1円板部材12aに作用する第1空気バネ3の発生力FによるトルクTは、T=F/2となる。図4では、トルクTをPAR/2で正規化し、回転角度θをθmaxで正規化して示している。図4より、第1円板部材12aに作用する第1空気バネ3の発生力Fによるトルクは、第1円板部材12aの回転角度により大きく変動することがわかる。
図5は、本発明の第1実施形態における第1円板部材12aの回転角度θと第1円板部材12aに作用する第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの発生力によるトルクT+Tとの関係を示す。第1実施形態では、P=Pとなる第1内部空間21の空気量における第1空気バネ3の発生力FによるトルクTと釣り合うトルクを、第2空気バネ3aの発生力により第1円板部材12aに作用させている。すなわち、第2空気バネ3aの発生力により第1円板部材12aに作用するトルクをTとすると、T=−(X/(1−X))PAR/2となる。よって、T+Tは、T+T=(1/(1−X))(P−P)AR/2となる。図5では、T+TをPAR/2で正規化し、回転角度θをθmaxで正規化して示している。図5より、第1トルク補償部81aによってP=PにおけるT+Tが0となることが確認できる。つまり、P=Pにおいて、第1円板部材12aに作用する第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの発生力によるトルクT+Tは0となる。なお、ここでは、トルクTについて理想的な状態について述べているが、実際には製作上の誤差などにより、トルクTに2%程度のずれが生じていても実施上問題はない。よって、このような状態を、本明細書では、トルクが0となると説明するが、実際には、製作上の誤差などを含めて略0とも言うことができる。また、ここで比較されるのは、トルクTとトルクTのそれぞれについて摩擦抵抗などによるヒステリシス成分を除いた中心値同士の関係である。
トルクTは圧力Pに依存しないトルクであるため、各回転角度θにおいて第1空気バネ3aの発生力Fを2で割った値に第1軸9aの中心から第1スチールベルト11cの厚み中心までの距離Rを掛けたトルクF/2がトルクTと等しくなるように第1非円板部材13bの形状を形作る。すなわち、第1非真円板13bは、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に第1スチールベルト11cが接触して巻き付け可能としている。このように構成することで、トルクTを発生する第1トルク補償部81aを実現することができる。発生力Fを2で割るのは、第1実施形態では、第2動滑車10bを用いることで第2空気バネ3aのストロークを2倍に拡大しているからである。ここで、第2内部空間21aの断面積はA’、長さはL’、第2ピストン5aの位置をX’、第2内部空間21aの容積A’L’における圧力を絶対圧力P’とするとき、第2空気バネ3aの第2内部空間21aの容積がA’L’(1−X’)、発生力がF=(P’/(1−X’)−P)A’で表されるとする。θ=0においてX’=X'max、θ=θmaxにおいてX’=0になるとすると、第2空気バネ3aは、P=Pとなる第1内部空間21の空気量における第2空気バネ3の発生力FによるトルクTと釣り合うトルクを発生させているので、θ=0〜θmaxすなわちX=0〜Xmaxの範囲における空気のエクセルギー変化から、PAL(Xmax+ln(1−Xmax))=A’L’(PX’max+P’ln(1−X’max))が成り立つ。この式より、A’、L’、X’max、P’のうちの3つを与えれば、残る一つの値が求められるので、第1空気バネ3に対応する第2空気バネ3aの諸元を決定できるようになる。また、X=0及びX’=X’maxからのエクセルギー変化が釣り合うためには、PAL(X+ln(1−X))=A’L’(P(X’max−X’)+P’ln((1−X’max)/(1−X’)))が成り立つ必要があるので、この式より、X’とXの関係、また、θ=2LX/RよりX’と回転角度θとの関係が求められる。よって、それぞれの回転角度θにおけるT、Fが求められるようになるので、第1軸9aの中心から第1スチールベルト11cの厚み中心までの距離RはR=2T/Fより求めることができる。なお、X’maxについても、一例として、実用上、0.3〜0.9の範囲の値とする。
図6は、本発明の第1実施形態における第1円板部材12aの回転角度θと第2スチールベルト11bに作用する張力Fとの関係を示す。第1実施形態では、第2スチールベルト11bが巻き付く第2非円板部材13aは、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に第2スチールベルト11bが接触して巻き付けられるようにしている。より詳しくは、第2非円板部材13aの形状が、第1円板部材12aの回転角度が回転角度θのときに第1軸9aの中心から第2スチールベルト11bの厚み中心までの距離RがR=R/(1−X)=R/(1−Rθ/(2L))となるように形作られている。ただし、Rは、θ=0における距離Rである。したがって、第2スチールベルト11bに作用する張力Fは、F=(T+T)/R=(P−P)AR/(2R)となり、回転角度θにかかわらず一定値となる。図6では、第2スチールベルト11bに作用する張力FをPAR/(2R)で正規化し、回転角度θをθmaxで正規化して示している。図6より、第1実施形態において圧力Pを変化させることで、第1コネクタ14aに作用する力Fを広範囲に調節できることがわかる。また、圧力Pの値が変化しても、第1コネクタ14aの位置に関わらず、力Fが一定となる定荷重バネの特性が維持されることがわかる。第1空気バネ装置1aを利用する際の第1コネクタ14aの移動速度は、一例として、第1空気バネ3が等温変化と見なせる程の低速(例えば3cm/s程度)とすれば、第1空気バネ装置1aの性能が安定する。
また、第2非円板部材13a、非円板部材の13bの形状についてさらに説明する。前述のように、第2非円板部材13aの形状は、第1円板部材12aの回転角度がθのときに第1軸9aの中心から第2スチールベルト11bの厚み中心までの距離が回転角度θの関数である距離Rとなる形状である。また、第1非円板部材13bの形状は、第1円板部材12aの回転角度がθのときに第1軸9aの中心から第1スチールベルト11cの厚み中心までの距離が回転角度θの関数である距離Rとなる形状である。すなわち、第2非円板部材13aの形状は、それぞれの回転角度θにおいて第1軸9aと同軸の半径Rの円と第1滑車15aのピッチ円との共通接線を引いたときの全ての共通接線に接する曲線となる。この様子を図7A、図7B、及び、図7Cに示す。図7Aはθ=0における状態であり、R=Rの基準円71aと第1滑車15aのピッチ円との共通接線として共通接線72aが引かれる。図7Bはθ=θmax/2における状態であり、R=R/(1−Rθmax/(4L))の基準円71bと第1滑車15aのピッチ円との共通接線として共通接線72bが引かれる。図7Cはθ=θmaxにおける状態であり、R=R/(1−Rθmax/(2L))の基準円71cと第1滑車15aのピッチ円との共通接線として共通接線72cが引かれる。第2非円板部材13aの外形の実線で表される部分は、共通接線72a、共通接線72b、共通接線72cの全てに接する曲線になっている。この部分が第2非円板部材13aの形状の重要な部分になる。第2非円板部材13aの外形の破線で表される部分については、第2非円板部材13aの回転中に第2スチールベルト11bと接触しないように、全ての共通接線に接触しない形状であれば自由に選択することができる。同様に、第1非円板部材13bの形状は、それぞれの回転角度θにおいて第1軸9aと同軸の半径Rの円と第2滑車15bのピッチ円との共通接線を引いたときの全ての共通接線に接する曲線となる。
この形状について図8を用いてさらに詳しく説明する。図8は、ある回転角度θにおける基準円71と共通接線72と第2非円板部材13aの外形との関係を示している。Wは、基準円71と共通接線72との接点と、第2非円板部材13aの外形と共通接線72との接点との間隔を表している。θは、第1軸9aの中心とそれぞれの接点とを結んだ線がなす角を表している。Rは、第1軸9aの中心から第2非円板部材13aの外形と共通接線72との接点までの距離を表している。
まず、第1軸9aと第3軸9cとの間隔が無限である場合について説明する。この場合、共通接線72の方向は、回転角度θが変化しても常に第1軸9aの中心と第3軸9cの中心とを結んだ方向となる。このとき、第2非円板部材13aの外形は回転角度θの関数としての距離Rと角θとを用いて、半径R、角度θ+θでプロットした形状となる。距離Rはsqrt(R+W)であり、角θはtan−1(W/R)で表される。第1軸9aと第3軸9cとの間隔が無限である場合は、距離Rを回転角度θで微分したdR/dθを間隔Wとすることで、それぞれの回転角度θにおける全ての共通接線に接する第2非円板部材13aの外形を得ることができる。
次に、第1軸9aと第3軸9cとの間隔が有限の値Yで表される場合について説明する。この場合、共通接線72の向きが回転角度θにより変化するようになるので、第2非円板部材13aの外形は、半径R、回転角度θ+θ−sin−1((R+R)/Y)でプロットした形状となる。このとき、共通接線72の方向は、第1軸9aの中心と第3軸9cの中心とを結んだ方向からsin−1((R+R)/Y)だけ傾くようになる。ただし、Rは第1滑車15aのピッチ円半径である。そして、間隔Wを
Figure 2014013718
とすることで、それぞれの回転角度θにおける全ての共通接線に接する第2非円板部材13aの外形を得ることができる。さらに、第1実施形態のように、第2非円板部材13aと第1滑車15aとで第2スチールベルト11bの曲げ方向が逆になる構成ではなく、曲げ方向が同じになる構成にする場合には、R+Rを全てR−Rで置き換えることで、第2非円板部材13aの外形を得ることができる。ただし、以上のようにして求められる形状は、第1滑車15aのピッチ円に相当するものであるため、実際に製作すべき形状は、回転中心側の法線方向に第2スチールベルト11bの厚みの半分だけオフセットした形状となる。
ここで、第1円板部材12aに作用するトルクの様子を図9A、図9B、及び、図9Cに示す。図9A、図9B、及び、図9Cは、それぞれθ=0,θmax/2,θmaxにおける状態であり、わかりやすくするために、力の作用する方向は水平もしくは垂直方向として表している。ここで、半径R及び張力Fは回転角度θに依存しない一定の値となる。図9A、図9B、及び、図9Cより、回転角度θが増加するほど第1空気バネ3が圧縮されることにより、第4スチールベルト11aに作用する張力F/2が増加し、第1空気バネ3の発生力による反時計回りのトルクが増加していくことがわかる。一方で、回転角度θが増加するほど第2空気バネ3aの第2内部空間21aの空気は膨張するので、第1スチールベルト11cに作用する張力F/2が減少していくことがわかる。しかし、第1非円板部材13bの形状により、P=Pとなる第1内部空間21の空気量における第1空気バネ3の発生力FによるトルクTと釣り合う時計回りのトルクTが発生するように、距離Rが増加していくことがわかる。このようにして、回転角度θが増加するほどF/2が減少するにもかかわらず、時計回りのトルクTは増加するようになる。そして、最終的に、反時計回りの合成トルクT+Tにより第2スチールベルト11bに一定の張力Fが作用するように、第2非円板部材13aの形状により回転角度θが増加するほど距離Rが増加していくようになる。
<効果>
前記第1実施形態にかかる構成によれば、第1円板部材12aに第1空気バネ3の発生力によるトルクと第2空気バネ3aによるトルクとを作用させることで、第2非円板部材13aにより規定される定荷重バネ特性を維持したまま、第1空気バネ3の第1内部空間21の空気量に応じて変化する力を、第1コネクタ14aに作用させられるようになる。すなわち、前記第1実施形態によれば、第1空気バネ3の第1内部空間21の空気量の調節により、発生力を容易に変化できるとともに、第1空気バネ3の第1内部空間21の空気量を一定としたまま、第1コネクタ14aの位置にかかわらず一定の力を発生することができるようになる。よって、広範囲な負荷重量の変化への対応が容易で、かつ、位置変化に伴う気体の吸排気が不要な、第1空気バネ装置1aが得られるようになる。
なお、第1実施形態では、第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの動作気体として空気を用いているが、これに限るものではなく、理想気体と見なせる各種気体が利用可能である。一例として、空気は、入手が容易であるという利点がある。別の例として、窒素等の不活性ガスは、特性が安定しているという利点がある。
なお、第1実施形態では、動滑車を用いて第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの変位を2倍に拡大しているが、これに限るものではなく、第1又は第2ピストンロッド5r、5sの先端にスチールベルト11a、11cを直接固定するようにしても良い。また、第1変速部80aの一例として、任意の公知のストローク変換機構を用いて任意の倍率で第1空気バネ3又は第2空気バネ3aの変位を変換する場合でも、同様に実施可能である。また、第1空気バネ3及び第2空気バネ3aはそれぞれ伸長方向に力を発生する構成となっているが、これに限るものではなく、収縮方向に力を発生する構成としても良い。
なお、第1実施形態では、弾性体として第2空気バネ3aを用いているが、これに限るものではなく、各種金属バネ、磁気バネ等、又は、任意の公知の弾性体のいずれを用いても実施可能である。このときの第1非円板部材13bの形状は、第2空気バネ3aのエクセルギーの変化をそれぞれの弾性体における弾性エネルギーの変化に置き換えることで、同様に求めることができる。
なお、第1実施形態では、スチールベルト11aを介することで第1空気バネ3の変位と第1円板部材12aの回転とを連動させているが、これに限るものではなく、ラック・アンド・ピニオン機構等、公知の直動−回転変換のいずれかを用いても実施可能である。
なお、第1実施形態では、第1空気バネ3としてピストン及びシリンダ機構を用いているが、これに限るものではなく、ベーンモータ等の回転出力式の空気バネを用いて第1円板部材12aに回転トルクを作用させる場合でも同様に実施可能である。
なお、第1実施形態では、第1ピストン5のストロークをシリンダ内部に設けたストッパーで制限しているが、これに限るものではなく、シリンダ外部に設けたストッパー、又は、第1円板部材12aの回転角度を制限するストッパー、又は、第1コネクタ14aの変位を制限するストッパーを用いても同様に実施可能である。
なお、第1実施形態では、可撓性連結部材の例としてスチールベルトを用いているが、これに限るものではなく、金属製以外のベルト、又は、ワイヤロープ等の紐状のものであっても同様に実施可能である。また、紐状の部材を用いる場合、一例として、対応する第1円板部材12a、第2及び第1非円板部材13a、13b、第1及び第2動滑車10a、10b、並びに、第1及び第2滑車15a、15bのそれぞれの外周には、脱落防止のための溝を設ける。また、紐状の部材を用いる場合、第1円板部材12aの回転角度は1回転未満に限るものではなく、第1円板部材12aをドラム状の回転体とし、第2非円板部材13a、13bを円錐螺旋状の溝を備えた回転体とすることで、複数回、回転させるようにしても良い。
なお、第1実施形態では、第1円板部材12a、第2及び第1非円板部材13a、13bは一体となって同軸に回転しているが、これに限るものではなく、互いに連動して回転すれば同様に実施可能であるため、互いを歯車又はベルトなどで連結して異なる軸回りに回転させても良い。
なお、第1実施形態では、最終出力を第1コネクタ14aにおける直動動作としているが、これに限るものではなく、例えば第2スチールベルト11bを第1滑車15aに巻き付けることで、最終出力を第1滑車15aからの回転動作としても良い。この場合、変位部は回転動作するものとなり、第1滑車15aの角変位にかかわらず、一定のトルクが第1滑車15aより取り出せるようになる。
なお、第1実施形態では、第1滑車15aを用いることで第1コネクタ14aの左右位置を固定しているが、これに限るものではなく、第1コネクタ14aに物体を連結してぶら下げる場合など、第2スチールベルト11bの引き出し方向が変化しないように負荷と連結できる場合には、第1滑車15aを用いなくても同様に実施可能である。
なお、第1実施形態では、第1内部空間21の空気量がP=Pとなる空気量におけるトルクTを第1トルク補償部81aにより補償しているが、これに限るものではない。例えば、P=αP(αは1以上の任意の値)となる空気量におけるトルクを第1トルク補償部81aで補償しても同様に実施可能である。この場合、T+T=(1/(1−X))(P−αP)AR/2となり、P≧αPの場合に定荷重バネとして利用可能になる。
なお、第1実施形態では、第2非円板部材13aと第2スチールベルト11bにより定荷重バネの特性を実現しているがこれに限るものではなく、第2非円板部材13aの形状を変化させて定荷重とは異なるバネ特性としても良い。
さらに、第1実施形態における第1空気バネ装置1aを用いるバランサー装置31の構成例を図10に示す。図10のバランサー装置31では、第1空気バネ装置1aの第1コネクタ14aに、保持部の一例としてのフック32を連結して構成し、フック32に物体を吊り下げた状態で昇降動作ができるようになっている。
このような構成とすることで、フック32に吊り下げた物体の重量を第1空気バネ装置1aの発生力で補償した状態で、物体を昇降させることが可能になる。
また、このような構成とすることで、第1空気バネ装置1aの有する第1空気バネ3内の空気量を調節することで、物体重量変化への広範囲な対応が容易に行えるとともに、物体の位置変化に伴う空気の吸排気が不要という特徴をそのまま引き継ぎ、少ないエネルギーで物体を昇降させられるバランサー装置31が得られる。
なお、バランサー装置31の構成方法としては、保持部の一例としてフック32を用いたものに限るものではなく、同様の作用を実現するものであれば、任意の公知技術の組み合わせが利用可能である。
さらに、第1実施形態における第1空気バネ装置1aを用いる気体圧アクチュエータの一例としての空気圧アクチュエータ41の構成例を図11に示す。図11の空気圧アクチュエータ41では、第1空気バネ装置1aの第1吸排気バルブ8aに制御装置の一例としてのバルブコントローラ42を接続している。バルブコントローラ42は、増力指示が与えられると第1吸排気バルブ8aを圧力源43に対して開放し、減力指示が与えられると第1吸排気バルブ8aを大気開放口44に対して開放し、いずれの指示も与えられないときは第1吸排気バルブ8aを閉鎖し、第1内部空間21の空気量を維持する。
よって、このような構成とすることで、バルブコントローラ42からの指示によって空気圧アクチュエータ41の発生力を任意に変化できるようになる。
また、このような構成とすることで、第1空気バネ装置1aの有する第1空気バネ3の第1内部空間21内の空気量を調節することで、物体重量変化への広範囲な対応が容易に行えるとともに、物体の位置変化に伴う空気の吸排気が不要という特徴をそのまま引き継ぎ、少ないエネルギーで物体に対して任意の力を作用させ続けられる空気圧アクチュエータ41が得られる。
なお、空気圧アクチュエータ41は、リニアアクチュエータとしてだけでなく、ロータリーアクチュエータとしても実施可能である。
さらに、第1実施形態における第1空気バネ装置1aを用いるバイアス荷重補償アクチュエータ51の構成例を図12に示す。図12のバイアス荷重補償アクチュエータ51では、第1空気バネ装置1aと並列に、アクチュエータの一例としてのリニアアクチュエータ52を追加して配置しており、リニアアクチュエータ52の発生力に第1空気バネ装置1aの発生力を合成できるようになっている。
よって、このような構成とすることで、リニアアクチュエータ52が重力等のバイアス荷重の作用する負荷を、ロッド53を上下させて移動させる際に、バイアス荷重に相当するアシスト力を第1空気バネ装置1aから第1コネクタ14aを介してロッド53に加えた状態で動作させることが可能になる。
また、このような構成とすることで、第1空気バネ装置1aの有する第1空気バネ3内の空気量を調節することで、バイアス荷重への広範囲な対応が容易に行えるとともに、アクチュエータの変位に伴う空気の吸排気が不要という特徴をそのまま引き継ぎ、少ないエネルギーでバイアス荷重の作用する負荷を移動させられるバイアス荷重補償アクチュエータ51が得られる。
なお、バイアス荷重補償アクチュエータの構成方法としては、リニアアクチュエータを用いたものに限るものではなく、ロータリーアクチュエータに対しても適用可能である。
(第2実施形態)
図13は、本発明の第2実施形態における第2空気バネ装置1bの圧縮状態の概略を示す。図14は、本発明の第2実施形態における第2空気バネ装置1bの膨張状態の概略を示す。なお、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付している。
第2空気バネ装置1bは、気体バネの一例としての第1空気バネ3と、回転体の一例としての第2円板部材12bと、第2変速部80bと、第2トルク補償部81bと、第2変位部の一例としての第2コネクタ14bとを備える。
第1空気バネ3は、第1シリンダ4と第1ピストン5とで構成される。第1シリンダ4には、第1貫通穴7及び吸排気部の一例としての第2吸排気バルブ8bが設けられている。
第2変速部80bは、第3非真円板の一例としての第3非円板部材13cと、第3可撓性連結部材の一例としての第3スチールベルト11dと、第2伝達部の一例としての第2連結板82bとで構成される。第2変速部80bは、第3スチールベルト11dを介して第3非円板部材13cに伝達される第1空気バネ3の発生力を、任意の比で変換して、第2連結板82bにトルクとして伝達する。
第2トルク補償部81bは、弾性体の一例としての第2空気バネ3aと、第4非真円板の一例としての第4非円板部材13dと、第1可撓性連結部材の一例としての第6スチールベルト11fとで構成される。第2トルク補償部81bは、詳細は後述するが、第1空気バネ3の第1内部空間21の気体量が所定の値である場合に第4非円板部材13dに作用するトルクを略0にしている。
図13の第2空気バネ装置1bにおいて、第2フレーム2bは板状の部材である。気体バネの一例としての第1空気バネ3は、第2フレーム2bに固定されている。第1空気バネ3は第1シリンダ4と第1ピストン5とで構成されている。例えば、第1ピストン5は横方向に進退可能に配置され、第1ピストン5のストロークは、第1シリンダ4の内部の両端に設けられたストッパー6a、6bにより制限されている。第1シリンダ4の両端には、第1貫通穴7と吸排気部の一例としての第2吸排気バルブ8bが設けられている。第2吸排気バルブ8bは、第1シリンダ4の第1内部空間21の空気量を増加させる際には第1吸排気バルブ8aを介して接続された圧力源(例えば、図11の参照符号43を参照)との接続口となり、第1内部空間21の空気量を減少させる際には第1吸排気バルブ8aを介して周辺大気への放出口となる。しかしながら、それ以外の場合には第1吸排気バルブ8aで閉鎖され、第1内部空間21の空気量を維持し続ける。第1ピストン5には、第1内部空間21の空気圧と第1貫通穴7により維持される大気圧との差圧に比例した力が加わり、第1ピストン5のピストンロッド5rの先端に設けられた第2軸9bを押圧する。第2軸9bには第1動滑車10aが回転自由に連結されている。第1シリンダ4には、第2変速部80bの一例としての第3スチールベルト11dと第3非円板部材13cとが連結されている。第3可撓性連結部材の一例としての第3スチールベルト11dは、一端が第1シリンダ4に固定、他端が第3非真円板の一例としての第3非円板部材13cに固定されるとともに、第1動滑車10aと、第3滑車15cと、第3非円板部材13cとに巻き付けられている。第3滑車15cは、第2フレーム2bに固定された第7軸9gに回転自由に連結されており、第3スチールベルト11dの変位を妨げないようになっている。第3非円板部材13cは、第2フレーム2bに固定された第6軸9fに回転自由に連結されている。また、第3非円板部材13cには、第3非円板部材13cと第2円板部材12bとの間に設けられた第2伝達部の一例としての円板形状の第2連結板82bを介して回転体の一例としての第2円板部材12bが固定されている。なお、第2連結板82bの形状は円板形状に限るものではなく、任意の形状が利用可能である。第2連結板82bは、第3スチールベルト11dの張力により第3非円板部材13cに作用するトルクを第2円板部材12bに伝達するようにしている。第3非円板部材13cと第2円板部材12bとは、一体になって第6軸9f回りに回転する。このようにすることで、第1空気バネ3の発生力により第2円板部材12bには第6軸9f回りのトルクが作用するようになる。
第2円板部材12bには、第5スチールベルト11eの一端が固定され、巻き付けられている。第5スチールベルト11eの他端には、第2変位部の一例としての第2コネクタ14bが設けられ、外部負荷と連結可能になっている。このようにすることで、第2コネクタ14bは第2円板部材12bの回転動作と連動して変位することになる。
また、第2円板部材12bには、第2トルク補償部81bの一例としての第4非円板部材13dと、第6第6スチールベルト11fと、第2空気バネ3aとが連結されている。第4非真円板の一例としての第4非円板部材13dは、第4非円板部材13dと同形状である第2伝達部の一例としての第2連結板82bを介して第2円板部材12bに固定されている。第4非円板部材13dと第2円板部材12bと第3非円板部材13cとは、一体になって第6軸9f回りに回転する。第1可撓性連結部材の一例としての第6スチールベルト11fは、一端が第4非円板部材13dに固定されるとともに、第4非円板部材13dに巻き付けられている。第6スチールベルト11fの他端は、弾性体の一例としての第2空気バネ3aを構成する第2シリンダ4aに連結されている。第2空気バネ3aは、第2シリンダ4aと第2ピストン5aとで構成される。例えば、第2ピストン5aも横方向に進退可能に配置され、第2ピストン5aには、第2シリンダ4aの閉鎖された第2内部空間21aの空気圧と第2シリンダ4aの第2ピストンロッド5s側に設けられた第1貫通穴7aにより維持される大気圧との差圧に比例した力が加わり、第2ピストン5aの第2ピストンロッド5sの先端に設けられた第4軸9dを押圧する。第4軸9dには、第2動滑車10bが回転自由に連結されている。第6スチールベルト11fは、第2シリンダ4aと第4非円板部材13dとの間を、第2動滑車10bと第4滑車15dとに巻き付きながら、連結している。第4滑車15dは、第2フレーム2bに固定された第8軸9hに回転自由に連結されており、第6スチールベルト11fの変位を妨げないようになっている。なお、図13では、一例として、軸9bなどの配置関係に関しては、第6軸9fに対して、一方の側、例えば右側において、上から下向きに、第2軸9bと第7軸9gとが配置されるとともに、他方の側、例えば左側において、上から下向きに、第4軸9dと第8軸9hとが配置されている。
次に、この第2空気バネ装置1bの作用を説明する。
図13の状態では、第1空気バネ3の発生力により、第1ピストン5が図13の左方向に移動して第1動滑車10aが時計方向に回転して、第3スチールベルト11dに張力が発生し、第3非円板部材13cに時計回りのトルクが作用している。また、第2空気バネ3aの発生力により、第2ピストン5aが図13の右方向に移動して第2動滑車10bが反時計方向に回転して、第6スチールベルト11fに張力が発生し、第4非円板部材13dに反時計回りのトルクが発生している。第2円板部材12bと、第3非円板部材13cと、第4非円板部材13dとは一体となって第6軸9f回りに回転するので、第2円板部材12bには第1空気バネ3による時計回りのトルクと第2空気バネ3aによる反時計回りのトルクとの合成トルクが伝達される。第2円板部材12bに巻き付けられた第5スチールベルト11eには、合成トルクを第6軸9fの中心から第5スチールベルト11eまでの距離Rbで割っただけの張力が作用し、第2コネクタ14bに対して図13の上方向への力が加わるようになる。
図13の状態から第1空気バネ3の第1内部空間21の空気が膨張し、図14の状態に至るまでには、各構成要素は、図13に示した矢印の方向に移動若しくは回転する。第1空気バネ3の第1内部空間21の空気が膨張することで失われるエネルギーは、第2コネクタ14bを介した負荷の移動及び第2空気バネ3aの圧縮に用いられる。
以下、第2空気バネ装置1bが動作する際に発生する力及びトルクについて説明する。
第2実施形態では、第5スチールベルト11eに作用する張力Fが、F=R(1+KZ)(P−P)A/(2R)で表される線形バネ特性となるよう構成している。ここで、Pは第1内部空間21の容積がALであるときの第1内部空間21の圧力を絶対圧力で表したものである。Pは、大気圧である。Aは、第1ピストン5の断面積である。Rは、図14の状態における第1軸9aの中心から第2スチールベルト11bの厚み中心までの距離である。Rは、第2円板部材12bの半径である。Kは、第2空気バネ装置1bにより実現される線形バネ特性のバネ剛性に対応する定数である。Zは、第2コネクタ14bの変位である。定数Kが大きくなるほど、変位Zが変化したときの張力Fの変化が大きくなる。図14における第2コネクタ14bの変位をZ=0とし、Z=0の位置から下方に変位するほど、変位Zは増加するよう定義される。図13における第2コネクタ14bの変位をZ=Zmaxとしている。すなわち、X=0のときZ=0となり、X=XmaxのときZ=Zmaxとなる。第2空気バネ装置1bを利用する際の第2コネクタ14bの移動速度は、一例として、第1空気バネ3が等温変化と見なせる程の低速(例えば3cm/s程度)にすれば、第2空気バネ装置1bの性能が安定する。
定数Zと変位Xとの関係は以下のように求められる。第2コネクタ14bを0〜Zまで移動させる際に行われる仕事は、RZ(1+KZ/2)(P−P)A/Rとなる。また、第1空気バネ3の発生力Fは、等温過程と見なして、F=(P/(1−X)−P)Aとなる。第2実施形態では、第1内部空間21の空気量がP=Pとなる空気量における第1空気バネ3の発生力FによるトルクTと釣り合うトルクを、第2空気バネ3aの発生力により第2円板部材12bに作用させているので、第1空気バネ3と第2空気バネ3aを一つの空気バネと見なしたときの発生力は、F−(X/(1−X))PA=(1/(1−X))(P−P)Aとなる。この空気バネを0〜Xまで移動させる際に行われる仕事は、図14における第1内部空間21の容積がALで表されるとして、−(P−P)ALln(1−X)となる。2つの仕事が等しいと置くことで、Z=(−1+sqrt(1−2KRLln(1−X)/R))/Kとなる。このようなZとXの関係を実現するために、第3非円板部材13cは、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に第3スチールベルト11dが接触して巻き付けられるようにしている。より詳しくは、第3非円板部材13cの形状は、第6軸9fの中心から、第3非円板部材13cの湾曲した側面に対して第3スチールベルト11dが接線として接触する接点までの距離(半径)RがR=R(1+KZ)(1−X)となるように形作られている。ちなみに、変位Zは、第2円板部材12bの回転角度θを用いてZ=−Rθと表すこともできる。ここで、回転角度θは、図14における第2円板部材12bの回転角度をθ=0とし、θ=0の位置から反時計回りに回転するほど、回転角度θが減少するよう定義される。すなわち、Z=0においてθ=0となり、Z=Zmaxにおいてθ=−θmaxとなる。ただし、θmax=Zmax/Rである。この関係を用いることで、距離Rと回転角度θとの関係を求めることができる。
図3は、第1実施形態の説明で使用した図であるが、本発明の第2実施形態における第1空気バネ3の変位Xと発生力Fとの関係をも示す。第2実施形態でも、本発明の第1実施形態と同じ第1空気バネ3を用いることにする。第1ピストン5の位置(変位)Xが増加するほど第1内部空間21の容積は減少し、圧力が高まることになる。第2実施形態ではXの最大値、すなわち図1における第1ピストン5の位置がX=Xmax=0.7である場合について示しているが、これに限るものではない。Xmaxは、一例として、実用上、0.3〜0.9の範囲の値とする。図3では、第1空気バネ3の発生力FをPAで正規化して示している。図3より、第1空気バネ3の発生力は第1ピストン5の位置により大きく変動することがわかる。一例として、圧力PをP〜7P程度とすれば、圧力が低く、空圧機器としての扱いが容易な利点がある。また、一例として、圧力Pを30P〜80P程度とすれば、第1空気バネ3を小型化できる利点がある。
図15は、本発明の第2実施形態における第2コネクタ14bの変位と第2円板部材12bに作用する第1空気バネ3の発生力によるトルクTとの関係を示す。トルクTは時計回りを正とすると、T=FR/2=R(1+KZ)(P−(1−X)P)A/2となる。第2実施形態では、第1動滑車10aを用いることで第1空気バネ3のストロークを2倍に拡大しているので、T=FR/2となる。第2実施形態では、K=1.5、RL/R=1とした場合について示している。図15では、トルクTをPAR/2で正規化し、変位ZをZmaxで正規化して示している。
図16は、本発明の第2実施形態における第2コネクタ14bの変位と第2円板部材12bに作用する第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの発生力によるトルクT+Tとの関係を示す。第2実施形態でも、P=Pとなる第1内部空間21の空気量における第1空気バネ3の発生力FによるトルクTと釣り合うトルクを、第2空気バネ3aの発生力により第2円板部材12bに作用させている。すなわち、第2空気バネ3aの発生力により第2円板部材12bに作用するトルクをTとすると、T=−R(1+KZ)XPA/2となる。よって、T+Tは、時計回りを正とすると、T+T=R(1+KZ)(P−P)A/2となる。図16では、T+TをPAR/2で正規化し、変位ZをZmaxで正規化して示している。図16より、第2トルク補償部81bによってP=PにおけるT+Tが0となることが確認できる。なお、ここでは、トルクTについて理想的な状態について述べているが、実際には製作上の誤差などにより、トルクTに2%程度のずれが生じていても実施上問題はない。よって、このような状態を、本明細書では、トルクが0となると説明するが、実際には、製作上の誤差などを含めて略0とも言うことができる。また、ここで比較されるのは、トルクTとトルクTのそれぞれについて摩擦抵抗などによるヒステリシス成分を除いた中心値同士の関係である。図16より、第2実施形態において圧力Pを変化させることで、第2コネクタ14bに作用する力Fを広範囲に調節できることがわかる。また、圧力Pの値が変化しても、第2コネクタ14bの位置に対応した線形バネの特性が維持されることがわかる。第2空気バネ装置1bを利用する際の第2コネクタ14bの移動速度は、一例として、第1空気バネ3が等温変化と見なせる程の低速(例えば3cm/s程度)とすれば、第2空気バネ装置1bの性能が安定する。
トルクTは圧力Pに依存しないトルクであるため、各回転角度θにおいて第2空気バネ3aの発生力Fを2で割った値に第6軸9fの中心から第6スチールベルト11fの厚み中心までの距離Rを掛けたトルクF/2がトルクTと等しくなるように第4非円板部材13dの形状を形作る。すなわち、第4非円板部材13dは、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に第6スチールベルト11fが接触して巻き付け可能としている。このように構成することで、トルクTを発生する第2トルク補償部81bを実現することができる。発生力Fを2で割るのは、第2実施形態では、第2動滑車10bを用いることで第2空気バネ3aのストロークを2倍に拡大しているからである。第2空気バネ3aの諸元及び発生力Fは、第1空気バネ3の特性にのみ依存するので、第1実施形態と同様にして求めることができる。よって、それぞれの回転角度θにおけるトルクT、発生力Fが求められるようになるので、第6軸9fの中心から第6スチールベルト11fの厚み中心までの距離RはR=2T/Fより求めることができる。
また、第3非円板部材13c及び非円板部材の13dの形状についてさらに説明する。前述のように、第3非円板部材13cの形状は、第2円板部材12bの回転角度がθのときに第6軸9fの中心から第3スチールベルト11dの厚み中心までの距離が回転角度θの関数であるRとなる形状である。また、第4非円板部材13dの形状は、第2円板部材12bの回転角度がθのときに第6軸9fの中心から第6スチールベルト11fの厚み中心までの距離が回転角度θの関数であるRとなる形状である。第3非円板部材13cの形状は、それぞれの回転角度θにおいて第6軸9fと同軸の半径Rの円と第3滑車15cのピッチ円との共通接線を引いたときの全ての共通接線に接する曲線となる。同様に、第4非円板部材13dの形状は、それぞれの回転角度θにおいて第6軸9fと同軸の半径Rの円と第4滑車15dのピッチ円との共通接線を引いたときの全ての共通接線に接する曲線となる。このようにして求められる形状は、滑車のピッチ円に相当するものであるため、実際に製作すべき形状は、回転中心側の法線方向にスチールベルトの厚みの半分だけオフセットした形状となる。
ここで、第2円板部材12bに作用するトルクの様子を図17A、図17B、及び、図17Cに示す。図17A、図17B、及び、図17Cは、それぞれθ=0,−θmax/2,−θmaxにおける状態であり、わかりやすくするために、力の作用する方向は水平もしくは垂直方向として表している。ここで、半径Rは回転角度θに依存しない一定の値となる。また、張力Fは、回転角度θが減少するほど増加し、線形バネ特性を実現していることから、θ=−θmax/2での値はθ=0における値とθ=−θmaxにおける値の中間値となっている。図17A、図17B、及び、図17Cより、回転角度θが減少するほど第1空気バネ3が圧縮され、第3スチールベルト11dに作用する張力F/2が増加し、第1空気バネ3の発生力による時計回りのトルクが増加していくことがわかる。一方で、回転角度θが減少するほど第2空気バネ3aの第2内部空間21aの空気は膨張するので、第6スチールベルト11fに作用する張力F/2が減少していくことがわかる。しかし、第4非円板部材13dの形状により、P=Pとなる第1内部空間21の空気量における第1空気バネ3の発生力FによるトルクTと釣り合う反時計回りのトルクTが発生するように、距離Rが増加していくことがわかる。このようにして、回転角度θが減少するほどF/2が減少するにもかかわらず、反時計回りのトルクTは増加するようになる。そして、最終的に、時計回りの合成トルクT+Tを距離Rで割った張力Fが第5スチールベルト11eに作用し、線形バネ特性が実現されるようになっている。
前記第2実施形態にかかる構成によれば、第2円板部材12bに第1空気バネ3の発生力によるトルクと第2空気バネ3aによるトルクとを作用させることで、第3非円板部材13cにより規定される線形バネ特性を維持したまま、第1空気バネ3の第1内部空間21の空気量に応じて変化する力を、第2コネクタ14bに作用させられるようになる。すなわち、前記第2実施形態によれば、第1空気バネ3の第1内部空間21の空気量の調節により、発生力を容易に変化できるとともに、第1空気バネ3の第1内部空間21の空気量を一定としたまま、第2コネクタ14bの位置に対応した線形バネ力を発生することができるようになる。よって、広範囲な負荷重量の変化への対応が容易で、かつ、位置変化に伴う気体の吸排気が不要な、第2空気バネ装置1bが得られるようになる。
なお、第2実施形態では、第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの動作気体として空気を用いているが、これに限るものではなく、理想気体と見なせる各種気体が利用可能である。一例として、空気は、入手が容易であるという利点がある。別の例として、窒素等の不活性ガスは、特性が安定しているという利点がある。
なお、第2実施形態では、動滑車を用いて第1空気バネ3及び第2空気バネ3aの変位を2倍に拡大しているが、これに限るものではなく、第1又は第2ピストンロッド5r、5sの先端にスチールベルト11d、11fを直接固定するようにしても良い。また、第2変速部80bの一例として、任意の公知のストローク変換機構を用いて任意の倍率で第1空気バネ3又は第2空気バネ3aの変位を変換する場合でも、同様に実施可能である。また、第1空気バネ3及び第2空気バネ3aはそれぞれ伸長方向に力を発生する構成となっているが、これに限るものではなく、収縮方向に力を発生する構成としても良い。
なお、第2実施形態では、弾性体として第2空気バネ3aを用いているが、これに限るものではなく、各種金属バネ、磁気バネ等、又は、任意の公知の弾性体のいずれを用いても実施可能である。このときの第4非円板部材13dの形状は、第2空気バネ3aのエクセルギーの変化をそれぞれの弾性体における弾性エネルギーの変化に置き換えることで、同様に求めることができる。
なお、第2実施形態では、スチールベルト11cを介することで第2コネクタ14bの変位と第2円板部材12bの回転とを連動させているが、これに限るものではなく、ラック・アンド・ピニオン機構等、公知の直動−回転変換のいずれかを用いても実施可能である。
なお、第2実施形態では、第1ピストン5のストロークをシリンダ内部に設けたストッパーで制限しているが、これに限るものではなく、シリンダ外部に設けたストッパー、又は、第2円板部材12bの回転角度を制限するストッパー、又は、第2コネクタ14bの変位を制限するストッパーを用いても同様に実施可能である。
なお、第2実施形態では、可撓性連結部材の一例としてスチールベルトを用いているが、これに限るものではなく、金属製以外のベルト、又は、ワイヤロープ等の紐状のものであっても同様に実施可能である。また、紐状の部材を用いる場合、一例として、対応する第2円板部材12b、第3非円板部材13c、13d、第1動滑車10a、10b、並びに、第3滑車15c、15dのそれぞれの外周には、脱落防止のための溝を設ける。また、紐状の部材を用いる場合、第2円板部材12bの回転角度は1回転未満に限るものではなく、第2円板部材12bをドラム状の回転体とし、第3非円板部材13c、13dを円錐螺旋状の溝を備えた回転体とすることで、複数回、回転させるようにしても良い。
なお、第2実施形態では、第2円板部材12b、第3非円板部材13c、13dは一体となって同軸に回転しているが、これに限るものではなく、互いに連動して回転すれば同様に実施可能であるため、互いを歯車又はベルトなどで連結して異なる軸回りに回転させても良い。
なお、第2実施形態では、最終出力を第2コネクタ14bにおける直動動作としているが、これに限るものではなく、任意の公知の直動−回転変換機構を用いたり、第2円板部材12bを外部負荷と直接的に連結したりするなどして、最終出力を回転動作としても良い。この場合、変位部は回転動作するものとなり、第2円板部材12bと連動した変位部の角変位に対して線形に変化するトルクが外部に取り出せるようになる。
なお、第2実施形態では、第1内部空間21の空気量がP=Pとなる空気量におけるトルクTを第2トルク補償部81bにより補償しているが、これに限るものではない。例えば、P=αP(αは1以上の任意の値)となる空気量におけるトルクを第2トルク補償部81bで補償しても同様に実施可能である。この場合、T+T=R(1+KZ)(P−αP)A/2となり、P=αP以上の場合に線形バネとして利用可能になる。
なお、第2実施形態では、第3非円板部材13cと第3スチールベルト11dにより線形バネの特性を実現しているがこれに限るものではなく、第3非円板部材13cの形状を変化させて線形バネとは異なるバネ特性としても良い。
(第3実施形態)
図18は、本発明の第3実施形態における、複合気体バネ装置の一例としての複合空気バネ装置1cの概略を示す。図18において、ベース61は板状の部材である。第2実施形態にかかる第2空気バネ装置1bの第2フレーム2bと、第1実施形態にかかる第1空気バネ装置1aの第1フレーム2aがベース61上の上下に固定されている。第2空気バネ装置1bの第2コネクタ14bに対し、第1空気バネ装置1aの第1コネクタ14aが反対側から連結されて(例えば、図18では、上側に配置された第2コネクタ14bに対して下側から第1コネクタ14aが連結され)、一体化している。このように一体化した第1コネクタ14aと第2コネクタ14bとには、第2空気バネ装置1bの発生力から第1空気バネ装置1aの発生力を引いた力が、図18の上方向に作用するようになっている。このとき、第1コネクタ14aと第2コネクタ14bの可動範囲が重なるように、第1フレーム2aと第2フレーム2bの間隔は設定されている。
次に、この複合空気バネ装置1cの作用を説明する。
第2コネクタ14bには、第2空気バネ装置1bより、R(1+KZ)(P−P)A/(2R)だけの力が図18の上方向に作用する。第1コネクタ14aには、第1空気バネ装置1aより、(P−P)AR/(2R)だけの力が図18の下方向に作用する。それぞれの記号の意味は、第1実施形態及び第2実施形態において説明した内容と同一である。第2実施形態では、第2空気バネ装置1bにおけるR/(2R)と第1空気バネ装置1aにおけるR/(2R)とが等しく1である場合について示しており、一体化した第1コネクタ14aと第2コネクタ14bに作用する力は、図18の上方向にKZ(P−P)Aとなる。ただし、第1空気バネ装置1a及び第2空気バネ装置1bにおけるP、Aは同一である。このようにすることで、第2空気バネ装置1bにおけるZ=0状態での一体化した第1コネクタ14aと第2コネクタ14bとに作用する力を常に0としたまま、線形バネのバネ定数だけをPを調節することで変化させられるようになる。なお、ここでは、第1空気バネ装置1a及び第2空気バネ装置1bの特性について理想的な状態について述べているが、実際には、製作上の誤差などにより、それぞれの空気バネ装置におけるトルクTの中心値に2%程度のずれが生じていても、実施上問題はない。このように、複数の空気バネ装置を組み合わせることで、圧力Pにより発生力が調節可能な新たな特性の空気バネ装置が実現できるようになる。さらに、第3実施形態では、第1空気バネ装置1a及び第2空気バネ装置1bの圧力Pを同一にしているが、これを独立して別々に調節すれば、第1空気バネ装置1a及び第2空気バネ装置1bが複合空気バネ装置1cの特性に及ぼす影響度合いもそれぞれ調節可能になるので、複合空気バネ装置1cの発生力だけでなく、特性自体も調節可能になる。
なお、第3実施形態では、2つの空気バネ装置1a,1bの組合せ方として、定荷重バネ特性と線形バネ特性とを組合せているが、これに限るものではなく、他のどのような特性同士を組み合わせても同様に実施可能である。
なお、本発明を第1〜第3実施形態及び変形例に基づいて説明してきたが、本発明は、前記の第1〜第3実施形態及び変形例に限定されないのはもちろんである。
なお、上記様々な実施形態又は変型例のうちの任意の実施形態又は変型例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータは、気体バネ内の気体量を調節することで負荷重量の変化への対応が容易に行えるとともに、位置変化に伴う気体の吸排気を不要とすることができ、有用である。また、本発明にかかる気体バネ装置、それを用いたバランサー装置及びアクチュエータは、バランサー装置やアクチュエータ以外でも、マニピュレータ等の接触力、剛性を調節するクッション装置としても応用できる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明の第1態様によれば、フレームに固定され、内部空間の圧力と大気圧との差圧に比例した力を発生する気体バネと、
前記気体バネに配置され、前記気体バネの前記内部空間の気体量を調節可能な吸排気部と、
前記フレームに回転可能に配置されかつ前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力によるトルクが作用する回転体と、
前記回転体に接続され、前記回転体の回転動作と連動して変位する変位部と、
前記フレームに配置されるとともに、前記回転体と前記変位部との間に設けられて前記気体バネの発生力により前記回転体に作用するトルクと前記変位部に作用する力とを変換すること、及び、前記気体バネと前記回転体との間に設けられて前記気体バネの発生力と前記回転体に作用するトルクとを変換すること、のいずれか又は双方を行う変速部と、
前記フレームに配置されかつ前記回転体に接続され、前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が所定の値である場合に前記回転体に作用するトルクを略0にするトルク補償部と、
を備える気体バネ装置を提供する。
本発明の第1態様によれば、フレームに固定され、内部空間の圧力と大気圧との差圧に比例した力を発生する気体バネと、
前記気体バネに配置され、前記気体バネの前記内部空間の気体量を調節可能な吸排気部と、
前記フレームに回転可能に配置されかつ前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力によるトルクが作用する回転体と、
前記回転体に接続され、前記回転体の回転動作と連動して変位する変位部と、
前記フレームに配置されるとともに、前記回転体と前記変位部との間に設けられて前記気体バネの発生力により前記回転体に作用するトルクと前記変位部に作用する力とを変換すること、及び、前記気体バネと前記回転体との間に設けられて前記気体バネの発生力と前記回転体に作用するトルクとを変換すること、のいずれか又は双方を行う変速部と、
前記フレームに配置されかつ前記回転体に接続され、前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が所定の値である場合に前記回転体に作用するトルクを略0にするトルク補償部と、
を備える気体バネ装置を提供する。
本発明の第10態様によれば、前記変位部から取り出される力又はトルクが、変位又は角変位に関わらず一定である第1〜9のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を提供する。
本発明の第11態様によれば、前記変位部から取り出される力又はトルクが、変位又は角変位に対して線形に変化する第1〜9のいずれか1つの態様に記載の気体バネ装置を提供する。

Claims (15)

  1. フレームに固定され、内部空間の圧力と大気圧との差圧に比例した力を発生する気体バネと、
    前記気体バネに配置され、前記気体バネの前記内部空間の気体量を調節可能な吸排気部と、
    前記フレームに回転可能に配置されかつ前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力によるトルクが作用する回転体と、
    前記回転体に接続され、前記回転体の回転動作と連動して変位する変位部と、
    前記フレームに配置されるとともに、前記回転体と前記変位部との間に設けられて前記気体バネの発生力により前記回転体に作用するトルクと前記変位部に作用する力とを変換すること、並びに、前記気体バネと前記回転体との間に設けられて前記気体バネの発生力と前記回転体に作用するトルクとを変換すること、のいずれか若しくは双方を行う変速部と、
    前記フレームに配置されかつ前記回転体に接続され、前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が所定の値である場合に前記回転体に作用するトルクを略0にするトルク補償部と、
    を備える気体バネ装置。
  2. 前記気体バネの前記内部空間の前記気体量が、前記内部空間の容積を最大にした際に内部圧力が大気圧となる気体量であるときに、前記トルク補償部が前記回転体に作用する前記トルクを略0にする請求項1に記載の気体バネ装置。
  3. 前記トルク補償部が、
    前記フレームに配置された弾性体と、
    前記弾性体に接続され、前記弾性体の発生力による張力が作用する第1可撓性連結部材と、
    前記フレームに回転可能に配置され、前記第1可撓性連結部材が巻き付けられる第1非真円板と、
    前記フレームに回転可能に配置され、前記第1可撓性連結部材の張力により前記第1非真円板に作用するトルクを前記回転体に伝達する第1伝達部と、
    を備える請求項1又は2に記載の気体バネ装置。
  4. 前記第1非真円板は、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に前記第1可撓性連結部材が接触して巻き付けられる、
    請求項3に記載の気体バネ装置。
  5. 前記第1非真円板は、前記回転体の回転角度がθのときに前記回転体の回転軸の中心から前記第1可撓性連結部材の厚み中心までの距離R=2T/Fとなる形状である部材であり、Tは前記回転体に前記回転角度θにおいて前記トルク補償部が作用させるトルクであり、Fは前記弾性体が発生する力である、
    請求項4に記載の気体バネ装置。
  6. 前記回転体と前記変位部との間に設けられる前記変速部が、
    前記回転体に接続され、前記回転体と連動して回転する第2非真円板と、
    一方が前記第2非真円板に巻き付けられ、他方が前記変位部に接続される第2可撓性連結部材と、
    を備える請求項1又は2に記載の気体バネ装置。
  7. 前記第2非真円板は、異なる曲率半径をそれぞれ有する複数の円弧の集りで形成される湾曲した側面を有して回転可能な板状部材で構成され、前記板状部材の回転により前記湾曲した側面に前記第2可撓性連結部材が接触して巻き付けられる、
    請求項6に記載の気体バネ装置。
  8. 前記気体バネは、シリンダと、前記シリンダ内を移動するピストンとで構成され、
    前記第2非真円板は、その形状が、前記回転体の回転角度が回転角度θのときに前記回転体の回転軸の中心から前記第2可撓性連結部材の厚み中心までの距離RがR=R/(1−Rθ/(2L))となるように形作られた部材であり、Rは回転角度θ=0における前記軸の中心から前記第2可撓性連結部材の厚み中心までの距離であり、Rは前記回転体の半径であり、Lは前記シリンダ内で前記ピストンが移動する内部空間の長さLである、
    請求項7に記載の気体バネ装置。
  9. 前記気体バネと前記回転体との間に設けられる前記変速部が、
    前記気体バネに接続され、前記気体バネにより発生した前記力による張力が作用する第3可撓性連結部材と、
    前記フレームに回転可能に配置され、前記第3可撓性連結部材が巻き付けられる第3非真円板と、
    前記第3可撓性連結部材の張力により前記第3非真円板に作用するトルクを前記回転体に伝達する第2伝達部と、
    を備える請求項1又は2に記載の気体バネ装置。
  10. 前記変位部から取り出される力若しくはトルクが、変位又は角変位に関わらず一定である請求項1又は2に記載の気体バネ装置。
  11. 前記変位部から取り出される力若しくはトルクが、変位又は角変位に対して線形に変化する請求項1又は2に記載の気体バネ装置。
  12. 特性の異なる請求項1又は2に記載の気体バネ装置を複数備え、各気体バネ装置の前記変位部及び前記回転体と前記変位部との間に設けられる前記変速部が互いに共有される構成である、複合気体バネ装置。
  13. 請求項1又は2に記載の気体バネ装置と、
    前記気体バネ装置の前記変位部に接続される物体の自重を支持する保持部と、
    を備えるバランサー装置。
  14. 請求項1又は2に記載の気体バネ装置と、
    前記気体バネ装置の前記吸排気部に接続され、前記気体バネの内部空間の圧力を制御することで、前記気体バネ装置の発生力を変化させる制御装置と、
    を備える気体圧アクチュエータ。
  15. 請求項1又は2に記載の気体バネ装置と、
    前記気体バネ装置の前記変位部に並列に力を作用させるアクチュエータと、
    を備えるバイアス荷重補償アクチュエータ。
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