JPWO2014007349A1 - 符号化装置、復号装置、これらの方法、プログラム、および記録媒体 - Google Patents

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Abstract

符号化においては、量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組を複数個格納した利得符号帳の中から、最も好ましい符号帳インデックスを選択するが、この際にこれらの組の分布の集中度が異なる利得符号帳を少なくとも2種類以上用意し、入力音響信号の定常性に応じていずれかの利得符号帳を選択する。復号においては、符号化の際と同じ利得符号帳を用意し、復号音響信号の定常性に応じて何れかの利得符号帳を選択する。

Description

この発明は、音声、音楽等の音信号を符号化または復号する技術に関する。特に、CELP等の符号化技術で符号化された周期性成分の利得およびパルス性成分の利得を符号化または復号する技術に関する。
従来は、CELP(Code Excited Linear Prediction)の符号化および復号において用いられる周期性成分の利得およびパルス性成分の利得は、符号誤りに対する耐性を強くするために固定長ビットが割り当てられて符号化および復号されていた(例えば、非特許文献1参照)。パルス性成分の利得については、利得そのものではなく過去のサブフレームからの予測値に対する比を符号化の対象とすることにより、利得の値の時間的な連続性を考慮して符号量の削減を行っていた。
また、特許文献1では、周期性成分の利得から周期性成分の利得の値の時間的な連続性の有無を判定し、時間的な連続性があると予測された場合には周期性成分の利得の値の差分を可変長符号化することにより符号量の削減を行っていた。
WO2006/075605国際公開公報
3rd Generation Partnership Project(3GPP), Technical Specification (TS) 26.090, "AMR speech codec; Transcoding functions", Version 4.0.0 (2001-03)
非特許文献1に記載された符号化方法では、周期性成分の利得およびパルス性成分の利得の頻度に関する冗長性や周期性成分の利得の連続性について考慮することなく、各サブフレームで共通に固定長での符号化および復号が行われており、符号化および復号の効率が良くないという問題があった。
特許文献1には、周期性成分の利得の値の連続性や頻度に応じて、固定長または可変長の符号化および復号を切り替えて行う技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された可変長符号化および復号は、平均符号量を少なくすることを目的としたものであり、量子化済ピッチ利得の値と量子化済固定符号帳利得の値の組の分布の偏りが異なる複数種類の符号帳を切り替えることで、より歪の小さな符号化を行うことは考慮されていなかった。
この発明の課題は、CELPなどの符号化方式で得られた利得を、符号帳を参照して符号化する際に、現在のサブフレーム(またはフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレーム(またはフレーム)の入力音響信号の定常性に応じて、量子化済ピッチ利得の値と量子化済固定符号帳利得の値の組の分布の集中度(偏り)が異なる複数の符号帳のいずれかを選択して利得量子化に使用することにより、より効率が良い符号化装置、復号装置、これらの方法、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
符号化においては、周期性成分の利得(量子化済ピッチ利得)またはその関数値とパルス性成分の利得(量子化済固定符号帳利得)またはその関数値の組に対応する符号帳の中から、最も好ましいインデックスを選択するが、この際に量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値の組の分布の集中度(偏り)または量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値の組に割り当てられている符号の長さの偏り、の少なくとも一方が異なる符号帳を少なくとも2種類以上用意し、現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に応じていずれかの符号帳を選択する。
入力音響信号の定常性が高い場合には、量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値の組の分布が特定の領域に集中している(偏っている)および/または量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値の組に割り当てられている符号の長さの偏りが大きい符号帳を使用して利得の符号化を行う。入力音響信号の定常性が低い場合には、量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値の組の分布が拡散している(偏りが小さい)および/または量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値の組に割り当てられた符号の長さの偏りが小さい符号帳を使用して利得の符号化を行う。これにより、平均の波形歪みや平均ビットレートを従来技術よりも小さくすることができる。
図1は、符号化装置の例の機能ブロック図である。 図2は、復号装置の例の機能ブロック図である。 図3は、集中度の高い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。 図4は、集中度の低い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。 図5は、利得量子化部の例の機能ブロック図である。 図6は、パラメータ復号部の例の機能ブロック図である。 図7は、利得符号復号部の例の機能ブロック図である。 図8Aは、集中度の高い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。図8Bは、集中度の低い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。 図9Aは、集中度の高い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。図9Bは、集中度の低い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。 図10Aは、集中度の高い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。図10Bは、集中度の低い符号帳中の量子化済み利得値の分布例を示す図である。 図11Aは、符号帳インデックスの長さの分布の偏りが大きい符号帳中の符号帳インデックスの長さの分布例を示す図である。図11Bは、符号帳インデックスの長さの分布の偏りが小さい符号帳中の符号帳インデックスの長さの分布例を示す図である。図11Cは、符号帳インデックスの長さが固定長の符号帳中の符号帳インデックスの長さの分布例を示す図である。 図12は、サブフレーム毎の利得符号帳の構成例を示す図である。
以下、この発明の実施形態について、詳細に説明する。
[第一実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第一実施形態の符号化装置11は、線形予測分析部111、適応符号帳112、固定符号帳113、ピッチ分析部114、探索部115、聴覚重み付けフィルタ116、合成フィルタ117、利得量子化部118、およびパラメータ符号化部119を有する。
図2に例示するように、第一実施形態の復号装置12は、適応符号帳122、固定符号帳123、選択部125、合成フィルタ127、およびパラメータ復号部129を有する。
本形態の符号化装置11および復号装置12は、例えば、CPU(central processing unit)、RAM(random-access memory)、ROM(read-only memory)等を備えた公知の汎用または専用のコンピュータにプログラムやデータが読み込まれることで構成された特別な装置である。また、符号化装置11および復号装置12の処理部の少なくとも一部が集積回路等のハードウェアによって構成されていてもよい。
<符号化>
符号化装置11には、デジタル化され、所定時間区間であるフレームの単位で区分された時系列信号である入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1、Lは2以上の整数、各nを「サンプル点」と呼ぶ)が入力される。符号化装置11は、入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)を、以下のように、所定の時間区間であるフレームごとに符号化する。
≪線形予測分析部111≫
線形予測分析部111は、処理対象のフレーム(「現フレーム」と呼ぶ)に属する各サンプル点n=0,...,L−1での入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)の線形予測分析を行い、当該現フレームでの全極型の合成フィルタ117を特定するための係数の量子化値に対応する符号である線形予測情報LPC info(「予測パラメータ」に含まれる)を出力する。すなわち、線形予測分析部111は、フレームごとに、入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応する線形予測係数またはこれと互換な係数を特定する符号である線形予測情報LPC infoを得て出力する。例えば、線形予測分析部111は、現フレームの入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応する線形予測係数a(m)(m=1,...,P、Pは正の整数である線形予測次数)を算出し、線形予測係数a(m)(m=1,...,P)を線スペクトル対係数LSPに変換し、量子化した線スペクトル対係数LSPに対応する符号を線形予測情報LPC infoとして出力する。
≪固定符号帳113≫
固定符号帳113には、零でない単位パルスとその極性との組み合わせからなる値を持つ1個以上の信号と零値を持つ1個以上の信号とから構成される複数個のパルス系列(「サンプル列」に相当)を特定するための情報が格納される。ここでは1フレームが4個のサブフレームに等区分される例を示す。すなわち、L個のサンプル点0,...,L−1からなるフレームは、サンプル点Lf(0),...,Lf(1)−1からなる1番目のサブフレーム(第1サブフレーム)、サンプル点Lf(1),...,Lf(2)−1からなる2番目のサブフレーム(第2サブフレーム)、サンプル点Lf(2),...,Lf(3)−1からなる3番目のサブフレーム(第3サブフレーム)、およびサンプル点Lf(3),...,Lf(4)−1からなる4番目のサブフレーム(第4サブフレーム)に区分される。Lf(0),Lf(1),Lf(2),Lf(3),Lf(4)は、Lf(0)=0,Lf(4)=L,Lf(0)<Lf(1)<Lf(2)<Lf(3)<Lf(4)を満たす正整数である。第1−4サブフレームに対応するパルス系列cf1,cf2,cf3,cf4はそれぞれ以下のように表現される。
cf1=(cf1(Lf(0)),...,cf1(Lf(1)-1))
cf2=(cf2(Lf(1)),...,cf2(Lf(2)-1))
cf3=(cf3(Lf(2)),...,cf3(Lf(3)-1))
cf4=(cf4(Lf(3)),...,cf4(Lf(4)-1))
≪適応符号帳112≫
適応符号帳112には、過去の各時点で生成された励振信号が記憶されている。適応符号帳112は、第1−4サブフレームの各サブフレームで得られるピッチ周期T,T,T,Tに応じて励振信号を遅延させて得られる適応信号成分v(n)(n=0,...,L−1)を出力する。小数精度のピッチ周期を用いて適応信号成分v(n)を表現する場合には、ピッチ周期に応じて遅延させた複数の励振信号に重み付き平均操作を行う補間フィルタが用いられる。
≪ピッチ分析部114≫
ピッチ分析部114は、サブフレームごとに、入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応するピッチ周期T,T,T,Tを得て、当該ピッチ周期T,T,T,Tと、当該ピッチ周期T,T,T,Tを特定するピッチ符号(周期性成分符号)CT,CT,CT,CTと、を出力する。各サブフレームのピッチ符号CT,CT,CT,CTはそれぞれ均一長である。CT,CT,CT,CTそれぞれのビット数は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。なお、ピッチ周期はピッチ符号を復号することにより得られるのでピッチ分析部114が出力することは必須ではない。ピッチ周期は、サンプル点の間隔の整数倍のみで表現される場合(整数精度)のみならず、サンプル点の間隔の整数倍と小数値(分数値)とを用いて表現される場合(小数精度)もある。また、ピッチ分析部114は、探索部115で用いるために、サブフレームごとに、ピッチ利得gp1,gp2,gp3,gp4を求めて出力してもよい。
入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応するピッチ周期T,T,T,T、当該ピッチ周期T,T,T,Tを特定するピッチ符号CT,CT,CT,CTの探索は、例えば、サブフレームごとに、適応符号帳112に記憶されている過去の各時点で生成された励振信号をピッチ周期の候補で遅延させて得られる信号に線形予測情報LPC infoによって特定される全極型の合成フィルタ117を適用して得られる合成信号と、入力された入力音響信号との差分に、聴覚重み付けフィルタ116を適用した値が最小となるように行われる。
ピッチ利得gp1,gp2,gp3,gp4は、例えば、サブフレームごとに、探索された当該ピッチ周期T,T,T,Tに対応する合成信号と入力された入力音響信号との相互相関値を合成信号の自己相関値で除算した値として求められる。
≪探索部115≫
探索部115は、サブフレームごとに、固定符号帳113を探索し、入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応するパルス系列cf1,cf2,cf3,cf4(固定符号帳113からのサンプル列)と、当該パルス系列cf1,cf2,cf3,cf4に対応するコードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4と、を得て出力する。なお、パルス系列はコードインデックスを復号することにより得られるので探索部115が出力することは必須ではない。
言い換えると、第kサブフレーム(k=1,2,3,4)では、探索部115は、固定符号帳113から得られる複数のサンプル列のうち入力音響信号x(n)(n=Lf(k-1),...,Lf(k)−1)に対応するパルス系列cfkと当該パルス系列cfkを特定するコードインデックスCfkと、を得て出力する。
入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応するパルス系列cf1,cf2,cf3,cf4、および当該パルス系列cf1,cf2,cf3,cf4に対応するコードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4の探索は、例えば、サブフレームごとに、適応信号成分の各サンプルにピッチ利得を乗算して得られるサンプル列と固定符号帳から得られるパルス系列の候補とにより得られる励振信号の仮信号に線形予測情報LPC infoによって特定される全極型の合成フィルタ117を適用して得られる合成信号と、入力された入力音響信号との差分に、聴覚重み付けフィルタ116を適用した値が最小となるように行われる。
≪利得量子化部118≫
利得量子化部118は、第1から第4のサブフレームのそれぞれ(第jサブフレーム)について、ピッチ利得gpjと固定符号帳利得gcjの組をベクトル量子化し、量子化済ピッチ利得gpj^と量子化済固定符号帳利得gcj^の組を特定する利得符号GAfjを得て出力する。
≪利得量子化部118が備える利得符号帳≫
利得量子化部118によるベクトル量子化には、量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得との組に対応する利得符号を特定するためのテーブルである利得符号帳が用いられる。本形態の利得量子化部118は、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上において、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組の分布の集中度(偏り)が異なる少なくとも2種類の利得符号帳(複数個の利得符号帳)を備える。つまり、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上において、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組の分布が特定の領域に集中している(偏っている)利得符号帳(集中度の高い利得符号帳)と、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組の分布が拡散している(偏っていない)利得符号帳(集中度の低い利得符号帳)と、の少なくとも2種類の利得符号帳を備える。言い換えると、上記の複数個の利得符号帳には、量子化済固定符号帳利得の候補と量子化済ピッチ利得の候補の組の、固定符号帳利得とピッチ利得とをそれぞれ軸とする二次元平面上における分布の偏りがそれぞれ異なるものが含まれている。なお、利得符号の例は、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組から選択された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得との組に対応するインデックスである(以下「符号帳インデックス」という)。少なくとも2種類の利得符号帳は、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補の分布の集中度(偏り)がそれぞれ異なるものであれば、符号帳インデックスの長さは可変長でも均一長でも構わない。符号帳インデックスの長さが可変長の利得符号帳を可変長符号帳、符号帳インデックスの長さが均一長の符号帳を均一長符号帳と呼ぶ。
また、上記の「特定の領域」は、例えば、過去の励振信号の振幅を現在のサブフレームでの周期性成分信号の振幅としてそのまま(比率1で)使い、過去のパルス性成分信号の振幅を現在のサブフレームでのパルス性成分信号の振幅としてそのまま(比率1で)使うことを意味する利得値の組(例えば、ピッチ利得と固定符号帳利得の関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上であれば、(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0))を含む領域(例えば、予め定めた短半径と長半径をもつ楕円領域や矩形など)である。すなわち、上記の「特定の領域」は、「現在の時間区間における周期性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における励振信号の振幅との比率が1.0であり、かつ、上記現在の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比率が1.0である場合に対応する上記二次元平面上の点」を含む領域(楕円領域等)である。ただし、「周期性成分信号」とは、適応符号帳からの過去の励振信号に現在の時間区間のピッチ利得を乗じて得られる信号を意味する。例えば、現在の時間区間における「周期性成分信号」は、適応符号帳からの過去の励振信号を、現在の時間区間におけるピッチ周期に応じて遅延させた信号に、現在の時間区間のピッチ利得を乗じて得られる信号を意味する。「パルス性成分信号」とは、固定符号帳からの信号に現在の時間区間の固定符号帳利得を乗じて得られる信号を意味する。
利得符号帳の集中度は、例えば、利得符号帳中の量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補の組のうち、上記の「特定の領域」の内側に含まれる組の数の割合として定義することができる。特定の領域の内側に含まれる組の数の割合が高いほど、集中度の高い符号帳といえる。あるいは、実際にいくつかのデータで符号化を行い、ある時間区間のサブフレームにおける利得値の組が特定の領域の内側にある場合だけを集めたときに、後の時間区間のサブフレームで波形歪を小さくするような利得値の組が特定の領域の内側から見つかる頻度が特定の領域の外側から見つかる頻度より高い利得符号帳が、集中度が高い利得符号帳である。
利得符号帳が量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補そのものを記録するものとして説明したが、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補のいずれか、または両方が利得の候補そのものでなく、その関数値を符号帳に記録する場合がある。すなわち、利得符号帳は、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納されたものであればよい。関数値が記録されている場合は、実際の利得値に換算して集中度の領域を判定することもできるし、関数値をそのまま利得に読み替えて、関数値の集中度で領域を判定することもできる。例えば、記録されている関数値が量子化済ピッチ利得や量子化済固定符号帳利得の過去からの予測誤差の値であれば、関数値が全体の分布の中心に近いということは定常的である場合が多いので、本発明の狙いをそのまま実現することができる。なお、関数値の集中度で領域を判定する場合は、上述の二次元平面の軸は、それぞれピッチ利得の候補の関数値、固定符号帳利得の候補の関数値に読み替えられる。
図3および図4は、横軸をピッチ利得、縦軸を固定符号帳利得の関数値とした二次元平面上における符号帳(図3は定常性の高いサブフレームで使用する集中度の高い符号帳、図4は定常性の低いサブフレームで使用する集中度の低い符号帳)に格納された量子化済ピッチ利得の値と量子化済固定符号帳利得の関数値の組の分布を例示したものである。図3および図4では過去のサブフレームのパルス系列のエネルギーを基に予測された現在のサブフレームの量子化済固定符号帳利得の推定値に対する、現在のサブフレームでの実際の量子化済固定符号帳利得の比を表す、量子化された補正係数(非特許文献1のquantified correction factor)を「量子化済固定符号帳利得の関数値」としている。定常性の高いサブフレームでは量子化済固定符号帳利得の推定精度が高くなり、上記の「補正係数」が1.0またはそれに近い値となることが多い。補正係数が1.0であることは、現在のサブフレームの量子化済み固定符号帳利得として、現在のサブフレームの量子化済固定符号帳利得の推定値がそのまま使われることを意味する。この場合、量子化済ピッチ利得の値と量子化済固定符号帳利得の関数値との組の分布が「(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0)を含む特定の領域」の内側に集中する可能性が高い。そのため図3のように、特定の領域の内側に分布が集中している割合の高い符号帳を利用する。図3および図4の例では、(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0)を含む楕円領域(図3および図4の「領域A」)を「特定の領域」としている。この例の楕円領域の中心は、上述の二次元平面の軸上にはなく、それらから離れた位置に存在する。ただし、特定の領域は楕円で定義された楕円領域に限定されるものではなく、多角形などの他の形で定義された領域であっても構わない。
≪可変長符号≫
可変長符号は、例えば、学習用データを量子化した結果から得られる。具体的には、可変長符号は、学習用データのピッチ利得と固定符号帳利得の組をベクトル量子化した際に、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組が選択された頻度に応じて予め割り当てられたものである。選択された頻度の高い量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組にはビット数の小さな符号帳インデックス(短い符号)が割り当てられ、選択された頻度の低い量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組にはビット数の大きな符号帳インデックス(長い符号)が割り当てられる。すなわち、利得符号帳に格納された複数個の符号帳インデックスにはビット数が異なるものが含まれる。このような符号帳インデックスの例はハフマン符号である。しかしながら、その他の可変長符号が符号帳インデックスとして用いられてもよい。なお、学習用データを用いなくても選択される量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組の頻度はある程度予想できるため、学習用データを用いることなく上記の頻度を予想して量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組に可変長符号を割り当ててもよい。
以下に利得符号帳の具体例を示す。
Figure 2014007349
表1は、符号帳インデックスがハフマン符号であり、符号帳インデックスのビット数も利得符号帳に格納する場合の利得符号帳の例である。表1ではその一部を省略してあるが、表1の利得符号帳には、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補と符号帳インデックスと当該符号帳インデックスのビット数とによる組が32組格納されている。
<利得量子化部118が行うベクトル量子化>
利得量子化部118が行うベクトル量子化は、サブフレーム毎に、入力されたピッチ符号とコードインデックスに対して、利得符号帳に格納された複数個の符号帳インデックスのうちの何れか1つを選択し、それを利得符号とするものである。本形態では、利得符号帳として、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補の組の分布の集中度が異なる少なくとも2種類の利得符号帳を用意しておき、前のサブフレーム(現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレーム)の定常性に応じて(入力音響信号の定常性の高さに依存して)現サブフレームの利得量子化に使用する利得符号帳を選択する処理に特徴があるので、以下でその[原理]と[具体的な手順の例]について順に説明する。
[原理]
現在のサブフレームが定常性の高いサブフレームである場合、現在のサブフレームよりも後の時間区間のサブフレーム(後続のサブフレーム)も定常性の高い(現在のサブフレームとの連続性が高い)サブフレームである可能性が高い。
定常性の高いサブフレームでは、現在のサブフレームの適応符号帳による周期性成分信号の振幅として、前のサブフレームの励振信号の振幅と同じ値が選ばれることが多い。ピッチ利得を前のサブフレームの励振信号の振幅と現在のサブフレームの周期性成分信号の振幅との比とすれば、現在のサブフレームで選択される量子化済ピッチ利得の候補値が1.0またはそれに近い値となる場合が多い。また、定常性の高いサブフレームでは、現在のサブフレームのピッチ利得の推定値がそのまま現在のサブフレームの量子化済ピッチ利得として使われる可能性が高い。ピッチ利得の関数値を現在のサブフレームのピッチ利得の推定値と現在のサブフレームのピッチ利得との比とすれば、定常性の高いサブフレームでは現在のサブフレームの量子化済ピッチ利得の関数値の候補値が1.0に近い値となる。
同様に、定常性の高いサブフレームでは、現在のサブフレームの固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅として、前のサブフレームの固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と同じ値が選ばれることが多い。固定符号帳利得を前のサブフレームの固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と現在のサブフレームの固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比とすれば、現在のサブフレームで選択される量子化済固定符号帳利得の候補値が1.0またはそれに近い値となる。また、定常性の高いサブフレームでは、現在のサブフレームの固定符号帳利得の推定値がそのまま現在のサブフレームの量子化済固定符号帳利得として使われる可能性が高い。固定符号帳利得の関数値を、過去または現在のサブフレーム(またはフレーム)での固定符号帳113からの信号成分のエネルギーを基に予測された現在のサブフレーム(またはフレーム)での固定符号帳利得の推定値と、現在のサブフレーム(またはフレーム)での固定符号帳利得との比を表す補正係数(correction factor)とすると、定常性の高いサブフレームでは現在のサブフレームの量子化済固定符号帳利得の関数値の候補値が1.0に近い値となる。
すると、定常性の高いサブフレームでは、後続のサブフレームでの量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値も1.0に近い値になりやすい。現在のサブフレームでの量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値の組の近くのものが選ばれやすくなるともいえる。つまり、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上において、各サブフレームで選ばれた量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値の組の分布が、前のサブフレームの励振信号の振幅を現在のサブフレームでそのまま使うことを意味する利得値の組(例えば、(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0))の周辺の領域へ集中する可能性が高まる。言い換えれば、各サブフレームで選ばれた量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値の組の分布が、「前のサブフレームの励振信号の振幅を現在のサブフレームの適応符号帳による周期性成分信号の振幅として使い、前のサブフレームの固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅を現在のサブフレームの固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅として使うことを意味する利得値の組」の周辺の領域へ集中する可能性が高まる。したがって、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補の組の分布が特定の領域に集中している符号帳(集中度の高い利得符号帳)を用いて符号化を行った方が、符号化歪みをより小さくできる利得値の組が見つかる可能性が高い。
ここで、「特定の領域」は、上述のピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする場合は(ピッチ利得,固定符号帳利得)=(1.0,1.0)の点を含む領域であり、上述のピッチ利得と固定符号帳利得の関数値をそれぞれ軸とする場合は(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0)の点を含む領域であり、上述のピッチ利得の関数値と固定符号帳利得の関数値をそれぞれ軸とする場合は(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0)の点を含む領域である。ピッチ利得の関数値を現在のサブフレームのピッチ利得の推定値と現在のサブフレームのピッチ利得との誤差とし、固定符号帳利得の関数値を現在のサブフレームの固定符号帳利得の推定値と現在のサブフレームの固定符号帳利得との誤差とする場合は、「特定の領域」は、(ピッチ利得の関数値,固定符号帳利得の関数値)=(0.0,0.0)の点を含む領域である。
いずれの領域も、「現在の時間区間における周期性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における励振信号の振幅との比率が1.0であり、かつ、上記現在の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比率が1.0である場合に対応する上記二次元平面上の点」を含む領域(楕円領域等)の一例である。
一方、現在のサブフレームが定常性の低いサブフレームである場合、現在のサブフレームよりも後の時間区間のサブフレーム(後続のサブフレーム)も定常性が低い(現在のサブフレームとの連続性が低い)サブフレームである可能性が高い。すると、前のサブフレームの励振信号の振幅と、現在のサブフレームの周期性成分信号の振幅とは大きく異なる可能性が高くなる。よって、後続のサブフレームでの量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得は、前のサブフレームでの量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組とは全く異なるものが選ばれやすくなる。つまり、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上において、各サブフレームで選ばれた量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組の分布が拡散する傾向が高くなる。したがって、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補の組の分布が拡散している符号帳(集中度の低い利得符号帳)を用いて符号化を行った方が、符号化歪みをより小さくできる利得値の組が見つかる可能性が高い。
この知見を利用して、本形態の利得量子化部118は、利得符号帳として、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補の組の分布の集中度が異なる符号帳を少なくとも2種類以上用意しておき、現在のサブフレーム(利得量子化対象のサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレーム(前のサブフレーム)の定常性に応じて選択した利得符号帳を用いて、利得量子化を行う。言い換えると、本形態の利得量子化部118は、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備える。これら複数個の利得符号帳には、例えば、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれている。利得量子化部118は、上記の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、利得符号として得る。つまり、前のサブフレームの定常性が高い場合には集中度の高い利得符号帳を、前のサブフレームの定常性が低い場合には集中度の低い利得符号帳を、用いて利得量子化を行う。
[具体的な手順の例]
上記の原理に基づいて利得量子化部118が行うベクトル量子化の具体的な手順を例示する。ここでは、現在のサブフレームを第jサブフレームとして、説明する。また、利得量子化部118が備える利得符号帳は、集中度の高い利得符号帳VQと、集中度の低い利得符号帳VQの2種類とする。この集中度の高い利得符号帳VQは、上記の(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳である。この集中度の低い利得符号帳VQは、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳である。
利得量子化部118の詳細構成を図5に例示する。利得量子化部118は、例えば、符号帳選択部118aと量子化部118bを含む。
≪利得量子化部118の符号帳選択部118a≫
符号帳選択部118aには、入力音響信号のうちの現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームでの利得符号化に用いた、量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得とが入力される。ここで、「過去の時間区間のサブフレーム」は、同じフレーム内の現在のサブフレームより前のサブフレームでもよいし、現在のサブフレームが含まれるフレームよりも過去のフレームに含まれるサブフレームのいずれかであってもよい。また、直前のサブフレームに限らず、過去のサブフレームのいずれかを用いてもよい。
符号帳選択部118aは、入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組に依存して利得符号帳を選択する。すなわち、符号帳選択部118aは、入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組が、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上の特定の領域の内側に含まれる場合(特定の領域の内側に属する場合)には集中度の高い利得符号帳VQ(上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳)を選択し、そうでない場合(特定の領域の外側に属する場合)には集中度の低い利得符号帳VQ(上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳)を選択する。ここで、量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組が特定の領域の内側に含まれる場合は「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い場合」に相当し、そうでない場合は「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い場合」に相当する。前述のように、集中度の高い利得符号帳VQは、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上において、量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補との組の分布が特定の領域(「第1の特定の領域」と呼ぶ)に集中しているものである。また、符号帳選択部118aは、入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組が、上述の二次元平面上の特定の領域(「第2の特定の領域」と呼ぶ)の内側に含まれる場合には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ここで、第1の特定の領域と第2の特定の領域とは同一の領域であってもよいし、第1の特定の領域が第2の特定の領域を含んでもよいし、第2の特定の領域が第1の特定の領域を含んでもよいし、第1の特定の領域の一部と第2の特定の領域の一部とが重複していてもよいし、第1の特定の領域の近傍の領域が第2の特定の領域であってもよい。
例えば、第2の特定の領域を楕円で表現した場合は、符号帳選択部118aは、α’、β’を入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得、s,tを予め定めた楕円の定数とし、当該楕円の上述した二次元平面上の中心点を(c,d)としたとき、
E=s(α’-c)2+t(β’-d)2 ...(1)
で計算されるEが予め定めた規定値TH1より小さい場合に集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合に集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ここで、上記式(1)により計算されるEが規定値TH1より小さい場合は、利得値の組(α’,β’)が特定の領域(楕円領域)の内側に含まれる場合に相当する。ただし、TH1>0である。
なお、「入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得について、上記式(1)の値が規定値TH1より大きい」場合に集中度の低い利得符号帳VQを選択し、「入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得について、上記式(1)の値が規定値TH1より大きくない」場合に集中度の高い利得符号帳VQを選択する構成としてもよい。
ここで、w<規定値を満たすか否かを判定することで、wが規定値よりも小さいかが判定されてもよいし、w≦(規定値+定数)を満たすか否かを判定することで、wが規定値よりも小さいかが判定されてもよい。これらの場合、規定値が処理上の閾値として設定されていてもよいし、(規定値+定数)が処理上の閾値として設定されていてもよい。規定値より大きい場合の判定も同様である。
また、第2の特定の領域としては、例えば、前のサブフレームの励振信号の振幅を現在のサブフレームでの周期性成分信号の振幅としてそのまま使い、前のサブフレームのパルス性成分符号の振幅を現在のサブフレームでのパルス性成分符号の振幅としてそのまま使うことを意味する利得値の組(例えば、(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0))を含む領域を使えば良い。この場合、上述の楕円の定数のうちc=1.0,d=1.0となる。なお、sとtと規定値Eは楕円の大きさ(長半径と短半径)を決めるパラメータと考えることができる。なお、第2の特定の領域は符号化装置11と復号装置12との間で同一のものを用いる。また、第2の特定の領域は楕円で定義された楕円領域に限定されるものではなく、多角形などの他の形で領域を定義してもよい。
なお、入力音響信号の先頭のサブフレームについては、過去のサブフレームがないので、符号帳選択部118aは、上記利得符号帳VQまたはVQのいずれか予め定められたものを選択するものする。例えば、集中度が低い利得符号帳VQを常に利用することを決めておく。また、上記2種類の利得符号帳とは別の利得符号帳VQをさらに備え、先頭サブフレームの利得量子化には、常に利得符号帳VQを用いる構成としてもよい。
なお、上記の説明では、利得符号帳に量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得そのものが記録されているものとして説明したが、ピッチ利得と固定符号帳利得のいずれか、または両方が利得そのものでなく、その関数値が符号帳に記録されていてもよい。関数値が記録されている場合は、関数値を実際の利得値に変換して、上記式(1)により特定の領域の内側か外側かを判定しても良いし、関数値をそのまま利用して上記式(1)により判定してもよい。ただし、関数値を利用する場合と利得値を利用する場合とでは、特定の領域の定義が異なる(つまり、式(1)におけるパラメータs,t,c,dの値が異なる)。関数値を利用する場合の「第1の特定の領域」および「第2の特定の領域」は、過去のサブフレームにおける励振信号の振幅を現在のサブフレームでの周期性成分信号の振幅としてそのまま使い、前のサブフレームのパルス性成分符号の振幅を現在のサブフレームでのパルス性成分符号の振幅としてそのまま使うことを意味する利得値の組に対応する関数値を含む領域(例えば、図3の「領域A」など)を用いると良い。また、関数値を利用する場合の二次元平面の軸は、それぞれピッチ利得の関数値、固定符号帳利得の関数値に読み替えるものとする。
≪利得量子化部118の量子化部118b≫
量子化部118bは、入力されたピッチ周期Tまたはピッチ符号CTと、パルス系列cfjまたはコードインデックスCfjと、に対して、符号帳選択部118aが選択した利得符号帳に格納された複数個の符号帳インデックスのうちの何れか1つを選択し、それを利得符号とする。
利得符号帳から符号帳インデックスを探す方法は、従来技術と同じでよい。例えば、量子化部118bは、N個(Nは所定の正整数)のサンプル点からなるサブフレーム(時間区間)ごとに、固定符号帳113からのパルス系列(サンプル列)を合成フィルタ117に通して得られるサンプル列Zのそれぞれのサンプルに、量子化済固定符号帳利得の候補βを乗算して得られるサンプル列βZと、過去の励振信号を合成フィルタ117に通して得られるサンプル列Yのそれぞれのサンプルに、量子化済ピッチ利得の候補αを乗算して得られるサンプル列αYと、を対応するサンプル毎に加算して得られる合成信号サンプル列αY+βZと入力音響信号Xとの歪みを指標値Dとし、指標値Dが最も小さくなるインデックスを、利得符号として得て出力する。なお、合成フィルタ117に通してサンプル列Zを得るための「固定符号帳113からのパルス系列」は、利得量子化部118に入力されたコードインデックスに対応し、合成フィルタ117に通してサンプル列Yを得るための「過去の励振信号」は、利得量子化部118に入力されたピッチ符号に対応する。各指標値Dに対応する量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補と符号帳インデックスとの組は、それぞれ、選択された利得符号帳に格納された量子化済ピッチ利得の候補と量子化済固定符号帳利得の候補と符号帳インデックスとの組の何れかである。サンプル列Zに含まれるサンプルの個数、サンプル列Yに含まれるサンプルの個数、および合成信号サンプル列αY+βZに含まれるサンプルの個数は、すべてN個である。合成フィルタ117は、あるサンプル点nのサンプルυ(n)を、そのサンプル点nよりも過去のP個のサンプル点n−1,n−2,...,n−Pのサンプルχ(n−1),χ(n−2),...,χ(n−P)に線形予測係数a(n−1),a(n−2),...,a(n−P)を乗算した値a(n−1)×χ(n−1),a(n−2)×χ(n−2),...,a(n−P)×χ(n−P)の和で表す線形FIR(Finite Impulse Response)フィルタである。なお、Pは正の整数である予測次数である。以下に合成フィルタ117を表す。
υ(n)=a(1)×χ(n-1)+a(2)×χ(n-2)+...+a(P)×χ(n-P)
例えば、サンプル列Aを合成フィルタ117に通してサンプル列Cが得られる場合、サンプル列Aに含まれるサンプルがχ(n−1),χ(n−2),...,χ(n−P)の少なくとも一部となり、υ(n)がサンプル列Cのサンプル点nでのサンプルとなる。χ(n−1),χ(n−2),...,χ(n−P)の少なくとも一部がサンプル列Aよりも過去のサンプル点に対応する場合、例えば、当該χ(n−1),χ(n−2),...,χ(n−P)の少なくとも一部はサンプル列Aより過去のサンプル列に含まれるサンプルとされる。あるいは、サンプル列Aよりも過去のサンプル列が存在しない場合、当該χ(n−1),χ(n−2),...,χ(n−P)の少なくとも一部は0などの定数とされる。
以下に指標値Dの具体例を示す。
サブフレームがN個のサンプル点S,...,S+N−1(Sは0以上の整数)からなり、サブフレームに属する入力音響信号XをベクトルX=(x(S),...,x(S+N−1))と表現し、サンプル列ZをベクトルZ=(z(S),...,z(S+N−1))と表現し、サンプル列YをベクトルY=(y(S),...,y(S+N−1))と表現し、サンプル列αY+βZと入力音響信号Xとの二乗誤差を指標値D(歪み)と定義すると、指標値Dは以下のように表される。ただし、σはσの転置を表す。
Figure 2014007349
例えば、前述した1フレームが4個のサブフレームに等区分される例の場合、第jサブフレーム(j=1,...,4)は、N=Lf(j)−Lf(j−1)個のサンプル点Lf(j−1),...,Lf(j)−1からなる。ここで、第jサブフレームでの入力音響信号XをベクトルX=(x(Lf(j−1)),...,x(Lf(j)−1))と表現する。また、第jサブフレームでの固定符号帳113からのパルス系列cfj=(cfj(Lf(j−1)),...,cfj(Lf(j)−1))を合成フィルタ117に通して得られるサンプル列ZをZ=(z(Lf(j−1)),...,z(Lf(j)−1))と表現する。さらに、第jサブフレームでの適応信号成分(過去の励振信号)v(Lf(j−1)),...,v(Lf(j)−1)を合成フィルタ117に通して得られるサンプル列YをベクトルY=(y(Lf(j−1)),...,y(Lf(j)−1))と表現する。すると、第jサブフレームでの指標値Dは以下のように表される。
Figure 2014007349

ここでは、上述の指標値Dが最小となる量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得を選択する例を示したが、他の尺度による歪みや別の方法を用いて量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得を決定する構成としてもよい(<量子化部118bが行うベクトル量子化>の説明終わり)。
≪適応符号帳112の記憶内容の更新≫
適応符号帳112は、利得量子化部118で各サブフレームでの利得符号GAf1,GAf2,GAf3,GAf4が得られると、コードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4に対応するパルス系列cf1,cf2,cf3,cf4(固定符号帳113からのサンプル列)の各サンプルに量子化済固定符号帳利得gc1^,gc2^,gc3^,gc4^を乗算して得られるサンプル列と、サブフレームごとにピッチ周期T,T,T,Tに対応するサンプル数だけ過去の励振信号である適応信号成分v(n)(n=0,...,L−1)の各サンプルに量子化済ピッチ利得gp1^,gp2^,gp3^,gp4^を乗算して得られるサンプル列と、を対応するサンプル毎に加算した以下のような励振信号u'(n)(n=0,...,L−1)を得て、適応符号帳112内に記憶する。
u'(n)=gp1^×v(n)+gc1^×cf1(n)(n=Lf(0),...,Lf(1)-1)
u'(n)=gp2^×v(n)+gc2^×cf2(n)(n=Lf(1),...,Lf(2)-1)
u'(n)=gp3^×v(n)+gc3^×cf3(n)(n=Lf(2),...,Lf(3)-1)
u'(n)=gp4^×v(n)+gc4^×cf4(n)(n=Lf(3),...,Lf(4)-1)
≪パラメータ符号化部119≫
また、線形予測情報LPC info、ピッチ周期符号CT,CT,CT,CT、コードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4、および利得符号GAf1,GAf2,GAf3,GAf4を含む「励振パラメータ」がパラメータ符号化部119に入力される。パラメータ符号化部119は、励振パラメータに対応する符号であるビットストリームBS(符号)を生成して出力する。
<復号装置12>
符号化装置11(図1)のパラメータ符号化部119から出力されたビットストリームBSは、入力符号として復号装置12(図2)のパラメータ復号部129に入力される。
≪パラメータ復号部129≫
パラメータ復号部129は、図6に示すように、例えば、パラメータ復号部129a、ピッチ符号復号部129b、および利得符号復号部129cを含む。
≪パラメータ復号部129a≫
パラメータ復号部129aは、ビットストリームBSを入力とし、ビットストリームBSに含まれる線形予測情報LPC info、ピッチ符号CT,CT,CT,CT、コードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4、および利得符号GAf1,GAf2,GAf3,GAf4を得る。得られたLPC infoは合成フィルタ127に入力される。また、ピッチ符号CT,CT,CT,CTはピッチ符号復号部129bに入力される。コードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4は選択部125に入力される。利得符号GAf1,GAf2,GAf3,GAf4は、利得符号復号部129cに入力される。
≪ピッチ符号復号部129b≫
ピッチ符号復号部129bは、得られたピッチ符号CT,CT,CT,CTを復号し、ピッチ周期T’,T’,T’,T’を出力する。ピッチ周期T’,T’,T’,T’は適応符号帳122に入力される。
≪利得符号復号部129c≫
利得符号復号部129cは、入力された利得符号GAf1,GAf2,GAf3,GAf4を復号し、復号ピッチ利得gp1^,gp2^,gp3^,gp4^および復号固定符号帳利得gc1^,gc2^,gc3^,gc4^を得て出力する。具体的には、利得符号復号部129cは、例えば、符号化装置11の利得量子化部118が備えるのと同一の利得符号帳を備え、図7に示すように符号帳選択部129caおよび復号部129cbを含む。
≪符号帳選択部129ca≫
符号帳選択部129caには、現在のサブフレーム(パラメータ復号の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームにおいて、パラメータ復号部129aで得た復号ピッチ利得と、復号固定符号帳利得と、が入力される。
符号帳選択部129caは、入力された量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の組に依存して利得符号帳を選択する。ただし、符号帳選択部129caは、符号帳選択部118aが利得符号帳を選択するための基準に対応する基準に従い、利得符号帳を選択する。すなわち、符号帳選択部129caは、入力された復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得の組が、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上の特定の領域の内側に含まれる場合(特定の領域の内側に属する場合)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(特定の領域の外側に属する場合)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面が、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面と等しい場合、ピッチ利得と固定符号帳利得をそれぞれ軸とする二次元平面上の特定の領域は、前述の第2の特定の領域と等しい。「入力された復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得の組が特定の領域の内側に含まれる場合」は、「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が高い場合」に対応する。そうでない場合は、「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が低い場合」に対応する。つまり、「入力された復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得の組が特定の領域の内側に含まれるか否か」は、「復号される音響信号の入力された復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得に対応する時間区間についての定常性に対応する情報」、すなわち、「復号音響信号の定常性に対応する情報」である。また、過去の時間区間のサブフレームにおいて、パラメータ復号部129aで得た復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得とは、「現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報(パラメータ)」である。すなわち、符号帳選択部129caは、現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に基づいて、符号帳を選択する。例えば、特定の領域を楕円で表現した場合には、符号帳選択部129caは、「入力された復号ピッチ利得α’と復号固定符号帳利得β’から計算される上記式(1)の値が規定値TH1より小さい場合」に集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合に集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部129caは、符号化装置11と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
≪復号部129cb≫
復号部129cbは、符号帳選択部129caで選択した利得符号帳を参照し、入力された利得符号(現在のサブフレームに対応する利得符号)に対応する量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得を復号ピッチ利得gpj^および復号固定符号帳利得gcj^として出力する。
≪選択部125≫
選択部125には、コードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4が入力される。選択部125は、入力されたコードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4を用い、固定符号帳123に基づき、サブフレームごとに、コードインデックスCf1,Cf2,Cf3,Cf4を復号してパルス系列cf1,cf2,cf3,cf4を得て出力する。固定符号帳123は、符号化装置11が備える固定符号帳113と同一である。
≪適応符号帳122≫
適応符号帳122は、入力されたピッチ周期T’,T’,T’,T’で特定される適応信号成分v’(n)(n=0,...,L−1)を出力する。
パルス系列cf1,cf2,cf3,cf4に復号固定符号帳利得gc1^,gc2^,gc3^,gc4^を乗算して得られるサンプル列と、適応信号成分v’(n)(n=0,...,L−1)に復号ピッチ利得gp1^,gp2^,gp3^,gp4^を乗算して得られるサンプル列と、を対応するサンプル毎に加算した以下のような励振信号u’(n)(n=0,...,L−1)が、適応符号帳122に追加される。
u'(n)=gp1^×v'(n)+gc1^×cf1(n)(n=Lf(0),...,Lf(1)-1)
u'(n)=gp2^×v'(n)+gc2^×cf2(n)(n=Lf(1),...,Lf(2)-1)
u'(n)=gp3^×v'(n)+gc3^×cf3(n)(n=Lf(2),...,Lf(3)-1)
u'(n)=gp4^×v'(n)+gc4^×cf4(n)(n=Lf(3),...,Lf(4)-1)
≪合成フィルタ127≫
励振信号u’(n)(n=0,...,L−1)に、線形予測情報LPC infoによって特定される全極型の合成フィルタ127が適用され、それによって生成された合成信号x’(n)(n=0,...,L−1)が出力される。
[第二実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第二実施形態の符号化装置21は、利得量子化部118に代えて利得量子化部218を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部218は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部218aを含みこと、および備えられた利得符号帳の構成以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第二実施形態の復号装置22は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部229を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部229は、利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部229cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部229cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部229caを含みこと、および備えられた利得符号帳の構成以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
利得量子化部218の符号帳選択部218aの処理と、利得量子化部218が備える利得符号帳以外は、第一実施形態の符号化装置11と同じである。
≪利得量子化部218が備える利得符号帳≫
利得量子化部218は、第一実施形態で説明した複数の利得符号帳に加えて、各利得符号帳の符号帳インデックスごとに、未来のサブフレームで選択する利得符号帳を示す情報を対応付けて記憶した対応表、を備える。例えば、各符号帳インデックスに対応する量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得とを用いて、第一実施形態で用いた式(1)により特定の領域の内側か外側かを計算し、特定の領域の内側であれば集中度の高い利得符号帳VQを選択することを示す情報を、そうでない場合には集中度の低い利得符号帳VQを選択することを示す情報を、予め各符号帳インデックスに対応付けて記憶した対応表を用意しておく。
この対応表は、例えば、利得符号帳ごとに「集中度の高い利得符号帳VQを選択する符号帳インデックスのリスト」と「集中度の低い利得符号帳VQを選択する符号帳インデックスのリスト」のように別の表として用意してもよいし、利得符号帳に付加情報として加えたものでもよい。そして、同じものを復号装置でも利用する。
なお、上記の「集中度の高い利得符号帳VQを選択する」を「特定の領域の内側に含まれる」あるいは「定常性が高い」、「集中度の低い利得符号帳VQを選択する」を「特定の領域の外側に含まれる」あるいは「定常性が低い」、と読み替えてもよい。また、特定の領域としてサブフレーム毎に異なる領域を利用する構成としてもよいが、その場合は、特定の領域ごとにそれぞれ対応表を用意しておく必要がある。
≪符号帳選択部218a≫
符号帳選択部218aには、入力音響信号のうちの現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームで得た利得符号と、そのときの利得量子化に用いた利得符号帳を示す情報と、が入力される。
符号帳選択部218aは、入力された利得符号と利得符号帳を示す情報とを用いて上記の対応表を参照し、入力された利得符号が集中度の高い利得符号帳VQを選択することを示す情報に対応する符号帳インデックスである場合には集中度の高い利得符号帳VQを選択する)。また、符号帳選択部218aは、入力された利得符号が集中度の低い利得符号帳VQを選択することを示す情報に対応する符号帳インデックスである場合には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。すなわち、符号帳選択部218aは、入力された利得符号に依存して利得符号帳を選択する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部218aは、復号装置22と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第二実施形態の復号装置22における利得符号復号部229cは、第二実施形態の符号化装置21の利得量子化部218が備える利得符号帳と同じ利得符号帳(対応表)を備える。その他は、利得符号復号部229cの符号帳選択部229caの処理を除いては、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部229ca≫
符号帳選択部229caには、現在のサブフレーム(パラメータ復号の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームの利得符号と、当該利得符号に対応する利得符号帳を示す情報と、が入力される。
符号帳選択部229caは、入力された利得符号と利得符号帳を示す情報を用いて、利得符号復号部229cが備える利得符号帳(対応表)を参照し、入力された利得符号が集中度の高い利得符号帳VQを選択することを示す情報に対応する符号帳インデックスである場合には、集中度の高い利得符号帳VQを選択する。また、符号帳選択部229caは、入力された利得符号が集中度の低い利得符号帳VQを選択することを示す情報に対応する符号帳インデックスである場合には、集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部229caは、符号化装置21と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
[第三実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第三実施形態の符号化装置31は、利得量子化部118に代えて利得量子化部318を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部318は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部318aを含むこと以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第三実施形態の復号装置32は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部329を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部329は、利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部329cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部329cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部329caを含むこと以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
第三実施形態の符号化装置31の処理は、利得量子化部318の符号帳選択部318aの処理以外、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部318a≫
符号帳選択部318aには、入力音響信号のうちの現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値が入力される。
符号帳選択部318aは、「入力された現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値wが、規定値TH2より大きい」場合には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ただし、TH2≧0であり、例えばTH2>0である。これは定常的な時間区間ではピッチ周期の周期性が高く、ピッチ利得が大きいことに基づく。つまり、「入力された現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値wが、規定値TH2より大きい場合」は、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い場合」に相当する。また、「入力された現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値wが、規定値TH2より大きくない場合」は、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い場合」に相当する。
また、符号帳選択部318aは、「入力された現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値wが、規定値TH2より小さい」場合に集中度の低い利得符号帳VQを選択し、「入力された現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値wが、規定値TH2より小さくない」場合に集中度の高い利得符号帳VQを選択してもよい。ここで、「入力された現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値wが、規定値TH2より小さい」場合は、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高くない場合(低い場合)」に相当する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部318aは、復号装置32と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第三実施形態の復号装置32の処理は、利得符号復号部329cの符号帳選択部329caの処理以外、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部329ca≫
符号帳選択部329caには、現在のサブフレーム(第jサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームについて利得符号復号部で得た復号ピッチ利得が入力される。
符号帳選択部329caは、現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に基づいて、符号帳を選択する。ここでは、「復号音響信号の定常性に対応する情報」として、「入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値wが、規定値TH2より大きいか否か」を用いる。つまり、符号帳選択部329caは、「入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値wが、規定値TH2より大きい」場合(つまり、入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得が「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が高い場合」に対応しているとき)に集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得が「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が低い場合」に対応しているとき)に集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部329caは、符号化装置31と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
[第四実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第四実施形態の符号化装置41は、利得量子化部118に代えて利得量子化部418を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部418は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部418aを含むこと以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第四実施形態の復号装置42は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部429を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部429は、利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部429cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部429cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部429caを含むこと以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
第四実施形態の符号化装置41の処理は、利得量子化部418の符号帳選択部418aの処理以外、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部418a≫
符号帳選択部418aには、入力音響信号のうちの現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値とが入力される。
符号帳選択部418aは、「入力された量子化済固定符号帳利得またはその関数値に対する、入力された量子化済ピッチ利得またはその関数値の比wが規定値TH3より大きい」場合(つまり、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い」場合)に集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い」場合)に、集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ただし、TH3≧0であり、例えばTH3>0である。これは定常的な時間区間ではピッチ周期の周期性が高く、量子化済固定符号帳利得またはその関数値に対する量子化済ピッチ利得またはその関数値の比が大きいことに基づく。量子化済固定符号帳利得の関数値の例は、前述の量子化された補正係数などである。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部418aは、復号装置42と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第四実施形態の復号装置42の処理は、利得符号復号部429cの符号帳選択部429caの処理以外、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部429ca≫
符号帳選択部429caには、現在のサブフレーム(パラメータ復号の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームについて、復号部129cbから得た復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得とが入力される。
符号帳選択部429caは、現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に基づいて、符号帳を選択する。ここでは、「復号音響信号の定常性に対応する情報」として、「入力された復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得から計算される関数値に対する、入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値の比wが規定値TH3より大きいか否か」を用いる。つまり、符号帳選択部429caは、「入力された復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得から計算される関数値に対する、入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値の比wが規定値TH3より大きい」場合(つまり、入力された復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得が「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が高い場合」に対応しているとき)に集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、入力された復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得が「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が低い場合」に対応しているとき)に、集中度の低い利得符号帳VQを選択する。復号固定符号帳利得から計算される関数値の例は、前述の量子化された補正係数などである。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部429caは、符号化装置41と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
[第五実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第五実施形態の符号化装置51は、利得量子化部118に代えて利得量子化部518を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部518は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部518aを含むこと以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第五実施形態の復号装置52は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部529を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部529は、利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部529cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部529cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部529caを含むこと以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
第五実施形態の符号化装置51の処理は、利得量子化部518の符号帳選択部518aの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部518a≫
符号帳選択部518aには、入力音響信号のうちの現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームにおける量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値とが入力される。
符号帳選択部518aは、「入力された量子化済ピッチ利得またはその関数値wが第1規定値TH4より小さく、かつ、入力された量子化済固定符号帳利得またはその関数値wが第2規定値TH5より大きい」場合(つまり、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い」場合)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「過去の時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い」場合)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ただし、TH4>0かつTH5≧0であり、例えばTH5>0である。
定常的なフレームではピッチ周期の周期性が高くピッチ利得が大きい。ただし、音声の立ち上がり部分にあるフレームでは、その前のフレームからのピッチ周期の周期性は低くピッチ利得は小さいものの、そのフレーム内ではピッチ周期の周期性が高い。また、音声の立ち上がり部分にあるフレームでは、その前のフレームを用いて予想される現フレームの固定符号帳利得の推定値は小さなものとなる。音声の立ち上がり部分にあるフレームでは前述の補正係数(量子化済固定符号帳利得の関数値)は大きな値となる。そのため、「量子化済ピッチ利得またはその関数値が小さい場合であっても、量子化済固定符号帳利得の関数値が大きな値である場合は、そのフレームは定常的である」と言える。逆に言えば「量子化済ピッチ利得またはその関数値が小さい場合であって、量子化済固定符号帳利得の関数値が小さな値である場合は、そのフレームは定常的でない」と言える。上記の判定は、この性質に基づく。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部518aは、復号装置52と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第五実施形態の復号装置52の処理は、利得符号復号部529cの符号帳選択部529caの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部529ca≫
符号帳選択部529caには、現在のサブフレーム(パラメータ復号の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームにおいて、復号部129cbで得た復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得とが入力される。
符号帳選択部529caは、現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に基づいて、符号帳を選択する。ここでは、「復号音響信号の定常性に対応する情報」として、「復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値wが第1規定値TH4より小さく、かつ、復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得から計算される関数値wが第2規定値TH5より大きいか否か」を用いる。つまり、符号帳選択部529caは、「復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値wが第1規定値TH4より小さく、かつ、復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得から計算される関数値wが第2規定値TH5より大きい」場合(つまり、復号ピッチ利得または復号ピッチ利得が「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が高い場合」に対応しているとき)に、集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、復号ピッチ利得または復号ピッチ利得が「過去の時間区間のサブフレームにおける復号音響信号の定常性が低い場合」に対応しているとき)に集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部529caは、符号化装置51と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
[第六実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第六実施形態の符号化装置61は、利得量子化部118に代えて利得量子化部618を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部618は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部618aを含むこと以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第六実施形態の復号装置62は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部629を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部529は、利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部629cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部629cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部629caを含むこと以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
第六実施形態の符号化装置61の処理は、利得量子化部618の符号帳選択部618aの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部618a≫
符号帳選択部618aには、入力音響信号のうちの現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)よりも過去の時間区間のサブフレームで得た利得符号とそのときの利得符号化に用いた利得符号帳を示す情報と、が入力される。
この場合、入力された過去の時間区間のサブフレームの利得符号と利得符号帳を示す情報とを用いて利得符号帳を参照することにより、入力された利得符号に対応する量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得を特定できる。特定した量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値を用いて、第三〜第五実施形態の符号化装置31〜51の符号帳選択部318a〜518aで示した処理のいずれかを行い、利得符号帳を選択する。なお、第三〜第五実施形態のどの処理を行うかは、符号化側と復号側で統一しておくものとする。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部618aは、復号装置62と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第六実施形態の復号装置62は、第三〜第五実施形態の復号装置32〜52の何れかと同じ方法で復号を行う。ただし、このときに、符号帳選択部629caの符号帳の選択方法は、符号化側と同じとする。
≪符号帳選択部629ca≫
符号帳選択部629caは、現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレームにおいて、復号部129cbで得た復号ピッチ利得と復号固定符号帳利得と、が入力される。
符号帳選択部629caは、入力された復号ピッチ利得または復号ピッチ利得から計算される関数値と復号固定符号帳利得または復号固定符号帳利得から計算される関数値とを用いて、上記第三〜第五実施形態の復号装置32〜52の符号帳選択部329ca〜529caで示した処理のいずれかを行い、利得符号帳を選択する。
なお、先頭のサブフレーム(過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム)については、符号帳選択部629caは、符号化装置61と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
[第七実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第七実施形態の符号化装置71は、利得量子化部118に代えて利得量子化部718を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部718は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部718aを含むこと以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第七実施形態の復号装置72は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部729を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部729は、利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部729cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部729cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部729caを含むこと以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
第七実施形態の符号化装置71の処理は、利得量子化部718の符号帳選択部718aの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部718a≫
符号帳選択部718aには、現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)のピッチ周期Tρと現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tνとの差を特定するための情報が入力される。ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差を特定するための情報は、ピッチ分析部114から出力されたピッチ周期Tρまたはそれに対応するピッチ符号CTρとピッチ周期Tνまたはそれに対応するピッチ符号CTνとであってもよいし、符号帳選択部718aの外部の処理部で得られたピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差そのものであってもよいし、Tρ−Tνであってもよいし、Tν−Tρであってもよい。「現在のサブフレーム」に対してどのサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とするかは予め定められている。例えば「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」は、「現在のサブフレーム」の直前のサブフレームであってもよいし、「現在のサブフレーム」の直前のサブフレームよりも過去のサブフレームであってもよいし、「現在のサブフレーム」と同じフレームに属していてもよいし、「現在のサブフレーム」が属しているフレームよりも過去のフレームに属していてもよい。また、「現在のサブフレーム」と「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」との関係が、「現在のサブフレーム」となるフレーム中のサブフレームの位置に応じて異なってもよい。
符号帳選択部718aは、「現在のサブフレームのピッチ周期Tρと現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tνとの差が第3規定値TH6より小さい」場合(つまり、「現在と過去とを含む時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い」場合)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「現在と過去とを含む時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い」場合)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ただし、TH6≧0であり、例えばTH6>0である。ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差が第3規定値TH6よりも小さいか否かの判定は、|Tρ−Tν|と第3規定値TH6との比較によって行われてもよいし、|Tν−Tρ|と第3規定値TH6との比較によって行われてもよいし、Tρ−TνとTH6および−TH6との比較によって行われてもよいし、Tν−TρとTH6および−TH6との比較によって行われてもよい。
定常的な時間区間では、ピッチ周期の変動が小さく、ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差が小さい。一方、定常的でない時間区間では、ピッチ周期の変動が大きく、ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差が大きい。上記の判定は、この性質に基づく。
なお、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム(例えば先頭のサブフレーム)については、符号帳選択部718aは、復号装置72と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第七実施形態の復号装置72の処理は、利得符号復号部729cの符号帳選択部729caの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪符号帳選択部729ca≫
符号帳選択部729caには、現在のピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差を特定するための情報が入力される。ピッチ周期Tρ’とピッチ周期Tν’との差を特定するための情報は、ピッチ符号復号部129bから出力されたピッチ周期Tρ’とピッチ周期Tν’とであってもよいし、符号帳選択部729caの外部の処理部で得られたピッチ周期Tρ’とピッチ周期Tν’との差そのものであってもよいし、Tρ’−Tν’であってもよいし、Tν’−Tρ’であってもよい。「現在のサブフレーム」に対してどのサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とするかは、利得量子化部718の符号帳選択部718aと同じ基準で定められる。現在のピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のピッチ周期Tν’は、「現在の時間区間及び現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報」である。
符号帳選択部729caは、現在の時間区間及び現在の時間区間に近接する時間区間の入力符号を復号して得られる情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に基づいて、符号帳を選択する。ここでは、「復号音響信号の定常性に対応する情報」として、「現在のピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差を特定するための情報」を用いる。つまり、符号帳選択部729caは、「現在のサブフレームのピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差が正の第3規定値TH6より小さい」場合(つまり、「復号音響信号の定常性に対応する情報」が「復号音響信号の定常性が高い場合」に対応するとき)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「復号音響信号の定常性に対応する情報」が「復号音響信号の定常性が低い場合」に対応するとき)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ピッチ周期Tρ’とピッチ周期Tν’との差が第3規定値TH6よりも小さいか否かの判定は、|Tρ’−Tν’|と第3規定値TH6との比較によって行われてもよいし、|Tν’−Tρ’|と第3規定値TH6との比較によって行われてもよいし、Tρ’−Tν’とTH6および−TH6との比較によって行われてもよいし、Tν’−Tρ’とTH6および−TH6との比較によって行われてもよい。
なお、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム(例えば先頭のサブフレーム)については、符号帳選択部729caは、符号化装置71と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
[第八実施形態]
<構成>
図1に例示するように、第八実施形態の符号化装置81は、ピッチ分析部114に代えてピッチ分析部814を含むこと、および利得量子化部118に代えて利得量子化部818を含むこと以外、第一実施形態の符号化装置11と同じである。図5に例示するように、利得量子化部818は、符号帳選択部118aに代えて符号帳選択部818aを含むこと以外、利得量子化部118と同じである。
図2に例示するように、第八実施形態の復号装置82は、パラメータ復号部129に代えてパラメータ復号部829を含むこと以外、第一実施形態の復号装置12と同じである。図6に例示するように、パラメータ復号部829は、ピッチ符号復号部129bに代えてピッチ符号復号部829bを含むこと、および利得符号復号部129cに代えて利得符号復号部829cを含むこと以外、第一実施形態のパラメータ復号部129と同じである。図7に例示するように、利得符号復号部829cは、符号帳選択部129caに代えて符号帳選択部829caを含むこと以外、利得符号復号部129cと同じである。
<符号化>
第八実施形態の符号化装置81の処理は、ピッチ分析部814の処理、および利得量子化部818の符号帳選択部818aの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪ピッチ分析部814≫
ピッチ分析部814は、サブフレームごとに、入力音響信号x(n)(n=0,...,L−1)に対応するピッチ周期T,T,T,Tを得て、当該ピッチ周期T,T,T,Tと、当該ピッチ周期T,T,T,Tを特定するピッチ符号CT,CT,CT,CTと、を出力する。ただし、ピッチ分析部814は、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム(例えば、先頭のサブフレーム)のピッチ周期Tρについては、ピッチ周期とそれに割り当てられた均一長のピッチ符号との組が複数格納された均一長符号帳を用い、現在のサブフレーム(ピッチ周期の符号化対象となるサブフレーム)のピッチ周期Tρを特定するピッチ符号CTρを得て出力する。また、ピッチ分析部814は、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用するサブフレーム(例えば、先頭以外のサブフレーム)については、現在のサブフレームのピッチ周期Tρと現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tνとの差に対応する可変長符号を、現在のサブフレームのピッチ符号CTρとして得て出力する。ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差に対応する可変長符号は、ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差に対応する情報を特定するための可変長符号である。ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差に対応する情報は、例えば、減算値Tρ−Tνであってもよいし、減算値Tν−Tρであってもよいし、差分|Tρ−Tν|とTρ−Tνの正負との組であってもよいし、差分|Tν−Tρ|とTν−Tρの正負との組であってもよい。また、ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差に対応する情報は、例えば、ピッチ周期Tρの整数部からピッチ周期Tνの整数部を減算した値であってもよいし、ピッチ周期Tνの整数部からピッチ周期Tρの整数部を減算した値であってもよい。ピッチ分析部814は、ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差に対応する情報と、それに割り当てられた可変長のピッチ符号と、の組が複数組格納されたピッチ周期符号帳を用い、このような可変長符号を得て出力する。なお、第七実施形態と同じく「現在のサブフレーム」に対してどのサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とするかが予め定められている。例えば、「現在のサブフレーム」の直前のサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とし、「現在のサブフレーム」が「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とが同じフレームに属するものとする場合、ピッチ分析部814は、均一長符号帳を用いてピッチ符号CTを得、可変長符号帳を用いてピッチ符号CT,CT,CTを得る。例えば、「現在のサブフレーム」の2個前のサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とし、「現在のサブフレーム」が「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とが同じフレームに属するものとする場合、ピッチ分析部814は、均一長符号帳を用いてピッチ符号CT,CTを得、可変長符号帳を用いてピッチ符号CT,CTを得る。例えば、フレーム中の先頭から2番目のサブフレームが「現在のサブフレーム」である場合には「現在のサブフレーム」の直前のサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とし、フレーム中の先頭から3番目または4番目のサブフレームが「現在のサブフレーム」である場合には「現在のサブフレーム」の2個前のサブフレームを「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とし、「現在のサブフレーム」が「現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」とが同じフレームに属するものとする場合、ピッチ分析部814は、均一長符号帳を用いてピッチ符号CTを得、可変長符号帳を用いてピッチ符号CT,CT,CTを得る。
なお、上述の可変長符号帳に格納される可変長のピッチ符号は、例えば、定常性の高い入力音響信号を学習データとして用いて得られたものである。例えば、可変長のピッチ符号は、このような学習データから得られたピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差に対応する情報の頻度に応じて予め割り当てられたものである。すなわち、頻度の高い「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報には、ビット数の小さなピッチ符号(短い符号)が割り当てられる。一方、頻度の低い「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にはビット数の大きなピッチ符号(長い符号)が割り当てられる。定常性の高い入力音響信号を学習データとして用いているため、サブフレーム間のピッチ周期の差が小さくなる傾向がある。そのため、小さな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報には、ビット数の小さなピッチ符号が割り当てられる。一方、大きな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報には、ビット数の大きなピッチ符号が割り当てられる。或いは、学習用データを用いることなく、小さな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の小さなピッチ符号を割り当て、大きな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の大きなピッチ符号を割り当ててもよい。逆に、小さな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の大きなピッチ符号を割り当て、大きな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の小さなピッチ符号を割り当ててもよい。このような可変長のピッチ符号の例はハフマン符号である。しかしながら、その他の可変長符号が可変長のピッチ符号として用いられてもよい。
また、ピッチ分析部814は、ピッチ符号CT,CT,CT,CTの長さ(符号長)を表す情報を出力してもよい。ただし、ピッチ符号CT,CT,CT,CTの長さは、ピッチ符号CT,CT,CT,CTから得ることができるため、ピッチ符号CT,CT,CT,CTの長さを表す情報を出力することは必須ではない。その他は、ピッチ分析部114と同じである。
≪符号帳選択部818a≫
符号帳選択部818aには、現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)のピッチ周期Tρと現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tνとの差に対応する可変長符号であるピッチ符号CTρの長さを特定するための情報が入力される。このような情報の例は、ピッチ分析部814から出力された現在のサブフレームの可変長のピッチ符号CTρや、現在のサブフレームの可変長のピッチ符号CTρの長さを表す情報である。
ここで、符号帳選択部818aの処理は、(1)ピッチ分析部814の可変長符号帳において、小さな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の小さなピッチ符号が割り当てられ、大きな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の大きなピッチ符号が割り当てられている場合(以下、「可変長符号割り当て1」という)と、(2)逆に小さな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の大きなピッチ符号が割り当てられ、大きな「ピッチ周期Tρとピッチ周期Tνとの差」に対応する情報にビット数の小さなピッチ符号が割り当てられている場合(以下、「可変長符号割り当て2」という)とで互いに異なる。可変長符号割り当て1の場合には、定常性の高い時間区間ほどピッチ符号の長さが小さくなるのに対し、逆に、可変長符号割り当て2の場合には、定常性の高い時間区間ほどピッチ符号の長さが大きくなるからである。
(1)可変長符号割り当て1の場合、符号帳選択部818aは、「現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)のピッチ周期Tρと現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tνとの差に対応するピッチ符号CTρ(可変長符号)の長さが第4規定値TH7より小さい」場合(つまり、「現在と過去とを含む時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い」場合)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「現在と過去とを含む時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い」場合)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
(2)可変長符号割り当て2の場合、符号帳選択部818aは、「現在のサブフレーム(利得量子化の対象となるサブフレーム)のピッチ周期Tρと現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tνとの差に対応するピッチ符号CTρ(可変長符号)の長さが第4規定値TH7より大きい」場合(つまり、「現在と過去とを含む時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が高い」場合)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「現在と過去とを含む時間区間のサブフレームにおける入力音響信号の定常性が低い」場合)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。ただし、TH7>0である。
なお、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレーム(例えば、先頭のサブフレーム)については、符号帳選択部818aは、復号装置82と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<復号>
第八実施形態の復号装置82の処理は、ピッチ符号復号部829bの処理、および利得符号復号部829cの符号帳選択部829caの処理以外は、第一実施形態と同じである。
≪ピッチ符号復号部829b≫
ピッチ符号復号部829bは、ピッチ分析部814と同じ均一長符号帳および可変長符号帳を備える。ピッチ符号復号部829bは、ピッチ符号復号部829bは、均一長符号帳および可変長符号帳を用い、得られたピッチ符号CT,CT,CT,CTを復号し、ピッチ周期T’,T’,T’,T’を出力する。ここで、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレームについては、ピッチ符号復号部829bは、均一長符号帳を用いてピッチ符号を復号してピッチ周期を得る。過去の時間区間のサブフレームの情報を利用するサブフレームについては、ピッチ符号復号部829bは、可変長符号帳を用いてピッチ符号を復号し、そのサブフレームのピッチ周期とそれよりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期との差に対応する情報を得、その情報と当該過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期とを用いて、当該過去の時間区間のサブフレームの情報を利用するサブフレームのピッチ周期を得る。例えば、第1サブフレームが過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレームであり、第2〜第4サブフレームが直前のサブフレームの情報を利用するサブフレームであり、第2〜第4サブフレームのピッチ符号CTρがピッチ周期Tρからピッチ周期Tρ−1を減じた減算値Tρ−Tρ−1を特定する可変長符号である場合、ピッチ符号復号部829bは、均一長符号帳を用いてピッチ符号CTを復号してピッチ周期T’を得、可変長符号帳を用いてピッチ符号CTを復号して減算値T’−T’を得てピッチ周期T’=T’+(T’−T’)を得、可変長符号帳を用いてピッチ符号CTを復号して減算値T’−T’を得てピッチ周期T’=T’+(T’−T’)を得、可変長符号帳を用いてピッチ符号CTを復号して減算値T’−T’を得てピッチ周期T’=T’+(T’−T’)を得る。
≪符号帳選択部829ca≫
符号帳選択部829caには、現在のサブフレームのピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差に対応する可変長符号であるピッチ符号CTρの長さを特定するための情報が入力される。このような情報の例は、パラメータ復号部129aから出力された現在のサブフレームの可変長のピッチ符号CTρ、または符号帳選択部829caの外部の処理部で得られたピッチ符号CTρの長さを表す情報である。
符号帳選択部829caは、現在の時間区間及び過去の時間区間の入力符号を復号して得られる情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に基づいて、符号帳を選択する。ここでは、「復号音響信号の定常性に対応する情報」として、「現在のサブフレームのピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差に対応するピッチ符号CTρ(可変長符号)の長さ」を用いる。具体的には以下の処理を行う。
(1)可変長符号割り当て1の場合、符号帳選択部829caは、「現在のサブフレームのピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差に対応するピッチ符号CTρ(可変長符号)の長さが第4規定値TH7より小さい」場合(つまり、「復号音響信号の定常性に対応する情報」が「復号音響信号の定常性が高い場合」に対応するとき)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「復号音響信号の定常性に対応する情報」が「復号音響信号の定常性が低い場合」に対応するとき)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
(2)可変長符号割り当て2の場合、符号帳選択部829caは、「現在のサブフレームのピッチ周期Tρ’と現在よりも過去の時間区間のサブフレームのピッチ周期Tν’との差に対応するピッチ符号CTρ(可変長符号)の長さが第4規定値TH7より大きい」場合(つまり、「復号音響信号の定常性に対応する情報」が「復号音響信号の定常性が高い場合」に対応するとき)には集中度の高い利得符号帳VQを選択し、そうでない場合(つまり、「復号音響信号の定常性に対応する情報」が「復号音響信号の定常性が低い場合」に対応するとき)には集中度の低い利得符号帳VQを選択する。
なお、過去の時間区間のサブフレームの情報を利用しないサブフレームについては、符号帳選択部829caは、符号化装置81と共通で予め定められた利得符号帳(VQまたはVQまたはVQ)を選択する。
<その他の変形例等>
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の各実施形態では「現在のサブフレームよりも過去の時間区間のサブフレーム」または「現在のサブフレームおよび現在よりも過去の時間区間のサブフレーム」の入力音響信号の定常性に依存して現在のサブフレームの利得符号帳を選択し、選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを利得符号とした。しかしながら、「現在のサブフレームよりも未来の時間区間のサブフレーム」または「現在のサブフレームおよび現在よりも未来の時間区間のサブフレーム」の入力音響信号の定常性に依存して現在のサブフレームの利得符号帳を選択し、選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを利得符号としてもよい。すなわち、現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、利得符号とすればよい。
また、上記の各実施形態では、利得量子化部が備える複数個の利得符号帳に、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳(集中度の高い利得符号帳VQ)と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳(集中度の低い利得符号帳VQ)と、が含まれていた。利得量子化部は、定常性が高い場合に、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳を選択し、定常性が低い場合に、特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳を選択した。
ここで上記の二次元平面上における、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布の特定の楕円領域への偏りは、この特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数としても表現できる。すなわち、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の総数が同程度(例えば同一)である場合、これらの組の分布が特定の楕円領域へ偏っているほど、この特定の楕円領域内に位置するこれらの組の個数は多くなり、逆にこれらの組の分布が特定の楕円領域へ偏っていないほど、この特定の楕円領域内に位置するこれらの組の個数は少なくなる。
図8Aおよび図8Bは、縦軸を固定符号帳利得の関数値とし、横軸をピッチ利得とした二次元平面上における、利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組の分布を例示したものである。図8Aは集中度の高い利得符号帳VQに格納された当該組の分布を例示し、図8Bは集中度の低い利得符号帳VQに格納された当該組の分布を例示している。図8Aおよび図8Bに示すように、それぞれの利得符号帳VQ,VQに格納された量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組の総数は同じ(32個)であるにもかかわらず、集中度の高い利得符号帳VQの場合には特定の楕円領域である領域A’内に18個の組が存在し、集中度の低い利得符号帳VQには9個の組が存在している。
このことから、上述の各実施形態において、集中度の高い利得符号帳VQに代えて、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数が第1値である利得符号帳を用いてもよい。また集中度の低い利得符号帳VQに代えて、当該二次元平面上における、当該特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数が第2値(第2値<第1値)である利得符号帳を用いてもよい(利得符号帳の変形例1)。すなわち、利得量子化部が備える複数個の利得符号帳に、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれていてもよい。ただし、定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値とすると、第1値は第2値よりも大きい。
同様な理由から、上述の各実施形態において、集中度の高い利得符号帳VQに代えて、上記の二次元平面上の特定の楕円領域外に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数φoutに対する、当該特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数φinの比率φin/φoutが第1値である利得符号帳を用いてもよい。また集中度の低い利得符号帳VQに代えて、上記の比率φin/φoutが第2値(第2値<第1値)である利得符号帳を用いてもよい(利得符号帳の変形例2)。すなわち、利得量子化部が備える複数個の利得符号帳に、上記の比率φin/φoutがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれていてもよい。ただし、定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に対応する上記の比率φin/φoutを第1値とし、定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に対応する上記の比率φin/φoutを第2値とすると、第1値は第2値よりも大きい。
また、上記の二次元平面上における、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布の特定の楕円領域への偏りは、各利得符号帳に格納された所定個数の「量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組」が存在する領域の広さとしても表現できる。ここで「所定個数」は、利得符号帳に格納された「量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組」の総数であってもよいし、その一部の個数であってもよい。所定個数の「量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組」が存在していたとしても、これらの組の分布が特定の楕円領域へ偏っているほど、上記の二次元平面上の特定の点を中心とし、これらの所定個数の組を含む楕円領域(例えば、当該特定の点を中心とし、これらの所定個数の組を含む最小の楕円領域)は小さくなる。逆にこれらの組の分布が特定の楕円領域へ偏っていないほど、上記の二次元平面上の特定の点を中心とし、これらの所定個数の組を含む楕円領域(例えば、当該特定の点を中心とし、これらの所定個数の組を含む最小の楕円領域)は大きくなる。「二次元平面上の特定の点」の例は、例えば、現在のサブフレームと前のサブフレームの量子化済固定符号帳利得が等しく、現在のサブフレームと前のサブフレームの量子化済固定符号帳利得の値も等しい場合に対応する二次元平面上の点、例えば(ピッチ利得,固定符号帳利得の関数値)=(1.0,1.0)である。
図9A,9B,10A,10Bは、縦軸を固定符号帳利得の関数値とし、横軸をピッチ利得とした二次元平面上における、利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組の分布を例示したものである。図9A,図10Aは集中度の高い利得符号帳VQに格納された組の分布を例示し、図9B,図10Bは集中度の低い利得符号帳VQに格納された当該組の分布を例示している。ここで、図9Aの楕円領域Bおよび図9Bの楕円領域Cは、それぞれ、利得符号帳VQおよびVQに格納された量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組のうち、「+」で表現された点(1.0,1.0)からの距離が近い18個の組を含む最小の楕円領域である。図9Aおよび図9Bから分かるように、楕円領域Bは楕円領域Cよりも狭い。また、図10Aの楕円領域Dおよび図10Bの楕円領域Eは、それぞれ、利得符号帳VQおよびVQに格納された、すべての量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組を含む最小の楕円領域である。図10Aおよび図10Bから分かるように、楕円領域Dは楕円領域Eよりも狭い。
このことから、上述の各実施形態において、集中度の高い利得符号帳VQに代えて、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち所定個数の組を含む楕円領域(例えば、所定個数の組を含む最小の楕円領域)が第1領域である利得符号帳を用いてもよい。また、集中度の低い利得符号帳VQに代えて、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち所定個数の組を含む楕円領域(例えば、所定個数の組を含む最小の楕円領域)が第2領域である利得符号帳を用いてもよい。ただし、第1領域は第2領域よりも狭い(利得符号帳の変形例3)。すなわち、利得量子化部が備える複数個の利得符号帳に、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれていてもよい。ただし、定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、特定の点を中心とし、所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、特定の点を中心とし、所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、第1領域は第2領域よりも狭い。ここで、第1領域と第2領域を構成する特定の点、及び、所定個数は共通とする。
また、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の集中度の異なる複数個の利得符号帳に代えて、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられた符号帳インデックスの長さ(ビット長)の分布が異なる複数個の利得符号帳を用いてもよい。言い換えれば、特定の楕円領域内に位置する「量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補とその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、特定の楕円領域外に位置する「量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補とその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる複数個の利得符号帳を用いても良い。
前述のように、定常性が高い場合、選択される量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値が上述の二次元平面上の特定の楕円領域へ集中する可能性が高まる。そのため、定常性が高い場合には、この特定の楕円領域内に位置する「量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補とその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が、この特定の楕円領域外に位置する「量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補とその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長よりも短い利得符号帳を用いて符号化を行った方が、利得符号の合計符号量を小さくできる可能性が高くなる。一方、定常性が低い場合、選択される量子化済ピッチ利得またはその関数値と量子化済固定符号帳利得またはその関数値が上述の二次元平面上の特定の楕円領域へ集中する可能性が低くなる。そのため、定常性が低い場合には、定常性が高い場合よりも、この特定の楕円領域内に位置する「量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と量子化済固定符号帳利得の候補とその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が長い利得符号帳(符号帳インデックスの長さの偏りが小さい利得符号帳)を用いて符号化を行った方が、利得符号の合計符号量を小さくできる可能性が高くなる。
図11A−11Cは、縦軸を固定符号帳利得の関数値とし、横軸をピッチ利得とした二次元平面上における、利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組の分布と、各組に割り当てられている符号帳インデックスの長さを例示したものである。ここで、ひし形印は符号帳インデックスの長さが3bitであることを表し、四角印は符号帳インデックスの長さが4bitであることを表し、三角印は符号帳インデックスの長さが5bitであることを表し、バツ印は符号帳インデックスの長さが6bitであることを表す。図11A,図11Bの利得符号帳はともに可変長符号帳であるが、特定の楕円領域である領域F内に位置する「量子化済固定符号帳利得の候補の関数値と量子化済ピッチ利得の候補との組」に割り当てられた符号帳インデックスの平均長が互いに異なる。すなわち、図11Aの利得符号帳の領域F内に位置する組に割り当てられた符号帳インデックスの平均長は約3.6bitであり、図11Bの利得符号帳の領域F内に位置する組に割り当てられた符号帳インデックスの平均長は4bitである。また、図11Cの利得符号帳は均一長符号帳であり、利得符号帳の領域F内に位置する組に割り当てられた符号帳インデックスの平均長は5bitである。この例の場合、定常性が高い場合に図11Aの利得符号帳を用い、定常性が中程度である場合に図11Bの利得符号帳を用い、定常性が低い場合に図11Cの利得符号帳を用い、利得符号を得ることで利得符号の合計符号量を小さくできる可能性が高くなる。
また、図11Aの利得符号帳の領域Fの外側に位置する組に割り当てられた符号帳インデックスの平均長は約5.4bitであり、図11Bの利得符号帳の領域Fの外側に位置する組に割り当てられた符号帳インデックスの平均長は約4.8であり、図11Cの利得符号帳の領域Fの外側に位置する組に割り当てられた符号帳インデックスの平均長は5bitである。領域Fの内側に位置する組に対する符号帳インデックスの平均長と、領域Fの外側に位置する組に対する符号帳インデックスの平均長との差の絶対値は、図11Aでは1.8bitであり、図11Bでは0.8bitであり、図11Cでは0bitである。すなわち、定常性が高い場合に選択される符号帳ほど、領域Fの内側に割り当てられた符号帳インデックスの平均長と領域Fの外側に割り当てられた符号帳の平均長との差が大きい。すなわち、定常性が高い場合に選択される符号帳ほど、領域Fの内側の組に短い符号が偏って(集中的に)割り当てられている。
このことから、上述の各実施形態において、集中度の高い利得符号帳VQに代えて、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が第3値であり、当該特定の楕円領域外の組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が第4値であり、第3値が第4値よりも小さな利得符号帳を用いてもよい。また、集中度の低い利得符号帳VQに代えて、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が第5値であり、当該特定の楕円領域外の組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が第6値であり、第5値が第3値よりも大きく、第3値と第4値の差の絶対値よりも、第5値と第6値との差の絶対値の方が小さい利得符号帳を用いてもよい(利得符号帳の変形例4)。すなわち、利得量子化部が備える複数個の利得符号帳に、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれていてもよい。ただし、これらの複数個の利得符号帳は、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が、特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長よりも短いものを含む。また、定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値としたとき、第1値は第2値よりも小さい。
また、集中度の高い利得符号帳VQに代えて、上述の各実施形態または利得符号帳の変形例1〜3の利得符号帳に格納された、上述の特定の楕円領域内に位置する「量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が第3値であり、当該特定の楕円領域外の組に割り当てられている号帳インデックスの平均長が第4値であり、第3値が第4値よりも小さな利得符号帳を用いてもよい。また、集中度の低い利得符号帳VQに代えて、上述の各実施形態または利得符号帳の変形例1〜3の利得符号帳に格納された、上述の特定の楕円領域内に位置する「量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組」に割り当てられている符号帳インデックスの平均長が第5値であり、特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第6値であり、第5値が第3値よりも大きな利得符号帳を用いてもよい。このとき、第3値と第4値との差の絶対値は、第5値と第6値との差の絶対値よりも大きい(利得符号帳の変形例5)。
また、上述の各実施形態では、符号化装置が1個の固定符号帳と1個の適応符号帳を備え、所定の時間区間(サブフレーム等)ごとに1個の量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得との組を決定し、量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得との組を符号化する方式において、定常性に応じて、複数個の利得符号帳からこれらの利得を符号化するための利得符号帳を選択することとした。しかしながら、符号化装置が1個または複数個の固定符号帳と1個または複数個の適応符号帳を備え、所定の時間区間ごとに1個または複数個の量子化済固定符号帳利得と1個または複数個の量子化済ピッチ利得を決定し、これらの量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを符号化する方式において、少なくとも一組の量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得との組を符号化する際に、上述した各実施形態やそれらの変形例を適用し、定常性に応じて、複数個の利得符号帳からこれらの利得を符号化するための利得符号帳を選択してもよい。同様に、復号装置が1個または複数個の固定符号帳と1個または複数個の適応符号帳を備え、利得符号を復号して、所定の時間区間ごとに1個または複数個の量子化済固定符号帳利得と1個または複数個の量子化済ピッチ利得を得る復号方式において、少なくとも一組の量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得との組に対応する利得符号を復号する際に、上述した各実施形態やそれらの変形例を適用し、定常性に応じて、複数個の利得符号帳から利得符号を復号するための利得符号帳を選択してもよい。
例えば、符号化方式によっては、定常性が高いか低いかをフレーム全体で判断して、定常性が高い場合と、低い場合で符号化のビット数割り当てを変更する場合もある。このような場合でも、本願を組み合わせることが可能である。例えば、定常性の高いフレームと低いフレームでそれぞれに専用の利得符号帳(集中度の高い利得符号帳VQ およびVQ と集中度の低い利得符号帳VQ とVQ )を用いる。すなわち、前のサブフレームの定常性(量子化済ピッチ利得の値またはその関数値、および/または、量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値)によって、定常性の高いフレーム内でも特に定常性が高いサブフレームについては集中度の高い利得符号帳VQ を、そうでないサブフレームでは集中度の低い利得符号帳VQ を、用いて現在のサブフレームの利得量子化を行う。また、定常性の低いフレームも同様に、前のサブフレームの定常性によって、特に定常性が低いサブフレームについては集中度の低い利得符号帳VQ を、そうでない(比較的定常性が高い)サブフレームについては集中度の高い利得符号帳VQ を、用いて現在のサブフレームの利得符号化を行う。ただし、定常性の低いフレームでは、第一実施形態および第二実施形態において定常性の区別に使用する量子化済ピッチ利得と量子化済固定符号帳利得の特定の領域は、定常性の高いフレームで用いる領域とは異なり、定常性が高いフレームより広くなる。また、定常性の高いフレームで使用する利得符号帳(VQ およびVQ )よりも、定常性の低いフレームで使用する複数の利得符号帳(VQ およびVQ )の方が、集中度が低いものとなる。あるいは、定常性の高いフレームにのみ本願を適用することも好ましい。つまり、定常性の高いフレームについては、利得符号帳VQ およびVQ のいずれかを使用して利得量子化を行い、定常性の低いフレームについては一種類の利得符号帳VQを用いて利得量子化を行う構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、入力音響信号の先頭サブフレーム以外のサブフレームについて、過去のサブフレームの定常性に応じて利得符号帳を選択する構成としたが、フレーム毎に、先頭サブフレーム(第1サブフレーム)は一種類の利得符号帳VQを用いて利得量子化を行い、その他のサブフレーム(第2〜第4サブフレーム)については利得符号帳VQまたはVQのいずれかを選択して利得量子化を行う構成としてもよい。このとき、利得符号帳VQは、VQまたはVQのいずれかと同じものでもよいし、別の符号帳でも構わない。
また、各フレームで得られる利得符号の長さを均一(長さL)にし、かつ、歪の小さな符号化を実現するために、フレーム毎に、最後のサブフレーム以外のサブフレーム(第1サブフレームから第3サブフレーム)の利得量子化には可変長符号帳を用い、最後のサブフレーム(第4サブフレーム)の利得量子化には均一長符号帳を用いてもよい。つまり、最後のサブフレーム以外のサブフレーム(第1サブフレーム〜第3サブフレーム)では、前のサブフレームの定常性に応じて、集中度の高い利得符号帳(可変長符号帳)VQまたは集中度の低い利得符号帳(可変長符号帳)VQのいずれか一方の利得符号帳を用いて、利得量子化を行う。また、最後のサブフレーム(第4サブフレーム)では、前のサブフレームの定常性に応じて、集中度の高い利得符号帳(均一長符号帳)VQ’または集中度の低い利得符号帳(均一長符号帳)VQ’を用い、いずれか一方の符号帳を選択して利得量子化を行う(図12)。なお、均一長符号帳VQ’とVQ’の符号の長さは、最後のサブフレーム以外のサブフレーム(第1〜第3サブフレーム)で得られる符号の長さの総和をιとしたとき、(L−ι)とする。なお、先頭のサブフレーム(第1サブフレーム)について、上述の変形例と同様に過去のサブフレームの情報を利用せずに、可変長符号帳VQまたはVQのいずれか予め定めた符号帳、もしくは、別に用意した可変長符号帳VQを用いて利得符号化を行ってもよい。
また、各サブフレーム毎に、それぞれ異なる複数の利得符号帳を使用してもよい。つまり、第jサブフレームでは、過去のサブフレームの定常性に応じて集中度の高い利得符号帳VQ (j)または集中度の低い利得符号帳VQ (j)のいずれかを選択し、選択した利得符号帳を用いて利得量子化を行ってもよい。
また、上記の実施形態では、サブフレーム単位で利得符号化を行う構成としたが、フレーム単位で利得符号化を行ってもよい。つまり、フレーム単位で、現在のフレームよりも時間的に過去のフレームの定常性に応じて選択した利得符号帳を用いて、利得量子化を行う構成としてもよい。
また、入力音響信号の定常性が高い場合にはその周期性も高いため、上述の各実施形態における「定常性」を「周期性」に置き換えてもよい。
また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
また、上述の構成をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例は、非一時的な(non-transitory)記録媒体である。このような記録媒体の例は、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等である。
このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。
上記実施形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部がハードウェアで実現されてもよい。
11〜81 符号化装置
12〜82 復号装置

Claims (44)

  1. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化部を有する、符号化装置。
  2. 請求項1の符号化装置であって、
    上記利得量子化部は、
    上記定常性が高い場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳を選択し、
    上記定常性が低い場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳を選択する、符号化装置。
  3. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化部を有し、
    上記定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、符号化装置。
  4. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化部を有し、
    上記定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、符号化装置。
  5. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化部を有し、
    上記定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、上記第1値と上記第2値との差の絶対値が上記第3値と上記第4値との差の絶対値よりも大きい、符号化装置。
  6. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化部を有する、符号化装置。
  7. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化部を有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、符号化装置。
  8. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化部を有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、符号化装置。
  9. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化部を有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、第1値と第2値との差の絶対値が第3値と第4値との差の絶対値よりも大きい、符号化装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の符号化装置であって、
    上記楕円領域は、現在の時間区間における周期性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における励振信号の振幅との比率が1.0であり、かつ、上記現在の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比率が1.0である場合に対応する上記二次元平面上の点を含む楕円領域である、符号化装置。
  11. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有する、復号装置。
  12. 請求項11の復号装置であって、
    上記利得量子化部は、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときは、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳を選択し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときは、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳を選択する、復号装置。
  13. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、復号装置。
  14. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間についての上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、復号装置。
  15. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、上記第1値と上記第2値との差の絶対値が上記第3値と上記第4値との差の絶対値よりも大きい、復号装置。
  16. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有する、復号装置。
  17. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、復号装置。
  18. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、復号装置。
  19. 入力符号から音響信号を得る復号装置であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号部を有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、第1値と第2値との差の絶対値が第3値と第4値との差の絶対値よりも大きい、復号装置。
  20. 請求項11乃至19のいずれか一項に記載の復号装置であって、
    上記楕円領域は、現在の時間区間における周期性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における励振信号の振幅との比率が1.0であり、かつ、上記現在の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比率が1.0である場合に対応する上記二次元平面上の点を含む楕円領域である、復号装置。
  21. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化ステップを有する、符号化方法。
  22. 請求項21の符号化方法であって、
    上記利得量子化ステップは、
    上記定常性が高い場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳を選択し、
    上記定常性が低い場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳を選択するステップを含む、符号化方法。
  23. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化ステップを有し、
    上記定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、符号化方法。
  24. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化ステップを有し、
    上記定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、符号化方法。
  25. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの入力音響信号の定常性に依存して選択した利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る利得量子化ステップを有し、
    上記定常性が高い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記定常性が低い場合に選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、上記第1値と上記第2値との差の絶対値が上記第3値と上記第4値との差の絶対値よりも大きい、符号化方法。
  26. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値と量子化済ピッチ利得の値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化ステップを有する、符号化方法。
  27. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値と量子化済ピッチ利得の値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化ステップを有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、符号化方法。
  28. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値と量子化済ピッチ利得の値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化ステップを有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、符号化方法。
  29. 所定時間区間ごとに、入力音響信号に対応する、量子化済固定符号帳利得またはその関数値と量子化済ピッチ利得またはその関数値とに対応する利得符号、を得る符号化方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得の値またはその関数値と量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に含まれるいずれか1つの符号帳インデックスを、現在の時間区間の利得符号として得る、利得量子化ステップを有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、第1値と第2値との差の絶対値が第3値と第4値との差の絶対値よりも大きい、符号化方法。
  30. 請求項21乃至29のいずれか一項に記載の符号化方法であって、
    上記楕円領域は、現在の時間区間における周期性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における励振信号の振幅との比率が1.0であり、かつ、上記現在の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比率が1.0である場合に対応する上記二次元平面上の点を含む楕円領域である、符号化方法。
  31. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有する、復号方法。
  32. 請求項31の復号方法であって、
    上記利得量子化ステップは、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときは、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳を選択し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときは、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳を選択するステップを含む、復号方法。
  33. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、復号方法。
  34. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、復号方法。
  35. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間と現在の時間区間に近接する時間区間の少なくとも何れかの時間区間の上記入力符号を復号して得た情報であって、復号音響信号の定常性に対応する情報に依存して選択した利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有し、
    上記情報が復号音響信号の定常性が高い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記情報が復号音響信号の定常性が低い場合に対応するときに選択される利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、上記第1値と上記第2値との差の絶対値が上記第3値と上記第4値との差の絶対値よりも大きい、復号方法。
  36. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、(1)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳と、(2)量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の分布が、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳と、が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記特定の楕円領域に偏った分布とは異なる分布の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有する、復号方法。
  37. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内に位置する、量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組の個数、がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第1値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の楕円領域内に位置する組の個数を第2値としたとき、
    上記第1値が上記第2値よりも大きい、復号方法。
  38. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における特定の点を中心とし、所定個数の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組を含む楕円領域の大きさがそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号量子化済ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第1領域とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組のうち、上記特定の点を中心とし、上記所定個数の組を含む楕円領域を第2領域としたとき、
    上記第1領域が上記第2領域よりも狭い、復号方法。
  39. 入力符号から音響信号を得る復号方法であって、
    量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値と符号帳インデックスとの組が複数個格納された利得符号帳を複数個備え、
    上記複数個の利得符号帳には、固定符号帳利得またはその関数値とピッチ利得またはその関数値とをそれぞれ軸とする二次元平面上における、特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長と、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長との差の絶対値がそれぞれ異なる利得符号帳が含まれており、
    現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の特定の領域の内側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第1の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得、上記現在の時間区間に近接する時間区間で得た復号固定符号帳利得の値またはその関数値と復号ピッチ利得の値またはその関数値が上記二次元平面上の上記特定の領域の外側に属することを示す場合に、上記複数個の利得符号帳の何れかである第2の利得符号帳に基づいて現在の時間区間の上記入力符号に含まれる利得符号に対応する量子化済固定符号帳利得と量子化済ピッチ利得とを、現在の時間区間の復号固定符号帳利得と復号ピッチ利得として得るパラメータ復号ステップを有し、
    上記第1の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第1値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第2値とし、
    上記第2の利得符号帳に格納された上記特定の楕円領域内の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第3値とし、上記特定の楕円領域外の量子化済固定符号帳利得の候補またはその関数値と量子化済ピッチ利得の候補またはその関数値との組に割り当てられている符号帳インデックスの平均長を第4値としたとき、
    上記第1値が上記第2値および第3値よりも小さく、かつ、第1値と第2値との差の絶対値が第3値と第4値との差の絶対値よりも大きい、復号方法。
  40. 請求項31乃至39のいずれか一項に記載の復号方法であって、
    上記楕円領域は、現在の時間区間における周期性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における励振信号の振幅との比率が1.0であり、かつ、上記現在の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅と上記現在の時間区間に近接する過去の時間区間における固定符号帳によるパルス性成分信号の振幅との比率が1.0である場合に対応する上記二次元平面上の点を含む楕円領域である、復号方法。
  41. 請求項21から30の何れかの符号化方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
  42. 請求項31から40の何れかの復号方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
  43. 請求項21から30の何れかの符号化方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  44. 請求項31から40の何れかの復号方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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