JPWO2013186951A1 - 火花ギャップアレスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】封入構造の火花ギャップアレスタにおいて、放電発生時に消弧性ガスを十分に発生させて雷インパルス電流によるアークを確実に消弧板内に移動させることにより、消弧性能を高め、かつ、雷インパルス電流による消弧板の溶融蒸発を少なくして、寿命の長い火花ギャップアレスタを提供する。【解決手段】円筒状金属ケース内部に間隔をおいて対向配置した円錐台又は円柱状をなす1対の放電電極の間に、加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂及び同様に加熱により消弧性ガスを発生する導電性樹脂の複合体からなる絶縁放電ギャップを配置し、その外側に単数又は複数の高溶融点金属と単数又は複数の低溶融点金属とを混合焼結して構成した導電性の焼結合金により形成した複数の金属消弧板を所定間隔離して配置する。【選択図】図4

Description

本発明は、落雷の際に過電圧に対して敏感な電子機器を保護するために、低圧電源回路に設置され、雷電流を大地にバイパスして放流するための火花ギャップアレスタに関する。
落雷電流を安全に大地にバイパスして放流することのできる火花ギャップアレスタとしては特許文献1に示すものが知られている。
この特許文献1に開示された火花ギャップアレスタの構成を図9に示す。
図9において、10は、火花ギャップアレスタであり、すべての部品が中心軸に対して回転対称構造で配置されている。
アレスタ10の1対の放電電極11a、11bは、円柱状絶縁物12により、一定の放電ギャップGを保持して対向している。この放電ギャップGの大きさが、放電電圧を決定する。放電電極11a、11bから引出導体17a、17bが引き出され、これらの引出導体を介してアレスタ10が保護対象の電気回路に接続される。電気回路に誘導された高電圧の雷インパルス電圧がアレスタ10に加わると、アレスタ10では、放電電極11a、11b間の放電ギャップGで火花放電から始まり、アーク放電へ移行する放電が生起して、雷インパルス電圧を吸収する。大電流のアーク放電はアレスタ10の内部空間Sの空気に急激なイオン化と膨張を惹き起すが、放電電極11a、11bを取り囲む、円筒状絶縁物13、絶縁板14a、14bおよび絶縁キャップ15a、15bからなる絶縁ケースの外側を金属パイプ16によって覆い、その上下両端をカーリング加工によって堅固に閉じているため、内部圧力が数10気圧を超えても爆発、破損することがない。
雷インパルス電流は、持続時間が1ms以下の短時間であり、金属部品の熱容量が充分に大きいために、この電流の放電によっては過度の温度上昇も生じない。
しかし、このような従来の火花ギャップアレスタ10は、雷インパルス電流が消滅した後、内部空間Sの空気通路がイオン化されているため、この空気通路を通って電源回路から電流の続流が生じる。この続流を外部の回路遮断器によって遮断すれば、負荷回路に対する電源供給が遮断されたり、また、火花ギャップアレスタ10が電源線から遮断されることにより過電圧保護機能が失われたりする不都合が生ずる。
この問題を解決するための火花ギャップアレスタとして、特許文献2に示す構成の火花ギャップアレスタがすでに知られている。
図10は、この特許文献2に開示された火花ギャップアレスタ20の構成を示す縦断面図である。構成要素はすべて回転対称に構成、配置されている。
この図10における従来の火花ギャップアレスタ20は、円筒状の金属ケース28内に、所定の放電ギャップGを保って対向配置された1対の放電電極21a、21bを有する。各放電電極は、銅材で構成された基部22a、22bの先端に、耐熱性、耐アーク性に優れた銅タングステン合金で構成された先端部23a、23bを結合して構成されている。また、1対の放電電極は、絶縁碍子24、絶縁板26a、26b、絶縁キャップ27a、27bを介して金属ケース28の中に固定支持される。放電ギャップGの大きさは、放電電極21a,21b間に挟み込まれた絶縁碍子24の厚さを調整することによって、簡単に設定することができる。絶縁碍子24の外周には、加熱により消弧性ガスを発生する有機絶縁材で構成された絶縁リング25が被嵌されている。放電電極21a,21bの周囲には、磁性金属リングで構成された複数の消弧板29(a〜i)が相互に所定間隔おいて絶縁して配置されている。
この火花ギャップアレスタ20の内部空所Sにおいて、放電電極21a、21b間に生じる放電は、初期においては両電極の先端部23a、23b間にまたがるアーク放電路Aに発生する。アーク放電路Aにアーク放電が発生すると、このアークの熱によって、両電極間に配置された有機系消弧絶縁材で構成された絶縁リング25から消弧性ガスが放出される。このガスの圧力および、磁性消弧板29とアーク電流間の電磁力により、アーク放電路Aのアークが消弧板29の方向に移動され、消弧板29の全体に拡がるアーク放電路Bに移る。このアーク放電路Bの中の個々の消弧板29の両面にアーク放電の陰、陽極電圧降下が発生する。
アーク放電の両端の放電電極にも陰、陽極電圧降下が発生するのでn枚の消弧板を使用するとアーク放電路B内の陽極および陰極電圧降下は、(n+1)×(U+U)となり、放電電極21a、21b間の印加電圧に対して逆起電力として作用する。雷インパルス電流が消滅する直前に交流電源回路から流れる電流の続流は、雷インパルス電流の放電経路と同じ経路を通ってアークを形成するが、交流電源回路の電圧の瞬時値が続流アークの逆起電圧よりも低くなったところで続流が遮断され、アーク放電は消滅する。
従って、この従来の火花ギャップアレスタ20によれば、雷インパルス電流の消滅後の電源回路からの続流を遮断することができる。
しかし、この従来の火花ギャップアレスタ20にも次の2つの欠点がある。
(1)アーク発生時に消弧性ガスを発生する絶縁リング25が放電電極の内側に配置されているため、消弧性ガスの発生量が少ない。従ってアークを消弧板に移動させるための力が不十分となり、アークの移動距離が不足することによって消弧性能が低下する。
(2)消弧板29a〜29iに純鉄等の磁性材料を使用した場合、雷インパルス電流は、電流が20kA以上の極めて大電流で、かつ、立ち上り速度が2kA/μs以上と極めて速いため、消弧板がアーク電流によって溶融蒸発することにより、消弧板の機能が低下するとともに、アレスタの寿命が短くなる。
欧州特許出願公開第0789434号明細書 国際公開第2005-074084号
従って本発明の課題は、封入構造の火花ギャップアレスタにおいて、放電発生時に消弧性ガスを十分に発生させて雷インパルス電流によるアークを確実に消弧板内に移動させることにより消弧性能を高めて続流を確実に防止し、かつ雷インパルス電流による消弧板の溶融蒸発を少なくすることにより寿命を長くすることのできる火花ギャップアレスタを提供することにある。
前記の課題を解決するため、請求項1の発明は、 前記1対の放電電極の間に、加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂により形成した樹脂絶縁体と、同様に加熱により消弧性ガスを発生する導電性樹脂により形成した樹脂導電体との複合体からなる樹脂間隔体を配置し、前記放電電極の一方と前記前記樹脂間隔体の前記樹脂導電体部との間に、絶縁放電ギャップを形成する前記樹脂間隔体の前記樹脂絶縁体部の層を介在させるとともに、前記樹脂間隔体の外側に、単数又は複数の高溶融点金属と単数又は複数の低溶融点金属とを焼結して構成した導電性の焼結合金により形成した複数の金属消弧板を所定間隔離して配置したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記金属消弧板を形成する焼結合金は、低融点金属が銅であり、高融点金属がタングステンであることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記請求項1または2の発明おいて前記樹脂間隔体の樹脂絶縁体で構成された一端と樹脂導電体で構成された他端をそれぞれ前記1対の放電電極の互いに対向する端面の凹部に嵌合し、前記樹脂間隔体の樹脂絶縁体で構成された一端の嵌合された側の放電電極の凹部の深さと、この凹部に挿入される前記樹脂間隔体の樹脂絶縁体で構成された一端側の絶縁体の厚みとの差により、前記放電ギャップの寸法を規定したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか1つの発明において、前記1対の放電電極の周囲の空間を絶縁材により構成した隔壁により仕切って複数の空間を形成し、その1つをアーク室とし他の1つを膨張室として、これらの各室を気体通路によって相互に連通したことを特徴とする。
請求項5の発明は、前記の請求項1から4の何れか1つの発明おいて、前記1対の放電電極間の空間に設けられた前記アーク室内に、前記樹脂間隔体を構成する樹脂導電体部を収容し、この導電体部と対向して前記金属消弧板を配置したことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか1つの発明において、前記円筒状金属ケースの内側に複数の分割構成された絶縁リングを連接接合して構成した絶縁筒が挿入され、前記複数の金属消弧板が、前記絶縁筒を構成する絶縁リングにより、相互の間隔が保たれ、かつ前記金属ケースから電気的に絶縁して固定されたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1から6の何れか1項の発明において、前記金属ケースの内側に挿入した前記絶縁リングの一部の内周に先端を鈎形に折曲して形成された環状溝を有する環状突起を設けたことを特徴とする。
請求項8の発明は請求項6または7の発明において、前記絶縁筒を構成する絶縁リングの少なくとも1つにこのリングの内外周に通じる通気路を少なくとも1個設けたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8の発明において、前記通気路は、前記絶縁筒を構成する絶縁リングの接合部に設けたことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1から9の何れか1つの発明において、前記加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂が無機強化材を含む複合樹脂であることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項1から10の何れか1つの発明おいて、前記加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂はポリオキシメチレン(POM)樹脂であり、前記加熱により消弧性ガスを発生する導電性樹脂は前記ポリオキシメチレン(POM)樹脂にカーボン粉末を混合した樹脂であることを特徴とする。
本発明によれば、次に述べるような優れた効果が得られる。
(1)円錐台又は円柱状放電電極間に配置した樹脂間隔体を、加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂で形成した樹脂絶縁体と加熱により消弧性ガスを発生する導電性樹脂で形成した樹脂導電体の複合体により構成し、絶縁体部の表面に放電ギャップを形成しているため、この放電ギャップに発生したアークを樹脂間隔体全体の沿面に進展させることができるので、アーク放電によって樹脂間隔体表面から大量の消弧性ガスを発生させることができる。これにより、樹脂間隔体表面を走行するアークを確実に消弧板側へ移動させてアークを分断し、アーク電圧を高めることができることにより、雷インパルス電流が減衰後の電源からの続流を確実に防止することができる。
(2)円筒状金属ケースに封入された火花ギャップアレスタにおいて、対向配置した円錐台又は円柱状の1対の放電電極間の空間に配置した金属消弧板を、低融点金属粉末と高融点金属粉末を混合、焼結して形成した焼結合金により構成したことにより、金属消弧板が雷インパル電流によるアーク放電に曝されても消弧板の損耗を小さくし、アレスタの寿命を長くすることができる。
本発明の火花ギャップアレスタの原理的な構成を示す図であり、(a)は、(b)におけるa−a線に沿う横断面図、(b)は(a)におけるb−b線に沿う縦断面図。 本発明に使用する金属消弧板を構成する焼結合金板の構造を模式的に示す断面図。 本発明の動作説明に用いるアーク放電の電圧−電流特性を示す線図。 本発明の第1の実施例を示す構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるA部分を拡大して示す部分拡大縦断面図。 図4(a)のV-V線に沿う横断面図。 本発明の第2の実施例を示す構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるA部分を拡大して示す部分拡大縦断面図。 本発明の第3の実施例の火花ギャップアレスタの構成を示す縦断面図。 本発明の第3の実施例の火花ギャップアレスタに使用する1つの絶縁リングの構成図であり、(a)は平面図、(b)左側面図、(c)は(a)におけるc−c線に沿う縦断面図。 火花ギャップアレスタの従来例の構成を示す縦断面図。 火花ギャップアレスタの他の従来例の構成を示す縦断面図。
まず、図1に示す本発明による火花ギャップアレスタの原理的な構成について説明する。
図1において、30は火花ギャップアレスタであり、円筒状の絶縁ケース33内に所定間隔をおいて納められた1対の放電電極31a、31bを備える。電極31a、31bの間隔は、この間に挿入された円形の樹脂間隔体32によって保たれている。この樹脂間隔体32は、例えば、POMと呼ばれているポリオキシメチレン樹脂のような、高温で消弧性ガスを発生する樹脂で形成された消弧性樹脂絶縁体32aと、このポリオキシメチレン樹脂に導電性のカーボン粉末を添加して導電性を持たせた樹脂で形成した消弧性樹脂導電体32bとを一体に結合して形成した複合樹脂で構成される。このため、樹脂間隔体32は、軸方向に2分された半部32aが絶縁性を示し、残り半部32bが導電性を示す。
ポリオキシメチレン樹脂は、カーボンのような導電剤を添加、混合しても高温で多量の消弧性ガスを発生する特性は失われないので、消弧性樹脂導電体32bは、消弧性樹脂絶縁体32aと全く同等の消弧性ガス発生機能を有する。
樹脂間隔体32は、それぞれほぼ半円柱状に形成された消弧性樹脂絶縁体32aと消弧性樹脂導電体32bとを互いの平面部分を接合して円柱状に形成されている(図1(a)参照)。そして、消弧性樹脂絶縁体32aの中間部に樹脂間隔体32の半径方向に突出した薄い半円板状の突出部32cが形成され、この突出部32cの外周面は消弧性樹脂導電体32bの外周面まで延びアーク室36a内に露出する(図1(b)参照)。突出部32cの上下面は、各面上に配置された消弧性の樹脂導電体32bの上下に分割した分割体32b−1,32b−2を介して、それぞれ放電電極31a、31bと導電結合される。突出部32cの厚さが放電電極31a、31b間の放電ギャップGを形成し、例えば、この放電ギャップGの大きさを0.3mmに選定すると、放電電極31a、31b間に2kV程度の雷インパルス電圧が加わったとき、この放電ギャップGの絶縁が破壊され、閃絡(火花放電)が発生する。
放電電極31a、31bおよび樹脂間隔体32を封入した円筒状の絶縁ケース33の内部空間は、樹脂間隔体32の絶縁体32aと導電体32bとの境界部分で、前記樹脂間隔体32と同様に消弧性絶縁樹脂で形成された半径方向の絶縁隔壁35a、35bによって仕切られた2つの空間を形成する。この2つの空間の一方をアーク室36aとし、他方を膨張室36bとする。絶縁隔壁35a、35bには、それぞれ通気路35h、35hが設けられ、これによって両室が連通されるので、アーク室36bのアークによる過大な内圧上昇を膨張室36bが吸収し、アーク室36aの圧力上昇を抑える働きをする。
アーク室36a内には樹脂間隔体32の消弧性の樹脂導電体32bが収まり、膨張室36b内に消弧性の樹脂絶縁体32aが収まる。アーク室36aには、消弧性の樹脂導電体32bおよび消弧性の樹脂絶縁体32aの突出部32cの外周面と対向して、消弧板37が所定の間隔をおいて配置されている。この消弧板37は、環状平板を部分的に切り取った形状の複数の導電性金属消弧板37a〜37eを軸方向に所定間隔おいて積層して構成される。この金属消弧板37a〜37eは、1種類以上の低融点金属粉末と1種類以上の高融点金属粉末を焼結して形成した導電性の焼結合金板によって構成され、相互に一定の間隔を保って、絶縁ケース33によって保持されている。
消弧板37を形成する焼結合金としては、例えば、低融点金属として銅を20重量%、高融点金属としてタングステンを80重量%含有する焼結合金を使用することができる。
次にこのように構成された本発明の火花ギャップアレスタの動作を説明する。
アレスタの接続される保護対象の施設の電気回路の通常の使用電圧は、100〜400V程度の低電圧である。樹脂間隔体32の絶縁体32aの突出部32cを挟んで対向する消弧性樹脂導電体32bの端縁部間の放電ギャップGによって1対の放電電極31a、31b間の耐電圧は、数kVに設定されているので、1対の放電電極31aと31bとの間に通常の使用電圧が加わっても、放電ギャップGの絶縁が維持され、放電は起きない。
電気回路の電路に、落雷等により高電圧の雷インパルス電圧が誘導され、放電電極31aと31bの間の樹脂間隔体32の絶縁体32aの突出部32cを挟んで対向する分割導電体32b−1と32b−2の上下の端縁間に放電ギャップGの耐電圧以上の雷インパルス電圧が加わると、この放電ギャップGの絶縁が破壊されて閃絡(火花放電)が生じる。この閃絡により、樹脂間隔体32の絶縁体32aの突出部32cの外周表面を経由して上下の分割導電体32b−1、32b−2の対向する端縁の閃絡点a、b間の点線で示す放電路Aに大きな電流が供給されるためアーク放電に発展する。さらに、このアーク放電によってアーク室36b内部空気がイオン化されることにより、放電路が1対の放電電極31a、31bのc、d点間に亘る点線で示す放電路Bにアークが拡大する。この放電路Bのアークによって消弧性の樹脂導電体32bが高温に加熱されることによりその表面から大量の消弧性ガスが発生し、アーク室から膨張室に向かうガス流が形成される。その時のガス圧力によって1対の放電電極間の放電路Bのアークが、金属消弧板37a〜37eの中央部に移動し、点線で示す放電路Cが形成される。
これにより、アークが、複数の金属消弧板37a〜37eにより分断され、各消弧板間に生じる約30Vの陰、陽極電圧降下によってアーク電圧が上昇する。
このアーク電圧Uは、図1(b)に示すように、消弧板37が5枚設けられていると、これに放電電極31a,31bの陰極および陽極電圧降下が加わるので、
= 30(V)×(5+1) = 180(V) (1)
となる。このように、1対の放電電極31a、31b間のアーク電圧が上昇することにより、雷インパルス電流が消滅した後に、アーク室36bの内部空気がイオン化されていることにより電源回路から続流が流れても、消弧板37によって生じる陰、陽極電圧降下は維持されるので、1対の放電電極31a、31b間に加わる電源回路電圧の瞬時値が180V以下に低下したところで、この陰、陽極電圧降下を維持することができないので、これを確実に遮断することができる。
金属消弧板37においては、雷インパルス電流のアークと接触することにより、接触部分のミクロンオーダの薄い領域に、約30Vの陰、陽極電圧降下が発生し、この電圧と20kAに達するインパルス電流との積で決まる損失熱が発生する。この損失熱によって消弧板37の表面が溶融する。純鉄などで構成した従来の磁性金属消弧板の場合は、この溶融した金属が高いアーク圧力によって瞬時に飛散し、消弧板の消耗量が大きくなることにより、溶融部分が更に深部にまで達するため、消弧板に貫通孔が生じて続流遮断機能を失うことがある。
本発明においては、金属消弧板37を、比較的低温度で溶融する低融点金属、例えば銅の粉末と、高温度まで溶融しない高融点金属、例えばタングステンの粉末とを焼結して形成した焼結合金で構成しているため、雷インパルス電流による溶融,蒸発量が極めて少なくなり、消弧板の損耗を小さくすることができる。
この理由を、図2を参照して説明する。
図2は、低融点金属と高融点金属の焼結合金で構成した消弧板の縦断面を模式的に拡大して示す金属組織図である。この図に示すように、消弧板の金属組織は、高融点金属の多数のタングステン粒子Wが高温焼成されるによって相互に結合し、その空隙部分を低融点金属の銅粒子Cuが埋める構造となっている。
このような消弧板に雷インパルス電流のアークが接触すると、表面に露出した僅かな低融点金属の銅粒子Cuは、直ちに溶融飛散するが、高融点金属のタングステン粒子Wで構成された枠組み構造の内部の銅は溶融しても飛散することなく消弧板内部に留まり、その溶融熱によってアークによる損失熱を吸収して、周囲に伝達するように作用するため、消弧板が冷却され、消弧板の温度上昇が抑えられる。このため、低融点金属の銅粒子Cuの溶融、蒸発による消失が減少し、また、タングステン粒子Wの融点は銅粉末の融点よりも遥かに高いため、枠組み構造は溶融することなく強固に維持される。
従って、比較的高い溶融点の金属と比較的低い溶融点の金属からなる焼結合金で構成した本発明の消弧板は、アークと接触しても損耗が極めて小さいため、アレスタの寿命を長く保つことができる。
本発明による火花ギャップアレスタの具体的な実施例を図4から図6に示す。以下これについて説明する。
次に、本発明の具体的な実施の態様を図に示す実施例について説明する。
本発明の第1の実施例を図4および図5に示す。図4は、この実施例1の火花ギャップアレスタ40の構成を示す縦断面図、図5は、図4のV−V線に沿う横断面図である。
この実施例1においても、ほとんどの構成要素が、軸線に対して回転対称に構成、配置されている。ただ消弧板47だけは、図5に平面図形を示すように、環状の平板の一部を所定の円弧角で切り取った形状とされ、回転対称な構成とはなっていない。
図4に示すように、1対の放電電極41a、41bは、通常の導電体である銅材で構成された基部41a−2、41b−2と、そしてこの基部の先端に結合された耐熱性、耐アーク性に優れる銅タングステン合金製のチップで構成された先端部41a−1、41b−1とからなる。基部41a−2、41b−2と先端部41a−1、41b−1とは、先端部に設けた凹部内に基部を挿入することで、ろう付け等の面倒な処理を行うことなく一体化されている。
放電電極41a、41bの先端部41a−1、41b−1はこの実施例1では円錐台状に形成されているが、これに代えて、円柱状としてもよい。1対の放電電極41a、41bは、間に挟んだ、消弧性の樹脂絶縁体42aと消弧性の樹脂導電体42bとを一体に結合して構成した樹脂間隔体42により対向間隔が一定に保持される。この放電電極41a、41bは、絶縁キャップ43a、43bと複数に分割構成された絶縁リング44a〜44fを連接結合して構成された絶縁筒44とで形成された絶縁ケース内に弾性を有する絶縁板44j、44kを介して収容される。絶縁筒44等で構成された絶縁ケースは、外側から金属パイプからなる金属ケース45により被嵌されている。金属ケース45は、上下両端をカーリング加工により内側に折り曲げて、放電電極基部41a−2、41b−2のフランジ部41a−3、41b−3に対して軸方向に締め付け圧力を加えることにより強固な耐圧構造体を構成する。
1対の放電電極の先端部41a−1、41b−1の間には、複数、ここでは3枚の消弧板47a〜47cが相互に間隔をおいて積層配置されている。これらの消弧板47a〜47cは、絶縁筒44を構成する絶縁リング44b〜44dが互いに連接結合される部分に形成される環状溝44g〜44i内に嵌め込むことにより固定支持されている。これらの消弧板47(a〜c)は、前記したように銅等の低融点金属とタングステン等の高融点金属とをそれぞれ1種類以上含む焼結合金により形成されている。
樹脂間隔体42は、その上端部と外周のほぼ半部が、消弧性の樹脂絶縁体42aにより形成され、露出する。そして、その下端部と外周の残り半部が、消弧性の樹脂導電体42bで形成され、露出する。樹脂間隔体42の上端部が上部の放電電極41aの先端部41a−1に嵌合結合され、下端部が下部の放電電極41bの先端部41b−1に嵌合結合される。上部放電電極41aの先端部41a−1と接合された樹脂間隔体42の樹脂絶縁体42aの上端部は全周が露出し、樹脂間隔体42の樹脂導電体42bの露出する外周面側に露出する部分の厚さgが、上部放電電極41aの先端部41a−1と樹脂間隔体42の樹脂導電体42bとの間の絶縁放電ギャップGを決定する。
図4(b)に、この放電ギャップGを含む図4(a)におけるA部を拡大して示す。
この図4(b)に示されるように、放電電極41aの先端部41a−1の端面に設けた凹部41a−6に嵌合された部分の樹脂間隔体42の消弧性樹脂絶縁体42aの厚さtと、前記凹部41a−6の深さdとの差で樹脂導電体の側に露出する部分の厚さgが決められる。そしてこの厚さgにより電極間の絶縁放電ギャップGの寸法が自動的に定まるので、樹脂間隔体42や、放電電極先端部41a−1の寸法を決めて組み立てるだけですみ、組み立て時における面倒な位置の調整等は一切不要となる。放電電極基部41a−2および41b−2から外部へ引出導体を引き出す場合は、外部引出部に設けた引出導体結合用のねじ穴41a−4、41b−4に図示しない引出導体をねじ結合することによって引き出すことができる。
絶縁筒44内の樹脂間隔体42の周辺空間は、図5に示すように、絶縁筒44を構成する分割絶縁リング44a〜44fの内周に対向して内側へ突出形成された1対の半径方向の隔壁44p、44qによって2つの空間に分割される。樹脂間隔体42の消弧性樹脂導電体42bおよび消弧板47(47a〜47c)を収容する方の空間をアーク室46aとし、他方の樹脂絶縁体42aを収容する方の空間を膨張室46bとする。隔壁44p、44qには上下の軸方向に延びた条溝44r、44sが形成され、この条溝に樹脂間隔体42の樹脂絶縁体42aの外周に対向して外側に突出形成した凸条42c、42dを嵌め込むことにより絶縁筒44内の内部空間が完全に2つの空間に仕切られる。
図4に示されるようにアーク室46aと膨張室46bとは、放電電極先端部41a−1、41b−1と基部41a−2、41b−2との間に形成された空所46c,46dによって連通されている。アーク室46a内に発生したアークにより、このアーク室46aの内部圧力が急激に上昇したとき、この圧力をこれらの空所46c,46dを通して膨張室46bに逃がすことにより、アーク室46a内の圧力上昇を緩和し、アレスタの圧力上昇による破壊を防止する。この時に発生する消弧ガス流によってアークは消弧板47a,47b,47cの中央部に移動する。
次に、このように構成された火花ギャップアレスタ40の動作を説明する。
雷電圧から保護すべき電気回路の電路と大地の間にアレスタ40の1対の放電電極41a、41bを電気的に接続する。
このアレスタ40の一方の放電電極先端部41a−1の端縁と、樹脂間隔体42の絶縁体42aを挟んでこれと対向する樹脂間隔体42の導電体42bの端縁との間に形成された絶縁放電ギャップG(図4(b)参照)の耐電圧は、例えば100〜400V程度の低電圧の通常の使用電圧より十分高い電圧、例えば1.5kVに設定されているので、通常の使用電圧で使用しているときは、放電ギャップGの絶縁が維持され、放電は起きない。
しかし、電気回路の電路に雷インパルス電圧が誘導され、放電電極41aと41bとを通して、放電ギャップGの耐電圧以上の数kV以上の雷インパルス電圧が加わると、この放電ギャップGの絶縁が破壊されて閃絡(火花放電)が生じ、樹脂間隔体42の絶縁体42aの上端部42cの表面を経由して上方の放電電極先端部41a−1の端縁と樹脂間隔体42の樹脂導電体42bの上端縁の閃絡点a、b間に大きな電流が供給されるため閃絡(火花放電)はアーク放電に発展する。さらに、このアーク放電によってアーク室46aの内部空気がイオン化されることにより、アークが、1対の放電電極41a、41bのa、c点間に伸び、樹脂間隔体42の消弧性樹脂導電体42bの露出した表面を走る。これにより樹脂間隔体42の消弧性樹脂導電体42bの表面が高温に加熱されるため、樹脂導電体42bの表面から大量の消弧性ガスが発生する。この消弧性ガスの圧力により押されて樹脂導電体42bの表面を走るアークが消弧板47a〜47cの中央部に移動する。
このようにアレスタ40内に雷インパルス電圧によりアーク放電が発生することにより、この雷電圧はアレスタ40を介して、大地へ逃がされ、電気回路を雷電圧から保護することができる。
アレスタ40内のアークが、3枚の導電性の金属消弧板47a〜47eに移動すると、これが消弧板によって分断されるため、各消弧板に陰、陽極が形成され約30Vの陰、陽極電圧降下が発生する。
1対の放電電極41a、41b間に生じる総合の陰、陽極電圧降下Uは、3枚の消弧板の陰、陽極電圧降下に1対の放電電極の陰、陽極電圧降下が加わるので、
= 30(V)×(3+1) = 120(V) (2)
となる。
通常の消弧板のないアーク路のアーク電圧は、長い放電路の大きなアーク抵抗によって図3に特性線Bで示すようにアーク電流に依存して変化するが、消弧板を含むアーク路のアーク電圧は、消弧板に生じる陰、陽極電圧降下と短いアーク放電路の小さなアーク抵抗によって、図3に特性線Aで示すように、アーク電流に依存せず略一定の120Vとなる。このため、雷インパルス電流がピーク値を超えて減衰過程に入ってもアーク電圧は、略一定に保たれるので、雷インパルス電流が略0となり、電源電圧の瞬時値がアーク電圧よりも小さくなったとき、電源回路からの続流が遮断され、アークが消滅し、アレスタの絶縁が回復される。
アレスタ40内にアーク放電が発生すると、アークの熱によって放電電極および消弧板の金属が蒸発、飛散し、その金属酸化物が絶縁筒44の内表面に付着することにより、1対の放電電極間に電気的なバイパス回路が形成され、放電電極間の絶縁抵抗が低下する。
この実施例1では、このような絶縁抵抗の低下を防止するために、絶縁筒44を形成する両端の絶縁リング44aおよび44fの内周に先端部が内側に鉤形に折曲形成された環状突起を設けることにより、電極等から蒸発、飛散した金属酸化物が回り込まない環状溝44m、44nを形成している。この環状溝44m、44nの中には、アークによって放電電極や金属消弧板から溶融蒸発した金属酸化物の回り込みが少なくなるので、ここで、絶縁筒44の内表面に付着する金属酸化物層の連続が切断されることになり、1対の放電電極間の絶縁抵抗の低下を長期間防止することができる。
また、アーク室46a、膨張室46bの外壁を構成する絶縁リング44a〜44fは、絶縁性の樹脂で形成されているため、アーク発生時に加わる大きな内部圧力によって破損する可能性がある。これを防止すために、絶縁性の樹脂にグラスファイバ等の無機強化材料を添加することにより、機械的強度を高めるようにするのがよい。
さらに、この実施例1の金属消弧板47も、比較的低温度で溶融する低融点金属、例えば銅の粉末と、高温度まで溶融しない高融点金属、例えばタングステンの粉末とを焼結して形成した焼結合金で構成しているため、前記図1の実施例と同様に、低融点金属と高融点金属との相乗機能により、雷インパルス電流による溶融,蒸発量が極めて少なくなり、消弧板の損耗を小さくすることができるので、アレスタの寿命を長くすることができる。
さらに、本発明の具体的な第2の実施例を図6に示すので、これについて説明する。
この実施例2は、実施例1における1対の放電電極41aと41bの間の間隔を保持する樹脂間隔体42の樹脂絶縁体42aの上端部および上部電極先端部41a−1の構造を改良したものである。
実施例1では、放電ギャップGを形成する間隔体の樹脂絶縁体の露出部分の厚さgを、上部電極先端部41a−1に設けた嵌合用の凹部41a−6の深さdと、これに嵌めこむ樹脂絶縁体42aの上端部のはめ込み部分の厚さtとの差によって決める構成としている。これに対して、この実施例2では、上部電極先端部41a−1と、樹脂間隔体42の樹脂導電体42bの露出する部分の上端との間で樹脂絶縁体42aの露出する部分の厚さgによって絶縁放電ギャップGの大きさを一義的に決定する構成としている。
このため、実施例2においては、図6(a)に示すように、上部電極先端部41a−1の嵌合孔41a‐7に、樹脂間隔体42の樹脂絶縁体42aの突起42a−1を嵌め込むことにより上部電極先端部41a−1に樹脂間隔体42を結合しているが、実施例1では、絶縁ギャップGの大きさを決めるための上部電極先端部41a−1の凹部41a−6や、この凹部への樹脂絶縁体42aの嵌合凸部を設けることはしていない。
その他の構成は、実施例1と同じであるので、説明を省略する。
この実施例2によれば、樹脂間隔体42の樹脂絶縁体42aの上部電極先端部41a−1と樹脂間隔体42の樹脂導電体42bの上端との間で外周面の露出する部分の厚さgを所望する耐電圧に対応した寸法に形成するだけで、絶縁放電ギャップGを規定できるので、この絶縁ギャップGの規定が容易となる。
図7および図8に本発明の第3の実施例を示す。
実施例1の火花ギャップアレスタにおいては、アーク室46a、膨張室46bの外壁を構成する絶縁性樹脂で形成された絶縁リング44a〜44fの機械的強度を高めて、アーク発生時の大きな内部圧力上昇による破損を防止しているのに対し、この第3の実施例では、絶縁リング外壁に通気口を設けて絶縁リングの内外の圧力を均衡させることにより、機械的強度の小さい樹脂絶リングの破損を防止している。
実施例3の火花ギャップアレスタは、図7に示すように円筒状の金属ケース45内に収納した絶縁筒44を構成する複数に分割した絶縁樹脂製の絶縁リング44a〜44fのうちの2つの絶縁リング44bおよび44eにそれぞれ1つの通気路44b-1、および44e−1、を設けている点が、実施例1の構成と異なるだけで、その他の構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。
通気路の設けられた絶縁筒44の1つの絶縁リング44bだけを取り出して図8に示す。
絶縁リング44bの内側には、1対の隔壁44p、44qが対向して突出して形成されている。一点鎖線によって仮想的に示す樹脂間隔体42を絶縁筒44内に収め、隔壁44p、44qと嵌合結合することによって、絶縁筒44の内部空所がアーク室46aと膨張室46bに区画される。アーク室46aには、一点鎖線で仮想的に示す消弧板47が設置される。通気路44b−1は膨張室の外側絶縁リング44bに設けられている。また、通気路は、絶縁リングの周壁の内外に通じる連通孔として、1個、または2個以上設けてもよい。
同様に絶縁リング44eに設けられている通気路44e−1も絶縁リング44eの他の絶縁リング44dとの接合面となる面に設けられている。
図7には、通気路を設けた絶縁リングを2個設けた例を示しているが、通気路を設けた絶縁リングは1個だけでもよく、また、2個以上設けることもできる。
火花ギャップアレスタの内部の放電電極41a、41b間において、雷インパルス電圧を吸収するためにアーク放電が生じると、まず絶縁筒44内のアーク室46aの内部圧力が上昇し、この圧力上昇に伴ってこれと連通した膨張室46bの内部圧力も上昇するため、絶縁筒44内を構成する絶縁リング44a〜44fには内部から大きな応力が加わり、この応力によって絶縁リングが破損することがある。
前記の実施例1においては、絶縁筒を構成する絶縁リングの機械的強度を高めることによって、アーク放電の発生に伴う内部圧力の上昇による絶縁リングの破損を防止するようにしている。しかし、絶縁リングは樹脂で構成されているため、これの機械的強度を高めるにも限度があるため、この方法によっては、アーク放電の発生に伴う内部圧力上昇による絶縁リングの破損を完全に防止することが困難である。
これに対して、実施例3の火花ギャップアレスタにおいては、前記のように、金属ケース45内に収容した絶縁筒44の一部に絶縁筒44の内外周に通じる通気路を設けているので、火花ギャップアレスタ内部にアーク放電が発生して、絶縁筒44内のアーク室46aおよび膨張室46bの内部圧力が上昇すると、高圧ガスの一部が、通気路44b−1、44b−2、44e−1および44e−2を通して絶縁筒44の外側の絶縁筒44と金属ケース45との間の隙間に導かれ、ここに逃がされる。
これによって、絶縁筒44の内外の圧力が等しくなるため、火花ギャップアレスタ内部に発生するアーク放電によって絶縁筒内44の内部圧力が上昇しても、絶縁筒44を構成する各絶縁リングに加わる引張り力の上昇はなく、圧縮力のみが加わる。したがって、絶縁リングの機械的強度高めなくとも、アーク放電の発生に伴う内部圧力上昇による絶縁リングの破損を完全に防止することができる。
なお、絶縁筒44と金属ケース45との間の隙間に絶縁筒の内部圧力の一部が逃がされることより、金属ケース45の内部圧力が大きく上昇するので、この金属ケース45には大きな機械的応力が加わる。しかし、金属材料の引張り強度は樹脂材料のそれに比較して極めて大きいため、アーク放電の発生に伴う内部圧力上昇によって破損することがない。
したがって、実施例3の火花ギャップアレスタによれば、絶縁リングを機械的強度の低い絶縁樹脂で形成することができるので、火花ギャップアレスタを安価に製造でき、かつ、長時間安全に使用することができる。
40:火花ギャップアレスタ、41a,41b:放電電極、42:樹脂間隔体、42a:樹脂絶縁体、42b:樹脂導電体、43a,43b:絶縁キャップ、44(44a〜44f):絶縁筒(分割絶縁リング)、44b−1,44e−1,:通気路、45:金属ケース、46a:アーク室、46b:膨張室、47(47a〜47c):金属消弧板。

Claims (11)

  1. 円筒状金属ケースの内部に間隔をおいて対向配置した円錐台又は円柱状をなす1対の放電電極を備えた火花ギャップアレスタにおいて、
    前記1対の放電電極の間に、加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂により形成した樹脂絶縁体と、同様に加熱により消弧性ガスを発生する導電性樹脂により形成した樹脂導電体との複合体からなる樹脂間隔体を配置し、前記放電電極の一方と前記樹脂間隔体の前記樹脂導電体部との間に、絶縁放電ギャップを形成する前記樹脂間隔体の前記樹脂絶縁体部の層を介在させるとともに、前記樹脂間隔体の外側に、単数又は複数の高溶融点金属と単数又は複数の低溶融点金属とを焼結して構成した導電性の焼結合金により形成した複数の金属消弧板を所定間隔離して配置したことを特徴とする火花ギャップアレスタ。
  2. 前記金属消弧板を形成する焼結合金は、低融点金属が銅であり、高融点金属がタングステンであることを特徴とする請求項1に記載の火花ギャップアレスタ。
  3. 前記樹脂間隔体の樹脂絶縁体で構成された一端と樹脂導電体で構成された他端をそれぞれ前記1対の放電電極の互いに対向する端面の凹部に嵌合し、前記樹脂間隔体の樹脂絶縁体で構成された一端の嵌合された側の放電電極の凹部の深さと、この凹部に挿入される前記樹脂間隔体の樹脂絶縁体で構成された一端側の絶縁体の厚みとの差により、前記放電ギャップの寸法を規定したことを特徴とする請求項1または2に記載の火花ギャップアレスタ
  4. 前記1対の放電電極の周囲の空間を絶縁材により構成した隔壁により仕切って複数の空間を形成し、その1つをアーク室とし他の1つを膨張室として、これらの各室を気体通路によって相互に連通したことを特徴とする請求項1から3の1つに記載の火花ギャップアレスタ。
  5. 前記1対の放電電極間の空間に設けられた前記アーク室内に、前記樹脂間隔体を構成する樹脂導電体部を収容し、この導電体部と対向して前記金属消弧板を配置したことを特徴とする請求項4に記載の火花ギャップアレスタ。
  6. 前記円筒状金属ケースの内側に複数の分割構成された絶縁リングを連接接合して構成した絶縁筒が挿入され、前記複数の金属消弧板が、前記絶縁筒を構成する絶縁リングにより、相互の間隔が保たれ、かつ前記金属ケースから電気的に絶縁して固定されたことを特徴とする請求項1から5の1つに記載の火花ギャップアレスタ。
  7. 前記金属ケースの内側に挿入した前記絶縁リングの一部の内周に先端を鈎形に折曲して形成された環状溝を有する環状突起を設けたことを特徴とする請求項1から6の1つに記載の火花ギャップアレスタ。
  8. 前記絶縁筒を構成する絶縁リングの少なくとも1つにこのリングの内外周に通じる通気路を少なくとも1個設けたことを特徴とする請求項6または7に記載の火花ギャップアレスタ。
  9. 前記通気路は、前記絶縁筒を構成する絶縁リングの接合部に設けたことを特徴とする請求項8に記載の火花ギャップアレスタ。
  10. 前記加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂が無機強化材を含む複合樹脂であることを特徴とする請求項1から9の1つに記載の火花ギャップアレスタ。
  11. 前記加熱により消弧性ガスを発生する絶縁性樹脂はポリオキシメチレン(POM)樹脂であり、前記加熱により消弧性ガスを発生する導電性樹脂は前記ポリオキシメチレン(POM)樹脂にカーボン粉末を混合した樹脂であることを特徴とする請求項1から9の1つに記載の火花ギャップアレスタ。
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