JPWO2013168513A1 - 溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置 - Google Patents

溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2013168513A1
JPWO2013168513A1 JP2014514414A JP2014514414A JPWO2013168513A1 JP WO2013168513 A1 JPWO2013168513 A1 JP WO2013168513A1 JP 2014514414 A JP2014514414 A JP 2014514414A JP 2014514414 A JP2014514414 A JP 2014514414A JP WO2013168513 A1 JPWO2013168513 A1 JP WO2013168513A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
welding
atmosphere
inert gas
molten pool
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014514414A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6127300B2 (ja
Inventor
藤井 英俊
英俊 藤井
好昭 森貞
好昭 森貞
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC filed Critical Osaka University NUC
Publication of JPWO2013168513A1 publication Critical patent/JPWO2013168513A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6127300B2 publication Critical patent/JP6127300B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K9/00Arc welding or cutting
    • B23K9/32Accessories
    • B23K9/325Devices for supplying or evacuating shielding gas
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K10/00Welding or cutting by means of a plasma
    • B23K10/02Plasma welding
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/14Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring using a fluid stream, e.g. a jet of gas, in conjunction with the laser beam; Nozzles therefor
    • B23K26/1462Nozzles; Features related to nozzles
    • B23K26/1464Supply to, or discharge from, nozzles of media, e.g. gas, powder, wire
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K9/00Arc welding or cutting
    • B23K9/16Arc welding or cutting making use of shielding gas
    • B23K9/167Arc welding or cutting making use of shielding gas and of a non-consumable electrode
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K9/00Arc welding or cutting
    • B23K9/16Arc welding or cutting making use of shielding gas
    • B23K9/173Arc welding or cutting making use of shielding gas and of a consumable electrode
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Abstract

筒状の溶接用ノズルの内部から鉄材の表面に不活性ガスが供給され、溶接用ノズルにより不活性ガスを供給されている鉄材の表面が加熱される溶接方法において、鉄材の表面に生じた溶融池に、不活性ガスの流れに伴って生じた気圧の低下によって吸引された大気中の酸素が導入される。これにより、二重シールドTIG溶接のように別途の酸素の供給源を用意しなくとも、溶融池に酸素を導入して、溶融池の溶込み深さをより深くし、溶接効率を高めることができる。

Description

本発明の一実施形態は、溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置に関し、金属材の表面に不活性ガスを供給する溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置に関する。
TIG(Tungsten Inert Gas)溶接は、表面品質が高く、溶接欠陥が少ないため、精密機器や高圧パイプの溶接等に用いられている。しかし、TIG溶接には、溶融池の溶込み深さが浅く、溶接効率が低い欠点がある。溶融池に酸素を導入することにより、溶込み深さを深くすることが可能であることが知られている。しかし、溶融池に酸素を導入すると、酸素によりタングステン電極が消耗し易い問題が生じる。そこで、下記の特許文献1では、タングステン電極の側面を囲繞する内側のノズルと、内側のノズルの側面を囲繞する外側のノズルとで二重に囲繞し、それぞれのノズルに別々のガスを流通させる二重シールドTIG溶接の技術が開示されている。特許文献1の技術では、ArガスとOガスとの二系統のガス供給系統が用意される。内側のノズルの内部にはArガスが流通させられ、内側のノズルと外側のノズルとの間にはArガスとOガスとの混合ガスが流通させられることにより、酸素によるタングステン電極の消耗を防止しつつ、溶融池に酸素を導入し、溶込み深さを深くする。
特開2004−298963号公報
しかしながら、上記技術では、ArガスとOガスとの二系統のガス供給系統と、二系統のガス供給系統に対応した特製の溶接トーチとが必要となる。そのため、ガス供給系統や溶接トーチが複雑かつ高価なものとなる欠点がある。また、二系統のガス供給系統が必要なため、溶接のためのガスが高価となる欠点がある。
本発明の一実施形態は上記課題に鑑みてなされたものであり、より簡単な手法で溶融池に酸素を導入して、溶融池の溶込み深さをより深くし、溶接効率を高めることが可能なアーク溶接方法、アーク溶接用ノズル及びアーク溶接装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程と、不活性ガス供給工程で溶接用ノズルにより不活性ガスを供給されている金属材の表面を加熱する加熱工程と、加熱工程によって金属材の表面に生じた溶融池に、不活性ガス供給工程での不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気中の酸素を導入する酸素導入工程とを含む溶接方法である。
この構成によれば、筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスが供給され、溶接用ノズルにより不活性ガスを供給されている金属材の表面が加熱される溶接方法において、金属材の表面に生じた溶融池に、不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気中の酸素が導入される。これにより、二重シールドTIG溶接のように別途の酸素の供給源を用意しなくとも、溶融池に酸素を導入して、溶融池の溶込み深さをより深くし、溶接効率を高めることができる。
この場合、溶接用ノズルは、内部を不活性ガスが流通するノズル内筒と、ノズル内筒の側面を囲繞しつつノズル内筒との隙間にノズル内筒を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通するノズル外筒とを有し、不活性ガス供給工程では、ノズル内筒の内部から金属材に不活性ガスを供給し、酸素導入工程では、ノズル内筒とノズル外筒との隙間に、ノズル内筒を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気を流通させつつ、溶融池に雰囲気中の酸素を導入することができる。
この構成によれば、溶接用ノズルは、内部を不活性ガスが流通するノズル内筒と、ノズル内筒の側面を囲繞しつつノズル内筒との隙間にノズル内筒を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通するノズル外筒とを有する。また、ノズル内筒の内部から金属材に不活性ガスが供給され、ノズル内筒とノズル外筒との隙間に、ノズル内筒を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通させられつつ、溶融池に雰囲気中の酸素が導入される。このため、ノズル内筒とノズル外筒と有する簡単な構造の溶接用ノズルのみで溶融池に酸素を導入することができる。
この場合、溶接用ノズルは、ノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさを調整自在なギャップ可変ユニットを有し、酸素導入工程では、ギャップ可変ユニットによりノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさを調整することにより、ノズル内筒とノズル外筒との隙間を流通する雰囲気の量を制御し、溶融池に導入する酸素の量を制御することができる。
溶融池を理想的な状態にするために導入すべき酸素の量は溶接の状況によって異なる。しかし、この構成では、溶接用ノズルは、ノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさを調整自在なギャップ可変ユニットを有し、ギャップ可変ユニットによりノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさを調整することにより、ノズル内筒とノズル外筒との隙間を流通する雰囲気の量が制御され、溶融池に導入する酸素の量が制御される。このため、溶接の様々な状況に対応して溶融池に導入する酸素の量を制御することができる。
また、ノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさは1mmより大きく、5mm以下であるものとできる。
このようにノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさは1mmより大きくすることにより、ノズル内筒とノズル外筒との隙間を流通する雰囲気が逆流することを防止することができる。また、ノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさは5mm以下とすることにより、十分な量の雰囲気を流通させることができる。
また、溶接用ノズルは、溶接用ノズルの外部から溶接用ノズルの内部へと通じ、溶接用ノズルの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通する雰囲気導入孔部を有し、酸素導入工程では、雰囲気導入孔部に、溶接用ノズルの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気を流通させつつ、溶融池に雰囲気中の酸素を導入することができる。
この構成によれば、溶接用ノズルは、溶接用ノズルの外部から溶接用ノズルの内部へと通じ、溶接用ノズルの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通する雰囲気導入孔部を有し、雰囲気導入孔部に、溶接用ノズルの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通させられつつ、溶融池に雰囲気中の酸素が導入される。このため、雰囲気導入孔部を有する簡単な構造の溶接用ノズルのみで溶融池に酸素を導入することができる。
この場合、溶接用ノズルは、雰囲気導入孔部の大きさを調整自在な導入孔可変ユニットを有し、酸素導入工程では、導入孔可変ユニットにより雰囲気導入孔部の大きさを調整することにより、雰囲気導入孔部を流通する雰囲気の量を制御し、溶融池に導入する酸素の量を制御することができる。
溶融池を理想的な状態にするために導入すべき酸素の量は溶接の状況によって異なる。しかし、この構成では、溶接用ノズルは、雰囲気導入孔部の大きさを調整自在な導入孔可変ユニットを有し、導入孔可変ユニットにより雰囲気導入孔部の大きさを調整することにより、雰囲気導入孔部を流通する雰囲気の量が制御され、溶融池に導入する酸素の量が制御される。このため、溶接の様々な状況に対応して溶融池に導入する酸素の量を制御することができる。
また、本発明の一実施形態は、筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスを供給し、溶接用ノズルにより不活性ガスを供給されている金属材の表面を加熱する溶接で用いられる溶接用ノズルであって、内部に不活性ガスが流通するノズル内筒と、ノズル内筒の側面を囲繞しつつノズル内筒との隙間にノズル内筒を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通するノズル外筒とを備え、ノズル内筒とノズル外筒との隙間に、ノズル内筒を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通することにより、加熱により金属材の表面に生じた溶融池に雰囲気中の酸素が導入される溶接用ノズルである。
この場合、ノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさを調整自在なギャップ可変ユニットを備え、ギャップ可変ユニットによりノズル内筒とノズル外筒との隙間の大きさが調整されることにより、ノズル内筒とノズル外筒との隙間を流通する雰囲気の量が制御され、溶融池に導入される酸素の量が制御されることができる。
また、酸素導入工程では、溶融池の中の酸素量が70〜300ppmとなるように溶融池に雰囲気中の酸素を導入することができる。
酸素導入工程では、溶融池の中の酸素量が70〜300ppmとなるように溶融池に雰囲気中の酸素を導入することにより、より確実に溶融池の溶込み深さを深くすることができる。
また、不活性ガス供給工程では、不活性ガスの流量を1〜9LMとして不活性ガスを供給することができる。
不活性ガス供給工程では、不活性ガスの流量を1〜9LMとして不活性ガスを供給することにより、より確実に溶融池の溶込み深さを深くすることができる。
また、本発明の一実施形態は、筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスを供給し、溶接用ノズルにより不活性ガスを供給されている金属材の表面を加熱する溶接で用いられる溶接用ノズルであって、溶接用ノズルの外部から溶接用ノズルの内部へと通じ、溶接用ノズルの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通する雰囲気導入孔部を備え、雰囲気導入孔部に、溶接用ノズルの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通することにより、加熱により金属材の表面に生じた溶融池に雰囲気中の酸素が導入される溶接用ノズルである。
この場合、雰囲気導入孔部の大きさを調整自在な導入孔可変ユニットを備え、導入孔可変ユニットにより雰囲気導入孔部の大きさが調整されることにより、雰囲気導入孔部を流通する雰囲気の量が制御され、溶融池に導入する酸素の量が制御されることができる。
また、本発明の一実施形態は、本発明の溶接用ノズルと、本発明の溶接用ノズルにより不活性ガスを供給されている金属材の表面を加熱する熱源と、溶融池を観測する溶融池観測ユニットと、溶融池観測ユニットによって観測された溶融池の状態に基づいて、本発明の溶接用ノズルのギャップ可変ユニット又は本発明の溶接用ノズルの導入孔可変ユニットにより、溶融池に導入する酸素の量を制御する酸素導入量制御ユニットとを備えた溶接装置である。
この構成によれば、溶融池観測ユニットによって観測された溶融池の状態に基づいて、本発明の溶接用ノズルのギャップ可変ユニット又は本発明の溶接用ノズルの導入孔可変ユニットにより、酸素導入量制御ユニットは、溶融池に導入する酸素の量を制御する。このため、溶融池の状態に基づいて溶融池に導入する酸素の量を制御することにより、より良好な溶融池を得ることができる。
本発明の一実施形態のアーク溶接方法、アーク溶接用ノズル及びアーク溶接装置によれば、より簡単な手法で溶融池に酸素を導入して、溶融池の溶込み深さをより深くし、溶接効率を高めることが可能となる。
第1実施形態のトーチを示す斜視図である。 図1のトーチの側面図である。 第1実施形態のノズルを示す斜視図である。 図3のIV線による断面図である。 第1実施形態のノズルに不活性ガスを導入した際のノズル周囲の気流を示す図である。 不活性ガス雰囲気下での溶融池の温度と表面張力との関係を示すグラフ図である。 不活性ガス雰囲気下での溶融池の形状と溶融金属の流動とを示す図である。 酸素を含む雰囲気下での溶融池の温度と表面張力との関係を示すグラフ図である。 酸素を含む雰囲気下での溶融池の形状と溶融金属の流動とを示す図である。 第2実施形態のノズルを示す斜視図である。 図10のXI線による断面図である。 第3実施形態のノズルを示す斜視図である。 図12のXIII線による断面図である。 第4実施形態のノズルを示す斜視図である。 図14のXV線による断面図である。 第5実施形態の溶接装置を示す斜視図である。 実験例におけるノズルのギャップ距離とノズル出口の流れ速度との関係を示すグラフ図である。 実験例におけるガス流量と溶融池の幅Wに対する溶融池の深さDの比であるD/Wとの関係を示すグラフ図である。 実験例におけるガス流量と溶融池内の酸素濃度との関係を示すグラフ図である。 実験例におけるガス流量1LMのときの溶融池を示す図である。 実験例におけるガス流量4LMのときの溶融池を示す図である。 実験例におけるガス流量9LMのときの溶融池を示す図である。 実験例におけるガス流量10LMのときの溶融池を示す図である。 実験例におけるガス流量20LMのときの溶融池を示す図である。 実験例における溶接部の強度を示す表である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置について詳細に説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、一般的なTIG溶接に用いられるトーチに対して、本実施形態に係る溶接用ノズルが取り付けられる。これにより溶融池に表面活性元素である酸素を導入することにより、溶融池の溶込み深さが増大する。表面活性元素としては、酸素以外にも、硫黄、セレン及びテルルが挙げられる。溶融池に表面活性元素を導入することにより溶融池の溶込み深さが増大する金属材としては、例えば、Fe、Ni、FeとNiとの合金、及びステンレス鋼のいずれかを含む金属材が挙げられる。
まず、TIG溶接用のトーチについて簡単に説明する。図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態で用いられるトーチ10は、ハンドル12、連結部14、トーチボディ16、ガス導入口部18及びスリーブ20を備えている。本実施形態で用いられるトーチ10は、一般的なTIG溶接に用いられる物と同様の構造を有する。ハンドル12は、作業者が把持し易いような円柱形状を有する。ハンドル12は、外部からアークを発生させるための電力が供給される。ハンドル12内部の送電線を介してスリーブ20内部のタングステン電極と外部の電力源とは電気的に接続される。円筒形状を有するトーチボディ16は、連結部14を介してハンドル12と例えば60°の角度をなして連結されている。トーチボディ16の一端には、Ar、He等の不活性ガスが導入されるガス導入口部18が備えられる。なお、使用される不活性ガスとしては、100%のArガス、100%のHeガスでなくとも良く、多少のH等の他の成分のガスを含んでいても良い。トーチボディ16の他端には、棒状のタングステン電極を囲繞し、後述する溶接用ノズルが取り付けられるスリーブ20が備えられている。
以下、本実施形態の溶接用ノズルについて説明する。図3及び図4に示すように、本実施形態の溶接用ノズル100aは、ノズル内筒102、ノズル外筒104及び連結翼106を備える。ノズル内筒102は、タングステン電極22の側面をその内壁面で囲繞しつつ内部に不活性ガスを流通させる。ノズル外筒104は、ノズル内筒102の側面を囲繞しつつノズル内筒102との隙間にノズル内筒102を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された大気を流通させる。連結翼106は、ノズル内筒102とノズル外筒104とを所定の間隔gをおいて連結する。
ここで、ノズル内筒102とノズル外筒104との間隔gは、不活性ガスの流量が4〜9LMであり、タングステン電極22と溶接される金属材との間に形成されるアークの長さであるアーク長が3mmの場合は、例えば1〜5mm、3mmとすることができる。アーク長が長くなると不活性ガスの溶融池210をシールドする効果が低下し、溶融池210に導入される酸素の量が増加する。そのため、最適な間隔gは不活性ガスの流量及びアーク長に基づいて変動する。また、タングステン電極22の先端に対するノズル外筒104の先端の位置関係は、図4の例では、ノズル外筒104の先端の方がタングステン電極22の先端よりも溶接される金属材の方向に突出し、タングステン電極22の全体がノズル外筒104で囲繞される位置関係である。しかし、ノズル外筒104の先端はノズル内筒102の先端よりも溶接される金属材から後退した位置に配置することができる。このような位置関係でも、大気中を吸引する効果が発揮される。また、タングステン電極22の位置は溶接用ノズル100aの内側に溶接される金属材から後退した位置に配置することができるが、その上限は、ノズル内筒102及びノズル外筒104の先端のいずれかで溶接される金属材の側にあるものよりもアーク長だけ内側に後退した位置とする。溶接の作業上は、タングステン電極22の先端が目視できた方が望ましいが、アーク長の範囲内でノズル100aの先端よりもタングステン電極22が内側に後退しているのであれば、接合は可能である。
以下、本実施形態の溶接用ノズル100aの作用効果について説明する。アーク溶接時には、ノズル内筒102の内部を不活性ガスが流通し、溶接される金属材の表面に不活性ガスが供給され、タングステン電極22がシールドされる。また、タングステン電極22と金属材との間に電圧が印加され、アークが発生する。アークにより金属材の表面は加熱され、溶融池が形成される。このとき、ベルヌーイの定理として知られているように、ノズル内筒102の内部は不活性ガスの流通に伴い、圧力が低下する。ノズル内筒102の内部の圧力の低下に伴い、図5の矢印に示すように、ノズル内筒102とノズル外筒104との隙間に吸引された大気が流通する。吸引された大気中の酸素は、溶融池に導入される。なお、ノズル内筒102とノズル外筒104との隙間を介した溶融池への大気の導入は、ノズル内筒102内を流通する不活性ガス以外にも、タングステン電極22と溶融池との間に生じるプラズマ気流による圧力の低下によっても、生じると考えられる。
図6に示すように、鉄族金属は、温度Tの上昇に伴って、表面張力σが低下する。したがって、図7に示すように、鉄材200の溶融池210では、より高温の溶融池中心部210cよりも、より低温の溶融池端部210eの方が表面張力は大きくなる。そのため、図7に示すように、溶融池210の表面では、溶融池中心部210cから溶融池端部210eへの流動が生じる。このため、一般に、TIG溶接では、溶融池210の溶込み深さが浅くなる。
一方、界面活性元素である酸素が溶融池210に導入された場合、図8に示すように、温度Tの上昇に伴って、表面張力σが増加する。したがって、図9に示すように、鉄材200の溶融池210では、より高温の溶融池中心部210cの方が、より低温の溶融池端部210eよりも表面張力は大きくなる。そのため、図9に示すように、溶融池210の表面では、溶融池端部210eから溶融池中心部210cへの流動が生じる。したがって、本実施形態の溶接用ノズル100aにより、TIG溶接において、溶融池210の溶込み深さを深くすることが可能となる。なお、FeあるいはFeを主成分として含むステンレス等の合金において、溶融池210の溶込み深さが深くなる酸素量は、溶融池210中の酸素量が70〜300ppmである場合であり、溶融池210中の酸素量が70〜160ppmである場合である。なお、大気中の酸素を溶融池210中に導入する際には、同時に大気中の窒素も導入される。大気中の窒素の導入を抑制したい場合には、通常の大気よりも酸素の割合を高く、窒素の割合を低く設定した雰囲気中で上記本実施形態の溶接方法を実施すること等が考えられる。このように、本実施形態では、雰囲気の組成そのものを調節することでも、溶融池210に導入される酸素量を制御可能である。
本実施形態では、筒状の溶接用ノズル100aの内部から鉄材200の表面に不活性ガスが供給され、溶接用ノズル100aにより不活性ガスを供給されている鉄材200の表面が加熱される溶接方法において、鉄材200の表面に生じた溶融池210に、不活性ガスの流れに伴って生じた気圧の低下によって吸引された大気中の酸素が導入される。これにより、二重シールドTIG溶接のように別途の酸素の供給源を用意しなくとも、溶融池210に酸素を導入して、溶融池210の溶込み深さをより深くし、溶接効率を高めることができる。
本実施形態では、溶接用ノズル100aは、内部を不活性ガスが流通するノズル内筒102と、ノズル内筒102の側面を囲繞しつつノズル内筒102との隙間にノズル内筒102を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された大気が流通するノズル外筒104とを有する。また、ノズル内筒102の内部から鉄材200に不活性ガスが供給され、ノズル内筒102とノズル外筒104との隙間に、ノズル内筒102を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された大気が流通させられつつ、溶融池210に大気中の酸素が導入される。このため、ノズル内筒102とノズル外筒104と有する簡単な構造の溶接用ノズル100aのみで溶融池210に酸素を導入することができる。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態とは異なる形状の溶接用ノズルを用いて、溶融池210に大気中の酸素を導入する。図10及び図11に示すように、本実施形態の溶接用ノズル100bは、ノズル内筒102の側面にノズル内筒102の外部からノズル内筒102の内部へと通じる複数の雰囲気導入孔部108を備える。図11に示すように、雰囲気導入孔部108それぞれの孔の向きは、ノズル内筒102の外部から溶接する金属材の方に向かいつつノズル内筒102の内部に通じる向きにすることができる。
ノズル内筒102の内部に不活性ガスが流通すると、上記第1実施形態と同様に、不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって、雰囲気導入孔部108にノズル内筒102の外部から吸引された大気が流通する。雰囲気導入孔部108から導入された大気中に含まれる酸素は、溶融池210に導入される。
本実施形態では、溶接用ノズル100bは、溶接用ノズル100bの外部から溶接用ノズル100bの内部へと通じ、溶接用ノズル100bの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された大気が流通する雰囲気導入孔部108を有し、雰囲気導入孔部108に、溶接用ノズル100bの内部を流通する不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された大気が流通させられつつ、溶融池210に大気中の酸素が導入される。このため、雰囲気導入孔部108を有する簡単な構造の溶接用ノズル100bのみで溶融池210に酸素を導入することができる。
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態のノズル内筒102とノズル外筒104との間隔を制御することにより、溶融池210に導入される酸素の量を制御する。図12及び図13に示すように、本実施形態の溶接用ノズル100cは、上記第1実施形態と同様のノズル内筒102、ノズル外筒104及び連結翼106に加えて、可変ノズル110とナット114とを備える。
可変ノズル110は、複数の細長いノズル片112それぞれが端部同士を互い違いに重ね合わされることで構成されている。ノズル片112それぞれの末端は、ヒンジ113でノズル外筒104の端部に屈曲自在とされつつ連結されている。ノズル片112それぞれの内側の面とノズル内筒の外側の面との間にはコイルばね117が挿入されている。コイルばね117は、ヒンジ113でノズル外筒104と連結されたノズル片112それぞれに対し、溶接用ノズル100cの外側に開くような力を与える。なお、コイルばね117は、ヒンジ113においてノズル片112に対して溶接用ノズル100cの外側に開くような力を与える軸ばねとしても良い。ノズル片112それぞれのヒンジ112付近の外側の面には、溶接用ノズル100cの外側に突出したノズル片凸部119が設けられている。
ナット114の外周には、作業者が把持し易いように、複数のナット凹部116が設けられている。ナット114の内周面には、ノズル外筒104の外周面に設けられたねじ山105と係合するねじ山115が設けられている。ねじ山105,115により、ナット114が溶接用ノズル100cの周方向に回転させられると、ナット114はノズル外筒104上を溶接する金属材に近接する方向あるいは遠ざかる方向に摺動する。ナット114の内周面の溶接する金属材側の端部には、溶接用ノズル100cの外側に傾斜したスロープ118が設けられている。
ナット114が溶接用ノズル100cの周方向に回転させられ、ナット114がノズル外筒104上を溶接する金属材に近接する方向に摺動させられると、スロープ118は、ノズル片112のノズル片凸部119上をノズル片凸部119を内側に押し込みつつ摺動する。そのため、端部同士が重なり合ったノズル片112からなる可変ノズル110はすぼめられ、間隔gは小さくなる。一方、ナット114が反対方向に回転させられ、ナット114がノズル外筒104上を溶接する金属材から遠ざかる方向に摺動させられると、スロープ118がノズル片凸部119を内側に押し込む距離が短くなる。そのため、コイルばね117のばね力により、可変ノズル110は拡げられ、間隔gは大きくなる。
溶融池210を理想的な状態にするために導入すべき酸素の量は溶接の状況によって異なる。しかし、本実施形態では、溶接用ノズル100cは、ノズル内筒102とノズル外筒104との間隔gの大きさを調整自在であり、ノズル内筒103とノズル外筒104との間隔gの大きさを調整することにより、ノズル内筒102とノズル外筒104との間隔gを流通する大気の量が制御され、溶融池210に導入する酸素の量が制御される。このため、溶接の様々な状況に対応して溶融池210に導入する酸素の量を制御することができる。
以下、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、上記第2実施形態の雰囲気導入孔部108の大きさを制御することにより、溶融池210に導入される酸素の量を制御する。図14及び図15に示すように、本実施形態の溶接用ノズル100dは、上記第2実施形態のノズル内筒102に加えて、ノズル内筒102の外周面にその内周面を密接させているノズル外筒120を備えている。ノズル外筒120は、その側面に溶接用ノズル100dの周方向に長い複数の雰囲気導入孔部128を備えている。また、ノズル内筒102の側面のノズル外筒120の雰囲気導入孔部128それぞれに対応する部位には、雰囲気導入孔部128の形状に対応した溶接用ノズル100dの周方向に長い複数の雰囲気導入孔部108が設けられている。
ノズル内筒102の外周面にはノズル内筒凸部130が設けられている。ノズル外筒120の内周面にはノズル外筒凹部131が設けられている。ノズル内筒凸部130とノズル外筒凹部131とが互いに嵌合することにより、ノズル内筒102とノズル外筒120とは密着しつつ、溶接用ノズル100dの周方向に互いに回転動が可能なようにされている。ノズル内筒102とノズル外筒120とが互いに回転動することにより、ノズル内筒102の雰囲気導入孔部108とノズル外筒120の雰囲気導入孔部128とが一致する部位の面積が変化する。これにより、実質的な雰囲気導入孔部108の大きさを調整自在であり、雰囲気導入孔部108の大きさを調整することにより、雰囲気導入孔部108を流通する大気の量が制御され、溶融池210に導入する酸素の量が制御される。このため、溶接の様々な状況に対応して溶融池210に導入する酸素の量を制御することができる。
以下、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、溶融池210の状態を観測し、観測された溶融池210の状態に応じて溶融池に導入する酸素の量を制御する。図16に示すように、本実施形態の溶接装置は、トーチボディ16に取り付けられた上記第3実施形態の溶接用ノズル100cと、サーボ機構50、光電センサ62、温度センサ64、制御部70及び溶接用ノズル100cに不活性ガスを供給する不図示のガス供給源を備えている。なお、本実施形態においては、上記第4実施形態の溶接用ノズル100dを適用することもできる。サーボ機構50は、溶接用ノズル100cのナット114を駆動し、溶接用ノズル100cのノズル内筒102とノズル外筒104との間隔gを制御する。光電センサ62は、半導体レーザやキセノンランプ等を用いて溶融池210の幅及び溶融池210における湯流れの方向を観測する。温度センサ64は、溶融池210の裏面の温度を計測する。
制御部70は、D/W検出部71及びギャップ制御部72を有する。D/W検出部71は、光電センサ62及び温度センサ64の検出結果に基づいて、溶融池210の幅Wに対する溶込み深さDの割合であるD/Wを検出する。D/W検出部71は、例えば、光電センサ62により検出された溶融池210の幅Wが最小となったときに、溶込み深さDが最大となったと推定することができる。あるいは、D/W検出部71は、例えば、光電センサ62により検出された溶融池210の湯流れが、図9に示すようになっており、その流動が最大の場合に溶込み深さDが最大となったと推定することができる。あるいは、D/W検出部71は、例えば、温度センサ64により検出された溶融池210の裏面の温度が最大となったときに、溶込み深さDが最大となったと推定することができる。ギャップ制御部72は、D/W検出部71により検出されたD/Wに基づいてサーボ機構50を駆動して溶接用ノズル100cの間隔gをフィードバック制御する。ギャップ制御部72は、フィードバック制御により、D/Wを最大値に保つように溶接用ノズル100cの間隔gを制御する。
本実施形態によれば、光電センサ62及び温度センサ64によって観測された溶融池210の状態に基づいて、制御部70のギャップ制御部72は、溶融池210に導入する酸素の量を制御する。このため、溶融池210の状態に基づいて溶融池210に導入する酸素の量を制御することにより、より良好な溶融池210を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、上記実施形態においては、本発明の溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置をTIG溶接に適用した態様を中心に説明したが、本発明はこれに限定されることがなく、MIG(Metal Inert Gas welding)溶接、レーザ溶接及びプラズマ溶接においても適用可能である。
(実験例1)
以下、本発明の実験例について説明する。図1及び図2に示したトーチ10のスリーブ20に、図3及び図4に示した溶接用ノズル100aを取り付けて鉄材200の溶接を行った。不活性ガスとしてArガスを用い、流量を1〜20LMの範囲で変化させた。タングステン電極22と鉄材200とに印加する溶接電流は180Aと、溶接速度は2mm/sとし、タングステン電極22先端と鉄材200との距離であるアーク長は3mmとした。溶融池の酸素量を酸素窒素分析装置(株式会社堀場製作所製、製品名EMGA−520)を用いて非分散赤外線吸収法にて測定した。酸素量測定用の試料は、溶融池から1mm×1mm×3mm程度のブロックを切り出し、表面の酸化膜を研磨して除去した後、アセトンで10分間超音波洗浄し、表面の酸化を防ぐため、装置に投入する直前までアセトン中で保存した。
まず、溶接用ノズル100aのノズル内筒102とノズル外筒104との間隔g(ギャップ距離)を1mm、3mm及び5mmと変化させたときの溶接用ノズル100aのノズル外筒104の出口の流速を図17に示す。図17に示すように、ギャップ距離が短いほど、大気を吸入する能力は強くなるが、ギャップ距離が1mm以下となると、空気の流れの方向が逆転する。以下の実験では、ギャップ距離を3mmとした。
図18に各ガス流量における溶融池210の幅W、溶込み深さD及びD/Wを示し、図19に各ガス流量における溶融池210内の酸素濃度を示し、図20〜24にそれぞれガス流量が1、4、9、10及び20LMのときの溶融池210を示す。図18及び図20〜図24に示すように、Arガスの流量が1〜9LMであり、4〜9LMの範囲で溶融池210の溶込み深さDを深くすることが可能であることが判る。図19より、溶融池210中の酸素濃度は、ガス流量が増加するとともに減少することが判る。溶融池210の溶込み深さDを深くすることが可能な溶融池210の酸素濃度は70〜300ppmであり、70〜160ppmであることが判る。また、ビード長80mmの溶接後のタングステン電極22は、溶接前と溶接後とで顕著な消耗は見られなかった。
図1及び図2に示したトーチ10のスリーブ20に、図3及び図4に示した溶接用ノズル100aを取り付けて鉄材200の溶接を行った。溶接電流180A、アーク長3mm、Arガスの流量8LM、溶接速度1mm/s、ギャップ距離3mmの条件で両側からの各1パス溶接の2層でTIG溶接を行い、溶接部を引張試験片に切断し、引張試験を行った。図25に示すように、母材の引張強度の787MPaに対して溶接部の引張強度は742MPaであり、規格値の520MPaを超える良好な引張強度が得られることが判る。
本発明の一実施形態のアーク溶接方法、アーク溶接用ノズル及びアーク溶接装置によれば、より簡単な手法で溶融池に酸素を導入して、溶融池の溶込み深さをより深くし、溶接効率を高めることが可能となる。
10 トーチ
12 ハンドル
14 連結部
16 トーチボディ
18 ガス導入口部
20 スリーブ
22 タングステン電極
50 サーボ機構
62 光電センサ
64 温度センサ
70 制御部
71 D/W検出部
72 ギャップ制御部
100a〜100d 溶接用ノズル
102 ノズル内筒
104 ノズル外筒
105 ねじ山
106 連結翼
108 雰囲気導入孔部
110 可変ノズル
112 ノズル片
113 ヒンジ
114 ナット
115 ねじ山
116 ナット凹部
117 コイルばね
118 スロープ
119 ノズル片凸部
120 ノズル外筒
128 雰囲気導入孔部
130 ノズル内筒凸部
131 ノズル外筒凹部
200 鉄材
210 溶融池
210c 溶融池中心部
210e 溶融池端部

Claims (13)

  1. 筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程と、
    前記不活性ガス供給工程で前記溶接用ノズルにより前記不活性ガスを供給されている前記金属材の表面を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程によって前記金属材の表面に生じた溶融池に、前記不活性ガス供給工程での前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気中の酸素を導入する酸素導入工程と、を含む溶接方法。
  2. 前記溶接用ノズルは、内部を前記不活性ガスが流通するノズル内筒と、前記ノズル内筒の側面を囲繞しつつ前記ノズル内筒との隙間に前記ノズル内筒を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通するノズル外筒とを有し、
    前記不活性ガス供給工程では、前記ノズル内筒の内部から前記金属材に不活性ガスを供給し、
    前記酸素導入工程では、前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間に、前記ノズル内筒を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた気圧の低下によって吸引された雰囲気を流通させつつ、前記溶融池に雰囲気中の酸素を導入する、請求項1に記載の溶接方法。
  3. 前記溶接用ノズルは、前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間の大きさを調整自在なギャップ可変ユニットを有し、
    前記酸素導入工程では、前記ギャップ可変ユニットにより前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間の大きさを調整することにより、前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間を流通する雰囲気の量を制御し、前記溶融池に導入する酸素の量を制御する、請求項2に記載の溶接方法。
  4. 前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間の大きさは1mmより大きく、5mm以下である、請求項2又は3に記載の溶接方法。
  5. 前記溶接用ノズルは、前記溶接用ノズルの外部から前記溶接用ノズルの内部へと通じ、前記溶接用ノズルの内部を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通する雰囲気導入孔部を有し、
    前記酸素導入工程では、前記雰囲気導入孔部に、前記溶接用ノズルの内部を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気を流通させつつ、前記溶融池に雰囲気中の酸素を導入する、請求項1に記載の溶接方法。
  6. 前記溶接用ノズルは、前記雰囲気導入孔部の大きさを調整自在な導入孔可変ユニットを有し、
    前記酸素導入工程では、前記導入孔可変ユニットにより前記雰囲気導入孔部の大きさを調整することにより、前記雰囲気導入孔部を流通する雰囲気の量を制御し、前記溶融池に導入する酸素の量を制御する、請求項5に記載の溶接方法。
  7. 前記酸素導入工程では、前記溶融池の中の酸素量が70〜300ppmとなるように前記溶融池に雰囲気中の酸素を導入する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶接方法。
  8. 前記不活性ガス供給工程では、前記不活性ガスの流量を1〜9LMとして前記不活性ガスを供給する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接方法。
  9. 筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスを供給し、前記溶接用ノズルにより前記不活性ガスを供給されている前記金属材の表面を加熱する溶接で用いられる溶接用ノズルであって、
    内部に前記不活性ガスが流通するノズル内筒と、
    前記ノズル内筒の側面を囲繞しつつ前記ノズル内筒との隙間に前記ノズル内筒を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通するノズル外筒と、
    を備え、
    前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間に、前記ノズル内筒を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通することにより、前記加熱により前記金属材の表面に生じた溶融池に雰囲気中の酸素が導入される、溶接用ノズル。
  10. 前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間の大きさを調整自在なギャップ可変ユニットを備え、
    前記ギャップ可変ユニットにより前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間の大きさが調整されることにより、前記ノズル内筒と前記ノズル外筒との隙間を流通する雰囲気の量が制御され、前記溶融池に導入される酸素の量が制御される、請求項9に記載の溶接用ノズル。
  11. 筒状の溶接用ノズルの内部から金属材の表面に不活性ガスを供給し、前記溶接用ノズルにより前記不活性ガスを供給されている前記金属材の表面を加熱する溶接で用いられる溶接用ノズルであって、
    前記溶接用ノズルの外部から前記溶接用ノズルの内部へと通じ、前記溶接用ノズルの内部を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通する雰囲気導入孔部を備え、
    前記雰囲気導入孔部に、前記溶接用ノズルの内部を流通する前記不活性ガスの流れに伴って生じた圧力の低下によって吸引された雰囲気が流通することにより、前記加熱により前記金属材の表面に生じた溶融池に雰囲気中の酸素が導入される、溶接用ノズル。
  12. 前記雰囲気導入孔部の大きさを調整自在な導入孔可変ユニットを備え、
    前記導入孔可変ユニットにより前記雰囲気導入孔部の大きさが調整されることにより、前記雰囲気導入孔部を流通する雰囲気の量が制御され、前記溶融池に導入する酸素の量が制御される、請求項11に記載の溶接用ノズル。
  13. 請求項10又は12に記載の溶接用ノズルと、
    前記溶接用ノズルにより前記不活性ガスを供給されている前記金属材の表面を加熱する熱源と、
    前記溶融池を観測する溶融池観測ユニットと、
    前記溶融池観測ユニットによって観測された前記溶融池の状態に基づいて、請求項7に記載の溶接用ノズルの前記ギャップ可変ユニット又は請求項9に記載の溶接用ノズルの前記導入孔可変ユニットにより、前記溶融池に導入する酸素の量を制御する酸素導入量制御ユニットと、を備えた溶接装置。
JP2014514414A 2012-05-11 2013-04-11 溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置 Active JP6127300B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012109955 2012-05-11
JP2012109955 2012-05-11
PCT/JP2013/060965 WO2013168513A1 (ja) 2012-05-11 2013-04-11 溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013168513A1 true JPWO2013168513A1 (ja) 2016-01-07
JP6127300B2 JP6127300B2 (ja) 2017-05-17

Family

ID=49550566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014514414A Active JP6127300B2 (ja) 2012-05-11 2013-04-11 溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20150151378A1 (ja)
EP (1) EP2848352B1 (ja)
JP (1) JP6127300B2 (ja)
WO (1) WO2013168513A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
USD771167S1 (en) 2013-08-21 2016-11-08 A.L.M.T. Corp. Crucible
USD757831S1 (en) * 2014-06-10 2016-05-31 Roxtec Ab Welding fixture
USD747378S1 (en) * 2014-10-31 2016-01-12 Victor Equipment Company Adapter sleeve for an arc welding apparatus
DE102015208157B4 (de) 2015-05-04 2017-06-14 Trumpf Werkzeugmaschinen Gmbh + Co. Kg Schneidgasdüse und Laserschneidverfahren mit verschiebbarer Ventilhülse zum Einstellen der Strömungscharakteristik
JP6840383B2 (ja) * 2017-03-17 2021-03-10 国立大学法人大阪大学 溶接部の改質方法
CN108213753A (zh) * 2017-12-30 2018-06-29 沈阳富创精密设备有限公司 一种新形式的激光tig复合焊接头
CN109332858B (zh) * 2018-11-28 2022-04-01 江苏科技大学 一种空心钨极高深熔tig填丝焊接厚板的焊接方法
US11673204B2 (en) 2020-11-25 2023-06-13 The Esab Group, Inc. Hyper-TIG welding electrode
KR102574442B1 (ko) * 2021-07-29 2023-09-06 한국원자력연구원 수중 레이저 절단 장치 및 절단 방법
CN118371892B (zh) * 2024-06-25 2024-10-18 龙雕智能装备(山东)有限公司 激光切割头及激光切割机

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62212074A (ja) * 1986-01-31 1987-09-18 ユ−テクテツク コ−ポレイシヨン ガス圧縮ア−クノズル
JPS63192570A (ja) * 1987-01-13 1988-08-09 ル・エール・リクイツド・ソシエテ・アノニム・プール・ル・エチユド・エ・ル・エクスプルワテシヨン・デ・プロセデ・ジエオルジエ・クロード キャップを有するアークトーチおよびプラズマ切断アークトーチ
JP2008264818A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 Taiyo Nippon Sanso Corp 非消耗電極式溶接方法およびその装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3007855B2 (ja) * 1996-12-17 2000-02-07 株式会社セフテック ノズル部にヒューム捕集フードを付設した溶接トーチ
JP3936342B2 (ja) 2003-03-19 2007-06-27 大陽日酸株式会社 Tig溶接方法
TW200510105A (en) * 2003-03-19 2005-03-16 Nippon Oxygen Co Ltd TIG welding apparatus and TIG welding method
US7115833B2 (en) * 2004-11-03 2006-10-03 The Esab Group, Inc. Metering system and method for supplying gas to a torch
US8884179B2 (en) * 2010-07-16 2014-11-11 Hypertherm, Inc. Torch flow regulation using nozzle features
US9227263B2 (en) * 2012-09-28 2016-01-05 Lincoln Global, Inc. Welder having feedback control

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62212074A (ja) * 1986-01-31 1987-09-18 ユ−テクテツク コ−ポレイシヨン ガス圧縮ア−クノズル
JPS63192570A (ja) * 1987-01-13 1988-08-09 ル・エール・リクイツド・ソシエテ・アノニム・プール・ル・エチユド・エ・ル・エクスプルワテシヨン・デ・プロセデ・ジエオルジエ・クロード キャップを有するアークトーチおよびプラズマ切断アークトーチ
JP2008264818A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 Taiyo Nippon Sanso Corp 非消耗電極式溶接方法およびその装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP2848352B1 (en) 2020-09-09
EP2848352A4 (en) 2016-05-25
EP2848352A1 (en) 2015-03-18
WO2013168513A1 (ja) 2013-11-14
US20150151378A1 (en) 2015-06-04
JP6127300B2 (ja) 2017-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6127300B2 (ja) 溶接方法、溶接用ノズル及び溶接装置
US9597745B2 (en) Constricting nozzle and TIG welding torch using this nozzle
JP6487417B2 (ja) 非移行型のプラズマアークシステム、変換用アダプタキット、非移行型のプラズマアーク用トーチ
EP3068570B1 (en) Method of cooling a contact tip of an arc welding apparatus
JP6072927B2 (ja) 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合装置、摩擦攪拌接合物
CN109070276B (zh) 用于借助激光束加工工件表面的设备以及设备的运行方法
KR20130103495A (ko) 복합 용접 방법 및 복합 용접용 용접 토치
JP6009231B2 (ja) プラズマ溶接トーチおよびプラズマ溶接装置
CN102151963B (zh) 一种用于气体熔池耦合活性tig焊的焊枪
EP3342523B1 (en) Welding methods and arc welding device
US20190299314A1 (en) Method of cleaning a workpiece after a thermal joining process with cathodic cleaning; cleaning device and processing gas
JP2011255393A (ja) 溶接方法および溶接装置
US20180021871A1 (en) Process and apparatus for welding workpiece having heat sensitive material
JPH031110B2 (ja)
JP2007144427A (ja) アーク狭窄シールドノズル
CA2462176A1 (en) Welding shield gas and welding method
JP2012121009A (ja) プラズマ溶射装置
JP2009050872A5 (ja)
ES2764953T3 (es) Procedimiento para la soldadura con gas protector de metal para la reducción de sustancias nocivas
JP5826223B2 (ja) 金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結雰囲気制御方法及びそれを実施する装置を備えた金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置
JP2014231084A (ja) 電縫鋼管の溶接部シールドシステム
JPWO2018012586A1 (ja) 溶接システム
JP6036773B2 (ja) 電縫鋼管の素管被溶接部シールド装置および素管被溶接部シールド方法
WO2016093216A1 (ja) 溶接装置及びプラズマ溶接方法
KR102259499B1 (ko) 용접토치용 분사콘

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161011

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170317

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6127300

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250