JPWO2013011797A1 - 劣化復元システム、劣化復元方法およびプログラム - Google Patents

劣化復元システム、劣化復元方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

入力画像中の画素とその周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、当該画素値の変化の大きさを画素毎に算出し、前記変化の最も大きい方向を画素毎に示す方向単位ベクトルと、前記各画素について最も大きい変化の大きさを表す変化ベクトルとを算出する。前記方向単位ベクトルが示す方向において、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなる、画素毎の正則化強度を、前記方向単位ベクトルと前記変化ベクトルと正則化強度算出式を用いて算出する。前記入力画像と、その各画素についての正則化強度とから最適化関数を決定し、当該決定した最適化関数の値が最小となる当該各画素についての値を有する復元画像を生成する。

Description

本発明は、劣化復元システム、劣化復元方法およびプログラムに関し、特に低解像画像から高解像画像を復元する際に用いて好適な劣化復元システム、劣化復元方法およびプログラムに関する。
本願は、2011年7月21日に出願された特願2011−159564号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ぼかし、ノイズ、低解像度化等によって劣化した劣化画像を復元するために、通常、復元画像に対してブラー(ぼかし効果)などの劣化過程をシミュレートした画像を生成し、当該シミュレートした画像と、劣化画像(入力画像)との差を考え、これを最小化させ、復元画像を生成することが行われる。しかし、そのような復元画像の候補となる解(画素値)は無数にあり、解を一意に決定することができない。解を一意に決定するためには、正則化によって解を拘束する必要がある。例えば、復元画像の隣接画素間の画素値の変化を抑えるような正則化により、解を一意に決定する。
特許文献1では、入力画像を構成する画素についての隣接画素間の画素値の差分量が大きい場合に、復元画像でも対応する隣接画素間の画素値の差分量が大きくなるように解を拘束する方法が開示されている(特許文献1の段落[0030]など参照)。
具体的には、まず入力画像を構成する画素についての隣接画素間の画素値の差分量が大きい場合に、正則化の強さ(以下、正則化強度)が小さくなるように画素毎に適応的に正則化強度を決定し、次に決定された正則化強度をもとに構成される以下の最適化関数E(〔X〕)を決定し、この最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる引数を探索する。そして引数で与えられる画素値の復元画像を生成する。なお、本願では、ベクトル変数をかっこ“〔 〕”で囲って記すか、または、太字(ボールド)で表すこととする。例えば、変数〔X〕と下式の太字の変数Xとは同一のベクトル変数である。
Figure 2013011797

ただし、ここで〔X〕は、各画素の画素値をラスタスキャン順に並べた縦ベクトルであり、例えば復元画像の画素数がMである場合、〔X〕=(X,・・・,X,・・・,Xとなる。
data(〔X〕)は誤差項と呼ばれ、入力画像と復元画像との関係を表す項である。
reg(〔X〕)は正則化項と呼ばれ、最適化関数により算出される画素の値を制限する項である。
特許文献1では、隣接画素間の画素値の差分量が一様に小さくなるように最適化関数により算出される画素の値を制限するために、正則化項Ereg(〔X〕)として、以下に表される関数を使用している(特許文献1の段落[0067]〜[0068]参照)。
Figure 2013011797

ただし、Xi+1、Xi−1、Xi+width、Xi−widthはそれぞれ、i番目の画素の上下左右の画素の画素値を表している。また、gは正則化強度である。
正則化強度gを画素毎に適応的に決定することで、原画像に存在していた輪郭(エッジ)など、隣接画素間の画素値の差分量が大きい領域の画像の鮮明さ(画素値の差分量)を維持しながら劣化復元を行うことが可能になる。
特開2010−068084号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法は、入力画像における画素の画素値の強弱が大きい境を示す輪郭(エッジ)の方向を維持しながら劣化復元を行うことができないという問題がある。その理由は、特許文献1に記載されている方法は、入力画像中の画素値の変化の方向が考慮されていない正則化項を用いて復元を行っているためである。
すなわち、原画像の隣接画素間の画素値の差分量が大きい場合、復元画像でも対応する隣接画素間の画素値の差分量が大きくなるように解を拘束しているが、その際に、どの方向に画素値の差分量が大きくなるようにするべきかについて考慮されていない。
本発明の目的は、上述の課題を解決することのできる劣化復元システム、劣化復元方法およびプログラムを提供することにある。
本発明は、
・各正則化項がそれぞれ異なる特定の方向の復元画像の画素値の変化を抑えるように動作することを特徴とする複数の項を含む正則化項と復元画像を予め仮定した劣化過程に従って仮想的に劣化させた画像と入力画像との差が小さいほど小さな値をとることを特徴とする誤差項とから構成される最適化関数に基づいて復元画像を生成する劣化復元システムであって、
・入力画像中の画素とその周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、当該画素と周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出し、前記変化の最も大きい方向を画素毎に示す方向単位ベクトルと、前記各画素について周辺の画素との間の最も大きい変化の大きさを当該画素毎に表す変化ベクトルとを算出する変化算出部
・当該正則化項が画素値の変化を抑える方向と前記変化算出部にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向とが一致しており、かつ画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなるような正則化強度を、前記方向単位ベクトルと前記変化ベクトルと正則化強度算出式を用いて画素毎に算出する正則化強度算出部
・前記入力画像と、前記入力画像の各画素についての正則化強度とから最適化関数を決定し、当該決定した最適化関数の値が最小となる当該各画素についての値により、当該各画素についての値を有する復元画像を生成する画像復元部
と、を備えた劣化復元システムを提供する。
本発明によれば、入力画像に存在する異なる物体や異なる図柄等、画像中の異なる領域であると認識できる境界を示す輪郭(エッジ)が明確となるような画像を維持した復元画像の生成を行うことができる。
本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。 図1に示す第1の実施形態の動作を示す流れ図である。 本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。 図3に示す第2の実施形態の動作を示す流れ図である。 本発明の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。 図5に示す第3の実施形態の動作を示す流れ図である。
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による画像処理システムは、プログラム制御によって動作するコンピュータ100(中央処理装置、プロセッサ、データ処理装置などでも良い)と、画像入力部110と、画像出力部120とから構成されている。
コンピュータ100は、変化算出部101と、正則化強度算出部102と、画像復元部103とを含む。これらの各部101〜103は、コンピュータ100内で所定のプログラムを実行することでそれぞれ動作する。これらの部はそれぞれ概略次のように動作する。
画像入力部110には、カメラやスキャナなどによって得られた画像が入力される。そして、画像入力部110は、入力された画像をメモリ(図示せず)等に記録する。
ここで、画像入力部110にて入力された画像の各画素の画素値をラスタスキャン順に並べた縦ベクトル〔Y〕により表すこととする。また、当該ベクトルを入力画像ベクトル〔Y〕と呼ぶこととする。
例えば、入力された画像の画素数がMである場合、入力画像ベクトル〔Y〕=(Y,・・・,Y,・・・,Yとなる。ここで、上付きの「t」は転置行列を意味する。
また、復元画像についても入力画像と同様に、各画素の画素値をラスタスキャン順に並べた縦ベクトルにより表すこととする。また当該ベクトルを復元画像ベクトル〔X〕と呼ぶこととする。
例えば、復元画像の画素数がM’である場合、復元画像ベクトル〔X〕=(X,・・・,X,・・・,XM’となる。
以下では、入力画像と復元画像の画素数が等しい場合(すなわちM=M’の場合)について述べるが、本発明はこれに限定されない。
変化算出部101は、入力画像中の画素とその周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、入力画像中の当該画素と周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出し、その値をメモリ(図示せず)に記録する。
以下では、i番目の画素における周辺画素との間の最も大きい変化の大きさをdYと表し、これらをラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを〔dY〕=(dY,・・・,dY,・・・,dYと表記する。また、当該ベクトルを変化ベクトルと呼ぶこととする。
また、i番目の画素における変化の方向を単位ベクトル〔N〕=(Nxi、Nyi)として表し、これらをラスタスキャン順に縦に並べてできたM×2行列を〔N〕とする。
以下では、変化ベクトル〔dY〕及び方向単位ベクトル〔N〕を算出する方法の詳細について説明する。
まず、変化ベクトル〔dY〕を算出する方法について説明する。
変化ベクトル〔dY〕は、ソーベルフィルタやプレヴィットフィルタ或いは、ラプラシアンフィルタなどのフィルタを入力画像に積和演算した画像の画素値の絶対値が大きいほど、大きな値をとるように定めればよい。以下では、ソーベルフィルタを用いた場合を例にとって説明する。
x方向及びy方向のソーベルフィルタを入力画像に積和演算して得られた画像の各画素の画素値を、ラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを、それぞれx方向変化ベクトル〔Y〕、y方向変化ベクトル〔Y〕と表す。
例えば、入力された画像の画素数がMである場合、x方向変化ベクトル〔Y〕=(Yx1,・・・,Yxi,・・・,YxM及びy方向変化ベクトル〔Y〕=(Yy1,・・・,Yyi,・・・,YyMと表すことができる。
このとき、画素iにおける画素値の変化の大きさdYは、YxiおよびYyiを用いて以下のように定める。
Figure 2013011797

一方、画素値の変化の方向を算出する方法としては、既に算出したx方向及びy方向への画素値の変化の大きさから、どの方向に最も画素値が変化しているかを算出する。
例えば、i番目の画素の画素値の変化の方向は、i番目の画素の画素値の変化の大きさYxi、Yyi及びdYを用いて、変化の方向を表す方向単位ベクトル〔N〕=(Nxi、Nyi)を、以下のように算出する。
Figure 2013011797

変化算出部101は、算出された変化ベクトル〔dY〕及び方向単位ベクトル〔N〕をメモリ(図示せず)に記録する。
以上の説明では、変化算出部101が入力画像中の画素値の変化の方向と大きさを画素毎に算出する場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。
例えば、変化算出部101は、エッジセグメント及び、より大きなスケールで(すなわち複数の画素を単位として)の画素値の変化の大きさと方向を算出し、それらをメモリ(図示せず)に記録してもよい。
エッジセグメントを検出する方法としては、例えば次のような手法がある。
まずエッジセグメントが存在する画素を1、存在しない画素を0とした値を持つマスク画像の各画素の値をラスタスキャン順に並べて縦ベクトル〔E〕=(E,・・・,E,・・・,Eを生成する。そして、この縦ベクトル〔E〕=(E,・・・,E,・・・,Eの情報を、メモリ(図示せず)に記録する。
或いは、上述のマスク画像にガウシアンフィルタを積和演算した画像の各画素の値をラスタスキャン順に並べて縦ベクトル〔E〕を生成し、これをメモリ(図示せず)に記録してもよい。
また、エッジセグメントを検出するのに、Canny(キャニー)エッジ検出アルゴリズムなどを用いても良い。
画素iにおける大きなスケールでの画素値の変化と方向を算出するためには、例えば、i番目の画素及びその周辺の画素値の変化の大きさ及び方向におけるそれぞれの平均値dy及び〔n〕=(nx、ny)を算出する。そして、各画素におけるこれらの値をラスタスキャン順に並べた縦ベクトル〔dy〕及び行列〔n〕を生成し、これをメモリ(図示せず)に記録すればよい。
以上の説明では、変化算出部101が、エッジセグメント及び、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさと方向を算出する場合を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。
例えば、変化算出部101は、複数の異なるスケールでの画素値の変化の大きさと方向を算出し、それらをメモリ(図示せず)に記録してもよい。
具体例として、L種類の異なるスケールでの画素値の変化の大きさと方向を算出する場合について述べる。以下では、スケールは、画素間の距離を用いて表現するが、本発明はこれに限定されない。
L個の異なるスケールは、異なる距離を並べたベクトル〔R〕=(R,・・・,R,・・・,R)により表す。例えば、L個のスケールのうちl番目に小さいスケールは、Rとなる。以下では、l番目に小さいスケールにおける画素値の変化の大きさと方向を算出する方法について説明する。
まず、x方向及びy方向のソーベルフィルタをR倍に補間拡大する。次に、補間拡大したフィルタを入力画像に積和演算した画像を生成する。この時、各画素の画素値を、ラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを、それぞれx方向変化ベクトル〔yxl〕、y方向変化ベクトル〔yyl〕と表す。
例えば、入力された画像の画素数がMである場合、x方向変化ベクトル〔yxl〕=(yxl1,・・・,yxli,・・・,yxlM及びy方向変化ベクトル〔yyl〕=(yyl1,・・・,yyli,・・・,yylMと表す。
このとき、画素iにおける画素値の変化の大きさdyliは、yxliおよびyyliを用いて以下のように定める。
Figure 2013011797

そして、各画素におけるこれらの値dyliをラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを〔dy〕を生成し、これをメモリ(図示せず)に記録すればよい。
一方、画素値の変化の方向を算出する方法としては、既に算出したx方向及びy方向への画素値の変化の大きさから、どの方向に最も画素値が変化しているかを算出することで決定する。
例えば、i番目の画素の画素値の変化の方向は、i番目の画素の画素値の変化の大きさyxli、yyli及びdyliを用いて、変化の方向を表す方向単位ベクトル〔n〕li=(nxli、nyli)を、、以下のように算出する。
Figure 2013011797

そして算出した結果をメモリ(図示せず)に記録すればよい。
なお、L種類の異なるスケールでの画素値の変化の大きさと方向を算出する方法は、これに限定されない。
例えば、i番目の画素におけるl番目に小さいスケールの画素値の変化の大きさと方向を、i番目の画素との距離がR以下である画素全ての、画素値の変化の大きさ及び方向のそれぞれの平均値としてもよい。
次に、正則化強度算出部102の動作について述べる。
後述するように、本発明では、複数の正則化項を用いる。各々の正則化項は、それぞれ異なる特定の方向に対して画素値の変化が小さくなるように、復元画像の周辺画素間の画素値の変化を抑えるためのものである。
例えば、ある正則化項は、x方向に対して画素値の変化が小さくなるように周辺画素間の画素値の変化を抑えるために、画像復元手段によって用いられる値である。また、別の正規化項は、y方向に対して画素値の変化が小さくなるように周辺画素間の画素値の変化を抑えるために、画像復元手段によって用いられる値である。
正則化強度算出部102は、この各正則化項の強さ(すなわち、正則化強度)を、変化算出部101にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向と当該する正則化項により画素値の変化が抑られる方向が同一であり、かつ画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなるように、画素毎に算出し、その値を記録する。
以下では、正則化項の種類がK個、入力された画像の画素数がMである場合、i番目の画素に適用するk番目(k=1,・・・,k,・・・,K)の正則化項の正則化強度をWkiと表し、各画素の正則化強度をラスタスキャン順に並べた縦ベクトル(正則化強度ベクトル)を〔W〕=(Wk1,・・・,Wki,・・・,WkMと表す。
変化算出部101が、画素値の変化の大きさ及び変化の方向のみを算出している場合には、i番目の画素の正則化強度Wkiは、画素値の変化の大きさdY及び変化の方向〔N〕を用いて、例えば以下のように定めればよい。
Figure 2013011797

ただし、ここで、λ、α、βは利用者によって予め定められた定数である。
f(dY)は0より大きな値をとり、i番目の画素における変化の大きさdYの値が大きくなるほど小さい値をとる関数である。例えば、f(dY)としては以下のようなものを用いればよい。
Figure 2013011797

ここで、σ(・)は、入力値(引数)が1より大きい場合には1を、それ以外の場合には入力値を出力する関数であり、Dは予め利用者によって与えられた定数である。
g(dY,〔N〕)も、f(dY)と同様に、0より大きな値をとり、i番目の画素における変化の大きさdYが大きくなるほど小さな値をもつ関数である。
さらに、g(dY,〔N〕)は、k番目の正則化項により周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする方向と、i番目の画素における変化の方向〔N〕が一致しているほど小さな値をとることを特徴とする関数である。
例えばk番目の正則化項により、x方向に対する周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする場合には、g(dY、〔N〕)として以下のようなものを用いればよい。
Figure 2013011797

より一般に、単位ベクトル〔s〕=(s、s)で表される方向(例えば、x方向は〔s〕=(1,0)と表される)に対する周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする場合には、g(dY、〔N〕)として以下のようなものを用いればよい。
Figure 2013011797

変化算出部101が算出した画素値の変化の大きさ及び方向に加え、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさと方向及びエッジセグメントの有無を表すベクトルを算出している場合には、i番目の画素の正則化強度Wkiは、dY、〔N〕、〔n〕、dy、及びEを用いて、例えば以下のように定めればよい。
Figure 2013011797

ただし、ここで、λ、α、β、γは利用者によって予め定められた定数である。
f(dY)は[式8]と同様に0より大きな値をとり、dYの値が大きくなるほど小さい値をとる関数である。
g(dy、〔n〕)は、[式9]と同様に0より大きな値をとり、dyが大きくなるほど小さな値をもつ関数である。
さらに、g(dy、〔n〕)は、k番目の正則化項により周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする方向と〔n〕が一致しているほど小さな値をとることを特徴とする関数である。
例えば、k番目の正則化項により、x方向に対する周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする場合には、g(dy、〔n〕)としては、以下のようなものを用いればよい。
Figure 2013011797

なお、上述の[式11]において、h(dY、〔N〕、E)は、i番目の画素における変化の大きさdYが大きくなるほど小さな値をもち、k番目の正則化強度により周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする方向とi番目の画素における変化の方向〔N〕が一致しているほど小さな値をとり、上述したマスク画像における画素iの値Eが大きくなるほど小さな値をもつ関数である。
例えば、k番目の正則化項により、x方向に対する周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする場合には、h(dY、〔N〕、E)として以下のものを用いればよい。
Figure 2013011797

変化算出部101が、複数の異なるスケールでの画素値の変化の大きさと方向を算出している場合、k番目の正則化項のi番目の画素の正則化強度はWkiで表される。k番目の正則化項が、単位ベクトル〔s〕=(s、s)で表される方向の、距離Rだけ離れた画素間の画素値の変化を抑えるように働く場合、正則化強度Wkiは、例えば以下のように定めればよい。
Figure 2013011797

ただし、ここで、λ、α、βは利用者によって予め定められた定数である。
f(dyli,R)は0より大きな値をとり、i番目の画素における変化の大きさdyliの値が大きくなるほど小さい値をとる関数である。さらに、l番目のスケールRが大きいほど小さい値をとる関数である。
例えば、f(dyli,R)としては以下のようなものを用いればよい。
Figure 2013011797

ここで、φ(・)は、減少関数である。
σ(・)は、入力値が1より大きい場合には1を、それ以外の場合には入力値を出力する関数であり、Dは予め利用者によって与えられた定数である。
g(dyli,〔n〕li,R)も、f(dyli,R)と同様に、0より大きな値をとり、i番目の画素における変化の大きさdyliが大きくなるほど小さな値をもち、l番目のスケールRが大きいほど小さい値をとる関数である。
さらに、g(dyli,〔n〕li,R)は、k番目の正則化強度により周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする方向と、i番目の画素における変化の方向〔n〕liが一致しているほど小さな値をとることを特徴とする関数である。
例えばk番目の正則化項により、単位ベクトル〔s〕=(s、s)で表される方向において、画素間の距離Rにて表されるスケールの画素値の変化を抑えるようにする場合には、g(dyli,〔n〕li,R)として以下のようなものを用いればよい。
Figure 2013011797

画像復元部103は、正則化強度算出部102にて算出された入力画像の各画素についての正則化強度に基づいて、当該各画素に適用する正則化強度に応じた正則化項Ereg(〔X〕)を決定する。当該決定した正則化項Ereg(〔X〕)は、画素値の変化の方向の成分を含むものである。
そして、画像復元部103は、画像入力部101が入力した入力画像に対して決定した正則化項Ereg(〔X〕)と、誤差項Edata(〔X〕)の和を示す最適化関数(E(〔X〕))を決定する。
なお、誤差項Edata(〔X〕)は、劣化画像(入力画像〔Y〕)を復元した復元画像〔X〕に対してブラーなどの劣化過程をシミュレートした画像と、劣化画像(入力画像)との差が小さいほど、小さい値をとる関数である。
Figure 2013011797

ただしここで、tは予め利用者が定めたパラメータである。
誤差項Edata(〔X〕)は、入力画像〔Y〕と復元画像〔X〕との関係を、入力画像〔Y〕とボケ行列〔B〕とを用いて表す。
一般的に、画像を撮影する際、光学系のレンズの焦点が合わないことや、手振れなどによって画像がぶれることによって、画像が不鮮明になる。ボケ関数は、このような画像が不鮮明になる効果を表す関数である。ボケ関数として、例えば、点広がり関数(PSF:Point Spread Function)などが挙げられる。ただし、ボケ関数は、点広がり関数に限定されない。ボケ関数は、ボケ画像におけるボケの程度を表す関数であれば、他の関数であってもよい。ボケ関数は、利用者によって予め決められた関数として指定する。以下では、ボケ関数によって表されるボケをN×Nの行列〔B〕によって表す。
また、画素数がMである画像における各画素の画素値をそれぞれラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを〔Z〕とし、与えられたボケ関数によってぼかされた画像〔Z〕の各画素の画素値をそれぞれラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを〔Z〕とする。
このとき、縦ベクトル〔Z〕と縦ベクトル〔Z〕との関係は、〔B〕を用いて以下に示す[式18]のように表される。
Figure 2013011797

言い換えると、縦ベクトル〔Z〕は、ぼけていない画像を表し、縦ベクトル〔Z〕は、ぼけている画像を表す。入力画像Yは、ぼけている画像(劣化画像)であるため、縦ベクトル〔Z〕に対応する。
誤差項Edata(〔X〕)は、〔Y〕と〔X〕と〔B〕とを含む関数であり、〔X〕が復元された画像を示す。誤差項Edata(〔X〕)は、復元画像〔X〕をぼけ関数〔B〕にてぼかした画像と入力画像との誤差が小さいほど、小さい値をとる関数である。
誤差関数Edata(〔X〕)は、例えば、以下に示す[式19]のような関係式として予め定義される。
Figure 2013011797

ここで、pはパラメータであり、利用者によって予め与えられる。
また、‖・‖は、ベクトルのノルムを表し、[式19]はLpノルムを表す。
一方Ereg(〔X〕)は、K個の正則化項を用いて、例えば以下のように表される。
Figure 2013011797

ただしここで、〔L〕は特定の方向への変化の大きさを検出するフィルタである。〔L〕としては例えば、ソーベルフィルタやプレヴィットフィルタ或いは、ラプラシアンフィルタなどのフィルタを用いればよい。
また、〔W〕は、正則化強度算出部102にて算出されたk番目の正則化強度であり、diagは対角行列を意味する。
本実施の形態において〔L〕は、上述の特定の方向への変化の大きさを検出するフィルタに限定されない。例えば、〔L〕は、特定のスケール及び方向への変化の大きさを検出するフィルタであってもよい。
例えば、正則化強度〔W〕が、単位ベクトル〔s〕=(s、s)で表される方向における画素間の距離Rにて表されるスケールの画素値の変化を抑えるように働く場合には、〔L〕は、x方向にR、y方向にRだけ離れた画素間の変化の大きさを検出するフィルタとなる。
例えば、〔s〕=(1、0)、R=3である場合には、〔L〕は以下のようなフィルタとなる。
Figure 2013011797

或いは、正則化項Ereg(〔X〕)として以下のものを用いても良い。
Figure 2013011797

最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる〔X〕を探索する方法としては、例えば、勾配法や共役勾配法などの手法を用いればよい。これにより復元画像の各画素値を得ることができる。
画像出力部120は、画像復元部103が生成した復元画像〔X〕を出力する出力装置である。画像出力部120は、例えば、ディスプレイ装置などによって実現される。
次に、第1の実施形態の動作について説明する。図2は、第1の実施形態における画像処理システムの動作の例を示すフローチャートである。
まず、画像入力部110に画像(劣化画像)が入力されると、画像入力部110は、入力された画像をメモリ(図示せず)に記録する(ステップS201)。
次に、変化算出部101は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像を読み取って、当該入力画像の各画素値について、式(3)により画素値の変化の大きさを算出する。また、変化算出部101は、式(4)を用いて画素値の変化の方向を算出し、メモリ(図示せず)に記録する(ステップS202)。
なお、変化算出部101は、周辺画素の画素値との間の変化の方向や大きさに加え、より大きなスケールでの方向や大きさを検出したり、或いは上述したような画像中のエッジセグメントを検出して、メモリ(図示せず)に記録してもよい。
次に、正則化強度算出部102は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像と、変化算出部101がメモリ(図示せず)に記録した、入力画像の各画素値についての周辺画素の画素値との間の変化の方向や大きさから、正則化強度を画素毎に算出し、メモリ(図示せず)に記録する(ステップS203)。
なお、正則化強度の値は、入力画像の各画素についての周辺画素の画素値との間の大きさdY、当該各画素についての周辺画素の画素値との間の変化の方向〔N〕、或いは、dy、〔n〕を、或いはdyli、〔n〕liを、一例として、式(7)〜式(16)等に代入することで算出する。
次に、画像復元部103は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像と、正則化強度算出部102がメモリ(図示せず)に記録した入力画像の各画素についての正則化強度とから最適化関数を決定する。そして画像復元部103は、決定した最適化関数の値が最小となる当該各画素についての値により、当該各画素についての値を有する復元画像を生成し、これをメモリ(図示せず)に記録する(ステップS204)。
最後に画像出力部120は、画像復元部103がメモリ(図示せず)に記録した復元画像をディスプレイ装置などに出力する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
以上のように、本実施形態によれば、変化算出部101が、入力画像中の画素値の変化の方向と大きさを画素毎に算出しその値を記録する。
正則化強度算出部102は、各正則化項が復元画像における周辺画素間の画素値の変化を抑える方向と変化算出部101にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向とが一致しており、かつ画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなるような、正則化強度を画素毎に適応的に決定する。
そして、画像復元部103は、正則化強度算出部102にて算出された入力画像の各画素についての正則化強度に基づいて、当該各画素に適用する正則化強度に応じた正則化項Ereg(〔X〕)を決定する。
そして、画像復元部103は、画像入力部101が入力した入力画像に対して決定した正則化項Ereg(〔X〕)と、誤差項Edata(〔X〕)の和を示す最適化関数(E(〔X〕)を決定する。
そして画像復元部103は、当該最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる〔X〕を求める。次に画像復元部103は、〔X〕を各画素の画素値とした画像を復元画像として出力する。
以上のような構成を有し、入力画像中の周辺画素間の画素値の変化の大きさが大きい方向に沿って、当該入力画像中の周辺画素間の画素値の変化の大きさが大きい領域の画素値の変化が大きくなるような復元画像の生成を行う。
これにより、入力画像に存在する異なる物体や異なる図柄等、画像中の異なる領域であると認識できる境界を示す輪郭(エッジ)が明確となるような画像を維持した復元画像の生成を行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態における画像処理システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
図3は、第2の実施形態における画像処理システムの例を示すブロック図である。本画像処理システムは、画像入力部110と、プログラム制御によって動作するコンピュータ100aと、画像出力部120とを備えている。
第1の実施形態と同様、コンピュータ100aは、中央処理装置や、プロセッサ、データ処理装置と呼ぶこともできる。
コンピュータ100aは、変化算出部101と、正則化強度算出部102aと、画像復元部103と、カテゴリー分類部304とを含む。
画像入力部110、変化算出部101、画像復元部103、及び画像出力部120については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
カテゴリー分類部304は、変化算出部101にて算出された方向単位ベクトル〔N〕が示す画素値の変化の方向と、変化ベクトル〔dY〕が示す画素値の変化の大きさとから、入力画像の各画素を、予め利用者によって定められた複数種類のカテゴリーに分類し、その結果をメモリ(図示せず)に記録する。
例えば、変化算出部101が、入力画像のある画素について、画素値の変化の大きさdY及び方向〔N〕を算出した場合には、その変化の大きさdYに応じて、入力画像の各画素を平坦領域、エッジ領域の2種類に分類する。
具体的には、画素値の変化の大きさdYが、予め利用者によって定められた閾値dYに比べ大きい場合には、エッジ領域に分類し、閾値dYに比べ小さい場合には、平坦領域に分類する。ここで、エッジ領域は、人によって輪郭部であると認識されるような特性を有する領域を意味し、平坦領域は、人によって平らであると認識されるような特性を有する領域を意味する。
変化算出部101が、画素値の変化の大きさdY及び方向〔N〕に加え、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさdyと方向〔n〕及びエッジセグメントの有無を表すベクトル〔E〕を算出した場合には、それらの値に応じて、入力画像の各画素を、平坦領域、方向の存在しないテクスチャ領域、方向の存在するテクスチャ領域、エッジ領域(すなわち輪郭領域)の4種類に分類する。
ここで、方向の存在しないテクスチャ領域は、方向性を有しない一定の質感があると人によって認識されるような特性を有する領域を意味し、方向の存在するテクスチャ領域は、方向性を有する一定の質感があると人によって認識されるような特性を有する領域を意味する。
具体的には、まず、画素値の変化の大きさdYが予め利用者によって定められた閾値dYに比べ小さい場合には、その画素を平坦領域として分類する。
また、画素値の変化の大きさdYがdY以上であり、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさdyが予め利用者によって定められた閾値dyに比べ小さい場合には、その画素を方向が存在しないテクスチャ領域として分類する。
また、画素値の変化の大きさdYがdY以上であり、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさdyがdy以上であり、エッジセグメントの有無を表す値Eが予め利用者によって定められた閾値Eに比べ小さい場合には、その画素を方向が存在するテクスチャ領域として分類する。
また、画素値の変化の大きさdYがdY以上であり、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさdyがdy以上であり、エッジセグメントの有無を表す値EがE以上である場合には、その画素をエッジ領域に分類する。
正則化強度算出部102aは、変化算出部101によってメモリに記録された入力画像の各画素値の変化の大きさ及び方向と、カテゴリー分類部304に記録されているカテゴリーとに基づいて、画素毎に複数種類の正則化強度を適応的に算出し、その値をメモリ(図示せず)に記録する。
以下では、第1の実施形態と同様に、正則化強度の種類がK、入力された画像の画素数がMである場合、i番目の画素におけるk番目(k=1,・・・,k,・・・,K)の正則化項をWkiと表し、各画素の正則化強度をラスタスキャン順に並べた縦ベクトルを〔W〕=(Wk1,・・・,Wki,・・・,WkNと表す。
変化算出部101が、画素値の変化の大きさdY及び変化の方向Nのみをメモリに記録した場合には、i番目の画素の正則化強度Wkiは、第1の実施形態と同様に以下のように定めればよい。
Figure 2013011797

ここで、λは利用者が予め定めたパラメータである。
f(dY)及びg(dY、〔N〕)については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
α及びβは、カテゴリー分類部304に記録されている分類結果をもとに値を決定する。以下では、カテゴリー分類部304が各画素を平坦領域及びエッジ領域の2カテゴリーに分類している場合について説明する。
i番目の画素が平坦領域に分類されている場合には、αを大きい値にし、βを小さい値に定める。例えば、αを1に、βを0に定めればよい。
一方、i番目の画素がエッジ領域に分類されていた場合には、αを小さな値に、βを大きな値に定める。例えば、αを0、βを1に定めればよい。
つまり、k番目の正則化強度により、等方的に周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする場合には、f(dY)の値を大きくする。一方、k番目の正則化強度により、〔N〕の方向に対する周辺画素間の画素値の変化を抑える場合には、g(dY、〔N〕)を大きくする。
ここで、平坦領域とは等方的に画素値の変化が少ない領域であるため、α=1,β=0としf(dY)を大きくすることで、復元画像の平坦領域を等方的に画素値の変化が少ない領域として復元することができる。
一方、エッジ領域とは、特定の方向に画素値の変化が小さい領域であるため、α=0,β=1とし、g(dY、〔N〕)を大きくすることで、復元画像のエッジ領域を、〔N〕の方向に対する周辺画素間の画素値の変化が小さい領域として復元することができる。
変化算出部101が、画素値の変化の大きさdY及び方向〔N〕に加え、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさdyと方向〔n〕及びエッジセグメントの有無を表すベクトル〔E〕を算出している場合には、第1の実施形態と同様に、i番目の画素の正則化強度Wkiは、例えば以下のように定めればよい。
Figure 2013011797

ここで、λは利用者が定めたパラメータである。
f(dY)、g(dy、〔N〕)及びh(dY、〔N〕、E)については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
α、β及びγに関しては、カテゴリー分類部304に記録されている分類結果をもとに値を定める。以下では、カテゴリー分類部304が各画素を平坦領域、方向が存在しないテクスチャ領域、方向が存在するテクスチャ領域、エッジ領域の4種類にカテゴリーを分類していた場合について説明する。
i番目の画素が平坦領域に分類されていた場合には、αを大きい値にし、β及びγを小さい値に定める。例えば、αを1に、β及びγを0と定めればよい。
また、i番目の画素が方向の存在しないテクスチャ領域に分類されていた場合には、α、β及びγを全て小さな値に定める。例えば、α、β及びγを全て0と定めればよい。
また、i番目の画素が方向の存在するテクスチャ領域に分類されていた場合には、α及びγを小さな値に、βを大きな値に定める。例えば、α及びγを0と定め、βを1と定めればよい。
また、i番目の画素が方向の存在するエッジ領域に分類されていた場合には、α及びβを小さな値にし、γを大きな値に定める。例えば、α及びβを0とし、γを1とすればよい。
つまり、k番目の正則化強度により、等方的に周辺画素間の画素値の変化を抑えるようにする場合には、f(dY)の値を大きくする。
一方、k番目の正則化強度により、〔N〕の方向に対する周辺画素間の画素値の変化を抑える場合には、g(dY、〔N〕)を大きくする。
また、k番目の正則化強度により、〔N〕の方向に対する周辺画素間の画素値の変化をエッジセグメント上でのみ抑える場合には、h(dY、〔N〕i、)を大きくする。
ここで、平坦領域とは等方的に画素値の変化が少ない領域であるため、α=1,β=0,γ=0としf(dY)を大きくすることで、復元画像の平坦領域を等方的に画素値の変化が少ない領域として復元することができる。
一方、方向が存在するテクスチャ領域とは、特定の方向に画素値の変化が小さい領域であるため、α=0,β=1,γ=0とし、g(dY、〔N〕)を大きくすることで、復元画像の方向が存在するテクスチャ領域を〔N〕の方向に対する周辺画素間の画素値の変化が小さい領域として復元することができる。
また、エッジ領域とは、エッジセグメント上でのみ特定の方向に画素値の変化が小さい領域あるため、α=0,β=0,γ=1とし、h(dY、〔N〕i、)を大きくすることで、復元画像のエッジ領域を、エッジセグメント上でのみ〔N〕の方向に対する周辺画素間の画素値の変化が小さい領域として復元することができる。
次に、図3と、図4のフローチャートを参照して本実施形態の全体の動作について詳細に説明する。
まず、画像入力部110に画像が入力されると、画像入力部110は、入力された画像をメモリ(図示せず)に記録する(ステップS401)。
次に、変化算出部101は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像を読み取って、当該入力画像の各画素値について、式(3)により画素値の変化の大きさを算出する。また、変化算出部101は、式(4)を用いて画素値の変化の方向を算出し、メモリ(図示せず)に記録する(ステップS402)。
なお、変化算出部101は、周辺画素の画素値との間の変化の方向や大きさに加え、より大きなスケールでの方向や大きさを検出したり、或いは上述したような画像中のエッジセグメントを検出して、メモリ(図示せず)に記録してもよい。
次に、カテゴリー分類部304は、変化算出部101がメモリ(図示せず)に記録した入力画像の各画素についての方向単位ベクトル〔N〕や変化ベクトル〔dY〕から、各画素を、平坦領域と、エッジ領域に分類し、その結果をメモリ(図示せず)に記録する(ステップS403)。
なお、カテゴリー分類部304は、上述のように、変化算出部101がメモリ(図示せず)に記録した画像の方向や大きさから、各画素を平坦領域、方向の存在しないテクスチャ領域、方向の存在するテクスチャ領域、及びエッジ領域に分類し、その結果をメモリ(図示せず)に記録してもよい。
次に、正則化強度算出部102aは、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像と、変化算出部101がメモリ(図示せず)に記録した入力画像の各画素値についての周辺画素の画素値との間の変化の方向や大きさと、カテゴリー分類部304がメモリ(図示せず)に記録した入力画像の各画素についての分類結果とに基づいて、正則化強度を画素毎に算出し、メモリ(図示せず)に記録する(ステップS404)。
次に、画像復元部103は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像と、正則化強度算出部102aがメモリ(図示せず)に記録した入力画像の各画素についての正則化強度とから、最適化関数を決定する。そして画像復元部103は、その最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる〔X〕を求める。次に画像復元部103は、〔X〕を各画素の画素値とした画像を復元画像として出力し、これをメモリ(図示せず)に記録する(ステップS405)。
最後に画像出力部120は、画像復元部103がメモリ(図示せず)に記録した復元画像をディスプレイ装置などに出力する(ステップS406)。
次に、本発明を実施するための第2の実施形態の効果について説明する。
本発明を実施するための第2の実施形態では、第1の実施形態での処理に加え、入力画像の各画素について変化算出部101がメモリに記録した、周辺画素の画素からの画素値の変化の方向や大きさに基づいて、カテゴリー分類部304が各画素を平坦領域、エッジ領域などのカテゴリーに分類する。
また、正則化項決定部102aは、カテゴリー分類部304がメモリに記録した各画素についてのカテゴリーの情報に応じて、正則化強度を決定する。
そして、画像復元部103は、カテゴリーに応じて算出された正則化強度をもとに構成された正則化項を用いて画像を復元する。
すなわち、第2に実施形態では、正則化強度算出部102aが、カテゴリー分類部304にて分類された結果に応じて、カテゴリー毎に最適な正則化強度を各画素について決定する。そして、それら各画素についての正則化強度を用いて画像復元部103が分類結果に応じた最適な復元画像を生成する。したがって、第1の実施形態に比べ、より正確な復元画像を得ることが出来る。
[第3の実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施形態における画像処理システムについて説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成については、図1及び図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
図5は、第3の実施形態における画像処理システムの例を示すブロック図である。本画像処理システムは、画像入力部110と、プログラム制御によって動作するコンピュータ100bと、画像出力部120とを備えている。
第1及び第2の実施形態と同様、コンピュータ100bは、中央処理装置や、プロセッサ、データ処理装置と呼ぶこともできる。
コンピュータ100bは、変化算出部101と、正則化強度算出部102aと、画像復元部103と、カテゴリー分類部304bと、合成比率算出部501と、画像合成部502とを含む。
画像入力部110、変化算出部101、画像復元部103、正則化強度算出部102aについては、第1及び第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
カテゴリー分類部304bは、第2の実施形態と同様に、変化算出部101にて算出された画素値の変化の方向と大きさから、入力画像の各画素を予め利用者に定められた複数種類のカテゴリーに分類し、その結果をメモリ(図示せず)に記録する。
さらに、本実施形態においては、カテゴリー分類部304bは、分類された結果の信頼度を画素毎に計算し、これについてもメモリ(図示せず)に記録する。
以下では、i番目の画素における信頼度をSと表し、これをラスタスキャン順に並べ得られた縦ベクトルを〔S〕と表す。
第2の実施形態と同様に、変化算出部101が、画素値の変化の大きさdY及び方向〔N〕をメモリに記録している場合には、その変化の大きさdYに応じて、入力画像の各画素を平坦領域、エッジ領域の2種類に分類する。
次に、カテゴリー分類を行う際に使用した閾値dYとdYとの差分値が大きいほど小さな値となる信頼度Sを算出する。
例えば、以下の式(25)により得られる値を信頼度Sとして用いればよい。
Figure 2013011797

或いは、ある画素に対する信頼度Sは、当該ある画素のカテゴリーの分類が、当該ある画素の周囲の画素における分類の結果と同一であるほど大きな値となる量として算出してもよい。
例えばi番目の画素の隣接8つの画素のカテゴリーの結果について、i番目の画素におけるカテゴリー結果と同一である個数を信頼度Sとしてもよい。
次に、変化算出部101が画素値の変化の大きさdY及び方向〔N〕に加え、より大きなスケールでの画素値の変化の大きさdyと方向〔n〕及びエッジセグメントの有無を表すベクトル〔E〕を記録している場合について述べる。
このような場合についても、第2の実施形態と同様に、それらの値に応じて、入力画像の各画素を、平坦領域、方向の存在しないテクスチャ領域、方向の存在するテクスチャ領域、エッジ領域の4種類に分類する。
次に、信頼度Sを、周囲の画素における分類結果と同一であるほど大きな値となる量として算出する。例えば、i番目の画素の隣接8つの画素の分類結果について、i番目の画素における分類結果と同一である個数を信頼度Sとする。
なお、以上のようにして算出された信頼度Sは、その値が小さな画素ほど、分類された結果が誤っている可能性が高いことを示すものである。一方で、分類された結果が誤っていれば、正則化強度算出部102にて適切な正則化強度は算出されないため、画像復元部103にて正しい復元画像が生成されないことになる。したがって、信頼度Sが小さい画素は復元画像の画素値の信頼度も小さいことになる。すなわち、信頼度Sは、i番目の画素における分類結果に関する信頼度であると同時に、復元画像に関する信頼度であるともいうこともできる。
合成比率算出部501は、カテゴリー分類部304bが算出した信頼度〔S〕にもとづいて、後述する画像合成部502にて復元画像と入力画像の合成を行う際に使用する合成比率を算出し、メモリ(図示せず)に記録する。以下では、i番目の画素における合成比率をQと表し、これをラスタスキャン順に並べえられた縦ベクトルを〔Q〕と表す。また、当該ベクトルを、以下合成比率ベクトル〔Q〕と呼ぶこととする。
合成比率ベクトル〔Q〕におけるi番目の画素における合成比率をQは、0から1の値をとり、さらに信頼度Sが大きな値であるほど大きな値をとる量である。例えば、Qは以下の[式26]を用いて算出すればよい。
Figure 2013011797

ここで、σ(・)は、第1の実施形態と同様に、入力値が1より大きい場合には1を、それ以外の場合には入力値を出力する関数であり、τは予め利用者によって与えられた定数である。
画像合成部502は、合成比率算出部501にて算出された合成比率ベクトル〔Q〕と、画像入力部110にて入力された入力画像Yと、画像復元部103にて復元された復元画像Xとから、合成画像を生成し、メモリ(図示せず)に記録する。以下では、合成画像のi番目の画素における画素値をZと表し、これをラスタスキャン順に並べえられた縦ベクトルを〔Z〕と表す。
画像合成部502は、カテゴリー分類部304bにて算出された信頼度Sが高い領域は復元画像に画素値が近く、信頼度Sが低い領域は入力画像に画素値が近い合成画像を生成するよう、復元画像の各画素値を算出する。
具体的には、i番目の画素における画素値をZを、X、Y及びQを用いて以下のように算出する。
Figure 2013011797

画像出力部120は、メモリ(図示せず)に記録されている合成画像を出力する。
次に、図5及び図6のフローチャートを参照して本実施形態の全体の動作について詳細に説明する。
まず、画像入力部110に画像が入力されると、画像入力部110は、入力された画像をメモリ(図示せず)に記録する(ステップS601)。
次に、変化算出部101は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像から、当該画像の各画素について、周辺画素の画素値との間の画素値の変化が最も大きい方向を算出する。また、変化算出部101は、周辺画素の画素値との間の変化の大きさを算出する。そして、変化算出部101は、入力画像の各画素について、画素値の変化の大きい方向と当該変化の大きさの値をメモリ(図示せず)に記録する(ステップS602)。
なお、変化算出部101は、画素の画素値と、周辺画素の画素値との間の変化が大きい方向やその大きさに加え、より大きなスケールでの方向や大きさ、或いは画像中のエッジセグメントなどを検出し、メモリ(図示せず)に記録するようにしてもよい。
次に、カテゴリー分類部304bは、変化算出部101がメモリ(図示せず)に記録した入力画像の各画素についての方向単位ベクトル〔N〕や変化ベクトル〔dY〕から、各画素を平坦領域、エッジ領域にカテゴリー分類し、メモリ(図示せず)に記録する。
さらに、カテゴリー分類部304bは、カテゴリー分類された結果に基づく信頼度を画素毎に算出しメモリ(図示せず)に記録する(ステップ603)。
なお、カテゴリー分類部304bは、入力画像中の各画素について変化算出部101がメモリ(図示せず)に記録した、周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、周辺画素との間の画素値の変化の大きさから、各画素を平坦領域、方向の存在しないテクスチャ領域、方向の存在するテクスチャ領域、エッジ領域に分類してもよい。
次に、正則化強度算出部102aは、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像と、変化算出部101が各画素についてメモリ(図示せず)に記録した周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、周辺画素との間の画素値の変化の大きさと、カテゴリー分類部304bが各画素についてメモリ(図示せず)に記録したカテゴリー分類結果とから、正則化強度を画素毎に算出し、メモリ(図示せず)に記録する(ステップS604)。
次に、画像復元部103は、画像入力部110がメモリ(図示せず)に記録した入力画像と、正則化強度算出部102aがメモリ(図示せず)に記録した各画素についての正則化強度とから、最適化関数を決定する。そして画像復元部103は、その最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる〔X〕を求める。
次に画像復元部103は、〔X〕を各画素の画素値とした画像を復元画像として出力し、これをメモリ(図示せず)に記録する(ステップS605)。
次に、合成比率算出部501は、カテゴリー分類部304bにて算出された信頼度から、合成比率を算出する(ステップS606)。
さらに、画像合成部502は、合成比率算出部501にて算出された合成比率と、画像入力部110にて入力された入力画像と、画像復元部102にて復元された復元画像とを用いて、合成比率に基づいて合成画像を生成し、メモリ(図示せず)に記録する(ステップS607)。
最後に画像出力部120は、画像合成部502がメモリ(図示せず)に記録した合成画像をディスプレイ装置などに出力する(ステップS406)。
次に、本発明を実施するための第3の実施形態の効果について説明する。
本発明を実施するための第3の実施形態では、第2の実施形態での処理に加え、カテゴリー分類部304bが、変化算出部101が各画素についてメモリに記録した周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、周辺画素との間の画素値の変化の大きさから、カテゴリーに分類された結果の信頼度を算出する。
また合成比率算出部501は、合成比率をカテゴリー分類部304bが算出した信頼度をもとに算出する。
そして、画像合成部502は、合成比率算出部501が算出した合成比率をもとに、信頼度の高い領域では復元画像に近く、信頼度の低い領域では入力画像に近い画素値をもつ合成画像を合成する。
すなわち、第3に実施形態では、カテゴリー分類部304bにて算出された信頼度に応じて、画像合成部502が、信頼度の高い領域では復元画像に近く、信頼度の低い領域では入力画像に近い画素値をもつ合成画像を生成する。したがって、第3の実施形態では、信頼度が高い領域のみ復元が行われるため、第2の実施形態に比べ、より正確な復元画像を得ることが出来る。
次に、具体的な実施例を用いて、本発明を実施するための最良の形態の動作を説明する。
以下、具体的な実施例によって本発明を説明するが、本発明の範囲は以下に説明する内容に限定されない。また、本実施例は第1の実施形態に対応するものである。以下、図1を参照して説明する。
本実施例では、画像入力部110として、NTSC(National Television System Committee)信号を入出力できるビデオキャプチャボードを用いる。また、画像出力部120として、ディスプレイ装置を用いる。また、コンピュータ100として、画像処理プロセッサを搭載した画像処理ボードを用いる。
ビデオキャプチャボードは、入力されたビデオ信号をYUV信号に変換し、画像処理ボードに送信する。また、ビデオキャプチャボードは、画像処理ボードにおける処理結果が転送されると、その処理結果をビデオ信号に変換してディスプレイ装置に表示させる。
このように、本実施例では、画像処理ボードの処理結果をビデオキャプチャボードに転送し、ビデオキャプチャボードが画像をディスプレイ装置に表示させる。
画像処理ボードは、変化算出部101と、正則化強度算出部102と、画像復元部103とを含む。
入力画像の入力信号が画像入力部110に入力されると、画像入力部110はその値をメモリ等に記録する。
変化算出部101は、入力画像中の画素についての、周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出する。
以下では、第1の実施形態と同様に、i番目の画素における変化の大きさを画素値の変化の大きさをdYiと表し、これらをラスタスキャン順に並べた縦ベクトル(変化ベクトル)を〔dY〕=(dY,・・・,dY,・・・,dY)と表記する。また、i番目の画素における変化の方向を単位ベクトル〔N〕=(Nx、Ny)を用いて表し、これらをラスタスキャン順に縦に並べて出来た行列(方向単位ベクトル)を〔N〕とする。
変化算出部101は変化ベクトル〔dY〕及び方向単位ベクトル〔N〕をメモリ(図示せず)に記録する。
画素値の変化の大きさを示す変化ベクトル〔dY〕を算出する方法の詳細について説明する。
まず、入力画像にガウシアンフィルタを積和演算した画像を生成する。次に、x方向及びy方向のラプラシアンフィルタを、ガウシアンフィルタが積和演算された入力画像にさらに積和演算し、得られた画像の各画素の画素値をラスタスキャン順に並べた縦ベクトル〔Y〕及び〔Y〕を得る。
画素iにおける画素値の変化の大きさdYは、YxiおよびYyiを用いて以下のように算出する。
Figure 2013011797

一方、画素値の変化の方向を算出する方法としては、既に算出したx方向及びy方向への画素値の変化の大きさから、どの方向に最も画素値が変化しているかを算出する。例えば、i番目の画素の画素値の変化の方向は、i番目の画素の画素値の変化の大きさYxi、Yyi及びdYを用いて、変化の方向を表す単位ベクトル〔N〕=(Nxi、Nyi)を、以下のように算出する。
Figure 2013011797

次に、変化算出部101は、Cannyエッジ検出アルゴリズムを用いて、入力画像中のエッジセグメントを検出し、エッジセグメントが存在する画素は1、存在しない画素は0の値をもつマスク画像を生成する。
そして、このマスク画像にガウシアンフィルタを積和演算して得た画像の各画素の画素値をラスタスキャン順に並べた縦ベクトル〔E〕=(E,・・・,E,・・・,Eを得る。
変化算出部101は、算出された〔dY〕、〔N〕及び〔E〕をメモリ(図示せず)に記録する。
正則化強度算出部102は、変化算出部101にて算出された方向単位ベクトル〔N〕が示す画素値の変化の方向において、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなるような、画素毎の正則化強度を適応的に算出し、その値を記録する。
正則化強度の種類は2種類であり、入力された画像の画素数がMである場合、画素iにおける1番目の正則化項をW1i、画素iにおける2番目の正則化項をW2iと表し、各画素の正則化強度をラスタスキャン順に並べた縦ベクトルをそれぞれ〔W〕=(W11,・・・,W1i,・・・,W1M、〔W〕=(W21,・・・,W2i,・・・,W2Mと表す。
変化算出部101が記憶している〔dY〕、〔N〕及び〔E〕を用いて、i番目の画素の正則化強度Wkiを以下のように定める。
Figure 2013011797

ここで、σ(・)は、入力値が1より大きい場合には1を、それ以外の場合には入力値を出力する関数であり、D、εは予め利用者によって与えられた定数である。
画像復元部103は、正則化強度算出部にて算出された正則化強度と入力画像とから、方向が考慮された正則化項Ereg(〔X〕)及び誤差項Edata(〔X〕)から構成される最適化関数を決定する。そしてその最適化関数E(〔X〕)を用いて、劣化画像(入力画像〔Y〕)を復元した復元画像〔X〕の各画素値を得る。
このとき、画像復元部103は、最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる〔X〕を探索する方法としては、例えば、勾配法や共役勾配法などの手法を用いる。これにより復元画像の各画素値を得て、復元画像を生成ことができる。
なお、最適化関数E(〔X〕)としては以下のようなものを使用する。
Figure 2013011797

ただし、ここでtは利用者が予め定めたパラメータである。
誤差項Edata(〔X〕)は、〔Y〕と〔X〕と〔B〕とを含む関数であり、〔X〕が復元された画像(すなわち、入力画像と復元画像との誤差が小さい)を示すほど小さい値をとる関数である。
誤差関数Edata(〔X〕)は、例えば、以下に示す[式32]のような関係式として予め定義される。
Figure 2013011797

ここで|・|は、ベクトルのノルムを表す。
一方Ereg(〔X〕)は、2個の正則化項の和として以下のように表される。
Figure 2013011797

ただしここで、〔L〕、〔L〕はx方向及びy方向のラプラシアンフィルタである。〔W〕、〔W〕は、正則化強度算出部にて算出された正則化強度である。
画像復元部103は、最適化関数E(〔X〕)の値が最小となる〔X〕を探索する方法としては、例えば、勾配法や共役勾配法などの手法を用いる。そして、復元画像〔X〕の各画素値をメモリ(図示せず)に記録する。
最後に画像出力部120は、画像復元部103がメモリ(図示せず)に記録した復元画像をディスプレイ装置などに出力する。
本発明によれば、入力画像に存在する異なる物体や異なる図柄等、画像中の異なる領域であると認識できる境界を示す輪郭(エッジ)が明確となるような画像を維持した復元画像の生成を行うことができる。
100,100a,100b コンピュータ(中央処理装置;プロセッサ;データ処理装置)
101 変化算出部
102,102a 正則化強度算出部
103 画像復元部
304,304b カテゴリー分類部
120 画像出力部
501 合成比率算出部
502 画像合成部

Claims (6)

  1. 各正則化項がそれぞれ異なる特定の方向の復元画像の画素値の変化を抑えるように動作することを特徴とする複数の正則化項と、復元画像を予め仮定した劣化過程に従って仮想的に劣化させた画像と入力画像との差が小さいほど小さな値をとることを特徴とする誤差項とから構成される最適化関数に基づいて復元画像を生成する劣化復元システムであって、
    入力画像中の画素とその周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、当該画素と周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出し、前記変化の最も大きい方向を画素毎に示す方向単位ベクトルと、前記各画素について周辺画素との間の最も大きい変化の大きさを当該画素毎に表す変化ベクトルとを算出する変化算出部と、
    各正則化項が画素値の変化を抑える方向と前記変化算出部にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向とが一致しており、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなる、画素毎の正則化強度を、前記方向単位ベクトルと前記変化ベクトルと正則化強度算出式を用いて算出する正則化強度算出部と、
    前記入力画像と、前記入力画像の各画素についての正則化強度とから最適化関数を決定し、当該決定した最適化関数の値が最小となる当該各画素についての値により、当該各画素についての値を有する復元画像を生成する画像復元部と、
    を備えたことを特徴とする劣化復元システム。
  2. 前記正則化項が、それぞれの異なる特定の方向の復元画像の画素値の変化を抑えるように動作することに加え、それぞれの異なるスケール間の復元画像の画素値の変化を抑えるように動作する正則化項であって、
    前記変化算出部が、複数の異なるスケールにおける当該画素とその周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出することを特徴とし、
    前記正則化強度算出部が、各正則化項が画素値の変化を抑える方向と前記変化算出部にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向とが一致しており、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなることに加え、さらに前記変化算出部にて定められたスケールが大きくなるほど正則化強度が小さくなる
    ことを特徴とする請求項1記載の劣化復元システム。
  3. 前記入力画像の各画素を所定の複数のカテゴリーに分類するカテゴリー分類部を備え、
    前記正則化強度算出部が、前記カテゴリー分類部にて分類されたカテゴリーに応じて、前記変化算出部にて算出された方向が示す画素値の変化の方向において、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなるような、画素毎の正則化強度を適応的に算出する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の劣化復元システム。
  4. 前記カテゴリー分類部が、前記入力画像の各画素を所定の複数のカテゴリーに分類するとともに、カテゴリー分類された結果の信頼度を算出し、
    前記カテゴリー分類部にて算出された信頼度から、前記復元画像と前記入力画像との合成比率を算出する合成比率算出部と、
    前記画像入力部にて入力された入力画像と、前記画像復元部にて復元された復元画像と、前記合成比率算出部にて算出された合成比率とから、信頼度が高い領域のみ復元画像に近くなる合成画像を生成する合成画像生成部と
    を備えたことを特徴とする請求項3記載の劣化復元システム。
  5. 複数の項を含む正則化項と誤差項とから構成される最適化関数に基づいて復元画像を生成する劣化復元システムの劣化復元方法であって、
    変化算出部が、入力画像中の画素とその周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、当該画素と周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出し、前記変化の最も大きい方向を画素毎に示す方向単位ベクトルと、前記各画素について周辺画素との間の最も大きい変化の大きさを当該画素毎に表す変化ベクトルとを算出し、
    正則化強度算出部が、前記変化算出部にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向において、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなる、画素毎の正則化強度を、前記方向単位ベクトルと前記変化ベクトルと正則化強度算出式を用いて算出し、
    画像復元部が、前記入力画像と、前記入力画像の各画素についての正則化強度とから最適化関数を決定し、当該決定した最適化関数の値が最小となる当該各画素についての値により、当該各画素についての値を有する復元画像を生成する
    ことを特徴とする劣化復元方法。
  6. 複数の項を含む正則化項と誤差項とから構成される最適化関数に基づいて復元画像を生成する劣化復元システムのコンピュータに、
    入力画像中の画素とその周辺画素との間の画素値の変化の最も大きい方向と、当該画素と周辺画素との間の画素値の変化の大きさを画素毎に算出し、前記変化の最も大きい方向を画素毎に示す方向単位ベクトルと、前記各画素について周辺画素との間の最も大きい変化の大きさを当該画素毎に表す変化ベクトルとを算出する変化算出処理と、
    前記変化算出処理にて算出された方向単位ベクトルが示す画素値の変化の方向において、画素値の変化の大きさが大きいほど正則化強度が小さくなる、画素毎の正則化強度を、前記方向単位ベクトルと前記変化ベクトルと正則化強度算出式を用いて算出する正則化強度算出処理と、
    前記入力画像と、前記入力画像の各画素についての正則化強度とから最適化関数を決定し、当該決定した最適化関数の値が最小となる当該各画素についての値により、当該各画素についての値を有する復元画像を生成する画像復元処理と、
    を実行させるためのプログラム。
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