JPWO2013008881A1 - 虚血性疾患治療薬 - Google Patents

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Abstract

全身投与によっても病変部位のみに特異的に集積し、高いタンパク質発現率を有し、治癒とともに病変部位から消失する遺伝子輸送担体およびそれを用いた虚血性疾患の治療方法を提供することを目的とする。虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現することができる、嫌気性菌からなる遺伝子輸送担体、該遺伝子輸送担体を含む医薬組成物、およびこれらを利用した虚血性疾患の治療方法を提供することにより、上記課題が解決された。

Description

本発明は、虚血性疾患部位を特異的に治療することができる遺伝子輸送担体、医薬組成物およびそれらを用いる虚血性疾患の治療方法に関する。
近年、悪性腫瘍の治療方法において、形質転換嫌気性菌を遺伝子輸送担体として用いる方法が注目され、例えば、形質転換したクロストリジウムを用いて、抗腫瘍物質のプロドラッグを抗腫瘍物質に変換する酵素のニトロリダクターゼの発現遺伝子を腫瘍部位へ輸送する方法などが提案されている(特許文献1〜3参照)。
ところが、従来これらの目的で用いられている微生物はいずれも病原性の菌を低毒性に変異化したものであり、逆変異化して元の病原性菌に戻り、有害性を発揮する可能性が否定できず、さらに、運動性、侵襲性のため、疾患組織のみでなく正常組織においても作用を発現して全身性の副作用症状を生じるおそれがあるなど、安全性において問題性が懸念される。
そこで、ヒトの腸内に存在してフローラを形成する非病原性の腸内細菌で、極めて安全な偏性嫌気性細菌であることが知られているビフィズス菌が注目され、抗腫瘍物質の5−フルオロウラシルのプロドラッグの5−フルオロシトシンを5−FUに変換する酵素のシトシン・デアミナーゼを発現するように形質転換したビフィズス菌が開発された。(特許文献4、5参照)
この形質転換ビフィズス菌は、これを嫌気的疾患の固形腫瘍動物モデルに静脈内投与した場合、低酸素状態の嫌気的疾患組織特異的に生着、増殖し、嫌気的環境下にない正常組織では速やかに消失するという特長を有している(非特許文献1、2参照)。
一方、虚血性疾患の治療、特に重症虚血の治療において、血管の新生や側副血行を発達させることで血流を回復しようという血管新生療法が試みられている。血管新生療法は、大別すると細胞移植、タンパク投与および遺伝子治療の3種の治療法があるが、低侵襲性の観点から、近年特に遺伝子治療が注目されている。遺伝子治療による血管新生においては、例えば肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)や血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)などをコードする遺伝子を、患部付近に筋肉内注射や動脈内注入によって導入し、患部付近の血管新生を促すことにより血流を回復させる(例えば非特許文献3、4参照)。
これらの血管新生療法は、細動脈レベルの障害により血行再建ができないかまたは効果が不十分である患者や、侵襲性の問題により外科的治療が行えない患者などに対する選択肢の一つとして注目されてきており、特に遺伝子治療による血管新生療法に関しては、近年多くの臨床試験が行われている。
米国特許第6416754号明細書 米国特許第6652849号明細書 米国特許出願公開2003/0103952号明細書 特開2002−97144号公報 国際公開第2007−136107号
Yazawa et al., Cancer Gene Therapy, Vol. 7, No. 2, 2000: pp 269-274 Yazawa et al., Breast Cancer Research and Treatment, Vol. 66, 2001: pp 165-170 Gupta et al., Circ. Res. 2009;105:724-736 Morishita et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31:713-720
本発明は、虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現することができる、嫌気性菌からなる遺伝子輸送担体、該遺伝子輸送担体を含む医薬組成物、およびこれらを利用した虚血性疾患の治療方法を提供することを目的とする。
上述のとおり、遺伝子治療を利用した血管新生療法は、虚血性疾患の治療に有用ではあるが、現在の遺伝子治療を利用した血管新生療法は依然としていくつかの問題点を有している。第一に、現在用いられている遺伝子輸送担体には病変部位特異性がなく、全身投与した場合には全身播種されてしまうため、導入遺伝子の投与には筋肉内注射または動脈内注入が主に用いられているが、これらの投与方法では、虚血疾患部位特異的、且つ、疾患部位に均一に投与されているとはいえず、さらには虚血部位と非虚血部位とが混在している場合、非虚血部位に導入遺伝子が多く送達されてしまい、非虚血部位での血管新生が促進されてしまうことにより、結果として虚血部位においてさらに血行が悪化するという、スティール現象と呼ばれる現象が起こってしまうことが懸念される。
第二に、ベクターによる遺伝子導入によって目的タンパク質を疾患部位において発現させることを前提とした治療方法であるため、遺伝子導入効率や導入遺伝子の発現期間のコントロールが困難であることが挙げられる。したがって投与しても十分に導入されず効果を発揮しない、疾患の寛解前に導入遺伝子の発現がなくなる、寛解後も導入遺伝子が発現し続けるといった問題がある。
第三に、血管新生療法はその低侵襲性から高齢者や糖尿病罹患者などにおいて他の治療法よりも大きな優位性を有すると考えられるが、これらの患者においては、例えば糖尿病罹患者であれば糖尿病性網膜症、高齢者であれば悪性腫瘍など、血管新生によって症状が悪化し得る合併症を有していることがあるため、疾患部位特異性の低い現状の血管新生療法ではその適応に制限がある。
本発明者らは、全身投与によっても病変部位のみに特異的に集積し、高いタンパク質発現率を有し、治癒とともに病変部位から消失するベクターによってこれらの問題が全て解決されることに想到し、鋭意研究を重ねた結果本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
(1)虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現することができる嫌気性菌からなる遺伝子輸送担体。
(2)嫌気性菌が、形質転換用プラスミドで形質転換されたものであり、該プラスミドが虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質をコードするDNA配列を含む、(1)の遺伝子輸送担体。
(3)虚血性疾患が、慢性虚血性疾患である、(1)または(2)の遺伝子輸送担体。
(4)嫌気性菌が、非病原性の腸内細菌である、(1)〜(3)の遺伝子輸送担体。
(5)嫌気性菌が、ビフィズス菌である、(1)〜(4)の遺伝子輸送担体。
(6)ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ビフィドバクテリウム・アングラタム、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・アステロイデス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ボウム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・コエリナム、ビフィドバクテリウム・コリネフォルメ、ビフィドバクテリウム・クニクリ、ビフィドバクテリウム・デンティコレンス、ビフィドバクテリウム・デンティウム、ビフィドバクテリウム・ガリクム、ビフィドバクテリウム・ガリナラム、ビフィドバクテリウム・グロボサム、ビフィドバクテリウム・インディクム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・イノピナタム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ラクテンティス、ビフィドバクテリウム・リベロラム、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・マグナム、ビフィドバクテリウム・メリシクム、ビフィドバクテリウム・ミニマム、ビフィドバクテリウム・モンゴリエンス、ビフィドバクテリウム・パルブロラム、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・サイクラエロフィラム、ビフィドバクテリウム・プロラム、ビフィドバクテリウム・ルミナレ、ビフィドバクテリウム・ルミナンチウム、ビフィドバクテリウム・サエクラレ、ビフィドバクテリウム・スカルドヴィ、ビフィドバクテリウム・サブタイル、ビフィドバクテリウム・スイス、ビフィドバクテリウム・テルマシドフィラム、およびビフィドバクテリウム・サーモフィラムからなる群より選ばれる1種である、(5)の遺伝子輸送担体。
(7)ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガムである、(6)の遺伝子輸送担体。
(8)虚血性疾患の診断に有用なタンパク質が、蛍光タンパク質である、(1)〜(7)の遺伝子輸送担体。
(9)虚血性疾患の治療に有用なタンパク質が、線維芽細胞増殖因子(FGF)、内皮細胞増殖因子(ECGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝実質細胞増殖因子(HGF)血管増殖因子(AGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、アンギオポイエチン、エフリンなどの血管新生促進活性を有するタンパク質、プロスタグランジン類などの血管拡張に関与する因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのコロニー刺激因子、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3などのニューロトロフィン、インスリン様成長因子(IGF)からなる群から選ばれる一種である、(1)〜(7)の遺伝子輸送担体。
(10)形質転換用プラスミドが、非シャトルプラスミドである、(2)〜(9)の遺伝子輸送担体。
(11)形質転換用プラスミドが、さらに分泌シグナルペプチドをコードする遺伝子配列を含む、(2)〜(10)の遺伝子輸送担体。
(12)形質転換用プラスミドが、pTB6 repユニットを含む、(2)〜(11)の遺伝子輸送担体。
(13)形質転換プラスミドが、p37プロモーター、HUターミネーター、およびFGF2をコードする遺伝子を含む発現カセットを有する、(2)〜(12)の遺伝子輸送担体。
(14)形質転換プラスミドが、配列番号40に記載の配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列を含む、(2)〜(13)の遺伝子輸送担体。
(15)形質転換プラスミドが、pFGF12a(配列番号38)である、(2)〜(14)の遺伝子輸送担体。
(16)(1)〜(15)の遺伝子輸送担体を含む、虚血性疾患用医薬組成物。
(17)全身投与により投与される、(16)の医薬組成物。
(18)虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断または治療に有用なタンパク質を発現することができる嫌気性菌を投与することを含む、虚血性疾患を診断または処置する方法。
(19)投与が、全身投与である、(18)の方法。
本発明の遺伝子送達担体は嫌気性菌であるため、嫌気的環境下にある虚血性疾患部位特異的に生着、増殖し、当該疾患組織において、虚血性疾患の治療活性を有するタンパク質を産生、分泌させることができ、虚血性疾患治療剤として極めて有用で、高品質の遺伝子輸送担体として期待できる。また、虚血性疾患部位特異的に生着するため、静脈注射などの全身投与であっても虚血性疾患部位に特異的に集積して効果を発揮するものである。したがって、大量投与や複数回の投与が必要なく、投与対象の負担を軽減できる。さらに、虚血が持続する間は虚血性疾患部位の嫌気的環境が維持されるため長期的に生育するが、いったん虚血が寛解すればもはや嫌気的環境ではなくなるため、生育できなくなって速やかに消失する。
さらに本発明の遺伝子送達担体は、遺伝子送達担体そのものが治療に有用なタンパク質を発現することが可能であるため、従来のように虚血性部位またはその近傍の細胞への遺伝子導入効率を考える必要がなく、常に高いタンパク質発現効率を発揮することができる。さらに、虚血性部位に特異的に送達される担体であるため、合併症の危険性も少ない。したがって、従来よりもさらに低侵襲性で副作用も少なく、安全性の高い血管新生治療を施すことが可能となる。さらに、本発明の遺伝子送達担体にマーカーを同時に発現させることにより、虚血性部位の診断や処置のモニターに用いることも可能である。さらに、本発明の遺伝子担体は複数の遺伝子を同時に送達することが可能であり、複数の有効な増殖因子を組み込み投与することによって、より効率的かつ非侵襲的な治療が可能となると考えられる。
図1は、a)下肢虚血モデルマウス(ischemic model)のレーザードップラー血流計による測定イメージおよびb)血流量比(患肢/健肢)の変化を表したグラフである。 図2は、ischemic modelにおいて、本発明のB.longum菌を投与した群と投与しなかった群とで、血流量比の変化を比較したグラフである。投与群と非投与群では、血流量の変化に有意差は見られなかった。 図3はischemic model局所投与群の患肢と健肢から採取したサンプル中に存在する本発明のB.longum菌を検出した写真である。患肢においては投与後168時間経過時点でも多くの菌が観察されたのに対し、健肢ではほとんど観察されなかった。 図4は、ischemic model局所投与群の投与後168時間経過時点における患肢と健肢での菌数をそれぞれグラフに表したものである。
図5は、ischemic model全身投与群の健肢における一定の時間経過時点のB.longum菌の菌数変化をグラフにしたものである。全身投与群においても、48時間経過時点では菌はほとんど観察されず、72時間経過時点では観察されなかった。 図6は、ischemic model全身投与群の患肢における、経過時間に対する血流比の変化および菌数の変化をグラフにしたものである。投与後時間の経過とともに菌数が増大し、虚血部位への血流の回復とともに菌数が減少していく様子が観察される。 図7は、ischemic model全身投与群における、投与後4日経過時点での筋組織のグラム染色像である。健肢にはグラム染色された菌は観察されなかったのに対し、患肢では多くのグラム染色菌が観察された。 図8は、下肢虚血モデルマウス(ischemic model)と下肢壊死モデルマウス(necrotic model)の患肢/健肢血流比の時間変化を表すグラフである。necrotic modelの方が、虚血状態継続時間が長く、回復の程度も低いことがわかる。
図9は、necrotic model全身投与群の患肢における、経過時間に対する血流比の変化および菌数の変化をグラフにしたものである。投与後時間の経過とともに菌数が増大し、虚血状態が持続する間B.longum菌が生着・増殖し、虚血部位への血流の回復とともに菌数が減少していく様子が観察される。 図10は、necrotic model全身投与群の患肢における、患肢/健肢血流比に対するB.longum菌数をプロットした図である。血流比の増加とともに菌数が減少している様子が表れている。 図11は、ischemic model全身投与群の患肢、肺、腎臓、肝臓、脾臓および心臓中のB.longum菌検出試験の結果を表す写真である。上段左上が虚血肢、上段真ん中が肺、上段右が腎臓、下段左が肝臓、下段真ん中が脾臓、下段左が心臓の検出結果である。全身投与によっても、虚血性疾患部位である患肢以外の臓器では、投与したB.longum菌は観察されなかった。 図12は、necrotic model全身投与群の患肢、血液、腎臓、肝臓、脾臓および心臓中の、経過時間ごとのB.longum菌数を表すグラフである。投与直後は菌が多少観察されるものの、その後速やかに消失することがわかる。血液からは菌が検出されなかった。
図13は、心筋梗塞モデルの結紮部位および菌の投与箇所を表す模式図である。 図14は、心筋梗塞モデルミニブタの心臓の染色像を表す図である。a)はTTC染色像であり、梗塞部位(図中矢印で示した部分)が染色されておらず、梗塞部位であることを示している。b)、c)はそれぞれ、正常心筋部位および梗塞部位におけるMT染色像、HE染色像を表す。どちらの染色像でも、梗塞部位において心筋細胞の脱落および線維化の進行が観察された。 図15は、心筋梗塞モデルにおけるB.longum菌投与後4日および7日経過時点の、梗塞部位および健常部位でのB.longum菌数を表すグラフである。4日経過時点では健常部位においてもわずかに菌が観察されたものの、7日経過時点においては梗塞部位においてのみ菌が観察された。
図16は、本発明の遺伝子送達担体を形質転換する形質転換プラスミドの一態様であるpFGF12a構築のスキームを表した図である。 図17は、pFGF12aで形質転換したBifidobacterium longum 105Aの培養上清を用いたウェスタンブロッティングの結果を表す。ネガティブコントロールとしてpBEshuttleで形質転換したBifidobacterium longum105Aを用い、ポジティブコントロールとしてhFGF2を用いた。20kDa近辺にバンドが確認され、これはhFGF2であると考えられる。 図18は、pFGF12aで形質転換したBifidobacterium breve JCM1192の培養上清を用いたウェスタンブロッティングの結果を表す。ネガティブコントロールとしてpBEshuttleで形質転換したBifidobacterium breve JCM1192を用い、ポジティブコントロールとしてhFGF2を用いた。やはり20kDa近辺にバンドが確認され、これはhFGF2であると考えられる。
図19は、本発明の遺伝子送達担体であるBifidobacterium longum 105A/pFGF12aを含む医薬組成物を下肢虚血モデルのマウスに静脈注射し、下肢虚血部位における血流の変化を観察したグラフである。3日目においてすでにわずかに血流回復に差が生じているが、6日目以降には、本発明の遺伝子送達担体を投与した群において有意に血流が回復していた。 図20は、本発明の遺伝子送達担体であるBifidobacterium breve JCM1192/pFGF12aを含む医薬組成物を下肢虚血モデルのマウスに静脈注射し、下肢虚血部位における血流の変化を観察したグラフである。4日目においてすでにわずかに血流回復に差が生じているが、8日目以降には、本発明の遺伝子送達担体を投与した群において有意に血流が回復していた。
本発明は、虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現することができる嫌気性菌からなる遺伝子輸送担体に関する。
本発明において、「虚血」とは、血管の狭窄や閉塞により、組織に供給される動脈血量が減少することによる組織の酸素・栄養欠乏状態を意味し、持続的な虚血は組織の萎縮や変性、壊死などを生じる。
本発明の遺伝子送達担体は、主に血管新生治療、臓器の保護など、虚血によって引き起こされる好ましくない状態を改善する処置法において用いられるものである。したがって本明細書において「虚血性疾患」とは、自覚症状の有無に拘わらず、動脈の狭窄や閉塞により、組織の虚血が持続している状態、またはかかる虚血により引き起こされる好ましくない状態をいう。虚血性疾患としては、これに限定するものではないが例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞などの脳虚血、もやもや病などの慢性脳虚血、脊髄虚血、虚血性大腸炎、腸間膜動脈閉塞症などの虚血性腸疾患、閉塞性動脈硬化症などの下肢虚血、糖尿病網膜症などの網膜虚血などが挙げられる。
本明細書において「虚血性部位」とは、虚血によって動脈血量、栄養および酸素が減少している状態の部位を意味し、「虚血性疾患部位」または「虚血性疾患組織」と互換的に用いられる。
本明細書において、「嫌気性菌」とは、嫌気的性質を有する細菌を意味し、「嫌気的性質」とは、酸素が少ないまたはない条件下で生育可能な性質を意味する。一般的に嫌気性菌は、酸素の存在下でも生育可能な通性嫌気性菌と、酸素の存在下では生育できない偏性嫌気性菌とに分類できるが、本発明においては偏性嫌気性菌が好ましい。本発明の嫌気性菌が有する嫌気的性質は、細菌が生来有する性質であっても、形質転換によって得られたものであってもよい。
本発明の遺伝子輸送担体は、嫌気性菌からなるものであるため、嫌気的条件下にある虚血性疾患部位で特異的に生着、増殖することが可能である。そして、遺伝子輸送担体そのものが遺伝子の転写、翻訳機能を有しているため、虚血性疾患組織に生着した時点で診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現し、当該疾患組織に供給することが可能である。したがって、本発明の遺伝子輸送担体は、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質をコードするDNA配列を含んでいる。
本発明の一態様において、遺伝子輸送担体は形質転換用プラスミドで形質転換されている。形質転換用プラスミドとしては、遺伝子輸送担体の菌中で機能し、該菌の嫌気的性質を損なうものでなければ、いかなるプラスミドも用い得る。
上述の通り、本発明の遺伝子輸送担体である嫌気性菌が有する嫌気的性質は、形質転換によって得られたものであってもよく、したがって本発明の一態様において、嫌気性菌は、偏性嫌気性菌となるように形質転換されたものである。
本発明の好ましい態様において、遺伝子輸送担体は、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質をコードするDNA配列を有するプラスミドによって形質転換されている。虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現する能力を形質転換によって与えることにより、プラスミドの設計次第で任意のタンパク質を発現させることが可能となる。
本発明において、虚血性疾患には、虚血による急激な酸素濃度の低下によって組織にダメージが与えられる急性虚血性疾患と、長時間にわたる持続的な酸素濃度の低下により、組織が変性、壊死などを引き起こす慢性虚血性疾患とが包含される。本発明の遺伝子送達担体は、投与の後、疾患部位に選択的に送達され、生着し、送達部位に留まって効果を発現するため、好ましくは慢性的な虚血状態を改善するために用いられる。本明細書において、「慢性的な虚血状態」は「慢性虚血性疾患」と互換的に用いられ、これに限定するものではないが例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患、もやもや病などの慢性脳虚血、閉塞性動脈硬化症などの下肢虚血などが挙げられる。慢性虚血性疾患の改善処置としては、これに限定するものではないが、例えば血管新生療法などが挙げられる。
本発明の遺伝子輸送担体は、体内に投与することを前提とするものであるから、用いられる嫌気性菌は毒性を有さないかまたは毒性が低いものである必要がある。したがって、本発明の一態様において、遺伝子輸送担体は、病原性の菌を低毒性に変異化したものであり得る。しかしながら、低毒性に変異化した細菌は、逆変異化して元の病原性菌に戻り、有害性を発揮する可能性があるため、生来的に非病原性の細菌であることが好ましい。したがって、本発明の好ましい態様において、嫌気性菌は非病原性の腸内細菌を用いる。
本発明に用い得る非病原性腸内細菌としては、好ましくはビフィドバクテリウム属菌(ビフィズス菌)が挙げられる。ビフィドバクテリウム属細菌としては、例えばビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ビフィドバクテリウム・アングラタム、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・アステロイデス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ボウム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・コエリナム、ビフィドバクテリウム・コリネフォルメ、ビフィドバクテリウム・クニクリ、ビフィドバクテリウム・デンティコレンス、ビフィドバクテリウム・デンティウム、ビフィドバクテリウム・ガリクム、ビフィドバクテリウム・ガリナラム、ビフィドバクテリウム・グロボサム、ビフィドバクテリウム・インディクム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・イノピナタム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ラクテンティス、ビフィドバクテリウム・リベロラム、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・マグナム、ビフィドバクテリウム・メリシクム、ビフィドバクテリウム・ミニマム、ビフィドバクテリウム・モンゴリエンス、ビフィドバクテリウム・パルブロラム、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・サイクラエロフィラム、ビフィドバクテリウム・プロラム、ビフィドバクテリウム・ルミナレ、ビフィドバクテリウム・ルミナンチウム、ビフィドバクテリウム・サエクラレ、ビフィドバクテリウム・スカルドヴィ、ビフィドバクテリウム・サブタイル、ビフィドバクテリウム・スイス、ビフィドバクテリウム・テルマシドフィラム、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムなどが挙げられ、ビフィドバクテリウム・ロンガムが最も好ましい。
これらの菌は、いずれも市販されているか、または寄託機関から容易に入手することができる。例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC−15707、ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC−11863、ビフィドバクテリウム・インファンティスATCC−15697等は、ATCC(The American Type Culture Collection )から容易に入手することができる。
また、それぞれの菌の株についても特に限定されず、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムの株については、ビフィドバクテリウム・ロンガム105−A株、ビフィドバクテリウム・ロンガムaE−194b株、ビフィドバクテリウム・ロンガムbs−601株、ビフィドバクテリウム・ロンガムM101−2株を挙げることができ、中でもビフィドバクテリウム・ロンガム105−A株が好ましい。
ビフィドバクテリウム・ブレーベの株については、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ標準株(JCM1192)、ビフィドバクテリウム・ブレーベaS−1株、ビフィドバクテリウム・ブレーベI−53−8W株を挙げることができ、中でも、ビフィドバクテリウム・ブレーベ標準株、ビフィドバクテリウム・ブレーベaS−1株が好ましい。
ビフィドバクテリウム・インファンティスの株については、例えば、ビフィドバクテリウム・インファンティス標準株(JCM1222)、ビフィドバクテリウム・インファンティスI−10−5株を挙げることができ、中でも、ビフィドバクテリウム・インファンティス標準株、ビフィドバクテリウム・インファンティスI−10−5株が好ましい。
また、ビフィドバクテリウム・ラクテンティスの株については、例えば、ビフィドバクテリウム・ラクテンティス標準株(JCM1220)を挙げることができる。
本発明の遺伝子輸送担体は、虚血性疾患部位特異的に生着するため、該遺伝子輸送担体の存在を検出することで、虚血性疾患部位を診断することが可能となる。遺伝子輸送担体の検出は、例えば遺伝子輸送担体を標識することにより簡便に行うことができる。疾患の診断に用いるという観点から、検出は侵襲性が少ないことが好ましく、標識による送達対象への悪影響が少ないことが好ましい。したがって、本発明の好ましい態様において、遺伝子輸送担体は、診断に有用なタンパク質として蛍光タンパク質を発現する。蛍光タンパク質としては、各種の緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)などを挙げることができる。別の好ましい態様としては、
本発明の遺伝子輸送担体は、虚血性疾患部位特異的に生着するため、生着部位で発現したタンパク質は必然的に虚血性疾患部位特異的に送達されることとなる。したがって、本発明の遺伝子輸送担体に、虚血性疾患の治療に用いるタンパク質を発現させることにより、効果的に虚血性疾患を処置することができる。したがって本発明の好ましい態様において、遺伝子輸送担体は、虚血性疾患の治療に有用なタンパク質を発現する。
虚血性疾患の治療に有用なタンパク質としては、これに限定するものではないが、例えば血管新生促進活性を有するタンパク質、血管拡張に関与するタンパク質などが挙げられる。血管新生促進活性を有するタンパク質としては、これに限定するものではないが、例えば線維芽細胞増殖因子(FGF)、内皮細胞増殖因子(ECGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝実質細胞増殖因子(HGF)、血管増殖因子(AGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、アンギオポイエチン、エフリンなどが挙げられ、血管拡張に関与する因子としては、プロスタグランジン類などが挙げられる。他の治療に有用なタンパク質としては、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのコロニー刺激因子、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3などのニューロトロフィン、インスリン様成長因子(IGF)などが挙げられる。
本発明の遺伝子輸送担体の形質転換に用い得るプラスミドは、上述の通り、遺伝子輸送担体の菌中で機能し、該菌の嫌気的性質を損なうものでなければ、いかなるプラスミドであってもよい。しかしながら、送達対象の体内において、形質転換に用いたプラスミドが、例えば大腸菌など、体内の別の細菌に水平伝達される可能性があり、その場合、水平伝達された別の細菌でプラスミドが複製され、その結果意図しない部位でプラスミドがコードするタンパク質が発現する危険性が否定できない。したがって、好ましい態様において、形質転換プラスミドは非シャトルプラスミドである。
本明細書において、「シャトルプラスミド」とは、2種以上の異なる宿主において複製可能なプラスミドを意味し、「シャトルベクタープラスミド」と互換的に用いられる。したがって、「非シャトルプラスミド」とは、1種の宿主のみにおいて複製可能なプラスミドを意味する。
本発明の遺伝子輸送担体は、形質転換プラスミドによってコードされるタンパク質を菌体中で産生するが、かかるタンパク質は菌体外に放出されて初めて治療効果を奏するものであるため、通常菌体外に分泌されないタンパク質を用いて治療効果を発揮させるためには、菌を殺破壊する必要がある。この問題を解消するため、好ましい態様において、形質転換用プラスミドは、さらに分泌シグナルペプチドをコードする遺伝子配列を含む。
本明細書において、「分泌シグナルペプチド」とは、菌体内で産生されたタンパク質を菌体外に分泌させる機能を有する、タンパク質の末端に存在するペプチド配列を意味する。用い得る分泌シグナルペプチドとしては、これに限定するものではないが、例えば、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティスのamyBやビフィドバクテリウム・ブレーベのSec1、Sec2、Sec3、配列番号1〜22に記載のDNA配列によってコードされるペプチドなどが挙げられる。
本発明の遺伝子輸送担体は、例えば、以下のようにして作製することができる。
例えば、通常の手法に従って、形質転換菌と形質転換菌以外の菌、例えばビフィズス菌と大腸菌でそれぞれ機能する複製開始点を有するシャトルプラスミドに、少なくとも1種の、所望の虚血性疾患の診断または治療に有用な蛋白質をコードする遺伝子を挿入する事により、シャトルプラスミドを作製することができる。
そして、所望に応じて、このシャトルプラスミドから形質転換菌以外の菌の複製開始点を除去することにより、非シャトルプラスミドを作製することができる。
さらに、所望に応じて、プロモーター遺伝子を、少なくともビフィズス菌で機能する分泌シグナルおよびそのプロモーター遺伝子に代え、ターミネーター遺伝子を、前記ビフィズス菌で機能する分泌シグナルペプチドのターミネーター遺伝子に代えることにより、さらに分泌シグナルペプチドをコードする遺伝子配列を含むプラスミドを作製することができる。
なお、上記各工程における操作は、遺伝子工学分野の公知の方法に準じて行うことができる。
そして、形質転換する任意の嫌気性菌を、上記形質転換用プラスミドを用いて、遺伝子工学分野の公知の方法にしたがって形質転換する事により作製することができる。
本発明はさらに、上記遺伝子輸送担体を含む、虚血性疾患用医薬組成物に関する。
本発明の医薬組成物は、本発明の遺伝子輸送担体を含有している限り特に制限はされない。本発明の遺伝子輸送担体は、少なくとも1種含まれていればよく、2種以上含まれていてもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、本発明の遺伝子輸送担体以外の虚血性疾患治療効果を示す化合物を含有する医薬組成物や虚血性疾患治療剤と組み合わせて用いることができる。
また、本発明の医薬組成物は、本発明の効果を妨げない限り、本発明の遺伝子輸送担体のほかに任意の成分を含有していてもよい。そのような任意成分として、例えば、薬理学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物の剤型は特に制限されないが、例えば、本発明の遺伝子輸送担体を含有する液剤あるいは固形製剤を挙げることができる。液剤は、本発明の遺伝子輸送担体の嫌気性菌の培養液を精製し、これに必要に応じて適当な生理食塩液もしくは補液または医薬添加物を加えてアンプルまたはバイアル瓶などに充填することにより製造することができる。また、固形製剤は、液剤に適当な保護剤を添加してアンプルまたはバイアル瓶などに充填した後凍結乾燥またはL乾燥するか、液剤に適当な保護剤を添加して凍結乾燥またはL乾燥した後これをアンプルまたはバイアル瓶などに充填することにより製造することができる。
本発明の医薬組成物の投与方法としては、経口投与、非経口投与共に可能であるが、非経口投与が好ましく、例えば静脈注射、皮下注射、局所注入、脳室内投与等を行うことができ、静脈注射、すなわち全身投与が最も好ましい。
本発明の医薬組成物の遺伝子輸送担体の投与量は、疾患部位において生育でき、且つ、有効治療量の活性タンパク質を発現するのに十分な量である限り特に制限はされないが、経済上の観点および副作用を可能な限り回避する観点から、必要な治療効果が得られる範囲においてできる限り少ない方が好ましい。
本発明の医薬組成物における遺伝子輸送担体の投与量は、疾患の程度、患者の体重、年齢、性別に応じて適宜選択し、改善の度合いに応じて適宜増減することができる。
例えば、本発明の医薬組成物を用いる際には、用いる嫌気性菌の菌自体が示す疾患治療活性、用いる嫌気性菌が産生する疾患治療活性を有するタンパク質等の種類、および用いる嫌気性菌の当該活性タンパク質の産生量などによって、適宜設定する。
具体的には、例えば静脈内投与の場合には、特に、菌塊による塞栓等のリスクを低減することが求められるため、できるだけ低濃度の注射用製剤を複数回に分けて分注するか、または適当な補液で希釈して持続注入することが好ましい。例えば、成人の場合、本発明の嫌気性菌の菌体を、体重1kg当たり10〜1012cfuを1日1〜複数回に分け、1〜複数日間、連続してまたは適宜、間隔をおいて投与する。より具体的には、本発明のビフィズス菌の菌体を10〜1010cfu/mL含有する製剤を、成人1人あたり1〜1000mLを直接、または適当な補液で希釈して、1日1〜数回に分け、1〜数日連続して投与する。
また、疾患組織へ直接投与する局所投与の場合は、できるだけ疾患組織全体へ菌が生着、増殖することが求められるため、高濃度の注射剤を、疾患組織の複数個所に投与することが望ましい。例えば、成人の場合、本発明のビフィズス菌の菌体を、体重1kg当たり10〜1012cfuを1日1〜複数回、必要に応じ1〜複数日間、連続してまたは適宜、間隔をおいて投与する。より具体的には、本発明のビフィズス菌の菌体を10〜1010cfu/mL含有する製剤を、成人1人あたり1〜1000mLを直接、1日数回、必要に応じ1〜数日連続して投与する。
治療期間中に疾患組織中の菌が消失していることが確認された場合は、一旦治療を中断し、上記と同様にして菌を投与する。
なお、本発明における「XとYと組み合わせてなる」には、XとYを別の形態としたもの、XとYを同一の形態(例えばXとYを含有する形態)としたもののいずれの場合も含む。また、XとYを別の形態としたものの場合、X、Yのいずれも他の成分をさらに含有している場合も含まれる。
本発明の遺伝子送達担体は、虚血性疾患部位特異的に生着、増殖するものであり、嫌気的環境下にない正常組織においては増殖することがない。したがって、虚血性疾患部位を狙った局所投与でなくても、疾患部位特異的に遺伝子が送達される。したがって、投与の簡便さ、侵襲性の低さなどの観点から、好ましくは、本発明の医薬組成物は全身投与される。
本発明の一側面には、上記の嫌気性菌からなる遺伝子輸送担体を用いて虚血性疾患を診断または処置する方法が含まれる。本発明の遺伝子輸送担体を用いることにより、高効率で安全性の高い診断または治療が可能となる。
本発明の方法において、本発明の遺伝子輸送担体を、虚血性疾患を有する対象に投与する。投与方法としては、経口投与、非経口投与共に可能であるが、非経口投与が好ましく、例えば静脈注射、皮下注射、局所注入、脳室内投与等を行うことができ、静脈注射、すなわち全身投与が最も好ましい。
したがって、本発明の方法の好ましい一態様において、本発明の遺伝子輸送担体を全身投与する。本発明の遺伝子輸送担体は、遺伝子を虚血性疾患部位特異的に送達することができるため、カテーテルや筋肉内注射などを用いずに、静脈注射などの全身投与した場合であっても、虚血性疾患部位に生着、増殖して効果を発揮することができる。したがって、従来の治療法と比較しても非常に侵襲性が低い治療が可能となる。
以下、参考例および実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
例1:マウス下肢虚血モデル実験
本発明の遺伝子送達担体の、虚血性疾患部位への特異的送達性を検証するため、下肢虚血のマウスモデルを作製し、本発明の遺伝子送達担体を投与して検討した。
(1)モデル作製
実験動物は8−9週齢、オスのC57BL/6マウス(日本チャールズリバー社より入手)を使用し、以下の手順で下肢虚血モデル(ischemic model)マウスを作製した。麻酔は3.6%抱水クロラール(ナカライテスク株式会社より入手)を腹腔内に0.3ml注射した。腹部から下腿の除毛を行ったのち総大腿動脈から膝窩動脈を7−0ポリプロピレン糸にて結紮し、大腿動脈を切除した。創内を生理食塩水で洗浄後、創を5−0ナイロン糸にて縫合した。
(2)レーザードップラー血流計による血流測定
マウスを麻酔後、レーザードップラー血流計(Moor Instruments社製)を用いて、(3)の下肢筋肉摘出前に血流測定を行った。下腿部から指先までの血流を両側について定量し、患側/健側比にて表した。血流測定はモデル作製直前、直後、1、2、3、4、5、7、10、14、21、28日後に行った。
結果を図1および2に示す。かかる下肢虚血モデルにおいては、術後健肢に対する患肢の血流量が2割以下となるが、術後1週間で4割程度まで回復し、術後4週間では6割程度まで回復した(図1)。(3)でB.longum菌を投与した群と投与していない群とで、血流の変化を比較した。投与群と非投与群では、術後の血流変化の挙動に有意な差は観察されず(図2)、B.longum菌の存在は虚血状態に影響を与えないことがわかった。
(3)B.longum菌の投与および検出
pBLES100プラスミドで形質転換し、スペクチノマイシン耐性菌としたB.longum菌をMRS培地(関東化学株式会社より入手)で2回継代した。2回継代した培養液を、生理食塩水を用いて遠心洗浄を行い、生理食塩水で懸濁して使用した。局所投与モデルとして、下肢虚血モデル作製直後に虚血肢および健肢にそれぞれ上記B. Longum菌を1×10cfu/ml×0.1ml×2ヶ所筋肉内注射投与した。全身投与モデルとして、尾静脈にB.longum菌を1×10cfu/mlの濃度で0.2ml投与した。菌を投与してから1、2、3、4、5、7、10、14日後に、各投与モデルの、左右それぞれの下肢筋肉を摘出した(各n=5)。各組織をホモジナイズした後、BLプレートに塗布して37℃、嫌気的条件下で3日間培養した。培養後に各プレートのコロニー数を測定し、虚血肢および健肢の菌数を求めた。
結果を図3〜図6に示す。局所投与の場合、術後24時間経過の時点で、健肢に比べ患肢でより多数の菌の集積を認めた。健肢ではその後時間経過に伴って菌数の減少がみられ、術後168時間経過の時点では菌はほとんど観察されなかった。それに対し患肢では術後168時間経過時点でも多くの菌が観察された。術後168時間経過時点での筋肉組織1gあたりの菌数は、健肢が4.8×10個であったのに対し、患肢では4.1×10個と、有意に差が見られた(p=0.039、n=3)(図3および4)。
同様の結果が全身投与の場合においても観察された。すなわち、健肢においては術後24時間経過時点では約0.6×10個の菌が観察されたものの、術後48時間経過時点では約0.1×10個となり、術後72時間経過時点では観察されなかった。それに対し患肢では、術後24時間には約3.5×10個もの菌が観察され、時間経過とともにその数が増大し、術後4日経過の時点で最大で約2.7×10個ほどの菌が観察された。その後血流の回復とともに菌数は減少し、術後10日の時点では観察されなかった(図5および6)。局所投与の場合と比較して全身投与は、菌の生着に多少時間がかかるものの、静脈への投与であっても虚血性疾患部位に特異的に生着することがわかった。血流比が最低となる4日目で菌数が最高値を示し、その後血流比の改善に伴い菌数が低下することから、B.longum菌は虚血の程度にしたがって生育する可能性が示唆された。
(4)組織学的解析
(3)と同様にマウスへB.longum菌を投与した後、96時間後に下肢筋肉を摘出した。下肢筋肉を20%中性緩衝ホルマリンに48時間浸し組織を固定した。その後パラフィン包埋しパラフィンブロックとした。パラフィンブロックを3μmの厚さにカットし、スライドガラスにのせて24時間44℃で風乾し、パラフィン組織切片スライドとした。脱パラフィン後グラム染色を行った。グラム染色はグラム染色液neo-B&Mワコー(和光純薬工業株式会社)を用いた。染色後、光学顕微鏡で観察した。
結果を図6に示す。健肢においてはグラム染色された菌は検出されなかったが、患肢においてはグラム染色された細菌が観察され、投与したB.longum菌が生着していることが確認された。
例2:マウス下肢壊死モデル実験
(1)モデル作製
例1において、血流の回復とともにB.longum菌の生着数が減少していることが示唆されたが、このことを確認するため、より重度の虚血状態のモデルである下肢壊死モデル(necrotic model)マウスを作製した。実験動物は6−7週齢、オスのBALB/cマウス(日本チャールズリバー社より入手)を使用した。麻酔は3.6%抱水クロラール(ナカライテスク株式会社)を腹腔内に0.3ml注射した。腹部から下腿の除毛を行ったのち総大腿動脈から浅大腿動脈までを7−0ポリプロピレン糸にて結紮し、大腿動脈を切除した。創内を生理食塩水で洗浄後、創を5−0ナイロン糸にて縫合した。
(2)レーザードップラー血流計による血流測定
例1と同様に、血流を測定した。結果を図8に示す。necrotic modelはischemic modelと比較して血流回復のタイミングが遅く、最終的な血流量も健肢と比較して約30%程度であり、約60%程度まで血流が回復するischemic modelと比較しても、回復の程度が半分程度と低いことがわかった。
(3)B.longum菌の投与および検出
例1と同様にB.longum菌を全身投与し、健肢および患肢筋肉組織を検査した。結果を図9および10に示す。necrotic modelでは、ischemic modelと比較して長期間にわたってB.longum菌が患肢に存在することがわかった。そしてischemic modelと同様、血流の回復とともに菌数が減少し、ある程度血流が回復した時点で菌が観察されなくなった。以上の結果から、B.longum菌は、どの程度の期間であっても、虚血状態が持続している間は患肢において生着、増殖しており、血流の回復(すなわち虚血状態からの回復)とともに菌数が減少を始めることがわかった。したがって、B.longum菌は虚血状態にある組織に特異的に送達され、導入した遺伝子を発現し、虚血状態の回復とともに消失する性質を有し、虚血性疾患の診断および治療において優れた効果を発揮することが期待できる。
例3:安全性試験
上述の下肢虚血モデル(ischemic model)マウスおよび下肢壊死モデル(necrotic model)マウス両者について安全性試験を行った。菌を投与してから2,3,4,6,7日後に、各投与モデルの、腎臓、肝臓、脾臓、心臓を摘出した(各n=3)。またこれらの臓器に加え、ischemic modelでは肺を、necrotic modelでは血液をさらに摘出した。各組織をホモジナイズした後、BLプレートに塗布して37℃、嫌気的条件下で3日間培養した。培養後に各プレートのコロニー数を測定し、各組織の菌数を求めた。
結果を図11および12に示す。ischemic modelにおいては全身投与168時間後には、患肢以外のいずれの臓器においてもB.longum菌は観察されなかった。necrotic modelにおいても、全身投与3日後までは全身の各臓器でB.longum菌が観察されたものの、6日後には脾臓以外の臓器では観察されなくなった。また、投与群と非投与群を比較しても、下肢潰瘍形成率および膿瘍形成率に有意な差は認められず、膿瘍からB.longum菌が優位に分離されることもなかった。以上の結果から、B.longum菌は、健常な臓器からは速やかに消失し、また虚血状態そのものや併発症の悪化など、疾患に対して悪影響を及ぼすものでもないことがわかった。
例4:ミニブタ心筋梗塞モデル試験
別の代表的な虚血性疾患としては心筋梗塞などの虚血性心疾患が挙げられるが、近年虚血性心疾患に対しても血管新生治療、特に遺伝子導入による血管新生治療が試みられている。しかしながら他の虚血性疾患における問題点と同様の問題点が虚血性心疾患の治療においても挙げられる。特に虚血性心疾患においては、局所投与法としては冠動脈カテーテルを用いた動脈注射、冠動脈カテーテルを用いた局所注射、開胸下心筋内注射など、非常に高侵襲な方法が必要であり、血管新生療法は経皮的冠動脈形成術(PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)などの他の治療法の適用ができない対象に対して特に恩恵があると考えられるにもかかわらず、現時点では他の治療法との併用が主となっている。
そこで、心筋梗塞においても本発明の遺伝子送達担体が有効に機能することを確認するため、以下の通り実験を行った。
(1)モデル作製
実験動物は、オスのゲッチンゲン系ミニブタ(15kg)(中外医科学研究所より入手)を使用した。ケタラール(三共株式会社より入手)15mg/kgと硫酸アトロピン(田辺製薬株式会社より入手)(25mg)を筋肉注射したのち、吸入麻酔であるフローセン(武田薬品工業株式会社より入手)(2%〜5%)により麻酔状態を維持した。開胸後、左冠状動脈前下行枝を3−0シルク糸で結紮した。術中に2%キシロカイン(アストラゼネカ株式会社より入手)(1ml〜2ml)を投与した。閉胸前にラクテック(大塚製薬株式会社より入手)100mlで心嚢内を洗浄した。
(2)組織学的解析
心筋梗塞確認のために塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)染色、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色およびマッソン・トリクローム(MT)染色を行った。TTC染色は心筋梗塞モデル作製7日後に摘出した心臓を5mmの厚さにスライスし、1%TTC液(SIGMAより入手)中、37℃で5分インキュベーションした。その後、肉眼的に観察した。
ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色は脱パラフィン後、ヘマトキシリンで30秒から1分間染色し、流水にて10分間洗浄した後、0.5%エオジン溶液で30秒染色した。染色後、脱水、透徹および封入し、光学顕微鏡で観察した。
マッソン・トリクローム(MT)染色は各切片をブアン固定したあと流水水洗を10分間行った。水洗後、10%重クロム酸カリウム10%トリクロール酢酸等量混合液に10分浸した後、鉄ヘマトキシリン染色液に5分間浸し、流水水洗を5分間行った。水洗後、ポンソー酸フクシンアゾフロキシン液に1分間浸した後2.5%リンタングステン酸溶液に10分間浸した。2%オレンジG液に5分間切片を浸した後、1%酢酸水で洗浄し、ライトグリーン液にて3分間染色した後、1%酢酸水で洗浄した。脱水、透徹、封入はHE染色と同様の過程で行った。
結果を図14に示す。TTC染色では左室前壁および心室中隔の前壁よりに貫壁性の梗塞部位を認めた。また、MTおよびHE染色にて同部位の心筋細胞の脱落と膠原線維の増生を認め、心筋梗塞が完成されていることが確認された。
(3)B.longum菌の投与および検出
B.longum菌を例1と同様に調製し、心筋梗塞モデル作製直後にB.longum菌を1×10cfu/mlの濃度で、0.1mlを1cmおきに等間隔で健常部位と梗塞部位に心筋内投与した(図13参照)。菌を投与してから4日および7日後(各n=2)に心臓を摘出して梗塞部位と健常部位に分け、ホモジナイズした後、BLプレートに塗布して37℃、嫌気的条件下で3日間培養した。培養後に各プレートのコロニー数を測定し、梗塞部位および健常部位の菌数を求めた。
結果を図15に示す。投与4日後においては、健常部位でわずかに菌が検出されたものの、梗塞部位において有意に菌が観察された。投与7日後には、健常部位からは菌は検出されなくなり、梗塞部位のみにおいて菌が観察された。このことから、心筋梗塞においてもB.longum菌は梗塞部位特異的に生着、増殖することがわかった。
例5:hFGF2分泌Bifidobacteriumの構築
(1)発現プラスミドベクターp37の構築
プラスミドpCDshuttle(国際出願第2009/128272号)を鋳型として、CDvecF3プライマー(配列番号23)およびpUCoriR5プライマー(配列番号24)を用いたPCRを行い、PCR産物をベクターとした。Bifidobacterium 1ongum 105AのゲノムDNAを鋳型としてPins37Fプライマー(配列番号25)およびPins37Rプライマー(配列番号26)にて増幅したPCR産物をインサートとした。PCRは常法にて実施した。
上記ベクターおよびインサートを、In-Fusion HD Cloning KitおよびCloning Enhancer(タカラバイオ株式会社)を用いて繋げ(以下in-fusion反応と記載)、反応液の一部を用いて大腸菌TOP10 chemically competent cell(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を形質転換した。詳細は製品説明書に従った。形質転換大腸菌は、LB(75μg/mLスペクチノマイシン含有)寒天培地に塗布し、37℃にて一晩静置培養した。
上記プレート上のよく分離したコロニーを拾い、LB(75μg/mLスペクチノマイシン含有)液体培地にて37℃で一晩振とう培養後、これより、QIAprep Spin Miniprep Kit(株式会社キアゲン)を用いてプラスミドDNAを抽出した。このプラスミドDNAの全長についてシーケンス解析を行い、配列を確認した。完成したプラスミド名をp37(配列番号39)とした。
(2)hFGF2発現プラスミド(非分泌型)の構築
ヒトFGF2発現(非分泌型)プラスミドpFGF-P37の構築概要を図16に示した。ベクターを以下のように、調製した。即ち、プラスミドP37を鋳型として、FGF1プライマー(配列番号27)およびFGF7プライマー(配列番号28)を用いてPCRを行い、P37プロモーター(配列番号29)、Huターミネーター、pTB6レプリコン(ビフィズス菌中でのプラスミドレプリコン)、AAD9カセット(スペクチノマイシン耐性遺伝子発現ユニット)、pUCori部分(大腸菌中でのプラスミド複製起点)からなる約3.8kbpのDNAを増幅し、これをベクターとした。ベクターの末端15bpが、以下に示すインサート末端15bpと同配列になるようプライマーを設計した。DNAの増幅には、PrimeSTAR HS(Premix)(タカラバイオ株式会社)を使用し、PCR条件は同酵素の製品説明書に従った。
インサートを以下のように調製した。即ち、hFGF2(GenBank Accession No. #NM_002006のAUGより翻訳開始の約18kDaのタンパク質)のアミノ酸配列に基づき、コドンをビフィズス菌用に最適化したDNAを人工合成した(GenScript社に依頼)。その際に、hFGF2コードタンパク質のC末端にヒスチジンタグが融合するようDNAをデザインした(配列番号30)。この合成DNAを鋳型として、FGF3プライマー(配列番号31)およびFGF4プライマー(配列番号32)にて上記と同様にPCR増幅を行い、約0.5kbpのDNA増幅産物をインサートとした。
上記ベクターおよびインサートを、In-fusion反応により繋げた。詳細は、製品説明書に従った。In-fusion反応液を、0.1×TEにて適宜希釈し、このうち2μLを用いて、大腸菌TOP10 chemically competent cell(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を形質転換した。詳細は製品説明書に従った。形質転換大腸菌は、LB(75μg/mLスペクチノマイシン含有)寒天培地に塗布し、37℃にて一晩静置培養した。
上記プレート上のよく分離したコロニーを拾い、LB(75μg/mLスペクチノマイシン含有)液体培地にて37℃で一晩振とう培養後、これより、QIAprep Spin Miniprep Kit(株式会社キアゲン)を用いてプラスミドDNAを抽出した。プラスミドDNAの一部を用いてhFGF2発現ユニットのDNA配列を確認した。シーケンス反応は、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を使用し、詳細は製品説明書に従った。シーケンス反応液の電気泳動は、信州大学ヒト環境科学研究支援センター機器分析部門に依頼した。データ解析には、Genetyx Ver.10を使用した。完成したプラスミド名をpFGF-P37(配列番号33)とした。
(3)分泌型hFGF2発現プラスミドの構築
ヒトFGF2発現(分泌型)プラスミドpFGF12aの構築概要を図16に示した。上記プラスミドpFGF-P37を鋳型として、FGF35プライマー(配列番号34)およびFGF26プライマー(配列番号35)を用いてPCRを行い、約4.2kbpのDNA増幅産物をベクターとした。
別に、Bifidobacterium longum 105A株のゲノムDNAを鋳型として、FGF45プライマー(配列番号36)およびFGF17プライマー(配列番号37)にてPCRを行い、約0.2kbpのDNA増幅産物をインサートとした。インサートは、分泌シグナルを含んでおり、B. breve UCC2003のSec2(Shkoporov AN et. al., Biotechnol Lett (2008) 30: 1983-1988参照)のN末端配列がよく保存されている。ベクターおよびインサートの増幅には、PrimeSTAR HS(Premix)(タカラバイオ株式会社)を使用し、PCR条件は同酵素の製品説明書に従った。
上記ベクターおよびインサートを、上記、FGF発現プラスミド(非分泌型)の構築時と同様に、In−fusion反応にて連結し、大腸菌TOP10を形質転換、プラスミドのhFGF2発現ユニット部分のDNA配列を確認し、完成したプラスミド名をpFGF12a(配列番号38)とした。hFGF2発現ユニット部分の構成は以下の通りである。
・P37プロモーター:配列番号38の塩基番号14から275、
・hFGF2コード領域の構成:配列番号38の塩基番号276から902
・シグナル配列:配列番号38の塩基番号276から419
・hFGF2配列:配列番号38の塩基番号420から881
・ヒスチジンタグ配列:配列番号38の塩基番号882から899
・終始コドン:配列番号38の塩基番号900から902
・Huターミネーター:配列番号38の塩基番号903から1016
また、同ユニットがコードするアミノ酸配列を配列番号40に、更にその構成を以下に示す。
・hFGF2コード領域の構成:配列番号40のアミノ酸番号1から208
・シグナル配列:配列番号40のアミノ酸番号1から48(うち、アミノ酸番号1〜37が推定シグナルペプチド領域であり、アミノ酸番号38〜48が推定スペーサー領域であり、アミノ酸番号37と38との間が推定切断箇所)
・hFGF2配列:配列番号40のアミノ酸番号49から202
・ヒスチジンタグ配列:配列番号40のアミノ酸番号203から208
(4)組換えビフィズス菌の作製
Bifidobacterium longum 105A株およびBifidobacterium breve JCM1192株のコンピテントセルを、Rossi et al., Letters in Applied Microbiology (1997) 24: 33-36に記載の方法に準じて作製した。即ち、IMR培地にて対数増殖期初期まで培養した上記ビフィズス菌をPBSバッファーにて洗浄後、KMRバッファーにて懸濁し、液体窒素にて急速凍結したものをコンピテントセルとした。コンピテントセルを氷上にて融解後、上記プラスミドpFGF12aあるいはpBEshuttle(国際公開第2011/093465号に記載のmockベクター、FGF発現なし)を混合し、Gene Pulser II(バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社)を用いてエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーションは、0.2cmギャップのキュベットを用いて、2kV、25μF、200Ωの条件で行った。形質転換後のビフィズス菌を、IMR(75μg/mLスペクチノマイシン含有)寒天培地に塗布し、37℃にて2日間嫌気培養を行なった。寒天培地上に形成したよく分離したコロニーを釣菌し、組換えビフィズス菌を取得した。
(5)タンパク質発現解析(ウェスタンブロッティング)
ビフィズス菌培養用培地として、MRS培地(oxide)10mLに、350mg/mLのアスコルビン酸および20mg/mLのL−システインを含むビタミンC/システイン溶液200μLおよび75mg/mLスペクチノマイシン溶液10μLを添加した。この調整培地に、上記組換えビフィズス菌B. longum 105A/pFGF12aおよびB. longum 105A/pBEshuttleを植菌し、37℃にて24時間嫌気培養した(活性化培養液)。活性化培養液を、上記調整培地にさらにリン酸ナトリウムバッファーを166mMになるよう添加した培地に植菌し、37℃にて18時間嫌気培養した。
上記と同様に、Bifidobacterium breve JCM1192/pFGF12aおよびBifidobacterium breve JCM1192/pBEshuttleの培養も実施した。ただし、MRS培地ではなくRCM培地を使用した。ビタミンC/システイン溶液は添加しなかった。
上記組換えビフィズス菌培養液上清を常法に従いトリクロロ酢酸(TCA)沈殿し、1×SDSサンプルバッファーにて再溶解した。これを、95℃にて3分間加熱処理し、ウェスタン解析に供した。
上記試料を、ミニプロティアンTGXゲル(4〜20%、バイオ・ラッド)を用いて1×SDSバッファーにて電気泳動した。電気泳動装置は、Mini PROTEAN Tetra System(バイオ・ラッド)を用いた。電気泳動後のゲルを、iBlot Gel Transfer Deviceを用いてiBlot Transfer Stacks に転写した。転写後のメンブランをTTBSにて約5分、3回の洗浄を行った後、2%ブロッキング溶液(ブロックエース)にてブロッキングした。一次抗体として、Anti FGF-2 human rabbit poly(H-131、 Santa Cruz Biotechnology Inc.)を加え、4℃にて一晩振とうした。一次抗体反応後、メンブランをTTBSにて約5分の洗浄を6回繰り返し、二次抗体Goat anti-rabbit IgG HRP(Santa Cruz Biotechnology Inc.)を加え、室温にて3.5時間振とうした。このメンブランをTTBSにて約5分の洗浄を6回繰り返した後、ECL Advance Western Blotting Detection Kit(GEヘルスケア社製)内の発光試薬にて発光させた。これを、イメージングアナライザー(Fluor-S MAX、バイオ・ラッド)にて検出した(図17および図18)。
(6)タンパク質発現解析(ELISA)
培養上清を、TCA沈殿工程前まで上記と同様の方法にて調製し、human FGF2 ELISAキット(Quantikine(R) ELISAHuman FGF basic Immunoassay、R&D systems、カタログ番号:DFB50)にてhFGF2量を定量した。
培養上清中のhFGF2量は、B. longum 105A/pFGF12aにて33,058pg/mL、陰性コントロールのB. longum 105A/pBEshuttleでは0pg/mLであった。Bifidobacterium breve JCM1192/pFGF12aにて11,429pg/mL、陰性コントロールのBifidobacterium breve JCM1192/pBEshuttleでは0pg/mLであった。
例6:マウス下肢虚血モデルによるin vivoでの治療効果検証
本発明の遺伝子送達担体の、虚血性疾患部位での治療効果を検証するため、下肢虚血のマウスモデルを作製し、ヒトFGF2分泌ビフィズス菌を投与して検討した。
(1)モデル作製
実験動物は6−8週齢、メスのBalb/cマウス(日本チャールズリバー社より入手)を使用し、以下の手順で下肢虚血モデル(ischemic model)マウスを作製した。麻酔は3.6%抱水クロラール(ナカライテスク株式会社より入手)を腹腔内に0.3ml注射した。腹部から下腿の除毛を行ったのち総大腿動脈、深大腿動脈、浅大腿動脈を8−0ポリプロピレン糸にて結紮し、浅大腿動脈を部分切除した。創内を生理食塩水で洗浄後、創を5−0ナイロン糸にて縫合した。
(2)レーザードップラー血流計による血流測定
マウスを麻酔後、レーザードップラー血流計(Moor Instruments社製)を用いて、血流測定を行った。下腿部から指先までの血流を両側について定量し、患側/健側比にて表した。血流測定はモデル作製直後、3〜4、6および8日後に行った。
(3)遺伝子組み換えB.longum菌の投与
ヒトFGF2分泌ビフィズス菌およびコントロールとして非分泌ビフィズス菌をMRS培地(関東化学株式会社より入手)で2回継代した。2回継代した培養液を、生理食塩水を用いて遠心洗浄を行い、生理食塩水で懸濁して使用した。モデル作製翌日、眼窩静脈叢に菌を1×10cfu/mlの濃度で0.2ml投与し、上述(2)の如く下肢血流を測定した。
結果を図19および20に示す。図19はヒトFGF2分泌B.longum菌の、図20はヒトFGF2分泌B. breve菌の、血流改善効果を示したものである。ヒトFGF2分泌B.longum菌においては6日目以降にPBS群に比べ有意な血流改善効果を示した。(longumFGF12a対PBS;6日目において、0.41±0.11対0.14±0.02;8日目において、0.55±0.11対0.32±0.08)また、ヒトFGF2分泌B. breve菌においては8日目に有意な血流改善効果を示した。(breveFGF12a対breveコントロール、0.67±0.11対0.38±0.02)なおいずれの群においてもFGF非分泌菌投与群(コントロール)とPBS投与群の間には有意な差は認めなかった。
本発明の遺伝子送達担体により、虚血性疾患部位に特異的に生着、増殖し、疾患状態の改善とともに消失する遺伝子送達担体を提供することが可能となる。したがって、従来の方法と比較して血管新生療法を低侵襲で簡便に行うことが可能となる。また、遺伝子送達担体そのものが細菌からなるため、目的部位への遺伝子の導入効率などが問題にならず、従来と比較して非常に高効率な処置を行うことが可能となる。これにより、高齢者など、本来血管新生療法が効果的であるはずなのに侵襲性の高さや全身性の副作用が障害となって処置できなかった対象などに対しても有効に処置が可能となる。

Claims (19)

  1. 虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質を発現することができる嫌気性菌からなる遺伝子輸送担体。
  2. 嫌気性菌が、形質転換用プラスミドで形質転換されたものであり、該プラスミドが虚血性疾患の診断もしくは治療に有用なタンパク質をコードするDNA配列を含む、請求項1に記載の遺伝子輸送担体。
  3. 虚血性疾患が、慢性虚血性疾患である、請求項1または2に記載の遺伝子輸送担体。
  4. 嫌気性菌が、非病原性の腸内細菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  5. 嫌気性菌が、ビフィズス菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  6. ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ビフィドバクテリウム・アングラタム、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・アステロイデス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ボウム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・コエリナム、ビフィドバクテリウム・コリネフォルメ、ビフィドバクテリウム・クニクリ、ビフィドバクテリウム・デンティコレンス、ビフィドバクテリウム・デンティウム、ビフィドバクテリウム・ガリクム、ビフィドバクテリウム・ガリナラム、ビフィドバクテリウム・グロボサム、ビフィドバクテリウム・インディクム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・イノピナタム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ラクテンティス、ビフィドバクテリウム・リベロラム、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・マグナム、ビフィドバクテリウム・メリシクム、ビフィドバクテリウム・ミニマム、ビフィドバクテリウム・モンゴリエンス、ビフィドバクテリウム・パルブロラム、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・サイクラエロフィラム、ビフィドバクテリウム・プロラム、ビフィドバクテリウム・ルミナレ、ビフィドバクテリウム・ルミナンチウム、ビフィドバクテリウム・サエクラレ、ビフィドバクテリウム・スカルドヴィ、ビフィドバクテリウム・サブタイル、ビフィドバクテリウム・スイス、ビフィドバクテリウム・テルマシドフィラム、およびビフィドバクテリウム・サーモフィラムからなる群より選ばれる1種である、請求項5に記載の遺伝子輸送担体。
  7. ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガムである、請求項6に記載の遺伝子輸送担体。
  8. 虚血性疾患の診断に有用なタンパク質が、蛍光タンパク質である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  9. 虚血性疾患の治療に有用なタンパク質が、線維芽細胞増殖因子(FGF)、内皮細胞増殖因子(ECGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝実質細胞増殖因子(HGF)血管増殖因子(AGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、アンギオポイエチン、エフリンなどの血管新生促進活性を有するタンパク質、プロスタグランジン類などの血管拡張に関与する因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのコロニー刺激因子、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3などのニューロトロフィン、インスリン様成長因子(IGF)からなる群から選ばれる一種である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  10. 形質転換用プラスミドが、非シャトルプラスミドである、請求項2〜9のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  11. 形質転換用プラスミドが、さらに分泌シグナルペプチドをコードする遺伝子配列を含む、請求項2〜10のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  12. 形質転換用プラスミドが、pTB6 repユニットを含む、請求項2〜11のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  13. 形質転換プラスミドが、p37プロモーター、HUターミネーター、およびFGF2をコードする遺伝子を含む発現カセットを有する、請求項2〜12のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  14. 形質転換プラスミドが、配列番号40に記載の配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列を含む、請求項2〜13のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  15. 形質転換プラスミドが、pFGF12a(配列番号38)である、請求項2〜14のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の遺伝子輸送担体を含む、虚血性疾患用医薬組成物。
  17. 全身投与により投与される、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 虚血性疾患部位特異的に生育でき、かつ、少なくとも1種の、虚血性疾患の診断または治療に有用なタンパク質を発現することができる嫌気性菌を投与することを含む、虚血性疾患を診断または処置する方法。
  19. 投与が、全身投与である、請求項18に記載の方法。
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