JPWO2013001723A1 - Hdd用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

Hdd用ガラス基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2013001723A1
JPWO2013001723A1 JP2013522709A JP2013522709A JPWO2013001723A1 JP WO2013001723 A1 JPWO2013001723 A1 JP WO2013001723A1 JP 2013522709 A JP2013522709 A JP 2013522709A JP 2013522709 A JP2013522709 A JP 2013522709A JP WO2013001723 A1 JPWO2013001723 A1 JP WO2013001723A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
glass substrate
hdd
polishing
tir
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013522709A
Other languages
English (en)
Inventor
大士 梶田
大士 梶田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2013522709A priority Critical patent/JPWO2013001723A1/ja
Publication of JPWO2013001723A1 publication Critical patent/JPWO2013001723A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
    • G11B5/8404Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers manufacturing base layers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/02Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing in machines with rotary tables
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • C03B11/088Flat discs

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

本発明のHDD用ガラス基板の製造方法は、ガラス溶融工程、プレス成形工程、熱処理工程、コアリング工程、研削工程、研磨工程、洗浄工程を備えるHDD用ガラス基板の製造方法であって、前記コアリング工程にて作製された前記研削工程前のガラスブランクスの半径をrとしたとき、該ガラスブランクスの中心から0.75rの位置における周方向1周分のリタデーションTIRが1.0nm以下であることを特徴とする。本発明のHDD用ガラス基板の製造方法によれば、DFH機構を有するハードディスクドライブにガラス基板を搭載した場合におけるヘッド浮上量の低減化、ヘッドクラッシュ、及びリードライトエラーの低減化に優れたHDD用ガラス基板の製造方法を提供することができる。

Description

本発明は、HDD用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気情報記録装置は、磁気、光及び光磁気等を利用することによって、情報を情報記録媒体に記録させる装置である。その代表的なものとしては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)装置等が挙げられる。ハードディスクドライブ装置は、基板上に記録層を形成した情報記録媒体としての磁気ディスクに対し、磁気ヘッドによって磁気的に情報を記録する装置である。このような情報記録媒体の基材、いわゆるサブストレートとしては、ガラス基板が好適に用いられている。
また、ハードディスクドライブ装置は、磁気ヘッドを磁気ディスクに接触することなく、磁気ディスクに対し僅か数nm程度浮上させ、高速回転させながら磁気ディスクに情報を記録させている。さらに、近年においては、ますますハードディスクの記録密度が向上しており、それに伴って磁気ヘッドと磁気ディスクの差(以下、ヘッド浮上量という。)が小さくなってきている。特に、DFH(Dynamic Flying Height)機構を有するようなハードディスクにおいては、ヘッド浮上量が3nm以下のものが開発されている。しかしながら、DFH機構においては、ヘッド浮上量が極めて小さいために、磁気ヘッドと磁気ディスクとが衝突してヘッドクラッシュを生じるといった問題が頻発している。
一方でガラス基板を作製する方法としては、溶融されたガラスを金型で加圧するダイレクトプレス法によりガラスブランクスといわれるガラス製の中間成形体を作り、このガラスブランクスに研削・研磨等を施してガラス基板に仕上げる方法がある。このダイレクトプレス法によって製造されたガラス基板は、平行性や平坦性に優れることで知られているが、このようなガラス基板を用いても、上述したヘッドクラッシュ等の問題が解消されていなかった。
特許文献1には、ダイレクトプレス法を応用し、プレス成形面の温度分布が均一になる前にプレスを終了する、又はプレス時間を2秒以下にする方法を用いてガラス基板の平行度及び平坦度を向上させ、ガラスブランクスの時点でガラスサブストレートの形状・寸法に近づけておくという技術が開示されている。しかし、これらの成形方法においては、ガラス基板の表面形状に着目するだけであって、ガラス基板の内部歪みにまで考慮されていないために、DFH機構を有するハードディスクに搭載するとヘッドクラッシュやリードライトエラーが発生するものとなっていた。
特開2004−161564号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、DFH機構を有するハードディスクドライブにガラス基板を搭載した場合におけるヘッド浮上量の低減化、ヘッドクラッシュ、及びリードライトエラーの低減化に優れたHDD用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の一局面によるHDD用ガラス基板の製造方法は、溶融ガラス供給工程、プレス成形工程、熱処理工程、コアリング工程、研削工程、研磨工程、洗浄工程を備えるHDD用ガラス基板の製造方法であって、前記コアリング工程において、研削工程前のガラスブランクスの半径をrとしたとき、該ガラスブランクスの中心から0.75rの位置における周方向1周分のリタデーションTIRを1.0nm以下に調整することを特徴とする。
図1は、ガラスブランクスの成形用金型及びプレス機の例を示す模式図である。 図2は、ガラスブランクス成形用プレス機が配置された回転テーブルの斜視図である。 図3は、ガラスブランクス成形用金型の下型に溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程を説明するための模式図である。 図4は、ガラスブランクス成形用金型により溶融ガラスを加圧する加圧工程を示す模式図である。 図5は、コアリング工程後のガラスブランクスの模式図である。 図6は、本発明のHDD用ガラス基板の製造方法によって製造したHDD用ガラス基板の一例を示す模式図である。 図7は、本実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す概略断面図である。 図8は、本実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造方法により製造されたHDD用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明者らは、ダイレクトプレス法によって作製されたガラスブランクスの周方向の歪み(以下、周方向のリタデーションTIR(Total Indicated Runout)という)に着目し、鋭意検討を行った。
この結果、中間成形体時点におけるガラスブランクスの周方向のリタデーションTIRを極力小さくさせるようにダイレクトプレス法によって意図的に作製することで、HDDにおけるヘッド浮上量の低減化、ヘッドクラッシュ、及びリードライトエラーの低減化に優れたHDD用ガラス基板を製造し得ることを見出した。
本実施形態のHDD用ガラス基板の製造方法は、溶融ガラス供給工程、プレス成形工程、熱処理工程、コアリング工程、研削工程、研磨工程、洗浄工程を備えるHDD用ガラス基板の製造方法であって、前記コアリング工程において、研削工程前のガラスブランクスの半径をrとしたとき、該ガラスブランクスの中心から0.75rの位置における周方向1周分のリタデーションTIRを1.0nm以下に調整することを特徴とする。
HDD用ガラス基板の製造方法としては、溶融ガラス供給工程、プレス成形工程、熱処理工程、コアリング工程、研削工程、研磨工程、及び洗浄工程等を備える方法等が挙げられる。そして、上記工程の他に、化学強化処理工程を1回又は複数回採用することが好ましく、該化学強化処理工程は、コアリング工程、研削工程、研磨工程の後のいずれにおいて採用してもよい。また、研削工程についても、1回又は複数回採用してもよく、コアリング工程後に採用してもよい。
さらに、上記以外の工程を備える方法であってもよい。例えば、研削工程と研磨工程との間に、端面研磨工程を採用してもよい。特に、洗浄工程については、粗研磨工程の後に採用してもよく、精密研磨工程の後に採用してもよく、さらに粗研磨工程及び精密研磨工程の後にそれぞれ採用してもよい。
<ガラスブランクスの製造>
まず、本発明の製造方法は、ダイレクトプレス法により、HDD用ガラス基板の中間成形体であるガラスブランクスを製造する。このガラスブランクスは、一般的に、溶融ガラスを供給し、その溶融ガラスを冷却しながら加圧成形して製造される。本発明のガラスブランクスの製造方法は、上記の工程の他に、必要な場合には、前記ガラスブランクスの平坦度を修正し、内部歪みを除去するために熱処理が施される。
図1は、本発明のガラスブランクスをプレス成形で作成するための金型及びプレス機の模式図である。ガラスブランクス成形用のプレス機1は、溶融ガラスが供給され、供給された該溶融ガラスを加圧するための第1の成形面6を備える下型5及びプレス機下部7と、下型5の第1の成形面6との間で溶融ガラスを加圧するための第2の成形面4を備える上型3及びプレス機上部2とを有している。
図2は、回転テーブル9に並べられたプレス機下部7とプレス機上部2によってガラスブランクスをプレス成形される機構を表した斜視図である。プレス機下部7は、回転テーブル9に円周方向に並べて埋設されている。該回転テーブル9は、回転軸8の周りを特定の速度v(m/s)にて回転駆動可能となるように設けられている。
またプレス機下部7の上に金型の下型5が設置されている。回転テーブル9の所定の位置において溶融ガラス23が流出ノズル21によって下型5へ供給される。溶融ガラス23が供給された下型5は、プレス機下部7とともに回転テーブル9によって移送される。別の位置においてプレス機上部2に設置された上型3は、下型5の位置まで下降し、溶融ガラス23を加圧する。
金型の内部には、複数のヒーター(図示せず)が埋め込まれるように設置されている。該ヒーターは、周方向に均一角度で配置されるように、一周又は複数周状であって同心円状に埋め込まれていることが、金型の温度制御をしやすいという点で好ましい。なお、プレス機下部7には、前記プレス機上部2と同様に複数のヒーターを配置されていてもよいし配置されていなくてもよい。ヒーターは、プレスされる加圧時間によってはプレス機下部7に配置されていた方が好ましい。
よって、本発明におけるガラスブランクスの製造工程は、主として下型5に形成された第1の成形面6に溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、上型3に形成された第2の成形面4で、第1の成形面6に供給された溶融ガラスを加圧しながら冷却してガラスブランクスを得る加圧工程とを備えるものである。
(溶融ガラス供給工程)
溶融ガラス供給工程は、下型に形成された第1の成形面に溶融ガラスを供給する工程である。図3は、溶融ガラス供給工程における下型5と溶融ガラス23等を示す模式図である。まず、流出ノズル21から溶融ガラス23を流出して下型5に供給する(図3(a))。
本発明において、この供給された直後の溶融ガラス23の粘度ηは、log10η>2.6dPa・sの条件を満たす。前記粘度ηがこのような条件を満たす場合、回転テーブル9の回転速度が特定の範囲内であれば、ガラスゴブは形状を崩さず回転しプレス成形が可能となる。その結果、ガラスブランクスは内部歪みの小さいものとなる。しかしながら、粘度ηがlog10η≦2.6dPa・sの条件を満たすと、ガラスゴブが形状を崩す可能性がある。その結果、プレス成型後のガラスブランクスの周方向の歪みが偏心してしまう恐れや、周方向に不均一となってしまう可能性がある。
その後、溶融ガラス23が所定量に達するとブレード22によって溶融ガラス23を切断し、溶融ガラス23を分離する(図3(b))。溶融ガラス供給工程において供給された溶融ガラス23は第1の成形面6(図4参照)の中心部と接触し、主にそこからの放熱によって冷却が始まる。
下型5は温度制御されており、予め所定温度に加熱されている。溶融ガラス23のガラス転移温度をTgとすると、ガラス成形は、TgからTg±100(℃)の温度範囲で行われる必要がある。Tg−100(℃)より低い温度である場合、ガラス基板の平面度が悪化したり、転写面へのしわの発生、熱衝撃による破損等の問題が起こる。また、Tg+100(℃)より高い温度の場合、ガラスとの融着が発生したり、金型の劣化が著しくなることから好ましくない。そのため、下型5の温度は、溶融ガラス23がTg±100(℃)となるように制御されている。
また、プレス機上部2にもヒーターが設置されている場合には、上型3についても温度制御されている必要がある。上型3は、上述の下型5の温度と同じ範囲で加熱しておく。
下型5及び上型3の加熱手段は、これらに接触するプレス機の内部に埋め込まれたヒーターである。該ヒーターの設定温度は、所定の温度に調節することができる。また、金型の加熱手段としてはカートリッジヒーター、バーナーが好適に用いられる。これらの中でも、大気による影響を受けず金型の温度制御がより簡便であるという理由からカートリッジヒーターが特に好ましい。
なお、ガラスブランクスの周方向のリタデーションTIRを小さくする方法としては、前述の複数のヒーターをプレス機内部の周方向に配置させる方法に限られず、金型材質を周方向で変化させガラスブランクスを直接温度制御する方法、プレス機にかける圧力を周方向で管理する方法等を採用することができる。
(加圧工程)
加圧工程は、第1の成形面6、及び上型3に形成された第2の成形面4で、第1の成形面6に供給された溶融ガラス23を加圧しながら冷却してガラスブランクス10を得る工程である。
図4は、加圧工程におけるガラスブランクス成形用金型1とガラスブランクス10を示す模式図である。溶融ガラス供給工程において溶融ガラス23(図3(a)参照)が供給された下型5は、上型3と対向する位置まで0.3m/s以下の速度で回転テーブルを回転移動する。前記回転テーブルの速度が0.3m/sを超えると、ガラスゴブが形状を崩し、プレス成型後の周方向の歪みが偏心してしまう恐れや、周方向に不均一となってしまう可能性がある。
その後、下型5の第1の成形面6と、上型3の第2の成形面4とで溶融ガラスを加圧する。溶融ガラス23は、加圧によって広がって第1の成形面3の周辺部にも接触する。溶融ガラス23は第1の成形面3及び第2の成形面4との接触面から放熱することによって冷却・固化し、ガラスブランクス10となる。
なお、上型3は、下型5と同様に所定温度に加熱されている。加熱温度や加熱手段については上述の下型5の場合と同様である。加熱温度は下型5と同じであっても良いし異なっていても良い。
下型5と上型3に荷重を負荷して溶融ガラスを加圧するための加圧手段は、公知の加圧手段を適宜選択して用いることができる。加圧手段は、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを用いた電動シリンダ等を用いることができる。
次に上型3をガラスブランクス10から離間させ、吸着部材等で下型5からガラスブランクス10を取り出す。
(熱処理工程)
熱処理工程は、平坦度の修正、及び内部歪みの除去を目的として熱処理を行う工程である。熱処理にはセッター(アルミナ、ジルコニア等)を用い、ガラスブランクスと交互に積み重ねて熱処理炉に入れることで行う。ガラスブランクスの熱処理は、TgからTg+100(℃)の温度範囲で行われる必要がある。Tgより低い温度で熱処理を行う場合、ガラスブランクスの平坦度を修正をすることができない。一方、Tg+100(℃)より高い温度で熱処理を行う場合、ガラスブランクスの形状の悪化を招き、さらにセッターとの間で融着が発生する可能性も高まる。なお、平坦度の修正、及び内部歪みの除去を行うのに特に好ましい温度範囲は、Tg〜Tg+70℃である。
<コアリング工程>
コアリング工程とは、上述の工程によって得られたブランクス材の表面の中心部にダイヤモンドコアドリルを用いて内孔(貫通孔)を形成し、ガラスブランクス(孔あきブランクス材)を作製する工程のことである。このコアリング工程によって、ガラスブランクスの中心が決定される。本発明において、ガラスブランクスとは、コアリング工程を終えて、主平面の研削工程が行われる前のガラス成形物を意味するものとする。
図5に、前記工程によって得られたガラスブランクス10を一方の表面から見た上面図を示す。本発明ではこのガラスブランクス10の中心からの半径をr、内孔の半径をrとする。そして、後述するリタデーションTIR測定方法において測定される0.75rの位置を一点鎖線で記し、(2r+r)/3の位置を二点鎖線で記す。
<リタデーション測定>
前述の工程及び後述する工程を含む製造方法によって得られる本発明のHDD用ガラス基板がヘッド浮上量の低減化、ヘッドクラッシュ、及びリードライトエラーの低減化に優れたものであるためには、上述の工程によって得られたドーナツ状のガラス成形物(ガラスブランクス10)の中心から0.75rの位置における周方向1周分のリタデーションTIRが1.0nm以下であることが必要不可欠となる。
リタデーションTIRとは、ガラス成形物(ガラスブランクス10)の歪み(内部歪み)を表す指標である。リタデーションTIRの測定方法としては、前記ガラスブランクスの中心孔より0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置の点における歪みを、PA−100(フォトニクスラティス社製)を用いてガラスブランクスに直線偏光を通過させ、通過後の偏光状態の変化を観察する方法を採用することができる。そしてこの点から同心円状に、1周測定した際のリタデーション量のばらつき(最大値と最小値の差)を本発明における周方向リタデーションTIRと定義する。
前記周方向リタデーションTIRを1.0nm以下にすると、得られるガラス基板を組み込んだHDDにおけるヘッドの低浮上化や高速回転への対応が容易になり、安定して記録・再生を行うことができる。周方向リタデーションTIRは、0.5nm以下であることが好ましい。また、周方向リタデーションTIRが1.0nmより大きいと、得られるガラス基板の形状が不安定となるため、HDDのヘッドと記録媒体との距離を安定して制御することが困難となってリード/ライトエラーが増加してしまったり、場合によってはヘッドと記録媒体との接触により一部記録・再生が不可能となってしまうおそれがある。
また、HDDでは、ヘッドの線速度が記録媒体の内側と外側とで異なっており、ディスクの高速回転で発生する空気流によってヘッドに揚力が働き浮上している。そのため、ディスクの内側ではヘッドの浮上量が小さくなるため、ガラス成形物10の内側部分は外側部分よりも更に周方向TIRを低減させることが要求される。
つまり、ガラス成形物の中心から(2r+r)/3の位置における周方向1周分のリタデーションTIRが0.5nm以下であると得られるガラス基板を用いたHDDにおけるヘッドの低浮上化や高速回転への対応が容易になり、安定して記録・再生を行うことができるため好ましく、0.3nm以下であることがより好ましい。また、当該位置におけるリタデーションTIRが0.5nmより大きいと、得られるガラス基板を用いたHDDにおけるヘッドと記録媒体との距離を安定して制御することが困難となってリード/ライトエラーが増加してしまったり、場合によってはヘッドと記録媒体との接触により一部記録・再生が不可能となってしまうおそれがある。
このように、リタデーションTIRを小さく抑えることで、記録媒体の形状に起因した上記課題に対応できるのみでなく、通常のHDDで一般に用いられているような周方向に線状で押しつけるクランプ方式において、クランプによって発生する記録媒体の歪を小さくすることができ、ヘッドと基板の接触の危険を一層回避することができる。
以上のように、ガラスブランクス形成時において周方向のリタデーションTIRを所定の範囲内に作成すれば、以後の工程を経て製造されたHDD用ガラス基板の周方向TIRについても小さくすることができる。
従来においては、ガラス基板の周方向TIRを改善するために研削・研磨工程で形状修正することによって対処していたが、研削・研磨工程で形状を修正した場合、成形段階での内部歪みや板厚がブランクスの周方向で均等ではないため、一部において所望の周方向TIRを達成するのが困難な場合があった。そして、ガラス基板の周方向TIRを低減させようとすると、加工取り代が増加することで所望の厚みより薄肉化してしまったり、加工コストが膨大化したりする問題が生じていた。そこで、研削・研磨工程を施す前、つまりガラスブランクスの状態で周方向の歪みを制御することで、周方向TIRを制御することが可能であることが本発明において明確になった。
ここで、周方向TIRとは、前述の周方向リタデーションTIRとは異なり、ガラス基板の平坦度を周方向に1周測定した際の平坦度のばらつきを表す指標である。
なお、周方向TIRは、白色光の干渉を利用して表面形状を測定する方式(例えば、Phase Shift Technology社製Optiflatを使用して測定する方式)や、被測定面に対して斜めにレーザ光を入射することで垂直入射方式に比べ高い反射率を得ることができ、粗い面形状においても測定が可能な方式(例えば、TROPEL社製FlatMaster FM100XRAを使用して測定する方式)などにより測定すればよい。
<HDD用ガラス基板の製造>
上述の工程によって製造されたガラスブランクスに、後述する研削工程、研磨工程、洗浄工程、化学強化処理工程等を加えることによりHDD用ガラス基板を製造することができる。
図6は、本発明のHDD用ガラス基板の製造方法によって製造したHDD用ガラス基板の1例を示す図である。図6(a)は斜視図、図6(b)は断面図である。HDD用ガラス基板30は中心穴33が形成された円板状のガラス基板であって、主表面31、外周端面34、内周端面35を有している。外周端面34と内周端面35には、それぞれ面取り部36、37が形成されている。
<研削工程>
研削工程とは、前記ガラス基板を所定の板厚に加工する工程である。具体的には、前記ガラスブランクスの両面を酸性の研削液を用いて研削(ラッピング)加工する工程等が挙げられる。このように加工することによって、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを調整することができる。また、この研削工程は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。例えば、2回行う場合、1回目の研削工程(第1研削工程)で、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整し、2回目の研削工程(第2研削工程)で、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを微調整することが可能となる。
より具体的には、前記第1研削工程としては、ガラス基板が略均一の平坦度となるようにする工程等が挙げられる。
また、前記第2研削工程としては、粗面化されたガラス基板の主表面を、さらに固定砥粒研磨パッドを用いて研削する工程等が挙げられる。この第2研削工程においては、例えば、粗面化されたガラス基板を研削装置にセットし、ダイヤモンドタイル(Diamond Tile)のような表面模様付きの三次元固定研磨物を用いることで、ガラス基板の表面を研削することができる。
前記第2研削工程を施すと、後述する粗研磨工程にて行われる研磨を効率良く行うことができる。また、第2研削工程によって施された研磨工程に用いるガラス基板の表面粗さRaは0.10μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。
前記研削工程は、通常ガラスブランクスを製造した後に行われるが、前記コアリング工程後にも行ってもよく、複数回にわたって行ってもよい。
<粗研磨工程>
前記粗研磨工程(一次研磨工程)は、前記研削工程が施されたガラス基板の表面に粗研磨を施す工程である。この粗研磨は、上述した研削工程で残留した傷や歪みの除去を目的とするもので、下記の研磨方法を用いて実施する。
なお、前記粗研磨工程で研磨する表面は、主表面及び/又は端面である。主端面とは、ガラス基板の面方向に平行な面である。端面とは内周端面と外周端面とからなる面のことである。また、内周端面とは、内周側の、ガラス基板の面方向に垂直な面及びガラス基板の面方向に対して傾斜を有する面である。また、外周端面とは、外周側の、ガラス基板の面方向に垂直な面及びガラス基板の面方向に対して傾斜を有する面である。
粗研磨工程で用いる研磨装置は、ガラス基板の製造に用いる研磨装置であれば、特に限定されない。具体的には、図7に示すような研磨装置11が挙げられる。なお、図7は、本実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置11の一例を示す概略断面図である。
図7に示すような研磨装置11は、両面同時研削可能な装置である。また、この研磨装置11は、装置本体部11aと、装置本体部11aに研磨液を供給する研磨液供給部11bとを備えている。
装置本体部11aは、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とを備えており、それらが互いに平行になるように上下に間隔を隔てて配置されている。そして、上定盤12と下定盤13とが、互いに逆方向に回転する。
この上定盤12と下定盤13との対向するそれぞれの面にガラスブランクス10の表裏の両面を研磨するための研磨パッド15が貼り付けられている。この粗研磨工程で使用する研磨パッド15は、特に限定されない。研磨パッド15としては、具体的には、例えば、ポリウレタン製の硬質研磨パッド等を使用することができる。
また、上定盤12と下定盤13との間には、回転可能な複数のキャリア14が設けられている。このキャリア14は、複数の素板保持用孔51が設けられており、この素板保持用孔51にガラスブランクス10を嵌め込んで配置することができる。キャリア14としては、例えば、素板保持用孔51を100個有していて、100枚のガラスブランクス10を嵌め込んで配置できるように構成されていてもよい。そうすると、1回の処理(1バッチ)で100枚のガラスブランクス10を処理できる。
研磨パッド15を介して上定盤12、下定盤13に挟まれているキャリア14は、複数のガラスブランクス10を保持した状態で、自転しながら上定盤12、下定盤13の回転中心に対して下定盤13と同じ方向に公転する。なお、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とは、別駆動で動作することができる。このように動作している研磨装置11において、研磨スラリー16を上定盤12とガラスブランクス10との間、及び下定盤13とガラスブランクス10との間、それぞれに供給することでガラスブランクス10の粗研磨を行うことができる。
研磨スラリー供給部11bは、液貯留部110と液回収部120とを備えている。液貯留部110は、液貯留部本体110aと、液貯留部本体110aから装置本体部11aに延ばされた吐出口110eを有する液供給管110bとを備えている。液回収部120は、液回収部本体120aと、液回収部本体120aから装置本体部11aに延ばされた液回収管120bと、液回収部本体120aから液貯留部110に延ばされた液戻し管120cとを備えている。
そして、液貯留部本体110aに入れられた研磨スラリー16は、液供給管110bの吐出口110eから装置本体部11aに供給され、装置本体部11aから液回収管120bを介して液回収部本体120aに回収される。また、回収された研磨スラリー16は、液戻し管120cを介して液貯留部110に戻され、再度、装置本体部11aに供給可能とされている。
また、ここで用いる研磨パッド15は、ウレタンやポリエステル等の合成樹脂の発泡体に、酸化セリウム研磨剤を含有させたものである。
化学強化処理工程の前に行われる研磨工程において用いられる研磨剤は、CeOの含有量が多く、アルカリ土類金属の少ないものの場合、研磨速度を高め、研磨後のガラス基板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。また、研磨パッドについても、前記研磨剤の場合と同様に、CeOの含有量が多く、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、研磨速度を高め、研磨後のガラス基板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。
CeOの含有量が多い研磨剤を用いると、研磨速度を高め、研磨後のガラス基板の平滑性を充分に高めることができる理由としては、以下のような理由によると考えられる。まず、研磨の際にガラス基板の表面に圧力が加わった状態で、ガラス基板とCeOとが接触すると、ガラス基板の表面に存在するSi−Oの結合が、Ce−Oの結合に置き換わると考えられる。そして、この結合は、容易に分解するが、Siとの結合が再度形成されにくいと考えられる。よって、CeOの含有量が多い研磨剤を用いると、研磨速度を高め、研磨後のガラス基板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。
そして、このようなCeOの含有量が多い研磨剤及び研磨パッドであって、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、平滑性を充分に高めることができるだけではなく、研磨後のガラス基板に対するアルカリ土類金属の付着が抑制されると考えられる。このようなアルカリ土類金属の付着が抑制されたガラス基板に対して、化学強化処理工程を施すことによって、均一な化学強化がなされると考えられる。
なお、前記研磨剤を水に分散させた状態の研磨液を用いて研磨する際、前記水にアルカリ土類金属が含有されていても、アルカリ土類金属が溶解しているため、ガラス基板の表面に付着しにくく、研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が、ガラス基板の表面に付着しやすいと考えられる。よって、アルカリ土類金属の少ない研磨剤を用いることによって、研磨後のガラス基板に対するアルカリ土類金属の付着を充分に抑制できると考えられる。
また、CeOの含有量は、高ければ高いほど好ましい。すなわち、研磨剤に含有する希土類酸化物が、全てCeOであることが好ましい。このことは、CeOがガラス基板の研磨性に最も影響することによると考えられる。また、アルカリ土類金属の含有量は、低ければ低いほど好ましい。前記研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が少なければ、アルカリ土類金属による化学強化処理工程の阻害が抑制されることによると考えられる。
また、CeOの含有量が、前記研磨剤全量に対して、90質量%以上であることが好ましい。そうすることによって、耐衝撃性に優れたHDD用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高いHDD用ガラス基板を製造することができる。このことは、化学強化処理工程を阻害しうるアルカリ土類金属の含有量が少なく、さらに、研磨性を高めるCeOの含有量が、研磨剤に含有される希土類酸化物に対して単に多いだけではなく、研磨剤全量に対しても多いことによると考えられる。
また、前記研磨液は、前記酸性の研磨剤を水等の溶媒に分散させた状態のものであり、CeOの含有量が、前記研磨液全量に対して、3〜15質量%であることが好ましい。そうすることによって、耐衝撃性に優れたHDD用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高いHDD用ガラス基板を製造することができる。また、前記研磨剤を水に分散させた状態の研磨液の場合、上述したように、前記水にアルカリ土類金属が含有されていても、アルカリ土類金属が溶解しているため、ガラス基板の表面に付着しにくく、研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が、ガラス基板の表面に付着しやすいと考えられる。よって、前記研磨剤として、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、研磨後のガラス基板に対するアルカリ土類金属の付着を充分に抑制できると考えられる。
また、前記研磨剤が、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.4〜1.6μmであることが好ましい。
前記研磨剤の粒径が小さすぎると、研磨速度が低下する傾向がある。前記研磨剤の粒径が大きすぎると、研磨によってガラス基板上に形成されうる傷が発生しやすくなる。
なお、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値とは、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブの最大値となる点の粒子径を意味する。また、D50とは、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径を意味する。
また、前記研磨液としては、粗研磨工程では、フッ素含有量が5質量%以下の研磨液であることが好ましい。
また、前記研磨パッド15は、酸化セリウムの他に、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭化ケイ素又は二酸化ケイ素を含有させることができ、これらのなかでもケイ酸ジルコニウムを含有させることがより好ましい。
前記研磨パッドにおける酸化セリウムの配合量は、研磨パッド全量に対して10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
本実施形態に係る研磨パッドは、例えば以下のような方法において製造される。
まず、樹脂溶液と砥粒とを混合して、砥粒分散液を製造する。次に、成形型を使用して該砥粒分散液を硬化させ、内部及び表面に砥粒を固定した板状のブロックを成形させる。続いて、該ブロックを成形型から取り出した後、ブロックの両面を研削し所定の厚さに加工する。
そして、より好適には、まず、樹脂溶液と砥粒とを混合し、この混合液を減圧して脱泡して、無泡砥粒分散液を製造する。次に、成形型を使用して該無泡砥粒分散液を硬化させ、無発泡体の内部及び表面に砥粒を固定した板状のブロックを成形させる。続いて、該ブロックを成形型から取り出した後、ブロックの両面を研削し、所定の厚さに加工する。
<精密研磨工程(二次研磨工程)>
精密研磨工程は、前記粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例えば、主表面の表面粗さ(Rmax)が6nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である。この精密研磨工程は、例えば、上記粗研磨工程で使用したものと同様の研磨装置を用い、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行われる。なお、前記精密研磨工程で研磨する表面は、前記粗研磨工程で研磨する表面と同様、主表面である。
また、精密研磨工程で用いる研磨剤としては、粗研磨工程で用いた研磨剤より、研磨性が低くても、傷の発生がより少なくなる研磨剤が用いられる。具体的には、例えば、粗研磨工程で用いた研磨剤より、粒子径が低いシリカ系の砥粒(コロイダルシリカ)を含む研磨剤等が用いられる。このシリカ系の砥粒の平均粒子径としては、20nm程度であることが好ましい。そして、前記研磨剤を含む研磨スラリー液をガラス基板に供給し、研磨パッドとガラス基板とを相対的に摺動させて、ガラス基板の表面を鏡面研磨する。
前記精密研磨工程後のHDD用ガラス基板の表面粗さRaは0.1〜5Åであることが好ましい。このような範囲であれば、磁気記録媒体用のガラス基板として必要な平滑性を持ちながら、過剰に平滑な磁気ディスク上で発生するヘッドの吸着を抑制し、ハードディスクドライブ装置として構成した際にヘッドが安定して浮上動作することが可能となる。
<洗浄工程>
洗浄工程は、前記粗研磨工程または前記精密研磨工程が施されたガラス基板を洗浄する工程である。
前記粗研磨工程による粗研磨後のガラス基板は、洗浄工程によって洗浄することが好ましい。例えば、pH13以上のアルカリ洗剤を用いて、ガラス基板の洗浄を行い、ガラス基板にリンスを行う。次に、pH1以下の酸系洗剤を用いて、ガラス基板の洗浄を行い、ガラス基板にリンスを行う。最後に、フッ化水素酸(HF)溶液を用いて、ガラス基板の洗浄を行う。酸化セリウムを用いた研磨に関しては、アルカリ洗浄、酸洗浄、HF洗浄の順で洗浄を行うことが最も効率的である。これは、まずアルカリ洗剤で研磨剤を分散除去し、次に酸洗剤で研磨剤を溶解除去し、最後に、HFによってガラス基板をエッチングし、ガラス基板に深く刺さっている研磨剤を除去するためである。
前記洗浄工程は、アルカリ洗浄、酸洗浄、HF洗浄において、それぞれ別の槽で行うことが好ましい。これらの洗浄を単一の槽で行った場合には、効率的な洗浄ができない場合がある。特に、酸洗剤とHFを同一槽に入れた場合、HFのエッチング速度は、研磨剤の多い場所で低下するため、基板内を均一にエッチングできなくなる傾向がある。また、各洗浄の後にリンス槽を用いることが好ましい。これらの洗剤には、場合によって界面活性剤、分散材、キレート剤、還元材などを添加しても良い。また、各洗浄槽には、超音波を印加し、それぞれの洗剤には脱気水を使用することが好ましい。
また、他の方法としては、まず、HFが1質量%、硫酸が3質量%の洗浄液にガラス基板を浸漬させる。その際、その洗浄液に、80kHzの超音波振動を印加させる。その後、ガラス基板を取り出す。そして、取り出したガラス基板を中性洗剤液に浸漬させる。その際、その中性洗剤液に、120kHzの超音波振動を印加させる。最後に、ガラス基板を取り出し、純水でリンスを行い、IPA乾燥させる。
また、前記洗浄工程後のガラス基板は、その表面に残存したアルカリ土類金属が、10ng/cm以下であることが好ましく、5ng/cm以下であることがより好ましい。そうすることによって、耐衝撃性により優れたハードディスク用ガラス基板を得ることができる。このことは、化学強化処理工程を施すガラス基板の表面に、化学強化処理工程を阻害しうるアルカリ土類金属の付着量が少ないことによると考えられる。よって、化学強化がガラス基板全面に均一に起こり、耐衝撃性により優れたハードディスク用ガラス基板を得ることができると考えられる。すなわち、記洗浄工程後のガラス基板の表面に残存したアルカリ土類金属が多すぎると、化学強化処理工程が好適に行われずに、得られたガラス基板の耐衝撃性を充分に高めることができない場合がある。
また、前記洗浄工程後のガラス基板の表面に残存したアルカリ土類金属は、少なければ少ないほど好ましい。このことは、前記化学強化処理工程の前に、前記研磨工程で研磨されたガラス基板の表面に残存したアルカリ土類金属が、化学強化処理工程を阻害し、均一な化学強化を阻害すると考えられるからである。そして、本実施形態においては、前記洗浄工程後のガラス基板の表面に残存したアルカリ土類金属が、少なければ少ないほど好ましく、その量10ng/cm以下であれば、耐衝撃性により優れたハードディスク用ガラス基板を製造することができる。
また、この粗研磨後のガラス基板の洗浄は、ガラス基板表面の酸化セリウム量が0.125ng/cm以下となるように行なわれる。ガラス基板表面の酸化セリウム量が多すぎると、ガラス基板の平坦度を良好にできない傾向がある。
<化学強化処理工程>
本発明の製造方法における化学強化処理工程は、公知の方法であれば、特に限定されない。具体的には、化学強化処理工程は、例えば、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬させる工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス基板の表面、例えば、ガラス基板表面から5μmの領域に化学強化層を形成することができる。そして、化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
より詳しくは、化学強化処理工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬させることによって、ガラス基板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の表面が強化される。
また、本発明における化学強化処理工程は、前記のコアリング工程後、研削工程後、粗研磨工程後、精密研磨工程後のいずれにおいても行ってもよく、ガラスの組成によっては複数回行ってもよい。また、化学強化処理工程を行う場合、ガラスブランクスにおける板厚のばらつきによる最終的に得られるガラス基板の形状のばらつきへの影響が顕著となる為、本発明が特に好適に適用される。
本実施形態では、ガラス基板の原料として、下記のガラス組成の原料を用いることによって、この化学強化処理工程により、強化層が好適に形成されると考えられる。
(ガラス組成)
SiO:55〜75質量%、
Al:5〜18質量%、
LiO:1〜10質量%、
NaO:3〜15質量%、
O:0.1〜5質量%、
ただし、LiO+NaO+KOの総量:10〜25質量%、
MgO:0.1〜5質量%、
CaO:0.1〜5質量%、
ZrO:0〜8質量%
具体的には、ガラス基板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。さらに、化学強化処理工程を施す前の研磨工程、ここでは粗研磨工程で用いる研磨剤が、上記のような組成の研磨剤であるので、ガラス基板の表面に付着しているアルカリ土類金属の量が少なく、化学強化が均一になされると考えられる。よって、本実施形態のように、好適な化学強化がなされたガラス基板に、精密研磨工程を行うことによって、耐衝撃性に優れたガラス基板を製造することができる。
化学強化処理液としては、ハードディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化処理工程で用いられる化学強化処理液であれば、特に限定されない。具体的には、化学強化処理液は、例えば、カリウムイオンを含む溶融液、及びカリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融液等を用いることができる。
これらの溶融液としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウム等を溶融させて得られた溶融液等が挙げられる。この中でも、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを組み合わせて用いることが、融点が低く、ガラス基板の変形を防止する観点から好ましい。その際、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを、ほぼ同量ずつの混合させた混合液が好ましい。
(成膜工程)
図8は、本実施形態に係る製造方法により製造されたHDD用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。この磁気ディスクDは、円形のHDD用ガラス基板101の主表面に形成された磁性膜102を備えている。磁性膜102は、公知の常套手段により形成することができる。磁性膜102は、例えば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をHDD用ガラス基板101上にスピンコートすることによって磁性膜102を形成する形成方法(スピンコート法)や、HDD用ガラス基板101上にスパッタリングによって磁性膜102を形成する形成方法(スパッタリング法)や、HDD用ガラス基板101上に無電解めっきによって磁性膜102を形成する形成方法(無電解めっき法)等により形成することができる。
磁性膜102の膜厚は、スピンコート法によって形成した場合では、約0.3〜1.2μm程度であり、スパッタリング法によって形成した場合では、約0.04〜0.08μm程度であり、無電解めっき法によって形成した場合では、約0.05〜0.1μm程度である。薄膜化および高密度化の観点から、スパッタリング法または無電解めっき法により形成することが好ましい。
磁性膜102に用いる磁性材料は、公知の任意の材料を用いることができ、特に限定されない。磁性材料は、例えば、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好ましい。より具体的には、磁性材料は、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等を用いることができる。
磁性膜102は、ノイズの低減を図るために、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割された多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)であってもよい。磁性膜102に用いる磁性材料は、上記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系であってもよく、また、SiO、BN等からなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散した構造のグラニュラー等であってもよい。また、磁性膜102への記録には、内面型および垂直型のいずれかの記録形式が用いられてよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜102の表面には、潤滑剤が薄くコーティングされてもよい。潤滑剤として、例えば液体潤滑剤であるパーフルオロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により磁性膜102に対し下地層や保護層が設けられてもよい。磁気ディスクDにおける下地層は、磁性膜102に応じて適宜に選択される。下地層の材料として、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。例えば、Coを主成分とする磁性膜102の場合には、下地層の材料は、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。
また、下地層は、単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造であってもよい。このような複数層構造の下地層は、例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層が挙げられる。磁性膜102の摩耗や腐食を防止する保護層として、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これら保護層は、下地層および磁性膜102と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これら保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる複数層構成であってもよい。
なお、上記保護層上に、または、上記保護層に代えて、他の保護層が形成されてもよい。例えば、上記保護層に代えて、Cr層の上にSiO層が形成されてもよい。このようなSiO層は、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することによって形成される。
このような本実施形態におけるHDD用ガラス基板101を基体とした磁気記録媒体は、HDD用ガラス基板101が上述した組成により形成されるので、情報の記録再生を長期に亘り高い信頼性で行うことができる。
なお、上述では、本実施形態におけるHDD用ガラス基板101を磁気記録媒体に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本実施形態におけるHDD用ガラス基板101は、光磁気ディスクや光ディスク等にも用いることが可能である。
上記HDD用ガラス基板の製造方法の技術的特徴を下記にまとめる。
本発明の一局面によるHDD用ガラス基板の製造方法は、溶融ガラス供給工程、プレス成形工程、熱処理工程、コアリング工程、研削工程、研磨工程、洗浄工程を備えるHDD用ガラス基板の製造方法であって、前記コアリング工程において、研削工程前のガラスブランクスの半径をrとしたとき、該ガラスブランクスの中心から0.75rの位置における周方向1周分のリタデーションTIRを1.0nm以下に調整することを特徴とする。
本発明のHDD用ガラス基板の製造方法によれば、ヘッド浮上量の低減化、ヘッドクラッシュ及びリードライトエラーの低減化に優れたHDD用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
上記製造方法において、前記ガラスブランクスの内孔の半径をrとしたとき、ガラス成形物の中心から(2r+r)/3の位置における周方向1周分のリタデーションTIRを0.5nm以下に調整することが好ましい。
本発明は、このような構成を採用することにより、得られるガラス基板を用いたHDDにおけるヘッドの低浮上化や高速回転への対応が容易になり、安定して記録・再生を行うことができる。
上記製造方法において、さらに化学強化処理工程を備えることが好ましい。
本発明は、さらに化学強化処理工程を備えることにより、より耐衝撃性に優れたハードディスク用ガラス基板を製造することができる。
上記製造方法において、前記溶融ガラス供給工程における溶融ガラスを供給した直後の溶融ガラスの粘度ηが、log10η>2.6dPa・sの条件を満たし、前記プレス成形工程におけるプレス機が配置される回転テーブルの回転速度が0.3m/s以下に調整することが好ましい。
本発明は、このような構成を採用することにより、ガラスゴブが形状を崩さず回転しプレス成形が可能となり、得られるガラスブランクスの内部歪みを小さくすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示すようなガラス組成を有するガラスを溶融し、供給した直後の粘度ηがlog10η=2.8dPa・sである溶融ガラスを用い、回転テーブルの速度が0.25m/sとなるように回転テーブルを回転させてプレス成形を行った。その後、熱処理工程、コアリング工程を施したガラスブランクスの周方向のリタデーションTIR測定を行った。得られたガラスブランクスの半径は33.2mmであり、厚みは1.05mmであった。
Figure 2013001723
前記リタデーションTIR測定としては、前記ガラスブランクスの中心孔より0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置の点における歪みを、PA−100(フォトニクスラティス社製)を用いてガラスブランクスに直線偏光を通過させ、通過後の偏光状態の変化を観察することにより測定した。そしてこの点から同心円状に、1周測定した際のリタデーション量のばらつき(最大値と最小値の差)を周方向リタデーションTIRと定義した。
前記リタデーションTIR測定後のガラスブランクスに、さらに研削工程、研磨工程、洗浄工程を施して製造したガラス基板の周方向TIRを測定した。
研削工程では、ガラスブランクスの両主表面を、両面研磨機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて粗研磨加工した。研磨パッドには平均一次粒子径9μmのダイヤモンド砥粒が樹脂パッドに埋没された研磨パッド用い、研磨水として水と冷却材を9:1で混合したものを用いた。また、加重は200g/cmとした。研磨剤スラリーの添加量は、4.5L/分とした。また、円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いてブランクスの中心部に直径が約19.6mmの円形の中心孔を開けた。鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ブランクスの外周端面および内周端面を、外径65mm、内径20mmに内・外径加工した。
次いで、研磨工程では、ブランクスを100枚重ね、この状態で、ブランクスの外周端面および内周端面を、端面研磨機((株)舘野機械製作所製、TKV−1)を用いて研磨加工した。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均一次粒子径が3μmの酸化セリウムを砥粒(研磨液成分)として含有するスラリーを用いた。
粗研磨工程として、ガラス基板の両主表面を、両面研磨機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて粗研磨加工した。研磨パッドには発泡ウレタンパッドを、砥粒には平均一次粒子径1μmの酸化セリウム砥粒を用い、水と酸化セリウムとの混合比率は、80:20とした。さらに硫酸を含有する調整液でpHを調整した。また、加重は100g/cmとした。研磨剤スラリーの添加量は、8000mL/分とした。
鏡面研磨工程として、ガラス基板の両主表面を、両面研磨機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いてさらに精密に研磨加工した。研磨剤スラリーは、平均一次粒子径が20nmのコロイダルシリカを砥粒として水に分散させてスラリー状にしたものを用い、水とコロイダルシリカとの混合比率は、80:20とした。さらに硫酸を含有する調整液でpHを調整した。また、加重は120g/cmとした。研磨剤スラリーの添加量は、500mL/分とした。本工程では、ガラス基板100枚を1バッチとし、5バッチずつ加工した。得られたガラス基板のRaは2Å以下であった。
洗浄工程として、ガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、KOHとNaOHとを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
前記周方向TIR測定としては、白色光の干渉を利用して表面形状を測定する方式の、Phase Shift Technology社製Optiflatを用いて測定した。周方向TIRの測定箇所は、上記リタデーションTIR測定の位置と同様に、0.75rの位置、及び(r+2r)/3の位置とした。
(実施例2)
供給した直後の粘度ηがlog10η=2.4dPa・sである溶融ガラスを用い、熱処理工程前にリタデーションTIRを測定し、あらかじめ歪みが偏心していたガラスブランクスを、ヒーターを用いてTgで部分的に熱処理を行った。これらの処理以外は、実施例1と同様の製造方法で製造し、ガラスブランクスの周方向リタデーションTIRを測定した。また、加工工程を施したガラス基板の周方向TIRを測定した。
(実施例3)
あらかじめ歪みが偏心していたガラスブランクスを、コアリング工程にて歪みの偏心の中心に内孔を形成させた以外は実施例2と同様の製造方法で製造し、ガラスブランクスの周方向リタデーションTIRを測定した。また、加工工程を施したガラス基板の周方向TIRを測定した。
(実施例4)
供給した直後の粘度ηがlog10η=2.8dPa・sである溶融ガラスを用い、回転テーブルの速度を0.25m/sとなるように回転させてプレス成形工程を行った。歪みが偏心していたガラスブランクスを、コアリング工程にて歪みの偏心の中心に内孔を形成させ、さらにヒーターを用いてTgで部分的に熱処理を行った。これらの処理以外は、実施例1と同様の製造方法で製造し、ガラスブランクスの周方向リタデーションTIRを測定した。また、加工工程を施したガラス基板の周方向TIRを測定した。
(実施例5)
粗研磨工程と鏡面研磨工程との間に、化学強化処理工程を採用した以外は、実施例1と同様の製造方法で製造し、ガラスブランクスの周方向リタデーションTIRを測定した。また、加工工程を施したガラス基板の周方向TIRを測定した。化学強化処理工程では、硝酸カリウムを400℃にて溶融し、ガラス基板を1時間浸漬させた。
(比較例1)
供給した直後の粘度ηがlog10η=2.4dPa・sである溶融ガラスを用い、回転テーブルの速度を0.25m/sとなるように回転させてプレス成形工程を行った。その後、熱処理工程、コアリング工程を施したガラスブランクスの周方向のリタデーションTIR測定を行った。また、その後の加工工程を施したガラス基板の周方向TIRを測定した。
(比較例2)
供給した直後の粘度ηがlog10η=2.0dPa・sである溶融ガラスを用い、回転テーブルの速度を0.40m/sとなるように回転させてプレス成形工程を行った。その後、熱処理工程、コアリング工程を施したガラスブランクスの周方向のリタデーションTIR測定を行った。また、その後の加工工程を施したガラス基板の周方向TIRを測定した。
(評価方法)
以上の実施例1〜5と比較例1〜2のガラス基板に磁性膜を形成してHDDに搭載し、リード/ライト特性について評価を行った。磁性膜はCo−Cr合金をスパッタリング法により成膜し、膜厚は15nmとした。評価方法はHDDスピンドルの回転数を15,000rpmで5分間回転させ、エラー数を測定した。テスト数は25枚とし、1枚当たりのエラーの平均値のテスト評価を表2に示す。
Figure 2013001723
以上の実施例1〜5、比較例1〜2の各測定位置における周方向リタデーションTIR、及びリタデーションTIR、リード/ライトエラーのテスト評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2013001723
表3の結果から、溶融ガラスの粘度ηをlog10η>2.6dPa・sの条件とし、かつ回転テーブルの回転速度を0.3m/s以下となるように加圧工程を行った実施例1は、ガラスブランクス作製時において0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置における周方向リタデーションTIRは、それぞれ1.0nm以下、0.5nm以下となった。溶融ガラスの粘度をより高いものとし、さらに回転速度遅くすることで、下型に供給された比較的柔らかい溶融ガラスの形状がその回転の遠心力によって傾かず、これによって歪みが生じないからであると考えられる。
よって、ガラスブランクスの周方向リタデーションTIRを小さなものとすることで、ガラス基板作製時における周方向TIRについても0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置において、それぞれ1.0nm以下、0.5nm以下と小さなものとなった。したがって、周方向TIRが小さいことから、実施例1のガラス基板に磁性膜を形成させてHDDに搭載した際のリード/ライト評価は優れたものとなった。
実施例1の溶融ガラスに比べて、やや粘度の低いものにした実施例2については、回転テーブルにて移送された後、回転テーブルの速度が原因となりその溶融ガラスの形状が傾いてしまった。これが原因となって生じた周方向の歪みは、ヒーターを用いて熱処理を行い解消することができた。このように作成されたガラスブランクスは、0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置における周方向リタデーションTIRは、それぞれ1.0nm以下、0.5nm以下となり、リード/ライトテストについても実施例1と同様に優れたものとなった。
また、実施例3は、実施例2と同様の粘度の溶融ガラスであって、同様の回転速度にて移送させた。しかし、実施例3ではその歪みをコアリング形成時にて内孔の中心を、ガラス基板の周方向に対してより歪みのない箇所となるように設けた。このようにすることで、ガラスブランクス作製時においての0.75rの位置における周方向リタデーションTIRは1.0nm以下となったが、(2r+r)/3の位置における周方向リタデーションTIRは0.5nmを超えるものとなり、製品としては問題のない範囲であった。
さらに、実施例4では溶融ガラスの粘度ηをlog10η>2.6dPa・sの条件とし、かつ回転テーブルの回転速度を0.3m/s以下となるように加圧工程を行い、かつ、コアリング形成時にて内孔の中心を、ガラス基板の周方向に対してより歪みのない箇所となるように設け、かつ周方向の歪みをヒーターの熱処理にて解消させた。このように処理したことで、ガラスブランクス作成時において0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置における周方向リタデーションTIRは、それぞれ著しく小さなものとなり、ガラス基板作成時における周方向TIRについても非常に小さなものとなった。したがって、周方向TIRが実施例1〜3に比べて極めて小さいことから、実施例4のガラス基板に磁性膜を形成させてHDDに搭載した際のリード/ライト評価は非常に優れたものとなった。
また、化学強化処理工程を採用した実施例5については、実施例1と同様にガラスブランクス作製時において0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置における周方向のリタデーションTIRは、それぞれ1.0nm以下、0.5nm以下となった。ガラスブランクスの周方向リタデーションTIRを小さなものとすることで、ガラス基板作製時における周方向TIRについても0.75rの位置、及び(2r+r)/3の位置において、それぞれ1.0nm以下、0.5nm以下と小さなものとなった。したがって、周方向TIRが小さいことから、実施例5のガラス基板に磁性膜を形成させてHDDに搭載した際のリード/ライト評価は、実施例1の場合と同様に優れたものとなった。
一方で、実施例1の溶融ガラスに比べてやや粘度の小さいものにした比較例1や、実施例1の溶融ガラスに比べてより粘度の小さいものを用い、さらに回転数も大きくさせた比較例1は、ガラスブランクスの歪み解消処理を行わなかったため、周方向リタデーションTIRは、それぞれ1.0nm以下、5nmを超えたものとなり、それに従ってガラス基板の周方向TIRについても大きな値となり、リードライトテストについても非常に劣る結果となった。
1 成型用プレス機
2 プレス機上部
3 上型
4 第2の成形面
5 下型
6 第1の成形面
7 プレス機下部
8 回転軸
9 回転テーブル
10 ガラスブランクス
11 研磨装置
12 上定盤
13 下定盤
16 研磨スラリー
21 流出ノズル
22 ブレード
23 溶融ガラス
101 HDD用ガラス基板

Claims (4)

  1. 溶融ガラス供給工程、プレス成形工程、熱処理工程、コアリング工程、研削工程、研磨工程、洗浄工程を備えるHDD用ガラス基板の製造方法であって、
    前記コアリング工程において、研削工程前のガラスブランクスの半径をrとしたとき、該ガラスブランクスの中心から0.75rの位置における周方向1周分のリタデーションTIRを1.0nm以下に調整する、HDD用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラスブランクスの内孔の半径をrとしたとき、ガラス成形物の中心から(2r+r)/3の位置における周方向1周分のリタデーションTIRを0.5nm以下に調整する、請求項1記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  3. さらに化学強化処理工程を備える、請求項1または2記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記溶融ガラス供給工程において、溶融ガラスを供給した直後の溶融ガラスの粘度ηが、log10η>2.6dPa・sの条件を満たし、
    前記プレス成形工程において、プレス機が配置される回転テーブルの回転速度が0.3m/s以下に調整する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
JP2013522709A 2011-06-30 2012-06-05 Hdd用ガラス基板の製造方法 Pending JPWO2013001723A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013522709A JPWO2013001723A1 (ja) 2011-06-30 2012-06-05 Hdd用ガラス基板の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011145421 2011-06-30
JP2011145421 2011-06-30
JP2013522709A JPWO2013001723A1 (ja) 2011-06-30 2012-06-05 Hdd用ガラス基板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2013001723A1 true JPWO2013001723A1 (ja) 2015-02-23

Family

ID=47423655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013522709A Pending JPWO2013001723A1 (ja) 2011-06-30 2012-06-05 Hdd用ガラス基板の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2013001723A1 (ja)
WO (1) WO2013001723A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001083386A1 (de) * 2000-04-27 2001-11-08 Schott Glas Verfahren zur herstellung von dünnen glasartikeln durch pressen
JP4556962B2 (ja) * 2007-03-14 2010-10-06 コニカミノルタオプト株式会社 ブランク材の残留応力を低減する方法、ブランク材及び情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2008287779A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Konica Minolta Opto Inc 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013001723A1 (ja) 2013-01-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4998095B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体
JP5321594B2 (ja) ガラス基板の製造方法、および磁気記録媒体の製造方法
JP5577290B2 (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
WO2010041536A1 (ja) ガラス基板の製造方法、および磁気記録媒体の製造方法
WO2010041537A1 (ja) ガラス基板の製造方法、および磁気記録媒体の製造方法
JP4894678B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
WO2013001722A1 (ja) Hdd用ガラス基板の製造方法
JP2009087483A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体
WO2011021478A1 (ja) ガラス基板の製造方法、ガラス基板、磁気記録媒体の製造方法および磁気記録媒体
JP5695068B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法
JP2008204499A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体
WO2013001723A1 (ja) Hdd用ガラス基板の製造方法
JP2012203960A (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP5859757B2 (ja) Hdd用ガラス基板の製造方法
JP5177328B2 (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2012079365A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP5636243B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP6104668B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、及びキャリア
JP5706250B2 (ja) Hdd用ガラス基板
JP5071603B2 (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2012216251A (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2010073289A (ja) 磁気ディスク用基板および磁気ディスク
JP2012203959A (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP5722618B2 (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2013012282A (ja) Hdd用ガラス基板の製造方法