JPWO2012140932A1 - アクティブバルブ、流体制御装置 - Google Patents

アクティブバルブ、流体制御装置 Download PDF

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Abstract

消費電力が小さく小型かつ流路断面積を充分に確保できるアクティブバルブを提供する。また、空気貯蔵部に圧縮空気を充填し、空気貯蔵部から空気を急速に排気することができ、且つ消費電力が小さく小型な流体制御装置を提供する。流体制御装置(100)は、圧電ポンプ(101)とアクティブバルブ(103)とを備え、カフ(109)に接続される。アクティブバルブ(103)は、ポンピング動作により、吸引口(107B)から外気を吸引してポンプ室(145)の圧力を高め、ダイヤフラム(108)が排気弁孔(32)をシールする。圧電ポンプ(101)は、ポンピング動作により、吸引口(107A)から外気を吸引して吐出孔(55)からカフ(109)へ送出する。両ポンプが動作を停止すると、ダイヤフラム(108)が開放し、カフ(109)の空気が排気弁孔(32)及び連通孔(34)を介して排気口(107C)から急速に排気される。

Description

この発明は、アクチュエータを屈曲振動させて弁を開閉するアクティブバルブ、及びこのアクティブバルブを備える流体制御装置に関する。
例えば特許文献1には、以下に示す構造の圧電弁1が開示されている。
図1、図2は、圧電弁1の弁開閉時における断面図である。圧電弁1は、図1に示すように、弁室天板2、弁室上壁板3、弁座4、弁体板5、弁室下壁板6、および弁室底板7を備え、それらを順に積層した構造を有している。
弁室天板2は、弁室14の天面を構成する。弁室天板2の中央位置には流体流出用の流出口16が形成されている。そして、流出口16の弁室14側の周縁にOリング状の弁座4が接着固定されている。また、弁室天板2の中央位置から弁室天板2の端面側に寄った位置には流体流入用の流入口17が形成されている。
弁室上壁板3は、弁室下壁板6と同じ形状であり、弁室14の壁面を構成する。
弁体板5は、表裏面に電極(図示せず)が形成されている圧電素子5Bと、樹脂フィルム材5Aとからなり、圧電素子5Bのうち流体にさらされる領域は樹脂フィルム材5Aによって被覆されている。また、弁体板5の一方端面には圧電素子5Bの表裏面に形成された電極に電気信号を加える配線12が設けられている。
弁室下壁板6は、弁室上壁板3と同じ形状であり、弁室15の壁面を構成する。
弁室底板7は、弁室15の底面を構成する。
次に、圧電弁1への駆動電圧の印加状態の変化による動作について説明する。
駆動電圧の非印加時には、図1に示すように、弁体板5は略平坦であり、中央部分が弁座4から離間しているため流出口16を開放する。一方、駆動電圧の印加時には、図2に示すように、弁体板5は弁室14の天面側に屈曲し、弁座4に中央部分が接触し、流出口16を閉鎖する。
したがって、駆動電圧の印加時には弁が閉じた状態となり、流出口16と流入口17との間における流体の流れを遮断することになる。一方、駆動電圧の非印加時には弁が開いた状態となり、流入口17から流出口16へ流体が流れることになる。
国際公開第2008/081767号パンフレット
上記特許文献1の圧電弁1は、圧電素子5Bに電圧を印加することにより屈曲変位を生じさせて弁を開閉する構造であるが、圧電素子5Bの変位量は非常に小さい。即ち、弁が開いた状態における流路断面積は非常に狭い。そこで、長さの長い圧電素子5Bを用いて圧電素子5Bの変位量を大きくする方法があるが、この方法では圧電弁1の専有面積が大きくなってしまう。よって、圧電弁1の構造では、圧電弁1の小型化を図りつつ、弁が開いた状態における流路断面積を充分に確保することは難しい。
従って、上記特許文献1の圧電弁1は、空気を収容する体積の大きな血圧測定用のカフに圧縮空気を血圧測定時に充填し、測定終了後に当該カフから空気を急速に排気しなければならない小型の血圧計には適さなかった。詳述すると、小型の圧電弁1を小型の血圧計に内蔵させ、カフを弁室天板2の流出口16に接続した構成では、弁が開いた状態における流路断面積が非常に狭い。そのため、この構成では、血圧測定時に流出口16から圧縮空気をカフに充填した後、カフに充填された圧縮空気を流出口16から流入口17へ急速に排気させることができなかった。
本発明の目的は、消費電力が小さく小型かつ流路断面積を充分に確保できるアクティブバルブを提供することにある。また、空気貯蔵部に圧縮空気を充填し、空気貯蔵部から空気を急速に排気することができ、且つ消費電力が小さく小型な流体制御装置を提供することにある。
本発明のアクティブバルブは、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
外部に連通する第1連通孔と第2連通孔とが形成されたバルブ筐体と、
周辺部が実質的に拘束されていなくて、中心部から周辺部にかけて屈曲振動するアクチュエータと、前記アクチュエータに近接対向して配置される平面部とを有し、前記平面部のうち前記アクチュエータと対向するアクチュエータ対向領域に、外部に連通する第3連通孔が形成されたポンプ筐体と、
前記第1連通孔に連通する排気室を前記バルブ筐体とともに構成し、前記第3連通孔に連通する第1ポンプ室を前記ポンプ筐体とともに構成するダイヤフラムと、を備える。
この構成においてアクティブバルブは、アクチュエータの屈曲振動(即ちポンピング動作)により、空気を第3連通孔から第1ポンプ室内に吸引し、第1ポンプ室を昇圧する。これにより、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持する。第2連通孔は、例えば、血圧測定用のカフ等の空気貯蔵部に接続される。ここで、アクティブバルブは、外部と排気室が連通した構成となっている。また、アクティブバルブは、第1ポンプ室の圧力P2が印加されるダイヤフラムの面積A2が、圧力P1が印加される第2連通孔の内面積A1より極めて広い構造となっている。そのため、第1ポンプ室の圧力P2が極めて小さな圧力であっても、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持できる。よって、アクティブバルブは、小さな消費電力で、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持できる。さらに、アクティブバルブは、アクチュエータの周辺部が実質的に拘束されていないため、アクチュエータの屈曲振動に伴う損失が少なく、小型・低背でありながら高い圧力と大きな流量が得られる。
一方、アクティブバルブがポンピング動作を停止したとき、第1ポンプ室の空気は、第3連通孔から装置本体の外部へすぐに排気される。また、第2連通孔には、例えば空気貯蔵部の圧力が印加される。この結果、アクティブバルブでは、ダイヤフラムが開放して第1連通孔と第2連通孔とが連通し、弁が開く。ここで、圧電素子5Bに電圧を印加することにより屈曲変位を生じさせて弁を開閉する構造の特許文献1の圧電弁1(図1、図2参照)と異なり、この構成のアクティブバルブは、ダイヤフラムの屈曲変位によって弁を開閉する構造である。そのため、この構造では、アクティブバルブの小型化を図りつつ、弁が開いた状態における流路断面積を充分に確保できる。
従って、この構成によれば、消費電力が小さく小型かつ流路断面積を充分に確保できるアクティブバルブを提供できる。
前記アクチュエータは円板状とすれば、回転対称形(同心円状)の振動状態となるため、アクチュエータと平面部との間に不要な隙間が発生せず、ポンプとしての動作効率が高まる。
前記平面部におけるアクチュエータ対向領域のうち、例えば中心又は中心付近が屈曲振動可能な薄板部であり、周辺部が実質的に拘束された厚板部とする。
この構造によれば、アクチュエータの振動に伴い、通気孔を中心とした対向面の薄板部分が振動するため、実質的に振動振幅を増すことができ、そのことにより圧力と流量を増加させることができる。
前記アクチュエータは、当該アクチュエータと前記平面部との間に一定の隙間をあけて弾性構造により保持する構成とすれば、負荷変動に応じてアクチュエータと平面部との隙間を自動的に変化させることができる。たとえばアクチュエータに対して低負荷時には積極的に隙間を確保して流量を増大させることができ、高負荷時にはバネ端子がたわんでアクチュエータと平面部との対向領域の隙間が自動的に減少し、高い圧力で動作することが可能である。
前記アクティブバルブは、前記第2連通孔から前記ダイヤフラムに印加される圧力をP1とし、前記第1ポンプ室の圧力をP2とし、前記第2連通孔の内面積をA1とし、前記ダイヤフラムにおける前記第1ポンプ室に接する部分の面積をA2としたとき、P1・A1<P2・A2の関係を満たす圧力を、前記アクチュエータの屈曲振動を行って前記第1ポンプ室に生じさせ、前記ダイヤフラムで前記第2連通孔をシールし、
前記アクティブバルブは、前記アクチュエータの屈曲振動を停止し、前記第1ポンプ室を降圧させて、前記ダイヤフラムが開放して前記第1連通孔と前記第2連通孔とを連通させる。
この構成では、アクティブバルブは、P1・A1<P2・A2の関係を満たす圧力を、ポンピング動作により第1ポンプ室に生じさせる。ここで、上述したように面積A2は面積A1より極めて広いため、第1ポンプ室の圧力P2が極めて小さな圧力であっても、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持できる。
一方、アクティブバルブがポンピング動作を停止すると、第1ポンプ室の空気は、上述したように、第3連通孔から装置本体の外部へすぐに排気される。また、第2連通孔には、空気貯蔵部の圧力が印加される。この結果、第1ポンプ室の圧力P2がP1・A1>P2・A2の関係を満たす圧力になる。第1ポンプ室の圧力P2がP1・A1>P2・A2の関係を満たす圧力になると、アクティブバルブでは、ダイヤフラムが開放して第1連通孔と第2連通孔とが連通し、弁が開く。
また、本発明の流体制御装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
第2ポンプ室と前記第2ポンプ室を介して互いに連通する第4連通孔および第5連通孔とを有し、ポンピング動作により前記第4連通孔から吸引した空気を、前記第5連通孔に連通する空気貯蔵部へ前記第5連通孔から吐出するポンプと、
前記アクティブバルブと、を備え、
前記アクティブバルブの前記第2連通孔は、前記ポンプの前記第5連通孔および前記空気貯蔵部に連通する。
この構成においてポンプ及びアクティブバルブがポンピング動作を行ったとき、アクティブバルブは、空気を第3連通孔から第1ポンプ室内に吸引し、第1ポンプ室を昇圧する。このため、ポンプがポンピング動作を行っても、アクティブバルブは、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持する。ポンプは、ポンピング動作により、空気を第4連通孔から第2ポンプ室内に吸引し、空気を第5連通孔から空気貯蔵部へ送出する。これにより、空気貯蔵部内の圧力(空気圧)が目標圧力まで高まる。空気貯蔵部は、例えば血圧測定用のカフである。
ここで、アクティブバルブは、上述したように、第1ポンプ室の圧力P2が極めて小さな圧力であっても、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持できる。よって、ポンプがポンピング動作を行っていても、アクティブバルブは小さな消費電力で、ダイヤフラムが第2連通孔をシールした状態を維持できる。
次に、第1ポンプ室の体積は空気貯蔵部の収容可能な空気の体積に比べて極めて小さい。そのため、アクティブバルブがポンピング動作を停止したとき、第1ポンプ室の空気は、第3連通孔から装置本体の外部へすぐに排気される。また、第2連通孔には、空気貯蔵部の圧力が印加される。この結果、アクティブバルブでは、ダイヤフラムが開放して第1連通孔と第2連通孔とが連通する。これにより、空気貯蔵部の空気が第1連通孔及び第2連通孔を経由して装置本体外部へ急速に排気される。
従って、この構成によれば、空気貯蔵部に圧縮空気を充填し、空気貯蔵部から空気を急速排気することができ、且つ消費電力が小さい小型な流体制御装置を提供できる。
本発明によれば、消費電力が小さく小型かつ流路断面積を充分に確保できるアクティブバルブを提供することができる。また、空気貯蔵部に圧縮空気を充填し、空気貯蔵部から空気を急速に排気することができ、且つ消費電力が小さい小型な流体制御装置を提供することができる。
特許文献1の圧電弁1の構造を説明する断面図である。 電圧印加時の図1の圧電弁1の断面図である。 本発明の実施形態に係る流体制御装置100の主要部の構成を示す説明図である。 図3に示す圧電ポンプ101の分解斜視図である。 図3に示す圧電ポンプ101の主要部の断面図である。 図3に示すアクティブバルブ103の主要部の断面図である。 図3に示す圧電ポンプ101とアクティブバルブ103がポンピング動作を行っている時の空気の流れを示す説明図である。 図3に示す圧電ポンプ101とアクティブバルブ103がポンピング動作を停止した直後の空気の流れを示す説明図である。 図3に示すアクティブバルブ103の弁開時の主要部の断面図である。 図3に示す圧電ポンプ101とアクティブバルブ103の駆動状態によるカフ109の圧力の変化を示すグラフである。 図10に示す時刻80秒から時刻90秒までの区間を拡大したグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る流体制御装置100について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る流体制御装置100の主要部の構成を示す説明図である。流体制御装置100は、圧電ポンプ101と圧電ポンプ付き排気弁103(以下、「アクティブバルブ103」と称する。)と制御部111と筐体110とを備え、カフ109に接続される。
流体制御装置100の筐体110には、カフ109のゴム管109Aに連通させる接続口106Aと、筐体110外部の空気を吸引するための吸引口107A、107Bと、カフ109の空気を排気するための排気口107Cと、が形成されている。
制御部111は、例えばマイクロコンピュータで構成され、装置本体の各部の動作を制御する。制御部111は、ポンピング動作のオンオフのタイミングを各ポンプに指示する。
以上の構成において、流体制御装置100は、詳細を後述するが、血圧の測定を開始する時、アクティブバルブ103及び圧電ポンプ101のポンピング動作を開始させる。アクティブバルブ103は、ポンピング動作により、吸引口107B及び吸引孔152から外気を吸引してポンプ室145の圧力を高め、ダイヤフラム108が排気弁孔32をシールする。そして、圧電ポンプ101は、ポンピング動作により、吸引口107A及び吸引孔52から外気を吸引し、圧電ポンプ101内のポンプ室45を経由して空気を吐出孔55からカフ109へ送出する。これにより、カフ109内の圧力(空気圧)が目標圧力まで高まる。その後、血圧の測定が終了すると、流体制御装置100は、アクティブバルブ103及び圧電ポンプ101のポンピング動作を停止する。これにより、アクティブバルブ103においてダイヤフラム108が開放して連通孔34と排気弁孔32とが連通し、カフ109の空気が排気弁孔32及び連通孔34を経由して排気口107Cから急速に排気される。
なお、カフ109が、本発明の「空気貯蔵部」に相当する。また、圧電ポンプ101が、本発明の「ポンプ」に相当する。また、アクティブバルブ103内のポンプ室145が、本発明の「第1ポンプ室」に相当する。また、アクティブバルブ103の連通孔34が、本発明の「第1連通孔」に相当する。また、アクティブバルブ103の排気弁孔32が、本発明の「第2連通孔」に相当する。また、アクティブバルブ103の吸引孔152が、本発明の「第3連通孔」に相当する。また、圧電ポンプ101内のポンプ室45が、本発明の「第2ポンプ室」に相当する。また、圧電ポンプ101の吸引孔52が、本発明の「第4連通孔」に相当する。また、圧電ポンプ101の吐出孔55が、本発明の「第5連通孔」に相当する。
ここで、圧電ポンプ101とアクティブバルブ103との構造について詳述する。まず、図3〜図5を用いて圧電ポンプ101の構造について詳述する。
図4は、図3に示す圧電ポンプ101の分解斜視図であり、図5は、図3に示す圧電ポンプ101の主要部の断面図である。
図3〜図5に示すように、圧電ポンプ101は、基板91、平面部51、スペーサ53A、補強板43、振動板ユニット60、圧電素子42、スペーサ53B、電極導通用板70、スペーサ53C及び蓋部54を備え、それらを順に積層した構造を有している。
円板状の振動板41の上面には圧電素子42が貼着され、振動板41の下面には補強板43が貼着されて、振動板41と圧電素子42と補強板43とによって円板状のアクチュエータ40が構成される。ここで、振動板41を圧電素子42および補強板43よりも線膨張係数の大きな金属板としておき、接着時に加熱硬化させることにより、全体が反ることなく、圧電素子42に適切な圧縮応力を残留させることができ、圧電素子42の割れを防止できる。例えば、振動板41をリン青銅(C5210)やステンレススチールSUS301など線膨張係数の大きな材料とし、補強板43を42ニッケルまたは36ニッケルまたはステンレススチールSUS430などとするのがよい。例えば、圧電素子42は、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスなどで形成するのがよい。この場合スペーサ53Bの厚みは、圧電素子42の厚みと同じか、少し厚くしておくとよい。なお、振動板41、圧電素子42、補強板43については、上から圧電素子42、補強板43、振動板41の順に配置してもよい。この場合も圧電素子42に適切な圧縮応力が残留するように、それぞれの線膨張係数が調整されている。
振動板41の周囲には振動板支持枠61が設けられていて、振動板41は振動板支持枠61に対して連結部62で連結されている。連結部62は細いリング状に形成されたものであり、小さなバネ定数の弾性をもたせて弾性構造としている。したがって振動板41は二つの連結部62で振動板支持枠61に対して2点で柔軟に支持されている。そのため、振動板41の屈曲振動を殆ど妨げない。すなわち、アクチュエータ40の周辺部が(勿論中心部も)実質的に拘束されていない状態となっている。なお、スペーサ53Aは平面部51と一定の隙間をあけてアクチュエータ40を保持するために設けられる。振動板支持枠61には電気的に接続するための外部端子63が形成されている。
振動板41、振動板支持枠61、連結部62及び外部端子63は金属板の打ち抜き加工により成形されていて、これらによって振動板ユニット60が構成されている。
振動板支持枠61の上面には、樹脂製のスペーサ53Bが接着固定されている。スペーサ53Bの厚さは圧電素子42と同じか少し厚く、ポンプ筺体80の一部を構成するとともに、次に述べる電極導通用板70と振動板ユニット60とを電気的に絶縁する。
スペーサ53Bの上には、金属製の電極導通用板70が接着固定されている。電極導通用板70は、ほぼ円形に開口した枠部位71と、この開口内に突出する内部端子73と、外部へ突出する外部端子72とで構成されている。
内部端子73の先端は圧電素子42の表面にはんだ付けされる。はんだ付け位置をアクチュエータ40の屈曲振動の節に相当する位置とすることにより内部端子73の振動は抑制できる。
電極導通用板70の上には、樹脂製のスペーサ53Cが接着固定される。スペーサ53Cはここでは圧電素子42と同程度の厚さを有する。スペーサ53Cは、アクチュエータが振動したときに、内部端子73のはんだ部分が、蓋部54に接触しないようにするためのスペーサである。また、圧電素子42表面が蓋部54に過度に接近して、空気抵抗により振動振幅の低下するのを防止する。そのため、スペーサ53Cの厚さは、前述のとおり、圧電素子42と同程度の厚さであればよい。
蓋部54はスペーサ53Cの上部に被せられ、アクチュエータ40の周囲を覆う。そのため、吸引孔52を通して吸引された流体は吐出孔55から吐出される。吐出孔55は蓋部54の中心に設けてもよいが、蓋部54を含むポンプ筐体80内の正圧を開放する吐出孔であるので、蓋部54の中心に設ける必要はない。
一方、平面部51の中心には吸引孔52が形成されている。この平面部51と振動板ユニット60との間に、補強板43の厚みに数10μm程度を加えた厚みのスペーサ53Aが挿入されている。このように、スペーサ53Aが存在しても、振動板41は振動板支持枠61に拘束されているわけではないので、負荷変動に応じて間隙は自動的に変化する。但し、連結部62(バネ端子)の拘束の影響を多少は受けるので、このようにスペーサ53Aを挿入することで、低負荷時には積極的に隙間を確保して流量を増大することができる。また、スペーサ53Aを挿入した場合でも、高負荷時には連結部62(バネ端子)がたわんで、アクチュエータ40と平面部51との対向領域の隙間が自動的に減少し、高い圧力で動作することが可能である。
なお、図4に示した例では、連結部62を二箇所に設けたが、三箇所以上に設けてもよい。連結部62はアクチュエータ40の振動を妨げるものではないが、振動に多少の影響を与えるため、例えば三箇所で連結(保持)することにより、より自然な保持が可能となり、圧電素子の割れを防止することもできる。
平面部51の下部には、中心に円柱形の開口部92が形成された基板91が設けられている。平面部51の一部は基板91の開口部92で露出する。この円形の露出部は、アクチュエータ40の振動に伴う圧力変動により、アクチュエータ40と実質的に同一周波数で振動することができる。この平面部51と基板91との構成により、平面部51のアクチュエータ対向領域の中心又は中心付近は屈曲振動可能な薄板部であり、周辺部は実質的に拘束された厚板部となる。この円形の薄板部の固有振動数は、アクチュエータ40の駆動周波数と同一か、やや低い周波数になるように設計している。
従って、外部端子63,72に駆動電圧が印加されると、アクチュエータ40が同心円状に屈曲振動し、アクチュエータ40の振動に呼応して、吸引孔52を中心とした平面部51の露出部(薄板部)も大きな振幅で振動する。平面部51の振動位相がアクチュエータ40の振動位相よりも遅れた(例えば90°遅れの)振動となれば、平面部51とアクチュエータ40との間の隙間空間の厚さ変動が実質的に増加する。そのことによってポンプの能力をより向上させることができる。
次に、アクティブバルブ103の構造について図3と図6を用いて詳述する。
図6は、図3に示すアクティブバルブ103の主要部の断面図である。アクティブバルブ103は、バルブ筐体31とダイヤフラム108とポンプ筐体180とを有する。アクティブバルブ103は、図5に示す圧電ポンプ101の蓋部54をダイヤフラム108とバルブ筐体31に置き換えた構造を有しており、その他の構成については図5に示す圧電ポンプ101と同じである。即ち、ポンプ筐体180の各構成要素140、153C、171、153B、161、153A、151、152、191、192は、図5に示すポンプ筐体80の各構成要素40、53C、71、53B、61、53A、51、52、91、92と同じものである。
バルブ筐体31には、圧電ポンプ101の吐出孔55及びカフ109に連通する排気弁孔32と、排気口107Cに接続され、筐体110外部に連通する連通孔34と、排気弁孔32の周縁からダイヤフラム108側へ突出した弁座30と、が形成されている。
ポンプ筐体180は、図5に示す圧電ポンプ101のポンプ筐体80から蓋部54を取り外した形状を有している。
ダイヤフラム108は、円状の薄膜からなり、弁座30に接触してバルブ筐体31に固定されている。また、ダイヤフラム108は、連通孔34に連通するリング状の排気室33をバルブ筐体31とともに構成し、吸引孔152に連通するポンプ室145をポンプ筐体180とともに構成する。ダイヤフラム108の材質は、例えばエチレンプロピレンゴムまたはシリコーンゴム等の弾性部材である。
なお、圧電素子5Bに電圧を印加することにより屈曲変位を生じさせて弁を開閉する構造の特許文献1の圧電弁1(図1、図2参照)と異なり、この実施形態のアクティブバルブ103は、ダイヤフラム108の屈曲変位によって弁を開閉する構造である。そのため、この実施形態のアクティブバルブ103は、広い流路断面積を確保できる(後述の図9参照)。従って、このアクティブバルブ103の構造によれば、アクティブバルブ103の小型・低背化を図りつつ、弁が開いた状態における流路断面積を十分に確保することが可能である。
ここで、血圧測定時における流体制御装置100の動作について説明する。
図7は、図3に示す圧電ポンプ101とアクティブバルブ103がポンピング動作を行っている時の空気の流れを示す説明図である。図8は、図3に示す圧電ポンプ101とアクティブバルブ103がポンピング動作を停止した直後の空気の流れを示す説明図である。図9は、図3に示すアクティブバルブ103の弁開時の主要部の断面図である。図10は、図3に示す圧電ポンプ101とアクティブバルブ103の駆動状態によるカフ109の圧力の変化を示すグラフである。図11は、図10に示す時刻80秒から時刻90秒までの区間を拡大したグラフである。
制御部111は、血圧の測定を開始する時、アクティブバルブ103のポンピング動作を開始させてから圧電ポンプ101のポンピング動作を開始させる。この際、アクティブバルブ103は、排気弁孔32からダイヤフラム108に印加されるカフ109の圧力をP1とし、ポンプ室145の圧力をP2とし、排気弁孔32の内面積をA1とし、ダイヤフラム108におけるポンプ室145に接する部分の面積をA2としたとき、P1・A1<P2・A2の関係を満たす圧力を、ポンピング動作を行って吸引口107B及び吸引孔152から外気を吸引してポンプ室145に生じさせる。このため、圧電ポンプ101がポンピング動作を行っても、アクティブバルブ103は、ダイヤフラム108が排気弁孔32をシールした状態を維持する。圧電ポンプ101は、ポンピング動作により、吸引口107A及び吸引孔52から外気を吸引し、圧電ポンプ101内のポンプ室45を経由して空気を吐出孔55からカフ109へ送出する。これにより、カフ109内の圧力(空気圧)が目標圧力まで高まる。
ここで、アクティブバルブ103は、カフ109と排気弁孔32が連通し、筐体110の外部と排気室33が連通した構成となっている。そのため、アクティブバルブ103は、ポンプ室145の圧力P2が印加されるダイヤフラム108の面積A2が、カフ109の圧力P1が印加される排気弁孔32の内面積A1より極めて広い構造となっている。そのため、P1・A1<P2・A2の関係を満たす圧力P2は、極めて小さな圧力で済む。例えば、カフ109の圧力P1が40kPaまで昇圧した場合でも、ポンプ室145の圧力P2は2kPaで済む。従って、この実施形態の流体制御装置100によれば、圧電ポンプ101がポンピング動作を行っていても、アクティブバルブ103は小さな消費電力(この実施形態では0.02W以下)で、ダイヤフラム108が排気弁孔32をシールした状態を維持できる。
なお、筐体110の外部と排気弁孔32を連通させ、カフ109と排気室33を連通させた場合、面積A1とA2が略等しくなるため、P1・A1<P2・A2の関係を満たす圧力P2は、カフの圧力P1と同程度の圧力を要することになる。即ち、圧電ポンプ101がポンピング動作を行っている間、アクティブバルブ103に対して大きな電力を供給しなければ、ダイヤフラム108が排気弁孔32をシールした状態を維持できないことになる。
次に、血圧の測定が終了すると、制御部111は、圧電ポンプ101のポンピング動作を停止してから、アクティブバルブ103のポンピング動作を停止する。ここで、ポンプ室145の体積はカフ109の収容可能な空気の体積に比べて極めて小さい。そのため、アクティブバルブ103のポンピング動作が停止すると、ポンプ室145の空気は、アクティブバルブ103の吸引孔152および開口部192を経由して筐体110の吸引口107Bから筐体110の外部へすぐに排気される。また、排気弁孔32には、カフ109の圧力が印加される。この結果、アクティブバルブ103では、ポンピング動作が停止すると、ポンプ室145の圧力P2がP1・A1>P2・A2の関係を満たす圧力になる。
ポンプ室145の圧力P2がP1・A1>P2・A2の関係を満たす圧力になると、アクティブバルブ103では、図9に示すようにダイヤフラム108が開放して排気弁孔32と連通孔34とが連通する。これにより、カフ109の空気が排気弁孔32及び連通孔34を経由して排気口107Cから急速に排気される(図10、図11参照)。図10、図11では、アクティブバルブ103のポンピング動作を停止させてから、2秒でカフ109の空気の排気が完了することが示されている。
従って、この実施形態の流体制御装置100によれば、カフ109に圧縮空気を充填し、カフ109から空気を急速排気することができる。また、この実施形態によれば、上述したように、消費電力が小さい小型・低背な流体制御装置100を提供できる。
なお、以上の実施形態では、流体制御装置100が圧電ポンプ101を備えているが、実施の際は、圧電ポンプ101に変えて他のポンプを備えても構わない。また、圧電ポンプ101及びアクティブバルブ103では、ユニモルフ型で屈曲振動するアクチュエータを設けたが、振動板の両面に圧電素子を貼着してバイモルフ型で屈曲振動するように構成してもよい。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 圧電弁
2 弁室天板
3 弁室上壁板
4 弁座
5 弁体板
5A 樹脂フィルム材
5B 圧電素子
6 弁室下壁板
7 弁室底板
12 配線
14 弁室
15 弁室
16 流出口
17 流入口
30 弁座
31 バルブ筐体
32 排気弁孔
33 排気室
34 連通孔
40 アクチュエータ
41 振動板
42 圧電素子
43 補強板
45 ポンプ室
51 平面部
52 吸引孔
53A、53B、53C スペーサ
54 蓋部
55 吐出孔
60 振動板ユニット
61 振動板支持枠
62 連結部
63 外部端子
70 電極導通用板
71 枠部位
72 外部端子
73 内部端子
80 ポンプ筐体
91 基板
92 開口部
100 流体制御装置
101 圧電ポンプ
103 排気弁付圧電ポンプ
106A 接続口
107A、107B 吸引口
107C 排気口
108 ダイヤフラム
109 カフ
109A ゴム管
110 筐体
111 制御部
140 アクチュエータ
141 振動板
142 圧電素子
143 補強板
145 ポンプ室
151 平面部
152 吸引孔
153A、153B、153C スペーサ
161 振動板支持枠
171 枠部位
180 ポンプ筐体
191 基板
192 開口部

Claims (6)

  1. 外部に連通する第1連通孔と第2連通孔とが形成されたバルブ筐体と、
    周辺部が実質的に拘束されていなくて、中心部から周辺部にかけて屈曲振動するアクチュエータと、前記アクチュエータに近接対向して配置される平面部とを有し、前記平面部のうち前記アクチュエータと対向するアクチュエータ対向領域に、外部に連通する第3連通孔が形成されたポンプ筐体と、
    前記第1連通孔に連通する排気室を前記バルブ筐体とともに構成し、前記第3連通孔に連通する第1ポンプ室を前記ポンプ筐体とともに構成するダイヤフラムと、を備えるアクティブバルブ。
  2. 前記アクチュエータは円板状である、請求項1に記載のアクティブバルブ。
  3. 前記アクチュエータ対向領域は、中心又は中心付近が屈曲振動可能な薄板部であり、周辺部が実質的に拘束された厚板部である、請求項1又は2に記載のアクティブバルブ。
  4. 前記アクチュエータは、当該アクチュエータと前記平面部との間に一定の隙間をあけて弾性構造により保持されている、請求項1乃至3の何れかに記載のアクティブバルブ。
  5. 前記アクティブバルブは、前記第2連通孔から前記ダイヤフラムに印加される圧力をP1とし、前記第1ポンプ室の圧力をP2とし、前記第2連通孔の内面積をA1とし、前記ダイヤフラムにおける前記第1ポンプ室に接する部分の面積をA2としたとき、P1・A1<P2・A2の関係を満たす圧力を、前記アクチュエータの屈曲振動を行って前記第1ポンプ室に生じさせ、前記ダイヤフラムで前記第2連通孔をシールし、
    前記アクティブバルブは、前記アクチュエータの屈曲振動を停止し、前記第1ポンプ室を降圧させて、前記ダイヤフラムが開放して前記第1連通孔と前記第2連通孔とを連通させる、請求項1乃至4の何れかに記載のアクティブバルブ。
  6. 第2ポンプ室と前記第2ポンプ室を介して互いに連通する第4連通孔および第5連通孔とを有し、ポンピング動作により前記第4連通孔から吸引した空気を、前記第5連通孔に連通する空気貯蔵部へ前記第5連通孔から吐出するポンプと、
    請求項1乃至5の何れかに記載のアクティブバルブと、を備え、
    前記アクティブバルブの前記第2連通孔は、前記ポンプの前記第5連通孔および前記空気貯蔵部に連通する、流体制御装置。
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