以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る画像符号化装置を示す構成図である。図1に示された画像符号化装置は、符号化部101、インター予測制御部121、逆パリティ予測ベクトル算出部122、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123およびピクチャタイプ決定部124を備える。また、符号化部101は、減算部102、直交変換部103、量子化部104、可変長符号化部105、逆量子化部106、逆直交変換部107、加算部108、ブロックメモリ109、イントラ予測部110、フレームメモリ111、インター予測部112およびスイッチ113を備える。
減算部102は、入力画像データから予測画像データを減算して、予測誤差データを出力する。直交変換部103は、予測誤差データに対し、画像領域(空間領域)から、周波数領域への変換を行う。量子化部104は、周波数領域に変換された予測誤差データに対し、量子化処理を行う。
逆量子化部106は、量子化部104により、量子化処理された予測誤差データに対し、逆量子化処理を行う。逆直交変換部107は、逆量子化処理された予測誤差データに対し、周波数領域から、画像領域への変換を行う。加算部108は、予測誤差データと予測画像データを加算して、再構築画像データを出力する。ブロックメモリ109は、再構築画像データをブロック単位で保存するためのメモリである。フレームメモリ111は、再構築画像データをフレーム単位で保存するためのメモリである。
イントラ予測部110は、ブロックメモリ109に保存されているブロック単位の再構築画像データを用いて、符号化対象ブロックをイントラ予測により符号化し、予測画像データを生成する。インター予測部112は、フレームメモリ111に保存されているフレーム単位の再構築画像データと、動き検出により導出した動きベクトルとを用いて、符号化対象ブロックをインター予測により符号化し、予測画像データを生成する。スイッチ113は、イントラ予測またはインター予測に符号化モードを切替える。
ピクチャタイプ決定部124は、Iピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャのいずれのピクチャタイプで入力画像列を符号化するかを決定し、ピクチャタイプ情報を生成する。
逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトルを追加するか否かを判定する。逆パリティ予測ベクトル算出部122は、逆パリティ予測ベクトルを算出する。インター予測制御部121は、1以上の予測ベクトル候補(予測動きベクトル候補とも呼ぶ)から、予測ベクトルを選択する。逆パリティ予測ベクトル追加判定部123、逆パリティ予測ベクトル算出部122およびインター予測制御部121で実行される処理については、後で詳細に述べる。
可変長符号化部105は、量子化処理された予測誤差データ、予測動きベクトルインデックス(予測ベクトルインデックス)、予測動きベクトル候補の予測誤差情報(差分ベクトル)、および、ピクチャタイプ情報等に対して、可変長符号化処理を行う。これにより、可変長符号化部105は、ビットストリームを生成する。
図2は、実施の形態1に係る予測ベクトル候補を示す全体概念図である。動画像は、複数のピクチャで構成される。また、各ピクチャは2つのフィールドで構成される場合がある。図2では、2つのフィールドが、第1フィールドと第2フィールドとして示されている。同一のピクチャにおいて、第1フィールドが最初に符号化され、第2フィールドが次に符号化される。典型的には、第1フィールドがトップフィールドであり、第2フィールドがボトムフィールドであるが、これに限られない。
第1フィールドおよび第2フィールドは、フィールドの属性を示す表現でもある。第1フィールドまたは第2フィールドには、複数のフィールドが含まれる。図2に示された参照フィールドb1および符号化対象フィールドは、第2フィールドに属する。同じフィールドに属する関係は、同一パリティと呼ばれる。異なるフィールドに属する関係は、逆パリティと呼ばれる。図2に示された参照フィールドb1と参照フィールドt1とは、逆パリティである。
符号化対象フィールドに含まれる符号化対象ブロックの周辺には、隣接ブロックA、B、Cが示されている。隣接ブロックAは、符号化対象ブロックの左に隣接するブロックである。隣接ブロックBは、符号化対象ブロックの上に隣接するブロックである。隣接ブロックCは、符号化対象ブロックの右上に隣接するブロックである。
隣接ブロックA、B、Cは、既に符号化が終了している。動きベクトルMV_Aは、隣接ブロックAの動き補償に用いられた動きベクトルである。以降、ブロックの動き検出などによって検出された動きベクトルであって、当該ブロックの動き補償に用いられた動きベクトルを単にブロックの動きベクトルと呼ぶ。動きベクトルMV_Bは、隣接ブロックBの動きベクトルである。動きベクトルMV_Cは、隣接ブロックCの動きベクトルである。
3つの動きベクトルMV_A、MV_B、MV_Cの中央値は、符号化対象ブロックの予測ベクトルの候補(以降、予測ベクトル候補とも呼ぶ)として、利用される。また、3つの動きベクトルMV_A、MV_B、MV_Cのそれぞれが、予測ベクトル候補として、利用されてもよい。
さらに、co−locatedブロックの動きベクトルから、予測ベクトル候補が算出されてもよい。典型的には、co−locatedブロックは、符号化対象フィールドよりも表示順で後のフィールド、かつ、符号化対象フィールドに対して同一パリティの関係を有するフィールドに属する。また、co−locatedブロックは、符号化対象ブロックのピクチャ(フィールド)内における位置と等しい位置に存在するブロックである。
なお、co−locatedブロックは、必ずしも符号化対象フィールドよりも表示順で後のフィールドに属するとは限らない。すなわち、co−locatedブロックは、符号化対象フィールドよりも表示順で前のフィールドに属してもよい。例えば、co−locatedブロックの属するフィールドが符号化対象フィールドよりも後方であるか前方であるかは、ピクチャヘッダ内に格納されるフラグによって切り替えられてもよい。
上述のco−locatedブロックの動きベクトルが、参照フィールドb1を指し示す動きベクトルである場合、向きはそのままで、大きさが時間的な距離に基づいて調整された動きベクトルが、予測ベクトル候補として利用されてもよい。このように調整された動きベクトルは、時間ダイレクトベクトルと呼ばれる。なお、動きベクトルが参照フィールドb1を指し示していることは、動きベクトルが参照フィールドb1を参照しているとして表現される場合がある。
さらに、逆パリティブロックの動きベクトルから、予測ベクトル候補が算出されてもよい。逆パリティブロックは、符号化対象フィールドに対して逆パリティの関係を有するフィールドに属する。また、逆パリティブロックは、符号化対象ブロックのピクチャ(フィールド)内における位置とほぼ等しい位置に存在するブロックである。
また、典型的には、符号化対象ブロックと逆パリティブロックとは、同じピクチャに含まれる。しかし、逆パリティブロックは、符号化対象ブロックを含むピクチャとは異なるピクチャに含まれていてもよい。
逆パリティブロックの動きベクトルが、向きはそのままで、大きさが時間的な距離に基づいて調整された後、調整された動きベクトルが、予測ベクトル候補として利用されてもよい。逆パリティブロックの動きベクトルに基づく予測ベクトルを、逆パリティ予測ベクトルと呼ぶ。
符号化対象ブロックに対して、空間的にほぼ同一の位置に存在し、時間的に近い逆パリティブロックの動きベクトルは、符号化対象ブロックの動きベクトルに近似している場合が多い。逆パリティブロックの動きベクトルを符号化対象ブロックの動きベクトルの予測に用いることにより、符号化効率が高められる。
図3は、実施の形態1に係る予測ベクトル候補の具体例を示す図である。符号化対象ブロックの周囲に隣接ブロックA、B、Cが存在する。3つの隣接ブロックA、B、Cに対応する3つの動きベクトルMV_A、MV_B、MV_Cのそれぞれ、または、それらの中央値が、予測動きベクトル候補として利用される。
ここで、符号化対象ブロック、および、3つの隣接ブロックA、B、Cが、それぞれ、別の大きさのブロックであってもよい。また、符号化対象ブロックが、さらに、サブブロックに分割され、サブブロック毎に予測ベクトル候補が決定されてもよい。
以上のように、図1に示されたインター予測制御部121は、複数の隣接ブロックから、予測ベクトル候補を取得する。
図4は、実施の形態1に係る時間ダイレクトベクトルおよび逆パリティ予測ベクトルを示す図である。時刻B0t、B1t、B2t、B3tにおいて、第1フィールドに属する複数のフィールドが、順に、表示される。また、時刻B0b、B1b、B2b、B3bにおいて、第2フィールドに属する複数のフィールドが、順に、表示される。これにより、第1フィールドに属するフィールドと、第2フィールドに属するフィールドとが交互に表示される。
時刻B0tにける第1フィールドと、時刻B0bにける第2フィールドとは、ひとつのピクチャを構成する。また、時刻B1tにける第1フィールドと、時刻B1bにける第2フィールドとは、ひとつのピクチャを構成する。同様に、時刻B2tにける第1フィールドと、時刻B2bにける第2フィールドとが、ひとつのピクチャを構成し、時刻B3tにける第1フィールドと、時刻B3bにける第2フィールドとが、ひとつのピクチャを構成する。
なお、実施の形態1に係る符号化処理および復号処理は、典型的には、このようなインターレース画像と呼ばれる動画像に適用される。しかし、実施の形態1に係る符号化処理および復号処理は、ピクチャ毎にフレーム符号化とフィールド符号化を切替える動画像に適用されてもよいし、ブロック毎にそれらを切替える動画像に適用されてもよい。
co−locatedブロックは、符号化対象ブロックから、co−located後方参照により参照される。co−locatedブロックの動きベクトルmvColは、時刻B3bにおけるフィールドから時刻B1bにおけるフィールドを指し示している。符号化対象ブロックは、時刻B2bにおけるフィールドに存在する。このような場合、符号化対象ブロックから時刻B1bにおけるフィールドを指し示す時間ダイレクトベクトルTemporalMVは、式1によって算出される。
TemporalMV=mvCol×(B2b−B1b)/(B3b−B0b) ・・・(式1)
時間ダイレクトベクトルTemporalMVの方向は、co−locatedブロックの動きベクトルmvColと方向が同じである。そして、時間ダイレクトベクトルTemporalMVの大きさと、co−locatedブロックの動きベクトルmvColの大きさとの比は、それぞれのブロックから参照フィールドに対する時間的な距離の比に等しい。このようにして、時間ダイレクトベクトルTemporalMVが算出される。
逆パリティブロックは、符号化対象フィールドに対して逆パリティの関係を有する逆パリティフィールドに含まれる。逆パリティブロックの動きベクトルmvDisは、時刻B2tにおけるフィールドから時刻B0tにおけるフィールドを指し示している。このような場合、符号化対象ブロックから時刻B1bにおけるフィールドを指し示す逆パリティ予測ベクトルDisparityMVは、式2によって算出される。
DisparityMV=mvDis×(B2b−B1b)/(B2t−B0t) ・・・(式2)
逆パリティ予測ベクトルDisparityMVの方向は、逆パリティブロックの動きベクトルmvDisの方向と同じである。そして、逆パリティ予測ベクトルDisparityMVの大きさと、逆パリティブロックの動きベクトルmvDisの大きさとの比は、それぞれのブロックから参照フィールドに対する時間的な距離の比に等しい。
図1に示された逆パリティ予測ベクトル算出部122は、このような逆パリティ予測ベクトルDisparityMVを算出する。そして、インター予測制御部121は、逆パリティ予測ベクトルDisparityMVおよび時間ダイレクトベクトルTemporalMVを予測ベクトル候補として取得する。時間ダイレクトベクトルTemporalMVは、図1に示された複数の処理部のいずれかによって、算出されてもよいし、図示されない時間ダイレクトベクトル算出部によって、算出されてもよい。
なお、図4では、符号化対象ブロックと逆パリティブロックとが同じピクチャに属する場合の例が示された。しかし、時刻B2tと時刻B2bとの間で画像の変化が大きい場合、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、時刻B3tにおける逆パリティブロックの動きベクトルを利用してもよい。
また、符号化対象ブロックがひとつのピクチャにおいて最初に符号化される第1フィールドである場合、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、別のピクチャに含まれる逆パリティブロックの動きベクトルを利用してもよい。例えば、時刻B2tにおける第1フィールドに、符号化対象ブロックが含まれている場合、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、時刻B1bにおける第2フィールドに含まれている逆パリティブロックの動きベクトルを利用してもよい。
逆パリティ予測ベクトル算出部122は、符号化対象フィールドに表示順で最も近いフィールドに含まれる逆パリティブロックの動きベクトルを用いることが好ましい。表示順で近いフィールドは、動きの情報も似ているためである。逆パリティ予測ベクトル算出部122は、符号化された画像の動きの情報を用いて、どのフィールドに属する逆パリティブロックを用いるかを決定してもよい。
また、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、符号化対象ブロックが第1フィールドおよび第2フィールドのいずれに属しているかに基づいて、どのフィールドに属する逆パリティブロックを用いるかを決定してもよい。また、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、ピクチャタイプがIピクチャ、PピクチャおよびBピクチャのいずれであるか等に基づいて、どのフィールドに属する逆パリティブロックを用いるかを決定してもよい。
また、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、複数のフィールドのリオーダリング(並び替え)によって、逆パリティブロックの動きベクトルをco−locatedブロックの動きベクトルとして利用してもよい。
例えば、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、複数のフィールドのリオーダリングコマンドにより、時刻B2tにおけるフィールドと時刻B3bにおけるフィールドとを入れ替える。これにより、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、逆パリティブロックの動きベクトルをco−locatedブロックの動きベクトルとして利用できる。
図5は、実施の形態1に係る予測ベクトル候補の一覧を示す図である。予測動きベクトルインデックスは、各予測動きベクトル候補を特定するためのインデックスである。予測動きベクトルインデックスは、各予測動きベクトル候補を特定するための識別情報でもある。なお、図5に示された一覧は、例であって、一部が欠けていてもよいし、その他の予測動きベクトル候補が含まれていてもよい。また、予測動きベクトルインデックスも、異なる値が割り当てられていてもよい。
予測動きベクトルインデックス0に対応する予測動きベクトル候補は、3つの隣接ブロックA、B、Cの動きベクトルMV_A、MV_B、MV_Cの中央値に基づいている。この中央値は、3つの動きベクトルMV_A、MV_B、MV_Cについて、垂直方向成分の中央値と、水平方向成分の中央値との組み合わせにより構成される。
予測動きベクトルインデックス1に対応する予測動きベクトル候補は、隣接ブロックAの動きベクトルMV_Aである。予測動きベクトルインデックス2に対応する予測動きベクトル候補は、隣接ブロックBの動きベクトルMV_Bである。予測動きベクトルインデックス3に対応する予測動きベクトル候補は、隣接ブロックCの動きベクトルMV_Cである。
予測動きベクトルインデックス4に対応する予測動きベクトル候補は、時間ダイレクトベクトルである。予測動きベクトルインデックス5に対応する予測動きベクトル候補は、逆パリティ予測ベクトルである。
予測動きベクトル候補は、符号化された隣接ブロック、符号化されたco−locatedブロック、および、符号化された逆パリティブロックの動きベクトルから、取得される。これらのブロックの動きベクトルは、動き検出により検出された動きベクトルであって、動き補償に用いられた動きベクトルである。しかし、別の方法によって、これらのブロックの動きベクトルが決定されてもよい。
図1に示されたインター予測制御部121は、図5に示された予測動きベクトル候補の一覧を予測動きベクトルインデックスと共に生成する。そして、インター予測制御部121は、1以上の予測動きベクトル候補から、1つの予測動きベクトル候補を予測ベクトルとして選択する。
可変長符号化部105は、選択された予測動きベクトル候補と、符号化対象ブロックの動きベクトルとの差分である差分ベクトルを符号化する。また、可変長符号化部105は、選択された予測動きベクトル候補に対応する予測動きベクトルインデックスを符号化する。
図6は、図1に示された実施の形態1に係る画像符号化装置の処理を示すフローチャートである。図6に示されたフローチャートは、1つのブロックの処理に対応する。なお、ブロックは、典型的には、マクロブロックであるが、ピクチャを分割することにより得られるその他のブロックでもよい。
まず、インター予測制御部121は、予測ベクトル候補の一覧を生成する(S101)。この時、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、逆パリティ予測ベクトルを算出する。そして、インター予測制御部121は、算出された逆パリティ予測ベクトルを取得して、予測ベクトル候補の一覧に加える。
次に、インター予測制御部121は、1以上の予測ベクトル候補から予測ベクトルを選択する(S102)。予測ベクトルは、符号化対象ブロックの動き補償に用いられる動きベクトルを符号化するときの予測に用いられるベクトルである。
次に、可変長符号化部105は、予測ベクトルに対応する識別情報を符号化する。この識別情報は、1以上の予測ベクトル候補から予測ベクトルを特定するための識別情報である。また、可変長符号化部105は、符号化対象ブロックの動きベクトルと、選択された予測ベクトルとの差分である差分ベクトルを符号化する(S103)。差分ベクトルは、インター予測部112が算出してもよいし、インター予測制御部121が算出してもよい。あるいは、別の処理部が算出してもよい。
このようにして、動きベクトルの符号化に予測が利用される。そして、画像復号装置においても、同様の予測が利用される。したがって、予測を用いて符号化された動きベクトルが適切に復号される。よって、動きベクトルの符号化効率が向上し、動画像の符号化効率が向上する。
図7は、図6に示された実施の形態1に係る予測ベクトル候補を生成する処理の詳細を示すフローチャートである。図7のフローチャートでは、図2の全体概念図に示された状態における処理が想定されている。
まず、インター予測制御部121は、隣接ブロックA、B、Cを決定する(S201)。隣接ブロックA、B、Cは、符号化対象ブロックの左、上、右上に隣接するブロックである。
次に、インター予測制御部121は、隣接ブロックN(N=A、B、C)について、次の処理を実行する(S202)。すなわち、インター予測制御部121は、隣接ブロックNが参照フィールドb1への動きベクトルを有しているか否かを判定する(S203)。言い換えれば、インター予測制御部121は、隣接ブロックNの動きベクトルが参照フィールドb1を指し示しているか否かを判定する。
ここで、隣接ブロックNが参照フィールドb1への動きベクトルを有している場合(S203でYes)、インター予測制御部121は、動きベクトルMV_Nをリストに追加する(S204)。例えば、インター予測制御部121は、動きベクトルMV_Aを予測ベクトル候補の一覧に追加する。一方、隣接ブロックNが参照フィールドb1への動きベクトルを有していない場合(S203でNo)、インター予測制御部121は、動きベクトルMV_Nをリストに追加しない。
インター予測制御部121は、隣接ブロックN(N=A、B、C)について、上記の処理を実行する。これによって、予測ベクトル候補の一覧に含まれる予測ベクトル候補の数が変化する。復号側でも同様の方法で、予測ベクトル候補の一覧が生成されるため、予測ベクトル候補は、符号化側と復号側で一致する。復号側の処理を符号化側の処理に一致させることにより、柔軟な予測ベクトル候補の設定が可能になる。
また、インター予測制御部121は、予測ベクトル候補の数を減らすことにより、予測ベクトルインデックスの数値を小さくすることができる。また、複数の予測ベクトル候補が同じベクトルを指し示している場合、インター予測制御部121は、予測ベクトル候補の一覧に、これらの複数の予測ベクトル候補を単一の予測ベクトル候補として格納してもよい。これにより、インター予測制御部121は、予測ベクトル候補の数をさらに減らし、予測ベクトルインデックスの数値を小さくすることができる。
そして、インター予測制御部121は、予測ベクトルインデックスの数値を小さくすることにより、予測ベクトルインデックスが符号化される時の符号量を削減できる。予測ベクトルインデックスの数値を小さくする処理も、符号化側と復号側とで同様のルールが適用されることにより、実現可能である。
次に、インター予測制御部121は、3つの動きベクトルMV_A、MV_B、MV_Cの中央値を予測ベクトル候補の一覧に追加する(S205)。次に、インター予測制御部121は、参照フィールドb1への時間ダイレクトベクトルを算出する。そして、インター予測制御部121は、算出された時間ダイレクトベクトルを予測ベクトル候補の一覧に追加する(S206)。
次に、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、参照フィールドb1への逆パリティ予測ベクトルを算出する。そして、インター予測制御部121は、算出された逆パリティ予測ベクトルを予測ベクトル候補の一覧に追加する(S207)。
以上のようにして、予測ベクトル候補の一覧が生成される。図1に示された逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトルを追加するか否かを判定してもよい。
図8は、実施の形態1に係る逆パリティ予測ベクトルを予測ベクトル候補に追加する処理を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、図7に示された逆パリティ予測ベクトルの算出および追加の処理(S207)、および、それ以降の処理に対応する。
まず、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトルを追加するか否かを判定する(S301)。そして、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトル追加フラグを設定する。この処理は、後で詳述する。
次に、逆パリティ予測ベクトル追加フラグがオンである場合(S302でYes)、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、逆パリティ予測ベクトルを算出する。そして、インター予測制御部121は、算出された逆パリティ予測ベクトルを予測ベクトル候補の一覧に追加する(S303)。逆パリティ予測ベクトル追加フラグがオンでない場合(S302でNo)、逆パリティ予測ベクトル算出部122は、逆パリティ予測ベクトルを算出しない。
次に、インター予測制御部121は、予測ベクトル候補から、符号化対象ブロックの動きベクトルの予測に用いられる予測ベクトルを選択する。符号化対象ブロックの動きベクトルは、動き検出の結果等により得られた動きベクトルである。そして、可変長符号化部105は、選択された予測ベクトルに対応する予測動きベクトルインデックスを可変長符号化する(S304)。この処理は、後で詳述する。
上記のより、逆パリティ予測ベクトルを利用するか否かが適応的に切替えられる。したがって、より効率的な符号化が実現される。
図9は、実施の形態1に係る逆パリティ予測ベクトルを予測ベクトル候補に追加するか否かを判定する処理を示すフローチャートである。本処理は、図8に示された逆パリティ予測ベクトル追加判定(S301)に相当する。
まず、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、符号化対象フィールドが第2フィールドであるか否かを判定する(S401)。第2フィールドとは、同一のピクチャに含まれる2つのフィールドのうち、2番目に符号化されるフィールドである。符号化対象フィールドが第2フィールドでない場合(S401でNo)、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトル追加フラグをオフに設定する(S404)。
これにより、符号化対象フィールドが第2フィールドである場合にのみ、逆パリティ予測ベクトルが、予測ベクトルとして利用可能になる。この例は、符号化対象ブロックと逆パリティブロックとが同じピクチャに含まれていることを想定している。同一ピクチャ内の動きベクトルの取得は、比較的容易なためである。
次に、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティブロックの動きベクトルmvDisの大きさが閾値以下であって、かつ、逆パリティブロックの動きベクトルmvDisが同一フィールドを指し示しているか否かを判定する(S402)。
そして、これらの条件が満たされている場合(S402でYes)、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトル追加フラグをオンに設定する(S403)。これらの条件が満たされていない場合(S402でNo)、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトル追加フラグをオフに設定する(S404)。
動きが小さい場合、逆パリティブロックの動きベクトルをそのまま利用することができる可能性が高い。したがって、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、このような場合にのみ、逆パリティ予測ベクトルを有効にすることで、処理効率を向上させることができる。
上記のようにして、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトルを予測ベクトル候補の一覧に追加するか否かを判定する。なお、図9のフローチャートは例であって、他の追加判定が組み込まれてもよい。例えば、ピクチャタイプがIピクチャである場合、インター予測が用いられないため、逆パリティ予測ベクトル追加判定部123は、逆パリティ予測ベクトル追加フラグをオフに設定してもよい。
図10は、実施の形態1に係る予測ベクトル候補から予測ベクトルを選択する処理を示すフローチャートである。
まず、インター予測制御部121は、予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxに0を代入する。また、最小動きベクトル誤差に∞を代入する(S501)。ここで、予測動きベクトル候補インデックスmvp_idx、および、最小動きベクトル誤差は、それぞれ変数である。
次に、予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxが予測動きベクトル候補数よりも小さい場合(S502でYes)、インター予測制御部121は、動き検出結果ベクトルと予測動きベクトル候補との誤差を算出する。ここで、動き検出結果ベクトルは、符号化対象ブロックの動きベクトルであり、動き検出で導出された動きベクトルに対応する。
より具体的には、この時、インター予測制御部121は、符号化対象ブロックの動きベクトルから、予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxによって特定される予測動きベクトル候補を減算する。そして、インター予測制御部121は、減算した結果を動きベクトル誤差に代入する(S503)。
次に、動きベクトル誤差が最小動きベクトル誤差よりも小さい場合(S504でYes)、インター予測制御部121は、最小動きベクトル誤差に動きベクトル誤差を代入する。また、予測動きベクトルインデックスに予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxを代入する(S505)。ここで、最小動きベクトル誤差および予測動きベクトルインデックスは、それぞれ変数である。
動きベクトル誤差が最小動きベクトル誤差以上である場合(S504でNo)、インター予測制御部121は、最小動きベクトル誤差および予測動きベクトルインデックスを変更しない。
その後、インター予測制御部121は、予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxに1を追加する(S506)。そして、インター予測制御部121は、予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxが予測動きベクトル候補数よりも小さいか否かを再度判定する(S502)。
予測動きベクトル候補インデックスmvp_idxが予測動きベクトル候補数以上である場合(S502でNo)、その時の予測動きベクトルインデックスにより特定される予測動きベクトルが、インター予測制御部121が選択した予測動きベクトルである。また、その時の最小動きベクトル誤差が、差分動きベクトルである。可変長符号化部105は、その時の予測動きベクトルインデックスおよび最小動きベクトル誤差を可変長符号化処理によって符号化する(S507)。
以上のようにして、インター予測制御部121は、1以上の予測動きベクトル候補のうち、誤差値が最も小さい予測動きベクトル候補を予測動きベクトルとして選択する。なお、図10では、誤差値により予測動きベクトルが選択されたが、符号量により予測動きベクトルを選択してもよい。
図11は、実施の形態1に係る予測動きベクトルインデックスの一覧を示す図である。各予測動きベクトルインデックスには、符号化時に割り当てられる割当ビット列が定められている。
図11の例では、予測動きベクトルインデックス0には、0が割り当てられている。また、予測動きベクトルインデックス1には、10が割り当てられている。また、予測動きベクトルインデックス2には、110が割り当てられている。また、予測動きベクトルインデックス3には、1110が割り当てられている。また、予測動きベクトルインデックス4には、11110が割り当てられている。また、予測動きベクトルインデックス5には、111110が割り当てられている。
上記のように、予測動きベクトルインデックスが大きい程、長いビット列が割り当てられている。この予測動きベクトルインデックスの一覧は、復号側と同様のルールに基づいて、変更されてもよい。優先的に選択される予測動きベクトル候補には、短いビット列が割り当てられることにより、全体の符号量が削減される。
例えば、図9で示された判定処理において、逆パリティ予測ベクトル追加フラグがオンにされる場合、逆パリティ予測ベクトルには、短いビット列が割り当てられてもよい。そして、割当ビット列を含む符号量が、図10で示された選択処理に適用されてもよい。すなわち、インター予測制御部121は、割当ビット列および差分動きベクトルを含む符号量に基づいて、符号量が最も小さくなるように、予測ベクトルを選択してもよい。これにより、短いビット列に対応する予測ベクトルが優先的に選択される。
図12は、実施の形態1に係る画像復号装置を示す構成図である。図12に示された画像復号装置は、復号部201、インター予測制御部221、逆パリティ予測ベクトル算出部222および逆パリティ予測ベクトル追加判定部223を備える。復号部201は、可変長復号部205、逆量子化部206、逆直交変換部207、加算部208、ブロックメモリ209、イントラ予測部210、フレームメモリ211、インター予測部212およびスイッチ213を備える。
可変長復号部205は、入力されたビットストリームに対し、可変長復号処理を行い、ピクチャタイプ情報、予測動きベクトルインデックス、予測誤差データ等を復号する。逆量子化部206は、予測誤差データに対し、逆量子化処理を行う。逆直交変換部207は、逆量子化処理を行った予測誤差データを、周波数領域から、画像領域へ変換する。加算部208は、予測画像データと、予測誤差データとを加算することにより、復号画像データを生成する。
ブロックメモリ209は、復号画像データを、ブロック単位で保存するためのメモリである。フレームメモリ211は、復号画像データをフレーム単位で保存するためのメモリである。
イントラ予測部210は、ブロックメモリ209に保存されているブロック単位の復号画像データを用いて、イントラ予測を実行することにより、復号対象ブロックの予測画像データを生成する。インター予測部212は、フレームメモリ211に保存されているフレーム単位の復号画像データを用いて、インター予測を実行することにより、復号対象ブロックの予測画像データを生成する。スイッチ213は、イントラ予測またはインター予測に符号化モード(復号モード)を切替える。
逆パリティ予測ベクトル追加判定部223は、逆パリティ予測ベクトルを追加するか否かを判定する。逆パリティ予測ベクトル算出部222は、逆パリティ予測ベクトルを算出する。インター予測制御部221は、1以上の予測ベクトル候補から、予測ベクトルを選択する。
インター予測制御部221で実行される処理は、符号化側のインター予測制御部121で実行される処理と同様である。逆パリティ予測ベクトル算出部222で実行される処理は、符号化側の逆パリティ予測ベクトル算出部122で実行される処理と同様である。逆パリティ予測ベクトル追加判定部223で実行される処理は、符号化側の逆パリティ予測ベクトル追加判定部123で実行される処理と同様である。
つまり、上述の符号化処理において、符号化の部分を復号に変更することにより、インター予測制御部221、逆パリティ予測ベクトル算出部222および逆パリティ予測ベクトル追加判定部223が実現される。なお、インター予測制御部221は、可変長復号部205によって復号された予測動きベクトルインデックスを用いて、1以上の予測ベクトル候補から、予測動きベクトルを選択する。
図13は、図12に示された実施の形態1に係る画像復号装置の処理を示すフローチャートである。
まず、可変長復号部205は、予測ベクトルインデックスおよび差分ベクトルを復号する(S701)。予測ベクトルインデックスは、符号化時に選択された予測ベクトルを特定するための識別情報である。差分動きベクトルは、復号対象ブロックの動きベクトルと、符号化時に選択された予測ベクトルとの差分である。
次に、逆パリティ予測ベクトル算出部222は、逆パリティ予測ベクトルを算出する。そして、インター予測制御部221は、予測ベクトル候補の一覧を生成する(S702)。この処理は、符号化側の処理と同様である。
次に、インター予測制御部221は、復号された予測ベクトルインデックスを用いて、予測ベクトル候補の一覧から、予測ベクトルを選択する(S703)。その後、インター予測制御部221は、差分ベクトルと予測ベクトルとを加算することにより、復号対象画像の動きベクトルを取得する。この動きベクトルを取得する処理は、インター予測部212によって行われてもよい。
復号された動きベクトルは、インター予測部212による予測画像データの生成に用いられる。そして、画像復号装置は、復号された動きベクトルを利用して、動き補償を実現する。
以上のように、画像符号化装置は、逆パリティ予測ベクトルを含む予測ベクトル候補から、動きベクトルの予測に用いる予測ベクトルを選択する。これにより、動きベクトルの符号化効率が向上し、画像の符号化効率が向上する。画像復号装置は、符号化側と同様の処理により、高い符号化効率で符号化された画像を復号することができる。
(変形例)
図1に示された画像符号化装置は、本発明に係る画像符号化装置の具体例であって、本発明に係る画像符号化装置は、図1に示された具体例に限られない。また、図12に示された画像復号装置は、本発明に係る画像復号装置の具体例であって、本発明に係る画像復号装置は、図12に示された具体例に限られない。以下に、図1に示された複数の構成要素のうち主要な構成要素を備える画像符号化装置、および、図12に示された複数の構成要素のうち主要な構成要素を備える画像復号装置を変形例として示す。
図14は、実施の形態1の変形例に係る画像符号化装置を示す構成図である。図14に示された画像符号化装置は、画像をブロック毎に符号化する画像符号化装置であって、逆パリティ予測ベクトル算出部(単に、算出部とも呼ぶ)122、インター予測制御部(選択部とも呼ぶ)121、および、符号化部101を備える。本変形例に係る画像符号化装置の構成は、図1に示されたその他の構成要素に限定されない。特に、図1の符号化部101の具体的な構成も一例である。
逆パリティ予測ベクトル算出部122は、逆パリティブロックの動きベクトルから逆パリティ予測ベクトルを算出する。ここで、逆パリティブロックは、符号化対象ブロックに対して逆パリティの関係を有するブロックであり、画像における符号化対象ブロックの空間的な位置に対応するブロックである。逆パリティ予測ベクトルは、符号化対象ブロックの動きベクトルを予測するためのベクトルである。
インター予測制御部121は、逆パリティ予測ベクトルを含む1以上の予測ベクトル候補から、符号化対象ブロックの動きベクトルの予測に用いる予測ベクトルを選択する。
符号化部101は、識別情報および差分ベクトルを符号化する。識別情報は、1以上の予測ベクトル候補から選択された予測ベクトルに対応する。差分ベクトルは、符号化対象ブロックの動きベクトルと予測ベクトルとの差分である。
これにより、動きベクトルを高い精度で予測するための逆パリティ予測ベクトルが、予測ベクトルの候補に追加される。よって、動きベクトルが高い精度で予測される。したがって、画像が高い符号化効率で符号化される。
図15は、実施の形態1の変形例に係る画像復号装置を示す構成図である。図15に示された画像復号装置は、符号化された画像をブロック毎に復号する画像復号装置であって、逆パリティ予測ベクトル算出部(単に、算出部とも呼ぶ)222、インター予測制御部(選択部とも呼ぶ)221、および、復号部201を備える。本変形例に係る画像復号装置の構成は、図12に示されたその他の構成要素に限定されない。特に、図12の復号部201の具体的な構成も一例である。
逆パリティ予測ベクトル算出部222は、逆パリティブロックの動きベクトルから、逆パリティ予測ベクトルを算出する。ここで、逆パリティブロックは、復号対象ブロックに対して逆パリティの関係を有するブロックであり、画像における復号対象ブロックの空間的な位置に対応するブロックである。逆パリティ予測ベクトルは、復号対象ブロックの動きベクトルを予測するためのベクトルである。
復号部201は、識別情報および差分ベクトルを復号する。ここで、識別情報は、逆パリティ予測ベクトルを含む1以上の予測ベクトル候補から符号化時に選択された予測ベクトルに対応する。差分ベクトルは、復号対象ブロックの動きベクトルと予測ベクトルとの差分である。
インター予測制御部221は、予測ベクトル候補から、識別情報を用いて、予測ベクトルを選択する。
これにより、動きベクトルを高い精度で予測するための逆パリティ予測ベクトルが、予測ベクトルの候補に追加される。よって、動きベクトルが高い精度で予測される。したがって、高い符号化効率で符号化された画像の復号が可能になる。
なお、この変形例において示された画像符号化装置および画像復号装置に、図1または図12に示された複数の構成要素の一部が追加されてもよい。特に、変形例の画像符号化装置に逆パリティ追加判定部(単に、判定部とも呼ぶ)123が追加されてもよい。また、変形例の画像復号装置に逆パリティ追加判定部(単に、判定部とも呼ぶ)223が追加されてもよい。また、この変形例に係る画像符号化装置および画像復号装置は、実施の形態1で示されたその他の動作を追加で実行してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態1で示された逆パリティ予測ベクトルは、多視点映像符号化に適用されてもよい。実施の形態2は、多視点映像符号化への適用例を示す。なお、実施の形態2の画像符号化装置および画像復号装置の構成は、実施の形態1の画像符号化装置および画像復号装置の構成と同様である。
多視点映像符号化は、複数のビューで構成される画像を符号化するための技術である。複数のビューにおいても、同一パリティおよび逆パリティの表現が用いられる場合がある。
2つのピクチャが、同一のビューに属する場合、これらの2つのピクチャは同一パリティである。あるいは、これらの2つのピクチャは、同一パリティの関係を有すると表現される。2つのピクチャが、互いに異なる2つのビューに属する場合、これらの2つのピクチャは逆パリティである。あるいは、これらの2つのピクチャは、逆パリティの関係を有すると表現される。
図16は、実施の形態2に係る予測ベクトル候補を示す全体概念図である。図16のように、実施の形態2に係る予測ベクトル候補は、実施の形態1の図2とほぼ同様の概念で示される。図16には、第1ビュー、第2ビュー、参照ピクチャr1、r2、および、逆パリティピクチャ等が示されている。これらは、それぞれ、図2の第1フィールド、第2フィールド、参照フィールドt1、b1、および、逆パリティフィールドに対応する。
逆パリティピクチャおよび参照ピクチャr1は、第1ビューに属する。符号化対象ピクチャおよび参照ピクチャr2は、第2ビューに属する。符号化対象ピクチャおよび逆パリティピクチャは、逆パリティの関係を有する。例えば、第1ビューは、ベースビューであり、第2ビューは、ノンベースビューである。
また、図16の例では、参照ピクチャr1および参照ピクチャr2は、表示順が同じであり、同じ時刻に表示される。また、符号化対象ピクチャおよび逆パリティピクチャも、表示順が同じであり、同じ時刻に表示される。逆パリティブロックは、逆パリティピクチャに含まれるブロックであり、符号化対象ブロックの位置に対応するブロックである。
このような関係においても、実施の形態1と同様に、逆パリティ予測ベクトルが導出される。
ここで、典型的には、逆パリティピクチャ内における逆パリティブロックの空間的な位置は、符号化対象ピクチャ内における符号化対象ブロックの空間的な位置と同じである。しかし、逆パリティピクチャ内における逆パリティブロックの空間的な位置が、符号化対象ピクチャ内における符号化対象ブロックの空間的な位置と異なっていてもよい。例えば、逆パリティブロックの位置は、符号化対象ブロックの位置からビュー間の視差に相当する距離をずらすことにより得られる位置であってもよい。
図17は、実施の形態2に係る時間ダイレクトベクトルおよび逆パリティ予測ベクトルを示す図である。図17のように、逆パリティ予測ベクトルも、実施の形態1の図4とほぼ同様に示される。
逆パリティブロックの動きベクトルmvDisは、時刻B2におけるピクチャから時刻B0におけるピクチャを指し示している。このような場合、符号化対象ブロックから時刻B1におけるピクチャを指し示す逆パリティ予測ベクトルDisparityMVは、式3によって算出される。
DisparityMV=mvDis×(B2−B1)/(B2−B0) ・・・(式3)
式3のように、逆パリティブロックの動きベクトルmvDisに、時間に対応する比率を掛け合わせることにより、逆パリティ予測ベクトルDisparityMVが得られる。
ここで、式3の乗算の処理負荷を抑制するため、B2−B1とB2−B0とが同じである場合にのみ、すなわち、(B2−B1)/(B2−B0)=1の場合にのみ、逆パリティ予測ベクトルDisparityMVが用いられてもよい。この場合、逆パリティブロックの動きベクトルmvDisが、直接、逆パリティ予測ベクトルDisparityMVとして用いられる。
実施の形態2の逆パリティ予測ベクトルが、実施の形態1の逆パリティ予測ベクトルに代えて用いられてもよいし、実施の形態1の逆パリティ予測ベクトルに加えて用いられてもよい。
より具体的には、図1の画像符号化装置におけるインター予測制御部121は、第1ビューに含まれる逆パリティブロックの動きベクトルから、第2ビューに含まれる符号化対象ブロックの動きベクトルを予測するための逆パリティ予測ベクトルを算出する。ここで、第1ビューおよび第2ビューは、多視点映像である画像に含まれ、互いに異なる。
同様に、図12の画像復号装置におけるインター予測制御部221は、第1ビューに含まれる逆パリティブロックの動きベクトルから、第2ビューに含まれる復号対象ブロックの動きベクトルを予測するための逆パリティ予測ベクトルを算出する。
その他の動作は、実施の形態1と同様である。すなわち、実施の形態2では、実施の形態1の第1フィールドおよび第2フィールドが、多視点映像に係る第1ビューおよび第2ビューに置き換えられる。これにより、逆パリティ予測ベクトルが、多視点映像に適用される。
なお、実施の形態2では、2つのビューが示されているが、3つ以上のビューが用いられてもよい。そして、符号化対象ピクチャを含まない複数のビューに対応する複数の逆パリティ予測ベクトルが用いられてもよい。一方、処理の簡素化のために、ベースビューに対応する逆パリティ予測ベクトルのみが用いられてもよい。
また、典型的には、時間的に符号化対象ピクチャと同一のピクチャに含まれる逆パリティブロックの動きベクトルから、逆パリティ予測ベクトルが算出される。しかし、時間的に符号化対象ピクチャとは異なるピクチャに含まれる逆パリティブロックの動きベクトルから、逆パリティ予測ベクトルが算出されてもよい。
また、上述の通り、実施の形態2に係る画像符号化装置および画像復号装置は、実施の形態1のフィールドと同等に、ピクチャを用いる。特に、実施の形態2に係る画像符号化装置および画像復号装置は、実施の形態1のフィールドをピクチャとみなして、図7および図9に示された動作を実行することができる。例えば、逆パリティブロックの動きベクトルが同一パリティを参照する場合にのみ、逆パリティ予測ベクトルが用いられてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3は、追加された予測動きベクトル候補の数を復号側に伝送するための具体的な例を示す。符号化側と復号側とで同じように予測動きベクトル候補が生成される場合、予測動きベクトル候補に対応する予測動きベクトルインデックスも、符号化側と復号側とで同じ値になる。そのため、画像符号化装置は、予測動きベクトル候補の数を復号側に伝送しなくてもよい。しかし、予測動きベクトル候補の算出および追加によって、処理量が増加する場合がある。
そこで、実施の形態3に係る画像符号化装置は、符号化対象ブロックを含まないピクチャまたはフィールドを参照して算出される予測動きベクトル候補の数を制限する。そして、画像符号化装置は、制限された数を画像復号装置に伝送する。これにより、画像符号化装置および画像復号装置において、動きベクトルの予測精度の向上と、処理量の増加の抑制との両立が実現される。
なお、実施の形態3の画像符号化装置および画像復号装置の構成は、実施の形態1の画像符号化装置および画像復号装置の構成と同様である。
図18は、実施の形態3に係る予測ベクトル候補の一覧を示す図である。時間ダイレクトベクトル、第1逆パリティ予測ベクトルおよび第2逆パリティ予測ベクトルは、それぞれ、符号化対象ブロックを含まないピクチャまたはフィールドを参照して算出される予測動きベクトル候補である。図18のように、予測ベクトル候補に複数の逆パリティ予測ベクトルが含まれる場合がある。
時間ダイレクトベクトルは、co−locatedブロックの動きベクトルから算出される。第1逆パリティ予測ベクトルは、例えば、図2の逆パリティフィールドに属する逆パリティブロックから算出される。第2逆パリティ予測ベクトルは、例えば、図16の逆パリティピクチャに属する逆パリティブロックから算出される。
図18の例では、符号化対象ブロックを含まないピクチャまたはフィールドを参照して算出される予測動きベクトル候補の数は、3である。逆に、別ピクチャまたは別フィールドを参照して算出される予測動きベクトル候補の数が、3つに限定されている場合、画像符号化装置は、3つ以下の追加の候補を算出する。すなわち、この追加の候補の数は、制限値である。制限値は、画像の特性に応じて予め定められていてもよい。
また、画像符号化装置は、すべての予測動きベクトル候補に対応する上限に従って、追加の候補の制限値よりも少ない数の予測動きベクトル候補を追加で算出してもよい。
そして、画像符号化装置は、追加の予測動きベクトル候補の数を符号化する。より具体的には、図1の画像符号化装置における可変長符号化部105は、1以上の予測動きベクトル候補のうち、符号化対象ブロックを含まないフィールドまたはピクチャに含まれるブロックの動きベクトルからそれぞれ算出される予測動きベクトル候補の数を符号化する。
一方、画像復号装置は、画像符号化装置で生成された符号化ストリームを取得し、追加の予測動きベクトル候補の数を復号する。より具体的には、図12の画像復号装置における可変長復号部205は、1以上の予測ベクトル候補のうち、復号対象ブロックを含まないフィールドまたはピクチャに含まれるブロックの動きベクトルからそれぞれ算出される予測ベクトル候補の数を復号する。そして、インター予測制御部221は、別ピクチャまたは別フィールドを参照して、復号された数の予測動きベクトル候補を算出する。
図19は、実施の形態3に係る符号化ストリームを示す図である。例えば、可変長符号化部105は、図19に示された符号化ストリームに、別ピクチャまたは別フィールドを参照して算出される追加の予測動きベクトル候補の数を挿入する。そして、可変長復号部205は、符号化ストリームから、追加の予測動きベクトル候補の数を取得する。
例えば、このような追加の予測動きベクトル候補の数は、SPS(Sequence Parameter Set)、PPS(Picture Parameter Set)、または、スライスヘッダに挿入される。
これにより、符号化側の動作と復号側の動作とが整合する。したがって、符号化側と復号側とで、動きベクトルの予測精度の向上と、処理量の増加の抑制との両立が実現される。
以上、本発明に係る画像符号化装置および画像復号装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施して得られる形態、および、実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
例えば、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、処理を実行する順番が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、本発明に係る画像符号化装置および画像復号装置は、それらに含まれる任意の構成要素を組み合わせて実現される画像符号化復号装置として実現されてもよい。
また、本発明は、画像符号化装置および画像復号装置として実現できるだけでなく、画像符号化装置および画像復号装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現できる。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
また、画像符号化装置および画像復号装置に含まれる複数の構成要素は、集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、画像符号化装置および画像復号装置に含まれる構成要素の集積回路化を行ってもよい。
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
図20は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
しかし、コンテンツ供給システムex100は図20のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の画像復号装置として機能する)。
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、図21に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の画像復号装置として機能する)。
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
図22は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を図23に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
図24に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば図22に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
図25Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
さらに、携帯電話ex114の構成例について、図25Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
図26は、多重化データの構成を示す図である。図26に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
図27は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
図28は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。図28における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。図28の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
図29は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには図29下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
図30はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
多重化データ情報ファイルは、図31に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
多重化データ情報は図31に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
ストリーム属性情報は図32に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを図33に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
(実施の形態6)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、図34に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(実施の形態7)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。図35は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、図34のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、図34の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態5で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態5で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、図37のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
図36は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
(実施の形態8)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を図38Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明は、インター予測に特徴を有していることから、例えば、インター予測については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外のエントロピー符号化、デブロッキング・フィルタ、直交変換、量子化のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
また、処理を一部共有化する他の例を図38Bのex1000に示す。この例では、本発明に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
このように、本発明の動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。