図1は、本発明に係るデータ処理装置の一実施形態を示す構成図である。データ処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)を内蔵するマイクロコンピュータ等から構成され、各部の動作を統括的に制御する制御部10と、操作者が所要の操作を行って各種の処理(例えば文書の作成)及び所要の指示を行う、キーボードやマウス等を含む操作部11と、指示内容を確認のために表示したり、処理内容を表示したりする表示部12とを備えている。制御部10には、個別情報や処理プログラムが予め記憶されたROM13、及び本実施形態では処理途中の情報を格納する書き換え可能なROM14が接続されている。書き換え可能なROM14は、ファイルデータが記憶されるファイル記憶部141と、それぞれ所定のピクセル数を有し、所定数の例えば3種の画像データが記憶される画像データ記憶部142と、後述する処理において処理の開始となる開始ピクセルの設定履歴が記憶された開始ピクセル履歴記憶部143とを少なくとも備えている。
なお、画像データ記憶部142に記憶される画像データは所定対象のファイルを埋め込むためのキー情報として機能する。キー情報は、後述するように画像データに限定されないが、本実施形態では画像データを適用した例として、以下説明する。
また、データ処理装置1は、ファイルデータを画像データに埋め込む処理を行う多段の論理回路から構成された埋込回路部15と、埋込処理されたファイルデータを元の形式のファイルデータに戻すための、前記埋込回路部15の論理回路に対して入出力方向が実質逆向きとなる逆論理回路としての再生回路部16と、埋め込み処理後のファイルデータに所定の処理、ここではネットワークを利用して外部と、代表的にはTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)規約に沿って形成されたパケットによってファイルデータの送受信を行う通信処理部17と、各部での信号処理における同期用のクロックパルスを生成するクロック発生回路18とを少なくとも備えている。なお、処理対象のファイルデータは所定ビット数を有しており、従って、上述の各回路部のうちハードウエア回路で構成される回路はビット数に対応したパラレル回路で構成されているものである。
制御部10のCPUは、ROM13に記憶されている処理プログラムを実行することによって、処理対象(埋込対象)となるファイルデータから所定の処理を経て素データのデータ列を作成する素データ作成部101と、ダミーデータを作成するダミーデータ作成部102と、素データとダミーデータとを混合する混合処理部103と、濃度調整のための調整値Sを生成する調整値S設定部104と、処理毎に例えば調整値Sを変更する変更処理部105と、処理毎に開始ピクセルを設定する開始ピクセル設定部106と、再生回路部16の出力データからダミーデータを削除して素データを抽出し、さらに素データから元のファイルデータの形式に戻す処理を行う再生処理部107と、通信機能を備えている態様ではネットワークを介して他のデータ処理装置との間で、後述する管理サーバ3経由で情報通信を制御するファイルデータの送受信を管理する送受信管理部108として機能する。なお、データ変換処理及びデータ逆変換処理部109は後述する。
データ処理装置1は、ファイル記憶部141に記憶されている処理対象であるファイルデータを、画像データ記憶部142に記憶されている画像内に埋め込むもので、この埋め込み処理によって元のファイルデータに高い秘匿性を持たせるようにしたものである。以下、各部について説明する。
ファイル記憶部141は、データ保存又はデータ送信等の処理の対象となるファイルデータを記憶するに充分な記憶容量を有するものである。ファイルデータとしては、図略の文書作成プログラム等を用いて作成され、あるいは図略の外部記憶部から取り込まれた、所定ビットを有するテキストデータが代表的である。なお、例えばバイナリデータの集合から構成される例えば画像データ等であってもよい。テキストデータとしては、文字コードを規定する2byteのJISコードでよく、あるいは世界の主要な言語の殆どをサポートしている2byteからなる統一文字コード体系であるユニコード(Unicode)でもよい。バイナリコードの場合、各ピクセルの濃度を表す所定ビット数(例えば8ビット)の濃度データで表現可能である。処理対象のファイルデータは、前述した図略の外部記憶部から取り込んでもよいことから、データ処理装置1の必須の要素ではない。なお、図略の外部記憶部から取り込む際の一時的なバッファとして機能させる態様で使用してもよい。
ここで、素データについて説明する。ファイルデータがテキストデータであって、各文字が2byteで規定されるコードデータである場合で説明すると、コードデータを上位側の1byteと下位側の1byteとに分割する。さらに、これらの各1byteをそれぞれ上位、下位の4ビットに分割(以上、分割処理)する。各4ビットの上位側に4ビットを追加して(ビット追加処理)、8ビットの素データを生成する。例えば、図5において、入力文字“○”を表す2byteのコードデータが「10001100 11000011」である場合、素データは、上記方法に従って作成すれば、「00001000」、「00001100」、「00001100」、「00000011」の4個となる。そして、かかる素データを数値に置換すると、“8”,“12”,“12”,“3”となる。なお、素データの取り得る最大値は、本実施形態では4ビットである“15”とする。
素データ作成部101は、本実施形態では、処理対象とされたファイルデータについて入力文字の単位で前述のコードデータの分割処理とビット付加処理とを施すことで、素データを作成する。
ダミーデータ作成部102は、処理対象のファイルデータに混入させるダミーデータを作成するものである。処理対象のファイルデータのデータ数(あるいは素データのデータ数でもよい。)が埋め込み対象の画像データ側の埋め込み箇所(ピクセル)の個数以下である場合に、不足分をダミーデータで補うものである。これにより、1枚毎の画像データにファイルデータの埋込が行われることになる。画像データは、所要数、例えば640(行)×480(列)のピクセル数を有している。本実施形態では、ダミーデータ作成部102は、ダミーデータを素データと同一ビット数の8ビットで形成する。ダミーデータは、8ビットで表現可能な数値範囲内で、かつ後述するように、ある数値範囲内で所定のルール乃至は無作為に設定される。従って、処理対象のファイルデータを構成する素データは、合成処理以降において数値データと同等に扱われることになる。
混合処理部103は、素データ作成部101で作成された素データのデータ列の並び方向の所定の位置に、ダミーデータ作成部102で作成されたダミーデータを1個乃至は所要数だけ適宜割り込ませるものである。混合処理部103は、不足分のデータ量を考慮して所定のルールで、又は無作為に分散させる等して割り込み位置を設定する。この場合、素データの配列については、再生時の再配列処理の負担を考慮すると変更させないことが好ましい。例えば図5において、ダミーデータが“26”,“22”,“17”,…である場合、前述の素データの3個分“8”,“12”,“12”の次に、3個のダミーデータ“26”,“22”,“17”を割り込ませて、データD0を、“8”,“12”,“12”,“26”,“22”,“17”,“3”,“9”…のように作成する。
素データにダミーデータが混合された埋込対象データD0は、ビット毎の、すなわち8本のパラレル回路からなる埋込回路部15に導かれる。埋込回路部15は、後述するように埋込処理データD0、調整値S及び1つの色成分の画像データが導かれて論理処理を実行する。
ここで、画像データについて説明する。画像データ記憶部142は、互いに異なる少なくとも2種以上の所要枚数、例えば3種の画像が電子化されて記憶されている。本実施形態では、外部メモリ等から取り込んだり、カメラ等の撮像手段で撮像されたりした3種類の写真画像で、例えば3種類(R(赤),G(緑),B(青))の色成分毎の濃度の画像データとして記憶されている。濃度を表す形態、成分内容については格別な制限はなく、三原色成分R(赤),G(緑),B(青)の他、R(赤)及びG(緑)の表色系を採用してもよいし、あるいは他の表色形態(例えば、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒))、その他の周知の表色系が採用されてもよい。各色成分の濃度は、処理対象のファイルデータの素データと同一ビット数、ここでは8ビットである。3種類の写真(画像)は、互いの関連性を有する必要は特になく、任意である。関連性のない一例として、ポートレート写真、風景写真及びペット写真の3枚であってもよいし、関連性のある一例として、少しずつ向きの異なる3枚の、あるいは正面及び左右方面から見た3枚の自己のポートレート写真であってもよい。また、1枚の画像を所要数に分割して必要な枚数の画像データを作成してもよい。
図3は、1枚(頁)分の画像データの色成分RGBの各ピクセルにおける濃度データを示す図である。図3に示すように、1枚の画像データは、RGBの3枚の色成分画像データG(R),G(G),G(B)として作成されている。各色のピクセルの濃度データは、G(R)では、R(1,1),R(1,2),…R(2,1),…R(n,m)であり、G(G)では、G(1,1),G(1,2),…G(n,m)であり、G(B)では、B(1,1),B(1,2),…B(n,m)である。なお、(n、m)は、n行m列目のピクセル位置を表している。
埋込回路部15は、混合処理部103から出力された処理対象のデータを画像データに埋め込むための回路である。埋込回路部15は、種々の態様が考えられるが、いずれも論理回路を多段に接続する等して構成されている。埋込回路15は、色成分数に対応する数の回路、すなわちRGBの場合には3個の回路が並設されてなり、かつ、各色成分に対応する回路は、それぞれ8ビット分の並列回路で構成されている。なお、再生回路部16も同様な構成である。
埋込回路部15は、本実施形態では、3個の回路が並設されており、各並設回路に混合処理部103からの処理対象のデータが順次割り当てられる。図4は、処理対象データD0の埋込の開始となる開始ピクセルPsを色成分毎に示した一例の説明図である。なお、図4におけるG1とは、1枚目の画像データを指している。今、混合処理部103から出力される処理対象データD0が、データ列として、d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7,…であったとする。そして、各色成分画像データG1(R),G1(G),G1(B)における各開始ピクセル位置Psが、Ps(i,j)であったとする。なお、開始ピクセルの変更処理が施される態様では、色成分毎に(i,j)は個別に設定され、変更処理が施されない態様では、色成分の(i,j)は(1,1)からスタートするものとする。開始ピクセルの変更処理については、後述する。いずれの場合でも、3個ずつのデータ、すなわちデータd1,d2,d3は、この順番で各色成分画像データG1(R),G1(G),G1(B)に割り振られ、次のデータd4,d5,d6が同様にこの順番で、各色成分画像データG1(R),G1(G),G1(B)のそれぞれ次のピクセル、すなわちPs(i、j+1)に割り振られる。このようにして、データD0は、最終的に、Ps(i、j−1)まで、すなわち1枚分に亘って割り振られる
図2は、埋込回路部15の一実施形態を示す1ビット分の回路図である。本実施形態では、埋込回路部15は、所要数の論理回路、例えば排他的論理和回路XORを備えている。ここでは、3種類の画像G1,G2,G3に順次対応させるべく、3個のXOR152,154,156が採用されている。また、本実施形態では、XOR152,154,156の各前段に排他的論理和を否定する回路ONOR151,153,155が接続されている。回路ONORの真理値表は、特定の一方入力端の値が“1”で、他方入力端の値が“0”の状態にあるときのみ、出力端に“1”を出力するものである。
図2では、ONOR151は、その特定入力端に調整値S1が入力され、他方入力端に混合処理103からの処理対象のデータ(原データ)D0が入力され、そして出力端からデータD0’が中間データとして出力されている。調整値S1〜S3は調整値S設定部104で作成されるもので、埋込回路部15の最終段からの出力データD3の値に後述する制限を付与するものである。XOR152は、その一方入力端にONOR151の中間データD0’が入力され、他方入力端に画像データG1が入力され、出力端から中間データD1が出力されている。ONOR153は、その特定入力端に調整値S2が入力され、他方入力端にXOR152からの中間データD1が入力され、出力端から中間データD1’が出力されている。XOR154は、その一方入力端にONOR153の中間データD1’が入力され、他方入力端に画像データG2が入力され、出力端から中間データD2が出力されている。ONOR155は、その特定入力端に調整値S3が入力され、他方入力端にXOR154からの中間データD2が入力され、出力端から中間データD2’が出力されている。XOR156は、その一方入力端にONOR155の中間データD2’が入力され、他方入力端に画像データG3が入力され、出力端から出力データD3が出力されている。すなわち、図2の論理回路は、論理式:XOR(D,ONOR(G,S))で表現できる。ここに、Dは原データ及び中間データの総称、Gは画像データの濃度データの総称である。
なお、調整値S1〜S3は同一値であってもよいし、各段(本実施形態では、1段目:ONOR151及びXOR152、2段目:ONOR153及びXOR154、3段目:ONOR155及びXOR156である。)で異なる値であってもよい。また、ONOR151,153,155は、調整値Sを活用するための調整用論理回路として機能する。これらの処理が、データD0、調整値S、所定の色成分の画像データの対応するビット単位でクロックパルスによって同期して実行される。このようにして、埋込回路部15によって、素データ及びダミーデータを含む処理対象データを各色成分の画像データに振り分け、かつそれぞれ埋込のための論理処理が施される。
図5は、埋込処理の具体例を示す説明図である。図5の上側には、上から順に「入力文字」、「バイナリ(SJIS)」、「Bit」、「素データ」が例示されている。図5の中央左側のテーブルは、3枚の画像データの対応するピクセルの色成分値データ、ここでは色成分濃度データを示している。ここでは、説明の便宜上、3色の全ての開始ピクセルPsをPs(1,1)とする。
図5の中央には、テーブル(A)、(B)が記載されている。テーブル(A)はデータD0が埋め込まれる場合であり、テーブル(B)はダミーコードが埋め込まれる場合である。テーブル(A)、(B)は、横方向にRGB色成分(に対応する各論理回路)が設定され、縦方向に画像データG1,G2,G3のPs(1,1)の色成分濃度データとの論理結果であるデータD1,D2,D3(図2参照)の内容を示している。
例えば、テーブル(A)において、調整値Sが“240”の場合、データD0の先頭データ“8”に対して、画像データG1のPs(1,1)のR(1,1)が“136”、画像データG2のPs(1,1)のR(1,1)が“56”、画像データG3のPs(1,1)のR(1,1)が“251”としたとき、中間データD1は“0”となり、さらに中間データD2は“8”となり、そして、出力データD3は“3”となる。同様に、2番目のデータ“12”に対しては、画像データG1のPs(1,1)のG(1,1)が“210”、画像データG2のPs(1,1)のG(1,1)が“30”、画像データG3のPs(1,1)のG(1,1)が“67”としたとき、中間データD1は“14”となり、さらに中間データD2は“0”となり、そして、出力データD3は“3”となる。同様に、3番目のデータ“12”に対しては、画像データG1のPs(1,1)のB(1,1)が“34”、画像データG2のPs(1,1)のB(1,1)が“0”、画像データG3のPs(1,1)のB(1,1)が“89”としたとき、中間データD1は“14”となり、さらに中間データD2は“14”となり、そして、出力データD3は“7”となる。
一方、テーブル(B)では、色成分Rに対応するダミーデータ“26”に対して、データD1は“18”となり、さらに中間データD2は“26”となり、そして、出力データD3は“17”となる。同様に、色成分Gに対応するダミーデータ“22”に対して、データD1は“20”となり、さらに中間データD2は“26”となり、そして、出力データD3は“25”となる。同様に、色成分Bに対応するダミーデータ“17”に対して、データD1は“19”となり、さらに中間データD2は“19”となり、そして、出力データD3は“26”となる。
上記によれば、ダミーデータは、それ自体及び出力データD3が“16”を超える値となるようにしている。また、画像データG1は、R(1,1)が“136”、G(1,1)が“210”、B(1,1)が“34”であるところ、埋込回路部15の出力データD3は、テーブル(A)のように、R対応分が“3”、G対応分が“3”、B対応分が“7”であるから、出力データD3からなる結果の画像は濃度データが小さい。同様に、テーブル(B)でも、R対応分が“17”、G対応分が“25”、B対応分が“26”であるから、出力データD3からなる結果の画像は、画像データG1〜G3に比して濃度データが小さい。従って、画面上では輝度の低い暗い画像となり、また記録紙に黒色に近い色でプリントアウトされてほとんど解読ができないものとなる。
なお、調整値Sは、ビット数の例えば半値以上の値で、かつビット数の最大値から素データの最大値を差し引いた値以下の範囲である。8ビットかつ素データの最大値が16である本実施形態の場合、調整値Sの範囲は、“128”〜“240”となる。調整値Sは、画像G1〜G3に対応するように個別に調整値S1,S2,S3を設定する態様でもよい。この場合、調整値S1〜S3は、前述のようにビット数の例えば半値以上の値、かつ素データの最大値以下の範囲であればよい。また、調整値Sは常に固定化された値でなくてもよい。変更処理部105は、埋込処理の都度、あるいは他の所定の条件(所定のルール)、例えば、日時、送信先、送信回数(又は送受信回数)、処理対象ファイルの種類等によって、変更させる態様であることが好ましい。
また、本実施形態では、画像データ記憶部142に記憶されている3つの画像データを用いて埋込処理を実行したが、画像データ記憶部142に、埋込処理に使用する画像データの数より多い複数種類の画像データが記憶されており、そのうちから、所定の条件(所定のルール)で、埋込処理に使用する画像データを変更するようにしてもよい。所定の条件とは、埋込処理の都度、あるいは日時、送信先、送信回数(送受信回数)、処理対象ファイルの種類などによって、変更する態様であることが好ましい。
変更処理部105は、調整値S及び画像データの種類のいずれか一方を、あるいは両方を前記所定の条件の元で適宜変更するものである。このようにすることで、情報の秘匿性が各段に向上する。調整値S1,S2,S3個々の設定式中に、上記の条件が変動要素として含まれているものである。画像データの種類の設定も同様である。
開始ピクセル設定部106は、処理時、例えば送信毎(同様に受信毎)に、画像データG1,G2,G3へのデータの埋込開始位置を所定のルールに従って変動させるものである。所定のルールとしては、種々の態様が採用可能である。例えば、開始ピクセル設定部106は、送受信管理部108によって監視される送信要求の有無から、送信要求がある毎に、直前の送信処理における開始ピクセル情報を読み出して、今回の開始ピクセルを設定する。開始ピクセルは、画像データG1,G2,G3のうちの所定の画像データから共通して開始ピクセルを設定する方法でもよいが、本実施形態では、各画像データ個々に設定するようにしている。
例えば、ピクセル数640(行)×480(列)を有する画像データG1において直前の開始ピクセルが、Ps(573,60)であったとし、さらに画像データG1のPs(573,60)が(R,G,B)=(136,210,34)の濃度であったとする。今、新たな開始ピクセルをPns(i、j)とするとき、i=[(573+136)/640]=69として算出し、j=[(60+210)/480]=270として算出する。ただし、記号[]は、割り算における「余り」を求める演算子であるとする。そして、得られた(69,270)をPnsとする。上述のような「余り」を採用することで、画像を構成するピクセルの範囲内で新たな開始ピクセルPnsの設定が可能となる。同様にして、画像データG2,G3の新たな開始ピクセルPnsが算出できる。開始ピクセル設定部106は、各画像データG1〜G3について算出された、新たな開始ピクセルPnsから順番に各ピクセルの濃度データを埋込回路部15に読み出すようにしている。新たな開始ピクセルPnsをピクセル情報及び当該ピクセルの濃度情報の少なくとも一方、好ましくは濃度情報を用いて求めることで、より高い秘匿性が得られる。再生回路部16による再生時も同様である。
また、開始ピクセル設定部106は、新たに算出された開始ピクセルPnsを開始ピクセル履歴記憶部143の履歴と照合し、フラグが立っていない等、未設定のピクセルであれば、算出したピクセルを新たな開始ピクセルPnsとし、一方、既に設定済みである(フラグが立っている)場合には、所定のルールによって、他の未設定のピクセルを新たな開始ピクセルPnsとして設定し、開始ピクセル履歴記憶部143に追加する。開始ピクセル履歴記憶部143は、例えば画像データG1,G2,G3のピクセルに対応する1ビットのテーブルを有しており、開始ピクセルに設定されると、対応する位置にフラグが立てられるようになされている。所定のルールとしては、種々の方法が考えられるが、例えば、算出されたピクセルの大きい側で最も近い未設定のピクセルを選定することが想定される。より具体的には、前述の例で算出された開始ピクセルPs(69,270)が既に設定履歴のあるピクセルであった場合に、ピクセルP(69,271)が未設定であれば、当該ピクセルを新たな開始ピクセルPnsとする。なお、開始ピクセル設定部106は、併せて、全てのピクセルに対してフラグが立てられているか否かを監視しており、全てのピクセルにフラグが立ったと判断すると、全フラグをリセットする処理も行うようにしている。
出力データD3は、通信処理部17に送出され、所定の送信プロトコル、例えばTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)規約に従ってパケットに変換され、ネットワークを介して指定した送信先に送信される。パケットは、ヘッダ部とデータ部とから構成されており、ヘッダ部には送信元、送信先、データ量等の諸情報が含まれ、データ部は埋込処理が施されたファイルデータが含まれる。また、出力データD3は送信を行う態様以外に、データ保存という態様でもよい。この場合には通信処理部17に代えて、あるいは通信処理部17に加えてデータ保管用の記憶部が設けられてなり、制御部10によって、画像に埋め込まれた状態のファイルデータを保存するようにしてもよい。従って、仮にこのファイルデータが記憶部から不正に読み取られた(搾取された)としても、再現できず、仮に電子的な表示面に表示しても略真っ黒であり、一方、プリントアウトしてもほぼ真っ白であり解読もできない。
図6は、出力データD3に再生処理を施す再生回路部16の一実施形態を示す1ビット分の回路図である。再生回路部16は、本実施形態では、埋込回路部15の逆回路である。埋込回路部15は、再生処理のことを考えて、可逆可能な回路構成として設計されている。従って、逆回路を組むことで再生可能な回路を構成することができる。すなわち、再生回路部16は、3個のXOR161,163,165を備えている。また、本実施形態では、各XOR161,163,165の出力側に排他的論理和を否定する回路ONOR162,164,166が調整用論理回路として機能させるべく採用されている。これらは、回路XOR152,154,156、及び回路ONOR151,153,155に対応している。
XOR161の一方入力端にデータD3を、他方入力端に画像データG3を入力することで、ONOR166の出力端からデータD0が出力され、これによりデータ再生が行われる。再生回路部16は、データ処理装置1の上述した保存用の記憶部に保管された埋込処理後のファイルデータを再生する場合や、データ処理装置1が通信処理部17によってネットワークを介して他の情報処理装置(後述の例では管理サーバ3)から同一画像データを用いて埋込処理されたファイルデータを受信した場合に動作される。
再生処理部107は、再生回路部16の出力データD0からダミーデータを除いて素データのみを抽出するもので、本実施形態では、値が“16”を超えているデータを削除するようにしている。また、再生処理部107は、抽出された素データから、素データ作成部101の処理と逆手順による処理を施すことで、元のファイルデータを再現するものである。再生されたファイルデータは書き換え可能なROM14の所定の記憶領域に格納され、また必要に応じて表示部12に表示される。
図7は、複数のデータ処理装置1がネットワーク2に接続され、互いに管理サーバ3を中継してデータの送受信が可能に構成されたネットワーク通信システムの一実施形態を示す図である。管理サーバ3と通信可能なデータ処理装置1は、会員として登録を受けた者が所持する装置であって、登録によって管理サーバ3と接続する権限を有するものである。管理サーバ3は登録時に各会員から、例えば3枚の写真を受け取り、画像データとして読み込むことで、全会員に対応する画像データを3種類ずつ備えることができる。会員の登録処理を行うための会員登録用情報処理端末4は、ネットワークに接続されていると共に、必要に応じて地理的に分散された位置に複数設けられており、かかる会員登録用情報処理端末4はそれぞれ好ましくはカメラ等の撮像手段を備え、その場で写真撮影を可能にして画像データの取り込みを含めて会員登録処理が可能とされている。取り込まれた画像データと同一画像データは、管理サーバ3の他、自己のデータ処理装置1の画像データ記憶部142にも登録される。
なお、図7に例示するように、データ処理装置1がネットワークに接続可能な情報処理端末1Aとこの情報処理端末1Aに装着可能な携帯型(可搬型)の外部デバイス1Bとで構成される態様では、外部デバイス1Bに操作部11及び表示部12を除く全てを持たせる態様としてもよい。そして、操作部11及び表示部12は、情報処理端末1Aと兼用して使用することが可能であり、また表示部12は外部デバイス1Bにも設けてもよい。情報処理端末1Aとしては、ネットワークに接続可能にされたパーソナルコンピュータや携帯電話機等の通信端末が想定される。また、図8で説明するように、管理サーバ3は、データ処理装置1とほぼ同一の構成の他、管理サーバとして機能するための構成をさらに備えている。
なお、ネットワーク2には、システムにもよるが、他の情報処理装置が接続されていてもよい。例えば、金融機関のコンピュータ5からなり、電子決済処理を行う情報処理装置である。また、必要に応じて、実際のあるいは電子的な証明書等の発行処理を行う行政機関のコンピュータシステム6も想定される。例えば、データ処理装置1を用いて、他のデータ処理装置1に所定の書類、例えば電子的な商品注文書を業者のデータ処理装置1に送付する処理を想定するとき、まずデータ処理装置1で書類(文書ファイル)を作成し、作成した文書ファイルに対して上述の埋込処理を施し、次いでネットワーク2を経由して、この文書ファイルを管理サーバ3に送信する。管理サーバ3は、送信元、送信先を読み取り、送信元情報に従って受信した文書ファイルを再生して保管すると共に、後述する所要の処理を実行して、送信先である業者側のデータ処理装置1に、処理されたファイルを送信する。このようにすることで、データ処理装置1や管理サーバ3からファイルデータを秘匿性の高い状態で送出することが可能となる。
図8は、管理サーバ3の一実施形態を示すハードウエア構成図である。管理サーバ3は、CPUを有するマイクロコンピュータから構成される制御部30と、ネットワーク2に接続され、所定のプロトコルに従って変換されたパケットを送信する一方、受信したパケットを元データに戻す処理を行う通信処理部31と、前記元データをそのまま、あるいは再生処理を経て再生されたファイルデータ(及び送信先情報)を履歴として、送信元情報と対応付けて記憶するべく、所要の記憶容量を有する履歴記憶部32とを備えている。また、管理サーバ3は、会員の画像データを各会員に対応付けて保管する会員画像データ記憶部33、受信したファイルデータを再生する再生回路部34、中継後に本来の送信先に送信するファイルデータに埋込処理を施す埋込回路部35、及び各回路部の動作の同期を取るためのクロックパルスを発生するクロックパルス発生部36を備えている。履歴記憶部32には、制御部30によって、管理サーバ3が再生回路部34及び埋込回路部35に導く調整値S、開始ピクセルの各種情報を設定するために必要な、各データ処理装置1と同一の情報が送受信の度に更新的に記憶される。
制御部30は、ROM371及び処理中のデータを一時的に記録するRAM372が接続されている。制御部30は、ROM371に記憶されている処理プログラムが実行されることによって、制御部10の素データ作成部101乃至送データ変換処理及びデータ逆変換処理部109に相当するサーバ側処理部(サーバ側素データ作成部301乃至サーバ側データ変換処理及びデータ逆変換処理部309)と、受信したパケットのヘッダ部から送信元及び送信先情報を取得する送信元・送信先情報取得部310として機能する。
図7に示すネットワーク通信システムでは、データ処理装置1から他のデータ処理装置1にファイルを送信する場合、管理サーバ3を中継して行われる。すなわち、管理サーバ3は、本実施形態では、履歴記憶部32に会員間、金融機関コンピュータ5、行政機関コンピュータ6との間での情報の授受を中継し、その情報を会員毎に全て保管するようにしている。
会員画像データ記憶部33は、RAMあるいはROMから構成されており、会員登録の際に、取り込んだ3種類の画像データを会員毎に対応付けて記憶するものである。この場合、3種類の画像データを区別するべく、予め識別情報G1,G2,G3が付されている。
再生回路部34、埋込回路部35は、図1に示した埋込回路部15、再生回路部16に相当する回路部である。また、制御部30が、制御部10の素データ作成部101〜送受信管理部108に相当する処理部を備えていることから、
受信パケットのヘッダ部から抽出された送信元情報、送信先情報、その他の予め記憶している情報を用いることで、対応する調整値S、画像データ、開始ピクセルが設定され、対応する会員のデータ処理装置1と同一の動作を行うようにしている。ダミーデータは個別に生成してもよい。
なお、所定の条件は、ヘッダ部に含まれる情報である、送信元、送信先のIPアドレスやポート番号、ファイル種類等)や時間情報(送信の日時、時刻)、さらにデータ送信に先立って行われるセッション時の情報を用いて設定するようにしてもよい。
送信元・送信先情報取得部310は、ネットワーク2を介して受信されたパケットのヘッダ部から送信元及び送信先情報(アドレス)を取得すると共に、同一の送信元から受信した一連のパケットのデータ部の情報をファイルデータに戻した後、再生処理を施す際に使用する対応する画像データを指定するものである。再生回路部34は、送信元の会員に対応付けられた画像データを用いて、再生回路部16に相当する回路で再生処理を施し、元のファイルデータを再現する。また、送信元・送信先情報取得部310は、再現したファイルデータに埋込処理を施すための画像データを指定するものである。すなわち、埋込回路部35は、再生されたファイルデータに対して送信先の会員に対応付けられた画像データを用いて埋込処理を施す。
このようにすることで、データ処理装置1から他のデータ処理装置1に送信されるファイルデータは、送信に先立って、自己に対応する画像データに埋め込まれ、高い秘匿性を有した状態で管理サーバ3に送信される。管理サーバ3は、受信したデータを一旦元のファイルデータに戻し、次いで、送信先に対応する画像データを用いて埋込処理を施して、別の埋込処理が施された状態で当該送信先に送信する。このように、送信途中においてファイルデータが別の内容に変換されることから高い秘匿性が確保できる。また、各会員に対応付けられた画像データ自体はデータ送信に対応してネットワーク上を流れることがないため、秘匿性が確保される。画像データの種類数は1回の埋込、再生処理で使用する枚数(例えば3枚)は決まっているが、予めそれ以上の所定数を持っておき、所定のルールに従って、3枚を送信の都度選択する態様としてもよい。所定のルールは、管理サーバ3及び各端末1,5,6で共通ルール(処理プログラム)に従って決定されるようにしておけばよい。例えば、日時情報を使用する方法も考えられる。管理サーバ3は、各端末との間で個々に対応するルールを設定する態様でもよい。
図9は、データ処理装置の制御部によって実行される埋込要求処理の手順の一例を説明するフローチャートである。まず、処理対象ファイルの指定の有無が判断される(ステップS1)。指定の有無とは、例えば、ある文書ファイルに対する送信要求の操作の有無である。処理対象ファイルへの指定がなければ、本フローを抜ける。一方、処理対象ファイルへの指定があると、当該処理対象ファイルを読み出して、素データのデータ列の作成処理が実行される(ステップS3)。また、ファイルのデータ量からダミーデータ量、混合方法が設定される(ステップS5)。次いで、素データのデータ列に対してダミーデータの混合処理(割り込み処理)が施されて、処理対象データが作成される(ステップS7)。
次いで、色成分に対応させて、この処理対象データの分割処理が実行される(ステップS9)。例えば、RGB3色の色成分を採用する態様では、処理対象データは、図4に示すように、順番に3つに振り分けられていく。この処理の後、分割された各色の処理データは、埋込回路部15の各色に対応する回路に導かれる(ステップS11)。
図10は、データ処理装置の制御部によって実行される調整値Sの設定処理の手順の一例を説明するフローチャートである。まず、処理要求の有無が判断され(ステップS21)、処理要求がなければ、本フローを終了する。一方、処理要求があれば、所定のルールで今回の処理に対する新たな調整値S(S1,S2,S3)の設定処理が施される(ステップS23)。設定された調整値Sは埋込回路部15(あるいは再生回路16)に出力される。
図11は、データ処理装置の制御部によって実行される開始ピクセルの設定処理の手順の一例を説明するフローチャートである。まず、処理要求の有無が判断され(ステップS31)、処理要求がなければ本フローを抜ける。一方、処理要求があれば、画像データG1,G2,G3について、それぞれ直前の開始ピクセルの所定の色成分の濃度データ等を用いて所定の演算が実行される(ステップS33)。
次いで、画像データG1,G2,G3毎に、今回新たに算出された各ピクセルが既に開始ピクセルとして設定された履歴に有るか否かが判断される(ステップS35)。この判断が否定された場合、今回算出したピクセル値が今回の開始ピクセルとして設定される(ステップS37)。一方、ステップS35の判断が肯定された場合、今回算出されたピクセル値に、より大きい側に最も近いピクセル値が新たな開始ピクセルとして再設定される(ステップS39)。そして、ステップS37,S39で設定された、画像データG1,G2,G3毎の開始ピクセルは、開始ピクセル履歴記憶部143に記録されると共に、画像データG1,G2,G3の読出アドレスの設定に用いられる。
図12は、データ処理装置の制御部によって実行される受信処理の手順の一例を説明するフローチャートである。まず、受信の有無が判断され(ステップS51)、受信がなければ本フローを抜ける。一方、受信があれば、受信データの作成時と同一処理を実行して調整値Sの設定、及び開始ピクセルPnsの設定が行われる(ステップS53)。次いで、受信データ、調整値S、各画像データが再生回路部16に導かれる(ステップS55)。次いで、再生回路部16から出力されたデータからダミーデータが削除され(ステップS57)、さらに、素データからファイルデータに再生されて保存され、また必要に応じて表示が行われる(ステップS59)。
図13は、管理サーバの制御部によって実行される送受信処理の手順の一例を説明するフローチャートである。まず、受信の有無が判断され(ステップ#1)、受信がなければ本フローを抜ける。一方、受信があれば、受信されたパケットのヘッダ部から送信元、送信先情報の取得が行われる(ステップ#3)。次いで、パケットから取り出された受信データは、送信元情報等に対応して設定された調整値S、及び開始ピクセルからの画像データと同期して再生回路部34へ導かれる(ステップ#5)。そして、再生回路部34から出力されたデータからダミーデータの削除処理が施され(ステップ#7)、素データが元のファイルデータに戻されて履歴記憶部32に保管される(ステップ#9)。
次いで、前記素データに対して、あるいは元のファイルに戻されたファイルデータから新たに作成された素データに、送信先に対応するダミーデータが混合されて処理対象データが作成され、さらに、送信先に対応する調整値S、新たな開始ピクセルPnsが設定されて、該当する画像データと同期して埋込回路部35に導かれる(ステップ#11)。次いで、埋込回路部35からの出力データに対して、送信のためのパケット作成処理が指示される(ステップ#13)。
なお、本発明は、以下のような種々の態様が採用可能である。
(1)本実施形態では、処理対象をテキストデータ(文字コード)で説明したが、処理対象として、バイナリデータ(二進コード)で作成された画像情報等でもよい。本実施形態と同様な方法によれば、バイナリデータを所定ビット毎に区分し、各区分のデータの上位に4ビット分を付加することで素データを生成することができ、同様な処理が可能となる。このように、バイナリデータに対しても埋込処理を可能にすることで汎用性の高い埋込技術が適用できることになる。
(2)本実施形態ではRGBの色成分を用いて説明したが、画像データ毎に2種類、又は4種類の色成分を用いる態様でもよい。例えば4種類の色成分を用いる場合、同一ピクセルの濃度データに対して、処理対象データを4個ずつ割り振ればよい。具体的には、処理対象データが、d1,d2,d3,d4,d5,…で、色成分がYMCKの場合、データd1が色成分YのピクセルP(1,1)に、データd2が色成分MのピクセルP(1,1)に、データd3が色成分CのピクセルP(1,1)に、データd4が色成分KのピクセルP(1,1)に対応し、次に、色成分Yに戻って、データd5が色成分Yの次のピクセルP(1,2)にというようになる。
(3)RGBの色成分毎の埋込後の出力データをパケット化する処理は、色成分毎にパケット化してもよいし、1つのパケットに同一ピクセル部分の色成分毎の出力データを含ませるようにしたものでもよい。
(4)本実施形態では、所定種類分の画像データとして写真画像を採用したが、これに代えて、人工的に作成されたデジタル画像を採用するようにしてもよい。
(5)表色方法としての濃度データは、要するに注目ピクセルのカラーが規定できれば、色成分の一部に輝度とか色相とかが含まれていてもよく、純粋に(狭義の)濃度でなくてもよい。
(6)本実施形態では、ダミーデータを素データの間に割り込ませたが、これに代えて、素データのうち、所定のルールに従って設定される位置の素データに、素データが取り得る最大値に相当する値(あるいはそれ以上のある所定値)のダミーデータを加算するようにしてもよい。これによれば、ピクセルが全て素データとして活用される。すなわち、ダミーコードは素データの列方向及びレベル方向の少なくとも一方に混入され、より秘匿性を高めることができる。
(7)素データのビット数は適宜に設定可能であり、好ましくは画像データの濃度を表すビット数と対応しておればよい。
(8)文字コードやバイナリコードから所定ビット数を有する素データを作成する方法は種々の方法が採用可能である。例えば、文字コードの分割の仕方や配列方法を変更することが可能である。分割や配列の変更は、そのための回路構成を組むことでハードウエア的に実現可能である。また、ビット数も2byteを4分割する方法に限定されない。例えば2分割とし、それらの上位に所要ビット数を付加するような態様であってもよい。
(9)素データへのダミーデータの割込は必須ではない。なお、処理対象のファイルデータを繰り返し用いたり、あるいは逆に画像の大きさ(埋め込み対象位置の個数)をファイルデータのデータ個数に対応させて調整したりする場合には、ダミーデータを混入しなくてもよいが、データの秘匿性を一層高める上では、ダミーデータを混入させる方が好ましい。
(10)本実施形態では、素データの配列を入れ替えていないが、例えば、先頭から順次所定個のペアで、それらの順番を所定のルールで入れ替えるようにして、素データの状態での秘匿性を向上させてもよい。あるいは、文字コードの1byteを2分割した際に、4ビットずつの2つのデータ列を上下で入れ替えて配置し、その後にそれぞれの上位に4ビットを付加して素データを作成してもよい。この場合、再生側では、再生後に逆処理して正規の配列に戻せばよい。
(11)本実施形態では、図5に示すように、ダミーデータ“26”,“22”,“17”の割込位置を素データ“8”,“12” ,“12”の後に、いわばピクセル単位で割り込ませるようにしたが、例えば、素データ“8”と“12”の間にダミーデータ“22”を割り込ませるようにして、1ピクセル内に素データとダミーデータとが混在するような、より複雑化したものとしてもよい。
(12)本実施形態では、ONOR回路とXOR回路とを用いた論理回路で説明したが、本発明はかかる論理回路に限定されず、以下の論理回路も採用可能である。まず、1byteのデータをXOR回路に通す場合、2つの入力値がいずれも127以下あるいは128以上であれば、出力値が127以下となる。そこで、前記の実施形態では、XOR回路に入力する2つの入力値をいずれも127以下となるようにしている。一方、2つの入力値をいずれも128以上とする方法も、出力値が127以下になることから、同様に採用可能な形態である。すなわち、論理式で表すと、論理式:XOR(OR(D,S),OR(G,S))と表される。なお、ORは論理和回路を示す。また、この場合、調整値Sは、128〜224であることが好ましい。また、以上の論理回路は、全て調整値Sを用いて埋込処理後のデータをより濃度の低い(画面では真っ黒により近く、プリントでは真っ白に近い)画像に変換したものであるが、以下の論理回路は、逆に真っ白に近い画像(プリントでは真っ黒)に変換するものである。すなわち、論理式:XOR(ONOR(D,S),OR(G,S))でもよい。なお、この場合、最終段については、論理式(最終段):XOR(D,OR(G,S))とする。また、この場合、調整値Sは、128〜224である。これら各論理回路を採用しても、秘匿性の高い埋込回路が構成でき、かつ再生回路も構成することができる。調整値Sが大きい程、真っ黒(逆に、真っ白)に近づけることができる。
(13)本実施形態では、素データとダミーデータとを数値に置換した場合に、ダミーデータを素データの取り得る最大値より大きな値としたが、素データとダミーデータとの大小を逆にして、判別方法を逆にしてもよい。
(14)データ処理装置1は、他の態様(図7に例示)として、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末1Aに装着可能な、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、PCI(Peripheral Component Interconnect)等の可搬型のデバイスであって、操作部11、表示部12を除いた部分を備える外部デバイス1Bで構成されたものでもよい。この態様では、作成フィルの記憶部は端末1A側に設けて、制御部10で端末1A側から読み取る制御を行うようにすればよい。すなわち、制御部10は、外部デバイス1Bが情報処理端末1Aの接続端子等に装着されたことを接続端子を介して入力される電源供給を受けて検出し、さらに両者間で必要なセッションを実行させて、情報の授受が可能な状態にする。そして、この後、情報処理端末1Aと外部デバイス1Bとの間で必要な情報が送受信される。例えば、情報処理端末1A側で作成された文書ファイルを処理対象ファイルとして、所定の送信先を指定する操作が終了した後、画像への埋込のための論理処理が実行され、次いで、TCP/IPに従って所定のパケットが作成されて送信が行われる。
(15)外部デバイス1Bを適用する態様では、ファイルの作成は情報処理端末1A側で行い、作成ファイルに対する埋込処理は外部デバイス1B側で行う態様とすることが好ましい。なお、送信処理も外部デバイス1Bに通信処理部であるNIC(Network Interface Card)を設けて行う方が好ましい、さらに、受信に対しては、外部デバイス1Bで行い、受信したファイルに対する再生処理も外部デバイス1Bで行う態様とすることが好ましい。このように、(14)(15)によれば、外部デバイス1Bを会員登録時に付与等することで会員と一意の対応付けができ、また可搬性があるため、使用可能な情報処理端末も自己の情報処理端末に限定されず、その分、汎用性が増す。
(16)外部デバイス1Bが利用可能な情報処理端末は固定されたコンピュータ端末に限定されることはなく、携帯型の情報処理端末、例えば、ネットワークへの通信(電子メール等)機能を備えた携帯電話機、形態情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)などでもよい。
(17)外部デバイス1B内に、汎用の文字辞書で変換された文字コードを別のコードに変換する変換テーブルを備え、この変換テーブルで変換された文字コードから得られる素データに埋込処理を施す態様としてもよい。この場合、管理サーバ3には、同一の変換テーブルを備え、再生処理後の文字コードを変換テーブルを介して元の文字に戻す態様としてもよい。変換テーブルは、各会員の所持する外部デバイス1Bの全てで共通であってもよいし、個々に異なる態様であってもよい。個々に異なる場合には、管理サーバ3は会員に対応付けて変換テーブルを保管する必要がある。以上のようにすれば、送受信中に不正にキャプチャされても、再現することができない。
(18)処理対象のファイルは、テキストデータの他バイナリデータの集合から構成される例えば画像データ等であってもよい。画像データには、著作権に関わるような画像とか、医療上の各種の診断、治療のための撮像画像等の個人情報に関する画像のように漏洩が好ましくない情報も含まれる。
(19)処理対象のファイルのデータ量とダミーデータのデータ量とが予め設定されており、ダミーデータのデータ量が設定量を超えると判定した場合に埋込処理が許可される判定部を制御部10に設けて、所要の撹乱性を確保するようにしてもよい。
(20)本実施形態では、新たな開始ピクセルPnsの設定方法として、各画像G1〜G3に個別に設定したが、いずれかの演算結果を代表して使用することで、全ての画像に対して共通する開始ピクセルを設定する方法でもよい。また、本実施形態では、直前の開始ピクセルPsの位置データと濃度データとを用いる方法を採用したが、いずれか一方のみでもよく、さらに他の種々の方法が採用可能である。例えば、直近の過去複数回、例えば2回分のピクセル位置情報と濃度データの平均値を利用する方法でもよい。あるいは、各画像において、直前の開始ピクセルの各色成分濃度データを所定の順番で配列して3byte桁を有する数値データとして作成し、この値をピクセル数で除算したときの「余り」から、P(1,1)を基準としたピクセル位置を、一次元で指定する方法でもよい。例えばピクセル数が640(行)×480(列)で、「余り」が“641”であった場合の新たな開始ピクセルPnsは、一次元から行・列の二次元への変換を施すことで、Pns(2,1)と求められて、特定可能となる。
(21)本実施形態では、埋込回路部15,35及び再生回路部16,34をハードウエア回路で構成した例で説明したが、演算処理によって論理計算したり、逆論理計算したりするプログラムを備えるソフトウエア回路で構成した態様であってもよい。
(22)本実施形態では、キー情報として写真等の画像を採用したが、画像以外に、動画像や、音声例えば音(SL音とか)や声(本人など)や、各人固有のファイル(例えば単純にバイナリコードとして扱う)等、種々の媒体を採用可能である。動画像の場合、動画像は複数のフレーム画像の集合として扱うことで、そのうちの複数枚のフレーム画像を用いて前記実施形態と同様な処理を実行することでそのまま対応可能である。この場合、所定のルールに従ってフレーム画像をその都度選定するようにしてもよい。また、動画像の撮像時に併せて音声が録音されている態様では、音声情報も利用することが可能である。音声の場合、例えば経時方向(すなわち情報の種類に応じた特有な方向)に所定周期でサンプリングし、画像の場合と同一のビット数で正規化処理を施し、さらに画像と同じ成分数、例えばRGBに対応する3つずつのサンプリング値を一組に対応付ける処理を行うことで、画像と同一の次元(すなわち行列の2次元情報)に置換ができる。すなわち、キーとなる情報は、情報の配列方向において複数に区分され(画像データのRGBに対応)、区分毎に単位情報(画像データの各色のピクセル値)の集合としての区分キー情報(色成分毎の1枚分の濃度データ)を有し、これらが集まって1つのキー情報として形成される。この結果、キー情報を、少なくとも1枚の画像と、他の異質の情報とで構成することも可能となる。少なくとも画像が1枚以上含まれることで、論理処理後の結果を濃度として真っ黒に近づける等の効果が得られる。なお、論理処理後の情報に対する難読性を高める上では、画像以外のキー情報を用いて、あるいは画像以外の複数種類のキー情報を用いて論理処理するようにしてもよい。この場合であっても、処理対象のファイルデータとの論理処理によってキー情報が所定のレベル(濃度的な)方向にシフトするように変換されるということができる。
(23)ところで、以上の実施形態において、設定値Sを大きい値に設定する場合、8ビットの出力データD3を8ビット未満の所定ビット分で表現することが可能となる。例えば、設定値Sを大きい値に設定し、かつダミーデータを採用する態様で、ダミーデータの5ビット目以上に対して5ビット目にのみ“1”を設定する場合、8ビットの出力データD3は下5ビット(十進数の0〜31)で表現することが可能、すなわち上3ビットが一律“0”となり得る。そこで、かかる場合、制御部10に、以下の処理を実行するようにしてもよい。すなわち、8ビットの出力データD3のデータ配列から、先頭より順番に8ビットずつのうちの、先頭3ビットを削除する間引き処理を施してデータ圧縮を行う。次に、所定のルールに従って照合用ビット値を設定する。照合用ビット値にはソフトウエア的なランダム発生器を用いて準ランダム性を付与することが好ましい。そのための、より複雑な例として、前述した、画像データの開始ピクセルPnsのRGB濃度データを利用し、このRGB濃度データを3byteとして置き換え、これを所定値で除算し、その余りを照合用ビット値とする。除算のための前記所定値は、ここでは出力データD3のビット数8から前述のビット数3を引き算した5以下の所定の値である。但し、照合用として機能する上では、少なくとも2以上とか3以上が好ましい。前述した3ビットが間引きされた圧縮データ列は、照合用ビット単位で、キー情報である画像データの所定の1つの色成分の8ビットで配列されたデータ列の画像データ(好ましくは先頭ピクセルか開始ピクセルのうちの、所定ルールで設定されたピクセルから順次)と5ビットずつ、異同判断のための照合処理が施される。一致すれば、5ビットのデータは、一律、値“1”に変換される。一方、不一致であれば、5ビットに間引きされた圧縮データと照合した画像データとの排他的論理和処理を施す。なお、このとき画像データの値が“00000”である場合、“11111”に置き換えた上で上記排他的論理和処理を施すことが好ましい。さらに、6ビット目を設け、ここに値“0”を付加して、一致データと区別するための処理を施す。このようにして作成されたデータ列を加工された出力データとして保管し、あるいは通信される態様では、パケット処理されてからネットワーク2を経由して管理サーバ3へ送信される。管理サーバ3側では逆処理によって出力データD3を再現することができることとなる。上述したデータ圧縮処理、照合用ビット値を設定処理、照合処理、排他的論理和処理、付加処理の各処理を行うデータ変換処理は、埋込回路15からの出力直後のデータに対して、また、そのデータ逆変換処理は、再生回路16の入力直前のデータに対して行うことで、これらの処理が実行可能となる。上記各処理を実行するデータ変換処理及びデータ逆変換処理部109は、上述のように制御部10に構成すればよい。なお、管理サーバ3にも同様に制御部30に設ければよい。このように、論理回路処理の手法とは異なる手法のデータ変換方法を付加することで難読性がさらに向上する。
以上のとおり、本発明は、所定ビットを有する素データのデータ列からなる処理対象データに対してビット毎のパラレル処理を施すデータ処理装置において、予め設定された個数に区分され、かつ各区分が前記所定ビットと同一ビットからなる単位情報の所定の配列に従って集合した区分キー情報から構成されるキー情報が少なくとも所定数記憶されるキー情報記憶手段と、前記処理対象データの取り込みと同期して、前記キー情報記憶手段から各キー情報の単位情報を前記所定の配列に沿った順に取り込み、前記素データと一つ目のキー情報の各単位情報とに所定の対応関係の元で論理処理を順次施し、かつこの論理処理結果である中間データに二つ目のキー情報の対応する各単位情報との間で論理処理を施し、さらに順次その中間データに所定数目のキー情報まで、対応する各単位情報との間で論理処理を施すことによって、前記処理対象データの素データに対応する出力データを得る論理回路部とを備えたことを特徴とするものである。この発明によれば、素データを複数種類のキー情報内に、区分毎の論理処理を施して埋め込むことで秘匿性の高い情報管理が可能となる。
また、前記キー情報は、画像情報であり、前記区分キー情報は、前記画像情報の色成分毎の情報であり、前記単位情報は、前記色成分の各ピクセルの値であり、前記所定の配列は、行列方向であることが好ましい。素データを複数種類の画像データ内に、色成分毎の論理処理を施して埋め込むことで濃度変更等の画像の特質を生かして秘匿性の高い情報管理が可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記処理対象データが記憶されるデータ記憶手段を備えることが好ましい。この構成によれば、データ処理装置内に作成ファイルデータが保管可能となるので、ファイル内容の変更処理、保管処理が容易となる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記論理回路部は、前記データ列方向に隣接する前記素データを前記区分数ずつに分け、各区分キー情報の対応する配列位置の各単位情報に順次対応させることが好ましい。この構成によれば、素データと各単位情報とは1対1で対応して論理処理に供される。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記所定ビットで表わし得る値のうちの所定範囲内の値を調整値として出力する調整値生成手段と、前記論理回路部に取り込まれるキー情報の組み合せ及び前記調整値の少なくとも一方を所定の条件で変更する変更手段とを備え、前記論理回路部は、各段の入力側に、前記素データ、前記中間データ及び前記画像データのうち、少なくとも前記キー情報と前記調整値生成手段から出力される調整値との調整用論理処理を施す調整用論理回路を備えることが好ましい。この構成によれば、対象となるファイルデータはハードウエア回路である論理回路部を経てキー情報内、例えば画像データ内に埋め込まれ、かつキャプチャ等により窃取されて出力(表示やプリント)されたとしても、レベルが変更、すなわち真っ黒か真っ白に近い画像となる等、データに対して秘匿性の高い処理が施される。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記調整値生成手段は、各段に個別に調整値を生成することが好ましい。この構成によれば、調整値の設定範囲が広がる分、搾取されても再現が極めて困難になる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記変更手段は、前記処理対象データに対するデータ処理の都度、前記処理を実行するものであることが好ましい。この構成によれば、毎回施される撹乱処理によって秘匿性が向上する。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記変更手段は、前記調整値を変更するものであることが好ましい。この構成によれば、キー情報、例えば画像データの数は最低限の必要な数で済み、データ容量が抑制される。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記素データが取り得る最大値より大きな値を有するダミーデータを生成するダミーデータ生成手段と、生成されたダミーデータを、前記素データのデータ列の間に割り込ませるダミー混合手段とを備えることが好ましい。この構成によれば、素データとダミーデータとの分離処理が容易となる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記ダミー混合手段は、さらに前記処理対象データの先頭の素データより前に1又は複数個のダミーデータを割り込ませるものであることが好ましい。この構成によれば、素データの配置を一層不規則にすることが可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記論理回路部からの出力データをネットワークを経由してサーバに送信する通信処理部と、前記通信処理部によって受信された受信データに論理処理を施すための、前記論理回路部の逆回路からなる逆論理回路部とを備えることが好ましい。この構成によれば、ネットワークを経由して受信された同様な論理処理が施された受信データを逆論理回路部で再生することが可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記ネットワークと接続可能な情報処理端末に装着可能な携帯型の構成を有し、前記情報処理端末側で作成された前記処理対象データを前記情報処理端末に装着された状態で取り込む制御手段を備えると共に、前記画像記憶手段、論理回路部及び逆論理回路部を少なくとも備える外部デバイスであることが好ましい。この構成によれば、外部デバイスを他の情報処理端末に装着した状態で、処理対象ファイルの論理処理を施して送信先への送信が可能となり、一方、受信ファイルに対して逆論理処理を行って、受信ファイルの閲覧等が可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記外部デバイスは、論理処理及び逆論理処理の開始時の前記キー情報の取り込み開始の位置を指定する開始位置設定手段を備えることが好ましい。この構成によれば、論理処理や逆論理処理の都度、キー情報、例えば画像データの取り込み開始のピクセルが変動することでデータの秘匿性が向上する。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記開始位置設定手段は、前記各段に対して個別に設定可能であることが、秘匿性を一層向上させる上で好ましい。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記開始位置設定手段は、論理処理毎に前記開始位置を設定することが、秘匿性を一層向上させる上で好ましい。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記開始位置設定手段は、直前の論理処理において設定された前回開始位置の各単位情報のうちの少なくとも1つの所定の区分の単位情報を用いて次回の開始位置を設定するものであることが好ましい。これによれば、画像データの場合、開始ピクセルの設定に、直前の開始ピクセルの色成分値データを用いることで一層秘匿性が向上する。
また、本発明に係るデータ処理装置において、前記開始位置の設定履歴を記憶する履歴記憶部を備え、前記開始位置設定手段は、設定された開始位置が設定履歴に記憶されている開始位置と一致する場合、所定のルールに従って所定の未設定の位置を開始位置として設定し直すことが好ましい。これによれば、画像データの場合、全ピクセルが開始ピクセルとして設定されるので、いわゆる高い撹乱性が確保される。
また、本発明に係るネットワーク通信システムにおいて、データ処理装置は、前記ネットワークに少なくとも2台以上接続され、送信元となるデータ処理装置は前記サーバを中継して送信先となるデータ処理装置に論理処理されたデータの送信を行うものであり、前記サーバは、前記論理回路部、前記逆論理回路部及び前記通信処理部と同一の回路を少なくとも備え、さらに、前記送信元及び送信先となる各データ処理装置に記憶されている各キー情報と同一のキー情報が前記データ処理装置に対応付けて記憶されたサーバ記憶部を備えてなり、前記逆論理回路部は、前記送信元のデータ処理装置から送信されてきたデータに対して、前記送信元のデータ処理装置に対応付けられたキー情報を前記サーバ記憶部から読み出して利用することで逆論理処理を実行し、前記論理回路部は、逆論理処理が施されたデータに、前記送信先のデータ処理装置に対応付けられたキー情報を前記サーバ記憶部から読み出して利用することで論理処理を施し、前記通信処理部は、論理処理されたデータを前記送信先のデータ処理装置に送信することが好ましい。
かかる発明によれば、逆論理回路部によって、送信元のデータ処理装置から送信されてきたデータが逆論理処理され、次いで、論理回路部によって、逆論理処理が施されたデータに、送信先のデータ処理装置に対応付けられたキー情報を利用して論理処理が施される。このように、送信元からサーバへ、さらにサーバから送信先へのデータ送信において、論理処理が異なるので、より秘匿性が高い。
また、本発明に係るネットワーク通信システムにおいて、前記サーバは、前記開始位置設定手段と同一のサーバ側開始位置設定手段を備えることが好ましい。これにより、サーバ側でも送信元や送信先のデータ処理装置と同一の関係で開始ピクセルの設定が可能となり、開始ピクセルを一致させることができる。
また、本発明に係るネットワーク通信システムにおいて、前記サーバは、前記履歴記憶部と同一のサーバ側履歴記憶部を備え、前記サーバ側開始位置設定手段は、設定された開始位置が設定履歴に記憶されている開始位置と一致する場合、所定のルールに従って所定の未設定の位置を開始位置として設定し直すことが好ましい。これにより、サーバ側でも送信元や送信先のデータ処理装置と同一の関係で開始位置の再設定が可能となり、開始位置を一致させることができる。