以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、撮像装置10のブロック構成の一例を模式的に示す。本実施形態に係る撮像装置10は、撮影レンズが持つ多様な光学特性を利用することができる装置を提供する。撮像装置10は、レンズ系100、光学装置115、受光部160、画像信号生成部170、制御部180および画像記録部190を備える。撮像装置10は、カメラ機能付きの携帯電話、デジタルカメラなどの撮像機器であってよい。なお、レンズ系100、光学装置115、受光部160、画像信号生成部170および制御部180を備える機能ブロックが撮像装置10用の撮像デバイスとして提供されてよい。撮像デバイスは、撮像機器に組み込まれる撮像モジュールであってよい。
レンズ系100は、被写体からの光を結像する単一の結像レンズ系である。レンズ系100は、1以上のレンズ110を備える。レンズ系100を通過した被写体光は、光学装置115を通過して、受光部160によって受光される。
光学装置115は、偏向部140およびマイクロレンズ部150を有する。偏向部140は、偏向光学要素の一例としての複数のプリズム要素142a〜dを含む。マイクロレンズ部150は、複数のマイクロレンズ152a〜dを含む。受光部160は、複数の受光素子162a〜dを有する。本図では、説明を分かり易くするために、4の受光素子162a〜d、4のマイクロレンズ152a〜d、4のプリズム要素142a〜dを図示しているが、これらの光学要素をそれぞれ4しか有さないことを示しているわけではない。被写体を撮像すべく任意の数を各光学要素が有することはいうまでもない。複数のマイクロレンズ152a〜dを、マイクロレンズ152または複数のマイクロレンズ152と総称する場合がある。また、複数の受光素子162a〜dを、受光素子162または複数の受光素子162と総称する場合がある。他の光学要素も同様に、符号の添え字を省略することで光学要素を総称する場合がある。
複数の受光素子162は、MOS型撮像素子を形成してよい。複数の受光素子162は、MOS型撮像素子の他、CCD型撮像素子などの固体撮像素子を形成してよい。
マイクロレンズ152は、複数の受光素子162にそれぞれ対応して設けられる。複数のマイクロレンズ152は、レンズ系100を通過した被写体光を、対応する受光素子162にそれぞれ受光させる。具体的には、複数のマイクロレンズ152は、レンズ系100により結像された被写体光をそれぞれ再結像して、対応する受光素子162にそれぞれ受光させる。例示したマイクロレンズ152a〜dは、それぞれ受光素子162a〜dに対応して設けられる。マイクロレンズ152aは、レンズ系100により結像された被写体光を再結像して、受光素子162aに受光させる。同様に、マイクロレンズ152b〜dは、レンズ系100により結像された被写体光をそれぞれ再結像して、それぞれ受光素子162b〜dに受光させる。
マイクロレンズ152は、レンズとして機能する光学面の形状を調整することができる。例えば、マイクロレンズ152は、当該光学面の形状を、第1の屈折力を持つ形状から第1の屈折力より大きい第2の屈折力を持つ形状に可変することができる。本図では、第2の屈折力を持つ形状を実線で模式的に示しており、第1の屈折力を持つ形状を破線で模式的に示した。
マイクロレンズ152が第2の屈折力を有する状態に制御されている場合、マイクロレンズ152は、各受光素子162が受光することができる光を、射出瞳120の一部領域を通過した光に制限する。例えば、マイクロレンズ152が第2の屈折力を有する状態に制御されている場合、マイクロレンズ152は、射出瞳120の1/4以下の面積の領域を通過した光を、各受光素子162に受光させてよい。マイクロレンズ152が第1の屈折力を有する状態に制御されている場合、マイクロレンズ152は、第2の屈折力を有する状態に制御されている場合よりも、射出瞳120のより広い領域を通過した光を各受光素子162に受光させることができる。例えば、マイクロレンズ152が第1の屈折力を有する状態に制御されている場合、マイクロレンズ152は、射出瞳120の1/4より大きい面積の領域を通過した光を、各受光素子162に受光させることができる。制御部180は、マイクロレンズ152の形状を制御することで、受光素子162のそれぞれへの光束が通過する射出瞳120の大きさを制御する。これにより、焦点調節等に限らず、マイクロレンズ152が持つ多様な光学特性に応じた画像を得ることができる。
プリズム要素142は、複数の受光素子162に対応して設けられる。プリズム要素142、マイクロレンズ152、および、受光素子162は、互いに一対一に対応して設けられる。例えば、プリズム要素142aは、マイクロレンズ152aおよび受光素子162aに対応して設けられる。プリズム要素142、マイクロレンズ152および受光素子162のうちの互いに対応する光学要素の組は、符号の添え字a〜dで区別される。
プリズム要素142は、プリズムとして機能する光学面の形状を調整することができる。例えば、プリズム要素142は、レンズ系100の光軸方向の少なくとも一方の光学面の角度を可変することができる。光学面の角度をプリズム角と呼ぶ場合がある。本図では、プリズム要素142の両光学面が光軸に対して垂直な形状を有している状態、すなわちプリズム効果を有さない状態を実線で模式的に示した。プリズム要素142の一方の光学面が光軸に垂直な面から傾斜した形状を有している状態を、破線で模式的に示した。
プリズム要素142がプリズム効果を有さない形状に制御されている場合、プリズム要素142は、射出瞳120における光軸を中心とする瞳領域を通過した光を、受光素子162に受光させる。上述したように、当該瞳領域の大きさはマイクロレンズ152の屈折力によって制御される。プリズム要素142のプリズム角が制御されることによって、プリズム要素142は、射出瞳120上の当該瞳領域の位置を制御することができる。すなわち、プリズム要素142がプリズム効果を有する状態に制御されている場合、プリズム要素142は、射出瞳120上におけるプリズム角に応じた位置を中心とする領域を、受光素子162に受光させることができる。このように、プリズム要素142は、受光素子162に受光させる光束の向きを制御することができる。制御部180は、プリズム要素142の光学面の傾きを制御することで、受光素子162への光束が通過する射出瞳120の位置を制御することができる。
本図では、実線で示されるように、プリズム要素142がプリズム効果を有さず、マイクロレンズ152が第2の屈折力を持つ状態に制御されている状態を説明する。この状態で撮像するモードを、高解像力撮像モードと呼ぶ。上述したように、プリズム要素142はプリズム効果を有さないので、受光素子162が受光できる瞳領域は、射出瞳120上における光軸を中心する領域となる。一方、マイクロレンズ152は第2の屈折力を持つので、マイクロレンズ152が受光する光は比較的に狭い瞳領域を通過したものに制限される。したがって、受光素子162に入射する光束は、光軸を含む比較的に狭い中央瞳領域123を通過するものに絞られることとなる。
本撮像モードによれば、光学装置115はレンズ系100の低収差部分を用いることができるので、被写体からの高空間周波数領域の信号を受光部160に高く伝達することできる。また、撮像系のMTF特性を向上することができる。このため、解像力の高い画像を提供することができる。また、結像レンズ110の瞳を絞り込んで撮像した状態と同等の効果が得られるので、被写界深度を拡大することができる。
受光素子162は、受光量に応じた強度の撮像信号を、画像信号生成部170に出力する。画像信号生成部170は、受光素子162から供給された撮像信号から、光軸近傍を通過した光による画像を示す画像信号を生成する。画像記録部190は、画像信号生成部170が生成した画像信号を取得して、画像データとして記録する。画像記録部190は、不揮発性メモリに当該画像データを記録してよい。当該不揮発性メモリは、画像記録部190が有してよい。また、当該不揮発性メモリは、撮像装置10に対して着脱可能に設けられた外部メモリであってよい。画像記録部190は、撮像装置10の外部に画像データを出力してもよい。画像信号生成部170が生成した画像信号によって示される画像、および、画像記録部190が記録する画像データが示される画像を、単に画像と呼ぶ場合がある。
なお、本図では、マイクロレンズ152およびプリズム要素142の作用により、受光素子162が射出瞳120のうちの中央瞳領域123を通過した光を受光することを分かり易く示すことを目的として、中央瞳領域123を白ヌキで示した。そして、中央瞳領域123以外の領域を斜線で示した。また、以後の図においても、受光素子162が射出瞳120のうちの特定の部分領域を通過した光を受光することを分かり易く示すことを目的として、射出瞳120のうちの当該部分領域を白ヌキで示して、それ以外の領域を斜線で示す場合がある。このことは、射出瞳120の斜線の領域を被写体光が通過しないことを示すものではない。
図2は、他の撮像モードにおける光学装置115の一例を模式的に示す。本例は、被写体光を高い利用率で撮像に利用するモードの一例である。本例の光学装置115は、マイクロレンズ152が第2の屈折力より小さい第1の屈折力を有する点で、図1に例示した光学装置115と光学特性が異なる。
マイクロレンズ152は、第1の屈折力を持つ状態では、射出瞳120の比較的に広い範囲、例えば射出瞳120の実質的に全面を通過した光を受光素子162に受光させることができる。受光素子162への光束を実質的に制限しないことを示すべく、本図では、射出瞳120の全面を白ヌキで示した。なお、マイクロレンズ152は、第1の屈折力を有する場合に、受光素子162が持つ光電変換部の周辺近傍領域に向かう被写体光を、光電変換部へと集光させる。このため、マイクロレンズ152がレンズ効果を有さない場合と比較して、受光部160へと入射した被写体光を効率的に撮像に利用することができる。
本撮像モードによれば、光学装置115は被写体からの光量を制限せずに撮像に利用することができる。このため、撮像光による信号成分と比較してノイズ成分が相対的に低くすることができる。特に、被写体に対してピントズレした画像領域では、画像信号成分が滑らかに変化するのでノイズが目立ちやすくなってしまう。しかしながら本撮像モードによれば、ピントズレした画像領域に対して、より多くの光量を受光素子162に伝達できる。このように、本撮像モードでは、SN比を高めることができ、ノイズの少ない高画質な画像を得ることができる。本撮像モードを、低ノイズ撮像モードと呼ぶ。
このように、制御部180は、複数のマイクロレンズ152の形状を制御することにより、複数の受光素子162がそれぞれ受光すべき、レンズ系100の射出瞳における瞳領域を制御する。具体的には、制御部180は、マイクロレンズ152の形状を、第1の屈折力を持つ形状から第1の屈折力より大きい第2の屈折力を持つ形状に制御することにより、複数の受光素子162が受光すべき瞳領域の大きさを制限することができる。
図3は、更なる他の撮像モードにおける光学装置115の一例を模式的に示す。本例は、多視点画像を撮像する撮像モードである多視点撮像モードの一例である。本例の光学装置115は、プリズム要素142が光軸の垂直面に対して傾斜した光学面を有する点で、図2に例示した光学装置115と光学特性が異なる。
プリズム要素142aは、レンズ系100の射出瞳120における左側瞳領域124を通過した被写体光130aを、マイクロレンズ152aを介して受光素子162aに受光させるプリズム角を持つ。また、プリズム要素142cは、レンズ系100の射出瞳120における左側瞳領域124を通過した被写体光130cを、マイクロレンズ152cを介して受光素子162cに受光させるプリズム角を持つ。一方、プリズム要素142bは、レンズ系100の射出瞳120における右側瞳領域122を通過した被写体光130bを、マイクロレンズ152を介して受光素子162bに受光させるプリズム角を持つ。また、プリズム要素142dは、レンズ系100の射出瞳120における右側瞳領域122を通過した被写体光130dを、マイクロレンズ152dを介して受光素子162dに受光させるプリズム角を持つ。
このため、受光素子162a、cが受光できる光は、左側瞳領域124を通過したものに制限され、受光素子162b、dが受光できる光は、右側瞳領域122を通過したものに制限される。したがって、画像信号生成部170は、受光素子162a、cなど、左側瞳領域124を通過した光を受光する一部の受光素子162の撮像信号から、左視点画像の画像信号を生成する。また、画像信号生成部170は、受光素子162b、dなど、右側瞳領域122を通過した光を受光する一部の受光素子162の撮像信号から、右視点画像の画像信号を生成する。
なお、左側瞳領域124および右側瞳領域122は、それぞれ第1瞳領域および第2瞳領域の一例とする。第1瞳領域および第2瞳領域は、図示した右側瞳領域122および左側瞳領域124に限られない。第1瞳領域および第2瞳領域は、射出瞳120における互いに別個の領域であればよい。第1瞳領域が光軸の位置を含まない領域である場合、第2瞳領域は、第1瞳領域と異なる領域であれば、光軸の位置を含んでもよく、光軸の位置を含まなくてともよい。
すなわち、偏向部140は、複数のマイクロレンズ152が第2の屈折力を持つ形状に制御されている場合に、射出瞳120における第1瞳領域を通過した被写体光130を、対応するマイクロレンズ152を介して複数の受光素子162のうちの対応する第1受光素子にそれぞれ受光させる複数の第1の偏向光学要素を有する。また、偏向部140は、複数のマイクロレンズ152が第2の屈折力を持つ形状に制御されている場合に、射出瞳120における第2瞳領域を通過した被写体光130を、対応するマイクロレンズを介して対応する第2受光素子にそれぞれ受光させる複数の第2偏向光学要素を有する。
なお、例えば中央瞳領域123のように光軸近傍の瞳領域を通過した光を第2受光素子に受光させる場合、当該第2受光素子に対応するプリズム要素142の形状は、図2に例示したようにプリズム効果を持たない形状を有してよい。また、第2受光素子に対応するプリズム要素142を有しない構成の偏向部140を採用することもできる。
制御部180は、異なる視点の画像を撮像する場合に、撮像モードを、本図で例示した多視点撮像モードに制御する。画像信号生成部170は、複数の第1受光素子の撮像信号および複数の第2受光素子の撮像信号から、異なる視点の画像の画像信号を生成する。
本撮像モードによれば、マイクロレンズ152の屈折力によって、複数の受光素子162が受光できる瞳の大きさが制限される。そして、プリズム要素142によって、受光素子162がそれぞれ受光できる瞳領域の位置を制御することができるので、瞳領域をきちんと分離することができる。このため、光学装置115によれば、単一のレンズ系100を用いて、左視点画像および右視点画像をワンショットで得ることができる。したがって、多視点撮影機能をコンパクトに実装することができる。
図4は、偏向部140およびマイクロレンズ部150の構成の一例を模式的に示す。本例は、図1から3に関連して説明した三つの撮像モードを実現するための構成の一例である。本例において、偏向部140が有する複数のプリズム要素142は、屈折率が互いに異なる液体の界面で形成される液体プリズム要素である。プリズム要素142のプリズム角は、界面の角度で定まる。
偏向部140は、第1液体および第2液体を保持するハウジング200、仕切板242、駆動部290を有する。仕切板242は、ハウジング200の内部を、レンズ系100の光軸に沿って第1液体が充填される第1液体領域210と第2液体が充填される第2液体領域220とに分割する。第1液体と第2液体は、屈折率が互いに異なり、かつ、水と油のように接触状態において互いに混合しない性質を持つ。第1液体および第2液体の組み合わせとして、PDMS(Poly−Dimethyl−Siloxane)および純水を例示することができる。ここでは第2液体の屈折率よりも第1液体の屈折率の方が大きいとする。また、第1液体および第2液体のそれぞれの密度は実質的に等しいことが好ましい。
仕切板242には、複数のプリズム要素142a〜dが形成される位置に対応して複数の貫通孔250a〜dが形成される。プリズム要素142a〜dは、それぞれ貫通孔250a〜dが形成された位置に形成される。ハウジング200の物体側の面または像側の面から見た貫通孔250の形状は、正方形、長方形、台形、円または楕円等であってよく、その他の種々の形状であってよい。
ハウジング200の物体側の面および像側の面には、ガラスなどの透光性の材料で形成された透光部が形成される。透光部は、貫通孔250、マイクロレンズ152および受光素子162に対応する位置に形成され、被写体光は物体側の面に形成された透光部、貫通孔250、像側の面に形成された透光部を通過して、対応するマイクロレンズ152に入射する。なお、ハウジング200の物体側の面および像側の全面が、ガラスなどの透明な材料から形成されてもよい。
仕切板242は、仕切部240−1〜5を含む。貫通孔250は、対向する仕切部240の間の空間で形成される。仕切部240は第1液体と第2液体とを接触させない。第1液体および第2液体は、貫通孔250内で互いに接触して、プリズム要素142となる界面を形成する。
貫通孔250aは、側面部252aおよび側面部254aを持つ。側面部252aおよび側面部254aは、それぞれ仕切部240−1および仕切部240−2の対向する側面部である。側面部252aは、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さを持ち、側面部254aは、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さを持つ。つまり、貫通孔250aは、厚さの異なる仕切板242の側面部252aおよび側面部254aを含む側面に包囲されて形成される。例えば、貫通孔250aが四角形の開口を持つ場合、貫通孔250aは、側面部252aと、側面部254aと、側面部252aおよび第2側面部254aを結合する2の側面部とにより包囲されて形成される。ここでは第2の厚さが第2の厚さより大きいとする。
貫通孔250bは、側面部252bおよび側面部254bを持つ。側面部252bおよび側面部254bは、それぞれ仕切部240−2および仕切部240−3の対向する側面部である。側面部252bは、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さを持ち、側面部254bは、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さを持つ。貫通孔250aとは異なり、貫通孔250bは、複数の貫通孔250が並ぶ方向に、第1の厚さの側面部252b、第2の厚さの側面部254bを順に有する。その他の点は、貫通孔250aと同様であるので説明を省略する。
貫通孔250cは、側面部252cおよび側面部254cを持つ。側面部252cおよび側面部254cは、それぞれ仕切部240−3および仕切部240−4の対向する側面部である。貫通孔250cの形状は、貫通孔250aと同様であり、側面部252cはレンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さを持ち、側面部254cは光軸方向に沿って第2の厚さを持つ。貫通孔250dは、側面部252dおよび側面部254dを持つ。側面部252dおよび側面部254dは、それぞれ仕切部240−4および仕切部240−5の対向する側面部である。貫通孔250dの形状は、貫通孔250bと同様であり、側面部252dはレンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さを持ち、側面部254dは光軸方向に沿って第1の厚さを持つ。すなわち、仕切板242には、貫通孔250aの形状の貫通孔と貫通孔250bの形状の貫通孔とが、交互に繰り返して一列に形成される。
第1液体領域210に充填された第1液体の圧力を特定の圧力にすると、当該圧力に応じて、液体の圧力差と表面張力とが釣り合うように平面状の界面が形成される。各貫通孔250内において第2液体が充填された状態で釣り合った状態となるよう第1液体の圧力を第1圧力にすると、プリズム要素282のように本図の破線で示す界面が形成される。例えば、貫通孔250aにおいて、側面部252aの液体領域210側の端部と第2側面部254aの液体領域210側の端部で界面が担持される。
仕切板242は第1液体側において平面状の端面を持ち、当該端面はハウジング200の像側と平行であるので、破線で示す界面は、プリズム効果を実質的に有さない。このため、受光素子162は、射出瞳120のうちの光軸を中心とする領域を通過した光を受光することができる。図1および図2で説明した撮像モードで撮像する場合、制御部180は、界面が本図の破線の形状に維持された状態になるよう、液体領域210の圧力を制御すればよい。
一方、各貫通孔250内において第1液体が充填された状態で釣り合った状態となるよう、第1液体の圧力を第1圧力より高めて第2圧力にすると、界面の位置は第2液体側に移動して、プリズム要素281のように本図の実線で示す界面が形成される。例えば、貫通孔250aにおいて、側面部252aの第2液体領域220側の端部および仕切板242aの液体領域210側の端部262−1に界面が担持される。この界面の傾きは、各貫通孔250を形成する側面部の厚さに応じた傾きになる。貫通孔250aにおける界面の傾きおよび貫通孔250bにおける界面の傾きをそれぞれ第1の傾きおよび第2の傾きと呼べば、第1の傾きのプリズム角および第2の傾きのプリズム角が交互に繰り返されるプリズム列が形成される。このように、制御部180は、第1液体を保持する液体領域210の内圧を制御することにより、光軸に対する界面の傾きを制御することができる。
本プリズム列が形成されている場合、貫通孔250aおよび貫通孔250cに対応する受光素子162aおよび受光素子162cは、マイクロレンズ152およびプリズム要素の作用により、左側瞳領域124を通過した光を受光する。一方、貫通孔250bおよび貫通孔250dに対応する受光素子162bおよび受光素子162dは、右側瞳領域122を通過した光を受光する。このため、画像信号生成部170は、受光素子を一つおきに選択して画像信号を生成することで、右視点画像および左視点画像を生成することができる。
制御部180は、第1液体領域210に連通する液体領域230内の圧力を制御することにより、第1液体の圧力を制御する。具体的には、ハウジング200は、液体領域230内の第1液体に接する弾性面280を持つ。また、偏向部140は、液体領域230の体積を制御すべく弾性面280を変位させる駆動部290を有する。駆動部290としては、圧電素子を有することができる。圧電素子はピエゾ素子であってよい。制御部180は、圧電素子に印加する電圧を制御して圧電素子の形状を変化させ、それにより弾性面280に当接する先端部を伸縮方向298に変位させる。
制御部180は、第1液体と第2液体の界面を貫通孔250の側面部に沿って物体側の方向に移動させる場合には、液体領域230の体積が低下する方向に駆動部290の先端部を変位させる。これにより、第1液体の内圧が高まり、界面は物体側の方向に移動する。制御部180は、貫通孔250の側面部に沿って像側方向に界面を移動させる場合には、液体領域230の体積が増加する方向に駆動部290の先端部を変位させる。これにより、第1液体の内圧が低下して、界面は像側の方向に移動する。
このように、制御部180は、貫通孔250の第1側面部での界面の位置と、当該第1側面部に対向する第2側面部での界面の位置とを、液体領域210の内圧で制御することにより、光軸に対する界面の傾きを制御することで、プリズム要素の傾きを制御することができる。
本例におけるマイクロレンズ部150の構成を説明する。本例において、マイクロレンズ部150が有する複数のマイクロレンズ152は、屈折率が互いに異なる液体の界面で形成される液体マイクロレンズである。マイクロレンズ152の屈折力は、界面の形状で定まる。
マイクロレンズ部150は、第1液体および第2液体を保持するハウジング400、仕切板442、駆動部490を有する。ハウジング400の物体側の面およびハウジング200の像側の面は一体的に形成されてよい。仕切板442は、ハウジング400の内部を、レンズ系100の光軸に沿って第1液体が充填される第1液体領域310と第2液体が充填される第2液体領域320とに分割する。本例のようにプリズム要素142の界面およびマイクロレンズ152の界面を同一の液体の組み合わせを用いてよいが、プリズム要素142とマイクロレンズ152とで異なる組み合わせの液体を用いることができることはいうまでもない。
ハウジング200と同様、ハウジング400の物体側の面および像側の面には、ガラスなどの透光性の材料で形成された透光部が形成される。また、仕切板242と同様、仕切板442には、複数の受光素子162が形成される位置に対応して複数の貫通孔が形成される。複数のマイクロレンズ152は、複数の貫通孔のそれぞれにおける第1液体と第2液体との界面によって形成される。なお、マイクロレンズ152の界面は、プリズム要素142の界面と同様の過程で形成される。このため、偏向部140との間の相違点を中心に、マイクロレンズ部150の構成を説明する。
仕切板442は、仕切部440−1〜5を含む。第1液体および第2液体は、仕切板442よりも液体領域320側で接触して、マイクロレンズ152となる界面を形成する。仕切板242とは異なり仕切板442は光軸方向に同一の厚さを有してよい。仕切板442は、少なくとも液体領域320側に、光軸に垂直面に平行な面を有する。
プリズム要素142と同様、マイクロレンズ152の形状は、液体領域310の内圧を制御することにより制御される。貫通孔の液体領域320側の両端部間で平面状の界面が形成される場合の圧力を基準圧力と呼ぶと、液体領域310に充填された第1液体の圧力は、基準圧力以上に維持される。第1液体の圧力を基準圧力より大きくすると、本図の破線で示すような界面が形成される。つまり、貫通孔の液体領域320側の両端部で界面の位置が担持されたまま、貫通孔の中心付近で物体側に頂点をもつアーチ状の界面が形成される。本図の破線の状態では、複数のマイクロレンズ152は、それぞれ第1の屈折力を持つ。
圧力をさらに高くすると、本図の本図の実線で示す界面が形成される。つまり、貫通孔の液体領域320側の両端部で界面の位置が担持されたまま、貫通孔のより物体側に頂点をもつアーチ状の界面が形成される。本図の実線の状態では、複数のマイクロレンズ152は、それぞれ第2の屈折力を持つ。
図2で説明した撮像モードで撮像する場合、制御部180は、界面が本図の破線の形状維持された状態になるよう、液体領域310の圧力を制御すればよい。また、図1および図3で説明した撮像モードで撮像する場合、制御部180は、界面が本図の実線の形状に維持された状態になるよう、液体領域310の圧力を制御すればよい。
制御部180は、液体領域310に連通する液体領域330内の圧力を制御することにより、ハウジング400内の第1液体の圧力を制御する。ハウジング400は、ハウジング200と同様、液体領域330内の第1液体に接する弾性面を持つ。また、マイクロレンズ部150は、液体領域330の体積を制御すべく当該弾性面を変位させる駆動部490を有する。駆動部490は、駆動部290と同様の機能および動作を有することができる。制御部180は、駆動部290に対する制御と同様、ハウジング400に形成された弾性面を駆動部490に変位させることによって、液体領域310の内圧を制御する。180は、駆動部490に液体領域330の体積を低下させることで、界面の形状を本図の破線の形状から実線の形状に制御することができる。
このように、制御部180は、界面の形状を制御することにより、複数のマイクロレンズ152の形状を制御することができる。具体的には、制御部180は、液体領域310の内圧を制御することにより、複数のマイクロレンズ152の形状を制御することができる。
本例における受光部160の構成を説明する。受光部160は、複数のカラーフィルタ260、遮光部262、および、複数の受光素子162を有する。複数のカラーフィルタ260は、複数の受光素子162に対応して設けられる。カラーフィルタ260は、対応するプリズム要素142およびマイクロレンズ152を通過した被写体光のうち、予め定められた波長域の光を選択的に透過して対応する受光素子162にそれぞれ受光させる。
遮光部262は、隣接画素との間の干渉を防ぐべく、複数の受光素子162のそれぞれの受光開口を画定する開口部が、複数の受光素子162のそれぞれに対応する位置に形成されている。複数の受光素子162は、対応する開口部を通過した光をそれぞれ受光して、光電変換により撮像信号を形成する電圧信号をそれぞれ生成する。
ここで、図2に例示した撮像モードで撮像する場合、制御部180は、複数のマイクロレンズ152の形状を第1の屈折力を持つ形状に制御するとともにプリズム要素142の界面をレンズ系100の光軸に対して垂直に制御して受光部160を露光する。図1に例示した撮像モードで撮像する場合、制御部180は、プリズム要素142の界面をレンズ系100の光軸に対して垂直に制御するとともに、複数のマイクロレンズ152の形状を第2の屈折力を持つ形状に制御して受光部160を露光する。図3に例示した撮像モードで撮像する場合、制御部180は、複数のマイクロレンズ152の形状を第2の屈折力を持つ形状に制御するとともにプリズム界面をレンズ系100の光軸に対して傾斜させた状態で受光部160を露光する。制御部180は、この三の撮像モードのうちの少なくとも二の撮像モードの間で切り替えて撮像させることができる。
図5は、光軸に垂直な面で偏向部140を切断した模式断面を示す。本図は、図4のAA断面を例示する。被写体光は紙面に向かって進行するとし、参照のために受光素子162の位置を破線で模式的に示した。図示されるように、仕切板242には貫通孔250がマトリクス状に形成される。受光素子162も貫通孔250に対応する位置に設けられる。すなわち、貫通孔250および複数の受光素子162はマトリクス状に配置される。貫通孔250および受光素子162は、行方向350および列方向360に略等間隔で設けられる。
具体的には、仕切部240−1、仕切部240−2、仕切部240−3および仕切部240−4は、列方向360に延伸する部材である。これらの行の間は、行方向350に延伸する部材で仕切られる。これにより、貫通孔250a〜dの他に、行方向350に並ぶ貫通孔の列が、複数形成される。例えば、貫通孔250aを先頭とする行、貫通孔250eを先頭とする行、貫通孔250fを先頭とする行に、行方向350に並ぶ貫通孔の列が形成される。
図4に関連して説明したように、仕切部240−1は、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を側部に持つ。また、仕切部240−2は、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ。仕切部240−3は、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を両側部に持つ。仕切部240−4は、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ。つまり、仕切板242には、異なる厚さの側面部を持つ仕切部240が行方向350に交互に位置している。これにより、第1のプリズム角を持つ複数のプリズム要素と第2のプリズム角を持つ複数のプリズム要素とが、複数の行に交互に配置される。
このように、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を両側部に持つ第1仕切部と、光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ第2仕切部とによって、貫通孔250が形成される。具体的には、貫通孔250は、第1仕切部の側面部と、第1仕切部に隣り合う第2仕切部の側面部とによりそれぞれ形成される。
また、貫通孔250a〜dは、液体領域210を介して連通している。液体領域210は複数の領域に区画されていてもよいが、区画されていなくてもよい。液体領域210が区画されている場合、区画された複数の液体領域210に対応してそれぞれ駆動部が設けられ、各駆動部は対応する液体領域210内の第1液体の圧力を制御する。本図の例では、行毎に駆動部290、駆動部291、駆動部292が設けられる。これにより、1の駆動部で第1液体領域の内圧を制御する場合と比較して、速やかにプリズム要素を制御することができる。なお、液体領域210が複数の領域に区画されておらず全貫通孔が液体領域210で連通している場合でも、駆動部を複数設けてもよい。すなわち、第1液体領域210の内圧を、複数の駆動部で制御してもよい。
なお、マイクロレンズ部150の仕切板442も、仕切板242と同様、貫通孔がマトリクス状に形成される。また、マイクロレンズ部150の液体領域310も、液体領域210と同様、複数の領域に区画され、区画された複数の液体領域310に対応してそれぞれ駆動部が設けられてよい。また、液体領域310が複数の領域に区画されておらず全貫通孔が液体領域310で連通している場合でも、駆動部を複数設けることができる。なお、マイクロレンズ部150の液体領域310は、行毎または列毎に複数のブロックに区画されてよい。また、液体領域310は、複数の行および/または複数の列を含む複数のブロックに区画されてもよい。そして、制御部180は、マイクロレンズ152の屈折力を複数のブロック毎に異なる屈折力を持つよう制御してよい。例えば、制御部180は、合焦する被写体からの光が通過する1以上のブロックよりも、合焦しない被写体からの光が通過する1以上のブロックにおいて、マイクロレンズ152の屈折力を小さく制御してよい。これにより、合焦した被写体領域では高解像力を有しつつ、合焦していない背景領域ではノイズが目立たない画像を生成することができる。
図6は、撮像装置10が生成する画像の一例を示す。撮像装置10は、図3に例示した多視点撮像モードで撮像することにより、右視点画像410および左視点画像420を生成する。右視点画像410には、撮像装置10の遠方に位置する遠距離被写体の像である遠距離被写体像414と、当該被写体より近くに位置する近距離被写体の像である近距離被写体像412が含まれる。左視点画像420には、遠距離被写体の像である遠距離被写体像424と、近距離被写体の像である近距離被写体像422が含まれる。
遠距離被写体像414は、右側瞳領域122を通過した光を受光する受光素子162で形成される遠距離被写体の像であり、遠距離被写体像424は左側瞳領域124を通過した光を受光する受光素子162で形成される遠距離被写体の像である。画像領域内において、遠距離被写体像414は、遠距離被写体像424が形成される位置よりも左側にシフトした位置に形成される。
遠距離被写体像414と同様に、近距離被写体像412も、遠距離被写体像424よりも左側にシフトした位置に形成されるが、近距離被写体像422の位置からより大きくシフトした位置に形成される。このため、右視点画像410および左視点画像420をそれぞれ観察者の右目および左目に提示すると、観察者には、レンズ系100によって合焦される被写体よりも撮像装置10の近くに位置する被写体が、ぐっと手前に存在するように見える。このため、撮像装置10によれば、多視点撮像モードによって距離感のある立体視画像を提供することができる。
多視点撮像モードの状態からプリズム要素142のプリズム角を0にすると、高解像力撮像モードになる。高解像力撮像モードでは、中央瞳領域123を通過した光束による画像であるから、いわば中央を視点とする画像が得られる。このため、遠距離被写体および距離被写体が実空間において撮像装置10に対して左右の中央に位置する場合、それらの像である近距離被写体像432および遠距離被写体像434は、中央視点画像430において左右方向の中央に形成される。
多視点撮像モードの状態からマイクロレンズ152の屈折力を小さくして第1の屈折力を持たせると、低ノイズ撮像モードになる。低ノイズ撮像モードも、高解像力撮像モードと同様、いわば中央を視点とする中央視点画像450が得られる。中央視点画像450には、ノイズが目立つことのない近距離被写体像452および遠距離被写体像454を生成することができる。
このように、制御部180は、光学装置115を制御することで、撮像モードを切り替えて撮像することができる。液体界面で形成されるプリズム要素142およびマイクロレンズ152は、圧力を制御することで極めて高速に形状を変えることができる。このため、撮像モードを極めて高速に切り替えて撮像することができる。
なお、画像記録部190は、多視点画像で得られた右視点画像410および左視点画像420を立体視用画像として記録してよい。例えば、画像記録部190は、右視点画像410および左視点画像420を組み合わせてパララックスバリア方式による立体視用画像として記録してよい。
なお、画像記録部190は、中央視点画像430および中央視点画像450の少なくとも一方に含まれる近距離被写体像を用いて、右視点画像410および左視点画像420の少なくとも一方に形成された近距離被写体像を高画質化して記録してよい。また、画像記録部190は、中央視点画像430および中央視点画像450の少なくとも一方に含まれる遠距離被写体像を用いて、右視点画像410および左視点画像420の少なくとも一方に形成された遠距離被写体像を高画質化して記録してよい。このように、画像記録部190は、中央視点画像430および中央視点画像450の少なくとも一方に含まれる特定被写体の像を用いて、右視点画像410および左視点画像420の少なくとも一方に含まれる特定被写体の像を高画質化して記録してよい。暗い環境下で多視点撮像したり、ピントズレが生じる被写体を多視点撮像したり、高い空間周波数成分を含む被写体を撮像したりする場合でも、制御部180が高解像力撮像モードまたは低ノイズ撮像モードに切り替えて撮像し、得られた中央視点画像450または中央視点画像430に形成された被写体像を右視点画像410および左視点画像420に合成することで、右視点画像410および左視点画像420に形成された被写体像を高画質化して記録することができる。このため、撮像装置10によれば、高画質な多視点画像を提供することができる。
図7は、偏向部140の構成の他の一例を模式的に示す。図4に例示した偏向部140では、貫通孔250に第1液体が充填された第1状態では右視点画像および左視点画像を撮像でき、貫通孔250に第2液体が充填された第2状態では中央視点画像を撮像することができる。本図に例示する偏向部140−1は、第1状態で左視点画像を撮像する構成を持つ点が、図4に例示した偏向部140とは異なる。具体的には、仕切板242に形成される貫通孔250の形状が、図4に例示した偏向部140とは異なる。このため、ここではその相違点を中心に説明する。
貫通孔250a〜dは、仕切部540が有する異なる厚さの側面部によって形成される。具体的には、貫通孔250aは、仕切部540−1が有する第1の厚さの側面部552aと、仕切部540−2が有する第2の厚さの側面部554aとにより形成される。貫通孔250b〜dも同様に、仕切部540−2〜5がそれぞれ有する第1の厚さの側面部と第2の厚さの側面部とにより形成される。
また、仕切部540−1〜5が有する第1液体側の側面は、図2に例示した仕切部240−1〜5と同様、略同一平面上に位置する。すなわち、仕切板242は、第1液体側において平面状の端面を持つ。
貫通孔250に第1液体が充填された状態で第1液体と第2液体とが釣り合うよう第1液体の圧力を制御すると、プリズム要素581のような実線で図示される界面が形成される。すなわち、貫通孔250には、同一のプリズム角を持つプリズム要素142が形成される。このプリズム角は、図4の例で貫通孔250aおよびcに形成されるプリズム角と同じである。したがって、貫通孔250に第1液体が充填された状態では、受光素子162が受光できる光は、左側瞳領域124を通過したものに制限される。この状態では、受光部160が有する受光素子162によって、左視点画像を撮像することができる。このため、受光部160が有する受光素子162を有効に使用して、同一タイミングで撮像した解像力の高い左視点画像を提供することができる。
貫通孔250に第2液体が充填された状態で釣り合っている場合、プリズム要素582のように、図4の破線で例示した界面と同様の界面が形成される。このため、受光部160が有する受光素子162によって、中央視点画像を撮像することができる。中央視点画像を撮像する場合、上述したようにマイクロレンズ152の屈折力の大小を制御することで、高解像力の中央視点画像を撮像するモードと、低ノイズな中央視点画像を撮像するモードとを選択することができる。
図8は、撮像装置80のブロック構成の一例を模式的に示す。撮像装置80は、実効的に深い被写界深度を持つ撮像装置を提供することができる。撮像装置80は、レンズ系100、光学装置115および受光部160を備える。なお、撮像装置80は、上述した画像信号生成部170、制御部180および画像記録部190と同様に機能および動作する機能ブロックも有するが、当該機能ブロック自体の図示は省略して、他の機能ブロックとの間の結合関係を図示した。
撮像装置80は、特にレンズ系100の結像特性および光学装置115の内部構成が、上述した撮像装置10とは異なる。撮像装置10に対する機能または動作の相違点について説明する。レンズ系100は、領域毎に異なる焦点距離を持つレンズである。例えば、レンズ系100は、累進屈折力レンズであるレンズ系100aを有してよい。本図では、焦点距離の違いを分かり易く例示するため、レンズ110aの対物側の光学面が、領域毎に異なる焦点距離を与えるとした。レンズ系100は、レンズ系全体で異なる焦点距離を与える光路が存在すればよく、焦点距離の違いが特定のレンズの特定の光学面によって提供されなくてよい。
撮像装置80は、実効的に深い被写界深度を提供する撮像モードである深度拡大撮像モードを有する。深度拡大撮像モードで撮像する場合におけるプリズム要素142およびマイクロレンズ152の形状を、本図の実線で例示した。深度拡大撮像モードでは、180は、マイクロレンズ152を第2の屈折力を持つ形状に制御する。また、制御部180は、プリズム要素142に、レンズ系100の射出瞳120における2以上の瞳領域を通過した光をそれぞれ別個の受光素子162で受光させるプリズム角を持たせる。
具体的には、プリズム要素142aは、瞳領域822aを通過した被写体光130aを受光素子162aに受光させるプリズム角を持つ。プリズム要素142bは、瞳領域822bを通過した被写体光130bを受光素子162bに受光させるプリズム角を持つ。プリズム要素142cは、瞳領域822cを通過した被写体光130cを受光素子162cに受光させるプリズム角を持つ。瞳領域822bを通過し受光素子162aに入射する被写体光130a、瞳領域822bを通過し受光素子162bに入射する被写体光130b、および、瞳領域822cを通過し受光素子162cに入射する被写体光130cは、レンズ110aの互いに異なる光学面を通過する。このため、受光部160は、レンズ系100のうちの焦点距離の異なる領域を通過した光で同一被写体をそれぞれ撮像することができる。
ここで、レンズ系100の第1の焦点距離を持つ領域を通過した被写体光130が瞳領域822aを通過するとする。そして、レンズ系100の第2の焦点距離を持つ領域を通過した被写体光130は瞳領域822bを通過し、レンズ系100の第3の焦点距離を持つ領域を通過した被写体光130は瞳領域822cを通過するとする。
画像信号生成部170は、受光素子162aなど、瞳領域822aを通過した光を受光する一部の受光素子162の撮像信号から、第1の焦点距離に対応する画像の画像信号を生成する。また、画像信号生成部170は、受光素子162bなど、瞳領域822bを通過した光を受光する一部の受光素子162の撮像信号から、第2の焦点距離に対応する画像の画像信号を生成する。また、画像信号生成部170は、受光素子162cなど、瞳領域822bを通過した光を受光する一部の受光素子162の撮像信号から、第3の焦点距離に対応する画像の画像信号を生成する。
画像信号生成部170は、生成した異なる焦点距離の画像を組み合わせて1つの画像を生成する。画像記録部190は、画像信号生成部170が生成した画像を記録する。撮像装置80によると、瞳領域822a〜cのいずれかに対応するレンズ要素の被写界深度内に位置する被写体については、その鮮明な像を提供することができる。このため、撮像装置80は実効的に深い被写界深度を持つことができる。
本例の深度拡大撮像モードでは、三つの瞳領域のうちの特定の瞳領域を受光素子162に選択的に受光させるとした。射出瞳120の分割数は三に限らず、二以上であればいくつであってもよい。このように、制御部180は、異なる焦点距離で被写体を撮像する場合に、複数のマイクロレンズ152の形状を第2の屈折力を持つ形状に制御するとともに、偏向部140のプリズム界面をレンズ系100の光軸に対して傾斜させた状態に制御する。そして、画像信号生成部170は、複数の第1受光素子の撮像信号および複数の第2受光素子の撮像信号から、第1の焦点距離の画像および第2の焦点距離の画像の画像信号を生成する。
なお、撮像装置80は、深度拡大撮像モードの他、図1から7にかけて述べた高解像力撮像モードに対応する撮像モードを有する。当該撮像モードにおけるプリズム要素142のプリズム角を、本図の破線で例示した。当該撮像モードでは、図1から7にかけて述べた高解像力撮像モードと同様に光学装置115を制御すればよいので、ここでは説明を省略する。
図9は、撮像装置80における偏向部140の構成の一例を模式的に示す。本例は、図1に関連して説明した二つの撮像モードを実現するための構成の一例である。図4等で説明したように、本例において、偏向部140が有する複数のプリズム要素142は、第1液体と第2液体との界面で形成される液体プリズム要素である。図4で説明した構成要素と同等の構成を有する構成物には図4と同じ符号を付し、相違点を除いて説明を省略する。
図4に例示した偏向部140では、右視点画像および左視点画像を撮像できる第1状態と、中心視点画像を撮像できる第2状態とにプリズム界面を切り替えて撮像することができる。すなわち、図4に例示した偏向部140の構成によると、第1状態で2視点の画像を同時に撮像することができる。本例の偏向部140は、第1状態で3視点の画像を同時に撮像できる構成を持つ点が図4に例示した偏向部140とは異なる。特に、仕切板242の第2液体側の面形状が、図4に例示した仕切板242とは異なる。ここでは、図4に例示した仕切板242との差異を中心に説明する。
仕切部940−1および仕切部940−2は、図4に例示した仕切板242の仕切部240−1および仕切部240−2に対応する。すなわち、仕切部940−1の側面部942aは、第1の厚さを有し、仕切部940−2の側面部944aは第2の厚さを有する。本図の貫通孔250aは、図4に例示した貫通孔250aと同じ形状の貫通孔とする。
本例の仕切板242では、貫通孔250bは、第2の厚さを有する側面部942bと、第3の厚さを有する側面部944bとにより形成される。第3の厚さは、第1の厚さより大きく第2の厚さより小さいとする。側面部942bおよび側面部944bは、それぞれ仕切部940−2および仕切部940−3によって提供される。
本例の仕切板242では、貫通孔250cは、第3の厚さを有する側面部942cと、第4の厚さを有する側面部944cとにより形成される。第4の厚さは、第1の厚さより小さいとする。側面部942cおよび側面部944cは、それぞれ仕切部940−3および仕切部940−4によって提供される。ここで、第2の厚さと第3の厚さとの差は、第3の厚さと第4の厚さとの差とは異なるとする。これにより、仕切部240bと仕切部240cとで形成されるプリズム角を異ならせることができる。
貫通孔250dは、貫通孔250aと同様の形状を持つ。貫通孔250dは、第1の厚さを有する側面部942dと、第2の厚さを有する側面部944dとにより形成される。側面部942dおよび側面部944dは、それぞれ仕切部940−4および仕切部940−5によって提供される。仕切部940−4は、一方の側に第2の厚さの側面部942cを持ち、他方の側に第1の厚さの側面部944dを持つ。
第1状態では、プリズム要素981のような実線で図示される界面が形成される。貫通孔250a、貫通孔250b、貫通孔250cに形成されるプリズム要素は、それぞれ互いに異なるプリズム角を持つ。具体的には、貫通孔250aに形成されるプリズム要素142は、瞳領域822aを通過した光を受光素子162aに受光させるプリズム角を持つ。貫通孔250bに形成されるプリズム要素142は、瞳領域822bを通過した光を受光素子162bに受光させるプリズム角を持つ。また、貫通孔250cに形成されるプリズム要素142は、瞳領域822aを通過した光を受光素子162cに受光させるプリズム角を持つ。したがって、対応する受光素子162a〜cが受光する光を、射出瞳120の互いに異なる瞳領域を通過するものに制限することができる。
第2状態では、プリズム要素982のような、光軸に垂直な破線で図示される界面が形成される。したがって、撮像装置80は、当該界面で形成されるプリズム要素142によって高解像力撮像モードで撮像することができる。
図10は、受光部160と物体との結像関係を模式的に示す。P1、P2およびP3は、それぞれ近距離被写体、中距離被写体および遠距離被写体の位置とする。P3からの光は、レンズ110aの長焦点距離を提供する第3光学面および瞳領域822aを通過して、受光部160の位置である像面1000に結像する。P2からの光は、レンズ110aの中焦点距離を提供する第2光学面および瞳領域822bを通過して、像面1000に結像する。P1からの光は、レンズ110aの短焦点距離を提供する第1光学面および瞳領域822cを通過して、像面1000に結像する。
このため、撮像装置80は、瞳領域822aを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度内、瞳領域822bを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度内、および、瞳領域822cを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度内の少なくともいずれかの中に位置する被写体につき、合焦した像を生成することができる。瞳領域822bを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度の前端が、瞳領域822cを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度の後端より撮像装置80側に存在し、瞳領域822aを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度の前端が、瞳領域822bを通過する光束に対するレンズ系100の被写界深度の後端より撮像装置80側に存在する場合、撮像装置80は、P1に対する被写界深度の前端からP3に対する被写界深度の後端までに存在する被写体につき、合焦した像を生成することができる。このため、レンズ系100および光学装置115によれば、実効的な被写界深度を拡大することができる。
図11は、被写界深度が拡大された合成画像1150を生成する処理の一例を模式的に示す。短焦点画像1110、中焦点画像1120、長焦点画像1130は、画像信号生成部170が生成した異なる焦点距離の画像一例であり、それぞれ短焦点距離の第1光学面、中焦点距離の第2光学面および長焦点距離の第3光学面を通過した光による画像とする。
短焦点画像1110には、撮像装置80から近距離の位置P1に存在する近距離被写体の像である近距離被写体像1112、撮像装置80から中距離の位置P2に存在する中距離被写体の像である中距離被写体像1114、および、撮像装置80から遠距離の位置P3に存在する遠距離被写体の像である遠距離被写体像1116が含まれる。短焦点距離の第1光学面は、近距離の位置P1からの被写体光を受光部160に結像することができる。このため、近距離被写体像1112、中距離被写体像1114および遠距離被写体像1116のうち、近距離被写体像1112が最も鮮明な像となる。
中焦点画像1120には、近距離被写体の像である近距離被写体像1122、中距離被写体の像である中距離被写体像1124、および、遠距離被写体の像である遠距離被写体像1126が含まれる。中焦点距離の第2光学面は、中距離の位置P2からの被写体光を受光部160に結像することができる。このため、近距離被写体像1122、中距離被写体像1124および遠距離被写体像1126のうち、中距離被写体像1124が最も鮮明な像となる。
長焦点画像1130には、近距離被写体の像である近距離被写体像1132、中距離被写体の像である中距離被写体像1134、および、遠距離被写体の像である遠距離被写体像1136が含まれる。遠焦点距離の第3光学面は、遠距離の位置P3からの被写体光を受光部160に結像することができる。このため、近距離被写体像1132、中距離被写体像1134および遠距離被写体像1136のうち、遠距離被写体像1136が最も鮮明な像となる。なお、本図では、被写体像の鮮明さを線の細さで表した。
画像信号生成部170は、近距離被写体像1112、中距離被写体像1124および遠距離被写体像1136を用いて合成画像1150を生成する。これにより、それぞれ鮮明な近距離被写体像1152、中距離被写体像1154および遠距離被写体像1156を含む合成画像1150を生成することができる。なお、短焦点画像1110、中焦点画像1120および長焦点画像1130のうち、最も長い焦点距離の第3光学面による長焦点画像1130が、最も倍率が高い画像となる。画像信号生成部170は、各光学面の焦点距離に応じて各被写体像を倍率補正して合成する。画像信号生成部170は、近距離被写体像1112および中距離被写体像1124を、長焦点画像1130の倍率に合わせて倍率補正して長焦点画像1130に合成してよい。
なお、図6に関連して説明したように異なる瞳面を通過した光による像は、その合焦状態および被写体距離に応じてシフトした位置に形成される。説明を分かり易くするため、短焦点画像1110、中焦点画像1120および長焦点画像1130では、当該シフトを強調せずに各被写体像を示した。画像信号生成部170は、それぞれ最も合焦した近距離被写体像1112の位置、中距離被写体像1124の位置、遠距離被写体像1136の位置にそれぞれ対応する被写体像が位置する合成画像1150を生成してよい。これにより、画像信号生成部170は、視点ズレおよび合焦ズレの影響を低減した合成画像1150を生成することができる。
図12は、偏向部140の構成の他の一例を模式的に示す。図9に例示した偏向部140は、第1状態で射出瞳120の異なる3つの瞳領域を通過する光束でそれぞれ撮像することができ、第2状態では射出瞳120の1つの瞳領域を通過する光束で撮像することができる。本例の偏向部140は、液体界面の状態として三の状態を有し、それぞれの状態で異なる3つの瞳領域を通過する光束でそれぞれ撮像することができる構成を有する。特に、第1液体側および第2液体側における仕切板242の面形状および貫通孔250を形成する側壁部の構成が、図9に例示した仕切板242とは異なる。ここでは、その差異を中心に説明する。
本例の貫通孔250aは、仕切部640−1が有する第1の厚さの側面部642aと、仕切部640−2が有する第4の厚さの側面部644aとによって形成される。第4の厚さは、第2の厚さよりも厚い。また、本例の貫通孔250aにおいて、両側面部の第2液体側の端点を結ぶ界面は、図9に例示した貫通孔250aの第2液体側で形成される界面と同じプリズム角を持つ。したがって、当該界面で形成されるプリズム要素は、受光素子162aが受光する光を瞳領域822aを通過したものに制限する。そして、本図の破線で示されるように、本例の貫通孔250aにおいて両側面部の第1液体側の端点を結ぶ界面は、光軸に垂直面から傾斜したプリズム角を持つ。当該プリズム角を持つプリズム要素142aは、受光素子162aが受光する光を、射出瞳120において光軸中心と瞳領域822cと間の瞳領域を通過したものに制限する。
本例の貫通孔250bは、仕切部640−2が有する第4の厚さの側面部642bと、仕切部640−3が有する第4の厚さの側面部644bとによって形成される。仕切部640−2と仕切部640−3とは、光軸方向に同位置に位置する。このため、第2液体側の端点および第1液体側の端点の双方で、光軸に垂直な界面が形成される。したがって、貫通孔250bに形成される界面は、受光部160bが受光する光を、射出瞳120の光軸近傍領域を通過したものに制限する。
本例の貫通孔250cは、仕切部640−3が有する第4の厚さの側面部642cと、仕切部640−4が有する第1の厚さの側面部644bとによって形成される。本例の貫通孔250cにおいて、両側面部の第2液体側の端点を結ぶ界面は、図9に例示した貫通孔250cの第2液体側で形成される界面と同じプリズム角を持つとする。したがって、当該界面で形成されるプリズム要素は、受光素子162cが受光する光を瞳領域822cを通過したものに制限する。そして、本図の破線で示されるように、本例の貫通孔250cにおいて両側面部の第1液体側の端点を結ぶ界面は、光軸に垂直面から傾斜したプリズム角を持つ。当該プリズム角を持つプリズム要素142cは、受光素子162cが受光する光を、射出瞳120において光軸中心と瞳領域822aと間の瞳領域を通過したものに制限する。
貫通孔250dは、仕切部640−3が有する第1の厚さの側面部642dと、仕切部640−5が有する第4の厚さの側面部644dとによって形成される。仕切部640−5は、仕切部640−2と同様の部材とする。このため、貫通孔250dに形成されるプリズム要素は、貫通孔250aに形成されるプリズム要素と同様となる。
また、本例の仕切板242によれば、プリズム要素680−2のように本図の一点鎖線で示したプリズム要素が形成される。一点鎖線で示したプリズム要素は、プリズム要素680−1のような実線で示したプリズム角よりも傾斜が小さく、プリズム要素680−3のような破線で示したプリズム角よりも傾斜が大きいプリズム角を持つ。本図の一点鎖線で示したプリズム要素を安定して保持する構成については、図13に関連して説明する。
本例の偏向部140によれば、本図の実線、一点鎖線および破線で示したように、液体界面は三の状態に制御することができる。このため、異なる組み合わせのプリズム角で撮像することができる。三の界面状態で得られる被写界深度の深さについては、図14に関連して説明する。
図13は、仕切板242の変形例を示す。図12に例示した仕切板242の、特に図12のB部を取り上げて、仕切板242の変形例を説明する。
側面部642aには、貫通孔250aの内側に向かう突起部700および突起部701が形成される。側面部644aには、貫通孔250aの内側に向かう突起部702、突起部703および突起部704が形成される。いずれの突起部も、液体界面がトラップされる程度の厚みを有する。突起部703は、光軸方向において、突起部700よりも液体領域220側に位置する。
第1状態では、液体領域220側の端部の突起部700の先端と、液体領域220側の端部の突起部702の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−1となる。第2状態では、液体領域210側の端部の突起部701の先端と、液体領域210側の端部の突起部704の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−3となる。第3状態では、液体領域220側の端部の突起部700の先端と、側面部644aの突起部703の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−2となる。
本例によると、側面部642aおよび側面部644aが突起部を有しているので、液体界面が当該突起部の先端にトラップされやすくなる。そのため、プリズム角の制御を安定して行うことができる。
本例では、図12のB部を取り上げて、貫通孔250aに形成される突起部を説明した。仕切板242が有する全ての貫通孔250に意図した位置に界面をトラップさせるべく突起部を形成してよく、図1から図11にかけて説明した仕切板242のいずれの例の貫通孔250にも、意図した位置に界面をトラップさせるべく突起部を形成してよいことはいうまでもない。
図14は、プリズム要素142の三の状態でそれぞれ結像され得る物体位置の一例を模式的に示す。貫通孔250a、貫通孔250bおよび貫通孔250cに形成された界面によって、受光素子162が受光できる光束に対する焦点距離が定まり、したがって受光部160に結像し得る物体位置が定まる。そこで、本図では、結像し得る物体位置を、貫通孔250の符号の添え字を用いて示す。
撮像装置80は、図12および図13に関連して述べたプリズム要素142の三の状態を、被写界深度の異なる撮像モードとして使用する。具体的には、大深度モード、中深度モードおよび狭深度モードとして使用する。図12に関連して述べたように、貫通孔250bに形成される界面によれば、いずれの状態においても、光軸を中心とする瞳領域を通過した光束によって被写体像が形成される。したがって、貫通孔250bに形成される界面では、結像し得る物体位置はいずれのモードにおいても一定である。
大深度モードは、図12の実線で示した界面が形成された状態に対応する。貫通孔250aおよび貫通孔250cに形成される界面は、比較的に傾斜が大きいプリズム角を持つ。したがって、貫通孔250aに形成されたプリズム要素によれば、比較的に遠い物体位置aからの被写体光が、受光部160に結像される。また、貫通孔250cに形成されたプリズム要素によれば、比較的に近い物体位置cからの被写体光が、受光部160に結像される。
中深度モードは、図12の一点鎖線で示した界面が形成された状態に対応する。貫通孔250aおよび貫通孔250cに形成される界面は、大深度モードよりも傾斜が小さいプリズムを形成する。したがって、物体位置aは、大深度モードでの物体位置aよりも撮像装置80に近い位置となる。また、物体位置cは、大深度モードでの物体位置cよりも遠い位置となる。
狭深度モードは、図12の点線で示した界面が形成された状態に対応する。貫通孔250aおよび貫通孔250cに形成される界面は、傾斜の向きが反転しつつも中深度モードよりもさらに傾斜が小さいプリズムを形成する。したがって、物体位置cは、中深度モードでの物体位置aよりも撮像装置80に近い位置となる。また、物体位置aは、大深度モードでの物体位置cよりも遠い位置となる。
このため、比較的に広い距離範囲にわたって被写体が存在している場合、撮像装置80は、大深度モードで撮像して、図11に例示した合成処理をすることによって、鮮明な被写体像を得ることができる。一方、狭い距離範囲に被写体が集中して存在している場合、撮像装置80は、狭深度モードで撮像し図11に例示した合成処理をすることによって、鮮明な被写体像を得ることができる。また、ある程度の距離範囲にわたって被写体が存在している場合、撮像装置80は、中深度モードで撮像し図11に例示した合成処理をすることによって、鮮明な被写体像を得ることができる。このように、撮像装置80は、解像する必要がある被写体までの距離に基づいて、いずれかの撮像モードを選択することができる。撮像装置80は、撮像装置80のユーザからの指示に基づいていずれかの撮像モードを選択してよく、被写体の測距情報に基づきいずれかの撮像モードを選択してもよい。
また、撮像装置80は、大深度モード、中深度モードおよび狭深度モードのうちの複数のモードを切り替えて複数回撮像してよい、撮像装置80は、図11に例示したように、モードを切り替えて撮像して得られた複数の画像の中から最も合焦した被写体像を選択して合成してよい。これにより、細やかな距離分解で合焦した被写体像を提供することができる。
図15は、レンズ系の他の一例を模式的に示す図である。本例は、図8から14に関連して説明したレンズ系100の他の一例である。レンズ系100が有するレンズ110aは、一例として累進屈折力レンズとした。本例のレンズ系1300が有するレンズ1310aは、光軸からの距離に応じて焦点距離が異なるが、光軸から等距離の光学面は等しい焦点距離を与えるとする。レンズ系1300は、屈折力がいわば同心円状に分布しているといえる。本例のレンズ系1300は、光軸中心で短焦点距離であり、光軸からはなれるほど長焦点距離を持つとする。
本例のレンズ系1300では、受光素子162が受光する被写体光は、レンズ系1300の射出瞳1320のうち、光軸から異なる距離に位置する部分瞳領域1322a〜cのいずれかの瞳領域を通過したものに制限される。具体的には、偏向部140が有するプリズム要素142a〜cのプリズム角は、それぞれ部分瞳領域1322a〜cからの光を対応する受光素子162にそれぞれ受光させる角度に制御される。プリズム要素142のプリズム角を制御するための偏向部140の構成および具体的な制御内容については、図8から図14に関連して説明した構成および制御内容と同様であるので、説明を省略する。
本例のレンズ系1300によっても、図1から図14に関連して説明したように実効的に被写界深度を拡大することができる。また、図1から図15において、焦点距離が連続的に変化するレンズ系を取り上げて説明したが、焦点距離が不連続に変化するレンズ系を、撮像装置80のレンズ系として採用することもできる。また、マイクロレンズ部150が有するマイクロレンズ152は、焦点距離の差が無視できる程度に瞳の広さを制限できればよい。したがって、制御部180は、焦点距離の差が無視できる程度に瞳の広さを制限するべく、マイクロレンズ152の屈折力を制御してよい。制御部180は、焦点距離毎に瞳の広さを異なる広さに制限すべく、マイクロレンズ152の屈折力を対応するプリズム要素142が有するプリズム角に応じて制御してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。