JPWO2012008588A1 - アルミニウム合金導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
アルミニウムの比重は銅の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、純アルミニウムの導体線材に純銅の導体線材と同じ電流を流すためには、純アルミニウムの導体線材の断面積を純銅の導体線材の約1.5倍にする必要があるが、それでも質量では銅に比べて約半分となるので、有利な点がある。
なお、上記の%IACSとは、万国標準軟銅(International Annealed Copper Standard)の抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%IACSとした場合の導電率を表したものである。
一般に強度の高い材料ほど疲労特性は良好と言われている。そこで、強度の高いアルミニウム線材を適用すればよいが、ワイヤーハーネスはその設置時の取り回し(車体への取り付け作業)がしやすいことが要求されているために、一般的には伸びが10%以上確保できる鈍し材(焼鈍材)が使われていることが多い。
(1)線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とするアルミニウム合金導体。
(2)更に、線材の半径をRとすると、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が25%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(112)面を有する結晶粒の面積率が25%以上の再結晶集合組織を持つことを特徴とする(1)に記載のアルミニウム合金導体。
(3)加工度1以上6以下に伸線加工後、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理で、線材温度y(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
の関係を満たす連続通電熱処理を施すことにより製造した(1)又は(2)に記載のアルミニウム合金導体。
(4)加工度1以上6以下に伸線加工後、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理で、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより製造した(1)又は(2)に記載のアルミニウム合金導体。
(5)Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(6)Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(7)Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(8)Feを0.01〜0.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.2mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(9)移動体内のバッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用導線として用いられることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(10)前記移動体が自動車、電車、または航空機であることを特徴とする(9)に記載のアルミニウム合金導体。
本発明では伸線方向から見た結晶面を用いて再結晶集合組織を規定する。再結晶集合組織とは再結晶過程で得られる、ある一定の結晶方位が多く集合した多結晶粒で構成される組織のことである。本発明のアルミニウム合金導体の再結晶集合組織は、線材内の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上である。さらに好ましくは、線材の半径をRとすると、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が25%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(112)面を有する結晶粒の面積率が25%以上である。このような再結晶集合組織とすることにより、伸線方向に対して線材を図2のように屈曲させた際に、(111)面及び(112)面を有する結晶粒が耐屈曲疲労特性を向上させることができる。特に表層部の組織制御を行えば疲労き裂の発生を抑制でき、さらに耐屈曲疲労特性を向上させることができるため、表層部の組織制御を行なうことが好ましい。
なお、本発明における各結晶方位の面積率はEBSD法によって測定した値とする。EBSD法とは、Electron Back Scatter Diffractionの略で、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折を利用した結晶方位解析技術のことである。各方位の面積率は、(111)面、(112)面などの理想結晶面から±10°以内の範囲で傾いている結晶粒の面積の全測定面積に対する割合である。EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数十nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として扱う。
本発明ではアルミニウム線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径を1〜30μmとする。結晶粒径が小さすぎると、部分再結晶組織が残存して目的の再結晶集合組織が得られないばかりか、伸びが著しく低下する。結晶粒径の大きすぎる粗大な組織を形成すると変形挙動が不均一となり、結晶粒径が小さすぎるときと同様に伸びが低下するうえ、強度が著しく低下する。結晶粒径は、より好ましくは1〜20μmである。
なお、本発明における「結晶粒径」は光学顕微鏡により観察して交差法により粒径測定を行った平均粒径であり、50〜100個の結晶粒の平均値とする。
本発明のアルミニウム合金導体は、[1]溶解、[2]鋳造、[3]熱間または冷間加工(溝ロール加工など)、[4]伸線加工、[5]熱処理(中間焼鈍)、[6]伸線加工、[7]熱処理(仕上げ焼鈍)の各工程を経て製造することができる。
連続通電熱処理においては線材温度をy(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
を満たすように行う。
なお、線材温度y(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。y(℃)は通常414〜616(℃)の範囲内である。
連続走間熱処理においては焼鈍炉温度をz(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
を満たすように行う。
なお、焼鈍炉温度z(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。z(℃)は通常300〜596(℃)の範囲内である。
また、仕上げ焼鈍は上記2つの方法の他に、磁場中を線材が連続的に通過して焼鈍させる誘導加熱でもよい。
本発明の好ましい第1の実施態様の成分構成は、Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなる。
その他の合金組成とその作用については上述の第1の実施態様と同様である。
各々の実施例、比較例、従来例の線材を、以下のように作製した。ただし、比較例1−No.12、比較例3−No.8、比較例3−No.9の線材は、後述の通り、別法にて作製した。
Fe、Mg、Si、Cu、Ti、V及びAlが表1〜4に示す量(質量%)になるようにプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を水冷した鋳型で連続的に鋳造しながら圧延を行ない、約10mmφの棒材とした。このときの鋳造冷却速度は1〜20℃/秒である。
次いで、表面の皮むきを実施して、約9.5mmφとし、これを所定の加工度が得られるように伸線加工した。次に表1〜4に示すように、この冷間伸線した加工材に温度300〜450℃で0.5〜4時間の中間焼鈍を施し、さらに、所定の線径まで伸線加工を行った。ここで、伸線速度は400〜2100m/分とした。
9.5mmφ→0.55mmφ→中間焼鈍→0.37mmφ(η=0.8)
9.5mmφ→0.54mmφ→中間焼鈍→0.31mmφ(η=1.1)
9.5mmφ→0.9mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=2.1)
9.5mmφ→1.5mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=3.2)
9.5mmφ→2.6mmφ →中間焼鈍→0.43mmφ(η=3.6)
9.5mmφ→2.6mmφ →中間焼鈍→0.37mmφ(η=3.9)
9.5mmφ→2.6mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=4.3)
9.5mmφ→5.7mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=5.8)
加工度6以上に伸線したものについては、6.2または6.3の加工度となる線径(それぞれ、0.43mmφまたは0.40mmφ)で断線した。
後記の表1に示すように、Fe、Cu、Mg、及びAlを、所定量比(質量%)で用いて常法により溶解し、25.4mm角の鋳型に鋳込んで鋳塊を得た。次に400℃に1時間鋳塊を保持し、溝ロールで熱間圧延を行い線径9.5mmの荒引線に加工した。
次いで、この荒引き線を線径0.9mmまで伸線加工した後、350℃で2時間保持の熱処理を加え焼き入れ後、更に伸線加工を続けて線径0.32mmのアルミニウム合金素線を作製した。
最後に、作製した線径0.32mmのアルミニウム合金素線を350℃で2時間保持の熱処理を加え徐冷した。
後記の表3に示すように、Fe、Mg、Si及びAlを、所定量比(質量%)で用いて常法により溶解し、連続鋳造圧延法により線径9.5mmの荒引き線に加工した。
次いで、この荒引き線を線径2.6mmまで伸線加工した後、熱処理上がりの引張強度が150MPa以下となるような350℃で2時間保持の熱処理を加え、更に伸線加工を続けて線径0.32mmのアルミ合金素線を作製した。
後記の表3に示すように、Fe、Mg、Si及びAlを、所定量比(質量%)で用いて溶製した合金溶湯を連続鋳造機により鋳造して、キャストバーを作製した。次いで、熱間圧延機によりφ9.5mmのワイヤロッドを作製し、得られたワイヤロッドに冷間伸線加工を施して、φ0.26mmの電線素線を作製した。次いで、電線素線7本を撚り合わせて撚線とした。その後、溶体化処理、冷却、時効熱処理を行ない、電線導体を得た。このときの溶体化処理温度は550℃、時効熱処理の焼き戻し温度は170℃、焼き戻し時間は12時間である。なお、表3に示す各特性は、撚線をばらして1本の素線とし、評価を行なった。
伸線方向に垂直に切り出した供試材の横断面を樹脂で埋め、機械研磨後、電解研磨を行った。電解研磨条件は、研磨液が過塩素酸20%のエタノール溶液、液温は0〜5℃、電圧は10V、電流は10mA、時間は30〜60秒である。次いで、結晶粒コントラストを得るため、2%ホウフッ化水素酸を用いて、電圧20V、電流20mA、時間2〜3分の条件でアノーダイジング仕上げを行なった。この組織を200〜400倍の光学顕微鏡で撮影し、交差法による粒径測定を行った。具体的には、撮影された写真に任意に直線を引いて、その直線の長さと粒界が交わる数を測定して平均粒径を求めた。なお、粒径は50〜100個が数えられるように直線の長さと本数を変えて評価した。
本発明における結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。線材の伸線方向に垂直な断面において、主に直径310μm分の試料の面積に対して、方位解析を行った。測定面積及びスキャンステップは試料毎に調整を行い、測定面積は図1を基に範囲を定め、スキャンステップは試料の平均結晶粒の大きさの約1/5〜1/10に設定した。各方位の面積率は、伸線方向に(111)面、(112)面などの理想結晶面から±10°以内の範囲で傾いている結晶粒の面積の全測定面積に対する割合である。
なお、表中に「全体」として示した値は、試料面積全体での測定値であり、「表層」として示した値は、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲(図1参照)での測定値である。
(c)引張強度(TS)及び柔軟性(引張破断伸び、El)
JIS Z 2241に準じて各3本ずつ試験し、その平均値を求めた。引張強度は80MPa以上を合格とした。柔軟性は引張破断伸びが10%以上を合格とした。
(d)導電率(EC)
長さ300mmの試験片を20℃(±0.5℃)に保持した恒温漕中で、四端子法を用いて比抵抗を各3本ずつ測定し、その平均導電率を算出した。端子間距離は200mmとした。導電率は実施例1、3では、55%IACS以上を合格とした。実施例2では、60%IACS以上を合格とした。実施例4では45%IACS以上を合格とした。
(e)繰返破断回数
耐屈曲疲労特性の基準として、常温におけるひずみ振幅は±0.17%とした。耐屈曲疲労特性はひずみ振幅によって変化する。ひずみ振幅が大きい場合疲労寿命は短くなり、ひずみ振幅が小さい場合疲労寿命は長くなる。ひずみ振幅は図2記載の線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径により決定することができるため、線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径は任意に設定して屈曲疲労試験を実施することが可能である。
藤井精機株式会社(現株式会社フジイ)製の両振屈曲疲労試験機を用い、0.17%の曲げ歪みが与えられる治具を使用して、繰り返し曲げを実施することにより、繰返破断回数を測定した。繰返破断回数は各4本ずつ測定し、その平均値を求めた。図2の説明図に示すように、線材1を、曲げ治具2及び3の間を1mm空けて挿入し、冶具2及び3に沿わせるような形で繰り返し運動をさせた。線材の一端は繰り返し曲げが実施できるよう押さえ冶具5に固定し、もう一端には約10gの重り4をぶら下げた。試験中は押さえ冶具5が動くため、それに固定されている線材1も動き、繰り返し曲げが実施できる。繰り返しは1分間に100回の条件で行い、線材の試験片1が破断すると、重り4が落下し、カウントを停止する仕組みになっている。
繰返破断回数は、実施例1では80000回以上を合格とした。実施例2では55000回以上を合格とした。実施例3では65000回以上を合格とした。実施例4では80000回以上を合格とした。また、それぞれの実施例において繰返破断回数が従来例と比較として1.3倍以上向上した場合を合格とした。
2、3 曲げ治具
4 重り
5 押さえ冶具
(1)Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなり、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とするアルミニウム合金導体。
(2)Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなり、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とするアルミニウム合金導体。
(3)Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなり、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とするアルミニウム合金導体。
(4)Feを0.01〜0.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.2mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなり、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とするアルミニウム合金導体。
(5)更に、線材の半径をRとすると、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が25%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(112)面を有する結晶粒の面積率が25%以上の再結晶集合組織を持つことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(6)加工度1以上6以下に伸線加工後、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理で、線材温度y(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
の関係を満たす連続通電熱処理を施すことにより製造した(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(7)加工度1以上6以下に伸線加工後、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理で、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより製造した(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(8)移動体内のバッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用導線として用いられることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(9)前記移動体が自動車、電車、または航空機であることを特徴とする(8)に記載のアルミニウム合金導体。
本発明の第1の実施態様の成分構成は、Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなる。
アルミニウムの比重は銅の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、純アルミニウムの導体線材に純銅の導体線材と同じ電流を流すためには、純アルミニウムの導体線材の断面積を純銅の導体線材の約1.5倍にする必要があるが、それでも質量では銅に比べて約半分となるので、有利な点がある。
なお、上記の%IACSとは、万国標準軟銅(International Annealed Copper Standard)の抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%IACSとした場合の導電率を表したものである。
一般に強度の高い材料ほど疲労特性は良好と言われている。そこで、強度の高いアルミニウム線材を適用すればよいが、ワイヤーハーネスはその設置時の取り回し(車体への取り付け作業)がしやすいことが要求されているために、一般的には伸びが10%以上確保できる鈍し材(焼鈍材)が使われていることが多い。
(1)Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金素材を、
[1]溶解、[2]鋳造冷却速度1〜20℃/秒で鋳造、[3]熱間または冷間加工、[4]加工度1以上6以下で伸線加工、[5]300〜450℃、10分以上で中間焼鈍、[6]加工度1以上6以下で伸線加工、[7]仕上げ焼鈍、を含む各工程に付すことによってアルミニウム合金導体を製造する方法であって、
前記[7]仕上げ焼鈍を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより行い、
得られるアルミニウム合金導体が、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmである
ことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法。
(2)Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金素材を、
[1]溶解、[2]鋳造冷却速度1〜20℃/秒で鋳造、[3]熱間または冷間加工、[4]加工度1以上6以下で伸線加工、[5]300〜450℃、10分以上で中間焼鈍、[6]加工度1以上6以下で伸線加工、[7]仕上げ焼鈍、を含む各工程に付すことによってアルミニウム合金導体を製造する方法であって、
前記[7]仕上げ焼鈍を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより行い、
得られるアルミニウム合金導体が、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmである
ことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法。
(3)Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金素材を、
[1]溶解、[2]鋳造冷却速度1〜20℃/秒で鋳造、[3]熱間または冷間加工、[4]加工度1以上6以下で伸線加工、[5]300〜450℃、10分以上で中間焼鈍、[6]加工度1以上6以下で伸線加工、[7]仕上げ焼鈍、を含む各工程に付すことによってアルミニウム合金導体を製造する方法であって、
前記[7]仕上げ焼鈍を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより行い、
得られるアルミニウム合金導体が、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmである
ことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法。
(4)Feを0.01〜0.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.2mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金素材を、
[1]溶解、[2]鋳造冷却速度1〜20℃/秒で鋳造、[3]熱間または冷間加工、[4]加工度1以上6以下で伸線加工、[5]300〜450℃、10分以上で中間焼鈍、[6]加工度1以上6以下で伸線加工、[7]仕上げ焼鈍、を含む各工程に付すことによってアルミニウム合金導体を製造する方法であって、
前記[7]仕上げ焼鈍を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより行い、
得られるアルミニウム合金導体が、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmである
ことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法。
(5)得られるアルミニウム合金導体が、更に、線材の半径をRとすると、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が25%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(112)面を有する結晶粒の面積率が25%以上の再結晶集合組織を持つ(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体の製造方法。
(6)伸線速度が500〜2000m/分である(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体の製造方法。
本発明では伸線方向から見た結晶面を用いて再結晶集合組織を規定する。再結晶集合組織とは再結晶過程で得られる、ある一定の結晶方位が多く集合した多結晶粒で構成される組織のことである。本発明の製造方法で得られるアルミニウム合金導体の再結晶集合組織は、線材内の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上である。さらに好ましくは、線材の半径をRとすると、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が25%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(112)面を有する結晶粒の面積率が25%以上である。このような再結晶集合組織とすることにより、伸線方向に対して線材を図2のように屈曲させた際に、(111)面及び(112)面を有する結晶粒が耐屈曲疲労特性を向上させることができる。特に表層部の組織制御を行えば疲労き裂の発生を抑制でき、さらに耐屈曲疲労特性を向上させることができるため、表層部の組織制御を行なうことが好ましい。
なお、本発明における各結晶方位の面積率はEBSD法によって測定した値とする。EBSD法とは、Electron Back Scatter Diffractionの略で、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折を利用した結晶方位解析技術のことである。各方位の面積率は、(111)面、(112)面などの理想結晶面から±10°以内の範囲で傾いている結晶粒の面積の全測定面積に対する割合である。EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数十nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として扱う。
本発明ではアルミニウム線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径を1〜30μmとする。結晶粒径が小さすぎると、部分再結晶組織が残存して目的の再結晶集合組織が得られないばかりか、伸びが著しく低下する。結晶粒径の大きすぎる粗大な組織を形成すると変形挙動が不均一となり、結晶粒径が小さすぎるときと同様に伸びが低下するうえ、強度が著しく低下する。結晶粒径は、より好ましくは1〜20μmである。
なお、本発明における「結晶粒径」は光学顕微鏡により観察して交差法により粒径測定を行った平均粒径であり、50〜100個の結晶粒の平均値とする。
本発明の製造方法で得られるアルミニウム合金導体は、[1]溶解、[2]鋳造、[3]熱間または冷間加工(溝ロール加工など)、[4]伸線加工、[5]熱処理(中間焼鈍)、[6]伸線加工、[7]熱処理(仕上げ焼鈍)の各工程を経て製造することができる。
連続通電熱処理においては線材温度をy(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
を満たすように行う。
なお、線材温度y(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。y(℃)は通常414〜616(℃)の範囲内である。
連続走間熱処理においては焼鈍炉温度をz(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
を満たすように行う。
なお、焼鈍炉温度z(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。z(℃)は通常300〜596(℃)の範囲内である。
また、仕上げ焼鈍は上記2つの方法の他に、磁場中を線材が連続的に通過して焼鈍させる誘導加熱でもよい。
本発明の第1の実施態様の成分構成は、Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなる。
その他の合金組成とその作用については上述の第1の実施態様と同様である。
各々の実施例、比較例、従来例、参考例の線材を、以下のように作製した。ただし、比較例1−No.12、比較例3−No.8、比較例3−No.9の線材は、後述の通り、別法にて作製した。
Fe、Mg、Si、Cu、Ti、V及びAlが表1〜4に示す量(質量%)になるようにプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を水冷した鋳型で連続的に鋳造しながら圧延を行ない、約10mmφの棒材とした。このときの鋳造冷却速度は1〜20℃/秒である。
次いで、表面の皮むきを実施して、約9.5mmφとし、これを所定の加工度が得られるように伸線加工した。次に表1〜4に示すように、この冷間伸線した加工材に温度300〜450℃で0.5〜4時間の中間焼鈍を施し、さらに、所定の線径まで伸線加工を行った。ここで、伸線速度は400〜2100m/分とした。
9.5mmφ→0.55mmφ→中間焼鈍→0.37mmφ(η=0.8)
9.5mmφ→0.54mmφ→中間焼鈍→0.31mmφ(η=1.1)
9.5mmφ→0.9mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=2.1)
9.5mmφ→1.5mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=3.2)
9.5mmφ→2.6mmφ →中間焼鈍→0.43mmφ(η=3.6)
9.5mmφ→2.6mmφ →中間焼鈍→0.37mmφ(η=3.9)
9.5mmφ→2.6mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=4.3)
9.5mmφ→5.7mmφ →中間焼鈍→0.31mmφ(η=5.8)
加工度6以上に伸線したものについては、6.2または6.3の加工度となる線径(それぞれ、0.43mmφまたは0.40mmφ)で断線した。
後記の表1に示すように、Fe、Cu、Mg、及びAlを、所定量比(質量%)で用いて常法により溶解し、25.4mm角の鋳型に鋳込んで鋳塊を得た。次に400℃に1時間鋳塊を保持し、溝ロールで熱間圧延を行い線径9.5mmの荒引線に加工した。
次いで、この荒引き線を線径0.9mmまで伸線加工した後、350℃で2時間保持の熱処理を加え焼き入れ後、更に伸線加工を続けて線径0.32mmのアルミニウム合金素線を作製した。
最後に、作製した線径0.32mmのアルミニウム合金素線を350℃で2時間保持の熱処理を加え徐冷した。
後記の表3に示すように、Fe、Mg、Si及びAlを、所定量比(質量%)で用いて常法により溶解し、連続鋳造圧延法により線径9.5mmの荒引き線に加工した。
次いで、この荒引き線を線径2.6mmまで伸線加工した後、熱処理上がりの引張強度が150MPa以下となるような350℃で2時間保持の熱処理を加え、更に伸線加工を続けて線径0.32mmのアルミ合金素線を作製した。
後記の表3に示すように、Fe、Mg、Si及びAlを、所定量比(質量%)で用いて溶製した合金溶湯を連続鋳造機により鋳造して、キャストバーを作製した。次いで、熱間圧延機によりφ9.5mmのワイヤロッドを作製し、得られたワイヤロッドに冷間伸線加工を施して、φ0.26mmの電線素線を作製した。次いで、電線素線7本を撚り合わせて撚線とした。その後、溶体化処理、冷却、時効熱処理を行ない、電線導体を得た。このときの溶体化処理温度は550℃、時効熱処理の焼き戻し温度は170℃、焼き戻し時間は12時間である。なお、表3に示す各特性は、撚線をばらして1本の素線とし、評価を行なった。
伸線方向に垂直に切り出した供試材の横断面を樹脂で埋め、機械研磨後、電解研磨を行った。電解研磨条件は、研磨液が過塩素酸20%のエタノール溶液、液温は0〜5℃、電圧は10V、電流は10mA、時間は30〜60秒である。次いで、結晶粒コントラストを得るため、2%ホウフッ化水素酸を用いて、電圧20V、電流20mA、時間2〜3分の条件でアノーダイジング仕上げを行なった。この組織を200〜400倍の光学顕微鏡で撮影し、交差法による粒径測定を行った。具体的には、撮影された写真に任意に直線を引いて、その直線の長さと粒界が交わる数を測定して平均粒径を求めた。なお、粒径は50〜100個が数えられるように直線の長さと本数を変えて評価した。
本発明における結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。線材の伸線方向に垂直な断面において、主に直径310μm分の試料の面積に対して、方位解析を行った。測定面積及びスキャンステップは試料毎に調整を行い、測定面積は図1を基に範囲を定め、スキャンステップは試料の平均結晶粒の大きさの約1/5〜1/10に設定した。各方位の面積率は、伸線方向に(111)面、(112)面などの理想結晶面から±10°以内の範囲で傾いている結晶粒の面積の全測定面積に対する割合である。
なお、表中に「全体」として示した値は、試料面積全体での測定値であり、「表層」として示した値は、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲(図1参照)での測定値である。
(c)引張強度(TS)及び柔軟性(引張破断伸び、El)
JIS Z 2241に準じて各3本ずつ試験し、その平均値を求めた。引張強度は80MPa以上を合格とした。柔軟性は引張破断伸びが10%以上を合格とした。
(d)導電率(EC)
長さ300mmの試験片を20℃(±0.5℃)に保持した恒温漕中で、四端子法を用いて比抵抗を各3本ずつ測定し、その平均導電率を算出した。端子間距離は200mmとした。導電率は実施例1、3では、55%IACS以上を合格とした。実施例2では、60%IACS以上を合格とした。実施例4では45%IACS以上を合格とした。
(e)繰返破断回数
耐屈曲疲労特性の基準として、常温におけるひずみ振幅は±0.17%とした。耐屈曲疲労特性はひずみ振幅によって変化する。ひずみ振幅が大きい場合疲労寿命は短くなり、ひずみ振幅が小さい場合疲労寿命は長くなる。ひずみ振幅は図2記載の線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径により決定することができるため、線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径は任意に設定して屈曲疲労試験を実施することが可能である。
藤井精機株式会社(現株式会社フジイ)製の両振屈曲疲労試験機を用い、0.17%の曲げ歪みが与えられる治具を使用して、繰り返し曲げを実施することにより、繰返破断回数を測定した。繰返破断回数は各4本ずつ測定し、その平均値を求めた。図2の説明図に示すように、線材1を、曲げ治具2及び3の間を1mm空けて挿入し、冶具2及び3に沿わせるような形で繰り返し運動をさせた。線材の一端は繰り返し曲げが実施できるよう押さえ冶具5に固定し、もう一端には約10gの重り4をぶら下げた。試験中は押さえ冶具5が動くため、それに固定されている線材1も動き、繰り返し曲げが実施できる。繰り返しは1分間に100回の条件で行い、線材の試験片1が破断すると、重り4が落下し、カウントを停止する仕組みになっている。
繰返破断回数は、実施例1では80000回以上を合格とした。実施例2では55000回以上を合格とした。実施例3では65000回以上を合格とした。実施例4では80000回以上を合格とした。また、それぞれの実施例において繰返破断回数が従来例と比較として1.3倍以上向上した場合を合格とした。
2、3 曲げ治具
4 重り
5 押さえ冶具
Claims (10)
- 線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が40%以上の再結晶集合組織を持ち、線材の伸線方向に垂直な断面における結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とするアルミニウム合金導体。
- 更に、線材の半径をRとすると、線材の伸線方向に垂直な断面における線材の中心から半径(9/10)Rの円に含まれる部分を線材全体より除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面を有する結晶粒の面積率が25%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(112)面を有する結晶粒の面積率が25%以上の再結晶集合組織を持つことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金導体。
- 加工度1以上6以下に伸線加工後、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理で、線材温度y(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
の関係を満たす連続通電熱処理を施すことにより製造した請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金導体。 - 加工度1以上6以下に伸線加工後、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理で、焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理を施すことにより製造した請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金導体。 - Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%と、Cuを0.1〜0.5mass%とを含有し、さらにTiとVを合わせて0.001〜0.01mass%含み、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.1〜0.3mass%と、Siを0.04〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- Feを0.01〜0.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.2mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- 移動体内のバッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用導線として用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- 前記移動体が自動車、電車、または航空機であることを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム合金導体。
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