JPWO2011148516A1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アクチュエータ(53A、54A、64A、85HA、85LA)から制御対象(24、25、26、29、40、41、53、54、64、65、70D、82H、82L、85H、85L)に操作量が与えられることによって制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、目標状態量を達成するために制御対象に与えられるべき目標操作量を決定する制御装置に関する。本発明では、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの制御対象に関する目標操作量が各グループに対応して用意された1つの制御ロジックによって決定され、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるようにグループが形成されていると共に、各グループの制御対象によって制御される状態量が別のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及ぼさない関係が成立するようにグループが形成されている。
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の性能に対する要求(例えば、燃焼室から排出される排気ガス中の成分に関する要求)が高まると、内燃機関に関する様々な状態量を能動的に制御する必要性が高まる。そして、内燃機関に関する様々な状態量を能動的に制御するためには、各状態量を制御するための手段(以下「制御対象」という)と、各制御対象を操作するための複数のアクチュエータとが必要となる。
ところで、内燃機関の制御装置は、一般的に、アクチュエータから制御対象に与えられる操作量を決定するための制御ロジックをコントローラとしてアクチュエータ毎に有している。このため、制御対象の数が多くなるとアクチュエータの数も多くなることから、アクチュエータから制御対象に与える操作量を決定するためのコントローラの数も多くなる。そして、この場合、内燃機関の制御装置による制御対象に与える操作量の決定も複雑になり、その結果、幾つかの不都合が生じる。
特許文献1に記載の車両の制御装置は、こうした不都合の1つを解決するものである。すなわち、各制御対象によって制御される状態量に対して複数の要求が生じる場合がある。この場合、各制御対象に与えられる操作量に関して複数の指令が発せられ、これら指令が互いに競合している場合、いずれの指令に従って各制御対象に与えるべき操作量を決定すべきか判断しなければならず(或いは、複数の要求を最適な形で満たすように、これら指令を調整しなければならず)、各制御対象に与えるべき操作量の決定が非常に複雑になるという不都合が生じる。
特許文献1に記載の車両の制御装置では、各アクチュエータの操作量に関する指令が競合しないように、操作量に関する指令として各アクチュエータに1つの指令のみが発せられるようになっている。詳細には、内燃機関に空気を供給するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関の燃焼室内の混合気に点火するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータとが1つのグループとされ、このグループのアクチュエータに与えるべき操作量に関する指令を発生するための指令発生部として1つの指令発生部だけが用意され、この1つの指令発生部からのみ操作量に関する指令が上記グループのアクチュエータに発せられるようになっている。
ところで、上述したように、上記グループには、内燃機関に空気を供給するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関の燃焼室内の混合気に点火するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータとが含まれている。ここで、内燃機関に空気を供給するための制御対象によって制御される状態量は、例えば、燃焼室内に吸入される空気の量(以下この量を「吸気量」という)であり、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象によって制御される状態量は、例えば、燃焼室内に供給される燃料の量(以下この量を「燃料噴射量」という)である。ここで、内燃機関に空気を供給するための制御対象に与えられる操作量が変更されて吸気量が変化したとしても、この吸気量の変化は燃料噴射量には直接的な物理的な影響を及さない。一方、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象に与えられる操作量が変更されて燃料噴射量が変化したとしても、この燃料噴射量の変化は吸気量には直接的な物理的な影響を及さない。すなわち、上記グループに対応して用意されている制御ロジックは、こうした直接的な物理的な影響を及し合わない状態量(すなわち、吸気量および燃料噴射量)を制御するための制御対象にアクチュエータから与えるべき操作量を決定することができるように設計されている。しかしながら、このように1つの制御ロジックが直接的な物理的な影響を及し合わない状態量を制御するための制御対象にアクチュエータから与えるべき操作量を決定するように設計されていることは、操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するという観点からは不利である。
また、特許文献1に記載されている思想に従えば、吸気量や燃料噴射量に直接的な物理的な影響を及さない状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加されたときに、この新たな制御対象に操作量を与えるアクチュエータが上記グループに割り当てられる場合があり得る。この場合、新たな制御対象によって制御される状態量が吸気量や燃料噴射量に直接的な物理的な影響を及さないにも係わらず、上記グループに対応して用意されている制御ロジックを再設計しなければならない。しかしながら、1つのグループの制御対象によって制御される状態量に直接的な物理的な影響を及さない状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加されたときに、この新たな制御対象に操作量を与えるアクチュエータが同グループに割り当てられ、その結果、同グループに対応して用意されている制御ロジックを再設計しなければならないことは、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷を可能な限り低くするという観点からは不利である。
そこで、本発明の目的は、アクチュエータから制御対象に与えるべき操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができると共に新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷が可能な限り低い内燃機関の制御装置を提供することにある。
本願の1番目の発明は、内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置に関する。
そして、本発明では、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの各制御対象に関する目標操作量が各グループに対応して用意された1つの制御ロジックによって決定される。そして、本発明では、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるように前記グループが形成されていると共に、各グループの制御対象によって制御される状態量が別のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及さない関係が成立するように前記グループが形成されている。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量(以下、特定のグループの制御対象によって制御される状態量を単に「グループに関連する状態量」ともいう)は互いに影響し合う。すなわち、1つのグループに関連する状態量は互いに干渉する。一方、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに干渉しない。したがって、各グループに対応する制御ロジックは、それに対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量の間の干渉を考慮しつつ目標操作量を決定すればよい。一方、各グループに対応する制御ロジックは、対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量と同対応するグループ以外のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮せずに目標操作量を決定すればよい。このため、各制御ロジックは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応する制御ロジックを再設計する必要がある。ここで、本発明では、1つのグループに関連する状態量は互いに影響し合う。すなわち、1つのグループに対応する状態量は互いに干渉する。一方、本発明では、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに干渉しない。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応する制御ロジックを再設計するときに、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉を考慮して特定グループに対応する制御ロジックを再設計すればよく、特定グループに関連する状態量(この状態量には、新たな制御対象によって制御される状態量が含まれる)と特定グループとは別のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮して特定グループに対応する制御ロジックを再設計する必要はない。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の2番目の発明では、上記1番目の発明において、前記グループのうち少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含む。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。ここで、1つのグループの制御対象が単一の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意される制御ロジックの構造は、1つのグループの制御対象が異なる複数の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意される制御ロジックの構造に比べて単純なものとなる。したがって、本発明によれば、単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいるグループに対応して用意される制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。このため、同制御ロジックは、さらに低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。ここで、内燃機関に新たな制御対象が追加され、この新たな制御対象が本発明の上記単一の制御と同じ制御によって状態量を制御する場合、この新たな制御対象は、上記単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含むグループに割り当てられる。そして、この場合、同グループに対応する制御ロジックを再設計する必要がある。ここで、上述したように、同制御ロジックの構造は、単純なものとなっている。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの同制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の3番目の発明では、上記2番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である。
本願の4番目の発明では、上記3番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である。
本願の5番目の発明では、上記1〜3番目の発明のいずれか1つにおいて、前記グループのうち1つのグループに内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうち別の1つのグループに内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料の噴霧の状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられている。
本願の6番目の発明は、内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置に関する。
そして、本発明では、複数の制御対象を含むグループが形成されており、該グループの各制御対象に関する目標操作量が該グループに対応して用意された1つの制御ロジックによって決定される。そして、本発明では、前記グループの少なくとも1つが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含む。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。したがって、上記2番目の発明に関連して説明した理由と同じ理由から、同グループに対応する制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。このため、同制御ロジックは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。したがって、本発明の上記単一の制御と同じ制御によって状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が上記単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含むグループに割り当てられた場合、上記2番目の発明に関連して説明した理由と同じ理由から、同グループに対応する制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の7番目の発明では、上記6番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である。
本願の8番目の発明は、上記7番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である。
本願の9番目の発明は、内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置に関する。
そして、本発明では、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの各制御対象に関する目標操作量が各グループに対応してそれぞれ用意された1つの制御ロジックによって決定される。また、本発明では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量の変化が別の1つのグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちに影響を及すが同別の1つのグループ以外のグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちには影響を及さない関係が成立するように前記グループが形成されている。また、本発明では、1つのグループに対応して用意された制御ロジックが同1つのグループの制御対象によって制御される状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象を含んでいる別のグループに対応して用意された制御ロジックから前記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得し、該取得した情報を考慮しつつ前記1つのグループの制御対象に関する目標操作量を決定する。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、1つのグループに関連する状態量の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、各制御ロジックがそれに対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、各制御ロジックは、それに対応するグループ内の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量が互いに干渉する(すなわち、互いに影響し合う)場合にはその干渉を考慮し、対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量に影響を及す別の1つのグループに関連する状態量のみを考慮し、目標操作量を決定すればよい。本発明では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各制御ロジックは、この別の1つのグループに対応する制御ロジックから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、各制御ロジックは、それに対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、上記取得した状態量に関する情報のみを考慮し、目標操作量を決定すればよいことになる。このため、各制御ロジックは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応する制御ロジックを再設計する必要がある。ここで、本発明では、1つのグループに関連する状態量の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応する制御ロジックを再設計するときに、特定グループ内の関係に関しては、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉がある場合にはその干渉を考慮し、特定グループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、特定グループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量のみを考慮し、特定グループに対応する制御ロジックを再設計すればよい。本発明では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各制御ロジックは、この別の1つのグループに対応する制御ロジックから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、特定グループに対応する制御ロジックを再設計するときに、特定グループとそれ以外のグループとの関係に関しては、上記取得する状態量に関する情報のみを考慮し、特定グループに対応する制御ロジックを再設計すればよい。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の10番目の発明では、上記9番目の発明において、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるように前記グループが形成されている。
本願の11番目の発明では、上記9または10番目の発明において、前記グループのうちの少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含む。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。したがって、上記2番目の発明に関連して説明した理由と同じ理由から、同グループに対応する制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。このため、同制御ロジックは、さらに低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。したがって、本発明の上記単一の制御と同じ制御によって状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が上記単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含むグループに割り当てられた場合、上記2番目の発明に関連して説明した理由と同じ理由から、同グループに対応する制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の12番目の発明では、上記11番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である。
本願の13番目の発明では、上記12番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である。
本願の14番目の発明では、上記9〜12番目の発明のいずれか1つにおいて、前記グループのうちの1つのグループに内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうち別の1つのグループに内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料の噴霧の状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つグループに内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられている。
以下、図面を参照して本発明の内燃機関の制御装置の実施形態について説明する。図1および図2に、本発明の実施形態の制御装置が適用された内燃機関が示されている。図1および図2に示されている内燃機関は、圧縮自着火式の内燃機関(すなわち、いわゆるディーゼルエンジン)である。しかしながら、本発明の制御装置は、火花点火式の内燃機関(すなわち、いわゆるガソリンエンジン)にも適用可能である。
図1および図2に示されているように、内燃機関10は、内燃機関の本体(以下「機関本体」という)20と、燃料噴射弁40と、燃料ポンプ41と、吸気系50と、排気系60とを有する。燃料噴射弁40は、機関本体20の4つの燃焼室21にそれぞれ対応して配置されている。燃料ポンプ41は、燃料噴射弁40に燃料供給管42を介して燃料を供給する。燃料供給管42には、該燃料供給管内の燃料の圧力を検出する圧力センサ(以下このセンサを「燃圧センサ」という)43が取り付けられている。燃料噴射弁40には、該燃料噴射弁を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「燃料噴射弁アクチュエータ」という)が内蔵されている。吸気系50は、外部から燃焼室21に空気を供給する系であり、吸気枝管(すなわち、インテークマニホルド)51と吸気管52とを有する。排気系60は、燃焼室21から排出される排気ガスを外部に排出する系であり、排気枝管(すなわち、エキゾーストマニホルド)61と排気管62とを有する。
また、燃料噴射弁40は、燃焼室21内に燃料を噴射することができる。そして、燃料噴射弁40は、燃焼室21内に噴射する燃料の量(以下この量を「燃料噴射量」という)を制御可能である。すなわち、燃料噴射弁40は、燃料噴射量を直接的に制御可能である。そして、燃料噴射量が変化することは、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧の状態が変化することに相当する。したがって、燃料噴射量は、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量であると言える。
また、燃料噴射弁40は、燃焼室内21に燃料を噴射するタイミングを制御可能である。そして、例えば、吸気行程中のタイミング(または、圧縮行程の前半のタイミング)において燃料噴射弁40から燃料が噴射されれば、燃料が比較的均質に分布している混合気(すなわち、いわゆる均質混合気)が燃焼室21内に形成されやすい。一方、吸気行程の後半のタイミングにおいて燃料噴射弁40から燃料が噴射されれば、燃料が一部の領域にのみ分布している混合気(すなわち、いわゆる成層混合気)が燃焼室21内に形成されやすい。すなわち、燃料噴射弁40から燃料が噴射されるタイミングが変わると、燃焼室21内に形成される混合気中の燃料の分布(以下この分布を単に「混合気中の燃料分布」という)も変わる。すなわち、燃料噴射弁40は、混合気中の燃料分布を直接的に制御可能である。そして、混合気中の燃料分布が変化することは、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧の状態が変化することに相当する。したがって、燃料噴射弁40によって制御される混合気中の燃料分布は、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量であると言える。
また、燃料ポンプ41は、燃料噴射弁40に供給される燃料の圧力(以下この圧力を「燃圧」という)を制御可能である。したがって、燃料ポンプ41は、燃圧を直接的に制御可能である。そして、例えば、燃圧が比較的高ければ、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料は当該燃料が燃焼するまでに燃焼室21内をより遠くまで移動するし、燃圧が比較的低ければ、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料は当該燃料が燃焼するときに燃料噴射弁40に比較的近い領域に留まっている。すなわち、燃圧が変化することは、燃料噴射弁40から噴射された燃料の噴霧の状態が変化することに相当する。したがって、燃圧は、燃料噴射弁40から噴射された燃料の噴霧に関する状態量であると言える。なお、燃料ポンプ41には、該燃料ポンプから燃料噴射弁40に供給される燃料の圧力を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「燃料ポンプアクチュエータ」という)が内蔵されている。
また、内燃機関10は、過給機70を具備する。過給機70は、吸気管52内に配置されるコンプレッサ70Aと、排気管62内に配置される排気タービン70Bとを有する。
排気タービン70Bは、図3に示されているように、排気タービン本体70Cと翼状の複数のベーン70Dとを有する。排気タービン本体70Cは、シャフト(図示せず)を介してコンプレッサ70Aに接続されている。排気タービン本体70Cが排気ガスによって回転せしめられると、その回転がシャフトを介してコンプレッサ70Aに伝達され、これによって、コンプレッサ70Aが回転せしめられる。
一方、ベーン70Dは、排気タービン本体70Cを包囲するように該排気タービン本体の回転中心軸線R1を中心として放射状に等角度間隔で配置されている。また、各ベーン70Dは、図2に符号R2で示されているそれぞれ対応する軸線周りで回動可能に配置されている。そして、各ベーン70Cが延在している方向、すなわち、図2に符号Eで示されている方向を「延在方向」と称し、排気タービン本体70Cの回転中心軸線R1とベーン70Dの回動軸線R2とを結ぶ線、すなわち、図3に符号Aで示されている線を「基準線」と称したとき、各ベーン70Dは、その延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が全てのベーン70Dに関して等しくなるように回動せしめられる。そして、各ベーン70Dがその延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が小さくなるように、すなわち、隣り合うベーン70D間の流路面積が小さくなるように回動せしめられると、排気タービン本体70Cに供給される排気ガスの流速が速くなる。その結果、排気タービン本体70Cの回転速度が速くなり、その結果、コンプレッサ70Aの回転速度も速くなり、したがって、吸気管52内を流れる空気がコンプレッサ70Aによって大きく圧縮されることになる。このため、各ベーン70Dの延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が小さくなるほど、コンプレッサ70Aによって吸気管52内を流れる空気が圧縮される程度が大きくなる。
なお、各ベーン70Dは、排気タービン70B内に搭載されているアクチュエータ(以下「ベーンアクチュエータ」というによって回動せしめられる。
また、吸気枝管51の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室21に対応して機関本体20内に形成された吸気ポート22に接続されている。一方、吸気枝管51の他方の端部は、吸気管52に接続されている。吸気ポート22には、当該吸気ポートを開閉するための吸気弁23が配置されている。そして、各燃焼室21に対応して2つの吸気ポート22がそれぞれ設けられており、各燃焼室21に関して一方の吸気ポート22には、スワールコントロール弁24が配置されている。また、図示していないが、スワールコントロール弁24には、該スワールコントロール弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「スワールコントロール弁アクチュエータ」という)が接続されている。
また、吸気弁23には、吸気タイミング制御機構25と吸気弁リフト量制御機構26とが接続されている。吸気タイミング制御機構25には、該吸気タイミング制御機構を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「吸気タイミング制御機構アクチュエータ」という)が内蔵されている。また、吸気弁リフト量制御機構26には、該吸気弁リフト量制御機構を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「吸気弁リフト量制御機構アクチュエータ」という)が内蔵されている。
また、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気管52内には、該吸気管内を流れるガスの量を制御するスロットル弁53が配置されている。スロットル弁53には、該スロットル弁の開度を制御するアクチュエータ53Aが取り付けられている。また、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気管52内にも、該吸気管内を流れるガスの量を制御するスロットル弁54が配置されている。スロットル弁54には、該スロットル弁の開度を制御するアクチュエータ54Aが取り付けられている。
また、吸気管52には、該吸気管内を流れる空気を冷却するインタークーラ55が配置されている。また、吸気管52の外部を臨む端部には、エアクリーナ56が配置されている。また、エアクリーナ56とスロットル弁54との間の吸気間52には、エアフローメータ57が配置されている。また、吸気枝管51には、該吸気枝管内の圧力を検出する圧力センサ(以下「吸気圧センサ」という)58が取り付けられている。また、エアフローメータ57とエアクリーナ55との間の吸気管52には、該吸気管内の空気の温度(すなわち、外気の温度)を検出する温度センサ(以下この温度センサを「外気温センサ」という)59が配置されている。
なお、スロットル弁53は、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50内を流れるガスの量を制御する弁である。そして、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50内の圧力は比較的高い。そこで、以下の説明では、スロットル弁53を「高圧スロットル弁」と称し、アクチュエータ53Aを「高圧スロットル弁アクチュエータ」と称することとする。また、スロットル弁54は、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50内を流れるガスの量を制御する弁である。そして、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50内の圧力は比較的低い。そこで、以下の説明では、スロットル弁54を「低圧スロットル弁」と称し、アクチュエータ54Aを「低圧スロットル弁アクチュエータ」と称することとする。
上述したように、高圧スロットル弁53は、吸気系50内を流れるガスの量(以下この量を「吸気ガス量」という)を制御可能である。したがって、高圧スロットル弁53は、吸気ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸気ガス量が多ければ、吸気枝管51内の圧力(以下この圧力を「インマニガス圧」という)が高くなる。したがって、吸気ガス量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、高圧スロットル弁53によって制御される吸気ガス量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
また、上述したように、低圧スロットル弁54も、吸気ガス量を制御可能である。したがって、低圧スロットル弁54は、吸気ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸気ガス量が多ければ、インマニガス圧が高くなる。したがって、吸気ガス量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、低圧スロットル弁54によって制御される吸気ガス量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
吸気タイミング制御機構25は、吸気弁23を開弁させるタイミング(以下このタイミングを「吸気弁開弁タイミング」という)と吸気弁23を閉弁させるタイミング(以下このタイミングを「吸気弁閉弁タイミング」という)とを制御可能である。そして、吸気弁開弁タイミングまたは吸気弁閉弁タイミングが変わると、燃焼室21内に吸入されるガスの量(以下この量を「吸入ガス量」という)も変わる。すなわち、吸気タイミング制御機構25は、吸入ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸入ガス量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、吸気タイミング制御機構25によって制御される吸入ガス量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、吸気弁開弁タイミングが排気上死点(すなわち、排気行程における上死点)よりも早いと、燃焼室21内の排気ガスが吸気ポート22を介して吸気枝管51内に排出されることがある。この場合、吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入されるときに、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排出された排気ガスも吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内に吸入される。そして、吸気弁開弁タイミングが排気上死点よりも早いほど、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排出される排気ガスの量が多くなり、その結果、吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入されるときに、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排出された排気ガスが吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内に吸入される量(以下この量を「内部EGR量」という)も多くなる。したがって、吸気タイミング制御機構25は、内部EGR量を直接的に制御可能である。そして、内部EGR量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、吸気タイミング制御機構25によって制御される内部EGR量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
吸気弁リフト量制御機構26は、吸気弁23を開弁させる量(すなわち、いわゆるリフト量)を制御可能である。そして、吸気弁23のリフト量が変わると、吸入ガス量(すなわち、燃焼室21内に吸入されるガスの量)も変わる。したがって、吸気弁リフト量制御機構26は、吸入ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸入ガス量が変化することは、燃焼室21内へのガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、吸気弁リフト量制御機構26によって制御される吸入ガス量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、吸気弁23の開弁タイミングが排気上死点よりも早く、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排気ガスが排出されているときに、吸気弁23のリフト量が変わると、内部EGR量も変わる。したがって、吸気弁リフト量制御機構26は、内部EGR量も直接的に制御可能である。そして、内部EGR量が変わることは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変わることに相当する。したがって、吸気弁リフト量制御機構26によって制御される内部EGR量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
スワールコントロール弁24は、各燃焼室21に対応して設けられている2つの吸気ポート22のうち、一方の吸気ポート22を開放したり閉鎖したりすることができる。そして、スワールコントロール弁24が吸気ポート22を開放した状態にあるときには、各燃焼室21に関して2つの吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入される。一方、スワールコントロール弁14が一方の吸気ポート22を閉鎖した状態にあるときには、各燃焼室21に関してスワールコントロール弁24によって閉鎖されていない方の吸気ポート22のみを介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入される。この場合、燃焼室21内に吸入されたガスが燃焼室21内において該燃焼室の中心軸線を中心として高速で回転する。すなわち、いわゆるスワール流が燃焼室21内に形成される。そして、スワール流が燃焼室21内に形成されると、燃焼室21内におけるガスの流速(以下この流速を「筒内ガス流速」という)が速くなる。したがって、スワールコントロール弁24は、筒内ガス流速を直接的に制御可能である。そして、筒内ガス流速が速い場合の燃焼室21内のガスの充填の状態は、自ずと、筒内ガス流速が遅い場合の燃焼室21内のガスの充填の状態とは異なる。すなわち、筒内ガス流速が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、スワールコントロール弁14によって制御される筒内ガス流速は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、排気枝管61の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室21に対応して機関本体20内に形成された排気ポート27に接続されている。一方、排気枝管61の他方の端部は、排気管62に接続されている。排気ポート27には、当該排気ポートを開閉するための排気弁28が配置されている。また、排気弁28には、排気タイミング制御機構29が接続されている。また、排気タイミング制御機構29には、該排気タイミング制御機構を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「排気タイミング制御機構アクチュエータ」という)が内蔵されている。また、排気管62には、触媒コンバータ63が配置されている。触媒コンバータ63内には、排気ガス中の特定成分を浄化する排気浄化触媒63Aが内蔵されている。
排気タイミング制御機構29は、排気弁27を開弁させるタイミング(以下このタイミングを「排気弁開弁タイミング」という)と排気弁27を閉弁させるタイミング(以下このタイミングを「排気弁閉弁タイミング」という)とを制御可能である。そして、排気弁閉弁タイミングが排気上死点よりも早いと、燃焼室21内に排気ガスが残留する。この場合、吸気弁23が開弁されて吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入されるときに燃焼室21内に排気ガスが残留しているのであるから、吸入ガス量が少なくなる。そして、排気弁閉弁タイミングが排気上死点よりも早いほど、燃焼室21内に残留する排気ガスの量が多くなり、その結果、吸入ガス量が少なくなる。したがって、排気タイミング制御機構29は、吸入ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸入ガス量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、排気タイミング制御機構29によって制御される吸入ガス量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、上述したように、排気弁閉弁タイミングが排気上死点よりも早いほど、燃焼室21内に残留する排気ガスの量が多くなる。この場合、燃焼室21内に形成される混合気中に含まれる排気ガスの量(以下この量も「内部EGR量」という)も多くなる。したがって、排気タイミング制御機構29は、内部EGR量を直接的に制御可能である。そして、内部EGR量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、排気タイミング制御機構29によって制御される内部EGR量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、排気タービン70Bと触媒コンバータ63との間の排気管62には、排気絞り弁64が配置されている。排気絞り弁64には、該排気絞り弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「排気絞り弁アクチュエータ」という)64Aが取り付けられている。排気絞り弁64は、当該排気絞り弁を通過する排気ガスの流量を制御可能である。したがって、排気絞り弁64は、当該排気絞り弁を通過する排気ガスの流量(以下この流量を「排気流量」という)を直接的に制御可能である。そして、排気流量が変化することは、排気ガスの状態が変化することに相当する。したがって、排気絞り弁64によって制御される排気流量は、排気ガスに関する状態量であると言える。
また、排気絞り弁64と触媒コンバータ63との間の排気管62には、燃料添加弁65が配置されている。燃料添加弁65には、該燃料添加弁を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「燃料添加弁アクチュエータ」という)が内蔵されている。燃料添加弁65は、排気管62内に炭化水素(すなわち、燃料)を噴射することができる。そして、燃料添加弁65から炭化水素が噴射されると、燃料添加弁65を通過する排気ガス中の炭化水素の量が多くなる。したがって、燃料添加弁65は、排気ガス中の炭化水素の量を直接的に制御可能である。また、排気ガス中の炭化水素の量が変化することは、排気ガスの状態が変化することに相当する。したがって、燃料添加弁65によって制御される排気ガス中の炭化水素の量は、排気ガスに関する状態量であると言える。
また、内燃機関10は、排気再循環装置(以下「EGR装置」という)80Hを具備する。EGR装置80Hは、排気再循環管(以下「EGR管」という)81Hを有する。EGR管81Hの一端は、排気枝管61に接続されている。一方、EGR管81Hの他端は、吸気枝管51に接続されている。また、EGR管81Hには、該EGR管内を流れる排気ガスの流量を制御する排気再循環制御弁(以下この弁を「EGR制御弁」という)82Hが配置されている。EGR制御弁82Hは、該EGR制御弁に内蔵されているアクチュエータ(以下「EGR制御弁アクチュエータ」という)によって動作せしめられる。内燃機関10では、EGR制御弁82Hの開度が大きいほど、EGR管81H内を流れる排気ガスの流量が多くなる。さらに、EGR管81Hには、該EGR管内を流れる排気ガスを冷却する排気再循環クーラ(以下このクーラを「EGRクーラ」という)83Hが配置されている。
なお、EGR管81Hは、排気タービン70Bよりも上流の排気系60内の排気ガスをコンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50に導入する管である。そして、排気タービン70Bよりも上流の排気系60内の圧力は比較的高く、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50内の圧力は比較的高い。そこで、以下の説明では、EGR装置80Hを「高圧EGR装置」と称し、EGR管81Hを「高圧EGR管」と称し、EGR制御弁82Hを「高圧EGR制御弁」と称し、EGRクーラ83Hを「高圧EGRクーラ」と称することとする。
また、高圧EGRクーラ83Hよりも上流の高圧EGR管81Hの部分と高圧EGRクーラ83Hよりも下流の高圧EGR管81Hの部分とがバイパス管(以下この管を「高圧EGRクーラバイパス管」という)84Hによって接続されている。そして、高圧EGRクーラバイパス管84Hには、バイパス弁(以下この弁を「高圧EGRクーラバイパス弁」という)85Hが配置されている。高圧EGRクーラバイパス弁85Hには、該高圧EGRクーラバイパス弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「高圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ」という)85HAが取り付けられている。高圧EGRクーラバイパス弁85Hは、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの量を制御する。詳細には、高圧EGRクーラバイパス弁85Hの開度が大きいほど、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの流量が多くなる。
また、内燃機関10は、排気再循環装置(以下「EGR装置」という)80Lを具備する。EGR装置80Lは、排気再循環管(以下「EGR管」という)81Lを有する。EGR管81Lの一端は、排気タービン70Bよりも下流側であって触媒コンバータ63よりも上流の排気管62に接続されている。一方、EGR管81Lの他端は、コンプレッサ70Aよりも上流側であってエアフローメータ57よりも下流の吸気管52に接続されている。また、EGR管81Lには、該EGR管内を流れる排気ガスの流量を制御する排気再循環制御弁(以下この弁を「EGR制御弁」という)82Lが配置されている。EGR制御弁82Lは、該EGR制御弁82Lに内蔵されているアクチュエータ(以下「EGR制御弁アクチュエータ」という)によって動作せしめられる。内燃機関10では、EGR制御弁82Lの開度が大きいほど、EGR管81L内を流れる排気ガスの流量が多くなる。さらに、EGR管81Lには、該EGR管内を流れる排気ガスを冷却する排気再循環クーラ83Lが配置されている。
なお、EGR管81Lは、排気タービン70Bよりも下流の排気系60内の排気ガスをコンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50に導入する管である。そして、排気タービン70Bよりも下流の排気系60内の圧力は比較的低く、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50内の圧力は比較的低い。そこで、以下の説明では、EGR装置80Lを「低圧EGR装置」と称し、EGR管81Lを「低圧EGR管」と称し、EGR制御弁82Lを「低圧EGR制御弁」と称することとする。
また、低圧EGRクーラ83Lよりも上流の低圧EGR管81Lの部分と低圧EGRクーラ83Lよりも下流の低圧EGR管81Lの部分とがバイパス管(以下この管を「低圧EGRクーラバイパス管」という)84Lによって接続されている。そして、低圧EGRクーラバイパス管84Lには、バイパス弁(以下この弁を「低圧EGRクーラバイパス弁」という)85Lが配置されている。低圧EGRクーラバイパス弁85Lには、該低圧EGRクーラバイパス弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「低圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ」という)85LAが取り付けられている。低圧EGRクーラバイパス弁85Lは、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの量を制御する。詳細には、低圧EGRクーラバイパス弁85Lの開度が大きいほど、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの流量が多くなる。
上述したように、高圧EGR制御弁82Hは、高圧EGR管81H内を流れる排気ガスの流量を制御することができ、その結果、吸気枝管51内に導入される排気ガスの量(以下この量を「外部EGR量」という)を制御可能である。したがって、高圧EGR制御弁82Hは、外部EGR量を直接的に制御可能である。そして、外部EGR量が多くなれば、吸気枝管51内のガス中の排気ガスの量も多くなる。したがって、外部EGR量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、高圧EGR制御弁82Hによって制御される外部EGR量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
上述したように、低圧EGR制御弁82Lは、低圧EGR管81L内を流れる排気ガスの流量を制御することができ、その結果、吸気管52内に導入される排気ガスの量、引いては、吸気枝管51内に導入される排気ガスの量(以下この量も「外部EGR量」という)を制御可能である。したがって、低圧EGR制御弁82Lは、外部EGR量を直接的に制御可能である。そして、外部EGR量が多くなれば、吸気枝管51内のガス中の排気ガスの量も多くなる。したがって、外部EGR量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、低圧EGR制御弁82Lによって制御される外部EGR量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
上述したように、高圧EGRクーラバイパス弁85Hは、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの流量を制御可能である。そして、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの流量が多くなると、高圧EGRクーラ83Hを介さずに吸気枝管51内に導入される排気ガスの量が多くなり、その結果、高圧EGR装置80Hによって吸気枝管51内に導入される排気ガスの温度(以下この温度を「外部EGR温度」という)が高くなる。したがって、高圧EGRクーラバイパス弁85Hは、外部EGR温度を直接的に制御可能である。そして、外部EGR温度が高くなると、吸気枝管51内のガスの温度も高くなる。すなわち、外部EGR温度が変化することは、吸気枝管51内のガスの温度が変化することに相当する。したがって、高圧EGRクーラバイパス弁85Hによって制御される外部EGR温度は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
また、上述したように、低圧EGRクーラバイパス弁85Lは、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの流量を制御可能である。そして、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの流量が多くなると、低圧EGRクーラ83Lを介さずに吸気管52内に導入される排気ガスの量が多くなり、その結果、低圧EGR装置80Lによって吸気管52内に導入される排気ガスの温度(以下この温度も「外部EGR温度」という)が高くなる。したがって、低圧EGRクーラバイパス弁84Lは、外部EGR温度を直接的に制御可能である。そして、外部EGR温度が高くなると、吸気枝管51内のガスの温度も高くなる。すなわち、外部EGR温度が変化することは、吸気枝管51内のガスの温度が変化することに相当する。したがって、低圧EGRクーラバイパス弁85Lによって制御される外部EGR温度は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
上述したように、ベーン70Dは、コンプレッサ70Aによって吸気管52内を流れる空気が圧縮される程度(すなわち、過給圧)を制御可能である。そして、コンプレッサ70Aによって吸気管52内を流れる空気が圧縮される程度が大きくなるほど、インマニガス圧が高くなる。したがって、ベーン70Dは、インマニガス圧を直接的に制御可能である。そして、インマニガス圧が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、ベーン70Dによって制御されるインマニガス圧は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
なお、機関本体20には、クランクシャフト30の回転角度を検出するクランク角度センサ31が取り付けられている。また、図2において、参照符号32はピストンを示しており、参照符号33はピストン32をクランクシャフト30に接続するためのコンロッドを示しており、参照符号34は燃焼室21内の圧力を検出する圧力センサ(以下このセンサを「筒内圧センサ」という)を示している。
また、内燃機関10は、電子制御装置90を具備する。電子制御装置90は、マイクロプロセッサ(CPU)91と、リードオンリメモリ(ROM)92と、ランダムアクセスメモリ(RAM)93と、バックアップRAM(Back up RAM)94と、インターフェース95とを有する。インターフェース95には、燃料噴射弁アクチュエータ、燃料ポンプアクチュエータ、高圧スロットル弁アクチュエータ53A、低圧スロットル弁アクチュエータ54A、吸気タイミング制御機構アクチュエータ、吸気弁リフト量制御機構アクチュエータ、排気タイミング制御機構アクチュエータ、スワールコントロール弁アクチュエータ、ベーンアクチュエータ、高圧EGR制御弁アクチュエータ、低圧EGR制御弁アクチュエータ、高圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ85HA、低圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ85LA、排気絞り弁アクチュエータ64A、および、燃料添加弁アクチュエータが接続されており、これらの動作を制御する制御信号がインターフェース95を介して電子制御装置90から与えられる。また、インターフェース95には、エアフローメータ57、吸気圧センサ58、燃圧センサ43、クランク角度センサ31、筒内圧センサ34、アクセルペダルAPの踏込量を検出するアクセル開度センサ96、および、外気温センサ59も接続されている。
ところで、図示されている内燃機関10には、当該内燃機関に関する状態量を制御するための手段として、高圧EGR制御弁82H、低圧EGR制御弁82L、高圧スロットル弁53、低圧スロットル弁54、排気タービン70Bのベーン70D、高圧EGRクーラバイパス弁85H、低圧EGRクーラバイパス弁85L、吸気タイミング制御機構25、排気タイミング制御機構29、吸気弁リフト量制御機構26、スワールコントロール弁24、燃料噴射弁40、燃料ポンプ41、燃料添加弁65、および、排気絞り弁64(以下これら手段をそれぞれ「制御対象」ともいう)が設けられている。そして、各制御対象には当該制御対象を操作するためのアクチュエータが取り付けられ、或いは、各制御対象には当該制御対象を操作するためのアクチュエータが内蔵されている。
そして、本実施形態(以下「第1実施形態」という)では、これら制御対象にアクチュエータから与えられる操作量を以下のように決定する。
すなわち、上述したように、高圧EGR制御弁82Hと低圧EGR制御弁82Lとが直接的に制御可能な状態量は外部EGR量である。また、高圧スロットル弁53と低圧スロットル弁54とが直接的に制御可能な状態量は吸気ガス量である。また、排気タービン70Bのベーン70Dが直接的に制御可能な状態量はインマニガス圧である。また、高圧EGRクーラバイパス弁85Hと低圧EGRクーラバイパス弁85Lとが直接的に制御可能な状態量は外部EGR温度である。そして、これら外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度は、全て、吸気枝管内のガスに関する状態量である。
このように、高圧EGR制御弁82Hと低圧EGR制御弁82Lと高圧スロットル弁53と低圧スロットル弁54と排気タービン70Bのベーン70Dと高圧EGRクーラバイパス弁85Hと低圧EGRクーラバイパス弁85Lとが共通して吸気枝管51内のガスに関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら高圧EGR制御弁、低圧EGR制御弁、高圧スロットル弁、低圧スロットル弁、排気タービンのベーン、高圧EGRクーラバイパス弁、および、低圧EGRクーラバイパス弁を1つのグループ(以下このグループを「インマニガス系グループ」という)に割り当てる。
さらに、外部EGR量と吸気ガス量と外部EGR温度とが共通して吸気枝管51内のガスに関する状態量であることから、これら外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度をまとめて「インマニガス状態量」として扱う。
なお、上述したように、インマニガス系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「インマニガス系制御対象」という)はそれぞれ対応するインマニガス状態量を直接的に制御するが、各インマニガス系制御対象が直接的に制御するインマニガス状態量を別の表現を用いて表現すると、これらインマニガス状態量は対応するインマニガス系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
また、上述したように、吸気タイミング制御機構25と排気タイミング制御機構29と吸気弁リフト量制御機構26とが直接的に制御可能な状態量は吸入ガス量と内部EGR量とである。また、スワールコントロール弁24が直接的に制御可能な状態量は筒内ガス流速である。そして、これら吸入ガス量、内部EGR量、および、筒内ガス流速は、全て、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量である。
このように、吸気タイミング制御機構25と排気タイミング制御機構29と吸気弁リフト量制御機構26とスワールコントロール弁24とが共通して燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら吸気タイミング制御機構、排気タイミング制御機構、吸気弁リフト量制御機構、および、スワールコントロール弁を1つのグループ(以下このグループを「充填系グループ」という)に割り当てる。
さらに、吸入ガス量と内部EGR量と筒内ガス流速とが共通して燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であることから、これら吸入ガス量、内部EGR量、および、筒内ガス流速をまとめて「充填状態量」として扱う。
なお、上述したように、充填系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「充填系制御対象」という)はそれぞれ対応する充填状態量を直接的に制御するが、各充填系制御対象が直接的に制御する充填状態量を別の表現を用いて表現すると、これら充填状態量は対応する充填系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
また、上述したように、燃料噴射弁40が直接的に制御可能な状態量は燃料噴射量と混合気中の燃料分布とである。また、燃料ポンプ41が直接的に制御可能な状態量は燃圧である。そして、これら燃料噴射量、混合気中の燃料分布、および、燃圧は、全て、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量である。
このように、燃料噴射弁40と燃料ポンプ41とが共通して燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら燃料噴射弁、および、燃料ポンプを1つのグループ(以下このグループを「噴射系グループ」という)に割り当てる。
さらに、燃料噴射量と混合気中の燃料分布と燃圧とが共通して燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量であることから、これら燃料噴射量、混合気中の燃料分布、および、燃圧をまとめて「噴霧状態量」として扱う。
なお、上述したように、噴射系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「噴射系制御対象」という)はそれぞれ対応する噴霧状態量を直接的に制御するが、各噴射系制御対象が直接的に制御する噴霧状態量を別の表現を用いて表現すると、これら噴霧状態量は対応する噴射系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
また、上述したように、燃料添加弁65が直接的に制御可能な状態量は排気ガス中の炭化水素の量である。また、排気絞り弁64が直接的に制御可能な状態量は排気流量である。そして、これら排気ガス中の炭化水素の量、および、排気ガスの流量は、両方とも、排気ガスに関する状態量である。
このように、燃料添加弁65と排気絞り弁64とが共通して排気ガスに関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら燃料添加弁、および、排気絞り弁を1つのグループ(以下このグループを「排気系グループ」という)に割り当てる。
さらに、排気ガス中の炭化水素の量と排気流量とが共通して排気ガスに関する状態量であることから、これら排気ガス中の炭化水素の量、および、排気ガスの流量をまとめて「排気状態量」として扱う。
なお、上述したように、排気系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「排気系制御対象」という)はそれぞれ対応する排気状態量を直接的に制御するが、各排気系制御対象が直接的に制御する排気状態量を別の表現を用いて表現すると、これら排気状態量は対応する排気系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
ところで、インマニガス状態量、充填状態量、噴霧状態量、および、排気状態量には、それぞれ、機関運転状態(すなわち、内燃機関10の運転の状態)を最適な状態とする特定の状態量が機関運転状態毎に存在する。
そこで、第1実施形態では、インマニガス状態量、充填状態量、噴霧状態量、および、排気状態量に関し、機関運転状態を最適な状態とする特定の状態量が機関回転数と機関負荷(すなわち、内燃機関に課される負荷)との組合せ毎に実験等によって予め求められ、これら状態量が各状態量に関する目標状態量として機関回転数と機関負荷との関数のマップの形で電子制御装置90に記憶されている。そして、機関運転中(すなわち、内燃機関10が運転されているとき)、機関回転数と機関負荷とに基づいて上記マップから目標状態量が取得される。そして、これら取得された目標状態量を達成するために各制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量が目標操作量として算出される。そして、これら算出された目標操作量が達成されるように電子制御装置から各制御対象を操作するためのアクチュエータに指令が発せられ、各制御対象がそれぞれ対応するアクチュエータによって操作される。
ところで、インマニガス状態量を目標状態量にするためにインマニガス系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、インマニガス系制御対象は、高圧EGR制御弁82Hと低圧EGR制御弁82Lと高圧スロットル弁53と低圧スロットル弁54と排気タービン70Bのベーン70Dと高圧EGRクーラバイパス弁85Hと低圧EGRクーラバイパス弁85Lとである。そして、第1実施形態では、これらインマニガス系制御対象に対する目標操作量を決定する(或いは、算出する)ための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「インマニガス系コントローラ」という)が電子制御装置90に実装されている。
そして、このインマニガス系コントローラは、アクチュエータから各インマニガス系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうるインマニガス状態量をこれらインマニガス状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各インマニガス状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、高圧EGR制御弁アクチュエータから高圧EGR制御弁82Hに与えられる操作量の変化に伴って当該高圧EGR制御弁によって直接的に制御されるインマニガス状態量が変化すると、例えば、低圧EGR制御弁アクチュエータから低圧EGR制御弁82Lに与えられる操作量が変化していなくても、高圧EGR制御弁82Hによって直接的に制御されるインマニガス状態量の変化の影響で低圧EGR制御弁82Lによって直接的に制御されるインマニガス状態量も変化する場合がある。そして、この場合、高圧EGR制御弁82Hによって直接的に制御されるインマニガス状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に低圧EGR制御弁82Lによって直接的に制御されるインマニガス状態量も変化する。すなわち、高圧EGR制御弁82Hによって直接的に制御されるインマニガス状態量と低圧EGR制御弁82Lによって直接的に制御されるインマニガス状態量とが干渉する。こうした干渉は、いずれのインマニガス系制御対象によって直接的に制御されるインマニガス状態量の間において生じる。したがって、インマニガス系制御対象によって直接的に制御されるインマニガス状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各インマニガス状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各インマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量を予測するときには、上述したインマニガス状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、インマニガス系コントローラは、アクチュエータから各インマニガス系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうるインマニガス状態量をこれらインマニガス状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各インマニガス状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設計されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標インマニガス状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標インマニガス状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべきインマニガス状態量(すなわち、目標インマニガス状態量)を決定し、この決定された目標インマニガス状態量をインマニガス系コントローラが取得する。そして、インマニガス系コントローラは、この取得した目標インマニガス状態量に基づいてインマニガス系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量がインマニガス系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
同様に、充填状態量を目標状態量にするために充填系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、充填系制御対象は、吸気タイミング制御機構25と排気タイミング制御機構29と吸気弁リフト量制御機構26とスワールコントロール弁24とである。そして、第1実施形態では、これら充填系制御対象に対する目標操作量を決定するための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「充填系コントローラ」という)が電子制御装置に実装されている。
そして、この充填系コントローラは、アクチュエータから各充填系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる充填状態量をこれら充填状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各充填状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、吸気タイミング制御機構アクチュエータから吸気タイミング制御機構25に与えられる操作量の変化に伴って当該吸気タイミング制御機構によって直接的に制御される充填状態量が変化すると、例えば、排気タイミング制御機構アクチュエータから排気タイミング制御機構29に与えられる操作量が変化していなくても、吸気タイミング制御機構25によって直接的に制御される充填状態量の変化の影響で排気タイミング制御機構29によって直接的に制御される充填状態量も変化する場合がある。そして、この場合、吸気タイミング制御機構25によって直接的に制御される充填状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に排気タイミング制御機構29によって直接的に制御される充填状態量も変化する。すなわち、吸気タイミング制御機構25によって直接的に制御される充填状態量と排気タイミング制御機構2によって直接的に制御される充填状態量とが干渉する。こうした干渉は、いずれの充填系制御対象によって直接的に制御される充填状態量の間において生じる。したがって、充填系制御対象によって直接的に制御される充填状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各充填状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量を予測するときには、上述した充填状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、充填系コントローラは、アクチュエータから各充填系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる充填状態量をこれら充填状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各充填状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設計されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標充填状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標充填状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべき充填状態量(すなわち、目標充填状態量)を決定し、この決定された目標充填状態量を充填系コントローラが取得する。そして、充填系コントローラは、この取得した目標充填状態量に基づいて充填系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量が充填系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
同様に、噴霧状態量を目標状態量にするために噴射系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、噴射系制御対象は、燃料噴射弁と燃料ポンプとである。そして、第1実施形態では、これら噴射系制御対象に対する目標操作量を決定するための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「噴射系コントローラ」という)が電子制御装置に実装されている。
そして、この噴射系コントローラは、アクチュエータから各噴射系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる噴霧状態量をこれら噴霧状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各噴霧状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、燃料噴射弁アクチュエータから燃料噴射弁40に与えられる操作量の変化に伴って当該燃料噴射弁によって直接的に制御される噴霧状態量が変化すると、例えば、燃料ポンプアクチュエータから燃料ポンプ41に与えられる操作量が変化していなくても、燃料噴射弁40によって直接的に制御される噴霧状態量の変化の影響で燃料ポンプ41によって直接的に制御される噴霧状態量も変化する場合がある。そして、この場合、燃料噴射弁40によって直接的に制御される噴霧状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に燃料ポンプ41によって直接的に制御される噴霧状態量も変化する。すなわち、燃料噴射弁40によって直接的に制御される噴霧状態量と燃料ポンプ41によって直接的に制御される噴霧状態量とが干渉する。したがって、噴射系制御対象によって直接的に制御される噴霧状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各噴霧状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量を予測するときには、上述した噴霧状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、噴射系コントローラは、アクチュエータから各噴射系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる噴霧状態量をこれら噴霧状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各噴霧状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設定されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標噴霧状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標噴霧状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべき噴霧状態量(すなわち、目標噴霧状態量)を決定し、この決定された目標噴霧状態量を噴射系コントローラが取得する。そして、噴射系コントローラは、この取得した目標噴霧状態量に基づいて噴射系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量が噴射系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
同様に、排気状態量を目標状態量にするために排気系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、排気系制御対象は、燃料添加弁65と排気絞り弁64とである。そして、第1実施形態では、これら排気系制御対象に対する目標操作量を決定するための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「排気系コントローラ」という)が電子制御装置に実装されている。
そして、この排気系コントローラは、アクチュエータから各排気系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる排気状態量をこれら排気状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各排気状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、燃料添加弁アクチュエータから燃料添加弁65に与えられる操作量の変化に伴って当該燃料添加弁によって直接的に制御される排気状態量が変化すると、例えば、排気絞り弁アクチュエータ64Aから排気絞り弁64に与えられる操作量が変化していなくても、燃料添加弁65によって直接的に制御される排気状態量の変化の影響で排気絞り弁64によって直接的に制御される排気状態量も変化する場合がある。そして、この場合、燃料添加弁65によって直接的に制御される排気状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に排気絞り弁64によって直接的に制御される排気状態量も変化する。すなわち、燃料添加弁65によって直接的に制御される排気状態量と排気絞り弁64によって直接的に制御される排気状態量とが干渉する。したがって、排気系制御対象によって直接的に制御される排気状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各排気状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量を予測するときには、上述した排気状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、排気系コントローラは、アクチュエータから各排気系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる排気状態量をこれら排気状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各排気状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設計されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標排気状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標排気状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべき排気状態量(すなわち、目標排気状態量)を決定し、この決定された目標排気状態量を排気系コントローラが取得する。そして、排気系コントローラは、この取得した目標排気状態量に基づいて排気系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量が排気系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第1実施形態では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量(以下、特定のグループの制御対象によって制御される状態量を単に「グループに関連する状態量」という)は互いに即座に影響し合う。すなわち、1つのグループに関連する状態量は互いに即座に干渉する。一方、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに即座には影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに即座には干渉しない。したがって、各グループに対応するコントローラは、対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量の間の干渉を考慮しつつ(すなわち、これら状態量を協調させつつ)目標操作量を決定すればよい。一方、各グループに対応するコントローラは、対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量と同対応するグループ以外のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮せずに目標操作量を決定すればよい。このため、各コントローラは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応するコントローラを再設計する必要がある。ここで、第1実施形態では、1つのグループに関連する状態量は互いに影響し合う。すなわち、1つのグループに関連する状態量は互いに干渉する。一方、第1実施形態では、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに干渉しない。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応するコントローラを再設計するときに、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉を考慮して(すなわち、これら状態量を協調させて)特定グループに対応するコントローラを再設計すればよく、特定グループに関連する状態量(この状態量には、新たな制御対象によって制御される状態量が含まれる)と特定グループとは別のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮して(すなわち、これら状態量を協調させて)特定グループに対応するコントローラを再設計する必要はない。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときのコントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
なお、上述した各コントローラは、例えば、いわゆる現代制御理論を用いて目標操作量を決定する。より具体的には、各状態量に影響を及すパラメータを変数としたモデル(すなわち、いわゆる状態空間モデル)が予め準備される。そして、各コントローラは、アクチュエータから制御対象に特定の操作量を与えた場合における当該制御対象によって制御される状態量の挙動を上記モデルを用いた演算によって予測し、この予測の結果を考慮しつつ状態量を最適な形態でもって目標状態量に制御することができる操作量を目標操作量として決定する。
また、当然のことながら、上の説明においてインマニガス状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、高圧EGR制御弁、低圧EGR制御弁、高圧スロットル弁、低圧スロットル弁、排気タービンのベーン、高圧EGRクーラバイパス弁、および、低圧EGRクーラバイパス弁)以外に、インマニガス状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象がインマニガス系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明においてインマニガス状態量として挙げた状態量(すなわち、外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度)以外に、吸気枝管内のガスに関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象がインマニガス系グループにグルーピングされてもよい。
同様に、上の説明において充填状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、吸気タイミング制御機構、排気タイミング制御機構、および、吸気弁リフト量制御機構)以外に、充填状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象が充填系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明において充填状態量として挙げた状態量(すなわち、吸入ガス量、内部EGR量、および、筒内ガス流速)以外に、燃焼室内へのガスの充填に関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象が充填系グループにグルーピングされてもよい。
同様に、上の説明において噴霧状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、燃料噴射弁、および、燃料ポンプ)以外に、噴霧状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象が噴射系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明において噴霧状態量として挙げた状態量(すなわち、混合気中の燃料分布、および、燃圧)以外に、燃焼室内への燃料噴射弁からの燃料の噴霧に関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象が噴射系グループにグルーピングされてもよい。
同様に、上の説明において排気状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、燃料添加弁、および、排気絞り弁)以外に、排気状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象が排気系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明において排気状態量として挙げた状態量(すなわち、排気ガス中の炭化水素の量、および、排気流量)以外に、排気ガスに関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象が排気系グループにグルーピングされてもよい。
このことから、上述した第1実施形態に含まれている本発明の思想は、複数の制御対象を含む複数のグループを形成し、各グループの各制御対象に関する目標操作量を各グループに対応して用意された1つのコントローラによって決定する場合において、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれると共に1つのグループの制御対象によって制御される状態量が別のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及さないようにグループを形成するものであると言える。
ところで、インマニガス状態量には、外部EGR量と吸気ガス量と外部EGR温度とが含まれており、これら状態量は、全て、極めて一般的な手段(例えば、センサ等)によって測定することが容易である。このことから、これら状態量が制御されている最中に当該状態量の実際の値を測定することができ、したがって、これら測定された値に基づいて当該状態量をフィードバック制御によって制御することができる。第1実施形態では、インマニガス状態量はフィードバック制御によって制御される。したがって、インマニガス系グループは、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むグループ(以下このグループを「フィードバック制御グループ」ともいう)であると言える。
ここで、「フィードバック制御」は、閉ループ制御とも呼ばれる制御であって、状態量を目標状態量に制御するためにアクチュエータから制御対象に操作量を与えている最中に、状態量の実際の値を測定し、この測定された値を目標状態量と比較し、この比較の結果を考慮しつつアクチュエータから制御対象に与えるべき操作量を目標操作量として決定し、この目標操作量をアクチュエータから制御対象に与えることによって状態量を制御する制御である。
一方、充填状態量には、吸入ガス量と内部EGR量と筒内ガス流速とが含まれており、これら状態量は、全て、極めて一般的ではない手段によれば測定することができるが極めて一般的な手段(例えば、センサ等)によって測定することが困難である。このことから、これら状態量が制御されている最中に当該状態量の実際の値を測定することができず、したがって、当該状態量をフィードバック制御によって制御することができない。したがって、当該状態量がフィードバック制御によって制御されていない場合、当該状態量はフィードバック制御以外の制御によって制御されることになる。第1実施形態では、充填状態量はオープンループ制御によって制御される。したがって、充填系グループは、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むグループ(以下このグループを「オープンループ制御グループ」ともいう)であるといえる。
ここで、「オープンループ制御」は、開ループ制御とも呼ばれる制御であって、状態量を目標状態量に制御するためにアクチュエータから制御対象に操作量を与えている最中の状態量の実際の値を測定せず、したがって、状態量の実際の値を考慮せずに予め定められている一定の計算式に従って目標状態量を達成するための操作量を目標操作量として決定し、この目標操作量をアクチュエータから制御対象に与えることによって状態量を制御する制御である。
なお、測定することが容易である状態量の測定を実際には行わない場合(或いは、測定することが容易である状態量の測定を実際には行うが測定された状態量の値を当該状態量の制御に利用しない場合)もあり得る。この場合、当該状態量を直接的に制御する制御対象は、オープンループ制御グループにグルーピングされる。
また、制御対象によって直接的に制御される状態量が如何なる手段によっても測定することができない状態量(すなわち、事実上、測定が不可能である状態量)である場合もあり得る。この場合、当該状態量を直接的に制御する制御対象は、オープンループ制御グループにグルーピングされる。
上述したように、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むフィードバック制御グループが形成されると、以下の効果が得られる。すなわち、フィードバック制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、フィードバック制御によって制御される。すなわち、同状態量は、単一の制御によって制御される。ここで、1つのグループの制御対象が単一の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックの構造は、1つのグループの制御対象が異なる複数の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックの構造に比べて単純なものとなる。したがって、フィードバック制御グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。
また、上述したように、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むフィードバック制御グループが形成されると、以下の効果も得られる。すなわち、上述したように、フィードバック制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、フィードバック制御によって制御されることから、同状態量は、単一の制御によって制御されることになる。ここで、内燃機関に新たな制御対象が追加され、この新たな制御対象がフィードバック制御によって状態量を制御する場合、この新たな制御対象はフィードバック制御グループに割り当てられることになる。そして、この場合、同フィードバック制御グループに対応するコントローラを再設計する必要がある。ここで、上述したように、同コントローラの制御ロジックの構造は、単純なものとなっている。このため、新たな制御対象が追加された場合の同コントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
また、上述したように、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むオープンループ制御グループが形成されると、以下の効果が得られる。すなわち、オープンループ制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、オープンループ制御によって制御される。すなわち、同状態量は、単一の制御によって制御される。このため、フィードバック制御グループに関連して説明した理由と同じ理由から、オープンループ制御グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。
また、上述したように、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むオープンループ制御グループが形成されると、以下の効果も得られる。すなわち、上述したように、オープンループ制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、オープンループ制御によって制御されることから、同状態量は、単一の制御によって制御されることになる。このため、フィードバック制御グループに関連して説明した理由と同じ理由から、状態量をオープンループ制御によって制御する新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象がオープンループ制御グループに割り当てられた場合の同グループに対応するコントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
なお、制御されるべき状態量に応じて、フィードバック制御グループとして、1つのグループのみが形成される場合もあるし、複数のグループが形成される場合もある。
また、制御されるべき状態量に応じて、オープンループ制御グループとして、1つのグループのみが形成される場合もあるし、複数のグループが形成される場合もある。
もちろん、3つ以上のグループが形成される場合において、これらグループとして、フィードバック制御グループとオープンループ制御グループとが形成されるだけでなく、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象と状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象とを含むグループが形成されていてもよい。
また、第1実施形態では、フィードバック制御グループ(すなわち、インマニガス系グループ)の制御対象によって制御される状態量同士は互いに影響し合う。しかしながら、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、フィードバック制御グループに、同グループの別の制御対象によって制御される状態量に影響を及さない状態量を制御する制御対象が含まれてもよい。
また、第1実施形態では、オープンループ制御グループ(すなわち、充填系グループ)の制御対象によって制御される状態量同士は互いに影響し合う。しかしながら、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、オープンループ制御グループに、同グループの別の制御対象によって制御される状態量に影響を及さない状態量を制御する制御対象が含まれていてもよい。
また、第1実施形態では、フィードバック制御グループ(すなわち、インマニガス系グループ)の制御対象が制御する状態量は、他のグループ(すなわち、充填系グループ、噴射系グループ、および、排気系グループ)の制御対象が制御する状態量に影響を及さない。しかしながら、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、フィードバック制御グループに、他のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及す状態量を制御する制御対象が含まれていてもよい。
また、第1実施形態では、オープンループ制御グループ(すなわち、充填系グループ)の制御対象が制御する状態量は、他のグループ(すなわち、充填系グループ、噴射系グループ、および、排気系グループ)の制御対象が制御する状態量に影響を及さない。しかしながら、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、オープンループ制御グループに、他のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及す状態量を制御する制御対象が含まれていてもよい。
また、第1実施形態では、オープンループ制御によって充填状態量が制御される。しかしながら、オープンループ制御以外の制御であって単一の制御(もちろん、フィードバック制御は除く)によって充填状態量が制御されてもよい。
このことから、上述した第1実施形態に含まれている本発明の思想は、複数の制御対象を含む少なくとも1つのグループを形成し、該グループの各制御対象に関する目標操作量を同グループに対応して用意された1つのコントローラによって決定する場合において、同グループに単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを割り当てるものであると言える。
ところで、上述したように、インマニガス系グループの高圧EGR制御弁82Hおよび低圧EGR制御弁82Lは、外部EGR量を直接的に制御する。ここで、外部EGR量が変化すると、インマニガス(すなわち、吸気枝管内のガス)中の成分やインマニガスの温度も変化する。そして、インマニガス中の成分やインマニガスの温度が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス中の成分やインマニガスの温度はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、外部EGR量が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、外部EGR量が変化すると、この外部EGR量の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、高圧EGR制御弁82Hおよび低圧EGR制御弁82Lによって制御される外部EGR量は、これらが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、インマニガス系グループの高圧スロットル弁53および低圧スロットル弁54は、吸気ガス量を直接的に制御する。ここで、吸気ガス量が変化すると、インマニガス圧(すなわち、吸気枝管内のガスの圧力)も変化する。そして、インマニガス圧が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス圧はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、吸気ガス量が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、吸気ガス量が変化すると、この吸気ガス量の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、高圧スロットル弁53および低圧スロットル弁54によって制御される吸気ガス量も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、インマニガス系グループの排気タービン70Bのベーン70Dは、インマニガス圧(すなわち、過給圧)を直接的に制御する。ここで、インマニガス圧が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス圧はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、インマニガス圧が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、インマニガス圧が変化すると、この過給圧の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、排気タービン70Bのベーン70Dによって制御されるインマニガス圧も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、インマニガス系グループの高圧EGRクーラバイパス弁85Hおよび低圧EGRクーラバイパス弁85Lは、外部EGR温度を直接的に制御する。ここで、外部EGR温度が変化すると、インマニガス温度(すなわち、インマニガスの温度)も変化する。そして、インマニガス温度が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス温度はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、外部EGR温度が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、外部EGR温度が変化すると、この外部EGR温度の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、高圧EGRクーラバイパス弁85Hおよび低圧EGRクーラバイパス弁85Lによって制御される外部EGR温度も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、インマニガス系制御対象によって制御されるインマニガス状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す。したがって、充填状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、充填系制御対象に対する操作量を決定するときにインマニガス状態量も考慮されることが好ましい。一方、噴射系制御対象によって制御される噴霧状態量および排気系制御対象によって制御される排気状態量は充填状態量には大きくは影響を及さないし、これら噴霧状態量および排気状態量が充填状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これら噴霧状態量および排気状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及すことはない。要するに、充填状態量をより正確に目標状態量にするためには、充填系制御対象に対する操作量を決定するときにインマニガス状態量を考慮すればよいことになる。
また、上述したように、充填系グループの吸気タイミング制御機構25、排気タイミング制御機構29、および、吸気弁リフト量制御機構26は、吸入ガス量と内部EGRガス量とを直接的に制御する。ここで、吸入ガス量または内部EGRガス量が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。そして、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、吸入ガス量または内部EGRガス量が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化し、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態が変化すると言える。すなわち、吸入ガス量または内部EGRガス量が変化すると、この吸入ガス量または内部EGRガス量の変化時点から比較的短時間のうちに燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、吸気タイミング制御機構25、排気タイミング制御機構29、および、吸気弁リフト量制御機構26によって制御される吸入ガス量および内部EGRガス量は、これらが変化した時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、充填系グループのスワールコントロール弁24は、筒内ガス流速を直接的に制御する。ここで、筒内ガス流速が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。そして、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、筒内ガス流量が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化し、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態が変化すると言える。すなわち、筒内ガス流速が変化すると、この筒内ガス流速の変化時点から比較的短時間のうちに燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、スワールコントロール弁24によって制御される筒内ガス流速も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、充填系制御対象によって制御される充填状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及す。したがって、噴霧状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、噴射系制御対象に対する操作量を決定するときに充填状態量も考慮されることが好ましい。一方、排気系制御対象によって制御される排気状態量およびインマニガス系制御対象によって制御されるインマニガス状態量は噴霧状態量には大きくは影響を及されないし、これら排気状態量およびインマニガス状態量が噴霧状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これら排気状態量およびインマニガス状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及すことはない。要するに、噴霧状態量をより正確に目標状態量にするためには、噴射系制御対象に対する操作量を決定するときに充填状態量を考慮すればよいことになる。
また、上述したように、噴射系グループの燃料噴射弁40は、燃料噴射量と混合気中の燃料分布とを直接的に制御する。ここで、燃料噴射量または混合気中の燃料分布が変化すると、燃焼室21内における燃料の噴霧の状態が変化する。そして、燃料の噴霧の状態が変化すると、燃焼室21内における燃料の燃焼の状態も変化することから、燃料の燃焼後に燃焼室21から排出される排気ガスに関する状態も変化する。すなわち、燃料噴射量または混合気中の燃料分布が変化すると、この燃料噴射量または混合気中の燃料分布の変化時点から比較的短時間のうちに排気ガスに関する状態量が変化する。したがって、燃料噴射弁40によって制御される燃料噴射量および混合気中の燃料分布は、これらが変化した時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、噴射系グループの燃料ポンプ41は燃圧を直接的に制御する。ここで、燃圧が変化すると、燃焼室21内における燃料の噴霧の状態が変化する。そして、上述したように、燃料の噴霧の状態が変化すると、燃焼室21内における燃料の燃焼の状態も変化することから、燃料の燃焼後に燃焼室21から排出される排気ガスに関する状態も変化する。すなわち、燃圧が変化すると、この燃圧の変化時点から比較的短時間のうちに排気ガスに関する状態量が変化する。したがって、燃料ポンプ41によって制御される燃圧も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、噴射系制御対象によって制御される噴霧状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及す。したがって、排気状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、排気系制御対象に対する操作量を決定するときに噴霧状態量も考慮されることが好ましい。一方、インマニガス系制御対象によって制御されるインマニガス状態量および充填系制御対象によって制御される充填状態量は排気状態量には大きくは影響を及さないし、これらインマニガス状態量および充填状態量が排気状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これらインマニガス状態量および充填状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及すことはない。要するに、排気状態量をより正確に目標状態量にするためには、排気系制御対象に対する操作量を決定するときに噴霧状態量を考慮すればよいことになる。
また、上述したように、排気系グループの排気絞り弁64は、当該排気絞り弁を通過する排気ガスの流量を直接的に制御する。ここで、排気絞り弁64を通過する排気ガスの流量が変化すると、低圧EGR装置80Lによる外部EGR量も変化する。そして、外部EGR量が変化すると、その後、インマニガス中の成分やインマニガスの温度が変化する。ここで、インマニガス中の成分やインマニガスの温度はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、インマニガス中の成分やインマニガスの温度が変化すると、インマニガスの状態が変化すると言える。すなわち、排気絞り弁64を通過する排気ガスの流量が変化すると、この排気ガスの流量の変化時点から比較的短時間のうちにインマニガスの状態も変化する。したがって、排気絞り弁64によって制御される排気ガスの流量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちにインマニガス状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、排気系制御対象によって制御される排気状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちにインマニガス状態量に影響を及す。したがって、インマニガス状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、インマニガス系制御対象に対する操作量を決定するときに排気状態量も考慮されることが好ましい。一方、充填系制御対象によって制御される充填状態量および噴射系制御対象によって制御される噴霧状態量はインマニガス状態量に大きくは影響を及さないし、これら充填状態量および噴霧状態量がインマニガス状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これら充填状態量および噴霧状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちにインマニガス状態量に影響を及すことはない。要するに、インマニガス状態量をより正確に目標状態量にするためには、インマニガス系制御対象に対する操作量を決定するときに排気状態量を考慮すればよいことになる。
また、インマニガス状態量の変化に伴う充填状態量の変化、充填状態量の変化に伴う噴霧状態量の変化、噴霧状態量の変化に伴う排気状態量、および、排気状態量の変化に伴うインマニガス状態量の変化は、時間的に順に生じる(或いは、これら変化は時間的に順に生じるものと捉えることができる)。
そこで、第1実施形態において、異なる2つのグループの制御対象によって制御される状態量同士が上述したように影響し合う場合(或いは、各グループの制御対象によって制御される状態量同士が上述したように影響し合うものと捉える場合)、各グループの制御対象に対する目標操作量を以下のように決定するようにしてもよい。
すなわち、この実施形態(以下「第2実施形態」という)では、第1実施形態と同様に各グループが設定され、各グループに対応して1つのコントローラが用意される。
ここで、排気系コントローラが排気系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同排気系コントローラは、図5に参照符号S1で示されているように、排気系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときの排気状態量に関する情報をインマニガス系コントローラに送信し、同インマニガス系コントローラは同情報を受信する(すなわち、取得する)。そして、インマニガス系コントローラは、排気系コントローラから受信した排気状態量に関する情報を考慮しつつ、インマニガス状態量を目標状態量とすることができるインマニガス系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、充填系コントローラおよび噴射系コントローラは、排気系コントローラから送信される排気状態量に関する情報を受信しない。
また、インマニガス系コントローラがインマニガス系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同インマニガス系コントローラは、図5に参照符号S2で示されているように、インマニガス系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときのインマニガス状態量に関する情報を充填系コントローラに送信し、同充填系コントローラは同情報を受信する。そして、充填系コントローラは、インマニガス系コントローラから受信したインマニガス状態量に関する情報を考慮しつつ、充填状態量を目標状態量とすることができる充填系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、噴射系コントローラおよび排気系コントローラは、インマニガス系コントローラから送信されるインマニガス状態量に関する情報を受信しない。
また、充填系コントローラが充填系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同充填系コントローラは、図5に参照符号S3で示されているように、充填系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときの充填状態量に関する情報を噴射系コントローラに送信し、同噴射系コントローラは同情報を受信する。そして、噴射系コントローラは、充填系コントローラから受信した充填状態量に関する情報を考慮しつつ、噴霧状態量を目標状態量とすることができる噴射系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、排気系コントローラおよびインマニガス系コントローラは、充填系コントローラから送信される充填状態量に関する情報を受信しない。
また、噴射系コントローラが噴射系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同噴射系コントローラは、図5に参照符号S4で示されているように、噴射系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときの噴霧状態量に関する情報を排気系コントローラに送信し、同排気系コントローラは同情報を受信する。そして、排気系コントローラは、噴射系コントローラから受信した噴霧状態量に関する情報を考慮しつつ、排気状態量を目標状態量とすることができる排気系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、インマニガス系コントローラおよび充填系コントローラは、排気系コントローラから送信される排気状態量に関する情報を受信しない。
第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第2実施形態とは異なり、インマニガス系制御対象と排気系制御対象とが同じ1つのグループに割り当てられ、同グループに対応して1つのコントローラが用意されている場合、同コントローラがインマニガス系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、インマニガス系制御対象に関する目標操作量)を決定するためには、同コントローラは、インマニガス系制御対象および排気系制御対象にそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、インマニガス状態量の間の干渉、排気状態量の間の干渉、および、インマニガス状態量と排気状態量との間の干渉)を考慮しつつそれぞれ予測し、この予測の結果に基づいてインマニガス系制御対象および排気系制御対象に関する目標操作量を決定することになる。しかしながら、こうした決定は、コントローラにおける目標操作量の決定にかかる演算負荷を高くしてしまう。
一方、排気系制御対象の操作はインマニガス系制御対象の操作よりも極めて短時間だけ前に行われる。別の云い方をすれば、排気系制御対象の操作はインマニガス系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、既に、排気系制御対象に関する目標操作量が決定されており、この目標操作量が排気系制御対象に与えられていることになる。すなわち、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量を把握することができる状態にある。そして、この排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量に関する情報は、排気系コントローラから得ることができる。そして、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定するためには、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量さえ考慮すれば十分であり、インマニガス系制御対象と排気系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる排気状態量を考慮する必要はない。しかも、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、インマニガス系制御対象と排気系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる排気状態量を考慮するよりも、排気系コントローラから得られる排気状態量に関する情報(この情報は、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうる排気状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定するときに排気系コントローラから得られる排気状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
同様に、インマニガス系制御対象の操作は充填系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、充填系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、インマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときのインマニガス状態量を把握することができる状態にある。そして、このインマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときのインマニガス状態量に関する情報は、インマニガス系コントローラから得ることができる。そして、充填系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、充填系制御対象とインマニガス系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量およびインマニガス状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られるインマニガス状態量を考慮するよりも、インマニガス系コントローラから得られるインマニガス状態量に関する情報(この情報は、インマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうるインマニガス状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、充填系制御対象に関する目標操作量を決定するときにインマニガス系コントローラから得られるインマニガス状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、充填系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
同様に、充填系制御対象の操作は噴射系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、噴射系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、充填系制御対象に目標操作量が与えられたときの充填状態量を把握することができる状態にある。そして、この充填系制御対象に目標操作量が与えられたときの充填状態量に関する情報は、充填系コントローラから得ることができる。そして、噴射系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、噴射系制御対象と充填系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量および充填状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる充填状態量を考慮するよりも、充填系コントローラから得られる充填状態量に関する情報(この情報は、充填系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうる充填状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、噴射系制御対象に関する目標操作量を決定するときに充填系コントローラから得られる充填状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、噴射系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
同様に、噴射系制御対象の操作は排気系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、排気系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときの噴霧状態量を把握することができる状態にある。そして、この噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときの噴霧状態量に関する情報は、噴射系コントローラから得ることができる。そして、排気系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、排気系制御対象と噴射系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量および噴霧状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる噴霧状態量を考慮するよりも、噴射系コントローラから得られる噴霧状態量に関する情報(この情報は、噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうる噴霧状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、排気系制御対象に関する目標操作量を決定するときに噴射系コントローラから得られる噴霧状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、排気系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
以上の第2実施形態から得られる効果をまとめて表現すると、以下のようになる。すなわち、第2実施形態では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量(以下、単に「グループに関連する状態量」という)の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、各コントローラがそれに対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、各コントローラは、それに対応するグループ内の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量の間の干渉を考慮し、対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量に影響を及す別の1つのグループに関連する状態量のみを考慮し、目標操作量を決定すればよい。第2実施形態では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各コントローラは、この別の1つのグループに対応するコントローラから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、各コントローラは、それに対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、上記取得した状態量に関する情報のみを考慮し、目標操作量を決定すればよいことになる。このため、各コントローラは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、第2実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、第2実施形態では、互いに影響し合う状態量を直接的に制御する制御対象が1つのグループに割り当てられている。
ここで、例えば、インマニガス系コントローラは、インマニガス状態量に比較的短時間のうちに影響を及す排気状態量に関する情報(この情報は、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量に関する情報である)を排気系コントローラから取得する。したがって、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定するときに排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量をインマニガス系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、インマニガス系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、インマニガス系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、排気系コントローラから得られる排気状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含むインマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量をこれらインマニガス状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいてインマニガス状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるようにインマニガス系コントローラが再設計されればよい。すなわち、インマニガス系制御対象および排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、インマニガス状態量の間の干渉、排気状態量の間の干渉、および、インマニガス状態量と排気状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいてインマニガス状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるようにインマニガス系コントローラを再設計する必要がない。このため、インマニガス系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときのインマニガス系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
同様に、充填系コントローラは、充填状態量に比較的短時間のうちに影響を及すインマニガス状態量に関する情報(この情報は、インマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときのインマニガス状態量に関する情報である)をインマニガス系コントローラから取得する。したがって、充填系制御対象に関する目標操作量を決定するときにインマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量を充填系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、充填系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、充填系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、インマニガス系コントローラから得られるインマニガス状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含む充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量をこれら充填状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて充填状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように充填系コントローラが再設計されればよい。すなわち、充填系制御対象およびインマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量およびインマニガス状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、充填状態量の間の干渉、インマニガス状態量の間の干渉、および、充填状態量とインマニガス状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて充填状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように充填系コントローラを再設計する必要がない。このため、充填系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの充填系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
同様に、噴射系コントローラは、噴霧状態量に比較的短時間のうちに影響を及び充填状態量に関する情報(この情報は、充填系制御対象に目標操作量が与えられたときの充填状態量に関する情報である)を噴射系コントローラから取得する。したがって、噴射系制御対象に関する目標操作量を決定するときに充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量を噴射系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、噴射系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、噴射系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、充填系コントローラから得られる充填状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含む噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量をこれら噴霧状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて噴霧状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように噴射系コントローラが再設計されればよい。すなわち、噴射系制御対象および充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量および充填状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、噴霧状態量の間の干渉、充填状態量の間の干渉、および、噴霧状態量と充填状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて噴霧状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように噴射系コントローラを再設計する必要がない。このため、噴射系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの噴射系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
同様に、排気系コントローラは、排気状態量に比較的短時間のうちに影響を及す噴霧状態量に関する情報(この情報は、噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときの噴霧状態量に関する情報である)を噴射系コントローラから取得する。したがって、排気系制御対象に関する目標操作量を決定するときに噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量を排気系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、排気系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、排気系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、噴射系コントローラから得られる噴霧状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含む排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量をこれら排気状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて排気状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように排気系コントローラが再設計されればよい。すなわち、排気系制御対象および噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量および噴霧状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、排気状態量の間の干渉、噴霧状態量の間の干渉、および、排気状態量と噴霧状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて排気状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように排気系コントローラを再設計する必要がない。このため、排気系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの排気系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
以上の第2実施形態から得られる効果をまとめて表現すると、以下のようになる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応するコントローラを再設計する必要がある。ここで、第2実施形態では、1つのグループに関連する状態量の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応するコントローラを再設計するときに、特定グループ内の関係に関しては、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉を考慮し、特定グループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、特定グループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量のみを考慮し、特定グループに対応するコントローラを再設計すればよい。第2実施形態では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各コントローラは、この別の1つのグループに対応するコントローラから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、特定グループに対応するコントローラを再設計するときに、特定グループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、上記取得する状態量に関する情報のみを考慮し、特定グループに対応するコントローラを再設計すればよい。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときのコントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
また、第2実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、第2実施形態では、制御対象に関する目標操作量を決定するときに、同制御対象によって制御される状態量に比較的短時間のうちに影響を及す状態量が考慮される。このため、第2実施形態によれば、各状態量をより正確に目標状態量にすることができる目標操作量が決定されることになる。
なお、上述した第2実施形態に含まれている本発明の思想は、複数の制御対象を含む複数のグループを形成し、各グループの各制御対象に関する目標操作量を各グループに対応して用意された1つのコントローラによって決定する場合において、1つのグループの制御対象によって制御される状態量の変化が別の1つのグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちに影響を及すが同別の1つのグループ以外のグループの制御対象によって制御される状態量には同短時間のうちには影響を及さない関係が成立するように各グループを形成し、1つのグループに対応して用意されたコントローラが同1つのグループの制御対象によって制御される状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象を含んでいる別のグループに対応して用意されたコントローラから上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得し、この取得した情報を考慮しつつ同1つのグループの制御対象に関する目標操作量を決定するものであると言える。
なお、第2実施形態では、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、充填系コントローラも噴射系コントローラも排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信することはなく、また、インマニガス系コントローラがそれ以外のコントローラ(すなわち、充填系コントローラ、噴射系コントローラ、および、排気系コントローラ)にインマニガス状態量に関する情報を送信することもなく、また、充填系コントローラと噴射系コントローラとの間で充填状態量または噴霧状態量に関する情報の送受信が行われることもない。したがって、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、排気系コントローラからインマニガス系コントローラへの排気状態量に関する情報の送信のみが行われる。すなわち、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
同様の理由から、第2実施形態では、充填系コントローラがインマニガス系コントローラからインマニガス状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、インマニガス系コントローラから充填系コントローラへのインマニガス状態量に関する情報の送信のみが行われる。すなわち、充填系コントローラがインマニガス系コントローラからインマニガス状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、充填系コントローラがインマニガス系コントローラからインマニガス状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
同様の理由から、第2実施形態では、噴射系コントローラが充填系コントローラから充填状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、充填系コントローラから噴射系コントローラへの充填状態量に関する情報の送受信のみが行われる。すなわち、噴射系コントローラが充填系コントローラから充填状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、噴射系コントローラが充填系コントローラから充填状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
同様の理由から、第2実施形態では、排気系コントローラが噴射系コントローラから噴霧状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、噴射系コントローラから排気系コントローラへの噴霧状態量に関する情報の送受信のみが行われる。すなわち、排気系コントローラが噴射系コントローラから噴霧状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、排気系コントローラが噴射系コントローラから噴霧状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
このように、第2実施形態では、機関運転中、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
また、第2実施形態では、1つのコントローラから別のコントローラへの状態量に関する情報の送信は、時系列的に順に行われている。
なお、第2実施形態では、1つのグループ内の関係に関し、同グループに関連する状態量は互いに影響し合う。しかしながら、1つのグループに関連する状態量が別の1つのグループに関連する状態量のみから短時間のうちに影響を受けるように各グループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、互いに影響し合わない状態量を制御する制御対象が1つのグループに割り当てられていてもよい。
また、上述した実施形態において、インマニガス状態量は吸気枝管51内のガスに関する状態量であるが、このインマニガス状態量は、広くは、吸気枝管51と吸気管52とを含む吸気系50内のガスに関する状態量であってもよい。すなわち、この場合、吸気枝管51を吸気管52の一部であると捉えれば、インマニガス状態量は、広くは、吸気管内のガスに関する状態量であると言える。
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の性能に対する要求(例えば、燃焼室から排出される排気ガス中の成分に関する要求)が高まると、内燃機関に関する様々な状態量を能動的に制御する必要性が高まる。そして、内燃機関に関する様々な状態量を能動的に制御するためには、各状態量を制御するための手段(以下「制御対象」という)と、各制御対象を操作するための複数のアクチュエータとが必要となる。
ところで、内燃機関の制御装置は、一般的に、アクチュエータから制御対象に与えられる操作量を決定するための制御ロジックをコントローラとしてアクチュエータ毎に有している。このため、制御対象の数が多くなるとアクチュエータの数も多くなることから、アクチュエータから制御対象に与える操作量を決定するためのコントローラの数も多くなる。そして、この場合、内燃機関の制御装置による制御対象に与える操作量の決定も複雑になり、その結果、幾つかの不都合が生じる。
特許文献1に記載の車両の制御装置は、こうした不都合の1つを解決するものである。すなわち、各制御対象によって制御される状態量に対して複数の要求が生じる場合がある。この場合、各制御対象に与えられる操作量に関して複数の指令が発せられ、これら指令が互いに競合している場合、いずれの指令に従って各制御対象に与えるべき操作量を決定すべきか判断しなければならず(或いは、複数の要求を最適な形で満たすように、これら指令を調整しなければならず)、各制御対象に与えるべき操作量の決定が非常に複雑になるという不都合が生じる。
特許文献1に記載の車両の制御装置では、各アクチュエータの操作量に関する指令が競合しないように、操作量に関する指令として各アクチュエータに1つの指令のみが発せられるようになっている。詳細には、内燃機関に空気を供給するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関の燃焼室内の混合気に点火するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータとが1つのグループとされ、このグループのアクチュエータに与えるべき操作量に関する指令を発生するための指令発生部として1つの指令発生部だけが用意され、この1つの指令発生部からのみ操作量に関する指令が上記グループのアクチュエータに発せられるようになっている。
ところで、上述したように、上記グループには、内燃機関に空気を供給するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータと、内燃機関の燃焼室内の混合気に点火するための制御対象に操作量を与えるアクチュエータとが含まれている。ここで、内燃機関に空気を供給するための制御対象によって制御される状態量は、例えば、燃焼室内に吸入される空気の量(以下この量を「吸気量」という)であり、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象によって制御される状態量は、例えば、燃焼室内に供給される燃料の量(以下この量を「燃料噴射量」という)である。ここで、内燃機関に空気を供給するための制御対象に与えられる操作量が変更されて吸気量が変化したとしても、この吸気量の変化は燃料噴射量には直接的な物理的な影響を及さない。一方、内燃機関に燃料を噴射するための制御対象に与えられる操作量が変更されて燃料噴射量が変化したとしても、この燃料噴射量の変化は吸気量には直接的な物理的な影響を及さない。すなわち、上記グループに対応して用意されている制御ロジックは、こうした直接的な物理的な影響を及し合わない状態量(すなわち、吸気量および燃料噴射量)を制御するための制御対象にアクチュエータから与えるべき操作量を決定することができるように設計されている。しかしながら、このように1つの制御ロジックが直接的な物理的な影響を及し合わない状態量を制御するための制御対象にアクチュエータから与えるべき操作量を決定するように設計されていることは、操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するという観点からは不利である。
また、特許文献1に記載されている思想に従えば、吸気量や燃料噴射量に直接的な物理的な影響を及さない状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加されたときに、この新たな制御対象に操作量を与えるアクチュエータが上記グループに割り当てられる場合があり得る。この場合、新たな制御対象によって制御される状態量が吸気量や燃料噴射量に直接的な物理的な影響を及さないにも係わらず、上記グループに対応して用意されている制御ロジックを再設計しなければならない。しかしながら、1つのグループの制御対象によって制御される状態量に直接的な物理的な影響を及さない状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加されたときに、この新たな制御対象に操作量を与えるアクチュエータが同グループに割り当てられ、その結果、同グループに対応して用意されている制御ロジックを再設計しなければならないことは、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷を可能な限り低くするという観点からは不利である。
そこで、本発明の目的は、アクチュエータから制御対象に与えるべき操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができると共に新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷が可能な限り低い内燃機関の制御装置を提供することにある。
本願の1番目の発明は、内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置に関する。
そして、本発明では、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの各制御対象に関する目標操作量が各グループに対応して用意された制御ロジックによって決定される。そして、本発明では、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるように前記グループが形成されていると共に、各グループの制御対象によって制御される状態量が別のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及さない関係が成立するように前記グループが形成されている。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量(以下、特定のグループの制御対象によって制御される状態量を単に「グループに関連する状態量」ともいう)は互いに影響し合う。すなわち、1つのグループに関連する状態量は互いに干渉する。一方、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに干渉しない。したがって、各グループに対応する制御ロジックは、それに対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量の間の干渉を考慮しつつ目標操作量を決定すればよい。一方、各グループに対応する制御ロジックは、対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量と同対応するグループ以外のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮せずに目標操作量を決定すればよい。このため、各制御ロジックは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応する制御ロジックを再設計する必要がある。ここで、本発明では、1つのグループに関連する状態量は互いに影響し合う。すなわち、1つのグループに対応する状態量は互いに干渉する。一方、本発明では、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに干渉しない。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応する制御ロジックを再設計するときに、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉を考慮して特定グループに対応する制御ロジックを再設計すればよく、特定グループに関連する状態量(この状態量には、新たな制御対象によって制御される状態量が含まれる)と特定グループとは別のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮して特定グループに対応する制御ロジックを再設計する必要はない。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の2番目の発明では、上記1番目の発明において、前記グループのうち少なくとも1つのグループの各グループに対応して用意された制御ロジックが、該各グループの前記各制御対象に関する目標操作量を決定するための制御として、単一の制御を実行する。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。ここで、1つのグループの制御対象が単一の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意される制御ロジックの構造は、1つのグループの制御対象が異なる複数の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意される制御ロジックの構造に比べて単純なものとなる。したがって、本発明によれば、単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいるグループに対応して用意される制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。このため、同制御ロジックは、さらに低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。ここで、内燃機関に新たな制御対象が追加され、この新たな制御対象が本発明の上記単一の制御と同じ制御によって状態量を制御する場合、この新たな制御対象は、上記単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含むグループに割り当てられる。そして、この場合、同グループに対応する制御ロジックを再設計する必要がある。ここで、上述したように、同制御ロジックの構造は、単純なものとなっている。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの同制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の3番目の発明では、上記2番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である。
本願の4番目の発明では、上記3番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である。
本願の5番目の発明では、上記1〜3番目の発明のいずれか1つにおいて、前記グループのうち1つのグループに内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうち別の1つのグループに内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料の噴霧の状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられている。
本願の9番目の発明は、内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置に関する。
そして、本発明では、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの各制御対象に関する目標操作量が各グループに対応してそれぞれ用意された制御ロジックによって決定される。また、本発明では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量の変化が別の1つのグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちに影響を及すが同別の1つのグループ以外のグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちには影響を及さない関係が成立するように前記グループが形成されている。また、本発明では、1つのグループに対応して用意された制御ロジックが同1つのグループの制御対象によって制御される状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象を含んでいる別のグループに対応して用意された制御ロジックから前記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得し、該取得した情報を考慮しつつ前記1つのグループの制御対象に関する目標操作量を決定する。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、1つのグループに関連する状態量の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、各制御ロジックがそれに対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、各制御ロジックは、それに対応するグループ内の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量が互いに干渉する(すなわち、互いに影響し合う)場合にはその干渉を考慮し、対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量に影響を及す別の1つのグループに関連する状態量のみを考慮し、目標操作量を決定すればよい。本発明では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各制御ロジックは、この別の1つのグループに対応する制御ロジックから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、各制御ロジックは、それに対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、上記取得した状態量に関する情報のみを考慮し、目標操作量を決定すればよいことになる。このため、各制御ロジックは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応する制御ロジックを再設計する必要がある。ここで、本発明では、1つのグループに関連する状態量の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応する制御ロジックを再設計するときに、特定グループ内の関係に関しては、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉がある場合にはその干渉を考慮し、特定グループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、特定グループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量のみを考慮し、特定グループに対応する制御ロジックを再設計すればよい。本発明では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各制御ロジックは、この別の1つのグループに対応する制御ロジックから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、特定グループに対応する制御ロジックを再設計するときに、特定グループとそれ以外のグループとの関係に関しては、上記取得する状態量に関する情報のみを考慮し、特定グループに対応する制御ロジックを再設計すればよい。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の10番目の発明では、上記9番目の発明において、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるように前記グループが形成されている。
本願の11番目の発明では、上記9または10番目の発明において、前記グループのうち少なくとも1つのグループの各グループに対応して用意された制御ロジックが、該各グループの前記各制御対象に関する目標操作量を決定するための制御として、単一の制御を実行する。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。したがって、上記2番目の発明に関連して説明した理由と同じ理由から、同グループに対応する制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。このため、同制御ロジックは、さらに低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。すなわち、本発明では、少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含んでいる。したがって、本発明の上記単一の制御と同じ制御によって状態量を制御する新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が上記単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含むグループに割り当てられた場合、上記2番目の発明に関連して説明した理由と同じ理由から、同グループに対応する制御ロジックの再設計にかかる負荷が非常に低い。
本願の12番目の発明では、上記11番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である。
本願の13番目の発明では、上記12番目の発明において、前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である。
本願の14番目の発明では、上記9〜12番目の発明のいずれか1つにおいて、前記グループのうちの1つのグループに内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうち別の1つのグループに内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料の噴霧の状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つグループに内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられている。
以下、図面を参照して本発明の内燃機関の制御装置の実施形態について説明する。図1および図2に、本発明の実施形態の制御装置が適用された内燃機関が示されている。図1および図2に示されている内燃機関は、圧縮自着火式の内燃機関(すなわち、いわゆるディーゼルエンジン)である。しかしながら、本発明の制御装置は、火花点火式の内燃機関(すなわち、いわゆるガソリンエンジン)にも適用可能である。
図1および図2に示されているように、内燃機関10は、内燃機関の本体(以下「機関本体」という)20と、燃料噴射弁40と、燃料ポンプ41と、吸気系50と、排気系60とを有する。燃料噴射弁40は、機関本体20の4つの燃焼室21にそれぞれ対応して配置されている。燃料ポンプ41は、燃料噴射弁40に燃料供給管42を介して燃料を供給する。燃料供給管42には、該燃料供給管内の燃料の圧力を検出する圧力センサ(以下このセンサを「燃圧センサ」という)43が取り付けられている。燃料噴射弁40には、該燃料噴射弁を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「燃料噴射弁アクチュエータ」という)が内蔵されている。吸気系50は、外部から燃焼室21に空気を供給する系であり、吸気枝管(すなわち、インテークマニホルド)51と吸気管52とを有する。排気系60は、燃焼室21から排出される排気ガスを外部に排出する系であり、排気枝管(すなわち、エキゾーストマニホルド)61と排気管62とを有する。
また、燃料噴射弁40は、燃焼室21内に燃料を噴射することができる。そして、燃料噴射弁40は、燃焼室21内に噴射する燃料の量(以下この量を「燃料噴射量」という)を制御可能である。すなわち、燃料噴射弁40は、燃料噴射量を直接的に制御可能である。そして、燃料噴射量が変化することは、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧の状態が変化することに相当する。したがって、燃料噴射量は、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量であると言える。
また、燃料噴射弁40は、燃焼室内21に燃料を噴射するタイミングを制御可能である。そして、例えば、吸気行程中のタイミング(または、圧縮行程の前半のタイミング)において燃料噴射弁40から燃料が噴射されれば、燃料が比較的均質に分布している混合気(すなわち、いわゆる均質混合気)が燃焼室21内に形成されやすい。一方、吸気行程の後半のタイミングにおいて燃料噴射弁40から燃料が噴射されれば、燃料が一部の領域にのみ分布している混合気(すなわち、いわゆる成層混合気)が燃焼室21内に形成されやすい。すなわち、燃料噴射弁40から燃料が噴射されるタイミングが変わると、燃焼室21内に形成される混合気中の燃料の分布(以下この分布を単に「混合気中の燃料分布」という)も変わる。すなわち、燃料噴射弁40は、混合気中の燃料分布を直接的に制御可能である。そして、混合気中の燃料分布が変化することは、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧の状態が変化することに相当する。したがって、燃料噴射弁40によって制御される混合気中の燃料分布は、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量であると言える。
また、燃料ポンプ41は、燃料噴射弁40に供給される燃料の圧力(以下この圧力を「燃圧」という)を制御可能である。したがって、燃料ポンプ41は、燃圧を直接的に制御可能である。そして、例えば、燃圧が比較的高ければ、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料は当該燃料が燃焼するまでに燃焼室21内をより遠くまで移動するし、燃圧が比較的低ければ、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料は当該燃料が燃焼するときに燃料噴射弁40に比較的近い領域に留まっている。すなわち、燃圧が変化することは、燃料噴射弁40から噴射された燃料の噴霧の状態が変化することに相当する。したがって、燃圧は、燃料噴射弁40から噴射された燃料の噴霧に関する状態量であると言える。なお、燃料ポンプ41には、該燃料ポンプから燃料噴射弁40に供給される燃料の圧力を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「燃料ポンプアクチュエータ」という)が内蔵されている。
また、内燃機関10は、過給機70を具備する。過給機70は、吸気管52内に配置されるコンプレッサ70Aと、排気管62内に配置される排気タービン70Bとを有する。
排気タービン70Bは、図3に示されているように、排気タービン本体70Cと翼状の複数のベーン70Dとを有する。排気タービン本体70Cは、シャフト(図示せず)を介してコンプレッサ70Aに接続されている。排気タービン本体70Cが排気ガスによって回転せしめられると、その回転がシャフトを介してコンプレッサ70Aに伝達され、これによって、コンプレッサ70Aが回転せしめられる。
一方、ベーン70Dは、排気タービン本体70Cを包囲するように該排気タービン本体の回転中心軸線R1を中心として放射状に等角度間隔で配置されている。また、各ベーン70Dは、図2に符号R2で示されているそれぞれ対応する軸線周りで回動可能に配置されている。そして、各ベーン70Cが延在している方向、すなわち、図2に符号Eで示されている方向を「延在方向」と称し、排気タービン本体70Cの回転中心軸線R1とベーン70Dの回動軸線R2とを結ぶ線、すなわち、図3に符号Aで示されている線を「基準線」と称したとき、各ベーン70Dは、その延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が全てのベーン70Dに関して等しくなるように回動せしめられる。そして、各ベーン70Dがその延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が小さくなるように、すなわち、隣り合うベーン70D間の流路面積が小さくなるように回動せしめられると、排気タービン本体70Cに供給される排気ガスの流速が速くなる。その結果、排気タービン本体70Cの回転速度が速くなり、その結果、コンプレッサ70Aの回転速度も速くなり、したがって、吸気管52内を流れる空気がコンプレッサ70Aによって大きく圧縮されることになる。このため、各ベーン70Dの延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が小さくなるほど、コンプレッサ70Aによって吸気管52内を流れる空気が圧縮される程度が大きくなる。
なお、各ベーン70Dは、排気タービン70B内に搭載されているアクチュエータ(以下「ベーンアクチュエータ」というによって回動せしめられる。
また、吸気枝管51の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室21に対応して機関本体20内に形成された吸気ポート22に接続されている。一方、吸気枝管51の他方の端部は、吸気管52に接続されている。吸気ポート22には、当該吸気ポートを開閉するための吸気弁23が配置されている。そして、各燃焼室21に対応して2つの吸気ポート22がそれぞれ設けられており、各燃焼室21に関して一方の吸気ポート22には、スワールコントロール弁24が配置されている。また、図示していないが、スワールコントロール弁24には、該スワールコントロール弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「スワールコントロール弁アクチュエータ」という)が接続されている。
また、吸気弁23には、吸気タイミング制御機構25と吸気弁リフト量制御機構26とが接続されている。吸気タイミング制御機構25には、該吸気タイミング制御機構を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「吸気タイミング制御機構アクチュエータ」という)が内蔵されている。また、吸気弁リフト量制御機構26には、該吸気弁リフト量制御機構を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「吸気弁リフト量制御機構アクチュエータ」という)が内蔵されている。
また、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気管52内には、該吸気管内を流れるガスの量を制御するスロットル弁53が配置されている。スロットル弁53には、該スロットル弁の開度を制御するアクチュエータ53Aが取り付けられている。また、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気管52内にも、該吸気管内を流れるガスの量を制御するスロットル弁54が配置されている。スロットル弁54には、該スロットル弁の開度を制御するアクチュエータ54Aが取り付けられている。
また、吸気管52には、該吸気管内を流れる空気を冷却するインタークーラ55が配置されている。また、吸気管52の外部を臨む端部には、エアクリーナ56が配置されている。また、エアクリーナ56とスロットル弁54との間の吸気間52には、エアフローメータ57が配置されている。また、吸気枝管51には、該吸気枝管内の圧力を検出する圧力センサ(以下「吸気圧センサ」という)58が取り付けられている。また、エアフローメータ57とエアクリーナ55との間の吸気管52には、該吸気管内の空気の温度(すなわち、外気の温度)を検出する温度センサ(以下この温度センサを「外気温センサ」という)59が配置されている。
なお、スロットル弁53は、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50内を流れるガスの量を制御する弁である。そして、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50内の圧力は比較的高い。そこで、以下の説明では、スロットル弁53を「高圧スロットル弁」と称し、アクチュエータ53Aを「高圧スロットル弁アクチュエータ」と称することとする。また、スロットル弁54は、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50内を流れるガスの量を制御する弁である。そして、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50内の圧力は比較的低い。そこで、以下の説明では、スロットル弁54を「低圧スロットル弁」と称し、アクチュエータ54Aを「低圧スロットル弁アクチュエータ」と称することとする。
上述したように、高圧スロットル弁53は、吸気系50内を流れるガスの量(以下この量を「吸気ガス量」という)を制御可能である。したがって、高圧スロットル弁53は、吸気ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸気ガス量が多ければ、吸気枝管51内の圧力(以下この圧力を「インマニガス圧」という)が高くなる。したがって、吸気ガス量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、高圧スロットル弁53によって制御される吸気ガス量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
また、上述したように、低圧スロットル弁54も、吸気ガス量を制御可能である。したがって、低圧スロットル弁54は、吸気ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸気ガス量が多ければ、インマニガス圧が高くなる。したがって、吸気ガス量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、低圧スロットル弁54によって制御される吸気ガス量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
吸気タイミング制御機構25は、吸気弁23を開弁させるタイミング(以下このタイミングを「吸気弁開弁タイミング」という)と吸気弁23を閉弁させるタイミング(以下このタイミングを「吸気弁閉弁タイミング」という)とを制御可能である。そして、吸気弁開弁タイミングまたは吸気弁閉弁タイミングが変わると、燃焼室21内に吸入されるガスの量(以下この量を「吸入ガス量」という)も変わる。すなわち、吸気タイミング制御機構25は、吸入ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸入ガス量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、吸気タイミング制御機構25によって制御される吸入ガス量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、吸気弁開弁タイミングが排気上死点(すなわち、排気行程における上死点)よりも早いと、燃焼室21内の排気ガスが吸気ポート22を介して吸気枝管51内に排出されることがある。この場合、吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入されるときに、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排出された排気ガスも吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内に吸入される。そして、吸気弁開弁タイミングが排気上死点よりも早いほど、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排出される排気ガスの量が多くなり、その結果、吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入されるときに、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排出された排気ガスが吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内に吸入される量(以下この量を「内部EGR量」という)も多くなる。したがって、吸気タイミング制御機構25は、内部EGR量を直接的に制御可能である。そして、内部EGR量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、吸気タイミング制御機構25によって制御される内部EGR量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
吸気弁リフト量制御機構26は、吸気弁23を開弁させる量(すなわち、いわゆるリフト量)を制御可能である。そして、吸気弁23のリフト量が変わると、吸入ガス量(すなわち、燃焼室21内に吸入されるガスの量)も変わる。したがって、吸気弁リフト量制御機構26は、吸入ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸入ガス量が変化することは、燃焼室21内へのガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、吸気弁リフト量制御機構26によって制御される吸入ガス量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、吸気弁23の開弁タイミングが排気上死点よりも早く、吸気ポート22を介して燃焼室21から吸気枝管51内に排気ガスが排出されているときに、吸気弁23のリフト量が変わると、内部EGR量も変わる。したがって、吸気弁リフト量制御機構26は、内部EGR量も直接的に制御可能である。そして、内部EGR量が変わることは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変わることに相当する。したがって、吸気弁リフト量制御機構26によって制御される内部EGR量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
スワールコントロール弁24は、各燃焼室21に対応して設けられている2つの吸気ポート22のうち、一方の吸気ポート22を開放したり閉鎖したりすることができる。そして、スワールコントロール弁24が吸気ポート22を開放した状態にあるときには、各燃焼室21に関して2つの吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入される。一方、スワールコントロール弁14が一方の吸気ポート22を閉鎖した状態にあるときには、各燃焼室21に関してスワールコントロール弁24によって閉鎖されていない方の吸気ポート22のみを介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入される。この場合、燃焼室21内に吸入されたガスが燃焼室21内において該燃焼室の中心軸線を中心として高速で回転する。すなわち、いわゆるスワール流が燃焼室21内に形成される。そして、スワール流が燃焼室21内に形成されると、燃焼室21内におけるガスの流速(以下この流速を「筒内ガス流速」という)が速くなる。したがって、スワールコントロール弁24は、筒内ガス流速を直接的に制御可能である。そして、筒内ガス流速が速い場合の燃焼室21内のガスの充填の状態は、自ずと、筒内ガス流速が遅い場合の燃焼室21内のガスの充填の状態とは異なる。すなわち、筒内ガス流速が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、スワールコントロール弁14によって制御される筒内ガス流速は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、排気枝管61の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室21に対応して機関本体20内に形成された排気ポート27に接続されている。一方、排気枝管61の他方の端部は、排気管62に接続されている。排気ポート27には、当該排気ポートを開閉するための排気弁28が配置されている。また、排気弁28には、排気タイミング制御機構29が接続されている。また、排気タイミング制御機構29には、該排気タイミング制御機構を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「排気タイミング制御機構アクチュエータ」という)が内蔵されている。また、排気管62には、触媒コンバータ63が配置されている。触媒コンバータ63内には、排気ガス中の特定成分を浄化する排気浄化触媒63Aが内蔵されている。
排気タイミング制御機構29は、排気弁27を開弁させるタイミング(以下このタイミングを「排気弁開弁タイミング」という)と排気弁27を閉弁させるタイミング(以下このタイミングを「排気弁閉弁タイミング」という)とを制御可能である。そして、排気弁閉弁タイミングが排気上死点よりも早いと、燃焼室21内に排気ガスが残留する。この場合、吸気弁23が開弁されて吸気ポート22を介して吸気枝管51から燃焼室21内にガスが吸入されるときに燃焼室21内に排気ガスが残留しているのであるから、吸入ガス量が少なくなる。そして、排気弁閉弁タイミングが排気上死点よりも早いほど、燃焼室21内に残留する排気ガスの量が多くなり、その結果、吸入ガス量が少なくなる。したがって、排気タイミング制御機構29は、吸入ガス量を直接的に制御可能である。そして、吸入ガス量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、排気タイミング制御機構29によって制御される吸入ガス量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、上述したように、排気弁閉弁タイミングが排気上死点よりも早いほど、燃焼室21内に残留する排気ガスの量が多くなる。この場合、燃焼室21内に形成される混合気中に含まれる排気ガスの量(以下この量も「内部EGR量」という)も多くなる。したがって、排気タイミング制御機構29は、内部EGR量を直接的に制御可能である。そして、内部EGR量が変化することは、燃焼室21内のガスの充填の状態が変化することに相当する。したがって、排気タイミング制御機構29によって制御される内部EGR量は、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であると言える。
また、排気タービン70Bと触媒コンバータ63との間の排気管62には、排気絞り弁64が配置されている。排気絞り弁64には、該排気絞り弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「排気絞り弁アクチュエータ」という)64Aが取り付けられている。排気絞り弁64は、当該排気絞り弁を通過する排気ガスの流量を制御可能である。したがって、排気絞り弁64は、当該排気絞り弁を通過する排気ガスの流量(以下この流量を「排気流量」という)を直接的に制御可能である。そして、排気流量が変化することは、排気ガスの状態が変化することに相当する。したがって、排気絞り弁64によって制御される排気流量は、排気ガスに関する状態量であると言える。
また、排気絞り弁64と触媒コンバータ63との間の排気管62には、燃料添加弁65が配置されている。燃料添加弁65には、該燃料添加弁を操作するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「燃料添加弁アクチュエータ」という)が内蔵されている。燃料添加弁65は、排気管62内に炭化水素(すなわち、燃料)を噴射することができる。そして、燃料添加弁65から炭化水素が噴射されると、燃料添加弁65を通過する排気ガス中の炭化水素の量が多くなる。したがって、燃料添加弁65は、排気ガス中の炭化水素の量を直接的に制御可能である。また、排気ガス中の炭化水素の量が変化することは、排気ガスの状態が変化することに相当する。したがって、燃料添加弁65によって制御される排気ガス中の炭化水素の量は、排気ガスに関する状態量であると言える。
また、内燃機関10は、排気再循環装置(以下「EGR装置」という)80Hを具備する。EGR装置80Hは、排気再循環管(以下「EGR管」という)81Hを有する。EGR管81Hの一端は、排気枝管61に接続されている。一方、EGR管81Hの他端は、吸気枝管51に接続されている。また、EGR管81Hには、該EGR管内を流れる排気ガスの流量を制御する排気再循環制御弁(以下この弁を「EGR制御弁」という)82Hが配置されている。EGR制御弁82Hは、該EGR制御弁に内蔵されているアクチュエータ(以下「EGR制御弁アクチュエータ」という)によって動作せしめられる。内燃機関10では、EGR制御弁82Hの開度が大きいほど、EGR管81H内を流れる排気ガスの流量が多くなる。さらに、EGR管81Hには、該EGR管内を流れる排気ガスを冷却する排気再循環クーラ(以下このクーラを「EGRクーラ」という)83Hが配置されている。
なお、EGR管81Hは、排気タービン70Bよりも上流の排気系60内の排気ガスをコンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50に導入する管である。そして、排気タービン70Bよりも上流の排気系60内の圧力は比較的高く、コンプレッサ70Aよりも下流の吸気系50内の圧力は比較的高い。そこで、以下の説明では、EGR装置80Hを「高圧EGR装置」と称し、EGR管81Hを「高圧EGR管」と称し、EGR制御弁82Hを「高圧EGR制御弁」と称し、EGRクーラ83Hを「高圧EGRクーラ」と称することとする。
また、高圧EGRクーラ83Hよりも上流の高圧EGR管81Hの部分と高圧EGRクーラ83Hよりも下流の高圧EGR管81Hの部分とがバイパス管(以下この管を「高圧EGRクーラバイパス管」という)84Hによって接続されている。そして、高圧EGRクーラバイパス管84Hには、バイパス弁(以下この弁を「高圧EGRクーラバイパス弁」という)85Hが配置されている。高圧EGRクーラバイパス弁85Hには、該高圧EGRクーラバイパス弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「高圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ」という)85HAが取り付けられている。高圧EGRクーラバイパス弁85Hは、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの量を制御する。詳細には、高圧EGRクーラバイパス弁85Hの開度が大きいほど、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの流量が多くなる。
また、内燃機関10は、排気再循環装置(以下「EGR装置」という)80Lを具備する。EGR装置80Lは、排気再循環管(以下「EGR管」という)81Lを有する。EGR管81Lの一端は、排気タービン70Bよりも下流側であって触媒コンバータ63よりも上流の排気管62に接続されている。一方、EGR管81Lの他端は、コンプレッサ70Aよりも上流側であってエアフローメータ57よりも下流の吸気管52に接続されている。また、EGR管81Lには、該EGR管内を流れる排気ガスの流量を制御する排気再循環制御弁(以下この弁を「EGR制御弁」という)82Lが配置されている。EGR制御弁82Lは、該EGR制御弁82Lに内蔵されているアクチュエータ(以下「EGR制御弁アクチュエータ」という)によって動作せしめられる。内燃機関10では、EGR制御弁82Lの開度が大きいほど、EGR管81L内を流れる排気ガスの流量が多くなる。さらに、EGR管81Lには、該EGR管内を流れる排気ガスを冷却する排気再循環クーラ83Lが配置されている。
なお、EGR管81Lは、排気タービン70Bよりも下流の排気系60内の排気ガスをコンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50に導入する管である。そして、排気タービン70Bよりも下流の排気系60内の圧力は比較的低く、コンプレッサ70Aよりも上流の吸気系50内の圧力は比較的低い。そこで、以下の説明では、EGR装置80Lを「低圧EGR装置」と称し、EGR管81Lを「低圧EGR管」と称し、EGR制御弁82Lを「低圧EGR制御弁」と称することとする。
また、低圧EGRクーラ83Lよりも上流の低圧EGR管81Lの部分と低圧EGRクーラ83Lよりも下流の低圧EGR管81Lの部分とがバイパス管(以下この管を「低圧EGRクーラバイパス管」という)84Lによって接続されている。そして、低圧EGRクーラバイパス管84Lには、バイパス弁(以下この弁を「低圧EGRクーラバイパス弁」という)85Lが配置されている。低圧EGRクーラバイパス弁85Lには、該低圧EGRクーラバイパス弁の開度を制御するアクチュエータ(以下このアクチュエータを「低圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ」という)85LAが取り付けられている。低圧EGRクーラバイパス弁85Lは、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの量を制御する。詳細には、低圧EGRクーラバイパス弁85Lの開度が大きいほど、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの流量が多くなる。
上述したように、高圧EGR制御弁82Hは、高圧EGR管81H内を流れる排気ガスの流量を制御することができ、その結果、吸気枝管51内に導入される排気ガスの量(以下この量を「外部EGR量」という)を制御可能である。したがって、高圧EGR制御弁82Hは、外部EGR量を直接的に制御可能である。そして、外部EGR量が多くなれば、吸気枝管51内のガス中の排気ガスの量も多くなる。したがって、外部EGR量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、高圧EGR制御弁82Hによって制御される外部EGR量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
上述したように、低圧EGR制御弁82Lは、低圧EGR管81L内を流れる排気ガスの流量を制御することができ、その結果、吸気管52内に導入される排気ガスの量、引いては、吸気枝管51内に導入される排気ガスの量(以下この量も「外部EGR量」という)を制御可能である。したがって、低圧EGR制御弁82Lは、外部EGR量を直接的に制御可能である。そして、外部EGR量が多くなれば、吸気枝管51内のガス中の排気ガスの量も多くなる。したがって、外部EGR量が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、低圧EGR制御弁82Lによって制御される外部EGR量は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
上述したように、高圧EGRクーラバイパス弁85Hは、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの流量を制御可能である。そして、高圧EGRクーラバイパス管84H内を流れる排気ガスの流量が多くなると、高圧EGRクーラ83Hを介さずに吸気枝管51内に導入される排気ガスの量が多くなり、その結果、高圧EGR装置80Hによって吸気枝管51内に導入される排気ガスの温度(以下この温度を「外部EGR温度」という)が高くなる。したがって、高圧EGRクーラバイパス弁85Hは、外部EGR温度を直接的に制御可能である。そして、外部EGR温度が高くなると、吸気枝管51内のガスの温度も高くなる。すなわち、外部EGR温度が変化することは、吸気枝管51内のガスの温度が変化することに相当する。したがって、高圧EGRクーラバイパス弁85Hによって制御される外部EGR温度は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
また、上述したように、低圧EGRクーラバイパス弁85Lは、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの流量を制御可能である。そして、低圧EGRクーラバイパス管84L内を流れる排気ガスの流量が多くなると、低圧EGRクーラ83Lを介さずに吸気管52内に導入される排気ガスの量が多くなり、その結果、低圧EGR装置80Lによって吸気管52内に導入される排気ガスの温度(以下この温度も「外部EGR温度」という)が高くなる。したがって、低圧EGRクーラバイパス弁84Lは、外部EGR温度を直接的に制御可能である。そして、外部EGR温度が高くなると、吸気枝管51内のガスの温度も高くなる。すなわち、外部EGR温度が変化することは、吸気枝管51内のガスの温度が変化することに相当する。したがって、低圧EGRクーラバイパス弁85Lによって制御される外部EGR温度は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
上述したように、ベーン70Dは、コンプレッサ70Aによって吸気管52内を流れる空気が圧縮される程度(すなわち、過給圧)を制御可能である。そして、コンプレッサ70Aによって吸気管52内を流れる空気が圧縮される程度が大きくなるほど、インマニガス圧が高くなる。したがって、ベーン70Dは、インマニガス圧を直接的に制御可能である。そして、インマニガス圧が変化することは、吸気枝管51内のガスの状態が変化することに相当する。したがって、ベーン70Dによって制御されるインマニガス圧は、吸気枝管51内のガスに関する状態量であると言える。
なお、機関本体20には、クランクシャフト30の回転角度を検出するクランク角度センサ31が取り付けられている。また、図2において、参照符号32はピストンを示しており、参照符号33はピストン32をクランクシャフト30に接続するためのコンロッドを示しており、参照符号34は燃焼室21内の圧力を検出する圧力センサ(以下このセンサを「筒内圧センサ」という)を示している。
また、内燃機関10は、電子制御装置90を具備する。電子制御装置90は、マイクロプロセッサ(CPU)91と、リードオンリメモリ(ROM)92と、ランダムアクセスメモリ(RAM)93と、バックアップRAM(Back up RAM)94と、インターフェース95とを有する。インターフェース95には、燃料噴射弁アクチュエータ、燃料ポンプアクチュエータ、高圧スロットル弁アクチュエータ53A、低圧スロットル弁アクチュエータ54A、吸気タイミング制御機構アクチュエータ、吸気弁リフト量制御機構アクチュエータ、排気タイミング制御機構アクチュエータ、スワールコントロール弁アクチュエータ、ベーンアクチュエータ、高圧EGR制御弁アクチュエータ、低圧EGR制御弁アクチュエータ、高圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ85HA、低圧EGRクーラバイパス弁アクチュエータ85LA、排気絞り弁アクチュエータ64A、および、燃料添加弁アクチュエータが接続されており、これらの動作を制御する制御信号がインターフェース95を介して電子制御装置90から与えられる。また、インターフェース95には、エアフローメータ57、吸気圧センサ58、燃圧センサ43、クランク角度センサ31、筒内圧センサ34、アクセルペダルAPの踏込量を検出するアクセル開度センサ96、および、外気温センサ59も接続されている。
ところで、図示されている内燃機関10には、当該内燃機関に関する状態量を制御するための手段として、高圧EGR制御弁82H、低圧EGR制御弁82L、高圧スロットル弁53、低圧スロットル弁54、排気タービン70Bのベーン70D、高圧EGRクーラバイパス弁85H、低圧EGRクーラバイパス弁85L、吸気タイミング制御機構25、排気タイミング制御機構29、吸気弁リフト量制御機構26、スワールコントロール弁24、燃料噴射弁40、燃料ポンプ41、燃料添加弁65、および、排気絞り弁64(以下これら手段をそれぞれ「制御対象」ともいう)が設けられている。そして、各制御対象には当該制御対象を操作するためのアクチュエータが取り付けられ、或いは、各制御対象には当該制御対象を操作するためのアクチュエータが内蔵されている。
そして、本実施形態(以下「第1実施形態」という)では、これら制御対象にアクチュエータから与えられる操作量を以下のように決定する。
すなわち、上述したように、高圧EGR制御弁82Hと低圧EGR制御弁82Lとが直接的に制御可能な状態量は外部EGR量である。また、高圧スロットル弁53と低圧スロットル弁54とが直接的に制御可能な状態量は吸気ガス量である。また、排気タービン70Bのベーン70Dが直接的に制御可能な状態量はインマニガス圧である。また、高圧EGRクーラバイパス弁85Hと低圧EGRクーラバイパス弁85Lとが直接的に制御可能な状態量は外部EGR温度である。そして、これら外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度は、全て、吸気枝管内のガスに関する状態量である。
このように、高圧EGR制御弁82Hと低圧EGR制御弁82Lと高圧スロットル弁53と低圧スロットル弁54と排気タービン70Bのベーン70Dと高圧EGRクーラバイパス弁85Hと低圧EGRクーラバイパス弁85Lとが共通して吸気枝管51内のガスに関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら高圧EGR制御弁、低圧EGR制御弁、高圧スロットル弁、低圧スロットル弁、排気タービンのベーン、高圧EGRクーラバイパス弁、および、低圧EGRクーラバイパス弁を1つのグループ(以下このグループを「インマニガス系グループ」という)に割り当てる。
さらに、外部EGR量と吸気ガス量と外部EGR温度とが共通して吸気枝管51内のガスに関する状態量であることから、これら外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度をまとめて「インマニガス状態量」として扱う。
なお、上述したように、インマニガス系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「インマニガス系制御対象」という)はそれぞれ対応するインマニガス状態量を直接的に制御するが、各インマニガス系制御対象が直接的に制御するインマニガス状態量を別の表現を用いて表現すると、これらインマニガス状態量は対応するインマニガス系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
また、上述したように、吸気タイミング制御機構25と排気タイミング制御機構29と吸気弁リフト量制御機構26とが直接的に制御可能な状態量は吸入ガス量と内部EGR量とである。また、スワールコントロール弁24が直接的に制御可能な状態量は筒内ガス流速である。そして、これら吸入ガス量、内部EGR量、および、筒内ガス流速は、全て、燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量である。
このように、吸気タイミング制御機構25と排気タイミング制御機構29と吸気弁リフト量制御機構26とスワールコントロール弁24とが共通して燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら吸気タイミング制御機構、排気タイミング制御機構、吸気弁リフト量制御機構、および、スワールコントロール弁を1つのグループ(以下このグループを「充填系グループ」という)に割り当てる。
さらに、吸入ガス量と内部EGR量と筒内ガス流速とが共通して燃焼室21内へのガスの充填に関する状態量であることから、これら吸入ガス量、内部EGR量、および、筒内ガス流速をまとめて「充填状態量」として扱う。
なお、上述したように、充填系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「充填系制御対象」という)はそれぞれ対応する充填状態量を直接的に制御するが、各充填系制御対象が直接的に制御する充填状態量を別の表現を用いて表現すると、これら充填状態量は対応する充填系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
また、上述したように、燃料噴射弁40が直接的に制御可能な状態量は燃料噴射量と混合気中の燃料分布とである。また、燃料ポンプ41が直接的に制御可能な状態量は燃圧である。そして、これら燃料噴射量、混合気中の燃料分布、および、燃圧は、全て、燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量である。
このように、燃料噴射弁40と燃料ポンプ41とが共通して燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら燃料噴射弁、および、燃料ポンプを1つのグループ(以下このグループを「噴射系グループ」という)に割り当てる。
さらに、燃料噴射量と混合気中の燃料分布と燃圧とが共通して燃焼室21内への燃料噴射弁40からの燃料の噴霧に関する状態量であることから、これら燃料噴射量、混合気中の燃料分布、および、燃圧をまとめて「噴霧状態量」として扱う。
なお、上述したように、噴射系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「噴射系制御対象」という)はそれぞれ対応する噴霧状態量を直接的に制御するが、各噴射系制御対象が直接的に制御する噴霧状態量を別の表現を用いて表現すると、これら噴霧状態量は対応する噴射系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
また、上述したように、燃料添加弁65が直接的に制御可能な状態量は排気ガス中の炭化水素の量である。また、排気絞り弁64が直接的に制御可能な状態量は排気流量である。そして、これら排気ガス中の炭化水素の量、および、排気ガスの流量は、両方とも、排気ガスに関する状態量である。
このように、燃料添加弁65と排気絞り弁64とが共通して排気ガスに関する状態量を直接的に制御可能な制御対象であることから、図4に示されているように、これら燃料添加弁、および、排気絞り弁を1つのグループ(以下このグループを「排気系グループ」という)に割り当てる。
さらに、排気ガス中の炭化水素の量と排気流量とが共通して排気ガスに関する状態量であることから、これら排気ガス中の炭化水素の量、および、排気ガスの流量をまとめて「排気状態量」として扱う。
なお、上述したように、排気系グループの各制御対象(以下これら制御対象を「排気系制御対象」という)はそれぞれ対応する排気状態量を直接的に制御するが、各排気系制御対象が直接的に制御する排気状態量を別の表現を用いて表現すると、これら排気状態量は対応する排気系制御対象にアクチュエータから与えられる操作量の変化の影響でその変化時点と略同時に変化する状態量(或いは、略同時に変化するものと認められる状態量)であると言える。
ところで、インマニガス状態量、充填状態量、噴霧状態量、および、排気状態量には、それぞれ、機関運転状態(すなわち、内燃機関10の運転の状態)を最適な状態とする特定の状態量が機関運転状態毎に存在する。
そこで、第1実施形態では、インマニガス状態量、充填状態量、噴霧状態量、および、排気状態量に関し、機関運転状態を最適な状態とする特定の状態量が機関回転数と機関負荷(すなわち、内燃機関に課される負荷)との組合せ毎に実験等によって予め求められ、これら状態量が各状態量に関する目標状態量として機関回転数と機関負荷との関数のマップの形で電子制御装置90に記憶されている。そして、機関運転中(すなわち、内燃機関10が運転されているとき)、機関回転数と機関負荷とに基づいて上記マップから目標状態量が取得される。そして、これら取得された目標状態量を達成するために各制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量が目標操作量として算出される。そして、これら算出された目標操作量が達成されるように電子制御装置から各制御対象を操作するためのアクチュエータに指令が発せられ、各制御対象がそれぞれ対応するアクチュエータによって操作される。
ところで、インマニガス状態量を目標状態量にするためにインマニガス系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、インマニガス系制御対象は、高圧EGR制御弁82Hと低圧EGR制御弁82Lと高圧スロットル弁53と低圧スロットル弁54と排気タービン70Bのベーン70Dと高圧EGRクーラバイパス弁85Hと低圧EGRクーラバイパス弁85Lとである。そして、第1実施形態では、これらインマニガス系制御対象に対する目標操作量を決定する(或いは、算出する)ための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「インマニガス系コントローラ」という)が電子制御装置90に実装されている。
そして、このインマニガス系コントローラは、アクチュエータから各インマニガス系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうるインマニガス状態量をこれらインマニガス状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各インマニガス状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、高圧EGR制御弁アクチュエータから高圧EGR制御弁82Hに与えられる操作量の変化に伴って当該高圧EGR制御弁によって直接的に制御されるインマニガス状態量が変化すると、例えば、低圧EGR制御弁アクチュエータから低圧EGR制御弁82Lに与えられる操作量が変化していなくても、高圧EGR制御弁82Hによって直接的に制御されるインマニガス状態量の変化の影響で低圧EGR制御弁82Lによって直接的に制御されるインマニガス状態量も変化する場合がある。そして、この場合、高圧EGR制御弁82Hによって直接的に制御されるインマニガス状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に低圧EGR制御弁82Lによって直接的に制御されるインマニガス状態量も変化する。すなわち、高圧EGR制御弁82Hによって直接的に制御されるインマニガス状態量と低圧EGR制御弁82Lによって直接的に制御されるインマニガス状態量とが干渉する。こうした干渉は、いずれのインマニガス系制御対象によって直接的に制御されるインマニガス状態量の間において生じる。したがって、インマニガス系制御対象によって直接的に制御されるインマニガス状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各インマニガス状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各インマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量を予測するときには、上述したインマニガス状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、インマニガス系コントローラは、アクチュエータから各インマニガス系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうるインマニガス状態量をこれらインマニガス状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各インマニガス状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設計されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標インマニガス状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標インマニガス状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべきインマニガス状態量(すなわち、目標インマニガス状態量)を決定し、この決定された目標インマニガス状態量をインマニガス系コントローラが取得する。そして、インマニガス系コントローラは、この取得した目標インマニガス状態量に基づいてインマニガス系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量がインマニガス系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
同様に、充填状態量を目標状態量にするために充填系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、充填系制御対象は、吸気タイミング制御機構25と排気タイミング制御機構29と吸気弁リフト量制御機構26とスワールコントロール弁24とである。そして、第1実施形態では、これら充填系制御対象に対する目標操作量を決定するための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「充填系コントローラ」という)が電子制御装置に実装されている。
そして、この充填系コントローラは、アクチュエータから各充填系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる充填状態量をこれら充填状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各充填状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、吸気タイミング制御機構アクチュエータから吸気タイミング制御機構25に与えられる操作量の変化に伴って当該吸気タイミング制御機構によって直接的に制御される充填状態量が変化すると、例えば、排気タイミング制御機構アクチュエータから排気タイミング制御機構29に与えられる操作量が変化していなくても、吸気タイミング制御機構25によって直接的に制御される充填状態量の変化の影響で排気タイミング制御機構29によって直接的に制御される充填状態量も変化する場合がある。そして、この場合、吸気タイミング制御機構25によって直接的に制御される充填状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に排気タイミング制御機構29によって直接的に制御される充填状態量も変化する。すなわち、吸気タイミング制御機構25によって直接的に制御される充填状態量と排気タイミング制御機構2によって直接的に制御される充填状態量とが干渉する。こうした干渉は、いずれの充填系制御対象によって直接的に制御される充填状態量の間において生じる。したがって、充填系制御対象によって直接的に制御される充填状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各充填状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量を予測するときには、上述した充填状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、充填系コントローラは、アクチュエータから各充填系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる充填状態量をこれら充填状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各充填状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設計されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標充填状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標充填状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべき充填状態量(すなわち、目標充填状態量)を決定し、この決定された目標充填状態量を充填系コントローラが取得する。そして、充填系コントローラは、この取得した目標充填状態量に基づいて充填系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量が充填系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
同様に、噴霧状態量を目標状態量にするために噴射系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、噴射系制御対象は、燃料噴射弁と燃料ポンプとである。そして、第1実施形態では、これら噴射系制御対象に対する目標操作量を決定するための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「噴射系コントローラ」という)が電子制御装置に実装されている。
そして、この噴射系コントローラは、アクチュエータから各噴射系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる噴霧状態量をこれら噴霧状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各噴霧状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、燃料噴射弁アクチュエータから燃料噴射弁40に与えられる操作量の変化に伴って当該燃料噴射弁によって直接的に制御される噴霧状態量が変化すると、例えば、燃料ポンプアクチュエータから燃料ポンプ41に与えられる操作量が変化していなくても、燃料噴射弁40によって直接的に制御される噴霧状態量の変化の影響で燃料ポンプ41によって直接的に制御される噴霧状態量も変化する場合がある。そして、この場合、燃料噴射弁40によって直接的に制御される噴霧状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に燃料ポンプ41によって直接的に制御される噴霧状態量も変化する。すなわち、燃料噴射弁40によって直接的に制御される噴霧状態量と燃料ポンプ41によって直接的に制御される噴霧状態量とが干渉する。したがって、噴射系制御対象によって直接的に制御される噴霧状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各噴霧状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量を予測するときには、上述した噴霧状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、噴射系コントローラは、アクチュエータから各噴射系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる噴霧状態量をこれら噴霧状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各噴霧状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設定されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標噴霧状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標噴霧状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべき噴霧状態量(すなわち、目標噴霧状態量)を決定し、この決定された目標噴霧状態量を噴射系コントローラが取得する。そして、噴射系コントローラは、この取得した目標噴霧状態量に基づいて噴射系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量が噴射系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
同様に、排気状態量を目標状態量にするために排気系制御対象にアクチュエータから与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)は、以下のように決定される。すなわち、上述したように、排気系制御対象は、燃料添加弁65と排気絞り弁64とである。そして、第1実施形態では、これら排気系制御対象に対する目標操作量を決定するための制御ロジックとして、1つのコントローラ(以下このコントローラを「排気系コントローラ」という)が電子制御装置に実装されている。
そして、この排気系コントローラは、アクチュエータから各排気系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる排気状態量をこれら排気状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各排気状態量を目標状態量にする操作量を演算によって算出し、この操作量を目標操作量として決定するように設計されている。
すなわち、さらに詳細に説明すれば、例えば、燃料添加弁アクチュエータから燃料添加弁65に与えられる操作量の変化に伴って当該燃料添加弁によって直接的に制御される排気状態量が変化すると、例えば、排気絞り弁アクチュエータ64Aから排気絞り弁64に与えられる操作量が変化していなくても、燃料添加弁65によって直接的に制御される排気状態量の変化の影響で排気絞り弁64によって直接的に制御される排気状態量も変化する場合がある。そして、この場合、燃料添加弁65によって直接的に制御される排気状態量が変化したときには、その変化時点と略同時に排気絞り弁64によって直接的に制御される排気状態量も変化する。すなわち、燃料添加弁65によって直接的に制御される排気状態量と排気絞り弁64によって直接的に制御される排気状態量とが干渉する。したがって、排気系制御対象によって直接的に制御される排気状態量は、互いに即座に影響し合う状態量であるとも言える。
したがって、各排気状態量を目標状態量にするための目標操作量を決定するためにアクチュエータから各排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量を予測するときには、上述した排気状態量の間の干渉を考慮すべきである。
こうしたことから、排気系コントローラは、アクチュエータから各排気系制御対象に或る操作量が与えられたときにとりうる排気状態量をこれら排気状態量の間の干渉を考慮しつつ予測し、その予測の結果に基づいて各排気状態量を目標状態量にする目標操作量を決定するように設計されているのである。
なお、図4に示されている例では、目標排気状態量決定部が目標状態量に関する情報を目標状態量決定部から取得すると共に現在の各状態量に関する情報を現在状態量算出部から取得する。そして、目標排気状態量決定部は、これら取得した情報に基づいて目標とすべき排気状態量(すなわち、目標排気状態量)を決定し、この決定された目標排気状態量を排気系コントローラが取得する。そして、排気系コントローラは、この取得した目標排気状態量に基づいて排気系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定し、この決定された目標操作量が排気系制御対象に与えられるようにアクチュエータに指令を発信する。
第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第1実施形態では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量(以下、特定のグループの制御対象によって制御される状態量を単に「グループに関連する状態量」という)は互いに即座に影響し合う。すなわち、1つのグループに関連する状態量は互いに即座に干渉する。一方、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに即座には影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに即座には干渉しない。したがって、各グループに対応するコントローラは、対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量の間の干渉を考慮しつつ(すなわち、これら状態量を協調させつつ)目標操作量を決定すればよい。一方、各グループに対応するコントローラは、対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、対応するグループに関連する状態量と同対応するグループ以外のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮せずに目標操作量を決定すればよい。このため、各コントローラは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応するコントローラを再設計する必要がある。ここで、第1実施形態では、1つのグループに関連する状態量は互いに影響し合う。すなわち、1つのグループに関連する状態量は互いに干渉する。一方、第1実施形態では、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに影響し合わない。すなわち、1つのグループに関連する状態量と別のグループに関連する状態量とは互いに干渉しない。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応するコントローラを再設計するときに、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉を考慮して(すなわち、これら状態量を協調させて)特定グループに対応するコントローラを再設計すればよく、特定グループに関連する状態量(この状態量には、新たな制御対象によって制御される状態量が含まれる)と特定グループとは別のグループに関連する状態量との間の干渉を考慮して(すなわち、これら状態量を協調させて)特定グループに対応するコントローラを再設計する必要はない。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときのコントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
なお、上述した各コントローラは、例えば、いわゆる現代制御理論を用いて目標操作量を決定する。より具体的には、各状態量に影響を及すパラメータを変数としたモデル(すなわち、いわゆる状態空間モデル)が予め準備される。そして、各コントローラは、アクチュエータから制御対象に特定の操作量を与えた場合における当該制御対象によって制御される状態量の挙動を上記モデルを用いた演算によって予測し、この予測の結果を考慮しつつ状態量を最適な形態でもって目標状態量に制御することができる操作量を目標操作量として決定する。
また、当然のことながら、上の説明においてインマニガス状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、高圧EGR制御弁、低圧EGR制御弁、高圧スロットル弁、低圧スロットル弁、排気タービンのベーン、高圧EGRクーラバイパス弁、および、低圧EGRクーラバイパス弁)以外に、インマニガス状態量を直接的に制御する
制御対象があれば、当該制御対象がインマニガス系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明においてインマニガス状態量として挙げた状態量(すなわち、外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度)以外に、吸気枝管内のガスに関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象がインマニガス系グループにグルーピングされてもよい。
制御対象があれば、当該制御対象がインマニガス系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明においてインマニガス状態量として挙げた状態量(すなわち、外部EGR量、吸気ガス量、および、外部EGR温度)以外に、吸気枝管内のガスに関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象がインマニガス系グループにグルーピングされてもよい。
同様に、上の説明において充填状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、吸気タイミング制御機構、排気タイミング制御機構、および、吸気弁リフト量制御機構)以外に、充填状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象が充填系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明において充填状態量として挙げた状態量(すなわち、吸入ガス量、内部EGR量、および、筒内ガス流速)以外に、燃焼室内へのガスの充填に関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象が充填系グループにグルーピングされてもよい。
同様に、上の説明において噴霧状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、燃料噴射弁、および、燃料ポンプ)以外に、噴霧状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象が噴射系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明において噴霧状態量として挙げた状態量(すなわち、混合気中の燃料分布、および、燃圧)以外に、燃焼室内への燃料噴射弁からの燃料の噴霧に関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象が噴射系グループにグルーピングされてもよい。
同様に、上の説明において排気状態量を直接的に制御する制御対象として挙げた制御対象(すなわち、燃料添加弁、および、排気絞り弁)以外に、排気状態量を直接的に制御する制御対象があれば、当該制御対象が排気系グループにグルーピングされてもよい。また、上の説明において排気状態量として挙げた状態量(すなわち、排気ガス中の炭化水素の量、および、排気流量)以外に、排気ガスに関する状態量があれば、当該状態量を直接的に制御する制御対象が排気系グループにグルーピングされてもよい。
このことから、上述した第1実施形態に含まれている本発明の思想は、複数の制御対象を含む複数のグループを形成し、各グループの各制御対象に関する目標操作量を各グループに対応して用意された1つのコントローラによって決定する場合において、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれると共に1つのグループの制御対象によって制御される状態量が別のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及さないようにグループを形成するものであると言える。
ところで、インマニガス状態量には、外部EGR量と吸気ガス量と外部EGR温度とが含まれており、これら状態量は、全て、極めて一般的な手段(例えば、センサ等)によって測定することが容易である。このことから、これら状態量が制御されている最中に当該状態量の実際の値を測定することができ、したがって、これら測定された値に基づいて当該状態量をフィードバック制御によって制御することができる。第1実施形態では、インマニガス状態量はフィードバック制御によって制御される。したがって、インマニガス系グループは、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むグループ(以下このグループを「フィードバック制御グループ」ともいう)であると言える。
ここで、「フィードバック制御」は、閉ループ制御とも呼ばれる制御であって、状態量を目標状態量に制御するためにアクチュエータから制御対象に操作量を与えている最中に、状態量の実際の値を測定し、この測定された値を目標状態量と比較し、この比較の結果を考慮しつつアクチュエータから制御対象に与えるべき操作量を目標操作量として決定し、この目標操作量をアクチュエータから制御対象に与えることによって状態量を制御する制御である。
一方、充填状態量には、吸入ガス量と内部EGR量と筒内ガス流速とが含まれており、これら状態量は、全て、極めて一般的ではない手段によれば測定することができるが極めて一般的な手段(例えば、センサ等)によって測定することが困難である。このことから、これら状態量が制御されている最中に当該状態量の実際の値を測定することができず、したがって、当該状態量をフィードバック制御によって制御することができない。したがって、当該状態量がフィードバック制御によって制御されていない場合、当該状態量はフィードバック制御以外の制御によって制御されることになる。第1実施形態では、充填状態量はオープンループ制御によって制御される。したがって、充填系グループは、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むグループ(以下このグループを「オープンループ制御グループ」ともいう)であるといえる。
ここで、「オープンループ制御」は、開ループ制御とも呼ばれる制御であって、状態量を目標状態量に制御するためにアクチュエータから制御対象に操作量を与えている最中の状態量の実際の値を測定せず、したがって、状態量の実際の値を考慮せずに予め定められている一定の計算式に従って目標状態量を達成するための操作量を目標操作量として決定し、この目標操作量をアクチュエータから制御対象に与えることによって状態量を制御する制御である。
なお、測定することが容易である状態量の測定を実際には行わない場合(或いは、測定することが容易である状態量の測定を実際には行うが測定された状態量の値を当該状態量の制御に利用しない場合)もあり得る。この場合、当該状態量を直接的に制御する制御対象は、オープンループ制御グループにグルーピングされる。
また、制御対象によって直接的に制御される状態量が如何なる手段によっても測定することができない状態量(すなわち、事実上、測定が不可能である状態量)である場合もあり得る。この場合、当該状態量を直接的に制御する制御対象は、オープンループ制御グループにグルーピングされる。
上述したように、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むフィードバック制御グループが形成されると、以下の効果が得られる。すなわち、フィードバック制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、フィードバック制御によって制御される。すなわち、同状態量は、単一の制御によって制御される。ここで、1つのグループの制御対象が単一の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックの構造は、1つのグループの制御対象が異なる複数の制御によって状態量を制御する場合に同グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックの構造に比べて単純なものとなる。したがって、フィードバック制御グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。
また、上述したように、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むフィードバック制御グループが形成されると、以下の効果も得られる。すなわち、上述したように、フィードバック制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、フィードバック制御によって制御されることから、同状態量は、単一の制御によって制御されることになる。ここで、内燃機関に新たな制御対象が追加され、この新たな制御対象がフィードバック制御によって状態量を制御する場合、この新たな制御対象はフィードバック制御グループに割り当てられることになる。そして、この場合、同フィードバック制御グループに対応するコントローラを再設計する必要がある。ここで、上述したように、同コントローラの制御ロジックの構造は、単純なものとなっている。このため、新たな制御対象が追加された場合の同コントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
また、上述したように、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むオープンループ制御グループが形成されると、以下の効果が得られる。すなわち、オープンループ制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、オープンループ制御によって制御される。すなわち、同状態量は、単一の制御によって制御される。このため、フィードバック制御グループに関連して説明した理由と同じ理由から、オープンループ制御グループに対応して用意されるコントローラの制御ロジックとして、比較的単純な構造の制御ロジックを利用することができる。
また、上述したように、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むオープンループ制御グループが形成されると、以下の効果も得られる。すなわち、上述したように、オープンループ制御グループの制御対象によって制御される状態量は、全て、オープンループ制御によって制御されることから、同状態量は、単一の制御によって制御されることになる。このため、フィードバック制御グループに関連して説明した理由と同じ理由から、状態量をオープンループ制御によって制御する新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象がオープンループ制御グループに割り当てられた場合の同グループに対応するコントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
なお、制御されるべき状態量に応じて、フィードバック制御グループとして、1つのグループのみが形成される場合もあるし、複数のグループが形成される場合もある。
また、制御されるべき状態量に応じて、オープンループ制御グループとして、1つのグループのみが形成される場合もあるし、複数のグループが形成される場合もある。
もちろん、3つ以上のグループが形成される場合において、これらグループとして、フィードバック制御グループとオープンループ制御グループとが形成されるだけでなく、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象と状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象とを含むグループが形成されていてもよい。
また、第1実施形態では、フィードバック制御グループ(すなわち、インマニガス系グループ)の制御対象によって制御される状態量同士は互いに影響し合う。しかしながら、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、フィードバック制御グループに、同グループの別の制御対象によって制御される状態量に影響を及さない状態量を制御する制御対象が含まれてもよい。
また、第1実施形態では、オープンループ制御グループ(すなわち、充填系グループ)の制御対象によって制御される状態量同士は互いに影響し合う。しかしながら、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、オープンループ制御グループに、同グループの別の制御対象によって制御される状態量に影響を及さない状態量を制御する制御対象が含まれていてもよい。
また、第1実施形態では、フィードバック制御グループ(すなわち、インマニガス系グループ)の制御対象が制御する状態量は、他のグループ(すなわち、充填系グループ、噴射系グループ、および、排気系グループ)の制御対象が制御する状態量に影響を及さない。しかしながら、状態量をフィードバック制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、フィードバック制御グループに、他のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及す状態量を制御する制御対象が含まれていてもよい。
また、第1実施形態では、オープンループ制御グループ(すなわち、充填系グループ)の制御対象が制御する状態量は、他のグループ(すなわち、充填系グループ、噴射系グループ、および、排気系グループ)の制御対象が制御する状態量に影響を及さない。しかしながら、状態量をオープンループ制御によって制御する制御対象のみを含むグループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、オープンループ制御グループに、他のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及す状態量を制御する制御対象が含まれていてもよい。
また、第1実施形態では、オープンループ制御によって充填状態量が制御される。しかしながら、オープンループ制御以外の制御であって単一の制御(もちろん、フィードバック制御は除く)によって充填状態量が制御されてもよい。
このことから、上述した第1実施形態に含まれている本発明の思想は、複数の制御対象を含む少なくとも1つのグループを形成し、該グループの各制御対象に関する目標操作量を同グループに対応して用意された1つのコントローラによって決定する場合において、同グループに単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを割り当てるものであると言える。
ところで、上述したように、インマニガス系グループの高圧EGR制御弁82Hおよび低圧EGR制御弁82Lは、外部EGR量を直接的に制御する。ここで、外部EGR量が変化すると、インマニガス(すなわち、吸気枝管内のガス)中の成分やインマニガスの温度も変化する。そして、インマニガス中の成分やインマニガスの温度が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス中の成分やインマニガスの温度はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、外部EGR量が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、外部EGR量が変化すると、この外部EGR量の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、高圧EGR制御弁82Hおよび低圧EGR制御弁82Lによって制御される外部EGR量は、これらが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、インマニガス系グループの高圧スロットル弁53および低圧スロットル弁54は、吸気ガス量を直接的に制御する。ここで、吸気ガス量が変化すると、インマニガス圧(すなわち、吸気枝管内のガスの圧力)も変化する。そして、インマニガス圧が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス圧はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、吸気ガス量が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、吸気ガス量が変化すると、この吸気ガス量の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、高圧スロットル弁53および低圧スロットル弁54によって制御される吸気ガス量も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、インマニガス系グループの排気タービン70Bのベーン70Dは、インマニガス圧(すなわち、過給圧)を直接的に制御する。ここで、インマニガス圧が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス圧はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、インマニガス圧が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、インマニガス圧が変化すると、この過給圧の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、排気タービン70Bのベーン70Dによって制御されるインマニガス圧も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、インマニガス系グループの高圧EGRクーラバイパス弁85Hおよび低圧EGRクーラバイパス弁85Lは、外部EGR温度を直接的に制御する。ここで、外部EGR温度が変化すると、インマニガス温度(すなわち、インマニガスの温度)も変化する。そして、インマニガス温度が変化すると、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。ここで、インマニガス温度はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、外部EGR温度が変化すると、インマニガスの状態が変化し、その後、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると言える。すなわち、外部EGR温度が変化すると、この外部EGR温度の変化時点から比較的短時間のうちに燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。したがって、高圧EGRクーラバイパス弁85Hおよび低圧EGRクーラバイパス弁85Lによって制御される外部EGR温度も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、インマニガス系制御対象によって制御されるインマニガス状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及す。したがって、充填状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、充填系制御対象に対する操作量を決定するときにインマニガス状態量も考慮されることが好ましい。一方、噴射系制御対象によって制御される噴霧状態量および排気系制御対象によって制御される排気状態量は充填状態量には大きくは影響を及さないし、これら噴霧状態量および排気状態量が充填状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これら噴霧状態量および排気状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちに充填状態量に影響を及すことはない。要するに、充填状態量をより正確に目標状態量にするためには、充填系制御対象に対する操作量を決定するときにインマニガス状態量を考慮すればよいことになる。
また、上述したように、充填系グループの吸気タイミング制御機構25、排気タイミング制御機構29、および、吸気弁リフト量制御機構26は、吸入ガス量と内部EGRガス量とを直接的に制御する。ここで、吸入ガス量または内部EGRガス量が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。そして、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、吸入ガス量または内部EGRガス量が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化し、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態が変化すると言える。すなわち、吸入ガス量または内部EGRガス量が変化すると、この吸入ガス量または内部EGRガス量の変化時点から比較的短時間のうちに燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、吸気タイミング制御機構25、排気タイミング制御機構29、および、吸気弁リフト量制御機構26によって制御される吸入ガス量および内部EGRガス量は、これらが変化した時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、充填系グループのスワールコントロール弁24は、筒内ガス流速を直接的に制御する。ここで、筒内ガス流速が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態も変化する。そして、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化すると、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、筒内ガス流量が変化すると、燃焼室21内に吸入されたガスの充填の状態が変化し、その後、燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態が変化すると言える。すなわち、筒内ガス流速が変化すると、この筒内ガス流速の変化時点から比較的短時間のうちに燃料噴射弁40から燃焼室21内に噴射された燃料の噴霧の状態も変化する。したがって、スワールコントロール弁24によって制御される筒内ガス流速も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、充填系制御対象によって制御される充填状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及す。したがって、噴霧状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、噴射系制御対象に対する操作量を決定するときに充填状態量も考慮されることが好ましい。一方、排気系制御対象によって制御される排気状態量およびインマニガス系制御対象によって制御されるインマニガス状態量は噴霧状態量には大きくは影響を及されないし、これら排気状態量およびインマニガス状態量が噴霧状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これら排気状態量およびインマニガス状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちに噴霧状態量に影響を及すことはない。要するに、噴霧状態量をより正確に目標状態量にするためには、噴射系制御対象に対する操作量を決定するときに充填状態量を考慮すればよいことになる。
また、上述したように、噴射系グループの燃料噴射弁40は、燃料噴射量と混合気中の燃料分布とを直接的に制御する。ここで、燃料噴射量または混合気中の燃料分布が変化すると、燃焼室21内における燃料の噴霧の状態が変化する。そして、燃料の噴霧の状態が変化すると、燃焼室21内における燃料の燃焼の状態も変化することから、燃料の燃焼後に燃焼室21から排出される排気ガスに関する状態も変化する。すなわち、燃料噴射量または混合気中の燃料分布が変化すると、この燃料噴射量または混合気中の燃料分布の変化時点から比較的短時間のうちに排気ガスに関する状態量が変化する。したがって、燃料噴射弁40によって制御される燃料噴射量および混合気中の燃料分布は、これらが変化した時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及す状態量であると言える。
また、上述したように、噴射系グループの燃料ポンプ41は燃圧を直接的に制御する。ここで、燃圧が変化すると、燃焼室21内における燃料の噴霧の状態が変化する。そして、上述したように、燃料の噴霧の状態が変化すると、燃焼室21内における燃料の燃焼の状態も変化することから、燃料の燃焼後に燃焼室21から排出される排気ガスに関する状態も変化する。すなわち、燃圧が変化すると、この燃圧の変化時点から比較的短時間のうちに排気ガスに関する状態量が変化する。したがって、燃料ポンプ41によって制御される燃圧も、それが変化した時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、噴射系制御対象によって制御される噴霧状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及す。したがって、排気状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、排気系制御対象に対する操作量を決定するときに噴霧状態量も考慮されることが好ましい。一方、インマニガス系制御対象によって制御されるインマニガス状態量および充填系制御対象によって制御される充填状態量は排気状態量には大きくは影響を及さないし、これらインマニガス状態量および充填状態量が排気状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これらインマニガス状態量および充填状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちに排気状態量に影響を及すことはない。要するに、排気状態量をより正確に目標状態量にするためには、排気系制御対象に対する操作量を決定するときに噴霧状態量を考慮すればよいことになる。
また、上述したように、排気系グループの排気絞り弁64は、当該排気絞り弁を通過する排気ガスの流量を直接的に制御する。ここで、排気絞り弁64を通過する排気ガスの流量が変化すると、低圧EGR装置80Lによる外部EGR量も変化する。そして、外部EGR量が変化すると、その後、インマニガス中の成分やインマニガスの温度が変化する。ここで、インマニガス中の成分やインマニガスの温度はインマニガスの状態を示すパラメータであることから、インマニガス中の成分やインマニガスの温度が変化すると、インマニガスの状態が変化すると言える。すなわち、排気絞り弁64を通過する排気ガスの流量が変化すると、この排気ガスの流量の変化時点から比較的短時間のうちにインマニガスの状態も変化する。したがって、排気絞り弁64によって制御される排気ガスの流量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちにインマニガス状態量に影響を及す状態量であると言える。
このように、排気系制御対象によって制御される排気状態量は、それが変化した時点から比較的短時間のうちにインマニガス状態量に影響を及す。したがって、インマニガス状態量をより正確に目標状態量にするという観点からは、インマニガス系制御対象に対する操作量を決定するときに排気状態量も考慮されることが好ましい。一方、充填系制御対象によって制御される充填状態量および噴射系制御対象によって制御される噴霧状態量はインマニガス状態量に大きくは影響を及さないし、これら充填状態量および噴霧状態量がインマニガス状態量に影響を及したとしても、少なくとも、これら充填状態量および噴霧状態量の変化はその変化時点から比較的短時間のうちにインマニガス状態量に影響を及すことはない。要するに、インマニガス状態量をより正確に目標状態量にするためには、インマニガス系制御対象に対する操作量を決定するときに排気状態量を考慮すればよいことになる。
また、インマニガス状態量の変化に伴う充填状態量の変化、充填状態量の変化に伴う噴霧状態量の変化、噴霧状態量の変化に伴う排気状態量、および、排気状態量の変化に伴うインマニガス状態量の変化は、時間的に順に生じる(或いは、これら変化は時間的に順に生じるものと捉えることができる)。
そこで、第1実施形態において、異なる2つのグループの制御対象によって制御される状態量同士が上述したように影響し合う場合(或いは、各グループの制御対象によって制御される状態量同士が上述したように影響し合うものと捉える場合)、各グループの制御対象に対する目標操作量を以下のように決定するようにしてもよい。
すなわち、この実施形態(以下「第2実施形態」という)では、第1実施形態と同様に各グループが設定され、各グループに対応して1つのコントローラが用意される。
ここで、排気系コントローラが排気系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同排気系コントローラは、図5に参照符号S1で示されているように、排気系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときの排気状態量に関する情報をインマニガス系コントローラに送信し、同インマニガス系コントローラは同情報を受信する(すなわち、取得する)。そして、インマニガス系コントローラは、排気系コントローラから受信した排気状態量に関する情報を考慮しつつ、インマニガス状態量を目標状態量とすることができるインマニガス系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、充填系コントローラおよび噴射系コントローラは、排気系コントローラから送信される排気状態量に関する情報を受信しない。
また、インマニガス系コントローラがインマニガス系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同インマニガス系コントローラは、図5に参照符号S2で示されているように、インマニガス系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときのインマニガス状態量に関する情報を充填系コントローラに送信し、同充填系コントローラは同情報を受信する。そして、充填系コントローラは、インマニガス系コントローラから受信したインマニガス状態量に関する情報を考慮しつつ、充填状態量を目標状態量とすることができる充填系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、噴射系コントローラおよび排気系コントローラは、インマニガス系コントローラから送信されるインマニガス状態量に関する情報を受信しない。
また、充填系コントローラが充填系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同充填系コントローラは、図5に参照符号S3で示されているように、充填系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときの充填状態量に関する情報を噴射系コントローラに送信し、同噴射系コントローラは同情報を受信する。そして、噴射系コントローラは、充填系コントローラから受信した充填状態量に関する情報を考慮しつつ、噴霧状態量を目標状態量とすることができる噴射系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、排気系コントローラおよびインマニガス系コントローラは、充填系コントローラから送信される充填状態量に関する情報を受信しない。
また、噴射系コントローラが噴射系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定したとき、同噴射系コントローラは、図5に参照符号S4で示されているように、噴射系制御対象に目標操作量の操作量を与えたときの噴霧状態量に関する情報を排気系コントローラに送信し、同排気系コントローラは同情報を受信する。そして、排気系コントローラは、噴射系コントローラから受信した噴霧状態量に関する情報を考慮しつつ、排気状態量を目標状態量とすることができる排気系制御対象に対する操作量を目標操作量として決定する。なお、このとき、インマニガス系コントローラおよび充填系コントローラは、排気系コントローラから送信される排気状態量に関する情報を受信しない。
第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第2実施形態とは異なり、インマニガス系制御対象と排気系制御対象とが同じ1つのグループに割り当てられ、同グループに対応して1つのコントローラが用意されている場合、同コントローラがインマニガス系制御対象に与えるべき操作量(すなわち、インマニガス系制御対象に関する目標操作量)を決定するためには、同コントローラは、インマニガス系制御対象および排気系制御対象にそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、インマニガス状態量の間の干渉、排気状態量の間の干渉、および、インマニガス状態量と排気状態量との間の干渉)を考慮しつつそれぞれ予測し、この予測の結果に基づいてインマニガス系制御対象および排気系制御対象に関する目標操作量を決定することになる。しかしながら、こうした決定は、コントローラにおける目標操作量の決定にかかる演算負荷を高くしてしまう。
一方、排気系制御対象の操作はインマニガス系制御対象の操作よりも極めて短時間だけ前に行われる。別の云い方をすれば、排気系制御対象の操作はインマニガス系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、既に、排気系制御対象に関する目標操作量が決定されており、この目標操作量が排気系制御対象に与えられていることになる。すなわち、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量を把握することができる状態にある。そして、この排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量に関する情報は、排気系コントローラから得ることができる。そして、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定するためには、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量さえ考慮すれば十分であり、インマニガス系制御対象と排気系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる排気状態量を考慮する必要はない。しかも、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、インマニガス系制御対象と排気系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる排気状態量を考慮するよりも、排気系コントローラから得られる排気状態量に関する情報(この情報は、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうる排気状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定するときに排気系コントローラから得られる排気状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
同様に、インマニガス系制御対象の操作は充填系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、充填系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、インマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときのインマニガス状態量を把握することができる状態にある。そして、このインマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときのインマニガス状態量に関する情報は、インマニガス系コントローラから得ることができる。そして、充填系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、充填系制御対象とインマニガス系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量およびインマニガス状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られるインマニガス状態量を考慮するよりも、インマニガス系コントローラから得られるインマニガス状態量に関する情報(この情報は、インマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうるインマニガス状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、充填系制御対象に関する目標操作量を決定するときにインマニガス系コントローラから得られるインマニガス状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、充填系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
同様に、充填系制御対象の操作は噴射系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、噴射系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、充填系制御対象に目標操作量が与えられたときの充填状態量を把握することができる状態にある。そして、この充填系制御対象に目標操作量が与えられたときの充填状態量に関する情報は、充填系コントローラから得ることができる。そして、噴射系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、噴射系制御対象と充填系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量および充填状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる充填状態量を考慮するよりも、充填系コントローラから得られる充填状態量に関する情報(この情報は、充填系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうる充填状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、噴射系制御対象に関する目標操作量を決定するときに充填系コントローラから得られる充填状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、噴射系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
同様に、噴射系制御対象の操作は排気系制御対象の操作の直前に行われる。したがって、排気系制御対象に関する目標操作量を決定しようとしているときには、噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときの噴霧状態量を把握することができる状態にある。そして、この噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときの噴霧状態量に関する情報は、噴射系コントローラから得ることができる。そして、排気系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定するためには、排気系制御対象と噴射系制御対象とにそれぞれ或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量および噴霧状態量をこれら状態量の間の干渉を考慮しつつそれぞれ予測してその予測の結果に基づいて得られる噴霧状態量を考慮するよりも、噴射系コントローラから得られる噴霧状態量に関する情報(この情報は、噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときにとりうる噴霧状態量に関する情報である)を考慮するほうが好ましい。
ここで、第2実施形態では、排気系制御対象に関する目標操作量を決定するときに噴射系コントローラから得られる噴霧状態量に関する情報を考慮する。したがって、第2実施形態によれば、排気系制御対象に関する目標操作量を比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に決定することができる。
以上の第2実施形態から得られる効果をまとめて表現すると、以下のようになる。すなわち、第2実施形態では、1つのグループの制御対象によって制御される状態量(以下、単に「グループに関連する状態量」という)の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、各コントローラがそれに対応するグループの制御対象に与えられるべき操作量(すなわち、目標操作量)を決定しようとするとき、各コントローラは、それに対応するグループ内の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量の間の干渉を考慮し、対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、対応するグループに関連する状態量に影響を及す別の1つのグループに関連する状態量のみを考慮し、目標操作量を決定すればよい。第2実施形態では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各コントローラは、この別の1つのグループに対応するコントローラから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、各コントローラは、それに対応するグループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、上記取得した状態量に関する情報のみを考慮し、目標操作量を決定すればよいことになる。このため、各コントローラは、比較的低い演算負荷でもって正確に且つ迅速に目標操作量を決定することができる。
また、第2実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、第2実施形態では、互いに影響し合う状態量を直接的に制御する制御対象が1つのグループに割り当てられている。
ここで、例えば、インマニガス系コントローラは、インマニガス状態量に比較的短時間のうちに影響を及す排気状態量に関する情報(この情報は、排気系制御対象に目標操作量が与えられたときの排気状態量に関する情報である)を排気系コントローラから取得する。したがって、インマニガス系制御対象に関する目標操作量を決定するときに排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量をインマニガス系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、インマニガス系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、インマニガス系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、排気系コントローラから得られる排気状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含むインマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量をこれらインマニガス状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいてインマニガス状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるようにインマニガス系コントローラが再設計されればよい。すなわち、インマニガス系制御対象および排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量および排気状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、インマニガス状態量の間の干渉、排気状態量の間の干渉、および、インマニガス状態量と排気状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいてインマニガス状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるようにインマニガス系コントローラを再設計する必要がない。このため、インマニガス系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときのインマニガス系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
同様に、充填系コントローラは、充填状態量に比較的短時間のうちに影響を及すインマニガス状態量に関する情報(この情報は、インマニガス系制御対象に目標操作量が与えられたときのインマニガス状態量に関する情報である)をインマニガス系コントローラから取得する。したがって、充填系制御対象に関する目標操作量を決定するときにインマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうるインマニガス状態量を充填系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、充填系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、充填系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、インマニガス系コントローラから得られるインマニガス状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含む充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量をこれら充填状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて充填状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように充填系コントローラが再設計されればよい。すなわち、充填系制御対象およびインマニガス系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量およびインマニガス状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、充填状態量の間の干渉、インマニガス状態量の間の干渉、および、充填状態量とインマニガス状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて充填状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように充填系コントローラを再設計する必要がない。このため、充填系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの充填系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
同様に、噴射系コントローラは、噴霧状態量に比較的短時間のうちに影響を及び充填状態量に関する情報(この情報は、充填系制御対象に目標操作量が与えられたときの充填状態量に関する情報である)を噴射系コントローラから取得する。したがって、噴射系制御対象に関する目標操作量を決定するときに充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる充填状態量を噴射系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、噴射系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、噴射系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、充填系コントローラから得られる充填状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含む噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量をこれら噴霧状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて噴霧状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように噴射系コントローラが再設計されればよい。すなわち、噴射系制御対象および充填系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量および充填状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、噴霧状態量の間の干渉、充填状態量の間の干渉、および、噴霧状態量と充填状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて噴霧状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように噴射系コントローラを再設計する必要がない。このため、噴射系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの噴射系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
同様に、排気系コントローラは、排気状態量に比較的短時間のうちに影響を及す噴霧状態量に関する情報(この情報は、噴射系制御対象に目標操作量が与えられたときの噴霧状態量に関する情報である)を噴射系コントローラから取得する。したがって、排気系制御対象に関する目標操作量を決定するときに噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる噴霧状態量を排気系コントローラ自身が演算によって予測する必要がない。したがって、排気系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加された場合、排気系コントローラを以下のように再設計すればよいことになる。
すなわち、噴射系コントローラから得られる噴霧状態量に関する情報を考慮しつつ新たな制御対象を含む排気系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量をこれら排気状態量の間の干渉を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて排気状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように排気系コントローラが再設計されればよい。すなわち、排気系制御対象および噴射系制御対象に或る操作量を与えたときにとりうる排気状態量および噴霧状態量をこれら状態量の間の干渉(すなわち、排気状態量の間の干渉、噴霧状態量の間の干渉、および、排気状態量と噴霧状態量との間の干渉)を考慮しつつ予測してその予測の結果に基づいて排気状態量を目標状態量にすることができる操作量を目標操作量として決定することができるように排気系コントローラを再設計する必要がない。このため、排気系グループに割り当てられるべき新たな制御対象が内燃機関に追加されたときの排気系コントローラの再設計にかかる負荷が低い。
以上の第2実施形態から得られる効果をまとめて表現すると、以下のようになる。すなわち、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループに割り当てられた場合、この新たな制御対象に適切な操作量が与えられるように、同グループに対応するコントローラを再設計する必要がある。ここで、第2実施形態では、1つのグループに関連する状態量の変化は、別の1つのグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及すが、同別の1つのグループ以外のグループに関連する状態量には短時間のうちに影響を及さない。見方を換えれば、1つのグループに関連する状態量は、別の1つのグループに関連する状態量の変化の影響のみを短時間のうちに受ける。したがって、新たな制御対象が内燃機関に追加され、この新たな制御対象が1つのグループ(以下このグループを「特定グループ」という)に割り当てられた場合において、特定グループに対応するコントローラを再設計するときに、特定グループ内の関係に関しては、特定グループに関連する状態量と新たな制御対象によって制御される状態量との間の干渉を考慮し、特定グループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、特定グループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量のみを考慮し、特定グループに対応するコントローラを再設計すればよい。第2実施形態では、1つのグループに関連する状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象が別の1つのグループに割り当てられており、各コントローラは、この別の1つのグループに対応するコントローラから、上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得する。したがって、特定グループに対応するコントローラを再設計するときに、特定グループとそれ以外のグループとの間の関係に関しては、上記取得する状態量に関する情報のみを考慮し、特定グループに対応するコントローラを再設計すればよい。このため、新たな制御対象が内燃機関に追加されたときのコントローラの再設計にかかる負荷が非常に低い。
また、第2実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、第2実施形態では、制御対象に関する目標操作量を決定するときに、同制御対象によって制御される状態量に比較的短時間のうちに影響を及す状態量が考慮される。このため、第2実施形態によれば、各状態量をより正確に目標状態量にすることができる目標操作量が決定されることになる。
なお、上述した第2実施形態に含まれている本発明の思想は、複数の制御対象を含む複数のグループを形成し、各グループの各制御対象に関する目標操作量を各グループに対応して用意された1つのコントローラによって決定する場合において、1つのグループの制御対象によって制御される状態量の変化が別の1つのグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちに影響を及すが同別の1つのグループ以外のグループの制御対象によって制御される状態量には同短時間のうちには影響を及さない関係が成立するように各グループを形成し、1つのグループに対応して用意されたコントローラが同1つのグループの制御対象によって制御される状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象を含んでいる別のグループに対応して用意されたコントローラから上記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得し、この取得した情報を考慮しつつ同1つのグループの制御対象に関する目標操作量を決定するものであると言える。
なお、第2実施形態では、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、充填系コントローラも噴射系コントローラも排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信することはなく、また、インマニガス系コントローラがそれ以外のコントローラ(すなわち、充填系コントローラ、噴射系コントローラ、および、排気系コントローラ)にインマニガス状態量に関する情報を送信することもなく、また、充填系コントローラと噴射系コントローラとの間で充填状態量または噴霧状態量に関する情報の送受信が行われることもない。したがって、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、排気系コントローラからインマニガス系コントローラへの排気状態量に関する情報の送信のみが行われる。すなわち、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、インマニガス系コントローラが排気系コントローラから排気状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
同様の理由から、第2実施形態では、充填系コントローラがインマニガス系コントローラからインマニガス状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、インマニガス系コントローラから充填系コントローラへのインマニガス状態量に関する情報の送信のみが行われる。すなわち、充填系コントローラがインマニガス系コントローラからインマニガス状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、充填系コントローラがインマニガス系コントローラからインマニガス状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
同様の理由から、第2実施形態では、噴射系コントローラが充填系コントローラから充填状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、充填系コントローラから噴射系コントローラへの充填状態量に関する情報の送受信のみが行われる。すなわち、噴射系コントローラが充填系コントローラから充填状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、噴射系コントローラが充填系コントローラから充填状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
同様の理由から、第2実施形態では、排気系コントローラが噴射系コントローラから噴霧状態量に関する情報を受信するとき、全てのコントローラにおける状態量の送受信としては、噴射系コントローラから排気系コントローラへの噴霧状態量に関する情報の送受信のみが行われる。すなわち、排気系コントローラが噴射系コントローラから噴霧状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間において状態量に関する情報の2つ以上の送受信が同時に行われることがない。別の云い方をすれば、排気系コントローラが噴射系コントローラから噴霧状態量に関する情報を受信するとき、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
このように、第2実施形態では、機関運転中、コントローラの間における状態量に関する情報の送受信が交錯することがない。
また、第2実施形態では、1つのコントローラから別のコントローラへの状態量に関する情報の送信は、時系列的に順に行われている。
なお、第2実施形態では、1つのグループ内の関係に関し、同グループに関連する状態量は互いに影響し合う。しかしながら、1つのグループに関連する状態量が別の1つのグ
ループに関連する状態量のみから短時間のうちに影響を受けるように各グループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、互いに影響し合わない状態量を制御する制御対象が1つのグループに割り当てられていてもよい。
ループに関連する状態量のみから短時間のうちに影響を受けるように各グループを形成したときに得られる上述した効果のみが得られれば十分である場合、互いに影響し合わない状態量を制御する制御対象が1つのグループに割り当てられていてもよい。
また、上述した実施形態において、インマニガス状態量は吸気枝管51内のガスに関する状態量であるが、このインマニガス状態量は、広くは、吸気枝管51と吸気管52とを含む吸気系50内のガスに関する状態量であってもよい。すなわち、この場合、吸気枝管51を吸気管52の一部であると捉えれば、インマニガス状態量は、広くは、吸気管内のガスに関する状態量であると言える。
Claims (14)
- 内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置において、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの各制御対象に関する目標操作量が各グループに対応して用意された1つの制御ロジックによって決定され、互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるように前記グループが形成されていると共に、各グループの制御対象によって制御される状態量が別のグループの制御対象によって制御される状態量に影響を及さない関係が成立するように前記グループが形成されている内燃機関の制御装置。
- 前記グループのうち少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含む請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記グループのうち1つのグループに内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうち別の1つのグループに内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料の噴霧の状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
- 内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置において、複数の制御対象を含むグループが形成されており、該グループの各制御対象に関する目標操作量が該グループに対応して用意された1つの制御ロジックによって決定され、前記グループの少なくとも1つが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含む内燃機関の制御装置。
- 前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
- 内燃機関に関する状態量を制御する複数の制御対象と、該制御対象をそれぞれ操作するアクチュエータと、を具備し、前記アクチュエータから前記制御対象に操作量が与えられることによって前記制御対象が操作される内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて目標とすべき内燃機関に関する状態量を目標状態量として決定し、前記目標状態量を達成するために前記アクチュエータから前記制御対象に与えられるべき操作量を目標操作量として決定する制御装置において、複数の制御対象を含む複数のグループが形成されており、各グループの各制御対象に関する目標操作量が各グループに対応してそれぞれ用意された1つの制御ロジックによって決定され、1つのグループの制御対象によって制御される状態量の変化が別の1つのグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちに影響を及すが同別の1つのグループ以外のグループの制御対象によって制御される状態量には短時間のうちには影響を及さない関係が成立するように前記グループが形成されており、1つのグループに対応して用意された制御ロジックが同1つのグループの制御対象によって制御される状態量に短時間のうちに影響を及す状態量を制御する制御対象を含んでいる別のグループに対応して用意された制御ロジックから前記短時間のうちに影響を及す状態量に関する情報を取得し、該取得した情報を考慮しつつ前記1つのグループの制御対象に関する目標操作量を決定する内燃機関の制御装置。
- 互いに影響し合う状態量を制御する制御対象が1つのグループに含まれるように前記グループが形成されている請求項9に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記グループのうちの少なくとも1つのグループが単一の制御によって状態量を制御する制御対象のみを含む請求項9または10に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記単一の制御がフィードバック制御またはオープンループ制御である請求項11に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記単一の制御がフィードバック制御である場合において、該フィードバック制御によって制御される状態量が内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量であり、前記単一の制御がオープンループ制御である場合において、該オープンループ制御によって制御される状態量が内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量である請求項12に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記グループのうちの1つのグループに内燃機関の吸気管内のガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうち別の1つのグループに内燃機関の燃焼室内に吸入されたガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つのグループに内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料の噴霧の状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられ、前記グループのうちさらに別の1つグループに内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの状態に関する状態量を直接的に制御する制御対象が割り当てられている請求項9〜12のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
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PCT/JP2010/059484 WO2011148516A1 (ja) | 2010-05-28 | 2010-05-28 | 内燃機関の制御装置 |
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JP2000282915A (ja) * | 1999-03-31 | 2000-10-10 | Mazda Motor Corp | 火花点火式直噴エンジンの制御装置 |
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JP2000282915A (ja) * | 1999-03-31 | 2000-10-10 | Mazda Motor Corp | 火花点火式直噴エンジンの制御装置 |
JP2007270767A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Mazda Motor Corp | エンジンの始動装置 |
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Publication number | Publication date |
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