JPWO2011115280A1 - 複合体微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
炭酸カルシウム等の無機塩と有機高分子との複合材料であって、微細構造が制御され、かつ均一な粒径を有する微粒子、及びその製造方法を提供することを目的とする。この微粒子は、色素等の様々な機能性物質を保持でき、優れたホスト材料となり得る。水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含み、親水性ポリマーで覆われた無機塩の結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合してなる複合体微粒子である。この複合体微粒子を製造するには、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、目的の複合体微粒子を析出させる。
Description
本発明は、様々な機能を付与し得るホスト材料としての複合体微粒子、及び機能を付与した複合体微粒子、並びにそれらの製造方法に関する。
機能性成分として多様な分子を導入し得る複合体微粒子は、導入する分子の種類によって、化粧品、塗料、製紙材料、吸着剤、触媒担体、分子輸送カプセル、生体材料、分離用カラム充填材等の幅広い応用が期待されている。例えば、可視光に透明であるが紫外線を照射することで発光するような分子を複合体微粒子中に導入し、その機能化した複合体微粒子を紙に塗布すれば、書類の偽造防止のための塗料として利用することができる。このようなホスト材料に用いる複合体微粒子としては、金属、金属酸化物、有機高分子、生体高分子等からなる様々な粒子径や形状を有する材料が、学術的あるいは工業的に研究されており、実用化もされている。
その中でも特に、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在し、安価でかつ安全に利用できる物質として期待されている。実際に、炭酸カルシウムからなる微粒子材料は、製紙、塗料・インク、ゴム・プラスチック等の材料として既に用いられている。そして、天然には、貝殻や卵殻のように、炭酸カルシウムと有機高分子による無機有機複合体が数多く存在し、そのような炭酸カルシウム及び有機高分子からなる2成分の複合体微粒子を人工的に作製する試みもなされている。今日、資源や環境問題に配慮した材料、安全・安心で生活に貢献する材料が求められており、炭酸カルシウムを用いた複合体微粒子が開発できれば、このような課題を解決できる可能性がある。
例えば、(非特許文献1)では、ポリアクリル酸やポリスチレンスルホン酸等の酸性高分子を用いてCaCO3−有機高分子ナノ複合体微粒子を合成している。しかし、(非特許文献1)は、複合体微粒子の構造や形態に関する学術的な研究に留まるものであり、上述のように複合体微粒子を工業的に応用する観点から、微粒子を構成する結晶の構造や微粒子の粒径の均一性等をさらに高度に制御することが求められる。また、複合体微粒子に対して機能性成分を導入する場合に、その導入効率を向上させるため、より大きい比表面積を有する複合体微粒子を作製することも望まれる。
また、(非特許文献2)には、塩化カルシウム水溶液と炭酸アンモニウム水溶液とを、それぞれシリンジから水中へ供給し(この際、2つのシリンジの先端を近接させて塩化カルシウムと炭酸アンモニウムの高濃度な混合状態を形成する)、続いて、その水中へポリアクリル酸(PAA)を添加することにより炭酸カルシウムの結晶粒子を析出させる方法が開示されている。しかし、この方法により得られる炭酸カルシウム粒子は、上記(非特許文献1)と同様に粒径が不均一であり(例えば、2.9±0.6μm程度)、またナノサイズの基本粒子が凝集した状態であって結晶の構造が高度に制御されたものではなかった。さらに、シリンジから水溶液を供給するための送液ポンプ等が別途必要となるため、工業的に粒子を製造する際には装置のスケールアップが困難であった。
一方、複合体微粒子を形成した後に機能性成分を別途導入するのではなく、複合体微粒子を形成する際に同時に機能性成分を組み入れることで、機能性成分を含有する複合体微粒子を製造する技術もいくつか提案されている。例えば、(特許文献1)には、機能性有機化合物と、その機能性有機化合物を溶解又は分散させる熱可融性化合物と、機能性有機化合物を吸着し且つ当該機能性有機化合物に対し不活性であるとともに吸油量が80ml/100g以上である無機微粒子とを含む機能性微粒子が開示されている。この機能性微粒子を製造する際には、機能性有機化合物、熱可融性化合物及び無機微粒子を含む粒子状混合物を調製し、その粒子状混合物を熱可融性化合物の融点以上に加熱することによって、機能性有機化合物を溶解又は分散させている。溶融過程を経るため、得られる微粒子は耐熱性が低く、また熱で変質するような物質を機能性有機化合物として使用できないという問題がある。
その他、従来の複合体微粒子は、無機材料の微粒子では熱処理を伴い、また、有機材料の微粒子では重合反応を伴う等、温度をはじめとする反応条件の制御や特殊な装置を必要とする場合が多い。
これに対し、本発明者らは、水溶液中において硫酸カリウム及びポリアクリル酸を用いて結晶成長を行い、ナノからマクロにわたる多重スケールで制御された構造体を形成し、その際に有機色素分子を構造体内にナノスケールで導入し得ることを見出した(非特許文献3)。この研究は、高分子の濃度を変化させること等によって構造体を形成する各階層の形態を制御し得ることを明らかにする等、学術的には意義のあるものであったが、硫酸カリウムが水溶性であり、また得られる構造体が粒子状ではないため、上述のような塗料等には応用し難いものであった。
なお、上記(非特許文献1)では、CaCO3−有機高分子ナノ複合体微粒子を合成する際に同時に機能性成分を導入することは行われておらず、また、上記(非特許文献2)においても、炭酸カルシウムのみからなる粒子が製造されている。炭酸カルシウムと有機高分子との複合材料に対して、さらに第3の機能性成分を複合化した材料を合成する試みは現在までなされていない。
その中でも特に、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在し、安価でかつ安全に利用できる物質として期待されている。実際に、炭酸カルシウムからなる微粒子材料は、製紙、塗料・インク、ゴム・プラスチック等の材料として既に用いられている。そして、天然には、貝殻や卵殻のように、炭酸カルシウムと有機高分子による無機有機複合体が数多く存在し、そのような炭酸カルシウム及び有機高分子からなる2成分の複合体微粒子を人工的に作製する試みもなされている。今日、資源や環境問題に配慮した材料、安全・安心で生活に貢献する材料が求められており、炭酸カルシウムを用いた複合体微粒子が開発できれば、このような課題を解決できる可能性がある。
例えば、(非特許文献1)では、ポリアクリル酸やポリスチレンスルホン酸等の酸性高分子を用いてCaCO3−有機高分子ナノ複合体微粒子を合成している。しかし、(非特許文献1)は、複合体微粒子の構造や形態に関する学術的な研究に留まるものであり、上述のように複合体微粒子を工業的に応用する観点から、微粒子を構成する結晶の構造や微粒子の粒径の均一性等をさらに高度に制御することが求められる。また、複合体微粒子に対して機能性成分を導入する場合に、その導入効率を向上させるため、より大きい比表面積を有する複合体微粒子を作製することも望まれる。
また、(非特許文献2)には、塩化カルシウム水溶液と炭酸アンモニウム水溶液とを、それぞれシリンジから水中へ供給し(この際、2つのシリンジの先端を近接させて塩化カルシウムと炭酸アンモニウムの高濃度な混合状態を形成する)、続いて、その水中へポリアクリル酸(PAA)を添加することにより炭酸カルシウムの結晶粒子を析出させる方法が開示されている。しかし、この方法により得られる炭酸カルシウム粒子は、上記(非特許文献1)と同様に粒径が不均一であり(例えば、2.9±0.6μm程度)、またナノサイズの基本粒子が凝集した状態であって結晶の構造が高度に制御されたものではなかった。さらに、シリンジから水溶液を供給するための送液ポンプ等が別途必要となるため、工業的に粒子を製造する際には装置のスケールアップが困難であった。
一方、複合体微粒子を形成した後に機能性成分を別途導入するのではなく、複合体微粒子を形成する際に同時に機能性成分を組み入れることで、機能性成分を含有する複合体微粒子を製造する技術もいくつか提案されている。例えば、(特許文献1)には、機能性有機化合物と、その機能性有機化合物を溶解又は分散させる熱可融性化合物と、機能性有機化合物を吸着し且つ当該機能性有機化合物に対し不活性であるとともに吸油量が80ml/100g以上である無機微粒子とを含む機能性微粒子が開示されている。この機能性微粒子を製造する際には、機能性有機化合物、熱可融性化合物及び無機微粒子を含む粒子状混合物を調製し、その粒子状混合物を熱可融性化合物の融点以上に加熱することによって、機能性有機化合物を溶解又は分散させている。溶融過程を経るため、得られる微粒子は耐熱性が低く、また熱で変質するような物質を機能性有機化合物として使用できないという問題がある。
その他、従来の複合体微粒子は、無機材料の微粒子では熱処理を伴い、また、有機材料の微粒子では重合反応を伴う等、温度をはじめとする反応条件の制御や特殊な装置を必要とする場合が多い。
これに対し、本発明者らは、水溶液中において硫酸カリウム及びポリアクリル酸を用いて結晶成長を行い、ナノからマクロにわたる多重スケールで制御された構造体を形成し、その際に有機色素分子を構造体内にナノスケールで導入し得ることを見出した(非特許文献3)。この研究は、高分子の濃度を変化させること等によって構造体を形成する各階層の形態を制御し得ることを明らかにする等、学術的には意義のあるものであったが、硫酸カリウムが水溶性であり、また得られる構造体が粒子状ではないため、上述のような塗料等には応用し難いものであった。
なお、上記(非特許文献1)では、CaCO3−有機高分子ナノ複合体微粒子を合成する際に同時に機能性成分を導入することは行われておらず、また、上記(非特許文献2)においても、炭酸カルシウムのみからなる粒子が製造されている。炭酸カルシウムと有機高分子との複合材料に対して、さらに第3の機能性成分を複合化した材料を合成する試みは現在までなされていない。
西野佑一,「CaCO3−有機高分子ナノ複合体の合成と分子ホストへの応用」,慶應義塾大学大学院理工学研究科2008年度修士論文,2009年3月
K.Naka,S.Huang,and Y.Chujo,″Formation of Stable Vaterite with Poly(acrylic acid)by the Delayed Addition Method,″Langmuir,22,7760−7767(2006)
Y.Oaki,H.Imai,″A Model Approach Towards Suprabiomineral Materials,″Adv.Funct.Mater.15,1407−1414(2005)
本発明は、上記従来の状況に鑑み、炭酸カルシウム等の無機塩と有機高分子との複合材料であって、微細構造が制御され、かつ均一な粒径を有する微粒子、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、比表面積がより大きい複合体微粒子及びその製造方法を提供することも目的とする。これらの複合体微粒子は、色素等の様々な機能性物質を保持でき、優れたホスト材料となり得る。
さらに本発明は、炭酸カルシウム等の無機塩を母体とし、有機高分子と機能性物質とを複合化した微粒子を提供することを目的とする。また、機能性物質を損ねることなく、常温で実施することができる複合体微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、水を溶媒とし、炭酸カルシウム等の無機塩を合成すると同時に親水性ポリマーを存在させることで、均一な粒径を有し、かつ結晶構造が高度に制御された、ホスト材料として使用できる複合体微粒子を作製し得ることを見出し、本発明を完成した。また、驚くべきことに、得られた複合体微粒子中の親水性ポリマーを酸化分解により除去することによって、無機塩の結晶構造を維持したまま微粒子の比表面積が増大することも見出した。
さらに、水を溶媒とし、炭酸カルシウム等の無機塩と親水性のポリマーからなる複合体へさらに第3の機能性物質を複合化しながら同時に合成を行うことで、複合体微粒子を作製し得ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含み、親水性ポリマーで覆われた無機塩の結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合してなる複合体微粒子。
(2)平均粒径が0.1〜100μmであり、CV値(標準偏差/平均粒径)が3.0%以下である前記(1)に記載の複合体微粒子。
(3)無機塩の結晶が、炭酸カルシウムの結晶である前記(1)又は(2)に記載の複合体微粒子。
(4)比表面積が20〜80m2/gである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合体微粒子。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去して得られる複合体微粒子。
(6)水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含む微粒子中に、機能性物質が均一に分布してなる複合体微粒子。
(7)平均粒径が0.5〜100μmである前記(6)に記載の複合体微粒子。
(8)水不溶性の無機塩が、炭酸カルシウムである前記(6)又は(7)に記載の複合体微粒子。
(9)前記(6)〜(8)のいずれかに記載の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去して得られる複合体微粒子。
(10)親水性ポリマーが、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーである前記(1)〜(9)のいずれかに記載の複合体微粒子。
(11)親水性ポリマーが、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の複合体微粒子。
(12)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、複合体微粒子を析出させる前記複合体微粒子の製造方法。
(13)前記(5)に記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、析出させた微粒子をさらに溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する前記複合体微粒子の製造方法。
(14)前記(6)〜(8)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、複合体微粒子を析出させる前記複合体微粒子の製造方法。
(15)前記(9)に記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、析出させた微粒子をさらに溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する前記複合体微粒子の製造方法。
(16)2種以上の物質が炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムであり、水不溶性の無機塩が炭酸カルシウムである前記(12)〜(15)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法。
(17)複合体微粒子の析出が0〜35℃で行われる前記(12)〜(16)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2010−177236号及び2010−64149号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
さらに本発明は、炭酸カルシウム等の無機塩を母体とし、有機高分子と機能性物質とを複合化した微粒子を提供することを目的とする。また、機能性物質を損ねることなく、常温で実施することができる複合体微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、水を溶媒とし、炭酸カルシウム等の無機塩を合成すると同時に親水性ポリマーを存在させることで、均一な粒径を有し、かつ結晶構造が高度に制御された、ホスト材料として使用できる複合体微粒子を作製し得ることを見出し、本発明を完成した。また、驚くべきことに、得られた複合体微粒子中の親水性ポリマーを酸化分解により除去することによって、無機塩の結晶構造を維持したまま微粒子の比表面積が増大することも見出した。
さらに、水を溶媒とし、炭酸カルシウム等の無機塩と親水性のポリマーからなる複合体へさらに第3の機能性物質を複合化しながら同時に合成を行うことで、複合体微粒子を作製し得ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含み、親水性ポリマーで覆われた無機塩の結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合してなる複合体微粒子。
(2)平均粒径が0.1〜100μmであり、CV値(標準偏差/平均粒径)が3.0%以下である前記(1)に記載の複合体微粒子。
(3)無機塩の結晶が、炭酸カルシウムの結晶である前記(1)又は(2)に記載の複合体微粒子。
(4)比表面積が20〜80m2/gである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合体微粒子。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去して得られる複合体微粒子。
(6)水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含む微粒子中に、機能性物質が均一に分布してなる複合体微粒子。
(7)平均粒径が0.5〜100μmである前記(6)に記載の複合体微粒子。
(8)水不溶性の無機塩が、炭酸カルシウムである前記(6)又は(7)に記載の複合体微粒子。
(9)前記(6)〜(8)のいずれかに記載の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去して得られる複合体微粒子。
(10)親水性ポリマーが、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーである前記(1)〜(9)のいずれかに記載の複合体微粒子。
(11)親水性ポリマーが、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の複合体微粒子。
(12)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、複合体微粒子を析出させる前記複合体微粒子の製造方法。
(13)前記(5)に記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、析出させた微粒子をさらに溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する前記複合体微粒子の製造方法。
(14)前記(6)〜(8)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、複合体微粒子を析出させる前記複合体微粒子の製造方法。
(15)前記(9)に記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、析出させた微粒子をさらに溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する前記複合体微粒子の製造方法。
(16)2種以上の物質が炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムであり、水不溶性の無機塩が炭酸カルシウムである前記(12)〜(15)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法。
(17)複合体微粒子の析出が0〜35℃で行われる前記(12)〜(16)のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2010−177236号及び2010−64149号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、実施例1における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図2は、実施例1における複合体微粒子のX線回折パターンである。
図3は、実施例1における複合体微粒子の偏光顕微鏡写真である。
図4は、実施例2における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図5は、実施例2における複合体微粒子のX線回折パターンである。
図6は、実施例2における複合体微粒子の熱重量分析結果を示す図である。
図7は、実施例3における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図8は、実施例3における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図9は、実施例3における複合体微粒子を蛍光顕微鏡により観察した図である。
図10は、図9の部分拡大図である。
図11は、紙上に塗布した複合体微粒子を可視光下で撮影した図である。
図12は、紙上に塗布した複合体微粒子を紫外光下で撮影した図である。
図13は、参考例1における複合体微粒子を蛍光顕微鏡により観察した図である。
図14は、図13の部分拡大図である。
図2は、実施例1における複合体微粒子のX線回折パターンである。
図3は、実施例1における複合体微粒子の偏光顕微鏡写真である。
図4は、実施例2における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図5は、実施例2における複合体微粒子のX線回折パターンである。
図6は、実施例2における複合体微粒子の熱重量分析結果を示す図である。
図7は、実施例3における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図8は、実施例3における複合体微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図9は、実施例3における複合体微粒子を蛍光顕微鏡により観察した図である。
図10は、図9の部分拡大図である。
図11は、紙上に塗布した複合体微粒子を可視光下で撮影した図である。
図12は、紙上に塗布した複合体微粒子を紫外光下で撮影した図である。
図13は、参考例1における複合体微粒子を蛍光顕微鏡により観察した図である。
図14は、図13の部分拡大図である。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとから構成され、ホスト材料として用い得る2成分系の複合体微粒子について説明する。この複合体微粒子は、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合することにより、析出させて得ることができる。例えば、水不溶性の無機塩が炭酸カルシウムである場合、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び親水性ポリマーの水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2)の水溶液とを準備し、これらの水溶液を混合して適宜攪拌等を行うことにより、炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムを反応させて(Na2CO3+CaCl2→CaCO3+2NaCl)、炭酸カルシウムと親水性ポリマーとの複合体微粒子を沈殿として得ることができる。なお、親水性ポリマーは、炭酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムの水溶液とを混合し反応させる時点で混合液中に存在していれば良く、親水性ポリマーを最初に溶解させておく水溶液は、上記2種類の水溶液のいずれであっても良い。あるいは親水性ポリマーのみを溶解させた水溶液を別途調製して、この水溶液を混合液中に加えても良い。そして、沈殿として析出した複合体微粒子は、ろ過等により分離し、適宜洗浄、乾燥させることにより、目的の複合体微粒子を得ることができる。
無機塩としては、水に不溶であれば適用可能である。なお、ここでいう水不溶性には、水難溶性のものも含む。具体的には、アルカリ土類金属の炭酸塩や硫酸塩等が好ましく、例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムと水酸化カルシウムの複合塩、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム等が挙げられる。これらの無機塩は、いずれかを単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。その中でも、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在し、安価で安全な物質であるため特に好ましく用いられる。
親水性ポリマーとしては、公知のものから適宜選択して用いることができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(3−スルホプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−スルホエチル(メタ)アクリレート)等のアニオン性のポリマー及びそれらの塩、ポリアリルアミン、ポリジメチルアリルアミン、ポリ(塩化(メタ)アクリロイルプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)等のカチオン性のポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミド、ポリビニルモルホリン等のノニオン性のポリマー、カルボキシジメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等、並びにこれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体が適用可能である。さらに、ポリマーの親水性を低下させない限りにおいて、上記のポリマーとその他のモノマー成分との共重合体も用いることができる。その中でも、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーは、炭酸カルシウム等の無機塩との複合体を形成し易いため、好ましく用いられ、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩が最も好ましく用いられる。
得られる複合体微粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜100μmの範囲内である。また、CV値(標準偏差/平均粒径)が3.0%以下という粒径が均一化された微粒子を得ることができる。なお、ここでいう粒径とは、電子顕微鏡等で観測される各方向に沿った微粒子の直径のうち、最も大きい値の直径を指す。平均粒径は、各原料の濃度や反応時間等を変化させることにより、複合体微粒子の用途に応じて適宜制御することができる。
また、製造条件によっても異なるが、得られる複合体微粒子は大きい比表面積を有しており、例えば20〜80m2/g、好ましくは50〜80m2/gの値を有する。
そして、上記の工程により得られる複合体微粒子は、親水性ポリマーで覆われた無機塩の結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合した構造を有している。より具体的には、例えば、大きさが20〜50nm程度の無機塩のユニット結晶が親水性ポリマーで覆われ、それらが結晶方位を揃えた状態で集合して微粒子を構成している。親水性ポリマーは、無機塩のユニット結晶間に存在し、ユニット結晶間には細孔が形成されて、各種の機能性物質を保持することができる。なお、「結晶方位を揃えた状態」とは、一般に、微粒子を偏光顕微鏡クロスニコル下で観察したとき、ステージを回転させていくにつれて微粒子の像全体が一様に明るくもしくは暗くなる場合をいうが、本発明においては、微粒子1つの写真を円形で囲み、ステージを回転させた際に最も明るい状態と最も暗い状態を画像解析し、最も明るい状態の輝度に対して最も暗い状態の輝度が40%以上減少している場合を「結晶方位を揃えた状態」と定義する。
無機塩のユニット結晶の結晶形や大きさ等は、親水性ポリマーの種類や平均分子量等によって制御することができ、特に限定されるものではない。例えば、無機塩が炭酸カルシウムである場合、結晶形はカルサイトやバテライト等、いずれの結晶形も作製可能であるが、機能性物質の保持能力等の観点から、バテライト結晶であることが特に好ましい。バテライト結晶は、例えば、親水性ポリマーとしてポリスチレンスルホン酸を選択することにより形成することができる。これにより得られる微粒子は、ポリスチレンスルホン酸が嵩高い官能基を有しているために、サイズの大きい機能性物質(Reichardt’s dye等)を保持することが可能であり、また、より疎水的な機能性物質を大量に導入することができるため好ましい。
複合体微粒子を析出させる反応は、加熱して行っても良いが、常温で行うことが好ましい。具体的には、0〜35℃、特に20〜35℃で行うことが好ましい。これにより、微粒子の製造を低コスト、省エネルギーで実施することができる。
また、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を、親水性ポリマーとともに混合する際には、できるだけ短時間に(一気に)混合し、一般的な反応よりも高速度で攪拌して混合液内を素早く均一にすることが好ましい。具体的には、混合液の容量によっても異なるが、1500〜2000rpmの速度で激しく攪拌することが好ましい。
各水溶液を混合して反応を開始する時点において、混合液中に存在する不溶性の無機塩、及び親水性ポリマーの濃度は、それら各原料の種類、得られる複合体微粒子の用途等に応じて適宜設定される。本発明においては、不溶性の無機塩の濃度を高くすると、球形の形状の均一性が損なわれたり、球形でない微粒子が析出したりする傾向があり、親水性ポリマーの濃度を高くすると、粒径の単分散性が損なわれることなく平均粒径が小さくなるという傾向がある。具体的には、混合液中、親水性ポリマーの濃度を0.005〜0.15重量%とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、不溶性の無機塩の濃度として好ましい値の一例を挙げると、無機塩が炭酸カルシウムである場合、混合液中のカルシウムイオン濃度が32mM程度、炭酸イオン濃度が16mM程度である。
また、親水性ポリマーの重量平均分子量は、親水性ポリマーの種類によって異なり、特に限定されるものではないが、一般的には重量平均分子量が大きいほど、結晶成長を抑制する効果が強まり、複合体微粒子の構成単位であるナノサイズの炭酸カルシウム等の無機塩結晶のサイズが小さくなる傾向があるため、この点を考慮して適宜設定される。例えば、親水性ポリマーとしてポリアクリル酸もしくはその塩を用いる場合、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000〜250,000、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩を用いる場合の重量平均分子量は70,000〜250,000の範囲内であることが好ましい。
また、各水溶液を混合して反応を行う際には、必要に応じて、界面活性剤、分散安定剤等の各種添加剤を加えても良い。このような添加剤の濃度は、添加剤の種類によっても異なるが、一般的には混合液中、添加剤の合計量を5重量%未満とすることが好ましい。
次に、無機塩及び親水性ポリマーとともに、機能性物質をも複合化した3成分系の複合体微粒子、及びその製造方法について説明する。この複合体微粒子は、水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含む微粒子中に、機能性物質が均一に分布していることを特徴とする。ここで「均一に分布している」とは、機能性物質が微粒子の外縁部に集中することなく、微粒子の中心部にも十分に組み込まれて、微粒子内における機能性物質の含有量の偏りが少ない状態をいう。具体的には、例えば、得られた複合体微粒子について、蛍光顕微鏡、赤外線顕微鏡、電子顕微鏡等を用い、第3の機能性物質固有の化学種に由来するシグナルをマッピング(イメージング)し、その写真を画像処理によって解析を行ったとき、微粒子の中心部及び外縁部における明るさに対応するパラメータの比率(外縁部/中心部)が、0.67以上1.5未満であるような場合をいう。なお、顕微鏡写真では、微粒子の中心部の方が外縁部に比べて観察方向の厚さが大きいために機能性物質の濃度が高く(明るく)見えるので、得られた複合体微粒子が完全球形であると仮定して、中心部から外縁部へのシグナル変化を、単位厚さ当たりの値に補正した上で上記比率を求める。
無機塩としては、上記2成分系の複合体微粒子の場合と同様に、水に不溶であれば適用可能である。なお、ここでいう水不溶性には、水難溶性のものも含む。具体的には、アルカリ土類金属の炭酸塩や硫酸塩等が好ましく、例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムと水酸化カルシウムの複合塩、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム等が挙げられる。これらの無機塩は、いずれかを単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。その中でも、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在し、安価で安全な物質であるため特に好ましく用いられる。
親水性ポリマーとしては、公知のものから適宜選択して用いることができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(3−スルホプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−スルホエチル(メタ)アクリレート)等のアニオン性のポリマー及びそれらの塩、ポリアリルアミン、ポリジメチルアリルアミン、ポリ(塩化(メタ)アクリロイルプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)等のカチオン性のポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミド、ポリビニルモルホリン等のノニオン性のポリマー、カルボキシジメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等、並びにこれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体が適用可能である。さらに、ポリマーの親水性を低下させない限りにおいて、上記のポリマーとその他のモノマー成分との共重合体も用いることができる。その中でも、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーは、炭酸カルシウム等の無機塩との複合体を形成し易いため、好ましく用いられ、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩が最も好ましく用いられる。
機能性物質には、有機低分子・高分子化合物、無機化合物、ナノ粒子、イオン液体等、様々な物質が包含され、複合体微粒子に付与しようとする機能に応じて適宜選択される。また、複数種類の機能性物質を導入することで、多機能性を付与することもできる。機能性物質としては、水に可溶な物質もしくは不溶な物質のいずれも用いることができるが、水に溶ける分子であるか、もしくは均一に分散する材料がより好ましい。また、一般には負電荷を持たないものが好ましいが、親水性ポリマーの種類等によっても異なり、これに限定されるものではない。
より具体的には、機能性物質の例として、色素、香料、農薬、医薬、酵素、金属、金属錯体、フィラー、磁性体、蛍光物質、燐光物質、放射性物質、タンパク質、核酸、糖、界面活性剤、キレート剤、触媒、モノマー、生理活性物質、発泡剤、消色剤、難燃剤、消泡剤、耐電防止剤、抗菌剤、消毒剤等を挙げることができ、酵素としてはジアスターゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ等、生理活性物質としてはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC等の水溶性ビタミン類、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等の脂溶性ビタミン類、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類等を例示することができる。例えば、蛍光、燐光、磁性、放射性を有する機能性物質を複合化した微粒子は、マーカーや分析指示薬として用いることができる。また、色素を複合化すれば、着色した微粒子を得ることができる。また、機能性物質としてモノマーを導入することにより、後で重合することによって複合化微粒子同士を架橋したり、さらなる機能を付与するための官能基を修飾したりすることができる。さらに、触媒活性をもつ金属を複合化すれば、触媒の凝集を抑えることができ、触媒活性を維持することができる。
以上のような3成分系の複合体微粒子を製造するに際しては、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、複合体微粒子を析出させる方法により行うことができる。
例えば、水不溶性の無機塩が炭酸カルシウムである場合、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び親水性ポリマーの水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2)の水溶液とを準備し、これらの水溶液を混合し、適宜攪拌等を行うことにより、炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムを反応させて(Na2CO3+CaCl2→CaCO3+2NaCl)、炭酸カルシウムと親水性ポリマーとの複合体を沈殿として得ることができる。この際に、上記の炭酸ナトリウム及び親水性ポリマーの水溶液に対し、第3の成分として機能性物質を溶解させておくことで、炭酸カルシウムを母体とし、親水性ポリマーによる結晶成長と粒子形態の形成を行うと同時に、機能性物質を複合化した3成分からなる複合体微粒子の作製が可能となる。この複合体微粒子は、親水性ポリマーに覆われたナノサイズの炭酸カルシウム結晶が互いに連結した構造であり、機能性物質を導入可能なナノ空間が形成されている。このナノ空間に機能性物質が包含され、安定に保持されている。また、この複合体微粒子は、炭酸カルシウムが水不溶性であることから、結晶の核が一気に生成し、そのため単分散性に優れ、すなわち均一でサイズが揃った球状の微粒子が得られる。なお、親水性ポリマー及び機能性物質は、炭酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムの水溶液とを混合し反応させる時点で混合液中に存在していれば良く、親水性ポリマー及び機能性物質を最初に溶解させておく水溶液は、上記2種類の水溶液のいずれであっても良い。あるいは親水性ポリマー及び/又は機能性物質のみを溶解させた水溶液を別途調製して、この水溶液を混合液中に加えても良い。そして、沈殿として析出した複合体微粒子は、ろ過等により分離し、適宜洗浄、乾燥させることにより、目的の複合体微粒子を得ることができる。
複合体微粒子を析出させる反応は、加熱して行っても良いが、常温で行うことが好ましい。具体的には、0〜35℃、特に20〜35℃で行うことが好ましい。これにより、微粒子の製造を低コスト、省エネルギーで実施することができ、また機能性物質が熱により変質することがない。
また、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を、親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合する際には、できるだけ短時間に(一気に)混合し、一般的な反応よりも高速度で攪拌して混合液内を素早く均一にすることが好ましい。具体的には、混合液の容量によっても異なるが、1500〜2000rpmの速度で激しく攪拌することが好ましい。
各水溶液を混合して反応を開始する時点において、混合液中に存在する不溶性の無機塩、親水性ポリマー、及び機能性物質の濃度は、それら各原料の種類、得られる複合体微粒子の用途等に応じて適宜設定される。本発明においては、不溶性の無機塩の濃度を高くすると、球形の形状の均一性が損なわれたり、球形でない結晶が析出したりする傾向があり、親水性ポリマーの濃度を高くすると、粒径の単分散性が損なわれることなく平均粒径が小さくなるという傾向がある。具体的には、混合液中、親水性ポリマーの濃度を0.005〜0.15重量%、機能性物質の濃度を0.1×10−3〜1重量%程度とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、不溶性の無機塩の濃度として好ましい値の一例を挙げると、無機塩が炭酸カルシウムである場合、混合液中のカルシウムイオン濃度が32mM程度、炭酸イオン濃度が16mM程度である。
また、親水性ポリマーの重量平均分子量は、親水性ポリマーの種類によって異なり、特に限定されるものではないが、一般的には重量平均分子量が大きいほど、結晶成長を抑制する効果が強まり、複合体微粒子の構成単位であるナノサイズの炭酸カルシウム等の無機塩結晶のサイズが小さくなる傾向があるため、この点を考慮して適宜設定される。例えば、親水性ポリマーとしてポリアクリル酸もしくはその塩を用いる場合、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000〜250,000、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩を用いる場合の重量平均分子量は70,000〜250,000の範囲内であることが好ましい。
また、各水溶液を混合して反応を行う際には、必要に応じて、界面活性剤、分散安定剤等の各種添加剤を加えても良い。例えば、界面活性剤を加えることにより、水に不溶であった第3の機能性物質をミセル内へ取り込むことで水中へ可溶化し、微粒子内への複合化を容易にすることができる。このような添加剤の濃度は、添加剤の種類によっても異なるが、一般的には混合液中、添加剤の合計量を5重量%未満とすることが好ましい。
以上の工程により得られる複合体微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜100μmの範囲内である。各原料の濃度等を変化させることにより、複合体微粒子の用途に応じた最適な平均粒径になるよう制御することができる。
そして、本発明においては、上述の水不溶性の無機塩及び親水性ポリマーを含む2成分系の複合体微粒子、あるいは水不溶性の無機塩、親水性ポリマー及び機能性物質を含む3成分系の複合体微粒子から、さらに親水性ポリマーを除去することが可能である。本発明者らは、親水性ポリマーを除去した場合であっても、ナノサイズの無機塩結晶が互いに連結した構造は崩壊せずに維持されることを見出した。無機塩のユニット結晶間には、親水性ポリマーが存在していた分の新たなナノ空間が形成され、全体として比表面積が増大した多孔質な複合体微粒子を得ることができる。例えば、限定されるものではないが、20〜80m2/gの比表面積を有する上述の水不溶性の無機塩及び親水性ポリマーを含む2成分系の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去した場合、比表面積は90〜100m2/g程度まで増大する。したがって、1つの微粒子中により多量の機能性物質を導入することができる。
親水性ポリマーを除去する具体的な方法としては、複合体微粒子を溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する方法を採用することができる。微粒子を溶媒中に浸す際には、親水性ポリマーの酸化分解を経て生成するプロトンによって近傍の炭酸カルシウム等の無機塩結晶が一部溶解する可能性があるため、溶媒中に浸すとともに攪拌を行うことが好ましい。攪拌後、例えば室温下に静置しておくことで、親水性ポリマーを酸化分解し除去することができる。続いて、処理した微粒子をろ過等によって分離し、純水等の溶剤で洗浄、乾燥することによって、親水性ポリマーが除去された複合体微粒子を得ることができる。
複合体微粒子を浸す溶媒の種類としては、親水性ポリマーを酸化分解できれば良く、特に限定されるものではないが、好適な例として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を挙げることができる。この場合、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度は有効塩素濃度2%以上とすることが好ましく、市販のものは最高で有効塩素濃度5%程度であるが、それ以上濃い溶液を用いても良い。複合体微粒子と次亜塩素酸ナトリウム水溶液の比率は、複合体微粒子2g当たり次亜塩素酸ナトリウム水溶液30ml以上とすることが好ましい。上記範囲よりも次亜塩素酸ナトリウムの濃度を小さくしたり、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に対して複合体微粒子の割合を大きくしても良いが、親水性ポリマーの除去により長時間を要する場合がある。また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に微粒子を浸しておく処理時間は、短過ぎると親水性ポリマーの除去量が少なくなり、また長過ぎると無機塩の結晶が変化してしまう恐れがあるので、これらを考慮して適宜設定される。通常は、溶媒の濃度等によって異なるが、24時間以上とすることが好ましい。
無機塩としては、水に不溶であれば適用可能である。なお、ここでいう水不溶性には、水難溶性のものも含む。具体的には、アルカリ土類金属の炭酸塩や硫酸塩等が好ましく、例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムと水酸化カルシウムの複合塩、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム等が挙げられる。これらの無機塩は、いずれかを単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。その中でも、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在し、安価で安全な物質であるため特に好ましく用いられる。
親水性ポリマーとしては、公知のものから適宜選択して用いることができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(3−スルホプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−スルホエチル(メタ)アクリレート)等のアニオン性のポリマー及びそれらの塩、ポリアリルアミン、ポリジメチルアリルアミン、ポリ(塩化(メタ)アクリロイルプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)等のカチオン性のポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミド、ポリビニルモルホリン等のノニオン性のポリマー、カルボキシジメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等、並びにこれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体が適用可能である。さらに、ポリマーの親水性を低下させない限りにおいて、上記のポリマーとその他のモノマー成分との共重合体も用いることができる。その中でも、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーは、炭酸カルシウム等の無機塩との複合体を形成し易いため、好ましく用いられ、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩が最も好ましく用いられる。
得られる複合体微粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜100μmの範囲内である。また、CV値(標準偏差/平均粒径)が3.0%以下という粒径が均一化された微粒子を得ることができる。なお、ここでいう粒径とは、電子顕微鏡等で観測される各方向に沿った微粒子の直径のうち、最も大きい値の直径を指す。平均粒径は、各原料の濃度や反応時間等を変化させることにより、複合体微粒子の用途に応じて適宜制御することができる。
また、製造条件によっても異なるが、得られる複合体微粒子は大きい比表面積を有しており、例えば20〜80m2/g、好ましくは50〜80m2/gの値を有する。
そして、上記の工程により得られる複合体微粒子は、親水性ポリマーで覆われた無機塩の結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合した構造を有している。より具体的には、例えば、大きさが20〜50nm程度の無機塩のユニット結晶が親水性ポリマーで覆われ、それらが結晶方位を揃えた状態で集合して微粒子を構成している。親水性ポリマーは、無機塩のユニット結晶間に存在し、ユニット結晶間には細孔が形成されて、各種の機能性物質を保持することができる。なお、「結晶方位を揃えた状態」とは、一般に、微粒子を偏光顕微鏡クロスニコル下で観察したとき、ステージを回転させていくにつれて微粒子の像全体が一様に明るくもしくは暗くなる場合をいうが、本発明においては、微粒子1つの写真を円形で囲み、ステージを回転させた際に最も明るい状態と最も暗い状態を画像解析し、最も明るい状態の輝度に対して最も暗い状態の輝度が40%以上減少している場合を「結晶方位を揃えた状態」と定義する。
無機塩のユニット結晶の結晶形や大きさ等は、親水性ポリマーの種類や平均分子量等によって制御することができ、特に限定されるものではない。例えば、無機塩が炭酸カルシウムである場合、結晶形はカルサイトやバテライト等、いずれの結晶形も作製可能であるが、機能性物質の保持能力等の観点から、バテライト結晶であることが特に好ましい。バテライト結晶は、例えば、親水性ポリマーとしてポリスチレンスルホン酸を選択することにより形成することができる。これにより得られる微粒子は、ポリスチレンスルホン酸が嵩高い官能基を有しているために、サイズの大きい機能性物質(Reichardt’s dye等)を保持することが可能であり、また、より疎水的な機能性物質を大量に導入することができるため好ましい。
複合体微粒子を析出させる反応は、加熱して行っても良いが、常温で行うことが好ましい。具体的には、0〜35℃、特に20〜35℃で行うことが好ましい。これにより、微粒子の製造を低コスト、省エネルギーで実施することができる。
また、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を、親水性ポリマーとともに混合する際には、できるだけ短時間に(一気に)混合し、一般的な反応よりも高速度で攪拌して混合液内を素早く均一にすることが好ましい。具体的には、混合液の容量によっても異なるが、1500〜2000rpmの速度で激しく攪拌することが好ましい。
各水溶液を混合して反応を開始する時点において、混合液中に存在する不溶性の無機塩、及び親水性ポリマーの濃度は、それら各原料の種類、得られる複合体微粒子の用途等に応じて適宜設定される。本発明においては、不溶性の無機塩の濃度を高くすると、球形の形状の均一性が損なわれたり、球形でない微粒子が析出したりする傾向があり、親水性ポリマーの濃度を高くすると、粒径の単分散性が損なわれることなく平均粒径が小さくなるという傾向がある。具体的には、混合液中、親水性ポリマーの濃度を0.005〜0.15重量%とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、不溶性の無機塩の濃度として好ましい値の一例を挙げると、無機塩が炭酸カルシウムである場合、混合液中のカルシウムイオン濃度が32mM程度、炭酸イオン濃度が16mM程度である。
また、親水性ポリマーの重量平均分子量は、親水性ポリマーの種類によって異なり、特に限定されるものではないが、一般的には重量平均分子量が大きいほど、結晶成長を抑制する効果が強まり、複合体微粒子の構成単位であるナノサイズの炭酸カルシウム等の無機塩結晶のサイズが小さくなる傾向があるため、この点を考慮して適宜設定される。例えば、親水性ポリマーとしてポリアクリル酸もしくはその塩を用いる場合、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000〜250,000、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩を用いる場合の重量平均分子量は70,000〜250,000の範囲内であることが好ましい。
また、各水溶液を混合して反応を行う際には、必要に応じて、界面活性剤、分散安定剤等の各種添加剤を加えても良い。このような添加剤の濃度は、添加剤の種類によっても異なるが、一般的には混合液中、添加剤の合計量を5重量%未満とすることが好ましい。
次に、無機塩及び親水性ポリマーとともに、機能性物質をも複合化した3成分系の複合体微粒子、及びその製造方法について説明する。この複合体微粒子は、水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含む微粒子中に、機能性物質が均一に分布していることを特徴とする。ここで「均一に分布している」とは、機能性物質が微粒子の外縁部に集中することなく、微粒子の中心部にも十分に組み込まれて、微粒子内における機能性物質の含有量の偏りが少ない状態をいう。具体的には、例えば、得られた複合体微粒子について、蛍光顕微鏡、赤外線顕微鏡、電子顕微鏡等を用い、第3の機能性物質固有の化学種に由来するシグナルをマッピング(イメージング)し、その写真を画像処理によって解析を行ったとき、微粒子の中心部及び外縁部における明るさに対応するパラメータの比率(外縁部/中心部)が、0.67以上1.5未満であるような場合をいう。なお、顕微鏡写真では、微粒子の中心部の方が外縁部に比べて観察方向の厚さが大きいために機能性物質の濃度が高く(明るく)見えるので、得られた複合体微粒子が完全球形であると仮定して、中心部から外縁部へのシグナル変化を、単位厚さ当たりの値に補正した上で上記比率を求める。
無機塩としては、上記2成分系の複合体微粒子の場合と同様に、水に不溶であれば適用可能である。なお、ここでいう水不溶性には、水難溶性のものも含む。具体的には、アルカリ土類金属の炭酸塩や硫酸塩等が好ましく、例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムと水酸化カルシウムの複合塩、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム等が挙げられる。これらの無機塩は、いずれかを単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。その中でも、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在し、安価で安全な物質であるため特に好ましく用いられる。
親水性ポリマーとしては、公知のものから適宜選択して用いることができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(3−スルホプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−スルホエチル(メタ)アクリレート)等のアニオン性のポリマー及びそれらの塩、ポリアリルアミン、ポリジメチルアリルアミン、ポリ(塩化(メタ)アクリロイルプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)等のカチオン性のポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミド、ポリビニルモルホリン等のノニオン性のポリマー、カルボキシジメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等、並びにこれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体が適用可能である。さらに、ポリマーの親水性を低下させない限りにおいて、上記のポリマーとその他のモノマー成分との共重合体も用いることができる。その中でも、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーは、炭酸カルシウム等の無機塩との複合体を形成し易いため、好ましく用いられ、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩が最も好ましく用いられる。
機能性物質には、有機低分子・高分子化合物、無機化合物、ナノ粒子、イオン液体等、様々な物質が包含され、複合体微粒子に付与しようとする機能に応じて適宜選択される。また、複数種類の機能性物質を導入することで、多機能性を付与することもできる。機能性物質としては、水に可溶な物質もしくは不溶な物質のいずれも用いることができるが、水に溶ける分子であるか、もしくは均一に分散する材料がより好ましい。また、一般には負電荷を持たないものが好ましいが、親水性ポリマーの種類等によっても異なり、これに限定されるものではない。
より具体的には、機能性物質の例として、色素、香料、農薬、医薬、酵素、金属、金属錯体、フィラー、磁性体、蛍光物質、燐光物質、放射性物質、タンパク質、核酸、糖、界面活性剤、キレート剤、触媒、モノマー、生理活性物質、発泡剤、消色剤、難燃剤、消泡剤、耐電防止剤、抗菌剤、消毒剤等を挙げることができ、酵素としてはジアスターゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ等、生理活性物質としてはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC等の水溶性ビタミン類、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等の脂溶性ビタミン類、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類等を例示することができる。例えば、蛍光、燐光、磁性、放射性を有する機能性物質を複合化した微粒子は、マーカーや分析指示薬として用いることができる。また、色素を複合化すれば、着色した微粒子を得ることができる。また、機能性物質としてモノマーを導入することにより、後で重合することによって複合化微粒子同士を架橋したり、さらなる機能を付与するための官能基を修飾したりすることができる。さらに、触媒活性をもつ金属を複合化すれば、触媒の凝集を抑えることができ、触媒活性を維持することができる。
以上のような3成分系の複合体微粒子を製造するに際しては、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、複合体微粒子を析出させる方法により行うことができる。
例えば、水不溶性の無機塩が炭酸カルシウムである場合、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び親水性ポリマーの水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2)の水溶液とを準備し、これらの水溶液を混合し、適宜攪拌等を行うことにより、炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムを反応させて(Na2CO3+CaCl2→CaCO3+2NaCl)、炭酸カルシウムと親水性ポリマーとの複合体を沈殿として得ることができる。この際に、上記の炭酸ナトリウム及び親水性ポリマーの水溶液に対し、第3の成分として機能性物質を溶解させておくことで、炭酸カルシウムを母体とし、親水性ポリマーによる結晶成長と粒子形態の形成を行うと同時に、機能性物質を複合化した3成分からなる複合体微粒子の作製が可能となる。この複合体微粒子は、親水性ポリマーに覆われたナノサイズの炭酸カルシウム結晶が互いに連結した構造であり、機能性物質を導入可能なナノ空間が形成されている。このナノ空間に機能性物質が包含され、安定に保持されている。また、この複合体微粒子は、炭酸カルシウムが水不溶性であることから、結晶の核が一気に生成し、そのため単分散性に優れ、すなわち均一でサイズが揃った球状の微粒子が得られる。なお、親水性ポリマー及び機能性物質は、炭酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムの水溶液とを混合し反応させる時点で混合液中に存在していれば良く、親水性ポリマー及び機能性物質を最初に溶解させておく水溶液は、上記2種類の水溶液のいずれであっても良い。あるいは親水性ポリマー及び/又は機能性物質のみを溶解させた水溶液を別途調製して、この水溶液を混合液中に加えても良い。そして、沈殿として析出した複合体微粒子は、ろ過等により分離し、適宜洗浄、乾燥させることにより、目的の複合体微粒子を得ることができる。
複合体微粒子を析出させる反応は、加熱して行っても良いが、常温で行うことが好ましい。具体的には、0〜35℃、特に20〜35℃で行うことが好ましい。これにより、微粒子の製造を低コスト、省エネルギーで実施することができ、また機能性物質が熱により変質することがない。
また、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を、親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合する際には、できるだけ短時間に(一気に)混合し、一般的な反応よりも高速度で攪拌して混合液内を素早く均一にすることが好ましい。具体的には、混合液の容量によっても異なるが、1500〜2000rpmの速度で激しく攪拌することが好ましい。
各水溶液を混合して反応を開始する時点において、混合液中に存在する不溶性の無機塩、親水性ポリマー、及び機能性物質の濃度は、それら各原料の種類、得られる複合体微粒子の用途等に応じて適宜設定される。本発明においては、不溶性の無機塩の濃度を高くすると、球形の形状の均一性が損なわれたり、球形でない結晶が析出したりする傾向があり、親水性ポリマーの濃度を高くすると、粒径の単分散性が損なわれることなく平均粒径が小さくなるという傾向がある。具体的には、混合液中、親水性ポリマーの濃度を0.005〜0.15重量%、機能性物質の濃度を0.1×10−3〜1重量%程度とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、不溶性の無機塩の濃度として好ましい値の一例を挙げると、無機塩が炭酸カルシウムである場合、混合液中のカルシウムイオン濃度が32mM程度、炭酸イオン濃度が16mM程度である。
また、親水性ポリマーの重量平均分子量は、親水性ポリマーの種類によって異なり、特に限定されるものではないが、一般的には重量平均分子量が大きいほど、結晶成長を抑制する効果が強まり、複合体微粒子の構成単位であるナノサイズの炭酸カルシウム等の無機塩結晶のサイズが小さくなる傾向があるため、この点を考慮して適宜設定される。例えば、親水性ポリマーとしてポリアクリル酸もしくはその塩を用いる場合、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000〜250,000、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩を用いる場合の重量平均分子量は70,000〜250,000の範囲内であることが好ましい。
また、各水溶液を混合して反応を行う際には、必要に応じて、界面活性剤、分散安定剤等の各種添加剤を加えても良い。例えば、界面活性剤を加えることにより、水に不溶であった第3の機能性物質をミセル内へ取り込むことで水中へ可溶化し、微粒子内への複合化を容易にすることができる。このような添加剤の濃度は、添加剤の種類によっても異なるが、一般的には混合液中、添加剤の合計量を5重量%未満とすることが好ましい。
以上の工程により得られる複合体微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜100μmの範囲内である。各原料の濃度等を変化させることにより、複合体微粒子の用途に応じた最適な平均粒径になるよう制御することができる。
そして、本発明においては、上述の水不溶性の無機塩及び親水性ポリマーを含む2成分系の複合体微粒子、あるいは水不溶性の無機塩、親水性ポリマー及び機能性物質を含む3成分系の複合体微粒子から、さらに親水性ポリマーを除去することが可能である。本発明者らは、親水性ポリマーを除去した場合であっても、ナノサイズの無機塩結晶が互いに連結した構造は崩壊せずに維持されることを見出した。無機塩のユニット結晶間には、親水性ポリマーが存在していた分の新たなナノ空間が形成され、全体として比表面積が増大した多孔質な複合体微粒子を得ることができる。例えば、限定されるものではないが、20〜80m2/gの比表面積を有する上述の水不溶性の無機塩及び親水性ポリマーを含む2成分系の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去した場合、比表面積は90〜100m2/g程度まで増大する。したがって、1つの微粒子中により多量の機能性物質を導入することができる。
親水性ポリマーを除去する具体的な方法としては、複合体微粒子を溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する方法を採用することができる。微粒子を溶媒中に浸す際には、親水性ポリマーの酸化分解を経て生成するプロトンによって近傍の炭酸カルシウム等の無機塩結晶が一部溶解する可能性があるため、溶媒中に浸すとともに攪拌を行うことが好ましい。攪拌後、例えば室温下に静置しておくことで、親水性ポリマーを酸化分解し除去することができる。続いて、処理した微粒子をろ過等によって分離し、純水等の溶剤で洗浄、乾燥することによって、親水性ポリマーが除去された複合体微粒子を得ることができる。
複合体微粒子を浸す溶媒の種類としては、親水性ポリマーを酸化分解できれば良く、特に限定されるものではないが、好適な例として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を挙げることができる。この場合、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度は有効塩素濃度2%以上とすることが好ましく、市販のものは最高で有効塩素濃度5%程度であるが、それ以上濃い溶液を用いても良い。複合体微粒子と次亜塩素酸ナトリウム水溶液の比率は、複合体微粒子2g当たり次亜塩素酸ナトリウム水溶液30ml以上とすることが好ましい。上記範囲よりも次亜塩素酸ナトリウムの濃度を小さくしたり、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に対して複合体微粒子の割合を大きくしても良いが、親水性ポリマーの除去により長時間を要する場合がある。また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に微粒子を浸しておく処理時間は、短過ぎると親水性ポリマーの除去量が少なくなり、また長過ぎると無機塩の結晶が変化してしまう恐れがあるので、これらを考慮して適宜設定される。通常は、溶媒の濃度等によって異なるが、24時間以上とすることが好ましい。
親水性ポリマーとしてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7万)を溶解させた水溶液に、さらに炭酸(CO3 2−)源としてNa2CO3を濃度16mMとなるように加えた水溶液500cm3を調製した。続いて、これを攪拌しながら、1MのCaCl2水溶液16cm3を一気に注入し、1分間1500rpm以上で激しく攪拌を続けた後、容器を密閉し25℃の恒温槽内で6〜24時間静置して複合体微粒子を沈殿により析出させた。得られた沈殿を吸引ろ過によりろ過し、複合体微粒子を取り出し、純水で洗浄して25℃の恒温槽内で乾燥させた。
作製した複合体微粒子の電子顕微鏡写真(左)とその拡大図(右)を図1に示す。図1から明らかなように、得られた複合体微粒子は粒子径が均一であり、分散度を示すCV値は3.0以下であった。また、大きさが20〜50nm程度の炭酸カルシウムのナノ結晶が集合して微粒子を構成していることが明らかとなった。
さらに、作製した複合体微粒子のX線回折パターン(図2)と、クロスニコル条件下での偏光顕微鏡写真(図3の中央と右)を示す。なお、X線回折測定は、「Mini Flex II:Rigaku」を用い、CuKα線(40kV/60mA)、走査軸:2θ/θ、スキャン範囲:20〜60(deg.)、スキャンステップ:0.01(deg.)の条件にて行った。図2及び図3の結果より、作製した複合体微粒子は、炭酸カルシウムのバテライト結晶の集合体から構成されていた。また、粒子を偏光顕微鏡クロスニコル下で観察したとき、ステージを回転させていくにつれて粒子の像全体が一様に明るくもしくは暗くなった。このとき、粒子1つの写真を円形でかこみ、ステージを回転させた際に最も明るい状態と最も暗い状態を画像解析すると、最も明るい状態の輝度に対して最も暗い状態の輝度が40〜100%減少していたため、結晶方位が揃っている(配向している)ことが明らかとなった。
作製した複合体微粒子の電子顕微鏡写真(左)とその拡大図(右)を図1に示す。図1から明らかなように、得られた複合体微粒子は粒子径が均一であり、分散度を示すCV値は3.0以下であった。また、大きさが20〜50nm程度の炭酸カルシウムのナノ結晶が集合して微粒子を構成していることが明らかとなった。
さらに、作製した複合体微粒子のX線回折パターン(図2)と、クロスニコル条件下での偏光顕微鏡写真(図3の中央と右)を示す。なお、X線回折測定は、「Mini Flex II:Rigaku」を用い、CuKα線(40kV/60mA)、走査軸:2θ/θ、スキャン範囲:20〜60(deg.)、スキャンステップ:0.01(deg.)の条件にて行った。図2及び図3の結果より、作製した複合体微粒子は、炭酸カルシウムのバテライト結晶の集合体から構成されていた。また、粒子を偏光顕微鏡クロスニコル下で観察したとき、ステージを回転させていくにつれて粒子の像全体が一様に明るくもしくは暗くなった。このとき、粒子1つの写真を円形でかこみ、ステージを回転させた際に最も明るい状態と最も暗い状態を画像解析すると、最も明るい状態の輝度に対して最も暗い状態の輝度が40〜100%減少していたため、結晶方位が揃っている(配向している)ことが明らかとなった。
上記実施例1で得られた複合体微粒子約3gを5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液30mlに入れ、室温で72時間攪拌して静置することにより、親水性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸ナトリウムを酸化分解した。その後、純水で洗浄、及び乾燥することによって親水性ポリマーが除去された複合体微粒子を得た。得られた複合体微粒子の電子顕微鏡写真を図4(上段:ポリマー除去処理前、下段:処理後)に示す。図4の結果から、処理前後で1つの微粒子の粒子径にはほとんど変化がなく、複合化していたポリマーが除去されることで最小構成単位である結晶粒子が電子顕微鏡で見えるようになり、多孔質化していることが分かった。また、得られた複合体微粒子のX線回折パターンを図5(中段:処理前、下段:処理後)に示す。図5のX線回折ピークから、処理前後で炭酸カルシウムのバテライト結晶には変化がないことが明らかとなった。さらに、複合体微粒子の熱重量分析結果を図6に示す。親水性ポリマーの除去に伴い、500℃付近の重量減少分が少なくなり、親水性ポリマーが除去されていることが示された。なお、親水性ポリマーを除去することによって、微粒子の比表面積はおよそ20m2/gから90m2/gへと増大していることが明らかとなった。
親水性ポリマーとしてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7万)と、有機色素(機能性物質)であるローダミン6G及びルテニウムトリスビピリジン錯体とを溶解させた水溶液に、さらに炭酸(CO3 2−)源としてNa2CO3を濃度16mMとなるように加えた水溶液500cm3を調製した。水溶液中の有機色素の濃度は0.04mM、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの濃度は0.1重量%とした。この水溶液を攪拌しながら、1MのCaCl2水溶液を16cm3注ぎ、1分間攪拌を続けた後、25℃で一定時間静置し、その後、吸引ろ過により析出した結晶を取り出した。得られた結晶を純水及びエタノールで洗浄して25℃の恒温器内で乾燥させ、目的の複合体微粒子を製造した。なお、CaCl2水溶液を注いだ反応開始時において、[Ca2+]=32mM、[CO3 2−]=16mMであった。
製造した複合体微粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図7及び図8に示す。この結果から、本実施例により得られた複合体微粒子は、ほぼ球形の粒子であり、平均粒径は7μmであることが分かった。また、得られた複合体微粒子を蛍光顕微鏡を用いて観察した結果を図9及び図10に示す。これらの結果から明らかなように、有機色素は複合体微粒子の中心部まで入り込み、微粒子全体に均一に分布していることが分かった。さらに、この複合体微粒子を紙に塗布した場合の、可視光下での写真、及び紫外光下での写真をそれぞれ図11及び図12に示す。微粒子中に導入された有機色素の性質のため、可視光下では透明であるが紫外線を照射することで発光が見られた。このような複合体微粒子は、例えば、書類の偽造防止のための塗料として利用することができる。
また、上記の複合体微粒子と、有機色素の濃度を0.008mM、及び0.2mMに変更した以外は同様に製造した複合体微粒子について、粒子径分布を調べた。その結果、いずれの複合体微粒子も、CV値(標準偏差/平均粒子径)は3.0%であり、単分散性に優れることが分かった。また、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの濃度を0.025重量%から0.15重量%まで変化させた場合にも、平均粒径に変化はあるものの、いずれも上記と同様に有機色素が均一に分布した複合体微粒子が得られた。
(参考例1)
親水性ポリマーとしてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7万)を溶解させた水溶液に、さらに炭酸(CO3 2−)源としてNa2CO3を濃度16mMとなるように加えた水溶液500cm3を調製した。水溶液中のポリスチレンスルホン酸ナトリウムの濃度は0.1重量%とした。この水溶液を攪拌しながら、1MのCaCl2水溶液を16cm3注ぎ、1分間攪拌を続けた後、25℃で一定時間静置し、結晶を析出させた。続いて、この水溶液に対し、有機色素であるローダミン6G及びルテニウムトリスビピリジン錯体のエタノール溶液(濃度0.2mM)を15cm3加え、1時間超音波処理を行い、3時間静置して結晶に有機色素を導入した。その後、吸引ろ過により結晶を取り出し、得られた結晶を純水及びエタノールで洗浄して25℃の恒温器内で乾燥させ、複合体微粒子を得た。
得られた複合体微粒子を蛍光顕微鏡を用いて観察した結果を図13及び図14に示す。これらの結果から、有機色素は微粒子の外縁部に集中し、中心部には少ない(中心部の色が暗い)ことが分かった。
製造した複合体微粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図7及び図8に示す。この結果から、本実施例により得られた複合体微粒子は、ほぼ球形の粒子であり、平均粒径は7μmであることが分かった。また、得られた複合体微粒子を蛍光顕微鏡を用いて観察した結果を図9及び図10に示す。これらの結果から明らかなように、有機色素は複合体微粒子の中心部まで入り込み、微粒子全体に均一に分布していることが分かった。さらに、この複合体微粒子を紙に塗布した場合の、可視光下での写真、及び紫外光下での写真をそれぞれ図11及び図12に示す。微粒子中に導入された有機色素の性質のため、可視光下では透明であるが紫外線を照射することで発光が見られた。このような複合体微粒子は、例えば、書類の偽造防止のための塗料として利用することができる。
また、上記の複合体微粒子と、有機色素の濃度を0.008mM、及び0.2mMに変更した以外は同様に製造した複合体微粒子について、粒子径分布を調べた。その結果、いずれの複合体微粒子も、CV値(標準偏差/平均粒子径)は3.0%であり、単分散性に優れることが分かった。また、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの濃度を0.025重量%から0.15重量%まで変化させた場合にも、平均粒径に変化はあるものの、いずれも上記と同様に有機色素が均一に分布した複合体微粒子が得られた。
(参考例1)
親水性ポリマーとしてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7万)を溶解させた水溶液に、さらに炭酸(CO3 2−)源としてNa2CO3を濃度16mMとなるように加えた水溶液500cm3を調製した。水溶液中のポリスチレンスルホン酸ナトリウムの濃度は0.1重量%とした。この水溶液を攪拌しながら、1MのCaCl2水溶液を16cm3注ぎ、1分間攪拌を続けた後、25℃で一定時間静置し、結晶を析出させた。続いて、この水溶液に対し、有機色素であるローダミン6G及びルテニウムトリスビピリジン錯体のエタノール溶液(濃度0.2mM)を15cm3加え、1時間超音波処理を行い、3時間静置して結晶に有機色素を導入した。その後、吸引ろ過により結晶を取り出し、得られた結晶を純水及びエタノールで洗浄して25℃の恒温器内で乾燥させ、複合体微粒子を得た。
得られた複合体微粒子を蛍光顕微鏡を用いて観察した結果を図13及び図14に示す。これらの結果から、有機色素は微粒子の外縁部に集中し、中心部には少ない(中心部の色が暗い)ことが分かった。
本発明によれば、炭酸カルシウム等の無機塩を合成しながら親水性ポリマーを混合することにより、無機塩と親水性ポリマーとが複合化した微粒子を得ることができる。この複合体微粒子は、粒径が均一であり、親水性ポリマーで覆われた無機塩のユニット結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合したメソクリスタル構造を有している。比表面積が大きく、ユニット結晶間に色素等の機能性物質を保持することができるため、ホスト材料として好適に利用することができる。また、このユニット結晶は単結晶性であり、結晶方位が不均一な凝集体に比べると微粒子全体としての機械的強度が大きく、工業的に有利である。
また、結晶方位が揃った状態であることを利用して、例えばユニット結晶間に電磁場に応答する機能性物質を保持させ、外部から電磁場を加えることにより複合体微粒子を配列させて新しい高次構造体を構築したり、光学的機能を付与できる可能性がある。また、CaCO3等のユニット結晶の持つ光学特性(偏光)を利用することもできる。さらに、複合体微粒子の粒径が均一であることから、1つの微粒子に含有させる第3の機能性物質の量を一定とすることができ、また、均一な膜厚を形成可能である等、種々の用途において均一な性質を示すことができるため工業的に有利である。
また、本発明によれば、第3の成分として機能性物質を複合化しながら同時に合成を行うことにより、炭酸カルシウム等の無機塩を母体とし、親水性ポリマーと機能性物質とを複合化した微粒子を提供することができる。本発明の複合体微粒子の製造方法は、安価な原料を用い、水を溶媒として、常温で数時間程度の反応で完了するプロセスであり、省エネルギー、低コスト、安全性、量産性を兼ね備えた合成手法である。また、反応系に原料を供給するための送液ポンプ等が必要ないため、複合体微粒子を工業的に製造する際の装置のスケールアップが容易である。得られた複合体微粒子は、機能性物質が均一に分布し、機能性物質の含有量、保持力に優れている。
さらに、無機塩、親水性ポリマー、及び場合によりさらに機能性物質を複合化した微粒子を形成した後に、親水性ポリマーを除去することによって、無機塩の結晶構造を維持したまま、微粒子の比表面積を増大させることができる。これにより、機能性物質の含有量が多い複合体微粒子の作製が可能となる。また、炭酸カルシウム等の無機塩のみから構成される多孔質な微粒子を提供することができ、この微粒子は薬物等の機能性物質以外には有機物を含まないため、生体への応用に有利となり得る。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
また、結晶方位が揃った状態であることを利用して、例えばユニット結晶間に電磁場に応答する機能性物質を保持させ、外部から電磁場を加えることにより複合体微粒子を配列させて新しい高次構造体を構築したり、光学的機能を付与できる可能性がある。また、CaCO3等のユニット結晶の持つ光学特性(偏光)を利用することもできる。さらに、複合体微粒子の粒径が均一であることから、1つの微粒子に含有させる第3の機能性物質の量を一定とすることができ、また、均一な膜厚を形成可能である等、種々の用途において均一な性質を示すことができるため工業的に有利である。
また、本発明によれば、第3の成分として機能性物質を複合化しながら同時に合成を行うことにより、炭酸カルシウム等の無機塩を母体とし、親水性ポリマーと機能性物質とを複合化した微粒子を提供することができる。本発明の複合体微粒子の製造方法は、安価な原料を用い、水を溶媒として、常温で数時間程度の反応で完了するプロセスであり、省エネルギー、低コスト、安全性、量産性を兼ね備えた合成手法である。また、反応系に原料を供給するための送液ポンプ等が必要ないため、複合体微粒子を工業的に製造する際の装置のスケールアップが容易である。得られた複合体微粒子は、機能性物質が均一に分布し、機能性物質の含有量、保持力に優れている。
さらに、無機塩、親水性ポリマー、及び場合によりさらに機能性物質を複合化した微粒子を形成した後に、親水性ポリマーを除去することによって、無機塩の結晶構造を維持したまま、微粒子の比表面積を増大させることができる。これにより、機能性物質の含有量が多い複合体微粒子の作製が可能となる。また、炭酸カルシウム等の無機塩のみから構成される多孔質な微粒子を提供することができ、この微粒子は薬物等の機能性物質以外には有機物を含まないため、生体への応用に有利となり得る。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (17)
- 水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含み、親水性ポリマーで覆われた無機塩の結晶が、結晶方位を揃えた状態で集合してなる複合体微粒子。
- 平均粒径が0.1〜100μmであり、CV値(標準偏差/平均粒径)が3.0%以下である請求項1に記載の複合体微粒子。
- 無機塩の結晶が、炭酸カルシウムの結晶である請求項1又は2に記載の複合体微粒子。
- 比表面積が20〜80m2/gである請求項1〜3のいずれかに記載の複合体微粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去して得られる複合体微粒子。
- 水不溶性の無機塩と親水性ポリマーとを含む微粒子中に、機能性物質が均一に分布してなる複合体微粒子。
- 平均粒径が0.5〜100μmである請求項6に記載の複合体微粒子。
- 水不溶性の無機塩が、炭酸カルシウムである請求項6又は7に記載の複合体微粒子。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の複合体微粒子から親水性ポリマーを除去して得られる複合体微粒子。
- 親水性ポリマーが、ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、ポリマレイン酸もしくはその塩、又はそれらの構成モノマーの2種以上を含む共重合体から選択されるアニオン性ポリマーである請求項1〜9のいずれかに記載の複合体微粒子。
- 親水性ポリマーが、ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩である請求項1〜9のいずれかに記載の複合体微粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、複合体微粒子を析出させる前記複合体微粒子の製造方法。
- 請求項5に記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマーとともに混合し、析出させた微粒子をさらに溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する前記複合体微粒子の製造方法。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、複合体微粒子を析出させる前記複合体微粒子の製造方法。
- 請求項9に記載の複合体微粒子の製造方法であって、互いの反応により水不溶性の無機塩を生成する2種以上の物質のそれぞれを溶解させた水溶液を調製し、各水溶液を親水性ポリマー及び機能性物質とともに混合し、析出させた微粒子をさらに溶媒中に浸して親水性ポリマーを酸化分解する前記複合体微粒子の製造方法。
- 2種以上の物質が炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムであり、水不溶性の無機塩が炭酸カルシウムである請求項12〜15のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法。
- 複合体微粒子の析出が0〜35℃で行われる請求項12〜16のいずれかに記載の複合体微粒子の製造方法。
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