本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、高い輝度を得つつも表示画像の色度を適切に補正することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明の表示装置は、一対の基板間に電界印加によって光学特性が変化する物質を設けてなる表示パネルと、前記表示パネルに向けて光を照射する照明装置とを備え、前記表示パネルにおける前記一対の基板のいずれか一方に、それぞれ青色、緑色、赤色、黄色を呈する複数の着色部からなるカラーフィルタが形成されているのに対し、前記照明装置は、光源としてLEDを備えており、前記LEDは、発光源であるLED素子と、前記LED素子からの光により励起されて発光する蛍光体とを備え、前記蛍光体には、少なくともYAG系蛍光体が含まれている。
このように、表示パネルにおける一対の基板のいずれか一方には、カラーフィルタが形成されており、このカラーフィルタには、光の三原色である青色、緑色、赤色の各着色部に加えて黄色の着色部が含まれているから、人間の目に知覚される色再現範囲、つまり色域を拡張することができるとともに、自然界に存在する物体色の色再現性を高めることができ、もって表示品位を向上させることができる。しかも、カラーフィルタを構成する着色部のうち、黄色の着色部を透過した光は、視感度のピークに近い波長を有するため、人間の目には少ないエネルギーでも明るく、つまり高い輝度であるように知覚される傾向とされる。これにより、光源の出力を抑制しても十分な輝度を得ることができることとなり、光源の低消費電力化を図ることができて環境性能に優れる、という効果を得ることができる。言い換えると、上記のように高い輝度が得られることから、それを利用して鮮やかなコントラスト感を得ることができ、表示品位の一層の向上を図ることも可能とされるのである。
その一方、カラーフィルタに黄色の着色部を含ませると、表示パネルからの出射光、つまり表示画像が全体として黄色味を帯び易くなる傾向とされる。これを回避するには、例えば各着色部の透過光量を制御することで表示画像の色度の補正を図る手法を採ることが考えられるが、それでは色度の補正に伴って透過光量が減少しがちとなるため、輝度低下を生じさせるおそれがある。そこで、本願発明者は、鋭意研究を重ねた結果、照明装置に用いる光源における色度を調整することで、輝度低下を招くことなく、表示画像における色度を補正することができる、という知見を得るに至った。その上で、本発明では、光源としてLEDを用いるようにしている。LEDは、冷陰極管などの他の光源に比べると、黄色の着色部を有する表示パネルに対応して色度を調整した場合、例えば分光特性の相性が良好であるなどの理由から、相対的に高い輝度を維持することができるのである。これにより、輝度低下を招くことなく表示画像の色度を適切に補正することができる。
その上で、本願発明者は、光源に用いるLEDの構成についてさらなる研究を重ねた結果、より高い輝度が得られるLEDを特定するに至った。すなわち、本発明では、発光源であるLED素子と、LED素子からの光により励起されて発光する蛍光体とからなるLEDを用い、且つ蛍光体に少なくともYAG系蛍光体を含ませるようにしているので、仮にYAG系蛍光体ではない他の種類の蛍光体(例えば、β−SiAlONなど)を用いた場合に比べて、LED自身の輝度を高めることができるとともに、出射光における輝度を高くすることができる。しかも、本発明では、既述した通り表示パネルにおけるカラーフィルタに黄色の着色部を含ませることで、高い輝度及び色再現性を得るようにしていることから、上記した構成の高輝度なLEDと組み合わせることで、出射光のさらなる高輝度化を図ることができる、という相乗効果が得られるものとされる。このことは、LEDの出力を抑制しても十分な輝度を得ることができることを意味し、それによりLEDのさらなる低消費電力化を図ることができて環境性能に一層優れる、という効果をも得ることができるのである。
なお、YAG系蛍光体は、イットリウムとアルミニウムの複合酸化物からなるガーネット構造を有するものであり、化学式:Y3Al5O12により表されるとともに、付活剤として希土類元素(例えばCe,Tb,Eu,Ndなど)が用いられる。また、YAG系蛍光体は、化学式:Y3Al5O12におけるYサイトの一部または全部を例えばGd,Tbなどに置換したり、Alサイトの一部を例えばGaなどに置換することが可能であり、それによりYAG系蛍光体における主発光波長を適宜調整することが可能とされる。
具体的なYAG系蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce、Y3Al5O12:Tb、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Tb、Tb3Al5O12:Ceなどが挙げられる。
本発明の実施態様として、次の構成が好ましい。
(1)前記YAG系蛍光体は、主発光波長が500nm〜570nmの範囲とされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が500nmを下回る場合、つまりシアン色や青色の波長領域とされる場合には、十分な輝度が得られなくなるおそれがあり、またLED素子として青色光を発するものを用いたときの色度調整が極めて困難になるおそれがある。一方、YAG系蛍光体における主発光波長が570nmを上回る場合、つまり黄色や赤色の波長領域とされる場合には、やはり十分な輝度が得られなくなるおそれがあり、また黄色の着色部を含むカラーフィルタを備える表示パネルに対応してLEDの色度を調整するのが極めて困難になるおそれがある。その点、本発明では、YAG系蛍光体として主発光波長が緑色の波長領域に存するものを用いることで、色度調整を容易なものとしつつも高い輝度及び色再現性を得ることができる。
(2)前記YAG系蛍光体は、主発光波長が519nm〜554nmの範囲とされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が519nmを下回る場合には、十分な輝度が得られなくなるおそれがあるのに加えて、主発光波長がシアン色側(青色側)に偏るため、LED素子として青色光を発するものを用いたときの色度調整が難しくなるおそれがある。一方、YAG系蛍光体における主発光波長が554nmを上回る場合には、やはり十分な輝度が得られなくなるおそれがあるのに加えて、主発光波長が黄色側(赤色側)に偏るため、黄色の着色部を含むカラーフィルタを備える表示パネルに対応してLEDの色度を調整するのが難しくなるおそれがある。その点、本発明では、YAG系蛍光体として主発光波長が519nm〜554nmの範囲とされるものを用いることで、LEDの色度調整の容易性を担保しつつも十分に高い輝度及び色再現性を得ることができる。
(3)前記YAG系蛍光体は、主発光波長が519nm〜539nmの範囲とされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が539nmを上回る場合には、相対的に輝度が低下し、さらには蛍光体に赤色光を発光する赤色蛍光体を加えて色再現性の向上を図ろうとしたときの色度調整が困難になるおそれがある。その点、本発明では、YAG系蛍光体として主発光波長が519nm〜539nmの範囲とされるものを用いることで、一層の輝度の向上を図ることができるのに加え、例えば蛍光体に赤色光を発光する赤色蛍光体を加えて色再現性の向上を図りつつも色度調整の容易性を担保することが可能とされる。
(4)前記YAG系蛍光体は、主発光波長が539nmとされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が539nmを下回る場合に比べて、相対的にさらに高い輝度を得ることができ、また十分な色再現性が得られる。
(5)前記YAG系蛍光体は、主発光波長が519nmとされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が519nmを上回る場合に比べて、相対的に高い色再現性を得ることができ、また十分な輝度が得られる。
(6)前記蛍光体には、前記LED素子から発せられる光により励起されて赤色光を発する赤色蛍光体が含まれている。このようにすれば、赤色蛍光体を、主発光波長が519nm〜539nmの範囲とされるYAG系蛍光体と組み合わせて用いることで、色度調整の容易性を担保しつつ、より高い色再現性を得ることができる。
(7)前記赤色蛍光体は、カズン系蛍光体からなる。このように、赤色蛍光体として窒化物であるカズン系蛍光体を用いているので、例えば硫化物や酸化物からなる赤色蛍光体を用いた場合に比べて、高い効率でもって赤色光を発することができる。
(8)前記赤色蛍光体は、カズン(CaAlSiN3:Eu)からなる。このようにすれば、高い効率でもって赤色光を発することができる。
(9)赤色を呈する前記着色部は、青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部よりも膜厚が相対的に大きいものとされる。このように、赤色を呈する着色部の膜厚を、青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部の膜厚よりも相対的に大きくすると、仮に上記各着色部の膜厚を同一とした場合に比べて、赤色に属する光の透過光量は減少するものの、出射光における赤色に属する色度領域が拡張される。これにより、一層高い色再現性を得ることができる。
(10)青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部は、互いに膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部に関しては、両基板間に形成される静電容量がほぼ等しいものとされるから、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によって容易に制御することができる。これにより、青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部に対する光の透過率を容易に制御することができ、もって表示パネルに係る回路設計を簡素なものとすることができる。
(11)黄色を呈する前記着色部は、青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部と膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部に加えて、黄色を呈する着色部に関しても、両基板間に形成される静電容量がほぼ等しいものとなるから、表示パネルに係る回路設計をより簡素なものとすることができる。
(12)赤色を呈する前記着色部は、その膜厚が青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部の膜厚の250%以下の大きさとされる。仮に青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部の膜厚に対する赤色を呈する着色部の膜厚の比率を250%よりも大きくすると、両基板間に形成される静電容量が青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部と、赤色を呈する着色部とで大きく乖離し過ぎることとなるため、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によって適切に制御できなくなるおそれがある。従って、本発明のように上記膜厚の比率を250%以下の大きさとすることで、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によって適切に制御できるとともに、高い色再現性を得ることができる。
(13)赤色を呈する前記着色部は、その膜厚が青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部の膜厚の142.8%〜214.3%の範囲の大きさとされる。仮に青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部の膜厚に対する赤色を呈する着色部の膜厚の比率を142.8%よりも小さくすると、膜厚の差が小さくなり過ぎるため、出射光における赤色に属する色度領域が十分に拡張されず、色再現性の向上効果を十分に得ることができなくなるおそれがある。一方、仮に上記膜厚の比率を214.3%よりも大きくすると、上記した静電容量上の問題が生じ易くなる可能性がある。その点、本発明では、上記した膜厚の比率を142.8%〜214.3%の範囲とすることで、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によってより適切に制御できるとともに、より高い色再現性を得ることができる。
(14)青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部は、その膜厚が2.1μmとされるのに対し、赤色を呈する前記着色部は、その膜厚が3.0μm〜4.5μmの範囲とされる。各着色部の膜厚を上記のような設定とすることで、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によってさらに適切に制御できるとともに、より一層高い色再現性を得ることができる。
(15)各前記着色部は、互いに膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、カラーフィルタを構成する各着色部において、両基板間に形成される静電容量がほぼ等しいものとされるから、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によってより容易に制御することができる。これにより、各着色部に対する光の透過率をより容易に制御することができ、もって表示パネルに係る回路設計を極めて簡素なものとすることができる。
(16)各前記着色部は、顔料を分散配合してなり、赤色を呈する前記着色部は、青色を呈する前記着色部及び緑色を呈する前記着色部よりも顔料濃度が高いものとされる。このように、赤色を呈する着色部に含まれる顔料の濃度を、青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部に含まれる各顔料の濃度よりも相対的に高くすると、仮に上記各着色部の顔料濃度を同一とした場合に比べて、出射光における赤色に属する光の透過光量は減少するものの、赤色に属する色度領域が拡張される。これにより、高い色再現性を得ることができる。
(17)各前記着色部は、互いに膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、カラーフィルタを構成する各着色部において、両基板間に形成される静電容量がほぼ等しいものとされるから、両基板間に設けられる物質の光学特性を電界印加によってより容易に制御することができる。これにより、各着色部に対する光の透過率をより容易に制御することができ、もって高い色再現性を得つつも表示パネルに係る回路設計を極めて簡素なものとすることができる。
(18)前記YAG系蛍光体は、主発光波長が554nmとされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が554nmを下回る場合に比べると、主発光波長が黄色側(赤色側)にシフトしていることから、蛍光体として赤色光を発する赤色蛍光体を追加することなく、色度調整を行うことが可能とされ、それにより例えば低コストでの製造などが可能となる。
(19)前記LED素子は、主発光波長が420nm〜500nmの範囲とされる。このようにすれば、光の三原色に加えて黄色の着色部を有する表示パネルにおける表示画像の色度を補正するには、LEDからの光を、黄色の補色である青色味を帯びた色の光に調整するのが好ましい。その点、本発明に係るLEDでは、青色の波長領域の光(青色光)を発するLED素子を用いているから、青色光を極めて高い効率でもって発することができる。従って、LEDの色度を青色味を帯びた光に調整するに際しても、輝度が低下し難く、もって高い輝度を維持することができる。
(20)前記LED素子は、主発光波長が451nmとされる。このようにすれば、YAG系蛍光体を高効率でもって励起することができるので、より高い輝度を得ることができる。
(21)各前記着色部における面積比率は、互いに等しいものとされる。仮に、出射光における青色の色度を制御すべく、各着色部の面積比率を異ならせた場合には、表示パネルを製造するための製造装置として専用設計の特殊なものを用意する必要がある。これに比べて、本発明では、一般的な赤色、緑色、青色の3色の着色部からなるカラーフィルタを有する表示パネルと同様に、4色の各着色部の面積比率を等しいものとしているので、上記した3色タイプの表示パネルを製造するのに用いられる製造装置を利用することが可能とされる。これにより、4色の着色部からなるカラーフィルタを有する表示パネルに係る製造コストを十分に低いものとすることができる。
(22)前記カラーフィルタは、前記LEDからの光を前記カラーフィルタの各前記着色部に透過させて得られる出射光における青色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域とEBU規格に係るEBU色度領域との共通領域外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における青色に属する色度領域に共通領域を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
なお、上記した「NTSC規格に係るNTSC色度領域」とは、CIE1931色度図においては、(x,y)の値が、(0.14,0.08)、(0.21,0.71)、(0.67,0.33)の三点を頂点とする三角形内の領域であり、CIE1976色度図においては、(u′,v′)の値が、(0.0757,0.5757)、(0.1522,0.1957)、(0.4769,0.5285)の三点を頂点とする三角形内の領域である。
また、上記した「EBU規格に係るEBU色度領域」とは、CIE1931色度図においては、(x,y)の値が、(0.15,0.06)、(0.3,0.6)、(0.64,0.33)の三点を頂点とする三角形内の領域であり、CIE1976色度図においては、(u′,v′)の値が、(0.1250,0.5625)、(0.1754,0.1579)、(0.4507,0.5229)の三点を頂点とする三角形内の領域である。
また、上記した「共通領域」とは、CIE1931色度図においては、(x,y)の値が、(0.1579,0.0884)、(0.3,0.6)、(0.4616,0.2317)、(0.64,0.33)の四点を頂点とする四角形内の領域であり、CIE1976色度図においては、(u′,v′)の値が、(0.125,0.5625)、(0.1686,0.2125)、(0.3801,0.4293)、(0.4507,0.5229)の四点を頂点とする四角形内の領域である。
(23)前記カラーフィルタは、前記出射光における前記青色の色度が、前記CIE1931色度図と前記CIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、前記EBU色度領域外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における青色に属する色度領域がより拡張されるので、色再現性をより向上させることができる。
(24)前記カラーフィルタは、前記LEDからの光を前記カラーフィルタの各前記着色部に透過させて得られる出射光における赤色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域とEBU規格に係るEBU色度領域との共通領域外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における赤色に属する色度領域に共通領域を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
(25)前記カラーフィルタは、前記LEDからの光を前記カラーフィルタの各前記着色部に透過させて得られる出射光における緑色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域とEBU規格に係るEBU色度領域との共通領域外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における緑色に属する色度領域に共通領域を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
(26)前記カラーフィルタは、前記LEDからの光を前記カラーフィルタの各前記着色部に透過させて得られる出射光における黄色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域とEBU規格に係るEBU色度領域との共通領域外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における黄色に属する色度領域に共通領域を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
(27)前記出射光における色度領域は、NTSC規格に係るNTSC色度領域の70%以上を占めるものとされる。このようにすれば、画像を表示する上で十分な色再現性を確保することができ、良好な表示品質を得ることができる。
(28)前記照明装置には、前記LEDが端部に対して対向状に配される合成樹脂製の導光部材が備えられ、前記LEDからの光が前記導光部材を透過することで前記表示パネル側へと導かれるものとされる。このようにすれば、一般的に合成樹脂製の導光部材は、高い透明性を有するものの、僅かながらも黄色味を帯びている場合が多く、その場合には、LEDから発せられた光が導光部材を透過すると、その透過光も僅かに黄色味を帯びたものとなる。このような場合でも、黄色の着色部を有する表示パネルに加えて黄色味を帯びた導光部材に対応してLEDの色度を調整することで、輝度低下を招くことなく表示画像の色度を適切に補正することができる。
(29)前記導光部材は、前記LED側の端部に長手状の光入射面を有しているのに対し、前記LEDは、その光出射側を覆うとともに光を拡散させるレンズ部材を備えており、前記レンズ部材は、前記導光部材の前記光入射面と対向し、前記導光部材側に凸となるように、前記光入射面の長手方向に沿って屈曲している。このようにすれば、LEDから出射された光が、レンズ部材によって光入射面の長手方向に広がるので、導光部材の光入射面に形成され得る暗部を低減することができる。従って、LEDと導光部材との間の距離が短く、かつ、LEDの数が少ない場合であっても、導光部材の光入射面の全体に亘って均一な輝度の光を入射させることができる。
(30)前記照明装置には、前記LEDと前記導光部材との間に、前記光入射面の長手方向に沿って配される反射シートが備えられている。このようにすれば、レンズ部材から導光部材の外へ散乱した光を、反射シートによって反射して導光部材に入射させることが可能となる。このため、LEDから出射された光の、導光部材への入射効率を高めることができる。
(31)前記照明装置は、前記LEDを収容するとともに前記LEDに対して光出射側とは反対側に配される底部を有するシャーシと、前記底部及び前記LEDに対して前記光出射側に対向状に配される光学部材とを備えている。このようにすれば、LEDから発せられた光は、底部及びLEDに対して光出射側に対向状に配される光学部材に照射され、光学部材を透過してから表示パネルへと出射される。
(32)前記LEDの光出射側には、前記LEDからの光を拡散させる拡散レンズが配されている。このようにすれば、LEDから発せられた光を拡散レンズにより拡散させつつ出射させることができる。これにより、出射光にムラが生じ難くなるので、LEDの設置数を削減することが可能となり、もって低コスト化を図ることができる。
(33)前記表示パネルは、電界印加によって光学特性が変化する物質として液晶を用いた液晶パネルとされる。このようにすれば、種々の用途、例えばテレビやパソコンのディスプレイ等に適用でき、特に大型画面用として好適である。
次に、上記課題を解決するために、本発明のテレビ受信装置は、上記記載の表示装置と、テレビ信号を受信可能な受信部とを備える。
このようなテレビ受信装置によると、テレビ信号に基づいてテレビ画像を表示する表示装置が、高い輝度を得つつも表示画像の色度を適切に補正することができるものであるから、テレビ画像の表示品質を優れたものとすることができる。
しかも、上記したテレビ受信装置は、前記受信部から出力されたテレビ画像信号を、赤色、緑色、青色、黄色の各色の画像信号に変換する画像変換回路を備える。このようにすれば、画像変換回路によりテレビ画像信号を、カラーフィルタを構成する、赤色、緑色、青色、黄色の各着色部に対応付けた各色の画像信号に変換しているから、高い表示品位でもってテレビ画像を表示することができる。
(発明の効果)
本発明によれば、高い輝度を得つつも表示画像の色度を適切に補正することができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図14によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、図6及び図7に示す上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
本実施形態に係るテレビ受信装置TVは、図1に示すように、液晶表示装置10と、当該液晶表示装置10を挟むようにして収容する表裏両キャビネットCa,Cbと、電力供給のための電源回路基板Pと、テレビ画像信号を受信可能なチューナー(受信部)Tと、チューナーTから出力されたテレビ画像信号を当該液晶表示装置10用の画像信号に変換する画像変換回路基板VCと、スタンドSとを備えて構成される。液晶表示装置(表示装置)10は、全体として横長(長手)の方形状(矩形状)をなし、長辺方向を水平方向(X軸方向)と、短辺方向を垂直方向(Y軸方向、鉛直方向)とそれぞれほぼ一致させた状態で収容されている。この液晶表示装置10は、図2に示すように、表示パネルである液晶パネル11と、外部光源であるバックライト装置(照明装置)12とを備え、これらが枠状のベゼル13などにより一体的に保持されるようになっている。
液晶表示装置10における液晶パネル11の構成について詳しく説明する。液晶パネル11は、全体として横長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、図3に示すように、一対の透明な(透光性を有する)ガラス製の基板11a,11bと、両基板11a,11b間に介在し、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶を含む液晶層11cとを備え、両基板11a,11bが液晶層の厚さ分のギャップを維持した状態で図示しないシール剤によって貼り合わせられている。また、両基板11a,11bの外面側には、それぞれ偏光板11d,11eが貼り付けられている。なお、液晶パネル11における長辺方向がX軸方向と一致し、短辺方向がY軸方向と一致している。
両基板11a,11bのうち表側(正面側)がCF基板11aとされ、裏側(背面側)がアレイ基板11bとされる。アレイ基板11bの内面、つまり液晶層11c側(CF基板11aとの対向面側)の面には、図4に示すように、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)14及び画素電極15がマトリクス状に多数個並列して設けられるとともに、これらTFT14及び画素電極15の周りには、格子状をなすゲート配線16及びソース配線17が取り囲むようにして配設されている。画素電極15は、長辺方向をY軸方向に、短辺方向をX軸方向にそれぞれ一致させた縦長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、ITO(Indium Tin Oxide)或いはZnO(Zinc Oxide)といった透明電極からなる。ゲート配線16とソース配線17とがそれぞれTFT14のゲート電極とソース電極とに接続され、画素電極15がTFT14のドレイン電極に接続されている。また、TFT14及び画素電極15の液晶層11c側には、液晶分子を配向するための配向膜18が設けられている。アレイ基板11bにおける端部には、ゲート配線16及びソース配線17から引き回された端子部が形成されており、この端子部には、図示しない液晶駆動用のドライバICが異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)を介して圧着接続され、さらにはその液晶駆動用のドライバICが各種配線基板などを介して図示しない表示制御回路基板に電気的に接続されている。この表示制御回路基板は、テレビ受信装置TVにおける画像変換回路基板VCに接続されるとともに同画像変換回路基板VCからの出力信号に基づいてドライバICを介して各配線16,17に駆動信号を供給するものとされる。
一方、CF基板11aの内面、つまり液晶層11c側(アレイ基板11bとの対向面側)の面には、図3及び図5に示すように、アレイ基板11b側の各画素に対応して多数個の着色部R,G,B,Yをマトリクス状に配列してなるカラーフィルタ19が設けられている。そして、本実施形態に係るカラーフィルタ19は、光の三原色である赤色の着色部R,緑色の着色部G,青色の着色部Bに加えて、黄色の着色部Yを有するものとされ、各着色部R,G,B,Yが対応した各色(各波長)の光を選択的に透過するものとされる。カラーフィルタ19は、図5に示す左側から赤色の着色部R、緑色の着色部G、黄色の着色部Y、青色の着色部Bの順でX軸方向に沿って並ぶ配列とされる。各着色部R,G,B,Yは、画素電極15と同様に長辺方向をY軸方向に、短辺方向をX軸方向にそれぞれ一致させた縦長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、各色で全て面積が同一とされている。各着色部R,G,B,Y間には、混色を防ぐため、格子状の遮光層(ブラックマトリクス)BMが設けられている。CF基板11aにおけるカラーフィルタ19の液晶層11c側には、対向電極20及び配向膜21が順次積層して設けられている。
上記のように本実施形態に係る液晶表示装置10は、4色の着色部R,G,B,Yからなるカラーフィルタ19を備える液晶パネル11を用いていることから、テレビ受信装置TVにおいては専用の画像変換回路基板VCを備えるものとされる。すなわち、この画像変換回路基板VCは、チューナーTから出力されたテレビ画像信号を青色、緑色、赤色、黄色の各色の画像信号に変換し、生成された各色の画像信号を表示制御回路基板に出力することができる。この画像信号に基づいて表示制御回路基板は、液晶パネル11における各色の画素に対応したTFT14を駆動し、各色の着色部R,G,B,Yを透過する透過光量を適宜制御できるものとされる。
続いて、バックライト装置12の構成について説明する。バックライト装置12は、図2に示すように、光出射面側(液晶パネル11側)に向けて開口する開口部を有した略箱型をなすシャーシ22と、シャーシ22の開口部を覆う形で配される光学部材23群(拡散板(光拡散部材)23aと、拡散板23aと液晶パネル11との間に配される複数の光学シート23b)とを備える。さらに、シャーシ22内には、光源であるLED24(Light Emitting Diode:発光ダイオード)と、LED24が実装されたLED基板25と、LED24からの光を導光して光学部材23(液晶パネル11)へと導く導光部材26と、導光部材26を表側から押さえるフレーム27とが備えられる。そして、このバックライト装置12は、その長辺側の両端部にLED24を有するLED基板25をそれぞれ備えるとともに、両LED基板25間に挟まれた中央側に導光部材26を配置してなる、いわゆるエッジライト型(サイドライト型)とされている。以下では、バックライト装置12の各構成部品について詳しく説明する。
シャーシ22は、金属製とされ、図6及び図7に示すように、液晶パネル11と同様に横長の方形状をなす底板22aと、底板22aの各辺の外端からそれぞれ立ち上がる側板22bとからなり、全体としては表側に向けて開口した浅い略箱型をなしている。シャーシ22(底板22a)は、その長辺方向がX軸方向(水平方向)と一致し、短辺方向がY軸方向(鉛直方向)と一致している。また、側板22bには、フレーム27及びベゼル13がねじ止め可能とされる。
光学部材23は、図2に示すように、液晶パネル11及びシャーシ22と同様に平面に視て横長の方形状をなしている。光学部材23は、導光部材26の表側(光出射側)に載せられていて液晶パネル11と導光部材26との間に介在して配される。光学部材23は、裏側(導光部材26側、光出射側とは反対側)に配される拡散板23aと、表側(液晶パネル11側、光出射側)に配される光学シート23bとから構成される。拡散板23aは、所定の厚みを持つほぼ透明な樹脂製で板状をなす基材内に拡散粒子を多数分散して設けた構成とされ、透過する光を拡散させる機能を有する。光学シート23bは、拡散板23aと比べると板厚が薄いシート状をなしており、3枚が積層して配されている。具体的な光学シート23bの種類としては、例えば拡散シート、レンズシート、反射型偏光シートなどがあり、これらの中から適宜に選択して使用することが可能である。
フレーム27は、図2に示すように、導光部材26の外周端部に沿って延在する枠状(額縁状)に形成されており、導光部材26の外周端部をほぼ全周にわたって表側から押さえることが可能とされる。このフレーム27は、合成樹脂製とされるとともに、表面が例えば黒色を呈する形態とされることで、遮光性を有するものとされる。フレーム27のうち両長辺部分における裏側の面、つまり導光部材26及びLED基板25(LED24)との対向面には、図6に示すように、光を反射させる第1反射シート28がそれぞれ取り付けられている。第1反射シート28は、フレーム27の長辺部分におけるほぼ全長にわたって延在する大きさを有しており、導光部材26におけるLED24側の端部に直接当接されるとともに導光部材26の上記端部とLED基板25とを一括して表側から覆うものとされる。また、フレーム27は、液晶パネル11における外周端部を裏側から受けることができる。
LED24は、図2に示すように、LED基板25上に実装されるとともにLED25に対する実装面とは反対側の面が発光面となる、いわゆるトップ型とされる。このLED24における発光面側には、図6及び図8に示すように、光を広角に拡散させつつ出射させるためのレンズ部材30が設けられている。レンズ部材30は、LED24と導光部材26の光入射面26bとの間に介在するとともに導光部材26側に凸となるよう、その光出射面が球面状をなしている。また、このレンズ部材30の光出射面は、導光部材26の光入射面26bの長手方向に沿って湾曲しており、断面形状が略円弧状をなしている。なお、LED24自身の詳しい構成は、後に改めて説明するものとする。
LED24は、LED基板25に固着される基板部上に、例えばInGaN系の材料からなるLEDチップ24aを樹脂材により封止した構成とされる。基板部に実装されるLEDチップ24aは、波長420nm以上500nm以下の青色波長領域に主発光波長を有するものとされ、色純度に優れた青色光を発することが可能とされる。その一方、LEDチップを封止する樹脂材には、LEDチップ24aから発せられた青色光により励起されることで緑色光を発する緑色蛍光体と、LEDチップ24aから発せられた青色光により励起されることで赤色光を発する赤色蛍光体とが所定の割合でもって分散配合されている。これらLEDチップ24aから発せられる青色光(青色成分の光)と、緑色蛍光体から発せられる緑色光(緑色成分の光)と、赤色蛍光体から発せられる赤色光(赤色成分の光)とにより、LED24は、全体として所定の色、例えば白色や青色味を帯びた白色などの光を発することが可能とされる。なお、緑色蛍光体からの緑色成分の光と、赤色蛍光体からの赤色成分の光との合成により黄色光が得られることから、このLED24は、LEDチップ24aからの青色成分の光と、黄色成分の光とを併せ持っている、とも言える。このLED24の色度は、例えば緑色蛍光体及び赤色蛍光体における含有量の絶対値や相対値に応じて変化するものとされるため、これら緑色蛍光体及び赤色蛍光体の含有量を適宜調整することでLED24の色度を調整することが可能とされる。なお、本実施形態では、緑色蛍光体は、500nm以上570nm以下の緑色波長領域に主発光波長を有するものとされ、赤色蛍光体は、610nm以上780nm以下の赤色波長領域に主発光波長を有するものとされる。
LED基板25は、図2に示すように、シャーシ22の長辺方向(X軸方向、導光部材26における光入射面26bの長手方向)に沿って延在する細長い板状をなすとともに、その主板面をX軸方向及びZ軸方向に並行した姿勢、つまり液晶パネル11及び導光部材26(光学部材23)の板面と直交させた姿勢でシャーシ22内に収容されている。LED基板25は、シャーシ22内における長辺側の両端部に対応して一対配されるとともに、長辺側の両側板22bにおける内面にそれぞれ取り付けられている。LED基板25の主板面であって内側、つまり導光部材26側を向いた面(導光部材26との対向面)には、上記した構成のLED24が表面実装されている。LED24は、LED基板25の実装面において、その長さ方向(X軸方向)に沿って複数が一列に(直線的に)並列配置されている。従って、LED24は、バックライト装置12における長辺側の両端部においてそれぞれ長辺方向に沿って複数ずつ並列配置されていると言える。一対のLED基板25は、LED24の実装面が互いに対向状をなす姿勢でシャーシ22内に収容されているので、両LED基板25にそれぞれ実装された各LED24の発光面が対向状をなすとともに、各LED24における光軸がY軸方向とほぼ一致する。
また、LED基板25の基材は、シャーシ22と同じアルミ系材料などの金属製とされ、その表面に絶縁層を介して銅箔などの金属膜からなる配線パターン(図示せず)が形成され、さらには最外表面には、光の反射性に優れた白色を呈する反射層(図示せず)が形成された構成とされる。この配線パターンによりLED基板25上に並列配置された各LED24同士が直列に接続されている。なお、LED基板25の基材に用いる材料としては、セラミックなどの絶縁材料を用いることも可能である。
続いて、導光部材26について詳しく説明する。導光部材26は、屈折率が空気よりも十分に高く且つほぼ透明な(透光性に優れた)合成樹脂材料(例えばアクリルなど)からなる。導光部材26は、図2に示すように、液晶パネル11及びシャーシ22と同様に平面に視て横長の方形状をなしており、その長辺方向がX軸方向と、短辺方向がY軸方向とそれぞれ一致している。導光部材26は、シャーシ22内において液晶パネル11及び光学部材23の直下位置に配されており、シャーシ22における長辺側の両端部に配された一対のLED基板25間にY軸方向について挟み込まれる形で配されている。従って、LED24(LED基板25)と導光部材26との並び方向がY軸方向と一致するのに対して、光学部材23(液晶パネル11)と導光部材26との並び方向がZ軸方向と一致しており、両並び方向が互いに直交するものとされる。そして、導光部材26は、LED24からY軸方向に向けて発せられた光を導入するとともに、その光を内部で伝播させつつ光学部材23側(Z軸方向)へ向くよう立ち上げて出射させる機能を有する。なお、導光部材26は、上記した光学部材23よりも一回り大きく形成されており、その外周端部が光学部材23の外周端面よりも外側に張り出すとともに既述したフレーム27により押さえられるものとされる(図6及び図7)。
導光部材26は、シャーシ22の底板22a及び光学部材23の各板面に沿って延在する略平板状をなしており、その主板面がX軸方向及びY軸方向に並行するものとされる。導光部材26の主板面のうち、表側を向いた面が内部の光を光学部材23及び液晶パネル11に向けて出射させる光出射面26aとなっている。導光部材26における主板面に対して隣り合う外周端面のうち、X軸方向に沿って長手状をなす長辺側の両端面は、それぞれLED24(LED基板25)と所定の間隔を空けて対向状をなしており、これらがLED24から発せられた光が入射される光入射面26bとなっている。光入射面26bは、X軸方向及びZ軸方向に沿って並行する面とされ、光出射面26aに対して略直交する面とされる。また、LED24と光入射面26bとの並び方向は、Y軸方向と一致しており、光出射面26aに並行している。導光部材26における光出射面26aとは反対側の面26cには、導光部材26内の光を反射して表側へ立ち上げることが可能な第2反射シート29がその全域を覆う形で設けられている。第2反射シート29は、平面に視てLED基板25(LED24)と重畳する範囲にまで拡張されるとともに、表側の第1反射シート28との間でLED基板25(LED24)を挟み込む形で配されている。これにより、LED24からの光を両反射シート28,29間で繰り返し反射することで、光入射面26bに対して効率的に入射させることができる。なお、導光部材26における光出射面26aまたはその反対側の面26cの少なくともいずれか一方には、内部の光を反射させる反射部(図示せず)または内部の光を散乱させる散乱部(図示せず)が所定の面内分布を持つようパターニングされており、それにより光出射面26aからの出射光が面内において均一な分布となるよう制御されている。
さて、既述した通り本実施形態に係る液晶パネル11のカラーフィルタ19は、図3及び図5に示すように、光の三原色である各着色部R,G,Bに加えて黄色の着色部Yを有しているので、透過光により表示される表示画像の色域が拡張されており、もって色再現性に優れた表示を実現できるものとされる。しかも、黄色の着色部Yを透過した光は、視感度のピークに近い波長を有することから、人間の目には少ないエネルギーでも明るく知覚される傾向とされる。これにより、バックライト装置12が有する光源(LED24)の出力を抑制しても十分な輝度を得ることができることとなり、光源の消費電力を低減でき、もって環境性能にも優れる、といった効果が得られる。
その一方、上記のような4色タイプの液晶パネル11を用いると、液晶パネル11の表示画像が全体として黄色味を帯び易くなる傾向とされる。これを回避するには、例えば各着色部R,G,B,Y毎にTFT14の駆動を制御して各着色部R,G,B,Yの透過光量を調整することで表示画像の色度を補正することが考えられるものの、それでは色度の補正に伴って全体の透過光量が減少しがちとなって輝度低下を生じさせるおそれがある。この問題に鑑み、本願発明者は、バックライト装置12における光源の色度を調整することで、輝度低下を招くことなく、表示画像における色度を補正する、という手法を創案するに至った。ここで、バックライト装置12に用いる光源の種類には、LEDと冷陰極管との2種類が考えられるため、これら2種類の光源を上記した4色タイプの液晶パネルに対応してそれぞれ色度調整した場合にどのような輝度が得られるかについて以下に示す比較実験1を行い、その結果を下記表1に示す。
<比較実験1>
この比較実験1では、光の3原色の着色部R,G,Bのみを備えた3色タイプの液晶パネルと、光源として冷陰極管とを用いた場合を比較例1とし、4色の着色部R,G,B,Yを備えた4色タイプの液晶パネルと、それに対応して色度調整を行った冷陰極管とを用いた場合を比較例2とし、上記と同様の3色タイプの液晶パネルと、光源としてLEDとを用いた場合を比較例3とし、上記と同様の4色タイプの液晶パネルと、それに対応して色度調整を行ったLEDとを用いた場合を比較例4としており、下記表1には、各比較例における各光源の輝度、各光源の色度、液晶パネルからの出射光(表示画像)の輝度、及び同出射光全体の色度をそれぞれ測定した結果を示している。比較例1,2にて用いる冷陰極管(図示せず)は、放電管の一種であり、細長いガラス管の内部に発光物質である水銀などが封入されるとともに、その内壁面に蛍光体が塗布され、且つ両端部に電極部がそれぞれ封入された構成とされる。比較例3,4にて用いるLEDは、発光源として青色LEDチップを用いるとともに、蛍光体として緑色光を発する緑色蛍光体及び赤色光を発する赤色蛍光体を用いた構成とされる。各光源及び出射光に係る各輝度及び各色度は、カラーフィルタ19の各着色部R,G,B,Yを透過させた光を、例えば分光測色計などにより測定することで得るようにしている。また、各光源の色度調整は、液晶パネルからの出射光の色度が概ね白色になるように設定されており、具体的には、各光源が有する蛍光体の種類及び含有量(配合比率)などを調整することで行われるものとされる。また、各比較例において、各着色部の面積比率及び膜厚は、全て等しいものとされる。また、比較例2に係る各輝度は、比較例1におけるY値を100%(基準)とした相対値であり、比較例4に係る各輝度は、比較例3におけるY値を100%とした相対値である。
表1におけるx値及びy値は、図12に示すCIE(Commission Internationale de l'Eclairage:国際照明委員会)1931色度図における色度座標の値である、なお、本実施形態では、「白色」の基準となる座標は、図12に示すCIE1931色度図において、(0.272,0.277)としており、この白色基準座標からx値及びy値が共に小さくなるほど色度が青色側にシフトし(青色味が強くなり)、逆にx値及びy値が共に大きくなるほど色度が黄色側にシフトする(黄色味が強くなる)ものとされる。一方、表1におけるu′値及びv′値は、図13に示すCIE1976色度図における色度座標の値である。なお、本実施形態では、「白色」の基準となる座標は、図13に示すCIE1976色度図において、(0.1882,0.4313)としており、この白色基準座標からv′値が小さくなるほど色度が青色側にシフトし(青色味が強くなり)、逆にv′値が大きくなるほど色度が黄色側にシフトする(黄色味が強くなる)ものとされる。
まず、表1に記載された比較例1,2の結果、及び比較例3,4との結果をそれぞれ比べると、液晶パネルを4色化するのに伴って各光源の色度調整を行っても、いずれも出射光の輝度が向上し、輝度低下が見られないことが分かる。しかし、比較例2と比較例4との結果を比べると、液晶パネルを4色化するのに伴って各光源の色度調整を行ったとき、LEDよりも冷陰極管の方が光源自身の輝度が相対的に大きく低下し、且つ出射光の輝度の上昇率が相対的に低くなることが分かった。このような結果となった理由は、一つには、光源の種類によって色度の調整に伴う輝度の変化の仕方、つまり色度輝度特性が異なるためであると考えられ、各光源の色度輝度特性を表す図9及び図10を用いて説明すると、次のようになる。すなわち、図10に示すLEDの色度輝度特性は、輝度が等しくなる領域間を仕切る線、いわば等輝度線がx軸及びy軸に対して概ね右肩上がりの傾斜を有するため、LEDは、色度調整に伴い色度を青色側にシフトさせてもそれほど大きく輝度が減少しない傾向とされる。これに対し、図9に示す冷陰極管の色度輝度特性は、上記等輝度線がx軸に概ね並行する形であるため、冷陰極管は、色度調整に伴い色度を青色側にシフトさせると、LEDに比べて輝度が相対的に大きく減少する傾向とされ、これが上記した出射光における輝度の上昇率の差に影響していると推考される。上記以外の理由としては、冷陰極管は、LEDに比べると、4色タイプの液晶パネルに対する分光特性の相性が悪く、それに起因して出射光の輝度が相対的に低くなると考えられる。なお、図9及び図10に示す凡例の数値(%)は、相対輝度の値である。
本実施形態では、上記したように冷陰極管に比べて相対的に高い輝度が得られるLED24を光源として用いるのを前提とし、その上でより高い輝度が得られるLED24の構成を提示しており、以下、その概要を説明する。すなわち、本実施形態に係るLED24は、LEDチップ24aからの青色光によって励起されて発光する蛍光体に、YAG系蛍光体を含んでおり、それによりLED自身の輝度の向上並びに液晶パネル11からの出射光の輝度の向上を図るようにしている。しかも、本実施形態では、既述した通り、液晶パネル11におけるカラーフィルタ19に黄色の着色部Yを含ませることで高い輝度及び色再現性を実現していることから、YAG系蛍光体を含む高輝度のLED24と組み合わせることで、出射光のさらなる高輝度かを図ることができる、という相乗効果が得られるのである。
YAG系蛍光体は、イットリウムとアルミニウムの複合酸化物からなるガーネット構造を有するものであり、化学式:Y3Al5O12により表されるとともに、付活剤として希土類元素(例えばCe,Tb,Eu,Ndなど)が用いられる。また、YAG系蛍光体は、化学式:Y3Al5O12におけるYサイトの一部または全部を例えばGd,Tbなどに置換したり、Alサイトの一部を例えばGaなどに置換することが可能であり、それによりYAG系蛍光体における主発光波長を長波長側または短波長側にシフトさせて調整を図ることが可能とされる。具体的なYAG系蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce、Y3Al5O12:Tb、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Tb、Tb3Al5O12:Ceなどが挙げられる。
ところで、YAG系蛍光体は、主発光波長に応じて輝度特性などが変化し得るものとされ、さらには黄色の着色部Yを含むカラーフィルタ19を有する液晶パネル11と組み合わせた場合における液晶パネル11からの出射光の色度も変化し得るものとされる。そこで、YAG系蛍光体における主発光波長を変化させた場合に、液晶パネル11からの出射光の輝度及び色度がどのように変化するかについて、後述する比較実験2を行った。この比較実験2では、さらに次に示す問題点及びその解決手段についても検証を行っている。すなわち、YAG系蛍光体は、輝度に関しては、他の蛍光体よりも優れているものの、黄色の着色部Yを含むカラーフィルタ19を有する液晶パネル11と組み合わせた場合における色再現性の点では劣る場合がある。そこで、本願発明者は、赤色の着色部Rの膜厚を他の着色部G,B,Yよりも大きくすることで色再現性を担保できる、と考え、この比較実験2では、赤色の着色部Rの膜厚を変化させた場合に、液晶パネル11からの出射光の輝度及び色度がどのように変化するかについても実証している。
比較実験2の説明に先立って、図12に示すCIE1931色度図、及び図13に示すCIE1976色度図について詳しく説明する。図12及び図13にて実線にて示す三角形は、NTSC(National Television System Committee:全米テレビジョン放送方式標準化委員会)規格に係るNTSC色度領域36とされる。一方、図12及び図13にて一点鎖線にて示す三角形は、EBU(European Broadcasting Union:ヨーロッパ放送協会)規格に係るEBU色度領域37とされる。そして、図12及び図13にて網掛け状にして示す四角形は、NTSC色度領域36とEBU色度領域37との共通領域38とされる。これらNTSC色度領域36、EBU色度領域37及び共通領域38は、詳しくは次述するが下記表2に示す色度座標によって定義される。なお、表2に示すx値,y値,u′値及びv′値は、上記した表1にて説明したものと全て同様のものである。
NTSC色度領域36、EBU色度領域37及び共通領域38について詳しく説明する。NTSC色度領域36は、表2に示す各色度座標によって定義され、図12に示すCIE1931色度図においては、(x,y)の値が、青色の原色点(0.14,0.08)、緑色の原色点(0.21,0.71)、赤色の原色点(0.67,0.33)の三点を頂点とする三角形内の領域であり、図13に示すCIE1976色度図においては、(u′,v′)の値が、緑色の原色点(0.0757,0.5757)、青色の原色点(0.1522,0.1957)、赤色の原色点(0.4769,0.5285)の三点を頂点とする三角形内の領域である。EBU色度領域37は、表2に示す各色度座標によって定義され、図12に示すCIE1931色度図においては、(x,y)の値が、青色の原色点(0.15,0.06)、緑色の原色点(0.3,0.6)、赤色の原色点(0.64,0.33)の三点を頂点とする三角形内の領域であり、図13に示すCIE1976色度図においては、(u′,v′)の値が、緑色の原色点(0.1250,0.5625)、青色の原色点(0.1754,0.1579)、赤色の原色点(0.4507,0.5229)の三点を頂点とする三角形内の領域である。
共通領域38は、NTSC色度領域36とEBU色度領域37とをなす2つの三角形同士が重なり合う四角形の領域により定義される。この共通領域38は、NTSC規格及びEBU規格の双方において必要とされる色度領域であることから、表示画像における表示品位(色再現性)を一定以上に保つ上で非常に重要な領域である。具体的には、共通領域38は、図12に示すCIE1931色度図においては、(x,y)の値が、NTSC色度領域36の赤色の原色点と青色の原色点とを結ぶ線(RB線)とEBU色度領域37の青色の原色点と緑色の原色点とを結ぶ線(BG線)との交点である(0.1579,0.0884)、(0.3,0.6)、NTSC色度領域36のRB線とEBU色度領域37のRB線との交点である(0.4616,0.2317)、(0.64,0.33)の四点を頂点とする四角形内の領域であり、図13に示すCIE1976色度図においては、(u′,v′)の値が、(0.125,0.5625)、NTSC色度領域36のRB線とEBU色度領域37のBG線との交点である(0.1686,0.2125)、NTSC色度領域36のRB線とEBU色度領域37のRB線との交点である(0.3801,0.4293)、(0.4507,0.5229)の四点を頂点とする四角形内の領域である。
<比較実験2>
比較実験2について詳しく説明する。この比較実験2では、緑色蛍光体としてβ−SiAlON(一般式は、Si6-zAlzOzN8-z:Eu(zは固溶量を示す)で表される)を、赤色蛍光体としてカズン系蛍光体であるカズン(CaAlSiN3:Eu)をそれぞれ用いた場合を比較例5とし、緑色蛍光体として主発光波長が554nmのYAG系蛍光体を用い、赤色蛍光体を用いない場合を実施例1としている。さらには、緑色蛍光体として主発光波長が539nmのYAG系蛍光体を用い、赤色蛍光体としてカズン(CaAlSiN3:Eu)をそれぞれ用いた場合を実施例2とし、緑色蛍光体として主発光波長が519nmのYAG系蛍光体を用い、赤色蛍光体としてカズン(CaAlSiN3:Eu)をそれぞれ用いた場合を実施例6としている。実施例3〜5は、実施例2と同じ蛍光体を含むLEDを用いた上で、赤色の着色部Rの膜厚を他の着色部G,B,Yの膜厚よりも厚くしたものであり、同様に実施例7〜9は、実施例6と同じ蛍光体を含むLEDを用いた上で、赤色の着色部Rの膜厚を他の着色部G,B,Yの膜厚よりも厚くしたものである。また、比較例5及び実施例1〜9では、いずれもLEDに用いるLEDチップとして主発光波長が451nmとなるものを用いている。下記表3には、比較例5及び実施例1〜9におけるLEDチップの主発光波長、各蛍光体の材料名及び主発光波長、各着色部R,G,B,Yの膜厚及び面積比率、液晶パネルからの出射光(表示画像)の輝度、出射光における色度領域のNTSC比、LEDの色度、及び出射光に係る各色の色度をそれぞれ測定した結果を示している。
実施例1,2,6にて用いるYAG系蛍光体は、互いに主発光波長が異なるものとされる。YAG系蛍光体の主発光波長を異ならせるには、既述した通り、化学式:Y3Al5O12におけるYサイトの一部または全部を例えばGd,Tbなどに置換したり、Alサイトの一部を例えばGaなどに置換することで実現する(主発光波長を長波長側または短波長側にシフトさせる)ことができ、具体的に選択可能なYAG系蛍光体の種類は既述した通りである。比較例5及び実施例1,2,6に示す各緑色蛍光体(β−SiAlON及び各YAG系蛍光体)の発光スペクトルは、図11に示す通りであり、同図縦軸に示す放射輝度(単位は(W/sr・m2))の最大値(ピーク)となる波長(横軸の値で単位は(nm))が各緑色蛍光体の主発光波長となっている。また、赤色蛍光体であるカズン(CaAlSiN3:Eu)は、図示は省略するが主発光波長が例えば638nmとされる。なお、図11では、測定データの検証の容易性などを考慮して縦軸を放射輝度としているが、他の放射量に関する物理量、例えば放射束(単位は(W))や放射照度(単位は(W/m2))などとすることも勿論可能である。
比較例5及び実施例1,2,6は、図3に示すように、各着色部R,G,B,Yの膜厚が全て均等で2.1μmに揃えられている(膜厚の数値は表3を参照)。実施例3〜5,7〜9は、図14に示すように、赤色の着色部Rが他の着色部G,B,Yよりも膜厚が厚いものとされる。詳しくは、実施例3,7は、赤色の着色部Rの膜厚が3.0μmとされ、他の着色部G,B,Yの膜厚(いずれも2.1μmで同一)の約142.86%の大きさとされる。実施例8は、赤色の着色部Rの膜厚が3.5μmとされ、他の着色部G,B,Yの膜厚の約166.67%の大きさとされる。実施例4,9は、赤色の着色部Rの膜厚が4.0μmとされ、他の着色部G,B,Yの膜厚の約190.48%の大きさとされる。実施例5は、赤色の着色部Rの膜厚が4.5μmとされ、他の着色部G,B,Yの膜厚の約214.29%の大きさとされる。つまり、実施例3〜5における赤色の着色部Rの膜厚は、他の着色部G,B,Yの膜厚の142.8%〜214.3%の範囲の大きさとされ、実施例7〜9における赤色の着色部Rの膜厚は、他の着色部G,B,Yの膜厚の142.8%〜190.5%の範囲の大きさとされている。
表3において、出射光の色度領域のNTSC比は、比較例5及び各実施例において測定により得られた出射光における色度領域の、NTSC色度領域36に対する面積比率である。このNTSC比は、CIE1931色度図及びCIE1976色度図のいずれにおいても70%以上の数値があれば、液晶表示装置10を視聴する上で十分な色再現性、つまり表示品位が確保されていると言える。なお、EBU色度領域37のNTSC比が72%であることから、出射光の色度領域として好ましくは72%以上の数値を得られれば、EBU規格と同等以上の色度領域が確保されていることになり、より表示品位に優れると言える。出射光における各色の色度は、上記した比較実験1と同様に、カラーフィルタ19の各着色部R,G,B,Yを透過させた出射光を、例えば分光測色計などにより測定することで得るようにしている。ここで、各実施例における各着色部R,G,B,Yは、その顔料濃度が一定とされている。このため、各着色部R,G,B,Yの色度は、その膜厚の大きさに応じて変化するものとされ、膜厚が小さくなるほど色純度が低下して色度領域が縮小されるものの該当する色に属する透過光量は増加し、逆に膜厚が大きくなるほど該当する色に属する透過光量が減少するものの色純度は向上して色度領域が拡張される傾向にある。つまり、各着色部R,G,B,Yは、膜厚が小さくなるほど色再現性では劣るものの輝度が高くなり、逆に膜厚が大きくなるほど輝度が低くなるものの色再現性に優れるものとされる。なお、実施例1〜9に係る各輝度は、比較例5における輝度を100%とした相対値とされている。また、LEDの色度調整に関しては、各蛍光体の含有量などを調整して行われる。また、表3に示すx値,y値,u′値及びv′値は、上記した表1にて説明したものと全て同様のものである。
まず、比較例5と実施例1,2,6とにおける出射光の輝度を比較すると、実施例1,2,6の方が比較例5よりも輝度が高いことが分かる。これは、緑色蛍光体としてYAG系蛍光体を含ませた方が、β−SiAlONを含ませた場合よりも高い輝度が得られることを意味する。続いて、いずれもYAG系蛍光体を用いた実施例1,2,6における出射光の輝度を比較すると、実施例2,6の方が実施例1よりも高い輝度が得られ、さらに実施例2,6の比較では、実施例2の方が実施例6よりもさらに高い輝度が得られることが分かる。これは、輝度に関しては、主発光波長が539nmのYAG系蛍光体を用いた場合が最も高輝度であり、以下主発光波長が519nmのYAG系蛍光体、主発光波長が554nmのYAG系蛍光体の順で輝度が低下することを意味する。その一方、NTSC比に関して実施例1,2,6を比較すると、実施例6が最も大きく、次いで実施例1、実施例2の順序となっている。以上の結果から、輝度に関しては、主発光波長が539nmのYAG系蛍光体が最も優れ、色再現性に関しては、主発光波長が519nmのYAG系蛍光体が最も優れている。また、輝度と色再現性との両立といった観点では、主発光波長が519nmのYAG系蛍光体を用いるのが好ましい。なお、YAG系蛍光体における主発光波長が519nmを下回ると、主発光波長が、LEDチップ24aが発する青色光の波長領域側に偏るため、LED24の色度調整が困難になるおそれがあり、逆に主発光波長が554nmを上回ると、主発光波長が液晶パネル11が含む黄色の着色部Yを透過する黄色光の波長領域側に偏るため、やはりLED24の色度調整が困難になるおそれがある。このため、YAG系蛍光体における主発光波長は、519nm〜554nmの範囲が好ましいと言える。
ここで、比較例5と実施例1,2,6とにおけるNTSC比を比較すると、実施例1,2,6は、いずれも比較例5よりも小さくなっており、色再現性の観点では、YAG系蛍光体がβ−SiAlONよりも劣ることが分かる。この色再現性の問題を解決する手段として、実施例3〜5,7〜9では、赤色の着色部Rの膜厚を他の着色部G,B,Yの膜厚よりも大きくしており、以下その効果について表3を用いて詳しく説明する。実施例2と実施例3〜5とを比較すると、赤色の着色部Rの膜厚を増すに連れてNTSC比、及び出射光における赤色の色度のx値及びu′値がいずれも大きくなるとともに、色再現性が向上することが分かる。同様に、実施例6と実施例7〜9とを比較した場合でも、赤色の着色部Rの膜厚を増すに連れてNTSC比、及び出射光における赤色の色度のx値及びu′値がいずれも大きくなるとともに、色再現性が向上することが分かる。特に、実施例3〜5(YAG系蛍光体の主発光波長を539nmとし且つ赤色の着色部Rの膜厚を他の着色部G,B,Yの膜厚よりも大きくする構成)は、実施例1,6〜9のいずれよりも高い輝度を確保しつつも、実施例1,6よりも色再現性に優れていることから、輝度及び色再現性の両立を図る観点から最も優れていると言える。また、実施例7〜9(YAG系蛍光体の主発光波長を519nmとし且つ赤色の着色部Rの膜厚を他の着色部G,B,Yの膜厚よりも大きくする構成)は、実施例1よりも高い輝度を確保しつつも、比較例5よりもNTSC比が大きくなっていることから、十分な輝度の高さを担保した上でより高い色再現性を実現する、といった観点において最も優れていると言える。なお、赤色の着色部Rの膜厚を増すと、色再現性が向上する理由は、赤色の着色部を透過する赤色光の光量が膜厚の大きさに反比例するのに対し、色純度の高さが膜厚の大きさに比例する傾向にあるため、と考えられる。
なお、実施例1におけるYAG系蛍光体は、主発光波長が554nmと、実施例2,6に比べて最も黄色の波長領域に近いため、仮に色再現性の向上を図るべく蛍光体に赤色蛍光体を追加すると、黄色の着色部Yを有する液晶パネルに対応してLEDの色度を調整するのが困難になることから、実質的に赤色蛍光体を追加することができない。これは、実施例1における出射光全体の色度が、実施例2〜9に比べて、黄色側(赤色側)にシフトしていることからも、明らかである。このため、実施例1のように主発光波長が554nmとされるYAG系蛍光体を用いると、実施例3〜5,7〜9のように赤色の着色部Rの膜厚を増して色再現性を高めることも実質的に不可能とされる。従って、輝度及び色再現性をいずれも高いものとしつつも色度調整の容易性を担保する、といった観点からは、YAG系蛍光体における主発光波長は、519nm〜539nmの範囲がより好ましいと言える。
実施例1〜9の出射光における青色の色度(青色の原色点)、緑色の色度(緑色の原色点)、黄色の色度(黄色の原色点)、赤色の色度(赤色の原色点)は、いずれも図12及び図13に示す各色度図において共通領域38外に存している。共通領域38は、既述した通り表示画像における表示品位(色再現性)を一定以上に保つ上で非常に重要な領域であり、出射光の色度領域にこの共通領域38をできる限り多く含ませるのが好ましい。その点、実施例1〜9では、各色の色度が全て共通領域38外に存する設定とされることで、出射光の色度領域に共通領域38の大部分または全域が含まれているので、液晶表示装置10を視聴する上で十分な色再現性を確保することができる。実施例1〜9では、NTSC比がいずれも72%以上であることから、EBU規格と同等以上の色再現性が実現されていると言える。なお、ここで言う出射光の色度領域は、実施例1〜9の出射光における赤色、青色、黄色及び緑色の各色度(各原色点)を頂点とする四角形の領域である。
以上説明したように本実施形態の液晶表示装置10は、一対の基板11a,11b間に電界印加によって光学特性が変化する物質である液晶からなる液晶層11cを設けてなる液晶パネル11と、液晶パネル11に向けて光を照射するバックライト装置12とを備え、液晶パネル11における一対の基板11a,11bのいずれか一方に、それぞれ青色、緑色、赤色、黄色を呈する複数の着色部R,G,B,Yからなるカラーフィルタ19が形成されているのに対し、バックライト装置12は、光源としてLED24を備えており、LED24は、発光源であるLEDチップ24aと、LEDチップ24aからの光により励起されて発光する蛍光体とを備え、蛍光体には、少なくともYAG系蛍光体が含まれている。
このように、液晶パネル11における一対の基板11a,11bのいずれか一方には、カラーフィルタ19が形成されており、このカラーフィルタ19には、光の三原色である青色、緑色、赤色の各着色部R,G,Bに加えて黄色の着色部Yが含まれているから、人間の目に知覚される色再現範囲、つまり色域を拡張することができるとともに、自然界に存在する物体色の色再現性を高めることができ、もって表示品位を向上させることができる。しかも、カラーフィルタ19を構成する着色部R,G,B,Yのうち、黄色の着色部Yを透過した光は、視感度のピークに近い波長を有するため、人間の目には少ないエネルギーでも明るく、つまり高い輝度であるように知覚される傾向とされる。これにより、光源の出力を抑制しても十分な輝度を得ることができることとなり、光源の低消費電力化を図ることができて環境性能に優れる、という効果を得ることができる。言い換えると、上記のように高い輝度が得られることから、それを利用して鮮やかなコントラスト感を得ることができ、表示品位の一層の向上を図ることも可能とされるのである。
その一方、カラーフィルタ19に黄色の着色部Yを含ませると、液晶パネル11からの出射光、つまり表示画像が全体として黄色味を帯び易くなる傾向とされる。これを回避するには、例えば各着色部R,G,B,Yの透過光量を制御することで表示画像の色度の補正を図る手法を採ることが考えられるが、それでは色度の補正に伴って透過光量が減少しがちとなるため、輝度低下を生じさせるおそれがある。そこで、本願発明者は、鋭意研究を重ねた結果、バックライト装置12に用いる光源における色度を調整することで、輝度低下を招くことなく、表示画像における色度を補正することができる、という知見を得るに至った。その上で、本実施形態では、光源としてLED24を用いるようにしている。LED24は、冷陰極管などの他の光源に比べると、黄色の着色部Yを有する液晶パネル11に対応して色度を調整した場合、例えば分光特性の相性が良好であるなどの理由から、相対的に高い輝度を維持することができるのである。これにより、輝度低下を招くことなく表示画像の色度を適切に補正することができる。
その上で、本願発明者は、光源に用いるLED24の構成についてさらなる研究を重ねた結果、より高い輝度が得られるLED24を特定するに至った。すなわち、本実施形態では、発光源であるLEDチップ24aと、LEDチップ24aからの光により励起されて発光する蛍光体とからなるLED24を用い、且つ蛍光体に少なくともYAG系蛍光体を含ませるようにしているので、仮にYAG系蛍光体ではない他の種類の蛍光体(例えば、β−SiAlONなど)を用いた場合に比べて、LED24自身の輝度を高めることができるとともに、出射光における輝度を高くすることができる。しかも、本実施形態では、既述した通り液晶パネル11におけるカラーフィルタ19に黄色の着色部Yを含ませることで、高い輝度及び色再現性を得るようにしていることから、上記した構成の高輝度なLED24と組み合わせることで、出射光のさらなる高輝度化を図ることができる、という相乗効果が得られるものとされる。このことは、LED24の出力を抑制しても十分な輝度を得ることができることを意味し、それによりLED24のさらなる低消費電力化を図ることができて環境性能に一層優れる、という効果をも得ることができるのである。
なお、YAG系蛍光体は、イットリウムとアルミニウムの複合酸化物からなるガーネット構造を有するものであり、化学式:Y3Al5O12により表されるとともに、付活剤として希土類元素(例えばCe,Tb,Eu,Ndなど)が用いられる。また、YAG系蛍光体は、化学式:Y3Al5O12におけるYサイトの一部または全部を例えばGd,Tbなどに置換したり、Alサイトの一部を例えばGaなどに置換することが可能であり、それによりYAG系蛍光体における主発光波長を適宜調整することが可能とされる。
具体的なYAG系蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce、Y3Al5O12:Tb、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Tb、Tb3Al5O12:Ceなどが挙げられる。
また、YAG系蛍光体は、主発光波長が519nm〜554nmの範囲とされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が519nmを下回る場合には、十分な輝度が得られなくなるおそれがあるのに加えて、主発光波長がシアン色側(青色側)に偏るため、LEDチップ24aとして青色光を発するものを用いたときの色度調整が難しくなるおそれがある。一方、YAG系蛍光体における主発光波長が554nmを上回る場合には、やはり十分な輝度が得られなくなるおそれがあるのに加えて、主発光波長が黄色側(赤色側)に偏るため、黄色の着色部Yを含むカラーフィルタ19を備える液晶パネル11に対応してLED24の色度を調整するのが難しくなるおそれがある。その点、本実施形態では、YAG系蛍光体として主発光波長が519nm〜554nmの範囲とされるものを用いることで、LED24の色度調整の容易性を担保しつつも十分に高い輝度及び色再現性を得ることができる。
また、YAG系蛍光体は、主発光波長が519nm〜539nmの範囲とされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が539nmを上回る場合には、相対的に輝度が低下し、さらには蛍光体に赤色光を発光する赤色蛍光体を加えて色再現性の向上を図ろうとしたときの色度調整が困難になるおそれがある。その点、本実施形態では、YAG系蛍光体として主発光波長が519nm〜539nmの範囲とされるものを用いることで、一層の輝度の向上を図ることができるのに加え、例えば蛍光体に赤色光を発光する赤色蛍光体を加えて色再現性の向上を図りつつも色度調整の容易性を担保することが可能とされる。
また、YAG系蛍光体は、主発光波長が539nmとされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が539nmを下回る場合に比べて、相対的にさらに高い輝度を得ることができ、また十分な色再現性が得られる。
また、YAG系蛍光体は、主発光波長が519nmとされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が519nmを上回る場合に比べて、相対的に高い色再現性を得ることができ、また十分な輝度が得られる。
また、蛍光体には、LEDチップ24aから発せられる光により励起されて赤色光を発する赤色蛍光体が含まれている。このようにすれば、赤色蛍光体を、主発光波長が519nm〜539nmの範囲とされるYAG系蛍光体と組み合わせて用いることで、色度調整の容易性を担保しつつ、より高い色再現性を得ることができる。
また、赤色蛍光体は、カズン系蛍光体からなる。このように、赤色蛍光体として窒化物であるカズン系蛍光体を用いているので、例えば硫化物や酸化物からなる赤色蛍光体を用いた場合に比べて、高い効率でもって赤色光を発することができる。
また、赤色蛍光体は、カズン(CaAlSiN3:Eu)からなる。このようにすれば、高い効率でもって赤色光を発することができる。
また、赤色を呈する着色部Rは、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gよりも膜厚が相対的に大きいものとされる。このように、赤色を呈する着色部Rの膜厚を、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gの膜厚よりも相対的に大きくすると、仮に上記各着色部R,G,Bの膜厚を同一とした場合に比べて、赤色に属する光の透過光量は減少するものの、出射光における赤色に属する色度領域が拡張される。これにより、一層高い色再現性を得ることができる。
また、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gは、互いに膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gに関しては、両基板11a,11b間に形成される静電容量がほぼ等しいものとされるから、両基板11a,11b間に設けられる液晶層11cの光学特性を電界印加によって容易に制御することができる。これにより、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gに対する光の透過率を容易に制御することができ、もって液晶パネル11に係る回路設計を簡素なものとすることができる。
また、黄色を呈する着色部Yは、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gと膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gに加えて、黄色を呈する着色部Yに関しても、両基板11a,11b間に形成される静電容量がほぼ等しいものとなるから、液晶パネル11に係る回路設計をより簡素なものとすることができる。
また、赤色を呈する着色部Rは、その膜厚が青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gの膜厚の142.8%〜214.3%の範囲の大きさとされる。仮に青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gの膜厚に対する赤色を呈する着色部Rの膜厚の比率を142.8%よりも小さくすると、膜厚の差が小さくなり過ぎるため、出射光における赤色に属する色度領域が十分に拡張されず、色再現性の向上効果を十分に得ることができなくなるおそれがある。一方、仮に上記膜厚の比率を214.3%よりも大きくすると、上記した静電容量上の問題が生じ易くなる可能性がある。その点、本実施形態では、上記した膜厚の比率を142.8%〜214.3%の範囲とすることで、両基板11a,11b間に設けられる液晶層11cの光学特性を電界印加によってより適切に制御できるとともに、より高い色再現性を得ることができる。
また、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gは、その膜厚が2.1μmとされるのに対し、赤色を呈する着色部Rは、その膜厚が3.0μm〜4.5μmの範囲とされる。各着色部R,G,Bの膜厚を上記のような設定とすることで、両基板11a,11b間に設けられる液晶層11cの光学特性を電界印加によってさらに適切に制御できるとともに、より一層高い色再現性を得ることができる。
また、各着色部R,G,B,Yは、互いに膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、カラーフィルタ19を構成する各着色部R,G,B,Yにおいて、両基板11a,11b間に形成される静電容量がほぼ等しいものとされるから、両基板11a,11b間に設けられる液晶層11cの光学特性を電界印加によってより容易に制御することができる。これにより、各着色部R,G,B,Yに対する光の透過率をより容易に制御することができ、もって液晶パネル11に係る回路設計を極めて簡素なものとすることができる。
また、YAG系蛍光体は、主発光波長が554nmとされる。このようにすれば、仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が554nmを下回る場合に比べると、主発光波長が黄色側(赤色側)にシフトしていることから、蛍光体として赤色光を発する赤色蛍光体を追加することなく、色度調整を行うことが可能とされ、それにより例えば低コストでの製造などが可能となる。
また、LEDチップ24aは、主発光波長が451nmとされる。このようにすれば、YAG系蛍光体を高効率でもって励起することができるので、より高い輝度を得ることができる。
また、各着色部R,G,B,Yにおける面積比率は、互いに等しいものとされる。仮に、出射光における青色の色度を制御すべく、各着色部R,G,B,Yの面積比率を異ならせた場合には、液晶パネル11を製造するための製造装置として専用設計の特殊なものを用意する必要がある。これに比べて、本実施形態では、一般的な赤色、緑色、青色の3色の着色部R,G,Bからなるカラーフィルタ19を有する液晶パネル11と同様に、4色の各着色部R,G,B,Yの面積比率を等しいものとしているので、上記した3色タイプの液晶パネル11を製造するのに用いられる製造装置を利用することが可能とされる。これにより、4色の着色部R,G,B,Yからなるカラーフィルタ19を有する液晶パネル11に係る製造コストを十分に低いものとすることができる。
また、カラーフィルタ19は、LED24からの光をカラーフィルタ19の各着色部R,G,B,Yに透過させて得られる出射光における青色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域36とEBU規格に係るEBU色度領域37との共通領域38外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における青色に属する色度領域に共通領域38を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
また、カラーフィルタ19は、出射光における青色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、EBU色度領域37外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における青色に属する色度領域がより拡張されるので、色再現性をより向上させることができる。
また、カラーフィルタ19は、LED24からの光をカラーフィルタ19の各着色部R,G,B,Yに透過させて得られる出射光における赤色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域36とEBU規格に係るEBU色度領域37との共通領域38外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における赤色に属する色度領域に共通領域38を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
また、カラーフィルタ19は、LED24からの光をカラーフィルタ19の各着色部R,G,B,Yに透過させて得られる出射光における緑色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域36とEBU規格に係るEBU色度領域37との共通領域38外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における緑色に属する色度領域に共通領域38を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
また、カラーフィルタ19は、LED24からの光をカラーフィルタ19の各着色部R,G,B,Yに透過させて得られる出射光における黄色の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図との少なくともいずれか一方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域36とEBU規格に係るEBU色度領域37との共通領域38外に存する構成とされる。このようにすれば、出射光における黄色に属する色度領域に共通領域38を概ね含ませることができるので、十分な色再現性を確保することができる。
また、出射光における色度領域は、NTSC規格に係るNTSC色度領域36の70%以上を占めるものとされる。このようにすれば、画像を表示する上で十分な色再現性を確保することができ、良好な表示品質を得ることができる。
また、バックライト装置12には、LED24が端部に対して対向状に配される合成樹脂製の導光部材26が備えられ、LED24からの光が導光部材26を透過することで液晶パネル11側へと導かれるものとされる。このようにすれば、一般的に合成樹脂製の導光部材26は、高い透明性を有するものの、僅かながらも黄色味を帯びている場合が多く、その場合には、LED24から発せられた光が導光部材26を透過すると、その透過光も僅かに黄色味を帯びたものとなる。このような場合でも、黄色の着色部Yを有する液晶パネル11に加えて黄色味を帯びた導光部材26に対応してLED24の色度を調整することで、輝度低下を招くことなく表示画像の色度を適切に補正することができる。
また、導光部材26は、LED24側の端部に長手状の光入射面26bを有しているのに対し、LED24は、その光出射側を覆うとともに光を拡散させるレンズ部材30を備えており、レンズ部材30は、導光部材26の光入射面26bと対向し、導光部材26側に凸となるように、光入射面26bの長手方向に沿って屈曲している。このようにすれば、LED24から出射された光が、レンズ部材30によって光入射面26bの長手方向に広がるので、導光部材26の光入射面26bに形成され得る暗部を低減することができる。従って、LED24と導光部材26との間の距離が短く、かつ、LED24の数が少ない場合であっても、導光部材26の光入射面26bの全体に亘って均一な輝度の光を入射させることができる。
また、バックライト装置12には、LED24と導光部材26との間に、光入射面26bの長手方向に沿って配される反射シート28,29が備えられている。このようにすれば、レンズ部材30から導光部材26の外へ散乱した光を、反射シート28,29によって反射して導光部材26に入射させることが可能となる。このため、LED24から出射された光の、導光部材26への入射効率を高めることができる。
また、表示パネルは、電界印加によって光学特性が変化する物質として液晶層11cを用いた液晶パネル11とされる。このようにすれば、種々の用途、例えばテレビやパソコンのディスプレイ等に適用でき、特に大型画面用として好適である。
また、本実施形態に係るテレビ受信装置TVは、上記した液晶表示装置10と、テレビ信号を受信可能な受信部であるチューナーTとを備える。このようなテレビ受信装置TVによると、テレビ信号に基づいてテレビ画像を表示する液晶表示装置10が、高い輝度を得つつも表示画像の色度を適切に補正することができるものであるから、テレビ画像の表示品質を優れたものとすることができる。
また、上記したテレビ受信装置TVは、チューナーTから出力されたテレビ画像信号を、青色、緑色、赤色、黄色の各色の画像信号に変換する画像変換回路VCを備える。このようにすれば、画像変換回路VCによりテレビ画像信号を、カラーフィルタ19を構成する、青色、緑色、赤色、黄色の各着色部R,G,B,Yに対応付けた各色の画像信号に変換しているから、高い表示品位でもってテレビ画像を表示することができる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図15によって説明する。この実施形態2では、カラーフィルタ19Aを構成する赤色の着色部Rについて、他の着色部G,B,Yとは顔料濃度を異ならせるようにしたものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係るカラーフィルタ19Aを構成する各着色部R,G,B,Yは、図15に示すように、その膜厚が全て等しいものとされるのに対し、赤色の着色部Rが他の着色部G,B,Yとは顔料濃度が異なる(高くなる)設定とされている。このため、各着色部R,G,B,Yの色度は、その顔料濃度の大きさに応じて変化するものとされており、顔料濃度が少なくなるほど色純度が低下して色度領域が縮小されるものの該当する色に属する透過光量は増加し、逆に顔料濃度が多くなるほど該当する色に属する透過光量が減少するものの色純度は向上して色度領域が拡張される傾向にある。つまり、各着色部R,G,B,Yは、顔料濃度が少なくなるほど色再現性では劣るものの輝度が高くなり、逆に顔料濃度が多くなるほど輝度が低くなるものの色再現性に優れるものとされる。このような構成のカラーフィルタ19Aを上記した実施形態1における比較実験2にて示した実施例3〜5,7〜9に適用することで、同様の結果を得ることが可能とされる。
以上説明したように本実施形態によれば、各着色部R,G,B,Yは、顔料を分散配合してなり、赤色を呈する着色部Rは、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gよりも顔料濃度が高いものとされる。このように、赤色を呈する着色部Rに含まれる顔料の濃度を、青色を呈する着色部B及び緑色を呈する着色部Gに含まれる各顔料の濃度よりも相対的に高くすると、仮に上記各着色部R,G,Bの顔料濃度を同一とした場合に比べて、出射光における赤色に属する光の透過光量は減少するものの、赤色に属する色度領域が拡張される。これにより、高い色再現性を得ることができる。
また、各着色部R,G,B,Yは、互いに膜厚がほぼ同じとされる。このようにすれば、カラーフィルタ19Aを構成する各着色部R,G,B,Yにおいて、両基板11a,11b間に形成される静電容量がほぼ等しいものとされるから、両基板11a,11b間に設けられる液晶層11cの光学特性を電界印加によってより容易に制御することができる。これにより、各着色部R,G,B,Yに対する光の透過率をより容易に制御することができ、もって高い色再現性を得つつも液晶パネル11に係る回路設計を極めて簡素なものとすることができる。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図16または図17によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態1から液晶表示装置110の各構成部品を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
図16に、本実施形態に係る液晶表示装置110の分解斜視図を示す。ここで、図16に示す上側を表側とし、同図下側を裏側とする。図16に示すように、液晶表示装置110は、全体として横長の方形を成し、表示パネルである液晶パネル116と、外部光源であるバックライト装置124とを備え、これらがトップベゼル112a、ボトムベゼル112b、サイドベゼル112c(以下、ベゼル群112a〜112cと称する)等により一体的に保持されるようになっている。なお、液晶パネル116の構成については、上記した実施形態1のものと同様の構成であるため、重複する説明については省略する。
以下、バックライト装置124について説明する。図16に示すように、バックライト装置124は、バックライトシャーシ(挟持部材,支持部材)122と、光学部材118と、トップフレーム(挟持部材)114aと、ボトムフレーム(挟持部材)114bと、サイドフレーム(挟持部材)114cと(以下、フレーム群114a〜114cと称する)、反射シート134aと、を備えている。液晶パネル116は、ベゼル群112a〜112cとフレーム群114a〜114cとによって挟持されている。なお、符号113は、液晶パネル116を駆動するための表示制御回路基板115(図17参照)を絶縁するための絶縁シートである。バックライトシャーシ122は、表側(光出射側、液晶パネル116側)に開口し、底面を有した略箱型をなしている。光学部材118は、導光板120の表側に配されている。反射シート134aは、導光板120の裏側に配されている。さらに、バックライトシャーシ122内には、一対のケーブルホルダ131と、一対の放熱板(取付放熱板)119と、一対のLEDユニット132と、導光板120と、が収容されている。LEDユニット132と導光板120と反射シート134aは、ゴムブッシュ133によって互いに支持されている。バックライトシャーシ122の裏面には、LEDユニット132に電力を供給する電源回路基板(図示しない)や、当該電源回路基板を保護するための保護カバー123等が取り付けられている。一対のケーブルホルダ131は、バックライトシャーシ122の短辺方向に沿って配されており、LEDユニット132と電源回路基板との間を電気的に接続する配線を収容する。
図17に、バックライト装置124の水平断面図を示す。図17に示すように、バックライトシャーシ122は、底面122zを備える底板122aと、底板122aの外縁から浅く立ち上がる側板122b,122cと、から構成され、少なくともLEDユニット132と導光板120とを支持している。また、一対の放熱板119は、底面部(第2板部)119aと、底面部119aの一方の長辺側外縁から立ち上がる側面部(第1板部)119bと、から構成される水平断面L字型の形状を成しており、各放熱板119がバックライトシャーシ122の両長辺方向に沿うように配されている。放熱板119の底面部119aは、バックライトシャーシ122の底板122aに固定されている。一対のLEDユニット132は、バックライトシャーシ122の両長辺方向に沿って延びており、光出射側が互いに対向する形で放熱板119の側面部119bにそれぞれ固定されている。従って、一対のLEDユニット132は、放熱板119を介してバックライトシャーシ122の底板122aにそれぞれ支持されている。放熱板119は、LEDユニット132に発生した熱を、バックライトシャーシ122の底板122aを介してバックライト装置124の外部へ放熱する。
図17に示すように、導光板120は、一対のLEDユニット132の間に配されている。一対のLEDユニット132と導光板120と光学部材118は、フレーム群(第1挟持部材)114a〜114cとバックライトシャーシ(第2挟持部材)122とによって挟持されている。さらに、導光板120と光学部材118は、フレーム群114a〜114cとバックライトシャーシ122とによって固定されている。なお、LEDユニット132の構成、導光板120の構成および光学部材118の構成については、上記実施形態1のものと同様の構成であるため、重複する説明を省略する。
図17に示すように、ボトムフレーム114bの表側には、駆動回路基板115が配されている。駆動回路基板115は、表示パネル116と電気的に接続されており、画像を表示するのに必要な画像データや各種制御信号を液晶パネル116に供給する。また、トップフレーム114aの表面であってLEDユニット132に対して露出する部位には、導光板120の長辺方向に沿って第1の反射シート134bが配されている。ボトムフレーム114bの表面であってLEDユニット132と対向する部位にも、導光板120の長辺方向に沿って第1の反射シート134bが配されている。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図18から図24によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1からバックライト装置212を直下型に変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る液晶表示装置210は、図18に示すように、液晶パネル211と、直下型のバックライト装置212とをベゼル213などにより一体化した構成とされる。なお、液晶パネル211の構成は、上記した実施形態1と同様であるから、重複する説明は省略する。以下、直下型のバックライト装置212の構成について説明する。
バックライト装置212は、図18に示すように、光出射面側(液晶パネル11側)に開口部を有した略箱型をなすシャーシ222と、シャーシ222の開口部を覆うようにして配される光学部材223群、シャーシ222の外縁部に沿って配され光学部材223群の外縁部をシャーシ222との間で挟んで保持するフレーム227とを備える。さらに、シャーシ222内には、光学部材222(液晶パネル211)の直下となる位置に対向状に配されるLED224と、LED224が実装されたLED基板225と、LED基板225においてLED224に対応した位置に取り付けられる拡散レンズ31とが備えられる。その上、シャーシ222内には、LED基板225をシャーシ222との間で保持することが可能な保持部材32と、シャーシ222内の光を光学部材223側に反射させる反射シート33とが備えられる。このように本実施形態に係るバックライト装置212は、直下型であるから、実施形態1にて示したエッジライト型のバックライト装置12で用いていた導光部材26が備えられていない。なお、光学部材223の構成については、上記実施形態1と同様であるから、重複する説明を省略する。また、フレーム227の構成については、実施形態1とは第1反射シート28を有していない点以外は同様であるから、説明を省略する。続いて、バックライト装置212の各構成部品について詳しく説明する。
シャーシ222は、金属製とされ、図19から図21に示すように、液晶パネル211と同様に横長な方形状(矩形状、長方形状)をなす底板222aと、底板222aの各辺(一対の長辺及び一対の短辺)の外端からそれぞれ表側(光出射側)に向けて立ち上がる側板222bと、各側板222bの立ち上がり端から外向きに張り出す受け板222cとからなり、全体としては表側に向けて開口した浅い略箱型(略浅皿状)をなしている。シャーシ222は、その長辺方向がX軸方向(水平方向)と一致し、短辺方向がY軸方向(鉛直方向)と一致している。シャーシ222における各受け板222cには、表側からフレーム227及び次述する光学部材223が載置可能とされる。各受け板222cには、フレーム227がねじ止めされている。シャーシ222の底板222aには、保持部材32を取り付けるための取付孔222dが開口して設けられている。取付孔222dは、底板222aにおいて保持部材32の取付位置に対応して複数分散配置されている。
次に、LED224が実装されるLED基板225について説明する。なお、LED224の構成は、上記した実施形態1と同様であるから、重複する説明は省略する。LED基板225は、図19及び図20に示すように、平面に視て横長の方形状をなす基材を有しており、長辺方向がX軸方向と一致し、短辺方向がY軸方向と一致する状態でシャーシ222内において底板222aに沿って延在しつつ収容されている。このLED基板225の基材の板面のうち、表側を向いた面(光学部材223側を向いた面)には、LED224が表面実装されている。LED224は、その発光面が光学部材223(液晶パネル211)と対向状をなすとともに、その光軸LAがZ軸方向、つまり液晶パネル211の表示面と直交する方向と一致している。LED224は、LED基板225における長辺方向(X軸方向)に沿って複数が直線的に並列して配されるとともに、LED基板225に形成された配線パターンにより直列接続されている。各LED224の配列ピッチは、ほぼ一定となっており、つまり各LED224は、等間隔に配列されていると言える。また、LED基板225における長辺方向の両端部には、コネクタ部225aが設けられている。
上記した構成のLED基板225は、図19に示すように、シャーシ222内においてX軸方向及びY軸方向にそれぞれ複数ずつ、互いに長辺方向及び短辺方向を揃えた状態で並列して配置されている。つまり、LED基板225及びそこに実装されたLED224は、シャーシ222内において共にX軸方向(シャーシ222及びLED基板225の長辺方向)を行方向とし、Y軸方向(シャーシ222及びLED基板225の短辺方向)を列方向として行列状に配置(マトリクス状に配置、平面配置)されている。具体的には、LED基板225は、シャーシ222内においてX軸方向に3枚ずつ、Y軸方向に9枚ずつ、合計27枚が並列して配置されている。X軸方向に沿って並ぶことで1つの行をなす各LED基板225は、隣接するコネクタ部225a同士が嵌合接続されることで相互に電気的に接続されるとともに、シャーシ222におけるX軸方向の両端に対応したコネクタ部225aが図示しない外部の制御回路に対してそれぞれ電気的に接続される。これにより、1つの行をなす各LED基板225に配された各LED224が直列接続されるとともに、その1つの行に含まれる多数のLED224の点灯・消灯を1つの制御回路により一括して制御することができ、もって低コスト化を図ることが可能とされる。また、Y軸方向に沿って並ぶ各LED基板225の配列ピッチは、ほぼ等しいものとされている。従って、シャーシ222内において底板222aに沿って平面配置された各LED224は、X軸方向及びY軸方向についてそれぞれほぼ等間隔に配列されていると言える。
拡散レンズ31は、ほぼ透明で(高い透光性を有し)且つ屈折率が空気よりも高い合成樹脂材料(例えばポリカーボネートやアクリルなど)からなる。拡散レンズ31は、図22から図24に示すように、所定の厚みを有するとともに、平面に視て略円形状に形成されており、LED基板225に対して各LED224を表側から個別に覆うよう、つまり平面に視て各LED224と重畳するようそれぞれ取り付けられている。そして、この拡散レンズ31は、LED224から発せられた指向性の強い光を拡散させつつ出射させることができる。つまり、LED224から発せられた光は、拡散レンズ31を介することにより指向性が緩和されるので、隣り合うLED224間の間隔を広くとってもその間の領域が暗部として視認され難くなる。これにより、LED224の設置個数を少なくすることが可能となっている。この拡散レンズ31は、平面に視てLED224とほぼ同心となる位置に配されている。
この拡散レンズ31のうち、裏側を向き、LED基板225(LED224)と対向する面がLED224からの光が入射される光入射面31aとされるのに対し、表側を向き、光学部材223と対向する面が光を出射する光出射面31bとされる。このうち、光入射面31aは、図23及び図24に示すように、全体としてはLED基板225の板面(X軸方向及びY軸方向)に沿って並行する形態とされるものの、平面に視てLED224と重畳する領域に光入射側凹部31cが形成されることでLED224の光軸LAに対して傾斜した傾斜面を有している。光入射側凹部31cは、断面逆V字型の略円錐状をなすとともに拡散レンズ31においてほぼ同心位置に配されている。LED224から発せられて光入射側凹部31c内に入った光は、傾斜面によって広角に屈折されつつ拡散レンズ31に入射する。また、光入射面31aからは、LED基板225に対する取付構造である取付脚部31dが突設されている。光出射面31bは、扁平な略球面状に形成されており、それにより、拡散レンズ31から出射する光を広角に屈折させつつ出射させることが可能とされる。この光出射面31bのうち平面に視てLED224と重畳する領域には、略擂鉢状をなす光出射側凹部31eが形成されている。この光出射側凹部31eにより、LED224からの光の多くを広角に屈折させつつ出射させたり、或いはLED224からの光の一部をLED基板225側に反射させることができる。
続いて、保持部材32について説明する。保持部材32は、ポリカーボネートなどの合成樹脂製とされており、表面が光の反射性に優れた白色を呈する。保持部材32は、図22から図24に示すように、LED基板225の板面に沿う本体部32aと、本体部32aから裏側、つまりシャーシ222側に向けて突出してシャーシ222に固定される固定部32bとを備える。本体部32aは、平面に視て略円形の板状をなすとともに、シャーシ222の底板222aとの間でLED基板225及び次述する反射シート33を共に挟持可能とされる。固定部32bは、LED基板225及びシャーシ222の底板222aにおける保持部材32の取付位置に対応してそれぞれ形成された挿通孔225b及び取付孔222dを貫通しつつ底板222aに対して係止可能とされる。この保持部材32は、図3に示すように、LED基板225の面内において多数個が行列状に並列配置されており、具体的にはX軸方向について隣り合う拡散レンズ31(LED224)の間の位置にそれぞれ配されている。
なお、保持部材32のうち、画面中央側に配された一対の保持部材32には、図18から図20に示すように、本体部32aから表側に突出する支持部32cが設けられており、この支持部32cによって光学部材223を裏側から支持することが可能とされ、それによりLED224と光学部材223とのZ軸方向の位置関係を一定に維持することができるとともに光学部材223の不用意な変形を規制することができる。
次に、反射シート33について説明する。反射シート33は、シャーシ222の内面をほぼ全域にわたって覆う大きさの第1反射シート34と、各LED基板225を個別に覆う大きさの第2反射シート35とからなる。両反射シート34,35は、共に合成樹脂製とされ、表面が光の反射性に優れた白色を呈するものとされる。両反射シート34,35は、いずれもシャーシ222内において底板222a(LED基板225)に沿って延在するものとされる。
先に第1反射シート34について説明する。図19に示すように、第1反射シート34のうち、シャーシ222の底板222aに沿って延在する中央側の大部分が底部34aとされる。底部34aには、シャーシ222内に配された各LED224と共に各LED224を覆う各拡散レンズ31をも挿通することが可能なレンズ挿通孔34bが貫通して形成されている。レンズ挿通孔34bは、底部34aにおいて平面に視て各LED224及び各拡散レンズ31と重畳する位置に複数並列して配され、マトリクス状に配されている。レンズ挿通孔34bは、図22に示すように、平面に視て円形状をなしており、その径寸法は拡散レンズ31よりも大きくなる設定とされる。また、底部34aには、レンズ挿通孔34bに隣り合う位置に、各保持部材32の固定部32bを通す挿通孔34cが対応する位置に貫通して形成されている。この第1反射シート34は、図19に示すように、シャーシ222内において、隣り合う各拡散レンズ31間の領域及び外周側領域を覆うので、それら各領域に向かう光を光学部材223側に向けて反射させることができる。また、第1反射シート34のうち外周側部分は、図20及び図21に示すように、シャーシ222の側板222b及び受け板222cを覆うように立ち上がり、受け板222cに載せられた部分がシャーシ222と光学部材223とに挟まれた状態とされる。また、第1反射シート34のうち底部34aと、受け板222cに載せられた部分とを繋ぐ部分は、傾斜状をなしている。
一方、第2反射シート35は、図22に示すように、LED基板225と概ね同じ外形、つまり平面に視て矩形状に形成されている。第2反射シート35は、図23及び図24に示すように、LED基板225における表側の面に重なるよう配されるとともに、拡散レンズ31に対して対向状をなす。つまり、第2反射シート35は、拡散レンズ31とLED基板225との間に介在している。従って、拡散レンズ31側からLED基板225側に戻された光や、平面に視て当該拡散レンズ31よりも外側の空間から拡散レンズ31とLED基板225との間の空間に入った光について、第2反射シート35によって再び拡散レンズ31側に反射させることができる。これにより、光の利用効率を高めることができ、もって輝度の向上を図ることができる。言い換えると、LED224の設置個数を少なくして低コスト化を図った場合でも十分な輝度を得ることができる。
第2反射シート35は、対象となるLED基板225と同様に平面に視て横長な方形状をなしており、LED基板225を全域にわたって表側から覆うことが可能とされる。第2反射シート35は、図22及び図24に示すように、短辺寸法がLED基板225よりも大きなものとされ、さらには、拡散レンズ31及び第1反射シート34のレンズ挿通孔34bの径寸法よりも大きなものとされる。従って、第2反射シート35に対して第1反射シート34におけるレンズ挿通孔34bの縁部を表側に重ねて配置することが可能とされる。これにより、シャーシ222内において第1反射シート34及び第2反射シート35が平面に視て途切れることなく連続的に配されることになり、シャーシ222またはLED基板225がレンズ挿通孔34bから表側に露出することが殆どない。従って、シャーシ222内の光を効率的に光学部材223へ向けて反射させることができ、輝度の向上に極めて好適となる。また、第2反射シート35には、各LED224を通すLED挿通孔35a、各拡散レンズ31における各取付脚部31dを通す脚部挿通孔35b、各保持部材32の固定部32bを通す挿通孔35cがそれらと平面に視て重畳する位置にそれぞれ貫通して形成されている。
以上説明したように本実施形態によれば、バックライト装置212は、LED224を収容するとともにLED224に対して光出射側とは反対側に配される底板222aを有するシャーシ222と、底板222a及びLED224に対して光出射側に対向状に配される光学部材223とを備えている。このようにすれば、LED224から発せられた光は、底板222a及びLED224に対して光出射側に対向状に配される光学部材223に照射され、光学部材223を透過してから液晶パネル11へと出射される。
また、LED224の光出射側には、LED224からの光を拡散させる拡散レンズ31が配されている。このようにすれば、LED224から発せられた光を拡散レンズ31により拡散させつつ出射させることができる。これにより、出射光にムラが生じ難くなるので、LED224の設置数を削減することが可能となり、もって低コスト化を図ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した実施形態1では、赤色の着色部を他の着色部よりも膜厚が厚くなる構成のもの(図14)を示したが、その変形例として下記のような構成とすることも可能である。すなわち、図25に示すように、緑色の着色部G、黄色の着色部Y、青色の着色部B(赤色の着色部R以外の着色部G,B,Y)に対して透明なスペーサ材39を積層配置し、各着色部G,B,Yとスペーサ材39との膜厚を足し合わせた大きさを赤色の着色部Rと等しくすることも可能である。このようにすれば、両基板11a,11b間に形成される静電容量が各着色部R,G,B,Yにおいて全て等しいものとなるので、液晶パネル11の回路設計上優れる。
(2)上記した(1)のさらなる変形例として、図26に示すように、各着色部G,B,Yとスペーサ材39との積層順を(1)とは逆にすることも可能である。
(3)上記した各実施形態以外にも、液晶パネルにおけるカラーフィルタの着色部の並び順は、適宜変更可能である。例えば、図27に示すように、カラーフィルタ19′をなす各着色部R,G,B,Yが同図左側から赤色の着色部R、緑色の着色部G、青色の着色部B、黄色の着色部Yの順でX軸方向に沿って並ぶ配列としたものも本発明に含まれる。
(4)上記した(1)以外にも、例えば、図28に示すように、カラーフィルタ19′′をなす各着色部R,G,B,Yが同図左側から赤色の着色部R、黄色の着色部Y、緑色の着色部G、青色の着色部B、の順でX軸方向に沿って並ぶ配列としたものも本発明に含まれる。
(5)上記した実施形態1では、主発光波長がそれぞれ519nm,539nm,554nmとされるYAG系蛍光体を用いた場合を例示したが、519nm〜554nmの範囲において519nm,539nm,554nm以外の主発光波長とされるYAG系蛍光体を用いることも勿論可能である。
(6)上記した実施形態1では、主発光波長が519nm〜554nmの範囲に含まれるYAG系蛍光体を用いた場合を例示したが、主発光波長が519nmを下回るYAG系蛍光体や、554nmを上回るYAG系蛍光体を用いることも可能である。その場合でも、YAG系蛍光体の主発光波長は、500nm〜570nmの範囲、つまり緑色の波長領域に存在する設定とするのが好ましい。仮に、YAG系蛍光体における主発光波長が500nmを下回る場合、つまりシアン色や青色の波長領域とされる場合には、十分な輝度が得られなくなるおそれがあり、またLEDチップとして青色光を発するものを用いたときの色度調整が極めて困難になるおそれがある。一方、YAG系蛍光体における主発光波長が570nmを上回る場合、つまり黄色や赤色の波長領域とされる場合には、やはり十分な輝度が得られなくなるおそれがあり、また黄色の着色部を含むカラーフィルタを備える液晶パネルに対応してLEDの色度を調整するのが極めて困難になるおそれがある。その点、上記したようにYAG系蛍光体として主発光波長が緑色の波長領域に存するものを用いることで、色度調整を容易なものとしつつも高い輝度及び色再現性を得ることができるのである。
(7)上記した(6)では、YAG系蛍光体の主発光波長が、500nm〜570nmの範囲に存在する設定としたものを示したが、例えば、主発光波長が、570nm〜600nmの範囲、つまり黄色の波長領域に存在するYAG系蛍光体を用いることも可能である。
(8)上記した実施形態1では、赤色蛍光体としてカズン(CaAlSiN3:Eu)を用いたものを示したが、他のカズン系蛍光体を用いることも可能である。また、赤色蛍光体としてカズン系蛍光体以外のものを用いることも可能である。
(9)上記した実施形態1では、比較実験2の実施例3〜5,7〜9において、青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部の膜厚に対する赤色の着色部の膜厚の比率(膜厚比率)が、142.8〜214.3%の範囲とされるものを示したが、膜厚比率が142.8%を下回る設定や、214.3%を上回る設定とすることも勿論可能である。但し、その場合でも上記膜厚比率が250%を下回る設定とするのが好ましい。仮に上記膜厚比率を250%よりも大きくすると、両基板間に形成される静電容量が青色を呈する着色部及び緑色を呈する着色部と、赤色を呈する着色部とで大きく乖離し過ぎることとなるため、両基板間に設けられる液晶層の光学特性を電界印加によって適切に制御できなくなるおそれがある。従って、上記膜厚比率を250%以下の大きさとすることで、両基板間に設けられる液晶層の光学特性を電界印加によって適切に制御できるとともに、高い色再現性を得ることができる。
(10)上記した実施形態1では、LEDチップの主発光波長を451nmとした場合を示したが、主発光波長が451nmよりも長波長側にシフトしたものや、451nmよりも短波長側にシフトしたものも本発明に含まれる。その場合でも、LEDチップの主発光波長を、420nm〜500nmの範囲で設定するのが好ましい。このようなLEDチップを有するLEDは、青色光を極めて高い効率でもって発することができるので、光の三原色に加えて黄色の着色部を有する液晶パネルにおける表示画像の色度を補正するにあたり、LEDの色度を黄色の補色である青色味を帯びた光に調整するに際しても、輝度が低下し難く、もって高い輝度を維持することができる。
(11)上記した実施形態1と実施形態2とを組み合わせて、赤色の着色部の膜厚と顔料濃度とを共に他の着色部とは異ならせる設定とすることも可能である。
(12)上記した実施形態1では、カラーフィルタの着色部が顔料を含有するものを示したが、染料を含有する着色部からなるカラーフィルタを設けたものも本発明に含まれる。その場合、実施形態2と同様に、赤色の着色部に含まれる染料の濃度(染料濃度)を他の着色部とは異ならせるとともに、全着色部の膜厚を均一に揃える設定とすることも勿論可能である。
(13)上記した実施形態1では、カラーフィルタは、出射光における青色、赤色、緑色、及び黄色を呈する各着色部の色度が、いずれもCIE1931色度図とCIE1976色度図との双方において、NTSC規格に係るNTSC色度領域とEBU規格に係るEBU色度領域との共通領域外に存する構成とされるものを示したが、各着色部の色度が、CIE1931色度図とCIE1976色度図とのいずれか一方においてのみ、共通領域外に存する構成とすることも可能である。
(14)上記した実施形態1では、LED基板(LED)がシャーシ(導光部材)における両長辺側の端部に一対配されるものを示したが、例えばLED基板(LED)がシャーシ(導光部材)における両短辺側の端部に一対配されるものも本発明に含まれる。
(15)上記した(14)以外にも、LED基板(LED)をシャーシ(導光部材)における両長辺及び両短辺の各端部に対して一対ずつ配したものや、逆にLED基板(LED)をシャーシ(導光部材)における一方の長辺または一方の短辺の端部に対してのみ1つ配したものも本発明に含まれる。
(16)上記した各実施形態では、液晶パネル及びシャーシがその短辺方向を鉛直方向と一致させた縦置き状態とされるものを例示したが、液晶パネル及びシャーシがその長辺方向を鉛直方向と一致させた縦置き状態とされるものも本発明に含まれる。
(17)上記した各実施形態では、液晶表示装置のスイッチング素子としてTFTを用いたが、TFT以外のスイッチング素子(例えば薄膜ダイオード(TFD))を用いた液晶表示装置にも適用可能であり、カラー表示する液晶表示装置以外にも、白黒表示する液晶表示装置にも適用可能である。
(18)上記した各実施形態では、表示パネルとして液晶パネルを用いた液晶表示装置を例示したが、他の種類の表示パネルを用いた表示装置にも本発明は適用可能である。
(19)上記した各実施形態では、チューナーを備えたテレビ受信装置を例示したが、チューナーを備えない表示装置にも本発明は適用可能である。