JPWO2011027433A1 - 管ねじ継手用プロテクタ - Google Patents

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Abstract

少なくともピンとボックスの一方が固体潤滑被膜により潤滑処理されている管ねじ継手のピンまたはボックスに装着した場合に、ねじ継手のねじ部の固体潤滑被膜の損傷が防止されるプロテクタは、内周面または外周面には保護すべきピンまたはボックスに設けたねじ部の少なくとも一部、好ましくは3〜5山の完全ねじ山と螺合するねじ部を備えた筒状体からなる。プロテクタのねじ部のねじ山高さH1と、それが装着されるピンまたはボックスの完全ねじのねじ山高さH2とが、H1>H2を満たし、かつH1とH2の差[=H1−H2]が、該ピンまたはボックスのねじ部を被覆する固体潤滑被膜のねじ山頂部での最大被膜厚みより大きい。

Description

本発明は、管ねじ継手、特に油井管(oil country tubular goods, OCTG)を締結するための管ねじ継手を使用時まで保護するためのプロテクタに関する。本発明のプロテクタは、油井管の締結前に現場で粘稠液状潤滑剤をねじ継手に塗布する必要のない、予め固体潤滑被膜により潤滑が施されている管ねじ継手を保護するためのものである。
原油やガス油の採掘に用いるチュービングやケーシングといった油井管は、管ねじ継手により接続される。油井管の締結に使用される典型的な管ねじ継手はピン−ボックス構造をとる。ピンは雄ねじを有する継手要素で、ボックスは雌ねじを有する継手要素である。典型的には、ピンは油井管として用いられる鋼管の端部に、ボックスは別部材であるカップリングの内周面に形成される。気密性に優れた特殊ねじ継手では、ピンの雄ねじの先端と、ボックスの雌ねじの基部には、それぞれねじ無し金属接触部が形成されている。油井管の一端をカップリングに挿入し、雄ねじと雌ねじとを螺合させ、ねじ無し金属接触部同士を当接させてメタルシール部を形成することにより、優れた気密性が得られる。
図1は、出荷時の油井管用鋼管とねじ継手部品の状態を示す典型的なねじ継手の組み立て構成を模式的に示す。鋼管Aの両端には外周面に雄ねじ部3aを有するピン1が形成され、カップリングBの両側には、内周面に雌ねじ部3bを有するボックス2が形成されている。鋼管Aの一端には予めカップリングBが締付けられている。このように、カップリング形式の管ねじ継手は、通常は鋼管にカップリングが締付けられた状態で出荷される。
図示していないが、締付けに利用されていない鋼管Aのピンとねじ継手部品Bのボックスには、ねじ継手を発錆、傷つき、異物侵入などから保護するために、出荷前にそれぞれプロテクタが装着され、使用前にそれが取り外される。
プロテクタは、典型的には一端が閉鎖し、他端が開口した、通常は樹脂製または金属で補強された樹脂製の短い筒状体からなり、開口端部を前方に向けてねじ継手に装着される。ただし、両端とも開口しているプロテクタもある。ピン用のプロテクタはその内周面にピンの雄ねじと螺合する雌ねじを備え、ボックス用のプロテクタはその外周面にボックスの雌ねじと螺合する雄ねじを備え、ねじ螺合によってプロテクタがねじ継手に固定される。この時、出荷後の輸送または取り扱い中に衝撃を受けてもプロテクタが脱落しないように、プロテクタとねじ継手のねじ部は干渉するまで十分に締付ける必要がある。プロテクタはねじ部も含めて、通常は射出成形により製造され、従ってねじ部は樹脂から形成される。
油井管の締結時には、耐焼付き性と気密性の向上を図るために「コンパウンドグリス」または「ドープ」と呼ばれる重金属粉を含有する粘稠液状潤滑剤がねじ継手の接触表面(ねじ部とねじ無し金属接触部)に現場で塗布されてきた。API規格BUL 5A2にそのようなコンパウンドグリスが規定されている。コンパウンドグリスはまた、塗布された接触表面の発錆を防止するという防食機能も発揮する。
プロテクタをねじ継手のピンまたはボックスに装着する場合にも、コンパウンドグリスまたは他のグリス状潤滑剤(例えば、重金属粉を含有しない「グリーンドープ」と呼ばれる潤滑剤)が使用されてきた。ねじ継手とプロテクタとの間の隙間をグリス状潤滑剤で充填することができるため、プロテクタに特にシール機構を設けなくても、ねじ継手の接触表面が外部から遮断され、防錆および異物侵入防止機能が発揮される。
しかし、近年、地球規模で環境に対する規制が強化され、人体や生物に悪影響を及ぼす可能性のある重金属粉を多量に含有するコンパウンドグリスを使用せずに締結可能で、さらに作業環境の効率化のために現場での潤滑処理が不要な管ねじ継手が求められている。
そのような管ねじ継手の代表例は、例えば、下記特許文献1に提案されているような、潤滑性粉末(例、二硫化モリブデン、黒鉛)を樹脂中に分散させた固体潤滑被膜でピン及び/又はボックスの接触表面を被覆したものである。
下記特許文献2には、ピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面が、粘稠液体または半固体の潤滑被膜と、その上に形成された乾燥固体被膜とからなる2層被膜で被覆されている管ねじ継手が開示されている。乾燥固体被膜は、アクリル樹脂などの熱硬化型樹脂被膜または紫外線硬化型樹脂被膜から形成しうる。
下記特許文献3には、塑性もしくは粘塑性型のレオロジー挙動(流動特性)を示す固体マトリックス中に潤滑性粉末を分散させてなる、べたつきのない薄い潤滑被膜を、ピンおよびボックスのねじ部表面に形成した管ねじ継手が開示されている。マトリックスは好ましくは融点が80〜320℃の範囲内であり、溶融状態でのスプレイ塗布(ホットメルトスプレイ法)、粉末を用いた溶射、あるいは水性エマルジョンのスプレイ塗布により形成される。
下記特許文献4には、ピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面が、潤滑性粉末と結合剤とを含む固体潤滑被膜と、その上に形成された固体粒子を含有しない固体防食被膜とからなる2層被膜で被覆されている管ねじ継手が開示されている。
このような潤滑被膜、特に固体潤滑被膜を形成した、コンパウンドグリスを使用せずに締結されるねじ継手に装着されるプロテクタは、同様に、グリス状潤滑剤を使用せずにピンまたはボックスに装着されることが望ましい。この場合、グリス状潤滑剤によるシールが得られないので、プロテクタにシール性を付与する必要がある。この点についても従来技術にいくつか提案がある。
例えば、下記特許文献5には、弾性のある環状凸状体からなるシール部をプロテクタのピンまたはボックスと相対する表面の少なくとも一方の端部付近に設けてシール性を付与した、管ねじ継手のプロテクタが開示されている。
下記特許文献6には、ピン用のプロテクタであって、プロテクタ本体の開口端を覆って開口内に突出するシール部材を設けたプロテクタが提案されている。この特許文献の段落0021には、ねじ継手のねじ部に施されたコーティングへの影響を最小限にするために、ピンのねじ部のうち、最先端から遠い部分の一部のねじ山だけに係合するように設計することが記載されている。
下記特許文献7には、ボックス用のプロテクタに対しては、そのねじ山高さをボックスのねじ山より高く、ピン用のプロテクタに対しては、そのねじ山高さをピンのねじ山より低くすることが記載されている。
特開平9−72467号公報 WO2006/104251号公報 WO2007/042231号公報 WO2006/75774号公報 特開2003−240188号公報 WO2005/024282号公報 US2005/0242587号公報
ピン及び/又はボックスの接触表面が固体潤滑被膜で被覆されていて、グリス潤滑剤を塗布せずに締結するように設計された管ねじ継手に対して、グリス状潤滑剤を塗布せずにそのプロテクタを装着し、次いでプロテクタを取り外して管ねじ継手の接触表面を検査すると、ねじ継手のねじ部において、プロテクタのねじ山と螺合したねじ山から固体潤滑被膜が剥離し、素地が露出するという現象が頻発することが判明した。この固体潤滑被膜の剥離は、特にねじ継手のねじ部のねじ山頂部に顕著であり、ねじ山の谷底部では固体潤滑被膜がほぼ健全であった。
プロテクタの装着によって管ねじ継手のねじ部を被覆していた固体潤滑被膜が部分的にせよ剥離してしまうと、管ねじ継手の締結時に潤滑が十分に得られず、焼付きが発生しやすくなる。特に、ピンまたはボックスの一方だけに固体潤滑被膜が被覆されている場合には、焼付きがより起こりやすくなる。
また、固体潤滑被膜は防食性能も担っているので、固体潤滑被膜が失われたねじ山では発錆が起こり易くなる。締結状態のねじ継手では、外気に対するシールは完全ではない上、螺合したねじ部の雄ねじと雌ねじの挿入面間に隙間があるので、被膜が剥離して素地が露出すると、錆に対して無防備となる。締結状態でねじ部に錆が発生すると、検査等のために油井管を引き上げる際にねじ継手の緩めを阻害し、また再締付け時に焼付きの原因となる。
ねじ継手に施された被膜が固体防食被膜である場合にも、プロテクタとの干渉によりねじ部の固体防食被膜が剥離すると、錆発生が起こり易くなる。
さらに、固体潤滑被膜または固体防食被膜が剥離して素地が露出した部分は、健全な被膜が残っている部分と肉眼ではっきり識別できるため、被膜剥離はプロテクタを外したときに目立ち、ユーザに品質上の不安を抱かせる。
本発明は、少なくともピンまたはボックスの一方が固体潤滑被膜により潤滑処理されていて、潤滑剤、特にコンパウンドグリスのような粘稠液状潤滑剤を現場で塗布せずに締結に使用されるねじ継手のピンまたはボックスを保護するためのプロテクタであって、プロテクタの装着により生ずるねじ継手の固体潤滑被膜の損傷が、ねじ継手の耐焼付き性や防食性を実質的に低下させることのないように最小限に抑えられたプロテクタを提供することを課題とする。
本発明者らは、管ねじ継手のねじ部を被覆する固体潤滑被膜の厚みがねじ山の軸方向断面において均一ではないことに着目した。即ち、固体潤滑被膜は一般に液状の被覆組成物をねじ継手の表面に塗布し、乾燥、加熱、冷却、紫外線照射などによって被膜を固化させることにより形成される。そのため、ねじ部に形成された固体潤滑被膜は、図2に模式的に示すように、ねじ山頂部51では中央部51aが厚く、両端ほど薄くなるように被膜厚みが軸方向に変化し、ねじ山頂部51の角51bでは被膜厚みが極めて薄くなる。角には液状の被覆組成物が付着しにくいことと、被膜固化時に多くの場合は被膜の収縮が起こることが、このような被膜厚み分布の原因であると考えられる。ねじ山の頂部の角にはチャンファが設けられることがあるが、チャンファがあっても、固体潤滑被膜(15,35)の被膜厚みが最少となるのは、ねじ山頂部51の両側の角の部分51bである。一方、液がたまるねじ山の谷底部52では被膜厚みは角で最大となるが、頂部51のような被膜厚みの軸方向の変動は少ない。図中、53は挿入面、54は荷重面である。
プロテクタの装着時に管ねじ継手のねじ部の特にねじ山頂部において固体潤滑被膜が剥離しやすい理由として、ねじ山頂部ではその角の固体潤滑被膜が非常に薄く、プロテクタのねじ部との接触によってまず角から固体潤滑被膜が剥離し、その後にプロテクタのねじ部と干渉した時にねじ山頂部の全体から固体潤滑被膜が剥離してしまうのではないかと推測された。
そこで、プロテクタのねじ部のねじ山形状を、管ねじ継手のねじ部のねじ山頂部との接触を避け、管ねじ継手のねじ部のねじ谷底部で主に接触させる形状とすることにより、プロテクタの装着による管ねじ継手のねじ部の固体潤滑被膜の剥離が防止され、プロテクタを取り外した後の管ねじ継手の耐焼付き性が著しく改善されることが判明した。
本発明は、少なくともねじ部の表面が固体潤滑被膜で被覆されている、ピン−ボックス構造の管ねじ継手のピンまたはボックスを保護するための管ねじ継手用プロテクタに関する。このプロテクタは、内周面または外周面に保護すべきピンまたはボックスに設けたねじ部の少なくとも一部の完全ねじ山と螺合するねじ部を備えた筒状体からなる。
プロテクタを構成する筒状体は、ボックスまたはピンに装着した時に外部に露出する手前側(締め付け方向において後方側)端面が閉鎖されているタイプであっても、開口しているタイプであってもよい。閉鎖タイプのプロテクタは、閉鎖部を取り外し可能なフタ状のものとし、プロテクタを取り外さなくても、フタを外すことによりピンまたはボックスである管状体の内部観察またはドリフトテストが可能なものとしてもよい。
プロテクタは、それが保護すべきピンまたはボックスに螺合により装着した時に、プロテクタの先端(前方端部)およびピンまたはボックスの先端の位置にそれぞれシールが形成されるようにシール部を有することが好ましい
本発明に係る管ねじ継手用プロテクタは、プロテクタのねじ部のねじ山高さH1と、保護すべきピンまたはボックスの完全ねじのねじ山高さH2とが、H1>H2を満たし、かつH1とH2の差[=H1−H2]が、このプロテクタが保護すべきピンまたはボックスのねじ部を被覆する固体潤滑被膜のねじ山頂部での最大被膜厚みより大きいことを特徴とする。
ここで、固体潤滑被膜のねじ山頂部での最大被膜厚みは、図2にtで示すように、通常はねじ山頂部の軸方向中央部における固体潤滑被膜の厚みである。ねじ継手(ピンまたはボックス)およびプロテクタのねじ部がテーパねじであって、各ねじ山においてねじ山高さが継手軸方向に変化する場合には、H1およびH2はねじ山の軸方向中央位置におけるねじ山高さとする。
本発明に係る管ねじ継手用プロテクタの好適態様を列挙すれば次の通りである:
・プロテクタのねじ部の山数が3〜5の範囲内である;
・プロテクタのねじ部がピンまたはボックスの完全ねじ部と対向するプロテクタ表面において、プロテクタの後方端部に最も近い位置に配置される;
・H1とH2の差が10〜1000μmの範囲内である;
・プロテクタのねじ部のねじ山幅が、これが保護するピンまたはボックスのねじ部の完全ねじ山のねじ溝幅の0.5〜0.75倍である。
・プロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角が実質的に垂直(−2°〜+2°の範囲内)である。
・ピンまたはボックスのねじ部の完全ねじ山のロードフランク角αが負角であって、かつプロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角βがαに実質的に等しいか、またはそれより小さい。
ここで、プロテクタの「後方端部」とは、プロテクタの締付け方向において後方側のプロテクタ端部を意味する。反対に、その「前方端部」は、プロテクタの締付け方向において前方側のプロテクタ端部を意味する。
本発明の管ねじ継手用プロテクタは、ピンおよびボックスが締結時に互いに当接するトルクショルダ面を有し、これらのトルクショルダ面が、ピン先端のトルクショルダ面が管外側から中心に向かって後退する向きに、管軸垂直方向に対して互いに同じ角度で傾斜している傾斜面を有している管ねじ継手を保護するプロテクタであることが好ましい。
このトルクショルダ面を有するプロテクタがボックスを保護するためのものである場合、プロテクタの前方端部の端面がピンのトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有する傾斜面であって、この傾斜面がボックスのトルクショルダ面における傾斜面と密着して、ボックスの基部に第1シール部を構成することが好ましい。
上記トルクショルダ面を有するプロテクタがピンを保護するためのものである場合、プロテクタの後方端部内面に、前記ピン先端のトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有し、このピン先端が当接することができる傾斜面を有し、この傾斜面がピンのトルクショルダ面における傾斜面と密着して第1シール部を構成することが好ましい。
本発明の管ねじ継手用プロテクタは、ねじ継手の上記第1シール部とは軸方向反対側の位置に、第2のシール部を有することが好ましい。
具体的には、ボックスを保護するためのプロテクタでは、これをボックスに装着した時にボックス先端に突き当たってシールを形成する第2シール部をプロテクタの後方端部付近の外面に有することが好ましい。この第2シール部は、プロテクタの外面に装着した弾性シールリングから構成してもよい。
ピンを保護するためのプロテクタでは、これをピンと螺合させた時にピンの外周面と密着して第2シールを構成する弾性シールリングをプロテクタの前方開口端部に有することが好ましい。
本発明のプロテクタにより保護される管ねじ継手は、液状の被覆組成物を塗布した後、乾燥、加熱、冷却または紫外線照射により固化された固体潤滑被膜によってねじ部が被覆されている管ねじ継手のピンまたはボックスを保護するのに好適である。
本発明のプロテクタにより保護される管ねじ継手は、ピンとボックスの両方のねじ部が固体潤滑被膜で被覆されているものでよい。その場合には、ピンとボックスの両方のプロテクタを本発明に係るものとすることが好ましい。
本発明のプロテクタは、ピンとボックスの一方のみのねじ部が固体潤滑被膜で被覆されている管ねじ継手にも使用できる。固体潤滑被膜がピンかボックスの一方だけに形成されている場合であっても、その固体潤滑被膜が健全であれば、グリス状潤滑剤を塗布せずに締結することができる。潤滑剤はピンとボックスのねじ部の隙間に供給されればよく、ピンかボックスの一方の部材から供給するだけでも十分である。その場合、固体潤滑被膜を有しない他方の部材のねじ部、好ましくはねじ無し金属接触部やトルクショルダ面も含む表面全体を、固体防食被膜で被覆して、発錆を防止することが好まれる。この場合、固体潤滑被膜をボックスのねじ部に適用し、ピンのねじ部に固体防食被膜を適用することが好まれる。
特に、ピンまたはボックスの一方だけ、好ましくはボックスのねじ部に固体潤滑被膜を被覆する場合、固体潤滑被膜は塑性または粘塑性レオロジー特性を有するバインダ中に潤滑性粉末を含有する被膜であることが好まれる。このような固体潤滑被膜は、バインダが溶融状態である組成物からのスプレイ塗布により形成された、ホットメルト型の被膜であることが好まれる。この場合、ピンのねじ部を被覆する固体防食被膜は、紫外線硬化樹脂をバインダとする被膜とすることが好まれる。
本発明によれば、少なくともピンまたはボックスの一方が固体潤滑被膜により潤滑処理されていて、コンパウンドグリスのような粘稠液状潤滑剤を現場で塗布せずに締結に使用されるねじ継手のピンまたはボックスを保護するためのプロテクタを装着することによるねじ継手のねじ部における固体潤滑被膜の損傷が、ねじ継手の耐焼付き性や防食性を実質的に低下させることのないように、最小限に抑えられる。
また、第1および第2シール部をプロテクタに適切に配置することにより、プロテクタ装着によって、ねじ部を含むねじ継手の接触表面を外部から遮断することができ、ねじ継手の接触表面は、異物や雨水の侵入が防止され、発錆が起こりにくくなる。
また、ピンおよびボックスが締結時に互いに当接するトルクショルダ面を有する場合、プロテクタの端面の形状をトルクショルダ面に合わせた形状とすることにより、ピンまたはボックスと螺合するプロテクタのねじ部のねじ山数が少ない場合でも、プロテクタをピンまたはボックスの管軸に合わせ、ピンまたはボックスにプロテクタを容易に装着できる。
鋼管出荷時の鋼管とねじ継手部品の組み立て構成を模式的に示す。 ボックスまたはピンのねじ山上に形成された固体潤滑被膜の継手軸方向における断面を模式的に示す説明図。 図3(A)は、本発明に係るプロテクタを装着したボックスを模式的に示す軸方向断面図、図3(B)はプロテクタのねじ部と螺合したボックス完全ねじの一部を模式的に示す軸方向断面図。 図4(A)〜(C)は、ボックス用プロテクタのねじ部と螺合したボックスねじ部の一部を模式的に示す軸方向断面図である。 図5(A)は、本発明に係るプロテクタを装着したピンを模式的に示す軸方向断面図、図5(B)はプロテクタのねじ部と螺合したピンの完全ねじの一部を模式的に示す軸方向断面図。 図6(A)および(B)は、ピン用プロテクタのねじ部と螺合したピンねじ部の一部を模式的に示す軸方向断面図である。 本発明に係る別の態様のプロテクタを装着したボックスを模式的に示す軸方向断面図。
A:鋼管;B:カップリング;1:ピン;2:ボックス;3a:雄ねじ部;3b:雌ねじ部;11:ボックス、12:ねじ部、13:ねじ無し金属接触部、14:トルクショルダ面、15:固体潤滑被膜、21:ボックス用プロテクタ、22:ねじ部、26:第1シール部、27:第2シール部、28:シールリング、31:ピン、32:ねじ部、33:ねじ無し金属接触部:34:トルクショルダ面、35:固体潤滑被膜、41:ピン用プロテクタ、42:ねじ部、46:第1シール部、47:第2シール部、48:シールリング、49:環状みぞ
以下、本発明をその好適態様に基づいて、添付図面を参照しながら、説明する。
本発明に係る管ねじ継手用プロテクタは、図1に示すようなカップリング方式の管ねじ継手と、鋼管の一端をピン、他端をボックスとしたインテグラル方式の管ねじ継手のいずれにも適用することができる。カップリング方式のねじ継手は、典型的には鋼管の端部の外周面をピンとし、カップリングの内周面をボックスとするが、その反対の組み合わせとすることも可能である。
また、以下の説明では、テーパねじ部に加えてねじ無し金属接触部を有する、気密性に優れた特殊ねじ継手に装着されるプロテクタについて本発明を説明するが、管ねじ継手のねじ部はテーパねじでなくてもよく、またねじ無し金属接触部を有していない管ねじ継手に本発明のプロテクタを適用することもできる。さらに、管ねじ継手のねじ山形状も特に制限されない。API規格に従ったバットレスねじ(台形ねじ)でも、ねじ山のロードフランク角(荷重面の角度)が負の値をとる、いわゆるフックねじでもよい。
以下の説明では、プロテクタはその後方端部が閉鎖したタイプのものを例にとって説明するが、前述したように、プロテクタを構成する筒状体は、両端が開口していてもよい。また、後方端部が閉鎖されているタイプのプロテクタであっても、取り外し可能なフタで閉鎖されていてもよい。
図3(A)は、本発明に係るボックス用のプロテクタを装着した管ねじ継手のボックスを模式的に示す軸方向断面図である、図3(B)はプロテクタのねじ部と螺合したボックスねじ部の一部を模式的に示す軸方向断面図である。図中、11はボックス、21はボックス用プロテクタである。
ボックス11は、先端付近に雌ねじからなるねじ部12、その奥にねじ無し金属接触部13、最も奥にはトルクショルダ面14を有する。ボックスのこれらの部位は、ねじ継手を締結した時にピンの対応部位と接触する接触表面となる。ねじ部12に形成されている雌ねじ山はすべてが完全ねじであってもよいが、ねじ部12の一方または両方の端部付近のねじ山は不完全ねじとすることもある。
図示例では、ボックス11のトルクショルダ面14は、ピン先端に設けたトルクショルダ面が当接するようにボックス内面の位置に設けられる。トルクショルダ面は、ボックスの端面の位置、あるいはピン先端位置とボックス先端位置の両者に設けることも可能である。図示例では、ボックス11のトルクショルダ面14は、継手軸方向に対して垂直面から構成されるのではなく、継手中心に向かってボックス先端側に突き出た傾斜面から構成される。このようなトルクショルダ面14に対し、ボックス用プロテクタ21の先端のショルダ面26の形状を工夫することにより、プロテクタの固定性やシール性を良好にすることができる。
図3(A)には示されていないが、ボックスの少なくともねじ部、好ましくはその接触表面全体は固体潤滑被膜(図3(B)の15)で被覆されている。ボックスがカップリング内周面に形成されている最も一般的な管ねじ継手の場合、通常はカップリングの内周面全体と端面が固体潤滑被膜で被覆される。この固体潤滑被膜15のボックスねじ部12での被膜厚みは、前述し、かつ図3(B)にも模式的に示すように、ねじ山の谷底部より頂部において相対的に小さくなり、特に頂部の両側の角の被膜厚みは極めて小さい。
ボックス11の内部にねじにより装着されるように設計されたボックス用のプロテクタ21は、図示例にあっては、一端が閉鎖し、他端が開口している筒状体からなり、その外周面にボックスのねじ部の雌ねじ山と螺合する雄ねじを有するねじ部22を有する。ボックス用プロテクタは、典型的には樹脂製の筒状体であり、外周面のねじ部も含めて、樹脂の射出成形により製造される。補強のために、この樹脂製筒状体の内部に両端が開口している金属筒状体を嵌装することが多い。
プロテクタ21の外周面は、このねじ部22と後述するシール面とを除いて、ボックス表面(カップリング内面)とは接触しないような形状に設計することが好ましい。特に、ボックスのねじ無し金属接触部13との接触が確実に防止されるように、ねじ無し金属接触部13とプロテクタとの対向部位との隙間を大きくすることが好ましい。
プロテクタのねじ部22のねじ山数は、ボックスの完全ねじのねじ山全部と螺合するようにボックスの完全ねじ山数と同じにしてもよい。この場合、プロテクタのねじ部22は、ボックスねじ部12の完全ねじと対向するプロテクタ表面部分の全体に延設されることになる。
しかし、プロテクタのねじ部の役割は、プロテクタをねじ継手(本実施態様ではボックス)の所定位置に固定し、かつ油井管用鋼管が輸送や取扱い中に衝撃を受けた場合にプロテクタがねじ継手から脱落するのを防止することであり、極めて高い内外圧を常時受ける管ねじ継手のねじ部のような厳しいねじ締結力を必要としない。そのため、好適態様にあっては、プロテクタのねじ部のねじ山数は、プロテクタの固定と脱落防止に最低限必要な数にとどめる。そのようなねじ山数は3〜5であり、好ましくは3〜4、最も好ましくは3である。ねじ山数が2ではねじ締結のぐらつきを生ずる。
この場合、プロテクタのねじ部は、図3(A)に示すように、前記ねじ部がボックスの完全ねじ部と対向するプロテクタ表面部分において閉鎖端部(後方端部)に最も近い位置、即ち、プロテクタの装着方向における最後部、に配置することが好ましい。それにより、プロテクタのねじ山と干渉するボックスの完全ねじ山は、その開口端部に最も近い部分のねじ山だけに限られるので、プロテクタのねじ山との干渉に起因するボックスのねじ部の固体潤滑被膜の損傷を最小限にとどめることができる。
本発明にあっては、プロテクタのねじ部のねじ山高さH1と、これが保護すべきボックスの完全ねじのねじ山高さH2とが、H1>H2を満たし、かつH1とH2の差[=H1−H2]が、ボックスのねじ部を被覆する固体潤滑被膜15のねじ山頂部での最大被膜厚みtより大きい。好ましくは、H1とH2の差は10〜1000μmの範囲内とする。より好ましくは、この差は、tの1.5〜3倍程度とする。
H1とH2が上述した条件を満たすことにより、図3(B)に示すように、プロテクタ21をボックス11に装着して、両者のねじ部12、22を干渉させた時に、プロテクタのねじ山頂部22Aはボックスのねじ山の谷底部12Bと干渉するが、ボックスのねじ山頂部12Aを被覆する固体潤滑被膜15とプロテクタのねじ山の谷底部22Bとの間には隙間が残り、固体潤滑被膜15がプロテクタのねじ山と接触して損傷することが避けられる。
H1=H2であるか、H1<H2であると、ボックスねじ山の頂部がプロテクタのねじ山谷底部と干渉し、その際に、ねじ山どうしの継手軸方向の相対移動も伴うため、特に被膜厚みの小さいねじ山の頂部から固体潤滑被膜の剥離が始まり、最終的にねじ山頂部の固体潤滑被膜が完全に剥離してしまうことが起こりうる。
本発明のプロテクタの場合、プロテクタ21のねじ部22のねじ山頂部がボックス11のねじ部12のねじ山谷底部と干渉するため、このボックスねじ山谷底部の固体潤滑被膜の損傷は避けられない。しかし、前述したように、ねじ山谷底部の固体潤滑被膜の被膜厚みはねじ山頂部の被膜厚みより相対的に大きく、特に谷底部の角において大きくなる。そのため、ボックスのねじ山谷底部の好ましくは、プロテクタのねじ山と干渉しても、被膜が完全に剥離することは起こりにくく、被膜が部分的には残る。また、干渉で押しやられた固体潤滑被膜がボックスねじ山の側面に移動することもある。そのため、ピンとの締結時にグリス状潤滑剤を塗布しなくても、ねじ山谷底部に残った固体潤滑被膜や側面から回り込んだ固体潤滑被膜によって、ボックスねじ山谷底部についても十分な潤滑性が付与される。もちろん、ボックスねじ山の頂部には健全な固体潤滑被膜が存在する。つまり、ピンには特別に潤滑処理(例、固体潤滑被膜による被覆)が施されていなくても、ボックスの固体潤滑被膜だけで、プロテクタの取り外し後も管ねじ継手の締結時の焼付きを防止することができる。
ボックス11のねじ部12におけるねじ山側面の固体潤滑被膜のプロテクタによる損傷を可及的に少なくするために、プロテクタ21のねじ部22のねじ山幅L2は、これが保護するボックス11のねじ部12の完全ねじ山のねじ溝幅L1の0.5〜0.75倍とすることが好ましい。それにより、図3(B)に示すように、ボックスねじ部がプロテクタによる圧縮力または引張力を受けても、ねじ山の両側面のうち一方の側面の固体潤滑被膜はプロテクタのねじ山との接触が避けられ、傷つきにくくなる。L2が小さくなりすぎると、ねじ締結力が不十分となる。
図4(A)〜(C)はボックス用プロテクタのねじ部と螺合したボックスねじ部の完全ねじ山の一部を模式的に示す軸方向断面図である。図中、11はボックス、21はボックス用プロテクタである。図4(A)〜(C)において、ボックス11のねじ部は、ねじ山のロードフランク角(荷重面角度)が負角である、互いに同一のフックねじ形状を有する。一方、プロテクタ21のねじ部は、そのねじ山のロードフランク角が、図4(A)では負角、図4(B)では垂直(0°)、図4(C)では正角と、互いに異なる。プロテクタねじ部のねじ山のスタビングフランク角(挿入面角度)は垂直(0°)である。
ボックスねじ部のねじ山のロードフランク角αは、ほぼ垂直、すなわち−3°〜+3°の範囲内とされることが多い。その場合、プロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角は、実質的に垂直(−2°〜+2°)とするのが好ましい。それにより、プロテクタをボックスに装着した後のボックスねじ部とプロテクタねじ部のロードフランク面(荷重面)での接触を安定させることができる。したがって、プロテクタのねじ部のねじ山数が3〜5と少ない場合でも、プロテクタのボックスへの装着が安定する。
一方、ボックスのねじ部のねじ山が、ロードフランク角αが負角フックねじ形状を有する場合、プロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角βは、αに実質的に等しい(α±2°の範囲内である)か、それより小さくするのが好ましい。例えば、ボックスねじ部のαが−3°の場合、プロテクタのねじ山のロードフランク角βが−1〜−5°であれば、αと実質的に等しい。その結果、上記のように、プロテクタのボックスへの装着が安定する。
さらに、プロテクタのロードフランク角βがαより小さい(αが−3°の場合で、βが−5°よりさらに小さく、例えば−8°である)と、ロードフランク面での接触が、ボックスのねじ部のねじ山谷底の角部に集中するか、またはねじ山谷底角部のみとすることができる。その結果、プロテクタのねじ山のボックスのねじ部への接触領域がより限定され、ボックスねじ部頂部の固体潤滑被膜を保護することができる。
ボックス用のプロテクタは、後述するように、その閉鎖端部(後方端部)と開口端部(前方端部)付近とに、保護すべきボックスに螺合により装着した時にこのボックスの表面と密着することができるそれぞれ第1シール部26および第2シール部27を有することが好ましい。
図5(A)は、本発明に係るピン用のプロテクタを装着した管ねじ継手のピンを模式的に示す軸方向断面図である、図5(B)はプロテクタのねじ部と螺合したピンねじ部の一部を模式的に示す軸方向断面図である。図中、31はピン、41はピン用プロテクタである。
ピン31は、その基部側に雄ねじからなるねじ部32、先端の端面にトルクショルダ面34を有し、ねじ部とトルクショルダ面との間にねじ無し金属接触部33を有する。ピンのこれらの部位は、ねじ継手を締結した時にボックスの対応部位と接触する接触表面となる。ねじ部32に形成されている雌ねじ山はすべてが完全ねじであってもよいが、ねじ部32の一方または両方の端部付近のねじ山は不完全ねじとすることもある。
ピン先端の端面の少なくとも一部から構成されるトルクショルダ面34は、管外側から中心に向かって後退する向きに、管軸垂直方向に対して傾斜している傾斜面から構成される。そのため、前述したように、ボックス11のトルクショルダ面14も、このピン31のトルクショルダ面34と当接するように、同じ角度の傾斜面から構成される。なお、これらのトルクショルダ面は平面ではなく、一方が凹面、他方が凸面の湾曲面とすることもできる。
図5(A)には示されていないが、ピンの少なくともねじ部、好ましくはその接触表面全体は固体潤滑被膜(図5(B)の35)で被覆されている。ピンが鋼管端部の外周面に形成されている最も一般的な管ねじ継手の場合、通常は鋼管端部の外周面全体と端面が固体潤滑被膜で被覆される。この固体潤滑被膜35のピンねじ部32での被膜厚みは、前述し、図5(B)にも模式的に示すように、ねじ山の谷底部より頂部において相対的に小さくなり、特に頂部の両側の角の被膜厚みは極めて小さい。
図示例においては、ピン31の外面にねじにより装着されるように設計されたピン用のプロテクタ41は、一端が閉鎖し、他端が開口している筒状体からなり、その内周面にピンのねじ部の雄ねじ山と螺合する雌ねじを有するねじ部42を有する。ピン用プロテクタは、典型的には樹脂製筒状体であり、内周面のねじ部も含めて射出成形により製造される。補強のために、この樹脂製筒状体の外部に両端が開口している金属筒状体を嵌装することが多い。
プロテクタ41の内周面は、このねじ部32と後述するシール面とを除いて、ピン表面(鋼管端部の外面)とは接触しないような形状に設計することが好ましい。特に、ピンのねじ無し金属接触部33との接触が確実に防止されるように、ねじ無し金属接触部33とプロテクタとの対向部位との隙間を大きくすることが好ましい。
プロテクタ41のねじ部42のねじ山数は、ピン31の完全ねじのねじ山全部と螺合するようにピンの完全ねじ山数と同じにしてもよい。この場合、プロテクタのねじ部42は、ピンねじ部32の完全ねじと対向するプロテクタ表面部分の全体に延設されることになる。
しかし、ボックス用プロテクタ21について上述したのと同じ理由で、プロテクタ41のねじ部42のねじ山数は、プロテクタの固定と脱落防止に最低限必要な数にとどめることが好ましい。そのようなねじ山数は3〜5であり、好ましくは3〜4、最も好ましくは3である。ねじ山数が2ではねじ締結のぐらつきを生ずる。
この場合、プロテクタ41のねじ部は、図5(A)に示すように、前記ねじ部がピンの完全ねじ部と対向するプロテクタ表面部分において閉鎖端部(後方端部)に最も近い位置、即ち、プロテクタの装着方向における最後部、に配置することが好ましい。それにより、プロテクタのねじ山と干渉するピンの完全ねじ山は、その先端に最も近い部分のねじ山だけに限られ、プロテクタのねじ山との干渉に起因するピンのねじ部の固体潤滑被膜の損傷を最小限にとどめることができる。
本発明にあっては、プロテクタのねじ部のねじ山高さH1と、これが保護すべきピンの完全ねじのねじ山高さH2とが、H1>H2を満たし、かつH1とH2の差[=H1−H2]が、ピンのねじ部を被覆する固体潤滑被膜35のねじ山頂部での最大被膜厚みtより大きい。好ましくは、H1とH2の差は10〜1000μmの範囲内とする。より好ましくは、この差は、tの1.5〜3倍程度とする。
H1とH2が上述した条件を満たすことにより、図5(B)に示すように、プロテクタ41をピン31に装着して、両者のねじ部32、42が干渉した時に、プロテクタのねじ山頂部42Aはピンのねじ山の谷底部32Bと干渉するが、ピンのねじ山頂部32Aを被覆する固体潤滑被膜35とプロテクタのねじ山の谷底部42Bとの間には隙間が残り、固体潤滑被膜35がプロテクタのねじ山と接触して損傷することが避けられる。
ボックス用プロテクタについて述べたように、従来のプロテクタでは、プロテクタをピンに装着し、取り外す時のピンとプロテクタのねじ山の干渉により、ピンねじ山頂部の固体潤滑被膜は完全に剥離してしまうことが往々にして起こる。しかし、本発明のプロテクタでは、プロテクタ41のねじ部42のねじ山頂部がピン31のねじ部32のねじ山谷底部と干渉するものの、この部分の被膜の完全剥離は避けられ、干渉で押しやられた固体潤滑被膜の一部はピンのねじ山の側面に移動する。そのため、ボックスとの締結時にグリス状潤滑剤を塗布しなくても、ねじ山谷底部に残った固体潤滑被膜や側面から回り込んだ固体潤滑被膜によって、ピンねじ山谷底部についても十分な潤滑性が付与される。もちろん、ピンねじ山の頂部には健全な固体潤滑被膜が存在する。つまり、ボックスには特別に潤滑処理(例、固体潤滑被膜による被覆)が施されていなくても、ピンの固体潤滑被膜だけで、プロテクタの取り外し後も管ねじ継手の締結時の焼付きを防止することができる。
ピン31のねじ部32におけるねじ山側面の固体潤滑被膜のプロテクタによる損傷を可及的に少なくするために、プロテクタ41のねじ部42のねじ山幅L2は、これが保護するピン31のねじ部32の完全ねじ山のねじ溝幅L1の0.5〜0.75倍とすることが好ましい。それにより、図5(B)に示すように、ピンねじ部がプロテクタによる圧縮力または引張力を受けても、ねじ山の両側面のうち一方の側面の固体潤滑被膜はプロテクタのねじ山との接触が避けられ、傷つきにくくなる。L2が小さくなりすぎると、ねじ締結力が不十分となる。
図6(A)、6(B)は、ピン用プロテクタのねじ部と螺合したピンねじ部の一部を模式的に示す軸方向断面図である。図中、31はピン、41はピン用プロテクタである。図6(A)および(B)において、ピン31のねじ部は、ねじ山のロードフランク角(荷重面角度)が負角である、互いに同じフックねじ形状を有する。一方、プロテクタ41のねじ部は、そのねじ山のロードフランク角が、図6(A)では負角、図6(B)では垂直(0°)と異なる。プロテクタ41のねじ山のスタビングフランク角(挿入面角度)は垂直(0°)である。
ボックス用プロテクタにおいて説明したのと同様の理由で、プロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角は、実質的に垂直(−2°〜+2°)とするのが、プロテクタの装着の安定化のために好ましい。
ピンのねじ部の完全ねじ山が、そのロードフランク角αが負角であるフックねじ形状のものである場合も、ボックス用プロテクタについて説明したように、プロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角βはαに実質的に等しい負角(α±2°)とするか、それよりさらに小さい負角とするのが好ましい。前者では、プロテクタのねじ山数が3〜5と少ない場合でもプロテクタのピンへの装着を安定させることができる。後者の場合には、プロテクタのねじ山のピンのねじ部への接触領域がより限定され、ピンねじ部頂部の固体潤滑被膜を保護することができる。
次に述べるように、ボックス用プロテクタ21はその閉鎖端部(後方端部)内面と開口端部(前方端部)付近とに、保護すべきボックス11に螺合により装着した時に、このボックスの表面とそれぞれ密着することができる第1シール部26および第2シール部27を有することが好ましい。同様に、ピン用プロテクタ41も、その開口端部付近と閉鎖端部内面とに、保護すべきピン21に螺合により装着した時に、このピンの表面とそれぞれ密着することができる第1シール部46および第2シール部47を有することが好ましい。本発明では、ピンまたはボックスのトルクショルダ面と密着するプロテクタのシール部を第1シール部とし、プロテクタの反対側に設けたピンの外面またはボックスの外面と密着するシール部を第2シール部とする。
ボックス用プロテクタ21の第1シール部26は、図3(A)に示すように、ボックスのトルクショルダ面14の少なくとも一部と当接するシール面から形成される。互いに当接するボックスとピンのトルクショルダ面14、34が前述のように傾斜面から構成される場合、ボックス用プロテクタ21の開口端部の端面をピン31のトルクショルダ面34と同じ傾斜角度を有する傾斜面とすることにより、ボックス11のトルクショルダ面14と密着するシール面となるので、これをプロテクタ21の第1シール部26とする。このようにシール部を傾斜面から構成することにより、このシール面が継手軸方向に対して垂直な面から構成する場合に比べて、プロテクタのシール部のシール性が高まる。
さらに、プロテクタのねじ部のねじ山数が少なくなる、特に3〜5と少なくなるに従い、プロテクタをボックスに装着時、プロテクタがボックスの管軸からずれやすくなり、斜めの状態で固定される恐れが出てくる。しかし、プロテクタの開口端部の端面がボックスのトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有する傾斜面とすることにより、プロテクタの端面がボックスのショルダ面と接触して後、プロテクタが押し込まれるに従い、プロテクタはボックスの管軸に合うように押し込まれる(セルフアライメントされる)ことになる。したがって、プロテクタの開口端部の端面の傾斜角度をボックスのトルクショルダ面と同じ傾斜角度とするのが好ましい。
同様に、ピン用のプロテクタ41においても、図5(A)に示すように、ピン先端に設けた傾斜面からならトルクショルダ面34と同じ傾斜角度を有し、このピン先端が少なくとも部分的に当接することができる傾斜面からなる第1シール部46を、プロテクタの閉鎖端部の内面に有することが好ましい。
ボックス用プロテクタ21の第2シール部27は、プロテクタ21をボックス11に装着した時にボックス11の先端が突き当たることによりシールを形成するものでよい。図3(A)に示すように、この第2シール部27は、プロテクタ本体の閉鎖端部付近の外周面に設けた、ボックスの先端が衝突して当接するシール面であってもよい。より好ましいのは、図7に示すように、プロテクタ21の閉鎖端部付近の外周面に弾性シールリング28を装着し、この弾性体からなる壁面を、ボックス先端が当接する第2シール部27とすることである。それにより、シールの確実性が高まる。図示していないが、シールリング28を固定するために、シールリングの幅よりわずかに狭い幅の環状みぞをプロテクタに設けてもよい。この第2シール部を構成するシール面は、ボックス端面に密着するように設計される。図示例では、ボックス端面は継手軸方向に垂直面であるので、第2シール部27を構成するシール面も垂直面とする。
ピン用プロテクタ41の第2シール部は、図5(A)に示すように、プロテクタ41をピン31と螺合させた時にピン31の外周面と密着する弾性シールリング48をプロテクタ41の開口(前方)端部に装着することにより構成することが好ましい。この目的を達成するため、シールリング48は、プロテクタ41の開口端面を包囲し、かつプロテクタ本体より内面側に突出して、プロテクタ本体の端面付近とピン外周面との間に隙間を残した状態でピン外周面に密着できるようにすることが好ましい。図示例の弾性シールリング48は、プロテクタ本体の外周面の開口端部付近に設けた環状みぞ49にシールリングの一部をはめ込むことにより、プロテクタ本体に固定される。別の固定手段も可能である。
以上のようにプロテクタに第1シール部および第2シール部を設けることにより、プロテクタをピンまたはボックスに装着すると、ボックス用プロテクタではプロテクタの外周面とボックスの内周面との間の隙間、ピン用プロテクタではプロテクタの内周面とピンのの外周面との間の隙間が外部から遮断され、傷つき、発錆、耐焼付き性低下の原因となるこの隙間への異物や雨水の侵入が防止される。
本発明のプロテクタにより保護される管ねじ継手は、上に説明したように、ピンとボックスの一方の部材、例えば、ボックスについて、その少なくともねじ部、好ましくはねじ部、ねじ無し金属接触部およびトルクショルダ面を含む接触表面全体に固体潤滑被膜を有していればよい。
ピン及び/又はボックスの表面を被覆する固体潤滑被膜は、一般に適当なバインダ中に潤滑性粉末(固体潤滑剤)を分散させて含有する被膜である。管ねじ継手用の固体潤滑被膜については従来から多くの提案がなされており、それらを採用することができる。代表的な被膜は、比較的耐熱性にすぐれたエポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの有機樹脂をバインダとする被膜であるが、シリカゾル、加水分解性シラン化合物、チタンアルコキシド、さらにはアルカリ金属シリケート、リン酸塩などの無機質造膜成分を利用した固体潤滑被膜も知られている。
また、固体潤滑被膜を2層以上形成したり、あるいは固体潤滑被膜に液状潤滑被膜や固体防食被膜を積層することも提案されており、そのような被膜構成を採用することもできる。ただし、その場合、前述した最大被膜厚みtは、複数の被膜の合計厚みとする。
本発明に係るプロテクタで保護するのに特に適した管ねじ継手の固体潤滑被膜は、上記特許文献3に記載されているような、塑性もしくは粘塑性型のレオロジー特性を有するバインダ中に潤滑性粉末を含有する被膜、特にバインダが溶融状態である組成物からのスプレイ塗布(即ち、ホットメルト塗布)により形成された被膜である。この種の固体潤滑被膜は、ボックス表面に形成することが好ましい。ボックスは典型的には短いカップリングに形成されるので、典型的には長い鋼管の端部に形成されるピン表面に比べて、ホットメルト型の塗布作業が容易であるためである。
好ましい固体潤滑被膜はマトリックス70〜95質量%、潤滑性粉末5〜30質量%から構成される。潤滑性粉末の割合がこのように少量であり、被膜全体としてもマトリックスの特性である塑性もしくは粘塑性型のレオロジー挙動を示す。
この固体潤滑被膜のマトリックス(室温で塑性もしくは粘塑性型レオロジー挙動を有する)は、融点が80〜320℃の範囲であることが好ましい。それにより、マトリックスの融点以上の温度で溶融状態の組成物を慣用のスプレイガンを用いたスプレイ塗布することにより、ボックスの接触表面に固体潤滑被膜を形成することが可能となる。
このマトリックスは、熱可塑性ポリマー、ワックス、および金属石鹸からなるものであることが好ましく、より好ましくはさらに腐食抑制剤および水不溶性液状樹脂を含有する。
固体潤滑被膜の膜厚は10〜100μmの範囲内とされることが多く、さらには25〜60μmの範囲内とされることが多い。
固体潤滑被膜をピンとボックスの一方の部材(例、ボックス)のみに形成する場合、他方の部材(例、ピン)の表面は固体防食被膜で被覆してもよい。この固体防食被膜は、例えば、紫外線硬化樹脂を主成分とする組成物(紫外線硬化樹脂組成物のみからなる組成物を含む)の塗布と紫外線照射により形成することができる。

Claims (17)

  1. 少なくともねじ部の表面が固体潤滑被膜で被覆されている、ピン−ボックス構造の管ねじ継手のピンまたはボックスを保護するための管ねじ継手用プロテクタであって、該プロテクタは、内周面または外周面に、保護すべきピンまたはボックスに設けたねじ部の少なくとも一部の完全ねじ山と螺合するねじ部を備えた筒状体から構成され、
    プロテクタのねじ部のねじ山高さH1と、保護すべきピンまたはボックスの完全ねじのねじ山高さH2とが、H1>H2を満たし、かつH1とH2の差[=H1−H2]が、このプロテクタが保護すべきピンまたはボックスのねじ部を被覆する固体潤滑被膜のねじ山頂部での最大被膜厚みより大きいことを特徴とする、管ねじ継手用プロテクタ。
  2. プロテクタのねじ部のねじ山数が3〜5の範囲内である、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  3. 前記ねじ部が、ピンまたはボックスの完全ねじ部と対向するプロテクタ表面においてプロテクタの後方端部に最も近い位置に配置される、請求項2に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  4. H1とH2の差が10〜1000μmの範囲内である、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  5. プロテクタのねじ部のねじ山幅が、これが保護するピンまたはボックスのねじ部の完全ねじ山のねじ溝幅の0.5〜0.75倍である、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  6. プロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角が実質的に垂直である、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  7. ピンまたはボックスのねじ部の完全ねじ山のロードフランク角αが負角であり、かつプロテクタのねじ部のねじ山のロードフランク角βがαに実質的に等しいか、それより小さい、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  8. プロテクタをそれが保護すべきピンまたはボックスに螺合により装着した時に、プロテクタの先端およびピンまたはボックスの先端の位置にそれぞれシールが形成されるようにプロテクタがシール部を有する、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  9. ピンおよびボックスが締結時に互いに当接するトルクショルダ面を有し、これらのトルクショルダ面が、ピン先端のトルクショルダ面が管外側から中心に向かって後退する向きに、管軸垂直方向に対して互いに同じ角度で傾斜している傾斜面を有している管ねじ継手を保護するための、請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  10. ボックスを保護するための請求項9に記載の管ねじ継手用プロテクタであって、その前方端部の端面がボックスのトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有する傾斜面であって、この傾斜面がボックスのトルクショルダ面における傾斜面と密着して第1シール部を構成する管ねじ継手用プロテクタ。
  11. ピンを保護するための請求項9に記載の管ねじ継手用プロテクタであって、その後方端部付近の内面に、前記ピン先端のトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有し、このピン先端が当接することができる傾斜面を有し、この傾斜面がピンのトルクショルダ面における傾斜面と密着して第1シール部を構成する管ねじ継手用プロテクタ。
  12. ボックスを保護するための請求項9に記載の管ねじ継手用プロテクタであって、これをボックスに装着した時にボックス先端が突き当たってシールを形成する第2シール部を筒状体の後方端部付近の外面に有する管ねじ継手用プロテクタ。
  13. 前記第2シール部がプロテクタの外面に装着した弾性シールリングからなる請求項12に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  14. ピンを保護するための請求項9に記載の管ねじ継手用プロテクタであって、これをピンと螺合させた時にピンの外周面と密着して第2シール部を構成する弾性シールリングをプロテクタの前方開口端部に有する管ねじ継手用プロテクタ。
  15. 液状の被覆組成物を塗布した後、乾燥、加熱、冷却もしくは紫外線照射により固化された固体潤滑被膜でねじ部被覆されている管ねじ継手のピンまたはボックスを保護するための請求項1に記載の管ねじ継手用プロテクタ。
  16. ピン−ボックス構造の管ねじ継手における雄ねじ部を有する継手要素であるピンを保護するための管ねじ継手用プロテクタであって、該ピンは少なくとも雄ねじ部の表面が固体潤滑被膜で被覆され、該プロテクタは、その内周面に、ピンの雄ねじ部の少なくとも一部の完全ねじ山と螺合する雌ねじ部を備えた筒状体から構成され、
    プロテクタの雌ねじ部のねじ山高さH1と、ピンの雄ねじ部の完全ねじのねじ山高さH2とが、H1>H2を満たし、かつH1とH2の差[=H1−H2]がピンの雄ねじ部を被覆する固体潤滑被膜のねじ山頂部での最大被膜厚みより大きいことを特徴とする、管ねじ継手用プロテクタ。
  17. ピンおよびボックスが締結時に互いに当接するトルクショルダ面を有し、これらのトルクショルダ面が、ピン先端のトルクショルダ面が管外側から中心に向かって後退する向きに、管軸垂直方向に対して互いに同じ角度で傾斜している傾斜面を有するとともに、少なくともねじ部の表面が固体潤滑被膜で被覆されているているピン−ボックス構造の管ねじ継手を保護するための管ねじ継手用プロテクタであって、
    該プロテクタは、内周面または外周面に、保護すべきピンまたはボックスに設けたねじ部の少なくとも一部の完全ねじ山と螺合するねじ部を備えた筒状体から構成され、
    プロテクタのねじ部の領域が、このプロテクタが保護すべきピンまたはボックスの完全ねじ部の領域に比べ狭い領域に限定されるとともに、
    ボックスを保護するための管ねじ継手用プロテクタであっては、その前方端部の端面がボックスのトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有する傾斜面であって、この傾斜面がボックスのトルクショルダ面における傾斜面と密着して第1シール部を構成する、または
    ピンを保護するための管ねじ継手用プロテクタであっては、その後方端部内面に、前記ピン先端のトルクショルダ面と同じ傾斜角度を有し、このピン先端が当接することができる傾斜面を有し、この傾斜面がピンのトルクショルダ面における傾斜面と密着して第1シール部を構成することを特徴とする管ねじ継手用プロテクタ。
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