JPWO2010131747A1 - ウイルス産生細胞 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって均一かつ同一ロットのウイルスを大量に産生できるウイルス産生細胞を提供することである。本発明によれば、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを産生できるように、該初期化因子をコードする遺伝子、及び水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むウイルス構成タンパク質をコードする遺伝子を染色体上に有するウイルス産生細胞が提供される。
Description
本発明は、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスを産生できるウイルス産生細胞に関する。本発明はさらに、上記ウイルス産生細胞の製造方法、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルス、上記RNAウイルスの製造方法、並びに上記RNAウイルスを用いた誘導多能性幹細胞の製造方法に関する。
誘導多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPS細胞)は、体細胞を初期化することによって得られる多能性を有する細胞である。誘導多能性幹細胞の作製は、京都大学の山中伸弥教授らのグループ、マサチューセッツ工科大学のルドルフ・ヤニッシュ(Rudolf Jaenisch)らのグループ、ウイスコンシン大学のジェームズ・トムソン(James Thomson)らのグループ、ハーバード大学のコンラッド・ホッケドリンガー(Konrad Hochedlinger)らのグループを含む複数のグループが成功している。誘導多能性幹細胞は、拒絶反応や倫理的問題のない理想的な多能性細胞として大きな期待を集めている。例えば、特許文献1には、Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、及びMycファミリー遺伝子の遺伝子産物を含む体細胞の核初期化因子、並びにOctファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、Soxファミリー遺伝子及びMycファミリー遺伝子の遺伝子産物を含む体細胞の核初期化因子が記載されており、さらに体細胞に上記核初期化因子を接触させる工程を含む、体細胞の核初期化により誘導多能性幹細胞を製造する方法が記載されている。
誘導多能性幹 (iPS) 細胞の樹立が報告されて以来、世界中でその樹立方法や応用方法に関する研究が進められている。iPS細胞の樹立方法の基本的な方法としては、レトロウイルスベクターを用いて初期化因子をコードする遺伝子を体細胞に遺伝子導入する方法が使用されている。現在我国においては、レトロウイルスパッケージング細胞plat-E に2種類のプラスミドをトランスフェクションしてエコトロピックウイルスを産生する方法が主に用いられている。iPS細胞の研究の推進には、健常人または疾患患者の体細胞からより多くのヒト iPS 細胞を確実に樹立する必要があるが、エコトロピックレトロウイルスを用いたヒト iPS 細胞の樹立法には、以下の(1)から(3)に記載するような技術的な問題点がある。(1)レトロウイルスによる感染に先立ってレンチウイルスベクターを用いてエコトロピックウイルスに対するレセプターを目的細胞に導入する必要があり、毎回、両方の感染効率が十分に高くなければ樹立に成功しない可能性がある。(2)使用するウイルスは新鮮であることが樹立成功の絶対条件であり、ウイルスを凍結保存することができない。そのため、目的細胞の培養にあわせて用時調製が必要となることから、手技が煩雑になり、また試行によって樹立効率がばらつく原因にもなりうる。(3)トランスフェクションによる一過性のウイルス産生を利用した方法では、同一のロットを大量に得ることが難しく、野生型ウイルスの発生等の試験をその都度行う必要があり、臨床応用を考慮したときの安全性の担保に不利である。以上の通り、多くの施設で簡便かつ確実に多種多様のヒト iPS 細胞を樹立するためには、新たな iPS 細胞樹立法を開発していく必要がある。
一方、非特許文献1には、高力価の水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)偽型レトロウイルスを産生できる安定なヒト由来パッケージング細胞が記載されている。非特許文献1に記載のパッケージング細胞は、gag遺伝子、pol遺伝子及びVSV−G遺伝子を染色体に有し、薬剤の有無に依存してVSV−G遺伝子を発現してVSV−G偽型レトロウイルスを産生できる細胞である。
Ory DS, Neugeboren BA, Mulligan RC. A stable human-derived packaging cell line for production of high titer retrovirus/vesicular stomatitis virus G pseudotypes. Proc Natl Acad Sci U S A. 1996;93:11400-11406.
本発明は、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって均一かつ同一ロットのウイルスを大量に産生できるウイルス産生細胞を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むウイルス構成タンパク質をコードする遺伝子を染色体上に有するパッケージング細胞の染色体上に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することによって、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを産生できるウイルス産生細胞を樹立することに成功した。更に、樹立したウイルス産生細胞が産生する初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスを用いて現存する他の方法ではiPS細胞の樹立が困難であった体細胞(造血細胞)を初期化することにも成功した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを産生できるように、該初期化因子をコードする遺伝子、及び水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むウイルス構成タンパク質をコードする遺伝子を染色体上に有するウイルス産生細胞が提供される。
好ましくは、初期化因子をコードする遺伝子は、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、及びMyc遺伝子の何れか1種以上である。
好ましくは、本発明のウイルス産生細胞は、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することにより得られる。
好ましくは、本発明のウイルス産生細胞は、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することにより得られる。
好ましくは、初期化因子をコードする遺伝子はウイルスとして導入される。
好ましくは、所定の薬剤はテトラサイクリンである。
好ましくは、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞は、ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株に対して、水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質をコードする遺伝子を導入することにより得られた細胞であって、該遺伝子が、所定の薬剤の存在下において発現できず、該薬剤の非存在下において発現できるように導入されているか、又は該遺伝子が、所定の薬剤の非存在下において発現できず、該薬剤の存在下において発現できるように導入されている細胞である。
好ましくは、所定の薬剤はテトラサイクリンである。
好ましくは、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞は、ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株に対して、水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質をコードする遺伝子を導入することにより得られた細胞であって、該遺伝子が、所定の薬剤の存在下において発現できず、該薬剤の非存在下において発現できるように導入されているか、又は該遺伝子が、所定の薬剤の非存在下において発現できず、該薬剤の存在下において発現できるように導入されている細胞である。
好ましくは、ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株がHEK293細胞である。
好ましくは、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞は、HEK293GPG細胞である。
好ましくは、本発明のウイルス産生細胞は、単一の細胞に由来するクローン化された細胞である。
好ましくは、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞は、HEK293GPG細胞である。
好ましくは、本発明のウイルス産生細胞は、単一の細胞に由来するクローン化された細胞である。
本発明によればさらに、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することを含む、上記した本発明のウイルス産生細胞の製造方法が提供される。
好ましくは、初期化因子をコードする遺伝子がウイルスとして導入される。
好ましくは、初期化因子をコードする遺伝子がウイルスとして導入される。
本発明によればさらに、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスが提供される。
好ましくは、初期化因子をコードする遺伝子は、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、及びMyc遺伝子の何れか1種以上である。
好ましくは、初期化因子をコードする遺伝子は、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、及びMyc遺伝子の何れか1種以上である。
好ましくは、本発明のRNAウイルスは、上記した本発明のウイルス産生細胞により産生される、
好ましくは、本発明のRNAウイルスは、誘導多能性幹細胞の製造のために使用する。
好ましくは、本発明のRNAウイルスは、製造後に凍結保存される。
好ましくは、本発明のRNAウイルスは、誘導多能性幹細胞の製造のために使用する。
好ましくは、本発明のRNAウイルスは、製造後に凍結保存される。
本発明によればさらに、上記した本発明のウイルス産生細胞を培養することを含む、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを製造する方法が提供される。
本発明によればさらに、体細胞に上記した本発明のRNAウイルスを導入することを含む、誘導多能性幹細胞の製造方法が提供される。
好ましくは、体細胞は造血細胞である。
好ましくは、造血細胞は骨髄由来である。
好ましくは、造血細胞は臍帯血由来である。
好ましくは、体細胞は末梢血の細胞である。
好ましくは、体細胞は末梢血のCD34陽性細胞である。
好ましくは、体細胞は造血細胞である。
好ましくは、造血細胞は骨髄由来である。
好ましくは、造血細胞は臍帯血由来である。
好ましくは、体細胞は末梢血の細胞である。
好ましくは、体細胞は末梢血のCD34陽性細胞である。
本発明のウイルス産生細胞は、長期に安定で半永久的に使用可能であり、簡便な培養法により常に均一で高力価の初期化因子を発現するためのウイルスを産生することができる。また、本発明のウイルス産生細胞は、凍結保存が可能であり、均一な同一ロットを半永久的に大量に調製することを可能にする。
さらに本発明のウイルス産生細胞は、エコトロピックウイルスではなく水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質被覆ウイルスを産生するが、このVSV−Gタンパク質被覆ウイルスは凍結保存が可能である。また、VSV−Gタンパク質被覆ウイルスは、物理的強度に優れているため、遠心操作により高力価のウイルスロットを得ることができる。
さらに本発明のウイルス産生細胞を用いたウイルス産生方法は操作が容易であるため、技術者個人による技術差がでにくく、産生されるウイルスロット間の差が小さく、どこの施設でも同様に高効率でiPS 細胞を樹立することが可能となる。
さらに、本発明のウイルス産生細胞は、品質試験検査を受けた細胞株またはクローンをマスターセルバンクとして保存することもが可能であり、それを用いて産生・調製するウイルス上清液についても安全性の保証がなされやすいという利点を有している。このことは、樹立する iPS 細胞に対する安全性が確実に担保されることになり、これにより臨床応用可能なウイルスロットの産生が可能となる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のウイルス産生細胞は、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを産生できるように、該初期化因子をコードする遺伝子、及び水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むウイルス構成タンパク質をコードする遺伝子を染色体上に有することを特徴とする細胞である。
本発明のウイルス産生細胞は、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを産生できるように、該初期化因子をコードする遺伝子、及び水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むウイルス構成タンパク質をコードする遺伝子を染色体上に有することを特徴とする細胞である。
本発明で用いる初期化因子をコードする遺伝子とは、体細胞を初期化して人工多能性幹細胞とする作用を有する初期化因子をコードする遺伝子である。本発明では、少なくとも1種類以上の初期化因子をコードする遺伝子を使用することができる。本発明で使用する初期化因子をコードする遺伝子としては、例えば、Oct遺伝子、Klf遺伝子、Sox遺伝子、Myc遺伝子、Nanog遺伝子、Lin28遺伝子、htert遺伝子、SV40 large T遺伝子などから選択することができる。上記の中でも、好ましくは、Oct遺伝子、Klf遺伝子、Sox遺伝子及びMyc遺伝子を使用することができる。
Oct遺伝子、Klf遺伝子、Sox遺伝子及びMyc遺伝子にはそれぞれ、複数のファミリー遺伝子が含まれている。それぞれのファミリー遺伝子の具体例としては、国際公開WO2007/069666号公報の明細書の第11頁から第13頁に記載されているものを用いることができる。具体的には、以下の通りである。
Oct遺伝子に属する遺伝子の具体例としては、Oct3/4(NM_002701)、Oct1A(NM_002697)、及びOct6(NM_002699)などを挙げることができる(括弧内は、ヒト遺伝子のNCBI accession 番号を示す)。好ましくはOct3/4である。Oct3/4はPOUファミリーに属する転写因子であり、未分化マーカーとして知られており、また多能性維持に関与しているとの報告もある。
Klf遺伝子に属する遺伝子の具体例としては、Klf1(NM_006563)、Klf2(NM_016270)、Klf4(NM_004235)、及びKlf5(NM_001730)などを挙げることができる(括弧内は、ヒト遺伝子のNCBI accession 番号を示す)。好ましくはKlf4である。Klf4(Kruppel like factor-4)は腫瘍抑制因子として報告されている。
Sox遺伝子に属する遺伝子の具体例としては、例えば、Sox1(NM_005986)、Sox2(NM_003106)、Sox3(NM_005634)、Sox7(NM_031439)、Sox15(NM_006942)、Sox17(NM_0022454)、及びSox18(NM_018419)を挙げることができる(括弧内は、ヒト遺伝子のNCBI accession 番号を示す)。好ましくはSox2である。Sox2は初期発生過程で発現し、転写因子をコードする遺伝子である。
Myc遺伝子に属する遺伝子の具体例としては、c-Myc(NM_002467)、N-Myc(NM_005378)、及びL-Myc(NM_005376)などを挙げることができる(括弧内は、ヒト遺伝子のNCBI accession 番号を示す)。好ましくは、c-Myc である。c-Mycは細胞の分化及び増殖に関与する転写制御因子であり、多能性維持に関与しているとの報告がある。
上記した遺伝子は、ヒトを含む哺乳類動物において共通して存在する遺伝子であり、本発明において任意の哺乳類動物由来(例えばヒト、マウス、ラット、サルなどの哺乳類動物由来)の遺伝子を用いることができる。また、野生型の遺伝子に対して、数個(例えば1〜30個、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1から3個)の塩基が置換、挿入及び/又は欠失した変異遺伝子であって、野生型の遺伝子と同様の機能を有する遺伝子を使用することもできる。
本発明のウイルス産生細胞は、所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することにより製造することができる。パッケージング細胞としては、例えばヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞(HEK293細胞は、ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株である)、マウス繊維芽細胞NIH3T3に基づくパッケージング細胞を用いることができ、好ましくはHEK293細胞に基づくパッケージング細胞を用いることができる。
本発明においては、初期化因子をコードする遺伝子は、パッケージング細胞の染色体上に組み込むという観点から、ウイルスとして導入することが好ましい。パッケージング細胞へのウイルスの導入法は、特に限定されず、リン酸カルシウム法、リポフェクション法又はエレクトロポレーション法などの公知の遺伝子導入法を用いて行うことができる。
所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞としては、例えば、ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株に対して、水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質をコードする遺伝子を導入することにより得られた細胞であって、該遺伝子が、所定の薬剤の存在下において発現できず、該薬剤の非存在下において発現できるように導入されているか、又は該遺伝子が、所定の薬剤の非存在下において発現できず、該薬剤の存在下において発現できるように導入されている細胞を使用することができる。ここで言う所定の薬剤としては、テトラサイクリン(又はドキシサイクリン)などの抗生物質を使用することが好ましい。
宿主細胞において、テトラサイクリン(又はドキシサイクリン)の存在下において標的タンパク質を発現できず、テトラサイクリン(又はドキシサイクリン)の非存在下において標的タンパク質を発現できるようにするためには、Tet-Off Gene Expression System(Clontech)を使用することができる。Tet-Off Systemは、大腸菌テトラサイクリン耐性オペロンから得られた2種類の調節性因子、Tetレプレッサータンパク(TetR)とTetオペレータDNA配列(tetO)に基づくシステムであり、調節プラスミドと応答プラスミドからは両因子を宿主ゲノム中に組み込んだ二重安定細胞株が得られる。樹立された細胞株は、テトラサイクリン(又はドキシサイクリン)に用量依存的に応答して標的遺伝子を発現させることができる(Proc Natl Acad Sci USA. 1992 Jun 15;89(12):5547-51. Tight control of gene expression in mammalian cells by tetracycline-responsive promoters. Gossen M, Bujard H)。また、宿主細胞において、テトラサイクリン(又はドキシサイクリン)の非存在下において標的タンパク質を発現できず、テトラサイクリン(又はドキシサイクリン)の存在下において標的タンパク質を発現できるようにするためには、Tet-On Gene Expression System(Clontech)を使用することができる。Tet-on systemは、テトラサイクリン誘導体であるドキシサイクリンが存在すると、プロモーター領域に存在するTRE(tetracycline responsive element)にテトラサイクリン依存性転写調節因子(rtTA)が結合することにより遺伝子の発現が誘導されるシステムである。
テトラサイクリンの薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、テトラサイクリンの非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞の一例としては、HEK293GPG細胞(Ory DS, Neugeboren BA, Mulligan RC. A stable human-derived packaging cell line for production of high titer retrovirus/vesicular stomatitis virus G pseudotypes. Proc Natl Acad Sci U S A. 1996;93:11400-11406)を挙げることができる。
本発明においては、初期化因子をコードする遺伝子(例えば、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、又はMyc遺伝子)を有するレトロウイルスベクター(例えば、pMXsベクター)及びVSV-G cDNAを有するベクターを、レトロウイルスのgag遺伝子及びpol遺伝子を染色体上に有する293GP細胞(Burns JC, Friedmann T, Driever W, Burrascano M, Yee JK. Vesicular stomatitis virus G glycoprotein pseudotyped retroviral vectors: concentration to very high titer and efficient gene transfer into mammalian and nonmammalian cells. Proc Natl Acad Sci U S A. 1993;90:8033-8037)にトランスフェクションすることによって、初期化因子をコードする遺伝子(例えば、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、又はMyc遺伝子)を有するレトロウイルスを調製することができる。次いで、得られた初期化因子をコードする遺伝子を有するレトロウイルスを、上記のHEK293GPG細胞に導入することによって、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを安定に産生できる本発明のウイルス産生細胞を製造することができる。
本発明によれば、上記した本発明のウイルス産生細胞を培養することによって、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを製造することができる。このようにして製造される初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスも本発明に含まれる。本発明のRNAウイルスは、初期化因子をコードする遺伝子を含むウイルスであり、体細胞から誘導多能性幹細胞を製造するために使用することができる。また、本発明のRNAウイルスは、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含み、物理的強度に優れることから、製造後に凍結保存が可能である。本発明のRNAウイルスは、当該ウイルスを含むウイルス液の形態で提供してもよいし、あるいは凍結保存されたウイルスを使用時に溶解してウイルス液を調製して用いてもよい。
本発明によれば更に、体細胞に上記した本発明のRNAウイルスを導入することを含む、誘導多能性幹細胞の製造方法が提供される。
本発明で初期化のために用いる体細胞の種類は特に限定されず、任意の体細胞を用いることができる。即ち、本発明で言う体細胞とは、生体を構成する細胞のうち生殖細胞以外の全ての細胞を包含し、分化した体細胞でもよいし、未分化の幹細胞でもよい。体細胞の由来は、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、両生類の何れでもよく特に限定されないが、好ましくは哺乳動物(例えば、マウスなどのげっ歯類、またはヒトなどの霊長類)であり、特に好ましくはヒトである。また、ヒトの体細胞を用いる場合、胎児、新生児又は成人の何れの体細胞を用いてもよく、一例としては、造血細胞、特に造血幹細胞を用いることができる。
また初期化のために用いるヒトの体細胞の別の例としては、末梢血の細胞、好ましくは末梢血のCD34陽性細胞を用いることができる。特に、ヒト末梢血から少量の採血量にて誘導多能性幹細胞を樹立することができれば、ヒト白血球型抗原(HLA)毎の誘導多能性幹細胞のバンク化が非常に容易になる。G-CSF投与などのストレスを与えない条件下においての末梢血からの誘導多能性幹細胞の作成については未だ報告がない。G-CSF投与は、低頻度ながら白血病を誘発してしまう可能性があり、また1週間程度の入院が必要であるため、ドナーへの負担が大きい。本発明においては、本発明のウイルス産生細胞により産生されるRNAウイルスを末梢血の細胞(好ましくは、末梢血のCD34陽性細胞)に導入することによって、誘導多能性幹細胞を製造することができる。・
なお、本発明の方法で製造される人工多能性幹細胞を再生医療など疾患の治療に用いる場合には、該疾患を患う患者自身から分離した体細胞を用いることが好ましい。
本発明で言う誘導多能性幹細胞とは、所定の培養条件下(例えば、ES細胞を培養する条件下)において長期にわたって自己複製能を有し、また所定の分化誘導条件下において外胚葉、中胚葉及び内胚葉への多分化能を有する幹細胞のことを言う。また、本発明における誘導多能性幹細胞はマウスなどの試験動物に移植した場合にテラトーマを形成する能力を有する幹細胞でもよい。
初期化因子をコードする遺伝子を体細胞に導入する方法は、導入された初期化遺伝子が発現して体細胞の初期化を達成できる限り特に限定されない。例えば、少なくとも1種類以上の初期化遺伝子を含む本発明のウイルスを、当業者に公知の常法に従って体細胞に導入することができる。2種類以上の初期化因子をコードする遺伝子を体細胞に導入する場合には、一つのウイルスに2種類以上の初期化因子をコードする遺伝子を組み込んで、該ウイルスを体細胞に導入してもよいし、1種類の初期化遺伝子を組み込んだウイルスを2種類以上用意して、それらを体細胞に導入してもよい。
ES細胞の未分化性及び多能性を維持可能な培地は当業界で公知であり、適当な培地を組み合わせて用いることにより、誘導多能性幹細胞を分離及び培養することができる。誘導多能性幹細胞を培養するための培地には、各種の成長因子、サイトカイン、ホルモンなど(例えば、FGF-2、TGFb-1、アクチビンA、ノギン(Noggin)、BDNF、NGF、NT-1、NT-2、NT-3等のヒトES細胞の増殖・維持に関与する成分)を添加してもよい。また、分離された誘導多能性幹細胞の分化能及び増殖能は、ES細胞について知られている確認手段を利用することにより確認することができる。
本発明の方法で製造される誘導多能性幹細胞の用途は特に限定されず、各種の試験・研究や疾病の治療などに使用することができる。例えば、本発明の方法により得られた誘導多能性幹細胞をレチノイン酸、EGFなどの増殖因子、又はグルココルチコイドなどで処理することにより、所望の分化細胞(例えば神経細胞、心筋細胞、肝細胞、膵臓細胞、血球細胞など)を誘導することができ、そのようにして得られた分化細胞を患者に戻すことにより自家細胞移植による幹細胞療法を達成することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1:VSV-G偽型レトロウイルス産生細胞の樹立及びVSV-G偽型レトロウイルス粒子の製造
Oct3/4, Sox2, Klf4, 及びc-MycをコードするpMXsベクター(Onishi M, Kinoshita S, Morikawa Y, et al. Applications of retrovirus-mediated expression cloning. Exp Hematol. 1996;24:324-329)の構築は既報である(Takahashi K, Yamanaka S. Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell. 2006;126:663-676)。本実施例で用いたレトロウイルスベクター pMXs-human OCT3/4, pMXs-human SOX2, pMXs-human KLF4, pMXs-human cMYC, pMXs-murine Oct3/4, pMXs-murine Sox2, pMXs-murine Klf4, pMXs-murine cMycは、京都大学山中博士より供与された。
Oct3/4, Sox2, Klf4, 及びc-MycをコードするpMXsベクター(Onishi M, Kinoshita S, Morikawa Y, et al. Applications of retrovirus-mediated expression cloning. Exp Hematol. 1996;24:324-329)の構築は既報である(Takahashi K, Yamanaka S. Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell. 2006;126:663-676)。本実施例で用いたレトロウイルスベクター pMXs-human OCT3/4, pMXs-human SOX2, pMXs-human KLF4, pMXs-human cMYC, pMXs-murine Oct3/4, pMXs-murine Sox2, pMXs-murine Klf4, pMXs-murine cMycは、京都大学山中博士より供与された。
高度に濃縮したVSV-G偽型レトロウイルス(RV) 上清は、既報の方法で調製した(Hamanaka S, Nabekura T, Otsu M, et al. Stable transgene expression in mice generated from retrovirally transduced embryonic stem cells. Mol Ther. 2007;15:560-565;Nabekura T, Otsu M, Nagasawa T, Nakauchi H, Onodera M. Potent vaccine therapy with dendritic cells genetically modified by the gene-silencing-resistant retroviral vector GCDNsap. Mol Ther. 2006;13:301-309;及びSanuki S, Hamanaka S, Kaneko S, et al. A new red fluorescent protein that allows efficient marking of murine hematopoietic stem cells. J Gene Med. 2008;10:965-971)。VSV-G偽型レトロウイルス粒子は、293GP細胞(Richard Mulligan博士 (Harvard大学) から供与;Burns JC, Friedmann T, Driever W, Burrascano M, Yee JK. Vesicular stomatitis virus G glycoprotein pseudotyped retroviral vectors: concentration to very high titer and efficient gene transfer into mammalian and nonmammalian cells. Proc Natl Acad Sci U S A. 1993;90:8033-8037)に、各々の初期化因子をコードする遺伝子を含むpMXsベクター、及びVSV-G cDNAを有するベクターをトランスフェクションすることによって調製した。得られたレトロウイルス粒子を6,000xgで16時間遠心し、1/100容量のα- MEMに再懸濁して濃縮した。次いで、293GPG細胞(Richard Mulligan博士 (Harvard大学) から供与;Ory DS, Neugeboren BA, Mulligan RC. A stable human-derived packaging cell line for production of high titer retrovirus/vesicular stomatitis virus G pseudotypes. Proc Natl Acad Sci U S A. 1996;93:11400-11406)に、上記の濃縮したウイルス上清を導入して、誘導時にVSV-G偽型レトロウイルス粒子を製造することができる安定な293GPG細胞株を樹立した。具体的には、以下の手順で行った。
(1)ウイルス産生293GPG細胞の樹立
293GP細胞にレトロウイルスベクター30μg、水疱性口内炎ウイルスG蛋白 (VSV-G) 発現ベクター10μgをトランスフェクションし、48時間後にウイルス上清を回収し、0.45 μmフィルター濾過し、1次ウイルス調製液を得た。トランスフェクションはプロメガ社製のキットにてリン酸カルシウム法を用いて行った。次に293GPG細胞に1次ウイルス液を感染させ、ウイルス産生細胞bulk株を樹立した。
293GP細胞にレトロウイルスベクター30μg、水疱性口内炎ウイルスG蛋白 (VSV-G) 発現ベクター10μgをトランスフェクションし、48時間後にウイルス上清を回収し、0.45 μmフィルター濾過し、1次ウイルス調製液を得た。トランスフェクションはプロメガ社製のキットにてリン酸カルシウム法を用いて行った。次に293GPG細胞に1次ウイルス液を感染させ、ウイルス産生細胞bulk株を樹立した。
(2)ウイルス産生293GPG細胞のクローニング
上記bulk株によるウイルス産生能を確認後、単一細胞に由来する細胞株のクローニングを行った。96ウェル平底プレートにEGFP発現293細胞をDMEM 10% (D-10) 胎児ウシ血清+ テトラサイクリン1μg/ml、200 μl per wellで播種し、フィーダー層を確立後、15 Gy X線照射を行った。このフィーダー上にbulk株を1 細胞/ウエルでMofloTMを用いてソーティングした。7〜10日後、培地を テロラサイクリン(-) D-10に変更し、さらに培養を続け、増殖を示したモノクローナルクローンを順次拡大培養した。
上記bulk株によるウイルス産生能を確認後、単一細胞に由来する細胞株のクローニングを行った。96ウェル平底プレートにEGFP発現293細胞をDMEM 10% (D-10) 胎児ウシ血清+ テトラサイクリン1μg/ml、200 μl per wellで播種し、フィーダー層を確立後、15 Gy X線照射を行った。このフィーダー上にbulk株を1 細胞/ウエルでMofloTMを用いてソーティングした。7〜10日後、培地を テロラサイクリン(-) D-10に変更し、さらに培養を続け、増殖を示したモノクローナルクローンを順次拡大培養した。
上記で選別された293GPGクローンの一例として、マウスKlf4遺伝子を導入してウイルス産生を誘導したクローンの細胞増殖の様子を図1に示し、ウイルス産生を誘導しない条件下でのマウスKlf4遺伝子を導入したクローンの細胞増殖の様子を図2に示す。
(3)293GPGクローンの選別
(3−1)ベクターシークエンスの保持
得られたクローンよりゲノムDNAを調製し、ベクタープロウイルス特異的に検出可能なプライマーペアを用いてPCR解析を行った。一例として、マウスKlf4遺伝子が導入された293GPGクローン(9クローン)を、マウスKlf4遺伝子を含むベクタープロウイルスを特異的に検出可能なプライマーペアを用いてPCR解析にて選別した結果を図3に示す。20クローンのうち9クローン(45%)においてMXs-Klf4遺伝子配列が陽性であった。上記結果から、本発明の方法により、一定の確率で、初期化因子をコードする遺伝子を保持したウイルス産生細胞を作製できることが分かる。陽性コントロールとしてβ-globinゲノム遺伝子の増幅を行い、コントロールおよびプロウイルス配列の明らかな増幅がみられたクローンについてウイルス産生能のテストを行った。
(3−1)ベクターシークエンスの保持
得られたクローンよりゲノムDNAを調製し、ベクタープロウイルス特異的に検出可能なプライマーペアを用いてPCR解析を行った。一例として、マウスKlf4遺伝子が導入された293GPGクローン(9クローン)を、マウスKlf4遺伝子を含むベクタープロウイルスを特異的に検出可能なプライマーペアを用いてPCR解析にて選別した結果を図3に示す。20クローンのうち9クローン(45%)においてMXs-Klf4遺伝子配列が陽性であった。上記結果から、本発明の方法により、一定の確率で、初期化因子をコードする遺伝子を保持したウイルス産生細胞を作製できることが分かる。陽性コントロールとしてβ-globinゲノム遺伝子の増幅を行い、コントロールおよびプロウイルス配列の明らかな増幅がみられたクローンについてウイルス産生能のテストを行った。
(3−2)ウイルス産生能
各候補クローンを6ウエルプレート中に同数で播種し、2日後にテトラサイクリンなしの培地に変更することでウイルス産生を誘導した。新鮮培地に変更後、1日後の上清を回収し、Jurkat細胞に感染させた。感染より2日後にJurkat細胞からゲノムDNAを調製し、上記PCR法と同じプライマーペアを用いて、半定量的にゲノム中のプロウイルスコピー数を比較した。一例として、マウスKlf4遺伝子を導入した293GPGクローンが産生するKlf4遺伝子を有するレトロウイルスの感染能を評価した結果を図4に示す。No.2、10、14及び19のクローンが産生するウイルスが、Jurkat細胞への高い感染能を有することが示された。
各候補クローンを6ウエルプレート中に同数で播種し、2日後にテトラサイクリンなしの培地に変更することでウイルス産生を誘導した。新鮮培地に変更後、1日後の上清を回収し、Jurkat細胞に感染させた。感染より2日後にJurkat細胞からゲノムDNAを調製し、上記PCR法と同じプライマーペアを用いて、半定量的にゲノム中のプロウイルスコピー数を比較した。一例として、マウスKlf4遺伝子を導入した293GPGクローンが産生するKlf4遺伝子を有するレトロウイルスの感染能を評価した結果を図4に示す。No.2、10、14及び19のクローンが産生するウイルスが、Jurkat細胞への高い感染能を有することが示された。
マウス遺伝子導入293GPG細胞と同様の方法を用いてヒト遺伝子導入293GPG細胞を作製した。一例として、ヒトKlf4遺伝子が導入された293GPGクローン(13クローン)を、ヒトKlf4遺伝子を含むベクタープロウイルスを特異的に検出可能なプライマーペアを用いてPCR解析にて選別した結果を図12Aに示す。13クローンのうち8クローン(62%)においてMXs-Klf4遺伝子配列が陽性であった。内在性コントロールとしてGAPDHゲノム遺伝子の増幅を行い、コントロールおよびプロウイルス配列の明らかな増幅がみられたクローンについてウイルス産生能のテストを行った。ヒトKlf4遺伝子を導入した293GPGクローンが産生するKlf4遺伝子を有するレトロウイルスの感染能を評価した結果を図12Bに示す。調べたNo.7,8,9のクローンのうちNo.9クローンが産生するウイルスが、Jurkat細胞への高い感染能を有することが示された。ヒトOCT3/4遺伝子、ヒトSOX2遺伝子、ヒトcMYC遺伝子を導入した293GPGクローンについても、上記と同様にして樹立した。
実施例2:マウス骨髄HSPCからのiPS細胞の作製
(A)材料及び方法
(1)マウス
C57BL/6 (B6)-Ly5.2及びB6 EGFPトランスジェニックマウスは、日本エスエルシー株式会社(静岡、日本)から購入し、B6-Ly5.1マウスは、三協ラボサービス株式会社 (筑波、日本)から購入した。NOD/CB17-Prkdcscid/J (NOD/Scid) マウスは、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入した。
(A)材料及び方法
(1)マウス
C57BL/6 (B6)-Ly5.2及びB6 EGFPトランスジェニックマウスは、日本エスエルシー株式会社(静岡、日本)から購入し、B6-Ly5.1マウスは、三協ラボサービス株式会社 (筑波、日本)から購入した。NOD/CB17-Prkdcscid/J (NOD/Scid) マウスは、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入した。
(2)造血幹/前駆細胞(hematopoietic stem/progenitor cells (HSPCs))の精製
骨髄細胞を、成体マウス(20〜30週齢)の大腿骨、脛骨、及び骨盤骨から単離し、CD4, CD8, B220, IL-7R, Gr-1, Mac-1, 及びTer-119に特異的なビオチン化モノクローナル抗体(e-Bioscience, San Diego, CA)の混合物と一緒にインキュベートした。系統マーカー陰性(Lin-)細胞を、DynabeadsTM MyOneTM Streptavidin C1 (Dynal Biotech, Lake Success, NY)を用いて、ネガティブ選択によって濃縮した。c-Kitを発現する細胞は、抗c-Kit MicroBeads(Miltenyi Biotech, Bergisch Gladbach, Germany)と一緒にインキュベーションした後、MACS TM LSカラムを用いて取得した。Ly5.1+ 細胞の濃縮が必要な場合、ビオチン抗CD45.2 モノクローナル抗体を上記の混合物に添加して、造血幹/前駆細胞を得た。
骨髄細胞を、成体マウス(20〜30週齢)の大腿骨、脛骨、及び骨盤骨から単離し、CD4, CD8, B220, IL-7R, Gr-1, Mac-1, 及びTer-119に特異的なビオチン化モノクローナル抗体(e-Bioscience, San Diego, CA)の混合物と一緒にインキュベートした。系統マーカー陰性(Lin-)細胞を、DynabeadsTM MyOneTM Streptavidin C1 (Dynal Biotech, Lake Success, NY)を用いて、ネガティブ選択によって濃縮した。c-Kitを発現する細胞は、抗c-Kit MicroBeads(Miltenyi Biotech, Bergisch Gladbach, Germany)と一緒にインキュベーションした後、MACS TM LSカラムを用いて取得した。Ly5.1+ 細胞の濃縮が必要な場合、ビオチン抗CD45.2 モノクローナル抗体を上記の混合物に添加して、造血幹/前駆細胞を得た。
(3)iPS細胞クローンの作成と維持
樹立したiPS細胞及びES細胞は、15%胎児ウシ血清(FBS; JRH Biosciences, Lenexa, KS), 1,000 U/mlの白血病阻害因子(LIF; Chemicon, Temecula, CA), 20 mM HEPES緩衝液(pH 7.3), 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸(GIBCO, Grand Island, NY), 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)からなる完全ES培地中で、マイトマイシンC処理したマウス胎児繊維芽細胞(MEF)の細胞層上で維持した。
樹立したiPS細胞及びES細胞は、15%胎児ウシ血清(FBS; JRH Biosciences, Lenexa, KS), 1,000 U/mlの白血病阻害因子(LIF; Chemicon, Temecula, CA), 20 mM HEPES緩衝液(pH 7.3), 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸(GIBCO, Grand Island, NY), 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)からなる完全ES培地中で、マイトマイシンC処理したマウス胎児繊維芽細胞(MEF)の細胞層上で維持した。
造血幹/前駆細胞は、フィブロネクチン断片CH296 (Takara Bio)でコートした24穴プレートで5 x 105細胞/ウエルで播種し、20 ng/mlマウス幹細胞因子(SCF), 100 ng/mlヒトトロンボポエチン(TPO), 1% FBS, 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを補充したα-MEM中で予め刺激した。1日目に、Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、cMyc遺伝子及びKlf4遺伝子のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物を造血幹/前駆細胞の培養物に添加した。ウイルス接触の4時間後に、細胞を洗浄し、新しい培地に交換した。2日目に、細胞に、上記と同様の遺伝子導入処理を行い、4時間後に細胞を回収した。遺伝子導入した細胞を、完全ES培地を含む6穴プレート中のMEF層の上に再度撒いた。10ng/mlのSCFを培養液に含めて、5〜7日目まで細胞が生存するようにした。培地は、14から16日目まで毎日交換した。細胞を回収し、フィコエリトリン(PE)結合抗SSEA-1モノクローナル抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)で染色し、MoFloセルソーター(Dako, Glostrup, Denmark)でSSEA-1陽性画分について分別した。分別した細胞を完全ES培地中でMEFフィーダー層上で再度増殖させ、iPS細胞様コロニーを個々に拾い上げ、安定なiPS細胞クローンを樹立した。
(4)PCR及びRT-PCR分析
iPS細胞を回収するために、MEF細胞をゼラチンコートプレート上に優先的に付着させる方法(adhesion selection)により除去した。iPS細胞からのゲノムDNA試料を、QIAmp DNA Mini Kit (QIAGEN, Valencia, CA)を用いて調製した。全RNA試料をTrizol 試薬で精製し、ThermoScriptTM RT-PCR System (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて逆転写した。定量的PCR分析は、Rodent GAPDH Control Reagents (Applied Biosystems, Foster City, CA)によりcDNA産物を用いて行った。各試料におけるGAPDH cDNAの計算上のコピー数を用いて鋳型の使用量を均等とした。PCR反応は、ExTaq HS and LA Taq HS (Takara Bio)を用いて各プライマーセットに最適な条件で行った。使用したプライマー配列は以下に示す。表1に記載のプライマー配列は、配列表の配列番号1から36にも記載する。
iPS細胞を回収するために、MEF細胞をゼラチンコートプレート上に優先的に付着させる方法(adhesion selection)により除去した。iPS細胞からのゲノムDNA試料を、QIAmp DNA Mini Kit (QIAGEN, Valencia, CA)を用いて調製した。全RNA試料をTrizol 試薬で精製し、ThermoScriptTM RT-PCR System (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて逆転写した。定量的PCR分析は、Rodent GAPDH Control Reagents (Applied Biosystems, Foster City, CA)によりcDNA産物を用いて行った。各試料におけるGAPDH cDNAの計算上のコピー数を用いて鋳型の使用量を均等とした。PCR反応は、ExTaq HS and LA Taq HS (Takara Bio)を用いて各プライマーセットに最適な条件で行った。使用したプライマー配列は以下に示す。表1に記載のプライマー配列は、配列表の配列番号1から36にも記載する。
(5)免疫グロブリン遺伝子DJ再構成及びCd45の一塩基多型のPCR分析
免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成は、既報の方法に準じて分析した(Kawamoto H, Ikawa T, Ohmura K, Fujimoto S, Katsura Y. T cell progenitors emerge earlier than B cell progenitors in the murine fetal liver. Immunity. 2000;12:441-450;及びSchlissel MS, Corcoran LM, Baltimore D. Virus-transformed pre-B cells show ordered activation but not inactivation of immunoglobulin gene rearrangement and transcription. J Exp Med. 1991;173:711-720)。Cd45の エクソン(EX)25内の一塩基多型は、既報の通り分析した(Ramos CA, Zheng Y, Colombowala I, Goodell MA. Tracing the origin of non-hematopoietic cells using CD45 PCR restriction fragment length polymorphisms. Biotechniques. 2003;34:160-162)。PCR増幅したゲノムDNA試料をiPS細胞クローンから得た(一対のプライマーで挟まれた多型の配列)。アンプリコンを精製し、その一部を10 UのKpn I (Takara Bio)で37℃で1時間消化した。消化した試料と未消化の試料を1%アガロースゲルで電気泳動した。
免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成は、既報の方法に準じて分析した(Kawamoto H, Ikawa T, Ohmura K, Fujimoto S, Katsura Y. T cell progenitors emerge earlier than B cell progenitors in the murine fetal liver. Immunity. 2000;12:441-450;及びSchlissel MS, Corcoran LM, Baltimore D. Virus-transformed pre-B cells show ordered activation but not inactivation of immunoglobulin gene rearrangement and transcription. J Exp Med. 1991;173:711-720)。Cd45の エクソン(EX)25内の一塩基多型は、既報の通り分析した(Ramos CA, Zheng Y, Colombowala I, Goodell MA. Tracing the origin of non-hematopoietic cells using CD45 PCR restriction fragment length polymorphisms. Biotechniques. 2003;34:160-162)。PCR増幅したゲノムDNA試料をiPS細胞クローンから得た(一対のプライマーで挟まれた多型の配列)。アンプリコンを精製し、その一部を10 UのKpn I (Takara Bio)で37℃で1時間消化した。消化した試料と未消化の試料を1%アガロースゲルで電気泳動した。
(6)フローサイトメトリー分析
フローサイトメトリー分析及びセルソーティングのために、細胞をFITC結合抗CD45モノクローナル抗体及びFITC-ストレプトアビジン(BD PharMingen, San Diego, CA)、PE-結合抗SSEA-1モノクローナル抗体、及びPE-cyanin7 (Cy7)抗CD117モノクローナル抗体(e-Bioscience)で染色した。死細胞はヨウ化プロピジウム染色により除去した。染色した細胞は、FlowJoソフトウエア(TreeStar, Ashland, OR, USA)を用いて分析した。
フローサイトメトリー分析及びセルソーティングのために、細胞をFITC結合抗CD45モノクローナル抗体及びFITC-ストレプトアビジン(BD PharMingen, San Diego, CA)、PE-結合抗SSEA-1モノクローナル抗体、及びPE-cyanin7 (Cy7)抗CD117モノクローナル抗体(e-Bioscience)で染色した。死細胞はヨウ化プロピジウム染色により除去した。染色した細胞は、FlowJoソフトウエア(TreeStar, Ashland, OR, USA)を用いて分析した。
(7)胚様体(EB)形成
iPS細胞をトリプシンで処理し、完全胚様体分化(EBD)培地(Kennedy M, Firpo M, Choi K, et al. A common precursor for primitive erythropoiesis and definitive haematopoiesis. Nature. 1997;386:488-493)に回収した。細胞を100 mmのシャーレに10 ml EBD当たり2 x 105細胞になるように移した。培地を4日目に新しいEBDに交換し、その後、安定な胚様体形成が見られるまで2日毎に培地交換した。
iPS細胞をトリプシンで処理し、完全胚様体分化(EBD)培地(Kennedy M, Firpo M, Choi K, et al. A common precursor for primitive erythropoiesis and definitive haematopoiesis. Nature. 1997;386:488-493)に回収した。細胞を100 mmのシャーレに10 ml EBD当たり2 x 105細胞になるように移した。培地を4日目に新しいEBDに交換し、その後、安定な胚様体形成が見られるまで2日毎に培地交換した。
(8)テラトーマ形成及び組織学的解析
iPS細胞は、PBS中に1 x 107 細胞/mlで調製した。懸濁した細胞(1-3 x 106) を、麻酔したNOD/Scidマウスの横腹に皮下注入した。注入の6週間後、マウスを殺し、腫瘍を解剖した。腫瘍試料を10%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
iPS細胞は、PBS中に1 x 107 細胞/mlで調製した。懸濁した細胞(1-3 x 106) を、麻酔したNOD/Scidマウスの横腹に皮下注入した。注入の6週間後、マウスを殺し、腫瘍を解剖した。腫瘍試料を10%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
(9)キメラマウスの作製
約10 から15のiPS細胞を、B6及びB6 x DBA2 F1マウスの交配から得た胚盤)胞に注入した。胚盤胞を、偽妊娠ICR雌マウスに移植した。胎児を10.5日目に帝王切開により取り出し、分析した。
約10 から15のiPS細胞を、B6及びB6 x DBA2 F1マウスの交配から得た胚盤)胞に注入した。胚盤胞を、偽妊娠ICR雌マウスに移植した。胎児を10.5日目に帝王切開により取り出し、分析した。
(B)結果
図1Aに実験の概要を示す。C57BL6(B6)Ly5,1-起源の単一の造血幹細胞から造血系を約10ヶ月再構成した後に回収した骨髄造血幹/前駆細胞から、iPS細胞の作成を試みた。この実施例では、濃縮したVSV-G偽型レトロウイルス(実施例1で作製したもの)を使用した。再構成したマウス (B6Ly5,2) の骨髄から、CD45を発現する細胞(〜98%)を含む造血幹/前駆細胞であるLin-Kit+細胞を精製した(図1B)。これらの細胞に、Oct4,Sox2, Klf4及びc-Mycの各々を有するレトロウイルスベクターの混合物により遺伝子導入し、マウス胎児繊維芽(MEF)細胞上に移し、セルソーティングするまで白血病阻害因子(LIF)の存在下で維持した(図1B)。9〜11日目に、目視可能なiPS様コロニーが、初期化されない大部分の造血細胞の中に現れた。これらのコロニーは安定に増殖した(図7A)。iPS細胞を濃縮するために、14〜16日目に、SSEA-1を発現する細胞を分別し、更に7〜12日間増殖させた(図1B)。典型的な胚性幹(ES)細胞様の外観を示すiPS細胞様コロニーを21〜28日目に拾い上げた。これらの細胞は、非常に安定な表現型を示し、高いアルカリホスファターゼ(ALP)活性を有し(図1C)、SSEA-1をES細胞の場合と同様のレベルで発現していた(図7B)。LIFが存在しない場合、胚様体が容易に形成された。CD45の一塩基多型を利用して、樹立したiPSクローンのうち、3クローンはLy5.1+細胞由来で、1クローンはLy5.1/5.2細胞由来であることが分かった(図1D)。これらの結果から、骨髄造血細胞の直接の初期化が可能であることが実証された。単一の造血幹細胞から再構成した骨髄造血幹原細胞からiPS細胞樹立した場合、これらのiPS細胞のことをsHSC-iPS細胞と命名する。
図1Aに実験の概要を示す。C57BL6(B6)Ly5,1-起源の単一の造血幹細胞から造血系を約10ヶ月再構成した後に回収した骨髄造血幹/前駆細胞から、iPS細胞の作成を試みた。この実施例では、濃縮したVSV-G偽型レトロウイルス(実施例1で作製したもの)を使用した。再構成したマウス (B6Ly5,2) の骨髄から、CD45を発現する細胞(〜98%)を含む造血幹/前駆細胞であるLin-Kit+細胞を精製した(図1B)。これらの細胞に、Oct4,Sox2, Klf4及びc-Mycの各々を有するレトロウイルスベクターの混合物により遺伝子導入し、マウス胎児繊維芽(MEF)細胞上に移し、セルソーティングするまで白血病阻害因子(LIF)の存在下で維持した(図1B)。9〜11日目に、目視可能なiPS様コロニーが、初期化されない大部分の造血細胞の中に現れた。これらのコロニーは安定に増殖した(図7A)。iPS細胞を濃縮するために、14〜16日目に、SSEA-1を発現する細胞を分別し、更に7〜12日間増殖させた(図1B)。典型的な胚性幹(ES)細胞様の外観を示すiPS細胞様コロニーを21〜28日目に拾い上げた。これらの細胞は、非常に安定な表現型を示し、高いアルカリホスファターゼ(ALP)活性を有し(図1C)、SSEA-1をES細胞の場合と同様のレベルで発現していた(図7B)。LIFが存在しない場合、胚様体が容易に形成された。CD45の一塩基多型を利用して、樹立したiPSクローンのうち、3クローンはLy5.1+細胞由来で、1クローンはLy5.1/5.2細胞由来であることが分かった(図1D)。これらの結果から、骨髄造血細胞の直接の初期化が可能であることが実証された。単一の造血幹細胞から再構成した骨髄造血幹原細胞からiPS細胞樹立した場合、これらのiPS細胞のことをsHSC-iPS細胞と命名する。
各sHSC-iPS細胞クローンは、4種の初期化因子のプロウイルス配列を有していたが(図8A)、遺伝子サイレンシグのために、導入遺伝子の発現は検出できなかった(図8B)。sHSC-iPS細胞は全て、各々の初期化因子遺伝子を内因的には発現していた(図8B)。sHSC-iPS細胞は全て、ES細胞マーカー遺伝子であるNanog、Eras、Rex1、及びGdf3を発現していた(図9A)。Nanog発現は免疫染色でも確認した(図9B)。他のES細胞マーカー遺伝子であるEcat1及びZfp296の発現量は低いにもかかわらず、これらのsHSC-iPS細胞は、テラトーマ形成(図10)及びキメラマウスへの寄与を示した(図1E)。
次に、初代骨髄造血幹/前駆細胞の直接の初期化の再現性を確認した。成体B6マウスから得たLin-Kit+骨髄細胞を用いて、レトロウイルスによる初期化を行った(図1B)。5×105の造血幹/前駆細胞から、ALP活性を示し、典型的なES細胞様の外観を有する10〜30個のコロニーが常に得られた。初代骨髄造血幹/前駆細胞から樹立したiPS細胞クローン(pHPC-iPS)は、ES細胞マーカー遺伝子を、sHSC-iPS細胞よりも強く発現していた(図2A及び図9A)。内因性の初期化因子遺伝子の発現量も、sHSC-iPS細胞(図9B)よりもpHPC-iPS細胞の方が強かった(図11)。この結果は、造血系の再構成により単一の造血幹細胞に与えられる膨大なストレスが、老化状態にあると考えられる標的細胞の効果的な初期化を制限しているという可能性を裏付けるものである。また、免疫グロブリン遺伝子における生殖細胞系の非組み換え構造を確認することにより、pHPC-iPS細胞の非B細胞起源が明らかになった(図2B)。pHPC-iPS細胞は、テラトーマの形成で実証される通り、3胚葉全てを代表する各種組織を含む多系列への分化能を有していた(図2C)。また、EGFPトランスジェニックマウスから緑色蛍光タンパク質(GFP)を構成的に発現するpHPC-iPS細胞を作成することにも成功した(図2D)。これらのiPS細胞は、胚盤胞にマイクロインジェクションした場合、胎児発生に高い寄与を示した(図2E)。
実施例3:ヒト皮膚細胞および造血前駆細胞からのiPS細胞の作製
(A)材料及び方法
(1)ヒト皮膚細胞
ヒト成人および新生児由来皮膚細胞はCell Applications, Inc. (San Diego, CA) から購入して使用した。
(2)ヒト臍帯血
ヒト臍帯血は、東京臍帯血バンクより研究用の使用に関して同意書の得られている検体の供与を受けて購入して使用した。
(3)ヒト骨髄CD34陽性細胞
ヒト骨髄 CD34陽性細胞はLonza社から購入して使用した。
(A)材料及び方法
(1)ヒト皮膚細胞
ヒト成人および新生児由来皮膚細胞はCell Applications, Inc. (San Diego, CA) から購入して使用した。
(2)ヒト臍帯血
ヒト臍帯血は、東京臍帯血バンクより研究用の使用に関して同意書の得られている検体の供与を受けて購入して使用した。
(3)ヒト骨髄CD34陽性細胞
ヒト骨髄 CD34陽性細胞はLonza社から購入して使用した。
(4)造血幹/前駆細胞(hematopoietic stem/progenitor cells (HSPCs))の精製
ヒト臍帯血をリンフォセパール液(免疫生物研究所)を用いて単核球分画に分離したのち、抗CD34抗体マイクロビーズ(Miltenyi Biotech, Bergisch Gladbach, Germany)により CD34発現造血幹/前駆細胞を純化した。
ヒト臍帯血をリンフォセパール液(免疫生物研究所)を用いて単核球分画に分離したのち、抗CD34抗体マイクロビーズ(Miltenyi Biotech, Bergisch Gladbach, Germany)により CD34発現造血幹/前駆細胞を純化した。
(5)iPS細胞クローンの作成と維持
樹立したiPS細胞及びES細胞は、20% knockout serum replacement (KSR; Invitrogen, Carlsbad, CA), 5 ng/mlの塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFCF; Upstate Biotech., Waltham, MA), 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸 (GIBCO, Grand Island, NY), 2 mM L-グルタミン, 及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補充したF-12混合ダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM/F12) からなるヒト未分化維持培地中で、50 Gy 照射済みマウスフィーダーマウス胎児繊維芽細胞 (SNL MEF細胞株) の細胞層上で維持した。
樹立したiPS細胞及びES細胞は、20% knockout serum replacement (KSR; Invitrogen, Carlsbad, CA), 5 ng/mlの塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFCF; Upstate Biotech., Waltham, MA), 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸 (GIBCO, Grand Island, NY), 2 mM L-グルタミン, 及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補充したF-12混合ダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM/F12) からなるヒト未分化維持培地中で、50 Gy 照射済みマウスフィーダーマウス胎児繊維芽細胞 (SNL MEF細胞株) の細胞層上で維持した。
(6)ヒト皮膚細胞からの iPS細胞の樹立
ヒト皮膚細胞の凍結バイアルを 37oC で融解し、10% FBS 含有 DMEM 培地にて培養を開始した。対数増殖期の細胞をトリプシン処理にて回収し、ゼラチンコートした 10 cm ディッシュに 8 x 105 個/ディッシュで播種した。1日目に、OCT3/4遺伝子、SOX2遺伝子、hKLF4遺伝子の3種類、またはcMYC遺伝子を加えた4種類のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物を皮膚細胞の培養に添加した。2日目にメディウムの除去後、新しい培地に交換し、上記と同様の遺伝子導入処理を行い、3日目に培地の交換を行った。5日目に再度培地の交換を行い、7日目に遺伝子導入した細胞をトリプシン処理にて回収し、前日 (6日目) に準備した照射済みSNLMEFフィーダー細胞層の 10 cm ディッシュ上に、5-10 x 104 個/ディッシュで播種した。8日目に培地をヒト未分化維持培地に置換し、その後2日おきにヒト未分化維持培地による培地置換を継続した。20−30日目頃、未分化なES細胞様の形態を安定して維持するコロニーを随時拾い上げ、50 Gy照射済みマウス胎児繊維芽細胞 (MEF) を含む 6 cm ディッシュ上に播種した。増殖が安定するまではヒト未分化維持培地に 10 (M の Rock 阻害剤 (Y27632、Chemicom) を添加して用いた。以後、安定して ES細胞様の形態を維持する株を選別して継代し、ヒトiPS細胞クローンを樹立した。
ヒト皮膚細胞の凍結バイアルを 37oC で融解し、10% FBS 含有 DMEM 培地にて培養を開始した。対数増殖期の細胞をトリプシン処理にて回収し、ゼラチンコートした 10 cm ディッシュに 8 x 105 個/ディッシュで播種した。1日目に、OCT3/4遺伝子、SOX2遺伝子、hKLF4遺伝子の3種類、またはcMYC遺伝子を加えた4種類のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物を皮膚細胞の培養に添加した。2日目にメディウムの除去後、新しい培地に交換し、上記と同様の遺伝子導入処理を行い、3日目に培地の交換を行った。5日目に再度培地の交換を行い、7日目に遺伝子導入した細胞をトリプシン処理にて回収し、前日 (6日目) に準備した照射済みSNLMEFフィーダー細胞層の 10 cm ディッシュ上に、5-10 x 104 個/ディッシュで播種した。8日目に培地をヒト未分化維持培地に置換し、その後2日おきにヒト未分化維持培地による培地置換を継続した。20−30日目頃、未分化なES細胞様の形態を安定して維持するコロニーを随時拾い上げ、50 Gy照射済みマウス胎児繊維芽細胞 (MEF) を含む 6 cm ディッシュ上に播種した。増殖が安定するまではヒト未分化維持培地に 10 (M の Rock 阻害剤 (Y27632、Chemicom) を添加して用いた。以後、安定して ES細胞様の形態を維持する株を選別して継代し、ヒトiPS細胞クローンを樹立した。
(7)ヒト造血幹/前駆細胞からのiPS細胞の樹立
ヒト臍帯血または骨髄血CD34陽性細胞を、フィブロネクチン断片CH296 (Takara Bio)でコートした24ウェルプレートに5 x 105細胞/ウェルで播種し、50 ng/mlマウスヒト幹細胞因子(SCF), 50 ng/mlヒトトロンボポエチン(TPO), 50 ng/ml ヒト Flt3-L, 115% FBS, 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを補充した ISCOVE'S MODIFIED DULBECCO'S MEDIUM (IMDM)培地中で予め刺激した。1日目に、抗ヒトCD34APC抗体(BD)、抗ヒトCD45Alexa405抗体で染色し、Mofloを用いてCD45陽性細胞分画中のCD34陽性(CD45+/CD34+)およびCD34陰性(CD45+/CD34-)細胞を採取し、再度レトロネクチンコートした6ウェルプレートの1ウェルに播き直した。上述の培地にOCT3/4遺伝子、SOX2遺伝子、hKLF4遺伝子の3種類、またcMYC遺伝子を加えた4種類のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物をCD34陽性細胞の培養液に添加した。2日目までに、上記と同様の遺伝子導入処理をさらに 1-3回繰り返し、以後、培地に5 ng/ml塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFCF) を加え、さらにバルプロ酸をコロニーの拾い上げ操作まで加え続けて培養を継続した。7日目頃よりメディウムを20% knockout serum replacement (KSR), 5 ng/mlの塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFCF), 50 ng/mlマウス幹細胞因子(SCF), 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸 (GIBCO, Grand Island, NY), 2 mM L-グルタミン, 及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補充したF-12混合ダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM/F12) からなるヒト未分化維持培地中で、50 Gy 照射済みマウスフィーダー細胞 (SNL MEF細胞株) の細胞層上で維持した。15日目以降、未分化なES細胞様の形態を安定して維持するコロニーを拾い上げ、50 Gy照射済みマウス胎児繊維芽細胞 (MEF) を含む 6 cm ディッシュ上に播種した。増殖が安定するまではヒト未分化維持培地に 10 (M の Rock 阻害剤 (Y27632) を添加して用いた。以後、安定して ES細胞様の形態を維持する株を選別して継代し、ヒトiPS細胞クローンを樹立した。
ヒト臍帯血または骨髄血CD34陽性細胞を、フィブロネクチン断片CH296 (Takara Bio)でコートした24ウェルプレートに5 x 105細胞/ウェルで播種し、50 ng/mlマウスヒト幹細胞因子(SCF), 50 ng/mlヒトトロンボポエチン(TPO), 50 ng/ml ヒト Flt3-L, 115% FBS, 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを補充した ISCOVE'S MODIFIED DULBECCO'S MEDIUM (IMDM)培地中で予め刺激した。1日目に、抗ヒトCD34APC抗体(BD)、抗ヒトCD45Alexa405抗体で染色し、Mofloを用いてCD45陽性細胞分画中のCD34陽性(CD45+/CD34+)およびCD34陰性(CD45+/CD34-)細胞を採取し、再度レトロネクチンコートした6ウェルプレートの1ウェルに播き直した。上述の培地にOCT3/4遺伝子、SOX2遺伝子、hKLF4遺伝子の3種類、またcMYC遺伝子を加えた4種類のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物をCD34陽性細胞の培養液に添加した。2日目までに、上記と同様の遺伝子導入処理をさらに 1-3回繰り返し、以後、培地に5 ng/ml塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFCF) を加え、さらにバルプロ酸をコロニーの拾い上げ操作まで加え続けて培養を継続した。7日目頃よりメディウムを20% knockout serum replacement (KSR), 5 ng/mlの塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFCF), 50 ng/mlマウス幹細胞因子(SCF), 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸 (GIBCO, Grand Island, NY), 2 mM L-グルタミン, 及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補充したF-12混合ダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM/F12) からなるヒト未分化維持培地中で、50 Gy 照射済みマウスフィーダー細胞 (SNL MEF細胞株) の細胞層上で維持した。15日目以降、未分化なES細胞様の形態を安定して維持するコロニーを拾い上げ、50 Gy照射済みマウス胎児繊維芽細胞 (MEF) を含む 6 cm ディッシュ上に播種した。増殖が安定するまではヒト未分化維持培地に 10 (M の Rock 阻害剤 (Y27632) を添加して用いた。以後、安定して ES細胞様の形態を維持する株を選別して継代し、ヒトiPS細胞クローンを樹立した。
(8)PCR及びRT-PCR分析
iPS細胞を回収するために、MEF細胞をゼラチンコートプレート上での付着細胞逓減により除去した。iPS細胞からのゲノムDNA試料を、QIAmp DNA Mini Kit (QIAGEN, Valencia, CA)を用いて調製した。全RNA試料をTrizol 試薬で精製し、ThermoScriptTM RT-PCR System (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて逆転写した。半定量PCR分析は、GAPDH遺伝子を内在性コントロールとして、GAPDH Control Reagents (Applied Biosystems, Foster City, CA)によりcDNA産物を用いて行った。各試料におけるGAPDH cDNAの計算上のコピー数を用いて鋳型の使用量を均等とした。各サンプルのcDNA量を調整した。PCR反応は、ExTaq HS and LA Taq HSrTaq (Takara Bio)を用いて各プライマーセットに最適な条件で行った。使用したプライマー配列は以下に示す。表2に記載のプライマー配列は、配列表の配列番号37から58にも記載する。
iPS細胞を回収するために、MEF細胞をゼラチンコートプレート上での付着細胞逓減により除去した。iPS細胞からのゲノムDNA試料を、QIAmp DNA Mini Kit (QIAGEN, Valencia, CA)を用いて調製した。全RNA試料をTrizol 試薬で精製し、ThermoScriptTM RT-PCR System (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて逆転写した。半定量PCR分析は、GAPDH遺伝子を内在性コントロールとして、GAPDH Control Reagents (Applied Biosystems, Foster City, CA)によりcDNA産物を用いて行った。各試料におけるGAPDH cDNAの計算上のコピー数を用いて鋳型の使用量を均等とした。各サンプルのcDNA量を調整した。PCR反応は、ExTaq HS and LA Taq HSrTaq (Takara Bio)を用いて各プライマーセットに最適な条件で行った。使用したプライマー配列は以下に示す。表2に記載のプライマー配列は、配列表の配列番号37から58にも記載する。
(9)テラトーマ形成及び組織学的解析
iPS細胞は、PBS中に1 x 107 細胞/mlで調製した。懸濁した細胞(1-3 x 106) を、麻酔したNOD/Scidマウスの精巣に注入した。注入の6-8週間後、マウスを屠殺し、腫瘍を解剖した。腫瘍試料を10%パラホルムアルデヒド4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
iPS細胞は、PBS中に1 x 107 細胞/mlで調製した。懸濁した細胞(1-3 x 106) を、麻酔したNOD/Scidマウスの精巣に注入した。注入の6-8週間後、マウスを屠殺し、腫瘍を解剖した。腫瘍試料を10%パラホルムアルデヒド4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
(B)結果
図13及び図14に実験の概要を示す。方法に従い操作をすることで、20日目頃より皮膚繊維芽細胞から(図13)、また12日目頃より臍帯血CD34陽性細胞、骨髄血CD34陽性細胞(図14)から、それぞれヒトES細胞様のコロニーの出現が確認された。ES細胞と同様に未分化マーカー(一例としてSSEA-4を示す、図15A)を発現しており、G-band法では染色体異常は観察されなかった(図15B)。これまでの実験で樹立したES細胞様コロニーの形成数を表に示した(表3)。
図13及び図14に実験の概要を示す。方法に従い操作をすることで、20日目頃より皮膚繊維芽細胞から(図13)、また12日目頃より臍帯血CD34陽性細胞、骨髄血CD34陽性細胞(図14)から、それぞれヒトES細胞様のコロニーの出現が確認された。ES細胞と同様に未分化マーカー(一例としてSSEA-4を示す、図15A)を発現しており、G-band法では染色体異常は観察されなかった(図15B)。これまでの実験で樹立したES細胞様コロニーの形成数を表に示した(表3)。
VPA 0.5mM
本発明の293GPG ウイルスを用いることで、臍帯血 CD45+/CD34+ 細胞から皮膚細胞と同程度か、それ以上の効率で iPS 細胞樹立が可能であった。MEF、Matrigel+MEF Conditioned medium、SNLフィーダー細胞で共培養した結果を示す。
本発明の293GPG ウイルスを用いることで、臍帯血 CD45+/CD34+ 細胞から皮膚細胞と同程度か、それ以上の効率で iPS 細胞樹立が可能であった。MEF、Matrigel+MEF Conditioned medium、SNLフィーダー細胞で共培養した結果を示す。
樹立したヒトiPS細胞クローンは、3種または4種の初期化因子のプロウイルス配列を有していたが、遺伝子サイレンシグのために、導入遺伝子の発現はRT-PCR法試行の条件下では検出できなかった。これらのヒトiPS細胞は、各々の初期化因子遺伝子を内因的には発現していた。また、ES細胞マーカー遺伝子であるNANOG、REX1を発現していた(図16)。また、これらの細胞は、テラトーマ形成能を示した。
実施例4:末梢血CD34陽性細胞からのiPS細胞の作製
(方法)
ヒト末梢血を100ml採取し、ファイコールを用いて単核球分離を行った(約2-5×10e8個の細胞を回収できた)。CD34MACS-beadsを用いて、CD34陽性細胞に純化した(5-10×10e5個の細胞を回収できた。なお、5×10e5個の細胞があれば十分に樹立可能である)。血液細胞用培地(50 ng/mlマウスヒト幹細胞因子〔SCF〕, 50 ng/mlヒトトロンボポエチン〔TPO〕, 50 ng/ml ヒト Flt3-L, 115% FBS, 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを補充した ISCOVE'S MODIFIED DULBECCO'S MEDIUM 〔IMDM〕培地)での培養開始後、1日目と2日目に、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、及びFLT-3 リガンド(FL)(50ng/ml)の存在下において、Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、cMyc遺伝子及びKlf4遺伝子のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物を添加した(12時間ごとに3回感染させた)。2日おきに培地を交換し、培養開始後7日目にMEF上に細胞を播種した。培養開始後8日目にiPS細胞用培地(20% knockout serum replacement 〔KSR〕, 5 ng/mlの塩基性繊維芽細胞成長因子 〔bFCF〕, 50 ng/mlマウス幹細胞因子〔SCF〕, 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸 〔GIBCO, Grand Island, NY〕, 2 mM L-グルタミン, 及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン〔Sigma-Aldrich, St. Louis, MO〕を補充したF-12混合ダルベッコ改変イーグル培地 〔DMEM/F12〕 からなるヒト未分化維持培地)に変更した。コロニーが確認できたらP200を用いて回収し、増殖させた。上記した末梢血CD34陽性細胞(Non-mobilized)由来のiPS細胞の樹立過程を図17に示す。
(方法)
ヒト末梢血を100ml採取し、ファイコールを用いて単核球分離を行った(約2-5×10e8個の細胞を回収できた)。CD34MACS-beadsを用いて、CD34陽性細胞に純化した(5-10×10e5個の細胞を回収できた。なお、5×10e5個の細胞があれば十分に樹立可能である)。血液細胞用培地(50 ng/mlマウスヒト幹細胞因子〔SCF〕, 50 ng/mlヒトトロンボポエチン〔TPO〕, 50 ng/ml ヒト Flt3-L, 115% FBS, 2 mM L-グルタミン,及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを補充した ISCOVE'S MODIFIED DULBECCO'S MEDIUM 〔IMDM〕培地)での培養開始後、1日目と2日目に、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、及びFLT-3 リガンド(FL)(50ng/ml)の存在下において、Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、cMyc遺伝子及びKlf4遺伝子のレトロウイルス(実施例1で作製したもの)の混合物を添加した(12時間ごとに3回感染させた)。2日おきに培地を交換し、培養開始後7日目にMEF上に細胞を播種した。培養開始後8日目にiPS細胞用培地(20% knockout serum replacement 〔KSR〕, 5 ng/mlの塩基性繊維芽細胞成長因子 〔bFCF〕, 50 ng/mlマウス幹細胞因子〔SCF〕, 0.1 mM 2-メルカプトエタノール, 0.1 mM非必須アミノ酸 〔GIBCO, Grand Island, NY〕, 2 mM L-グルタミン, 及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン〔Sigma-Aldrich, St. Louis, MO〕を補充したF-12混合ダルベッコ改変イーグル培地 〔DMEM/F12〕 からなるヒト未分化維持培地)に変更した。コロニーが確認できたらP200を用いて回収し、増殖させた。上記した末梢血CD34陽性細胞(Non-mobilized)由来のiPS細胞の樹立過程を図17に示す。
(結果)
上記のようにして樹立した正常ドナー末梢血CD34陽性細胞由来iPS細胞(TkPBV1-1)を図18に示す。本発明のウイルス産生細胞由来のレトロウイルス(OCT3/4, SOX2, KLF4, c-MYC)を導入することにより、正常ドナーのCD34陽性細胞(G-CSFでの動員なし)からヒトiPS細胞(TkPBV-1-1)を誘導することができた。
上記のようにして樹立した正常ドナー末梢血CD34陽性細胞由来iPS細胞(TkPBV1-1)を図18に示す。本発明のウイルス産生細胞由来のレトロウイルス(OCT3/4, SOX2, KLF4, c-MYC)を導入することにより、正常ドナーのCD34陽性細胞(G-CSFでの動員なし)からヒトiPS細胞(TkPBV-1-1)を誘導することができた。
Claims (23)
- 初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを産生できるように、
該初期化因子をコードする遺伝子、及び
水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むウイルス構成タンパク質をコードする遺伝子を染色体上に有する、ウイルス産生細胞。 - 初期化因子をコードする遺伝子が、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、及びMyc遺伝子の何れか1種以上である、請求項1に記載のウイルス産生細胞。
- 所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することにより得られる、請求項1又は2に記載のウイルス産生細胞。
- 初期化因子をコードする遺伝子がウイルスとして導入される、請求項3に記載のウイルス産生細胞。
- 所定の薬剤がテトラサイクリンである、請求項3または4に記載のウイルス産生細胞。
- 所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞が、ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株に対して、水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質をコードする遺伝子を導入することにより得られた細胞であって、該遺伝子が、所定の薬剤の存在下において発現できず、該薬剤の非存在下において発現できるように導入されているか、又は該遺伝子が、所定の薬剤の非存在下において発現できず、該薬剤の存在下において発現できるように導入されている細胞である、請求項3から5の何れかに記載のウイルス産生細胞。
- ヒト胎児腎細胞をアデノウィルスのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株がHEK293細胞である、請求項6に記載のウイルス産生細胞。
- 所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞が、HEK293GPG細胞である、請求項3から7の何れかに記載のウイルス産生細胞。
- 単一の細胞に由来するクローン化された細胞である、請求項1から8の何れかに記載のウイルス産生細胞。
- 所定の薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞、又は所定の薬剤の非存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できず、該薬剤の存在下において水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を発現できるパッケージング細胞に、初期化因子をコードする遺伝子を導入することを含む、請求項1から9の何れかに記載のウイルス産生細胞の製造方法。
- 初期化因子をコードする遺伝子がウイルスとして導入される、請求項10に記載の方法。
- 初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルス。
- 初期化因子をコードする遺伝子が、Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、及びMyc遺伝子の何れか1種以上である、請求項12に記載のRNAウイルス。
- 請求項1から9の何れかに記載のウイルス産生細胞により産生される、請求項12又は13に記載のRNAウイルス。
- 誘導多能性幹細胞の製造のために使用する、請求項12から14の何れかに記載のRNAウイルス。
- 製造後に凍結保存される、請求項12から15の何れかに記載のRNAウイルス。
- 請求項1から9の何れかに記載のウイルス産生細胞を培養することを含む、初期化因子をコードする遺伝子を含むRNAウイルスであって、エンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスG(VSV−G)タンパク質を含むRNAウイルスを製造する方法。
- 体細胞に請求項12から16の何れかに記載のRNAウイルスを導入することを含む、誘導多能性幹細胞の製造方法。
- 体細胞が造血細胞である、請求項18に記載の誘導多能性幹細胞の製造方法。
- 造血細胞が骨髄由来である、請求項19に記載の誘導多能性幹細胞の製造方法。
- 造血細胞が臍帯血由来である、請求項19に記載の誘導多能性幹細胞の製造方法。
- 体細胞が末梢血の細胞である、請求項18に記載の誘導多能性幹細胞の製造方法。
- 体細胞が末梢血のCD34陽性細胞である、請求項18に記載の誘導多能性幹細胞の製造方法。
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