以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、送信装置および受信装置の一例を示す図である。送信装置1と受信装置2,3とは無線通信を行うことができる。無線通信では、無線リソースとして、時間軸と周波数軸とで定義されるリソース領域の全部または一部を使用できる。
送信装置1は、送信アンテナ1a,1bを含むN+1本(Nは1以上の整数)以上の送信アンテナおよび制御部1cを有する。送信アンテナ1a,1bは、制御部1cの制御に従って、無線信号を出力する。送信アンテナ1aと送信アンテナ1bとは、同一の信号を出力することもできるし、異なる信号を出力することもできる。制御部1cは、送信アンテナ1a,1bを含む複数の送信アンテナそれぞれから出力する信号について、リソース領域の割り当てを行う。例えば、制御部1cは、受信装置2宛てのデータ信号、受信装置3宛てのデータ信号、既知信号などの送信信号をスケジューリングする。
受信装置2は、受信信号から最大でN本までの送信アンテナを検出できる。すなわち、受信装置2は、送信装置1の有する全ての送信アンテナを物理的に認識できるわけではない。受信装置2は、受信部2aおよび推定部2bを有する。受信部2aは、送信装置1の送信アンテナ1a,1bから出力される無線信号を受信する。例えば、受信部2aは、A/D変換やフーリエ変換などの処理を行う。推定部2bは、受信部2aで受信した無線信号に基づいて、チャネル状態の推定を行う。ただし、推定部2bのチャネル推定では、送信アンテナ1a,1bが1つの仮想的な送信アンテナとして認識される。
受信装置3は、受信信号からN本より多い送信アンテナを検出できる。すなわち、受信装置3は、送信装置1の有する全ての送信アンテナを物理的に認識できる可能性がある。受信装置3は、受信部3aおよび推定部3bを有する。受信部3aは、送信装置1の送信アンテナ1a,1bから出力される無線信号を受信する。例えば、受信部3aは、A/D変換やフーリエ変換などの処理を行う。推定部3bは、受信部3aで受信した無線信号に基づいて、送信アンテナ1a,1bそれぞれのチャネル状態の推定を行う。
ここで、送信装置1の制御部1cは、送信アンテナ1a,1bからの既知信号の出力を制御する。具体的には、第1の無線リソースで、送信アンテナ1aから既知信号α0が出力され、送信アンテナ1bから既知信号α1が出力されるよう制御する。また、第2の無線リソースで、送信アンテナ1aから既知信号β0が出力され、送信アンテナ1bから既知信号β1が出力されるよう制御する。ただし、既知信号β0,β1の何れか一方を送信しない(例えば、β1=0とする)よう制御してもよい。
第1の無線リソースと第2の無線リソースとは、タイミングの差が所定の第1の差(例えば、数シンボル差)以下で、かつ、周波数の差が所定の第2の差(例えば、数サブキャリア差)以下になるように設定される。第1の無線リソースと第2の無線リソースとは、できる限り近い(例えば、タイミング差が1シンボル、周波数差が1サブキャリアである)ことが好ましい。2つの無線リソースを、時間軸上で隣接させるか、または、周波数軸上で隣接させることもできる。タイミング差および周波数差からリソース領域上の距離(例えば、タイミング差と周波数差の和)を定義し、距離が所定の閾値以下になるように制御してもよい。また、第1の無線リソースと第2の無線リソースとは、リソース領域上で重複しないよう設定してもよいし、既知信号を符号多重することで重複を許容するようにしてもよい。
既知信号α0と既知信号α1とは、同一信号でもよいし異なる信号でもよい。また、既知信号α0と既知信号β0とは、同一信号でもよいし異なる信号でもよい。例えば、これら既知信号がβ0=α1 *かつβ1=−α0 *(*は複素共役演算)の関係を満たすようにしてもよい。また、これら既知信号の大きさ(絶対値)が全て1となるようにしてもよい。例として、α0=α1=β0=1,β1=−1とすることが考えられる。
この結果、受信装置2の受信部2aおよび受信装置3の受信部3aは、第1の無線リソースでは既知信号α0と既知信号α1と雑音とが重畳された信号を受信し、第2の無線リソースでは既知信号β0と既知信号β1と雑音とが重畳された信号を受信する。なお、既知信号としては、例えば、受信装置2,3が共通に検出できる共通参照信号(CRS:Common Reference Signal)が考えられる。
受信装置2の推定部2bは、受信信号から第1の無線リソースの信号を抽出して、チャネル推定を行う。このとき、第2の無線リソースの信号は参照しなくてもよい。これにより、送信アンテナ1a,1bを1つの仮想的な送信アンテナと見なした場合のチャネル状態が推定される。一方、受信装置3の推定部3bは、受信信号から第1の無線リソースの信号と第2の無線リソースの信号とを抽出して、チャネル推定を行う。これにより、送信アンテナ1a,1bそれぞれについてチャネル状態が推定される。
なお、推定部3bは、例えば、第1の無線リソースのチャネル状態と第2の無線リソースのチャネル状態とが等しいと近似して、線形演算(連立方程式の解を求める演算など)により送信アンテナ1a,1bそれぞれについてチャネル推定を行うことができる。第1の無線リソースと第2の無線リソースとが近接しているため、このように近似してもチャネル推定の精度が大きく低下しないと考えられるからである。
受信装置2の推定部2bおよび受信装置3の推定部3bの推定結果は、例えば、受信データを復調する際のチャネル補償に用いることができる。また、推定結果は、受信装置2,3から送信装置1への通信状態のフィードバックに用いることもできる。フィードバックする情報としては、例えば、チャネル状態情報(CSI:Channel State Indicator)が考えられる。送信装置1は、受信装置2,3からのフィードバックに基づいて、データ信号のスケジューリングを行うことができる。
なお、受信装置2,3は、定期的にチャネル推定を行ってもよいし、不定期(例えば、自局宛てデータが受信信号に含まれていることを検知したとき)に行ってもよい。また、受信装置2,3は、自局が何れの種類の受信装置であるか(N本を超える送信アンテナを認識できるか否か)を、データ受信前に予め送信装置1に通知するようにしてもよい。送信装置1は、N本を超える送信アンテナを認識できる受信装置が通信相手に含まれている場合のみ、第2の領域の既知信号β0,β1を送信するようにしてもよい。
このような無線通信方法では、送信装置1により、第1の無線リソースで送信アンテナ1a,1bそれぞれから既知信号が出力され、第1の無線リソースに近接した第2の無線リソースで送信アンテナ1a,1bの少なくとも一方から既知信号が出力される。受信装置2により、第1の無線リソースの既知信号に基づいて、チャネル状態の推定が行われる。また、受信装置3により、第1の無線リソースの既知信号と第2の無線リソースの既知信号とに基づいて、チャネル状態の推定が行われる。
これにより、送信装置1は、N本以下の送信アンテナまで認識できる受信装置2と、N+1本以上の送信アンテナを認識できる受信装置3とのために、別々に既知信号を送信しなくてもよい。すなわち、第1の領域の既知信号α0,α1を、2つの種類の受信装置で共通に利用することができる。従って、既知信号の送信に用いる無線リソースを抑制し、データ送信に用いる無線リソースが圧迫されることを防ぎ、無線リソースの効率的利用を図れる。
なお、上記説明では、受信装置2が2本の送信アンテナ1a,1bを仮想的な1本の送信アンテナと認識できるようにする場合を述べたが、これを一般化し、受信装置2がM本(Mは2以上の整数)の送信アンテナを仮想的な1本の送信アンテナと認識できるようにすることも可能である。これを実現するため、例えば、以下のような方法が考えられる。
すなわち、送信装置1の制御部1cは、M個の無線リソースを選択する。そして、M個の無線リソースのうち第1の無線リソースで、受信装置2,3で使用される既知信号を、M本の送信アンテナそれぞれから出力させる。また、M個の無線リソースのうち第2の無線リソースで、受信装置3で使用される既知信号を、M本の送信アンテナの少なくとも1つから出力させる。同様に、第3〜第Mの無線リソースでも、それぞれ、受信装置3で使用される既知信号を、M本の送信アンテナの少なくとも1つから出力させる。
この場合、選択するM個の無線リソースは、時間軸および周波数軸によって定義されるリソース領域上で、互いにできる限り近い位置に存在する方が好ましい。例えば、これらM個の無線リソースが、所定の時間幅(例えば、数シンボル)の範囲内で、かつ、所定の周波数幅(例えば、数サブキャリア)の範囲内に集約されていることが好ましい。
以下、上記の無線通信方法を移動通信システムに適用した例について更に詳細に説明する。具体的には、上記の送信装置1の送信方法を無線基地局に適用し、上記の受信装置2,3の受信方法を移動局に適用する。ただし、上記の無線通信方法、移動通信システム以外のシステム(例えば、固定無線通信システムやアドホック型の無線通信システム)に適用することも可能である。
図2は、移動通信システムの全体構成を示す図である。本実施の形態に係る移動通信システムは、無線基地局100および移動局200,300を含む。
無線基地局100は、移動局200,300を含む複数の移動局と並列に無線通信を行うことができる無線通信装置である。無線基地局100は、8本の送信アンテナを備えている。無線基地局100は、移動局200,300宛てのユーザデータを取得すると、符号化および変調を行い、最大で8本の送信アンテナを並列に用いて無線送信する。
移動局200,300は、無線基地局100にアクセスして無線通信を行うことができる無線端末装置である。移動局200,300としては、例えば、携帯電話機や携帯情報端末装置が用いられる。移動局200は、受信信号から最大で4本の送信アンテナを認識してチャネル推定を行うことができる。移動局300は、受信信号から最大で8本の送信アンテナを認識してチャネル推定を行うことができる。移動局200,300は、チャネル推定結果を用いて、自局宛てのユーザデータの復調および復号を行う。
なお、本実施の形態に係る移動通信システムは、LTE方式およびLTE−A方式対応の携帯電話システムとして実現できる。この場合、無線基地局100は、LTE方式とLTE−A方式の両方に対応した通信を行える。移動局200はLTE方式の通信を行い、移動局300はLTE−A方式の通信を行う。以下では、LTE方式およびLTE−A方式を想定して、無線基地局100から移動局200,300への通信(下りリンク通信)について詳細に説明する。移動局200,300から無線基地局100への通信(上りリンク通信)については、適宜説明を省略する。
図3は、無線基地局を示すブロック図である。無線基地局100は、符号化部111,113,115、変調部112,114,116、DRS生成部121、CRS生成部122、多重化/IFFT部131、スケジューラ132、RF部141〜148、送信アンテナ151〜158、受信アンテナ161、RF部162、FFT部163、復調部164および復号部165を有する。
符号化部111は、バッファメモリ(図示せず)にLTE方式対応の移動局200宛てのユーザデータが格納されている場合に、バッファメモリからユーザデータを抽出する。そして、ユーザデータを、所定の符号化方式または移動局200の通信状態に応じて選択する符号化方式で、誤り訂正符号化する。符号化方式としては、例えば、畳み込み符号、ターボ符号、低密度パリティ検査(LDPC:Low Density Parity Check)符号を用いることができる。符号化部111は、得られた符号化データを変調部112に出力する。
変調部112は、符号化部111から取得した符号化データを、所定の変調方式または移動局200の通信状態に応じて選択する変調方式で、デジタル変調する。変調方式としては、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMなどの多値変調方式を用いることができる。変調部112は、得られた変調信号を多重化/IFFT部131に出力する。
符号化部113は、バッファメモリ(図示せず)にLTE−A方式対応の移動局300宛てのユーザデータが格納されている場合に、バッファメモリからユーザデータを抽出する。そして、ユーザデータを、所定の符号化方式または移動局300の通信状態に応じて選択する符号化方式で、誤り訂正符号化する。符号化部113は、得られた符号化データを変調部114に出力する。
変調部114は、符号化部113から取得した符号化データを、所定の変調方式または移動局300の通信状態に応じて選択する変調方式で、デジタル変調する。そして、変調部114は、得られた変調信号を多重化/IFFT部131に出力する。
符号化部115は、移動局200,300に対して送信する制御情報を取得すると、制御情報を所定の符号化方式で誤り訂正符号化する。送信する制御情報には、例えば、ユーザデータの変調・符号化で採用した変調方式・符号化方式、ユーザデータが含まれているリソース領域を特定する情報、下りリンクの通信品質のフィードバックを指示する情報が含まれる。符号化部115は、得られた符号化情報を変調部116に出力する。
変調部116は、符号化部115から取得した符号化情報を、所定の変調方式でデジタル変調する。そして、変調部116は、得られた変調信号を多重化/IFFT部131に出力する。
DRS生成部121は、所定の場合(例えば、ビームフォーミングを行う場合や、LTE−A用ユーザデータの送信時にDe-Modulationを行う場合など)に、個別参照信号(DRS:Dedicated Reference Signal)を生成する。個別参照信号は、LTE−A方式対応の移動局300に対して個別に割り当てられる信号であり、移動局300宛てのユーザデータが送信される際に、併せて送信される。DRS生成部121は、生成したDRSを多重化/IFFT部131に出力する。
CRS生成部122は、ポート#0〜#7の共通参照信号(CRS)をそれぞれ生成する。ポート#0〜#3のCRSは、LTE方式対応の移動局200とLTE−A方式対応の移動局300との両方で参照される信号である。ポート#4〜#7のCRSは、LTE−A方式対応の移動局300で参照される信号である。CRS生成部122は、生成したCRSを多重化/IFFT部131に出力する。
例えば、ポート#0は、送信アンテナ151,152を1つのアンテナと見た場合の仮想的な送信ポートである。ポート#1は、送信アンテナ153,154を1つのアンテナと見た場合の仮想的な送信ポートである。ポート#2は、送信アンテナ155,156を1つのアンテナと見た場合の仮想的な送信ポートである。ポート#3は、送信アンテナ157,158を1つのアンテナと見た場合の仮想的な送信ポートである。
ポート#4は、送信アンテナ151,152を別々のアンテナと見た場合に、送信アンテナ151,152を1つのアンテナと見た場合と比べて増加する送信ポートを意味している。ポート#5は、送信アンテナ153,154を別々のアンテナと見た場合に、送信アンテナ153,154を1つのアンテナと見た場合と比べて増加する送信ポートを意味している。ポート#6は、送信アンテナ155,156を別々のアンテナと見た場合に、送信アンテナ155,156を1つのアンテナと見た場合と比べて増加する送信ポートを意味している。ポート#7は、送信アンテナ157,158を別々のアンテナと見た場合に、送信アンテナ157,158を1つのアンテナと見た場合と比べて増加する送信ポートを意味している。
LTE方式対応の移動局200では、ポート#0〜#3が認識される。ポート#0〜#3のみ認識する場合(移動局200から見ると)、ポート#0〜#3は「仮想的」であると言うことができる。一方、LTE−A方式対応の移動局300では、ポート#0〜#7が認識される。ポート#0〜#7を認識する場合(移動局300から見ると)、ポート#0〜#7は「物理的」であると言うことができる。なお、仮想的な送信アンテナを形成するため、図3の例では、隣接する2つの送信アンテナをペアにしたが、離れた位置にある2つの送信アンテナをペアにしてもよい。また、3つ以上の送信アンテナを1つの仮想的なアンテナとして形成することも可能である。
本実施の形態では、移動局200がポート#0を認識するために用いられるCRSを「ポート#0のCRS」と呼び、移動局300がポート#0,#4の両方を認識するためにポート#0のCRSに加えて用いられるCRSを「ポート#4のCRS」と呼んでいる。ポート#1のCRSとポート#5のCRSとの関係、ポート#2のCRSとポート#6のCRSとの関係、および、ポート#3のCRSとポート#7のCRSとの関係についても同様である。
多重化/IFFT部131は、スケジューラ132から通知されるスケジューリング結果に基づいて、変調部112,114,116、DRS生成部121およびCRS生成部122から取得する信号を、周波数領域にマッピングする。また、周波数領域の信号に対して逆フーリエ変換を行い、時間領域の信号を生成する。例えば、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)を行う。ただし、IFFT以外の変換アルゴリズムを用いてもよい。そして、多重化/IFFT部131は、送信アンテナ151〜158から出力する信号を、それぞれRF部141〜148に出力する。
スケジューラ132は、移動局200,300宛てのユーザデータ、制御情報、DRSおよびCRSのスケジューリングを行う。スケジューリングは、例えば、フレーム単位またはサブフレーム単位で行う。ユーザデータのスケジューリングの際には、復号部165から取得するチャネル状態情報(CSI)を参照して、ユーザデータの送信に好適な周波数帯を判断する。また、CRSは、リソース領域内の所定の領域にマッピングされるよう制御する。ただし、複数のマッピングパターンを適宜切り替えて用いてもよい。そして、スケジューラ132は、スケジューリング結果を多重化/IFFT部131に通知する。
RF部141〜148は、多重化/IFFT部131から取得したIFFT後の信号に対して無線送信処理を行い、それぞれ送信アンテナ151〜158に出力する。具体的には、RF部141は送信アンテナ151に対応する。RF部142は送信アンテナ152に対応する。RF部143は送信アンテナ153に対応する。RF部144は送信アンテナ154に対応する。RF部145は送信アンテナ155に対応する。RF部146は送信アンテナ156に対応する。RF部147は送信アンテナ157に対応する。RF部148は送信アンテナ158に対応する。無線送信処理には、例えば、D/A変換、周波数帯のアップコンバート、電力増幅などが含まれる。
送信アンテナ151〜158は、RF部141〜148から取得した送信信号をそれぞれ無線出力する。受信アンテナ161は、移動局200,300が出力した無線信号を受信し、RF部162に出力する。なお、送信アンテナ151〜158の一部または全部が受信アンテナを兼ねてもよい。その場合、送信信号と受信信号とを分離するアンテナ共用器を、無線基地局100に設けることが考えられる。
RF部162は、受信アンテナ161から取得した受信信号に対して無線受信処理を行い、得られた信号(時間領域の信号)をFFT部163に出力する。無線受信処理には、例えば、周波数帯のダウンコンバート、電力増幅、A/D変換などが含まれる。
FFT部163は、RF部162から取得した時間領域の信号に対してフーリエ変換を行い、周波数領域の信号を得る。例えば、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行う。ただし、FFT以外の変換アルゴリズムを用いてもよい。そして、FFT部163は、得られた周波数領域の信号(変調信号)を復調部164に出力する。
復調部164は、FFT部163から取得した変調信号を、所定の方式または移動局200,300の通信状態に応じて選択される方式で、復調する。復調部164は、得られた符号化データおよび符号化情報を復号部165に出力する。
復号部165は、復調部164から取得した符号化データおよび符号化情報を、所定の方式または移動局200,300の通信状態に応じて選択される方式で、誤り訂正復号する。誤り訂正に失敗した場合は、移動局200,300に対して再送を要求してもよい。これにより、移動局200,300からのユーザデータおよび制御情報が抽出される。抽出できる制御情報には、移動局200,300からのフィードバック情報であるCSIが含まれる。復号部165は、CSIを抽出した場合、スケジューラ132に出力する。
図4は、第1の移動局を示すブロック図である。移動局200は、受信アンテナ211、RF部212、FFT部213、復調部214、復号部215、CRS推定部221、符号化部231、変調部232、IFFT部233、RF部234および送信アンテナ235を有する。
受信アンテナ211は、無線基地局100が出力した無線信号を受信し、RF部212に出力する。RF部212は、受信アンテナ211から取得した受信信号に対して無線受信処理を行い、得られた信号(時間領域の信号)をFFT部213に出力する。
FFT部213は、RF部212から取得した時間領域の信号に対してフーリエ変換を行い、周波数領域の信号を得る。例えば、FFTを行う。ただし、FFT以外の変換アルゴリズムを用いてもよい。そして、FFT部213は、得られた周波数領域の信号(変調信号)を復調部214およびCRS推定部221に出力する。
復調部214は、FFT部213から取得した変調信号を、所定の方式または移動局200の通信状態に応じて選択される方式で、復調する。ユーザデータの変調に採用された変調方式は、制御情報によって通知される場合もある。その際、CRS推定部221からCRSを用いた推定結果が通知された場合は、更に推定結果を用いて(例えば、チャネル補償を行って)復調を行う。復調部214は、得られた符号化データを復号部215に出力する。
復号部215は、復調部214から取得した符号化データを、所定の方式または移動局200の通信状態に応じて選択される方式で、誤り訂正復号する。ユーザデータの符号化に採用された符号化方式は、制御情報によって通知される場合もある。誤り訂正に失敗した場合は、無線基地局100に対して再送を要求してもよい。これにより、移動局200宛てのユーザデータが抽出される。移動局200では、抽出されたユーザデータに対し、音声再生や画像表示などの各種データ処理が実行される。
CRS推定部221は、FFT部213から取得した信号に基づいて、チャネル推定やコヒーレント検出などの推定処理を行う。具体的には、CRS推定部221は、ポート#0〜#3のCRSが送信された領域の信号を、受信信号から抽出する。そして、抽出した信号と既知のCRSとに基づいて推定処理を行う。CRS推定部221は、推定結果からCSIを生成し、制御情報として符号化部231に出力する。また、CRS推定部221は、推定結果を復調部214に通知する。
なお、CRS推定部221は、上記の推定処理をポート#0〜#3それぞれに対して行う。すなわち、CRS推定部221は、無線基地局100の送信アンテナ151,152のペア、送信アンテナ153,154のペア、送信アンテナ155,156のペアおよび送信アンテナ157,158のペアそれぞれを、仮想的な送信アンテナとして認識する。
符号化部231は、無線基地局100に対して送信する制御情報を取得すると、制御情報を所定の符号化方式または移動局200の通信状態に応じて選択する符号化方式で誤り訂正符号化する。送信する制御情報には、CRS推定部221から取得したCSIが含まれる。符号化部231は、得られた符号化情報を変調部232に出力する。
変調部232は、符号化部231から取得した符号化情報を、所定の変調方式または移動局200の通信状態に応じて選択する変調方式でデジタル変調する。そして、変調部232は、得られた変調信号をIFFT部233に出力する。
IFFT部233は、変調部232から取得した変調信号を、周波数領域にマッピングする。そして、周波数領域の信号に対して逆フーリエ変換を行い、時間領域の信号を生成する。例えば、IFFTを行う。ただし、IFFT以外の変換アルゴリズムを用いてもよい。その後、IFFT部233は、得られた信号をRF部234に出力する。
RF部234は、IFFT部233から取得したIFFT後の信号に対して無線送信処理を行い、送信アンテナ235に出力する。無線送信処理には、例えば、D/A変換、周波数帯のアップコンバート、電力増幅などが含まれる。送信アンテナ235は、RF部234から取得した送信信号を無線出力する。なお、受信アンテナと送信アンテナとを兼ねるアンテナを用いてもよい。その場合、送信信号と受信信号とを分離するアンテナ共用器を、移動局200に設けることが考えられる。
図5は、第2の移動局を示すブロック図である。移動局300は、受信アンテナ311、RF部312、FFT部313、復調部314、復号部315、CRS推定部321、DRS推定部322、符号化部331、変調部332、IFFT部333、RF部334および送信アンテナ335を有する。ここで、復調部314、CRS推定部321およびDRS推定部322以外のユニットの動作は、それぞれ、前述の移動局200の同名のユニットの動作と同様であるため説明を省略する。
復調部314は、FFT部313から取得した変調信号を、所定の方式または移動局300の通信状態に応じて選択される方式で、復調する。その際、DRS推定部322からDRSを用いた推定結果が通知された場合は、更に推定結果を用いて(例えば、チャネル補償を行って)復調を行う。
CRS推定部321は、FFT部313から取得した信号に基づいて、チャネル推定やコヒーレント検出などの推定処理を行う。具体的には、CRS推定部321は、ポート#0〜#7のCRSが送信された領域の信号を、受信信号から抽出する。そして、抽出した信号と既知のCRSとに基づいて推定処理を行う。CRS推定部321は、推定結果からCSIを生成し、制御情報として符号化部331に出力する。また、CRS推定部321は、推定結果をDRS推定部322に通知する。
DRS推定部322は、FFT部313から取得した信号とCRS推定部321から通知された推定結果とに基づいて、チャネル推定やコヒーレント検出などの推定処理を行う。具体的には、DRS推定部322は、DRSが送信された領域の信号を、受信信号から抽出する。そして、抽出した信号、既知のDRSおよびCRSの推定結果に基づいて推定処理を行う。DRS推定部322は、推定結果を復調部314に通知する。
なお、DRS推定部322は、移動局300宛てのユーザデータを受信する際にDRSに基づく推定処理を行う。DRSを用いることで、CRSのみを用いる場合よりも、ユーザデータ受信時の推定精度を向上させることができる。また、CRSの推定結果を参照することで、DRSの推定精度を向上させることができる。
CRS推定部321およびDRS推定部322は、上記の推定処理をポート#0〜#7それぞれに対して行う。すなわち、CRS推定部321およびDRS推定部322は、無線基地局100の送信アンテナ151〜158それぞれを個別に認識する。
図6は、フレーム構造を示す図である。図6に示すようなOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレームが、無線基地局100から移動局200,300に対して無線送信される。
1つのフレームは、複数のサブフレーム(例えば、10個のサブフレーム)を含む。サブフレームでは、時間軸および周波数軸を含むリソース領域が細分化されて管理される。時間方向の最小単位はシンボルと呼ばれる。周波数方向の最小単位はサブキャリアと呼ばれる。1シンボル・1サブキャリアで特定される無線リソースの最小単位はリソースエレメントと呼ばれる。移動局200,300には、1サブフレーム内の複数のサブキャリア分の無線リソースが、リソースブロックとして割り当てられる。すなわち、移動局200,300へのリソース割り当ては、リソースブロック単位で行われる。
1リソースブロックには、物理層のチャネルとして、制御チャネルであるPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)とデータチャネルであるPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)とが含まれる。図6の例では、1サブフレームに14シンボルが含まれており、前3シンボルがPDCCHの領域として割り当てられ、後ろ11シンボルがPDSCHの領域として割り当てられている。
なお、図6に示したフレーム構造は一例であり、無線基地局100と移動局200,300とが、上記以外の構造のフレームを用いて無線通信を行ってもよい。例えば、制御チャネルに割り当てるシンボル数や制御チャネルの位置を変更してもよい。
図7は、サブフレームの種類を示す図である。無線基地局100が送信するサブフレームは、移動局200,300へのリソースブロックの割り当て結果から、3種類に分類できる。第1の種類は、LTEサブフレームであり、LTE−A方式対応の移動局300に割り当てたリソースブロックが含まれないものである。第2の種類は、LTE/LTE−Aサブフレームであり、LTE方式対応の移動局200に割り当てたリソースブロックとLTE−A方式対応の移動局300に割り当てたリソースブロックとが混在するものである。第3の種類は、LTE−Aサブフレームであり、LTE方式対応の移動局200に割り当てたリソースブロックが含まれないものである。
無線基地局100は、リソースブロックの割り当てについて、様々な制御方法を採用することができる。例えば、無線基地局100は、各移動局の種類(LTE方式対応およびLTE−A方式対応)を考慮せずに、リソースブロックの割り当てを行うこともできる。この場合、LTE/LTE−Aサブフレームが多くなると考えられる。一方、無線基地局100は、LTEサブフレームやLTE−Aサブフレームが多くなるように制御する、すなわち、同一種類の移動局のリソースブロックをできる限り集約するように制御してもよい。また、所定のタイミングのサブフレームを所定の種類とするよう固定してもよい。
また、無線基地局100は、サブフレームの種類に応じてCRSの送信方法を変更してもよいし、サブフレームの種類を考慮せずにCRSを送信してもよい。前者の場合、例えば、LTEサブフレームではポート#0〜#3のCRSを送信し、ポート#4〜#7のCRSは送信しないよう制御することが考えられる。これは、LTE方式対応の移動局200では、ポート#4〜#7のCRSが参照されないからである。以下では、ポート#0〜#3のCRSとポート#4〜#7のCRSの両方を送信する場合を考える。
ここで、送信アンテナ151は、2つのリソースエレメントを用いて、ポート#0のCRSとポート#4のCRSとを出力する。送信アンテナ151とペアである送信アンテナ152は、送信アンテナ151と同じ2つのリソースエレメントを用いて、ポート#0のCRSとポート#4のCRSとを出力する。すなわち、上記の2つのリソースエレメントでは、送信アンテナ151が出力するCRSと送信アンテナ152が出力するCRSとが重畳されている。重畳される2つのCRSは、同一の信号でもよいし、異なる信号でもよい。なお、送信アンテナ151,152の一方が、ポート#4のCRSを送信しないようにする(CRS=0とする)ことも可能である。
同様に、送信アンテナ153は、2つのリソースエレメントを用いて、ポート#1のCRSとポート#5のCRSとを出力する。送信アンテナ153とペアである送信アンテナ154は、送信アンテナ153と同じ2つのリソースエレメントを用いて、ポート#1のCRSとポート#5のCRSとを出力する。ただし、送信アンテナ153,154の一方が、ポート#5のCRSを送信しないようにすることも可能である。
送信アンテナ155は、2つのリソースエレメントを用いて、ポート#2のCRSとポート#6のCRSとを出力する。送信アンテナ155とペアである送信アンテナ156は、送信アンテナ155と同じ2つのリソースエレメントを用いて、ポート#2のCRSとポート#6のCRSとを出力する。ただし、送信アンテナ155,156の一方が、ポート#6のCRSを送信しないようにすることも可能である。
送信アンテナ157は、2つのリソースエレメントを用いて、ポート#3のCRSとポート#7のCRSとを出力する。送信アンテナ157とペアである送信アンテナ158は、送信アンテナ157と同じ2つのリソースエレメントを用いて、ポート#3のCRSとポート#7のCRSとを出力する。ただし、送信アンテナ157,158の一方が、ポート#7のCRSを送信しないようにすることも可能である。
以下では、送信アンテナ151〜158それぞれから出力する一組のCRS(例えば、ポート#0のCRSとポート#4のCRS)の位置関係について説明する。特に、以下の説明では、送信アンテナ151,152から出力するCRSを考える。
図8は、CRSの第1の配置方針を示す図である。(A)は、ポート#0のCRSとポート#4のCRSとを、周波数軸上で隣接している2つのリソースエレメントに割り当てる方針を示している。一方、(B)は、ポート#0のCRSとポート#4のCRSとを、時間軸上で隣接している2つのリソースエレメントに割り当てる方針を示している。
(A)の例では、ポート#0のCRS、すなわち、LTE方式対応の移動局200およびLTE−A方式対応の移動局300の両方で参照されるCRSが、所定のリソースエレメント(第1の領域)に配置されている。更に、ポート#4のCRS、すなわち、LTE−A方式対応の移動局300で参照されるCRSが、第1の領域と同じシンボルかつ第1の領域より1つ周波数の高いサブキャリアのリソースエレメント(第2の領域)に配置されている。ただし、第1の領域より1つ周波数の低いサブキャリアのリソースエレメントを、第2の領域とすることも可能である。
(B)の例では、ポート#0のCRSが、所定のリソースエレメント(第1の領域)に配置されている。更に、ポート#4のCRSが、第1の領域と同じサブキャリアかつ第1の領域より1つ前のシンボルのリソースエレメント(第2の領域)に配置されている。ただし、第1の領域より1つ後のシンボルのリソースエレメントを、第2の領域とすることも可能である。
上記(A)(B)の例では、第1の領域と第2の領域とが隣接している例を挙げたが、第1の領域と第2の領域との距離が所定の範囲内にあるように配置してもよい。例えば、第1の領域から1つ離れたリソースブロックを使用できない場合に、2つ離れたリソースブロックを第2の領域として用いてもよい。ただし、後述する理由により、第1の領域と第2の領域とは、できる限り近接している方が好ましい。
送信アンテナ153〜158から出力するCRSも、送信アンテナ151,152と同様の方針で配置することができる。ただし、チャネル推定の精度の観点から、送信アンテナ153〜158は、送信アンテナ151,152がCRSを配置したリソースエレメントでは信号(ユーザデータや制御情報の信号を含む)を送信しない方が好ましい。なお、図8(A)の方針はFDM(Frequency Division Multiplexing)的アプローチ、(B)の方針はTDM(Time Division Multiplexing)的アプローチと呼ぶこともできる。
図9は、CRSの第2の配置方針を示す図である。(A)は、ポート#0のCRSを配置したリソースエレメント(第1の領域)から、1シンボル・1サブキャリア離れた4つのリソースエレメントを、ポート#4のCRSを配置する領域(第2の領域)に割り当てる方針を示している。(B)は、ポート#0のCRSを配置したリソースエレメント(第1の領域)に隣接する4つのリソースエレメントを、ポート#4のCRSを配置する領域(第2の領域)に割り当てる方針を示している。
このように、第1の領域に近接する複数のリソースエレメントを第2の領域として用いた場合、符号多重が可能となる。すなわち、拡散コードを用いてCRSを拡散させることで、ポート#4のCRSの送信に使用するリソースエレメントを、更に他のCRSやユーザデータの信号の送信にも使用することができる。このため、送信アンテナ153〜158も、上記4つのリソースエレメントを使用することが可能である。
上記(A)(B)の例では、第1の領域と第2の領域とが時間方向、周波数方向または斜め方向に隣接している例を挙げたが、前述の通り、第1の領域と第2の領域との距離が所定の範囲内にあるように配置してもよい。例えば、第1の領域から2つ以上離れたリソースブロックを第2の領域として用いてもよい。ただし、第1の領域と第2の領域とは、できる限り近接している方が好ましい。
なお、CRSを他の送信アンテナから出力されるCRSと重畳させる方針はCDM(Code Division Multiplexing)的アプローチ、CRSを他の送信アンテナから出力されるデータ信号と重畳させる方針はSuperposition的アプローチと呼ぶこともできる。送信アンテナ153〜158から出力するCRSも、送信アンテナ151,152と同様の方針で配置することができる。
図10は、CRSの第1の配置例を示す図である。図10に示す配置例は、図8(B)に示した方針に従ってCRSを配置したリソースブロックを示している。ここで、図10(A)は送信アンテナ151,152から出力される信号、(B)は送信アンテナ155,156から出力される信号の例である。
(A)の例では、PDCCHの領域内の2個のリソースエレメントとPDSCHの領域内の6個のリソースエレメントとが、ポート#0のCRSのために割り当てられている。また、PDSCHの領域内の6個のリソースエレメントが、ポート#4のCRSのために割り当てられている。PDSCHの領域内では、上記2つの種類のリソースエレメントが時間軸上で隣接している。
なお、(A)の例は、ポート#1〜#3のCRSの送信に用いられるリソースエレメントを、送信アンテナ151,152が使用しないことを示している。同様に、ポート#5〜#7のCRSの送信に用いられるリソースエレメントを使用しないようにしてもよい。また、(A)の例では、ポート#4のCRSを、PDCCHの領域内に配置していない。ただし、ポート#4のCRSをPDCCHの領域内に配置することも可能である。
(B)の例では、PDCCHの領域内の2個のリソースエレメントとPDSCHの領域内の2個のリソースエレメントとが、ポート#2のCRSのために割り当てられている。また、PDSCHの領域内の4個のリソースエレメントが、ポート#6のCRSのために割り当てられている。PDSCHの領域内では、上記2つの種類のリソースエレメントが時間軸上で隣接している。
なお、(B)の例は、ポート#0,#1,#3のCRSの送信に用いられるリソースエレメントを、送信アンテナ155,156が使用しないことを示している。同様に、ポート#4,#5,#7のCRSの送信に用いられるリソースエレメントを使用しないようにしてもよい。また、(B)の例では、ポート#6のCRSを、PDCCHの領域内に配置していない。その代わりに、PDSCHの領域内であってPDCCHの領域内のCRSから最も近い位置のリソースエレメントに、ポート#6のCRSを配置している。ただし、ポート#6のCRSをPDCCHの領域内に配置することも可能である。
上記図10(A)(B)の例で示すように、リソースブロックに含めるCRSの個数を、送信アンテナによって異なるようにしてもよい。上記例では、送信アンテナ151,152から出力するCRSの個数を、送信アンテナ155,156から出力するCRSの個数よりも多くしている。また、ポート#4〜#7のCRSは、PDCCHの領域を避けるように配置することもできる。
図11は、CRSの第2の配置例を示す図である。図11に示す配置例は、図9(A)に示した方針に従ってCRSを配置したリソースブロックを示している。ここで、図11(A)は送信アンテナ151,152から出力される信号、(B)は送信アンテナ155,156から出力される信号の例である。
(A)の例では、PDCCHの領域内の2個のリソースエレメントとPDSCHの領域内の6個のリソースエレメントとが、ポート#0のCRSのために割り当てられている。また、PDSCHの領域内の16個のリソースエレメントが、ポート#4のCRSのために割り当てられている。
なお、(A)の例は、ポート#1〜#3のCRSの送信に用いられるリソースエレメントを、送信アンテナ151,152が使用しないことを示している。一方、ポート#5〜#7のCRSの送信に用いられるリソースエレメントは、これらCRSと符号多重することで使用してもよい。また、(A)の例では、図10の場合と同様、ポート#4のCRSを、PDCCHの領域内に配置していない。ただし、ポート#4のCRSをPDCCHの領域内に配置することも可能である。
また、(A)の例では、PDSCHの領域内のポート#0のCRS6個のうち4個の近傍に、ポート#4のCRSを追加配置している。これは、ポート#4のCRSが多くなり過ぎることを防ぐためである。ただし、ポート#0のCRS6個全ての近傍に、ポート#4のCRSを配置してもよい。
(B)の例では、PDCCHの領域内の2個のリソースエレメントとPDSCHの領域内の2個のリソースエレメントとが、ポート#2のCRSのために割り当てられている。また、PDSCHの領域内の8個のリソースエレメントが、ポート#6のCRSのために割り当てられている。
なお、(B)の例は、ポート#0,#1,#3のCRSの送信に用いられるリソースエレメントを、送信アンテナ155,156が使用しないことを示している。一方、ポート#4,#5,#7のCRSの送信に用いられるリソースエレメントは、これらCRSと符号多重することで使用してもよい。また、(B)の例では、図10の場合と同様、ポート#6のCRSを、PDCCHの領域内に配置していない。ただし、ポート#6のCRSをPDCCHの領域内に配置することも可能である。
上記図11(A)(B)の例で示すように、リソースブロックに含めるCRSの個数を、送信アンテナによって異なるようにしてもよい。また、ポート#4〜#7のCRSは、PDCCHの領域を避けるように配置することもできる。また、CRSが多くなり過ぎる場合(例えば、リソースブロック内でCRSを送信するリソースエレメントの数または割合が所定の閾値を超える場合)には、CRSを間引いてもよい。
次に、ポート#0〜#3のCRSの近傍にポート#4〜#7のCRSを配置することが好ましい理由を説明する。以下の説明では、送信アンテナ151,152のペアについて考える。他の送信アンテナのペアについても同様である。
送信アンテナ151が出力するポート#0のCRSの複素数表現をα0、送信アンテナ152が出力するポート#0のCRSの複素数表現をα1と置く。送信アンテナ152が出力するポート#4のCRSの複素数表現をβ0、送信アンテナ152が出力するポート#4のCRSの複素数表現をβ1と置く。また、α0,α1はサブキャリアk,シンボルlで送信され、β0,β1はサブキャリアk+m,シンボルl+n(m,nは0でない整数)で送信されるとする。
この場合、移動局300がサブキャリアk,シンボルlで受信する信号r(k、l)とサブキャリアk+m,シンボルl+nで受信する信号r(k+m、l+n)とは、以下の式(1−1)および(1−2)のように定義される。ただし、h0は送信アンテナ151についてのチャネル状態、h1は送信アンテナ152についてのチャネル状態、ηは白色ガウス雑音である。
このとき、mおよびnが十分小さければ、すなわち、2つのリソースエレメントが十分に近接していれば、2つのリソースエレメントのチャネル状態が等しいと近似できる。すなわち、以下の式(2−1)および(2−2)のような近似が可能である。
ここで、α0,α1,β0,β1を、以下の式(3)のように置く場合を考える。すなわち、送信アンテナ151から出力するポート#0のCRSおよびポート#4のCRS、送信アンテナ152から出力するポート#0のCRSを全て同じ信号にすると共に、送信アンテナ152からはポート#4のCRSを出力しない場合を考える。
上記の式(2−1),(2−2)および(3)を、式(1−1)および(1−2)に適用すると、2つのリソースエレメントで受信する信号の差分は、以下の式(4)のように近似できる。
上記の式(4)に従えば、移動局300は、送信アンテナ152のチャネル状態h1を推定できる。そして、h1の推定結果を用いると、送信アンテナ151のチャネル状態h0を算出することができる。ただし、上記の式(3)に示すように、送信アンテナ151,152の一方がポート#4のCRSを送信しないと、移動局300で検出される受信レベルに差異が生じ得る。例えば、SNR(Signal to Noise Ratio)で3dB程度の差異が生じる場合も考えられる。
一方、α0,α1,β0,β1を、以下の式(5)のように置く場合を考える。式(5)において、*は複素共役演算を意味する。ここで、十分な信号レベルを確保するために、α0,α1,β0,β1の絶対値は1にすることがより好ましい。例えば、α0=α1=β0=1,β1=−1と置くことができる。なお、式(5)は、STC(Space Time Code)の考え方に基づいて導出することができる。STCについては、例えば、以下の文献で言及されている。
S. M. Alamouti, "A Simple Transmit Diversity Technique for Wireless Communications", IEEE Journal on Select Areas in Communications, vol. 16, No. 8, pp. 1451-1458, Oct. 1998.
上記の式(2−1),(2−2)および(5)を、式(1−2)に適用すると、サブキャリアk+m,シンボルl+nで受信する信号r(k+m、l+n)は、以下の式(6)のように近似できる。
すなわち、移動局300は、上記の式(1−1)と(6)とに基づいて、受信した信号r(k、l)およびr(k+m、l+n)から、チャネル状態h0,h1をそれぞれ推定できる。例えば、チャネル推定のための線形の式として、移動局300は、以下の式(7−1)および(7−2)を用いることができる。ここで、式(7−1)は送信アンテナ151のチャネル応答値を算出する式であり、式(7−2)は送信アンテナ152のチャネル応答値を算出する式である。
上記の式(7−1)および(7−2)に示した算出式の例と実際のチャネル状態との対応関係は、以下の式(8−1)および(8−2)のように導出される。式(8−1)および(8−2)が示すように、雑音成分を除けば、上記の式(7−1)および(7−2)は実際のチャネル状態を反映したものとなっている。
このように、ポート#0のCRSとポート#4のCRSとを、近接したリソースエレメントに配置することで、移動局300は、精度よく推定を行うことができる。
なお、上記説明では、2つの送信アンテナ151,152が移動局200から1つの仮想的な送信アンテナに見えるように制御する場合を説明したが、これ以外の仮想アンテナマッピングの方法にも適用できるように上記説明を一般化することもできる。例えば、一般化した仮想アンテナマッピングは、以下の式(9)のように定義できる。
ここで、αj,iはj番目の仮想的な送信アンテナ、i=0,1,・・・,7は物理的な送信アンテナ151〜158を示す。LTE方式対応の移動局200については、j=0,1,2,3の場合を考えればよい。一方、LTE−A方式対応の移動局300については、j=0,1,・・・,7の場合を考えればよい。
なお、無線基地局100は、CDDを行ってもよい。すなわち、送信アンテナ151と送信アンテナ152とから本来は同一であるCRSを出力する場合であっても、意図的に両者の送信タイミングをずらす(すなわち、周波数領域上で信号を位相回転させる)こともできる。CDDを行った場合、移動局200,300では周波数ダイバーシティの利得を得ることができる。
また、移動局200,300は、推定処理の目的に応じて、受信信号の利用方法を変えることもできる。例えば、CSIを生成する目的の場合、CSRが送信された領域の統計値を用いることが考えられる。すなわち、一定区間(例えば、1つのサブフレームや1つのフレーム)内の複数の領域について平均化し、平均値から推定処理を行う。一方で、ユーザデータを復調する目的の場合、瞬間的な受信信号を用いることが考えられる。すなわち、ユーザデータの信号が割り当てられた領域に近い領域におけるCSRの推定結果のみを用いて、復調する。
次に、無線基地局100で実行される送信処理および移動局200,300で実行される受信処理の流れを説明する。
図12は、無線基地局の送信処理を示すフローチャートである。図12に示す送信処理は、無線基地局100によって繰り返し実行される。以下、処理内容の詳細をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]スケジューラ132は、移動局200,300からフィードバックされたCSIを参照して、ユーザデータや制御情報の信号などの各種送信信号をスケジューリングする。ただし、CRSの送信に用いるリソースは固定しておいてもよい。スケジューリングは、以下のステップS12の送信信号の生成後に実行することもできる。
[ステップS12]無線基地局100では、送信信号が生成される。具体的には、以下のステップS121〜S128に示す処理の全部または一部が実行される。
[ステップS121]符号化部111は、LTE方式対応の移動局200宛てのユーザデータを誤り訂正符号化する。
[ステップS122]変調部112は、LTE方式対応の移動局200宛てのユーザデータをデジタル変調する。なお、ステップS121,S122の処理は、他の処理(ステップS123〜S128の処理)と並列に実行できる。
[ステップS123]符号化部113は、LTE−A方式対応の移動局300宛てのユーザデータを誤り訂正符号化する。
[ステップS124]変調部114は、LTE−A方式対応の移動局300宛のユーザデータをデジタル変調する。なお、ステップS123,S124の処理は。他の処理(ステップS121,S122,S125〜S128の処理)と並列に実行できる。
[ステップS125]符号化部115は、移動局200宛ておよび移動局300宛ての制御情報を誤り訂正符号化する。
[ステップS126]変調部116は、移動局200宛ておよび移動局300宛ての制御情報をデジタル変調する。なお、ステップS125,S126の処理は。他の処理(ステップS121〜S124,S127,S128の処理)と並列に実行できる。
[ステップS127]CRS生成部122は、ポート#0〜#7それぞれのCRSを生成する。ただし、サブフレームの種類によっては、一部のポートのCRSを生成しなくてもよい場合がある。ステップS127の処理は、他の処理(ステップS121〜S126,S128の処理)と並列に実行できる。
[ステップS128]DRS生成部121は、DRSを生成する。ただし、移動局300宛てのユーザデータを送信しないサブフレームでは、DRSを生成しなくてもよい。ステップS128の処理は、他の処理(ステップS121〜S127の処理)と並列に実行できる。
[ステップS13]多重化/IFFT部131は、ステップS12で生成した送信信号をステップS11のスケジューリング結果に応じてOFDMフレームにマッピングする。
[ステップS14]多重化/IFFT部131は、ステップS13でマッピングされた送信信号に対して、IFFTを行う。
[ステップS15]RF部141〜148は、ステップS14でIFFT処理された後の信号に対して、無線送信処理を行う。そして、無線信号を送信アンテナ151〜158から出力する。
図13は、CRSと送信アンテナとの対応関係を示す図である。図13は、CRS生成部122が生成するCRSと送信アンテナ151〜158が出力する信号との対応付けを示している。
CRS生成部122は、ポート#0のCRSとしてα0,0とα1,0を生成する。また、ポート#4のCRSとしてβ0,0とβ1,0を生成する。この場合、多重化/IFFT部131は、α0,0とβ0,0を送信アンテナ151にマッピングする。また、α1,0とβ1,0を送信アンテナ152にマッピングする。
CRS生成部122は、ポート#1のCRSとしてα0,1とα1,1を生成する。また、ポート#5のCRSとしてβ0,1とβ1,1を生成する。この場合、多重化/IFFT部131は、α0,1とβ0,1を送信アンテナ153にマッピングする。また、α1,1とβ1,1を送信アンテナ154にマッピングする。
CRS生成部122は、ポート#2のCRSとしてα0,2とα1,2を生成する。また、ポート#6のCRSとしてβ0,2とβ1,2を生成する。この場合、多重化/IFFT部131は、α0,2とβ0,2を送信アンテナ155にマッピングする。また、α1,2とβ1,2を送信アンテナ156にマッピングする。
CRS生成部122は、ポート#3のCRSとしてα0,3とα1,3を生成する。また、ポート#7のCRSとしてβ0,3とβ1,3を生成する。この場合、多重化/IFFT部131は、α0,3とβ0,3を送信アンテナ157にマッピングする。また、α1,3とβ1,3を送信アンテナ158にマッピングする。
図14は、第1の移動局の受信処理を示すフローチャートである。図14に示す受信処理は、LTE対応の移動局200によって繰り返し実行される。以下、処理内容の詳細をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
[ステップS21]RF部212は、無線基地局100から受信された無線信号に対して、無線受信処理を行う。
[ステップS22]FFT部213は、ステップS21で無線受信処理された後の受信信号に対して、FFTを行う。
[ステップS23]CRS推定部221は、ポート#0〜#3のCRSを参照して、チャネル推定やコヒーレント検出などの推定処理を行う。ポート#4〜#7のCRSは参照しなくてもよい。すなわち、CRS推定部221は、上記のα0,0・α1,0・α0,1・α1,1・α0,2・α1,2・α0,3・α1,3を参照して、4つの仮想的なアンテナそれぞれのチャネル応答値を算出する。
[ステップS24]復調部214は、ステップS23の推定結果を用いて、移動局200宛てのユーザデータの復調を行う。
[ステップS25]CRS推定部221は、ステップS23の推定結果に基づいて、無線基地局100にフィードバックするCSIを生成する。なお、ステップS24の処理とステップS25の処理とは、逆順でもよい。また、何れか一方の処理のみ行ってもよい。
図15は、第2の移動局の受信処理を示すフローチャートである。図15に示す受信処理は、LTE−A対応の移動局300によって繰り返し実行される。以下、処理内容の詳細をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
[ステップS31]RF部312は、無線基地局100から受信された無線信号に対して、無線受信処理を行う。
[ステップS32]FFT部313は、ステップS31で無線受信処理された後の受信信号に対して、FFTを行う。
[ステップS33]CRS推定部321は、ポート#4〜#7のCRSが送信されているリソースエレメントの信号を特定する。なお、CRS推定部321は、無線基地局100がCDDを行っている場合など、ポート#4〜#7のCRSが送信されているリソースエレメントの受信信号に対して様々な演算を行う場合がある。
[ステップS34]CRS推定部321は、ポート#0〜#3のCRSが送信されているリソースエレメントの信号を特定する。なお、CRS推定部321は、ステップS33と同様、ポート#0〜#3のCRSが送信されているリソースエレメントの受信信号に対して様々な演算を行う場合がある。ステップS33の処理とステップS34の処理とは、逆順に行ってもよい。
[ステップS35]CRS推定部321は、ステップS33,S34で特定した信号に基づいて、チャネル推定やコヒーレント検出などの推定処理を行う。すなわち、CRS推定部321は、上記のα0,0・α1,0・α0,1・α1,1・α0,2・α1,2・α0,3・α1,3・β0,0・β1,0・β0,1・β1,1・β0,2・β1,2・β0,3・β1,3を参照して、8個の物理的な送信アンテナそれぞれのチャネル応答値を算出する。
[ステップS36]DRS推定部322は、ステップS35の推定結果(CRSに基づく推定結果)を用いて、DRSの推定処理を行う。
[ステップS37]復調部314は、ステップS36の推定結果(DRSに基づく推定結果)を用いて、移動局300宛てのユーザデータの復調を行う。
[ステップS38]CRS推定部321は、ステップS35の推定結果(CRSに基づく推定結果)に基づいて、無線基地局100にフィードバックするCSIを生成する。なお、ステップS36,S37の処理とステップS38の処理とは、逆順でもよい。また、何れか一方の処理のみ行ってもよい。
本実施の形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局100は、4本までの送信アンテナを認識できるLTE方式対応の移動局200と、8本までの送信アンテナを認識できるLTE−A方式対応の移動局300との両方と無線通信を行うことができる。その際、無線基地局100は、2種類の移動局のために別々にCRSを送信しなくてもよい。
すなわち、移動局200は第1の領域のCRSからチャネル応答値を推定でき、移動局300は第1の領域および第2の領域のCRSからチャネル応答値を推定できるように制御可能である。言い換えると、第1の領域のCRSは、2つの種類の移動局で共通に参照されるように制御できる。従って、CRSの送信に用いる無線リソースを抑制し、ユーザデータの送信に用いる無線リソースが圧迫されることを防ぎ、無線リソースの効率的利用を図れる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。