JPWO2010104176A1 - メガリンタンパク切断阻害剤 - Google Patents

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Abstract

メガリンタンパクの切断阻害という新規機序に基づく腎障害改善薬を提供する。シグナルペプチドペプチダーゼもしくはγセクレターゼを阻害する物質はメガリンタンパク切断阻害剤として有用であり、また、メガリンタンパクのシグナル伝達に関わる負の機能のみを特異的に抑えることができるため、メガリンタンパク切断に関連する疾患、特に腎疾患に対する副作用の少ない治療/予防薬となる。

Description

本発明は、メガリンタンパクの切断に関する実験を行うための試薬やメガリンタンパクの切断により媒介される疾患を治療するための薬剤等に有用なメガリンタンパク切断阻害剤に関する。
メガリン(Megalin)は、Low-density lipoprotein (LDL)受容体ファミリーの1員であって、近位尿細管上皮細胞の細胞膜上に局在し、分子量が約600KDaの糖タンパク質である。メガリンは、4655個のアミノ酸(ヒトメガリン)、又は4660個のアミノ酸(ラットメガリン)から成る、N末側を細胞外に位置する巨大な細胞膜タンパク質であって、4つの機能的ドメインを有する巨大な細胞外領域と、それに続く(単一の細胞膜貫通領域を介して)短い細胞内領域から構成されている。
メガリンは腎疾患などに関与する抗原であることが知られており、腎疾患などの発症機序の解明などのためにメガリンの挙動や機能が着目され、メガリンについての種々の実験が行われている。これらのうち、特許文献1には、メガリンが腎症患者の尿中に排泄されることに着目し、その量を定量することにより、腎疾患などの病気を診断することが記載されている。
一方、近年メガリンタンパクはNotchやAPPといった他の一回膜貫通タンパクと同様な機序で切断を受けることが示唆されている。この切断は細胞外部分の1段階目の切断とそれに引き続く、膜貫通部分の2段階目の切断によるものと考えられている。メガリンが切断される生体における意義は未だ明らかとなっていないものの、Notchと同様、膜貫通部分での切断によって生じる細胞内領域を含むメガリンC末断片が細胞シグナルを伝える機能を有していることが示唆されている。(非特許文献1)
また、メガリンC末端側の細胞内領域には3箇所のNPXYモチーフがあり、メガリンタンパクの細胞内取り込みに重要であることが推測されている。最C末端側にはPDZ-bindingモチーフがあり、またDab2、Meg BPなどのメガリンの細胞内ドメインに結合するアダプター分子も同定され、このような分子がメガリンタンパクのそのものの機能、もしくはシグナル伝達の制御に関与することが推定されている。(非特許文献2)
NotchやAPPといった一回膜貫通型タンパクを切断する酵素としては、プレセニリンタンパクを酵素本体にもつγ−セクレターゼが知られている。Selkoeらはプレセニリンタンパクの詳細な解析を行い、プレセニリン膜貫通部位の2箇所のアスパラギン酸をアラニンに置換することでγ−セクレターゼの抑制効果が得られることを示し、プレセニリンが新規の膜貫通型アスパルチルプロテアーゼであることを報告した。(非特許文献3)
プレセニリンは推定で8回膜貫通型のタンパクであり、APPからのアミロイドβタンパクの産生を調節している。プレセニリンに変異が入り異常が生じると、アミロイドβのうち、アルツハイマー病の発症の原因と推定されているアミロイドβ42の産生が亢進し神経細胞死を助長することが明らかとなっている。こうしたことから、γ−セクレターゼの阻害剤は、アルツハイマー病の治療薬になる可能性が高いと考えられており、精力的にγ−セクレターゼ阻害剤の開発が進められている。(非特許文献4)
一方、Martoglioらはプレセニリンと類似の膜貫通型アスパルチルプロテアーゼとしてシグナルペプチドペプチダーゼを同定した。(非特許文献5)さらに、シグナルペプチドペプチダーゼの臓器別の発現を詳細についても詳細に解析され、特に肝臓および腎臓に高発現していることが明らかにされた。(非特許文献6)
プレセニリンとシグナルペプチドペプチダーゼの推定構造から基質の膜配向性についても解析が進められている。プレセニリンはC末端が細胞質側に配向したI型膜タンパクを、シグナルペプチドペプチダーゼはN末端が細胞質側に配向したII型膜タンパクをそれぞれ切断する可能性を示唆させる文献報告がなされている一方で、シグナルペプチドペプチダーゼにはプレセニリンと同一の膜配向性をもつタイプがあることも示唆されており、どのような機序で膜タンパクの切断に関わるのかは、未だ明らかではない。(非特許文献7)
プレセニリンとシグナルペプチドペプチダーゼの関連性は明らかとなってはいないが、アルツハイマー病治療薬として開発が進められているγ−セクレターゼ阻害剤がプレセニリンのみならずシグナルペプチドペプチダーゼに対しても阻害活性を有する可能性を示す報告が近年なされている。Fuwaらの報告によると、γ−セクレターゼ阻害剤の構造活性相関を解析しており、(N-[N-(3,5-difluorophenylacetyl)-L-alanyl]-(S)-phenylglycine tert-butyl ester (DAPT)はプレセニリンのみの阻害活性を有している一方、 (S,S)-2-[2-(3,5-Difluorophenyl)acetylamino]-N-(5-methyl-6-oxo-6,7-dihydro-5H-dibenzo[b,d]azepin-7-yl)propionamide (DBZ)や (2S)-2-{[(3,5-Difluorophenyl)acetyl]amino}-N-[(3S)-1-methyl-2-oxo-5-phenyl-2,3-dihydro-1H-1,4-benzodiazepin-3-yl]propanamide (Compound E)には、プレセニリンとシグナルペプチドペプチダーゼの両方の阻害活性があることを明らかにしている。(非特許文献8)
文献記載中、推定ではあるが、メガリンタンパクの膜貫通部位にγ−セクレターゼにより切断を受ける位置が存在するとの報告もなされている。(非特許文献2)しかしながら、プレセニリンやシグナルペプチドペプチダーゼがメガリンタンパクの切断に関わるのか否か、またメガリンタンパク切断と病態との関わりについては明らかにはなっていない。
特開2007−263750号公報
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本発明は、メガリンタンパク切断の阻害という新規機序に基づく腎障害治療薬を提供することを目的とする。
非特許文献9の筆者らは、γ−セクレターゼ阻害活性を有するDBZが腎障害モデルラットにおける尿中アルブミン漏出及び糸球体障害を改善することを根拠に、Notchタンパクの切断阻害が腎障害の治療に重要であると示している。
しかしながら、本発明者らはNotchタンパク切断阻害よりもむしろメガリン切断阻害がそれに伴う腎障害の改善に重要であることを見出した。すなわち本発明者らは、メガリンタンパク切断片のうち、2段階目切断片が腎尿細管細胞の障害を直接誘導することを確認した上で、γ−セクレターゼを阻害するがシグナルペプチドペプチダーゼを阻害せず、Notchタンパク切断を阻害することも知られるDAPT(非特許文献8)の処理によってメガリンタンパクの切断が亢進し、腎障害モデルラットにおける障害がむしろ悪化することを見出し、一方、γ−セクレターゼとシグナルペプチドペプチダーゼの両方を阻害し、Notchタンパク切断を阻害することも知られるDBZ(非特許文献8)の処理によって、メガリンタンパクの切断が阻害され腎障害モデルラットにおける障害が改善することを見出した。以上のことからシグナルペプチドペプチダーゼの阻害がメガリンタンパク切断の阻害に重要な役割を担い、メガリンタンパク切断の阻害に引き続く腎障害改善効果をも示すことを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
Figure 2010104176
Figure 2010104176
すなわち、本発明は、シグナルペプチドペプチダーゼ阻害物質を含有することを特徴とする、メガリンタンパク切断阻害剤を提供する。
また、本発明は、γセクレターゼ阻害物質を含有することを特徴とするメガリンタンパク切断阻害剤を提供する。
また、本発明は、分子内にアミド構造を有するメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とするメガリンタンパク切断阻害剤を提供する。
また、本発明は、メガリンタンパク切断阻害剤を含有することを特徴とする腎障害治療薬を提供する。
メガリンタンパクの切断を阻害する物質は、メガリンタンパクのシグナル伝達に関わる負の機能のみを特異的に抑えることができるため、メガリンタンパク切断に関連する疾患、特に腎疾患に対する副作用の少ない治療/予防薬となる。
図1は、ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたDAPT投与による尿サンプルおよび血漿サンプル中のAlb濃度の経日的な結果を示す。 図2は、ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたDAPT投与によるPAS染色による腎臓組織像の結果を示す。 図3は、ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたDAPT投与による腎組織中のメガリンタンパク断片の発現様式を示す。 図4は、ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたDBZ投与による尿サンプルおよび血漿サンプル中のAlb濃度の経日的な結果を示す。 図5は、ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたDBZ投与によるPAS染色による腎臓組織像の結果を示す。 図6は、ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたDBZ投与による腎組織中のメガリンタンパク断片の発現様式を示す。
本発明において、メガリンタンパク切断阻害物質は、メガリンタンパク切断を阻害する活性を有するものであれば、特に制限されず、シグナルペプチドペプチダーゼ阻害活性を有していても、γ−セクレターゼを阻害する活性を有していても良い。
メガリンタンパク切断阻害物質としては分子内にアミド構造を有するものが好ましく、該アミド構造の少なくとも一つの窒素原子と直結した環構造を有し、該環構造が窒素原子を含むものがより好ましい。
また、メガリンタンパク切断阻害物質としては、ポリアミド構造を有するものも好ましく、分子内に芳香族環基をさらに有するものがより好ましい。本発明において、ポリアミド構造とは4以上のアミド構造であるのが好ましく、より好ましくは4〜25のアミド構造であり、さらに好ましくは5〜15のアミド構造であり、最も好ましくは5〜8のアミド構造である。
メガリンタンパク切断阻害物質としては、例えばNaunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 2008;377(4-6):295-300、THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY.2007;282(51):36829-36836、THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY. 2003;278(19):16528-16533などに記載されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、例えば、DBZ(非特許文献8)、Compound E(非特許文献8)、NAP−AHW700−NX(非特許文献11)、LY411575(非特許文献11)、L−695458(非特許文献11)、TBL4K(非特許文献11)及び(Z−LL)2−Ketone(非特許文献11)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、メガリンタンパク切断阻害物質は、DBZ、Compound E、NAP−AHW700−NX及びLY411575である。また、TBL4K及び(Z−LL)2−Ketoneもメガリンタンパク切断阻害物質として好ましい。
上記の具体的なメガリンタンパク切断阻害剤の構造を以下に示す。
Figure 2010104176
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上記の具体的な化合物のうち、TBL4K及び(Z−LL)2−Ketoneはいずれもシグナルペプチドペプチダーゼに対する阻害作用を示すが、γ−セクレターゼを阻害しないことが知られている。一方、DBZ、Compound E、L−685458、NAP−AHW700−NX及びLY411575はいずれもシグナルペプチドペプチダーゼに対する阻害活性に加えて、γ−セクレターゼに対する阻害活性をも有することが知られている。従って、本発明のメガリンタンパク切断阻害物質は、シグナルペプチドペプチダーゼ阻害物質、及び/又は、γセクレターゼ阻害物質であってもよく、シグナルペプチドペプチダーゼ阻害物質であることが好ましい。
本発明のメガリンタンパク切断阻害物質は、市販品を用いることも可能である。また、(1)化学的に合成する方法、又は(2)酵素的な反応により合成する方法等の公知手法を適宜用いることによって取得することができる。化学的に合成する方法としては、液相合成法や固相合成法が挙げられる。合成したシグナルペプチドペプチダーゼ阻害物質は通常の手段、例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーや再結晶などの手段によって精製することができる。このような化学合成法、およびそれに続く精製はこの技術分野においてよく知られたものである。
本発明のメガリンタンパク切断阻害剤は、上記のメガリンタンパク切断阻害物質を単独で又は任意の2種又は3種以上を組み合わせて含有してもよく、さらに、医薬的、生理学的、実験的に許容しうるあらゆる固体又は液体の担体、添加物等を含有させてもよい。
上記担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ゼラチン、アルブミン、アミノ酸、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、本発明のメガリンタンパク切断阻害剤に、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
上記添加物としては、目的に応じて当該目的に対して通常用いられるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、香料、糖類、甘味料、食物繊維類、ビタミン類、グルタミン酸ナトリウム(MSG)などのアミノ酸類、イノシン一リン酸(IMP)などの核酸類、塩化ナトリウムなどの無機塩類、水などが挙げられる。
本発明のメガリンタンパク切断阻害剤は、乾燥粉末、ペースト、溶液などの物性に制限なしにあらゆる形態で用いることができる。また、本発明のメガリンタンパク切断阻害剤は、医薬、医薬部外品、試薬、健康食品等に用いることができる。
本発明のメガリンタンパク切断阻害剤の使用量は、それぞれの目的に応じて適宜調節されるが、例えば、経口投与で対象に投与される場合には、上記のメガリンタンパク切断阻害物質の合計量として、1回の投与において体重1kgあたり、0.01g〜10gが好ましく、体重1kgあたり、0.1g〜1gがより好ましい。投与回数は特に制限されず、1日あたり1回〜数回投与することができる。
また、本発明のメガリンタンパク切断阻害剤を、試薬に用いる場合には、1処方あたり0.000001g〜10gが好ましく、1処方あたり0.00001g〜1gがより好ましい。
本発明のメガリンタンパク切断阻害剤中のメガリンタンパク切断阻害物質の含有量は、上記使用量に適したものであれば特に制限されず、好ましくは、乾燥重量あたり0.000001質量%〜99.9999質量%、より好ましくは、0.00001質量%〜99.999質量%、特に好ましくは、0.0001質量%〜99.99質量%である。
また、本発明のメガリンタンパク切断阻害剤は、メガリンタンパク切断阻害物質以外にも、その目的に応じて、あらゆる既知の物質を含むものであってもよい。
以下に、薬理試験の例を掲げて本発明を説明するが、これらは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
比較例1:ネフローゼ症候群ラットモデルを用いたγ−セクレターゼ阻害剤(N-[N-(3,5-difluorophenylacetyl)-L-alanyl]-(S)-phenylglycine tert-butyl ester (DAPT)の薬効試験
最初に馴化終了したラットについて、体重を測定し、中間値付近の個体を選択し、代謝ケージに入れて3日間馴化した。代謝ケージ飼育開始から4日目から24時間蓄尿を開始した。24時間経過後、尿重量を測定し、一部を尿中アルブミン(Alb)測定サンプルとして供した。尿サンプルを転倒混和後、遠心分離(3,000rpm×10分間,4℃)を行い、上清を用いて尿Albを測定した。ピューロマイシンアミノヌクレオシド(PAN)投与開始前日にラットの体重を測定し、エーテル麻酔下で頸静脈よりヘパリン加採血を実施した。群分けは第一優先項目を尿中Alb、第二優先項目を体重として実施した。
午前中にPAN投与液を5 mL/kgで尾静脈内投与した。PAN投与後3日目から0.5 %エタノール/corn oilに溶解させたDAPT(被験液)を、50 mg/kgの濃度で連日皮下投与を開始した。投与液量はPAN投与前日の体重を用いて算出した。被験液投与開始から1日後に体重を測定し、エーテル麻酔下で頸静脈よりヘパリン加採血を実施した。また、蓄尿を開始し、24時間後に尿を回収した。尿回収後に体重及び尿重量を測定し、一部を投与後の尿中Alb測定用サンプルとして供した。その後、2日目の被験液を腹腔内投与した。被験液投与開始から5日目に蓄尿を開始し、24時間後に尿を回収した。尿回収後に体重及び尿重量を測定し、一部を投与後の尿中Alb測定用サンプルとして供した。また、尿回収終了後に体重を測定し、エーテル麻酔下で頸静脈よりヘパリン加採血を実施した。頸静脈採血を実施後、剖検を行った。エーテル麻酔下で腹部大動脈よりヘパリン加採血を実施し、血液を得た。腎組織を摘出し、一部をホルマリンで固定した。血液は遠心分離(3,000rpm,5分間,4℃)を行い、血漿を得た。ホルマリン固定した組織はパラフィン包埋し,4μm厚切片を作製し、PAS染色を行った。
血漿中および尿中のCre(クレアチニン)の含有量、Alb(アルブミン)の含有量は以下の方法により求めた。
Cre(クレアチニン)の含有量の測定方法
クレアチニンはCOBAS INTEGRA 400plusを用いて測定した。以下に測定の際に用いた試薬名を記載する。
クレアチニンカセット;名称:CREP2、Cat No.682965(ロシュ・ダイアグノスティック株式会社)
血漿中Alb(アルブミン)の含有量の測定方法
血漿中AlbはCOBAS INTEGRA 400plusを用いて測定した。以下に測定の際に用いた試薬名を記載する。
アルブミンカセット;名称:ALBIICat No.684310(ロシュ・ダイアグノスティック株式会社)
尿中Albの含有量の測定方法
尿はNEPHRATII ELISA kitを用いて尿中Albを測定した。
1)NEPHRATII ELISA kitを用いた尿中Alb測定法
(i)検量線用標準液の調製法
キット中のRat Serum Albumin(RSA) Standardを300μL採取し、300μLのEIA DILUENTを加えて混和し、10 mg/dL RSAとした。これを300μL採取し、300μLのEIA DILUENTを加えて混和し、5 mg/dL RSAとした。同様の希釈を実施し、2.5,1.25,0.625,0.313,0.156 mg/dL RSAを調製した。96穴プレートに各RSA及び0 mg/dLとしてEIA DILUENTを100μLずつ2 wellに播種した。
(ii)Washing bufferの調製
500 mLのSalineにTween20を250μL加えて混和し、Washing bufferとした。
(iii)測定法
回収した尿サンプルを、EIA DILUENTで適量に希釈した。各尿サンプルを10μLずつ2wellに播種し、各wellにEIA DILUENTを90μLずつ添加してさらに10倍希釈とした。尿サンプル及びRSAの各wellにHRP-Conjugateを100μLずつ加えて室温で50分間振盪した。インキュベート後、Washing bufferで6回洗浄した。各wellにTMB Color Developerを100μLずつ入れて室温で5分間放置した。その後、各wellにColor Stopperを100μLずつ入れて、450μmの吸光度を測定した。RSAの結果から検量線を作成し、尿サンプル中のAlb濃度を算出した。
組織中メガリンタンパク切断片の検出方法
腎組織中のメガリンタンパク切断片の検出は、一般的な手法として広く知られているウェスタンブロット法を用いた。メガリンタンパク切断片の検出には抗ラットメガリンポリクローナル抗体を用いた。本抗体はメガリンタンパクC末側の細胞内領域全てを抗原として作製されたものであり、メガリンタンパクの1段階目切断片および2段階目切断片の両方を認識する。
尿サンプルおよび血漿サンプル中のAlb濃度の経日的な結果を図1に示す。PANの投与により腎障害が惹起され、尿中アルブミンの上昇および血中アルブミンの低下が生じたが、γ−セクレターゼを阻害するがシグナルペプチドペプチダーゼを阻害しないことが知られるDAPTの投与によりさらに悪化した。また、PAS染色による腎臓組織像を図2に示した。PAN投与により生じた腎尿細管の障害が、DAPT投与によりさらに悪化した。また組織中のメガリンタンパクの切断片の量を測定した結果では、DAPTによって1段階目のメガリン切断片の量は減少し、2段階目のメガリンタンパクの切断片の量は増加した(図3)。
実施例1:ネフローゼ症候群モデルラットを用いたγセクレターゼ阻害剤(S,S)-2-[2-(3,5-Difluorophenyl)acetylamino]-N-(5-methyl-6-oxo-6,7-dihydro-5H-dibenzo[b,d]azepin-7-yl)propionamide(DBZ)の薬効試験
被検液としてDAPTの代わりにDBZ(投与液:0.5% (w/v) hydroxypropyl methylcellulose / 0.1% (w/v) Tween-80、投与濃度5 mg/kgで腹腔内投与)を用いた以外は比較例1と同様の手順で、組織中のメガリンタンパクの切断片の量、尿中及び血中のアルブミン量並びにクレアチニン量、PAS染色による腎臓組織像について試験を行った。
尿サンプルおよび血漿サンプル中のAlb濃度の経日的な結果を図4に示す。PANの投与により腎障害が惹起され、尿中アルブミンの上昇および血中アルブミンの低下が生じたが、γ−セクレターゼおよびシグナルペプチドペプチダーゼの両方を阻害することが知られるDBZの投与により改善した。さらに、PAS染色による腎臓組織像を図5に示した。PAN投与により生じた腎尿細管の障害が、DBZの投与により著しく改善していた。また組織中のメガリンタンパクの切断片の量を測定した結果では、DBZによって1段階目のメガリンタンパクの切断片の量は増加したが、2段階目の切断片は検出されなかった(図6)。

Claims (11)

  1. シグナルペプチドペプチダーゼ阻害物質を含有することを特徴とする、メガリンタンパク切断阻害剤。
  2. γセクレターゼ阻害物質を含有することを特徴とする、メガリンタンパク切断阻害剤。
  3. 分子内にアミド構造を有するメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、メガリンタンパク切断阻害剤。
  4. 分子内にアミド構造を有し、かつ該アミド構造の少なくとも一つの窒素原子と直結した環構造を有し、該環構造が窒素原子を含むメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  5. ポリアミド構造を有するメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  6. ポリアミド構造を有し、かつ分子内に芳香族環基を有するメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、請求項1〜3及び5のいずれか1項記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  7. DBZ、Compound E、NAP−AHW700−NX、LY411575、L−695458、TBL4K及び(Z−LL)2−Ketoneからなる群より選択されるメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  8. DBZ、Compound E、NAP−AHW700−NX及びLY411575からなる群より選択されるメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、請求項4記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  9. TBL4K及び(Z−LL)2−Ketoneからなる群より選択されるメガリンタンパク切断阻害物質を含有することを特徴とする、請求項5又は6記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  10. メガリンタンパク切断阻害物質がシグナルペプチドペプチダーゼ阻害物質であることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか1項記載のメガリンタンパク切断阻害剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載のメガリンタンパク切断阻害剤を含有することを特徴とする、腎障害治療薬。
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