JPWO2010071035A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

有機EL素子をロールツーロール方式で製造する時、可撓性基材を連続搬送しながら大気圧条件下のウェット方式で成膜し形成される有機機能層の成膜速度に合わせた速度で可撓性基材を連続搬送しながら第2電極を真空環境下のドライ方式で成膜し形成する有機EL素子の製造方法を提供するため、第1電極と、第2電極分離壁と、少なくとも1層の有機機能層と、第2電極とを有する有機EL素子をロールツーロール方式で製造する有機EL素子の製造方法であって、第2電極の導通を遮断する第2電極分離壁と、有機機能層を成膜し形成するウェット成膜工程と、第2電極を真空環境下成膜し形成するドライ成膜工程とを有し、ウェット成膜工程及び前記ドライ成膜工程で可撓性基材を連続搬送しながら成膜する有機EL素子の製造方法。

Description

本発明は、ロールツーロール方式による有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも言う)の製造方法に関する。
近年、有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、活発な研究開発が進められている。有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極又は陰極)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部又は多層部)すなわち発光層と、この発光層上に積層された第2電極(陰極又は陽極)とを有する薄膜型の素子である。この様な有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
この様に、有機EL素子は薄膜型の素子であるため、1個又は複数個の有機EL素子をフィルム基材上に形成した有機EL素子をバックライト等の面光源として利用した場合には、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることが出来る。又、画素としての有機EL素子を基板上に所定個数形成した有機EL素子をディスプレイパネルとして用いて有機EL表示装置を構成した場合には視認性が高い、視野角依存性がないなど、液晶表示装置では得られない利点があることから検討が進められている。
一方、有機EL素子を構成している有機化合物層を形成する際には、蒸着法、スパッタ法、CVD、PVD、溶剤を用いたとウェット方式で成膜し形成する方法等の様々な方法が使用出来る。これらの方法の中で、製造工程の簡略化、製造コストの低減、加工性の改善、バックライトや照明光源等のフレキシブルな大面積素子への応用等の観点からは、大気圧環境下のウェット方式で形成するウェット方式で成膜する方法が有利であることが知られている。又、第1電極、第2電極及び無機機能層を形成する際には、蒸着法、スパッタ法、CVD、PVD等の真空環境下のドライ方式で成膜し形成する方法が知られている。
本発明では可撓性基材の上に、少なくとも第1電極と少なくとも発光層を含む複数からなる有機化合物層と第2電極まで形成した状態及び封止部材で密着封止した状態を含め有機EL素子と言う。
有機EL素子の製造に使用する基材としては、枚葉シート基材と帯状の可撓性基材とが挙げられる。帯状の可撓性基材を使用する方法は、ロール状の帯状の可撓性基材を使用し、第1電極の形成から封止部材の貼合までを帯状の可撓性基材を使用し、封止部材を貼合した後にロール状に巻き取り回収する、又は、封止部材を貼合した後に断裁し有機EL素子を製造するロールツーロール方式と言われている製造方法である。
ロールツーロール方式は、生産性の点で枚葉シート基材を使用する方式に比べ優れているため検討が進められている。例えば、透光性基材としてプラスチックフィルムを使用し、このプラスチックフィルム上に陰極と、有機物質からなる一つ又は複数の発光層と、陽極層を設けた有機ELディスプレイを製造する方法として、有機物質からなる一つ又は複数の発光層のパターニング及び陰極のパターニングを真空蒸着方式でロールツーロール方式により作製する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
又、第1電極(陽極)が既に形成されたロール状に巻き取られた帯状の可撓性基材に正孔輸送層、発光層を塗布方式で順次形成した後、一旦巻き取りロール状で保管する。この後、巻き取った発光層までが形成されたロール状の帯状の可撓性基材の発光層の上に蒸着方式で電子注入層、第2電極(陰極)を形成した後、再び巻き取りにロール状で保管する。第2電極(陰極)迄が形成されたロール状の帯状の可撓性基材の第2電極(陰極)の上に封止部材を、接着剤を介して貼合した後、巻き取り回収する方法が記載されている(特許文献2参照。)。
特許文献1、特許文献2に記載の帯状の可撓性基材を使用したロールツーロール方式は、枚葉シート基材を使用した方式に比べ確かに生産効率は上がる方式であるが次の問題点を有している。
1.蒸着でのロールツーロール方式により有機EL素子を製造するものであるが、有機層から電極まで全てが真空中でのマスクスルーパターン成膜であり、各層毎にマスクと基材のアライメント工程が必要であることから、設備コスト、タクトタイム、材料利用効率が課題として挙げられる。
2.有機機能層である正孔輸送層、発光層が大気圧条件での塗布方式(ウェット方式)による連続処理が可能であるのに対して、電子注入層、第2電極(陰極)が真空条件での気相成膜方式(ドライ成膜方式)による間欠処理であることから、基本的にウェット方式の方がドライ方式よりも各層の成膜速度が早く、正孔輸送層、発光層の成膜速度に合わせた生産速度にするために速度調整能力が大きいアキュームレータが必要となり、設備コストの増加と、設置面積が大きくなる。
有機EL素子の開発動向としては、塗布で成膜可能な有機機能材料の開発は飛躍的に進歩しているのに対して、塗布で成膜可能な電極材料の開発は進んではいるものの有機EL素子の必要スペックを満たすレベルのものは出来ていない状況である。
この様な状況下でロールツーロール方式により有機EL素子を製造しようとした場合、有機機能材料は大気圧条件でのウェット方式により成膜出来るものの、電極材料は依然として蒸着法、スパッタ法、CVD、PVD等の真空環境下でのドライ方式での成膜が必要不可欠な状況である。
生産効率が良いと言われているロールツーロール方式と言えども電極材料がドライ成膜法での成膜になってしまうと、成膜をしている工程は材料の搬送を止める(間欠搬送となる)必要があり、このためロールツーロール方式の本来の高い生産効率が得られなくなってしまう。又、ウェット方式の成膜速度に合わせた生産速度にするために速度調整能力が大きいアキュームレータが必要となり、設備コストの増加と、設置面積が大きくなる。
又、パターニング用メタルマスクと支持体の各アライメントマークを合わせるアライメント工程が必要になってしまい、タクトタイムの低下が懸念される。
この様な状況下において、可撓性基材を連続搬送しながら大気圧環境下のウェット方式で成膜し形成する有機機能層の成膜速度に対応し、可撓性基材を連続搬送しながら第2電極を真空環境下のドライ方式で成膜し形成するロールツーロール方式による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の開発の要望が高まっている状況である。
国際公開第01/5194号パンフレット 特開2007−149589号公報
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、可撓性基材を連続搬送しながら大気圧条件下のウェット方式で成膜し形成される有機機能層の成膜速度に合わせた速度で可撓性基材を連続搬送しながら、第2電極を真空環境下のドライ方式で成膜し形成するロールツーロール方式による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、下記の構成により達成された。
1.可撓性基材の上に少なくとも、第1電極と、第2電極分離壁と、少なくとも1層の有機機能層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子をロールツーロール方式で製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
前記第1電極が形成された可撓性基材を供給する可撓性基材供給工程と、
前記第2電極の導通を遮断する前記第2電極分離壁と、前記有機機能層の少なくとも1層を大気圧環境下のウェット方式で前記第1電極の上に成膜し形成するウェット成膜工程と、
少なくとも前記第2電極を真空環境下のドライ方式で前記有機機能層の上に成膜し形成するドライ成膜工程とを有し、
前記ウェット成膜工程及び前記ドライ成膜工程で前記可撓性基材を連続搬送しながら成膜することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
2.前記第2電極分離壁をウェット成膜工程で直接印刷法によりパターン状に成膜し形成することを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
3.前記有機機能層をウェット成膜工程で直接印刷法によりパターン状に成膜し形成することを特徴とする前記1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
4.前記第2電極をドライ成膜工程で気相成膜法によりベタ状に成膜し形成することを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
5.前記ドライ成膜工程は、複数の気相成膜手段を使用した第2電極形成工程を有し、該気相成膜手段による材料成膜速度が、帯状の可撓性基材の搬送方向に対して上流側から下流側に向かい、段階的に変化して行くことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
6.前記ドライ成膜工程は、複数の気相成膜手段を使用し、該気相成膜手段による材料成膜速度が、帯状の可撓性基材の搬送方向に対して上流側から下流側に向かい、段階的に増加して行くことを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
7.前記第2電極分離壁の膜厚が、第2電極の膜厚の10倍から500倍であることを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
8.前記第2電極分離壁が第1電極の周辺に形成されていることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
9.前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、ドライ成膜工程の後に、封止部材貼合工程と、断裁工程とを有することを特徴とする前記1から8の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
可撓性基材を連続搬送しながら大気圧条件下のウェット方式で成膜し形成される有機機能層の成膜速度に合わせた速度で可撓性基材を連続搬送しながら第2電極を真空環境下のドライ方式で成膜し形成するロールツーロール方式による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することが出来た。
帯状の可撓性基材を用いたロールツーロール方式による有機EL素子の製造工程の模式図である。 図1で示される第2電極分離壁形成工程で形成される第2電極分離壁の状態を示す概略図である。 図1で示される第2電極分離壁形成工程で形成される第2電極分離壁の他の状態を示す概略図である。 図1に示す第2電極形成工程の拡大概略図である。図4(a)は図1に示す第2電極形成工程の拡大概略斜視図である。 図1に示す製造工程でノーマル型の有機EL素子用の第2電極までを形成する概略フロー図である。 図1に示す製造工程で直列型の有機EL素子用の第2電極までを形成する概略フロー図である。
本発明の実施の形態を図1から図6を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は帯状の可撓性基材を用いたロールツーロール方式による有機EL素子の製造工程の模式図である。以下に、一例としてパターン化されて形成されている第1電極を複数有する帯状の可撓性基材上にウェット方式で成膜して形成した第2電極分離壁と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層との上に、第2電極をドライ方式で成膜して形成し、有機EL素子とした後、封止部材を貼合し、断裁して個別の有機EL素子を製造する方法を本図で説明する。
図中、1は第2電極分離壁と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層とをウェット方式で可撓性基材を連続搬送しながら成膜して形成し、第2電極をドライ方式で可撓性基材を連続搬送しながら成膜し形成する有機EL素子の製造工程を示す。製造工程1は、供給工程2と、ウェット成膜工程3と、ドライ成膜工程4と、封止工程5、断裁工程6とを有している。
供給工程2は、繰り出し装置201と、表面処理装置202と、アキュームレータ203とを使用している。繰り出し装置201からは巻き芯に巻き取られロール状態で供給された、ガスバリア膜と第1電極とがこの順番で既に形成された帯状の可撓性基材201aが繰り出され表面処理装置202を介して第2電極分離壁形成工程301に送られる。第1電極の形成位置は帯状の可撓性基材201aに予め付けられたアライメントマーク9(図2参照)により判る様になっている。
表面処理装置202は、第1電極の表面を洗浄改質する洗浄表面改質処理手段202aと、除電処理手段202bとを有している。洗浄表面改質処理手段202aとしては、例えば低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等が挙げられる。除電処理手段202bとしては、例えば光照射方式とコロナ放電式等が挙げられる。
アキュームレータ203は、帯状の可撓性基材201aの交換する時の搬送速度との調整、工程トラブル対応等のために配設されており、一定長さの帯状の可撓性基材201aを溜める機能を有している。溜める長さの調整は速度差に応じてアキュームレータ部203のロール間の上下方向の長さを変えることで可能となっている。
ウェット成膜工程3は、第2電極の導通を遮断する第2電極分離壁をウェット方式で成膜し形成する第2電極分離壁形成工程301と、正孔輸送層をウェット方式で成膜し形成する正孔輸送層形成工程302、発光層をウェット方式で成膜し形成する発光層形成工程303と、電子輸送層をウェット方式で成膜し形成する電子輸送層形成工程304とを有している。
ウェット成膜工程3は供給工程2から搬送されてくる帯状の可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク9(図2参照)を検出装置(不図示)で読み取り、検出装置(不図示)の情報に従って、帯状の可撓性基材201aの上に形成されている第1電極の位置に合わせて、第1電極の周辺に第2電極分離壁を形成し、第2電極分離壁で囲まれた枠の領域に正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順次形成し、この後、ドライ成膜工程4に搬送される。
第2電極分離壁形成工程301は、成膜室(不図示)に配設された第2電極分離壁成膜装置301aと、乾燥装置301bと、アキュームレータ301cとを使用している。第2電極分離壁形成工程301は、供給工程2から搬送されてくる帯状の可撓性基材201aを保持台301a1の上に保持し、第2電極分離壁成膜装置301aにより、帯状の可撓性基材201a上に形成されている第1電極のパターンに合わせて第2電極分離壁形成用塗布液を成膜し、第2塗膜中の溶媒を乾燥装置301bで除去し、第2電極分離壁を形成する。乾燥装置301bには第2電極分離壁形成用塗布液の種類に合わせ硬化手段(例えば、紫外線照射装置、加熱装置等)を配設することが好ましい。第2電極分離壁に付いては図2、図3で詳細に説明する。
アキュームレータ301cは工程トラブル対応等のため配設されており、一定長さの帯状の可撓性基材201aを溜める機能を有している。溜める長さの調整は速度差に応じてアキュームレータ301cのロール間の上下方向の長さを変えることで可能となっている。
第2分離壁成膜装置301aにより成膜が行われる時は、供給工程2から搬送されてくる第1電極が形成された帯状の可撓性基材201aに設けられたアライメントマーク9(図2参照)を第2電極分離壁形成工程301に配設された検出機(不図示)により検出し、アライメントマーク9(図2参照)に従って第2電極分離壁成膜装置301aの位置合わせが行われ、保持台301a1に保持された帯状の可撓性基材201aの上のパターン化されて形成された複数の第1電極に合わせ、第2電極分離壁形成用塗布液が成膜される。尚、成膜は帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら行われる。
第2電極分離壁形成工程301に使用する第2分離壁成膜装置としては直接印刷法でパターン状に成膜が出来れば特に限定はなく、例えば、インクジェット方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式等に使用する各種成膜装置が挙げられる。これらの成膜装置の使用は使用塗布液の材料及びパターンに応じて適宜選択することが可能となっている。
本図に示される、第2電極分離壁形成工程301はウェット方式の成膜装置が1台の場合を示しているが、必要に応じて増加することが可能となっている。例えば、インクジェット方式の場合は、帯状の可撓成帯状支持体の搬送方向専用のインクジェットと幅方向専用のインクジェットとを配設し、搬送方向専用のインクジェット成膜する第2電極分離壁の数(例えば、図2(b)に示すパターンの場合は5台のインクジェットを固定して配設する)に合わせ配設することが好ましい。
正孔輸送層形成工程302は、第2電極分離壁形成工程301から搬送されてくる帯状の可撓性基材201aを保持台302a1の上に保持し、成膜装置302aにより、帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら、帯状の可撓性基材201a上に形成されている第2電極分離壁で囲まれた枠の領域に正孔輸送層形成用塗布液を成膜し、塗膜中の溶媒を乾燥装置302bで除去し正孔輸送層を形成する。
アキュームレータ302cは工程トラブル対応等のために配設されており、一定長さの帯状の可撓性基材201aを溜める機能を有している。溜める長さの調整は速度差に応じてアキュームレータ302cのロール間の上下方向の長さを変えることで可能となっている。
成膜装置302aにより成膜が行われる時は、第2電極分離壁形成工程301から搬送されてくる帯状の可撓性基材201aに設けられたアライメントマーク9(図2参照)を正孔輸送層形成工程302に配設された検出機(不図示)により検出し、アライメントマーク9(図2参照)に従って成膜装置302aの位置合わせが行われ、保持台302a1に保持された帯状の可撓性基材201aの上に形成された第2電極分離壁に囲まれた枠の中の第1電極の領域に、正孔層形成用塗布液が成膜される。尚、成膜は帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら行われる。
発光層形成工程303は、成膜室(不図示)に配設された成膜装置303aと、乾燥装置303bと、アキュームレータ303cとを使用している。発光層形成工程303は、正孔輸送層形成工程302から搬送されてくる帯状の可撓性基材201aを保持台303a1上に保持し、帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら成膜装置303aにより、帯状の可撓性基材201a上に形成されている正孔輸送層の領域に発光層形成用塗布液を成膜し、塗膜中の溶媒を乾燥装置303bで除去し発光層を形成する。
成膜装置303aにより成膜が行われる時は、正孔輸送層形成工程302から搬送されてくる正孔輸送層迄が形成された帯状の可撓性基材201aに設けられたアライメントマーク9(図2参照)を発光層形成工程303に配設された検出機(不図示)により検出し、アライメントマーク9(図2参照)に従って成膜装置303aの位置合わせが行われ、保持台303a1上に保持された帯状の可撓性基材201aの上の正孔輸送層が形成された領域に発光層形成用塗布液が成膜される。尚、成膜は帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら行われる。
アキュームレータ303cは工程トラブル対応等のために配設されており、一定長さの帯状の可撓性基材201aを溜める機能を有している。溜める長さの調整は速度差に応じてアキュームレータ303cのロール間の上下方向の長さを変えることで可能となっている。
電子輸送層形成工程304は、成膜室(不図示)に配設された成膜装置304aと、乾燥装置304bと、アキュームレータ304cとを使用している。
電子輸送層形成工程304は、発光層形成工程303から搬送されてくる帯状の可撓性基材201aを保持台304a1の上に保持し、成膜装置304aにより、帯状の可撓性基材201a上に形成されている発光層の領域に電子輸送層形成用塗布液を成膜し、塗膜中の溶媒を乾燥装置304bで除去し電子輸送層を形成する。
成膜装置304aにより成膜が行われる時は、発光層形成工程303から搬送されてくる発光層迄が形成された帯状の可撓性基材201aに設けられたアライメントマーク9(図2参照)を電子輸送層形成工程304に配設された検出機(不図示)により検出し、アライメントマーク9(図2参照)に従って成膜装置304aの位置合わせが行われ、保持台304a1の上に保持された帯状の可撓性基材201aの上の発光層が形成された領域に電子輸送層形成用塗布液が成膜される。尚、成膜は帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら行われる。
アキュームレータ304cは工程トラブル対応等のために配設されており、一定長さの帯状の可撓性基材201aを溜める機能を有している。溜める長さの調整は速度差に応じてアキュームレータ304cのロール間の上下方向の長さを変えることで可能となっている。
ウェット成膜工程3を構成している第2電極分離壁形成工程301と、正孔輸送層形成工程302と、発光層形成工程303と、電子輸送層形成工程304とで使用する成膜装置としてはパターン成膜が出来れば特に限定はなく、例えば、インクジェット方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式等に使用する各種成膜装置が挙げられる。これらの成膜装置の使用は各工程での使用塗布液の材料、第2電極分離壁で囲まれた枠の数に応じて適宜選択することが可能となっている。本図はインクジェット方式の場合を示している。本図に示される、第2電極分離壁形成工程301、正孔輸送層形成工程302、発光層形成工程303及び電子輸送層形成工程304はウェット方式の成膜装置と、乾燥装置がそれぞれ1台の場合を示しているが、必要に応じて増加することが可能となっている。
ドライ成膜工程4は、第2電極形成工程401を有している。第2電極形成工程401は、複数の気相成膜ユニットを有する気相成膜ユニット401aと、各気相体積ユニットに配設された複数の気相成膜装置401a1(図4参照)から401a4(図4参照)とアキュームレータ401bとを使用している。尚、アキュームレータ401bは工程トラブル対応等のために配設されており、一定長さの帯状の可撓性基材201aを溜める機能を有している。溜める長さの調整は速度差に応じてアキュームレータ401bcのロール間の上下方向の長さを変えることで可能となっている。
ドライ成膜工程4では電子輸送層形成工程304から搬送されてくる電子輸送層までが形成された帯状の可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク9(図2参照)を検出装置(不図示)で読み取り、検出装置(不図示)の情報に従って、帯状の可撓性基材201aをウェット成膜工程の成膜速度に合わせた速度で連続的に搬送しながら、帯状の可撓性基材201aの上全面に第2電極形成工程401で、第2電極形成用材料を気相成膜装置でベタ成膜し第2電極を形成する。形成された第2電極の導通は第2電極分離壁により遮断されるので隣接する第2電極との短絡は防止することが可能となっている。
第2電極形成用材料を成膜し第2電極を形成するのに使用する気相成膜装置としては、特に限定はなく、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法等を用いることが出来る。尚、第2電極形成工程402に付いては図4で詳細に説明する。
この段階で、可撓性基材/バリア層/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)の構成を有する有機EL素子が出来上がる。
封止工程5は、接着剤塗設装置501と、封止部材供給装置502と、貼合装置503と、アキュームレータ504とを使用している。アキュームレータ504は断裁工程6との速度差を調整、工程トラブル対応のために配設されている。
接着剤塗設装置501で第2電極までが形成された帯状の可撓性基材201aを連続的に搬送しながら、第2電極が形成された側の全面に接着剤が塗設される。この後、封止部材供給装置502より搬送されてくる帯状の封止部材502aを貼合装置503により、接着剤が塗設された面側に貼合され、有機EL素子構造体が作製される。この段階で複数の有機EL素子が連続的に繋がっている状態の有機EL素子構造体が作製される。この後、断裁工程6に搬送される。
断裁工程6は打ち抜き断裁装置601と、アキュームレータ602と、巻き取り装置603とを使用している。打ち抜き断裁装置601で、有機EL素子構造体に付けられたアライメントマーク9(図2参照)を検出装置(不図示)で読み取り、検出装置(不図示)の情報に従って矩形に打ち抜き、個別の有機EL素子7に断裁される。有機EL素子7が打ち抜かれたスケルトンは巻き取り装置603で巻き取られ回収される。
本図は、第1電極が形成された帯状の可撓性基材を使用し、第2電極分離壁と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層とをウェット方式で可撓性基材を連続搬送しながら成膜して形成し、引き続き、電子輸送層の上にウェット方式の成膜速度に合わせた速度で可撓性基材を連続搬送しながら第2電極をドライ方式で成膜して形成し、有機EL素子とした後、封止部材を貼合し、断裁して個別の有機EL素子を製造する場合を示している。これらの他の製造工程としては、例えば電子輸送層までをウェット方式で可撓性基材を連続搬送しながら成膜して形成した後、一旦巻き取り保管する。この後、第2電極をドライ方式で可撓性基材を連続搬送しながら成膜して形成し、断裁までを連続して行う場合をすることも可能である。又は第1電極形成から正孔輸送層形成と、発光層形成及び電子輸送層形成と、第2電極形成から断裁までの3工程に分割することも可能である。
図1に示す有機EL素子の製造工程は、可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材の層構成を有する有機EL素子の一例を示したものであるが、第1電極(陽極)と第2電極(陰極)との間に形成される他の代表的な層構成としては次の構成が挙げられる。
(1)可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/発光層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(2)可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(3)可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(4)可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(5)可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/陽極バッファ層(正孔注入層)/正孔輸送層/有機層(発光層)/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
又、発光層が多層の場合は、積層する数に合わせて成膜・乾燥部のユニットを配設する必要がある。例えば、発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能である。本発明において、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明においては、少なくとも1つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層の様に青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nmから5μm、好ましくは2nmから200nmの範囲で選ばれる。更に10nmから20nmの範囲にあるのが好ましい。
電子輸送層の膜厚は、素材にもよるが0.1nmから5μmの範囲が好ましい。第2電極(陰極)としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nmから5μm、好ましくは50nmから200nmの範囲で選ばれる。
本発明は、本図に示されるロールツーロール方式で有機EL素子を製造する時、有機機能層を可撓性基材を連続搬送しながら大気圧条件でのウェット方式で成膜して形成し、第2電極をドライ方式で成膜して形成した後、封止部材を貼合し有機EL構造体とした後、断裁し個々の有機EL素子を製造するロールツーロール方式による有機EL素子の製造方法に関するものである。
図2は図1で示される第2電極分離壁形成工程で成膜し形成される第2電極分離壁の状態を示す概略図である。図2(a)は第2電極分離壁が形成される前の可撓性基材の上に形成された第1電極のパターンを示す概略平面図である。図2(a−1)は図2(a)のA−A′に沿った概略断面図である。図2(a−2)は図2(a)のB−B′に沿った概略断面図である。図2(b)は形成された第2電極分離壁の状態を示す概略平面図である。図2(b−1)は図2(b)のC−C′に沿った概略断面図である。図2(b−2)は図2(b)のD−D′に沿った概略断面図である。
図2(a)に示される第1電極のパターンに付き説明する。
図中、8は帯状の可撓性基材201aの上に形成された第1電極を示す。8aは第1電極8の取出し電極を示す。8bは第2電極の取出し電極用の電極を示す。本図は帯状の可撓性基材201aの幅方向に3列の第1電極8と、第2電極の取出し電極用の電極8bとが形成されている場合を示している。第1電極8の帯状の可撓性基材201aの幅方向の数は特に限定はなく必要に応じて適宜、形成することが可能である。本発明では、本図に示される第1電極のパターンは、最終的に第2電極まで形成された時、幅方向の第1電極の個々が独立して有機EL素子を形成することからノーマル型と言う。9は第1電極8の位置を示す帯状の可撓性基材201aに付けられたアライメントマークを示す。
図2(b)に示される第2電極分離壁のパターンに付き説明する。
図中、10は第2電極分離壁を示す。第2電極分離壁10は、帯状の可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に形成された複数の第2電極分離壁10aと、帯状の可撓性基材201aの幅方向に第2電極分離壁10aと直交する状態で形成された複数の第2電極分離壁10bとから構成されている。第2電極分離壁10aは、帯状の可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に形成された各第1電極8の取出し電極電8aの上一部と、第1電極8端辺に沿って形成された第2電極分離壁10a1と、第1電極8の取出し電極電8aと第2電極の取出し電極用の電極8bの間に形成された第2電極分離壁10a2とを有している。第2電極分離壁10bは、帯状の可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に形成されている各第1電極8の間に形成されている。
第2電極分離壁10aと、第2電極分離壁10bとで枠11を形成する様に形成されている。枠11は、取出し電極8aを除き、第1電極8と第2電極の取出し電極用の電極8bが納まる様に形成された枠11aと、取出し電極8aのみが納まる様に形成された枠11bと、帯状の可撓性基材201aの両端部の枠11cとを有している。尚、本図では図面上左端部は第2電極分離壁10bと第2電極分離壁10a1とで形成されている。又、図面上右端部は第2電極分離壁10bと第2電極分離壁10a2とで形成されている。本発明では本図に示される状態を第2電極分離壁が第1電極の周辺に形成されていると言う。
枠11a、11cの中には有機機能層(例えば、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等)と、第2電極とが形成される。枠11bの中には第2電極の形成方法によっては第2電極が形成される場合もある。
Sは第2電極分離壁10a1の第1電極8の面からの高さを示す。高さSは、第2電極の第1電極との短絡防止を考慮し、第2電極の膜厚の10倍から500倍が好ましい。
S′は第2電極分離壁10a2の帯状の可撓性基材201aの面からの高さを示す。高さS′も、第2電極の第1電極との短絡防止を考慮し、第2電極の膜厚の10倍から500倍が好ましい。
Tは第2電極分離壁10bの帯状の可撓性基材201aの面からの高さを示す。高さTは、高さSと同じであることが好ましい。
図3は図1で示される第2電極分離壁形成工程で形成される第2電極分離壁の他の状態を示す概略図である。図3(a)は第2電極分離壁が形成される前の可撓性基材の上に形成された第1電極のパターンを示す概略平面図である。図3(a−1)は図3(a)のE−E′に沿った概略断面図である。図3(a−2)は図3(a)のF−F′に沿った概略断面図である。図3(b)は第2電極分離壁が形成された状態を示す概略平面図である。図3(b−1)は図3(b)のG−G′に沿った概略断面図である。図3(b−2)は図3(b)のH−H′に沿った概略断面図である。
図3(a)に示される第1電極のパターンに付き説明する。
図中、8′は帯状の可撓性基材201aの上に第1電極を示す。本図は帯状の可撓性基材201aの幅方向に3列の第1電極8′が形成されている場合を示している。第1電極8′の帯状の可撓性基材201aの幅方向の数は特に限定はなく必要に応じて適宜、形成することが可能である。本発明では、本図に示される第1電極のパターンは、最終的に第2電極まで形成された時、幅方向の第1電極が直列に連結して有機EL素子を形成することから直列型と言う。9′は第1電極8′の位置を示す帯状の可撓性基材201aに付けられたアライメントマークを示す。
図3(b)に示される第2電極分離壁のパターンに付き説明する。
図中、10′は第2電極分離壁を示す。第2電極分離壁10′は、帯状の可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に形成された複数の第2電極分離壁10′aと、帯状の可撓性基材201aの幅方向に第2電極分離壁10′aと直交する状態で形成された複数の第2電極分離壁10′bとから構成されている。第2電極分離壁10′aは、帯状の可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に形成された各第1電極8′のどちらか一方の端部に第1電極8′の取出し電極8′aを形成する様に設けられている(本図では図面上で左側)。第2電極分離壁10′bは、帯状の可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に形成されている各第1電極8′の間に設けられている。
第2電極分離壁10′aと、第2電極分離壁10′bとで枠11′を形成する様に形成されている。本発明では本図に示される状態を第2電極分離壁が第1電極の周辺に形成されていると言う。
枠11′は、取出し電極8′aを除き、各第1電極8′が納まる様に形成されている。枠11′の中には有機機能層(例えば、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等)がパターン成膜される。第2電極は電子輸送層までが形成された状態の可撓性基材201aの全面にベタ状に成膜し形成される。
Uは第2電極分離壁10′aの第1電極の面からの高さを示す。高さUは、図2に示す第2電極分離壁10a1の高さSと同じである。
Vは第2電極分離壁10′bの帯状の可撓性基材201aの面からの高さを示す。高さVは、図2に示す第2電極分離壁10a2の高さS′と同じである。
図2、図3に示す様に第2電極分離壁は第2電極の膜厚の10倍から500倍の高さを有しているため、形成された第2電極の導通は第2電極分離壁により遮断されるので隣接する第2電極との短絡を防止することが可能となっている。
図2、図3に示される第2電極分離壁の形成方法は、第2電極分離壁形成用樹脂を溶媒に溶解した第2電極分離壁形成用塗布液を直接印刷法で必要とするパターンに成膜し形成することが可能である。使用する第2電極分離壁形成用樹脂、第2電極分離壁形成用塗布液等については後述する。
図2、図3に示される様に第1電極の周辺に第2電極分離壁を直接印刷法で設けることで、次の効果が挙げられる。
1)第2電極分離壁はフォトリソグラフィプロセスを使用せず形成出来るため、フォトマスクが不要になることで、フォトマスクと基材のアライメント工程が不要となり、設備の簡素化が可能となった。
2)直接印刷法により形成するため、連続搬送しながらの処理が可能になり、ウェットプロセスのラインスピードの高速化、ロールツーロール方式での生産性向上が可能となった。
3)第2電極の導通を遮断する第2電極分離壁により隣接する第2電極との短絡が防止されるため、後の第2電極成膜時に、従来のメタルマスクを用いた第2電極のパターン成膜を不要とすることが可能となり、ドライ成膜工程のラインスピードの高速化、ロールツーロール方式での生産性向上が可能となった。
図4は図1に示す第2電極形成工程の拡大概略図である。図4(a)は図1に示す第2電極形成工程の拡大概略斜視図である。図4(b)は図4(a)のJ−J′に沿った概略断面図である。図4(c)は図4(b)のWで示される部分の拡大概略斜視図である。尚、本図は第2電極形成手段の気相成膜装置として気相成膜装置を使用した場合を示している。
図中、401aは気相成膜装置401bを配置した気相成膜ユニットを示す。本図に示す気相成膜ユニット401aは、第1気相成膜ユニット401a1と、第2気相成膜ユニット401a2と、第3気相成膜ユニット401a3と、第4気相成膜ユニット401a4とを有している。気相成膜ユニット401aを構成している気相成膜ユニットの数は、電子輸送層までが形成された帯状の可撓性基材201aの搬送速度、第2電極の膜厚(成膜量)により決まるため一義的に決めることは出来ないので、必要に応じて適宜設定することが可能となっている。本図は、1例として4つの気相成膜ユニットを配置した場合を示している。
気相成膜装置401bは、第1気相成膜ユニット401a1に配置した気相成膜装置401b1と、第2気相成膜ユニット401a2に配置した気相成膜装置401b2と、第3気相成膜ユニット401a3に配置した気相成膜装置401b3及び第4気相成膜ユニット401a4に配置した気相成膜装置401b4とを独立して有することが好ましい。この結果、気相成膜装置401b1から気相成膜装置401b4を独立して電子輸送層の上に成膜させる成膜原料の成膜量を制御することが可能となっている。
401cは排気管を示し、真空ポンプに繋がっており気相成膜ユニットを必要とする真空度に調整することが可能となっている。排気管は各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4が独立で真空度を制御することを可能とするため各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4に設けることが好ましい。
401cは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの導入管を示し、各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4が独立で成膜条件を制御することを可能とするため各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4に設けることが好ましい。
本図に示す様に、各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4が独立で成膜条件を制御することが可能となっているため、電子輸送層の上に成膜させる成膜材料の材料成膜速度を制御することが可能となっている。
各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4での帯状の可撓性基材201aの保持は、各第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4に配設されている一対の保持ロール401f1、401f2により、帯状の可撓性基材201aの両端を挟持した状態で搬送する。
保持ロール401f1は、帯状の可撓性基材201aの裏面側(第2電極を形成しない面)全面と接触するため径が一定の円筒状となっている。保持ロール401f2は、両端の径が中央部の径よりも大きくなっている軸方向の断面形状が凹型の形状となっている。保持ロール401f2の形状が中央部の径が両端部の径より小さいので、両端で帯状の可撓性基材201aの両端を挟持した時、第1電極から発光層までが形成されている領域が接触しないで搬送し帯状の可撓性基材201aの上に第2電極をベタ状に成膜し形成することが可能となっている。
本図に示す気相成膜ユニット401aを構成している第1気相成膜ユニット401a1から第4気相成膜ユニット401a4で、帯状の可撓性基材の搬送方向(図中の矢印方向)に対して上流側とは第1気相成膜ユニット401a1を示し、下流側とは第4気相成膜ユニット401a4を示す。
本図に示す第1気相成膜ユニット401a1に配置した気相成膜装置401b1から第4気相成膜ユニット401a4に配置した気相成膜装置401b4での第2電極用の成膜材料の材料成膜速度は、段階的に増加して行くことが好ましい。
段階的に増加して行く時の、各気相成膜装置での成膜材料の材料成膜速度は、目標とする成膜量、帯状の可撓性基材の搬送速度、気相成膜装置の数により変化するため一義的に決めることは出来ないため、目標とする成膜量、帯状の可撓性基材の搬送速度、気相成膜装置の数から適宜設定することが可能となっている。
本図を使用し、段階的に増加して行く時の、各気相成膜装置での成膜材料の材料成膜速度の1例を以下に示す。仕上がりの膜厚を150nmとし、各ユニットでの成膜時間は等しい場合、成膜速度で成膜量を調整する。第1気相成膜ユニット401a1での成膜量は仕上がりの成膜量に対して10%となる15mm、第2気相成膜ユニット401a2での成膜量は仕上がりの成膜量に対して20%となる30mm、第3気相成膜ユニット401a3での成膜量は仕上がりの成膜量に対して30%となる45mm、第4気相成膜ユニット401a4での成膜量は仕上がりの成膜量に対して40%となる60mmにする様に材料成膜速度を設定する。
尚、電子注入層をドライ方式で電子輸送層の上に設ける場合は本図に示す第2電極形成工程と同じ様に複数の気相成膜ユニットを設けて形成することが可能である。
本図に示す様に複数の気相成膜ユニットを有するドライ成膜工程を配設し、第2電極分離壁を形成した帯状の可撓性基材の搬送方向(図中の矢印方向)に対して上流側から下流側に対して材料成膜速度を段階的に増加することにより、次の効果が得られる。
1)複数の気相成膜装置により目標とする成膜量を得るため、ダメージを受けやすい有機機能層との界面近傍は低速条件で成膜を行い、所定量成膜した段階から高速条件で成膜を行うことで、ドライ方式における成膜時の有機機能層へのダメージ軽減とラインスピードの高速化の同時達成が可能となった。
2)材料成膜速度の高速化によりドライ方式のラインスピードの高速化が可能となるため、前工程であるウェット方式のラインスピードとのラインスピード差をなくすことが出来、ウェット方式とドライ方式の処理速度差の調整を行うアキュームレータを必要最小限に抑えることとが可能となり、設備コストの低下が可能となった。
図5は図1に示す製造工程でノーマル型の有機EL素子用の第2電極までを形成する概略フロー図である。本図で右側の図はI−I′に沿った概略断面図である。尚、符号は図2と同義である。
Step1では、帯状の可撓性基材201aの上に、インジウムチンオキシド(ITO)を使用し、図2(a)に示されるノーマル型のパターンに形成された複数の第1電極の状態を示す。本図では、供給工程2から供給される帯状の可撓性基材201aは、幅方向に3列の第1電極8が形成された状態となっている。8aは第1電極8の取出し電極を示し、8bは第2電極の取出し電極用の電極を示す。
Step2では、第2電極分離壁形成工程301で帯状の可撓性基材201aの上に形成されているノーマル型のパターンに形成された複数の第1電極の周辺に図2(b)に示される様に第2電極分離壁10がウェット方式で成膜し形成される。
Step3では、第1電極8の周辺に形成された第2電極分離壁で形成された枠11aの中及び枠11cの第2電極の取出し電極用の電極8bの上を除いて、有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)(図中の斜線で示される部分)がこの順番でウェット方式によりパターン成膜して形成し積層される。成膜は、帯状の可撓性基材201aの上に形成されているアライメントマーク9を各工程に設けられている検出機(不図示)で読み取り、予めアライメントマーク9と第1電極8の位置との関係をインプットしてあるメモリーとCPUとを有する制御装置(不図示)により成膜装置の位置合わせをして行われる。
Step4では、電子輸送層までが形成されている帯状の可撓性基材201aの上全面に第2電極用のアルミニウムの薄膜が図4に示す様に複数の気相成膜装置を有する第2電極形成工程で第2電極12がベタ状に成膜し形成される。全面に第2電極用のアルミニウムの薄膜がベタ状に成膜し形成されることで、第1電極8の取出し電極8aの上にも形成される。しかし、第2電極分離壁の高さが、第2電極12の膜厚に対して、10倍から500倍と高いため、第2電極分離壁10a1と、第2電極分離壁10a2とで第2電極の導通が遮断され絶縁性が保たれ第2電極と隣接する第2電極との短絡が防止された状態となる。又、第2電極の取出し電極用の電極8bの上にもアルミニウムの薄膜が成膜されて形成され第2電極の取出し電極12aが出来上がる。他の符号は図2と同義である。
この後、接着剤が塗布され、封止部材が貼合され複数の有機EL素子構造体とした後、断裁し個々の有機EL素子が製造される。
図6は図1に示す製造工程で直列型の有機EL素子用の第2電極までを形成する概略フロー図である。本図で右側の図はJ−J′に沿った概略断面図である。
Step1では、帯状の可撓性基材201aの上に、インジウムチンオキシド(ITO)を使用し、図3(a)に示される直列型のパターンに形成された複数の第1電極8′の状態を示す。本図では、供給工程2から供給される帯状の可撓性基材201aは、幅方向に3列の第1電極8′が形成された状態となっている。
Step2では、第2電極分離壁形成工程301で帯状の可撓性基材201aの上に形成されている直列型のパターンに形成された複数の第1電極の周辺に図3(b)に示される様に第2電極分離壁10′がウェット方式で成膜し形成される。
Step3では、第1電極の周辺に形成された第2電極分離壁10′の第2電極分離壁10′aと、第2電極分離壁10′bとで形成された枠11′の中に、第1電極の取出し電極8a′となる部分を除いて、有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)(図中の斜線で示される部分)がこの順番でウェット方式によりパターン成膜して形成し積層される。成膜は、帯状の可撓性基材201aの上に形成されているアライメントマーク9を各工程に設けられている検出機(不図示)で読み取り、予めアライメントマーク9と第1電極の位置との関係をインプットしてあるメモリーとCPUとを有する制御装置(不図示)により成膜装置の位置合わせした後行われる。
Step4では、電子輸送層までが形成されている帯状の可撓性基材201aの上全面に第2電極用のアルミニウムの薄膜が図4に示す様に複数の気相成膜装置を有する第2電極形成工程でベタ状に成膜し形成される。全面に第2電極用のアルミニウムの薄膜がベタ状に成膜し形成されることで、枠11′の中の有機機能層が形成されていない第1電極用のITOの上にもアルミニウムの薄膜が成膜されて形成されることで、幅方向で直列に電極が繋がった状態となる。又、本図の右端部には第2電極分離壁10′aが形成されていないため第1電極8′の上に形成されている有機機能層の上を含め帯状の可撓性基材201aの上にもアルミニウムの薄膜が成膜されて形成され、これが第2電極の取出し電極12′aとなる。
アルミニウムの薄膜は第1電極8′の取出し電極8′aの上にも成膜されて形成される。しかし、第2電極分離壁10′の高さが、第2電極12′の膜厚に対して、10倍から500倍と高いため、第2電極分離壁10′aと、第2電極分離壁10′bとで第2電極12′の導通が遮断され絶縁性が保たれる状態となる。又、搬送方向に対しても第2電極分離壁10′の高さが、第2電極12′の膜厚に対して、10倍から500倍と高いため、アルミニウムの薄膜は分断され絶縁が保たれ第2電極12′と隣接する第2電極12′との短絡が防止された状態となる。この後、接着剤が塗布され、封止部材が貼合され複数の有機EL素子構造体とした後、断裁し個々の有機EL素子が製造される。その他の符号は図3と同義である。
図1から図6に示す様にパターン化されて形成されている第1電極を複数有する帯状の可撓性基材上に連続的に可撓性基材を搬送しながらウェット方式で第2電極分離壁と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層とを成膜して形成した後、複数の気相成膜装置を使用し可撓性基材を連続的に搬送しながら第2電極をドライ成膜方式でベタ状に成膜し形成することで次の効果が挙げられる。
1)ドライ成膜法で第2電極を成膜するとき、間欠搬送することなく連続搬送で成膜することが出来るため、ロールツーロール方式の本来の高い生産効率が可能、又、ウェット方式の成膜速度に合わせた生産速度にするために速度調整能力が大きいアキュームレータが不要となり、設備コストの増加をすることなく、設置面積を大きくすることがなく有機EL素子の製造が可能となった。
2)マスク成膜プロセスを使用しないためメタルマスクが不要となることで、メタルマスクと基材のアライメント工程が不要となり、設備の簡素化が可能となるとともに、マスク交換、マスク作製等の煩雑な作業がなくなり作業効率の向上が可能となった。
3)目標とする成膜量を連続搬送しながら得ることになるため、基材に対する材料の入射角が連続的に変わることになり、例え成膜する面に欠陥が存在しても、欠陥のある箇所が核になり欠陥が増幅することなく均一な成膜が形成されることで性能が安定した有機EL素子の製造が可能となった。
4)ベタ状に成膜することが可能となったことでアライメント工程が不要になりドライ方式のラインスピードの高速化が可能となるため、前工程であるウェット方式のラインスピードとのラインスピード差をなくすことが出来、ウェット方式とドライ方式の処理速度差の調整を行うアキュームレータを必要最小限に抑えることとが可能となり、設備コストの低下が可能となった。
以下、本発明の有機エレクトロニクス素子の製造法に係わる有機EL素子の各部材に付き説明する。
(帯状可撓性基材)
帯状可撓性基材としては透明な樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。ロールツーロール法の場合は、第1電極側と、第2電極側とは同じ帯状可撓性基材を使用することが可能である。
(ガスバリア層)
帯状可撓性基材の表面に必要に応じて設けるガスバリア層としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m・day以下であることが好ましい。更には、酸素透過度0.1ml/m・day・MPa以下、水蒸気透過度10−5g/m・day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。ガスバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることが出来るが、特開2004−68143号に記載されている様な大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。これらのガスバリア層に使用した材料は第2の帯状可撓性基材、帯状可撓性接着部材への使用も可能である。
(第1電極(陽極))
第1電極(陽極)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。或いは、有機導電性化合物の様にウェット方式で成膜可能な物質を用いることも可能である。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等のドライ方式により、薄膜を成膜し形成させ、フォトリソグラフィ法で所望の形状のパターンを成膜し形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを成膜し形成してもよい。有機導電性化合物の様に塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式などウェット方式を用いることも出来る。この陽極より発光を取出す場合には、透過率を10%より膜厚は大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nmから1000nm、好ましくは10nmから200nmの範囲で選ばれる。
(第2電極分離壁)
本発明に用いられる第2電極分離壁の構成材料としては、パターン状に成膜し形成可能なものであれば特に限定されるものではないが例えば、活性線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等が挙げられる。
活性線硬化型樹脂としては例えば、アクリレート系、メタクリレート系等の反応性ビニル基を有する光硬化性樹脂が挙げられる。又、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することも出来る。これらの中でも、アクリル系樹脂が好適である。アクリル系樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、若しくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載した場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等の内から、1種若しくは2種以上を選択して使用することが出来る。
又、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。又上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。又、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。成膜し、乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤又光増感剤は該組成物の通常1質量%から10質量%添加することが出来、2.5質量%から6質量%であることが好ましい。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。又不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
例えば、紫外線硬化型樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、或いはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製)、或いはセイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製)、或いはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社)、或いはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、DIC株式会社製)、或いはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、或いはサンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、或いはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製)、或いはRCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)或いはこの他の市販のものから適宜選択して利用出来る。
紫外線硬化型樹脂を塗設する際の溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1から4のアルキル基)アルキルエーテル、プロピレングリコールモノ(炭素数1から4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、更に好ましくは5質量%から80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
紫外線硬化型樹脂を光硬化反応により硬化するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cmから10000mJ/cm程度あればよく、好ましくは、50mJ/cmから2000mJ/cmである。近紫外線領域から可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用出来る。
紫外線硬化型樹脂組成物は、成膜し乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒から5分がよく、紫外線硬化型樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒から2分がより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、中でも、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が好ましい。又、レゾール型フェノール樹脂「プライオーフェンJ−325(DIC(株)製)(固形分濃度70質量%)」、アルキッド樹脂「ベッコライトM−401−508(DIC(株)製)」、メラミン樹脂「スーパーベッカミンGB21−60(DIC(株)製)」、ブロック化イソシアネート樹脂「スミジュール3175(住化バイエルウレタン社製)」等の上市品等が挙げられる。
熱硬化性樹脂を塗設する際の溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)等のケトン系溶剤を挙げることが出来る。
熱硬化性樹脂の熱硬化は、熱硬化型樹脂が硬化する温度(例えば、120℃から200℃)で一定時間(例えば、0.5時間から10時間)加熱して熱硬化型樹脂を硬化する方法が好ましい。
(正孔注入層(陽極バッファ層))
第1電極(陽極)と発光層又は正孔輸送層の間に、正孔注入層(陽極バッファ層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファ層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファ層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファ層、アモルファスカーボンバッファ層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファ層等が挙げられる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されている様な所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
(発光層)
発光層に使用する材料は特に限定はなく、例えば、株式会社 東レリサーチセンター『フラットパネルディスプレイの最新動向 ELディスプレイの現状と最新技術動向』228から332頁に記載されている如き各種材料が挙げられる。
発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と、公知のリン光性化合物(リン光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することが出来る。又、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機層全体にわたって均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物のリン光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。リン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基材上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、そのリン光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
ホスト化合物は、有機EL素子の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。すなわち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
リン光性化合物(リン光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機EL素子とすることが出来る。
リン光性化合物は、リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。リン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めた時の色で決定される。
(電子輸送層)
他に発光層側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが出来、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来る。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることが出来る。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることが出来る。又、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることが出来る。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nmから5μm程度、好ましくは5から200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
又、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。この様なn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することが出来るため好ましい。電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、ウェット方式、ドライ方式等の公知の方法により、薄膜化することにより成膜し形成することも出来る。
(電子注入層(陰極バッファ層))
電子注入層形成工程で形成される電子注入層(陰極バッファ層)とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123から166頁)に詳細に記載されている。電子注入層(陰極バッファ層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファ層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファ層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファ層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファ層等が挙げられる。
(第2電極(陰極))
第2電極(陰極)としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第2金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を成膜し形成させることにより、作製することが出来る。
尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
又、第2電極に上記金属を1nmから20nmの膜厚で作製した後に、第1電極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)を作製することが出来、これを応用することで第1電極(陽極)と第2電極(陰極)の両方が透過性を有する素子を作製することが出来る。
(接着剤)
接着剤としては液状接着剤、シート状接着剤、熱可塑性樹脂等が挙げられる。液状接着剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型シール剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(2液混合)等の接着剤、又、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系のホットメルト型接着剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤等を挙げることが出来る。尚、素子を構成する有機層が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化出来るものが好ましい。又、帯状可撓性接着部材の接着剤層の裏面側には前述のガスバリア層が必要に応じて形成されることが好ましい。
液状接着剤を使用して封止部材を接着する場合、貼合部は、貼合安定性、貼合部内への気泡混入防止、可撓性封止部材の平面性保持等を考慮し、10から1×10−5Paの減圧条件で行うことが好ましい。
シート状の接着剤としては、常温(25℃程度)では非流動性を示し、且つ、加熱すると50℃から100℃の範囲で流動性を発現し、シート状に成形された接着剤を言う。使用する接着剤としては、例えば分子の末端又は側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と、光重合開始剤とを主成分とする光硬化性樹脂が挙げられる。使用に際しては、例えば、予め、封止部材側に貼合して常温(25℃程度)以下にして使用することが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、JIS K 7210規定のメルトフローレートが5g/10minから20g/10minである熱可塑性樹脂が好ましく、更に好ましくは、6g/10minから15g/10min以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これは、メルトフローレートが5g/10min以下の樹脂を用いると、各電極の取出し電極の段差により生じる隙間部を完全に埋めることが出来ず、20g/10min以上の樹脂を用いると引っ張り強さや耐ストレスクラッキング性、加工性などが低下するためである。これらの熱可塑性樹脂をフィルム状に成形し可撓性封止部材(帯状可撓性封止部材、枚葉シート状可撓性封止部材)に貼合して使用することが好ましい。貼合方法は一般的に知られている各種の方法、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。
熱可塑性樹脂は、上記数値を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば機能性包装材料の新展開(株式会社東レリサーチセンター)に記載の高分子フィルムである低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ナイロン(ONy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セロファン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン(PVDC)等の使用が可能である。これらの熱可塑性樹脂の中で特にLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、LDPE、LLDPEとHDPEフィルムの混合使用した熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
(封止部材)
封止部材の基材としては特に限定はなく、例えばエチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、HDPE、OPP、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ONy、PET、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)など一般の包装用フィルムに使用されている熱可塑性樹脂フィルム材料、ガラス、金属箔等を使用することが出来る。又、これら熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて貼り合せて作った多層フィルム等も当然使用出来る。更に必要とする物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組合せて作ることも当然可能である。
熱可塑性樹脂フィルムの場合は、蒸着法やコーティング法でバリア層を形成する必要がある。バリア層としては、例えば金属蒸着膜、金属箔が挙げられる。無機蒸着膜としては薄膜ハンドブックp879からp901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502からp509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132からp134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き金属蒸着膜が挙げられる。例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属が用いられる。又、金属箔の材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料を用いることが出来るが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。膜厚は、1μmから100μm程度、好ましくは10μmから50μm程度が望ましい。又、製造時の取り扱いを容易にするために、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのフィルムを予めラミネートしておいてもよい。可撓性封止部材に樹脂フィルムを使用する場合、液状シール剤と接触する側に熱可塑性接着性樹脂層を有することが好ましい。
更に、バリア層の上に保護層を設けてもよい。保護層の膜厚は、バリア層の耐ストレスクラッキング性、耐電気的絶縁性、シール剤層として使用する場合は接着性(接着力、段差追従性)等を考慮し、100nmから200μmが好ましい。保護層としてはJIS K 7210規定のメルトフローレートが5g/10minから20g/10minである熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、更に好ましくは、6g/10minから15g/10min以下の熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。これは、メルトフローレートが5g/10min以下の樹脂を用いると、各電極の取出し電極の段差により生じる隙間部を完全に埋めることが出来ず、20g/10min以上の樹脂を用いると引っ張り強さや耐ストレスクラッキング性、加工性などが低下するためである。熱可塑性樹脂フィルムは、上記数値を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の高分子フィルムであるLDPE、HDPE、LLDPE、中密度ポリエチレン、CPP、OPP、ONy、PET、セロファン、PVA、延伸ビニロン(OV)、EVOH、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、PVDC等の使用が可能である。これらの熱可塑性樹脂フィルムの中で特にLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、これらフィルムとHDPEフィルムの混合使用したフィルムを使用することが好ましい。
封止層を形成するのに使用する可撓性封止部材は、製造時の取り扱いを容易にするために、樹脂基材の上にバリア層(必要に応じて保護層)を形成し積層フィルム状にした状態で使用することが好ましい。積層フィルムの製造方法としては、無機物を蒸着した熱可塑性樹脂フィルム及びアルミニウム箔をラミネートした熱可塑性樹脂フィルムの無機物層の上に一般的に知られている各種の方法、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。
可撓性封止部材の水蒸気透過度は、有機EL素子として製品化する際に必要とするガスバリア性等を考慮し、0.01g/m・day以下であることが好ましく、且つ酸素透過度は、0.1ml/m・day・MPa以下であることが好ましい。水分透過度はJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値であり、酸素透過度はJIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値である。可撓性封止部材のヤング率は有機EL素子との密着性、液状接着剤の塗れ広がり防止等を考慮し、1×10−3GPaから80GPaであり、厚みが10μmから500μmであることが好ましい。
(無機膜)
無機膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等を用いることが出来る。無機膜の厚さは、水分透過率、ガス透過率、膜応力等を考慮し、30nm以上、2000nm以下が好ましい。
(その他)
本発明の有機EL素子の製造方法に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7から2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明支持体との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が有機EL素子側面方向に逃げるためである。
この光の取出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明支持体表面に凹凸を形成し、透明支持体と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。透明支持体に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。透明支持体と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。透明支持体と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。透明支持体、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、透明支持体と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を有機EL素子と組合せて用いることが出来るが、透明支持体と発光体の間に透明支持体よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、或いは透明支持体、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることが出来る。本発明においては、これらの手段を組合せることにより、更に高輝度或いは耐久性に優れた有機EL素子を得ることが出来る。
透明電極と透明支持体の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明支持体の屈折率は一般に1.5から1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面若しくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が一次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取出そうとするものである。導入する回折格子は、2次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を2次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、何れかの層間若しくは、媒質中(透明支持体内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。この時、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2から3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
更に、本発明の有機EL素子の製造方法に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取出すために、透明支持体の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設ける様に加工したり、或いは、所謂集光シートと組合せることにより、特定方向、例えば有機EL素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、透明支持体の光取出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となる様な四角錐を2次元に配列する。一辺は10μmから100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大き過ぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(帯状の有機EL素子構造体の作製)
図1に示す製造工程により構成の帯状の有機EL素子構造体(可撓性基材/第1電極(陽極)/第2電極分離壁/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)/接着剤層/封止部材)を作製した。尚、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層はウェット方式で成膜し形成し、第2電極(陰極)はドライ方式で成膜し形成した。
〈ガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材の準備〉
(帯状の可撓性基材の準備)
帯状の可撓性基材として、幅800mm、長さ500mの厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム社製、以下、PENフィルムと略記する)を準備した。
(ガスバリア層の形成)
準備したPENフィルムの上に大気圧プラズマ放電処理法で、トータルの膜厚で約90nmの酸化珪素からなる低密度層、中密度層、高密度層、中密度層のユニットを3層積層した透明ガスバリア性フィルムを作製した。JIS K 7129−1992に準拠した方法により水蒸気透過度を測定した結果、10−3g/(m・24h)以下であった。JIS K 7126−1987に準拠した方法により酸素透過度を測定した結果、10−3ml/(m・24hr・MPa)以下であった。
(第1電極の形成)
準備したガスバリア層を形成したPENの上全面に、ITO(インジウムチンオキシド)をアルゴン雰囲気下でスパッタリング法により厚さ130nmで成膜しITO膜を形成した。この後、この後、ITO膜の形成された面に、紫外光で重合するフォトリソグラフ用の樹脂をスリットコート法で全面成膜し、90℃の乾燥炉を通過させた。この後、図2(a)に示すノーマル型の第1電極(陽極)のパターンになる様に紫外光で露光し、現像、エッチング、アルカリ処理を経て、イオン交換水で洗浄後、清浄な空気を吹き付けて乾燥し、幅方向200mm×長手方向200mm、幅方向の間隔40mm、(但し、両端は可撓性基材の端部との間隔60mm)長さ方向の間隔40mmで幅方向に3列で図2(a)に示す形状のノーマル型の第1電極(陽極)を形成し、ガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材を準備し、巻き芯に巻き取りロール状とした。このITO膜の表面比抵抗は、40Ω/□であった。
(第2電極分離壁の形成)
図1に示す製造工程を使用し、準備したロール状のガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材を供給工程にセットし、第2電極分離壁形成工程で帯状の可撓性基材の上に形成された第1電極の周辺に図2(b)に示す様に幅方向と、帯状の可撓性基材の搬送方向に以下に示す第2電極分離壁形成用塗布液をインクジェット成膜装置を使用して、帯状の可撓性基材の上に付けられているアライメントマークを検出機で読み取り、得られた情報からインクジェット成膜装置の位置を合わせ、日本ゼオン社製ポジレジストZWD6216−6をパターン状に成膜した後、150℃で乾燥し、硬化させ、第2電極分離壁を形成した。引き続き、正孔輸送層形成工程に搬送される。第2電極分離壁の高さは、第2電極の厚さに対して10倍の1.5μmとし、第2電極分離壁の幅は50μmとした。尚、インクジェット塗布装置は帯状の可撓性基材の搬送方向の第2電極分離壁専用に1台、幅方向に5台のヘッドを配設し行った。帯状の可撓性基材の搬送速度は2m/minで行った。
(正孔輸送層形成用塗布液の調製)
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノールで5%希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。正孔輸送層形成用塗布液の表面張力は40mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3)であった。
(正孔輸送層の形成)
第2電極分離壁形成工程から搬送速度は2m/minで搬送されてくる第2電極分離壁迄が形成された帯状可撓性基材の第1電極の上に形成された第2電極分離壁の格子に合わせ調製した正孔輸送層形成用塗布液を、窒素ガス雰囲気でインクジェット成膜装置でパターン成膜した後、乾燥し厚みが50nmの正孔輸送層を形成し、発光層形成工程に搬送した。
(乾燥及び加熱処理条件)
正孔輸送層形成用塗布液を成膜した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置で温度120℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い正孔輸送層を形成した。
(緑色発光層形成用塗布液の調製)
溶媒であるトルエンに対してホストであるジカルバゾール誘導体(CBP)を1質量%、ドーパントであるイリジウム錯体(Ir(ppy))を0.05質量%の比率で溶解させたものを塗布液として準備した。発光層形成用塗布液の表面張力は25℃で28mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3を使用)であった。
(発光層の形成)
引き続き、正孔輸送層迄を形成した帯状可撓性基材の正孔輸送層の上に、調製した緑色発光層形成用塗布液をインクジェット成膜装置で窒素ガス雰囲気中で搬送速度2m/minでパターン成膜した後、乾燥し厚みが100nmの発光層を形成し電子輸送層形成工程に搬送した。
(乾燥及び加熱処理条件)
緑色発光層形成用塗布液を成膜した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で温度150℃で加熱処理を行い発光層を形成した。
(電子輸送層形成用塗布液の調製)
溶媒である乳酸エチルに対して2−(4−ビフェニリル)−5−(p−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu−PBD)を1質量%で溶解させたものを塗布液として準備した。電子輸送層形成用塗布液の表面張力は25℃で29mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3を使用)であった。
(電子輸送層の形成)
引き続き、発光層迄を形成した帯状可撓性基材の発光層の上に、以下に示す電子輸送層形成用塗布液をインクジェット成膜装置で窒素ガス雰囲気中で搬送速度2m/minでパターン成膜した後、以下に示す条件で乾燥及び加熱処理し、厚みが30nmの電子輸送層を形成した後に、電子輸送層側を外側にして巻き芯に巻き取りロール状のフィルムとして一旦巻き取り、10−3Paの減圧下で室温で1日収納箱に保管した。
(乾燥及び加熱処理条件)
電子輸送層形成用塗布液を成膜した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で温度150℃で加熱処理を行い電子輸送層を形成した。
尚、第2電極分離壁の形成から電子輸送層の形成まではウェット方式により帯状の可撓性基材を止めることなく連続搬送しながら行った。
(第2電極の形成)
図1に示される製造工程で、第2電極形成工程の気相成膜ユニットの数を1つとし、電子輸送層までが形成された帯状の可撓性基材を連続的に搬送しながら帯状の可撓性基材の全幅に厚さ150nmに成膜し、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材を製造しNo.1−aとし、封止工程に搬送した。帯状の可撓性基材の搬送速度は2m/minとした。その際、可撓性基材の長手方向における成膜可能な開口部の長さは1mであり、開口部を通過する時間は30secである。アルミニウムを抵抗加熱成膜で5nm/secの成膜速度で成膜した。
比較No.1−bの作製
(製造工程の準備)
図1に示される製造工程で、電子輸送層迄が形成された、ロール状の帯状の可撓性基材の搬送を止めない様にするため、第2電極形成工程の気相成膜ユニットを次の様に改造した。第2電極の成膜が終了するまでの量を溜める機能を有するアキュームレータと、帯状の可撓性基材の対角に設けられたアライメントマークとマスクのアライメントマークと検出装置と位置合わせ機能手段とを有するアライメントユニットを気相成膜ユニットの中に設置し改造した。尚、可撓性基材の長手方向における成膜可能な開口部の長さは1mとした。
(第2電極の形成)
改造した第2電極形成工程を有する図1に示す製造工程を使用し、第2電極分離壁を形成しない他は全て第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材No.1−aと同じ方法で電子輸送層迄を形成した帯状の可撓性基材を、第2電極形成工程の気相成膜ユニットで搬送を停止した状態で、帯状の可撓性基材に設けられたアライメントマークをアライメントユニットの検出装置で検出し、マスクのアライメントマークと可撓性基材のアライメントマークとを位置合わせ手段で合わせた。この後に、第2電極用の成膜原料であるアルミニウムの成膜量を帯状の可撓性基材の全幅に厚さ150nmに成膜し、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材を製造し比較No.1−bとし、成膜終了後に、次の成膜のために成膜可能な開口長さの1mを繰り出し封止工程に搬送した。その際のステップの搬送速度は2m/minとした。開口部を通過する時間は30secとし、アルミニウムを抵抗加熱成膜で5nm/secの成膜速度で成膜した。
尚、第2電極までが形成された帯状の可撓性基材は連続的に搬送し、第2電極の成膜が終了するまでは、アキュームレータで溜め、第2電極の成膜が終了した後、気相成膜ユニットに必要量を搬送するステップ方式で行った。
第2電極までが形成された帯状の可撓性基材No.1−a、1−bの第2電極を形成するのに必要とした時間を表1に示す。
表1に示す様に第2電極までが形成された帯状の可撓性基材No.1−aの場合は、1mの長さを成膜するのに要した時間が30secに対して、No.1−bの場合は、1mの長さを成膜するのに要した時間が75secを要した結果となった。即ち、ドライ成膜工程での帯状の可撓性基材の搬送速度は、帯状の可撓性基材No.1−aの場合は2m/min、帯状の可撓性基材No.1−bの場合は0.8m/minとなった。
(封止部材の貼合)
引き続き、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材No.1−a、1−bの第2電極の上に、取出し電極になる部分を含め接着剤をPENの幅全面に厚さ20μmに塗設した。この後、可撓性基材No.1−a、1−bに付けられたアライメントマークと同じ位置にアライメントマークを付けた厚さ50μmのPETに、防湿層として厚さ30μmのアルミ箔を積層した封止部材を相互のアライメントマークを合わせ積重し、押圧0.5MPaで貼合し、温度100℃で接着固定化し帯状の有機EL素子構造体が製造しNo.1−1、1−2とした。尚、接着剤として(株)スリーボンド製16X−098を使用した。
(帯状の有機EL素子構造体の断裁)
引き続き、断裁工程で封止工程から搬送されてくる有機EL素子構造体No.1−1、1−2の500mから幅175mm×長さ175mmの個別の有機EL素子を打ち抜き断裁し試料No.101、102とした。
評価
準備した各有機EL素子No.101、102の生産性に付き、帯状の可撓性基材の供給工程から断裁工程までの帯状の可撓性基材の搬送速度を生産速度の代用特性として結果を表2に示す。
本発明の試料No.101では第2電極分離壁を設けることで第2電極をベタ状に成膜し形成することが可能であることから、第1電極とのアライメント(位置合わせ)が不要となり、アライメント時間、ステップ搬送時間といった蒸着時間以外の時間が不要となり、連続的に可撓性基材を搬送することが出来るので、ドライ成膜工程の可撓性基材の搬送速度の低下を防ぐことが可能となり、その結果、生産速度を改善することが可能となっている。又、ドライ成膜工程の可撓性基材の搬送速度の低下を防ぐことにより、ウェット成膜工程とドライ成膜工程との可撓性基材の搬送速度を等しく、或いは、小さくすることが出来るため、ウェット成膜工程とドライ成膜工程の可撓性基材の搬送速度差を吸収するアキュームレータを不要、又は、最小現に抑えることが可能となり、設備コストの点でも改善が可能となった。
比較試料No.102では、ドライ成膜工程がアライメント工程を有することで、成膜終了後に成膜する長さ分を搬送するステップ搬送処理となるため、蒸着時間とは別にアライメント時間、ステップ搬送時間といった成膜処理とは関係のない不要な時間が必要となり、ドライ成膜工程の可撓性基材の搬送速度を低下している。本発明の有効性が確認された。
実施例2
(帯状の有機EL素子構造体の作製)
図1に示す製造工程により実施例1と同じ構成の帯状の有機EL素子構造体を作製した。尚、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層はウェット方式で形成した。
〈ガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材の準備〉
(帯状の可撓性基材の準備)
実施例1と同じ帯状の可撓性基材を準備した。
(ガスバリア層の形成)
準備したPENフィルムの上に実施例1の試料No.101と同じガスバリア層を実施例1の試料No.101と同じ方法で形成した。
(第1電極の形成)
準備したガスバリア層を形成したPENの上に、実施例1の試料No.101と同じ第1電極を実施例1の試料No.101と同じ方法で形成した。
(第2電極分離壁の形成)
準備したロール状のガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材の上に形成された第1電極の周辺に実施例1の試料No.101と同じ第2電極分離壁を実施例1の試料No.101と同じ方法で形成した。
(正孔輸送層の形成)
準備した第2電極分離壁迄が形成された帯状可撓性基材の第1電極の上に、実施例1の試料No.101と同じ正孔輸送層を実施例1の試料No.101と同じ方法で形成した。
(発光層の形成)
引き続き、正孔輸送層迄を形成した帯状可撓性基材の正孔輸送層の上に、実施例1の試料No.101と同じ緑色発光層を実施例1の試料No.101と同じ方法で形成した。
(電子輸送層の形成)
引き続き、発光層迄を形成した帯状可撓性基材の発光層の上に、実施例1の試料No.101と同じ電子輸送層を実施例1の試料No.101と同じ方法で形成した。
(第2電極の形成)
図1に示される製造工程で、第2電極形成工程の気相成膜ユニットの数を表3に示す様に変え、電子輸送層まで形成されている帯状の可撓性基材の電子輸送層の上に、帯状可撓性基材を連続的に搬送しながら第2電極用の成膜原料であるアルミニウムの成膜量を以下に示す様に段階的に変化し帯状の可撓性基材の全幅に厚さ150nmに成膜し、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材を製造しNo.2−aから2−cとし、封止工程に搬送した。
帯状の可撓性基材の搬送速度は2m/分とした。尚、帯状の可撓性基材の長手方向における蒸着可能な開口部の長さは1mであり、蒸着可能な開口部を通過する時間は30secである。アルミニウムを抵抗加熱蒸着で成膜した。
(封止部材の貼合)
引き続き、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材No.2−aから2−cの第2電極の上に、実施例1と同じ方法で実施例1と同じ接着剤を塗設し、実施例1と同じ封止部材を実施例1と同じ方法で積重し、接着固定化し帯状の有機EL素子構造体を製造しNo.2−1から2−3とした。
(帯状の有機EL素子構造体の断裁)
引き続き、断裁工程で封止工程から搬送されてくる各有機EL素子構造体No.2−1から2−3の500mから幅175mm×長さ175mmの個別の有機EL素子を打ち抜き断裁し試料No.201から203とした。
評価
準備した各有機EL素子No.201から203に付き、ダークスポットを以下に示す試験方法で試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
ダークスポットの試験方法
打ち抜き断裁した後、温度55℃、湿度80%RHで2日間保存した後、第1電極の取出し電極との接続端子を可撓性基材のPENから差し込み、第2電極の取出し電極との接続端子を封止部材側から差し込み、KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。200cd/mで発光させた有機EL素子について、50倍の顕微鏡で発生しているダークスポットの数(観察面積2mm×2mm)を観察した。
ダークスポットの評価ランク
◎:ダークスポットの発生がない
○:ダークスポットの数1個未満、3個以上
△:ダークスポットの数3個未満、5個以上
×:ダークスポットの数5個以上
本発明では第2電極分離壁を設けることでドライ成膜工程で第2電極をベタ成膜し形成することが可能であることから、第1電極とのアライメント(位置合わせ)が不要となった。この結果、連続的に可撓性基材を搬送しながら成膜することが出来るので、複数の成膜ユニットを用いて段階的に成膜速度を変更することが可能である。その際、試料No.203に示される様に成膜開始から初期の有機層近傍は有機層のダメージを考慮して低い成膜速度で形成し、所定膜厚に到達した時点からは生産性重視で、成膜速度を早くして形成しても、ダークスポットの少ない良好な有機EL素子を作製することが可能であることを確認した。ドライ成膜工程で有機層へダメージを与えることなく、且つ実施例1の結果と合わせ、高生産性の両立が可能となり、本発明の有効性が確認された。
実施例3
第1電極の形成を図3(a)に示す直列型に実施例1に示す方法で形成し、第2電極分離壁を図3(b)に示す様に実施例1に示す方法で形成した他は全て実施例1と同じ方法で、有機EL素子を作製した結果、実施例1と同じ結果を得た。又、作製した有機EL素子に付きダークスポットを実施例2と同じ方法で試験をした結果、実施例2と同じ結果を得た。
実施例4
(帯状の有機EL素子構造体の作製)
〈ガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材の準備〉
実施例1と同じ帯状の可撓性基材を使用し、ガスバリア層を同じ方法で形成した後、第1電極を同じ方法で形成しガスバリア層/第1電極を有するロール状の可撓性基材を準備した。
(第2電極分離壁の形成)
準備したロール状のガスバリア層/第1電極を有する帯状の可撓性基材を供給工程にセットし、表5に示す様に第2電極分離壁の高さを第2電極の厚さに対する割合を変えた他は実施例1と同じ方法で第2電極分離壁を作製し第2電極分離壁を有する帯状の可撓性基材No.4−aから4−gとした。
(正孔輸送層の形成)
第2電極分離を有する帯状の可撓性基材No.4−aから4−gを使用し、実施例1と同じ方法で実施例1と同じ正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
正孔輸送層が形成された帯状の可撓性基材No.4−aから4−gを使用し、実施例1と同じ方法で実施例1と同じ発光層を形成した。
(電子輸送層の形成)
発光層が形成された帯状の可撓性基材No.4−aから4−gを使用し、実施例1と同じ方法で実施例1と同じ電子輸送層を形成した。
(第2電極の形成)
電子輸送層が形成された帯状の可撓性基材No.4−aから4−gを使用し、実施例1と同じ方法で実施例1と同じ第2電極を形成し、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材を製造しNo.4−1から4−7とし、封止工程に搬送した。帯状の可撓性基材の搬送速度は2m/minとした。
(有機EL素子の作製)
引き続き、第2電極迄が形成された帯状の可撓性基材No.4−1から4−7の第2電極の上に、実施例1と同じ接着剤を同じ方法で塗設し、実施例1と同じ封止部材を貼合し帯状の有機EL素子構造体とした後、有機EL素子構造体1000mから幅175mm×長さ175mmの個別の有機EL素子を打ち抜き断裁し試料No.401から407とした。
評価
準備した試料No.401から407に付き、リーク電流特性を以下に示す試験方法により試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
リーク電流特性の評価方法
定電圧電源を用いて、逆方向の電圧(逆バイアス)を5Vを5秒間印加し、その時有機EL素子に流れる電流を測定した。サンプル10枚の発光領域について測定を行い、最大電流値をリーク電流とした。
リーク電流特性の評価ランク
◎:最大電流値が1×10−8A未満
○:最大電流値が1×10−8A以上、1×10−6A未満
△:最大電流値が1×10−6A以上、1×10−4A未満
×:最大電流値が1×10−4A以上
第2電極分離壁の高さを第2電極の厚さに対して10倍から500倍として作製した有機EL素子は、リーク電流特性に優れた結果を示した。本発明の有効性が確認された。
1 製造工程
2、 供給工程
201a 帯状の可撓性基材
3 ウェット成膜工程
301 第2電極分離壁形成工程
301a 第2電極分離壁形成装置
301b 乾燥装置
302 正孔輸送層形成工程
303 発光層形成工程
304 電子輸送層形成工程
4 ドライ成膜工程
401 第2電極形成工程
401a 気相成膜ユニット
401a1 第1気相成膜ユニット
401a2 第2気相成膜ユニット
401a3 第3気相成膜ユニット
401a4 第4気相成膜ユニット
401b、401b1から401b4 気相成膜装置
401c 排気管
401d 導入管
401f1、401f2 保持ロール
5 封止工程
8、8′ 第1電極
8a 取出し電極
8b 取出し電極用の電極
9、9′ アライメントマーク
10、10a、10a1、10a2、10b、10′、10′a、10′b 第2電極分離壁
11、11a、11b、11c、11′ 枠

Claims (9)

  1. 可撓性基材の上に少なくとも、第1電極と、第2電極分離壁と、少なくとも1層の有機機能層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子をロールツーロール方式で製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記第1電極が形成された可撓性基材を供給する可撓性基材供給工程と、
    前記第2電極の導通を遮断する前記第2電極分離壁と、前記有機機能層の少なくとも1層を大気圧環境下のウェット方式で前記第1電極の上に成膜し形成するウェット成膜工程と、
    少なくとも前記第2電極を真空環境下のドライ方式で前記有機機能層の上に成膜し形成するドライ成膜工程とを有し、
    前記ウェット成膜工程及び前記ドライ成膜工程で前記可撓性基材を連続搬送しながら成膜することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記第2電極分離壁をウェット成膜工程で直接印刷法によりパターン状に成膜し形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記有機機能層の少なくとも1層をウェット成膜工程で直接印刷法によりパターン状に成膜し形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記第2電極をドライ成膜工程で気相成膜法によりベタ状に成膜し形成することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記ドライ成膜工程は、複数の気相成膜手段を使用し、該気相成膜手段による材料成膜速度が、帯状の可撓性基材の搬送方向に対して上流側から下流側に向かい、段階的に変化して行くことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記ドライ成膜工程は、複数の気相成膜手段を使用し、該気相成膜手段による材料成膜速度が、帯状の可撓性基材の搬送方向に対して上流側から下流側に向かい、段階的に増加して行くことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記第2電極分離壁の膜厚が、第2電極の膜厚の10倍から500倍であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記第2電極分離壁が第1電極の周辺に形成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、ドライ成膜工程の後に、封止部材貼合工程と、断裁工程とを有することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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