JPWO2010044399A1 - 多機能リポソーム自動製造装置 - Google Patents

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哲郎 吉村
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Abstract

【課題】 少量の有機溶媒を用いてコンピュータによる自動制御により、迅速かつ効率的に多種・多量のリポソームを調製する装置等を提供すること。【解決手段】 円筒状の反応容器2と、偏心モータ3と、ヒータ4と、真空ポンプ10と、有機溶媒を反応空間に送液するシリンジポンプSP3と、水溶液を反応空間に送液するシリンジポンプSP4と、超音波処理装置6と、各機構を所定のプログラムに従って自動制御するコンピュータ15を備えた多機能リポソーム自動製造装置1によって達成される。【選択図】 図1

Description

本発明は、偏心モータと超音波処理装置とコンピュータとを用いた自動制御可能な多機能リポソーム自動製造装置に関する。
リポソームは、脂質によって形成される二分子膜の閉鎖小胞である。リポソームは、生体膜と類似の構造を有するため、従来から様々な研究材料として用いられてきている。
リポソーム内部の水相には、水溶性の薬効成分・抗体・酵素・遺伝子などを封じ込めることができる。また、リポソーム二分子膜内には、油溶性のタンパク質や薬効成分などを保持できる。また、リポソーム二分子膜表面には、DNAやRNAなどを結合させることができる。このような特徴があるので、リポソームは、医療・化粧品・食品などの分野で用いられてきている。近年には、リポソーム製剤を薬物送達システム(DDS)に利用するための研究が盛んになされている。更に、リポソームの脂質二分子膜にタンパク質やペプチドを組み込んで、それらの作用を評価する研究が行われている。
リポソームの製造方法は、例えばボルテックス処理法、超音波処理法、逆相蒸発法、エタノール注入法、押し出し法、界面活性剤法、静置水和法等が知られている(非特許文献1、2)。これらの製造方法は、リポソームの構造に応じて、適宜に利用される。超音波処理法は、リポソームに関する研究の創成期から現在まで使用されている。このため、この方法を用いたリポソーム製造装置が開発されている(特許文献1)。また、超臨界流体を用いたリポソーム製造装置も開発されている(特許文献2)。
特開平4−293537号公報 特開2005−162702号公報
寺田 弘、吉村 哲郎、「ライフサイエンスにおけるリポソーム 実験マニュアル」、シュプリンガー・フェアラーク東京(1992) V. P. Torchilin, V. Weissig 編, "Liposemes", Oxford University Press (2003)
特許文献1に開示された超音波処理法によるリポソーム製造装置では、自動制御できなければ、一回に超音波処理できる溶液量が少量に限られるという欠点があった。特許文献2に開示された超臨界流体法によるリポソーム製造装置では、高圧に耐える容器などが必要であり、装置が大掛かりになるという欠点があった。
上記欠点のため、リポソームを調製する場合には、現在でもほとんどは手作業で行われている。リポソームを手作業で調製するときには、先ずリポソームを構成する脂質を有機溶媒に溶解させる。次に、脂質−有機溶媒溶液をフラスコに入れ、フラスコを回転させながら、フラスコ内を減圧して有機溶媒を徐々に気化させて飛ばす。有機溶媒が気化すると、フラスコ内壁に脂質からなる薄膜が調製される。この手順は、良質なリポソームを製造するためには、薄く均一な脂質薄膜を調製することが重要であるという理由に依るものである。このため、なるべく大きな底面積を備えた丸底フラスコが利用される。上記方法では、脂質薄膜を広く張るために、多量の有機溶媒が使われているため、環境にも好ましくない。
上記方法で脂質薄膜を製造するのには、手間と時間とを要する。このため、多種類または多量のリポソームを製造するのは大変な労力が必要であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少量の有機溶媒を用いてコンピュータによる自動制御で、迅速かつ効率的に多種・多量のリポソームを調製する装置等を提供することである。本発明者は、円筒型の反応容器と偏心モータとを備えた比較的小型の機械装置を作製した。この装置に、更に超音波処理装置を組み込み、これらをコンピュータで自動制御するリポソーム自動製造装置を発明した。この装置は、各種のリポソームを迅速かつ効率的に製造できる。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、円筒型の反応容器と偏心モータと超音波処理装置とをコンピュータで制御する構成により、MLV(multilamellar vesicles:多重層リポソーム)、LUV(large unilamellar vesicles:大きな単層リポソーム)、SUV(small unilamellar vesicles:小さな単層リポソーム)、GUV(giant unilamellar vesicles:巨大な単層リポソーム)などの各種リポソームの製造を可能とする装置を完成させた。
こうして、第1の発明に係る多機能リポソーム自動製造装置は、下記特徴を備えている。
すなわち、円筒状の反応容器と、
この反応容器の反応空間に貯留された溶液に渦流を発生させる偏心モータと、
前記反応容器を所定の温度とするヒータと、
前記反応容器に設けられ前記反応空間に水溶液を導入可能な水溶液ラインと、
前記水溶液ラインの他端に設けられて前記水溶液を貯留しておく第1ボトルと、
前記第1ボトル内の水溶液を前記水溶液ラインを経由して前記反応空間に移動させる第1ポンプと、
前記反応容器に設けられ前記反応空間内に不活性ガスを導入可能な不活性ガスラインと、
前記反応空間内を減圧する減圧ラインと、
この減圧ラインを通じて前記反応空間内を減圧する真空ポンプと、
前記反応容器に設けられ前記反応空間に脂質を溶解させた有機溶媒を導入可能な脂質ラインと、
前記脂質ラインの他端に設けられて前記有機溶媒を貯留しておく第2ボトルと、
前記第2ボトル内の有機溶媒を前記脂質ラインを経由して前記反応空間に移動させる第2ポンプと、
前記有機溶媒を回収する有機溶媒回収装置と、
前記偏心モータとヒータと第1ポンプと第2ポンプとを制御可能なコンピュータとを備えており、
前記コンピュータによる制御により、前記不活性ガスを前記反応容器内に導入し、前記偏心モータを駆動させ前記反応空間に貯留された脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させた状態で、前記反応空間を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記有機溶媒回収装置によって回収し、前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を形成させた後、前記反応空間に不活性ガスを導入した状態で、前記反応容器内に水溶液を導入し前記偏心モータを駆動させて渦流を発生させて、前記脂質薄膜と前記水溶液とでリポソームを作製する。
本発明においては、次の特徴を備えることが好ましい。
すなわち、前記水溶液ラインにおいて、前記反応容器とは逆側の端部では複数のラインに分岐されており、それら各ラインの端部には、水を主成分とする溶媒を貯留可能な水系ボトルと、
この水系ボトル内の溶媒を前記水溶液ラインを通して前記反応空間内に移動させる水系ポンプとが設けられており、
前記各水系ポンプは前記コンピュータによって制御可能とされており、
前記脂質ラインにおいて、前記反応容器とは逆側の端部では複数のラインに分岐されており、それら各ラインの端部には、有機溶媒を主成分とする溶媒を貯留可能な有機系ボトルと、
この有機系ボトル内の溶媒を前記脂質ラインを通して前記反応空間内に移動させる有機系ポンプとが設けられており、
前記各有機系ポンプは前記コンピュータによって制御可能である。
また、次の特徴を備えることが好ましい。
すなわち、前記反応空間内に貯留された水溶液を吸引して移動可能な溶液移動ラインと、前記水溶液を吸引すると共に前記コンピュータによって制御される移動用ポンプとが設けられており、
前記溶液移動ラインの他端には、前記水溶液に超音波を照射すると共に前記コンピュータによって制御される超音波処理装置が設けられている。
本発明においては、不活性ガスラインと減圧ラインとは、三方以上のコックを用いることにより、同じラインとできる。
本発明によれば、コンピュータ制御により、反応空間内に脂質を溶解させた有機溶媒(脂質−有機溶媒溶液)を貯留しておき、偏心モータを駆動させて、この脂質−有機溶媒溶液に渦流を発生させた状態で有機溶媒を気化させることにより、反応容器の内壁に脂質の薄膜が調製される。
従来の方法では、脂質を溶解させた有機溶媒を丸底フラスコに入れ、窒素気流下または減圧下で有機溶媒を徐々に除去し、フラスコ底部に脂質の薄膜をつくっていたことから、手間の掛かるものであった。本発明者らは、嵩高い丸底フラスコを用いる代わりに円筒型容器を用いた。円筒型容器の底面に宛(あて)がった偏心モータを用いて円筒型容器に偏心回転運動を与えることによって、容器内部の脂質-有機溶媒溶液に渦流を発生させる。この渦流を発生させながら、真空ポンプを用いて容器および系内を減圧して有機溶媒を気化・除去し、脂質の薄膜を調製することに成功した。
このように、偏心モータを駆動させて、円筒型容器内の反応空間の溶液に渦流を発生させた状態では、溶液は容器内壁に沿って上方へ展開される。この状態で反応空間を減圧させると、溶液の表面積が大きいので、有機溶媒を急速に除去できる。加えて、円筒型容器内壁に薄くかつ広く広がった脂質薄膜を調製できる。脂質薄膜を形成させた円筒型容器内に緩衝液などの水溶液を入れ、偏心モータを駆動させて、反応空間の水溶液に渦流を発生させると、脂質薄膜が水和・剥離してリポソームを製造できる。
脂質組成、溶媒組成、水溶液組成、及び円筒型容器容量・温度・偏心モータ駆動条件(即ち渦流特性)等の装置の操作条件を調節することによって、各種リポソームを調製できる。従来は、前後方向又は左右方向に反応容器を振とうさせつつ反応空間を低圧として、有機溶媒を除去するシステムが知られていた。本発明では、偏心モータを用いることにより、溶液を広く容器内壁に沿って展開しながら有機溶媒を除去する。このため、内部空間の有機溶媒の突沸を防ぐことができ、かつ急速に除去できるので好適な方法である。偏心モータは、有機溶媒の除去とリポソーム製造とに併用できるので、製造装置の構造を簡易化できる。
リポソームの製造中に反応容器を着脱する必要がないので、製造装置をコンピュータにより完全自動化することが可能となる。連続運転を行うことにより、リポソームを大量生産できる。また、渦流を発生させながら脂質薄膜を調製するので、容器内壁に沿って溶媒が広く展開する。このため、少量の有機溶媒の使用量が少量で済むので、従来の手作業に依る方法に比べると、環境への負荷が少ない。
リポソームを製造するほとんど全ての工程を閉鎖系とできるので、反応空間を減圧、脱酸素、窒素置換、及び滅菌できる。このため、微生物などが混入するおそれ(コンタミネーション)が小さくなり、医薬品などの製造にも応用できる。
上記構成によれば、脂質ラインと、水溶液ラインとが分岐されているので、それぞれのラインを洗浄するときに便利である。
リポソームとは、前述のMLV、LUV、SUV、GUVの各種リポソームであって、(1)水溶性薬物、抗体、酵素、遺伝子などを脂質二分子膜で囲まれた水相に封入したリポソーム、(2)油溶性薬物を脂質二分子膜内に取り込んだリポソーム、(3)機能性タンパク質・ペプチド・生体高分子等を膜に結合・表在・または貫通した状態として有するリポソーム、(4)何も封入物を有さない未封入リポソームなどを意味する。更に、(5)抗原となるタンパク質・ペプチド・生体高分子等を膜に有するリポソームワクチンを意味する。リポソームワクチンとは、生体内に取り込ませることにより、膜に有する抗原に対する抗体を作製させて、ワクチンとなるものを意味する。本発明では、上記いずれの用途を持つ多目的のリポソームを意味する。
複数の水系ボトルと複数の有機系ボトルとを別々に設ければ、複数の水系溶媒及び有機溶媒を用意できるので、リポソームを製造する際のオプションが豊富となり、種々のリポソームを製造できる。水系溶媒と有機溶媒とのラインが分かれているので、それぞれのラインの洗浄が容易となる。
超音波処理装置とは、液体に超音波を照射することにより、液体内部に含まれる物質(例えば、細菌、ウイルスなど)を分散・破壊したり、脂質にリポソーム(特に、SUV)を形成させる装置である。本発明によれば、コンピュータによる自動制御ができるので、細菌・ウイルスなどの抗原に超音波を照射している状態で、リポソームを形成するための脂質溶液を添加できる。一般に、超音波照射によって分散している物質(例えば、タンパク質)が、超音波照射の停止によって再凝集するまでの時間はミリ秒オーダーである。このため、従来のように、手作業で超音波照射した物質にリポソーム溶液を添加する場合には、リポソーム溶液の添加時に再凝集が始まっている(或いは終了している)可能性が高く、一旦分散した物質を上手くリポソームに組み込むことができなかった。本発明では、物質を分散した状態で、リポソームを導入できるので、その分散状態を反映したリポソーム(第3リポソーム)を調製できる。
リポソームワクチンとは、特定の感染症を起こす病原体(細菌、ウイルスなど)の抗原を、予めヒト・イヌ・ネコ・魚などの動物に接種することにより、免疫力を付与して、その感染症の予防に用いるものであり、リポソームをキャリアとして抗原を運搬するものを意味している。リポソームは、抗原を内部の水相内に保持したり、脂質二分子膜中に埋んだり、脂質二分子膜表面に結合させたりすることができるので、各種抗原をできるだけ元の形を有した状態で免疫細胞に提示できると考えられる。このため、従来のワクチンに比べると、高い免疫効果が期待できる。
本発明に係るリポソーム製造方法は、上記多機能リポソーム自動製造装置を用いてリポソームを製造する方法であって、下記工程(1)及び(2)を備えたことを特徴とする。
(1)反応容器内部の反応空間に不活性ガスを導入し、前記反応空間内において前記反応空間に貯留した脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させながら、前記反応空間内を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を調製する薄膜調製工程、
(2)前記反応空間に不活性ガスを導入し、水性液体を脂質の薄膜に加えて、前記反応空間内においてこの水性液体に渦流を発生させて第1リポソームを調製する第1リポソーム調製工程である。
また、本発明に係るリポソーム製造方法は、上記多機能リポソーム自動製造装置において超音波処理装置が設けられているものを用いてリポソームを製造する方法であって、下記工程(1)〜(3)を備えたことを特徴とする。
(1)反応容器内部の反応空間に不活性ガスを導入し、前記反応空間内において前記反応空間に貯留した脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させながら、前記反応空間内を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を調製する薄膜調製工程、
(2)前記反応空間に不活性ガスを導入し、水性液体を脂質の薄膜に加えて、前記反応空間内においてこの水性液体に渦流を発生させて第1リポソームを調製する第1リポソーム調製工程、
(3)前記超音波処理装置により前記第1リポソームに超音波を照射して第2リポソームを調製する第2リポソーム調製工程である。
また、本発明に係るリポソーム製造方法は、上記多機能リポソーム自動製造装置において超音波処理装置が設けられているものを用いてリポソームを製造する方法であって、下記工程(1)、(2)及び(4)を備えたことを特徴とする。
(1)反応容器内部の反応空間に不活性ガスを導入し、前記反応空間内において前記反応空間に貯留した脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させながら、前記反応空間内を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を調製する薄膜調製工程、
(2)前記反応空間に不活性ガスを導入し、水性液体を脂質の薄膜に加えて、前記反応空間内においてこの水性液体に渦流を発生させて第1リポソームを調製する第1リポソーム調製工程、
(4)前記超音波処理装置により懸濁液体に超音波を照射しつつ、前記第1リポソームを前記超音波処理装置に添加して第3リポソームを調製する第3リポソーム調製工程である。
また、本発明に係るリポソーム製造方法は、上記多機能リポソーム自動製造装置を用いて、第1リポソーム〜第3リポソームから第4リポソームを製造する方法であって、下記工程(5)を備えたことを特徴とする。
(5)前記反応空間に不活性ガスを導入し、第1リポソーム〜第3リポソームのうちの一つのリポソーム懸濁液に渦流を発生させつつ、水性液体を加えて、前記反応空間内において第4リポソームを調製する第4リポソーム調製工程である。
「水性液体」とは、緩衝液、水溶性物質(化合物、遺伝子、タンパク質(抗体、酵素など)、糖類、多糖類、薬効成分など)を溶解した水溶液などを意味する。「懸濁液体」とは、難溶性物質(化合物、薬効成分、多糖類、細菌、ウイルスなど)を水(緩衝液を含む)に懸濁させた液体などを意味する。
第1リポソームとは、(i)MLV、LUV及びGUV、(ii)水溶性物質を内部に、油溶性物質を膜内に封入したMLV,LUV及びGUV、(iii)抗原を封入したリポソームワクチン(MLV及びLUV)、(iv)膜表面をPEG・糖鎖等で修飾したMLV、LUV及びGUVなどを意味する。
第2リポソームとは、(i)SUV、(ii)水溶性物質を内部に、油溶性物質を膜内に封入したSUV、(iii)抗原を封入したSUV、(iv)膜表面をPEG・糖鎖等で修飾したSUVなどを意味する。
第3リポソームとは、(i)リポソームを効率的に作製したリポソーム、(ii)細菌及びウイルス表面抗原を提示したリポソームワクチン、(iii)凝集性の強いもの(例えば、大分子量タンパク質、多糖類、ウイルス由来抗原、膜タンパク質など)を用いた場合には、その物質を超音波処理破砕した物質を封入したリポソームなどを意味する。
第4リポソームとは、再構成リポソームを意味し、(i)タンパク質及びペプチドを結合したMLV、SUV、LUV及びGUV、(ii)抗原結合リポソームワクチン(MLV、SUV及びLUV)、(iii)組換えプロテオリポソーム(バキュロウイルス融合MLV、SUV、LUV及びGUV)などを意味する。
本発明によれば、偏心モータと超音波処理装置とコンピュータなどを用いることにより、自動制御できる多機能リポソーム自動製造装置を提供できる。この装置によれば、連続運転により、多種・多量のリポソームを迅速かつ的確に製造できる。
多機能リポソーム自動製造装置の構成概要を示す図である。 コンピュータの制御構成を示す図である。 製造装置の斜視図である。 製造装置の正面図である。 製造装置の側面図である。 製造装置の平面図である。 製造装置の裏面において、蓋を外して内部を見せたときの様子を示す図である。 製造装置の骨格部と、ヒータとを示す斜視図である。 ヒータまわりの側面図である。 超音波処理装置および偏心モータの側面図である。 揺動保持機構の斜視図である。 揺動保持機構の背面図である。 揺動保持機構の側面図である。 製造装置の写真図である。 リポソーム(MLV:第1リポソーム)の製造工程を示すフローチャートである。 超音波処理によるリポソーム(SUV:第2リポソーム)の製造工程を示すフローチャートである。 不活化ウイルスを用いたリポソームワクチン(第3リポソーム)の製造工程を示すフローチャートである。 偏心モータを用いたペプチド結合リポソーム(第4リポソーム)の製造工程を示すフローチャートである。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶ。
<多機能リポソーム自動製造装置>
1.多機能リポソーム自動製造装置の接続構成
図1を参照しつつ、多機能リポソーム自動製造装置(リポソームワクチン自動製造装置)1の構成概要について説明する。なお、以下では、単に製造装置1という。製造装置1は、クロロホルムに溶解させた脂質を薄膜化させた後、所定の水溶液(例えば、適当な緩衝液など)中において、その脂質薄膜からリポソームを製造する等という操作をコンピュータにより自動的に行える。
製造装置1には、反応空間2Aを備えた円筒型反応容器2と、この反応空間2A内において反応空間2Aに貯留された溶液に渦流を発生させる偏心軸を備えた偏心モータ3と、反応容器2に熱風または冷風を吹き付けるヒータ4と、反応容器2の温度を測定する温度センサ5が設けられている。反応容器2の上部には、蓋体8が取り付けられており、この蓋体8を貫通する四本のラインT1〜T4が取り付けられている。以下には説明の便宜として、ラインに適当な名称を付しているが、各ラインはその名称に記載された役割のみを果たすのではなく、コンピュータ15の制御に基づき、別の役割を果たすことがある。
二本のラインT1、T3の端部は、反応容器2の下方まで延設されており、それぞれ洗浄液を回収するための洗浄液回収用ラインT1、及びリポソーム溶液を超音波処理装置6に運ぶ操作などを行う溶液回収用ラインT3とされている。残り二本のラインT2、T4の端部は、反応容器2の上方に位置しており、それぞれ抗原または緩衝液を反応容器2に滴下する操作などを行う運搬用ラインT2、及び不活性ガスを反応容器2に吹き込んだり、反応容器2を低圧とするため真空装置と接続するための気体操作用ラインT4とされている。ラインT1の途中には、ピンチバルブPV3が設けられており、その他端側には洗浄液回収ボトルB9が接続されている。ラインT2の途中には、ピンチバルブPV2と、四方コネクタJT1が設けられており、このコネクタJT1から三本のラインT21〜T23が分枝されている。
分枝ラインT21には、ロータリーバルブRV3が設けられている。製造装置1には、6個のロータリーバルブRV1〜RV6が設けられている。各ロータリーバルブRV1〜RV6の内部には、ロータリー機構が備えられており、コンピュータ15の制御によりロータリー機構を回転移動させることにより、ロータリーバルブRV1〜RV6の周囲に記載した番号1〜4のうち、番号1−2、2−3、3−4、4−1のいずれかの通路を接続できる。図1では、全てのロータリーバルブRV1〜RV6は、通路1−2が接続した状態としてある。ロータリーバルブRV3には、シリンジポンプSP3と、ボトルB3と、分枝ラインT211が接続されている。
分枝ラインT22の端部には、ピンチバルブPV8が設けられている。ピンチバルブPV8は三方弁であり、ここにはロータリーバルブRV4と三方コネクタJT4からのラインが接続されている。ロータリーバルブRV4には、シリンジポンプSP4と、ボトルB4と、分枝ラインT221が接続されている。分枝ラインT23には、ロータリーバルブRV5が設けられており、ここにはシリンジポンプSP5と、二本の分枝ラインT231、T232が接続されている。
ラインT3には、ピンチバルブPV1が設けられており、その先には三方コネクタJT2が設けられている。このコネクタJT2から二本のラインT31、T32が分枝されている。分枝ラインT31には、ロータリーバルブRV1が設けられており、ここにはシリンジポンプSP1と、ボトルB1と、ラインT421が接続されている。
分枝ラインT32には、ロータリーバルブRV2が設けられており、ここにはシリンジポンプSP2と、ボトルB2と、二本のラインT422、T321が接続されている。ラインT321は、超音波処理装置6に向かう三方コネクタJT4に接続されている。コネクタJT4には、超音波処理装置6に溶液を送液するためのラインT33と、ピンチバルブPV8に接続するラインT222が接続されている。ラインT33の途中には、ピンチバルブPV6が設けられている。
ラインT4には、真空ポンプ10と有機溶媒回収装置11と空気乾燥管13に連結するラインT41と、不活性ガスとしての窒素を供給するガスボンベ9に連結するラインT43とが連結されている。各ラインT41、T43の途中には、ポートバルブV1、V3が設けられている。ラインT41の途中には、圧力センサS1と、外気にライン内の圧力を開放するポートバルブV2が設けられている。
ガスボンベ9から導出されたラインは二本に分枝された後、それぞれレギュレータR1、R2及びニードルバルブNV1、NV2を経由して、ポートバルブV4に接続される。ポートバルブV4には、ラインT42が接続されている。このラインT42には、順に流量計50、ラインT43、リリーフバルブRV、圧力計S2、ポートバルブV6、V5が接続されている。ラインT42の端部は、マニホールド60が接続されている。マニホールド60には、ラインT42の他にも、6個のロータリーバルブRV1〜RV6からのラインT421、T422、T211、T221、T231、T211、及び二個のチューブポンプP7、P8からのラインT423、T424が接続されている。チューブポンプP7、P8には、それぞれボトルB7、B8が接続されている。
超音波処理装置6には、サンプルを低温に保つために、循環装置12からの冷却水を循環させる循環水供給ラインT51と回収ラインT52が接続されており、更に超音波処理すべき溶液を供給および回収するためのサンプル供給用ラインT33と回収用ラインT6が接続されている。また、超音波処理装置6にサンプルを供給するときにガス圧を開放するラインT7とピンチバルブPV7が接続されている。ラインT6には、ピンチバルブPV5と四方コネクタJT3が設けられている。コネクタJT3には、ピンチバルブPV4を備えた回収用ボトルB10に連結されるラインと、ロータリーバルブRV5に接続する分枝ラインT232と、ロータリーバルブRV6に接続する分枝ラインT61が接続されている。ロータリーバルブRV6には、シリンジポンプSP6、ボトルB6、及び分枝ラインT211が接続されている。
図1中において、二つのボトルB2、B5は、本実施形態においては使用する必要がないため、接続を解除した状態とされている。但し、各ボトルB2,B5は、それぞれロータリーバルブRV2、RV5に接続されているので、必要に応じて、シリンジポンプSP2、SP5の駆動により、溶液の流出入を行える。
図2に示すように、製造装置1には、液晶装置15A、CPU16、制御用基板16A、記憶装置17、及びI/Oポート18を備えたコンピュータ15が設けられている。コンピュータ15は公知のものであるため、構成の詳細については説明を省略する。コンピュータ15は、偏心モータ3、ヒータ4、温度センサ5、超音波処理装置6、ピンチバルブPV1〜PV8、ロータリーバルブRV1〜RV6、シリンジポンプSP1〜SP6、ポートバルブV1〜V6、圧力センサS1、チューブポンプP7〜P8、真空ポンプ10、有機溶媒回収装置11、及び循環装置12と接続されており、上記各装置からの信号の入力及び/または各装置に対する信号出力を行うことにより、予め決められたプログラムの内容に従って、各装置の駆動を制御できる。また、液晶装置15Aには、圧力センサが組み込まれており、所定のプログラムの実行により、所定の画面を表示すると共に、適当なパラメータを入力できる。
2.多機能リポソーム自動製造装置の機械構成
次に、図3〜図13を参照しつつ、製造装置1の機械構成について説明する。なお、図示の煩雑さを避けるために、ライン類の一部の表示については割愛した。
製造装置1について、図3には斜視図を、図4には正面図を、図5には側面図を、図6には平面図を、図7には裏面図(蓋を外して内部を見せたもの)を、図8には骨格部とヒータを示した。図9にはヒータまわりの側面図を、図10には超音波処理装置および偏心モータの側面図を、図11〜図13には、それぞれ揺動保持機構の斜視図・背面図・側面図を示した。
図7および図8に示すように、本体部19は、棒状材(例えば、アルミなどの金属製のもの)を用いて骨格部19Aが形成されており、その骨格部19Aが板材(例えば、ステンレス製)からなる表面被覆部19Bにより覆われている。図3および図4に示すように、本体部19の内部には、コンピュータ15、ライン類Tなどが収納されている。本体部19の中央には、縦方向に溝部20が設けられている。溝部20の奥側には、鉛直方向に支持柱21が立てられており、その上部には前方に向かって支持部材22が設けられ、ここには超音波処理装置6が設置されている。支持柱21の下端は、水平方向に広がる支持台23に取り付けられており、この支持台23の前方(図10において左側)には、偏心モータ3が固定されている。
図10〜図13に示すように、支持柱21の下端付近には、揺動保持機構24が設けられている。揺動保持機構24は、反応容器2を揺動可能に支持する。揺動保持機構24には、支持柱21から水平方向前方に突き出す支持部25と、支持部25を上下方向に貫通する孔部(図示せず)に組み付けられた二本の柱体26,27と、両柱体26,27の周囲に遊挿されたスプリング28,29と、両柱体26,27を連結すると共に柱体27の側方に張り出す連結板材30と、連結板材30から斜め前方に突設された容器固定具31などが設けられている。支持部25には、上下方向に貫通するとともに後方中央部が開放された取付孔部25Aが設けられており、ここには支持柱21が挿通される。取付孔部25Aの後方には、支持部25を横方向に貫通するネジ止め孔25Bが設けられており、ここに図示しないネジを組み付けることで、支持部25を支持柱21の所定の位置に固定できる。短い方の柱体26には、ナット26A,26Bが組み付けられている。ナット26A,26Bの組付けにより、柱体26が支持部25に固定される。柱体26の上端には、上端突部26Cが設けられている。連結板材30には、柱体26を通す孔部が設けられており、この孔部の周縁にゴム部材30Cが取り付けられている。連結板材30が規定量以上の移動を行おうとしたときには、柱体26がゴム部材30Cに弾性的に接触することで、規定量以上の動きを規制する。
連結板材30において長い柱体27が組み付けられた周囲には、上下方向に円筒状のストッパ部30A,30Bが突設されている。柱体27において連結部材30よりも上部には、スプリング29が設けられており、その上方から揺動規制プレート32が組み付けられる。揺動規制プレート32の上部には、カムレバー33が柱体27を側方に貫通する軸体33Aによって軸止されている。スプリング29は、連結板材30と揺動規制プレート32との間に所定の力で押圧されて固定されている。反応容器2が規定量以上の揺動を行おうとすると、各ストッパ部30A,30Bが支持部25の上面または揺動規制プレート32の下面に当接する。このため、反応容器2の揺動が、所定の範囲内に収まるようになっている。
容器固定具31には、反応容器2を挟み付ける二股状の挟持部31Aと、両挟持部31Aの基端部分に架設されるとともに所定の力で反応容器2を固定する締付部31Bと、挟持部31Aの基端部分から後方に延設されたシャフト部31Cが設けられている。締付部31Bは、シャフト部材とネジ部材とから構成されており、ネジ部材を締め付けることにより、両挟持部31Aを適度な力で固定する。挟持部31Aにおいて、反応容器2に当接する部分には、適当な弾性を備えた部材(例えば、シリコンゴムなど)が覆い付けられている。シャフト部31Cは、連結部材30の上部に固定されたシャフトホルダ34に挿通されて固定されている。両スプリング28,29の作用によって、揺動保持機構24は、反応容器2が偏心モータ3の駆動に応じて所定の範囲内において揺動を可能としながら、保持できる。
図3および図4などに示すように、本体部19の前面において、溝部20を挟んだ左右両側には、ロータリーバルブRV1〜RV6及びシリンジポンプSP1〜SP6が設けられている。これらの下方には、ボトルB1〜B6が、ボトルホルダ36に嵌め込まれた状態で設置されている。
溝部20を構成する壁面の奥側下方には、温度センサ5を設置するためのセンサ用孔部20Aと、ヒータ4を設置するためのヒータ用孔部20Bとが開放されている。図7〜図9に示すように、ヒータ4はドライヤー形状のものである。ヒータ4は、反応容器2の下端付近に向かって温風を吹き付けることにより、反応空間2Aの環境を所定の温度まで上昇させる。ヒータ4は、本体部19の下面板40に固定された固定用板材41に組付けられている。固定用板材41の上面側には、上方に開放するC字状の凹部41Aが設けられている。凹部41Aにはヒータ4が装着されており、凹部41Aを形成する固定用板材41の両端にヒータ4がネジ止めされている。ヒータ4の先端は、保護板材42に挿通されている。保護板材42の上端には棒状の固定具43が取付けられ、固定具43の上部が、溝部20の上端に架設された板材44に固定されることで位置決めされている(図3を参照)。
本体部19の上面において、溝部20を挟んだ左右両側には、ロータリーバルブRV1〜RV6、ピンチバルブPV1〜PV8、各種ラインを一纏めとしたバルブ集合体45,46が設置されている。その奥側には、横一列のボトル用溝部47が設けられており、ここにはボトルB7〜B10、及び予備ボトルB11が装着されている。本体部19の上面奥側は、手前に向かって突設されており、ここには図示左から、チューブポンプP7,P8、圧力計S2などが設置されている。図示右側には、液晶装置15Aと、製造装置1のメインスイッチSWが設けられている。
図5に示すように、本体部19の左側面には、電気接続用のソケット48、外部電子機器との接続口49、窒素ガス流量計50、窒素ガス導入口51、真空ポンプ接続口52、及び冷却水導入口及び導出口53などが設けられている。
上記構成を持つ実際の製造装置1の写真図を図14に示した。図示中央には、本体部分が、左側には有機溶媒回収装置が、右側には超音波処理装置の制御部が、それぞれ写されている。
<リポソームの製造>
製造装置1を用いてリポソームを製造する方法、および制御方法(アルゴリズム)について説明する。
1−1.偏心モータによるリポソーム(第1リポソーム)の製造
偏心モータ3を用いて、コンピュータ15による自動制御により、第1リポソームのひとつであるMLVを調製した。
予めボトルB4(第1ボトル)に緩衝液を、ボトルB3(第2ボトル)にリピドクロロホルム溶液を貯留させておいた。
リピドクロロホルム溶液として、クロロホルムに溶解したリン脂質(ジオレオイルホスファチジルコリン 25μmol、及びジオレオイルホスファチジルセリン 25μmol)2.5mlを用いた。緩衝液として、10mM HEPES-NaOH / 175mM NaCl(pH7.5)10.0mlを用いた。各ボトルをセット後、コンピュータ15の液晶装置15Aを操作してMLVを製造した。
MLVの製造アルゴリズムを図15に示した。初期設定S100において、ロータリーバルブRV1〜RV6を4−1間と、ピンチバルブPV1〜PV3を閉止、ポートバルブV1〜V3を閉止、ポートバルブV4、V6を開放して窒素を流し、レギュレータAR1=1kPa,AR2=0.5kPaとし、真空ポンプ10・有機溶媒回収装置11を駆動状態、ヒータ4及び偏心モータ3を停止状態とした。
次に、系内を窒素で置換処理した(S110)。このステップでは、ポートバルブV1,V2およびピンチバルブPV2を開放して、ルートT42、マニホールド60、ルートT211,T221,T231、ルートT21,22,23、ルートT2に窒素ガスを流し、反応容器2内を窒素で置換した。
次に、ボトルB3のリピドクロロホルム溶液を反応容器2に送液した(S120)。このステップでは、ポートバルブV1を閉止し、ロータリーバルブR3を2−3の位置としておき、シリンジポンプSP3(第2ポンプ)を吸引駆動させて、ボトルB3内のリピドクロロホルム溶液を吸い込んだ後、ロータリーバルブRV3を3−4の位置に回転させ、ピンチバルブPV2を開放して、シリンジポンプSP3を排出駆動させて、ラインT21(脂質ライン)とラインT2を通して、リピドクロロホルム溶液を反応容器2に送液した。
次に、薄膜調製を行った(S130)。このステップでは、ポートバルブV2を閉止、ポートバルブV1を開放した状態として、反応空間2Aを真空ポンプ10と連結しつつ、偏心モータ3とヒータ4とを駆動させた。こうして、反応空間2Aを高温としながら、偏心モータ3で反応空間2A内においてリピドクロロホルム溶液に渦流を発生させた状態において、真空ポンプ10を駆動させ反応空間2Aを減圧させてクロロホルムを反応空間2Aから気化させて、反応容器2の内壁に脂質の薄膜を調製した。
次に、系内の窒素置換処理を行った(S140)。このステップでは、前述のS110と同等の処理に加えて、ヒータ4の熱源を切断して、冷風を送ることにより、反応容器2の冷却処理を同時に実施した。
次に、緩衝液を反応容器2へ送液した(S150)。このステップでは、まずロータリーバルブRV4を2−3の位置として、シリンジポンプSP4を吸引駆動させて、ボトルB4内の緩衝液を吸い込んだ後、ロータリーバルブRV4を3−4の位置に回転させ、ピンチバルブPV8とピンチバルブPV2とを開放操作した後、シリンジポンプSP4(第1ポンプ)を排出駆動させて、ラインT211(水溶液ライン)とラインT2を通して、緩衝液を反応容器2に送液した。この送液操作のときには、ポートバルブV1,V3を閉止し、ポートバルブV2を開放しておくことにより、送液に伴う反応空間2A内の気体を逃がした。
次に、偏心モータ3を駆動させて、MLVを製造した(S160)。このときには、緩衝液によるリピド薄膜の剥離効率を向上させるために、偏心モータ3を正逆両方向に交互に駆動させた。
最後に、ステップ110(S110)と同じ操作により、系内を窒素で置換した。こうして、緩衝液を用いて平均粒径534nmのMLVを製造することができた。
1−2.LUV及びGUV(第1リポソーム)の製造
上記1−1の製造工程に基づき、LUV及びGUVの製造を行った。図15に記載の行程に従い、適当な変更を行うことにより、平均粒径が約400nmのLUV、及び平均粒径が約20μmのGUVを製造できた。
1−3.水溶性物質封入リポソーム(第1リポソーム)の製造
上記1−1の製造工程において、S150に用いた緩衝液に代えて、酵素(ルシフェラーゼ)を溶解させたものを用い、その他の工程については同様に行った。その結果、酵素を封入したMLVを製造できた。また、上記1−2の工程に従ったところ、酵素を封入したGUVを製造できた。
次に、上記酵素に代えて、薬効成分(バルビタール)、抗原(緑色蛍光タンパク質)、抗体(抗緑色蛍光タンパク質抗体)、または核酸(pBR322ベクター)を用いて、上記と同様の操作を行ったところ、薬効成分、抗原、抗体、または核酸を封入したMLV及びGUVを製造できた。
1−4.油溶性物質膜内封入リポソーム(第1リポソーム)の製造
上記1−1の製造工程において、S120に用いた「リピドクロロホルム溶液」に代えて、「リピド+油溶性物質/クロロホルム溶液」を用い、その他の工程については同様に行った。油溶性物質として、α−トコフェロールを用いた。その結果、油溶性物質を膜内に封入したMLVを製造できた。上記1−2の工程に従ったところ、油溶性物質を膜内に封入したLUV及びGUVを製造できた。
1−5.エバポレータとしての使用
上記1−1の製造工程において、S120の「リピドクロロホルム溶液」に代えて、「油溶性物質+揮発性有機溶媒」を用いた。油溶性物質として、リノール酸を用い、揮発性有機溶媒として、エタノールを用いた。こうして、S100〜S140を実施し、揮発性有機溶媒を適度に揮発させたところ、油溶性物質を濃縮することができた。こうして、「薄膜調製」に代えて、「油溶性物質の濃縮」を行うことができた。このように、本実施形態の製造装置1をエバポレータとして使用できた。
2−1.超音波処理によるリポソーム(第2リポソーム)の製造
次に、図16を参照しつつ、第2リポソームのひとつであるSUVの製造工程について説明する。この工程は、上記S160の後に、反応容器2内に緩衝液を用いたMLVを含む状態から始めた。但し、コンピュータ15に設定したプログラムを適当に変更することにより、適当な初期状態(例えば、任意のボトルにMLVを回収した状態)から本工程を実施することもできる。
初期設定S200においては、超音波処理を行う際のパラメータ(溶液量、超音波処理容器サイズ、超音波チップの種類、超音波チップの容器内の位置など)を設定した。また、循環装置12を駆動させることにより、超音波処理装置6を所定の温度(例えば、0℃)に冷却した。
次のステップ(S210)では、系内を窒素で置換処理した。この処理は、前述のステップ(S110)と同様の工程を実施した。
次に、反応容器2内のMLVをシリンジポンプSP2を用いて回収した(S220)。このステップでは、ガスボンベ9からの不活性ガスをラインT4から反応容器2内に導入しつつ、シリンジポンプSP2を吸引駆動した。すなわち、ポートバルブV3,V4のみを開放し、所定量の窒素ガスをラインT4から反応容器2に導入した。また、ピンチバルブPV1を開放し、ロータリーバルブRV2を3−4の位置とした状態で、シリンジポンプSP2を吸引駆動した。
次に、MLVを超音波処理装置6に送液した(S230)。ロータリーバルブRV2を2−3の位置に回転させ、ピンチバルブPV6,PV7を開放した状態で、シリンジポンプSP2を排出駆動することにより、MLVをラインT321,T33を通じて、超音波処理装置6に送液した。また、系内のMLVを超音波処理装置6に送り出すために、窒素ガスの加圧処理を行った。この加圧処理では、ラインT42、マニホールド60、ラインT321,T222、ジョイントJT4、およびラインT33を通じて、窒素ガスを超音波処理装置6に送った。つまり、ポートバルブV4,V6を開放し(V3は閉止)、ロータリーバルブRV2を1−2位置、ロータリーバルブRV4を4−1位置とし(その他のロータリーバルブについては、1位置を閉止した状態としておく)、ピンチバルブPV8を図1の上下方向に開放し、ピンチバルブPV6,PV7を開放状態とした。
次に、超音波処理装置6を駆動させて、MLVの超音波処理を行った(S240)。超音波処理は、適当な条件で実施できるが、例えば出力レベル1から3に漸増し、1分間の駆動と、1分間の休止とを10回に渡って繰り返した。
最後に、超音波処理装置6内のSUVを回収した(S250)。このステップでは、超音波処理装置6に窒素ガスを送り込みつつ、シリンジポンプSP6により回収操作を行った。すなわち、ポートバルブV4,V6を開放し(V3は閉止)、ロータリーバルブRV2を1−2位置(その他のロータリーバルブについては、1位置を閉止した状態としておく)、ピンチバルブPV6,PV7を開放状態として、窒素ガスを送りつつ、ピンチバルブPV5を開放し(PV4は閉止)、ロータリーバルブRV6を3−4位置として、シリンジポンプSP6を吸引駆動した。その後、ロータリーバルブRV6を2−3位置に回転させ、シリンジポンプSP6を排出駆動させることにより、SUVをボトルB6に回収した。こうして、平均粒径53nmのSUVを製造することができた。
2−2.水溶性物質封入SUV(第2リポソーム)の製造
上記2−1の製造工程において、S220に用いたMLVに代えて、上記1−3で製造した水溶性物質封入MLVを用い、その他の工程については同様に行った。その結果、水溶性物質を封入したSUVを製造できた。
水溶性物質として、酵素(ルシフェラーゼ)、薬効成分(バルビタール)、抗原(緑色蛍光タンパク質)、抗体(抗緑色蛍光タンパク質抗体)、または核酸(pBR322ベクター)を用いて、上記と同様の操作を行ったところ、酵素、薬効成分、抗原、抗体、または核酸を封入したSUVを製造できた。
2−3.油溶性物質膜内封入SUV(第2リポソーム)の製造
上記2−1の製造工程において、S220に用いたMLVに代えて、上記1−4で製造した油溶性物質膜内封入MLVを用い、その他の工程については同様に行った。その結果、油溶性物質を膜内に封入したSUVを製造できた。
3−1.不活化ウイルスを用いたリポソームワクチン(第3リポソーム)の製造
図17を参照しつつ、第3リポソームのひとつである不活化コイヘルペスウイルスを用いたリポソームワクチンの製造工程について説明する。この工程では、ウイルス懸濁液を超音波処理しつつ、MLVを添加できる。
スタートAから、初期設定(S300)の後、反応容器2を用いてリピド薄膜を調製した(S310)。次に、反応容器2に緩衝液を送液し(S320)、偏心モータ3を駆動させることにより、MLVを調製した(S330)。これらのステップ(S300〜S330)は、前述のS100〜S170と同様の工程を実施することにより行った。
リピドクロロホルム溶液として、クロロホルムに溶解したリン脂質(ジオレオイルホスファチジルコリン 25μmol、及びジオレオイルホスファチジルセリン 2.5μmol)及びコレステロール12.5μmol 2.5mlを用いた。また、緩衝液として、10mM HEPES-NaOH / 100mM NaCl(pH7.5)10.0mlを用いた。各ボトルをセット後、コンピュータ15の液晶装置15Aを操作してMLVを製造した。
一方、スタートBでは、初期設定(S340)の後、ウイルス懸濁液を超音波処理装置6に送液(S350)した後、超音波処理装置6を駆動(S360)することにより、ウイルスを超音波処理した。これらのステップ(S340〜S360)は、前述のS200〜S240と同様の工程を実施することにより行った。
次に、超音波処理装置6を駆動させながら、反応容器2内のMLVを超音波処理装置6に送液した(S370)。このステップは、前述のS210〜S230と同様の工程を実施することにより行った。
次に、所定の超音波処理を行うことにより、コイヘルペスウイルスリポソームワクチンを調製した(S380)。リポソームワクチンは、光学顕微鏡観察により確認された。
最後に、リポソームワクチンを回収した(S390)。このステップは、前述のS250と同様の工程により実施した。こうして、リポソームワクチンをボトルB6に回収した。
一般に、超音波処理により拡散させたタンパク質などの粒子は、数ミリ秒の単位で再凝集する。このため、そのように再凝集しやすい粒子を抗原とする場合には、超音波処理後に極めて速やかに(或いは、超音波処理中に)リポソームと混合させる必要がある。従来の装置では、このような要求に応えることは困難であったが、本実施形態の製造装置1によれば、図17に示す工程を実施することにより、拡散させた粒子を再凝集させることなくリポソームと接触させることが可能となった。
3−2.リポソームワクチン(第3リポソーム)の製造
上記3−1の製造工程において、S350に用いた「ウイルス懸濁液」に代えて、「細菌懸濁液」を用い、その他の工程については同様に行った。「細菌懸濁液」として、大腸菌を懸濁させたものを用いた。
その結果、細菌を提示したリポソームワクチンを製造できた。
3−3.リポソームを効率的に作製したリポソーム(第3リポソーム)の製造
次に、リポソーム(特に、SUV)を効率的に製造する工程について説明する。この製造工程では、図17のS300〜S330の実施後に、S370〜S390を実施する(つまり、スタートB〜S360までの工程は省略する)。このようにすれば、SUVを効率的に製造できる。
具体的には、上記3−1の工程において、(スタートB〜S340〜S360を実施することなく)S300〜S330及びS370〜S390を実施した。
こうして、SUVを効率的に製造できた。
3−4.細菌破砕装置としての使用
上記3−1の製造工程において、S350に用いた「ウイルス懸濁液」を「細菌懸濁液」に代え、S300〜S330、S370、S380を除いた以外は同様の工程を行った。細菌懸濁液として、大腸菌を懸濁させた液を用いた。
すなわち、スタートBから初め、S340、S350、S360、S390を実施した。こうして、細菌を超音波装置で破砕できた。
このように、本実施形態の製造装置1を細菌破砕装置として使用できた。
4−1.偏心モータを用いたペプチド結合リポソーム(第4リポソーム)の製造
次に、図18を参照しつつ、第4リポソームのひとつであるペプチド結合リポソームの製造工程について説明する。この工程は、上記S160あるいはS240の後に、適当なボトルにMLV、LUV、GUV、あるいはSUVを回収した状態から始めた。但し、コンピュータ15に設定したプログラムを適当に変更することにより、適当な初期状態(例えば、反応容器2に予めMLV、LUV、GUV、あるいはSUVを含ませた状態)から本工程を実施することもできる。
この場合、リピッドクロロホルム溶液として、クロロホルムに溶解したリン脂質(ジオレオイルホスファチジルコリン 25μmol、ジオレオイルホスファチジルセリン 25μmol、NHS-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン10μmol)2.5mLを用いて薄膜を作製し、10mM 酢酸−酢酸Na/175mM NaCl(pH5.0)10mLを用いて製造したMLV、LUV、GUV、あるいはSUVを用いた。NHS-DSPEは、弱アルカリ性環境(pH8.0程度)において、タンパク質・ペプチドのアミノ基と反応して共有結合を形成する。
リポソームの脂質二分子膜に結合させる水溶性ペプチドとして、配列番号1に記載の7個のアミノ酸からなるペプチド(Lys-Lys-Asp-Ser-Glu-Pro-Tyr:β−リポトロピン断片)を選択した。このペプチドは、シグマ社から購入した。
初期設定(S400)の後、前述のステップ(S110)と同様の工程で系内を窒素置換した(S410)。
次に、予め調製し、ボトルに回収しておいたMLVあるいはSUV(リポソーム)を反応容器2へ送液した(S420)。次に、反応用緩衝液100mM Tris-HCl/100mM NaCl(pH8.0)10mLを反応容器2に送液し(S430)、ステップ110(S110)に従って、系内を窒素置換処理した(S440)。
次に、偏心モータ3を駆動させて、反応容器2内のリポソームに渦流を発生させた(S450)。偏心モータ3を駆動させて撹拌した状態のまま、ペプチド溶液を反応容器2へ送液し(S460)、しばらくの間、偏心モータ3を駆動させた状態として、反応容器2内でリポソームとペプチドとを反応させた(S470)。
次に、ステップ110(S110)に従って、系内を窒素置換処理し(S480)、偏心モータ3の駆動を止めて静止させた(S490)。
最後に、反応容器2内の溶液を回収した(S500)。
こうして、結合率が約50%のペプチド結合リポソーム(第4リポソーム)を製造することができた。
4−2.タンパク質(抗原等)結合リポソーム(第4リポソーム)の製造
上記4−1の製造工程において、S460に用いた「ペプチド溶液」に代えて、「タンパク質(抗原等)溶液」を用い、その他の工程については同様に行った。「タンパク質(抗原等)溶液」として、緑色蛍光タンパク質を緩衝液に溶解させたものを用いた。その結果、タンパク質(抗原等)結合リポソームを製造できた。
4−3.核酸結合リポソーム(第4リポソーム)の製造
上記4−1の製造工程において、S420に用いた「MLV、LUV、GUVあるいはSUV」に代えて「カチオニックリポソーム」を、S460に用いた「ペプチド溶液」に代えて「核酸溶液」を用い、その他の工程については同様に行った。「カチオニックリポソーム」として「リポフェクトアミン(インビトロジェン社)」を、「核酸溶液」としてpBR322ベクターを緩衝液に溶解させたものを用いた。
その結果、核酸結合リポソームを製造できた。
4−4.組換えプロテオリポソーム(第4リポソーム)の製造
上記4−1の製造工程において、S430に用いた「反応用緩衝液100mM Tris-HCl/100mM NaCl(pH8.0)」に代えて「反応用緩衝液10mM CH3COOH-CH3COONa/10mM NaCl (pH4.0)」を、S460に用いた「ペプチド溶液」に代えて「膜タンパク質搭載バキュロウイルス懸濁液」を、それぞれ用い、その他の工程については同様に行った。
上記「膜タンパク質搭載バキュロウイルス懸濁液」は、本願発明者の発明に係る特許出願(WO2007/094395-A1)に開示された技術によって製造したものを用いた。
その結果、組換えプロテオリポソームを製造できた。
4−4.バイオリアクターとしての使用
次に、本実施形態の製造装置1をバイオリアクターとして使用する一例について説明する。
上記4−1の製造工程において、S430に用いた「反応用緩衝液100mM Tris-HCl/100mM NaCl(pH8.0)」に代えて「反応用緩衝液(10mM CH3COOH-CH3COONa/10mM NaCl (pH5.6)」を、S460に用いた「ペプチド溶液」に代えて「ホスホリパーゼD(シグマP8804)溶液」を、それぞれ用い、その他の工程については同様に行った。本工程においては、S420の「MLV、LUV、GUVあるいはSUV」は、「LUVあるいはSUV」と読み替えた。
本工程によって、脂質二分子膜の外側のみがPC(ホスファチジルコリン)からPA(ホスファチジン酸)に変換された。
このように、本実施形態の製造装置1をバイオリアクターとして使用できた。
本実施形態によれば、迅速かつ効率的に多種・多量のリポソームを調製する製造装置1を提供できた。製造装置1は、円筒型の反応容器2と偏心モータ3を備えた比較的小型の機械装置部分と、超音波処理装置6とを組み込んで、コンピュータ15により自動制御することにより、各種のリポソーム(特に、リポソームワクチン)を迅速かつ効率的に製造できた。
1…多機能リポソーム自動製造装置(リポソームワクチン自動製造装置)
2…反応容器
2A…反応空間
3…偏心モータ
4…ヒータ
5…温度センサ
6…超音波処理装置
9…不活性ガスボンベ
10…真空ポンプ
11…有機溶媒回収装置
15…コンピュータ
24…揺動保持機構
B1〜B10…ボトル
SP1〜SP7…シリンジポンプ
T41…ライン(減圧ライン)
T42…ライン(不活性ガスライン)
T43…ライン(不活性ガスライン)

Claims (7)

  1. 下記構成を備えた多機能リポソーム自動製造装置;
    円筒状の反応容器と、
    この反応容器の反応空間に貯留された溶液に渦流を発生させる偏心モータと、
    前記反応容器を所定の温度とするヒータと、
    前記反応容器に設けられ前記反応空間に水溶液を導入可能な水溶液ラインと、
    前記水溶液ラインの他端に設けられて前記水溶液を貯留しておく第1ボトルと、
    前記第1ボトル内の水溶液を前記水溶液ラインを経由して前記反応空間に移動させる第1ポンプと、
    前記反応容器に設けられ前記反応空間内に不活性ガスを導入可能な不活性ガスラインと、
    前記反応空間内を減圧する減圧ラインと、
    この減圧ラインを通じて前記反応空間内を減圧する真空ポンプと、
    前記反応容器に設けられ前記反応空間に脂質を溶解させた有機溶媒を導入可能な脂質ラインと、
    前記脂質ラインの他端に設けられて前記有機溶媒を貯留しておく第2ボトルと、
    前記第2ボトル内の有機溶媒を前記脂質ラインを経由して前記反応空間に移動させる第2ポンプと、
    前記有機溶媒を回収する有機溶媒回収装置と、
    前記偏心モータとヒータと第1ポンプと第2ポンプとを制御可能なコンピュータとを備えており、
    前記コンピュータによる制御により、前記不活性ガスを前記反応容器内に導入し、前記偏心モータを駆動させ前記反応空間に貯留された脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させた状態で、前記反応空間を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記有機溶媒回収装置によって回収し、前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を形成させた後、前記反応空間に不活性ガスを導入した状態で、前記反応容器内に水溶液を導入し前記偏心モータを駆動させて渦流を発生させて、前記脂質薄膜と前記水溶液とでリポソームを作製する。
  2. 請求項1に記載の多機能リポソーム自動製造装置であって;
    前記水溶液ラインにおいて、前記反応容器とは逆側の端部では複数のラインに分岐されており、それら各ラインの端部には、水を主成分とする溶媒を貯留可能な水系ボトルと、
    この水系ボトル内の溶媒を前記水溶液ラインを通して前記反応空間内に移動させる水系ポンプとが設けられており、
    前記各水系ポンプは前記コンピュータによって制御可能とされており、
    前記脂質ラインにおいて、前記反応容器とは逆側の端部では複数のラインに分岐されており、それら各ラインの端部には、有機溶媒を主成分とする溶媒を貯留可能な有機系ボトルと、
    この有機系ボトル内の溶媒を前記脂質ラインを通して前記反応空間内に移動させる有機系ポンプとが設けられており、
    前記各有機系ポンプは前記コンピュータによって制御可能である。
  3. 請求項1または2に記載の多機能リポソーム自動製造装置であって;
    前記反応空間内に貯留された水溶液を吸引して移動可能な溶液移動ラインと、前記水溶液を吸引すると共に前記コンピュータによって制御される移動用ポンプとが設けられており、
    前記溶液移動ラインの他端には、前記水溶液に超音波を照射すると共に前記コンピュータによって制御される超音波処理装置が設けられている。
  4. 請求項1または2に記載の多機能リポソーム自動製造装置を用いてリポソームを製造する方法であって、下記工程を備えたことを特徴とするリポソーム製造方法、
    (1)反応容器内部の反応空間に不活性ガスを導入し、前記反応空間内において前記反応空間に貯留した脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させながら、前記反応空間内を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を調製する薄膜調製工程、
    (2)前記反応空間に不活性ガスを導入し、水性液体を脂質の薄膜に加えて、前記反応空間内においてこの水性液体に渦流を発生させて第1リポソームを調製する第1リポソーム調製工程。
  5. 請求項3に記載の多機能リポソーム自動製造装置を用いてリポソームを製造する方法であって、下記工程を備えたことを特徴とするリポソーム製造方法、
    (1)反応容器内部の反応空間に不活性ガスを導入し、前記反応空間内において前記反応空間に貯留した脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させながら、前記反応空間内を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を調製する薄膜調製工程、
    (2)前記反応空間に不活性ガスを導入し、水性液体を脂質の薄膜に加えて、前記反応空間内においてこの水性液体に渦流を発生させて第1リポソームを調製する第1リポソーム調製工程、
    (3)前記超音波処理装置により前記第1リポソームに超音波を照射して第2リポソームを調製する第2リポソーム調製工程。
  6. 請求項3に記載の多機能リポソーム自動製造装置を用いてリポソームを製造する方法であって、下記工程を備えたことを特徴とするリポソーム製造方法、
    (1)反応容器内部の反応空間に不活性ガスを導入し、前記反応空間内において前記反応空間に貯留した脂質を溶解させた有機溶媒に渦流を発生させながら、前記反応空間内を減圧させて前記有機溶媒を前記反応空間から気化させて前記反応容器の内壁に脂質の薄膜を調製する薄膜調製工程、
    (2)前記反応空間に不活性ガスを導入し、水性液体を脂質の薄膜に加えて、前記反応空間内においてこの水性液体に渦流を発生させて第1リポソームを調製する第1リポソーム調製工程、
    (4)前記超音波処理装置により懸濁液体に超音波を照射しつつ、前記第1リポソームを前記超音波処理装置に添加して第3リポソームを調製する第3リポソーム調製工程。
  7. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の多機能リポソーム自動製造装置を用いて、請求項4〜請求項6のいずれか一つに記載のリポソームから第4リポソームを製造する方法であって、下記工程を備えたことを特徴とするリポソーム製造方法、
    (5)前記反応空間に不活性ガスを導入し、第1リポソーム〜第3リポソームのうちの一つのリポソーム懸濁液に渦流を発生させつつ、水性液体を加えて、前記反応空間内において第4リポソームを調製する第4リポソーム調製工程。
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