JPWO2010032452A1 - 強度変調したレーザ光による蛍光検出装置および蛍光検出方法 - Google Patents

強度変調したレーザ光による蛍光検出装置および蛍光検出方法 Download PDF

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Abstract

蛍光検出装置は、強度変調したレーザ光を、測定対象物に照射し、測定対象物が発する蛍光の蛍光信号を取得する。このとき、変調信号の周波数と同一または略同一の周波数の、変調信号と位相の同期した参照信号を、変調信号と別に生成する。蛍光検出装置は、取得した蛍光信号から、参照信号を用いてミキシング処理を行い測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を算出する。蛍光検出装置は、ミキシング処理で得られる混合信号から算出される蛍光緩和時間は、従来に比べて精度が高い。

Description

本発明は、強度変調したレーザ光を測定対象物に照射するとともに、この照射による測定対象物から蛍光を受けて蛍光信号を得、この信号について信号処理を行なう、強度変調したレーザ光による蛍光検出装置および蛍光検出方法に関する。例えば、医療、生物分野で用いられるフローサイトメータのような蛋白をはじめ細胞やDNAやRNA等の測定対象物の識別を蛍光色素の発する蛍光を用いて行なって測定対象物の分析等を短時間に行なう分析装置に適用される蛍光検出装置および蛍光検出方法に関する。
医療、生物分野で用いられるフローサイトメータには、レーザ光を照射することにより測定対象物の蛍光色素からの蛍光を受光して、測定対象物の種類を識別する蛍光検出装置が組み込まれている。特に、医療分野では、蛋白同士の生体結合等の相互作用に関する研究が盛んに行われている。特に、蛋白同士の相互作用について、蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)の計測を用いて研究することが精力的に行われている。従来、FRETの計測は蛍光強度の変化により行われていたが、近年、蛍光緩和時間(蛍光寿命)の変化を利用して、測定対象物の分析をするフローサイトメータが種々提案されている。
一般に、フローサイトメータでは、蛋白をはじめ、細胞、DNA、RNA、酵素の生体物質等の測定対象物を含む混濁液を蛍光色素(蛍光試薬)でラベル化し、圧力を与えて毎秒10m以下の速度で管路内にシース液を流し、このシース液に蛍光色素でラベル化した測定対象物を含む混濁液を流して測定対象物のフローを形成する。このフロー中の測定対象物がレーザ光により照射されることにより、フローサイトメータは、測定対象物に付着した蛍光色素が発する蛍光を受光し、この蛍光をラベルとして識別することで測定対象物を特定する。
このフローサイトメータは、例えば、細胞内のDNA、RNA、酵素、蛋白等の測定対象物の細胞内相対量を計測し、またこれら測定対象物の働きを短時間で解析することができる。また、特定のタイプの細胞や染色体を蛍光によって特定し、特定した細胞や染色体のみを生きた状態で、短時間で選別収集するセル・ソータ等が用いられる。
この使用では、より多くの測定対象物を短時間に蛍光の情報から正確に特定することが要求されている。
下記特許文献1では、異なる蛍光色素でラベル化された個々の粒子や細胞を、蛍光寿命(蛍光緩和時間)に基づいて識別する装置および方法が記載されている。
当該文献では、モジュレータからの変調信号により強度変調されたレーザ光が光源から出射され、フローチャンバ内の照射口に向けられ、粒子や細胞に1つ1つ照射する。粒子や細胞が発する蛍光は、光検出器で蛍光信号に変えられて、2つのミキサに送られる。
一方、モジュレータの変調信号は、可変位相シフタを介して上記2つのミキサに送られる。その際、一方のミキサには、信号の位相を90度シフトさせる90度位相シフタを介して、位相が90度シフトした変調信号が供給され、他方のミキサには、位相シフトのない変調信号がそのまま供給される。
こうして、各ミキサに送られた蛍光信号と変調信号は混合され、ローパスフィルタを介して、蛍光信号の位相の情報である実数部成分と虚数部成分が得られる。この実数部成分と虚数部成分との比率から蛍光寿命が算出される。
これにより、装置は、蛍光寿命に基づいて個々の粒子や細胞を識別することができるとされている。
この他に、特許文献2および3にも、蛍光の位相遅れを用いて蛍光寿命を求めることにより、粒子や細胞を識別するフローサイトメータが記載されている。
US特許5504337号公報 US特許5270548号公報 US特許5317162号公報
しかし、上記特許文献1〜3に記載されているフローサイトメータにおいて、蛍光信号の位相を求めるために、蛍光信号と変調信号とはミキサで混合される。ここで用いる蛍光信号は、変調信号により強度変調されたレーザ光の照射により発する蛍光の信号である。また、ミキサは参照信号として変調信号そのものを分けて使用する。このため、変調信号にノイズ成分が含まれている場合、ミキサで混合される蛍光信号と参照信号とに同期したノイズ成分が載るので、蛍光の位相遅れの情報である実数部成分と虚数部成分にもノイズ成分が信号として含まれる。したがって、実数部成分と虚数部成分との比率から算出される蛍光寿命は、上記ノイズ成分の影響を受けて精度が低下する、といった問題があった。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、測定対象物に、所定の周波数で強度変調したレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、このとき得られる蛍光信号の信号処理を行って蛍光検出を行うとき、蛍光緩和時間(蛍光寿命)を従来に比べて精度高く算出することのできる蛍光検出装置および蛍光検出方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、前記蛍光の受光により得られる蛍光信号から、蛍光緩和時間を求める蛍光検出装置であって、
測定対象物に照射するために、強度変調されたレーザ光を出射するレーザ光源部と、
強度変調されたレーザ光の照射によって測定対象物が発する蛍光の蛍光信号を出力する受光部と、
前記レーザ光源部から出射するレーザ光を強度変調させるために、所定の周波数の変調信号を生成し、さらに、前記変調信号の周波数と同一の周波数、または略同一の周波数を持ち、前記変調信号と同期した参照信号を、前記変調信号と別に生成する信号生成部と、
前記変調信号を用いて強度変調したレーザ光を測定対照物に照射することにより前記受光部で出力される蛍光信号と前記参照信号との第1のミキシング処理を行い、前記第1のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記変調信号の周波数と前記参照信号の周波数との加算周波数の信号成分を除去する第1のローパスフィルタリング処理を行って蛍光信号ベースの低周波信号を出力する信号処理部と、
前記蛍光信号ベースの低周波信号を用いて、前記変調信号に対する前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相から、測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める蛍光検出部と、を有する。
その際、前記信号生成部は、クロック信号を生成する第1の発振器と、前記第1の発振器が生成した前記クロック信号に同期して前記変調信号を生成する第2の発振器と、前記参照信号を、前記クロック信号に同期して生成する第3の発振器と、を有することができる。
また、前記受光部は、前記蛍光を受光する受光素子の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光を受光する受光素子を有し、前記側方散乱光の受光により得られた受光信号を出力し、前記信号処理部は、前記蛍光信号に対して前記第1のミキシング処理と前記第1のローパスフィルタリング処理を行う他に、前記受光信号と前記参照信号との第2のミキシング処理を行い、前記第2のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去する第2のローパスフィルタリング処理を行って受光信号ベースの低周波信号を出力し、前記蛍光検出部は、前記受光信号ベースの低周波信号を用いて前記変調信号に対する前記受光信号の位相を求め、前記蛍光信号の位相から、前記受光信号の位相を差し引くことにより、前記蛍光信号の位相を補正し、補正された前記位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めることができる。
また、前記受光部は、前記蛍光を受光する受光素子の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光を受光する受光素子を有し、前記側方散乱光の受光により得られた受光信号を出力し、前記信号処理部は、前記蛍光信号に対して前記第1のミキシング処理と前記第1のローパスフィルタリング処理とを行う他に、前記受光信号と前記参照信号との第2のミキシング処理を行い、前記第2のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去する第2のローパスフィルタリング処理を行って受光信号ベースの低周波信号を出力し、前記蛍光検出部は、前記変調信号と前記参照信号との間に差分周波数がある場合、前記蛍光信号ベースの低周波信号と、前記受光信号ベースの低周波信号との第3のミキシング処理を施し、前記第3のミキシング処理後の混合信号に基づいて前記蛍光信号の補正された位相を算出し、前記補正された位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めることもできる。
また、前記受光部には、前記側方散乱光を受光する受光面の前面に、光量を調整するための減光フィルタあるいは絞り板が設けられることが好ましい。
本発明の一態様は、測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、この蛍光の受光により得られる蛍光信号から、蛍光緩和時間を求める蛍光検出方法であって、
所定の周波数の変調信号により強度変調を受けたレーザ光を測定対象物に照射するステップと、
前記レーザ光の照射された測定対象物が発する蛍光を検出手段にて受光し、この受光によって得られる蛍光信号を取得するステップと、
前記変調信号の周波数と同一の周波数、または略同一の周波数を持ち、前記変調信号と位相の同期した参照信号を、前記変調信号と別に生成するステップと、
強度変調したレーザ光を測定対照物に照射することにより前記検出手段で得られた蛍光信号に対して前記参照信号を用いて第1のミキシング処理を行い、さらに、前記第1のミキシング処理後の混合信号のうち、前記変調信号の周波数と前記参照信号の周波数との加算周波数の信号成分を除去する第1のローパスフィルタ処理を施すことにより、前記変調信号よりも周波数の低い蛍光信号ベースの低周波信号を生成するステップと、
前記蛍光信号ベースの低周波信号を用いて、前記変調信号に対する前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相から、測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めるステップと、を有する。
前記蛍光の受光のとき、前記蛍光の受光の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光が受光され、前記側方散乱光の受光により得られる受光信号が出力され、前記受光信号には、前記参照信号を用いた第2のミキシング処理と、前記第2のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去し、受光信号ベースの低周波信号を出力する第2のローパスフィルタリング処理とが施され、前記受光信号ベースの低周波信号を用いて前記変調信号に対する前記受光信号の位相を求め、前記受光信号の位相を、前記蛍光信号ベースの低周波信号の位相から差し引くことにより、前記蛍光信号の位相を補正し、補正後の前記位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めることができる。
また、前記蛍光の受光のとき、前記蛍光の受光の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光が受光され、前記側方散乱光の受光により得られる受光信号が出力され、前記受光信号には、前記参照信号を用いた第2のミキシング処理と、前記ミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去し、受光信号ベースの低周波信号を出力する第2のローパスフィルタリング処理とが施され、前記蛍光信号ベースの低周波信号と、前記受光信号ベースの低周波信号との第3のミキシング処理を施し、前記第3のミキシング処理後の混合信号に基づいて前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めることもできる。
本発明の蛍光検出装置および蛍光検出方法の一態様は、測定対象物に照射するレーザ光の強度変調のために用いる変調信号と、ミキシング処理に用いる参照信号とを別々に生成する。このため、ミキシング処理に用いる蛍光信号および参照信号には、同期したノイズ成分が含まれることは極めて少ない。このため、ミキシング処理で得られた信号を用いて算出される蛍光緩和時間は、従来に比べて精度が高い。
また、蛍光検出装置および蛍光検出方法の一態様は、側方散乱光の受光により得られる受光信号の位相を用いて、蛍光信号の位相を補正する。このため、蛍光信号および受光信号の伝送時間による位相のずれを排除することができ、精度の高い蛍光緩和時間を算出することができる。
また、蛍光検出装置において、変調信号の周波数と参照信号の周波数とを同じに設定しても、使用条件等により周波数が完全に一致しない場合、蛍光信号ベースの低周波信号には、DC成分ではなく、変調信号の周波数と参照信号の周波数との間の差分周波数を主要周波数とするAC成分に蛍光の位相遅れ情報が含まれる。この場合を考慮して、蛍光検出装置および蛍光検出方法の一態様は、蛍光信号ベースの低周波信号と受光信号ベースの低周波信号のミキシング処理(ハード構成の機器を用いた処理あるいはソフトウェアを用いた処理)を施すことにより、蛍光信号の位相を求めることができる。
その際、上記ミキシング処理では、受光信号ベースの低周波信号に対する、蛍光信号ベースの低周波信号の位相が算出されるので、蛍光検出装置および蛍光検出方法の一態様は、参照信号と蛍光信号との間の伝送時間の差異による位相のずれを排除することができる。
本発明の強度変調したレーザ光による蛍光検出装置を用いたフローサイトメータの概略構成図である。 図1に示すフローサイトメータの構成をより詳しく説明した図である。 図1に示すフローサイトメータの信号処理部の構成を説明する図である。 図1に示すフローサイトメータの分析装置における処理内容を説明する図である。 図4に示す分析装置における処理内容と異なる他の処理内容の例を説明する図である。
以下、本発明の強度変調したレーザ光による蛍光検出装置を好適に適用したフローサイトメータを基に詳細に説明する。
以降では、蛍光の受光によって得られる信号を蛍光信号といい、レーザ光の側方散乱光によって得られる信号を受光信号という。
図1は、強度変調したレーザ光Lによる蛍光検出装置に適用したフローサイトメータ10の概略構成図である。図2は、フローサイトメータ10の構成をより詳しく説明した図である。以下、フローサイトメータ10の構成について説明する。
フローサイトメータ10は、信号処理装置20と、分析装置80と、を有する。概略の機能を説明すると、信号処理装置20は、測定対象とする蛋白等の測定対象物の試料12をフローセル中に1つずつ流してレーザ光を照射する。このとき、フローサイトメータ10は、試料12にラベル化のために付着した蛍光色素の発する蛍光の蛍光信号を検出して信号処理をする。分析装置80は、信号処理装置20で得られた処理結果から試料12中の測定対象物の分析を行なう。
信号処理装置20は、レーザ出射部22と、受光部24、26と、制御・処理部28と、管路30と、を有する。制御・処理部28は、レーザ出射部22からのレーザ光を所定の周波数で強度変調させる制御部、及び試料12からの蛍光信号を識別する信号処理部を含む。管路30は、高速流を形成するシース液に含ませて試料12を1つずつ流してフローセルを形成する。
管路30の出口には、図1に示すように、回収容器32が設けられている。フローサイトメータ10は、レーザ光Lの照射により短時間内に試料12中の特定の細胞等の生体物質を分離するためのセル・ソータを配置して別々の回収容器に分離するように構成することもできる。
試料12は、蛋白をはじめ、細胞、DNA、RNA、酵素を含む生体物質等の測定対象物であり、この試料12は蛍光試薬(蛍光色素)で予めラベル化され、図1に示すように、混濁液の状態で用意される。試料12は、例えば、種類の異なる複数の生体物質を含み、生体物質には、生体物質の種類毎に異なる既知の波長の蛍光を発する既知の色素が、蛍光色素として付着されように、用意される。これにより、複数の種類の生体物質間の生体結合等の特性を調べることができる。
試料12は、生体物質に限定されず、例えば、特定の生体物質と結合可能な人工的な構造を設けたマイクロビーズであってもよい。
レーザ出射部22は、レーザ光源部23とレーザドライバ34を有する。
レーザ光源部23は、所定の波長のレーザ光Lを出射する部分である。レーザ光Lは、管路30中の所定の位置に集束するように図示されないレンズ系が設けられ、この集束位置に試料12の計測点が形成される。レーザ光Lの計測点におけるビーム径は数10μmである。なお、レーザ光源部23では、1つの波長のレーザ光Lを出射するが、複数のレーザ光を1つのレーザビームとして形成して出射する構成とすることもできる。この場合、ハーフミラー等を用いてレーザ光を1つの光束とする。
レーザ光源部23では、強度が一定のCW(連続波)レーザ光Lが、所定の周波数により強度変調を受けて出射する。
レーザ光Lを出射する光源として例えば半導体レーザが用いられる。
レーザ光Lは、例えば5〜100mW程度の出力である。一方、レーザ光Lの強度を変調する周波数(変調周波数)は、その周期が蛍光緩和時間に比べてやや長い周波数であり、例えば10〜50MHzである。
レーザドライバ34は、制御・処理部28に接続されて、レーザ光Lの出射の強度が制御されるように構成される。ここで、レーザ光Lの各々は、後述するように変調信号によって、所定の周波数で強度が変調される。
レーザ光源部23は、レーザ光Lが蛍光色素を励起して特定の波長帯域の蛍光を発するように、予め定められた波長帯域で発振する。レーザ光Lによって励起される蛍光色素は生体物質等の試料12に付着されており、試料12が測定対象物として管路30を通過する際、計測点でレーザ光Lの照射を受けて特定の波長で蛍光を発する。
受光部24は、管路30を挟んでレーザ光源部23と対向するように配置されている。受光部24は、計測点を通過する試料12によってレーザ光Lが前方散乱することにより、試料12が計測点を通過する旨の検出信号を出力する光電変換器24aと、集光レンズ24bと、遮蔽板24cと、を備える。遮蔽板24cは、光電変換器24aがレーザ光Lを直接受光することなく、前方散乱光を受光するようにレーザ光Lを遮蔽するために用いる。
この受光部24から出力される信号は、後述する分析装置80中のAD変換ボード82のAD変換開始および分析装置本体84の分析開始のタイミングとなるトリガ信号として用いられる。
一方、受光部26は、計測点を通り、レーザ光源部23から出射されるレーザ光の出射方向に対して垂直な平面と、計測点を通り、管路30中の試料12の移動方向に対して垂直な平面との交線上に位置する。受光部26は、計測点にて照射された試料12が発する蛍光およびレーザ光の側方散乱光を受光する光電変換器を備える。
図2には、受光部26の一例の概略の構成が示されている。
受光部26は、試料12からの蛍光信号を集束させるレンズ系26aと、ダイクロイックミラー26b,26b,26b3と、バンドパスフィルタ26c1,26c2,26c3,26c4と、光量調整フィルタ26dと、光電子倍増管等の光電変換器27a〜27dと、を有する。
レンズ系26aは、受光部26に入射した蛍光を光電変換器27a〜27dの受光面に集束させるように構成されている。
ダイクロイックミラー26b1,26b2,26b3は、所定の範囲の波長帯域の蛍光を反射させて、それ以外は透過させるミラーである。
試料12からの各蛍光の波長にしたがってダイクロイックミラー26b1,26b2,26b3およびバンドパスフィルタ26c1,26c2,26c3,26c4が所定の波長帯域の蛍光を透過させるように、反射波長帯域あるいは透過波長帯域が設定されている。ダイクロイックミラー26b2は、レーザ光の側方散乱光の波長領域の光を反射し、蛍光の波長を含む波長領域の光を透過するミラーである。
バンドパスフィルタ26c1,26c2,26c3,26c4は、光電変換器27a,27b,27c,27dそれぞれの前面に設けられ、所定の波長帯域の蛍光のみが透過するフィルタである。ダイクロイックミラー26b2は、光電変換器27a,27dの受光面の前面に設けられ、光電変換器27aは、ダイクロイックミラー26b2の透過光を受光し、光電変換器27dは、ダイクロイックミラー26b2の反射光を受光する。
透過する蛍光の波長帯域は、蛍光色素の発する蛍光の波長帯域に対応して設定されている。
光量調整フィルタ26dは、側方散乱光の光量を調整するための減光フィルタである。減光フィルタの替わりに絞り板を用いることもできる。光量調整フィルタ26dを用いて、側方散乱光の受光信号のレベルを蛍光信号のレベルに略一致させることにより、レーザ光Lの受光信号の位相を、光の伝播や信号の伝送による位相遅れの代替として用いることが可能となる。このレーザ光Lの受光信号の位相は、レーザ光Lの受光信号の、変調信号に対する位相の遅れを意味する。レーザ光Lの受光信号の位相は、レーザ光Lの伝播時間や受光信号の伝送時間等による遅れであり、蛍光信号の変調信号に対する位相は、伝播時間や伝送時間等による伝送遅れに、蛍光が生じる時間を加えたものである。このとき、受光信号の位相は、側方散乱光の受光信号のレベルに応じて変化するため、受光信号の位相を、蛍光信号の伝播時間や伝送時間等による伝送遅れと略一致させるために、受光する側方散乱光のレベルが蛍光信号のレベルに略一致するように、光量調整フィルタ26dにより受光信号のレベルを調整する。
光電変換器27a〜27dは、例えば光電子増倍管を備えたセンサを備え、受光面である光電面で受光した光を電気信号に変換するセンサである。光電変換器27a〜27cは、ダイクロイックミラーおよびバンドパスフィルタによって光の波長領域が制限されて所定の波長の蛍光を受光する。光電変換器27dはレーザ光Lの側方散乱光を受光するように、光電変換器27dが受光する光の波長領域がダイクロイックミラー26b2によって制限される。このように、受光部26は、3つの波長の異なる蛍光を受光するとともに、レーザ光Lの側方散乱光を受光する。
ここで、受光する蛍光および側方散乱光は、一定の周波数で強度変調された信号情報を持った光信号として受光されるので、光電変換器27a〜27dが出力する信号は強度変調されたレーザ光Lに対応した周波数を持った蛍光信号および受光信号となる。この蛍光信号および受光信号は制御・処理部28に供給される。
制御・処理部28は、信号生成部40と、信号処理部42と、を有して構成される。
信号生成部40は、レーザ光の強度を所定の周波数で変調(強度変調)するための変調信号を生成する他、参照信号を生成する部分である。
具体的には、信号生成部40は、発振器(第1の発振器)46、発振器(第2の発振器)47および発振器(第3の発振器)48、を有する。これらの発振器は、回路によって構成されたものであってもよい。
発振器46は、所定の周波数のクロック信号を生成するクロック生成器である。
発振器47は、レーザ光Lの強度変調を行うための変調信号を生成する。生成された変調信号は、図示されないフィルタにより単一の周波数成分とされ、アンプを介してレーザドライバ34に供給される。レーザドライバ34では、別途用意された直流電流が重畳されて、レーザ光源部23に供給される。
発振器48は、後述するように、蛍光緩和時間を求めるために用いる参照信号を生成する。発振器48で生成される参照信号の周波数は、発振器47で生成される変調信号の周波数と同一または略同一であり、参照信号と変調信号は互いに同期した信号となっている。互いに同期しているとは、信号の生成開始時点で、同じ位相の信号が生成されることをいい、お互いに位相0となる時刻が周期的に到来する。発振器47および発振器48において信号の生成は、発振器46の生成するクロック信号に同期して行われる。したがって、変調信号と参照信号は、互いに同期して生成される。
また、周波数が略同一とは、変調信号の周波数に対して、参照信号の周波数が、設定された許容誤差範囲内にあることをいう。ここで、許容誤差範囲は、例えば、変調信号の周波数に対する参照信号の周波数のずれである差分周波数Δfが、変調信号の周波数の1%以内であることをいう。
発振器46,47,48は、電磁波を遮蔽する独立した筐体に収納される。すなわち、発振器46,47,48は独立した電磁環境に設けられる。発振器47,48を独立した電磁環境に設けることにより、フローサイトメータ10は、それぞれの生成する信号に、電磁波によるノイズ成分が同時刻に共通して含まれる可能性を少なくし、後述するように蛍光緩和時間を精度高く求めることができる。
変調信号と参照信号との周波数は、同一となるように設定されても、発振器の個体間誤差や温度等の使用条件によって微妙に特性が異なるため、完全に周波数を一致させることは難しい。このため、後述するように、分析装置本体84では、周波数が不一致の場合を考慮した処理を行うことができる。
信号生成部40は、発振器47および発振器48に替えて、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振回路および分周器を備えたPLL回路(Phase Locked Loop)を用いて、変調信号および参照信号を同期して生成することもできる。
このように、異なる発振器を用いて変調信号および参照信号を別々に生成する理由は、1つの発振器により変調信号および参照信号を生成す場合に比べて、後述するRFミキサで変調信号と参照信号をミキシングして得られる混合信号において、発振器に由来するノイズ成分の影響が小さくなるからである。変調信号および参照信号は、別々の発振器を用いて生成されるので、ミキシング処理の対象となる変調信号および参照信号に、同期したノイズ成分が含まれることは極めて少ない。しかも、発振器46,47,48は、電磁波を遮蔽する独立した筐体に収納されるので、信号にノイズ成分が含まれることは起こりにくい。
信号処理部42は、光電変換器27a〜27dから出力される蛍光信号および側方散乱光の受光信号を用いて、レーザ光の照射により試料12が発する蛍光の位相に関する情報を抽出する部分である。具体的には、光電変換器27a〜27cからの蛍光信号を別々に処理する信号処理チャンネル1,2,3と、光電変換器27dからの受光信号を処理する信号処理チャンネル4と、を有する。信号処理チャンネル1〜4の信号処理内容は同一である。
なお、上記位相に関する情報とは、例えば、正弦波信号の位相を複素数表示したときの実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)である。
信号処理部42の信号処理チャンネル1は、処理回路52aを含む。信号処理チャンネル2〜4は、処理回路52b〜52dを含む。
図3は、処理回路52a,52b,52c,52dの内容を示す構成図である。
処理回路52a,52b,52c,52dは、蛍光信号(受光信号)を増幅するアンプ54と、可変増幅アンプ56と、増幅された蛍光信号(受光信号)を分配するパワースプリッタ58と、RFミキサ(第1のミキサ)60,62と、90度ハイブリッド64と、アンプ66,68と、ローパスフィルタ70,72と、を有する。なお、可変増幅アンプ56に替えて、可変減衰器を用いることもできる。90度ハイブリッド64に替えて、位相シフタを用いることもできる。位相シフタを用いる場合、2つの同位相信号に分け、一方を90度位相シフタに通す構成、あるいは、位相シフト90度と0度の切り替えを行うスイッチを用いた構成を採用する。
光電変換器27a〜27dから送られた蛍光信号(受光信号)は、アンプ54で増幅され、さらに、可変増幅アンプ56で所望のレベルに増幅される(可変減衰器を用いる場合、減衰される)。さらに、蛍光信号(受光信号)は、パワースプリッタ58で2分され、RFミキサ60,62に送られる。
一方、発振器48が生成した参照信号は、90度ハイブリッド64に供給されて、位相が90度シフトした参照信号と、位相が維持された(位相シフトが0度の)参照信号が生成される。90度ハイブリッド64により90度位相シフトした参照信号は、RFミキサ62に供給される。一方、位相が維持された参照信号は、RFミキサ60に供給される。
RFミキサ60,62はそれぞれ、供給された参照信号と、供給された蛍光信号(受光信号)とをミキシング処理する。RFミキサ60,62には、アクティブミキサや、ダブルバランスドミキサ等のパッシブミキサが用いられる。
本実施形態では、参照信号の位相を90度シフトさせてRFミキサ62に供給したが、参照信号の替わりに蛍光信号(受光信号)の位相を90度シフトさせてもよい。
アンプ66,68は、RFミキサ60,62において参照信号と蛍光信号(受光信号)とから作られた混合信号を増幅する。
ローパスフィルタ70,72は、ミキシング処理により得られた混合信号のうち、参照信号の周波数と蛍光信号(受光信号)の周波数の加算周波数を成分とする高周波成分を除去し、低周波成分を通過するように、例えば、変調信号の周波数より低いカットオフ周波数が設定されている。これにより、ローパスフィルタ70から蛍光信号(受光信号)の位相の情報である実数部成分(Re成分)と、ローパスフィルタ72から蛍光信号(受光信号)の位相の情報である虚数部成分(Im成分)が出力される。これによって、蛍光信号(受光信号)の位相の情報を含むRe成分とIm成分の信号は、分析装置80のAD変換ボード82に送られる。
上述したように変調信号の周波数と参照信号の周波数とは一致または略一致する。このため蛍光信号(受光信号)の周波数と参照信号の周波数とは一致または略一致する。したがって、ローパスフィルタ70,72から出力される実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)の信号は、値が一定または略一定の信号である。この信号に位相に関する情報が含まれている。
ローパスフィルタ70,72から出力された実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)は、分析装置80に送られる。
分析装置80は、信号処理チャンネル1〜4のそれぞれから送られてくる実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)をデジタル信号に変換するAD変換ボード(図1参照)82と、分析装置本体(コンピュータ)84と、を有する。
AD変換ボード82は、受光部24から送られた信号をトリガ信号として実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)のAD変換を開始する。さらに、デジタル化された実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)は分析装置本体部84に供給されて分析を開始する。
分析装置本体84は、送られてくる実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)に基づいて、蛍光の位相遅れ角度(変調信号に対する蛍光信号の位相角度)θを求め、さらに、この位相遅れ角度θから蛍光緩和時間を求める。求めた蛍光緩和時間に基づいて、受光部26から出力された蛍光信号が、どの蛍光色素に由来するものかを特定する。
分析装置本体84は、蛍光緩和時間の算出結果がどの信号処理チャンネルの実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)に基づくものかを知ることにより、蛍光緩和時間がどの波長の蛍光に由来するものかを知ることができる。また、蛍光色素が発する蛍光の蛍光緩和時間は、蛍光色素ごとに定まっているので、分析装置本体84は、蛍光緩和時間の値とどの信号処理チャンネルの蛍光緩和時間か、を知ることにより、どの蛍光色素の発した蛍光かを特定することができる。さらに、蛍光色素は、どの試料12に付着させたものか予め既知であるので、分析装置本体84は、蛍光の特定により、計測点を通過した試料12がどの種類のものかを知ることができる。したがって、試料12内の異なる種類の生体物質同士が生体結合した場合、生体物質に結合した両方の蛍光色素の蛍光が略同時に検出されるので、蛍光緩和時間に基づいて蛍光の種類を特定することで、生体結合する生体物質の種類を知ることができる。このような分析は、試料12がフロー状態となって計測点を1つずつ横切るたびに行われるので、分析装置80は、得られた多数の結果を統計処理し総合的な試料12の分析をすることができる。
分析装置本体84は、本発明における蛍光緩和時間を算出する蛍光検出部を形成し、コンピュータにより構成される。
図4は、分析装置本体84で行われる処理内容の例を説明する図である。
分析装置本体84では、AD変換ボード82により、各信号処理チャンネルの実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)がデジタルデータとされた後、図4に示す処理が行われる。この処理はソフトウェア処理である。
図4に示す処理は、サブプログラムやサブルーチンによりモジュール化されている。具体的には、振幅算出モジュール88、位相算出モジュール90、位相遅れ算出モジュール92、補償された蛍光強度算出モジュール94、蛍光緩和時間算出モジュール96が設けられる。
図4に示す例では、処理回路52aおよび処理回路52dから送られる蛍光の実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)と、レーザ光Lの側方散乱光の実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)の処理内容が示され、処理回路52b,52cから送られる実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)の処理内容は示されていない。処理回路52b、52cから送られる実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)の処理内容は、処理回路52aからの実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)の処理内容と同じであるため、その処理内容は図示されず、説明も省略する。
処理回路52dから送られた側方散乱光の位相に関する実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)、および蛍光の実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)はいずれも値が一定または略一定の信号である。これらの信号は、振幅算出モジュール88および位相算出モジュール90に送られる。
振幅算出モジュール88は、実数部成分の信号と虚数部成分の信号の二乗加算和の平方根を計算し、この計算結果を強度として出力する。すなわち、側方散乱光の強度と、蛍光強度が出力される。
また、実数部成分の信号と虚数部成分の信号は、位相算出モジュール90に送られ、tan-1(Im/Re)が算出される。これにより、側方散乱光の受光信号のる位相と蛍光信号の位相が算出される。
さらに、位相遅れ算出モジュール92にて、位相算出モジュール90で求められた蛍光信号の位相から位相算出モジュール90で求められた受光信号の位相を差し引くことにより、補正された蛍光信号の位相(蛍光の位相遅れ)が求められる。このように補正を行う理由は、蛍光信号の伝送線路との伝送時間の差異や、レーザ光や蛍光の伝播による時間によって生じる位相遅れを、受光信号の位相を用いて補正するためである。
次に、蛍光緩和時間算出モジュール96にて、補正された位相遅れ角度θを用いて、tanθ/ωが算出され、この算出結果が蛍光緩和時間τとなる。ここで、ωは、2πfであり、fは変調信号の周波数を表す。
tanθ/ωの値を蛍光緩和時間τとすることができるのは、蛍光の緩和過程が1次遅れ応答に従って蛍光を発するからである。
さらに、補償された蛍光強度算出モジュール94にて、(1+(τω)2(1/2)が算出され、この算出された値が、振幅算出モジュール88で算出された蛍光の振幅に乗算されて、τで補償された蛍光強度が算出される。
分析装置本体84は、以上のように、側方散乱光強度と、蛍光強度と、蛍光緩和時間τと、τで補償された蛍光強度とを算出し、これらの算出結果が、統計的処理および分析に用いられる。もちろん、分析装置本体84は、側方散乱光強度と、蛍光強度と、蛍光緩和時間τと、τで補償された蛍光強度とをすべて算出し、このすべてを統計的処理および分析に用いる必要はない。分析装置本体84は、少なくとも蛍光緩和時間τを算出し、統計的処理および分析に用いるとよい。なお、側方散乱光強度は、試料12の構造に応じて散乱強度が大きく異なることから、試料12の構造の複雑さを示す指標として用いることができる。
フローサイトメータ10は以上のように構成される。
フローサイトメータ10では、発振器46はクロック信号を生成し、この発振器46が生成したクロック信号に同期して発振器47は変調信号を生成し、発振器48は、クロック信号に同期して参照信号を生成する。
このため、発振器47の変調信号と発振器48の参照信号に含まれるノイズ成分は、独立しているので、RFミキサ60,62において、蛍光信号と参照信号がミキシング処理されても、従来のように、ノイズ成分を含む蛍光信号とノイズ成分を含む参照信号とが乗算されて混合信号に大きなノイズ成分が含まれることがない。
このようなフローサイトメータ10の信号処理装置20では、まず、発振器46が発するクロック信号に同期して所定の周波数の変調信号を発信器47に発生させる。この信号がレーザドライバ34にて所定の処理が行われて、レーザ光源部23に供給される。レーザ光源部23は、変調信号の周波数に応じて光強度が変調されたレーザ光Lを計測点に向けて出射する。計測点では、図示されないレンズ系により数10μmの径のビームとなっている。
この状態で、試料12が管路30を流れ、計測点を横切って通過するようにフローが形成される。フローは、例えば100μmの流路径に1〜10m/秒の流速を有する。
レーザ光Lが計測点に向けられて照射され、受光部24で試料12の通過を検出する検出信号が生成されると、この検出信号がトリガ信号として分析装置80に出力される。
発振器48は、このトリガ信号に合わせて発振器46のクロック信号に同期した参照信号を生成する。参照信号の周波数は、変調信号の周波数と同一または略同一である。
信号処理部42は、光電変換器27a〜27dにて得られ送られてくる蛍光信号および受光信号と、参照信号を用いて、図3に示す回路にしたがって、ミキシング処理およびローパスフィルタ処理を行う。こうして、蛍光および側方散乱光の各信号の位相に関する情報である実数部成分(Re成分)と虚数部成分(Im成分)が生成される。ここで、レーザ光の変調信号の周波数は、例えば10〜50MHzである。
算出された実数部成分(Re成分)と虚数部成分(Im成分)は、分析装置80に送られる。
分析装置80は、送られてきた実数部成分(Re成分)と虚数部成分(Im成分)の信号にAD変換を施してデジタル化する。この後、分析装置本体84は、図4に示す処理を行い、側方散乱光の強度と、蛍光強度と、蛍光緩和時間τと、τにより補償された蛍光強度と、を算出する。これらの算出結果は、試料12の統計的処理や分析に用いられる。なお、蛍光緩和時間τは、側方散乱光によって得られる受光信号の位相を基準にして補正された蛍光信号の位相遅れ角度θに基づいて、tanθ/ωにしたがって算出される。
(変形例)
図5は、図4に示す分析装置本体84で行われる処理内容と異なる処理内容の例を説明する図である。図5に示す処理は、図4に示す機能を備えた振幅算出モジュール88、位相算出モジュール90、補償された蛍光強度算出モジュール94、蛍光緩和時間算出モジュール96の他に、FFT処理モジュール86およびミキシング処理モジュール98が用いられる。本変形例では、発振器47および発振器48が略同じ周波数で信号を生成するが、このときの周波数が、使用条件等によって変化し、必ずしも完全に一致しない場合もある。すなわち、差分周波数Δfを有する場合がある。本変形例は、このような場合に好適に用いる処理である。
したがって、本変形例は、変調信号の周波数と参照信号の周波数がMHzの単位において略同一であるが、完全に一致せず、周波数に差異が生じる場合、無視できない差分周波数Δfがあるか否かを、分析装置本体84で判定し、この判定結果に応じて、図4に示す処理から図5に示す処理に変更するように構成することができる。無視できない差分周波数Δfとは、分析装置80に送られてくる実数部成分(Re成分)と虚数部成分(Im成分)の信号が、試料12が計測点を通過する計測時間の範囲で略一定値でなく、値が変化するような場合をいう。例えば、無視できない差分周波数Δfは、試料12が計測点を通過する時間をT秒としたとき、1/T以上をいう。
図5に示す処理内容では、まず、信号処理チャンネル4で算出された受光信号の実数部成分(Re成分)と虚数部成分(Im成分)がFFT処理モジュール86で処理されて、差分周波数Δfにおける実数部成分の値(Re_Δf)と虚数部成分の値(Im_Δf)が求められる。この2つの値を用いて振幅算出モジュール88にて、側方散乱光の受光信号の振幅が算出され、この振幅が側方散乱光強度として出力される。
一方、信号処理チャンネル1で得られた蛍光信号の実数部成分(Re成分)と虚数部成分(Im成分)がミキシング処理モジュール98に送られる。また、ミキシング処理モジュール98に、側方散乱光の実数部成分(Re成分)が送られる。ミキシング処理モジュール98では、蛍光信号の実数部成分(Re成分)および虚数部成分(Im成分)が、側方散乱光の受光信号の実数部成分(Re成分)とミキシングされ、さらに、図示されない処理モジュールで変調信号の周波数と参照信号の周波数の加算周波数よりも低く、差分周波数Δfよりも高いカットオフ周波数を用いたローパスフィルタ処理が施され、差分周波数Δfの実数部成分の値(Re_Δf)および虚数部成分の値(Im_Δf)が求められる。
例えば、ミキシング処理モジュール98に送られる蛍光の実数部成分(Re成分)をcos{2π(f1−f2)・t+2πf1・(Δt1+τ)}とする。ここで、f1=変調信号の周波数,f2=参照信号の周波数であり、Δt1は、蛍光信号や受光信号の、参照信号に対する遅延時間であり、τは蛍光緩和時間である。
このとき、側方散乱光の実数部成分(Re成分)は、cos{2π(f1−f2)・t+2πf1・Δt1}である。
したがって、蛍光信号のRe成分から、ミキシング処理モジュール98で混合信号が生成され、さらに、上記ローパスフィルタ処理が施されることにより、信号cos{2π・f1・τ}がRe_Δfとして算出される。同様に、蛍光のIm成分から、ミキシング処理モジュール98で混合信号が生成され、さらに、ローパスフィルタ処理が施されることにより、信号sin{2π・f1・τ}がIm_Δfとして算出される。
したがって、これらの信号の値が振幅算出モジュール88および位相算出モジュール90に送られて、蛍光強度および位相遅れ角度θが算出される。
算出された位相遅れ角度θは、さらに蛍光緩和時間算出モジュール96にて、tanθ/ωが算出され、この算出結果が蛍光緩和時間τとなる。ここで、ωは、2πf1である。tanθ/ωの値を蛍光緩和時間τとすることができるのは、蛍光の緩和過程が1次遅れ応答に従って蛍光を発するからである。
さらに、補償された蛍光強度算出モジュール94にて、(1+(τω)2(1/2)が算出され、この算出された値が、振幅算出モジュール88で算出された蛍光の振幅に乗算されて、τで補償された蛍光強度が算出される。
さらに、側方散乱光のRe成分およびIm成分から求められた差分周波数Δfの実数部成分の値(Re_Δf)および虚数部成分の値(Im_Δf)は、振幅算出モジュール88に送られ、側方散乱光の振幅が側方散乱光強度として算出される。
こうして、分析装置本体84では、側方散乱光強度、τで補償された蛍光強度、蛍光強度、蛍光緩和時間τが算出され、試料12の統計的処理や分析に用いられる。
以上、本発明の強度変調したレーザ光による蛍光検出装置および蛍光検出方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 フローサイトメータ
12 試料
20 信号処理装置
22 レーザ出射部
23 レーザ光源部
24,26 受光部
24b,26a レンズ系
26b1,26b2,26b3 ダイクロイックミラー
26c1,26c2,26c3,26c4 バンドパスフィルタ
26d 減光フィルタ
27a,27b,27c,27d 光電変換器
28 制御・処理部
30 管路
32 回収容器
34 レーザドライバ
40 信号生成部
42 信号処理部
46,47,48 発振器
52a〜52d 処理回路
54,66,68 アンプ
56 可変アンプ
58 パワースプリッタ
60,62 RFミキサ
64 90度ハイブリッド
76,78 ローパスフィルタ
80 分析装置
82 AD変換ボード
84 分析装置本体
86 FFT処理モジュール
88 振幅算出モジュール
90 位相算出モジュール
92 位相遅れ算算出モジュール
94 補償された蛍光強度算出モジュール
96 蛍光緩和時間算出モジュール
98 ミキシング処理モジュール
本発明の一態様は、測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、前記蛍光の受光により得られる蛍光信号から、蛍光緩和時間を求める蛍光検出装置であって、
測定対象物に照射するために、強度変調されたレーザ光を出射するレーザ光源部と、
強度変調されたレーザ光の照射によって測定対象物が発する蛍光の蛍光信号を出力する受光部と、
前記レーザ光源部から出射するレーザ光を強度変調させるために、所定の周波数の変調信号を生成し、さらに、前記変調信号の周波数と同一の周波数、または略同一の周波数を持ち、前記変調信号と同期した参照信号を、前記変調信号と別に生成する信号生成部と、
前記変調信号を用いて強度変調したレーザ光を測定対照物に照射することにより前記受光部で出力される蛍光信号と前記参照信号との第1のミキシング処理を行い、前記第1のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記変調信号の周波数と前記参照信号の周波数との加算周波数の信号成分を除去する第1のローパスフィルタリング処理を行って蛍光信号ベースの低周波信号を出力する信号処理部と、
前記蛍光信号ベースの低周波信号を用いて、前記変調信号に対する前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相から、測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める蛍光検出部と、を有する。
測定対象物は、管路中の測定点を通過する。また、前記参照信号は、信号の生成開始時、前記変調信号と同じ位相で立ち上がる信号である。
本発明の一態様は、測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、この蛍光の受光により得られる蛍光信号から、蛍光緩和時間を求める蛍光検出方法であって、
所定の周波数の変調信号により強度変調を受けたレーザ光を測定対象物に照射するステップと、
前記レーザ光の照射された測定対象物が発する蛍光を検出手段にて受光し、この受光によって得られる蛍光信号を取得するステップと、
前記変調信号の周波数と同一の周波数、または略同一の周波数を持ち、前記変調信号と位相の同期した参照信号を、前記変調信号と別に生成するステップと、
強度変調したレーザ光を測定対照物に照射することにより前記検出手段で得られた蛍光信号に対して前記参照信号を用いて第1のミキシング処理を行い、さらに、前記第1のミキシング処理後の混合信号のうち、前記変調信号の周波数と前記参照信号の周波数との加算周波数の信号成分を除去する第1のローパスフィルタ処理を施すことにより、前記変調信号よりも周波数の低い蛍光信号ベースの低周波信号を生成するステップと、
前記蛍光信号ベースの低周波信号を用いて、前記変調信号に対する前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相から、測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めるステップと、を有する。
測定対象物は、管路中の測定点を通過する。また、前記参照信号は、信号の生成開始時、前記変調信号と同じ位相で立ち上がる信号である。

Claims (8)

  1. 測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、前記蛍光の受光により得られる蛍光信号から、蛍光緩和時間を求める蛍光検出装置であって、
    測定対象物に照射するために、強度変調されたレーザ光を出射するレーザ光源部と、
    強度変調されたレーザ光の照射によって測定対象物が発する蛍光の蛍光信号を出力する受光部と、
    前記レーザ光源部から出射するレーザ光を強度変調させるために、所定の周波数の変調信号を生成し、さらに、前記変調信号の周波数と同一の周波数、または略同一の周波数を持ち、前記変調信号と同期した参照信号を、前記変調信号と別に生成する信号生成部と、
    前記変調信号を用いて強度変調したレーザ光を測定対照物に照射することにより前記受光部で出力される蛍光信号と前記参照信号との第1のミキシング処理を行い、前記第1のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記変調信号の周波数と前記参照信号の周波数との加算周波数の信号成分を除去する第1のローパスフィルタリング処理を行って蛍光信号ベースの低周波信号を出力する信号処理部と、
    前記蛍光信号ベースの低周波信号を用いて、前記変調信号に対する前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相から、測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める蛍光検出部と、を有することを特徴とする強度変調したレーザ光による蛍光検出装置。
  2. 前記信号生成部は、クロック信号を生成する第1の発振器と、
    前記第1の発振器が生成した前記クロック信号に同期して前記変調信号を生成する第2の発振器と、
    前記参照信号を、前記クロック信号に同期して生成する第3の発振器と、を有する請求項1に記載の蛍光検出装置。
  3. 前記受光部は、前記蛍光を受光する受光素子の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光を受光する受光素子を有し、前記側方散乱光の受光により得られた受光信号を出力し、
    前記信号処理部は、前記蛍光信号に対して前記第1のミキシング処理と前記第1のローパスフィルタリング処理を行う他に、前記受光信号と前記参照信号との第2のミキシング処理を行い、前記第2のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去する第2のローパスフィルタリング処理を行って受光信号ベースの低周波信号を出力し、
    前記蛍光検出部は、前記受光信号ベースの低周波信号を用いて前記変調信号に対する前記受光信号の位相を求め、前記蛍光信号の位相から、前記受光信号の位相を差し引くことにより、前記蛍光信号の位相を補正し、補正された前記位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める請求項1または2に記載の蛍光検出装置。
  4. 前記受光部は、前記蛍光を受光する受光素子の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光を受光する受光素子を有し、前記側方散乱光の受光により得られた受光信号を出力し、
    前記信号処理部は、前記蛍光信号に対して前記第1のミキシング処理と前記第1のローパスフィルタリング処理とを行う他に、前記受光信号と前記参照信号との第2のミキシング処理を行い、前記第2のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去する第2のローパスフィルタリング処理を行って受光信号ベースの低周波信号を出力し、
    前記蛍光検出部は、前記変調信号と前記参照信号との間に差分周波数がある場合、前記蛍光信号ベースの低周波信号と、前記受光信号ベースの低周波信号との第3のミキシング処理を施し、前記第3のミキシング処理後の混合信号に基づいて前記蛍光信号の補正された位相を算出し、前記補正された位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める請求項1または2に記載の蛍光検出装置。
  5. 前記受光部には、前記側方散乱光を受光する受光面の前面に、光量を調整するための減光フィルタあるいは絞り板が設けられる請求項3または4に記載の蛍光検出装置。
  6. 測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光し、この蛍光の受光により得られる蛍光信号から、蛍光緩和時間を求める蛍光検出方法であって、
    所定の周波数の変調信号により強度変調を受けたレーザ光を測定対象物に照射するステップと、
    前記レーザ光の照射された測定対象物が発する蛍光を検出手段にて受光し、この受光によって得られる蛍光信号を取得するステップと、
    前記変調信号の周波数と同一の周波数、または略同一の周波数を持ち、前記変調信号と位相の同期した参照信号を、前記変調信号と別に生成するステップと、
    強度変調したレーザ光を測定対照物に照射することにより前記検出手段で得られた蛍光信号に対して前記参照信号を用いて第1のミキシング処理を行い、さらに、前記第1のミキシング処理後の混合信号のうち、前記変調信号の周波数と前記参照信号の周波数との加算周波数の信号成分を除去する第1のローパスフィルタ処理を施すことにより、前記変調信号よりも周波数の低い蛍光信号ベースの低周波信号を生成するステップと、
    前記蛍光信号ベースの低周波信号を用いて、前記変調信号に対する前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相から、測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求めるステップと、を有することを特徴とする強度変調したレーザ光による蛍光検出方法。
  7. 前記蛍光の受光のとき、前記蛍光の受光の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光が受光され、前記側方散乱光の受光により得られる受光信号が出力され、
    前記受光信号には、前記参照信号を用いた第2のミキシング処理と、前記第2のミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去し、受光信号ベースの低周波信号を出力する第2のローパスフィルタリング処理とが施され、
    前記受光信号ベースの低周波信号を用いて前記変調信号に対する前記受光信号の位相を求め、前記受光信号の位相を、前記蛍光信号ベースの低周波信号の位相から差し引くことにより、前記蛍光信号の位相を補正し、補正後の前記位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める請求項6に記載の蛍光検出方法。
  8. 前記蛍光の受光のとき、前記蛍光の受光の他に、前記レーザ光による測定対象物の側方散乱光が受光され、前記側方散乱光の受光により得られる受光信号が出力され、
    前記受光信号には、前記参照信号を用いた第2のミキシング処理と、前記ミキシング処理で得られた混合信号に対して、前記加算周波数の信号成分を除去し、受光信号ベースの低周波信号を出力する第2のローパスフィルタリング処理とが施され、
    前記蛍光信号ベースの低周波信号と、前記受光信号ベースの低周波信号との第3のミキシング処理を施し、前記第3のミキシング処理後の混合信号に基づいて前記蛍光信号の位相を算出し、算出した前記位相を用いて測定対象物の蛍光の蛍光緩和時間を求める請求項6に記載の蛍光検出方法。
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