JPWO2009116557A1 - 薬剤含有組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)薬物の構造の一部を変えて可溶性誘導体にする方法:塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、スルホン酸ナトリウム塩といった可溶性誘導体とする。
(B)溶解補助剤を添加する方法:界面活性剤の添加により、ミセル化、乳化して可溶化する方法。血清アルブミンあるいは血漿蛋白質を用いる方法。
(C)有機溶媒単体、あるいは水系溶媒と有機溶媒との混合溶媒を用いる方法:プロピレングリコールなどを用いて可溶化する方法。
好ましくは、難水溶性化合物は医薬である。
好ましくは、難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子は蛋白質である。
好ましくは、該蛋白質は、遺伝子工学的に作製された蛋白質である。
好ましくは、該蛋白質のN末端及び/又はC末端に結合しているさらに別の蛋白質は、立体障害により難水溶性化合物の放出を制御することができる蛋白質、又は生体内において足場として機能する蛋白質である。
好ましくは、生体内において足場として機能する蛋白質は、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、又はフィブリンである。
好ましくは、本発明の組成物は、該難水溶性化合物を患者に投与するための医薬組成物である。
本発明の組成物は、(a)少なくとも一種の難水溶性化合物と、(b)該難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子(血漿蛋白質を除く)を含むキャリアとから構成されることを特徴とする。本発明で言う結合親和性とは、酵素−基質、リガンド−受容体、酵素−補酵素、といった特異的な非共有結合的相互作用であって、かつ適切な競合分子により競合的阻害を受け得る相互作用を意味する。本発明においては、難水溶性化合物とキャリアとの解離定数Kdが10-6〜10-15Mであることが好ましく、より好ましくは、解離定数Kd=10-8〜10-14、特に好ましくは解離定数10-9〜10-13である。
本発明のおける難水溶性化合物である薬剤aとしては、例えば、PCT/JP/2007/066779に記載されている難水溶性化合物を用いることができる。難水溶性化合物は色素剤、薬剤等、難水溶性の化合物であればいずれでも構わない。一般に化合物の親水−疎水性の指標として、フラスコシェイキング法により得られる1−オクタノール/水(pH7.4緩衝溶液)の分配係数の対数(Log P)が広く用いられているが、実測する代わりに計算により求めても良い。(本明細書におけるLogPは、Daylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModelsに組み込まれたHansch-Leoのフラグメント法CLOGPプログラムを使用して計算している。)
蛋白質A(難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子)は、薬剤aと親和性を有する蛋白質であり、例えば、ビタミンD3受容体、HMG-CoA還元酵素、ADP受容体(P2Y12)、L型カルシウムチャネル、プロトンポンプ、セロトニン受容体、ドパミン受容体、ドパミンD2受容体、アンジオテンシンII受容体、メラトニンMT1/MT2受容体、電位依存性カルシウムチャネルのα2δsubunit、PDGFR-α、PDGFR-β、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、KIT、FLT3、CSF-1R、RET、リボゾーム50Sサブユニット、Tubulin、DNAヘリカーゼ、RNAポリメラーゼ、アセチルコリン受容体、G蛋白質共役型受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アドレナリン受容体、GABA受容体(B型)、アンギオテンシン受容体、カンナビノイド受容体、コレシストキニン受容体、グルカゴン受容体、ヒスタミン受容体、嗅覚受容体、オピオイド受容体、ロドプシン、セクレチン受容体、ソマトスタチン受容体、ガストリン受容体、エリスロポエチン受容体、インシュリン受容体、細胞増殖因子受容体、サイトカインの受容体、グアニル酸シクラーゼ受容体、GC-A、GC-B、GC-C:グアニリン受容体、ニコチン性アセチルコリン受容体、グリシン受容体、GABA受容体(A型、C型)、グルタミン酸受容体、セロトニン受容体3型、イノシトール3リン酸(IP3)受容体、リアノジン受容体、ステロイドホルモン受容体、性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン)受容体、ビタミンD受容体、糖質コルチコイド受容体、鉱質コルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイド受容体、ペルオキシソーム増殖剤受容体(PPAR)、昆虫の脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体、ダイオキシン受容体(AhR)、ベンゾジアゼピン受容体等のような薬剤aの受容体又は薬剤aの標的蛋白質、結合蛋白質を使用することができる。
上記の蛋白質Aには別の蛋白質Bを結合させることができる。
蛋白質Aに結合させることができる蛋白質Bとしては、様々な構造蛋白質又は構造ペプチドを用いることができるが、例えば立体障害により薬剤aの放出を制御することができる。具体的には、該薬剤aが、該結合責任配列ドメインから徐放される速度や割合を調節するため、立体構造的に蓋の役割を果たすように別の構造蛋白質配列(以下、蓋蛋白質配列と呼ぶ)を、蛋白質Bとして用いることができる。つまり、3次元構造として蓋の役割を果たせるように配列を設計し、ともに用いることができるのである。尚、該蓋蛋白質配列としては例えば、GIGDPVTCLKSGAICHPVFCPRRYKQIGTCGLPGTKCCKK(アミノ酸1文字表記で表示)などを用いることができる。又、蛋白質Bとしては、蛋白質B自身が機能を有する配列を用いることができる。機能を有する蛋白質Bは、用途に応じて可変であり、特に制限されるものではない。例えば、その機能が抗菌活性、血糖値制御活性、摂食衝動制御活性、血圧制御活性、鎮痛活性、抗ウイルス活性、抗血液凝固活性、血管収縮・拡張活性、精神安定活性、抗うつ活性、精神高揚活性、接着活性、である配列を用いることができる。より具体体的には、抗菌ペプチド、ディフェンシン、ラクトフェリシン、マガイニン、タキプレシン、アンジオテンシン、ブラジキニン、Tキニン、フィブリノペプチド、ナトリウム利尿ペプチド(心房性、脳性)、ウロディラチン、グアニン、ウログアニン、エンドセリン、ビッグエンドセリン、サリューシン、ウロテンシン、オキシトシン、バソプレシン、ニューロフィジン、プロオピオメラノコルチン由来ペプチド、下垂体後葉ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、コルチコトロピン様中葉ペプチド、エンドルフィン、リポトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、視床下部ホルモン、ウロコルチン、ソマトスタチン、コルチスタチン、TRH、プロラクチン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性ペプチド、メタスチン、タキキニン、サブスタンスP、ニューロペプチド、ニューロキニン、エンドキニン、ニューロテンシン、ニューロメジン、グレリン、オベスタチン、アグーチ関連蛋白質、メラニン凝集ホルモン、ニューロペプチド、オレキシン、オピオイドペプチド、ダイノルフィン、ネオエンドルフィン、ロイモルフィン、メチオニンエンケファリン、ロイシンエンケファリン、メチオニンエンケファリン、アドレノルフィン、エンドモルフィン、ノシセプチン、オルファニン、ノシスタチン、RFアミドペプチド、ガラニン、ガストリン、コレシストキニン、モチリン、膵ポリペプチド、胃抑制性ペプチド、ペプチドYY、ペプチドHM、血管作動性腸管ポリペプチド、セクレチン、アペリン、インスリン、Cペプチド、インスリン様ペプチド、リラキシン、リラキシン様ペプチド、グルカゴン、グリセンチン、グルカゴン様ペプチド、オキシントモデュリン、CGRP、アドレノメデュリン、プロアドレノメデュリン、カルシトニン受容体刺激ペプチド、アミリン、カルシトニン、カタカルシン、副甲状腺ホルモン、カテリシジン、チモシン、ヒューマニンなどを挙げることができる。
又、血液脳関門を通過させる場合には、国際公開番号WO2005/014625(国際出願番号:PCT/JP2004/011668)のミクログリア由来の脳移行ポリペプチド配列などの血液脳関門通過を可能とするペプチドを該蛋白質Bとして用いることが出来る。該蛋白質Aと該蛋白質Bは直接結合していてもよいし、リンカー(以下、リンカーAとする)を介して結合していてもよい。
上記の蛋白質A又は蛋白質Bには、また別の蛋白質Cが結合していてもよい。
蛋白質Cとしては、様々な構造蛋白質、構造ペプチド、を用いることができるが、例えば生体内において足場として機能する蛋白質配列を設計し用いることができる。蛋白質Cは足場として機能できる蛋白質である限り、限定されるものではないが、例えば、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、フィブリンなどを使用できる。又、該蛋白質Cは天然の生体由来物質であってもよく、遺伝子組み換え体であってもよい。
該蛋白質Cは、該蛋白質Aあるいは該蛋白質Bと、直接結合していてもよいが、リンカー(以下、リンカーBとする)を介して結合していてもよい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
骨再生を促進することが知られている難溶性化合物であるビタミンD3を用いて、以下の実験を行った。
なお、ビタミンD3受容体蛋白質とビタミンD3との解離定数Kdは2.2×10-9±5.6×10-9Mである。
ヒトのアルブミン配列をHisタグ融合蛋白質として(ベクターとしてpQE30 Xa:QIAGEN社製を用いている)、大腸菌BL21(DE3) Codon-plusを用い発現させた。培養には、100μg/mlアンピシリン入りのLB(Luria-Bertani)培地を用いた。500mL三角フラスコ中の300mL LB培地中、37℃にて、前培養を行った。その後、本培養として、3L用のバッフル付三角フラスコ中の1.5L LB培地(100μg/mlアンピシリン入り)に、前培養液を30mL添加し、OD600が0.6になるまで37℃で振盪培養した。その後、終濃度0.5mM となるようにIPTGを添加し、発現誘導を行い、30℃で一晩振盪培養した。その後、遠心によって集菌・洗菌を行い、得られた菌体を200 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,10 mM imidazole, pH 8.0に懸濁し、超音波破砕を5分間行い、44,200×gで30分間遠心し、上清を得た。得られた上清を、あらかじめ溶液A(300 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,20 mM imidazole, pH 8.0)で平衡化しておいたNi-column(Ni-NTA His-Bind Resin: Novagen社製、カラムボリューム 50ml)に流速0.1ml/minで流し、固定化した。500mlの溶液B(300 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,20 mM imidazole, pH 8.0)で洗浄し、後、溶液C(300 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,250 mM imidazole, pH 8.0)で溶出した。更に、それをAKTA FPLCを用いて、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superdex 200 10/300 GL カラム使用:GE社製、緩衝液としては、溶液Aを使用した)にかけ、高純度のフラクションのみを採取し、透析・濃縮して、最後溶液Aに溶解している状態として、Hisタグ融合アルブミン受容体蛋白質を得た。
実施例1にて、作製したHisタグ融合ビタミンD3受容体蛋白質を、実施例1と同様にして、再度Ni-columnに結合させた後、Hisタグ融合ビタミンD3受容体蛋白質に対して1%(w/w)のFactorXa(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を添加し、22℃で一晩静置した。実施例1と同様の溶液Aで溶出後、溶出液に対しベンズアミジンカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製 HiTrap Benzamidine FF (high sub)カラム)を用いる通常の精製工程で高純度のビタミンD3受容体蛋白質を精製することにより、薬剤キャリアを得た。
作成した薬剤キャリア蛋白質に、活性型ビタミンD3である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)を過剰量溶解させ、骨粗鬆症モデルラット(卵巣摘除老齢ラット)にカルシトリオール濃度が0.3μg/kgとなるように該液を静脈注射で週に3回投与した。4ヵ月後、骨の形成が誘導されていることを確認した。
Claims (10)
- (a)少なくとも一種の難水溶性化合物と、(b)該難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子(血漿蛋白質を除く)を含むキャリアとから構成される組成物。
- 難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子が、該難水溶性化合物に対して解離定数Kd=10-6〜10-15Mの結合親和性を有する高分子である、請求項1に記載の高分子。
- 難水溶性化合物が医薬である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子が蛋白質である、請求項1から3の何れかに記載の組成物。
- 該蛋白質が、難水溶性化合物に対する受容体のアミノ酸配列、難水溶性化合物に対する受容体中の結合責任配列、難水溶性化合物に対する抗体のアミノ酸配列、難水溶性化合物に対する抗体中の結合責任配列を含む蛋白質、難水溶性化合物に対する結合蛋白質、又は難水溶性化合物に対する結合蛋白質中の結合責任配列を含む蛋白質である、請求項4に記載の組成物。
- 該蛋白質が、遺伝子工学的に作製された蛋白質である、請求項4又は5に記載の組成物。
- 該蛋白質のN末端及び/又はC末端にさらに別の蛋白質が直接またはリンカーを介して結合している、請求項4から6の何れかに記載の組成物。
- 該蛋白質のN末端及び/又はC末端に結合しているさらに別の蛋白質が、立体障害により難水溶性化合物の放出を制御することができる蛋白質、又は生体内において足場として機能する蛋白質である、請求項7に記載の組成物。
- 生体内において足場として機能する蛋白質が、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、又はフィブリンである、請求項8に記載の組成物。
- 該難水溶性化合物を患者に投与するための医薬組成物である、請求項1から9の何れかに記載の組成物。
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