関連する出願
本出願では、2007年10月26日に日本国に出願された特許出願番号2007−278434の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
本発明は、複数の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムに関する。
3GPPで標準化が行われているLTE(Long Term Evolution)/SAE(System Architecture Evolution)における一つの大きな目的は、複数のRAT(Radio access technology)に対応することである。RATには、UTRAN、GERAN、E−UTRAN、WLAN 3GPPアクセスシステム、Non−3GPPアクセスシステムなどの多数の種類が存在する。複数のRATは、それぞれ異なる特性(カバレッジ、伝送レート、導入・運用コスト等)を有する。
図14は、複数のRATのカバレッジの一例を示す図である。RATごとに異なるカバレッジを有することが分かる。図14から、欧米などで古くから使われているセルラーシステムであるGSM(Global System for Mobile)/GPRS(General Packet Radio Service)や、日本などを中心に新たに使われているUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)をサポートしているGPRSネットワークのカバレッジが広く、新たに導入されたEvolvedネットワークのカバレッジはそれより狭く、ホットスポット等に使われるWLANのカバレッジは更に狭いことが分かる。また、伝送レートもRATごとに異なっており、例えば、WLAN>E−UTRAN(Evolved UMTS Radio Access Network: Evolvedネットワークでのネットワーク側の無線装置の総称(基地局が含まれる)>UTRAN(UMTSRadio Access Network:GPRSネットワークでのUMTSのネットワーク側の無線装置の総称(基地局、RNC(Radio Network Controller)が含まれる)である。
このようなRATごとに異なる特性を有効に利用するために、複数のRATに対応するための技術が望まれている。複数のRATに対応することにより、例えば、端末が高速に移動する場合にはカバレッジの広いGPRSネットワークのUTRANを用い、移動頻度が低いが高速通信を必要とする場合には、WLANを用いるなどの選択が可能となる。
3GPPで仕様化されているUMTS、LTEにおいては、端末がアイドル状態のときに、端末が接続するセルを決定して移動制御が行われている。例えば、携帯電話ネットワークのセルとWLANのセルの両方と通信可能な場合、端末がどちらのセルを通じて通信を行うかを選択する。端末がセルを選択する動作は、「セル再選択(Cell reselection)」と呼ばれる。端末が、基地局から送信される報知情報を受信して、報知情報に含まれるセル再選択の情報に従って移動制御を行うことにより、セル再選択を実現する。報知情報に含まれるセル再選択の情報に従ってセルの選択が行われるので、基地局は、報知情報に含めるセル再選択の情報によって、端末の移動を制御することができる。
現状では、LTEにおけるセル再選択の際の動作は、議論中であり確定していない。再選択の動作は、基本原理としてはUMTSの動作を踏襲する見込みである。ここではUMTSにおけるセル再選択の動作について説明する。
セル再選択に関連する情報は、主に報知情報のSIB(System Information Block)3、SIB4にて送信される。ここで、SIB3とSIB4の違いは、SIB3がアイドル状態の端末と接続状態の端末の両方に使用されるのに対して、SIB4が接続状態の端末のみに使用される点である。これは、UMTSにおいては、接続状態でも再選択を行う端末状態(RRCのstateでCELL_FACH、CELL_PCH、URA_PCH)が存在するためである。しかしながら、LTEにおいてはアイドル状態以外ではセル再選択を行わないと想定されているので、一つのSIBのみがセル再選択の情報の送信に用いられる。隣接セルの情報は、SIB11、SIB12によって通知される。SIB11とSIB12の関係は、SIB3とSIB4の関係と同じである。
ここで、セル再選択の判断に用いられる主なパラメータについて説明する。主なパラメータとしては、「Cell selection and reselection quality measure」「Ssearch」「Qrxlevmin/Qqualmin」「Qhyst」「Treselection」「Scaling factor」「Cell Info」等がある。以下、各パラメータについて説明する。
図15は、セル再選択の判断に用いられるパラメータを説明するための図である。「Cell selection and reselection quality measure」は、セル選択およびセル再選択を行う際に使用する測定方法の指示である。UMTSでは、CPICHのEc/NoかRSCPかを指示するパラメータである。
「Ssearch」は、現在選択している(3GPPでは「camp on」と呼ばれる)セルの品質を判断するか否かを判断するための電波強度のパラメータである。端末が隣接セルの検出およびモニタリングを常時行うと、端末の消費電力が大きくなってしまう。パラメータ「Ssearch」と現在選択しているセルの品質を比較して、現在のセルの品質がパラメータ「Ssearch」より良いときには隣接セルの検出およびモニタリングを行わないようにする。図15に示すように、選択中のセル(切替元)の電波強度がパラメータ「Ssearch」より大きい場合には、他のセル(切替先)の探索を行わず、時刻T1において現在のセルの電波強度がパラメータ「Ssearch」以下になったときに、他のセルの探索を開始する。
「Qrxlevmin/Qqualmin」は、検出されたセルをモニタリングすべきか否かを判断するための電波強度のパラメータである。このパラメータより電波強度が低いセルに関してはモニタリングをする必要がないと判断する。図15に示すように、切替先の候補としてモニタリングされるセルは、電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」以上である必要がある。
「Qhyst」は、いわゆる「ピンポン状態」を避けるために設定される電波強度のパラメータである。「ピンポン状態」とは、以下のような現象である。例えば、端末が2つのセルの境界付近にいる場合、2つのセルから受信する電波強度がほぼ同じ大きさとなる場合がある。この場合、電波強度の少しでも高い方に切り替える処理を行うと、セルの切替えが頻繁に起こる可能性がある。この現象を防止するため、選択中のセルの受信品質にパラメータ「Qhyst」を加えた値と、検出されたセルの受信品質とを比較し、検出されたセルの受信品質が選択中のセルの受信品質よりパラメータ「Qhyst」以上良くならないと切替えを行わないように制御する。
「Treselection」は、端末の受信品質の変動が激しい場合に、セルの切り替えが頻繁に起こることを避けるための時間のパラメータである。端末は、選択中のセルの受信品質に前述のパラメータ「Qhyst」を加えた値より、検出されたセルの受信品質の方が良い状態が、パラメータ「Treselection」の時間だけ継続した場合にセルの切替えを行う。つまり、図15に示すように、時刻T2において、選択中のセルの電波強度にパラメータ「Qhyst」を加えた値より、検出されたセルの電波強度の方が大きくなったとすると、携帯端末は、その状態が継続する時間を計測し、継続した時間がパラメータ「Treselection」以上になった時刻T3において、セルの切替えを行う。
「Scaling factor」は、端末の移動速度に応じて「Treselection」の値を変えるためのパラメータである。移動速度の速い端末に対しては、迅速にセル再選択を行う必要があるので「Treselection」の値を短くする。そのため、端末が高速移動中であると判断した場合には、パラメータ「Scaling factor」によって「Treselection」の値を変更する。端末は、単位時間あたりのセル変更数などにより、高速移動中か否かを判断できる。
「Cell Info」は、他のセルの情報を端末に通知するためのパラメータである。主な情報としては、他のセルの周波数帯を通知する「周波数」、他のセルが運用されているコードを示す「Scrambling code」、オフセットによってセルの選択のされやすさを通知する「Cell individual offset」などである。なお、「Cell individual offset」は、SIB11で通知される。
上記したように、LTEにおいても、セル再選択のための情報を報知情報に含めることにより、基地局は端末の移動制御を行えると考えられる。しかしながら、LTE等のセルに含まれる他のRATのセルが増加すると、報知情報が膨大になっていくと想定される。特に、Non 3GPPとしてWLAN、WiMAXなどがホットスポット的に用いられるような場合には、一つのセルの中に特性の異なる複数のアクセスポイント(Access Point:以下「AP」という)が存在する。異なる特性としては、例えば、(1)APの管理主体の違い(オペレータ自体、オペレータと提携しているサービス会社、ショッピングモール、企業、学校等)、(2)サービスエリアの違い(APの接続エリア自体、APが何個あってどれくらいのエリアか等)、(3)周波数帯域の違い(20MHz、15MHz、10MHz、・・・)、(4)対応しているサービスの違い(データ送信のみか、音声通話ありか、MBMSありか等)である。以上のような特性の違いを考慮して移動制御のための報知情報を送信しようとすると、報知情報が膨大になってしまう。また、新たにAPを設置する場合には、新たなAPへのセル再選択のための情報を含めるために、報知情報を更新しなければならず、運用が複雑になる。
そこで、本発明は、LTEのような携帯電話ネットワークのセル内の存在する他のネットワークのセルの数が増えても、携帯電話ネットワークにおける報知情報のデータ量を抑制しつつ適切にセルの選択を行えるセル再選択システムを提供することを目的とする。
本発明のセル選択システムは、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、前記第1のセルでは、前記第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報が送信され、前記携帯端末は、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信し、前記第1のセルの報知情報から前記セル選択情報を読み出し、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、前記第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定し、決定したパラメータを用いて前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断する。
本発明の別の態様のセル選択システムは、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、前記第1のセルでは、すべての前記第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報が送信され、それぞれの前記第2のセルでは、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報が送信され、前記携帯端末は、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信し、前記第1のセルの報知情報から前記共通パラメータを読み出し、前記第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出し、前記共通パラメータと前記個別パラメータとを用いて、前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断する。
本発明のセル選択方法は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択する方法であって、前記第1のセルにおいて、前記第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、前記第2のセルにおいて、報知情報を送信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報から前記セル選択情報を読み出すステップと、前記携帯端末が、前記セル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、前記第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定するステップと、前記携帯端末が、決定したパラメータを用いて前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、前記切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第2のセルを選択するステップとを備える。
本発明の別の態様のセル選択方法は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択方法であって、前記第1のセルにおいて、すべての前記第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、それぞれの前記第2のセルにおいて、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報を送信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報から前記共通パラメータを読み出すステップと、前記携帯端末が、前記第2のセルの報知情報から前記個別パラメータを読み出すステップと、前記携帯端末が、前記共通パラメータと前記個別パラメータとを用いて、前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、前記切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第2のセルを選択するステップとを備える。
本発明の携帯端末は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、前記第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、前記第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、前記第1のセルの報知情報から前記セル選択情報を読み出すと共に、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、前記第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定する報知情報処理部と、決定したパラメータを用いて前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
本発明の別の態様の携帯端末は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、すべての前記第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、前記第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、前記第1のセルの報知情報から前記共通パラメータを読み出す第1の報知情報処理部と、前記第2のセルの報知情報から前記個別パラメータを読み出す第2の報知情報処理部と、前記共通パラメータと前記個別パラメータとを用いて、前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の開示は、本発明の一部の提供を意図しており、ここで記述され請求される発明の範囲を制限することは意図していない。
第1の実施の形態において用いられる携帯端末の構成を示す図
携帯電話ネットワークのセルとWLANのセルを示す図
基地局から送信される報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
セル選択情報の例を示す図
従来の報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
従来のセル選択情報の例を示す図
第1の実施の形態の携帯端末の動作を示す図
第1の実施の形態におけるパラメータの決定処理の例を示す図
ページングエリア登録によるパターンの判断例を示す図
運用者によるパターンの判断例を示す図
MBMSによるパターンの判断例を示す図
ネットワークシェアリングの例を示す図
第2の実施の形態において用いられる携帯端末の構成を示す図
第2の実施の形態において、セルの選択を行うまでの流れを示す図
第2の実施の形態におけるパラメータの決定処理の例を示す図
基地局およびAPから送信される報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
基地局からの報知情報に含まれるセル選択情報の例を示す図
APからの報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
第4の実施の形態のセル選択システムの動作を説明するための図
第4の実施の形態において用いられる携帯端末の構成を示す図
複数のRATのカバレッジを示す図
セル選択に用いられるパラメータを説明するための図
以下に、本発明の詳細な説明を述べる。以下に説明する実施の形態は本発明の単なる例であることが理解され、本発明が様々な態様に変形することができる。従って、以下に開示する特定の構成および機能は、請求の範囲を限定するものではない。
本実施の形態のセル選択システムは、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、第1のセルでは、第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報が送信され、携帯端末は、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信し、第1のセルの報知情報からセル選択情報を読み出し、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定し、決定したパラメータを用いて第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断する。
このようにパターン化したパラメータをセル選択情報として送信するので、第2のセルが増えても、それに伴ってセル選択情報が増えることがなく、報知情報のデータ量を抑制することができる。第2のセルを新たに創設した場合にも、その第2のセルに対する切替え判断のためのパラメータとして、既存のパラメータを用いることにより、報知情報を更新する必要がない。これにより、システムの拡張性を高めることができる。
本実施の形態のセル選択システムにおいて、セル選択情報は、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータを含み、携帯端末は、共通パラメータと第2のセルの報知情報に基づいて決定したパラメータとに基づいて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断してもよい。
このように共通パラメータを用いることにより、報知情報に含めるセル選択情報のデータ量を圧縮することができる。
本実施の形態のセル選択システムにおいて、携帯端末は、アイドル状態のときには第2のセルに対するページングエリア登録がなされているか否かの情報を用いてパラメータを決定し、通信の接続設定時には第2のセルに対するページングエリア登録の有無に関係なくパラメータを決定してもよい。
アイドル状態においては、ページングエリア登録がなされているセルを選択することにより、セル選択後にページングエリア登録を行う必要がなくなるので、携帯端末の消費電力を節約できる。一方、通信の接続設定時には、第1のセルあるいは第2のセルを制御する基地局へ接続するので、消費電力の観点からは、ページングエリア登録がなされているか否かは問題にならないので、ページングエリア登録の有無をパラメータ決定の判断材料としなくてもよい。従って、アイドル状態か通信の接続設定時かに基づいて、ページングエリア登録の情報を用いるか否かを切り替えることにより、セル切替え判断のためのパターンを適切に決定できる。
本実施の形態の別の態様のセル選択システムは、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、第1のセルでは、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報が送信され、それぞれの第2のセルでは、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報が送信され、携帯端末は、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信し、第1のセルの報知情報から共通パラメータを読み出し、第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出し、共通パラメータと個別パラメータとを用いて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断する。
この構成により、第1のセルは、セル選択情報として共通パラメータを送信すればよいので、第2のセルが増えてもそれに伴ってセル選択情報が増えることがなく、報知情報のデータ量を抑制することができ、また、第2のセルを新たに創設した場合にも、報知情報を更新する必要がなく、システムの拡張性を高めることができる。
本実施の形態のセル選択システムにおいて、携帯端末は、第2のセルを選択した後も、第1のセルの報知情報の受信品質が所定の閾値以上である場合には、第1のセルの報知情報から得られたセル選択情報を用いてセル選択を行ってもよい。
この構成により、第2のセルにセル再選択の機能が十分に備わっていなくても、通信に用いるセルとして第1のセルを選択しているときと同様にセル選択を行うことができる。
本実施の形態のセル選択方法は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択する方法であって、第1のセルにおいて、第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、第2のセルにおいて、報知情報を送信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報からセル選択情報を読み出すステップと、携帯端末が、セル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定するステップと、携帯端末が、決定したパラメータを用いて第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第2のセルを選択するステップとを備える。
本実施の形態の別の態様のセル選択方法は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択方法であって、第1のセルにおいて、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、それぞれの第2のセルにおいて、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報を送信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報から共通パラメータを読み出すステップと、携帯端末が、第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出すステップと、携帯端末が、共通パラメータと個別パラメータとを用いて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第2のセルを選択するステップとを備える。
これらの構成により、上記したセル選択システムと同様に、報知情報のデータ量を抑制することができると共に、第2のセルを新たに創設した場合にも、報知情報を更新する必要がない。なお、上記したセル選択システムの各種の構成を本実施の形態のセル選択方法に適用することが可能である。
本実施の形態の携帯端末は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、第1のセルの報知情報からセル選択情報を読み出すと共に、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定する報知情報処理部と、決定したパラメータを用いて第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
本実施の形態の別の態様の携帯端末は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、第1のセルの報知情報から共通パラメータを読み出す第1の報知情報処理部と、第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出す第2の報知情報処理部と、共通パラメータと個別パラメータとを用いて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
これらの構成により、上記したセル選択システムと同様に、報知情報のデータ量を抑制することができると共に、第2のセルを新たに創設した場合にも、報知情報を更新する必要がない。なお、上記したセル選択システムの各種の構成を本実施の形態の携帯端末に適用することが可能である。
以下、本発明の実施の形態のセル選択システムについて図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明では、GPRS、UMTS、LTE等の携帯電話用のシステムを携帯電話ネットワークとして記載し、ホットスポット的な使用が考えられるシステム(WiMAXを含む)をWLANとして記載する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のセル選択システムで用いられる携帯端末1の構成を示す図、図2は、携帯電話ネットワークのセル(第1のセル)32とWLANのセル(第2のセル)42a〜42cを示す図である。以下の説明において、セル42a〜42cを総称するときは、セル42という。まず、図2を参照して、本実施の形態のセル選択システムの全体の構成と、各セル32、42において送信される報知情報について説明する。
図2に示すように、本実施の形態のセル選択システムでは、携帯電話ネットワークのセル32は、複数のWLANのセル42a〜42cを包含している。なお、複数のWLANのセル42a〜42cはそれぞれ異なる通信プロトコルを有していてもよい。
図2に示すように、携帯端末1がWLANのセル42aに入ったとする。この状態では、携帯端末1は、携帯電話ネットワークの基地局30と通信が可能であると同時に、WLANのAP40aとも通信が可能である。携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32を通じて通信を行うか、WLANのセル42aに切り替えて通信を行うかを選択する。
携帯電話ネットワークの基地局30は、セル32内にある携帯端末1に対して報知情報を送信している。この報知情報には、セルを選択するためのセル選択情報が含まれている。WLANの各AP40a〜40cは、報知情報(ビーコン)を送信する。以下の説明において、AP40a〜40cを総称するときは、AP40という。AP40が送信する報知情報には、AP40の情報が含まれる。例えば、AP40aが送信する報知情報にはAP40aの情報が含まれ、AP40bが送信する報知情報にはAP40bの情報が含まれる。
AP40の情報とは、例えば、ページングエリア情報、PLMN情報あるいはMBMS情報等である。ページングエリア情報とは、APがどのページングエリアに属しているかを示す情報であり、例えば、ページングエリアを示す識別子である。携帯端末1は、自分か登録したページングエリアの識別子を保存しておく。携帯端末1は、保存してあるページングエリアの識別子と報知情報(ビーコン)で送られるAPのページングエリア識別子を比較することで、そのAPがページングエリアとして登録されているか否かを判断する。なお、ページングエリアとは、UMTSでいう「Routing area、Location area」、LTEでいう「Tracking area」であり、携帯端末1がページングを受信できるエリアのことを指している。
図3Aは基地局30が送信する報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図、図3Bはセル選択情報の例を示す図である。本実施の形態のセル選択システムでは、基地局30は、セル選択情報として、全てのAP40a〜40cに共通のパラメータと、複数パターンにパターン化されたパラメータを送信する。具体的には、図3Bに示すように、セル選択情報には、AP40a〜40cへの切替え判断に共通して用いる「Ssearch」「Qrvlevmax」「Qhyst」「Treselection」のパラメータと、2パターンの値を有する「Offset」「Scaling factor」のパラメータが含まれる。
「Offset」は、対象のAP40への切替えのしやすさを設定するパラメータである。例えば、「Offset」が大きくなれば、対象のAP40への切替えが行われにくくなる。「Scaling factor」は前述のとおり「Tselection」の値を変更するパラメータである。「Scaling factor」が大きくなれば、対象のAP40への切替えが行われにくくなる。ここでは、パターン1のパラメータの方がパターン2のパラメータより、セル32からセル42への切替えが行われやすいパラメータとする。
図1を参照して、携帯端末1の構成について説明する。携帯端末1は、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯網インターフェース10(請求項の「第1の報知情報受信部」に相当する)と、WLANを通じて通信を行うWLANインターフェース16(請求項の「第2の報知情報受信部」に相当する)とを有している。すなわち、携帯端末1は、携帯電話ネットワークとWLANの両方のプロトコルに対応している。携帯網インターフェース10およびWLANインターフェース16は、受信信号の復調を行う機能も有する。
携帯端末1は、WLANインターフェース16に接続されたWLAN報知情報処理部18とWLAN品質測定部20とを有している。WLANインターフェース16は、WLANを通じてAP40から報知情報を受信すると、受信した報知情報をWLAN報知情報処理部18に送る。WLANインターフェース16は、AP40から電波の受信品質をモニタリングするための参照信号(reference symbol)を受信すると、受信した参照信号をWLAN品質測定部20に送る。
WLAN報知情報処理部18は、AP40から送信された報知情報を処理してAP40の情報を取得し、取得したAP40の情報を携帯網報知情報処理部12に送る。WLAN品質測定部20は、WLANのセル42における電波の受信品質を測定し、受信品質の測定結果をセル再選択制御部22に送る。
携帯端末1は、携帯網インターフェース10に接続された携帯網報知情報処理部12と、携帯網品質測定部14とを備えている。携帯網インターフェース10は、携帯電話ネットワークを通じて基地局30から報知情報を受信すると、受信した報知情報を携帯網報知情報処理部12に送る。携帯網インターフェース10は、基地局30から電波の受信品質をモニタリングするための参照信号を受信すると、受信した参照信号を携帯網品質測定部14に送る。
携帯網報知情報処理部12(請求項の「報知情報処理部」に相当する)は、基地局30から送信された報知情報を処理して、セル選択情報(図3B参照)を取得する。携帯網報知情報処理部12は、WLAN報知情報処理部18から送られたAP40の情報に基づいて、セル選択情報に含まれるパラメータ1とパラメータ2のうち、いずれのパラメータを用いてセルの切替え判断を行うかを決定する。携帯網報知情報処理部12は、AP40の情報として、例えば、ページングエリア情報、PLMN情報あるいはMBMS情報等を用いる。携帯網報知情報処理部12は、決定したパラメータと共通パラメータをセル再選択制御部22(請求項の「セル切替制御部」に相当する)に送る。
携帯網品質測定部14は、携帯電話ネットワークのセル32における電波の受信品質を測定し、受信品質の測定結果をセル再選択制御部22に送る。セル再選択制御部22は、携帯網報知情報処理部12から送られたパラメータを用いて、携帯電話ネットワークのセル32およびWLANのセル42の電波の受信品質を評価することによって、セルを選択する機能を有する。
次に、本実施の形態の携帯端末1の動作について説明する。
図4は、携帯端末1の動作を示す図である。図4に示す例では、携帯端末1がWLANのセル42内に移動した場合に、携帯端末1が通信を行うためのセルを、携帯電話ネットワークのセル32からWLANのセル42に切り替える例を示している。
携帯端末1は、基地局30から携帯電話ネットワークの報知情報を受信する(S10)。報知情報の受信タイミングは、どのようなタイミングでもよく、例えば、定期的であってもよく、携帯端末1がセルを変更したときでもよい。なお、携帯端末1がセルを変更した場合には、ページング等により報知情報が変更されたことが通知される。
携帯端末1は、携帯網インターフェース10にて報知情報を受信し、受信した報知情報を携帯網報知情報処理部12にて処理する。報知情報には、MIB(Master Information Block)、SIB1、SIB2、・・・などが含まれている。セル選択情報は、一つのSIBに含まれていてもよいし、複数のSIB(MIB含む)にまたがって含まれていてもよい。携帯網報知情報処理部12は、MIB、SIB1、SIB2・・・などからセル選択情報を取得する(S12)。
携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32における電波の受信品質に基づいて、WLANのセル42の検出およびモニタリングを行うべきか決定する。具体的には、携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32における電波強度がパラメータ「Ssearch」以下であるか否かを判定する(S14)。携帯電話ネットワークのセル32の電波強度がパラメータ「Ssearch」より大きい場合には(S14でNO)、携帯電話ネットワークのセル32を用いて通信を行えばよいので、他のネットワークのセル42の検出およびモニタリングを行わない。このようにパラメータ「Ssearch」を用いて他のセルの検出およびモニタリングを行うか否かを判定することにより、携帯端末1の消費電力を低減できる。
携帯電話ネットワークのセル32の電波強度がパラメータ「Ssearch」以下である場合(S14でYES)、携帯端末1は、他のセル42の検出を行う(S16)。この際に、携帯端末1は、どの周波数帯を検索するか、またはどのような種類のセルを検出するか等を指定してセルの検出を行ってもよい。
携帯端末1は、他のセル42を検出すると、そのセル42の電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」以上であるか否かを判定する(S18)。電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」より小さい場合は(S18でNO)、そのセル42は切替先の候補にならないと判断し、再度、他のセル42を検出する処理に戻る(S16)。
他のセル42の電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」以上である場合には(S18でYES)、携帯端末1は、他のセル42のモニタリングを開始する(S20)。この際の他のセル42の検出およびモニタリング動作は端末の実装に依存する動作となるが、3GPPの仕様などでどのような性能を満たすべきか等が規定されると考えられる。
携帯端末1は、他のセル42を検出すると、他のセル42のAP40が送信している報知情報(ビーコン)を受信する。携帯端末1は、WLANインターフェース16にて報知情報を受信し、受信した報知情報をWLAN報知情報処理部18にて処理してAP40の情報を取得する。AP40の情報の例としては、ページングエリア情報、PLMN情報、MBMS情報等がある。WLAN報知情報処理部18は、報知情報から取得したAP40の情報を、携帯網報知情報処理部12に渡す。
次に、携帯端末1の携帯網報知情報処理部12は、パターン1またはパターン2のいずれのパラメータを、検出されたセルへの切替え判断のためのパラメータとして用いるかをAP40の情報に基づいて決定する。
図5は、パラメータの決定処理の動作を示す図である。本実施の形態では、携帯端末1は、AP40の情報から得られたページングエリア情報、PLMN情報およびMBMS情報を用いて、パターン1またはパターン2のいずれのパラメータを用いるかを決定する。
携帯端末1は、まず、ページングエリア情報に基づいて、他のセル42へのページングエリア登録が完了しているか否かを判定する(S30)。この結果、ページングエリア登録がなされていない場合には(S30でNO)、携帯端末1は、パターン2のパラメータを用いる(S40)。ページングエリア登録が完了している場合には(S30でYES)、携帯端末1は、他のセル42のAP40の運用者が携帯電話ネットワークの基地局30の運用者と同じか否かを判定する(S32)。この結果、運用者が異なる場合には(S32でNO)、携帯端末1は、パターン2のパラメータを用いる(S40)。運用者が同じ場合には(S32でYES)、携帯端末1は、他のセル42にユーザが受信を希望するMBMSサービスが存在するか否かを判定する(S34)。
MBMSサービスが存在する場合には(S34でYES)、携帯端末1は、パターン1のパラメータを用いる(S38)。受信を希望するMBMSサービスが存在しない場合には(S34でNO)、携帯端末1は、そのMBMSサービスの開始時間が所定時間T以内であるか否かを判定する(S36)。MBMSのサービスの開始時間に関しては、ネットワーク側で定義されたMBMSがいつ始まるかを示す「time-to-MBMS」という情報を利用する。この情報をAP40から携帯端末1に通知することで、携帯端末1はいつサービスが始まるかを知ることができる。MBMSの開始時間の判定の結果、MBMSの開始時間が所定時間T以内である場合には(S36でYES)、他のセル42への切替えは不可能であると判定する(S42)。MBMSのサービスの開始時間が所定時間T以内でない場合には(S36でNO)、パターン2のパラメータを用いる(S40)。
以上、セルの切替え判断に用いるパラメータのパターンを決定する方法について説明したが、図5を参照して説明したパラメータの決定方法は一例であり、他の方法によってパラメータを決定してもよい。上記した例では、ページングエリア登録が完了していて、運用者が同じで、MBMSのサービスが提供されている場合に初めてパターン1を選択したが、逆に一つでも条件を満たす場合(すなわち、ステップS30、S32、S34のいずれかにおいてYESと判断された場合)にパターン1のパラメータを選択することとしてもよい。また、例えば、図6A〜図6Cに示すようにページングエリア登録、運用者、MBMSのそれぞれについてパラメータの決定基準のテーブルを記憶しておき、それぞれのテーブルによって選ばれたパターンの多数決によって、パラメータのパターンを決定してもよい。
AP40の情報に基づくパターンの決定方法は、報知情報として携帯端末1に送信してもよいし、3GPPの仕様で決めておいてもよいし、運用者が決めた仕様をあらかじめ携帯端末1に実装してもよいし、携帯端末に個別のメッセージで通知しておいてもよい。また、本実施の形態では、ページングエリア登録、運用者、MBMSの3つを基準としているが、これら以外の基準によってパターンを決定してもよい。
図4に戻って、携帯端末1の動作の説明を続ける。携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32の電波強度にパラメータ「Qhyst」を加えた値が、他のセル42の電波強度より低い状態が所定時間継続したか否かを判定する(S24)。ここで、所定時間は、パラメータ「Treselection」に、決定されたパターンのパラメータ「Scaling factor」を乗じて求められる。これにより、パターン1とパターン2のいずれのパラメータが選択されたかによって、セルの切替えのしやすさが異なることとなる。
携帯電話ネットワークのセル32の電波強度にパラメータ「Qhyst」を加えた値がWLANのセル42の電波強度より低い状態が所定時間以上継続したと判定された場合には(S24でYES)、携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32からWLANのセル42に切り替える。具体的には、携帯端末1は、WLANを通じて着呼を受けられるように、WLANのセル42に対して登録処理を行う。
本実施の形態のセル選択システムでは、携帯電話ネットワークの基地局30は、セル選択情報として、パターン化されたパラメータを送信するので、携帯電話ネットワークのセル32に含まれるWLANのセル42の数が増えても、パターン化されたパラメータの数は増えないので、報知情報のデータ量を抑制できる。
図3Cおよび図3Dは、従来のシステムにおけるセル選択情報の例を示す図である。従来のセル選択システムでは、基地局は、セル選択情報として、全てのAPに共通のパラメータと、APごとの個別のパラメータを送信していた。具体的には、図3Dに示すように、セル選択情報には、共通のパラメータの「Ssearch」「Qrvlevmax」「Qhyst」「Treselection」に加え、APの数と同数の「Offset」「Scaling factor」が含まれる。従って、APの数が増えるに従って報知情報のデータ量も増加してしまっていたが、本実施の形態のセル選択システムによれば、このような不都合を防止できる。
なお、図3Bに示すセル選択情報の構成は一つの例に過ぎない。図3に示していない情報をセル選択情報として含んでもよいし、図3に示す情報を含まなくてもよい。
また、本実施の形態では、対象のAP40への切替えのしやすさを設定するパラメータとして「Offset」を用いた。図2の例でいうと、基地局30からの信号の強さとAP40aからの信号の強さとを「Offset」を加味して比較することになる。すなわち、基地局の信号の強さ<APの信号の強さ+「Offset」の場合にAPを選択することとなる。しかしながら、絶対的な優先度を用いて比較を行うことも可能である。具体的には、「Offset」ではなく優先度(Priority)を「Offset」の代わりに送信することが可能である。例えば、今いる基地局30の「Priority」が2であるような場合で、図3Bのパターン1が「Priority1」、パターン2が「Priority3」であるとする。このような場合には、端末はAP40aがパターン1であると選択した場合には今いる基地局30よりも優先度が高いため、AP40aにセル選択を行う。逆に、AP40aがパターン2であると選択した場合には今いる基地局30よりも優先度が低いため、基地局30にそのまま残ることとなる。また、「Priority」を用いる場合でも、同じ「Priority」の中では「Offset」を用いて比較することも考えられる。そのため、「Priority」と「Offset」の両方を送信することも可能である。
報知情報とは別に携帯端末1に対して個別に「Offset」、「Priority」、またはその両方を割り当てられることも考えられる。例えば、音声通信のみに対応している携帯端末1がGPRSネットワークで運用されているUMTSまたはGSMを優先的に使用する、あるいは、データ通信のみに対応している携帯端末1がEvolvedネットワークを優先的に使用する、などの携帯端末1毎の特徴または契約によって動作を変えるためである。このような動作は、携帯端末1がネットワークに接続している状態で、携帯端末1にメッセージを送信することで設定することも可能であるし、あらかじめ携帯端末1に設定しておいてもよい。このような場合には、報知情報として与えられている情報を用いて携帯端末1に設定されている「Offset」、「Priority」、またはその両方が報知情報により修正されるようになる。そのため、報知情報としては携帯端末1に保存されている「Offset」、「Priority」、またはその両方をどのように修正するかの情報が送信されることが考えられる。但し、個別に「Offset」、「Priority」、またはその両方が割当てられないこともあるため、報知情報を通常に送信し、個別に「Offset」、「Priority」、またはその両方を受信している携帯端末1は報知情報と受信している情報の両方を考慮して値を決めることにしてもよい。その決め方としては、高い方に合わせる、低い方に合わせる、中間にする、特別なルールを決めるなどがあるが、どれでもよい。
本実施の形態では、AP40を新たに設置する場合にも、そのAP40に対する切替え判断に既知のパターンのパラメータを用いることにより、報知情報に新たなパラメータを含めるために更新しなくてもよいので、基地局30の運用が容易である。
本実施の形態では、ページングエリア登録が完了しているセル42を選択しやすいようにし、未登録のセル42を選択しにくくしている。ページングエリア登録が完了しているAP40に対しては、携帯端末1は、セル選択するだけでページングエリア登録を改めて行う必要がないのに対し、ページングエリア登録が行われていない場合には、携帯端末1は、そのAP40に対して位置登録(Routing Area update、Tracking Area update、Binding Update等)を行う必要があり、携帯端末1の消費電力が大きくなるからである。携帯端末1が、ページングエリア登録の有無によってセル選択を制御することにより、携帯端末1の消費電力を削減することができる。
なお、携帯電話ネットワークでのページングエリアの更新と同時にWLANのページングエリアが更新されるシステムの場合には、以前登録した時のページングエリアではなく、更新されたページングエリアを用いて比較を行う。
本実施の形態では、ページングエリアの登録の有無によってパラメータのパターンを決定する例について説明したが、ページングエリア登録の有無に代えてIPアドレスの取得が完了しているか否かに基づいてパラメータを決定することも可能である。例えば、WLANにおいてIPアドレスの取得を行う単位が、APの上位に位置するルータ単位である場合がある。この場合、異なるIPアドレスの取得および登録の要否に応じて、パターンを決定してもよい。すなわち、APにおいて待ち受けを行う際に、情報のやり取りが新規に必要か、必要で無いかに依存してパターンを切り替えることとなる。
本実施の形態では、AP40からの報知情報に含まれるPLMN情報によって携帯端末1が使用するパラメータのパターンを決定する例について説明したが、この処理はネットワークシェアリング(無線アクセス部分(LTEでは基地局)のオペレータ間のシェアリング)を行っている場合に特に有効である。
図7は、ネットワークシェアリングの概念図である。ここで、オペレータA〜Cが携帯電話ネットワークの基地局30をシェアしている。報知情報は、オペレータA〜Cで共通の内容となるので、全てのオペレータA〜Cに関連する情報が流されることになる。このため、例えばオペレータAとオペレータCとが違う周波数帯の情報でAP40を運用していたとしても、それらの全ての周波数帯を報知情報として送信することとなる。例えば、オペレータCに属している端末が、オペレータAに属しているAP40bの範囲にいる際には、そのAP40bを検出することとなる。この際に、携帯端末1は、PLMN情報を見て、実際に使用するパラメータのパターンを決定することによって、効果的なセル再選択を実現できる。
本実施の形態では、WLANの運用者が携帯電話ネットワークの運用者と同じか否かを判定し、運用者が異なる場合には、パターン2のパラメータを用いる例について説明したが、運用者が異なる場合であってもWLANのPLMNがequivalent PLMN(3GPPで定義されているhome PLMNと同様に扱ってよいPLMN)に含まれる場合には、パターン1のパラメータを用いることとしてもよい。
なお、本実施の形態において、MBMS情報を用いてパラメータを決定する例について説明したが、携帯電話ネットワークとWLANの両方でMBMSを提供している場合には、Uplink信号の有無によってパラメータを決定することもできる。MBMSにはUplink信号を用いるタイプと用いないタイプがあるが、Uplink信号を用いる場合には、その分だけ携帯端末1の消費電力を要する。従って、携帯端末1は、Uplink信号を使用しない方のセルが選択されやすいように、パラメータを決定してもよい。
また、MBMSには、そのセルのみにデータを送信するシングルセル送信と、複数のセルに同時にデータを送信することにより携帯端末1側で合成利得を得るMBSFN送信がある。一般的に、MBSFN送信の方が性能が高いので、携帯電話ネットワークとWLANの両方でMBMSを提供している場合には、MBSFNを用いているセルが選択されやすいように、パラメータを決定してもよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のセル選択システムについて説明する。第2の実施の形態のセル選択システムの基本的な構成は、第1の実施の形態のセル選択システムと同じであるが、第1の実施の形態では、携帯端末がアイドル状態にあることを前提としたが、第2の実施の形態では通信の接続設定を行うときに、第1の実施の形態と異なる方法でパラメータを決定する。
図8は、本発明の第2の実施の形態のセル選択システムで用いられる携帯端末2の構成を示す図である。第2の実施の形態の携帯端末2は、第1の実施の形態の携帯端末1の構成に加え、接続要求検出部24を有している。
接続要求検出部24は、携帯端末2が接続要求を行う必要があるか否かを検出し、検出した場合にはその旨を携帯網報知情報処理部12に送信する。接続要求を行う必要がある場合には、ページングを受けた場合と、携帯端末2が呼を発生した場合がある。ページングを受けた場合には、接続要求検出部24は、携帯網インターフェース10からページングを受け取って接続要求を検出する。携帯端末2にて呼が発生した場合には、接続要求検出部24は、呼の発生を検出する。
図9は、第2の実施の形態のセル選択システムにおけるセル選択の流れを示す図である。第2の実施の形態のセル選択システムでは、第1の実施の形態と同様に、基地局30から携帯端末2に報知情報を送信し(S50,S52)、AP40から携帯端末2に報知情報を送信する(S54,S56)。携帯端末2は、第1の実施の形態と同様に、セル切替え判断に用いるパラメータを決定する(S58)。
次に、基地局30から携帯端末2にページングを送信する(S60,S62)、あるいは携帯端末2で呼が発生すると(S64)、携帯端末2は通信の接続を行う前にセル切替え判断に用いるパラメータを再度決定し、決定したパラメータを用いてセルを選択する。なお、図9では、基地局30から携帯端末2にページングが送信された場合について説明しているが、WLANのAP40からページングが送信された場合も同様である。
図10は、携帯網報知情報処理部12によってセル切替え判断に用いるパラメータを決定する処理を示すフローチャートである。携帯網報知情報処理部12は、まず、接続要求設定があるか否かを判定する(S80)。接続要求設定がない場合には(S80でNO)、第1の実施の形態で説明した携帯端末1の動作と同様に、携帯端末2は、ページングエリア登録がなされているか否かの判定を行い(S82)、続いて、運用者、MBMSサービスの有無によってパターンの判定を行う(S84〜S94)。接続設定要求があった場合には(S80でYES)、携帯網報知情報処理部12は、ページングの登録がなされているか否かの判定をスキップして、運用者の判定に移行する(S84)。
図9に戻って、セル選択システムの動作について説明する。セル切替え判断に用いるパラメータを決定した後(S66)、携帯端末2は、決定されたパラメータを用いてセルの再選択を行う(S68)。携帯端末2は、選択されたセルに対して呼接続要求を送信する(S70,S72)。図9に示す例では、携帯端末2は、WLANのセル42を選択して、WLANのAP40に呼接続要求を送信している。
本実施の形態のセル選択システムでは、通信の接続設定要求があった場合には、アイドル状態とは異なる基準によってセルを選択するので、通信接続開始という状況に適したセルを選択することができる。接続設定要求によって通信を開始することになった場合には、ページングエリア登録がなされているネットワークに接続する場合もページングエリア登録がなされていないネットワークに接続する場合にも消費電力に差異はないので、ページングエリア登録をセル選択の判断基準として用いなくてもよい。従って、通信を開始することになった場合には、携帯端末2は、図10に示す処理によって、セルを再度選択する。
本実施の形態では、接続要求設定時にアイドル状態とは異なる基準によってセルを選択する例として、ページングエリア登録の有無の判断をスキップする例を挙げたが、接続要求設定時にアイドル状態のときとパラメータの決定方法を変更する態様は、上記したページングエリア登録の有無に限定されない。例えば、MBMSではuplink信号が不要なものが一般的ではあるが、uplink信号を用いる場合もある。これは、例えば携帯端末の無線品質を基地局またはAPに教えることで、一番無線品質の悪い携帯端末に合わせてMBMSを提供するような場合である。また、携帯端末が受信できなかったことを基地局またはAPに伝え、基地局またはAPが多くの携帯端末が受信できなかった場合には再送を行う、といった動作を行う場合にもuplink信号が必要である。そこで、MBMSを提供するネットワークにおいて、アイドル状態の場合には、MBMSに対してuplink信号が必要なセルを選択しにくくなるようにパラメータを決定し、接続設定要求があった場合には、uplink信号の有無に関わらずセルを選択するようにパラメータを決定してもよい。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態のセル選択システムについて説明する。第1の実施の形態および第2の実施の形態では、携帯電話ネットワークの報知情報のデータ量を削減するために、携帯電話ネットワークの基地局30と携帯端末1,2に機能を追加した例を説明したが、第3の実施の形態のセル選択システムでは、WLANのAP40にも機能を追加する。
図11Aは、第3の実施の形態において基地局30およびAP40から送信される報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図、図11Bは基地局30からの報知情報に含まれるセル選択情報の例、図11CはAP40からの報知情報に含まれるセル選択情報の例を示す図である。
図11Aおよび図11Bに示すように、携帯電話ネットワークの基地局30は、すべてのAP40に対する切替え判断に共通に用いるパラメータを送信している。この例では、基地局30は、「Ssearch」、「Qrxlevmin」、「Qhyst」、「Treselection」のパラメータを送信している。
図11Aおよび図11Cに示すように、WLANのAP40は、そのAP40に対する切替え判断に個別に用いるパラメータを送信している。この例では、AP40は、「Offset」と「Scaling factor」のパラメータを送信している。
第3の実施の形態の携帯端末は、第1の実施の形態の携帯端末1と基本的に同じ構成を有する(図1参照)。ただし、第3の実施の形態では、携帯網報知情報処理部12は、報知情報に含まれる複数パターンのパラメータから切替え判断に用いるパラメータを決定するのではなく、基地局30から受信した報知情報から読み出した共通パラメータと、AP40から受信した報知情報から読み出したAP個別のパラメータを用いて、セルの切替え判断に用いるパラメータを構成する。
第3の実施の形態のセル選択システムでは、携帯電話ネットワークの基地局30は、セル選択情報として、全AP40に共通のパラメータのみを送信するので、携帯電話ネットワークのセル32に含まれる他ネットワークのセル42の数に関わらず、報知情報のデータ量を抑制できる。
なお、AP40がそのAP40を選択している携帯端末のために、セル選択情報を報知情報(ビーコン)として送信している場合に、図11Cに記載の情報の一部、または全部がその中に含まれていることも考えられる。その場合には、携帯端末はその報知情報を再利用することも可能である。例えば図11Cの例で言うと、AP40が「Offset」をAP40を選択している携帯端末のために、セル選択情報として送信している場合には、新たにAP情報として送信することが必要な情報は「Scaling factor」のみとなる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態のセル選択システムについて説明する。第4の実施の形態のセル選択システムでは、携帯端末がWLANのセル42を選択した後も、携帯電話ネットワークの基地局30から送信される報知情報の電波強度が所定の閾値以上である場合には、基地局30から送信される報知情報に含まれるセル選択情報を用いてセル再選択処理を行う。
図12は、第4の実施の形態のセル選択システムの動作を説明するための図である。図12に示すように、携帯端末4は、新たに「MinimumSsearch」というパラメータを定義し、このパラメータを用いてセル選択の制御を行う。パラメータ「MinimumSsearch」の値より携帯電話ネットワークのセル32の電波強度が高ければ、WLANのセル42を選択した後であっても、基地局30から送信される報知情報に含まれるセル選択情報を用いてセル再選択処理を行う。
図13は、第4の実施の形態において用いられる携帯端末4の構成を示す図である。携帯端末4の基本的な構成は、第1の実施の形態の携帯端末1と同じであるが、携帯網情報使用決定部26を備える点が異なる。携帯網情報使用決定部26は、携帯網報知情報処理部12からパラメータ「MinimumSsearch」を受け取り、受け取ったパラメータ「MinimumSsearch」と携帯網品質測定部14からの測定結果と比較し、基地局30から送信される報知情報に含まれたセル選択情報を用いてセル選択処理を行うか否かを決定する。
セル再選択制御部22は、携帯網情報使用決定部26にて決定された結果に基づいて、基地局30から送信される報知情報に含まれるセル再選択情報を用いてセル再選択処理を行う。携帯端末4は、携帯電話ネットワークの電波強度がパラメータ「MinimumSsearch」以下になるまでは、携帯電話ネットワークのセル32以外のセル42を選択した後も、携帯電話ネットワークからの報知情報に含まれるセル選択情報を用いてセル再選択処理を行う。
以上より、第4の実施の形態のセル選択システムは、WLANにセル再選択の機能が十分に備わっていない場合でも、携帯電話ネットワークに接続している時と同様に、セル再選択処理を行うことができる。
なお、以上で携帯電話網とWLANといった複数の通信プロトコルの場合に関して示したが、携帯電話網において全てのユーザーを収容するための一般基地局と、ユーザーのホームユース等に使用される小型の家庭用基地局(Home NodeB、Home eNodeB等と呼ばれる)とが存在する場合に関しても本発明を適用することが可能である。例えば、家庭用基地局が、ショッピングモール、レストラン、キャンパス、コーポレート等で不特定多数のユーザーに使用されるような場合にそれぞれの家庭内基地局に対して端末が異なる動作をすることが必要となる場合が想定され、複数のWLANのAPが存在する場合と同じ課題が存在する。そのため、実施の形態1−4で記載した携帯電話網を全てのユーザーを収容するための一般基地局を有する網(またはネットワーク)とみなし、WLANのAPを家庭用基地局(またはそれを有する網、ネットワーク)とみなすことで、実施の形態1−4で記載した基地局を家庭用基地局のケースに適用することが可能である。
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形態に対して多様な変形が可能なことが理解され、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
以上説明したように、本発明によれば、報知情報のデータ量を抑制できるというすぐれた効果を有し、例えば、携帯電話網とWLANといった複数の通信プロトコルに対応した携帯電話が通信に用いるセルを選択する際に適用する技術として有用である。
関連する出願
本出願では、2007年10月26日に日本国に出願された特許出願番号2007−278434の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
本発明は、複数の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムに関する。
3GPPで標準化が行われているLTE(Long Term Evolution)/SAE(System Architecture Evolution)における一つの大きな目的は、複数のRAT(Radio access technology)に対応することである。RATには、UTRAN、GERAN、E−UTRAN、WLAN 3GPPアクセスシステム、Non−3GPPアクセスシステムなどの多数の種類が存在する。複数のRATは、それぞれ異なる特性(カバレッジ、伝送レート、導入・運用コスト等)を有する。
図14は、複数のRATのカバレッジの一例を示す図である。RATごとに異なるカバレッジを有することが分かる。図14から、欧米などで古くから使われているセルラーシステムであるGSM(Global System for Mobile)/GPRS(General Packet Radio Service)や、日本などを中心に新たに使われているUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)をサポートしているGPRSネットワークのカバレッジが広く、新たに導入されたEvolvedネットワークのカバレッジはそれより狭く、ホットスポット等に使われるWLANのカバレッジは更に狭いことが分かる。また、伝送レートもRATごとに異なっており、例えば、WLAN>E−UTRAN(Evolved UMTS Radio Access Network: Evolvedネットワークでのネットワーク側の無線装置の総称(基地局が含まれる)>UTRAN(UMTSRadio Access Network:GPRSネットワークでのUMTSのネットワーク側の無線装置の総称(基地局、RNC(Radio Network Controller)が含まれる)である。
このようなRATごとに異なる特性を有効に利用するために、複数のRATに対応するための技術が望まれている。複数のRATに対応することにより、例えば、端末が高速に移動する場合にはカバレッジの広いGPRSネットワークのUTRANを用い、移動頻度が低いが高速通信を必要とする場合には、WLANを用いるなどの選択が可能となる。
3GPPで仕様化されているUMTS、LTEにおいては、端末がアイドル状態のときに、端末が接続するセルを決定して移動制御が行われている。例えば、携帯電話ネットワークのセルとWLANのセルの両方と通信可能な場合、端末がどちらのセルを通じて通信を行うかを選択する。端末がセルを選択する動作は、「セル再選択(Cell reselection)」と呼ばれる。端末が、基地局から送信される報知情報を受信して、報知情報に含まれるセル再選択の情報に従って移動制御を行うことにより、セル再選択を実現する。報知情報に含まれるセル再選択の情報に従ってセルの選択が行われるので、基地局は、報知情報に含めるセル再選択の情報によって、端末の移動を制御することができる。
現状では、LTEにおけるセル再選択の際の動作は、議論中であり確定していない。再選択の動作は、基本原理としてはUMTSの動作を踏襲する見込みである。ここではUMTSにおけるセル再選択の動作について説明する。
セル再選択に関連する情報は、主に報知情報のSIB(System Information Block)3、SIB4にて送信される。ここで、SIB3とSIB4の違いは、SIB3がアイドル状態の端末と接続状態の端末の両方に使用されるのに対して、SIB4が接続状態の端末のみに使用される点である。これは、UMTSにおいては、接続状態でも再選択を行う端末状態(RRCのstateでCELL_FACH、CELL_PCH、URA_PCH)が存在するためである。しかしながら、LTEにおいてはアイドル状態以外ではセル再選択を行わないと想定されているので、一つのSIBのみがセル再選択の情報の送信に用いられる。隣接セルの情報は、SIB11、SIB12によって通知される。SIB11とSIB12の関係は、SIB3とSIB4の関係と同じである。
ここで、セル再選択の判断に用いられる主なパラメータについて説明する。主なパラメータとしては、「Cell selection and reselection quality measure」「Ssearch」「Qrxlevmin/Qqualmin」「Qhyst」「Treselection」「Scaling factor」「Cell Info」等がある。以下、各パラメータについて説明する。
図15は、セル再選択の判断に用いられるパラメータを説明するための図である。「Cell selection and reselection quality measure」は、セル選択およびセル再選択を行う際に使用する測定方法の指示である。UMTSでは、CPICHのEc/NoかRSCPかを指示するパラメータである。
「Ssearch」は、現在選択している(3GPPでは「camp on」と呼ばれる)セルの品質を判断するか否かを判断するための電波強度のパラメータである。端末が隣接セルの検出およびモニタリングを常時行うと、端末の消費電力が大きくなってしまう。パラメータ「Ssearch」と現在選択しているセルの品質を比較して、現在のセルの品質がパラメータ「Ssearch」より良いときには隣接セルの検出およびモニタリングを行わないようにする。図15に示すように、選択中のセル(切替元)の電波強度がパラメータ「Ssearch」より大きい場合には、他のセル(切替先)の探索を行わず、時刻T1において現在のセルの電波強度がパラメータ「Ssearch」以下になったときに、他のセルの探索を開始する。
「Qrxlevmin/Qqualmin」は、検出されたセルをモニタリングすべきか否かを判断するための電波強度のパラメータである。このパラメータより電波強度が低いセルに関してはモニタリングをする必要がないと判断する。図15に示すように、切替先の候補としてモニタリングされるセルは、電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」以上である必要がある。
「Qhyst」は、いわゆる「ピンポン状態」を避けるために設定される電波強度のパラメータである。「ピンポン状態」とは、以下のような現象である。例えば、端末が2つのセルの境界付近にいる場合、2つのセルから受信する電波強度がほぼ同じ大きさとなる場合がある。この場合、電波強度の少しでも高い方に切り替える処理を行うと、セルの切替えが頻繁に起こる可能性がある。この現象を防止するため、選択中のセルの受信品質にパラメータ「Qhyst」を加えた値と、検出されたセルの受信品質とを比較し、検出されたセルの受信品質が選択中のセルの受信品質よりパラメータ「Qhyst」以上良くならないと切替えを行わないように制御する。
「Treselection」は、端末の受信品質の変動が激しい場合に、セルの切り替えが頻繁に起こることを避けるための時間のパラメータである。端末は、選択中のセルの受信品質に前述のパラメータ「Qhyst」を加えた値より、検出されたセルの受信品質の方が良い状態が、パラメータ「Treselection」の時間だけ継続した場合にセルの切替えを行う。つまり、図15に示すように、時刻T2において、選択中のセルの電波強度にパラメータ「Qhyst」を加えた値より、検出されたセルの電波強度の方が大きくなったとすると、携帯端末は、その状態が継続する時間を計測し、継続した時間がパラメータ「Treselection」以上になった時刻T3において、セルの切替えを行う。
「Scaling factor」は、端末の移動速度に応じて「Treselection」の値を変えるためのパラメータである。移動速度の速い端末に対しては、迅速にセル再選択を行う必要があるので「Treselection」の値を短くする。そのため、端末が高速移動中であると判断した場合には、パラメータ「Scaling factor」によって「Treselection」の値を変更する。端末は、単位時間あたりのセル変更数などにより、高速移動中か否かを判断できる。
「Cell Info」は、他のセルの情報を端末に通知するためのパラメータである。主な情報としては、他のセルの周波数帯を通知する「周波数」、他のセルが運用されているコードを示す「Scrambling code」、オフセットによってセルの選択のされやすさを通知する「Cell individual offset」などである。なお、「Cell individual offset」は、SIB11で通知される。
このように、UMTS(LTEでもかなり近い動作になると考えられる)においては、様々なパラメータを送信することでアイドル状態の端末に対して、きめ細かい移動制御をできるようになっていた。
上記したように、LTEにおいても、セル再選択のための情報を報知情報に含めることにより、基地局は端末の移動制御を行えると考えられる。しかしながら、LTE等のセルに含まれる他のRATのセルが増加すると、報知情報が膨大になっていくと想定される。特に、Non 3GPPとしてWLAN、WiMAXなどがホットスポット的に用いられるような場合には、一つのセルの中に特性の異なる複数のアクセスポイント(Access Point:以下「AP」という)が存在する。異なる特性としては、例えば、(1)APの管理主体の違い(オペレータ自体、オペレータと提携しているサービス会社、ショッピングモール、企業、学校等)、(2)サービスエリアの違い(APの接続エリア自体、APが何個あってどれくらいのエリアか等)、(3)周波数帯域の違い(20MHz、15MHz、10MHz、・・・)、(4)対応しているサービスの違い(データ送信のみか、音声通話ありか、MBMSありか等)である。以上のような特性の違いを考慮して移動制御のための報知情報を送信しようとすると、報知情報が膨大になってしまう。また、新たにAPを設置する場合には、新たなAPへのセル再選択のための情報を含めるために、報知情報を更新しなければならず、運用が複雑になる。
そこで、本発明は、LTEのような携帯電話ネットワークのセル内の存在する他のネットワークのセルの数が増えても、携帯電話ネットワークにおける報知情報のデータ量を抑制しつつ適切にセルの選択を行えるセル再選択システムを提供することを目的とする。
本発明のセル選択システムは、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、前記第1のセルでは、前記第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報が送信され、前記携帯端末は、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信し、前記第1のセルの報知情報から前記セル選択情報を読み出し、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、前記第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定し、決定したパラメータを用いて前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断する。
本発明の別の態様のセル選択システムは、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、前記第1のセルでは、すべての前記第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報が送信され、それぞれの前記第2のセルでは、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報が送信され、前記携帯端末は、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信し、前記第1のセルの報知情報から前記共通パラメータを読み出し、前記第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出し、前記共通パラメータと前記個別パラメータとを用いて、前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断する。
本発明のセル選択方法は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択する方法であって、前記第1のセルにおいて、前記第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、前記第2のセルにおいて、報知情報を送信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報から前記セル選択情報を読み出すステップと、前記携帯端末が、前記セル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、前記第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定するステップと、前記携帯端末が、決定したパラメータを用いて前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、前記切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第2のセルを選択するステップとを備える。
本発明の別の態様のセル選択方法は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択方法であって、前記第1のセルにおいて、すべての前記第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、それぞれの前記第2のセルにおいて、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報を送信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報と前記第2のセルの報知情報を受信するステップと、前記携帯端末が、前記第1のセルの報知情報から前記共通パラメータを読み出すステップと、前記携帯端末が、前記第2のセルの報知情報から前記個別パラメータを読み出すステップと、前記携帯端末が、前記共通パラメータと前記個別パラメータとを用いて、前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、前記切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、前記携帯端末が通信に用いるセルとして前記第2のセルを選択するステップとを備える。
本発明の携帯端末は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、前記第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、前記第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、前記第1のセルの報知情報から前記セル選択情報を読み出すと共に、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、前記第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定する報知情報処理部と、決定したパラメータを用いて前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
本発明の別の態様の携帯端末は、第1のセルと、前記第1のセルに包含されると共に前記第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる前記第1のセルと前記第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、すべての前記第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、前記第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、前記第1のセルの報知情報から前記共通パラメータを読み出す第1の報知情報処理部と、前記第2のセルの報知情報から前記個別パラメータを読み出す第2の報知情報処理部と、前記共通パラメータと前記個別パラメータとを用いて、前記第1のセルから前記第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の開示は、本発明の一部の提供を意図しており、ここで記述され請求される発明の範囲を制限することは意図していない。
第1の実施の形態において用いられる携帯端末の構成を示す図
携帯電話ネットワークのセルとWLANのセルを示す図
基地局から送信される報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
セル選択情報の例を示す図
従来の報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
従来のセル選択情報の例を示す図
第1の実施の形態の携帯端末の動作を示す図
第1の実施の形態におけるパラメータの決定処理の例を示す図
ページングエリア登録によるパターンの判断例を示す図
運用者によるパターンの判断例を示す図
MBMSによるパターンの判断例を示す図
ネットワークシェアリングの例を示す図
第2の実施の形態において用いられる携帯端末の構成を示す図
第2の実施の形態において、セルの選択を行うまでの流れを示す図
第2の実施の形態におけるパラメータの決定処理の例を示す図
基地局およびAPから送信される報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
基地局からの報知情報に含まれるセル選択情報の例を示す図
APからの報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図
第4の実施の形態のセル選択システムの動作を説明するための図
第4の実施の形態において用いられる携帯端末の構成を示す図
複数のRATのカバレッジを示す図
セル選択に用いられるパラメータを説明するための図
以下に、本発明の詳細な説明を述べる。以下に説明する実施の形態は本発明の単なる例であることが理解され、本発明が様々な態様に変形することができる。従って、以下に開示する特定の構成および機能は、請求の範囲を限定するものではない。
本実施の形態のセル選択システムは、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、第1のセルでは、第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報が送信され、携帯端末は、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信し、第1のセルの報知情報からセル選択情報を読み出し、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定し、決定したパラメータを用いて第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断する。
このようにパターン化したパラメータをセル選択情報として送信するので、第2のセルが増えても、それに伴ってセル選択情報が増えることがなく、報知情報のデータ量を抑制することができる。第2のセルを新たに創設した場合にも、その第2のセルに対する切替え判断のためのパラメータとして、既存のパラメータを用いることにより、報知情報を更新する必要がない。これにより、システムの拡張性を高めることができる。
本実施の形態のセル選択システムにおいて、セル選択情報は、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータを含み、携帯端末は、共通パラメータと第2のセルの報知情報に基づいて決定したパラメータとに基づいて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断してもよい。
このように共通パラメータを用いることにより、報知情報に含めるセル選択情報のデータ量を圧縮することができる。
本実施の形態のセル選択システムにおいて、携帯端末は、アイドル状態のときには第2のセルに対するページングエリア登録がなされているか否かの情報を用いてパラメータを決定し、通信の接続設定時には第2のセルに対するページングエリア登録の有無に関係なくパラメータを決定してもよい。
アイドル状態においては、ページングエリア登録がなされているセルを選択することにより、セル選択後にページングエリア登録を行う必要がなくなるので、携帯端末の消費電力を節約できる。一方、通信の接続設定時には、第1のセルあるいは第2のセルを制御する基地局へ接続するので、消費電力の観点からは、ページングエリア登録がなされているか否かは問題にならないので、ページングエリア登録の有無をパラメータ決定の判断材料としなくてもよい。従って、アイドル状態か通信の接続設定時かに基づいて、ページングエリア登録の情報を用いるか否かを切り替えることにより、セル切替え判断のためのパターンを適切に決定できる。
本実施の形態の別の態様のセル選択システムは、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択システムであって、第1のセルでは、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報が送信され、それぞれの第2のセルでは、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報が送信され、携帯端末は、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信し、第1のセルの報知情報から共通パラメータを読み出し、第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出し、共通パラメータと個別パラメータとを用いて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断する。
この構成により、第1のセルは、セル選択情報として共通パラメータを送信すればよいので、第2のセルが増えてもそれに伴ってセル選択情報が増えることがなく、報知情報のデータ量を抑制することができ、また、第2のセルを新たに創設した場合にも、報知情報を更新する必要がなく、システムの拡張性を高めることができる。
本実施の形態のセル選択システムにおいて、携帯端末は、第2のセルを選択した後も、第1のセルの報知情報の受信品質が所定の閾値以上である場合には、第1のセルの報知情報から得られたセル選択情報を用いてセル選択を行ってもよい。
この構成により、第2のセルにセル再選択の機能が十分に備わっていなくても、通信に用いるセルとして第1のセルを選択しているときと同様にセル選択を行うことができる。
本実施の形態のセル選択方法は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択する方法であって、第1のセルにおいて、第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、第2のセルにおいて、報知情報を送信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報からセル選択情報を読み出すステップと、携帯端末が、セル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定するステップと、携帯端末が、決定したパラメータを用いて第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第2のセルを選択するステップとを備える。
本実施の形態の別の態様のセル選択方法は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて、第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末が通信に用いるセルを選択するセル選択方法であって、第1のセルにおいて、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む報知情報を送信するステップと、それぞれの第2のセルにおいて、当該第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む報知情報を送信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報と第2のセルの報知情報を受信するステップと、携帯端末が、第1のセルの報知情報から共通パラメータを読み出すステップと、携帯端末が、第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出すステップと、携帯端末が、共通パラメータと個別パラメータとを用いて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するステップと、切替え可否判断において切替え不可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第1のセルを選択し、切替え可能と判断された場合に、携帯端末が通信に用いるセルとして第2のセルを選択するステップとを備える。
これらの構成により、上記したセル選択システムと同様に、報知情報のデータ量を抑制することができると共に、第2のセルを新たに創設した場合にも、報知情報を更新する必要がない。なお、上記したセル選択システムの各種の構成を本実施の形態のセル選択方法に適用することが可能である。
本実施の形態の携帯端末は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、第2のセルの数より少ないパターンのセル切替え判断用のパラメータを有するセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、第1のセルの報知情報からセル選択情報を読み出すと共に、読み出したセル選択情報に含まれる複数パターンのパラメータの中から、第2のセルの報知情報に基づいて当該第2のセルに対する切替え判断に用いるパラメータを決定する報知情報処理部と、決定したパラメータを用いて第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
本実施の形態の別の態様の携帯端末は、第1のセルと、第1のセルに包含されると共に第1のセルと通信プロトコルが異なる複数の第2のセルとを有するネットワークにおいて用いられる第1のセルと第2のセルの両方の通信プロトコルに対応した携帯端末であって、すべての第2のセルに対する切替え判断に共通に用いられる共通パラメータからなるセル選択情報を含む第1のセルの報知情報を受信する第1の報知情報受信部と、第2のセルに対する切替え判断に個別に用いられる個別パラメータを含む第2のセルの報知情報を受信する第2の報知情報受信部と、第1のセルの報知情報から共通パラメータを読み出す第1の報知情報処理部と、第2のセルの報知情報から個別パラメータを読み出す第2の報知情報処理部と、共通パラメータと個別パラメータとを用いて、第1のセルから第2のセルへの切替えの可否を判断するセル切替制御部とを備える。
これらの構成により、上記したセル選択システムと同様に、報知情報のデータ量を抑制することができると共に、第2のセルを新たに創設した場合にも、報知情報を更新する必要がない。なお、上記したセル選択システムの各種の構成を本実施の形態の携帯端末に適用することが可能である。
以下、本発明の実施の形態のセル選択システムについて図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明では、GPRS、UMTS、LTE等の携帯電話用のシステムを携帯電話ネットワークとして記載し、ホットスポット的な使用が考えられるシステム(WiMAXを含む)をWLANとして記載する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のセル選択システムで用いられる携帯端末1の構成を示す図、図2は、携帯電話ネットワークのセル(第1のセル)32とWLANのセル(第2のセル)42a〜42cを示す図である。以下の説明において、セル42a〜42cを総称するときは、セル42という。まず、図2を参照して、本実施の形態のセル選択システムの全体の構成と、各セル32、42において送信される報知情報について説明する。
図2に示すように、本実施の形態のセル選択システムでは、携帯電話ネットワークのセル32は、複数のWLANのセル42a〜42cを包含している。なお、複数のWLANのセル42a〜42cはそれぞれ異なる通信プロトコルを有していてもよい。
図2に示すように、携帯端末1がWLANのセル42aに入ったとする。この状態では、携帯端末1は、携帯電話ネットワークの基地局30と通信が可能であると同時に、WLANのAP40aとも通信が可能である。携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32を通じて通信を行うか、WLANのセル42aに切り替えて通信を行うかを選択する。
携帯電話ネットワークの基地局30は、セル32内にある携帯端末1に対して報知情報を送信している。この報知情報には、セルを選択するためのセル選択情報が含まれている。WLANの各AP40a〜40cは、報知情報(ビーコン)を送信する。以下の説明において、AP40a〜40cを総称するときは、AP40という。AP40が送信する報知情報には、AP40の情報が含まれる。例えば、AP40aが送信する報知情報にはAP40aの情報が含まれ、AP40bが送信する報知情報にはAP40bの情報が含まれる。
AP40の情報とは、例えば、ページングエリア情報、PLMN情報あるいはMBMS情報等である。ページングエリア情報とは、APがどのページングエリアに属しているかを示す情報であり、例えば、ページングエリアを示す識別子である。携帯端末1は、自分か登録したページングエリアの識別子を保存しておく。携帯端末1は、保存してあるページングエリアの識別子と報知情報(ビーコン)で送られるAPのページングエリア識別子を比較することで、そのAPがページングエリアとして登録されているか否かを判断する。なお、ページングエリアとは、UMTSでいう「Routing area、Location area」、LTEでいう「Tracking area」であり、携帯端末1がページングを受信できるエリアのことを指している。
図3Aは基地局30が送信する報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図、図3Bはセル選択情報の例を示す図である。本実施の形態のセル選択システムでは、基地局30は、セル選択情報として、全てのAP40a〜40cに共通のパラメータと、複数パターンにパターン化されたパラメータを送信する。具体的には、図3Bに示すように、セル選択情報には、AP40a〜40cへの切替え判断に共通して用いる「Ssearch」「Qrvlevmax」「Qhyst」「Treselection」のパラメータと、2パターンの値を有する「Offset」「Scaling factor」のパラメータが含まれる。
「Offset」は、対象のAP40への切替えのしやすさを設定するパラメータである。例えば、「Offset」が大きくなれば、対象のAP40への切替えが行われにくくなる。「Scaling factor」は前述のとおり「Tselection」の値を変更するパラメータである。「Scaling factor」が大きくなれば、対象のAP40への切替えが行われにくくなる。ここでは、パターン1のパラメータの方がパターン2のパラメータより、セル32からセル42への切替えが行われやすいパラメータとする。
図1を参照して、携帯端末1の構成について説明する。携帯端末1は、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯網インターフェース10(請求項の「第1の報知情報受信部」に相当する)と、WLANを通じて通信を行うWLANインターフェース16(請求項の「第2の報知情報受信部」に相当する)とを有している。すなわち、携帯端末1は、携帯電話ネットワークとWLANの両方のプロトコルに対応している。携帯網インターフェース10およびWLANインターフェース16は、受信信号の復調を行う機能も有する。
携帯端末1は、WLANインターフェース16に接続されたWLAN報知情報処理部18とWLAN品質測定部20とを有している。WLANインターフェース16は、WLANを通じてAP40から報知情報を受信すると、受信した報知情報をWLAN報知情報処理部18に送る。WLANインターフェース16は、AP40から電波の受信品質をモニタリングするための参照信号(reference symbol)を受信すると、受信した参照信号をWLAN品質測定部20に送る。
WLAN報知情報処理部18は、AP40から送信された報知情報を処理してAP40の情報を取得し、取得したAP40の情報を携帯網報知情報処理部12に送る。WLAN品質測定部20は、WLANのセル42における電波の受信品質を測定し、受信品質の測定結果をセル再選択制御部22に送る。
携帯端末1は、携帯網インターフェース10に接続された携帯網報知情報処理部12と、携帯網品質測定部14とを備えている。携帯網インターフェース10は、携帯電話ネットワークを通じて基地局30から報知情報を受信すると、受信した報知情報を携帯網報知情報処理部12に送る。携帯網インターフェース10は、基地局30から電波の受信品質をモニタリングするための参照信号を受信すると、受信した参照信号を携帯網品質測定部14に送る。
携帯網報知情報処理部12(請求項の「報知情報処理部」に相当する)は、基地局30から送信された報知情報を処理して、セル選択情報(図3B参照)を取得する。携帯網報知情報処理部12は、WLAN報知情報処理部18から送られたAP40の情報に基づいて、セル選択情報に含まれるパラメータ1とパラメータ2のうち、いずれのパラメータを用いてセルの切替え判断を行うかを決定する。携帯網報知情報処理部12は、AP40の情報として、例えば、ページングエリア情報、PLMN情報あるいはMBMS情報等を用いる。携帯網報知情報処理部12は、決定したパラメータと共通パラメータをセル再選択制御部22(請求項の「セル切替制御部」に相当する)に送る。
携帯網品質測定部14は、携帯電話ネットワークのセル32における電波の受信品質を測定し、受信品質の測定結果をセル再選択制御部22に送る。セル再選択制御部22は、携帯網報知情報処理部12から送られたパラメータを用いて、携帯電話ネットワークのセル32およびWLANのセル42の電波の受信品質を評価することによって、セルを選択する機能を有する。
次に、本実施の形態の携帯端末1の動作について説明する。
図4は、携帯端末1の動作を示す図である。図4に示す例では、携帯端末1がWLANのセル42内に移動した場合に、携帯端末1が通信を行うためのセルを、携帯電話ネットワークのセル32からWLANのセル42に切り替える例を示している。
携帯端末1は、基地局30から携帯電話ネットワークの報知情報を受信する(S10)。報知情報の受信タイミングは、どのようなタイミングでもよく、例えば、定期的であってもよく、携帯端末1がセルを変更したときでもよい。なお、携帯端末1がセルを変更した場合には、ページング等により報知情報が変更されたことが通知される。
携帯端末1は、携帯網インターフェース10にて報知情報を受信し、受信した報知情報を携帯網報知情報処理部12にて処理する。報知情報には、MIB(Master Information Block)、SIB1、SIB2、・・・などが含まれている。セル選択情報は、一つのSIBに含まれていてもよいし、複数のSIB(MIB含む)にまたがって含まれていてもよい。携帯網報知情報処理部12は、MIB、SIB1、SIB2・・・などからセル選択情報を取得する(S12)。
携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32における電波の受信品質に基づいて、WLANのセル42の検出およびモニタリングを行うべきか決定する。具体的には、携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32における電波強度がパラメータ「Ssearch」以下であるか否かを判定する(S14)。携帯電話ネットワークのセル32の電波強度がパラメータ「Ssearch」より大きい場合には(S14でNO)、携帯電話ネットワークのセル32を用いて通信を行えばよいので、他のネットワークのセル42の検出およびモニタリングを行わない。このようにパラメータ「Ssearch」を用いて他のセルの検出およびモニタリングを行うか否かを判定することにより、携帯端末1の消費電力を低減できる。
携帯電話ネットワークのセル32の電波強度がパラメータ「Ssearch」以下である場合(S14でYES)、携帯端末1は、他のセル42の検出を行う(S16)。この際に、携帯端末1は、どの周波数帯を検索するか、またはどのような種類のセルを検出するか等を指定してセルの検出を行ってもよい。
携帯端末1は、他のセル42を検出すると、そのセル42の電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」以上であるか否かを判定する(S18)。電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」より小さい場合は(S18でNO)、そのセル42は切替先の候補にならないと判断し、再度、他のセル42を検出する処理に戻る(S16)。
他のセル42の電波強度がパラメータ「Qrvlevmin」以上である場合には(S18でYES)、携帯端末1は、他のセル42のモニタリングを開始する(S20)。この際の他のセル42の検出およびモニタリング動作は端末の実装に依存する動作となるが、3GPPの仕様などでどのような性能を満たすべきか等が規定されると考えられる。
携帯端末1は、他のセル42を検出すると、他のセル42のAP40が送信している報知情報(ビーコン)を受信する。携帯端末1は、WLANインターフェース16にて報知情報を受信し、受信した報知情報をWLAN報知情報処理部18にて処理してAP40の情報を取得する。AP40の情報の例としては、ページングエリア情報、PLMN情報、MBMS情報等がある。WLAN報知情報処理部18は、報知情報から取得したAP40の情報を、携帯網報知情報処理部12に渡す。
次に、携帯端末1の携帯網報知情報処理部12は、パターン1またはパターン2のいずれのパラメータを、検出されたセルへの切替え判断のためのパラメータとして用いるかをAP40の情報に基づいて決定する。
図5は、パラメータの決定処理の動作を示す図である。本実施の形態では、携帯端末1は、AP40の情報から得られたページングエリア情報、PLMN情報およびMBMS情報を用いて、パターン1またはパターン2のいずれのパラメータを用いるかを決定する。
携帯端末1は、まず、ページングエリア情報に基づいて、他のセル42へのページングエリア登録が完了しているか否かを判定する(S30)。この結果、ページングエリア登録がなされていない場合には(S30でNO)、携帯端末1は、パターン2のパラメータを用いる(S40)。ページングエリア登録が完了している場合には(S30でYES)、携帯端末1は、他のセル42のAP40の運用者が携帯電話ネットワークの基地局30の運用者と同じか否かを判定する(S32)。この結果、運用者が異なる場合には(S32でNO)、携帯端末1は、パターン2のパラメータを用いる(S40)。運用者が同じ場合には(S32でYES)、携帯端末1は、他のセル42にユーザが受信を希望するMBMSサービスが存在するか否かを判定する(S34)。
MBMSサービスが存在する場合には(S34でYES)、携帯端末1は、パターン1のパラメータを用いる(S38)。受信を希望するMBMSサービスが存在しない場合には(S34でNO)、携帯端末1は、そのMBMSサービスの開始時間が所定時間T以内であるか否かを判定する(S36)。MBMSのサービスの開始時間に関しては、ネットワーク側で定義されたMBMSがいつ始まるかを示す「time-to-MBMS」という情報を利用する。この情報をAP40から携帯端末1に通知することで、携帯端末1はいつサービスが始まるかを知ることができる。MBMSの開始時間の判定の結果、MBMSの開始時間が所定時間T以内である場合には(S36でYES)、他のセル42への切替えは不可能であると判定する(S42)。MBMSのサービスの開始時間が所定時間T以内でない場合には(S36でNO)、パターン2のパラメータを用いる(S40)。
以上、セルの切替え判断に用いるパラメータのパターンを決定する方法について説明したが、図5を参照して説明したパラメータの決定方法は一例であり、他の方法によってパラメータを決定してもよい。上記した例では、ページングエリア登録が完了していて、運用者が同じで、MBMSのサービスが提供されている場合に初めてパターン1を選択したが、逆に一つでも条件を満たす場合(すなわち、ステップS30、S32、S34のいずれかにおいてYESと判断された場合)にパターン1のパラメータを選択することとしてもよい。また、例えば、図6A〜図6Cに示すようにページングエリア登録、運用者、MBMSのそれぞれについてパラメータの決定基準のテーブルを記憶しておき、それぞれのテーブルによって選ばれたパターンの多数決によって、パラメータのパターンを決定してもよい。
AP40の情報に基づくパターンの決定方法は、報知情報として携帯端末1に送信してもよいし、3GPPの仕様で決めておいてもよいし、運用者が決めた仕様をあらかじめ携帯端末1に実装してもよいし、携帯端末に個別のメッセージで通知しておいてもよい。また、本実施の形態では、ページングエリア登録、運用者、MBMSの3つを基準としているが、これら以外の基準によってパターンを決定してもよい。
図4に戻って、携帯端末1の動作の説明を続ける。携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32の電波強度にパラメータ「Qhyst」を加えた値が、他のセル42の電波強度より低い状態が所定時間継続したか否かを判定する(S24)。ここで、所定時間は、パラメータ「Treselection」に、決定されたパターンのパラメータ「Scaling factor」を乗じて求められる。これにより、パターン1とパターン2のいずれのパラメータが選択されたかによって、セルの切替えのしやすさが異なることとなる。
携帯電話ネットワークのセル32の電波強度にパラメータ「Qhyst」を加えた値がWLANのセル42の電波強度より低い状態が所定時間以上継続したと判定された場合には(S24でYES)、携帯端末1は、携帯電話ネットワークのセル32からWLANのセル42に切り替える。具体的には、携帯端末1は、WLANを通じて着呼を受けられるように、WLANのセル42に対して登録処理を行う。
本実施の形態のセル選択システムでは、携帯電話ネットワークの基地局30は、セル選択情報として、パターン化されたパラメータを送信するので、携帯電話ネットワークのセル32に含まれるWLANのセル42の数が増えても、パターン化されたパラメータの数は増えないので、報知情報のデータ量を抑制できる。
図3Cおよび図3Dは、従来のシステムにおけるセル選択情報の例を示す図である。従来のセル選択システムでは、基地局は、セル選択情報として、全てのAPに共通のパラメータと、APごとの個別のパラメータを送信していた。具体的には、図3Dに示すように、セル選択情報には、共通のパラメータの「Ssearch」「Qrvlevmax」「Qhyst」「Treselection」に加え、APの数と同数の「Offset」「Scaling factor」が含まれる。従って、APの数が増えるに従って報知情報のデータ量も増加してしまっていたが、本実施の形態のセル選択システムによれば、このような不都合を防止できる。
なお、図3Bに示すセル選択情報の構成は一つの例に過ぎない。図3に示していない情報をセル選択情報として含んでもよいし、図3に示す情報を含まなくてもよい。
また、本実施の形態では、対象のAP40への切替えのしやすさを設定するパラメータとして「Offset」を用いた。図2の例でいうと、基地局30からの信号の強さとAP40aからの信号の強さとを「Offset」を加味して比較することになる。すなわち、基地局の信号の強さ<APの信号の強さ+「Offset」の場合にAPを選択することとなる。しかしながら、絶対的な優先度を用いて比較を行うことも可能である。具体的には、「Offset」ではなく優先度(Priority)を「Offset」の代わりに送信することが可能である。例えば、今いる基地局30の「Priority」が2であるような場合で、図3Bのパターン1が「Priority1」、パターン2が「Priority3」であるとする。このような場合には、端末はAP40aがパターン1であると選択した場合には今いる基地局30よりも優先度が高いため、AP40aにセル選択を行う。逆に、AP40aがパターン2であると選択した場合には今いる基地局30よりも優先度が低いため、基地局30にそのまま残ることとなる。また、「Priority」を用いる場合でも、同じ「Priority」の中では「Offset」を用いて比較することも考えられる。そのため、「Priority」と「Offset」の両方を送信することも可能である。
報知情報とは別に携帯端末1に対して個別に「Offset」、「Priority」、またはその両方を割り当てられることも考えられる。例えば、音声通信のみに対応している携帯端末1がGPRSネットワークで運用されているUMTSまたはGSMを優先的に使用する、あるいは、データ通信のみに対応している携帯端末1がEvolvedネットワークを優先的に使用する、などの携帯端末1毎の特徴または契約によって動作を変えるためである。このような動作は、携帯端末1がネットワークに接続している状態で、携帯端末1にメッセージを送信することで設定することも可能であるし、あらかじめ携帯端末1に設定しておいてもよい。このような場合には、報知情報として与えられている情報を用いて携帯端末1に設定されている「Offset」、「Priority」、またはその両方が報知情報により修正されるようになる。そのため、報知情報としては携帯端末1に保存されている「Offset」、「Priority」、またはその両方をどのように修正するかの情報が送信されることが考えられる。但し、個別に「Offset」、「Priority」、またはその両方が割当てられないこともあるため、報知情報を通常に送信し、個別に「Offset」、「Priority」、またはその両方を受信している携帯端末1は報知情報と受信している情報の両方を考慮して値を決めることにしてもよい。その決め方としては、高い方に合わせる、低い方に合わせる、中間にする、特別なルールを決めるなどがあるが、どれでもよい。
本実施の形態では、AP40を新たに設置する場合にも、そのAP40に対する切替え判断に既知のパターンのパラメータを用いることにより、報知情報に新たなパラメータを含めるために更新しなくてもよいので、基地局30の運用が容易である。
本実施の形態では、ページングエリア登録が完了しているセル42を選択しやすいようにし、未登録のセル42を選択しにくくしている。ページングエリア登録が完了しているAP40に対しては、携帯端末1は、セル選択するだけでページングエリア登録を改めて行う必要がないのに対し、ページングエリア登録が行われていない場合には、携帯端末1は、そのAP40に対して位置登録(Routing Area update、Tracking Area update、Binding Update等)を行う必要があり、携帯端末1の消費電力が大きくなるからである。携帯端末1が、ページングエリア登録の有無によってセル選択を制御することにより、携帯端末1の消費電力を削減することができる。
なお、携帯電話ネットワークでのページングエリアの更新と同時にWLANのページングエリアが更新されるシステムの場合には、以前登録した時のページングエリアではなく、更新されたページングエリアを用いて比較を行う。
本実施の形態では、ページングエリアの登録の有無によってパラメータのパターンを決定する例について説明したが、ページングエリア登録の有無に代えてIPアドレスの取得が完了しているか否かに基づいてパラメータを決定することも可能である。例えば、WLANにおいてIPアドレスの取得を行う単位が、APの上位に位置するルータ単位である場合がある。この場合、異なるIPアドレスの取得および登録の要否に応じて、パターンを決定してもよい。すなわち、APにおいて待ち受けを行う際に、情報のやり取りが新規に必要か、必要で無いかに依存してパターンを切り替えることとなる。
本実施の形態では、AP40からの報知情報に含まれるPLMN情報によって携帯端末1が使用するパラメータのパターンを決定する例について説明したが、この処理はネットワークシェアリング(無線アクセス部分(LTEでは基地局)のオペレータ間のシェアリング)を行っている場合に特に有効である。
図7は、ネットワークシェアリングの概念図である。ここで、オペレータA〜Cが携帯電話ネットワークの基地局30をシェアしている。報知情報は、オペレータA〜Cで共通の内容となるので、全てのオペレータA〜Cに関連する情報が流されることになる。このため、例えばオペレータAとオペレータCとが違う周波数帯の情報でAP40を運用していたとしても、それらの全ての周波数帯を報知情報として送信することとなる。例えば、オペレータCに属している端末が、オペレータAに属しているAP40bの範囲にいる際には、そのAP40bを検出することとなる。この際に、携帯端末1は、PLMN情報を見て、実際に使用するパラメータのパターンを決定することによって、効果的なセル再選択を実現できる。
本実施の形態では、WLANの運用者が携帯電話ネットワークの運用者と同じか否かを判定し、運用者が異なる場合には、パターン2のパラメータを用いる例について説明したが、運用者が異なる場合であってもWLANのPLMNがequivalent PLMN(3GPPで定義されているhome PLMNと同様に扱ってよいPLMN)に含まれる場合には、パターン1のパラメータを用いることとしてもよい。
なお、本実施の形態において、MBMS情報を用いてパラメータを決定する例について説明したが、携帯電話ネットワークとWLANの両方でMBMSを提供している場合には、Uplink信号の有無によってパラメータを決定することもできる。MBMSにはUplink信号を用いるタイプと用いないタイプがあるが、Uplink信号を用いる場合には、その分だけ携帯端末1の消費電力を要する。従って、携帯端末1は、Uplink信号を使用しない方のセルが選択されやすいように、パラメータを決定してもよい。
また、MBMSには、そのセルのみにデータを送信するシングルセル送信と、複数のセルに同時にデータを送信することにより携帯端末1側で合成利得を得るMBSFN送信がある。一般的に、MBSFN送信の方が性能が高いので、携帯電話ネットワークとWLANの両方でMBMSを提供している場合には、MBSFNを用いているセルが選択されやすいように、パラメータを決定してもよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のセル選択システムについて説明する。第2の実施の形態のセル選択システムの基本的な構成は、第1の実施の形態のセル選択システムと同じであるが、第1の実施の形態では、携帯端末がアイドル状態にあることを前提としたが、第2の実施の形態では通信の接続設定を行うときに、第1の実施の形態と異なる方法でパラメータを決定する。
図8は、本発明の第2の実施の形態のセル選択システムで用いられる携帯端末2の構成を示す図である。第2の実施の形態の携帯端末2は、第1の実施の形態の携帯端末1の構成に加え、接続要求検出部24を有している。
接続要求検出部24は、携帯端末2が接続要求を行う必要があるか否かを検出し、検出した場合にはその旨を携帯網報知情報処理部12に送信する。接続要求を行う必要がある場合には、ページングを受けた場合と、携帯端末2が呼を発生した場合がある。ページングを受けた場合には、接続要求検出部24は、携帯網インターフェース10からページングを受け取って接続要求を検出する。携帯端末2にて呼が発生した場合には、接続要求検出部24は、呼の発生を検出する。
図9は、第2の実施の形態のセル選択システムにおけるセル選択の流れを示す図である。第2の実施の形態のセル選択システムでは、第1の実施の形態と同様に、基地局30から携帯端末2に報知情報を送信し(S50,S52)、AP40から携帯端末2に報知情報を送信する(S54,S56)。携帯端末2は、第1の実施の形態と同様に、セル切替え判断に用いるパラメータを決定する(S58)。
次に、基地局30から携帯端末2にページングを送信する(S60,S62)、あるいは携帯端末2で呼が発生すると(S64)、携帯端末2は通信の接続を行う前にセル切替え判断に用いるパラメータを再度決定し、決定したパラメータを用いてセルを選択する。なお、図9では、基地局30から携帯端末2にページングが送信された場合について説明しているが、WLANのAP40からページングが送信された場合も同様である。
図10は、携帯網報知情報処理部12によってセル切替え判断に用いるパラメータを決定する処理を示すフローチャートである。携帯網報知情報処理部12は、まず、接続要求設定があるか否かを判定する(S80)。接続要求設定がない場合には(S80でNO)、第1の実施の形態で説明した携帯端末1の動作と同様に、携帯端末2は、ページングエリア登録がなされているか否かの判定を行い(S82)、続いて、運用者、MBMSサービスの有無によってパターンの判定を行う(S84〜S94)。接続設定要求があった場合には(S80でYES)、携帯網報知情報処理部12は、ページングの登録がなされているか否かの判定をスキップして、運用者の判定に移行する(S84)。
図9に戻って、セル選択システムの動作について説明する。セル切替え判断に用いるパラメータを決定した後(S66)、携帯端末2は、決定されたパラメータを用いてセルの再選択を行う(S68)。携帯端末2は、選択されたセルに対して呼接続要求を送信する(S70,S72)。図9に示す例では、携帯端末2は、WLANのセル42を選択して、WLANのAP40に呼接続要求を送信している。
本実施の形態のセル選択システムでは、通信の接続設定要求があった場合には、アイドル状態とは異なる基準によってセルを選択するので、通信接続開始という状況に適したセルを選択することができる。接続設定要求によって通信を開始することになった場合には、ページングエリア登録がなされているネットワークに接続する場合もページングエリア登録がなされていないネットワークに接続する場合にも消費電力に差異はないので、ページングエリア登録をセル選択の判断基準として用いなくてもよい。従って、通信を開始することになった場合には、携帯端末2は、図10に示す処理によって、セルを再度選択する。
本実施の形態では、接続要求設定時にアイドル状態とは異なる基準によってセルを選択する例として、ページングエリア登録の有無の判断をスキップする例を挙げたが、接続要求設定時にアイドル状態のときとパラメータの決定方法を変更する態様は、上記したページングエリア登録の有無に限定されない。例えば、MBMSではuplink信号が不要なものが一般的ではあるが、uplink信号を用いる場合もある。これは、例えば携帯端末の無線品質を基地局またはAPに教えることで、一番無線品質の悪い携帯端末に合わせてMBMSを提供するような場合である。また、携帯端末が受信できなかったことを基地局またはAPに伝え、基地局またはAPが多くの携帯端末が受信できなかった場合には再送を行う、といった動作を行う場合にもuplink信号が必要である。そこで、MBMSを提供するネットワークにおいて、アイドル状態の場合には、MBMSに対してuplink信号が必要なセルを選択しにくくなるようにパラメータを決定し、接続設定要求があった場合には、uplink信号の有無に関わらずセルを選択するようにパラメータを決定してもよい。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態のセル選択システムについて説明する。第1の実施の形態および第2の実施の形態では、携帯電話ネットワークの報知情報のデータ量を削減するために、携帯電話ネットワークの基地局30と携帯端末1,2に機能を追加した例を説明したが、第3の実施の形態のセル選択システムでは、WLANのAP40にも機能を追加する。
図11Aは、第3の実施の形態において基地局30およびAP40から送信される報知情報に含まれるセル選択情報の概略を示す図、図11Bは基地局30からの報知情報に含まれるセル選択情報の例、図11CはAP40からの報知情報に含まれるセル選択情報の例を示す図である。
図11Aおよび図11Bに示すように、携帯電話ネットワークの基地局30は、すべてのAP40に対する切替え判断に共通に用いるパラメータを送信している。この例では、基地局30は、「Ssearch」、「Qrxlevmin」、「Qhyst」、「Treselection」のパラメータを送信している。
図11Aおよび図11Cに示すように、WLANのAP40は、そのAP40に対する切替え判断に個別に用いるパラメータを送信している。この例では、AP40は、「Offset」と「Scaling factor」のパラメータを送信している。
第3の実施の形態の携帯端末は、第1の実施の形態の携帯端末1と基本的に同じ構成を有する(図1参照)。ただし、第3の実施の形態では、携帯網報知情報処理部12は、報知情報に含まれる複数パターンのパラメータから切替え判断に用いるパラメータを決定するのではなく、基地局30から受信した報知情報から読み出した共通パラメータと、AP40から受信した報知情報から読み出したAP個別のパラメータを用いて、セルの切替え判断に用いるパラメータを構成する。
第3の実施の形態のセル選択システムでは、携帯電話ネットワークの基地局30は、セル選択情報として、全AP40に共通のパラメータのみを送信するので、携帯電話ネットワークのセル32に含まれる他ネットワークのセル42の数に関わらず、報知情報のデータ量を抑制できる。
なお、AP40がそのAP40を選択している携帯端末のために、セル選択情報を報知情報(ビーコン)として送信している場合に、図11Cに記載の情報の一部、または全部がその中に含まれていることも考えられる。その場合には、携帯端末はその報知情報を再利用することも可能である。例えば図11Cの例で言うと、AP40が「Offset」をAP40を選択している携帯端末のために、セル選択情報として送信している場合には、新たにAP情報として送信することが必要な情報は「Scaling factor」のみとなる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態のセル選択システムについて説明する。第4の実施の形態のセル選択システムでは、携帯端末がWLANのセル42を選択した後も、携帯電話ネットワークの基地局30から送信される報知情報の電波強度が所定の閾値以上である場合には、基地局30から送信される報知情報に含まれるセル選択情報を用いてセル再選択処理を行う。
図12は、第4の実施の形態のセル選択システムの動作を説明するための図である。図12に示すように、携帯端末4は、新たに「MinimumSsearch」というパラメータを定義し、このパラメータを用いてセル選択の制御を行う。パラメータ「MinimumSsearch」の値より携帯電話ネットワークのセル32の電波強度が高ければ、WLANのセル42を選択した後であっても、基地局30から送信される報知情報に含まれるセル選択情報を用いてセル再選択処理を行う。
図13は、第4の実施の形態において用いられる携帯端末4の構成を示す図である。携帯端末4の基本的な構成は、第1の実施の形態の携帯端末1と同じであるが、携帯網情報使用決定部26を備える点が異なる。携帯網情報使用決定部26は、携帯網報知情報処理部12からパラメータ「MinimumSsearch」を受け取り、受け取ったパラメータ「MinimumSsearch」と携帯網品質測定部14からの測定結果と比較し、基地局30から送信される報知情報に含まれたセル選択情報を用いてセル選択処理を行うか否かを決定する。
セル再選択制御部22は、携帯網情報使用決定部26にて決定された結果に基づいて、基地局30から送信される報知情報に含まれるセル再選択情報を用いてセル再選択処理を行う。携帯端末4は、携帯電話ネットワークの電波強度がパラメータ「MinimumSsearch」以下になるまでは、携帯電話ネットワークのセル32以外のセル42を選択した後も、携帯電話ネットワークからの報知情報に含まれるセル選択情報を用いてセル再選択処理を行う。
以上より、第4の実施の形態のセル選択システムは、WLANにセル再選択の機能が十分に備わっていない場合でも、携帯電話ネットワークに接続している時と同様に、セル再選択処理を行うことができる。
なお、以上で携帯電話網とWLANといった複数の通信プロトコルの場合に関して示したが、携帯電話網において全てのユーザーを収容するための一般基地局と、ユーザーのホームユース等に使用される小型の家庭用基地局(Home NodeB、Home eNodeB等と呼ばれる)とが存在する場合に関しても本発明を適用することが可能である。例えば、家庭用基地局が、ショッピングモール、レストラン、キャンパス、コーポレート等で不特定多数のユーザーに使用されるような場合にそれぞれの家庭内基地局に対して端末が異なる動作をすることが必要となる場合が想定され、複数のWLANのAPが存在する場合と同じ課題が存在する。そのため、実施の形態1−4で記載した携帯電話網を全てのユーザーを収容するための一般基地局を有する網(またはネットワーク)とみなし、WLANのAPを家庭用基地局(またはそれを有する網、ネットワーク)とみなすことで、実施の形態1−4で記載した基地局を家庭用基地局のケースに適用することが可能である。
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形態に対して多様な変形が可能なことが理解され、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
以上説明したように、本発明によれば、報知情報のデータ量を抑制できるというすぐれた効果を有し、例えば、携帯電話網とWLANといった複数の通信プロトコルに対応した携帯電話が通信に用いるセルを選択する際に適用する技術として有用である。