JPWO2009038182A1 - システム同定装置及びシステム同定方法 - Google Patents

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Abstract

第1の入力端子と第2の入力端子との間に介在する未知システムを同定するシステム同定装置を以下のように構成する。そのシステム同定装置は、第1の入力端子から供給される信号を入力とする適応フィルタおよび従属フィルタと、適応フィルタのフィルタ係数に基づいて、従属フィルタのフィルタ係数を更新する従属フィルタ係数更新部と、第2の入力端子から供給される信号から、適応フィルタの出力信号を減算する第1の減算器と、第1の減算器の出力信号から、第1の出力誤差平均を算出する第1の出力誤差平均算出部と、第2の入力端子から供給される信号から、従属フィルタの出力信号を減算する第2の減算器と、第2の減算器の出力信号から、第2の出力誤差平均を算出する第2の出力誤差平均算出部と、第1の出力誤差平均と第2の出力誤差平均とを比較する比較器とを備えることが好ましい。そして、第1の出力誤差平均算出部は、第1の減算器の出力信号の周波数帯域のうち、第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から第1の出力誤差平均を算出する。第2の出力誤差平均算出部は、第2の減算器の出力信号の周波数帯域のうち、第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から第2の出力誤差平均を算出する。そして、第1の減算器の出力信号による適応フィルタのフィルタ係数の更新、または、従属フィルタ係数更新部による従属フィルタのフィルタ係数の更新の少なくとも一方は、比較器の比較結果に基づいて制御される。

Description

本発明は、未知システムを同定するためシステム同定装置及びシステム同定方法に関する。
適応フィルタによる未知システム同定の応用として、エコーキャンセラ、ノイズキャンセラ、ハウリングキャンセラ、適応等化器などが知られている。ここでは、ハンズフリー通話時など、スピーカからマイクへ漏れ込むエコーを除去するエコーキャンセラを例として、システム同定装置及びシステム同定方法に関連する技術を説明する。
図12はエコーキャンセラの構成を説明する図である。遠端からの音声が端子5から入力されスピーカ1から再生される。再生された遠端音声は、空間などのエコー経路を経由してマイクロホン2へエコーとして漏れ込む。マイクロホン2では、エコー以外に、近端音声も供給される。
エコーキャンセラ3は、エコー経路のインパルス応答長をシステム同定する適応フィルタを用いて、送信信号に対応した疑似エコー(エコーレプリカ)を生成することにより、音声がアンプ、スピーカ1などを経由してマイクロホン2へ漏れ込むエコーを抑圧するように動作する。このとき、適応フィルタの各フィルタ係数は、エコーと受信信号の混在する信号からエコーレプリカを差引いて得られる誤差信号と、送信信号との相関をとることにより、修正・推定される。誤差信号では、エコーが抑圧された近端音声が得られ、端子4から遠端へと送られる。このような適応フィルタにおけるフィルタ係数の係数修正アルゴリズム・適応アルゴリズムの代表的なものとして、LMSアルゴリズム、学習同定法、RLSアルゴリズム、アフィン射影アルゴリズムが知られている。
しかし、実際にはマイクロホン2に、エコー以外に、近端での音声や騒音などの観測雑音が混在するため、適応フィルタの各フィルタ係数の修正・推定に誤差が生じる。このフィルタ係数の誤差は、エコー抑圧性能の低下として現れる。
そこで、このような適応フィルタのフィルタ係数の修正・推定の誤差を低減するシステム同定の方法が、特許第3187716号公報(特許文献1)に提示されている。
図13を参照すると、特許文献1に記載された技術(以下、第1の関連技術と称す)は、適応フィルタ20および従属フィルタ40という2つのフィルタと、適応フィルタ20のフィルタ係数を従属フィルタ40にコピーするフィルタ係数コピー制御部31と、端子12に加わる所望信号から適応フィルタ20の出力を減算する減算器50と、減算器50の出力の時間的な平均値を算出する出力誤差平均算出部80と、端子12に加わる所望信号から従属フィルタ40の出力を減算する減算器60と、減算器60の出力の時間的な平均値を算出する出力誤差平均算出部81と、2つの出力誤差平均算出部81の出力を比較して、比較結果を適応フィルタ20およびフィルタ係数コピー制御部31へ出力する比較器82とを備え、比較器82の比較結果に応じて適応フィルタ20のステップサイズおよびフィルタ係数コピー制御部31によるコピーの可否を制御するようにしている。具体的には以下のように動作する。
端子10から入力された遠端信号は、適応フィルタ20および従属フィルタ40へと送られる。適応フィルタ20は、端子10から受けた遠端信号とフィルタのタップ係数の畳み込みを行い、畳み込みの結果を減算器50へと送る。また、フィルタ係数群をフィルタ係数コピー制御部31へと送る。これらのフィルタ係数群は、減算器50が出力する出力誤差と比較器82からの比較結果とに基づいて、内部の適応アルゴリズムによって修正・更新される。
フィルタ係数コピー制御部31は、適応フィルタ20からのフィルタ係数群と、比較器82からの比較結果とを受け、比較結果に基づいて、フィルタ係数群をコピーするか否かを決定し、コピーすると決定した場合にフィルタ係数群を従属フィルタ40へと送る。
従属フィルタ40は、フィルタ係数コピー制御部31から受けたフィルタ係数群に、端子10から受けた入力信号を畳み込んで、畳み込んだ結果を減算器60へと送る。
減算器50は、適応フィルタ20からの出力信号を、端子12から受けた所望信号(図12におけるマイクロホン2からの信号)から減じて、減じた結果を、出力誤差信号として、適応フィルタ20に送るとともに、出力誤差平均算出部80へと送る。減算器60は、従属フィルタ40からの出力信号を、端子12から受けた所望信号から減じて、減じた結果を、出力誤差信号として、出力端子14から出力するとともに、出力誤差平均算出部81へと送る。
出力誤差平均算出部80は、入力された出力誤差の電力や絶対値の時間平均など、誤差の大きさを示す指標(特許文献1では電力とよばれている)を算出し、比較器82へと送る。出力誤差平均算出部81も出力誤差平均算出部80と同様の動作を行う。
比較器82は、出力誤差平均算出部80および出力誤差平均算出部81から受けた誤差の大きさを示す指標を受けて、その大小関係を判定し、判定結果を適応フィルタ20およびフィルタ係数コピー制御部31へと送る。
フィルタ係数コピー制御部31は、比較器82からの判定結果を受け、出力誤差平均算出部80の出力値の方が出力誤差平均算出部81よりも小さい場合には、適応フィルタ20が収束の途中であると判断し、適応フィルタ20のフィルタ係数を従属フィルタ40にコピーする。その理由は、出力誤差平均算出部80の出力値(つまり適応フィルタ20の出力誤差平均)が出力誤差平均算出部81の出力値(つまり従属フィルタ40の出力誤差平均)より小さいときは、従属フィルタ40のフィルタ係数よりも適応フィルタ20のフィルタ係数の方がより正確であるためである。逆に、出力誤差平均算出部80の出力値の方が出力誤差平均算出部81よりも小さくない場合には、出力誤差平均が小さくなっている従属フィルタ40のフィルタ係数を出力誤差平均が大きい適応フィルタ20のフィルタ係数で更新してしまうことになるため、コピーは行わない。
また適応フィルタ20は、比較器82からの判定結果を受け、出力誤差平均算出部80の出力値の方が出力誤差平均算出部81よりも小さい場合には、収束速度を速めるためにステップサイズを大きくし、それ以外の場合にはステップサイズを小さくする。
このように特許文献1に記載されたシステムでは、適応フィルタ20とこの適応フィルタ20のフィルタ係数をコピーしたフィルタ係数を用いる従属フィルタ40との2つのフィルタを用い、従属フィルタ40のフィルタ係数を適切に更新することにより、より精度の高いシステム同定を行っている。
ここで、適応フィルタ20、フィルタ係数コピー制御部31、従属フィルタ40は、本発明の実施の形態でも使用される要素であるため、その構成例について詳細に説明する。
図14は、適応フィルタ20の構成例を示す図である。適応フィルタ20は、大きく分けて、畳み込み計算部と適応アルゴリズム部とから構成される。ここでは畳み込み計算部におけるフィルタとしてMタップのFIRフィルタを用い、適応アルゴリズムとして学習同定法を用いた場合を図示している。図13における端子10の入力信号は、端子201から入力され、遅延器群210m(m=1、2、…、M)においてタップつきの遅延信号群に変換されるとともに、電力逆数計算部221へと送られる。遅延器群210mで生成された遅延信号群は乗算器群206mへと送られ、適応アルゴリズムにより修正されたフィルタ係数群のうち対応するものに乗じられ、加算器群211mにおいてその総和が計算され、端子299より出力され、図13における減算器50へと送られる。
電力逆数計算部221は、入力信号の電力にタップ数Mを乗じた値、あるいは遅延信号群をベクトルと解釈した際の自乗ノルムを計算し、さらにその逆数を算出した結果を出力として、乗算器223へと送る。端子202から入力された比較器82からの比較結果はステップサイズ計算部222においてステップサイズへと変換され、乗算器223において、電力逆数計算部221からの出力結果に乗じられ、結果は乗算器224へと送られる。乗算器224は、端子203から供給された出力誤差(これは図13における減算器50から供給されたものである)に、乗算器223からの出力結果を乗じて、結果の値を乗算器群209mへと送る。乗算器群209mは、遅延器群210mからそれぞれ対応する遅延信号を受けて、乗算器224からの値を乗じて、加算器群208mの対応する加算器へとそれぞれ送る。加算器群208mは、遅延器群207mの対応する遅延器からの信号と、対応する乗算器209mの信号を受けて、その和を計算し、対応する遅延器207mへと送る。遅延器群207mは、それぞれ対応する加算器208mの信号を受けて、1サンプル遅延した信号を対応する加算器208mへと送るとともに、フィルタ係数群として、畳み込みを行うための乗算器群206mへと送る。また、フィルタ係数群は、端子群205mを通じて図13におけるフィルタ係数コピー制御部31へと送られる。
次に、図13におけるフィルタ係数コピー制御部31の構成の詳細について説明する。
図15はフィルタ係数コピー制御部31の構成例を示す図である。フィルタ係数コピー制御部31は、図13の適応フィルタ20から供給されたフィルタ係数群を端子群310mを通して受け、スイッチ群313mの対応するスイッチへと送る。また図13の比較器82からの判定結果が端子312を通して、スイッチ群313mへと供給される。スイッチ群313mは、端子群310mから対応するフィルタ係数群と、遅延器群315mから1サンプル前のフィルタ係数群とを受けて、端子312からの比較判定結果に基づいて、どちらかのフィルタ係数群を新たなフィルタ係数群として遅延器群315mおよび端子群319mを通じて、図13の従属フィルタ40へと送る。比較判定結果から適応フィルタ20が収束途中であると判定された場合は、新たなフィルタ係数として、端子群310mから供給されたフィルタ係数群を選択する。これは適応フィルタ20からのフィルタ係数を、従属フィルタ40のフィルタ係数としてコピーすることになる。一方、比較判定結果から適応フィルタ20が収束済みであり、観測雑音が支配的となっていると判定された場合は、1サンプル前のフィルタ係数群を選択する。これは従属フィルタ40のフィルタ係数が変化しないことになり、1サンプル、あるいはそれ以前のフィルタ係数が用いられることになる。
図13における従属フィルタ40の構成の詳細について説明する。図16は、従属フィルタ40の構成例を示す図である。この構成は図14において説明した適応フィルタ20を構成する畳み込み計算部と同様である。図13における入力信号が端子410を通じて入力され、遅延器群415mにおいて遅延信号群に変換され、端子群411mを通じてフィルタ係数コピー制御部31から供給されたフィルタ係数群と、乗算器群413mと加算器群414mにおいて畳み込まれ、畳み込んだ結果が端子419から出力される。
以上説明してきた第1の関連技術の構成では、適応フィルタ20が収束の途中である場合には、1サンプルあるいはそれ以前のフィルタ係数を用いている従属フィルタ40の出力誤差(すなわち減算器60の出力結果)よりも、適応フィルタ20の出力誤差(すなわち減算器50の出力結果)の方が、出力誤差平均は小さくなる。一方、適応フィルタ20が十分収束し、観測雑音が支配的となった場合は、1サンプルあるいはそれ以前のフィルタ係数を用いている従属フィルタ40の出力誤差(すなわち減算器60の出力結果)よりも、適応フィルタ20の出力誤差(すなわち減算器50の出力結果)の方が、出力誤差平均は大きくなる。したがって比較器82の判定結果から、収束状況の判定を行うことができる。
収束状況の判定結果に基づいてフィルタ係数コピー制御部31の制御を行うことにより、従属フィルタ40のフィルタ係数として、適応フィルタ20のフィルタ係数が、従属フィルタ40のそれより悪い場合のフィルタ係数は用いられにくくなる。逆に言うと望ましいフィルタ係数を用いていることになる。さらに、この収束状況の判定結果に基づいて、適応フィルタ20における適応アルゴリズムのステップサイズを制御するなど、適応フィルタ20において、より望ましい制御が行える。望ましい制御とは、具体的には、システム同定の精度を低下させるような誤った制御を行う可能性が低い制御のことである。以上のように、第1の関連技術では、適応フィルタ20のより望ましい制御が可能となった結果、従属フィルタ40として、精度の高いシステム同定を行うことができる。
第1の関連技術と構成は異なるが、同様に複数のフィルタの出力誤差平均を比較し、適応フィルタの制御を行う手法が、「平均化係数を有するスレーブフィルタに基づいた可変ステップアルゴリズム」、1994年電子情報通信学会春季大会、講演論文集 1-172ページ(以下、第2の関連技術と称す)において提案されている。
第2の関連技術の構成を図17に示す。図13に示す第1の関連技術との差異は、フィルタ係数コピー制御部31がフィルタ係数平滑部32で置換されていること、および、比較器82の比較判定結果が適応フィルタ20にのみ供給されていることである。フィルタ係数平滑部32は、適応フィルタ20から受けたフィルタ係数群を時間方向に平滑化した値、すなわち時間平均を計算し、従属フィルタ40のフィルタ係数としている。
フィルタ係数平滑部32の構成例を図18に示す。ここでは適応フィルタ20からのフィルタ係数をそれぞれ1次IIR型の低域通過フィルタ(LPF)により構成された場合の例を示している。端子群320mを通じて適応フィルタ20からのフィルタ係数群が供給され、対応する減算器321mへと送られる。減算器321mは、端子320mから受けたフィルタ係数から、遅延器325mから供給された現サンプルのフィルタ係数を減じて、乗算器323mへと送る。乗算器323mは、減算器321mから受けた値に、平滑化係数決定部322から受けた平滑化係数を乗じて、加算器324mへと送る。加算器324mは、乗算器323mおよび遅延器325mから供給された1サンプル前のフィルタ係数を受けて、それらの和を計算し、次サンプルのフィルタ係数として、遅延器325mへと送る。遅延器325mは、加算器324mから受けた次サンプルのフィルタ係数を受けて、1サンプル遅延させた値を、現サンプルのフィルタ係数として、端子329mから従属フィルタ40へと供給するととともに、減算器321mおよび加算器324mへと送る。減算器321mから遅延器325mまでが低域通過フィルタを構成している。またその低域通過フィルタの時定数すなわち平滑化の程度が、平滑化係数決定部322によって決まることになる。
従属フィルタ40のフィルタ係数は、低域通過フィルタの群遅延の分だけ、適応フィルタ20のフィルタ係数より遅れた挙動を示す。また、適応フィルタ20のフィルタ係数は、観測雑音により撹乱されているが、平滑化されて得られた従属フィルタ40のフィルタ係数は撹乱の程度が小さくなる。この効果が、比較器82において出力誤差平均を比較した際にどう現れるかについて説明する。
適応フィルタ20が収束中である場合は、適応フィルタ20のフィルタ係数はより望ましい方向、すなわち出力誤差平均が小さくなる方向に修正されているのに対し、従属フィルタ40のフィルタ係数は、遅れた挙動の効果により、適応フィルタ20と比較して、出力誤差平均が大きくなる。一方、適応フィルタ20がほぼ収束し、出力誤差において観測雑音が支配的となった場合は、適応フィルタ20のフィルタ係数が観測雑音に撹乱されているのに対し、従属フィルタ40のフィルタ係数は平滑化されている分だけ撹乱の程度が少ない。その結果、適応フィルタ20の出力誤差平均(出力誤差平均算出部80の出力)よりも、従属フィルタ40の出力誤差平均(出力誤差平均算出部81の出力)のほうが小さくなる。このことを用いて、適応フィルタ20の収束状況を判定することができる。この収束状況の判定結果に基づいて、適応フィルタ20のステップサイズを制御することにより、適応フィルタ20の出力誤差をさらに小さくすることができる。具体的には、適応フィルタ20が収束の途中であれば、ステップサイズを大きくして収束速度を速め、収束していればステップサイズを小さくすることで観測雑音による影響を緩和する。
以上の結果、第2の関連技術の適応フィルタ20あるいは従属フィルタ40において、精度の高いシステム同定を行うことができる。
以上説明してきた第1の関連技術および第2の関連技術を一般化すると図19のように図示することができる。図19では、図13におけるフィルタ係数コピー部31と、図17におけるフィルタ係数平滑部32を、従属フィルタ係数更新部30として一般化している。適応フィルタ20および従属フィルタ40の出力誤差平均を比較した結果(比較器82の出力)に基づいて、適応フィルタ20のステップサイズと、従属フィルタ係数更新部30の一方、あるいは両方を制御することにより、出力誤差の少ない信号を出力端子14から得ている。
しかし、端子12に非常に大きな観測雑音が混入した場合、特に、観測雑音に直流成分などの低周波成分が多い場合や観測雑音が狭帯域信号(たとえば周期信号)である場合、観測雑音の強い自己相関の影響により、従属フィルタ20のフィルタ係数が誤った方向に更新されるという誤動作が生じる場合がある。その理由は次の通りである。図19において、端子12に大きな観測雑音が混入すると、減算器50および減算器60の出力誤差が最初はともに大きくなろうとする。しかし、適応フィルタ20は大きくなった出力誤差を小さくする方向にフィルタ係数を更新する結果、減算器50の出力誤差が小さくなっていくのに対し、減算器60の出力誤差は従属フィルタ40のフィルタ係数の更新が遅れるために減算器50の出力誤差のようには小さくならない。このため、適応フィルタ20の出力誤差平均が従属フィルタ40の出力誤差平均より小さくなる。そのために、適用フィルタ20のステップサイズが大きくなり、且つ、従属フィルタ係数更新部30により従属フィルタ40のフィルタ係数が適応フィルタ20のフィルタ係数に近づくように更新される。
このように適応フィルタ20のステップサイズの制御および従属フィルタ係数更新部30の制御が誤ったために、適応フィルタ20のフィルタ係数が観測雑音にひどく撹乱された望ましくない方向に修正されると、エコー経路のシステム同定の精度が低下し、結果として、出力端子14で得られる出力信号において、エコーが十分に除去されないことになる。
一方、観測雑音による悪影響を軽減しようとして、端子12に混入した観測雑音の成分を低域遮断フィルタや帯域遮断フィルタによって除去した場合、端子12に供給される所望信号の一部が同時に除去されてしまうために、エコー経路のシステム同定そのものが困難になる。
本発明の目的は、所望信号に混入する観測雑音によってシステム同定が正確に行えないという上述した課題を解決するシステム同定の方法と装置を提供することにある。
その課題を解決するために、第1の入力端子と第2の入力端子との間に介在する未知システムを同定するシステム同定装置を以下のように構成する。そのシステム同定装置は、第1の入力端子から供給される信号を入力とする適応フィルタおよび従属フィルタと、適応フィルタのフィルタ係数に基づいて、従属フィルタのフィルタ係数を更新する従属フィルタ係数更新部と、第2の入力端子から供給される信号から、適応フィルタの出力信号を減算する第1の減算器と、第1の減算器の出力信号から、第1の出力誤差平均を算出する第1の出力誤差平均算出部と、第2の入力端子から供給される信号から、従属フィルタの出力信号を減算する第2の減算器と、第2の減算器の出力信号から、第2の出力誤差平均を算出する第2の出力誤差平均算出部と、第1の出力誤差平均と第2の出力誤差平均とを比較する比較器とを備えることが好ましい。そして、第1の出力誤差平均算出部は、第1の減算器の出力信号の周波数帯域のうち、第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から第1の出力誤差平均を算出する。
第2の出力誤差平均算出部は、第2の減算器の出力信号の周波数帯域のうち、第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から第2の出力誤差平均を算出する。
そして、第1の減算器の出力信号による適応フィルタのフィルタ係数の更新、または、従属フィルタ係数更新部による従属フィルタのフィルタ係数の更新の少なくとも一方は、比較器の比較結果に基づいて制御される。
本発明によれば、出力誤差から誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減し、この低減された出力誤差の比較結果に基づいて制御を行うため、所望信号に観測雑音が混入した場合であってもシステム同定を正確に行うことができる。
上記発明の目的、効果、特徴は、添付される図面と連携して実施の形態の記述から、より明らかになる。
本発明の第1の実施の形態のブロック図。 本発明の第1の実施の形態のブロック図。 低域遮断フィルタの構成例を示すブロック図。 低域遮断フィルタの構成例を示すブロック図。 低域遮断フィルタの構成例を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態のブロック図。 本発明の第1の実施の形態のブロック図。 フィルタ係数平滑部の構成例を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態のブロック図。 本発明の第1の実施の形態の効果を示すシミュレーション実験結果の例。 雑音低減出力誤差算出部の別の構成例を示すブロック図。 雑音低減出力誤差算出部の別の構成例を示すブロック図。 本発明の別の実施の形態のブロック図。 エコーキャンセラの構成を示すブロック図。 本発明の関連技術の構成を示すブロック図。 適応フィルタの構成例を示すブロック図。 フィルタ係数コピー制御部の構成例を示すブロック図。 従属フィルタの構成例を示すブロック図。 本発明の他の関連技術の構成を示すブロック図。 フィルタ係数平滑部の構成例を示すブロック図。 本発明の関連技術のブロック図。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。しかしながら、係る形態は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態のブロックである。図19に示す一般化された関連技術との差異は、出力誤差平均算出部80の前段に低域遮断フィルタ70が挿入され、出力誤差平均算出部81の前段に低域遮断フィルタ71が挿入されていることである。低域遮断フィルタ70を挿入する場所は、減算器50の出力を適応フィルタ20と出力誤差平均算出部80とに分岐する分岐点と出力誤差平均算出部80との間であれば、任意で良い。また、低域遮断フィルタ71を挿入する場所は、減算器60の出力を出力端子14と出力誤差平均算出部81とに分岐する分岐点と出力誤差平均算出部81との間であれば、任意で良い。ここで、携帯電話機などによるハンズフリー通話の場合、所望信号の周波数帯域は300Hz〜3.4kHz程度であり、低域遮断フィルタ70、71は300Hz〜500乃至1000Hzを遮断帯域とする。また、2つの低域遮断フィルタ70、71はその特性がほぼ等しいことが望まれる。なお、図1では減算器60の出力を出力端子14に接続しているが、減算器50の出力を出力端子14に接続するようにしても良い。
低域遮断フィルタ70と出力誤差平均算出部80は、雑音低減出力誤差算出部72を構成しており、低域遮断フィルタ71と出力誤差平均算出部81は、雑音低減出力誤差算出部73を構成している。
雑音低減出力誤差算出部72は、減算器50から出力される誤差信号の低域成分を低域遮断フィルタ70により除去し、残りの成分から出力誤差信号の電力や絶対値の時間平均など、誤差の大きさを示す出力誤差平均を出力誤差平均算出部80により算出して、比較器82へと送る。同様に、雑音低減出力誤差算出部73は、減算器60から出力される誤差信号の低域成分を低域遮断フィルタ71により除去し、残りの成分から出力誤差信号の電力や絶対値の時間平均など、誤差の大きさを示す出力誤差平均を出力誤差平均算出部81により算出して、比較器82へと送る。
比較器82は、出力誤差平均算出部80および出力誤差平均算出部81から出力誤差平均を受けて、その大小関係を判定し、判定結果を適応フィルタ20および従属フィルタ係数更新部30へと送る。
従属フィルタ係数更新部30は、比較器82からの判定結果を受け、出力誤差平均算出部80で算出された出力誤差平均の方が出力誤差平均算出部81で算出された出力誤差平均よりも小さい場合には、適応フィルタ20が収束の途中であると判断し、適応フィルタ20のフィルタ係数に近づくように従属フィルタ40のフィルタ係数を更新する。逆に、出力誤差平均算出部80で算出された出力誤差平均の方が出力誤差平均算出部81で算出された出力誤差平均よりも小さくない場合には、そのような更新は行わないか、行われ難くする。
また適応フィルタ20は、比較器82からの判定結果を受け、出力誤差平均算出部80で算出された出力誤差平均の方が出力誤差平均算出部81で算出された出力誤差平均よりも小さい場合には、収束速度を速めるためにステップサイズを大きくし、それ以外の場合にはステップサイズを小さくする。
次に、低域遮断フィルタ70、71の作用効果について説明する。
まず、観測雑音の成分が、低域遮断フィルタ70、71で遮断される低周波のみである場合について説明する。
最初に、所望信号がなく、端子12に低周波の観測雑音だけが入力された場合を想定する。この場合、減算器50および減算器60の出力誤差が最初はともに大きくなるが、適応フィルタ20は大きくなった出力誤差を小さくする方向にフィルタ係数を更新する結果、減算器50の出力誤差が小さくなっていくのに対し、減算器60の出力誤差は従属フィルタ40のフィルタ係数の更新が遅れるために小さくならず、「減算器50の出力誤差<減算器60の出力誤差」という状態になる。低域遮断フィルタ70、71が存在しない図19の関連技術では、「減算器50の出力誤差<減算器60の出力誤差」という状況が生じると、そのまま「出力誤差平均算出部80で算出される出力誤差平均<出力誤差平均算出部81で算出される出力誤差平均」という結果に直ちに結びつく。しかし、本実施の形態では、減算器60の出力誤差が大きくなっても、その原因となった低周波の観測雑音の成分が低域遮断フィルタ71で遮断されるため、「減算器50の出力誤差<減算器60の出力誤差」という状況がそのまま「出力誤差平均算出部80で算出される出力誤差平均<出力誤差平均算出部81で算出される出力誤差平均」という結果に直ちには結びつかない。このため、端子12に混入する低周波の観測雑音の影響を受けて、適応フィルタ20の収束状況の判定を誤る確率が低下し、その分、高精度なシステム同定が可能となる。
次に、端子12に所望信号と低周波の観測雑音が混在した信号が入力された場合を想定する。この場合も、減算器50および減算器60の出力誤差が最初はともに大きくなり、また、適応フィルタ20は大きくなった出力誤差を小さくする方向にフィルタ係数を更新する結果、減算器50の出力誤差が小さくなっていくのに対し、減算器60の出力誤差は従属フィルタ40のフィルタ係数の更新が遅れるために小さくならず、「減算器50の出力誤差<減算器60の出力誤差」という状態になる。しかし、減算器60の出力誤差が大きくなった原因のうち、低周波の観測雑音の成分および所望信号の低周波成分は低域遮断フィルタ71で遮断されるが、所望信号の高周波成分は低域遮断フィルタ71を通過して出力誤差平均算出部81に伝達されるため、「出力誤差平均算出部80で算出される出力誤差平均<出力誤差平均算出部81で算出される出力誤差平均」という結果に至る。この結果、比較器82の比較結果により適応フィルタ20は収束の途中と判定され、適応フィルタ20のステップサイズの増大、従属フィルタのフィルタ係数の更新が行われることになる。
次に、観測雑音が、低域遮断フィルタ70、71で遮断されない高周波をも含む場合について説明する。
観測雑音の成分の中で低周波成分は自己相関が強いので上述したように誤動作の大きな要因となる。しかし、高周波成分は低周波成分に比べて自己相関が弱いので、レベルが大きくない限り、誤動作の要因にはなり難い。その理由は次の通りである。
端子12に高周波の観測雑音だけが入力された或る時点で、減算器50の出力誤差が大きくなったとすると、適応フィルタ20はその大きくなった出力誤差を小さくする方向にフィルタ係数を更新する。この場合、観測雑音が低周波成分であれば混入する観測雑音のレベルの変化が遅いので、その後に減算器50の出力誤差は徐々に小さくなっていく。しかし、観測雑音が高周波成分の場合、次の時点では混入する観測雑音のレベルが変化しているため、減算器50の出力誤差が徐々に小さくなるとは限らず、小さくなったり、逆に大きくなったりする挙動を示す。その結果、減算器50の出力誤差平均が減算器60の出力誤差平均より必ず小さくなるとは限らない。このため、端子12に混入する高周波の観測雑音の影響を受けて、適応フィルタ20の収束状況の判定を誤る確率は、低周波の観測雑音の場合に比べると小さくなる。
他方、観測雑音の高周波成分のレベルに比べて充分大きなレベルの高周波成分を含む所望信号が存在する場合には、所望信号の高周波成分の存在によって、「出力誤差平均算出部80で算出される出力誤差平均<出力誤差平均算出部81で算出される出力誤差平均」という結果に至る。この結果、比較器82の比較結果により適応フィルタ20は収束の途中と判定され、適応フィルタ20のステップサイズの増大、従属フィルタのフィルタ係数の更新が行われることになる。
以上のことから、本実施の形態では、観測雑音の成分の中で誤動作の大きな要因となっている自己相関の強い低周波成分(低域成分)だけを低減するために、低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71を使用している。
次に本実施の形態の構成要素の詳細について説明する。
図1の構成要素のうち、低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71以外の構成要素は、図19で説明した関連技術におけるものと同じである。従って、例えば適応フィルタ20は図14に例示されるような構成で実現でき、従属フィルタ40は図16に例示されるような構成で実現できる。また、従属フィルタ係数更新部30は、関連技術がそうであったように例えば図15に示すフィルタ係数コピー制御部や図18に示すフィルタ係数平滑部などで実現できる。なお、詳細については、後述する。さらに、低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71は、同じ構成であり、例えば図3A〜図3Cに示すような回路で実現できる。
図3Aは1次のFIRフィルタで低域遮断フィルタを実現している構成例である。端子700から入力された出力誤差は、遅延器701および減算器702に供給される。遅延器701は端子700から供給された信号を1サンプル遅延し、減算器702へと供給する。減算器702は、端子700から供給された信号から、遅延器701から供給される遅延された信号を減じて、結果を端子709から出力する。この出力結果は出力誤差算出部80(または81)へと送られる。
図3Bは1次のFIRフィルタを2段縦列接続することにより、より鋭い低域遮断を実現している。
図3Cは1次のIIRフィルタで低域遮断フィルタを実現している。端子700から入力された出力誤差は、減算器711および減算器716に供給される。減算器711は端子700から供給された信号から、遅延器715から供給される信号を減じて、結果を乗算器713へと送る。乗算器713は、減算器711から受けた信号に、端子712から供給される定数を乗じて、加算器714へと送る。加算器714は乗算器713からの信号および遅延器715からの信号を加算し、結果を遅延器715へと送る、遅延器715は、加算器714から受けた信号を1サンプル遅延させて、減算器716へと送る。減算器716は、端子700から受けた信号から、遅延器715から受けた信号を減じて、結果を出力端子709から出力する。この出力結果は出力誤差算出部80(または81)へと送られる。
図3A〜Cで示した構成例は、いずれも直流成分を通さない低域遮断フィルタとなっており、本実施の形態における低域遮断フィルタ70、71として使用することができる。図3A〜Cに示した構成例以外にも、低域を遮断、あるいは低減する特性をもつフィルタであれば、低域遮断フィルタ70、71として用いることが可能である。低域遮断の特性は使用するフィルタの構成によって異なるが、観測雑音の低域がどれだけ強いかに応じて適切な特性を達成するフィルタの構成を選択すればよい。
次に本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態によれば、所望信号に観測雑音が混入しても、未知システム(端子10と端子12間に介在するエコー経路)の同定を正確に行うことができる。その理由は、低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71によって観測雑音の成分の中で誤動作の大きな要因となっている自己相関の強い低周波成分を減算器50および減算器60の誤差信号から取り除いた残りの信号から出力誤差平均を求めるようにしているため、適応フィルタ20の収束状況の判定を誤る確率が低下し、その分、正確なシステム同定が可能になるためである。
また観測雑音による悪影響を軽減しようとして、端子12に混入した観測雑音の成分を例えば端子12と減算器50および減算器60との間に設けた低域遮断フィルタや帯域遮断フィルタによって除去した場合、所望信号からその低周波成分を除去した後の信号が実質的な所望信号となるためにエコー経路のシステム同定そのものが困難になるが、本実施の形態の場合は、減算器50および減算器60の出力誤差平均を算出するための信号から低周波成分を除去するため、そのような問題は生じない。
次に、本発明の第1の実施の形態の具体例について図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態において、図1の従属フィルタ係数更新部30としてフィルタ係数コピー制御部31を使用する場合の構成を例示している。フィルタ係数コピー制御部31は、例えば図15に示したような構成で実現される。
図13に示す関連技術と比較して、図2に示される本実施形態の構成は、出力誤差平均算出部80および出力誤差平均算出部81の前段に低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71がそれぞれ挿入されている点で相違する。
低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71により、出力誤差における観測誤差の影響を大きく低減し、より正確な収束状況判定を行うことが可能となり、適応フィルタ20およびフィルタ係数コピー制御部31において、より望ましい制御を行うことが可能となる。
図4は、本発明の第1の実施の形態において、図1の従属フィルタ係数更新部30としてフィルタ係数平滑部32を使用する場合の構成を例示している。フィルタ係数平滑部32は、例えば図18に示したような構成で実現される。
図17に示す関連技術と比較して、図4に示される本実施形態の構成は、出力誤差平均算出部80および出力誤差平均算出部81の前段に低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71がそれぞれ挿入されている点で相違する。この差異の効果は、図2に示される本実施形態の構成と同様であり、より正確な収束状況判定を行うことが可能となり、適応フィルタ20において、より望ましい制御を行うことが可能となる。
図5は、フィルタ係数平滑部32をフィルタ係数平滑部33に置き換えた場合の、本実施形態の構成を例示している。また、図5に示される構成は、比較器82の判定結果がフィルタ係数平滑部33へも供給されている。
フィルタ係数平滑部33は、その平滑化係数が比較器82から供給される判定結果によって時変制御される点で、平滑化係数が時不変の定数であるフィルタ係数平滑部32と相違する。
フィルタ係数平滑部33の構成例を図6に示す。図18に示すフィルタ係数平滑部32の構成例との差異は、平滑化係数決定部322の代わりに平滑化係数決定部331を備えていることである。
平滑化係数決定部331は、端子330を通じて比較器82から供給される判定結果に基づいて、乗算器323mに供給する平滑化係数を変化させる機能を有する。具体的には、比較器82からの判定結果から、適応フィルタ20が収束途中であると判定される場合は、平滑化係数決定部331は比較的大きな平滑化係数を出力する。これは平滑化の時定数を短くすることに相当し、従属フィルタ40のフィルタ係数が、適応フィルタ20のフィルタ係数に高速に追従するようにすることになる。一方、比較器82からの判定結果から、適応フィルタ20が収束し、出力誤差において観測雑音が支配的であると判定される場合、平滑化係数決定部331は小さな平滑化係数を出力する。これは平滑化の時定数を長くすることに相当し、観測雑音によって適応フィルタ20のフィルタ係数が撹乱されているものを抑制した係数を従属フィルタ40へと供給することになる。
平滑化係数が制御される場合も、収束状況の判定は重要であり、本発明の適用により誤判定の確率が低減することで、従属フィルタ40は、より正確なシステム同定を行うことが可能となる。
以上説明した実施形態においても、低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71により、出力誤差における観測誤差の影響を大きく低減し、より正確な収束状況判定を行うことが可能となり、適応フィルタ20およびフィルタ係数平滑部33において、より望ましい制御を行うことが可能となる。
図7は、比較器82から適応フィルタ20へ出力されていた判定結果の代わりに、固定値を使用する場合の、本実施形態の構成を例示している。
適応フィルタ20は、例えば図14に示す構成になっているため、比較器82の判定結果の代わりに固定値が端子202を通じてステップサイズ計算部222に供給されることにより、ステップサイズは常に一定になる。
本実施形態では、適応フィルタ20のステップサイズが一定である。具体的には、フィルタ係数平滑部33は、比較器82からの判定結果から、適応フィルタ20が収束途中であると判定される場合は、比較的大きな平滑化係数を使用する。これによって、適応フィルタ20のステップサイズが一定であっても、従属フィルタ40のフィルタ係数が、適応フィルタ20のフィルタ係数に比較的高速に追従するようになる。一方、比較器82からの判定結果から、適応フィルタ20が収束し、出力誤差において観測雑音が支配的であると判定される場合、フィルタ係数平滑部33は、小さな平滑化係数を使用する。これによって、適応フィルタ20のステップサイズが一定であっても、観測雑音によって適応フィルタ20のフィルタ係数が撹乱されているものを抑制した係数を従属フィルタ40へ供給することができる。
このように、適応フィルタ20のステップサイズの制御を行わなくても、フィルタ係数平滑部33の平滑化係数を適応フィルタ20の収束状況に応じて制御することによって、正確なシステム同定を行うことができる。そして、低域遮断フィルタ70および低域遮断フィルタ71により、出力誤差における観測誤差の影響を大きく低減し、より正確な収束状況判定を行うことが可能であるため、フィルタ係数平滑部33において、より望ましい制御を行うことが可能となる。
図8は、本実施形態の効果を示すシミュレーション実験結果の例である。図8の(a)はエコーと近端信号を含むマイクロホン信号波形、すなわち所望信号である。エコーの発生源である遠端信号として白色雑音を用い、近端音声として音声信号を用いている。図8の(b)は、図8の(a)の信号に含まれる近端信号の波形を示している。理想的には、矢印により「ダブルトーク」と書かれた区間を、「ダブルトーク」すなわち近端信号が支配的となっていると判定すべきである。図8の(c)は、図7において低域遮断フィルタ70、71を用いない場合の比較器82の判定結果を2値で示している。値が上の場合はダブルトークすなわち収束後と判定しており、値が下の場合は収束の途中と判定している。楕円で一部囲んであるように、検出誤りが多数発生している。これに対して、図8の(d)は図7において低域遮断フィルタ70、71を用いた場合の比較器82の判定結果を示している。低域遮断フィルタ70、71により検出誤りが低減し、より高精度な制御を行うことが可能であることが分る。
なお、本実施形態では、適応フィルタ20のステップサイズを、比較器82からの判定結果に応じて制御しなくても、フィルタ係数平滑部33における平滑化係数を比較器82からの判定結果に応じて制御さえすれば正確なシステム同定が可能になることを例示するものである。従って、適応フィルタ20のステップサイズは必ずしも固定値である必要はなく、比較器82の判定結果に基づく方法以外の任意の方法で制御される可変値であっても良い。
[第2実施形態]
適応フィルタ20の適応アルゴリズムとしては、LMSアルゴリズム以外に、学習同定法、射影アルゴリズム、RLSアルゴリズムを用いた場合についても、本発明を適用することができる。この場合、適応フィルタ20における適応アルゴリズムとしてRLSアルゴリズムを用いた場合は、制御の対象として、ステップサイズまたは/および忘却定数と呼ばれるパラメータを用いればよい。適応アルゴリズムとして射影アルゴリズムを用いた場合は、LMSアルゴリズムの場合と同様にステップサイズを制御すればよい。いずれのアルゴリズムを用いた場合でも、本発明の適用により収束状況の判定を誤る確率が低下することによって、望ましい制御が可能となる。このほか適応アルゴリズムとして、ここにあげたアルゴリズム以外のものを用いることができることは自明である。
第1の実施の形態では、誤動作の要因となっている観測雑音の成分が低周波あるいは不明である場合について説明したが、誤動作の要因となっている観測雑音の成分の周波数が限定できる場合には、図9に示すように、低域遮断フィルタ70、71の代わりに帯域遮断フィルタ75、76を用いることができる。ここで用いる帯域遮断フィルタ75、76は、誤動作の要因となっている観測雑音の成分が遮断され、かつ、入力信号の成分が残るような特性に設計すればよい。誤動作の要因となっている観測雑音の成分が複数の特定周波数帯域にわたって存在する場合は、帯域遮断フィルタ75、76の遮断帯域は複数であってもよい。誤動作の要因となっている観測雑音の成分が遮断されるため、第1の実施の形態と同様に、収束状況を誤って判定する確率が低下し、より精度の高いシステム同定が可能となる。また低域遮断フィルタ70、71で低域全体を遮断するのに比べ、同じ低域でも観測雑音の成分部分だけを帯域遮断することで、本来の入力信号の成分がより多く残るようになるので、収束状況の判定がより正確に行えるようになる。
上述の実施の形態では、誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減した出力誤差を得るための雑音低減出力誤差算出部72(73)が、低域遮断フィルタ70(71)と出力誤差平均算出部80(81)とから構成される場合について説明してきたが、異なる構成をとることも可能である。
図10は、雑音低減出力誤差算出部72の別の構成例を示すブロック図である。図10においては、雑音低減出力誤差算出部72は、フーリエ変換部721と電力算出部722とから構成されている。フーリエ変換部721は、減算器50から受けた信号を周波数領域信号に変換し、各周波数成分を出力する。各周波数成分のうち、誤動作の要因となっている観測雑音の周波数成分を除いた周波数成分が、電力算出部722に供給される。図10は、誤動作の要因となっている観測雑音の周波数成分が低周波である場合を図示しており、低域成分を除く周波数成分が電力算出部722に供給されている。電力算出部722は、供給された周波数成分の電力の総和を算出し、算出された電力の総和を、比較器82へと送る。
ここで電力算出部722が出力する電力の総和に注目すると、誤動作の要因となっている観測雑音の周波数成分を除いた周波数成分の電力となっており、図1における雑音低減出力誤差算出部72が出力する出力誤差平均と同様に、誤動作の要因となっている観測雑音の成分が低減された出力誤差平均となっていることが分かる。したがって、雑音低減出力誤差算出部72として、図10の構成を用いた場合にも、より正確な収束状況判定を行うことが可能となり、その結果、適応フィルタ20または従属フィルタ40において、より望ましい制御を行うことが可能となる。
雑音低減出力誤差算出部72におけるフーリエ変換部721を、コサイン変換やウェーブレット変換など、周波数に準じる領域に変換するブロックで置換しても同様の効果が得られることは明らかである。また電力算出部722を、電力を算出する構成ではなく、絶対値和などを算出する構成としても同様の効果が得られることは明らかである。
[第3実施形態]
上述の実施の形態では、適応フィルタ20および従属フィルタ40の2つのフィルタを使用する構成について説明したが、3つ以上のフィルタを使用してシステム同定を行う場合についても本発明は適用できる。図11に3つの適応フィルタを使用してシステム同定を行う実施の形態のブロック図を示す。
第3の実施の形態においては、ステップサイズの異なる3つの適応フィルタ20、23、24を用い、それらの適応フィルタの観測雑音の影響が低減された出力誤差平均を比較した結果に基づいて、3つの適応フィルタ20、23、24のステップサイズを制御している。適応フィルタ23、24の構成は、適応フィルタ20の構成と同一であり、例えば図14のように構成される。適応フィルタ20、23、24のステップサイズの大小関係は、例えば、適応フィルタ20のステップサイズが最小、適応フィルタ23のステップサイズが中間、適応フィルタ24のステップサイズが最大となっている。
適応フィルタ20、23、24のそれぞれの出力信号は、対応する減算器50、53、54に送られる。減算器50、53、54は、対応する適応フィルタ20、23、24の出力信号と、端子12から入力された所望信号、すなわち図12におけるマイクロホンの信号を受け、その差を計算し、出力する。それぞれの出力結果は、対応する雑音低減出力誤差算出部72、73、74へと供給される。雑音低減出力誤差算出部74の構成は雑音低減出力誤差算出部72、73と同一である。雑音低減出力誤差算出部72、73、74は、対応する減算器50、53、54からの信号を受けて、誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減した出力誤差平均を算出し、判定制御部88へと送る。判定制御部88は、雑音低減出力誤差算出部72、73、74から誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減した出力誤差平均を受けて、それらの大小関係を判定し、ステップサイズを制御する信号を適応フィルタ20、23、24へと送る。このステップサイズの制御は、例えば、適応フィルタ23からの出力誤差、すなわち、雑音低減出力誤差算出部73からの出力誤差平均が、他の2つより小さくなるように制御する。その際、ステップサイズの大小関係は維持する。
具体的には、適応フィルタ20の出力誤差平均が他の2つの適応フィルタ23、24の出力誤差平均よりも小さい場合には、ステップサイズは大きい方が望ましいということであるので、それぞれのステップサイズを大きくする。逆に、適応フィルタ24の出力誤差平均が他の2つの適応フィルタ20、23の出力誤差平均よりも小さい場合には、ステップサイズは小さい方が望ましいということであるので、それぞれのステップサイズを小さくする。また、適応フィルタ23の出力誤差平均が他の2つの適応フィルタ20、24の出力誤差平均よりも小さい場合には、3つのステップサイズは既に適切な領域に入っているということであるので、ステップサイズは変化させない。
以上のようなステップサイズ制御によって、3つのステップサイズが適切に制御され、エコーが充分に抑圧された出力信号が出力端子14から出力される。そして、この実施の形態においても、判定制御部88の入力となる信号の算出において、誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減されているため、収束状況の判定を誤る確率が低減され、望ましいステップサイズ制御を行うことが可能となる。
上述の実施の形態では、エコーキャンセラを例として説明してきたが、このほか、ノイズキャンセラ、ハウリングキャンセラ、適応等化器、適応マイクロホンアレイなどの適応フィルタによるシステム同定の応用においても本発明を用いることが可能である。また、適応アレイなど、未知システム同定以外の適応フィルタの応用であっても、出力誤差平均を最小化することを規範とする場合には、本発明を適用することが可能である。
上述してきた本実施形態におけるシステム同定装置の特徴をまとめると、以下のようになる。上述のシステム同定装置は、出力誤差を最小化することを規範とする適応フィルタあるいは従属フィルタを複数用い、適応フィルタまたは従属フィルタの出力誤差に基づいて、適応フィルタあるいは従属フィルタを制御するシステム同定装置であって、出力誤差に対して、誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減し、低減された出力誤差の比較結果に基づいて制御を行うことを特徴とする。
上述のシステム同定装置は、制御を行う対象として、適応フィルタのステップサイズ、または従属フィルタのフィルタ係数更新アルゴリズムを用いることを特徴とする。また、誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減するために、低域遮断フィルタを用いることを特徴とする。また、誤動作の要因となっている観測雑音の成分を低減するために、帯域遮断フィルタを用いることを特徴とする。また、従属フィルタのフィルタ係数更新は、比較結果に基づいて、適応フィルタのフィルタ係数をコピーすることによって行われることを特徴とする。また、従属フィルタのフィルタ係数更新は、比較結果に基づいて、適応フィルタのフィルタ係数を平滑化することによって行われることを特徴とする。
上述のシステム同定装置は、適応フィルタは、ステップサイズを制御可能なLMSアルゴリズムを使用し、比較結果に基づいてステップサイズを制御する。また、適応フィルタは、ステップサイズを制御可能な射影アルゴリズムを使用し、比較結果に基づいてステップサイズを制御する。また、適応フィルタは、ステップサイズまたは忘却定数を制御可能なRLSアルゴリズムを使用し、比較結果に基づいてステップサイズまたは忘却定数を制御することを特徴とする。
当業者は上記実施形態の様々な変形を容易に実施することができる。したがって、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、請求項やその均等物によって参酌される最も広い範囲で解釈される。また、この出願は、2007年9月20日に出願された日本出願特願2007−243329を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (12)

  1. 第1の入力端子と第2の入力端子との間に介在する未知システムを同定するシステム同定装置であって、
    前記第1の入力端子から供給される信号を入力とする適応フィルタおよび従属フィルタと、
    前記適応フィルタのフィルタ係数に基づいて、前記従属フィルタのフィルタ係数を更新する従属フィルタ係数更新部と、
    前記第2の入力端子から供給される信号から、前記適応フィルタの出力信号を減算する第1の減算器と、
    前記第1の減算器の出力信号から、第1の出力誤差平均を算出する第1の出力誤差平均算出部と、
    前記第2の入力端子から供給される信号から、前記従属フィルタの出力信号を減算する第2の減算器と、
    前記第2の減算器の出力信号から、第2の出力誤差平均を算出する第2の出力誤差平均算出部と、
    前記第1の出力誤差平均と前記第2の出力誤差平均とを比較する比較器と
    を備え、
    前記第1の出力誤差平均算出部は、
    前記第1の減算器の出力信号の周波数帯域のうち、前記第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から前記第1の出力誤差平均を算出し、
    前記第2の出力誤差平均算出部は、
    前記第2の減算器の出力信号の周波数帯域のうち、前記第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から前記第2の出力誤差平均を算出し、
    前記第1の減算器の出力信号による前記適応フィルタのフィルタ係数の更新、または、前記従属フィルタ係数更新部による前記従属フィルタのフィルタ係数の更新の少なくとも一方は、前記比較器の比較結果に基づいて制御されることを特徴とする
    システム同定装置。
  2. 請求の範囲1に記載のシステム同定装置において、
    前記第1の出力誤差平均算出部および前記第2の出力誤差平均算出部は、
    前記第1の減算器および前記第2の減算器の出力信号の周波数帯域のうちの低周波帯域の成分を低減することを特徴とする
    システム同定装置。
  3. 請求の範囲1または2に記載のシステム同定装置において、
    前記従属フィルタ係数更新部による前記従属フィルタのフィルタ係数の更新は、前記適応フィルタのフィルタ係数を、前記従属フィルタにコピーすることによって行われ、
    その更新を制御する場合の前記コピーの可否は、前記比較器の比較結果に基づいて、制御されることを特徴とする
    システム同定装置。
  4. 請求の範囲1または2に記載のシステム同定装置において、
    前記従属フィルタ係数更新部による前記従属フィルタのフィルタ係数の更新は、前記適応フィルタのフィルタ係数を平滑化して前記従属フィルタに設定することによって行われ、
    その更新を制御する場合の平滑化係数は、前記比較器の比較結果に基づいて制御されることを特徴とする
    システム同定装置。
  5. 請求の範囲1から4の何れか1項に記載のシステム同定装置において、
    前記第1の減算器の出力信号による前記適応フィルタのフィルタ係数の更新を制御する場合、前記適応フィルタのステップサイズを制御することを特徴とする
    システム同定装置。
  6. 請求の範囲1から5の何れか1項に記載にシステム同定装置において、さらに、
    前記第1の入力端子から供給される信号を入力とする新たな適応フィルタと、
    前記新たな適応フィルタに1対1に対応して設けられ、前記第2の入力端子から供給される信号から、対応する前記新たな適応フィルタの出力信号を減算する新たな減算器と、
    前記新たな減算器に1対1に対応して設けられ、対応する前記新たな減算器の出力信号から新たな出力誤差平均を算出する新たな出力誤差平均算出部と、
    前記新たな出力誤差平均と、前記第1の出力誤差平均と、前記第2の出力誤差平均とを比較し、その比較によって得られた比較結果に応じて、前記適応フィルタまたは前記新たな適応フィルタのステップサイズを制御する判定制御部と
    を備え、
    前記新たな出力誤差平均算出部は、
    前記新たな減算器の出力信号の周波数帯域のうち、前記第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から前記新たな出力誤差平均を算出することを特徴とする
    システム同定装置。
  7. 第1の入力端子と第2の入力端子との間に介在する未知システムを同定するシステム同定方法であって、
    前記第1の入力端子から供給される信号を適応フィルタおよび従属フィルタに入力とするステップと、
    前記適応フィルタのフィルタ係数に基づいて、前記従属フィルタのフィルタ係数を更新するステップと、
    前記第2の入力端子から供給される信号から、前記適応フィルタの出力信号を減算して第1出力信号を生成するステップと、
    前記第1出力信号から、第1の出力誤差平均を算出するステップと、
    前記第2の入力端子から供給される信号から、前記従属フィルタの出力信号を減算して第2出力信号を生成するステップと、
    前記第2出力信号から、第2の出力誤差平均を算出するステップと、
    前記第1の出力誤差平均と前記第2の出力誤差平均とを比較するステップと
    を備え、
    前記第1の出力誤差平均を算出するステップは、
    前記第1出力信号の周波数帯域のうち、前記第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から前記第1の出力誤差平均を算出するステップを含み、
    前記第2の出力誤差平均を算出するステップは、
    前記第2出力信号の周波数帯域のうち、前記第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から前記第2の出力誤差平均を算出するステップを含み、
    前記第1出力信号による前記適応フィルタのフィルタ係数の更新、または、前記従属フィルタのフィルタ係数の更新の少なくとも一方を、前記比較器の比較結果に基づいて制御するステップを含むことを特徴とする
    システム同定方法。
  8. 請求の範囲7に記載のシステム同定方法において、
    前記第1の出力誤差平均を算出するステップ、および、前記第2の出力誤差平均を算出するステップは、
    前記第1出力信号、および、前記第2出力信号の周波数帯域のうちの、低周波帯域の成分を低減することを特徴とする
    システム同定方法。
  9. 請求の範囲7または8に記載のシステム同定方法において、
    前記従属フィルタのフィルタ係数の更新を、前記適応フィルタのフィルタ係数を前記従属フィルタにコピーすることによって行うステップをさらに備え、
    前記適応フィルタのフィルタ係数を前記従属フィルタにコピーする場合の、前記コピーの可否を、前記比較器の比較結果に基づいて制御するステップを含むことを特徴とする
    システム同定方法。
  10. 請求の範囲7または8に記載のシステム同定方法において、
    前記従属フィルタのフィルタ係数の更新を、前記適応フィルタのフィルタ係数を平滑化して前記従属フィルタに設定することによって行う平滑化ステップをさらに含み、
    前記平滑化ステップは、
    前記適応フィルタのフィルタ係数を平滑化する場合の平滑化係数を、前記比較器の比較結果に基づいて制御するステップを含むことを特徴とする
    システム同定方法。
  11. 請求の範囲7から10の何れか1項に記載のシステム同定方法において、
    前記第1出力信号による前記適応フィルタのフィルタ係数の更新を制御するステップは、
    前記適応フィルタのステップサイズを制御するステップを含むことを特徴とする
    システム同定方法。
  12. 請求の範囲7から11の何れか1項に記載にシステム同定方法において、さらに、
    前記第1の入力端子から供給される信号を新たな適応フィルタに入力するステップと、
    前記新たな適応フィルタに1対1に対応して設けられた新たな減算器によって、前記第2の入力端子から供給される信号から、対応する前記新たな適応フィルタの出力信号を減算して第3出力信号を生成するステップと、
    前記新たな減算器に1対1に対応して設けられた新たな出力誤差平均算出部によって、対応する前記第3出力信号から新たな出力誤差平均を算出するステップと、
    前記新たな出力誤差平均と、前記第1の出力誤差平均と、前記第2の出力誤差平均とを比較し、その比較によって得られた比較結果に応じて、前記適応フィルタまたは前記新たな適応フィルタのステップサイズを制御するステップと
    を備え、
    前記新たな出力誤差平均を算出するステップは、
    前記第3出力信号の周波数帯域のうち、前記第2の入力端子に加わる観測雑音の周波数帯域と重複する帯域の少なくとも一部の帯域の成分を低減した残りの成分から前記新たな出力誤差平均を算出することを特徴とする
    システム同定方法。
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