以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像表示システム100の原理を説明するための概略斜視図である。
画像表示システム100は、観察者が立体表示であると視認可能な二次元画像を空間中の所定の平面上に表示する擬似立体画像表示システムである。
すなわち、図1に示すように、画像表示システム100は、表示部(ディスプレイユニット)10と、この表示部10から離間して配置された画像伝達ユニット(画像伝達パネル)20とを主要な構成部材として備えている。
ディスプレイユニット10は、略薄板状の筐体を有するディスプレイ11を有しており、このディスプレイ11の一壁面の矩形エッジ11b内には、二次元画像を表示する画像表示面11aが配置されている。
また、ディスプレイユニット10は、図2に示すように、ディスプレイ駆動部12を有している。このディスプレイ駆動部12は、ディスプレイ11の画像表示面11aを構成するマトリクス状に所定ピッチで配列された所定の有効面積を有する画素(ピクセル)群に対して電気的に接続されている。すなわち、ディスプレイユニット10は、ディスプレイ駆動部12により画像表示面11aを構成する画素群を駆動制御することにより、その駆動信号に応じた、所定の輝度および色を有する画像をディスプレイ11の画像表示面11aに表示するように構成されている。
具体的には、ディスプレイユニット10として、カラー液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)を用いることが可能である。
ディスプレイユニット10としてカラー液晶表示装置を用いた場合、画像表示面11aはフラットな面であり、ディスプレイ駆動部12は、バックライト照明部及びカラー液晶駆動回路等から構成される。
なお、ディスプレイユニット10としては、上記LCD以外でもよく、EL(electro-luminescence)ディスプレイユニット、プラズマディスプレイユニット、CRT(Cathode Ray Tube)ユニット等のディスプレイユニットを用いることも可能である。
画像伝達ユニット20は、例えば、図2および図3に示すように、全体として略薄板形状を有するマイクロレンズアレイ21によって構成されている。
マイクロレンズアレイ21は、図3に示すように、2枚のレンズアレイ半体21aおよび21bが互いに平行に配列されて構成されている。各レンズアレイ半体21aおよび21bは、透光性に優れたガラスまたは樹脂からなる透明基板22と、この透明基板22の両表面に二次元状に互いに隣接配置された複数のマイクロ凸レンズ23とから構成されている。
各レンズアレイ半体21aおよび21bに配置された複数のマイクロ凸レンズ23は、それぞれ同一の曲率半径および同一の光軸を有している。複数のマイクロ凸レンズ23は、各レンズアレイ半体21aおよび21bの透明基板22の一方の面に所定のレンズピッチで二次元状に形成された複数の第1のマイクロ凸レンズ23aと、各レンズアレイ半体21aおよび21bの透明基板22の他方の面に所定のレンズピッチで二次元状に形成された複数の第2のマイクロ凸レンズ23bとから構成されている。
各レンズアレイ半体21aおよび21bの透明基板22の一方の面に二次元状に形成された複数の第1のマイクロ凸レンズ23aとその透明基板22の他方の面に二次元状に形成された複数の第2のマイクロ凸レンズ23bは、それぞれの光軸が一致するように配置されている。すなわち、互いの光軸が一致する第1および第2のマイクロ凸レンズ23aおよび23bの各対は、それぞれの光軸が互いに平行になるように、二次元状に配列されている。
マイクロレンズアレイ21は、表示部10のディスプレイ11における画像表示面11aに対して平行に所定距離(マイクロレンズアレイ21の作動距離)だけ離れた位置に配置されている。
マイクロレンズアレイ21は、表示部10の画像表示面11から出射された画像に対応する光を画像表示面11aと反対側の所定距離だけ離れた結像面30上に結像させることにより、画像表示面11aに表示された画像を空間上の二次元平面である結像面30上に表示するようになっている。この結像された画像は二次元画像であるが、その画像が奥行き感を持つものである場合やディスプレイ11上の背景画像が黒くコントラストが強調されているような場合には、空間上に浮いて表示されることから、正面の観察者Hからは、あたかも立体画像が映し出されているように見える。以下、結像面30に表示される二次元画像を浮遊画像という。なお、結像面30は、空間上に仮想的に設定される平面であって実体物ではなく、マイクロレンズアレイ21の作動距離に応じて定義される空間上の一平面である。
マイクロレンズアレイ21側の浮遊画像表示パラメータである有効面積(入射される光を結像面30上に有効に結像できるマイクロ凸レンズ配列面積)およびマイクロ凸レンズ配列ピッチと、ディスプレイ11側の浮遊画像表示パラメータである画像表示面11aの画素ピッチ、有効画素面積、画像表示面11aに表示される画像の輝度、コントラスト、および色とは、結像面30に表示される浮遊画像が鮮明に表示されるように、互いに最適化されている。
このように構成されたマイクロレンズアレイ21によれば、図4に示すように、表示部10の画像表示面11aから出射された画像P1に対応する光は、レンズアレイ半体21aの各ペアの第1のマイクロ凸レンズ23aおよび第2のマイクロレンズアレイ23bの作用により反転する。この結果、図4に示すように、各第1のマイクロ凸レンズ23aに対向する第2のマイクロ凸レンズ23bとこのレンズ23bに対して隣接するレンズアレイ半体21bの第1のマイクロ凸レンズ23aとの境界面においては、画像P1の像は倒立像P1’となる。
この倒立像P1’は、図4に示すように、レンズアレイ半体21bに入射し、レンズアレイ半体21bの各ペアの第1のマイクロ凸レンズ23aおよび第2のマイクロ凸レンズアレイ23bの作用により再度反転し、画像P1に対応する正立像P2として結像される。
すなわち、マイクロレンズアレイ21により、表示部10の画像表示面11に表示された二次元画像P1を、結像面30上における正立の浮遊画像P2として表示することができる。
より詳しくは、画像表示面11aに表示される二次元画像P1を形成する光のうち、マイクロレンズアレイ21の各々のマイクロ凸レンズ23が対応する領域の画像の光が、各々のマイクロ凸レンズ23に取り込まれ、各々のマイクロ凸レンズ23の内部で反転し、再度反転して出射される。この結果、各々のマイクロ凸レンズ23が結像する正立像の集合として浮遊画像P2を表示することができる。
なお、マイクロレンズアレイ21は、レンズアレイ半体21aおよび21bの二枚一組で構成されるものに限定されず、一枚で構成してもよく、また、3枚以上の複数枚で構成してもよい。
ここで、1枚のレンズアレイ半体21a1により構成されたマイクロレンズアレイ21Xの一例を図5(A)に示す。また、3枚のレンズアレイ半体21a2、21b2、および21c2により構成されたマイクロレンズアレイ21Yの一例を図5(B)に示す。
1枚、3枚等の奇数枚のレンズアレイ半体で構成されたマイクロレンズアレイにより浮遊結像を結像させる場合においても、入射させた光を内部で一回反転させた後、再度反転させて出射させることにより、レンズアレイ半体21aおよび21bの二枚一組で構成されたマイクロレンズアレイ21と同様に、対象となる画像の正立像を結像することが可能になる。
例えば、図5(A)に示す1枚のレンズアレイ半体21a1により構成されたマイクロレンズアレイ21Xにおいても、画像P1から出射されマイクロレンズアレイ21Xに入射された光は、レンズアレイ内部で一回反転して倒立像P1’に対応する光と成った後、再度反転して画像P1の正立像P2として結像される。同様に、図5(B)に示す3枚のレンズアレイ半体21a2、21b2、および21c2により構成されたマイクロレンズアレイ21Yにおいても、画像P1から出射されマイクロレンズアレイ21Yに入射された光は、レンズアレイ内部で一回反転し、レンズ半体21c2内において倒立像P1’に対応する光と成った後、再度反転して画像P1の正立像P2として結像される。
この結果、画像P1に対応する正立の浮遊画像P2を表示することができる。
以上述べたように、マイクロレンズアレイ21には種々の構成が考えられ、このように構成されたマイクロレンズ21は、光を結像させる作動距離として、単一の距離でなく、ある一定の有効範囲を持つことが可能となる。
なお、第1の実施の形態においては、画像伝達ユニット20をマイクロレンズアレイ21としたが、画像伝達ユニット20はマイクロレンズアレイ21に限定されるものではなく、正立像、望ましくは正成等倍像を結像することができる構成であれば、何れの構成も用いることができる。また、マイクロレンズアレイ21においても、種々の構成が可能である。
例えば、マイクロレンズアレイとしては、屈折率分布レンズアレイ、GRIN(Gradient Index)レンズアレイ、ロッドレンズアレイ等を用いることができる。
また、例えば、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの代わりに、同様の結像作用があるミラーを用いたマイクロミラーアレイや、マイクロプリズムアレイと用いることもできる。
例えば、マイクロミラーアレイとしては、ルーフミラーアレイ、コーナーミラーアレイ等が適用可能である。また、マイクロプリズムアレイとしては、ルーフプリズムアレイ、ダブプリズムアレイ等が適用可能である。また、反転像(倒立像)となるが、アレイではなく、必要な有効領域を持つ一つのフレネルレンズでもよい。
このように構成された画像表示システム100を用いて画像表示装置を製造する場合、その製造メーカは、画像表示装置用の筐体内に画像表示システム100を組み込むことにより、画像表示装置を製造することが想定される。
この点、上述したように、画像表示システム100は、表示ユニット10の画像表示面11aに表示された二次元画像を、画像伝達ユニット20を介して光学的に結像することにより、その二次元画像に対応する浮遊画像を生成するように構成されたシステムである。したがって、画像表示システム100の組み込み時には、鮮明な浮遊画像が得られるように予め設計された表示ユニット10および画像伝達ユニット20間の位置関係を必要な精度以内に保持しながら、その表示ユニット10および画像伝達ユニット20を筐体内に正確に配置する必要がある。
しかしながら、表示装置製造メーカが使用する筐体は各種のタイプがあり、また、筐体内には他の構成要素が存在している。このため、表示ユニット10および画像伝達ユニット20間の位置関係を必要な精度以内に保持しながら、その表示ユニット10および画像伝達ユニット20を筐体内に正確に配置する作業を製造メーカ側において実施するのは非常に手間がかかり、実施者の負担も増大する。
そこで、画像表示装置製造メーカの負担を軽減させるために、表示ユニット10および画像伝達ユニット20を予め所定の筐体内に配置して一体化することにより、本実施形態に係る画像表示システム100をモジュール化している。
図6は、モジュール化された画像表示システム(以下、浮遊画像表示モジュール、あるいは単にモジュールと記載する)100、およびこの浮遊画像表示モジュール100を、略直方体の中空ボックス状の表示装置用筐体102内に組み込むことにより構築された画像表示装置104の概略構成をそれぞれ示す斜視図である。
図6に示すように、浮遊画像表示モジュール100は、略直方体の中空ボックス状の筐体110を備えている。この筐体110は、光吸収用の色(例えば黒色)を有しており、例えば光吸収機能を有する光吸収性樹脂により成型で製造されている。
なお、ここで言う光吸収機能とは、例えば光を透過せず、また色や表面処理等により光の反射を防止もしくは軽減する材質や加工を意味する。本明細書では、このような効果や機能を光吸収機能と称する。
マイクロレンズアレイ21の形状である矩形形状に対応する1つの矩形状側壁110a1には、マイクロレンズアレイ21のレンズのアレイ配列(例えば、行方向および列方向配列)に対応する矩形状の開口部111が形成されている。なお、筐体110として、樹脂以外の材質(例えば、金属等)で製造されたタイプを用いることも可能である。
本実施形態では、矩形状側壁110a1の長手方向(開口部111の長手方向)がマイクロレンズアレイ21のレンズ配列の行方向(マイクロレンズアレイ21の長手方向)に対応しており、図6においてはX方向に対応する。このX方向は、表示ユニット10のディスプレイ11(画像表示面11a)における長手方向にも対応する。また、矩形状側壁110a1の短手方向(開口部111の短手方向)がマイクロレンズアレイ21のレンズ配列の列方向(マイクロレンズアレイ21の短手方向)に対応しており、図6においてはY方向に対応する。このY方向は、表示ユニット10のディスプレイ11(画像表示面11a)における短手方向にも対応する。さらに、本実施形態では、上記XY方向に直交する方向であり、マイクロレンズアレイ21およびディスプレイ11間の対向方向に対応する方向をZ方向とする。
筐体110の矩形状側壁110a1に対向する矩形状側壁110a2は、筐体110におけるボックス状部分からその周囲に突出しており、表示装置用筐体102内に取り付ける際に利用される取付用フランジFを構成している。
図6に示すように、フランジFにおける側壁110a2の短手側の両側壁に対応する部分には、表示装置用筐体102内にモジュール100を組み込む際において、筐体102に対する固定および/または取り付けに用いられる複数の取付補助部114が形成されている。例えば、取付補助部114として、表示装置用筐体102の対応する複数の凹部にそれぞれ嵌合させることにより、モジュール100を表示装置用筐体102内に固定する複数の凸部を形成することが可能である。また、取付補助部114として、表示装置用筐体102の対応する部位に対してモジュール100をねじ止めするための複数のねじ孔を形成することも可能である。
このように、モジュール100を表示装置用筐体102に対して固定および/または取り付けする方法は様々な方法が考えられ、特に限定されるものではない。さらには、取付補助部114は、モジュール100を表示装置用筐体102に対して取り付けする際に、縦置きおよび横置き等、様々な方向に取り付け可能であることが望ましい。また、取付補助部114は、モジュール100の重量バランス(重心)を考慮した位置に形成されているのが望ましい。
図6および図7(A)に示すように、筐体110における側壁(以下、第1の筐体ともいう)110a2の一壁面には、ディスプレイ11が側壁110a2に当接配置されている。この結果、筐体110と表示ユニット10とが一体化される。
図7(A)に示すように、筐体110における側壁110a2は、表示ユニット10を取り付け支持する部位として機能し、筐体110におけるこの側壁110a2を除いた残りの部分(以下、第2の筐体110Rともいう)に対して着脱可能に構成されている。本実施形態においては、表示ユニット10およびこの表示ユニット10が取り付け支持された側壁110a2(第1の筐体)により表示ユニットアセンブリ120が構成されている。
また、図6および図7(B)に示すように、筐体110における第2の筐体110Rには画像伝達ユニット20が一体化されており、この一体化された画像伝達ユニット20および第2の筐体110Rにより画像伝達ユニットアセンブリ122が構成されている。
具体的には、図7(B)に示すように、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21における光出射面を構成するどちらか一方のレンズアレイ半体21aおよび21bの外表面(例えば、本実施形態では、レンズアレイ半体21bの外表面とする)には、必要に応じて、画像伝達ユニット20の汚れ防止および保護用の透明な薄板状の保護部材140が設けられている(後掲図8参照)。この保護部材140は、その表面に対して例えばAR加工(Anti Reflection 加工:反射防止膜をコーティング)が施されており、好ましくは防汚性および撥水性を有している。この保護部材140は、例えば、表示装置製造メーカの要求に応じて、付加の有無を決定することが可能である。付加しない場合には、表示装置製造メーカが、表示装置用筐体102において、画像伝達ユニット20を保護する何らかの構成を別途付加することが望ましい。
そして、マイクロレンズアレイ21は、その保護部材、またはレンズアレイ半体21bが側壁110a1に当接し、かつレンズアレイ本体21bにおけるアレイ配列された複数のマイクロ凸レンズ(複数の第2のマイクロ凸レンズ23b)が開口部111に面するような状態で第2の筐体110R内に配置されている。
すなわち、第2の筐体110Rにおける開口部111の周囲の側壁110a1は、レンズアレイ半体21bにおける透明基板22の周囲を覆ってその周囲をマスクするためのマスク部として機能している。
一方、図6に示すように、表示装置用筐体102の一側壁には、第2の筐体110Rの開口部111に対応する形状および面積の開口部124が形成されている。すなわち、表示装置用筐体102内にモジュール100を組み込む際において、モジュール100の画像伝達ユニットアセンブリ122は、そのアレイ配列された複数のマイクロ凸レンズ(複数の第2のマイクロ凸レンズ23b)が開口部124に面するように表示装置用筐体102に取り付けられている。
なお、図6では、説明を容易にするために、画像表示装置104の構成はシンプルに図示しているが、実際には、表示装置製造メーカ毎に画像表示装置104を構成するために必要な様々な部品や装飾等が付加される。また、マイクロレンズアレイ21における光出射面が開口部111に面するような状態で配置され、観察者側から見たモジュール100の端面(側壁110a1)がマイクロレンズアレイ21の光出射面に略一致して配置されている。この構成は、例えば、表示装置製造メーカがマイクロレンズアレイ21の光出射面や浮遊画像(結像面30)の近傍に必要な部品や装飾を組み込むときに、スペース上の余計な制限が発生しないようにすることを意図している。表示装置製造メーカの使い勝手の面からも、このような構成が望ましい。
この結果、浮遊画像表示モジュールを組み込んだ画像表示装置104を製造することができる。画像表示装置104としては、例えばゲーム機器や遊技機器等が考えられる。
図8は、浮遊画像表示モジュール100の概略構成を示す分解断面図(一部側面図)である。
図8に示すように、筐体110における側壁110a1と側壁110a2とを接続する矩形枠状の側壁110a3は、その長手方向に沿ってそれぞれ一端部および他端部を有している。
筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面は、ディスプレイ11(ディスプレイ駆動回路12を含む)の対応する側壁面を内包しており、また、一端部126の端面は、ディスプレイ11が当接配置された側壁110a2におけるフランジFの一壁面(内壁面)に着脱自在に接合されており、この一端部126がディスプレイ支持壁126を構成している。また、ディスプレイ用処理回路13は、必要に応じてボックス状の筐体内に収容されており、側壁110a2における一壁面に対向する他壁面に対し、ディスプレイ11に対向するように当接配置されている。
すなわち、筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126は、その内壁面がディスプレイ11の対応する側壁面を内包し、かつその端面が側壁110a2におけるフランジFの内壁面に対して当接することにより、ディスプレイ11を支持するように配置されている。
また、筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面の一部は、ディスプレイ11の矩形エッジ11bを覆うように矩形枠状に突出しており、ディスプレイ11を固定するための矩形枠状ディスプレイ保持部128として機能する。また、このディスプレイ保持部128は、ディスプレイ11の矩形エッジ11bを、画像伝達ユニット20側からマスクするマスク部としても機能する。
ディスプレイ保持部128の外面(保持面)128aと矩形エッジ11bとの間には、ディスプレイ保持部128のディスプレイ11に対するストレスの影響を防止または軽減するための緩衝素材(例えば、ゴム等)から生成された角リング状クッション部材130が挿入配置されている。ここで言うストレスとは、例えば、ディスプレイ11を固定保持するときに掛かる応力や歪力、またはモジュール輸送時の振動や衝撃等を意味する。また、詳しくは後述するが、クッション部材130は、気密にし、ゴミやホコリ等の異物の筐体110内への侵入を防止する効果も期待できる。
すなわち、表示ユニットアセンブリ120は、そのディスプレイ11の対応する側壁面が筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面に内包されるように配置される。
そして、この状態を保持しながら、表示ユニットアセンブリ120(側壁110a2および表示ユニット10)をディスプレイ固定部128に向けて緩やかに押圧した状態で側壁110a2と筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126の端面とを着脱自在に接合する。この結果、表示ユニット10は、ディスプレイ11の矩形エッジ11bが角リング状クッション部材130を介してディスプレイ保持部128の保持面128aに固定された状態で、側壁110a3の一端部126、側壁110a2、およびディスプレイ固定部128により保持(ホールド)される。
このホールド状態において、筐体110の矩形筒状側壁一端部126、ディスプレイ保持部128の保持面128aおよびディスプレイ11の矩形エッジ11bは、クッション部材130を介して気密に接合される。
なお、図8では、説明を容易にするために、構成をシンプルに図示しているが、例えば、ディスプレイ固定部128の保持面128a上に、角リング状クッション部材130を嵌め込むような溝を形成することも可能である。この構成では、角リング状クッション部材130は、押圧された状態で、その一部が溝に入り込むため、圧力調節や位置ずれ防止の効果が期待できる。
ディスプレイ保持部128の外面(保持面)128aに対向する内面128bは、側壁110a3側からディスプレイ11へ向かうテーパー形状を有している。
すなわち、画像伝達ユニット20(観察者)に対向する面128bは、外周側から内周側に向けてテーパー形状を有している。なお、テーパー形状は、ディスプレイ保持部128の厚みが所定の寸法を超えているときに特に有効である。例えば、強度上ディスプレイ保持部128の厚みはある程度必要であるが、ディスプレイ保持部128の厚みが所定の寸法を超えた場合、ディスプレイ11の画像表示面11aとの段差が大きくなり、ディスプレイ11の矩形エッジ11bをマスクするマスク部として機能させる場合には、何らかの不都合が生じる可能性がある。したがって、より自然に矩形エッジ11bをマスクするためには、ディスプレイ保持部128の外面128aに対向する内面128bは、テーパー形状を有していることが望ましい。例えば、ディスプレイ保持部128の厚みは、ディスプレイ11の厚みよりも薄く、例えば2mm以下に設定されることが好ましい。ディスプレイ保持部128の厚みが2mmを超えた場合には、上述したように、ディスプレイ保持部128をテーパー状に形成することが好ましい。
また、マスク部材を構成する矩形枠状ディスプレイ保持部128は、例えばその開口領域のサイズがディスプレイ11の画像表示面11aのサイズと略一致する形状を有していることが好ましい。
一方、図8および図9に示すように、側壁110a1は、矩形状開口部111を構成する薄厚の矩形枠状部位132を有しており、筐体110の矩形筒状側壁110a3の他端部134の端面は、側壁110a1の矩形枠状部位132の外周部内壁面に接合されている。また、筐体110の矩形筒状側壁110a3の他端部134の内壁面の一部は、側壁110a1の矩形枠状部位132の内壁面に対して所定間隔を空けた状態で矩形枠状に突出しており、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21を保持(ホールド)するための矩形枠状画像伝達ユニット保持部136として機能する。
すなわち、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21は、そのレンズアレイ半体21bが矩形状開口部111に面するように、矩形枠状部位132および画像伝達ユニット保持部136の外面(保持面)136aの間の矩形枠状隙間に挿入配置されている。
また、図9に示すように、マイクロレンズアレイ21と画像伝達ユニット保持部136の保持面136aとの間には、画像伝達ユニット保持部136のマイクロレンズアレイ21に対するストレスの影響を防止または軽減するための緩衝素材(例えば、ゴム等)から生成された角リング状クッション部材138が挿入配置されている。クッション部材138は、ディスプレイ11を保持する場合と同様に、ゴミやホコリ等の異物対策としての効果も期待できる。
矩形枠状部位132および画像伝達ユニット保持部136の保持面136a間の矩形枠状隙間に挿入配置されたマイクロレンズアレイ21におけるレンズアレイ半体21bの透明基板22の周囲が保護部材140を介して矩形枠状部位132の内壁面に当接配置される。この結果、レンズアレイ半体21bにおける透明基板22の周囲は、側壁110a1の矩形枠状部位132によりマスクされる。すなわち、側壁部110a1の矩形枠状部位132は、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21のレンズ部分の周囲をマスクするマスク部として機能する。以下、側壁部110a1の矩形枠状部位132をマスク部132として記載する。なお、望ましくはないが、仮にマスク部132の厚みが所定の寸法を超えて厚い場合には、ディスプレイ11のマスク部と同様に、マスク部132はテーパー形状を有していてもよい。例えば、マスク部132の厚みは、マイクロレンズアレイ21の厚みよりも薄く、例えば2mm以下に設定されることが好ましい。マスク部132の厚みが2mmを超えた場合には、上述したように、マスク部132をテーパー状に形成することが好ましい。
また、矩形枠状のマスク部132は、例えばその開口領域のサイズがマイクロレンズアレイ21のレンズ部分の配列サイズまたはディスプレイ11の画像表示面11aのサイズと略一致する形状を有していることが好ましい。
また、側壁110a1は、そのマスク部132の外周縁から矩形筒状側壁110a3の他端部134に沿って所定長さだけ延在する延在部142を有し、この延在部142は、矩形筒状側壁110a3の他端部134に対して接合されている。
すなわち、マスク部132および画像伝達ユニット保持部136の保持面136a間の矩形枠状隙間にマイクロレンズアレイ21が挿入配置された状態で、側壁110a1におけるマスク部132を介してマイクロレンズアレイ21を画像伝達ユニット保持部136に向けて緩やかに押圧する。この結果、マイクロレンズアレイ21が角リング状クッション部材138を介して画像伝達ユニット保持部136の保持面136aにより固定される。この固定状態において、側壁部110a1における延在部142を、矩形筒状側壁110a3の他端部134に対して接合することにより、画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)を、マスク部132および筐体110の画像伝達ユニット保持部136によりホールドすることができる。
このホールド状態において、筐体110の矩形筒状側壁他端部134、矩形枠状画像伝達ユニット保持部136の保持面136a、および画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)は、クッション部材138を介して気密に接合される(図10参照)。なお、ディスプレイ固定部128の場合と同様に、画像伝達ユニット保持部136の保持面136a上に、角リング状クッション部材138を嵌め込むことが可能な溝を設けてもよい。
さらに、矩形筒状側壁110a3におけるディスプレイ保持部128および画像伝達ユニット保持部136間の内壁面は、ディスプレイ11の画像表示面11aから出射され、その内壁面により反射した光の影響を防止あるいは軽減するための表面処理が施された表面処理面144として構成されている。また、マスク部128、132の少なくとも観察者側(結像面側)に対しても同様な表面処理が施されている。
この表面処理としては、例えば、
(1)矩形筒状側壁110a3におけるディスプレイ保持部128および画像伝達ユニット保持部136間の内壁面を黒色あるいは濃色に色付けすることにより、その内壁面に入射する光の反射の影響を防止または軽減する処理、
(2)矩形筒状側壁110a3におけるディスプレイ保持部128および画像伝達ユニット保持部136間の内壁面にアンチグレア(ノングレア)加工(内壁面に細かい凹凸を付ける処理)や艶消し処理を施すことにより、その内壁面に入射する光を拡散または吸収させて反射の画像伝達ユニット20への影響を防止または軽減する処理、
(3)矩形筒状側壁110a3におけるディスプレイ保持部128および画像伝達ユニット保持部136間の内壁面にAR加工を施すことにより、その内壁面に入射する光の反射の影響を防止または軽減する処理、
の内の少なくとも何れかを適用することができる。本実施形態では、一例として、図8に示すように、矩形筒状側壁110a3におけるディスプレイ保持部128および画像伝達ユニット保持部136間の内壁面には、(2)のアンチグレア処理が施されている。
本実施形態においては、ディスプレイ保持部128の保持面128aと画像伝達ユニット保持部136の保持面136aとの間の距離D1は、予め設計されたマイクロレンズアレイ21とディスプレイ11との間の作動距離に基いて予め決定されている。
このため、上述したように、表示ユニット10を筐体110の側壁110a3の一端部126、側壁110a2、およびディスプレイ保持部128によりクッション部材130を介して固定保持し、かつ画像伝達ユニット20を、側壁110a1および画像伝達ユニット保持部136によりクッション部材140を介して固定保持した状態で、筐体110における側壁110a1、側壁110a2、および側壁110a3を一体化するだけで、表示ユニット10を、画像伝達ユニット20の作動距離の有効範囲内に自動的に配置させることができる。
以上述べたように、本実施形態によれば、予め表示ユニット10および画像伝達ユニット20間の作動距離に基く正確な位置関係を保持した状態で筐体110内に一体化された浮遊画像表示モジュール100を表示装置用筐体102内の所望位置に組み込むことにより画像表示装置104を組み立てることができる。
すなわち、本実施形態によれば、画像表示装置製造メーカにおいては、表示ユニット10および画像伝達ユニット20間の位置関係を考慮することなく、浮遊画像表示モジュール100が組み込まれた画像表示装置104を容易に組み立てることができる。また、浮遊画像表示モジュール100を組み込むだけで、設計によって最適化された立体感のある鮮明な浮遊画像を観察者に対して提供することが可能になる。
この結果、浮遊画像表示システム100を組み込んだ画像表示装置104を製造する際の手間を軽減化することができ、浮遊画像表示システム100を組み込んだ画像表示装置104の製造効率を向上させることができる。
本実施形態によれば、浮遊画像表示システム100の製造メーカにおいては、浮遊画像表示システム100をモジュール化して提供することができる。このため、浮遊画像表示モジュール100を共通化し、種々の画像表示装置メーカが様々な画像表示装置に組み込むことが可能になり、浮遊画像表示システム100の量産性を向上させるとともに、この量産性向上に基くコストメリットも享受することが可能になる。
本実施形態によれば、表示ユニット10を第1の筐体110a2に対して一体化(アセンブリ化)して構成された表示ユニットアセンブリ120を、画像伝達ユニット20を第2の筐体110Rに対して一体化して構成された画像伝達ユニットアセンブリ122に対して着脱自在に取り付けることにより、浮遊画像表示モジュール100を組み立てている。
すなわち、表示ユニットアセンブリ120を画像伝達ユニットアセンブリ122に対して着脱自在に取り付けることにより浮遊画像表示システム100を組み立てることができるため、浮遊画像表示システム100の組み立て容易性を向上させることができる。
また、表示ユニット10および画像伝達ユニット20の何れか一方に不具合が生じた場合でも、その不具合が生じたアセンブリを他のアセンブリに交換することにより、浮遊画像表示システム100を再度構築することができる。すなわち、表示ユニットおよび画像伝達ユニットを筐体内に固定取付してモジュールを構成した場合では、表示ユニットおよび画像伝達ユニットの何れか一方に不具合が生じたとき、モジュール全体を交換しなければならず、不具合が生じてない(正常に動作する)ユニット分の無駄が生じてしまう。
しかしながら、本実施形態によれば、上記表示ユニットおよび画像伝達ユニットの何れか一方に不具合が生じた場合でも、不具合が生じたアセンブリのみを他のアセンブリに交換することにより対応することができる。このため、正常に動作するアセンブリを継続し使用することができ、不具合発生時のモジュール交換に係るコストを低減することができる。
また、異なるディスプレイ側浮遊画像表示パラメータを有する複数種類の表示ユニットと、異なるマイクロレンズアレイ側浮遊画像表示パラメータを有する複数種類の画像伝達ユニットとを、結像面30に表示される浮遊画像が鮮明に表示されるように組み合わせる。このようにして組み合わされた表示ユニットおよび画像伝達ユニットの複数種類のペアを筐体110内に一体化して複数種類の浮遊画像表示モジュールを製造することも可能である。
例えば、浮遊画像表示モジュールの量産の過程において、使用されている表示ユニットを、より立体感のある鮮明な浮遊画像を表示することができる新しい改良された表示ユニットに変更すると仮定する。この場合、画像伝達ユニットアセンブリはそのままで、改良された表示ユニットに対応する表示ユニットアセンブリのみを新たに用意することにより、性能が改善された新しい浮遊画像表示モジュールを効率よく製造することが可能になる。
本実施形態によれば、マイクロレンズアレイ21を、必要に応じて保護部材140が付加されたレンズ半体21bの外表面(光出射面)が筐体110における側壁110a1に形成された開口部111に面するように配置している。すなわち、マイクロレンズアレイ21の光出射面を、浮遊画像表示モジュール100の端面を構成する側壁110a1の一部として機能させることができる。
この結果、表示装置製造メーカが、スペース上の余計な制限が解消もしくは緩和された状態で、マイクロレンズアレイ21の光出射面や浮遊画像(結像面30)の近傍に必要な部品や装飾を組み込むことが可能になる。したがって、表示装置製造メーカの使い勝手や設計の自由度を向上させることができる。
本実施形態によれは、表示ユニット10のディスプレイ11の画像表示面11aと画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)との間の光路に面する筐体110の側壁110a3の内壁面に対して、その内壁面に入射した光の反射を防止および/または低減させるための表面処理、あるいは内壁面に入射した光を拡散および/または吸収させるための表面処理を施している。この結果、ディスプレイ11の画像表示面11aから出射された光が側壁110a3の内壁面に入射した場合、その内壁面からの反射光の影響を防止あるいは軽減することが可能になる。したがって、浮遊画像表示モジュール100により生成された浮遊画像の画質や視認性を高く維持することができる。
本実施形態においては、光吸収性樹脂から構成されたディスプレイ保持部128により、ディスプレイ11の矩形エッジ11bをマスクしている。このため、ディスプレイ11のエッジ11b部分による光の反射を防止または軽減することが可能になるとともに、エッジ11b部分が結像されるのを防止または軽減することが可能になる。この結果、ディスプレイエッジ11b部分の浮遊画像への悪影響を回避することができる。この結果、浮遊画像表示モジュール100により生成された浮遊画像の画質および視認性を高く維持することができる。
特に、本実施形態では、上述した表示ユニット10(ディスプレイ11)位置決めおよび保持機能を有するディスプレイ保持部128を、上記ディスプレイ矩形エッジマスク用のマスク部材として機能させることができる。このため、ディスプレイ保持部とマスク部材とを別個に設けた場合と比べて、浮遊画像表示モジュール100の部品点数を減少させることができる。
同様に、本実施形態においては、光吸収性樹脂製のマスク部材132により、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21のレンズ部分の周囲をマスクしている。このため、そのレンズ部分の周囲を介して伝達される光の浮遊画像への悪影響を回避することができる。
特に、本実施形態においては、上記マスク機能を有するマスク部132を、マイクロレンズアレイ21を保持するホルダーとして機能させることができる。このため、レンズアレイホルダとマスク部材とを別個に設けた場合と比べて、浮遊画像表示モジュール100の部品点数を減少させることができる。
本実施形態では、ディスプレイ矩形エッジ11bとディスプレイ保持部128の保持面128aとの間にクッション部材130を介在させている。
このため、ディスプレイ11を押圧して保持するときに掛かる応力や歪力、またはモジュール輸送時の振動や衝撃等、ディスプレイ保持部128からのディスプレイ11へのストレスをクッション部材130により吸収することができる。この結果、ディスプレイ11に対するストレスの影響を防止または軽減することができる。
同様に、本実施形態では、マイクロレンズアレイ21を画像伝達ユニット保持部136の保持面136aで保持しているとともに、そのマイクロレンズアレイ21と画像伝達ユニット保持部136の保持面136aとの間にクッション部材138を挿入配置している。
このため、マイクロレンズアレイ21を押圧して保持するときに掛かる応力や歪力、またはモジュール輸送時の振動や衝撃等、画像伝達ユニット保持部138からのマイクロレンズアレイ21へのストレスをクッション部材138により吸収することができる。この結果、マイクロレンズアレイ21に対するストレスの影響を防止または軽減することができる。
特に、本実施形態では、クッション部材130により、筐体110の矩形筒状側壁一端部126において、ディスプレイ保持部128の保持面128aおよびディスプレイ11の矩形エッジ11bを気密に接合している。同様に、筐体110の矩形筒状側壁他端部134において、矩形枠状画像伝達ユニット保持部136の保持面136aおよび画像伝達ユニット20を、クッション部材138を介して気密に接合している。
このため、ディスプレイ保持部128の保持面128aおよびディスプレイ11の矩形エッジ11b間に隙間が存在する場合に生じることが予想される、ゴミやホコリ等の異物の筐体110内への侵入を防止することができる。同様に、矩形枠状画像伝達ユニット保持部136の保持面136aおよび画像伝達ユニット20間に隙間が存在する場合に生じることが予想される、ゴミやホコリ等の異物の筐体110内への侵入を防止することができる。
この結果、ディスプレイ11の画像表示面11aとマイクロレンズアレイ21との間にゴミやホコリ等の異物が侵入する恐れを取り除く、あるいは軽減することが可能になり、浮遊画像表示モジュール100により生成された浮遊画像に対する異物の影響を回避、あるいは軽減することができる。
特に、本実施形態では、ディスプレイ保持部128の内面128bは、側壁110a3側からディスプレイ11へ向かうテーパー形状を有している。このため、ディスプレイ保持部128の厚みに起因して、画像伝達ユニット20を介して浮遊画像に表れる恐れのある影響を回避、あるいは軽減することができる。この結果、浮遊画像表示モジュール100により生成された浮遊画像の画質や視認性を高く維持することができる。
なお、テーパー形状にする代わりに、ディスプレイ保持部128の厚みを薄くすることも可能である。このように構成しても、ディスプレイ保持部128の厚みによる浮遊画像への影響を回避、あるいは軽減することができる。
また、本実施形態においては、マスク部132を、側壁部110a1における薄厚の矩形枠状部位として構成しているため、テーパー加工をしていないが、マスク部132の厚さによっては、マスク部132の観察者(結像面)に対向する面に対し、外周側から内周側に向かってテーパー加工してもよい。
図11は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る表示ユニットアセンブリ120Aの概略構成を示す斜視図である。
図11に示すように、表示ユニットアセンブリ120Aは、図7(A)に示す構成に加えて、ディスプレイ11の矩形エッジ11b上に貼り付けられた例えば光吸収性樹脂製のマスク部150を備えている。このマスク部150により、ディスプレイ11のエッジ11b部分による光の反射を防止または軽減することが可能になる。また、マスク部150により、エッジ11b部分が結像されることを防止または軽減することが可能になる。この結果、ディスプレイエッジ11b部分の浮遊画像への悪影響を回避することができる。
図12は、第1の実施形態の第1の変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Aの概略構成を示す分解断面図(一部側面図)である。
第1実施形態では、筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面の一部を矩形枠状に突出させることにより、ディスプレイ11の固定機能およびディスプレイ矩形エッジマスク機能を有するディスプレイ保持部128を設けている。
これに対して、第1の変形例では、上述したように、マスク部150がディスプレイ11の矩形エッジ11b上に直接設けられている(図11および図12参照)。また、図12に示すように、筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126aの先端に、外方に突出するフランジ152が形成されている。
矩形筒状側壁110a3の一端部126aの先端に形成されたフランジ152は、側壁110a2のフランジFの内壁面に対して、角リング状クッション部材130aを介して着脱自在に接合されている。
第1の変形例においては、矩形筒状側壁110a3の一端部126aの先端に形成されたフランジ152における、側壁110a2のフランジFの内壁面に面する端面と画像伝達ユニット保持部136の保持面136aとの間の距離D2は、予め設計されたマイクロレンズアレイ21とディスプレイ11との間の作動距離に基いて予め決定されている。
なお、その他の構成については、浮遊画像表示モジュール100の構成と略同等であるため、その説明は省略する。
第1の変形例によれば、側壁110a2と筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126aの先端のフランジ152とが角リング状クッション部材130aを介して着脱自在に接合されている。この結果、表示ユニットアセンブリ120Aは角リング状クッション部材130aを介してフランジ152に保持される。
すなわち、ディスプレイ矩形エッジ11bをマスクするマスク部150とディスプレイ11を含む表示ユニットアセンブリ120A全体を保持するためのフランジ152とを別個に設けている。
このように構成した場合、ディスプレイ保持部128に基く部品点数減少効果を除く、第1実施形態の略同様の効果を得ることができる。また、マスク部150が表示ユニットアセンブリ120A側に一体化されているため、後述するディスプレイ11の位置調整等に対応することにも適している(後掲図15参照)。
図13は、第1の実施形態の第2の変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Bの概略構成を示す分解断面図(一部側面図)である。
第2の変形例においては、図13に示すように、表示ユニット10Aにおけるディスプレイ用処理回路13は、ディスプレイ11の画像表示面11aに対向する面(背面)に対して直接取り付けられている。
そして、第2の変形例では、筐体110における矩形状側壁110a2に対し、例えば矩形状の開口部160が形成されている。そして、矩形状側壁110a2のフランジFは、その開口部160の周囲に突出している。
図13に示すように、筐体110における矩形状側壁110a2の開口部160内には、表示ユニット10におけるディスプレイ11側壁部分が挿入されている。この結果、筐体110と表示ユニット10Aとが一体化される。
ここで、第1の変形例では、ディスプレイ11の矩形エッジ11b上にマスク部150を直接貼り付けている。
これに対して、第2の変形例では、図13に示すように、側壁110a2における開口部160を構成する周縁160aが画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)側に向かって所定長さ延在している。そして、その延在側先端がディスプレイ11の矩形エッジ11bを覆うように内方に突出しており、ディスプレイ11を固定するためのディスプレイ保持部162として機能する。また、このディスプレイ保持部162は、ディスプレイ11の矩形エッジ11bを、画像伝達ユニット20側からマスクするマスク部としても機能する。
ディスプレイ保持部162におけるディスプレイエッジ部11bに対向する内面(保持面)162aと矩形エッジ11bとの間隔には、ディスプレイ保持部162のディスプレイ11に対するストレスを防止または軽減するためのゴム等の緩衝素材から生成された角リング状クッション部材164が挿入配置されている。
ディスプレイ保持部162の内面(保持面)162aに対向する外面162bは、側壁110a3側からディスプレイ11へ向かうテーパー形状を有している。つまり、観察者に対向する面162bは、外周側から内周側に向けてテーパー形状を有している。
なお、その他の構成については、浮遊画像表示モジュール100Aの構成と略同等であるため、その説明は省略する。
すなわち、第2の変形例によれば、表示ユニットアセンブリ120Bにおいて、表示ユニット10Aにおけるディスプレイ11の矩形エッジ11bは角リング状クッション部材164を介してディスプレイ保持部162の保持面162aに保持されており、また、側壁部110a2における開口部周縁160aにより、ディスプレイ11の対応する側壁が内包されている。
このように構成された表示ユニットアセンブリ120Bの開口部周縁延在部160aが筐体110a3の一端部126a内に挿入される。
挿入後、側壁110a2と筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126aのフランジ部152とがクッション部材130aを介して着脱自在に接合される。この結果、表示ユニット10Aは、ディスプレイ11の矩形エッジ11bが角リング状クッション部材164を介してディスプレイ保持部162の保持面162aに固定された状態で、側壁110a3の一端部126a、側壁110a2、およびディスプレイ固定部162により保持(ホールド)される。
そして、本実施形態においては、上記表示ユニットホールド状態における、ディスプレイ保持部162の保持面162aと画像伝達ユニット保持部136の保持面136aとの間の距離D3は、予め設計されたマイクロレンズアレイ21とディスプレイ11との間の作動距離に基いて予め決定されている。
このため、上述したように、表示ユニット10Aを筐体110の側壁110a3の一端部126a、側壁110a2、およびディスプレイ保持部162によりクッション部材164を介して固定保持し、かつ画像伝達ユニット20を、側壁110a1および画像伝達ユニット保持部136によりクッション部材140を介して固定保持した状態で、筐体110における側壁110a1、側壁110a2、および側壁110a3を一体化するだけで、表示ユニット10Aを、画像伝達ユニット20の作動距離の有効範囲内に自動的に配置させることができる。
以上述べたように、第2の変形例においても、ディスプレイ保持部162によりディスプレイ11の矩形エッジ11bをマスクしながら、そのディスプレイ11を含む表示ユニットアセンブリ120Bを、画像伝達ユニット20を第2の筐体110Rに対して一体化して構成された画像伝達ユニットアセンブリ122に対して着脱自在かつクッション部材130aおよび164を介して気密に取り付けることにより、浮遊画像表示モジュール100Bを組み立てることができる。
この結果、第1実施形態と略同様の効果を得ることができる。また、マスク部162が表示ユニットアセンブリ120B側に一体化されているため、後述するディスプレイ11の位置調整等に対応することにも適している(後掲図15参照)。
図14は、第1の実施形態の第3の変形例に係る表示ユニットアセンブリ120Cにおける側壁110a2のフランジFの外壁面を拡大して示す図である。
図14に示すように、第3の変形例においては、筐体10の矩形筒状側壁110a3における一端部126の端面126Sと、ディスプレイ11が当接配置された側壁110a2におけるフランジFとを着脱自在に接合する際の接合手段としてねじ170を用いている。
例えば、側壁110a2のフランジFにおける矩形筒状側壁110a3の一端部126の端面126Sが図中Y方向に沿って当接する部位には、端面126Sの延びる方向(図中Y方向)を中心としてその延在方向に直交する方向(図中X方向)に延びる長孔172が貫通状に形成されている。この長孔172は、例えば所定間隔を空けて複数個形成されている。
すなわち、表示ユニットアセンブリ120Cの側壁110a2と筐体110の矩形筒状側壁110a3の一端部126の端面126Sとが当接配置された状態において、ねじ170を側壁110a2の外壁面側から各長孔172内に挿入し、矩形筒状側壁一端部の端面126Sのねじ穴に螺入する。この結果、表示ユニットアセンブリ120Cを筐体110の側壁110a3に接合することができる。
このとき、第3の変形例では、図14に示すように、側壁110a2のフランジFにおける矩形筒状側壁110a3の一端部126の端面126Sが当接される部位に形成されたねじ孔は、端面126Sの長手方向に直交する方向(X方向)に延びる長孔172である。このため、ねじ170を緩めた状態で表示ユニットアセンブリ120Cをその各長孔172の長手方向(図中X方向)に沿って所望の位置までスライドさせて再度ねじ170を締めることにより、表示ユニットアセンブリ120CのX方向に沿った位置、すなわち、マイクロレンズアレイ21のレンズ配列の行方向に沿った位置を、長孔172の長手方向の長さ分だけ微調整可能になっている。
マイクロレンズアレイ21における各レンズアレイ半体21aおよび21bの対向面に互いに対向して形成されたレンズの光軸が正確に一致している場合には、図15(A)に示すように、ディスプレイ11の画像表示面11aに表示された二次元画像に基いてマイクロレンズアレイ21により結像面に結像される浮遊画像P2は、オリジナルの二次元画像に対して二次元的にズレなく正確に一致する。
これに対して、例えばマイクロレンズアレイ製造時において、マイクロレンズアレイ21における各レンズアレイ半体21aおよび21bの対向面に互いに対向して形成されたレンズの光軸がアレイ全体で例えばX軸方向にずれていた場合、マイクロレンズアレイ21により結像面に結像される浮遊画像P2Aは、予め設計された正常の表示出力位置に対して、図15(B)に示すように、その光軸のずれ方向であるX方向に沿ってシフトしてしまう。
この光軸シフトは、マイクロレンズアレイ21の構成に限らず、マイクロミラーアレイやマイクロプリズムアレイを画像伝達ユニット20として用いた場合でも発生する可能性があり、光軸ずれが発生した場合、予め設計された正常の表示出力位置に対し、光軸ずれ方向に対応する方向にシフトした位置に浮遊画像P2Aが現れることになる。
この浮遊画像シフトは、例えば、表示ユニットアセンブリおよび画像伝達ユニットアセンブリを一体化して浮遊画像表示モジュールを組み立てた後、その浮遊画像表示モジュールの動作検証時において発見される。
このとき、本実施形態の第3の変形例においては、例えば、図15(B)に示すようなX軸方向に沿った浮遊画像のシフトが発生した場合、表示ユニットアセンブリ120CをX軸(長孔172の長手方向)に沿って上記浮遊画像のシフト方向とは反対の方向に移動させることができる。すなわち、マイクロレンズアレイ21により結像される浮遊画像のシフト状態をモニタしながら、表示ユニットアセンブリ120CのX方向(長孔172の長手方向)に沿ったスライド長さを調整することにより、浮遊画像P2を、予め設計された正常の表示出力位置に対して結像させることができる(図15(C)参照)。
この結果、表示ユニットアセンブリおよび画像伝達ユニットアセンブリを一体化して浮遊画像表示モジュールを組み立てた後、その浮遊画像表示モジュールの動作検証時において浮遊画像シフトが発見された場合でも、その浮遊画像シフトをキャンセルするように表示ユニット10のディスプレイ位置(画像表示面位置)を調整することにより、浮遊画像シフトの無い正常な浮遊画像表示モジュールを提供することができる。
したがって、浮遊画像表示モジュール組み立て後、または組み立て工程内において浮遊画像シフトが発見された場合でも、その組み立てた浮遊画像表示モジュールを不良品とする必要がなくなり、浮遊画像表示モジュールの製造歩留まりを向上させることができる。
なお、第3の変形例では、表示ユニットアセンブリ120CのX方向に沿った位置、すなわち、マイクロレンズアレイ21のレンズ配列の行方向に沿った位置を、長孔172の長手方向の長さ分だけ微調整可能に構成したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、側壁110a2のフランジFにおける矩形筒状側壁110a3の一端部126の端面126Sが図中X方向に沿って当接する部位には、端面126Sの延びる方向に直交する方向(図中X方向)を中心としてその延在方向に直交する方向(図中Y方向)に延びる長孔を、所定間隔を空けて複数個それぞれ貫通状に形成してもよい。この構成においても、例えば、Y軸方向に沿った浮遊画像のシフトが発生した場合、表示ユニットアセンブリ120CをY軸(長孔172の長手方向)に沿って上記浮遊画像のシフト方向とは反対の方向に移動させることにより、浮遊画像のシフトをキャンセルすることができる。
また、図16に示すように、表示ユニットアセンブリ120C1を、XY平面内で回転させることができる回転部材180を表示ユニットアセンブリ120C1に対して取り付けることも可能である。このように構成すれば、例えばマイクロレンズアレイ製造時において、マイクロレンズアレイ21における各レンズアレイ半体21aおよび21bの対向面に互いに対向して形成されたレンズの光軸がアレイ全体で例えばXY平面内で傾いていた場合、表示ユニットアセンブリ120C1を、光軸ずれで発生した浮遊画像の傾斜方向とは反対の方向にXY平面内で回転させることにより、上記マイクロレンズアレイ21の光軸ずれに基く浮遊画像のシフトをキャンセルすることができる。
上述したX方向への表示ユニットアセンブリスライド機構、Y方向への表示ユニットアセンブリスライド機構、およびXY平面内での表示ユニットアセンブリ回転機構を組み合わせて用いることもでき、マイクロレンズアレイ21の製造時のばらつき(光軸ずれ)を効率よく補正することが可能になる。また、同様に表示ユニット自体をX方向Y方向へのスライド機構、XY平面内での回転機構により調整することも可能である。
(第2の実施の形態)
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る浮遊画像表示モジュール100Cの概略構成を示す分解断面図(一部側面図)である。
図17に示すように、第2の実施の形態に係る浮遊画像表示モジュール100Cによれば、筐体の矩形筒状側壁110a3の一端部126に対して、表示ユニット10を構成するディスプレイ11の矩形エッジ11bが直接接合されている。また、矩形筒状側壁110a3の他端部134がマイクロレンズアレイ21におけるレンズアレイ半体21bの透明基板22の周囲に直接接合されている。なお、本実施形態では、画像伝達ユニット保持部136において、保護部材140を配設していない。
図17に示すディスプレイ11の画像表示面11aおよび画像伝達ユニット20のマイクロレンズアレイ21間の領域を外部から遮光し、かつモジュール全体をコンパクト化するために、図17に示すように、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界の近傍において筐体の矩形筒状側壁110a3を立ち上げている。モジュール全体のサイズを小さくする、またモジュールの構造をシンプルにするという面から考えると、このような構成が望ましい。
しかしながら、この構成によれば、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出力された光は、図17に示すように、矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面におけるディスプレイ11に近い位置で反射し、この反射光は、画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)を通過する光線となる(図17におけるL1参照)。この反射光L1は、迷光やゴーストになる可能性がある。この迷光および/またはゴーストは、浮遊画像の浮き出し感および/または立体感に悪影響を及ぼす恐れがあり、浮遊画像の画質や視認性を悪化させる恐れがある。
言い換えれば、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍において筐体の矩形筒状側壁110a3が立ち上がっている場合、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出力された光線の内、ディスプレイ11の表示面11aの方向に対して垂直に近い光線が矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面に当たって反射し、その反射光が直接画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)を通過する光線L1となってしまう恐れがある。
そこで、本実施形態では、さらに工夫をしている。
すなわち、本発明の第2の実施の形態に係る浮遊画像表示モジュール100Dによれば、図18に示すように、矩形枠状筐体110a3の一端部126が内方に略直角に折り曲げられて矩形状の開口部160Aが形成されている。ディスプレイ11は、形成された開口部160Aに挿入され、その周縁部により保持されている。
同様に、矩形枠状筐体110a3の他端部134が内方に略直角に折り曲げられて矩形状の開口部111Aが形成されている。マイクロレンズアレイ21は、形成された開口部111Aに挿入され、その周縁部により保持されている。
この矩形枠状筐体110a3の一端部126の内方への折り曲げ長さを調整することにより、画像表示領域11aと矩形エッジ11bとの間の境界から所定距離DAだけ間隔を空けた位置から筐体の矩形筒状側壁110a3を立ち上げている。
この距離DAは、図18に示すように、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出力された光線の内、ディスプレイ11の表示面11aの方向に対して垂直に近い光線は矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面に当たらず、直接画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)を通過する。一方、ディスプレイ11の表示面11aの方向に対して平行に近い光線は、矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面に当たって反射したとしても、その反射光が画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)を直接通過しない光線L2となるように設定されている。
このように構成すれば、図18に示すように、矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面に当たって反射した反射光L2は、次の(1)〜(3)の何れかの光線となる。
(1)マイクロレンズアレイ21を通過しない光線となる
(2)マイクロレンズアレイ21を通過しても観察者の目には届かない角度の光として出力される
(3)矩形筒状側壁110a3の内壁面に対して複数回反射して光量が減衰された状態で出力される
この結果、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出力された光線が矩形筒状側壁110a3の一端部126の内壁面に当たって反射しても、その反射光は、浮遊画像の画質および視認性に悪影響を与える恐れがなくなる。
以上述べたように、本実施形態によれば、画像表示領域11aと矩形エッジ11bとの間の境界から所定距離DAだけ間隔を空けた位置から筐体の矩形筒状側壁110a3を立ち上げたことにより、できる限りモジュール100Dをコンパクト化しながら、側壁110a3の内壁面により反射された反射光に起因する浮遊画像の画質および視認性への悪影響をなくすことが可能になる。
なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、図18に破線で示すように、ディスプレイ11の矩形エッジ11b上に貼り付けられてその矩形エッジ11bを隠す例えば光吸収性樹脂製の矩形枠状マスク部150aを設けることが好ましい。また、このマスク部150aは、矩形筒状側壁110a3の内壁面に対して延在配置されることが好ましい。さらに、このマスク部150aは、薄厚、あるいはディスプレイ11に向かってテーパー形状を有していることが好ましい。
このマスク部150aにより、第1実施形態と同様に、ディスプレイ11の矩形エッジ11bの材質および/または色に起因した光反射等の悪影響を防止することができる。また、このマスク部150a自身の厚みに起因した浮遊画像への悪影響を回避、あるいは軽減化することができる。
なお、第1実施形態と同様に、側壁110a3の内壁面に対して、その内壁面に入射した光の反射を防止および/または低減するための表面処理、あるいは内壁面に入射した光を拡散および/または吸収させるための表面処理を施すことも可能である。このように構成した場合、第1実施形態と同様に、側壁110a3の内壁面に入射される光の影響をさらに防止することができる。
また、側壁部110a3の折り曲げ一端部126による開口周縁部とディスプレイ11との間、および側壁部110a3の折り曲げ他端部134による開口周縁部とマイクロレンズアレイ21との間にそれぞれクッション部材を挿入することにより、折り曲げ一端部126による開口周縁部とディスプレイ11との間、および側壁部110a3の折り曲げ他端部134による開口周縁部とマイクロレンズアレイ21との間を、それぞれ気密に接合してもよい。このように構成した場合、第1実施形態と同様に、浮遊画像に対する異物の影響回避、あるいは軽減効果を得ることができる。
図19は、本発明の第2の実施の形態に係る浮遊画像表示モジュール100Eにおける画像表示領域11aと矩形エッジ11bとの間の境界から筐体の矩形筒状側壁110a3の立ち上げ位置までの距離DAの決定の仕方の一例を示す図である。
上述したように、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出力された光線の内、ディスプレイ11に近い位置で反射した光は、画像伝達ユニット20により結像される位置に近いことを意味しており、したがって、この反射光は画像伝達ユニット20を介して像として結像しやすくなる。
一方、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出力された光線の内、ディスプレイ11から遠い位置で反射した光は、画像伝達ユニット20を通過したとしても、非結像のぼけた像となる。このため、像として認識されにくく、観察の邪魔になりにくい。
また、一般的な表示ユニット10のディスプレイ11の特性として、ディスプレイ11の画像表示面11aから、その面方向に対して垂直に近い角度で出射される光線ほど光量が強く、その面方向に対して平行に近付く光線ほど光量が弱くなる。
上述した内容を踏まえて、本発明者等は、実験を行った。すなわち、ディスプレイ11の画像表示面11aとマイクロレンズアレイ21との間の作動距離をWDで表すと、ディスプレイ11の画像表示面11aからWD/4程度離れた領域までの範囲内に位置する矩形筒状側壁110a3の内壁面から反射された光は、マイクロレンズアレイ21によって結像されやすく、観察者から像として認識されやすいことが分かった。
そして、ディスプレイ11の画像表示面11aから、その面方向に直交する方向に対して約20度未満の角度で出射される光量の強い光線でも、画像表示面11aからWD/4程度離れた領域までの範囲外に位置する矩形筒状側壁110a3の内壁面から反射された光は、迷光/ゴーストとして観察者から認識されにくいことも実験から明らかになった。さらに、上記実験では、ディスプレイ11の画像表示面11aから、その面方向に直交する方向に対して約40度未満の角度で出射される光線が、画像表示面11aからWD/4程度離れた領域までの範囲外に位置する矩形筒状側壁110a3の内壁面から反射された場合、その反射光は観察者からほとんど認識されないことも明らかになった。
すなわち、画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界近傍から出射される光におけるその境界から矩形状側壁110a3の内壁面に平行な方向(画像表示面11aに直交する方向)に対する角度をθとし、その角度θの光線が矩形筒状側壁110a3の画像表示面11aからWD/4離れた位置に当たるとすると、境界と矩形状側壁110a3の内壁面との距離DAは、次式(1)で表すことができる。
DA=(WD/4)×tanθ ・・・(1)
そして、θ≦20°、すなわち、角度が20°以下の光線は、矩形筒状側壁110a3の画像表示面11aからWD/4の範囲よりも外側に当たるようにする場合、DAは次式(2)
DA≧(WD/4)×tan20° ・・・(2)
を満足する。
すなわち、例えば、WDを50mmに設定した場合、DAが約4.6mm以上に設定されていれば、ディスプレイ11の画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界から出射される光に基いて側壁110a3の内壁面により反射された反射光に起因する浮遊画像の画質および視認性への悪影響を防止または軽減することが可能になる。
好ましくは、θ≦40°、すなわち、角度が40°以下の光線は、矩形筒状側壁110a3の画像表示面11aからWD/4の範囲よりも外側に当たるようにする場合、DAは次式(3)
DA≧(WD/4)×tan40° ・・・(3)
を満足する。
すなわち、例えば、WDを50mmに設定した場合、DAが約10.5mm以上に設定されていれば、ディスプレイ11の画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界から出射される光に基いて側壁110a3の内壁面により反射された反射光に起因する浮遊画像の画質および視認性への悪影響をさらに防止または軽減することが可能になる。
(第3の実施の形態)
図20は、本発明の第3の実施の形態に係る浮遊画像表示モジュール100Fの概略構成を示す図8に対応する分解断面図(一部側面図)である。
本発明の第3の実施の形態に係る浮遊画像表示モジュール100Fの内、表示ユニットアセンブリの構成は、第1実施形態で説明した表示ユニットアセンブリ120の構成と略同等であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態における浮遊画像表示モジュール100Fを構成する画像伝達ユニットアセンブリ122Aにおける矩形筒状側壁110a5は、図20に示すように、その互いに対向する2組の側壁の内の少なくとも1組(本実施形態では2組とする)の側壁が直線状または曲線状に非平行であり、かつディスプレイ11に向かってテーパー状に形成されている。
また、筐体の矩形筒状側壁110a5の他端部200は、外方へ向けて段状に突出して、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21を保持(ホールド)するための矩形枠状画像伝達ユニット保持溝202を構成する。
すなわち、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21は、そのレンズアレイ半体21bが矩形状開口部111に面するように、矩形枠状部位132および画像伝達ユニット保持溝202間に挿入配置される。
なお、図20の構成においては、クッション部材130および138を省略したが、第1実施形態と同様に、ディスプレイ保持部128の外面128aと矩形エッジ11bとの間隔にクッション部材130を挿入配置してもよい。また、矩形枠状画像伝達ユニット保持溝202およびマイクロレンズアレイ21の間にクッション部材138を挿入配置してもよい。
画像伝達ユニット122Aのその他の構成は、第1実施形態で説明した画像伝達ユニットアセンブリ122の構成と略同等であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、本実施形態によれば、筐体の矩形筒状側壁110a5が非平行かつディスプレイ11に向かってテーパー状に形成されている。このため、ディスプレイ11の画像表示面11aと矩形エッジ11bとの境界から出力された光が矩形筒状側壁110a5の内壁面により反射した場合、その反射光の角度を、矩形筒状側壁110a5が平行な場合に比べて変化させることが可能になる。したがって、反射光の角度をコントロールすることによって、反射光がマイクロレンズアレイ21を通過しないように、もしくは通過したとしても観察者の目には届かない角度の光になるように調節することが可能になる。この結果、ディスプレイ11の画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界から出射される光に基いて側壁110a5の内壁面により反射された光に起因する浮遊画像の画質および視認性への悪影響を防止または軽減しやすくなる。
また、本実施形態では、筐体の矩形筒状側壁110a5が非平行かつディスプレイ11に向かってテーパー状に形成されている。このため、結像面側の観察者が、筐体の矩形筒状側壁110a5の内壁面の存在を認識することも少なくなる。
さらに、本実施形態では、筐体の矩形筒状側壁110a5が非平行かつディスプレイ11に向かってテーパー状に形成されているため、成型での筐体生成時において、その抜き勾配として、上記非平行かつテーパー状に形成された矩形筒状側壁110a5を利用することができる。この結果、成型により筐体を容易に製造することが可能になる。また、テーパー形状が抜き勾配を兼ねるため、成型の金型をシンプルに設計することが可能になる。さらに、成型時において、非平行かつテーパー状に形成された矩形筒状側壁110a5を利用することにより、金型から成型品(筐体)を容易に抜くことができる。
図21は、本発明の第3の実施の形態の変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Gの概略構成を示す図8に対応する分解断面図(一部側面図)である。
本発明の第3の実施の形態の変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Gの内、表示ユニットアセンブリの構成は、第1実施形態で説明した表示ユニットアセンブリ120の構成と略同等であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態における浮遊画像表示モジュール100Gを構成する画像伝達ユニットアセンブリ122Bにおける矩形筒状側壁100a6は、図21に示すように、その互いに対向する2組の側壁の内の少なくとも1組(本実施形態では2組とする)の側壁が直線状または曲線状に非平行であり、かつマイクロレンズアレイ21に向かってテーパー状に形成されている。
また、筐体の矩形筒状側壁110a6の他端部200aは、外方へ向けて段状に突出して、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21を保持(ホールド)するための矩形枠状画像伝達ユニット保持溝202aを構成する。
すなわち、画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21は、そのレンズアレイ半体21bが矩形状開口部111に面するように、矩形枠状部位132および画像伝達ユニット保持溝202a間に挿入配置される。
なお、図21の構成においては、クッション部材130および138を省略したが、第1実施形態と同様に、ディスプレイ保持部128の外面128aと矩形エッジ11bとの間隔にクッション部材130を挿入配置してもよい。また、矩形枠状画像伝達ユニット保持溝202aおよびマイクロレンズアレイ21の間にクッション部材138を挿入配置してもよい。
画像伝達ユニット122Bのその他の構成は、第1実施形態で説明した画像伝達ユニットアセンブリ122の構成と略同等であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、本実施形態によれば、筐体の矩形筒状側壁110a6が非平行かつマイクロレンズアレイ21に向かってテーパー状に形成されている。このため、ディスプレイ11の画像表示面11aと矩形エッジ11bとの境界から出力された光が矩形筒状側壁110a6の内壁面により反射した場合、その反射光の角度を、矩形筒状側壁110a6が平行な場合に比べて変化させることが可能になる。したがって、反射光の角度をコントロールすることによって、反射光がマイクロレンズアレイ21を通過しないように、もしくは通過したとしても観察者の目には届かない角度の光になるように調節することが可能になる。この結果、ディスプレイ11の画像表示面11aと矩形エッジ11bとの間の境界から出射される光に基いて側壁110a6の内壁面により反射された光に起因する浮遊画像の画質および視認性への悪影響を防止または軽減しやすくなる。
また、本実施形態では、筐体の矩形筒状側壁110a6が非平行かつマイクロレンズアレイ21に向かってテーパー状に形成されている。このため、結像面側の観察者が、筐体の矩形筒状側壁110a6の内壁面の存在を認識することも少なくなる。
さらに、本実施形態では、筐体の矩形筒状側壁110a6が非平行かつマイクロレンズアレイ21に向かってテーパー状に形成されているため、成型での筐体生成時において、その抜き勾配として、上記非平行かつテーパー状に形成された矩形筒状側壁110a6を利用することができる。この結果、成型により筐体を容易に製造することが可能になる。また、テーパー形状が抜き勾配を兼ねるため、成型の金型をシンプルに設計することが可能になる。さらに、成型時において、非平行かつテーパー状に形成された矩形筒状側壁110a6を利用することにより、金型から成型品(筐体)を容易に抜くことができる。
本発明に係る第1〜第3の実施形態において、表示ユニットアセンブリ120を、その表示ユニットアセンブリ120および画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)の対向方向に沿って移動可能に構成することもできる。
すなわち、本変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Hによれば、図22に示すように、筐体203の矩形状側壁における例えばXZ平面に沿った互いに対向する両側壁に対し、Z方向に延びる長孔204がそれぞれ貫通状に形成されている。
また、矩形状両側壁側から、ねじ206が長孔204を介して表示ユニットアセンブリ120における両長孔204にそれぞれ対向する部位のねじ穴にそれぞれ螺入される。
すなわち、本変形例では、図22に示すように、筐体203の矩形状側壁における例えばXZ平面に沿った互いに対向する両側壁における、表示ユニットアセンブリ120が対向する位置にそれぞれ形成されたねじ孔は、Z方向に延びる長孔204である。このため、ねじ206を緩めた状態で表示ユニットアセンブリ120をその各長孔204の長手方向(図中Z方向)に沿って所望の位置までスライドさせて再度ねじ206を締めることにより、表示ユニットアセンブリ120のZ方向に沿った位置、すなわち、表示ユニットアセンブリ120および画像伝達ユニットアセンブリ122間の作動距離、およびこの作動距離に対応する結像面のZ軸上の位置を、長孔204の長手方向の長さ分だけ微調整可能になっている。
また、ねじ206を中心に回転させることにより、表示ユニットアセンブリ120をXZ平面内において回転させることもできる。
この結果、組み立てられたモジュールにおける表示ユニットアセンブリ120および画像伝達ユニットアセンブリ122間の作動距離の有効範囲内で、表示ユニットアセンブリ120のZ方向に沿った位置を調整して、実際の表示ユニットアセンブリ120および画像伝達ユニットアセンブリ122間の作動距離を変化させ、結像面のZ方向の位置を調整することが可能になる。また、表示ユニットアセンブリ120をXZ平面内において回転させることにより、結像面をXZ面内で傾けることが可能になる。また、共通の筐体203において、異なる作動距離の複数種類の画像伝達パネルに対応することも可能になる。
さらに、図23に示すように、表示ユニットアセンブリ120を、XZ平面内(Y軸)に平行な軸(ねじ208)を中心して回転可能に構成することもできる。
すなわち、本変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Iによれば、図23に示すように、筐体203の矩形状側壁における例えばXZ平面に沿った一側壁の中心には、ねじ208が螺入されている。また、浮遊画像表示モジュール100Iによれば、筐体203の矩形状側壁における例えばXZ平面に沿った一側壁に対し、Z方向に沿ってねじ208の軸方向を中心とした円周状に所定距離延びる長孔210および214がそれぞれ貫通状に形成されている。
また、矩形状一側壁側からねじ211が長孔210を介して表示ユニットアセンブリ120における長孔210に対向する部位のねじ穴に螺入される。
同様に、矩形状一側壁側からねじ215が長孔214を介して表示ユニットアセンブリ120における長孔214に対向する部位のねじ穴に螺入される。
すなわち、本変形例では、図23に示すように、筐体203の矩形状側壁における例えばXZ平面に沿った一側壁における、表示ユニットアセンブリ120が対向する位置に形成されたねじ孔は、Z方向に沿ってねじ208の軸方向を中心とした円周状に所定距離延びる長孔210および214である。このため、ねじ208、210、および215をそれぞれ緩めた状態で表示ユニットアセンブリ120をその長孔210および214の長手方向(円周方向)に沿って所望の位置まで回転させて、再度ねじ208、210、および215をそれぞれ締める。この結果、表示ユニットアセンブリ120のXZ平面に沿った傾き、すなわち、結像面のXZ平面内の傾きを、長孔210および214の長手方向の長さ分だけ微調整可能になっている。
この結果、組み立てられたモジュールにおける表示ユニットアセンブリ120および画像伝達ユニットアセンブリ122間の作動距離の有効範囲内で、表示ユニットアセンブリ120をXZ平面内において回転させることにより、結像面をXZ平面内で傾けることが可能になる。
なお、同様な構成により、画像伝達ユニット20を移動させることも可能である。
図24は、図22に示す構成の変形例を示す図である。
図24に示すように、本変形例に係る表示ユニットアセンブリ120Dには、本変形例に係る画像伝達ユニットアセンブリ122Cにおける筐体の矩形筒状側壁110a3の一端部126(テーパ部128を含む)が矩形筒状側壁110a8として一体化されている。そして、この表示ユニットアセンブリ120Dの矩形筒状側壁110a8は、第1実施形態における筐体の矩形筒状側壁110a3の残りの矩形筒状側壁110a7に対して、所定間隔を空けた状態で、表示ユニットアセンブリ120Dとして一体にZ方向に沿ってスライド自在に取付られている。なお、表示ユニットアセンブリ120DのZ方向に沿ったスライドの構成としては、例えば図22に示す構成と同様な構成を適用することができる。
以上述べたように、本変形例によれば、図22に示す変形例と同様に、表示ユニットアセンブリ120DのZ方向に沿った位置を調整することにより、表示ユニットアセンブリ120Dおよび画像伝達ユニットアセンブリ122C間の作動距離を調整することができる。
特に、本変形例によれば、表示ユニットアセンブリ120Dの矩形筒状側壁110a8を、画像伝達ユニットアセンブリ122Cの矩形筒状側壁110a7に対して、所定間隔を空けた状態で取り付けている。このため、その間隔から空気を筐体内に取り込むことができ、筐体内部の放熱に寄与することができる。また、表示ユニットアセンブリ120Dの矩形筒状側壁110a8と筐体の矩形筒状側壁110a7とが対向配置されているため、光を筐体内部に通しにくい構造となっており、放熱効果を実現しながら、遮光効果を維持することができる。例えば、空気は図中矢印○のように通るが、光は図中矢印×印のように通ることはなく、放熱効果と遮光効果とを兼ね備えることが可能になる。
なお、本変形例の構成では、表示ユニットアセンブリ120Dの矩形筒状側壁110a8および画像伝達ユニットアセンブリ122Cの矩形筒状側壁110a7間の間隔からゴミやホコリ等の異物の筐体110内への侵入が心配される。その際には、表示ユニットアセンブリ120Dの矩形筒状側壁110a8および画像伝達ユニットアセンブリ122Cの矩形筒状側壁110a7間の間隔に対し、空気を筐体内に通し、異物の筐体内への侵入を遮断するフィルタ部材等を取り付けることが可能になる。
本発明に係る第1〜第3の実施形態およびその変形例において、画像伝達ユニットアセンブリの取り付けをさらに工夫することも可能である。
図25は、例えば第1の実施の形態に係る画像伝達ユニットアセンブリの第1の変形例における筐体部分を示す図である。
本変形例においては、図25に示すように、第1の変形例に係る画像伝達ユニットアセンブリ122Dの画像伝達ユニット20Aを構成するマイクロレンズアレイ21Aには、そのレンズ半体21bの外表面(光出射面)に矩形枠状の切り欠き溝220が形成されている。このとき、本変形例では、矩形枠状のマスク部222がその切り欠き溝220に収容されてマイクロレンズアレイ21Aに当接される。この結果、レンズアレイ半体21bにおける透明基板22の周囲は、マスク部222によりマスクされる。
また、本変形例では、マスク部222の外表面は、レンズ半体21bの外表面(光出射面)に一体化される。
すなわち、本変形例によれば、マスク部222を、マイクロレンズアレイ21Aにおける予め形成された矩形枠状の切り欠き溝220内に収容することにより容易に取り付けることができる。
また、本変形例においても、マイクロレンズアレイ21Aの光出射面を、浮遊画像表示モジュールの端面の一部として機能させることができる。
この結果、表示装置製造メーカが、スペース上の余計な制限が解消もしくは緩和された状態で、マイクロレンズアレイ21Aの光出射面や浮遊画像(結像面30)の近傍に必要な部品や装飾を組み込むことが可能になる。したがって、表示装置製造メーカの使い勝手や設計の自由度を向上させることができる。
図26は、例えば第1の実施の形態に係る画像伝達ユニットアセンブリの第2の変形例における筐体部分を示す図である。
第2の変形例に係る画像伝達ユニットアセンブリ122Eにおいては、図26に示すように、そのマスク部230は、矩形枠状筐体100a10の他端部から互いに対向する内方に突出された状態で形成されている。画像伝達ユニットアセンブリ122Eの画像伝達ユニット20を構成するマイクロレンズアレイ21のレンズ部分の周囲は、マスク部230によりマスクされている。
また、矩形枠状筐体100a10の他端部は、マスク部230から所定間隔を空けて矩形枠状に突出された突片232が設けられている。この突片232はその表示ユニットアセンブリに対向する面が外周から内周に向かってテーパー状になるように形成されている。
すなわち、本変形例によれば、画像伝達ユニットアセンブリ122Eにおけるマイクロレンズアレイ21を筐体110a10に一体化する際において、図26に示すように、マイクロレンズアレイ21を表示ユニットアセンブリ側からZ方向に沿ってスライドさせ、突片232のテーパー面に沿って滑らせながら、マスク部230に向かって押圧する。この結果、マイクロレンズアレイ21は、突片232を飛び越えてマスク部230と突片232間の間隔内に収容保持される。
以上述べたように、本変形例によれば、単にマイクロレンズアレイ21を表示ユニットアセンブリ側からZ方向に沿ってスライドさせることにより、マイクロレンズアレイ21を、矩形枠状筐体100a10におけるマスク部230と突片232との間の間隔に容易に固定および一体化することができる。この結果、浮遊画像表示モジュールの組み立て効率を向上させることができる。
図27は、例えば第1の実施の形態に係る画像伝達ユニットアセンブリの第3の変形例の概略構成を示す図である。
第3の変形例に係る画像伝達ユニットアセンブリ122Fにおけるマスク部132の外周縁から矩形筒状側壁110a3の他端部134に沿って所定長さだけ延在する延在部142は、図27に示すように、矩形筒状側壁110a3の他端部134に対して、スライド部材240を介してZ方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。
この構成によれば、マスク部132および筐体110の画像伝達ユニット保持部136により画像伝達ユニット20(マイクロレンズアレイ21)をホールドした際に、そのマイクロレンズアレイ21(保護部材140を含んでもよい)のZ方向に沿った厚さに応じてマスク部132をZ方向に沿ってスライドさせる。この結果、例えば、保護部材140の有無によって厚さが変わった場合や、異なる厚さのマイクロレンズアレイを用いた場合でも、その異なる厚さに応じてスライドされたマスク部132により、マイクロレンズアレイ21を容易にホールドすることが可能になる。
図28は、例えば第1の実施の形態に係る画像伝達ユニットアセンブリの第4の変形例の概略構成を示す図である。
第4の変形例に係る画像伝達ユニットアセンブリ122Gにおける矩形筒状側壁110a3の他端部134には、その外壁面に対して所定間隔を空けて複数(例えば2つ)の係合フック250が突状に形成されている。
この係合フック250は、図28(A)に示すように、ディスプレイ側からマイクロレンズアレイ側に向かってテーパー状に形成された係合面を有している。
一方、画像伝達ユニットアセンブリ122Gの側壁110a1の延在部142における他端部134の外壁面に対向する内壁面には、図28(A)に示すように、各係合フック250が係合自在な複数(例えば2つ)の係合溝252が形成されている。
すなわち、本変形例によれば、側壁110a1をディスプレイ側に向かってスライドさせていく。このとき、図28(A)に示すように、延在部142の先端は、係合フック250のテーパー面により外方にバイアスがかかる。このため、延在部142の先端が係合フック250のテーパー面から離れた時点で、上記バイアスの反力により、係合溝252が係合フック250に対して係合保持される。
そして、マイクロレンズアレイ21の厚さおよび保護部材140の厚さや有無に応じて、延在部142における先頭の係合溝252のみを1つの係合フック250に係合させるか、あるいは先頭および2番目の係合溝252を、対応する係合フック250にそれぞれ係合させるかを選択して実施する。
この結果、例えば、図28(A)に示すように、保護部材140を付加した場合には、その厚さに応じて延在部142における係合溝252の係合フック250に対する係合位置を決定することにより、保護部材140とマイクロレンズアレイ21とを容易にホールドすることが可能になる。
また、図28(B)に示すように、保護部材140を付加しない場合には、その厚さに応じて延在部142における係合溝252の係合フック250に対する係合位置を決定することにより、マイクロレンズアレイ21のみを容易にホールドすることが可能になる。このような構成により、保護部材140の有無に対して容易に対応することができる。
本発明に係る第1〜第3の実施形態およびその変形例においては、表示ユニットアセンブリ120と画像伝達ユニットアセンブリ122との間のスペース内には、何も物体を配置しなかったが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図29に示すように、本変形例に係る浮遊画像表示モジュール100Kにおいては、その表示ユニットアセンブリ120と画像伝達ユニットアセンブリ122との間のスペース内に、表示され浮遊画像に対する比較対象となる物体として、例えば柱状物体264や、浮遊画像の背景用の図柄が表示(印刷)された透明フィルム266が配置されている。
このように構成すれば、図29に示すように、観察者側から見て、結像面30に結像される浮遊画像の背景として、柱状物体264の像260や透明フィルム266に表示された図柄の像262がそれぞれマイクロレンズアレイ21により表示される。
この結果、観察者は、柱状物体264の像260および透明フィルム266に表示された図柄の像262を背景として対比しながら、結像面30上の浮遊画像を見ることが可能になり、浮遊画像の視認性をさらに向上させることができる。
また、本発明に係る第1〜第3の実施形態の変形例(例えば、図20に示す第3実施形態の浮遊画像表示モジュールの変形例)として、図30に示すように、ディスプレイ11(表示ユニット10)を直接筐体110a5の一端部126bに内包させるように構成してもよい。このとき、図30に示すように、筐体110a5の一端部126bの先端126cは、外方に段状に突出(拡開)しており、板状のディスプレイ押さえ部材300を保持するための保持溝を構成している。
すなわち、本変形例では、ディスプレイ11は、その対応する側壁面が筐体110の矩形筒状側壁110a5の一端部126bの内壁面に内包されるように配置され、その後、ディスプレイ押さえ部材300を保持溝126c内に挿入してディスプレイ11をディスプレイ固定部128に向けて緩やかに押圧した状態で、ディスプレイ押さえ部材300と筐体110の矩形筒状側壁110a5の保持溝126cとを着脱自在に接合する。この結果、ディスプレイ11を、側壁110a5の一端部126b、ディスプレイ固定部128、およびディスプレイ押さえ部材300により保持(ホールド)することができる。
この構成においても、例えば図14、図16、図22、および/または図23に示した表示ユニットスライド機構および/または回転機構をディスプレイ自体に設けることが可能になる。この結果、浮遊画像(結像面)の空間的位置の微調整が可能になる。
同様に、図30に示すように、画像伝達ユニット20を、画像伝達ユニット保持溝202に直接収容し、その後、筐体110a5とは別個の矩形枠状部位132により外側から保持することにより、画像伝達ユニット20を取り付けることも可能である。
なお、本発明に係る第1〜第3の実施形態およびその変形例においては、例えば図6、図7(A)、図7(B)、および図8に示すように、矩形筒状側壁110a3の両端面に対して、略矩形状の表示ユニットアセンブリ120および画像伝達ユニットアセンブリ122をそれぞれ取り付けることにより、浮遊画像表示モジュール100を構成したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、円筒状の側壁の両端面に対して、略円筒状の表示ユニットアセンブリおよび画像伝達ユニットアセンブリをそれぞれ取り付けることにより、浮遊画像表示モジュールを構成することも可能である。
また、筐体、ディスプレイ、画像伝達パネル、表示ユニットアセンブリ、画像伝達ユニットアセンブリ、およびマスク部等を、それぞれ取付、固定、および/または配設する際には、ネジ止め、接着、嵌合、別部品を介して、等の様々な方法を採用することが可能であり、特に限定されるものではない。
さらに、表示ユニットの画像表示面は、反射防止(アンチリフレクション)またはアンチグレア等の表面処理が施されていることが好ましい。このような構成にすることにより、画像表示面での反射の影響を防止または軽減することが可能になる。
本発明は、上述した第1〜第3の実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明に属する範囲内において、上記第1〜第3の実施の形態およびその変形例を様々に変形して実施することが可能である。