JPWO2008126837A1 - 標識可能な核酸、標識核酸及びその用途 - Google Patents
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Abstract
核酸の標識方法、例えば、イメージングに適した核種によりsiRNAを標識することが可能な二本鎖RNAの標識方法を提供する。キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸。この核酸は、キレート化剤を介して67Ga、68Ga、99mTc、111In、201Tlなどの金属で標識可能である。標識された核酸は、核酸の体内動態評価、核酸のターゲット臓器への到達の有無の確認、遺伝子発現のイメージング、疾病の予防及び/又は治療などに利用することができる。
Description
本発明は、標識可能な核酸、標識核酸及びその用途に関する。
近年分子生物学の分野では、RNAi現象がホットなテーマとなっており、遺伝子ノックダウンを生じさせるツールとしてsiRNAが多用されている。また、siRNAを新たな臨床薬として応用しようとする試みが始まっており、ターゲット臓器にsiRNAが到達しているか確認する手段の必要性が叫ばれている。
一方、siRNAは非常に不安定な物質であり、強い条件下で標識等をするとその機能を失う可能性がある。そのため、siRNAを画像化するような手段がない。
従来、in vivo実験などではsiRNAのターゲット臓器への到達の有無の確認には解剖するなどの侵襲的な手段しかなく、同じ個体で時間的な変化を追うことも不可能であった。また、侵襲的な方法ではヒトなどに応用できない。さらに、侵襲的な方法は煩雑なものが多く、かなりの熟練を要する。データ解析も煩雑になることが多い。
これまで、放射性同位元素(Radioisotope; RIと略す)によって標識されたアンチセンスRNAやDNAが特定の遺伝子発現の非侵襲的検査法に役立つとされてきた(非特許文献1)。
ところで、臨床における核医学(RI)検査は、特定の臓器に親和性の医薬品を放射性同位元素(Radioisotope; RIと略す)で標識し放射性医薬品として、患者に静注又は経口にて投与する。検査で使用されるRIは、γ線を放出し比較的半減期も短く、患者の体内に分布したRIをガンマカメラと呼ばれる測定装置で体外から測定することによりその分布像をシンチグラムとして得、全身の臓器の形態や機能を画像化して提供する。
近年、コンピュータ技術、その他の機器の発達により平面的画像だけでなく、目的臓器のRIの分布を断層画像として表現するイメージング法が開発され診断に寄与している。
Dewanjee MK et al., Noninvasive imaging of c-myc oncogene messenger RNA with indium-111-antisense probes in a mammary tumor-bearing mouse model. J Nucl Med. 1994;35:1054-1063
本発明は、イメージングに適した核種などの標識物質により標識することが可能なsiRNAをはじめとする核酸を提供することを目的とする。
本発明者らは、1本鎖RNAにATPを基質としてA(アデニン)を付加重合させていく酵素である、ポリAポリメラーゼ(Poly(A) Polymerase)に着目した。これは従来から32P-ATP を用いて1本鎖RNAを標識するツールとして用いられている。しかし、この酵素がsiRNAのような2本鎖RNAに作用することは知られていなかったが、本発明者らは、32P-ATPを用いた予備実験で、siRNAが32P標識されることを見出した。また、標識によりsiRNAの機能が失われないことも確認した。しかしながら、32P標識ではイメージングに不向きであるため、イメージングに適した核種によるsiRNAの標識法を模索した。
そこでATPを何らかの核種で標識できればと思い、放射性同位元素の67Gaや68Gaをキレート化剤であるDTPAを介在させることによりATPのNH2-基にbindingさせようと試みた(図1)。この方法で放射性同位元素(68Ga, 67Ga, 99mTc)標識されたsiRNAをマウスに静注し、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography: PET)カメラ或いはSPECTカメラにより撮像したところ、ターゲット臓器にsiRNAが取り込まれていること、また、発現遺伝子特異的に集積していることが確認された。本発明は、これらの知見に基づいて、完成されたものである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸。
(2)キレート化剤が、ジエチレントリアミン-N, N, N’, N”, N”-ペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)及びそれらの誘導体からなる群より選択される(1)記載の核酸。
(3)キレート化剤がコンジュゲートしているプリン塩基又はピリミジン塩基が、アデニン、グアニン及びシトシンからなる群より選択される(1)又は(2)記載の核酸。
(4)キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が3’末端又は5’末端に付加されている(1)〜(3)のいずれかに記載の核酸。
(5)キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているヌクレオシド一リン酸が200個以下の数で付加されている(1)〜(4)のいずれかに記載の核酸。
(6)核酸が、RNA、DNA又はRNAとDNAのキメラである(1)〜(5)のいずれかに記載の核酸。
(7)核酸が、二本鎖RNAである(6)記載の核酸。
(8)二本鎖RNAがsiRNAである(7)記載の核酸。
(9)下記(i)〜(iii)のいずれかの方法により製造された(7)又は(8)に記載の核酸。
(i) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸に付加させる。
(ii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸の一方の鎖に付加した後、二本鎖核酸の他方の鎖をアニールさせる。
(iii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸を付加した二本鎖核酸を化学合成する
(10)キレート化剤を介して標識された(1)〜(9)のいずれかに記載の核酸。
(11)標識物質が放射性核種である(10)記載の核酸。
(12)放射性核種が金属である(11)記載の核酸。
(13)金属が、67Ga、68Ga、99mTc、111In、201Tl、89Sr、186Re、153Sm及び117mSnからなる群より選択される(12)記載の核酸。
(14)(1)〜(9)のいずれかに記載の核酸を含むキット。
(15)さらに、放射性核種を含む(14)記載のキット。
(16)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を含む組成物。
(17)核酸医薬の体内動態を評価するための製剤として用いられる(16)記載の組成物。
(18)核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための製剤として用いられる(16)記載の組成物。
(19)遺伝子発現イメージング製剤として用いられる(16)記載の組成物。
(20)疾病の予防及び/又は治療に用いられる(16)記載の組成物。
(21)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、核酸医薬の体内動態を評価する方法。
(22)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認する方法。
(23)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、遺伝子発現をイメージングする方法。
(24)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、疾病を予防及び/又は治療する方法。
(25)核酸医薬の体内動態を評価するための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(26)核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(27)遺伝子発現をイメージングするための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(28)疾病を予防及び/又は治療するための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(2)キレート化剤が、ジエチレントリアミン-N, N, N’, N”, N”-ペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)及びそれらの誘導体からなる群より選択される(1)記載の核酸。
(3)キレート化剤がコンジュゲートしているプリン塩基又はピリミジン塩基が、アデニン、グアニン及びシトシンからなる群より選択される(1)又は(2)記載の核酸。
(4)キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が3’末端又は5’末端に付加されている(1)〜(3)のいずれかに記載の核酸。
(5)キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているヌクレオシド一リン酸が200個以下の数で付加されている(1)〜(4)のいずれかに記載の核酸。
(6)核酸が、RNA、DNA又はRNAとDNAのキメラである(1)〜(5)のいずれかに記載の核酸。
(7)核酸が、二本鎖RNAである(6)記載の核酸。
(8)二本鎖RNAがsiRNAである(7)記載の核酸。
(9)下記(i)〜(iii)のいずれかの方法により製造された(7)又は(8)に記載の核酸。
(i) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸に付加させる。
(ii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸の一方の鎖に付加した後、二本鎖核酸の他方の鎖をアニールさせる。
(iii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸を付加した二本鎖核酸を化学合成する
(10)キレート化剤を介して標識された(1)〜(9)のいずれかに記載の核酸。
(11)標識物質が放射性核種である(10)記載の核酸。
(12)放射性核種が金属である(11)記載の核酸。
(13)金属が、67Ga、68Ga、99mTc、111In、201Tl、89Sr、186Re、153Sm及び117mSnからなる群より選択される(12)記載の核酸。
(14)(1)〜(9)のいずれかに記載の核酸を含むキット。
(15)さらに、放射性核種を含む(14)記載のキット。
(16)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を含む組成物。
(17)核酸医薬の体内動態を評価するための製剤として用いられる(16)記載の組成物。
(18)核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための製剤として用いられる(16)記載の組成物。
(19)遺伝子発現イメージング製剤として用いられる(16)記載の組成物。
(20)疾病の予防及び/又は治療に用いられる(16)記載の組成物。
(21)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、核酸医薬の体内動態を評価する方法。
(22)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認する方法。
(23)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、遺伝子発現をイメージングする方法。
(24)(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸を用いて、疾病を予防及び/又は治療する方法。
(25)核酸医薬の体内動態を評価するための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(26)核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(27)遺伝子発現をイメージングするための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
(28)疾病を予防及び/又は治療するための(10)〜(13)のいずれかに記載の核酸の使用。
本発明により、生体内でのsiRNAの導入効率を画像で確認することができるようになった。また、本発明の標識siRNAを用いて、生体内での特定の遺伝子の発現状況を画像化することができるようになった。siRNAを用いた遺伝子ノックダウン法は生理的メカニズムを利用するため細胞毒性は低く、そのため臨床応用し易い。その塩基配列の決定にもターゲットmRNAの立体構造に依存することはなく、最適配列を決定するアルゴリズムもほぼ確立している。また低価格である。
本発明によるsiRNAの標識法はsiRNAの機能をほぼ完全に温存することができる。標識プロトコールも単純で再現性も高い。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2007‐102283の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
本発明は、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸(以下、「本発明の核酸」と記すこともある)を提供する。
本発明の核酸には、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている。
キレート化剤は双機能性キレート化剤であるとよく、その例としては、ジエチレントリアミン-N, N, N’, N”, N”-ペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)、それらの誘導体(例えば、1-(4-イソチオシアナトベンゾイル)エチレンジアミン-N, N, N’, N’-テトラ酢酸(Isothiocyanobenzyl-EDTA)、S-2-(4-アミノベンゾイル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ酢酸(p-NH2-Bn-DOTA)、S-2(4-アミノベンゾイル)-ジエチレントリアミンペンタ酢酸(p-NH2-Bn-DTPA)、2-(4-アミノベンゾイル)-ジエチレントリアミンペンタ-tert-ブチルアセテート(p-NH2-Bn-DTPA-penta(t-Bu ester)、S-2-(4-アミノベンゾイル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ酢酸(p-NH2-Bn-NOTA)、[(R)-2-アミノ-3-(4-アミノフェニルプロピル]-トランス-(S,S)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-ペンタ酢酸(p-NH2-CHX-A”-DTPA)、S-2-(4-ニトロベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(p-NO2-Bn-Cyclen)、S-2-(4-ニトロベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ酢酸(p-NO2-Bn-DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロデカン-テトラ酢酸(p-SCN-Bn-DOTA)、2-(4-イソチオシアナトベンジル)ジエチレントリアミンペンタ酢酸(p-SCN-Bn-DTPA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンゾイル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ酢酸(p-SCN-Bn-NOTA)、[(R)-2-アミノ-3-(4-イソチオシアナトフェニル)プロピル]-トランス-(S,S)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-ペンタ酢酸(CHX-A”-DTPA)、1-(4-イソチオシアナトフェニル)-3-[6,17-ジヒロキシ-7,10,18,21-テトラオコソ-27-[N-アセチルヒドロキシルアミノ)-6,11,17,22-テトラアザヘプタエイコサン]チオ尿素(Deferroxamine-p-SCN)、DOTA-Biotin-Sarcosine、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス(t-ブチルアセテート)-10-スクシンイミジルアセテート(DOTA-mono-NHS-tris(t-Bu)ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(DOTA-NHS-ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノテトラフルオロフェニルエステル(DOTA-TFP-ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tert-ブチルアセテート-10-酢酸(DOTA-tris(t-Bu ester))、ジエチレントリアミン-N,N,N”,N”-テトラ-tert-ブチルアセテート-N’-酢酸(DTPA-tetra(t-Bu ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tert-ブチルアセテート-10-(N-a-Fmoc-N-e-アセトアミノ-L-リジン)(Fmoc-L-Lys-mono-amide-DOTA-tris(t-Bu ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-酢酸-10-マレイミドエチルアセタミド(Maleimido-mono-amide-DOTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tert-ブチルアセテート-10-マレイミドエチルアセタミド(Maleimido-mono-amide-DOTA-tris(t-Bu ester)など)などを挙げることができる。DTPAは、p-Isothiocyanatobenzylなどの修飾がなされていてもよい。
キレート化剤がコンジュゲートするプリン塩基又はピリミジン塩基は、キレート化剤がコンジュゲートできるものであれば特に限定されないが、例えば、キレート化剤がカルボキシル基を有する化合物である場合には、プリン塩基又はピリミジン塩基は、アデニン、グアニン、シトシンなどのアミノ基を有するものであるとよい。
キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加される核酸は、RNA、DNA、RNAとDNAのキメラなどいかなる核酸であってもよく、一本鎖、二本鎖又は一本鎖の核酸がヘアピン構造をとり二本鎖になっているもののいずれであってもよい。現在、アプタマー、リボザイム、アンチジーン、アンチセンス、デコイ、RNAiなどの種々の核酸医薬が研究・開発されており、これらの医薬品を構成する核酸を対象とすることができる。また、核酸は天然型核酸に限定されるわけではなく、修飾核酸であってもよい。修飾核酸としては、リン酸結合部位を修飾した核酸(例えば、トリエステル型、ホスホロチオエート型、ホスホロジチオエート型、ホスホロジアミデート型、メチルホスホネート型、メチルホスホノチオエート型の核酸など)、糖部を修飾した核酸(例えば、α−アノマー型、β−アノマー型、ポリアミド核酸(PNA)など)、機能をもった分子と複合化した核酸(例えば、色素(アクリジン誘導体など)などのインターカレーターを導入した核酸、光架橋性化合物(ソラレン誘導体など)を導入した核酸など)、その他修飾核酸(LNA、BNAなど)などを例示することができる。
キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加される核酸の長さは、特に限定されるわけではないが、例えば、核酸がsiRNAである場合、200塩基以下の長さが適当であり、21〜27塩基の長さが好ましく、21〜25塩基の長さがより好ましい。
キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸は核酸の3’末端又は5’末端のどちらに付加されてもよいが、例えば、核酸がsiRNAである場合には、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が二本鎖RNAの3’末端に付加されているとよい。また、核酸がアンチセンスRNA又はDNAである場合には、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸がアンチセンスRNA又はDNAの5’末端に付加されているとよい。1分子の核酸に付加されるヌクレオシド一リン酸(例えば、AMP)の数は、1〜100個程度であるとよい。
本発明の核酸は、ポリAポリメラーゼなどの酵素を用いた反応、一般的に知られている化学反応を利用した合成法(例えば、ホスホアミダイド法、ホスホジエステル法、ホスホトリエステル法など)、その組合せなどによって製造することができる。
例えば、本発明の核酸が二本鎖である場合、(i)〜(iii)のいずれかの方法により製造することができる。
(i) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸(ATP)とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸(AMP)を二本鎖核酸に付加させる。
(ii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸の一方の鎖に付加した後、二本鎖核酸の他方の鎖をアニールさせる。
(iii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸を付加した二本鎖核酸を化学合成する。
なお、(i) 、(ii)を用いた場合には核酸の3’末端特異的に、(iii)を用いた場合は核酸の任意の位置に、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているヌクレオシド一リン酸を付加することが出来る。
本発明の核酸を標識することにより、核酸の体内動態を評価したり、核酸のターゲット臓器への到達の有無を確認したり、遺伝子発現をイメージングしたり、疾病を予防及び/又は治療することができる。
本発明は、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸が標識されたもの(以下、「本発明の標識核酸」と記すこともある)も提供する。
本発明の標識核酸は、核酸に付加されているヌクレオシド一リン酸のプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているキレート化剤を介して標識されているとよい。
標識核酸の標識率は、50%〜100%程度であるとよい。
標識物質としては、放射性核種(例えば、67Ga(半減期3.261日)、68Ga(半減期68分)、99mTc(半減期6時間)、111In(半減期2.805日)、201Tl(半減期72.9時間)、89Sr(半減期50.52日)、186Re(半減期90.6時間)、153Sm(半減期47.1時間)、117mSn(半減期14日)などの放射性金属、32P(半減期14日)、3H(半減期12.3年)などの放射性非金属元素)、Cy3, Cy5, FITCなどの蛍光色素などを挙げることができる。
本発明の標識核酸は、核酸の体内動態評価、核酸のターゲット臓器への到達の有無の確認、遺伝子発現のイメージング、疾病の予防及び/又は治療に利用することができる。
例えば、標識されている核酸がsiRNAである場合、この標識siRNAを用いて、siRNAのターゲット部位(例えば、臓器、癌原発巣、癌転移部位、遺伝病発現部位、酵素産生部位、ホルモン産生部位など)への到達の有無を確認することができる。また、本発明者らは、後述の実施例4に示すように、この標識siRNAが遺伝子特異的にsiRNAが結合し、遺伝子発現量とリンクしてsiRNAが集積することを確認した。従って、本発明の標識核酸(例えば、標識siRNA)を用いて、生体内や細胞レベルでの遺伝子発現をイメージングすることができる。この標識siRNAは、アンチセンス法に変わる新たな遺伝子発現イメージング製剤として利用可能である。
本発明の標識核酸は、ポリAポリメラーゼなどの酵素を用いた反応、一般的に知られている化学反応を利用した合成法(例えば、ホスホアミダイド法、ホスホジエステル法、ホスホトリエステル法など)、その組合せなどによって、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸を作製した後、標識化を行うことにより、製造することができる。
例えば、核酸が二本鎖RNAである場合、本発明の標識二本鎖RNAは、以下の工程:
(ia)ポリAポリメラーゼとATPを用いて二本鎖RNAにAMPを付加する工程、及び
(ib)(ia)のAMP付加工程の前あるいは後に、標識化を行う工程
を含む方法により、製造することができる。
(ia)の工程は、バッファー(例えば、5×反応バッファーなど)中、Mg2+の存在下で、ATPと二本鎖RNAにポリAポリメラーゼを37℃程度の温度で6〜8時間程度作用させることにより行うことができる。ポリAポリメラーゼの作用により、二本鎖RNAの3’末端にAMPが付加される。付加されるAMPの数は、通常、1〜100個程度である。
一般にsiRNAの3’末端オーバーハングの配列はDNAのTTであるが、これだとポリAポリメラーゼが作用しにくいので、UUに変えるとポリAポリメラーゼが作用しやすい。
(ia)のAMP付加工程の前に、キレート化剤をATPにコンジュゲートさせる工程を含んでもよい。
キレート化剤として、DTPAを選択した場合、バッファー(例えば、HEPESバッファーなど)中でATPを過剰量のDTPA無水物を室温で5分程度反応させてから、上清を採取することにより、ATPとDTPAを結合(コンジュゲート)させることができる。
上記のいずれの反応においても、液を希釈する場合には、RNaseフリー水を用いるとよい。
少なくとも1個のAMPが付加した二本鎖RNAは、精製キット(例えば、アンビオン社製の精製キットmirVanaTM miRNA Isolation Kitなど)を用いて精製することができる。mirVanaTM miRNA Isolation Kitを用いると単なる精製のみならず、200base以下と以上に分離することもでき、poly(A)化によるsiRNAの機能に対する影響を最小限にできる。
(ia)のAMP付加工程の前あるいは後に、標識化を行う(工程(ib))。
例えば、68Ga又は67Gaを用いて標識化を行う場合には、キレート化剤がコンジュゲートしたAMPが付加された二本鎖RNAを68GaCl3又は67GaCl3溶液とバッファー中で混和し、37℃程度で30分程度インキュベートするとよい。
また、99mTcを用いて標識化を行う場合には、キレート化剤がコンジュゲートしたAMPが付加された二本鎖RNAを99mTc溶液と混和し、還元剤として少量の塩化スズ(II)二水和物を混ぜた後、37℃程度で30分程度インキュベートするとよい。
標識核酸の標識率は、50〜100%程度であり得る。
標識核酸の標識率は、以下のようにして測定することができる。前記アンビオン社製の精製キットmirVanaTM miRNA Isolation Kitなどの精製キットによって精製後の標識核酸(例えば、siRNA)の放射能をガンマカウンターなどの放射能測定装置によって測定し、それを混合した放射性各種の放射能で除することにより、標識核酸の標識率を測定できる。
また、本発明は、上記の標識核酸を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、核酸医薬の体内動態を評価するための製剤、核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための製剤、遺伝子発現イメージング製剤などとして用いることができる。このような用途に用いる場合には、標識核酸と注射用精製水の混合液をトランスフェクション試薬(例えば、TransIT-QR Hydrodynamic Delivery Solution(ミラス社))と混和し、直ちに対象とする動物に静注するとよい。標識核酸の使用量、放射能の強さ、トランスフェクション試薬の種類と使用量などは、適宜、選択することができる。標識核酸を静注した後、適当な時間経過後(例えば、30〜180分程度)に画像化する。68Gaなどの陽電子放出核種で標識した場合には、PET(positron emission tomography)装置で撮影するとよい。67Ga、99mTcなどのγ線放出核種で標識した場合には、SPECT(single photon emission computed tomography)装置で撮影するとよい。本発明の標識核酸は、ヒトを対象とするPET検査薬、SPECT検査薬などの核医薬品として、また、実験動物を対象とする実験用試薬として利用することができる。67Ga(半減期:3日)のように半減期が長い核種で標識した核酸は実験用試薬として使い易い。
核医薬品として使用する場合には、現状では静脈内投与など非経口的に投与することが望ましいが、経口的に投与する事も理論上は可能である。但し、消化管内における安定性や吸収率の個体差などの点から治療以外では経口投与は実施されていないのが現状である。非経口投与に適する製剤形態としては、注射剤などを挙げることができる。経口投与に適する製剤形態としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などを挙げることができる。製剤形態の調整にあたっては、適宜の薬理学的に許容される、溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤等の製剤用添加物を用いることができる。
標識核酸を単独で、あるいは溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤などの医薬的に許容される製剤用添加剤と混合し、注射剤等に製剤化するとよい。溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤、賦形剤、着色剤は当分野で常套的に使用され、医薬的に許容されるものであればよく、その種類及び組成は適宜変更される。例えば、溶剤としては、注射用水、生理食塩液、リンゲル液などを使用してよい。溶解補助剤としては、アルコール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなどが例示される。保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノールなどが例示される。安定剤としては、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などが例示される。乳化剤、懸濁化剤としては、非イオン性界面活性剤、HCO-60、レシチンなどが例示される。無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノールなどが例示される。等張化剤及び緩衝剤としては、ブドウ糖、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩などが例示される。
標識核酸の製剤中における含量は、製剤形態により異なるが、通常1〜100 重量%、好ましくは50〜100 重量%である。例えば、注射剤の場合には、標識核酸の製剤中における含量は、10-6重量%程度とするとよい。
標識核酸の投与量は、ターゲット部位への標識核酸の集積や遺伝子発現が確認できる量が必要であり、患者の年齢、体重、検査目的、投与経路等により異なりうるが、例えば、1回当たりの投与量は成人の場合、74〜740MBq程度の放射能の強さとなる量が適当であり、370MBq程度の放射能の強さとなる量が好ましい。例えば、68Ga標識核酸を非経口投与(静脈注射など)する場合には、有効成分(68Ga標識核酸)の量に換算して、成人一人あたり1〜10mgが適当であり、4〜8mgが好ましい。67Ga標識核酸を非経口投与(静脈注射など)する場合も同様である。また、99mTc標識核酸を非経口投与(静脈注射など)する場合には、有効成分(99mTc標識核酸)の量に換算して、成人一人あたり1〜10mgが適当であり、4〜8mgが好ましい。
また、本発明の組成物は、疾病の予防及び/又は治療剤として用いることもできる。例えば、本発明の標識核酸は、癌などの疾患を対象とする治療用放射線医薬品として利用することができる。
治療用放射線医薬品として使用する場合には、静脈内投与のように非経口的に投与すること、あるいは経口的に投与することができる。非経口投与に適する製剤形態としては、注射剤などを挙げることができる。経口投与に適する製剤形態としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などを挙げることができる。製剤形態の調整にあたっては、適宜の薬理学的に許容される、溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤等の製剤用添加物を用いることができる。
標識核酸を単独で、あるいは溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤などの医薬的に許容される製剤用添加剤と混合し、注射剤等に製剤化するとよい。溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤、賦形剤、着色剤は当分野で常套的に使用され、医薬的に許容されるものであればよく、その種類及び組成は適宜変更される。例えば、溶剤としては、注射用水、生理食塩液、リンゲル液などを使用してよい。溶解補助剤としては、アルコール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなどが例示される。保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノールなどが例示される。安定剤としては、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などが例示される。乳化剤、懸濁化剤としては、非イオン性界面活性剤、HCO-60、レシチンなどが例示される。無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノールなどが例示される。等張化剤及び緩衝剤としては、ブドウ糖、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩などが例示される。
あるいはまた、標識核酸を単独で、あるいは賦形剤または担体と混合し、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、シロップ、エアロゾル、坐剤等に製剤化するとよい。賦形剤または担体は、当分野で常套的に使用され、医薬的に許容されるものであればよく、その種類及び組成は適宜変更される。例えば、液状担体としては水、植物油などが用いられる。固体担体としては、乳糖、白糖、ブドウ糖などの糖類、バレイショデンプン、トウモロコシデンプンなどのデンプン、結晶セルロースなどのセルロース誘導体などが使用される。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースなどの崩壊剤等を添加してもよい。その他、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤等を添加してもよい。
標識核酸の製剤中における含量は、製剤形態により異なるが、通常1〜100 重量%、好ましくは50〜100 重量%である。例えば、注射剤の場合には、標識核酸の製剤中における含量は、10-6重量%程度とするとよい。
標識核酸の投与量は、期待する予防及び/又は治療効果が確認できる量であればよく、剤型、投与経路、患者の年齢、体重、疾患の種類や重篤度などにより異なるが、例えば1回当たりの投与量は成人の場合、体重1kg当り1mCi(ミリキューリー)=37MBq(メガベクレル)程度とし、適当な時間間隔で、1回から数回投与することができる。
本発明は、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸を含むキットも提供する。本発明のキットは、さらに、放射性核種、バッファー、説明書などを含んでもよい。説明書には、キットの内容(例えば、キットに含まれる成分・分量、使用目的、保管方法、有効期間、包装単位など)、キットの使用方法、使用上の注意事項、取扱い上の注意事項、保管の注意事項、問い合わせ先、販売者などを記載するとよい。
本発明のキットを利用して、核酸(例えば、siRNAなどの二本鎖RNA)を標識することができる。
本発明は、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸(以下、「本発明の核酸」と記すこともある)を提供する。
本発明の核酸には、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている。
キレート化剤は双機能性キレート化剤であるとよく、その例としては、ジエチレントリアミン-N, N, N’, N”, N”-ペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)、それらの誘導体(例えば、1-(4-イソチオシアナトベンゾイル)エチレンジアミン-N, N, N’, N’-テトラ酢酸(Isothiocyanobenzyl-EDTA)、S-2-(4-アミノベンゾイル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ酢酸(p-NH2-Bn-DOTA)、S-2(4-アミノベンゾイル)-ジエチレントリアミンペンタ酢酸(p-NH2-Bn-DTPA)、2-(4-アミノベンゾイル)-ジエチレントリアミンペンタ-tert-ブチルアセテート(p-NH2-Bn-DTPA-penta(t-Bu ester)、S-2-(4-アミノベンゾイル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ酢酸(p-NH2-Bn-NOTA)、[(R)-2-アミノ-3-(4-アミノフェニルプロピル]-トランス-(S,S)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-ペンタ酢酸(p-NH2-CHX-A”-DTPA)、S-2-(4-ニトロベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(p-NO2-Bn-Cyclen)、S-2-(4-ニトロベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ酢酸(p-NO2-Bn-DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロデカン-テトラ酢酸(p-SCN-Bn-DOTA)、2-(4-イソチオシアナトベンジル)ジエチレントリアミンペンタ酢酸(p-SCN-Bn-DTPA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンゾイル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ酢酸(p-SCN-Bn-NOTA)、[(R)-2-アミノ-3-(4-イソチオシアナトフェニル)プロピル]-トランス-(S,S)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-ペンタ酢酸(CHX-A”-DTPA)、1-(4-イソチオシアナトフェニル)-3-[6,17-ジヒロキシ-7,10,18,21-テトラオコソ-27-[N-アセチルヒドロキシルアミノ)-6,11,17,22-テトラアザヘプタエイコサン]チオ尿素(Deferroxamine-p-SCN)、DOTA-Biotin-Sarcosine、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス(t-ブチルアセテート)-10-スクシンイミジルアセテート(DOTA-mono-NHS-tris(t-Bu)ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(DOTA-NHS-ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノテトラフルオロフェニルエステル(DOTA-TFP-ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tert-ブチルアセテート-10-酢酸(DOTA-tris(t-Bu ester))、ジエチレントリアミン-N,N,N”,N”-テトラ-tert-ブチルアセテート-N’-酢酸(DTPA-tetra(t-Bu ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tert-ブチルアセテート-10-(N-a-Fmoc-N-e-アセトアミノ-L-リジン)(Fmoc-L-Lys-mono-amide-DOTA-tris(t-Bu ester)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-酢酸-10-マレイミドエチルアセタミド(Maleimido-mono-amide-DOTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tert-ブチルアセテート-10-マレイミドエチルアセタミド(Maleimido-mono-amide-DOTA-tris(t-Bu ester)など)などを挙げることができる。DTPAは、p-Isothiocyanatobenzylなどの修飾がなされていてもよい。
キレート化剤がコンジュゲートするプリン塩基又はピリミジン塩基は、キレート化剤がコンジュゲートできるものであれば特に限定されないが、例えば、キレート化剤がカルボキシル基を有する化合物である場合には、プリン塩基又はピリミジン塩基は、アデニン、グアニン、シトシンなどのアミノ基を有するものであるとよい。
キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加される核酸は、RNA、DNA、RNAとDNAのキメラなどいかなる核酸であってもよく、一本鎖、二本鎖又は一本鎖の核酸がヘアピン構造をとり二本鎖になっているもののいずれであってもよい。現在、アプタマー、リボザイム、アンチジーン、アンチセンス、デコイ、RNAiなどの種々の核酸医薬が研究・開発されており、これらの医薬品を構成する核酸を対象とすることができる。また、核酸は天然型核酸に限定されるわけではなく、修飾核酸であってもよい。修飾核酸としては、リン酸結合部位を修飾した核酸(例えば、トリエステル型、ホスホロチオエート型、ホスホロジチオエート型、ホスホロジアミデート型、メチルホスホネート型、メチルホスホノチオエート型の核酸など)、糖部を修飾した核酸(例えば、α−アノマー型、β−アノマー型、ポリアミド核酸(PNA)など)、機能をもった分子と複合化した核酸(例えば、色素(アクリジン誘導体など)などのインターカレーターを導入した核酸、光架橋性化合物(ソラレン誘導体など)を導入した核酸など)、その他修飾核酸(LNA、BNAなど)などを例示することができる。
キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加される核酸の長さは、特に限定されるわけではないが、例えば、核酸がsiRNAである場合、200塩基以下の長さが適当であり、21〜27塩基の長さが好ましく、21〜25塩基の長さがより好ましい。
キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸は核酸の3’末端又は5’末端のどちらに付加されてもよいが、例えば、核酸がsiRNAである場合には、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が二本鎖RNAの3’末端に付加されているとよい。また、核酸がアンチセンスRNA又はDNAである場合には、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸がアンチセンスRNA又はDNAの5’末端に付加されているとよい。1分子の核酸に付加されるヌクレオシド一リン酸(例えば、AMP)の数は、1〜100個程度であるとよい。
本発明の核酸は、ポリAポリメラーゼなどの酵素を用いた反応、一般的に知られている化学反応を利用した合成法(例えば、ホスホアミダイド法、ホスホジエステル法、ホスホトリエステル法など)、その組合せなどによって製造することができる。
例えば、本発明の核酸が二本鎖である場合、(i)〜(iii)のいずれかの方法により製造することができる。
(i) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸(ATP)とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸(AMP)を二本鎖核酸に付加させる。
(ii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸の一方の鎖に付加した後、二本鎖核酸の他方の鎖をアニールさせる。
(iii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸を付加した二本鎖核酸を化学合成する。
なお、(i) 、(ii)を用いた場合には核酸の3’末端特異的に、(iii)を用いた場合は核酸の任意の位置に、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているヌクレオシド一リン酸を付加することが出来る。
本発明の核酸を標識することにより、核酸の体内動態を評価したり、核酸のターゲット臓器への到達の有無を確認したり、遺伝子発現をイメージングしたり、疾病を予防及び/又は治療することができる。
本発明は、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸が標識されたもの(以下、「本発明の標識核酸」と記すこともある)も提供する。
本発明の標識核酸は、核酸に付加されているヌクレオシド一リン酸のプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているキレート化剤を介して標識されているとよい。
標識核酸の標識率は、50%〜100%程度であるとよい。
標識物質としては、放射性核種(例えば、67Ga(半減期3.261日)、68Ga(半減期68分)、99mTc(半減期6時間)、111In(半減期2.805日)、201Tl(半減期72.9時間)、89Sr(半減期50.52日)、186Re(半減期90.6時間)、153Sm(半減期47.1時間)、117mSn(半減期14日)などの放射性金属、32P(半減期14日)、3H(半減期12.3年)などの放射性非金属元素)、Cy3, Cy5, FITCなどの蛍光色素などを挙げることができる。
本発明の標識核酸は、核酸の体内動態評価、核酸のターゲット臓器への到達の有無の確認、遺伝子発現のイメージング、疾病の予防及び/又は治療に利用することができる。
例えば、標識されている核酸がsiRNAである場合、この標識siRNAを用いて、siRNAのターゲット部位(例えば、臓器、癌原発巣、癌転移部位、遺伝病発現部位、酵素産生部位、ホルモン産生部位など)への到達の有無を確認することができる。また、本発明者らは、後述の実施例4に示すように、この標識siRNAが遺伝子特異的にsiRNAが結合し、遺伝子発現量とリンクしてsiRNAが集積することを確認した。従って、本発明の標識核酸(例えば、標識siRNA)を用いて、生体内や細胞レベルでの遺伝子発現をイメージングすることができる。この標識siRNAは、アンチセンス法に変わる新たな遺伝子発現イメージング製剤として利用可能である。
本発明の標識核酸は、ポリAポリメラーゼなどの酵素を用いた反応、一般的に知られている化学反応を利用した合成法(例えば、ホスホアミダイド法、ホスホジエステル法、ホスホトリエステル法など)、その組合せなどによって、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸を作製した後、標識化を行うことにより、製造することができる。
例えば、核酸が二本鎖RNAである場合、本発明の標識二本鎖RNAは、以下の工程:
(ia)ポリAポリメラーゼとATPを用いて二本鎖RNAにAMPを付加する工程、及び
(ib)(ia)のAMP付加工程の前あるいは後に、標識化を行う工程
を含む方法により、製造することができる。
(ia)の工程は、バッファー(例えば、5×反応バッファーなど)中、Mg2+の存在下で、ATPと二本鎖RNAにポリAポリメラーゼを37℃程度の温度で6〜8時間程度作用させることにより行うことができる。ポリAポリメラーゼの作用により、二本鎖RNAの3’末端にAMPが付加される。付加されるAMPの数は、通常、1〜100個程度である。
一般にsiRNAの3’末端オーバーハングの配列はDNAのTTであるが、これだとポリAポリメラーゼが作用しにくいので、UUに変えるとポリAポリメラーゼが作用しやすい。
(ia)のAMP付加工程の前に、キレート化剤をATPにコンジュゲートさせる工程を含んでもよい。
キレート化剤として、DTPAを選択した場合、バッファー(例えば、HEPESバッファーなど)中でATPを過剰量のDTPA無水物を室温で5分程度反応させてから、上清を採取することにより、ATPとDTPAを結合(コンジュゲート)させることができる。
上記のいずれの反応においても、液を希釈する場合には、RNaseフリー水を用いるとよい。
少なくとも1個のAMPが付加した二本鎖RNAは、精製キット(例えば、アンビオン社製の精製キットmirVanaTM miRNA Isolation Kitなど)を用いて精製することができる。mirVanaTM miRNA Isolation Kitを用いると単なる精製のみならず、200base以下と以上に分離することもでき、poly(A)化によるsiRNAの機能に対する影響を最小限にできる。
(ia)のAMP付加工程の前あるいは後に、標識化を行う(工程(ib))。
例えば、68Ga又は67Gaを用いて標識化を行う場合には、キレート化剤がコンジュゲートしたAMPが付加された二本鎖RNAを68GaCl3又は67GaCl3溶液とバッファー中で混和し、37℃程度で30分程度インキュベートするとよい。
また、99mTcを用いて標識化を行う場合には、キレート化剤がコンジュゲートしたAMPが付加された二本鎖RNAを99mTc溶液と混和し、還元剤として少量の塩化スズ(II)二水和物を混ぜた後、37℃程度で30分程度インキュベートするとよい。
標識核酸の標識率は、50〜100%程度であり得る。
標識核酸の標識率は、以下のようにして測定することができる。前記アンビオン社製の精製キットmirVanaTM miRNA Isolation Kitなどの精製キットによって精製後の標識核酸(例えば、siRNA)の放射能をガンマカウンターなどの放射能測定装置によって測定し、それを混合した放射性各種の放射能で除することにより、標識核酸の標識率を測定できる。
また、本発明は、上記の標識核酸を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、核酸医薬の体内動態を評価するための製剤、核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための製剤、遺伝子発現イメージング製剤などとして用いることができる。このような用途に用いる場合には、標識核酸と注射用精製水の混合液をトランスフェクション試薬(例えば、TransIT-QR Hydrodynamic Delivery Solution(ミラス社))と混和し、直ちに対象とする動物に静注するとよい。標識核酸の使用量、放射能の強さ、トランスフェクション試薬の種類と使用量などは、適宜、選択することができる。標識核酸を静注した後、適当な時間経過後(例えば、30〜180分程度)に画像化する。68Gaなどの陽電子放出核種で標識した場合には、PET(positron emission tomography)装置で撮影するとよい。67Ga、99mTcなどのγ線放出核種で標識した場合には、SPECT(single photon emission computed tomography)装置で撮影するとよい。本発明の標識核酸は、ヒトを対象とするPET検査薬、SPECT検査薬などの核医薬品として、また、実験動物を対象とする実験用試薬として利用することができる。67Ga(半減期:3日)のように半減期が長い核種で標識した核酸は実験用試薬として使い易い。
核医薬品として使用する場合には、現状では静脈内投与など非経口的に投与することが望ましいが、経口的に投与する事も理論上は可能である。但し、消化管内における安定性や吸収率の個体差などの点から治療以外では経口投与は実施されていないのが現状である。非経口投与に適する製剤形態としては、注射剤などを挙げることができる。経口投与に適する製剤形態としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などを挙げることができる。製剤形態の調整にあたっては、適宜の薬理学的に許容される、溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤等の製剤用添加物を用いることができる。
標識核酸を単独で、あるいは溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤などの医薬的に許容される製剤用添加剤と混合し、注射剤等に製剤化するとよい。溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤、賦形剤、着色剤は当分野で常套的に使用され、医薬的に許容されるものであればよく、その種類及び組成は適宜変更される。例えば、溶剤としては、注射用水、生理食塩液、リンゲル液などを使用してよい。溶解補助剤としては、アルコール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなどが例示される。保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノールなどが例示される。安定剤としては、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などが例示される。乳化剤、懸濁化剤としては、非イオン性界面活性剤、HCO-60、レシチンなどが例示される。無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノールなどが例示される。等張化剤及び緩衝剤としては、ブドウ糖、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩などが例示される。
標識核酸の製剤中における含量は、製剤形態により異なるが、通常1〜100 重量%、好ましくは50〜100 重量%である。例えば、注射剤の場合には、標識核酸の製剤中における含量は、10-6重量%程度とするとよい。
標識核酸の投与量は、ターゲット部位への標識核酸の集積や遺伝子発現が確認できる量が必要であり、患者の年齢、体重、検査目的、投与経路等により異なりうるが、例えば、1回当たりの投与量は成人の場合、74〜740MBq程度の放射能の強さとなる量が適当であり、370MBq程度の放射能の強さとなる量が好ましい。例えば、68Ga標識核酸を非経口投与(静脈注射など)する場合には、有効成分(68Ga標識核酸)の量に換算して、成人一人あたり1〜10mgが適当であり、4〜8mgが好ましい。67Ga標識核酸を非経口投与(静脈注射など)する場合も同様である。また、99mTc標識核酸を非経口投与(静脈注射など)する場合には、有効成分(99mTc標識核酸)の量に換算して、成人一人あたり1〜10mgが適当であり、4〜8mgが好ましい。
また、本発明の組成物は、疾病の予防及び/又は治療剤として用いることもできる。例えば、本発明の標識核酸は、癌などの疾患を対象とする治療用放射線医薬品として利用することができる。
治療用放射線医薬品として使用する場合には、静脈内投与のように非経口的に投与すること、あるいは経口的に投与することができる。非経口投与に適する製剤形態としては、注射剤などを挙げることができる。経口投与に適する製剤形態としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などを挙げることができる。製剤形態の調整にあたっては、適宜の薬理学的に許容される、溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤等の製剤用添加物を用いることができる。
標識核酸を単独で、あるいは溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤などの医薬的に許容される製剤用添加剤と混合し、注射剤等に製剤化するとよい。溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤、賦形剤、着色剤は当分野で常套的に使用され、医薬的に許容されるものであればよく、その種類及び組成は適宜変更される。例えば、溶剤としては、注射用水、生理食塩液、リンゲル液などを使用してよい。溶解補助剤としては、アルコール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなどが例示される。保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノールなどが例示される。安定剤としては、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などが例示される。乳化剤、懸濁化剤としては、非イオン性界面活性剤、HCO-60、レシチンなどが例示される。無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノールなどが例示される。等張化剤及び緩衝剤としては、ブドウ糖、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩などが例示される。
あるいはまた、標識核酸を単独で、あるいは賦形剤または担体と混合し、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、シロップ、エアロゾル、坐剤等に製剤化するとよい。賦形剤または担体は、当分野で常套的に使用され、医薬的に許容されるものであればよく、その種類及び組成は適宜変更される。例えば、液状担体としては水、植物油などが用いられる。固体担体としては、乳糖、白糖、ブドウ糖などの糖類、バレイショデンプン、トウモロコシデンプンなどのデンプン、結晶セルロースなどのセルロース誘導体などが使用される。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースなどの崩壊剤等を添加してもよい。その他、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤等を添加してもよい。
標識核酸の製剤中における含量は、製剤形態により異なるが、通常1〜100 重量%、好ましくは50〜100 重量%である。例えば、注射剤の場合には、標識核酸の製剤中における含量は、10-6重量%程度とするとよい。
標識核酸の投与量は、期待する予防及び/又は治療効果が確認できる量であればよく、剤型、投与経路、患者の年齢、体重、疾患の種類や重篤度などにより異なるが、例えば1回当たりの投与量は成人の場合、体重1kg当り1mCi(ミリキューリー)=37MBq(メガベクレル)程度とし、適当な時間間隔で、1回から数回投与することができる。
本発明は、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸を含むキットも提供する。本発明のキットは、さらに、放射性核種、バッファー、説明書などを含んでもよい。説明書には、キットの内容(例えば、キットに含まれる成分・分量、使用目的、保管方法、有効期間、包装単位など)、キットの使用方法、使用上の注意事項、取扱い上の注意事項、保管の注意事項、問い合わせ先、販売者などを記載するとよい。
本発明のキットを利用して、核酸(例えば、siRNAなどの二本鎖RNA)を標識することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕ガリウム標識siRNA合成
材料及び方法
<準備>
・実験器具のRNaseフリー化:5%過酸化水素水につけた。チップやエッペンドルフチューブはオートクレーブ処理を行った。
・ゲル作り:以下のようにして、20%ポリアクリルアミドゲル5枚を用意した。30%アクリルアミド溶液 40ml、10×TBE 6ml、10%APS 0.6ml、RNaseフリー水 46.5ml を計り、ビーカーで混ぜて、TEMED 60μlを加えて速やかにゲル板に注いだ。
・酵素反応バッファーの調製(参考資料:タカラバイオ(株)ホームページhttp://bio.takara.co.jp/catalog/Catalog_d.asp?C_ID=C0158):以下のような組成になるように5×反応バッファーのストックソルーションを調製しておいた。調製には必ずRNaseフリー水を用いた。
<5×反応バッファー組成>
250 mM Tris-HCl(pH7.9)
50 mM MgCl2
1250 mM NaCl
5 mM DTT
0.25% BSA
その他、 50 mM MnCl2 も調製しておいた。
(注)酵素反応液中の各成分の最終濃度は以下の様である。
50mM Tris-HCl, (pH7.9), 10mM MgCl2, 2.5mM MnCl2, 250mM NaCl, 1mM DTT, 0.05% BSA
しかし、すべての試薬を加えた状態で保存すると着色するので、MnCl2を除いた5×濃度のバッファーをストック液として調製して保存し、使用時にMnCl2を加えて反応液を調製した。
<合成手順>
[1] ATPとDTPAの結合
(1) 1M HEPESバッファー(pH7.0)(同仁化学社製)10μlをRNaseフリー水90μlで希釈し0.1M HEPESバッファーとした。
(2) ATP(タカラ社製code:4041、濃度100 mM)20μlと(1)の0.1M HEPESバッファー20μlを混合した。
(3) (2)の液にDTPA anhydride(同仁化学社製)2mgを入れ室温にて5分攪拌した。上清を注意深く採取した(50mM DTPA-conjugated ATP溶液40μlの生成)。
(4) (3)液を次のTailing反応に使用した。
[2] Tailing reaction(DTPA-poly(A)-siRNAの生成)
(1) 標識すべきsiRNA溶液(20μM=0.26mg/ml) 20μlを、1.5mlエッペンドルフチューブに分注した。
(2) (1)のチューブに次表の組成で、Poly(A) Polymerase (タカラバイオ社製TaKaRa Code;2180A)と準備しておいた反応バッファー及び[1]で合成したDTPA-conjugated ATP溶液(以下DTPA-ATPとする)を加えた。
Poly(A) Polymerase (1.5U/μl) 21.3(μl)(32U)
5×反応バッファー 20(μl)
50mM MnCl2 5(μl)
DTPA-ATP 2(μl)
siRNA 20(μl)
RNaseフリー水 31.7(μl)
Total 100(μl)
siRNAとしては、以下のものを用意した。
lacZに対するsiRNAシークエンス
5'- GCAUAAACCGACUACACAA UU(配列番号1)
3'- UU CGUAUUUGGCUGAUGUGUU(配列番号2)
上記に対するネガティブコントロールsiRNAシークエンス
5'- ACAAACCGGCAUACAACUA UU(配列番号3)
3'- UU UGUUUGGCCGUAUGUUGAU(配列番号4)
(3) チューブを37℃、6〜8時間で震盪しながらインキュベートした。
(4) on iceにて反応停止した。
[3] DTPA-poly(A)-siRNAの精製
上記[2]反応で生じたDTPA-poly(A)-siRNAの中には、DTPAや酵素などが大量に存在するため、精製が必要である。今回はアンビオン社製の精製キットmirVanaTM miRNA Isolation Kitを用いた。このキットを用いると単なる精製のみならず、200base以下と以上に分離することもでき、poly(A)化によるsiRNAの機能に対する影響を最小限にできる。
[4] DTPA-poly(A)-siRNAのガリウム標識
DTPA-poly(A)-siRNA 60ulにAcetate buffer(0.1N, pH7.5)200ulを加え HCl(0.1N)によりジェネレーター(Ge-68/Ga-68 Generator(isoSolutions Inc.))より抽出した68Ga溶液(200ul, 1.2mCi)を混和した(pH〜6.5)(67Ga の場合はサイクロトロンで製造されるが、市販されていない。今回は第一ラジオアイソトープ社のご厚意により無償で入手した)。37℃で30分インキュベートした。
標識率は高く精製不要であるが、念のため過剰なガリウムを除去するためmirVanaTM miRNA Isolation Kit(アンビオン社)により精製した方がよい。
[5] 20%ポリアクリルアミド電気泳動によるsiRNAのバンドの確認
(1) ゲル組成は準備の項参照。
(2)・サンプル調整:各サンプル(30μl)に6×Loading Buffer(タカラバイオのsiRNAマーカーに付属)を6μl加えた。siRNAマーカーも同様に処理した。
・泳動バッファー:0.5×TBE(10×TBE 25ml+注射用蒸留水 475ml)
・エチジウムブロマイド染色:上記泳動バッファーにEtBr(10mg/ml )を20μl入れた(先染め)。
(3) 泳動条件200V、60minで泳動した。
(4) UVトランスイルミネーター(MultiDoc-It, Multi-User Imaging System, 100 V, with LM-20E (UVP))でsiRNAのバンド確認を行った。
結果
20%ポリアクリルアミド電気泳動(インキュベート時間8時間)の結果を図2に示す。
<各レーンの説明>
ネガコン1:siRNAのみ
ネガコン2:siRNA+poly(A) polymerase (インキュベート温度:on ice)
サンプル1:精製後200base以下の68Ga標識DTPA-poly(A)-siRNA
サンプル2:精製後200base以上の68Ga標識DTPA-poly(A)-siRNA
サンプル3:未精製68Ga標識DTPA-poly(A)-siRNA
未精製のサンプル3と比較すると、精製後のサンプル1と2に於いては、200base付近で分離されているのが分かる。
67Ga標識DTPA-poly(A)-siRNAについても同様の結果を得た(図示せず)。
〔実施例2〕テクネシウム標識siRNA合成
[1]〜[3]及び[5]の操作は実施例1と同様に行った。実施例1の[4]の操作の代わりに以下のような操作を行った。
[4’] DTPA-poly(A)-siRNAのテクネシウム標識
DTPA-poly(A)-siRNA 60ulにテクネカウ(ジェネレーター(日本メジフィジックス社))より抽出した99mTcO4-溶液(60ul, 2mCi)を混和した。還元剤として少量(1μg)の塩化スズ(II)二水和物を混ぜた。37℃で30分インキュベートした。
標識率は高く精製不要であるが、念のため過剰なテクネシウムを除去するためmirVanaTM miRNA Isolation Kit(アンビオン社)により精製した方がよい。
〔実施例3〕ガリウム標識siRNAのin vitro機能確認実験
本実施例では、siRNAのノックダウン効率がガリウム標識前後で変化しないかどうかを検証する。
予備実験としてヒト胎児腎由来の293T細胞(理化学研究所 バイオリソースセンター セルバンク)にミラス社製のDNA用トランスフェクション試薬を用いてpSV-β-Galactosidase Control Vector(プロメガ社、Cat.# E1081)というベクターを導入しβ-Galactosidaseを強制発現したところ、37℃、CO2 5%下、インキュベート48時間後、βgal染色(ミラス社のキット使用)により染色される(青色)細胞が多数出現し、β-Galactosidaseの発現を確認できた(図3(a))。
また、上記ベクターとlacZ遺伝子に対するsiRNA(実施例1と同じ)をミラス社製siRNAトランスフェクション試薬を用いて同時トランスフェクションさせたところ、βgal染色にて染色される細胞がほぼ消失し、β-Galactosidaseのノックダウンが認められた(図3(b))。
一方、ネガティブコントロールsiRNA(lacZはノックダウンされないと予想されるシークエンスを持ったsiRNA(実施例1と同じ)を用いて同様な同時トランスフェクションをしたところ全くβ-Galactosidaseは抑制されなかった(図3(c))。
次に、67Ga標識したsiRNA(ターゲットはlacZ及びそのネガコン)を実施例1のように合成・精製し、予備実験同様293T細胞に導入、48時間インキュベート後に確認したところ、ノックダウン効率は200bp以下の領域にあるsiRNAでは殆ど変化無かった(図4(a))のに対し、200bp以上の領域にあるsiRNAではノックダウン効果は消失してしまった(図4(b)) 。これらの結果は過去の論文等の報告から類推される結果に矛盾しない。
従って、今後の実験に用いる67Ga標識siRNAは200bp以下の領域のみを用いて行なえばよいことがわかる。
〔実施例4〕ガリウム(又はテクネシウム)標識siRNAのin vivo画像化実験
本実施例では、68Ga標識siRNAをマウスに静注し、動物用PETカメラにより撮像することにより、ターゲット臓器にsiRNAがきちんと取り込まれているか確認した。また、発現遺伝子特異的に集積しているか確認した。67Ga標識siRNA及び99mTc標識siRNAについても同様の実験を行った。但し、撮像は動物用SPECTカメラで行った。実験に用いるマウスは日本クレア(株)より購入した。
実施例1の通りに合成した68Ga標識siRNA(ターゲット遺伝子はlacZ、siRNAの配列も実施例1と同じ)溶液に注射用精製水140ulを加えた(total 600ul, 1.2mCi, siRNAとして 60ulを含む)。
マイクロチューブにpsv-β-Galactosidase Control Vector(プロメガ社) 10 μl とTransIT-EE Hydrodynamic Delivery Solution (ミラス社) 2.09 ml を入れ、十分混合した。全量をマウスの尾静脈より投与した。投与後2〜3日後まで待つことにより、マウスの肝にLacZ遺伝子を強制発現させた。このマウスに対し、上記68Ga標識siRNA精製水溶液100ulと2mlのTransIT-QR(siRNAを肝に特異的に送り込むトランスフェクション試薬、ミラス社製)を混和し、マウスの尾静脈から直ちに静注した(2.1ml, 200uCi, siRNAとして 10ulを含む)。
Concorde microsystems microPET rodent (model 2001)にて撮像した。マウスの尾静脈から68Ga標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)静注30分後のプラナー像を図5に示す。図5の左は、肝内LacZ強制発現マウスのPET画像である。図5の右は、ネガティブコントロールのPET画像である。肝への強い集積を認められた。膀胱内の著明な集積は尿に排泄されたsiRNAを示している。
67Ga標識siRNA(実施例2で合成)についても同様の実験を行い、SPECTカメラ(U-SPECT Scanner(Molecular Imaging Laboratories))にて撮像した。マウスの尾静脈から67Ga標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)静注30分後のプラナー像を図6に示す。図6の(a)は、肝内LacZ強制発現マウスのSPECT画像であり、肝への集積が観察された。図6の(b)は、ベクターを取り込ませていないマウスのSPECT画像であり、肝臓への集積は淡く非特異的であった。
99mTc標識siRNA(実施例2で合成)についても同様の実験を行い、SPECTカメラ(U-SPECT Scanner(Molecular Imaging Laboratories))にて撮像した。マウスの尾静脈から99mTc標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)静注30分後のプラナー像を図7に示す。図7の左は、肝内LacZ強制発現マウスのSPECT画像である。図7の右は、ネガティブコントロールのSPECT画像である。肝への強い集積を認めた。これらの実験結果から、SPECT画像を得るには67Ga標識よりも99mTc標識の方が望ましいと思われる。
〔実施例5〕
32P-ATPを用いた予備実験で、siRNAが本発明の方法で32P標識されることを見出した。また標識によりsiRNAの機能が失われないことも確認した。本実験の方法及び結果を以下に記載する。
標識すべきsiRNA溶液(20μM=0.26mg/ml、ターゲット遺伝子はLacZ、siRNAの配列は実施例1と同じ)を20μl、1.5mlエッペンドルフチューブに分注した。更にNuclease-free Water 40μl、5×E-PAP Buffer 20μl、25mM MnCl2 10μl、50mM 32P(α)-ATP (18.5MBq、比放射能111TBq/mmol、放射能濃度370MBq/ml、コードNN-NEG503H、PerkinElmer Life Sciences, Inc. Boston, MA, USA) 2μl、及びE-PAP(アンビオン社)を16U加え、37℃、3時間で震盪しながらインキュベートした。20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にてAMPが重合していることを確認し、ゲルから抽出したsiRNAの放射能カウントを液体シンチレーションカウンターにて測定した。十分放射能があることを確認した。
更に、LacZ遺伝子を発現するベクター(実施例3と同じ)と32P標識をしたsiRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)を293T細胞に加え、同時トランスフェクションさせたところ(a)、67Ga標識をしたsiRNAの場合(b)と同様にLacZを発現している細胞(青)が見当たらなくなりノックダウン効果はほぼ同等であることが分る(図8)。因みにベクターのみを加えたコントロール(c)ではLacZを発現している細胞(青)が随所にみうけられた(図8)。トリチウム標識siRNA(d)でも同様の結果であった(図8)。
〔実施例6〕
LacZ遺伝子を発現するベクター(実施例3と同じ)とFITC標識をしたsiRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)を293T細胞に加え、同時トランスフェクションさせたところ(a)、67Ga標識をしたsiRNAの場合(b)と同様にLacZを発現している細胞(青)が見当たらなくなりノックダウン効果はほぼ同等であることが分る。因みにベクターのみを加えたコントロール(c)ではLacZを発現している細胞(青)が随所にみうけられた(図9)。
同様の実験をCy3標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)で行ったところ(d)、Cy3標識siRNAではノックダウン効率が落ちてしまい、LacZを発現している細胞(青)が随所にみうけられた(図9)。Cy3標識はsiRNAの標識方法として向かないことが分る。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
〔実施例1〕ガリウム標識siRNA合成
材料及び方法
<準備>
・実験器具のRNaseフリー化:5%過酸化水素水につけた。チップやエッペンドルフチューブはオートクレーブ処理を行った。
・ゲル作り:以下のようにして、20%ポリアクリルアミドゲル5枚を用意した。30%アクリルアミド溶液 40ml、10×TBE 6ml、10%APS 0.6ml、RNaseフリー水 46.5ml を計り、ビーカーで混ぜて、TEMED 60μlを加えて速やかにゲル板に注いだ。
・酵素反応バッファーの調製(参考資料:タカラバイオ(株)ホームページhttp://bio.takara.co.jp/catalog/Catalog_d.asp?C_ID=C0158):以下のような組成になるように5×反応バッファーのストックソルーションを調製しておいた。調製には必ずRNaseフリー水を用いた。
<5×反応バッファー組成>
250 mM Tris-HCl(pH7.9)
50 mM MgCl2
1250 mM NaCl
5 mM DTT
0.25% BSA
その他、 50 mM MnCl2 も調製しておいた。
(注)酵素反応液中の各成分の最終濃度は以下の様である。
50mM Tris-HCl, (pH7.9), 10mM MgCl2, 2.5mM MnCl2, 250mM NaCl, 1mM DTT, 0.05% BSA
しかし、すべての試薬を加えた状態で保存すると着色するので、MnCl2を除いた5×濃度のバッファーをストック液として調製して保存し、使用時にMnCl2を加えて反応液を調製した。
<合成手順>
[1] ATPとDTPAの結合
(1) 1M HEPESバッファー(pH7.0)(同仁化学社製)10μlをRNaseフリー水90μlで希釈し0.1M HEPESバッファーとした。
(2) ATP(タカラ社製code:4041、濃度100 mM)20μlと(1)の0.1M HEPESバッファー20μlを混合した。
(3) (2)の液にDTPA anhydride(同仁化学社製)2mgを入れ室温にて5分攪拌した。上清を注意深く採取した(50mM DTPA-conjugated ATP溶液40μlの生成)。
(4) (3)液を次のTailing反応に使用した。
[2] Tailing reaction(DTPA-poly(A)-siRNAの生成)
(1) 標識すべきsiRNA溶液(20μM=0.26mg/ml) 20μlを、1.5mlエッペンドルフチューブに分注した。
(2) (1)のチューブに次表の組成で、Poly(A) Polymerase (タカラバイオ社製TaKaRa Code;2180A)と準備しておいた反応バッファー及び[1]で合成したDTPA-conjugated ATP溶液(以下DTPA-ATPとする)を加えた。
Poly(A) Polymerase (1.5U/μl) 21.3(μl)(32U)
5×反応バッファー 20(μl)
50mM MnCl2 5(μl)
DTPA-ATP 2(μl)
siRNA 20(μl)
RNaseフリー水 31.7(μl)
Total 100(μl)
siRNAとしては、以下のものを用意した。
lacZに対するsiRNAシークエンス
5'- GCAUAAACCGACUACACAA UU(配列番号1)
3'- UU CGUAUUUGGCUGAUGUGUU(配列番号2)
上記に対するネガティブコントロールsiRNAシークエンス
5'- ACAAACCGGCAUACAACUA UU(配列番号3)
3'- UU UGUUUGGCCGUAUGUUGAU(配列番号4)
(3) チューブを37℃、6〜8時間で震盪しながらインキュベートした。
(4) on iceにて反応停止した。
[3] DTPA-poly(A)-siRNAの精製
上記[2]反応で生じたDTPA-poly(A)-siRNAの中には、DTPAや酵素などが大量に存在するため、精製が必要である。今回はアンビオン社製の精製キットmirVanaTM miRNA Isolation Kitを用いた。このキットを用いると単なる精製のみならず、200base以下と以上に分離することもでき、poly(A)化によるsiRNAの機能に対する影響を最小限にできる。
[4] DTPA-poly(A)-siRNAのガリウム標識
DTPA-poly(A)-siRNA 60ulにAcetate buffer(0.1N, pH7.5)200ulを加え HCl(0.1N)によりジェネレーター(Ge-68/Ga-68 Generator(isoSolutions Inc.))より抽出した68Ga溶液(200ul, 1.2mCi)を混和した(pH〜6.5)(67Ga の場合はサイクロトロンで製造されるが、市販されていない。今回は第一ラジオアイソトープ社のご厚意により無償で入手した)。37℃で30分インキュベートした。
標識率は高く精製不要であるが、念のため過剰なガリウムを除去するためmirVanaTM miRNA Isolation Kit(アンビオン社)により精製した方がよい。
[5] 20%ポリアクリルアミド電気泳動によるsiRNAのバンドの確認
(1) ゲル組成は準備の項参照。
(2)・サンプル調整:各サンプル(30μl)に6×Loading Buffer(タカラバイオのsiRNAマーカーに付属)を6μl加えた。siRNAマーカーも同様に処理した。
・泳動バッファー:0.5×TBE(10×TBE 25ml+注射用蒸留水 475ml)
・エチジウムブロマイド染色:上記泳動バッファーにEtBr(10mg/ml )を20μl入れた(先染め)。
(3) 泳動条件200V、60minで泳動した。
(4) UVトランスイルミネーター(MultiDoc-It, Multi-User Imaging System, 100 V, with LM-20E (UVP))でsiRNAのバンド確認を行った。
結果
20%ポリアクリルアミド電気泳動(インキュベート時間8時間)の結果を図2に示す。
<各レーンの説明>
ネガコン1:siRNAのみ
ネガコン2:siRNA+poly(A) polymerase (インキュベート温度:on ice)
サンプル1:精製後200base以下の68Ga標識DTPA-poly(A)-siRNA
サンプル2:精製後200base以上の68Ga標識DTPA-poly(A)-siRNA
サンプル3:未精製68Ga標識DTPA-poly(A)-siRNA
未精製のサンプル3と比較すると、精製後のサンプル1と2に於いては、200base付近で分離されているのが分かる。
67Ga標識DTPA-poly(A)-siRNAについても同様の結果を得た(図示せず)。
〔実施例2〕テクネシウム標識siRNA合成
[1]〜[3]及び[5]の操作は実施例1と同様に行った。実施例1の[4]の操作の代わりに以下のような操作を行った。
[4’] DTPA-poly(A)-siRNAのテクネシウム標識
DTPA-poly(A)-siRNA 60ulにテクネカウ(ジェネレーター(日本メジフィジックス社))より抽出した99mTcO4-溶液(60ul, 2mCi)を混和した。還元剤として少量(1μg)の塩化スズ(II)二水和物を混ぜた。37℃で30分インキュベートした。
標識率は高く精製不要であるが、念のため過剰なテクネシウムを除去するためmirVanaTM miRNA Isolation Kit(アンビオン社)により精製した方がよい。
〔実施例3〕ガリウム標識siRNAのin vitro機能確認実験
本実施例では、siRNAのノックダウン効率がガリウム標識前後で変化しないかどうかを検証する。
予備実験としてヒト胎児腎由来の293T細胞(理化学研究所 バイオリソースセンター セルバンク)にミラス社製のDNA用トランスフェクション試薬を用いてpSV-β-Galactosidase Control Vector(プロメガ社、Cat.# E1081)というベクターを導入しβ-Galactosidaseを強制発現したところ、37℃、CO2 5%下、インキュベート48時間後、βgal染色(ミラス社のキット使用)により染色される(青色)細胞が多数出現し、β-Galactosidaseの発現を確認できた(図3(a))。
また、上記ベクターとlacZ遺伝子に対するsiRNA(実施例1と同じ)をミラス社製siRNAトランスフェクション試薬を用いて同時トランスフェクションさせたところ、βgal染色にて染色される細胞がほぼ消失し、β-Galactosidaseのノックダウンが認められた(図3(b))。
一方、ネガティブコントロールsiRNA(lacZはノックダウンされないと予想されるシークエンスを持ったsiRNA(実施例1と同じ)を用いて同様な同時トランスフェクションをしたところ全くβ-Galactosidaseは抑制されなかった(図3(c))。
次に、67Ga標識したsiRNA(ターゲットはlacZ及びそのネガコン)を実施例1のように合成・精製し、予備実験同様293T細胞に導入、48時間インキュベート後に確認したところ、ノックダウン効率は200bp以下の領域にあるsiRNAでは殆ど変化無かった(図4(a))のに対し、200bp以上の領域にあるsiRNAではノックダウン効果は消失してしまった(図4(b)) 。これらの結果は過去の論文等の報告から類推される結果に矛盾しない。
従って、今後の実験に用いる67Ga標識siRNAは200bp以下の領域のみを用いて行なえばよいことがわかる。
〔実施例4〕ガリウム(又はテクネシウム)標識siRNAのin vivo画像化実験
本実施例では、68Ga標識siRNAをマウスに静注し、動物用PETカメラにより撮像することにより、ターゲット臓器にsiRNAがきちんと取り込まれているか確認した。また、発現遺伝子特異的に集積しているか確認した。67Ga標識siRNA及び99mTc標識siRNAについても同様の実験を行った。但し、撮像は動物用SPECTカメラで行った。実験に用いるマウスは日本クレア(株)より購入した。
実施例1の通りに合成した68Ga標識siRNA(ターゲット遺伝子はlacZ、siRNAの配列も実施例1と同じ)溶液に注射用精製水140ulを加えた(total 600ul, 1.2mCi, siRNAとして 60ulを含む)。
マイクロチューブにpsv-β-Galactosidase Control Vector(プロメガ社) 10 μl とTransIT-EE Hydrodynamic Delivery Solution (ミラス社) 2.09 ml を入れ、十分混合した。全量をマウスの尾静脈より投与した。投与後2〜3日後まで待つことにより、マウスの肝にLacZ遺伝子を強制発現させた。このマウスに対し、上記68Ga標識siRNA精製水溶液100ulと2mlのTransIT-QR(siRNAを肝に特異的に送り込むトランスフェクション試薬、ミラス社製)を混和し、マウスの尾静脈から直ちに静注した(2.1ml, 200uCi, siRNAとして 10ulを含む)。
Concorde microsystems microPET rodent (model 2001)にて撮像した。マウスの尾静脈から68Ga標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)静注30分後のプラナー像を図5に示す。図5の左は、肝内LacZ強制発現マウスのPET画像である。図5の右は、ネガティブコントロールのPET画像である。肝への強い集積を認められた。膀胱内の著明な集積は尿に排泄されたsiRNAを示している。
67Ga標識siRNA(実施例2で合成)についても同様の実験を行い、SPECTカメラ(U-SPECT Scanner(Molecular Imaging Laboratories))にて撮像した。マウスの尾静脈から67Ga標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)静注30分後のプラナー像を図6に示す。図6の(a)は、肝内LacZ強制発現マウスのSPECT画像であり、肝への集積が観察された。図6の(b)は、ベクターを取り込ませていないマウスのSPECT画像であり、肝臓への集積は淡く非特異的であった。
99mTc標識siRNA(実施例2で合成)についても同様の実験を行い、SPECTカメラ(U-SPECT Scanner(Molecular Imaging Laboratories))にて撮像した。マウスの尾静脈から99mTc標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)静注30分後のプラナー像を図7に示す。図7の左は、肝内LacZ強制発現マウスのSPECT画像である。図7の右は、ネガティブコントロールのSPECT画像である。肝への強い集積を認めた。これらの実験結果から、SPECT画像を得るには67Ga標識よりも99mTc標識の方が望ましいと思われる。
〔実施例5〕
32P-ATPを用いた予備実験で、siRNAが本発明の方法で32P標識されることを見出した。また標識によりsiRNAの機能が失われないことも確認した。本実験の方法及び結果を以下に記載する。
標識すべきsiRNA溶液(20μM=0.26mg/ml、ターゲット遺伝子はLacZ、siRNAの配列は実施例1と同じ)を20μl、1.5mlエッペンドルフチューブに分注した。更にNuclease-free Water 40μl、5×E-PAP Buffer 20μl、25mM MnCl2 10μl、50mM 32P(α)-ATP (18.5MBq、比放射能111TBq/mmol、放射能濃度370MBq/ml、コードNN-NEG503H、PerkinElmer Life Sciences, Inc. Boston, MA, USA) 2μl、及びE-PAP(アンビオン社)を16U加え、37℃、3時間で震盪しながらインキュベートした。20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にてAMPが重合していることを確認し、ゲルから抽出したsiRNAの放射能カウントを液体シンチレーションカウンターにて測定した。十分放射能があることを確認した。
更に、LacZ遺伝子を発現するベクター(実施例3と同じ)と32P標識をしたsiRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)を293T細胞に加え、同時トランスフェクションさせたところ(a)、67Ga標識をしたsiRNAの場合(b)と同様にLacZを発現している細胞(青)が見当たらなくなりノックダウン効果はほぼ同等であることが分る(図8)。因みにベクターのみを加えたコントロール(c)ではLacZを発現している細胞(青)が随所にみうけられた(図8)。トリチウム標識siRNA(d)でも同様の結果であった(図8)。
〔実施例6〕
LacZ遺伝子を発現するベクター(実施例3と同じ)とFITC標識をしたsiRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)を293T細胞に加え、同時トランスフェクションさせたところ(a)、67Ga標識をしたsiRNAの場合(b)と同様にLacZを発現している細胞(青)が見当たらなくなりノックダウン効果はほぼ同等であることが分る。因みにベクターのみを加えたコントロール(c)ではLacZを発現している細胞(青)が随所にみうけられた(図9)。
同様の実験をCy3標識siRNA(ターゲット遺伝子はLacZ)で行ったところ(d)、Cy3標識siRNAではノックダウン効率が落ちてしまい、LacZを発現している細胞(青)が随所にみうけられた(図9)。Cy3標識はsiRNAの標識方法として向かないことが分る。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
本発明により、二本鎖RNAをはじめとする核酸を標識する新たな方法が提供された。これにより、核酸(例えば、siRNA)を放射性核種で標識することが可能となり、その結果、siRNAの生体への導入効率を画像化したり、生体における特定の遺伝子発現量を非侵襲的に検査したりすることができるようになった。この技術は、医学、歯学、薬学、生物学、遺伝子工学、農学、獣医学等の生物学系分野全般に広く利用できる。
<配列番号1及び2>
配列番号1及び2は、lacZに対するsiRNAシークエンスを示す。
<配列番号3及び4>
配列番号3及び4は、lacZに対するネガティブコントロールsiRNAシークエンスを示す。
配列番号1及び2は、lacZに対するsiRNAシークエンスを示す。
<配列番号3及び4>
配列番号3及び4は、lacZに対するネガティブコントロールsiRNAシークエンスを示す。
Claims (28)
- キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が付加されている核酸。
- キレート化剤が、ジエチレントリアミン-N, N, N’, N”, N”-ペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)及びそれらの誘導体からなる群より選択される請求項1記載の核酸。
- キレート化剤がコンジュゲートしているプリン塩基又はピリミジン塩基が、アデニン、グアニン及びシトシンからなる群より選択される請求項1又は2記載の核酸。
- キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸が3’末端又は5’末端に付加されている請求項1〜3のいずれかに記載の核酸。
- キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているヌクレオシド一リン酸が200個以下の数で付加されている請求項1〜4のいずれかに記載の核酸。
- 核酸が、RNA、DNA又はRNAとDNAのキメラである請求項1〜5のいずれかに記載の核酸。
- 核酸が、二本鎖RNAである請求項6記載の核酸。
- 二本鎖RNAがsiRNAである請求項7記載の核酸。
- 下記(i)〜(iii)のいずれかの方法により製造された請求項7又は8に記載の核酸。
(i) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸に付加させる。
(ii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしているアデノシン三リン酸とポリAポリメラーゼを用いて、キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のアデノシン一リン酸を二本鎖核酸の一方の鎖に付加した後、二本鎖核酸の他方の鎖をアニールさせる。
(iii) キレート化剤がプリン塩基又はピリミジン塩基にコンジュゲートしている少なくとも1個のヌクレオシド一リン酸を付加した二本鎖核酸を化学合成する。 - キレート化剤を介して標識された請求項1〜9のいずれかに記載の核酸。
- 標識物質が放射性核種である請求項10記載の核酸。
- 放射性核種が金属である請求項11記載の核酸。
- 金属が、67Ga、68Ga、99mTc、111In、201Tl、89Sr、186Re、153Sm及び117mSnからなる群より選択される請求項12記載の核酸。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の核酸を含むキット。
- さらに、放射性核種を含む請求項14記載のキット。
- 請求項10〜13のいずれかに記載の核酸を含む組成物。
- 核酸医薬の体内動態を評価するための製剤として用いられる請求項16記載の組成物。
- 核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための製剤として用いられる請求項16記載の組成物。
- 遺伝子発現イメージング製剤として用いられる請求項16記載の組成物。
- 疾病の予防及び/又は治療に用いられる請求項16記載の組成物。
- 請求項10〜13のいずれかに記載の核酸を用いて、核酸医薬の体内動態を評価する方法。
- 請求項10〜13のいずれかに記載の核酸を用いて、核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認する方法。
- 請求項10〜13のいずれかに記載の核酸を用いて、遺伝子発現をイメージングする方法。
- 請求項10〜13のいずれかに記載の核酸を用いて、疾病を予防及び/又は治療する方法。
- 核酸医薬の体内動態を評価するための請求項10〜13のいずれかに記載の核酸の使用。
- 核酸医薬のターゲット臓器への到達の有無を確認するための請求項10〜13のいずれかに記載の核酸の使用。
- 遺伝子発現をイメージングするための請求項10〜13のいずれかに記載の核酸の使用。
- 疾病を予防及び/又は治療するための請求項10〜13のいずれかに記載の核酸の使用。
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