JPWO2008123567A1 - 内臓脂肪症候群の危険度及び/又はその進行度を判定する方法 - Google Patents

内臓脂肪症候群の危険度及び/又はその進行度を判定する方法 Download PDF

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Abstract

メタボリックシンドロームの危険度や進行度の判別を、より簡便、且つ高い信頼度で判定する被験者から採取した血液由来試料に含まれる、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を測定する工程と、当該測定の結果に基づいて、上記被験者について内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程とを含む内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度判定方法である。

Description

本発明は、内臓脂肪症候群の危険度及び/又はその進行度を判定する方法に関する。
内臓脂肪症候群は、メタボリックシンドロームと呼称され、近年、心筋梗塞や脳梗塞等の動脈硬化性疾患の危険性を高めることから注目されている。また、メタボリックシンドロームは耐糖能異常、高脂血症、高血圧を合併する動脈硬化易発症状態であると定義されることもある。従来、メタボリックシンドロームは、人種や民族の構成が異なるため地域によって判断基準が異なっているが、一般に、内臓脂肪型肥満を定義する基準と高脂血症・高血圧・高血糖などの危険因子に関する基準とを用いて判断される。一例として、日本においては、ウエスト(おへその位置)周りが男性で85cm以上、女性で90cm以上であることが内臓脂肪型肥満の判断基準として採用され、これを満たす者に対して血清脂質異常・血圧高値・高血糖に関する3項目のうち2以上を満たす場合にメタボリックシンドロームと診断している。血清脂質異常については、トリグリセリド値150mg/dL以上及び/又はHDLコレステロール値40mg/dL未満という基準が採用されている。血圧高値については、最高(収縮期)血圧130mmHg以上及び/又は最低(拡張期)血圧85mmHg以上という基準が採用されている。高血糖については、空腹時血糖値110mg/dL以上という基準が採用されている。
しかしながら、上述した基準から判るように、メタボリックシンドロームの診断に際しては種々の身体測定及び臨床検査が必要であり、簡便に診断が可能であるとは言えなかった。また、メタボリックシンドロームのような生活習慣と深く関わっている疾患に対しては、生活習慣そのものを改善することが望ましい。このような場合、メタボリックシンドロームの危険度や進行を短い間隔で把握できることが望まれる。
また、メタボリックシンドロームは、その病態の1つである糖尿病(II型糖尿病)の合併症の一つである動脈硬化の進行を促進することが知られている。すなわち、メタボリックシンドロームは、糖尿病や動脈硬化へと進行していくことが知られている。
なお、II型糖尿病に対しては、スルホニルウレア(SU)剤、ビグアナイド(BG)剤及びピオグリタソン剤等の投薬治療が知られている。これらの投薬による治療効果の判定は血糖値に基づいている。しかしながら、糖尿病に対する投薬による治療効果と、上述したメタボリックシンドロームの危険度や進行度を総合的に判断するといった手法は知られていない。
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑み、メタボリックシンドロームの危険度や進行度の判別を、より簡便、且つ高い信頼度で判定することができる方法を提供することを目的としている。
上述した目的を達成した本発明は以下を包含する。
(1)被験者から採取した血液由来試料に含まれる、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を測定する工程と、当該測定の結果に基づいて、上記被験者について内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程とを含む、内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度判定方法。
(2)上記小粒子低比重リポタンパク質は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分、平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が20.7〜25.5nmであるサブクラス成分であることを特徴とする(1)記載の方法。
(3)上記小粒子低比重リポタンパク質は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分であることを特徴とする(1)記載の方法。
(4)上記低比重リポタンパク質は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分であることを特徴とする(1)記載の方法。
(5)上記レムナントは、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離したときに、平均粒子径が28.6〜44.5nm又は28.6〜36.8nmであることを特徴とする(1)記載の方法。
(6)上記コレステロール量は、高速液体クロマトグラフィーによって分析される、液体クロマトグラフィー−質量分析法により分析される、ガスクロマトグラフィー−質量分析法によって分析される、酵素試薬によって分析される、電気泳動法により分析される、核磁気共鳴法により分析される又は超遠心分離法により分析されることを特徴とする(1)記載の方法。
(7)上記小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を液体クロマトグラフィーで分離し、分離したリポタンパク質に含まれるコレステロールに由来する信号を検出し、少なくとも低比重リポタンパク質が粒子径により規定される、上記小粒子低比重リポタンパク質サブクラスを含む複数のサブクラスにより構成されていると仮定し、上記検出した信号を用いて、各サブクラスに対応するピークからなる近似波形を算出し、得られた近似波形に基づいて、上記小粒子低比重リポタンパク質に相当する複数のピークの合計として測定することを特徴とする(1)記載の方法。
(8)上記低比重リポタンパク質の平均径は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分の加重平均として測定する又は各主要クラスのなかで低比重リポタンパク質に相当するクロマトグラムにおけるピークトップの溶出時間に対応する粒子径として測定することを特徴とする(1)記載の方法。
(9)内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程では、コレステロール量の基準値と測定値と比較するとともに、低比重リポタンパク質の平均径の基準値若しくはレムナントに含まれるコレステロール量の基準値と測定値とを比較するものであることを特徴とする(1)記載の方法。
(10)内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程では、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を示す軸と、低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を示す軸とからなり、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度を示す領域を示した二次元グラフに、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量と低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量とをプロットしたデータを出力することを特徴とする(1)記載の方法。
(11)内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程では、内臓脂肪症候群に起因するII型糖尿病の進行度及び/又はII型糖尿病に対する治療効果を判定することを特徴とする(1)記載の方法。
(12)被験者から採取した血液由来試料に含まれる、リポタンパク質測定結果を入力するデータ入力手段と、上記データ入力手段で入力されたリポタンパク質測定結果から、上記血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を算出する算出手段と、上記算出手段で算出した値に基づいて、上記被験者について内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する判定手段とを備える内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度判定装置。
(13)上記算出手段は、上記データ入力手段で入力されたリポタンパク質測定結果から、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分、平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が20.7〜25.5nmであるサブクラス成分を小粒子低比重リポタンパク質としてコレステロール量を算出することを特徴とする(12)記載の判定装置。
(14)上記算出手段は、上記データ入力手段で入力されたリポタンパク質測定結果から、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分を上記小粒子低比重リポタンパク質としてコレステロール量を算出することを特徴とする(12)項記載の判定装置。
(15)上記算出手段は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分を上記低比重リポタンパク質として平均径を算出することを特徴とする(12)記載の判定装置。
(16)上記算出手段は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離したときに、平均粒子径が28.6〜44.5nm又は28.6〜36.8nmである成分を上記レムナントとしてコレステロール量を算出することを特徴とする(12)項記載の判定装置。
(17)上記データ入力手段は、高速液体クロマトグラフィーによる分析結果、液体クロマトグラフィー−質量分析法による分析結果、ガスクロマトグラフィー−質量分析法による分析結果、酵素試薬による分析結果、電気泳動法による分析結果、核磁気共鳴法による分析結果又は超遠心分離法による分析結果を入力することを特徴とする(12)記載の判定装置。
(18)上記データ入力手段は、液体クロマトグラフィーで分離された前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質に含まれるコレステロールに由来する信号を入力し、上記算出手段は、少なくとも低比重リポタンパク質が粒子径により規定される、上記小粒子低比重リポタンパク質サブクラスを含む複数のサブクラスにより構成されていると仮定し、上記入力した信号を用いて、各サブクラスに対応するピークからなる近似波形を算出し、得られた近似波形に基づいて、上記小粒子低比重リポタンパク質に相当する複数のピークの合計として当該小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を算出することを特徴とする(12)項記載の判定装置。
(19)上記低比重リポタンパク質の平均径は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分の加重平均として測定する又は各主要クラスのなかで低比重リポタンパク質に相当するクロマトグラムにおけるピークトップの溶出時間に対応する粒子径として測定することを特徴とする(12)項記載の判定装置。
(20)上記判定手段は、上記算出手段で算出した小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量をコレステロール量の基準値と比較するとともに、上記算出手段で算出した低比重リポタンパク質の平均径を基準値と比較する若しくは上記算出手段で算出したレムナントに含まれるコレステロール量を基準値と比較することを特徴とする(12)項記載の判定装置。
(21)上記判定手段による判定の結果として、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を示す軸と、低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を示す軸とからなり、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度を示す領域を示した二次元グラフに、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量と低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量とをプロットしたデータを出力するデータ出力手段を更に備えることを特徴とする(12)記載の判定装置。
(22)上記判定手段による判定の結果として、内臓脂肪症候群に起因するII型糖尿病の進行度及び/又はII型糖尿病に対する治療効果を判定することを特徴とする(12)記載の判定装置。
本明細書は本願の優先権の基礎である米国仮出願60/908,268に記載される内容を包含する。
図1は、リポタンパク質の分析装置の構成を模式的に説明する構成図である。
図2は、リポタンパク質の分析装置により出力されるTCに関するクロマトグラムとTGに関するクロマトグラムとを重ねて表示した特性図である。
図3は、内臓脂肪症候群に対する危険度を示す二次元グラフである。
図4は、健常者、皮下脂肪型肥満及び内臓脂肪型肥満についてレムナントコレステロール量(mg/dL)及び小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を比較した結果を示す特性図である。
図5は、健常者、II型糖尿病(NIDDM)及びIII型高脂質血症についてレムナントコレステロール量(mg/dL)及び小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を比較した結果を示す特性図である。
図6は、健常者、糖尿病患者及びインスリン治療後のII型糖尿病患者についてレムナントコレステロール量(mg/dL)及び小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を比較した結果を示す特性図である。
図7は、健常者とメタボリックシンドローム患者とについて低比重リポタンパク質の平均径(nm)及び小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を比較した結果を示す特性図である。
図8は、II型糖尿病患者の治療前後について低比重リポタンパク質の平均径(nm)及び小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を比較した結果を示す特性図である。
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する方法(以下、単に本方法と称す)は、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を測定し、この測定結果に基づいて、上記被験者における内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する。ここで、内臓脂肪症候群の危険度とは、いわゆるメタボリックシンドロームへの罹患可能性を示す尺度となる情報を意味する。したがって、内臓脂肪症候群の危険度は、被験者がメタボリックシンドロームに罹患しているかいないか、若しくは罹患していないにしてもメタボリンクシンドローム罹患のおそれがどの程度あるのか、といった尺度を示す。また、内臓脂肪症候群の進行度とは、被験者におけるメタボリックシンドロームの重症度を示す尺度となる情報を意味する。また、内臓脂肪症候群の進行度には、メタボリックシンドロームに起因するII型糖尿病や高脂血症、動脈硬化性疾患の進行度及び罹患可能性を示す情報も含む意味である。さらに、内臓脂肪症候群の進行度には、メタボリックシンドロームに起因するII型糖尿病に対する治療の結果、すなわちII型糖尿病の進行度の変化も含む意味である。ここで、II型糖尿病に対する治療とは、例えばインスリン療法やその他の薬物(スルホニルウレア剤、ビグアナイド剤及びピオグリタソン剤等)療法、食事療法及び運動療法を含む意味である。
特に、本方法は、被験者を直接又は間接的に侵襲するものではなく、当該被験者から採取した血液由来試料に対して処理を行うものである。ここで血液由来試料とは、被験者から採取した血液試料、当該血液試料から分離調整した血清試料を含む意味である。本方法においては、分析の精度を高めるため血清試料を使用することが好ましい。例えば、被験者から採取した血液試料を、分離剤の入ったガラスチューブにいれ、例えば遠心分離機により2000回転10分処理することによって血清試料を分離することができる。
また、被験者から血液試料を採取する際には、他の臨床検査等と同様に被験者の空腹時に行うことが望ましい。また、被験者から血液を採取する場合、前腕肘部から5mlの量で静脈血を採取するとよい。これらの採血の方法や量は、適宜、変更してもよい。また、採取日の前日の適当な時刻(例えば、午後8時)以降は飲食禁止とすると、データの再現性及び信頼性が高くなる。
血液由来試料から小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、低比重リポタンパク質の平均径及びレムナントに含まれるコレステロール量を測定する際には、以下に説明するリポタンパク質の分析方法を適用することができる。
リポタンパク質の分析方法1
血液由来試料に含まれるリポタンパク質を分析する際には、特許登録番号第3899041号に開示された分析方法、分析装置及び分析プログラムを使用することができる。以下の説明では、便宜上、コレステロール及び中性脂肪(トリグリセリド)を測定する場合について説明する。本分析方法、分析装置及び分析プログラムは、試料中に含まれるリポタンパク質成分を粒径に依存して分離するとともに、分離後のリポタンパク質成分に含まれるコレステロール成分及びトリグリセリド成分を定量するものである。
詳細には、特許登録番号第3899041号に開示された分析装置は、例えば、図1に示すように、被検試料に含まれるリポタンパク質成分を分離できるカラム1と、カラム1から溶出されたリポタンパク質を含む溶離液を2分配するスプリッター2と、スプリッター2によって分配された第1流路3及び第2流路4と、第1流路3に配置されたコレステロール(以下「TC」と称する)反応部5と、第2流路4に配置されたトリグリセリド(以下「TG」と称する)反応部6と、第1流路3におけるTC反応部5の下流に配置されたTC検出部7と、第2流路4におけるTG反応部6の下流に配置されたTG検出部8と、本装置の動作制御及びTC検出部7並びにTG反応部8から信号が入力されるシステムコントローラー9と、システムコントローラー9に接続された演算装置10とを備えている。
なお、このリポタンパク質分析装置は、血清試料をカラム1に供給するサンプラー11と、カラム1に溶離液を供給するための第1ポンプ12と、第1ポンプ12によってカラム1に供給する溶離液から気体を除去するデガッサー13とを備えている。
リポタンパク質分析装置においてカラム1としては、特に限定されないが、ゲルろ過用充填剤を充填してなるカラムを用いることが特に好ましい。特に、カラム1としては、800〜1200オングストロームの平均細孔径の充填剤を有するものを例示できる。平均細孔径が800オングストローム未満の充填剤ではカイロマイクロン及び超低比重リポタンパク質などの分子サイズの大きいリポタンパク質は細孔内に入り難くなり、一方、平均細孔径が1200オングストロームを超える充填剤では低比重リポタンパク質や高比重リポタンパク質などの分子サイズの小さいリポタンパク質の分離が悪化するため、前述の通り平均細孔径が800〜1200オングストロームのものが好ましい。中でも平均細孔径が900〜1100オングストロームの充填剤は、分離能に優れるため、最終的により精度の高いリポタンパク質の分析を行うことを可能とする。
また、充填剤としては、液体クロマトグラフィーでの使用に充分耐える機械的強度を有するものを選択する必要がある。このような充填剤は、例えば、シリカゲル、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシメタクリレート及びその他の親水性樹脂を基材とするもの(例えばTSKgel Lipopropak、商品名、東ソー(株)製)を一例として例示することできる。
溶離液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ビス−トリス緩衝液等を例示できるが、リポタンパク質を分離できるものであれば特に制限はない。緩衝液の濃度としては20〜200mM、特に好ましくは50〜100mMの範囲が良い。緩衝液の濃度が20mM未満では緩衝能が小さく、200mMを超えると後述の酵素試薬とTC又はTGの反応が阻害される恐れが生じるからである。緩衝液のpHは、5〜9、特に好ましくは7〜8である。緩衝液のpHが5未満、あるいはpHが9を超えると、前記同様、酵素試薬との反応が阻害される恐れが生じるからである。しかし、TC及び/又はTGの測定を、酵素を用いないで行う場合等はこの限りではない。
TC反応部5は、カラム1から溶出されたリポタンパク質を含む溶離液に含まれるTCを定量するための試薬を備えるTC用試薬タンク14と第2ポンプ15を介して連結されている。ここで、TCを定量するための試薬としては、特に限定されないが、例えば、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、パーオキシダーゼなどの酵素と、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン、4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−m−アニシジンなどの色素とを組み合わせた酵素−色素試薬を用いることができる。試薬としては、例えば、市販のデタミナーL TCII(協和メデックス株式会社)、LタイプCHO・H(和光純薬工業株式会社)試薬を好適に用いることができる。なお、これらの試薬は、TCと反応して、蛍光検出器や紫外可視検出器などの分光器で検出可能な蛍光や吸収を有する反応生成物を与える。
TG反応部6は、カラム1から溶出されたリポタンパク質を含む溶離液に含まれるTGを定量するための試薬を備えるTC用試薬タンク16と第2ポンプ15を介して連結されている。ここで、TGを定量するための試薬としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸オキシダーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロール−3リン酸オキシダーゼ、リポタンパク質リパーゼ及びパーオキシダーゼ等の酵素と、キノン系発色色素等の色素とを組み合わせた酵素−色素試薬を用いることができる。キノン系発色色素としては、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン又はN−エチル−N−(3−スルホプロピル)−m−アニシジンと4−アンチアミノピリンの酸化縮合体が挙げられる。試薬としては、例えば、市販のデタミナーL TGII(協和メデックス株式会社)、LタイプTG・H(和光純薬工業株式会社)試薬を好適に用いることができる。
なお、これら、TC反応部5及びTG反応部6は、上述した試薬とTC又はTGとの反応温度を制御するための反応コイルをそれぞれ備えている。TC反応部5及びTG反応部6において、上述した試薬とTC又はTGとの反応温度は、35〜50℃、好ましくは45〜50℃とする。反応温度が35℃未満では反応が不十分になりやすく、また、50℃を超えると反応中に酵素が劣化する恐れが生じるからある。
TC検出部7は、TC反応部5でTCと試薬とが反応して生成した反応生成物の吸光度を検出するための、例えば紫外可視光検出器を備えている。また、TG検出器8は、TG反応部6でTGと試薬とが反応して生成した反応生成物の吸光度を検出するための、例えば紫外可視光検出器を備えている。例えば、上述した試薬としてキノン系発色色素を用いた場合、紫外可視検出器の測定波長は、540〜560nmとすれば良い。
システムコントローラー9は、TC検出部7及びTG検出部8からの出力信号が入力され、この信号に基づいてTCに関するクロマトグラム及びTGに関するクロマトグラムを結果として出力する機能を備えている。システムコントローラー9から出力されるクロマトグラムとしては、例えば、図2に示すように、横軸を溶出時間(min)とし、縦軸を検出値(mV)として、TCに関するクロマトグラムとTGに関するクロマトグラムとを重ねて表示することができる。したがって、本分析装置によれば、カラム1の分離能に依存して、リポタンパク質の主要クラス毎にTC及びTGを定量することができる。
なお、リポタンパク質は、その粒子の大きさ、水和密度、及び電気泳動度などの性質の違いにより幾つかの主要クラスに分類されている。すなわち、リポタンパク質は、主要クラスとして、軽いものから、CM(カイロマイクロン)、VLDL(超低比重リポタンパク質:d<1.006kg/L)、LDL(低比重リポタンパク質:1.006kg/L<d<1.063kg/L)、HDL(高比重リポタンパク質:1.063kg/L<d<1.210kg/L)に分類されている。本分析装置においては、カラム1の分離能によっては、これら主要クラスに対応するピークが混合した混合ピークとしてクロマトグラムを出力する場合がある。この場合、特許登録番号第3899041号に開示された分析プログラムによってデータ処理することで、各主要クラスにピークを分割して、各主要クラスに含まれるTC及びTGを定量することができる。この分析プログラムは演算装置10にインストールすることができる。すなわち、演算装置10は、特許登録番号第3899041号に開示された分析プログラムによって、システムコントローラー9から出力されるクロマトグラムから各主要クラスに含まれるTC及びTGを定量することができる。
また、演算装置10としては、例えば、後述する分析プログラムをインストールしたコンピュータを使用することができる。演算装置10は、システムコントローラー9と接続されており、システムコントローラー9から出力されるクロマトグラムを分析プログラムによってデータ処理し、被検試料に含まれるリポタンパク質を例えば20個のサブクラスに分離するとともにTC量及びTG量を算出する機能を有する。なお、この演算装置10は、インターネット、LAN或いはイントラネット等の情報通信回線網を介してシステムコントローラー9と接続されていても良い。
具体的に、サブクラスとしては、90nmより大(>90nm)、64−90nm、53.6−75nm、44.5−64nm、36.8−53.6nm、31.3−44.5nm、28.6−36.8nm、25.5−31.3nm、23−28.6nm、20.7−25.5nm、18.6−23nm、16.7−20.7nm、15−18.6nm、13.5−16.7nm、12.1−15nm、10.9−13.5nm、9.8−12.1nm、8.8−10.9nm、7.6−9.8nm及び8.8nmより小(<8.8)からなる20個のサブクラスを挙げることができる。また、サブクラスとしては、好ましくは、82.5nmより大(>90nm)、69.5−82.5nm、58.8−69.5nm、49.05−58.8nm、40.65−49.05nm、34.05−40.65nm、29.95−34.05nm、27.05−29.95nm、24.25−27.05nm、21.85−24.25nm、19.65−21.85nm、17.65−19.65nm、15.85−17.65nm、14.25−15.85nm、12.8−14.25nm、11.5−12.8nm、10.35−11.5nm、9.3−10.35nm、8.2−9.3nm及び8.2より小(<8.2nm)からなる20個のサブクラスを挙げることができる。さらに、サブクラスとしては、より好ましくは、90nmより大(>90nm)、75nm、64nm、53.6nm、44.5nm、36.56−36.8nm、31.3−32.17nm、28.0−28.61nm、25.4−25.64nm、22.9−23.1nm、20.6−20.8nm、18.5−18.7nm、16.6−16.8nm、14.9−15.1nm、13.4−13.6nm、12.0−12.2nm、10.8−11.0nm、9.7−9.9nm、8.7−8.9nm及び7.46−7.6nmからなる20個のサブクラスを挙げることができる。
リポタンパク質分析装置においては、システムコントローラー9から出力されるクロマトグラムを分析プログラムによってデータ処理することで、上記の20個の各サブクラスに含まれるTC及びTGを定量することができる。以下、分析プログラムについて説明する。分析プログラムは、ステップ1及びステップ2からなるフローチャートに従って演算装置10を制御する。
先ず、ステップ1では、演算装置10の入力手段を介してシステムコントローラー9から出力されるクロマトグラムを入力信号として入力する。すなわち、分析プログラムは、ステップ1によって、システムコントローラー9から出力されるクロマトグラムを入力信号として入力する検出手段としてコンピュータを実行させる。
ステップ1を詳細に説明すると、先ず、演算装置10の入力手段を介して、図2に示したようなTCに関するクロマトグラムとTGに関するクロマトグラムとを入力すると、例えば、演算装置10に内在する記憶装置或いは演算装置10により記録可能な記録媒体にこれらクロマトグラム及び/又はクロマトグラムの基となる数値データが記憶される。
次に、ステップ2では、入力したクロマトグラムを波形処理して20個のサブクラスに分離し、ガウス近似波形を算出する。すなわち、分析プログラムは、ステップ2によって、ガウス近似波形を算出する波形処理手段としてコンピュータを実行させる。波形処理手段により、ステップ1で入力したクロマトグラムを20個の独立したピークに分離することができる。以下の説明において、20個の独立したピークを、サイズの大きいものから順にG1〜G20と称し、各ピークをコンポーネントピークと称する。G1及びG2はカイロマイクロン(CM)に相当するコンポーネントピークであり、G3〜G7は超低比重リポタンパク(VLDL)に相当するコンポーネントピークであり、G8〜G13は低比重リポタンパク(LDL)に相当するコンポーネントピークであり、G14〜G20は高比重リポタンパク(HDL)に相当するコンポーネントピークである。VLDLに相当するコンポーネントピークの中で、G3〜G5はlarge VLDLであり、G6はmedium VLDLであり、G7はsmall VLDLである。LDLに相当するコンポーネントピークのなかで、G8はlarge LDLであり、G9はmedium LDLであり、G10はsmall LDLであり、G11〜G13はvery small LDLである。HDLに相当するコンポーネントピークのなかで、G14及びG15はvery large HDLであり、G16はlarge HDLであり、G17はmedium HDLであり、G18はsmall HDLであり、G19及びG20はvery small HDLである。
ステップ2における波形処理手段は、ステップ1で入力したクロマトグラム或いは数値データを20個のコンポーネントピークに分離して、G1〜G20を含むガウス近似波形を算出する処理を演算装置10に実行させる手段である。これらG1〜G20のコンポーネントピークの定義については、国際公開番号2006/057440及び国際公開番号2007/052789を参照することができる。
なお、20個のコンポーネントピークに対して、ピーク幅は、SD(分)=ピークの半値幅(秒)÷143*60で表される数値で設定することができる。具体的に20個のコンポーネントピークのピーク幅としては、G01について0.33min、G02について0.40min、G03について0.55min、G04について0.55min、G05について0.55min、G06について0.50min、G07について0.40min、G08について0.38min、G09について0.38min、G10について0.38min、G11について0.38min、G12について0.38min、G13について0.33min、G14について0.33min、G15について0.33min、G16について0.38min、G17について0.38min、G18について0.38min、G19について0.38min、G20について0.48minを入力或いは予め設定する。
以上で説明したステップ1及びステップ2からなるフローチャートによれば、システムコントローラー9から出力されたクロマトグラム(例えば図2に示すクロマトグラム)を、20個のサブクラスに対応するピークからなる近似波形を算出することができる。
以上のように、本分析装置を用いることによって20個のサブクラスに対応するピークからなる近似波形を算出した場合には、各サブクラスに含まれるコレステロール及びトリグリセリドを定量することができる。
本方法では、特に、上述したTCに関するクロマトグラムから導かれた近似波形に基づいて、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量及びレムナントに含まれるコレステロール量を測定する。ここで、小粒子低比重リポタンパク質とは、上述したサブクラスにおけるG10〜G13、好ましくはG11〜G13、より好ましくはG12及びG13、最も好ましくはG13として定義される。ここで、レムナントとは、超低比重リポタンパク質レムナントを意味し、上述した分画におけるG3〜G9に分布する。なお、
超低比重リポタンパク質は、構造維持タンパク質としてアポリポタンパク質B−100を有しており、幹細胞から分泌され、肝静脈を経て大循環に入ってからLPLによる脂肪分解を受けて超低比重リポタンパク質レムナントになる。
また、本方法では、特に、上述したTCに関するクロマトグラム又は上述したTGに関するクロマトグラムから導かれた近似波形に基づいて低比重リポタンパク質(LDL)の平均径を測定する。
ここで、低比重リポタンパク質の平均径とは、G8〜G13として定義されるサブクラスの存在量を加重して算出した値である。なお、平均径としては、直径の加重平均でも良いし半径の加重平均でもよい。具体的には、上述した近似波形において、G8〜G13として定義されるサブクラスのピークトップが現れる位置、すなわち粒子径をそれぞれ特定し、G8〜G13として定義されるサブクラスのピーク面積を加重して粒子径の平均値を算出する。算出された平均値を低比重リポタンパク質の平均径とすることができる。なお、低比重リポタンパク質の平均径は、上述した近似波形から算出された値に限定されず、図2に示したクロマトグラムにおけるLDLに相当する主要クラスにおけるピークトップが現れる位置を平均径としても良い。
リポタンパク質の分析方法2
血液由来試料に含まれるリポタンパク質を分析する手法としては、上述した分析方法に限定されず、従来公知の如何なる手法を適用しても良い。血液由来試料に含まれるリポタンパク質を分析する手法としては、例えば、電気泳動を用いた手法(新生化学実験講座4、脂質I「中性脂質とリポタンパク質」東京化学同人日本生化学会編、1993、p206〜217参照)、NMRを用いた方法(J.D.Otvos et al.,Clinical Chemistry,vol.37,No3,p377−386,1991参照)、超遠心分離装置を用いた方法(新生化学実験講座4、脂質I「中性脂質とリポタンパク質」東京化学同人日本生化学会編、1993、p187〜206参照)等を適宜利用して測定することができる。これら分析方法は、測定原理がそれぞれ異なるものではあるが、主要クラス及びサブクラスの測定値が互いに相関していることが知られている。
例えば、NMR法と酵素法との比較にはJ.D.Otvos et al.,Clinical Chemistry,vol.37,No3,p377−386,1991を参照することができ、電気泳動法と超遠心法との比較にはT.Kido et al.,Journal of Atherosclerosis and Thrombosis Vol.8,No.1,p7−13,2001を参照することができ、HPLC法と超遠心法と酵素法との比較には岡崎三代,臨床検査,vol.40,No.12,p1281−1292を参照することができ、HPLC法と酵素法との比較には岡崎三代ら,臨床検査,vol.40,No.12,p1309−1313を参照することができる。
診断手順
以上のように、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を測定した後、得られた結果に基づいて、被験者について内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定することができる。
ここで、内臓脂肪症候群とは、人種や民族の構成が異なるため地域によって判断基準が異なっており、全世界的に統一した基準で診断されるものではない。一例として、日本においては、ウエスト(おへその位置)周りが男性で85cm以上、女性で90cm以上であることが内臓脂肪型肥満の判断基準として採用され、これを満たす者に対して血清脂質異常・血圧高値・高血糖に関する3項目のうち2以上を満たす場合にメタボリックシンドロームと診断している。血清脂質異常については、トリグリセリド値150mg/dL以上及び/又はHDLコレステロール値40mg/dL未満という基準が採用されている。血圧高値については、最高(収縮期)血圧130mmHg以上及び/又は最低(拡張期)血圧85mmHg以上という基準が採用されている。高血糖については、空腹時血糖値110mg/dL以上という基準が採用されている。
また、本方法によれば、内臓脂肪症候群の進行度として、メタボリックシンドロームに起因するII型糖尿病やIII型高脂血症、動脈硬化性疾患の進行度及び罹患可能性を判定することもできる。さらに、本方法によれば、内臓脂肪症候群の進行度として、メタボリックシンドロームに起因するII型糖尿病に対する治療の結果(治療効果)、すなわちII型糖尿病の進行度の変化も判定することができる。
ここで、II型糖尿病とは、インスリン抵抗性の糖尿病であり、空腹時血糖値≧126mg/dl、随時血糖値≧200mg/dl若しくは75gブドウ糖負荷試験2時間値≧200mg/dlという基準で診断される。
III型高脂血症とは、血液中のLDLコレステロール又はβ−VLDLコレステロールが増加した状態を意味し、後述の動脈硬化性疾患の主要な原因となっている。また、動脈硬化性疾患とは、動脈の壁が硬く厚くなって血流を悪くなり、さらには閉塞することによってその動脈によって栄養が供給されている臓器に障害がもたらされた状態を意味する。動脈としては、脳梗塞及び脳出血等に代表される脳動脈、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に代表される冠動脈、大動脈瘤及び大動脈解離等に代表される大動脈、腎硬化症及びこれに起因する腎不全に代表される腎動脈並びに閉塞性動脈硬化症等に代表される末梢動脈を挙げることができる。
本方法では、これら内臓脂肪症候群、II型糖尿病、高脂血症及び動脈硬化性疾患に対する確定診断を提供するものではなく、内臓脂肪症候群の危険度及び/又はII型糖尿病、高脂血症及び動脈硬化性疾患への危険度及び進行度を提供するものである。本方法は、後述する実施例に示すように、血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量と低比重リポタンパク質の平均径との関係、若しくは小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量とレムナントに含まれるコレステロール量との関係がそれぞれ内臓脂肪症候群の危険度及び進行度と相関しているといった新規知見に基づいている。
一例として、本方法による内臓脂肪症候群の危険度に関する判定結果としては、図3に示すように、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を示す軸(例えば横軸)と、低比重リポタンパク質の平均径を示す軸(例えば縦軸)とからなり、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度を示す領域を示した二次元グラフを使用することができる。この二次元グラフにおいては、例えば、安全領域、注意領域及び危険領域といった、内臓脂肪症候群に対する3段階の危険度を示すことができる。ここで、安全領域及び注意領域の境界は、一例として、健常者群における小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量の平均値及び健常者群における低比重リポタンパク質の平均径の平均値とすることができる。また、注意領域と危険領域との境界は、一例として、健常者群における小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量の平均値に2倍の標準偏差を加えた値及び健常者群における低比重リポタンパク質の平均径の平均値に2倍の標準偏差を加えた値とすることができる。
このように、危険度を領域として示す二次元グラフに、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量と低比重リポタンパク質の平均径を点としてプロットすることによって、当該被験者の内臓脂肪症候群に対する危険度を容易に判断することができる。なお、上述した例では、低比重リポタンパク質の平均径を用いた評価を例示したが、これに代えてレムナントに含まれるコレステロール量を用いた場合も同様である。
なお、本方法において内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度は、上述した二次元グラフにて提供するものに限定されず、例えば、上記危険度を予め段階的に定義しておき(例えば危険度1〜3)、段階的な定義におけるどの位置に相当するのかといった情報として提供してもよい。
以上で説明した本方法は、入力手段、演算手段及び出力手段を有するコンピュータを、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度判定装置として機能させるソフトウェアとして提供することができる。ここで、入力手段とは、上記測定値を数値データとして入力するための装置であって、例えば、マウス、キーボード、各種インターフェイスを含む意味である。また、コンピュータにおける演算手段(例えばCPU)は、入力手段から入力された上記測定値を基準値と比較して上述したような、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度の判定を行う。このとき、演算手段は、基準値を記憶した記憶装置から基準値を読み出し、上記測定値と比較して判定結果として例えば図3に示したような二次元グラフを出力する。記憶装置は、コンピュータ内部のRAMやハードディスク等を利用しても良いし、インターネットやLAN等の通信回線網を介してコンピュータがアクセス可能であればよい。
また、記憶装置は、基準値と、人種や性別、年齢、既往症等の情報と関連付けられたリレーショナルデータベースであってもよい。この場合、入力手段から被験者に関する人種や、性別、年齢、既往症等の情報が入力されると、演算手段は、記憶手段から当該情報に対応する基準値を読み出し、当該基準値と上記測定値とを比較する。
なお、コンピュータは、診断結果を、ディスプレイやプリンタ等の出力手段に出力しても良いし、例えば電子メール形式で他の情報処理端末に出力しても良い。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<材料及び方法>
健常者、皮下脂肪型肥満患者、内臓脂肪型患者、II型糖尿病患者、インスリン治療後のII型糖尿病患者及びIII型高脂血症患者より文書による同意を得て早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。なお、健常者は80名(n=80)であり、皮下脂肪型肥満患者は28名(n=28)であり、内臓脂肪型患者は36名(n=36)であり、II型糖尿病患者は47名(n=47)であり、インスリン治療後のII型糖尿病患者は22名(n=22)であり及びIII型高脂血症患者は11名(n=11)であった。
<測定方法>
本実施例において、血清試料に含まれるリポタンパク質の分析は、図1に示した分析装置を用いて行った。具体的に、本実施例では分析装置におけるHPLC装置として、Prominenceシリーズ(島津製作所社製)を使用した。分析カラムは、TSKgel LipopropakXL(東ソー株式会社製)を用いた。本実施例では、HPLC装置により分離されたリポタンパク質に含まれるコレステロールを検出した。
コレステロールの検出には、検出用試薬としてコレステロール測定試薬TCHO試薬SK−A及びTCHO試薬SK−B(東洋紡績株式会社製)を使用した。コレステロールの検出に際しては、それぞれの酵素を2:1の比率で混合した反応試薬を、HPLC装置により分離されたサンプルとシステム内で1:1の比率で混合した。この混合液を37℃に保った恒温器内で3分間保持した後、550nmの波長で測定することでコレステロールを検出した。
分析装置を用いたリポタンパク質の分析は以下の条件で行った。先ず、血清試料を10μL注入し、溶離液としてTSK eluentLP−1又はLP−2を流速0.7ml/minで送液した。得られたクロマトグラムより、国際公開番号2006/057440に示した分析プログラムにより血清試料に含まれるリポタンパク質分画(カイロマイクロン、超低比重リポタンパク(VLDL)、低比重リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク(HDL))中のコレステロールの濃度を求めた。すなわち、得られたクロマトグラムを上述したG1〜G20の合計20個のピークに分割し、20個のピークに基づいて各成分の濃度を測定した。なお、本実施例では、対照となる標準血清として、デタミナー標準血清HDL−C測定用(協和メディックス株式会社)を用いた。
<結果>
上述した健常者、皮下脂肪型肥満患者(SFO)、内臓脂肪型患者(VFO)、II型糖尿病患者(NIDDM)、インスリン治療後のII型糖尿病患者及びIII型高脂血症患者についてサブクラスG10〜G13に含まれるコレステロール量及びレムナントコレステロール量を測定した結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
表1及び2に示した結果を用いて、健常者、皮下脂肪型肥満及び内臓脂肪型肥満を比較した結果を図4に示した。図4の縦軸はレムナントコレステロール量(mg/dL)を示し、横軸は小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を示している。図4から、健常者、皮下脂肪型肥満及び内臓脂肪型肥満は、レムナントコレステロール量と小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量によりその相違を明確に把握できることが明らかとなった。これにより、被験者のレムナントコレステロール量と小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量に基づいて、メタボリックシンドロームの潜在的なリスクを判定することができる。
また、表1及び2に示した結果を用いて、健常者、II型糖尿病(NIDDM)、III型高脂質血症を比較した結果を図5に示す。図5の縦軸はレムナントコレステロール量(mg/dL)を示し、横軸は小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を示している。図5から、健常者、II型糖尿病(NIDDM)、III型高脂質血症は、レムナントコレステロール量と小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量によりその相違を明確に把握できることが明らかとなった。これにより、被験者のレムナントコレステロール量と小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量に基づいて、メタボリックシンドローム進行度を判定することができる。
さらに、表1及び2に示した結果を用いて、健常者、糖尿病患者及びインスリン治療後のII型糖尿病患者を比較した結果を図6に示す。図6の縦軸はレムナントコレステロール量(mg/dL)を示し、横軸は小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を示している。図6から、健常者、糖尿病患者及びインスリン治療後のII型糖尿病患者は、レムナントコレステロール量と小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量によりその相違を明確に把握できることが明らかとなった。これにより、被験者のレムナントコレステロール量と小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量に基づいて、メタボリックシンドロームの進行度や、II型糖尿病患者の治療効果を判定することができる。
実施例2
<材料及び方法>
健常者、メタボリックシンドローム患者及びII型糖尿病患者より文書による同意を得て早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。また、II型糖尿病患者については、インスリン治療の前後において早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。なお、健常者は841名(n=841)であり、メタボリックシンドローム患者は75名(n=75)であり、II型糖尿病患者は53名(n=53)であった。
<測定方法>
本例では、低比重リポタンパク質の平均径を算出した以外は、実施例1と同様にしてリポタンパク質分析を行った。低比重リポタンパク質の平均径は、粒子の大きさによって分離されるというゲルろ過分離法の原理を活用し、溶出時間と粒子径の対応関係に基づいて算出した。具体的には、クロマトグラムにおける低比重リポタンパク質に相当する主要クラスにおけるピークトップが現れる位置を平均径として算出した。
<結果>
上述した健常者、メタボリックシンドローム患者及びII型糖尿病患者(治療前後)についてサブクラスG10〜G13に含まれるコレステロール量及び低比重リポタンパク質の平均径を測定した結果をそれぞれ表3及び表4に示す。
表3に示した結果を用いて、健常者とメタボリックシンドローム患者とを比較した結果を図7に示す。図7の縦軸は低比重リポタンパク質の平均径(nm)を示し、横軸は小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を示している。図7において、一点鎖線はメタボリックシンドローム患者における平均値を示し、二点差線は健常者における平均径を示している。また、図7において、縦軸と平行な点線は、健常者における小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量の平均値に2倍の標準偏差を加算した値を示している。図7において、横軸と平行な点線は、健常者における低比重リポタンパク質の平均径から2倍の標準偏差減算した値を示している。
表3に示したように、健常者とメタボリックシンドローム患者では、小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量及び低比重リポタンパク質の平均径ともに有意に(p<0.001)に差があった。図7に示すように、小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量及び低比重リポタンパク質の平均径を2次元グラフとして示すことで、被験者におけるメタボリックシンドロームの危険度を視覚的に明確に理解することができる。図7に示した2次元グラフにおいて、例えば、健常者の平均値(二点鎖線)を安全領域と注意領域との境界線とし、標準偏差を加味した値(点線)を注意領域と危険領域との境界線とすることができる(図3参照)。図7に示した2次元グラフに基づいて、安全領域、注意領域及び危険領域を予め区画した2次元グラフを準備しておき、被験者における小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量及び低比重リポタンパク質の平均径をこれにプロットすれば、当該被験者におけるメタボリックシンドロームの危険度を容易に理解することができる。
一方、表4に示した結果を用いて、II型糖尿病患者の治療前後において比較した結果を図8に示す。図8の縦軸は低比重リポタンパク質の平均径(nm)を示し、横軸は小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量(mg/dL)を示している。図8において、治療前のII型糖尿病患者における平均値を一点鎖線で示し、治療後のII型糖尿病患者における平均値を二点鎖線で示している。
表4に示したように、II型糖尿病の治療前後において、小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量及び低比重リポタンパク質の平均径ともに有意(p<0.001)に差があった。図8に示すように、II型糖尿病患者への治療の効果は、小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量が低下すると共に、低比重リポタンパク質の平均径が大となる傾向が明らかとなった。したがって、II型糖尿病患者に対する治療効果は、当該患者における小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量及び低比重リポタンパク質の平均径から判定できることが明らかとなった。さらに、図8に示した2次元グラフを用いて、所定のII型糖尿病患者について、治療開始前における値、治療開始後から定期的に測定した値を順次プロットすることによって治療効果が視覚的に明確に理解することができる。
本発明によれば、被験者の血液由来試料を用いて、メタボリックシンドロームの危険度や進行度の判別をより簡便、且つ高い信頼度で判定することができる。また、本発明によれば、メタボリックシンドロームに起因するII型糖尿病の治療効果をより簡便、且つ客観的に判定することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (22)

  1. 被験者から採取した血液由来試料に含まれる、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を測定する工程と、
    当該測定の結果に基づいて、上記被験者について内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程とを含む、内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度判定方法。
  2. 上記小粒子低比重リポタンパク質は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分、平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が20.7〜25.5nmであるサブクラス成分であることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 上記小粒子低比重リポタンパク質は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分であることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 上記低比重リポタンパク質は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分であることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 上記レムナントは、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離したときに、平均粒子径が28.6〜44.5nm又は28.6〜36.8nmであることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 上記コレステロール量は、高速液体クロマトグラフィーによって分析される、液体クロマトグラフィー−質量分析法により分析される、ガスクロマトグラフィー−質量分析法によって分析される、酵素試薬によって分析される、電気泳動法により分析される、核磁気共鳴法により分析される又は超遠心分離法により分析されることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 上記小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量は、
    前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を液体クロマトグラフィーで分離し、分離したリポタンパク質に含まれるコレステロールに由来する信号を検出し、
    少なくとも低比重リポタンパク質が粒子径により規定される、上記小粒子低比重リポタンパク質サブクラスを含む複数のサブクラスにより構成されていると仮定し、上記検出した信号を用いて、各サブクラスに対応するピークからなる近似波形を算出し、
    得られた近似波形に基づいて、上記小粒子低比重リポタンパク質に相当する複数のピークの合計として測定することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  8. 上記低比重リポタンパク質の平均径は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分の加重平均として測定する又は各主要クラスのなかで低比重リポタンパク質に相当するクロマトグラムにおけるピークトップの溶出時間に対応する粒子径として測定することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程では、コレステロール量の基準値と測定値と比較するとともに、低比重リポタンパク質の平均径の基準値若しくはレムナントに含まれるコレステロール量の基準値と測定値とを比較するものである、ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  10. 内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程では、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を示す軸と、低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を示す軸とからなり、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度を示す領域を示した二次元グラフに、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量と低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量とをプロットしたデータを出力することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  11. 内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する工程では、内臓脂肪症候群に起因するII型糖尿病の進行度及び/又はII型糖尿病に対する治療効果を判定することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  12. 被験者から採取した血液由来試料に含まれる、リポタンパク質測定結果を入力するデータ入力手段と、
    上記データ入力手段で入力されたリポタンパク質測定結果から、上記血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量、及び低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を算出する算出手段と、
    上記算出手段で算出した値に基づいて、上記被験者について内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度を判定する判定手段とを備える、内臓脂肪症候群の危険度及び/又は進行度判定装置。
  13. 上記算出手段は、上記データ入力手段で入力されたリポタンパク質測定結果から、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分、平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が20.7〜25.5nmであるサブクラス成分を小粒子低比重リポタンパク質としてコレステロール量を算出することを特徴とする請求項12記載の判定装置。
  14. 上記算出手段は、上記データ入力手段で入力されたリポタンパク質測定結果から、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が15〜18.6nmであるサブクラス成分、平均粒子径が16.7〜20.7nmであるサブクラス成分及び平均粒子径が18.6〜23nmであるサブクラス成分を上記小粒子低比重リポタンパク質としてコレステロール量を算出することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  15. 上記算出手段は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分を上記低比重リポタンパク質として平均径を算出することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  16. 上記算出手段は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離したときに、平均粒子径が28.6〜44.5nm又は28.6〜36.8nmである成分を上記レムナントとしてコレステロール量を算出することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  17. 上記データ入力手段は、高速液体クロマトグラフィーによる分析結果、液体クロマトグラフィー−質量分析法による分析結果、ガスクロマトグラフィー−質量分析法による分析結果、酵素試薬による分析結果、電気泳動法による分析結果、核磁気共鳴法による分析結果又は超遠心分離法による分析結果を入力することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  18. 上記データ入力手段は、液体クロマトグラフィーで分離された前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質に含まれるコレステロールに由来する信号を入力し、
    上記算出手段は、少なくとも低比重リポタンパク質が粒子径により規定される、上記小粒子低比重リポタンパク質サブクラスを含む複数のサブクラスにより構成されていると仮定し、上記入力した信号を用いて、各サブクラスに対応するピークからなる近似波形を算出し、得られた近似波形に基づいて、上記小粒子低比重リポタンパク質に相当する複数のピークの合計として当該小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を算出することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  19. 上記低比重リポタンパク質の平均径は、前記血液由来試料に含まれるリポタンパク質を粒子径に基づいて複数の主要クラスに分離し、各主要クラスが複数のサブクラスにより構成されているとしたときに、平均粒子径が16〜30nmの範囲に含まれるサブクラス成分の加重平均として測定する又は各主要クラスのなかで低比重リポタンパク質に相当するクロマトグラムにおけるピークトップの溶出時間に対応する粒子径として測定することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  20. 上記判定手段は、上記算出手段で算出した小粒子低比重リポタンパク質のコレステロール量をコレステロール量の基準値と比較するとともに、上記算出手段で算出した低比重リポタンパク質の平均径を基準値と比較する若しくは上記算出手段で算出したレムナントに含まれるコレステロール量を基準値と比較することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  21. 上記判定手段による判定の結果として、小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量を示す軸と、低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量を示す軸とからなり、内臓脂肪症候群及び/又は動脈硬化性疾患への危険度を示す領域を示した二次元グラフに、被験者から採取した血液由来試料に含まれる小粒子低比重リポタンパク質に含まれるコレステロール量と低比重リポタンパク質の平均径若しくはレムナントに含まれるコレステロール量とをプロットしたデータを出力するデータ出力手段を更に備えることを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
  22. 上記判定手段による判定の結果として、内臓脂肪症候群に起因するII型糖尿病の進行度及び/又はII型糖尿病に対する治療効果を判定することを特徴とする請求の範囲第12項記載の判定装置。
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