JPWO2008111566A1 - 泳動波形を用いた検査値予測装置、予測方法および予測プログラム - Google Patents

泳動波形を用いた検査値予測装置、予測方法および予測プログラム Download PDF

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Abstract

泳動波形を用いて特定の物質量や疾患の有無などを正確に予測することができる検査値予測装置、予測方法および予測プログラムである。検査値予測方法は、易動度および該易動度に対応する吸光度で構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、記録部に記録され、予測式が、複数の検体に関する泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの易動度に対応する吸光度を説明変数とし、複数の検体に関する所定物質の量又は疾患の有無を目的変数とする回帰式であり、記録部に記録された前記泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成する第1ステップ(S2)と、記録部に記録された前記予測式の説明変数である易動度に対応する吸光度に、記録部に記録された泳動波形データから生成された修正波形データの吸光度を代入して、所定物質の量の予測値を計算する第2ステップ(S4)とを含む。

Description

本発明は、泳動波形測定、特に電気泳動検査によって得られ、正規化された波形情報を用いて、特定の物質量、特に、生体検査で測定される物質(検査項目に該当)の量や疾患の有無などを正確に予測することができる泳動波形を用いた検査値の予測装置、予測方法および予測プログラムに関する。なお、本発明は、泳動波形を測定した時点における検査値を推定することに限らず、検査値のその後の時間経過を推定することも可能であるので、本明細書においては推定を予測とも記載する。
医療機関において、臨床検査値を用いた診断は通常、複数の検査項目の検査値を用いて行なわれる。たとえば、メタボリックシンドロームの健診では、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、ヘモグロビンA1cなどの、比較的疾患に対して特異度の高い複数の検査項目を同時に検査し、得られた検査値を用いて医師による診断が行なわれる。現在日本では、これらの検査費用は、保険点数の単純合計で1件当たり1859点である。また、これら複数の検査項目は分析原理が異なるため、医療機関や検査機関では複数の分析装置を備えて、それらを維持管理している。
一方、臨床検査や遺伝子解析などに用いられる泳動法から得られた波形情報を解析する蛋白分画検査が知られている。臨床検査や遺伝子解析などに用いられる泳動法から得られた波形情報を解析する場合、易動度によって分離された物質を特定する方法が用いられている。このとき、易動度は分析の諸条件によって異なるため、易動度を正規化すること、すなわち時間軸を修正することが必要である。易動度を正規化する方法には、基準となるマーカ物質を試料に混入させる方法や、特徴的な波形ピークなどを指標として易動度を補正する方法が用いられている。
たとえば、血清蛋白電気泳動分析の場合には、1枚のセルロースアセテート膜に数十本の試料を塗布して同時に複数の試料を分析できるため、本発明者によるシート内易動度補正法(下記非特許文献1参照)では、易動度が検証された管理試料を分析試料に混在させ、管理試料の易動度で、全体の易動度の補正を行なうことができる。また、キャピラリーゾーン電気泳動法に関しては、理論的易動度を使った推定法が知られている(下記特許文献1参照)。
さらに、本発明者によって、マーカ物質を試料に混入させずに測定した易動度を正規化する方法が提案されている(下記非特許文献2参照)。
特開2001−074694号公報 片岡浩巳,佐々木匡秀,西田政明,武田京子,杉浦哲朗:精度保証の今後の展開,臨床病理,47(9),pp823-829,1999. 片岡浩巳,市原清志,高橋香奈子,斎藤邦明,久原太助,小倉克己,杉浦哲朗:パターン発見のための汎用的なクロマトグラフィー易動度正規化アルゴリズムの開発,日本臨床検査自動化学会第37回大会抄録集,p.548
上記したように、従来の臨床検査値を用いた診断では、個人が負担する検査費用が高額である(約15,000円)問題がある。
また、医療機関や検査機関では、分析装置の設備投資、試薬代、人件費などの莫大な費用が使われている問題がある。
一方、従来の蛋白分画検査では、明瞭に分画された波形の面積や微妙なパターンの違いから、特定の物質を明確に分離することができなかった。また、蛋白分画検査は、波形パターンから、病気の診断に用いられる場合があったが、5種類程度の疾患群しか診断することができない。
本発明は、上記した課題を解決すべく、泳動検査によって得られ、正規化された波形情報を用いて、特定の物質量や疾患の有無などを正確に予測することができる検査値予測装置、予測方法および予測プログラムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記した課題を解決すべく鋭意研究した結果、これまで蛋白分画検査では、糖尿病の診断はできないとされていたが、糖尿病患者のアルブミン付近の波形パターンには健常者と異なる傾向があることを見出し、これに基づき本願発明をするに至った。
本発明に係る検査値予測装置(1)は、記録部と処理部とを備え、
易動度および該易動度に対応する吸光度をペアデータとし、複数の前記ペアデータで構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、前記記録部に記録され、
前記予測式が、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの、易動度に対応する吸光度を説明変数とし、前記所定物質の量又は疾患の有無を目的変数として、最尤推定法によって、予め決定された回帰式であり、
前記処理部が、
前記記録部に記録された前記泳動波形データを読み出し、該泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成し、
前記記録部に記録された前記予測式を読み出し、該予測式の説明変数である易動度に対応する吸光度に、前記記録部に記録された前記泳動波形データから生成された前記修正波形データの吸光度を代入して前記予測式の値を計算し、該計算値を前記所定物質の量又は疾患の有無の予測値とし、
前記面積補正が、前記正規化された泳動波形データの面積、前記検体の総蛋白値を用いて、泳動波形データの吸光度を修正する処理である。
また、本発明に係る検査値予測装置(2)は、上記の検査値予測装置(1)において、前記所定物質が、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセライド、AFP、CEA、ALB、C4、トランスフェリン、CRP、IgA、IgG、IgM、TP、CHE、GLB、ZTT、血清Ca、尿中Na、RBC、HT、HB、血沈、蓄尿糖、蓄尿蛋白、1.5−AG、抗GADAb、糖日内変動、糖負荷検査の血糖(各時間値)、糖負荷検査のインスリン(各時間値)、乳酸、ピルビンサン、シアルサン、ヒアルロンサン、E−CHO、NEFA、H−CHO、TIBC、血清銅、亜鉛、ビタミンB1、RBP、LCAT、リゾチ−ム、CKMB(MB%、MM%)、LH、FSH、プロラクチン、ACTH、T3、T4、CPR、インスリン、BNP−FEI、FIB、ルプスアンチコアグラント、ASK、CH50、C3、LE、サイロイド、コウ−TG、コウ−TPO、ハプトグロン、SAA、IAP、B2−MIC、NSE、HGF、P−3−P、コラーゲン7S、CA19−9R、CA72−4、BCA225、STN、プロGRP、TPA、ELASTA、SPAN1、ICTP、PSA、ICG、尿中ALB、尿中NAG、および鼻汁好酸球からなる群の中から選択される1つの物質である。
また、本発明に係る検査値予測装置(3)は、上記の検査値予測装置(1)において、
前記予測式の決定に使用される前記修正波形データが、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化されて生成された波形データに、ガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって得られる波形データであり、
前記処理部が、前記記録部に記録された前記泳動波形データを正規化した後、正規化された該波形データにガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって、前記予測値の計算に使用する前記修正波形データを生成する。
また、本発明に係る検査値予測装置(4)は、上記の検査値予測装置(1)において、
前記所定物質がCEAであり、
前記予測式の決定に目的変数として使用される前記所定物質の量が、CEAの測定値の対数値である。
また、本発明に係る検査値予測装置(5)は、上記の検査値予測装置(1)において、
前記記録部に、正規化に使用する第1パラメータおよび第2パラメータがさらに記録され、
前記処理部が、前記第1パラメータを傾きとし、前記第2パラメータを切片とする一次関数を用いて前記泳動波形データを正規化し、
前記第1および第2パラメータが、
泳動波形データを複数の参照波形データの各々に変換する複数のワーピング関数、および各ワーピング関数に対応するDTW距離が求められ、
複数の前記DTW距離のうちの最小のDTW距離に対応する前記ワーピング関数を近似する直線の傾きおよび切片であり、
前記ワーピング関数を近似する前記直線の傾きが、
前記ワーピング関数の任意の屈曲点間の傾きを計算し、
複数の前記屈曲点間の傾きを大きさの順に並べた場合に両端の所定領域に含まれる傾きを除外して、前記屈曲点間の傾きから求められる。
また、本発明に係る検査値予測装置(6)は、上記の検査値予測装置(1)において、
前記修正波形データが、アルブミンのピーク位置が149番目、マーカのピーク位置が396番目となるように生成された場合、
ヘモグロビンA1cの予測式が、前記説明変数として、少なくとも28番目、130番目、138番目、148番目、258番目、261番目、302番目、329番目及び419番目の易動度に対応する吸光度を含む、
HDLコレステロールの予測式が、前記説明変数として、少なくとも189番目の易動度に対応する吸光度を含む、又は、
グリコアルブミンの予測式が、前記説明変数として、少なくとも27番目、28番目、31番目、128番目、150番目、P346番目及び347番目の易動度に対応する吸光度を含む。
また、本発明に係る検査値予測方法(1)は、記録部と処理部とを備えたコンピュータを用いて検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無を予測する方法であって、
易動度および該易動度に対応する吸光度をペアデータとし、複数の前記ペアデータで構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、前記記録部に記録され、
前記予測式が、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの、易動度に対応する吸光度を説明変数とし、前記所定物質の量又は疾患の有無を目的変数として、最尤推定法によって、予め決定された回帰式であり、
前記処理部が、前記記録部に記録された前記泳動波形データを読み出し、該泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成する第1ステップと、
前記処理部が、前記記録部に記録された前記予測式を読み出し、該予測式の説明変数である易動度に対応する吸光度に、前記記録部に記録された前記泳動波形データから生成された前記修正波形データの吸光度を代入して前記予測式の値を計算し、該計算値を前記所定物質の量又は疾患の有無の予測値とする第2ステップとを含み、
前記面積補正が、前記正規化された泳動波形データの面積、前記検体の総蛋白値を用いて、泳動波形データの吸光度を修正する処理である。
また、本発明に係る検査値予測方法(2)は、上記の検査値予測方法(1)において、
前記所定物質が、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセライド、AFP、CEA、ALB、C4、トランスフェリン、CRP、IgA、IgG、IgM、TP、CHE、GLB、ZTT、血清Ca、尿中Na、RBC、HT、HB、血沈、蓄尿糖、蓄尿蛋白、1.5−AG、抗GADAb、糖日内変動、糖負荷検査の血糖(各時間値)、糖負荷検査のインスリン(各時間値)、乳酸、ピルビンサン、シアルサン、ヒアルロンサン、E−CHO、NEFA、H−CHO、TIBC、血清銅、亜鉛、ビタミンB1、RBP、LCAT、リゾチ−ム、CKMB(MB%、MM%)、LH、FSH、プロラクチン、ACTH、T3、T4、CPR、インスリン、BNP−FEI、FIB、ルプスアンチコアグラント、ASK、CH50、C3、LE、サイロイド、コウ−TG、コウ−TPO、ハプトグロン、SAA、IAP、B2−MIC、NSE、HGF、P−3−P、コラーゲン7S、CA19−9R、CA72−4、BCA225、STN、プロGRP、TPA、ELASTA、SPAN1、ICTP、PSA、ICG、尿中ALB、尿中NAG、および鼻汁好酸球からなる群の中から選択される1つの物質である。
また、本発明に係る検査値予測方法(3)は、上記の検査値予測方法(1)において、
前記予測式の決定に使用される前記修正波形データが、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化されて生成された波形データに、ガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって得られる波形データであり、
前記第2ステップにおいて、前記処理部が、前記記録部に記録された前記泳動波形データを正規化した後、正規化された該波形データにガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって、前記予測値の計算に使用する前記修正波形データを生成する。
また、本発明に係る検査値予測方法(4)は、上記の検査値予測方法(1)において、
前記所定物質がCEAであり、
前記予測式の決定に目的変数として使用される前記所定物質の量が、CEAの測定値の対数値である。
また、本発明に係る検査値予測方法(5)は、上記の検査値予測方法(1)において、
前記記録部に、正規化に使用する第1パラメータおよび第2パラメータがさらに記録され、
前記第1ステップにおいて、前記処理部が、前記第1パラメータを傾きとし、前記第2パラメータを切片とする一次関数を用いて前記泳動波形データを正規化し、
前記第1および第2パラメータが、
泳動波形データを複数の参照波形データの各々に変換する複数のワーピング関数、および各ワーピング関数に対応するDTW距離が求められ、
複数の前記DTW距離のうちの最小のDTW距離に対応する前記ワーピング関数を近似する直線の傾きおよび切片であり、
前記ワーピング関数を近似する前記直線の傾きが、
前記ワーピング関数の任意の屈曲点間の傾きを計算し、
複数の前記屈曲点間の傾きを大きさの順に並べた場合に両端の所定領域に含まれる傾きを除外して、前記屈曲点間の傾きから求められる。
また、本発明に係る検査値予測方法(6)は、上記の検査値予測方法(1)において、
前記修正波形データが、アルブミンのピーク位置が149番目、マーカのピーク位置が396番目となるように生成された場合、
ヘモグロビンA1cの予測式が、前記説明変数として、少なくとも28番目、130番目、138番目、148番目、258番目、261番目、302番目、329番目及び419番目の易動度に対応する吸光度を含む、
HDLコレステロールの予測式が、前記説明変数として、少なくとも189番目の易動度に対応する吸光度を含む、又は、
グリコアルブミンの予測式が、前記説明変数として、少なくとも27番目、28番目、31番目、128番目、150番目、P346番目及び347番目の易動度に対応する吸光度を含む。
また、本発明に係る検査値予測プログラムは、記録部と処理部とを備えたコンピュータに検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無を予測させるプログラムであって、
易動度および該易動度に対応する吸光度をペアデータとし、複数の前記ペアデータで構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、前記記録部に記録され、
前記予測式が、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの、易動度に対応する吸光度を説明変数とし、前記所定物質の量又は疾患の有無を目的変数として、最尤推定法によって、予め決定された回帰式であり、
前記処理部に、前記記録部に記録された前記泳動波形データを読み出し、該泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成させる第1の機能と、
前記処理部に、前記記録部に記録された前記予測式を読み出し、該予測式の説明変数である易動度に、前記記録部に記録された前記泳動波形データから生成された前記修正波形データの吸光度を代入して前記予測式の値を計算させ、該計算値を前記所定物質の量の予測値とさせる第2機能とを実現させ、
前記面積補正が、前記正規化された泳動波形データの面積、前記検体の総蛋白値を用いて、泳動波形データの吸光度を修正する処理である。
本発明によれば、正規化された泳動波形データを説明変数とする最尤推定法(重回帰分析、多重ロジスティック回帰分析など)により得られた回帰式を用いることによって、従来の蛋白分画検査では予測することができなかった物質量(検査値)を精度よく計算することや、疾患の有無(検査値)などを精度よく判定することが可能になる。
患者などの被検査者に高額の負担を強いる複数の検査を行なう前に、比較的低額の検査である蛋白分画検査だけを行うことで、各種の検査値を予測することができるので、検査が不要な被検査者の出費を抑制することができる。本発明で利用する蛋白分画検査は、日本では保険点数がわずか19点である。
そして、予測値が基準値(健常な範囲)から逸脱している場合には、必要に応じて実際の検査を行なえばよいので、検査の頻度を低減することができる。従って、医療機関や検査機関においては、検査装置の台数を低減することができ、関連する設備投資、試薬代、人件費などを低減することが可能になる。本発明で利用する蛋白分画検査は、専用の電気泳動装置があれば分析可能な検査である。
さらに、本発明の適用対象は蛋白分画検査に限定されず、臨床検査の分析中の反応曲線などのデータに本発明を適用すれば、1回の分析で各種検査項目の予測値を得ることができ、短時間かつ効率的に被検査者に情報を提供することができる診断支援システムを構築することも可能になる。
本発明の実施の形態に係る検査値予測装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る検査値予測装置の動作のうち、予測式を用いて予測値を計算する処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る検査値予測装置の動作のうち、予測式を決定する処理を示すフローチャートである。 易動度の波形データの一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る検査値予測装置の動作のうち、易動度を正規化する処理を示すフローチャートである。 DTW処理を示す概念図である。 易動度の正規化方法におけるWFの傾きを求める処理を示す概念図である。 キャピラリー電気泳動法による測定データを用いて求めたSOMの一例を示す図である。 HbA1cに関して、図3のフローチャートに従って決定した回帰係数を表形式で示した図である。 HbA1cの実測値と図9の回帰係数を用いて計算した予測値とをプロットしたグラフである。 図9及び10とは別の検体群に関する結果を示す図である。 HDLに関して、図3のフローチャートに従って決定した回帰係数を表形式で示した図である。 HDLの実測値と図11の回帰係数を用いて計算した予測値とをプロットしたグラフである。 図12及び13とは別の検体群に関する結果を示す図である。 GAに関する実施例を示す図である。 ガウスフィルターを適用した実施例を示す図である。 多重ロジスティック回帰分析を用いた実施例を示す図である。
符号の説明
1 検査値予測装置
11 演算処理部
12 一時記憶部
13 記録部
14 操作部
15 表示部
16 入出力インタフェース部
17 通信インタフェース部
18 内部バス
2 測定装置
以下、本発明に係る実施の形態を、添付した図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る泳動波形を用いた検査値予測装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る検査値予測装置1は、演算処理部11と、一時記憶部12と、記録部13と、演算処理部11に対する指示やデータ入力を行う操作部14と、演算処理部11による処理結果などを表示する表示部15と、これらとのインタフェース部(以下、入出力IF部と記す)16と、外部の測定装置2とデータ交換を行う通信インタフェース部(以下、通信IF部と記す)17と、内部の各部間でデータを交換するための内部バス18とを備えて構成されている。ここで測定装置2は、たとえばキャピラリーゾーン電気泳動装置である。
検査値予測装置1を、たとえばコンピュータを利用して構成する場合、演算処理部11、一時記憶部12、および記録部13には、それぞれCPU、RAM、およびハードディスクを用いることができる。また、操作部14には、キーボード、マウス、タッチパネルなどを使用することができる。入出力IF部16には、操作部14に応じたシリアル若しくはパラレルインタフェースを採用すればよい。また、入出力IF部16は、ビデオメモリおよびDA変換部を備え、表示部15のビデオ方式に応じたアナログ信号を出力することによって、表示部15に情報を提示するための画像が表示される。
図2および3は、本実施の形態に係る検査値予測装置1の動作を示すフローチャートである。以下、図2および3を参照して、本検査値予測装置1の動作を具体的に説明する。以下においては、特に断らない限り、検査値予測装置1の演算処理部11が行う処理として説明する。演算処理部11は、操作部14が操作されて入力されたデータを取得して記録部13に記録し、適宜記録部13からデータを一時記憶部12に読み出し、所定の処理を行った後、その結果を記録部13に記録することによって、所定の処理を行う。また、演算処理部11は、操作部14の操作を促す画面データや処理結果を表示する画面データを生成し、入出力IF部16のビデオRAMを介して、これらの画像を表示部15に表示する。また、記録部13には、複数の検体(被測定者から採取した血液などの生体試料)について所定の検査項目(ヘモグロビンA1c、HDLコレステロールなど)の検査を行なった結果(以下、検査値とも記す)が、検体を特定する情報(例えば検体毎のコード番号)および検査項目を特定する情報(例えば検査項目毎のコード番号)と対応させて記録されているとする。すなわち、検体の集合に関して、検体、検査項目および検査結果が、それらの関連性が分かるように記録されている。
(予測値の計算)
まず、ステップS1において、通信IF部17を介して、測定装置(電気泳動装置)2から測定データを取得し、記録部13に記録する。測定されたデータは、特定の検体に関する易動度の波形データであり、所定の時間間隔で測定された時系列の1次元データである。
ステップS2において、測定した波形データを正規化および面積補正する。正規化する方法は、上記の背景技術で説明した公知の方法を用いても、後述する方法を用いても良い。正規化および面積補正された波形データの一例を図4に示す。図4において、横軸が正規化された易動度、縦軸が面積補正した後の吸光度であり、易動度は1〜500の整数値である。なお、図4には、正規化後の波形データを実線で示し、背景のシャドー部分は、正常群の基準値範囲を示している。
面積補正は、正規化された波形(易動度が1〜500)の各点の値についてシンプソンの定積分の方程式を使って計算し、総蛋白値が7.0(g/dl)の時、面積が1×106になるように補正する処理である。即ち、正規化された波形の高さ(面積補正後の吸光度)を、検体の総蛋白値を用いて、
補正ファクター = 総蛋白値 × 1×106 / 7.0 × 面積
正規化された波形の高さ = 面積補正前の吸光度 × 補正ファクター
によって計算する。
ここでは、面積を用いて吸光度を補正する補正ファクターを決定する場合を説明したが、この方法に限定されず、測定された吸光度が所定範囲から極端に外れないように吸光度を補正できる補正ファクターであればよい。
ステップS3において、操作部14を介して、予測値を計算する検査項目の指定を受け付ける。検査項目の指定方法は、たとえば、表示部15に予測可能な複数の検査項目をリスト表示し、操作部14が操作されて、表示された検査項目の中から任意の検査項目を指定するようにすればよい。
ステップS4において、ステップS3で指定された検査項目に対応する予測式を記録部から読み出し、ステップS2で正規化および面積補正された後の波形データを用いて、予測式の値を計算する。詳細は後述するが、予測式は、検体の集合に関する易動度の波形データ(より正確には、各易動度に対応する吸光度)を説明変数とし、検査項目を目的変数として、重回帰分析によって予め求められた式であり、式1のように表わされる。
Y=a0+a1×Sex+a2×Age+Σpi×Pi・・・(式1)
ここで、Yは検査値、Sexは性別(男性の場合+1、女性の場合−1)、Ageは年齢(正の整数値)、Piは波形データの易動度iに対応する値(吸光度)であり、Σは整数値iに関する和を意味する。係数a1、a2、piは、Sex、AgeおよびPiを説明変数として重回帰分析によって、予め決定されている回帰係数であり、定数a0は切片である。従って、ステップS2で正規化された波形データを式1のPiに代入し、波形データを測定した検体を採取した被検査者の性別および年齢をSexおよびAgeに代入して、Yの値を計算する。
以上によって、ステップS3で指定された検査項目の予測値(Y)を求めることができる。なお、ステップS3で、複数の検査項目が指定された場合、検査項目に応じて異なる予測式が予め決定されていれば、指定された検査項目毎に、対応する予測式を読み出して、上記と同様に予測値を計算することができる。
後述する実施例では、検査項目としてヘモグロビンA1c(以下、HbA1cとも記す)、HDLコレステロール(以下、HDLとも記す)、グリコアルブミン(以下、GAとも記す)を対象とした場合を示すが、これらの検査項目に限定されない。例えば、メタボリックシンドローム関連の検査項目であるLDLコレステロール、総コレステロールおよびトリグリセライドや、腫瘍マーカ関連の検査項目であるAFP(α-fetoprotein)およびCEA(carcinoembryonic antigen)や、栄養管理関連の検査項目であるALB(アルブミン)、C4(補体)およびトランスフェリンや、感染症、炎症関連の検査項目であるhs−CRP(C反応性蛋白)、IgA(免疫グロブリンA)、IgG(免疫グロブリンG)およびIgM(免疫グロブリンM)などの予測にも本発明を適用することができる。
これら以外にも、TP、CHE、GLB、ZTT、血清Ca、尿中Na、RBC、HT、HB、血沈、蓄尿糖、蓄尿蛋白、1.5−AG、抗GADAb、糖日内変動、糖負荷検査の血糖(各時間値)、糖負荷検査のインスリン(各時間値)、乳酸、ピルビンサン、シアルサン、ヒアルロンサン、E−CHO、NEFA、H−CHO、TIBC、血清銅、亜鉛、ビタミンB1、RBP、LCAT、リゾチ−ム、CKMB(MB%、MM%)、LH、FSH、プロラクチン、ACTH、T3、T4、CPR、インスリン、BNP−FEI、FIB、ルプスアンチコアグラント、ASK、CH50、C3、LE、サイロイド、コウ−TG、コウ−TPO、ハプトグロン、SAA、IAP、B2−MIC、NSE、HGF、P−3−P、コラーゲン7S、CA19−9R、CA72−4、BCA225、STN、プロGRP、TPA、ELASTA、SPAN1、ICTP、PSA、ICG、尿中ALB、尿中NAG、鼻汁好酸球などの予測にも本発明を適用することができる。
また、上記においては、予測対象の検査項目によらず同様の処理を行う場合を説明したが、検査項目によっては、所定の関数を用いて正規化後の波形データにコンボリューション演算(畳み込み積分)を実行し、得られた波形データを予測式に代入してもよい。たとえば、検査項目CRPに関して、ガウス分布を用いて波形データにコンボリューション演算を行って得られた波形データを使用することによって、予測精度をより向上することができる。コンボリューション演算を行うことが望ましい検査項目はCRPに限定されず、例えば、ALB、β2リポ蛋白、C4、トランスフェリン、IAP、IgGなどが挙げられる。
コンボリューション演算はディジタル信号処理分野において周知であるので、説明を省略する。なお、この場合、後述する重回帰分析による予測式の決定において、同様のコンボリューション演算が行なわれた波形データが使用されることが前提である。
また、図2のフローチャートでは、波形データの測定も含まれているが、本検査値予測装置とは別の装置で測定された波形データを、ネットワークや可搬性の記録媒体を介して本検査値予測装置に伝送し、ステップS2の処理から実行するようにしてもよい。
また、上記では、易動度が1〜500の整数値で表される場合を説明したが、易動度の範囲はこれに限定されず、下限値および上限値もこれらに限定されない。所定範囲の易動度をディジタル値で表し、各易動度に対する吸光度が与えられていればよい。
(予測式の生成)
次に、予測値の計算に用いる予測式を重回帰分析によって生成する処理に関して説明する。
ステップS11において、目的変数のデータを準備するために、複数の検体jの集合を対象として、各検体jに関して所定の検査を行い、得られた検査値と、検体jに対応させて正規化および面積補正した後の多次元データ検査値(波形)Vjを記録部13に記録する。面積補正は、上記した「予測値の計算の説明」において記載した方法であり、正規化に関しては後述する。
ステップS12において、説明変数のデータを準備するために、上記と同じ検体jの集合を対象として、各検体jに関して測定装置(電気泳動装置)2で易動度の波形データを測定し、測定結果の波形データを正規化および面積補正し、検体jに対応させて正規化および面積補正した後の波形データを記録部13に記録する。
ステップS13において、ステップS11およびS12で得られた検査値、波形データの集合を用いてステップワイズ重回帰分析によって回帰係数(切片を含む)を求め、記録部13に記録する。ステップワイズ重回帰分析は、回帰式の適合度が最も良くなるように説明変数を段階的に投入、除去しながら有意な変数の組み合わせを決定する方法であり、当業者には周知であるので説明を省略する。
以上によって、特定の検査項目に関する回帰式が得られ、これが上記した予測値の計算において使用される予測式である。同じ検体の集合を用いて、複数の異なる検査項目について回帰係数を求めることができ、その場合には、ステップS12での波形データの正規化処理は1度だけ行えばよいが、ステップS11の処理は検査項目毎に行なう。また、求められた回帰係数は、検査項目と対応させて記録部13に記録する。
予測値の計算に関して説明したように、特定の検査項目に関しては、所定の関数(たとえばガウス分布)を用いて正規化後の波形データにコンボリューション演算を行い、得られた波形データを使用してステップワイズ重回帰分析を行ってもよい。
また、CEAなどの、疾患の悪化に応じて対数的に変化する検査項目では、ステップS11において検査値の対数を計算し、その対数値を用いてステップワイズ重回帰分析を行うことで、より精度が向上した予測式を生成することができる。
また、図3のステップS11、S12には、検査の実施、波形データの測定も含まれているが、本検査値予測装置とは別の装置で検査および測定されたデータを、ネットワークや可搬性の記録媒体を介して本検査値予測装置に伝送し、ステップS13の処理から実行するようにしてもよい。
また、上記ではステップワイズ重回帰分析を使用する場合を説明したが、これに限定されず、関連性のある属性を選択できる重回帰分析であればよい。さらには、最尤推定法に分類される方法を用いて決定された予測式であればよい。例えば、後述するように、検査値(目的変数)が2値をとる場合(例えば、疾患の有無)には、多重ロジスティック回帰分析を用いることができる。
(波形データの正規化)
次に、測定装置(電気泳動装置)2によって得られた測定データを正規化する方法の一例を、図5のフローチャートを用いて説明する。本正規化方法では、DTW処理によって、測定データを参照波形データに変換するワーピング関数を求める処理を、複数の測定データに関して行い、得られた複数のワーピング関数の傾きおよび切片を用いて正規化対象の測定データを正規化する。
ステップS21において、通信IF部17を介して、測定装置から測定データを取得し、記録13部に記録する。測定データは、所定の時間間隔で測定された時系列の1次元データである。
ステップS22において、繰り返し処理のカウンタkに1を設定する。
ステップS23において、記録部13から、予め記録された複数の参照波形データのうちの1つの波形データを読み出す。
ステップS24において、ステップS23で読み出した参照波形データと測定データとを用いて、DTW処理を行う。すなわち、測定データを参照波形データに変換するワーピング関数(以下WFとも記す)を求め、WFに沿った距離であるDTW距離を求める。DTW処理は周知であるので、図6にDTW処理の概念を示す図を示し、詳細説明は省略する。図6では、1つの単位時間配列データに、順に正の整数値を付与している。参照波形データに対しては0〜Jを、測定データに対しては0〜Iを付与している。
ステップS25において、ステップS24で求めたWFおよびDTW距離を、参照波形データと対応させて記録部13に記録する。本実施の形態では、WFは図6に示したように2次元平面上の折れ線になるので、各屈曲点の座標(i,j)(0≦i≦I、0≦j≦J)を記録部13に記録する。
ステップS26において、カウンタkの値が参照波形データの総数kmaxよりも小さいか否かを判断することによって、全ての参照波形データに対してステップS23〜S25の処理を終了したか否かを判断する。k<kmaxである場合、未処理の参照波形データが残っているので、ステップS27に移行してカウンタkを1だけ増大させ、ステップS23に戻る。これによって、全ての参照波形データに対してステップS23〜S25の処理が行われる。
ステップS28において、記録部13に記録したDTW距離の中の最小値を決定し、この最小値に対応するWFの座標データを記録部13から読み出し、WFを線形近似するために、一次関数の傾きα(一次係数)および切片β(定数項)を求める。WFは、理論的には直線になるので、直線回帰や、ノンパラメトリックな直線回帰法(たとえば、Passing-Bablock法)を用いることができる。
本正規化方法では、記録部13から読み出したWFの屈曲点を表す複数の座標データの中から任意の2つの座標データを選択し、これら2点を通る直線の傾きを求め、それらの傾き全体の中央値を、WFを近似する直線の傾きαとして決定する。切片βに関しても同様に、すべての組み合わせの切片を計算し、それらの値の中央値を、WFを近似する直線の切片βとする。このように、傾きαも切片βも同じノンパラメトリック手法で求めることができる。図7は、この処理を模式的に示す図である。図7の右下の図は、任意の座標データ間の傾きを、左から小さい順に並べたグラフである。このグラフは、中央付近ではほぼ平坦であるが、左右の両端付近で急激に変化している。この領域の傾きは、WFの屈曲点を表す座標データのうち、WFを直線近似した場合に、直線から大きく外れることになる屈曲点の座標データを用いて求められた傾きである。したがって、傾き分布の中央値を使用することによって、外れ値を除外することができる。
ステップS29において、ステップS28で求めた傾きαおよび切片βを用いて、正規化対象の測定データを補正する。すなわち、i’=α×i+β (ここで0≦i≦I)によって求められたi’を用いて、測定データである易動度m(i)のグラフ上の位置を、位置iから新たな位置i’にシフトする。これは、測定データの時間軸をスケーリング(伸張または収縮)およびオフセットさせることを意味する。
ステップS30において、ステップS11で補正した測定データを記録部13に記録して、測定データの正規化処理を終了する。以上によって、マーカ物質を使用すること無く、易動度の測定データを、予め用意された参照波形データを用いて正規化(時間軸の補正)することができる。
本正規化方法を、上記の予測値の計算におけるステップS2(図2参照)、および予測式の生成におけるステップS12(図3参照)に適用する場合、上記のステップS28(図5参照)で予め決定された傾きαおよび切片βを記録部13に記録しておけばよい。
なお、以上の説明から分かるように、本正規化方法の精度は、参照波形データの精度に依存する。一部のリファレンス検査室等でマーカを含む分析が可能な場合には、マーカの情報を用いて従来と同様に測定した易動度の正規化を行ない、参照波形データを準備することができる。
一方、マーカを混入できない分析法の場合には、自己組織化マップ(SOM)によって決定した波形データを参照波形データとして用いることができる。SOMおよびこれを生成する方法は周知であるので詳細説明を省略するが、易動度の測定データに適用する場合に関して以下に説明する。
先ず、マーカを混入できない分析法で測定した複数の波形データの中から、代表的な波形データを選択し、目視でこの波形データを補正し、初期の参照波形データとする。次に、この参照波形データを用いて、SOMによるクラスタリングを行い、典型的な波形データを抽出する。抽出された波形データが、本実施の形態で使用される参照波形データである。
このとき、SOMによるクラスタリングによって典型的な波形データが抽出されなければ、抽出されるまで、上記の補正操作を繰り返し、精度の高い参照波形データを作成することもできる。図8に、キャピラリー電気泳動法による測定データを用いて求めた参照波形データの一例を示す。図8では、100個の参照波形データによってSOMが構成されている。参照波形データの数は、対象領域の波形データの種類に応じて変更すると、補正の精度を高めることができる。
図5に示したフローチャートは一例であり、これに限定されない。たとえば、図5では参照波形データ毎にDTW処理を行い、その結果を全て記録部に記録する場合を説明したが、これに限定されず、最も近似する参照波形データに関するWFを求めることさえできれば、別の処理であってもよい。1つの参照波形データに対してDTW処理を行った後、前回の別の参照波形データに対するDTW処理の結果と比較して、DTW距離の小さい方のWF(屈曲点の座標データ)のみを保存するようにしてもよい。
また、上記ではステップS28において、傾きおよび切片の中央値を採用し、外れ値を除外してWFを直線近似する場合を説明したが、これに限定されない。たとえば、図7における傾きを大きさの順にソートしたグラフにおいて、変動が少ない領域の1つの値を使用してもよく、変動が少ない領域の平均値を使用してもよい。切片に関しても同様である。
以上、電気泳動検査(キャピラリーゾーン電気泳動など)による測定データを用いる場合を説明したが、これに限定されず、クロマトグラフィー(液体クロナトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなど)による測定データを用いてもよい。クロマトグラフィーの測定データからも、電気泳動波形と同様の泳動波形を得ることができるので、上記の電気泳動波形データの代わりに、クロマトグラフィーの測定データに対して本発明を適用することができる。なお、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーの場合、易動度は通常リテンションタイムと呼ばれる。即ち、本明細書及び特許請求の範囲において、「易動度」とは、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーの場合には、「リテンションタイム」を意味する。
また、以上では、ある時点で測定された泳動波形データからその時点における検査値を推定することを説明したが、時間経過後の検査値を推定することもできる。例えば、糖尿病の検査に、所定量(例えば、75g)のグルコースを飲み、その後、血中グルコース値およびインスリン値の時間変化(例えば、30分後、60分後、90分後など)を観察する検査がある。本発明は、この糖尿病検査にも適用可能である。即ち、グルコースを飲んだ直後に採取された検体(血液)の泳動波形を測定して得られた泳動波形データを用いれば、その後の被験者の血中グルコース値およびインスリン値を予測することも可能である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
図9は、HbA1cに関して、図3のフローチャートに従ってステップワイズ重回帰分析を行って決定した回帰係数を表形式で示した図である。
先ず、500件の異なる検体に関して、HbA1cの検査と、キャピラリー電気泳動装置(ベックマンコールター社製CZE2000)による蛋白分画検査とを行なった。そして、測定された易動度波形データを、自己組織化マップおよびDTW処理を用いて、アルブミンのピーク位置が149点目(変数名P149に対応)、マーカのピーク位置が396点目(変数名P396に対応)になるように正規化し、各波形を500点のデータ(吸光度)で表わすように変換した。さらに総蛋白値によって波形の面積を補正した。そして、得られた波形データおよびHbA1c値を用いて、ステップワイズ重回帰分析によって図9に示す回帰係数が得られた。
図10は、HbA1cの実測値と、図9の回帰係数を用いて(図9以外の係数は0として)計算した予測値とをプロットしたグラフである。縦軸はHbA1cの実測値であり、横軸は予測値、すなわち予測式Yの計算結果である。予測値は、回帰係数の計算に使用した500件の検体と異なる100件の検体についての計算値である。予測値と実測値との相関係数は0.7であった。図10からも、予測値が実測値をよく再現できていることが分かる。
図11の(a)は、上記と異なる検体の集合を用いて、上記と同様に求められた回帰係数を示す。また、図11の(b)は、50件の検体について、図11の(a)の回帰係数から計算された値と実測値とを、同様にプロットした図である。但し、図10と異なり、縦軸が予測値であり、横軸が実測値である。予測値と実測値との相関係数は0.78であった。図11の(a)に示された変数名のうち、寄与の大きいものは、正の回帰係数中では、P28、P130、P261、P302及びP329、負の回帰係数中では、P138、P148、P258及びP419である。即ち、次数0の定数に加えて、これらの変数名に対応する吸光度を説明変数として使用すれば、精度良く検査値を推定することができる。
図12は、HDLに関して、実施例1と同様に図3のフローチャートに従ってステップワイズ重回帰分析を行って決定した回帰係数を表形式で示した図である。
図13は、HDLの実測値と、図12の回帰係数を用いて(図12以外の係数は0として)計算した予測値とをプロットしたグラフである。縦軸はHDLの実測値であり、横軸は予測値、すなわち予測式Yの計算結果である。予測値は、回帰係数の計算に使用した500件の検体と異なる100件の検体についての計算値である。予測値と実測値との相関係数は0.87であった。図13からも、予測値が実測値をよく再現できていることが分かる。
図14の(a)は、上記と異なる検体の集合を用いて、上記と同様に求められた回帰係数を示す。また、図14の(b)は、50件の検体について、図14の(a)の回帰係数から計算された値と実測値とを、図13と同様にプロットした図である。縦軸が予測値であり、横軸が実測値である。予測値と実測値との相関係数は0.82であった。図14の(a)に示された変数名のうち、寄与の大きいものは、正の回帰係数中ではP189である。即ち、次数0の定数に加えて、この変数名に対応する吸光度を説明変数として使用すれば、精度良く検査値を推定することができる。
図15の(a)は、グリコアルブミン(GA)に関して、実施例1及び2と同様に図3のフローチャートに従ってステップワイズ重回帰分析を行って決定した回帰係数を表形式で示した図である。
図15の(b)は、上記と同様に、GAの実測値と、図15の(a)の回帰係数を用いて計算した予測値とをプロットしたグラフである。縦軸が予測値であり、横軸が実測値である。予測値は、回帰係数の計算に使用した500件の検体と異なる50件の検体についての計算値である。予測値と実測値との相関係数は0.96であった。図15の(a)に示された変数名のうち、寄与の大きいものは、正の回帰係数中では、P28、P128及びP347、負の回帰係数中では、P27、P31、P150及びP346である。即ち、次数0の定数に加えて、これらの変数名に対応する吸光度を説明変数として使用すれば、精度良く検査値を推定することができる。
ALB(アルブミン)に関して、正規化後の波形データにコンボリューション演算を実行し、得られた波形データを使用して予測式を求めた結果を図16に示す。ALBは泳動波形の左寄り(P149付近)に見える一番大きな波形であり、波形の曲線下面積で簡単に求めることが可能であるが、本発明の推定方法を用いる場合には、σ=7.8のガウス分布曲線を乗じた波形を用いることによって、より正確な推定が可能になる。ガウス分布曲線によるコンボリューション演算を行うことによって、明瞭な分画を示す蛋白では、特定の位置の高さが純粋な蛋白量を示すため、選択された変数名を少なくすることが可能となり精度が向上する。図16の(b)は、上記と同様に、ALBの実測値と、図16の(a)の回帰係数を用いて計算した予測値とをプロットしたグラフである。縦軸が予測値であり、横軸が実測値である。予測値と実測値との相関係数は0.99であった。従って、図16の(a)の回帰係数を用いる予測式は、非常に精度が高いことが分かる。
糖尿病の診断の有無を学習データとして、多重ロジスティック回帰分析により推定パラメータを求め、実際の診断能力を検証した。即ち、正規化された易動度に対応する吸光度を説明変数とし、目的変数を疾患の有無(疾患と診断された人に対しては“1”、疾患で無いと診断された人に対しては“0”)として、多重ロジスティック回帰分析を行いて予測パラメータを求め、そのパラメータを元に、疾患の診断を行った。
具体的には、次の式を用いた。
疾患群(糖尿病)に属する確率=1/(1+e−x
X=b0+b1×M1+b2×M2+・・・+bn×Mn
ここで、b0,b1,・・・,bnは回帰係数であり、M1,・・・,Mnは、変数名P001,・・・,Pnで示された易動度に対応する吸光度である。
結果を図17に示す。図17の(a)は、上記と同様に求められた回帰係数を示す。図17の(b)は、図17の(a)の回帰係数から計算された予測結果を示す。図17の(b)の上側のヒストグラムは、糖尿病である患者の分布を表し、下側のヒストグラムは、糖尿病でない患者の分布を表す。糖尿病の患者群の予測結果は、感度(糖尿病であることを正しく診断できた割合)が94%、特異度(糖尿病でないことを正しく診断できた割合)が85.4%と高性能な検査となった。この結果は、一般的に利用されているHbA1cやGAの単一検査による評価結果よりも優れている。
正規化された泳動波形データを説明変数とする最尤推定法により得られた回帰式を用いることによって、従来の蛋白分画検査では予測することができなかった検査値を精度よく計算することができる。

Claims (13)

  1. 記録部と処理部とを備え、
    易動度および該易動度に対応する吸光度をペアデータとし、複数の前記ペアデータで構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、前記記録部に記録され、
    前記予測式が、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの、易動度に対応する吸光度を説明変数とし、前記所定物質の量又は疾患の有無を目的変数として、最尤推定法によって、予め決定された回帰式であり、
    前記処理部が、
    前記記録部に記録された前記泳動波形データを読み出し、該泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成し、
    前記記録部に記録された前記予測式を読み出し、該予測式の説明変数である易動度に対応する吸光度に、前記記録部に記録された前記泳動波形データから生成された前記修正波形データの吸光度を代入して前記予測式の値を計算し、該計算値を前記所定物質の量又は疾患の有無の予測値とし、
    前記面積補正が、前記正規化された泳動波形データの面積、前記検体の総蛋白値を用いて、泳動波形データの吸光度を修正する処理である検査値予測装置。
  2. 前記所定物質が、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセライド、AFP、CEA、ALB、C4、トランスフェリン、CRP、IgA、IgG、IgM、TP、CHE、GLB、ZTT、血清Ca、尿中Na、RBC、HT、HB、血沈、蓄尿糖、蓄尿蛋白、1.5−AG、抗GADAb、糖日内変動、糖負荷検査の血糖(各時間値)、糖負荷検査のインスリン(各時間値)、乳酸、ピルビンサン、シアルサン、ヒアルロンサン、E−CHO、NEFA、H−CHO、TIBC、血清銅、亜鉛、ビタミンB1、RBP、LCAT、リゾチ−ム、CKMB(MB%、MM%)、LH、FSH、プロラクチン、ACTH、T3、T4、CPR、インスリン、BNP−FEI、FIB、ルプスアンチコアグラント、ASK、CH50、C3、LE、サイロイド、コウ−TG、コウ−TPO、ハプトグロン、SAA、IAP、B2−MIC、NSE、HGF、P−3−P、コラーゲン7S、CA19−9R、CA72−4、BCA225、STN、プロGRP、TPA、ELASTA、SPAN1、ICTP、PSA、ICG、尿中ALB、尿中NAG、および鼻汁好酸球からなる群の中から選択される1つの物質である請求項1に記載の検査値予測装置。
  3. 前記予測式の決定に使用される前記修正波形データが、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化されて生成された波形データに、ガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって得られる波形データであり、
    前記処理部が、前記記録部に記録された前記泳動波形データを正規化した後、正規化された該波形データにガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって、前記予測値の計算に使用する前記修正波形データを生成する請求項1に記載の検査値予測装置。
  4. 前記所定物質がCEAであり、
    前記予測式の決定に目的変数として使用される前記所定物質の量が、CEAの測定値の対数値である請求項1に記載の検査値予測装置。
  5. 前記記録部に、正規化に使用する第1パラメータおよび第2パラメータがさらに記録され、
    前記処理部が、前記第1パラメータを傾きとし、前記第2パラメータを切片とする一次関数を用いて前記泳動波形データを正規化し、
    前記第1および第2パラメータが、
    泳動波形データを複数の参照波形データの各々に変換する複数のワーピング関数、および各ワーピング関数に対応するDTW距離が求められ、
    複数の前記DTW距離のうちの最小のDTW距離に対応する前記ワーピング関数を近似する直線の傾きおよび切片であり、
    前記ワーピング関数を近似する前記直線の傾きが、
    前記ワーピング関数の任意の屈曲点間の傾きを計算し、
    複数の前記屈曲点間の傾きを大きさの順に並べた場合に両端の所定領域に含まれる傾きを除外して、前記屈曲点間の傾きから求められる請求項1に記載の検査値予測装置。
  6. 前記修正波形データが、アルブミンのピーク位置が149番目、マーカのピーク位置が396番目となるように生成された場合、
    ヘモグロビンA1cの予測式が、前記説明変数として、少なくとも28番目、130番目、138番目、148番目、258番目、261番目、302番目、329番目及び419番目の易動度に対応する吸光度を含む、
    HDLコレステロールの予測式が、前記説明変数として、少なくとも189番目の易動度に対応する吸光度を含む、又は、
    グリコアルブミンの予測式が、前記説明変数として、少なくとも27番目、28番目、31番目、128番目、150番目、P346番目及び347番目の易動度に対応する吸光度を含む請求項1に記載の検査値予測装置。
  7. 記録部と処理部とを備えたコンピュータを用いて検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無を予測する方法であって、
    易動度および該易動度に対応する吸光度をペアデータとし、複数の前記ペアデータで構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、前記記録部に記録され、
    前記予測式が、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの、易動度に対応する吸光度を説明変数とし、前記所定物質の量又は疾患の有無を目的変数として、最尤推定法によって、予め決定された回帰式であり、
    前記処理部が、前記記録部に記録された前記泳動波形データを読み出し、該泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成する第1ステップと、
    前記処理部が、前記記録部に記録された前記予測式を読み出し、該予測式の説明変数である易動度に対応する吸光度に、前記記録部に記録された前記泳動波形データから生成された前記修正波形データの吸光度を代入して前記予測式の値を計算し、該計算値を前記所定物質の量又は疾患の有無の予測値とする第2ステップとを含み、
    前記面積補正が、前記正規化された泳動波形データの面積、前記検体の総蛋白値を用いて、泳動波形データの吸光度を修正する処理である検査値予測方法。
  8. 前記所定物質が、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセライド、AFP、CEA、ALB、C4、トランスフェリン、CRP、IgA、IgG、IgM、TP、CHE、GLB、ZTT、血清Ca、尿中Na、RBC、HT、HB、血沈、蓄尿糖、蓄尿蛋白、1.5−AG、抗GADAb、糖日内変動、糖負荷検査の血糖(各時間値)、糖負荷検査のインスリン(各時間値)、乳酸、ピルビンサン、シアルサン、ヒアルロンサン、E−CHO、NEFA、H−CHO、TIBC、血清銅、亜鉛、ビタミンB1、RBP、LCAT、リゾチ−ム、CKMB(MB%、MM%)、LH、FSH、プロラクチン、ACTH、T3、T4、CPR、インスリン、BNP−FEI、FIB、ルプスアンチコアグラント、ASK、CH50、C3、LE、サイロイド、コウ−TG、コウ−TPO、ハプトグロン、SAA、IAP、B2−MIC、NSE、HGF、P−3−P、コラーゲン7S、CA19−9R、CA72−4、BCA225、STN、プロGRP、TPA、ELASTA、SPAN1、ICTP、PSA、ICG、尿中ALB、尿中NAG、および鼻汁好酸球からなる群の中から選択される1つの物質である請求項7に記載の検査値予測方法。
  9. 前記予測式の決定に使用される前記修正波形データが、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化されて生成された波形データに、ガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって得られる波形データであり、
    前記第2ステップにおいて、前記処理部が、前記記録部に記録された前記泳動波形データを正規化した後、正規化された該波形データにガウス分布を用いてコンボリューション演算を行なって、前記予測値の計算に使用する前記修正波形データを生成する請求項7に記載の検査値予測方法。
  10. 前記所定物質がCEAであり、
    前記予測式の決定に目的変数として使用される前記所定物質の量が、CEAの測定値の対数値である請求項7に記載の検査値予測方法。
  11. 前記記録部に、正規化に使用する第1パラメータおよび第2パラメータがさらに記録され、
    前記第1ステップにおいて、前記処理部が、前記第1パラメータを傾きとし、前記第2パラメータを切片とする一次関数を用いて前記泳動波形データを正規化し、
    前記第1および第2パラメータが、
    泳動波形データを複数の参照波形データの各々に変換する複数のワーピング関数、および各ワーピング関数に対応するDTW距離が求められ、
    複数の前記DTW距離のうちの最小のDTW距離に対応する前記ワーピング関数を近似する直線の傾きおよび切片であり、
    前記ワーピング関数を近似する前記直線の傾きが、
    前記ワーピング関数の任意の屈曲点間の傾きを計算し、
    複数の前記屈曲点間の傾きを大きさの順に並べた場合に両端の所定領域に含まれる傾きを除外して、前記屈曲点間の傾きから求められる請求項7に記載の検査値予測方法。
  12. 前記修正波形データが、アルブミンのピーク位置が149番目、マーカのピーク位置が396番目となるように生成された場合、
    ヘモグロビンA1cの予測式が、前記説明変数として、少なくとも28番目、130番目、138番目、148番目、258番目、261番目、302番目、329番目及び419番目の易動度に対応する吸光度を含む、
    HDLコレステロールの予測式が、前記説明変数として、少なくとも189番目の易動度に対応する吸光度を含む、又は、
    グリコアルブミンの予測式が、前記説明変数として、少なくとも27番目、28番目、31番目、128番目、150番目、P346番目及び347番目の易動度に対応する吸光度を含む請求項7に記載の検査値予測方法。
  13. 記録部と処理部とを備えたコンピュータに検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無を予測させるプログラムであって、
    易動度および該易動度に対応する吸光度をペアデータとし、複数の前記ペアデータで構成される泳動波形データと、検体中の所定物質の量又は検体が採取された生体における疾患の有無の予測式とが、前記記録部に記録され、
    前記予測式が、複数の検体に関する前記泳動波形データが正規化および面積補正されて生成された修正波形データの、易動度に対応する吸光度を説明変数とし、前記所定物質の量又は疾患の有無を目的変数として、最尤推定法によって、予め決定された回帰式であり、
    前記処理部に、前記記録部に記録された前記泳動波形データを読み出し、該泳動波形データを正規化および面積補正して修正波形データを生成させる第1の機能と、
    前記処理部に、前記記録部に記録された前記予測式を読み出し、該予測式の説明変数である易動度に、前記記録部に記録された前記泳動波形データから生成された前記修正波形データの吸光度を代入して前記予測式の値を計算させ、該計算値を前記所定物質の量の予測値とさせる第2機能とを実現させ、
    前記面積補正が、前記正規化された泳動波形データの面積、前記検体の総蛋白値を用いて、泳動波形データの吸光度を修正する処理である検査値予測プログラム。
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