JPWO2008108071A1 - 画像処理装置および方法、画像処理プログラムおよび画像処理プロセッサ - Google Patents

画像処理装置および方法、画像処理プログラムおよび画像処理プロセッサ Download PDF

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Abstract

照明条件の異なる複数の画像が入力された場合でも、位置誤差が少ない対応点や動きベクトルを生成する。画像処理装置(100、120)は、複数の画像にわたる対応点を複数組算出して出力する初期対応点算出部(113)と、光学拘束式と幾何拘束式を用いて、複数組の初期対応点の中から誤差の小さい複数組の初期対応点で構成される基準対応点を選択するとともに、その基準対応点に対応する新たな対応点である着目対応点を算出し、基準対応点と着目対応点を対応点として出力する対応点再算出部(104)を備えている。

Description

本発明は、複数の画像間の対応点を算出する画像処理技術に関し、特に複数の画像間で被写体と光源の相対的な位置が異なる場合にも、位置誤差の小さい対応点の算出が可能な画像処理技術に関する。
従来から、複数画像間の対応点や動画像の動きベクトルを算出する技術の研究開発が広く行われてきている。この技術は、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラにおける画像の手ぶれ補正などの画質改善処理や、動画像の符号化処理、自動車の安全運転支援システムやロボットのための形状認識処理などに共通して利用される基礎技術である。
ここで言う「複数画像」とは、視点位置が異なる複数のカメラによって撮影された多視点画像と、一つのカメラによって一定の時間間隔(たとえば1/30秒)で連続して撮影された複数枚の画像からなる動画像の両者を含んでいる。なお、多視点画像の対応点を計算する技術と、動画像の動きベクトルを計算する技術とは共通する部分が多いため、本願明細書においては両者を区別しない。
複数の画像間の対応点や動きベクトルを算出する技術のうちで代表的なものが、たとえば特許文献1、非特許文献1および2に記載されている。具体的には、画像間の矩形領域の輝度差や相関値を評価値としてこの値が最良となる位置を求めるブロックマッチング法、画像の輝度の空間的勾配と画像間の輝度差を用いて変位量を求める勾配法、フーリエ変換を用いて位相相関関数のピーク値から変位量を求める位相相関法である。ただし、これらの従来の技術には、複数の画像間において、照明条件が異なる場合(光源と被写体とカメラの相対的な位置が異なる場合や光源の強度が異なる場合など)に、算出される対応点の位置誤差が大きくなるという課題が知られている。
一方、たとえば特許文献2および3には、照明条件が異なる画像間の対応点の位置誤差を低減する技術が開示されている。
特許文献2に記載された技術は、入力画像の特定の輝度範囲の画素を抽出することによって画像中の鏡面反射領域の影響を低減し、それにより、位置誤差の少ない動きベクトルを算出する。この技術によれば、鏡面反射領域の動きベクトルの誤差を小さくすることは期待できる。しかし、非鏡面反射領域の動きベクトルの誤差を低減することはできない。
一方、特許文献3に記載された技術は、輝度の空間勾配やその変化が大きいエッジやコーナーなどの領域に着目し、この領域の動きベクトルを算出している。この技術によれば、輝度勾配が大きいエッジ領域の動きベクトルの位置誤差を小さくすることが可能である。
特許第2676978号明細書 特開2000−36051号公報 特開平7−66989号公報 Bruce D. Lucas and Takeo Kanade. "An Iterative Image Registration Technique with an Application to Stereo Vision.", International Joint Conference on Artificial Intelligence, pages 674-679, 1981. Carlo Tomasi and Takeo Kanade. "Detection and Tracking of Point Features.", Carnegie Mellon University Technical Report CMU-CS-91-132, April 1991.
しかしながら、特許文献3に記載された技術のような、エッジ領域の動きベクトルを算出する方法は、非エッジ領域の動きベクトルの位置誤差を低減するものではない。したがって、例えば被写体が立体的な形状であり、被写体の動きによるエッジ領域と非エッジ領域の動きベクトルが異なる場合には、非エッジ領域の動きベクトルの位置誤差が大きくなるという課題があった。
本発明の目的は、照明条件の異なる複数の画像が入力された場合でも、位置誤差が少ない対応点や動きベクトルを生成することである。
本発明による画像処理装置は、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出する初期対応点算出部と、前記n組の初期対応点から、s組(s:4以上n以下の整数)の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を選択して、M組(M:2以上の整数)の基準対応点の候補を生成する基準候補生成部と、前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出する係数算出部と、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成する新規候補生成部と、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価し、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力する第1選択部と、前記第1選択部の評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択し、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力する第2選択部とを備えている。
前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点の前記N枚の画像の輝度値からなるN×s輝度行列の独立性を評価し、評価結果に基づいて、前記M組の基準対応点の各候補を選択してもよい。
前記基準候補生成部は、前記N×s輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比を評価値として、より大きい評価値が得られたN×s輝度行列に対応するs個の初期対応点の集合から順に基準対応点の候補として選択してもよい。
前記基準候補生成部は、前記N×s輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比があらかじめ定められたしきい値より小さい場合において、前記N×s輝度行列に対応するs組の初期対応点の集合を、基準対応点の候補から除外してもよい。
前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点について、各画像上の点近傍の輝度値の空間勾配の大きさを評価し、より大きい空間勾配が得られたs組の初期対応点の集合から優先的に基準対応点の候補として選択してもよい。
前記N枚の画像は色画像であり、前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点について、各画像上の点近傍の各色画像間の相関を評価し、より低い相関が得られたs組の初期対応点の集合から優先的に基準対応点の候補として選択してもよい。
前記係数算出部は、各画像上の各点の点間距離および各画像における被写体の倍率の一方に応じてカットオフ周波数が定められる空間方向の低域通過フィルタを前記画像データに対して適用し、得られた輝度値を前記各画像上の互いに対応付けられた点の輝度値として使用してもよい。
前記係数算出部は、前記各基準対応点の候補の各画像上点の輝度値として、当該点の近傍に位置する少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出してもよい。
前記係数算出部は、当該点の周囲に近接し、かつ、当該点の輝度値との差が所定範囲内の少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出してもよい。
前記係数算出部は、当該点の輝度値と、当該点の周囲の近接点の輝度値との差が所定範囲よりも大きくなったとき、当該点の近傍に位置する少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出してもよい。
前記画像処理装置は、N枚の画像のうちの少なくとも1枚の画像を所定の拡大率で拡大し、拡大後の画像の画素値として、前記N枚の画像のうちの少なくともk枚(k:3以上N以下の整数)の画像の各画素値を前記所定の拡大率に応じてマッピングした複数の座標変換画像の組を生成する座標変換部と、前記複数の座標変換画像のうちのk枚の座標変換画像を選択して、前記k枚の座標変換画像間で互いに対応する各座標変換画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である変換係数を算出し、前記N枚の座標変換画像を変換係数によって線形結合することによって合成画像を生成する画像生成部とをさらに備えていてもよい。
前記画像生成部は、変換前の各画像に含まれる被写体の面積と、前記座標変換画像に含まれる被写体の面積とに応じて決定される被写体面積の比の大きさに応じて、前記k枚の座標変換画像を選択してもよい。
本発明による画像処理方法は、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、前記n組の初期対応点から、s組(s:4以上n以下の整数)の初期対応点を選択するステップと、s組の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップとを包含する。
本発明による記録媒体には、コンピュータプログラムが記録されている。前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、前記N枚の画像にわたるs組(s:4以上、n以下の整数)の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップとを実行させる。
本発明によるプロセッサは、コンピュータプログラムを実行することが可能である。前記プロセッサは、画像処理プログラムを実行することにより、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、前記N枚の画像にわたるs組の初期対応点の集合を1組とする基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組について、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップとを実行する。
本発明による画像処理装置は、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出する初期対応点算出部と、前記n組の初期対応点から、幾何拘束式と光学拘束式を満たすs組の(s:4以上n以下の整数)初期対応点を選択して基準対応点として出力するとともに、前記基準対応点に基づく幾何拘束式と光学拘束式を満たす着目対応点を算出して出力する対応点再算出部とを備えている。
本発明によれば、被写体と光源の相対位置変化に依存する輝度の変化の拘束式である光学拘束式と、被写体とカメラの相対位置変化に依存する対応点の位置の拘束式である幾何拘束式とを同時に満たす点を、複数画像にわたって対応付けられた対応点として特定する。これにより、複数の画像間で被写体と光源の相対的な位置が異なる場合であっても、位置誤差が低減された対応点を算出することができる。また、動画像を高解像度化する処理に適用することにより、動きベクトルの位置誤差が低減された画質(解像度)の高い映像データを得ることができる。
実施形態1による画像処理装置100の機能ブロックの構成を示す図である。 (a)は画像処理装置100が用いられる画像の撮影環境を示す図であり、(b)は撮影された画像の例を示す図である。 カメラ101で撮影され、画像記憶部102に記憶された動画像の一連の画像の例を示す図である。 基準対応点候補の例を示す図である。 (a)〜(d)は、各画像における着目対応点候補の例を示す図である。 画像処理装置100の動作の手順を示すフローチャートである。 実施形態2による画像処理装置120の機能ブロックの構成を示す図である。 実施形態2における複数枚の入力画像の例を示す図である。 図8(c)の1つの入力画像I3(k=3)と構図が同じである複数の座標変換画像I3,jの例である。 実施形態2による画像処理装置120が生成した合成画像の例を示す図である。 (a)は図10(c)の合成画像の拡大図であり、(b)は図8(c)の入力画像の拡大図である。 (a)は、従来の技術による対応点算出手法で得られた対応点と、本発明による対応点算出手法で得られた対応点との比較例を示す図であり、(b)は位置誤差の多い対応点から生成した合成画像の例を示す図であり、(c)は位置誤差の少ない対応点から生成した合成画像の例を示す図である。 コンピュータによって構成された画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
符号の説明
100、120 画像処理装置
101 カメラ
102 画像記憶部
113 初期対応点算出部
103 基準候補生成部
104 対応点再算出部
105 光学係数算出部
106 新規候補生成部
107 新規候補選択部
108 基準候補選択部
109 出力部
110 画像合成部
111 座標変換部
112 画像生成部
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による画像処理装置の実施形態を説明する。
本願明細書においては、実空間中に存在する被写体を撮影して得られた1枚または複数枚の画像に関連して「対応点」という用語を定義する。
「対応点」(a corresponding point)とは、実空間中の任意の1個の点に対応する1画像上の点を意味する。
「複数画像(N枚)にわたる対応点」(corresponding points across N number of images)とは、実空間中の任意の1個の点に対応する複数画像(N枚)の各々に定義される1組の対応点を意味する。これは、実空間中の同一の点に対応して各画像上に定められる対応点の集合であり、具体的には各画像上の対応点の画像座標値を複数画像(N枚)分まとめた1組の画像座標値として表現される。複数画像にわたる対応点は、特定の1画像上の1点に対する他の画像上の1点として限定して定められるものではないことに留意されたい。
「複数画像(N枚)にわたる複数組(n組)の対応点」とは、実空間中のn個の点の各々に定義される、複数画像(N枚)にわたる対応点の集合を意味する。これは、「複数画像(N枚)にわたる対応点」を、異なるn組分集めたものである。このとき、各画像上には異なる組に属する対応点がn個存在することになる。
本願明細書では、「初期対応点」、「基準対応点」等、種々の「対応点」が規定されているが、どの種類の対応点についても上述と同様の定義が適用される。
(実施形態1)
図1は、本実施形態による画像処理装置100の機能ブロックの構成を示す。画像処理装置100は、カメラ101と、画像記憶部102と、初期対応点算出部112と、対応点再算出部104と、出力部109とを有している。
カメラ101は、被写体を撮影して画像データを出力する。カメラ101は、動画および静止画のいずれの画像データを出力することもできる。動画データの場合には、所定の周波数(たとえば30Hz)で切り替えられる複数枚の画像で構成される画像データが出力される。静止画データの場合には、1枚の画像の画像データが出力される。
画像記憶部102は、カメラ101で撮影された画像データを記憶する記録媒体であり、たとえばフレームメモリやハードディスクドライブである。画像記憶部102に記録された画像データは、後述の初期対応点算出部113および対応点再算出部104に入力される。
初期対応点算出部113は、画像記憶部102に記憶された画像データを受け取り、その画像データに基づいて複数画像にわたる対応点(この対応点を以下「初期対応点」という)を複数組生成する。
対応点再算出部104は、初期対応点算出部113で生成された複数組の初期対応点と画像データとを受け取って、全ての初期対応点の組を全体集合としたときの部分集合を複数抽出する。後述の処理によって、各部分集合を構成する初期対応点の組から「基準対応点の組」が決定される。そのため、各部分集合を構成する初期対応点の組を、以下「基準対応点候補」と呼ぶ。対応点再算出部104は、複数の基準対応点候補の中から最良の基準対応点の組を選択する。また、選択した最良の基準対応点の組とともに、その基準対応点に対応して新たに求めた対応点(「着目対応点」とも言う)の組を出力する。
対応点再算出部104は、基準候補生成部103と、光学係数算出部105と、新規候補生成部106と、新規候補選択部107と、基準候補選択部108とを有している。
基準候補生成部103は、初期対応点算出部113で生成された、複数画像にわたる複数組の初期対応点を受け取り、全ての初期対応点の組のうちから一部の初期対応点の部分集合を選択し、これを1組とした基準対応点の候補を複数組生成する。
光学係数算出部105は、画像データと複数組の基準対応点候補とを受け取り、複数組の基準対応点の候補の各組について、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすようにその光学拘束式の係数である光学係数を算出する。
新規候補生成部106は、複数の基準対応点候補を受け取り、各基準対応点候補に応じた幾何拘束式を満たす複数の対応点を新たに算出して着目対応点候補として出力する。
新規候補選択部107は、画像データ、各基準対応点候補に応じた光学係数と着目対応点候補とを受け取って、着目対応点候補から光学拘束式を満たす程度を評価し、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して各基準対応点候補に応じた着目対応点として出力する。
基準候補選択部108は、複数の基準対応点候補と基準対応点候補に対応する着目対応点を受け取り、新規候補選択部107の評価結果に基づいて当初作成した複数の基準対応点候補を評価し、評価結果に基づいて複数の基準対応点候補から1組の基準対応点の候補を選択する。そして、選択した基準対応点および選択した基準対応点に対応する着目対応点を、画像データの複数画像にわたる対応点として出力する。
出力部109は、画像記憶部102に記憶された複数の画像と、対応点再算出部104によって算出された対応点とを組にして出力する。
本実施形態においては、画像処理装置100は、複数の画像の対応点を算出するための初期対応点算出部113および対応点再算出部104を備えるだけでなく、画像を撮影して記録するカメラ101、画像記憶部102、および、撮影された画像と対応点の組を出力する出力部109をも備えている。これにより、画像処理装置100は、カメラで撮影した画像の対応点を算出して出力することが可能になる。
発明の理解を容易にするため、まず具体例に沿って画像処理装置100の動作の概要を説明する。その後、画像処理装置100の動作原理および詳細な動作を説明する。
(画像処理装置100の動作の概要の説明)
図2(a)は、画像処理装置100が用いられる画像の撮影環境を示し、図2(b)は、撮影された画像の例を示す。図2(a)に示されるように、本実施形態においては、カメラ、被写体(彫像)、光源の位置は、それぞれ画像処理装置100の動作とは無関係に任意に変化するとしている。図2(a)の環境で撮影された一連の複数(N枚)の画像を、入力画像として扱う。図2中の3次元座標系(X,Y,Z)は、被写体に固定された座標系であるとする。
いま、たとえば図4に示されるような、同じ被写体を撮影した4枚の画像(N=4)が得られたとする。被写体上に8個の点(n=8)を仮定すると、それら8点の各々に対応する、被写体上の同じ位置を表す点を各画像上に設定することができる(たとえば図4の「○」と「×」)。これらの点の各々が対応点であり、被写体上の同じ位置を表す点の組が、複数画像にわたって存在する対応点である。さらに、複数画像にわたって存在する8組の対応点から、座標位置が正確に求められた4組を選択できたと仮定すると、これら4組(s=4)をまとめて、1組の基準対応点と呼ぶ(たとえば図4の「○」)。
同一被写体上の任意の1点の4枚の画像にわたる対応点の座標値(位置ベクトル)は、同じ4枚の画像にわたる4個の基準対応点の座標値(位置ベクトル)の線形結合によって記述される。そのとき成立する式を、幾何拘束式という。各基準対応点の座標値に乗じられる係数は、本願明細書では“A”によって表される。
また、新たな画像(たとえば5枚目の画像)が得られた場合には、その画像上にも被写体上の8個の各々に対応する点(対応点)を設定することができる。そのような、新たな画像上の対応点の座標(位置ベクトル)は、直前4枚の画像にわたる各対応点の座標値(位置ベクトル)の線形結合によって記述される。そのとき成立する式もまた、幾何拘束式という。各対応点の座標値に乗じられる係数は、本願明細書では“B”によって表される。この幾何拘束式の係数“B“は、直前4枚の画像にわたる4つの基準対応点に対応する新たな画像上の点の座標から求めることができる。
ある画像上の任意の点の画素値(たとえば輝度値)は、その点の他の3枚の画像上の対応点の画素値の線形結合によって記述できる。そのとき成立する式は、光学拘束式という。各対応点の画素値に乗じられる係数は、本願明細書では“C”によって表される。
4個の基準対応点が与えられると、与えられた基準対応点に基づいて、光学拘束式の係数が得られる。
4個の基準対応点が与えられ、4枚の画像にわたる基準対応点以外の新たな対応点(着目対応点)の組を求めようとするとき、それらの新たな対応点の組は、幾何拘束式および上述の係数が適用された光学拘束式をそれぞれ満たす必要がある。
後に詳細に説明するように、最初の画像上に設定された点(着目点)に対して第2の画像上の対応点と考えられる候補が与えられると、幾何拘束式の係数Aが算出され、また第3および第4の画像上の対応点の座標も算出される。第2の画像上の対応点が正しく与えられていた場合には、求められた新たな対応点の組は、光学拘束式を満たすはずである。
そこで、本実施形態においては、第2の画像上の対応点の与え方を所定範囲内で変化させることによって、次々に第3および第4の画像上の対応点候補を求める。そして、第1〜第3の画像上の対応点候補の画素値を光学拘束式に代入して得られた値が、第4の画像上の対応点候補の画素値と一致した場合には、正しく対応点が求められていたとする。一致しない場合には、誤差が最も小さい対応点候補を正しい対応点として出力する。
上述の処理によれば、基準対応点から光学係数を算出するとともに、与えられた着目点の対応点の候補を幾何拘束式から算出し、光学拘束式で評価する。得られた対応点は、必ず幾何拘束式を満たし、かつ同時に光学拘束式を最もよく満たしている。よって、複数の画像間で被写体と光源の相対的な位置が異なる場合であっても、位置誤差が低減された対応点を算出することができる。
なお、上述の説明では、4枚の画像にわたって規定された各基準対応点の組は、それぞれが正確に対応点として特定されていることを前提とした。しかし、画像データが初めて与えられた場合等においては、基準対応点が正しく与えられない可能性がある。そこで、本実施形態においては8組(n=8)の対応点から4組(s=4)を選択して得られる基準対応点についても複数の候補を設定する。そして、基準対応点の各候補に対して上述の処理を実行し、誤差が少ない基準対応点の候補を正しい基準対応点として特定する。これにより、各画像上において、基準対応点とともに、基準対応点以外の新たな対応点(着目対応点)をより正確に求めることが可能になる。
(画像処理装置100の動作原理の説明)
次に、図2を参照しながら、本実施形態による画像処理装置100が利用する3つの動作原理を詳細に説明する。具体的には、複数画像にわたる複数の対応点が全て正しく与えられた場合に、対応点の座標値が満たすべき2つの幾何拘束式と、対応点の輝度値が満たすべき光学拘束式である。拘束式を導くに当たっては、(1)撮影対象の被写体が剛体であり、(2)光が平行に被写体に入射し、(3)被写体表面において光が完全拡散反射され、(4)アフィンカメラで被写体を撮影する、という前提条件を設定した。なお、実際には複数の物体であっても、相対位置が普遍の複数の物体は、同一の剛体、すなわち、同一の被写体とみなすことができる。
はじめに、複数の画像上の対応点の拘束式である幾何拘束式を説明する。剛体である同一被写体上のn個の点Piの3次元座標値を(Xi,Yi,Zi),(i=1..n)とし、これをアフィン投影カメラで観察して得たN枚の画像上の点をpi,j,(i=1..n,j=1..N)、点pi,jの画像座標値を(xi,j,yi,j),(i=1..n,j=1..N)とすると、2×4の行列を用いた(数1)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
(数1)において、係数aj,bjは、被写体座標系におけるカメラの位置(向きも含む)と、アフィンカメラによる投影とを積算した係数を意味する。
本実施形態では、カメラ101は、(数1)で示したアフィンカメラのモデルで近似的に表現できるものとする。なお、(数1)のアフィンカメラのモデルよりも、透視投影のモデルの方が一般的なカメラのより良い近似モデルとなる場合が多い。しかし、相対的に、カメラの焦点距離が長い、被写体の奥行き方向の厚みが小さい、被写体の動きが少ない等の場合においては、アフィンカメラの近似精度は良くなる。
同一被写体の上のn個の点を、カメラ位置を変えながらN枚の画像を撮影した場合の、画像上の点の座標値は(数2)のようになる。
Figure 2008108071
ここで右辺の左側のアフィン投影行列aj,bjは独立であり、かつ、右辺右側の対応点の3次元座標値Piは独立であると仮定する。このとき、右辺は各々4次の空間を張ることから、左辺の行列もたかだかランク4であり、次の関係式が成り立つ。
対応点pi,jのうち、N枚の画像(Nは4以上の整数)における任意の4組(s=4)の対応点pi,j(i=1..4,j=1..N)が既知であるとする。このときN枚の画像(j=1..N)におけるその他の対応点pi',j'(i’=5..n)は(数3)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
また、5枚目以降(j’=5..N)の画像上のn個の対応点の座標値は、1〜4枚目の画像のn組の対応点の座標値を用いて(数4)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
上述の複数の対応点の座標値の間に成り立つ2つの式を、幾何拘束式と呼ぶ。これらの関係式は、A. Shashua, "Trilinear Tensor: The Fundamental Construct of Multiple-view Geometry and its Applications", APAC 1997などに開示されているため、本明細書においてはこれらの文献を援用し、詳細な説明は省略する。
次に、複数の対応点の輝度値の間に成り立つ光学拘束式を説明する。光学拘束式は、被写体は完全拡散反射物体であり、かつ、照明は並行光源である場合に、被写体と照明の相対位置が異なる複数の画像の輝度値の間に成り立つ拘束式である。
ここでは画像はグレースケール(モノクロ)画像であるものとし、N枚の画像Ij,(j=1..N)において、対応点pi,jの画素における輝度値を、Ij(pi,j)とする。このとき、4枚目以降の画像上の対応点の輝度値Ij'(pi,j'),(j’=4..N)は、1〜3枚目の画像の対応点の輝度値Ij(pi,j),(j=1..3)を用いて(数5)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
光学拘束式の詳細については、A.Shashua、"Geometry and Photometry in 3D Visual Recognition", Ph.D thesis, pages 79-91, Dept. Brain and Cognitive Science, MIT (1992).などに開示されているため、本明細書においてはこれらの文献を援用し、詳細な説明は省略する。
(画像処理装置100の詳細な動作の説明)
次に、上述した動作原理を用いた画像処理装置100の詳細な動作を説明する。
本実施形態においては、ユーザーがカメラ101を操作し、図2(a)の撮影環境において一連の動画像を撮影するとする。画像処理装置100は、撮影された動画像のデータを画像記憶部102に一時的に記憶し、そのデータに対して対応点を算出し、画像処理を行う。
カメラ101は、ユーザーの操作によって図2の撮影環境において動画像を撮影し、画像データを画像記憶部102に送る。画像記憶部102はその画像データを記憶する。図3は、カメラ101で撮影され、画像記憶部102に記憶された動画像の一連の画像の例を示す。上段左、上段右、中段左、中段右、下段の順に、カメラと被写体が照明に対して少しずつ動く撮影状況で撮影されている。
画像処理装置100は、たとえば図3に示すような画像記憶部102に記憶された4枚目以上の画像データを利用して、画像間の対応点を算出して出力する。複数の画像には共通して1つの被写体が写っており、その被写体は剛体であるとする。
初期対応点算出部113は、図3に示す画像データを受け取って、連続した4枚(N=4)の画像ごとに、4枚の画像にわたる対応点である初期対応点を予め定められた数(n組)算出する。
本実施形態においては、複数画像にわたる初期対応点を算出する方法として小矩形領域間の正規化相互相関を評価値として、相関が最も高くなる位置を算出するブロックマッチング法を用いるものとする。正規化相互相関を用いたブロックマッチング法による対応点探索手法は、例えば、「デジタル画像処理/奥富正敏編、202−204ページ、財団法人画像情報教育振興協会発行」などに開示されているとおり周知であるため、詳細な説明は省略する。
なお、初期対応点算出部113において、従来の対応点算出方法により算出した初期対応点は、上記課題欄で説明したとおり特に複数の画像間で照明条件が変動する場合に対応点の位置誤差が大きくなるという問題を有している。したがって、初期対応点算出部113で生成されるn組の初期対応点は、無視できない程度の大きな確率で、位置の誤差が大きい対応点の組を含むこととなる。
そこで対応点再算出部104は、初期対応点算出部113で生成された、位置誤差の大きな対応点の組を含むn組の初期対応点から、最も位置誤差の小さい4組(s=4)の初期対応点で構成される基準対応点を選択し、選択した基準対応点をもとに新たに生成した着目対応点とともに、新たな対応点として出力する。
以下、対応点再算出部104の動作についてさらに詳しく説明する。
基準候補生成部103は、初期対応点算出部113で算出された4枚の画像にわたる初期対応点をn組受け取って、4組ずつたとえばランダムに選択し、得られた4組の初期対応点の集合を1組の基準対応点候補として生成する。そして、この基準対応点候補をM組(M:2以上の整数)生成して出力する。
図4は、基準対応点候補の例を示す。図4中の「○」印で表される4組の初期対応点の集合から構成される基準対応点候補に関してはほぼ正しく対応点が算出されているのに対して、「×」印で表される4組の初期対応点の集合から構成される基準対応点候補に関しては、一部の対応点の組(たとえば鼻の位置の対応点の組)に大きな位置誤差を含んでいる。
光学係数算出部105は、4枚の入力画像と基準候補生成部103で生成されたM組の基準対応点候補を受け取り、基準対応点候補の各組について、基準対応点候補を構成する4組の対応点における輝度値の関係式(数5)から光学係数Cj'を算出して出力する。
より具体的には、4枚の画像のうち1〜3枚目の画像をI1,I2,I3とし、4枚目の画像をIjとする。このとき各基準対応点候補を構成する4組の対応点の輝度値Ij(pi,j)は(数5)の関係式を満たすため、(数5)中の3つの係数Cj'1,Cj'2およびCj'3を算出できる。この3つの光学係数を、M組の基準対応点候補の各組ごとに算出して出力する。
新規候補生成部106は、M組の基準対応点候補を受け取って、各基準対応点候補を構成する初期対応点の組ごとに、幾何拘束式を満たす複数の対応点を算出し、これらを着目対応点候補として出力する。着目対応点候補は、基準対応点候補とは異なる対応点の組である。以下、図5を参照しながら、ある1組の基準対応点候補に対応する着目対応点候補を算出する方法について説明する。
図5(a)〜(d)は、各画像における着目対応点候補の例を示す。図5(a)〜(d)において、「○」印はM組の基準対応点候補のうちの1組を示す。たとえば、図5(a)〜(d)に示されている、被写体の像の額に位置する基準対応点候補(「○」印)は、被写体の像の額に関する対応点として、画像間で対応付けられている。以下の説明では、画像間で互いに対応付けられている基準対応点候補は、位置誤差がほとんどないと仮定して説明する。このとき新規候補生成部106は、1枚目の画像上の全ての画素に対して、各画素の画像座標値(xi,1,yi,1)を1個の着目点とした場合の、2〜4枚目の画像上の対応する点の候補の画像座標値を複数算出する。
以下、ある1個の着目点(xi,1,yi,1)に対応する2〜4枚目の画像上の対応点の候補(着目対応点候補)を算出する手順を説明する。
着目点(xi,1,yi,1)に対応する2枚目の画像での対応点候補の座標(xi,2,dx,yi,2,dy)を、点(xi,1,yi,1)を中心とした予め定められた矩形の探索範囲の幅±wsx,±wsyを用いて与える(数6)。
Figure 2008108071
1枚目の着目点(xi,1,yi,1)に対する2枚目の対応点候補(xi,2,dx,yi,2,dy)が予め与えられているとすると、3、4枚目の画像での対応点候補の座標(xi,3,dx,yi,3,dy),(xi,4,dx,yi,4,dy)は、(数3)を変形して得た関数Fを用いた式(数7)により算出することができる。
Figure 2008108071
すなわち、数7は1枚目の画像上の着目点と2枚目の画像上の対応点候補が決定されれば、3、4枚目の画像上での対応点候補が算出できることを意味している。
いま、図5(a)中の「+」印を1枚目の画像上の着目点とすると、図5(b)中での矩形の領域内の複数の点が、2枚目の画像上の対応点候補となる。3、4枚目の画像上での対応点候補の領域は、図5(c)(d)中の四辺形で囲まれた領域に存在する。
以上のようにして、1枚目のある1つの着目点(xi,1,yi,1)に対して、着目点に対する対応点の候補(xi,2,dx,yi,2,dy)、(xi,3,dx,yi,3,dy)、(xi,4,dx,yi,4,dy)を、W通り(W:(2*wsx+1)×(2*wsy+1))算出することができ、これを1組の着目対応点候補とする。
新規候補生成部106は、上述の処理を1枚目の画像のすべて画素(S画素)を着目点として繰り返し、基準対応点候補の1組について着目対応点候補を複数組(S組)生成する。
新規候補生成部106は、上述の処理をさらにM組の基準対応点候補の各組に対して行い、都合、M×S組の着目対応点候補の組を生成する。以上のようにして新規候補生成部106によって生成されたM×S×W通りの着目対応点候補は、対応する基準対応点候補に対して、いずれも幾何拘束式(数3)を満たした対応点の組となっている。
新規候補選択部107は、入力画像と、光学係数算出部105で算出された光学係数と、新規候補生成部106で生成された着目対応点候補を受け取って、光学拘束式(数5)を最も良く満たす着目対応点候補を選択して出力する。新規候補選択部107の動作の原理は以下のとおりである。
すなわち、ある1組の基準対応点候補に対応する複数組の着目対応点候補の各組において、ある1個の着目点に対応する複数通り(W通り)の対応点の候補のうちの正しく対応している対応点の候補(着目対応点)は、その1組の基準対応点候補が満たす光学拘束式(数5)を満たすはずである。
言い換えると、1組(W通り)の着目対応点候補うちの正しい着目対応点は、光学係数Cj’と、1枚目の着目点(xi,1,yi,1)とその対応点の候補(xi,2,dx,yi,2,dy)、(xi,3,dx,yi,3,dy)、(xi,4,dx,yi,4,dy)との関係を表す(数8)の誤差評価式err(xi,1,yi,1,xi,2,dx,yi,2,dy)が理想的には0となるはずである。
Figure 2008108071
そこで、新規候補選択部107は、1組(W通り)の着目対応点候補から(数8)が最小となる(xi,2,yi,2),(xi,3,yi,3),(xi,4,yi,4)を計算によって特定し、選択する(数9)。
Figure 2008108071
この着目点(xi,1,yi,1)と選択された(xi,2,yi,2),(xi,3,yi,3),(xi,4,yi,4)の組を着目対応点とする。この選択された1組の着目対応点は、ある1組の基準対応点候補に対応する1組(W通り)の着目対応点候補のうちで、同じ基準対応点候補の光学拘束式(数5)を最も良く満たす対応点を意味する。
新規候補選択部107は、上述の処理を1組の基準対応点候補に対するS組の着目対応点候補について繰り返し、1組の基準対応点候補に対してS組の着目対応点を算出する。新規候補選択部107は、さらにM組の基準対応点候補に対して同様の処理を繰り返し、基準対応点候補の各組についてそれぞれS組の着目対応点を算出する。
上述の新規候補選択部107の説明では、理解の簡単化のために、1枚目の着目点(xi,1,yi,1)を基準にした矩形の探索範囲(±wsx,±wsy)内の点が2枚目の画像上の対応点候補であるとした。
しかし、基準となる着目点を設定する画像や探索範囲を設定する画像を限定するものではなく、どのような組み合わせであっても良い。例えば、1枚目の着目点(xi,1,yi,1)を基準として、2枚目のx座標xi,2,dxと3枚目のx座標xi,3,dxとに対して、それぞれ探索範囲±wsx2,±wsx3を設定することができる。このとき、(数3)式を変形すると、2枚目のy座標、3枚目のy座標、および、4枚目のx,y座標(yi,2,dy,yi,3,dy,xi,4,dx,yi,4,dy)を算出することができる。このような着目対応点候補を用いても、同様に新規候補選択部107において光学拘束式(数5)を最も良く満たす着目対応点候補を選択することができる。
基準候補選択部108では、新規候補生成部106で生成されたM組の基準対応点候補と、新規候補選択部107で選択された基準対応点候補の各組についてS組の着目対応点を入力として、1組の基準対応点候補を選択し、選択された基準対応点候補(基準対応点)とそれに対応した着目対応点を、入力画像に対応する最良の対応点として出力する。
基準候補選択部108におけるM組の基準対応点候補から1組を選択する手順を説明する。ある1組の基準対応点候補に対する評価値Emを(数10)で算出する。さらに、M組の基準対応点候補について、それぞれ評価値を算出し、この評価値が最小となる基準対応点候補の組を最良の基準対応点として選択する。
Figure 2008108071
そして、基準候補選択部108は、選択された1組の基準対応点とそれに対応する1組の着目対応点を、4枚の入力画像に対する新たな対応点として出力する。
上述した各処理要素の動作手順によれば、4つの画像わたる新たな対応点を複数算出することができる。動画像に含まれる画像が4枚より多い場合は、上述した手順を連続した4画像ごとに順次繰り返せばよい。これにより、全ての入力画像に対して対応点を算出することができる。
上述の(数10)の評価値Emは、ある1組の基準対応点候補から得られるS組の着目対応点の光学拘束式(数5)に対する誤差の総和を示す。さらに、着目対応点の各組は幾何拘束式(数3)も同時に満たしている。このことから、(数10)の評価値Emは、ある1組の基準対応点候補とそれに対応するS組の着目対応点が光学拘束式と幾何拘束式を満たす度合いを表す値となる。したがって、基準候補選択部108において選択された1組の基準対応点とそれに対応するS組の着目対応点からなる新たな対応点は、M組の基準対応点候補とそれに対応する着目対応点のうち、光学拘束式と幾何拘束式を最もよく満たす組となっている。
なお、上述の基準候補選択部108は、M組の基準対応点候補と対応する着目対応点のうち、光学拘束式と幾何拘束式を最もよく満たす組を選択するとしたが、必ずしも最もよく満たす組である必要はない。例えば、M組の基準対応点候補それらに対応する着目対応点のうち、光学拘束式と幾何拘束式を満たす度合いがあらかじめ定められた基準値以内である組が複数ある場合、光学拘束式と幾何拘束式を満たすどの組を選択しても構わない。
以上から、本発明の実施形態1で算出される対応点は、入力画像が照明条件の変化する画像であり、初期対応点113で生成された初期対応点が、ある確率で位置誤差を含む場合であったとしても、初期対応点から生成した複数の基準対応点の候補の中から、最も良く光学拘束式と幾何拘束式を満たす基準対応点を選択することができる。この光学拘束式は、照明条件の変化する画像であっても、その画像間の対応点の輝度値が満たすべき拘束式である。その結果、照明条件の変化する画像に対しても適切な基準対応点候補と位置誤差の小さい対応点を算出できる。
図6は、画像処理装置100の動作の手順を示すフローチャートである。上述の処理は、図6に示す一般化された手順にしたがって実行される。
ステップS61において、基準候補生成部103はN枚(N:4以上の整数)の画像で構成される画像データを画像記憶部102から読み出す。
ステップS62において、初期対応点算出部113は、N枚の画像にわたる対応点を初期対応点としてn組(n:4以上の整数)算出し、出力する。ステップS63において、基準候補生成部103は、n組の初期対応点のうちから、s組(s:4以上、n以下の整数)の初期対応点の集合を1組の基準対応点の候補として選択し、合計M組の異なる基準対応点の候補を生成する。
ステップS64において、光学係数算出部105は、M組の候補の組ごとに、各画像上の対応点の輝度値が光学拘束式を満たすように、光学係数を算出する。
次のステップS65において、新規候補生成部106は、M組の候補の組ごとに定まる幾何拘束式を満たすように、M組の候補の各組に対応して、画像間で対応付けられた新たな対応点(着目対応点)の組の候補をS組生成する。
ステップS66において、新規候補選択部107は、着目対応点の各候補に対して、各画像上の対応する着目対応点の輝度値と算出された光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度(誤差)を評価する。そしてステップS67において、新規候補選択部107は、各評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択し、着目対応点として出力する。
最後にステップS68において、基準候補選択部108は、上記評価結果を基準対応点の候補の組ごとに評価し、評価結果に基づいて1組の基準対応点の候補を選択する。そしてその候補を基準対応点として出力する。
以上の処理によって、画像処理装置100は、複数画像間の変化が被写体の相対的な動きと照明条件の変化によるという仮定に最も合致した対応点の組を算出することが可能になる。その結果、照明条件が異なる複数の画像が入力された場合であっても、位置誤差を低減した対応点を算出することができる。
本実施形態においては、基準候補生成部103は、初期対応点の複数の組からランダムに選択して基準対応点候補を生成するとした。しかし、複数の初期対応点からランダムに選択した上で、4画像分の4組の初期対応点の輝度値から4行4列の輝度行列を生成し、独立性の高い輝度行列を選択して出力するとしても良い。
この4行4列の輝度行列は、被写体が完全拡散反射物体、照明が並行光源という条件下で、4枚の画像において被写体に対する光源方向が独立であり、かつ4対応点の法線が独立である場合に、ランク3の行列となる。しかし、画像間で光源方向が近い場合や、対応点間の法線方向が近い場合に、その独立性が低下し、ランクが2以下になることがある。
この輝度行列の独立性は、輝度行列の固有値を算出し、その最も大きい固有値(第1固有値)と3番目に大きい固有値(第3固有値)の比(条件数)で評価することができ、この比が大きいとき独立性が高い。この輝度行列の独立性が高い基準対応点候補は、独立性の低い基準対応点候補に対して、(数5)の光学拘束式を算出した場合の精度が向上する。したがって、輝度行列の独立性の高い基準対応点候補を用いた場合、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなるという効果がある。
なお、本実施形態においては、基準候補生成部103は複数の初期対応点からランダムに選択して4組の初期対応点からなる基準対応点候補を生成するとした。
しかし、基準対応点候補を生成するにあたっては、複数の初期対応点からランダムに選択した上で、4フレームにわたる4個の対応点の輝度値から4行4列の輝度行列を生成し、その輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比が予め定められた値より小さい初期対応点の組を基準対応点の候補に入れないように除外してもよい。前述のように、輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比が小さい場合には(数5)の光学拘束式を算出した場合の精度が低下する。そこで、このような基準対応点の候補を除くことによって、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなる。予め定められた値の具体例として、例えば、第1固有値に対する第3固有値の比が0.01より小さい場合に基準対応点の候補から除外する、としてもよい。前述したように、画像間で光源方向が近い場合や、対応点間の法線方向が近い場合に、その独立性が低下してランクが2以下になることがある。しかしながら、実際には計測された輝度値には微小な誤差を含むために、第1固有値に対する第3固有値の比が完全に0になることはまれである。そこで、予め定められた値より小さい場合に基準対応点の候補から除外することで、実質的にランクが2以下である基準対応点の候補を除くことができる。その結果、より独立性の高い基準対応点の候補を生成することが可能となり、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなる。
また、複数の初期対応点の候補をランダムに選択する代わりに、対応点近傍の各色画像間の相関がより低い初期対応点を、優先的に選択して基準対応点の候補を生成するとしても良い。たとえば、入力画像が赤(R)緑(G)青(B)の3原色で構成される色画像であるとする。そして、各対応点の近傍の小領域画像に対して、G画像とR画像、または、G画像とB画像の輝度値の相関値を算出する。そして色画像間の相関値が低い対応点を含む対応点を優先的に選択する。ここでいう「色画像間の相関値」とは、たとえば画像の輝度の空間勾配を利用して評価することができる。
画像の輝度の空間勾配の変化は、被写体表面のテクスチャと、被写体表面の凹凸による輝度変化の大きく2つに起因する。光源の向きが変化すると、被写体表面のテクスチャの輝度は小領域内で同じ比率で変化するのに対し、被写体表面の凹凸による輝度変化は局所的に発生する。そのため、ある画素を中心としたその近傍(たとえば5画素以内)の画素群を含む小領域中の輝度の空間勾配が同じである場合、その要因がテクスチャである場合は、被写体表面の凹凸による場合に比べて、対応点の位置誤差が小さくなることが期待できる。さらに、被写体方面の凹凸によって輝度が変化する場合、各色均等に輝度が変化するため、小領域中のRGB各色画像間で相関が高くなる。したがって、各色画像間の相関がより低い対応点は、従来の対応点算出方法で算出した場合においても、その位置誤差が小さいことが期待できる。そこで、複数の初期対応点の中から、このような初期対応点を優先的に選択して基準対応点候補を生成することで、結果として位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなるという効果がある。
なお、小領域中の輝度値の空間勾配が大きいということは、輝度の差が大きいことを意味している。したがって、画像の変化に応じて被写体の角度が変化している場合であっても、その小領域を特定しやすいといえる。よって、空間勾配が大きい小領域中の画素を基準対応点候補として優先的に選択すると、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなる。
本実施形態においては、対応点再算出部104を構成する各処理要素は、複数の入力画像のうち4枚の画像に対して前述の処理を繰り返すとしたが、5枚目以降の処理については、新規候補生成部106において、(数4)の式を用いて着目対応点候補を算出するとしても良い。なお、上述した4枚分の画像における対応点が既知である場合に、5枚目以降の対応点を算出する処理は周知であるため、詳細の説明を省略する。例えば「A.Shashua、"Geometry and Photometry in 3D Visual Recognition", Ph.D thesis, pages 107-124, Dept. Brain and Cognitive Science, MIT (1992).」などに開示されている処理を用いることができる。
本実施形態においては、基準対応点候補は4個(s=4)の初期対応点の組で構成されるものとしたが、4個に限定するものではない。例えば、5個以上(s>=5)の初期対応点の組であっても、最小二乗法によって(数3)(数4)の係数をそれぞれ算出することができるため、上述の処理と同様の処理を行うことができる。5個以上の初期対応点の組から最小二乗法によって係数を算出することで、ノイズの影響を受けにくくなるという効果がある。
光学係数算出部105は、基準対応点候補の各対応点の座標値の入力画像の輝度値を用いて光学係数を算出するものとしたが、基準対応点の各画像ごとの点間距離に応じて、入力画像に空間方向の低域通過フィルタをかけた輝度値を用いて光学係数を算出するとしても良い。上述の複数の入力画像は被写体とカメラの距離が画像によって異なるため、基準対応点候補の対応点の1画素に対応する被写体表面上での面積も画像によって異なる。そのため、本来は被写体表面の同一点の輝度値の拘束式である光学拘束式(数5)に、誤差が含まれることになる。
誤差を低減するためには、対応点の1画素に対応する被写体表面上での面積が、複数の入力画像間でなるべく一定になるようにすると良い。例えば、複数の入力画像のうち、1画素に対応する被写体表面の面積がより小さい画像に対し、カットオフ周波数のより低い低域通過フィルタを施した画素値を対応点の画素値として用いることで、光学拘束式の誤差を低減することができる。しかしながら、1画素に対応する被写体表面の面積を直接得ることはできない。一方、基準対応点の点間距離が大きいほど、1画素に対応する被写体表面での面積が小さいと言える。
そこで、入力画像ごとに基準対応点候補の対応点間距離の平均値を算出し、その比に応じたカットオフ周波数をもつ低域通過フィルターを入力画像に施すことで、等価的に1画素に対応する被写体表面上での面積が複数の入力画像間でより均一に近づくため、光学拘束式の誤差が低減し対応点の精度が向上するという効果がある。
上述の点間距離に代えて、他の方法で光学拘束式の誤差を低減することもできる。たとえばExif規格などのように、被写体までの距離や焦点距離などの倍率の情報が画像データに付加される場合には、その倍率情報から1画素に対応する被写体表面の面積の情報を算出してカットオフ周波数を設定した低域通過フィルタを設定してもよい。この倍率情報を利用すると、画像上の被写体の倍率が異なっている場合であっても、1画素に対応する被写体表面上での面積を複数の入力画像間で均一に近づけることができるため、光学拘束式に発生する誤差を低減することができる。
(実施形態2)
図7は、本実施形態による画像処理装置120の機能ブロックの構成を示す。本実施形態による画像処理装置120が、実施形態1の画像処理装置100と異なる点は、画像処理装置100の出力部109に代えて、画像合成部110を設けたことにある。画像合成部110は、複数枚の画像と、複数画像にわたって特定された対応点とを受け取って、入力された画像の解像度よりも解像度が高い合成画像を出力する。ここで「解像度が高い」とは、被写体の同一領域を映した画像において、高い空間周波数成分を有することを意味する。
以下、画像合成部110の詳細を説明する。なお、図7に示す画像処理装置120の構成要素のうち、画像処理装置100(図1)の構成要素と同じ構成要素に対しては、同じ参照符号を付し、その説明は省略する。
画像合成部110は、座標変換部111と画像生成部112とを有している。
座標変換部111は、複数画像とその対応点とを受け取り、それらの画像から、座標を変換した画像(座標変換画像)を生成する。座標変換画像とは、受け取った複数枚の画像のうち、ある画像と相対的な座標位置(構図)が同じで、かつ画像サイズを大きくした画像である。座標変換部111は、各画像に対応した複数の座標変換画像を生成してそれらを1組として出力する。
画像生成部112は、複数組の座標変換画像を受け取って、各組ごとに、複数の座標変換画像から同じ位置の画素の輝度値が満たす光学拘束式の係数である変換係数を算出し、複数の座標変換画像の変換係数による線形結合によって合成画像を生成して出力する。
次に、画像処理装置120の動作を説明する。以下では、対応点再算出部104までの処理は実施形態1と同じであるため説明は省略し、対応点再算出部104の出力処理から説明する。また、対応点再算出部104から出力されるN枚の入力画像をIj,(j=1..N)とし、入力された複数枚の画像にわたるn組の対応点をpi,j,(i=1..n,j=1..N)とし、その画像座標を(xi,j,yi,j),(i=1..n,j=1..N)と表す。
図8は、本実施形態における複数枚の入力画像の例を示す。入力された画像は6枚(N=6)であり、各入力画像のサイズは640画素×480画素であるとする。対応点pi,jは、被写体(彫像)の領域に存在するとして説明する。
座標変換部111は、複数枚画像で構成される画像データとその対応点を受け取り、各画像を座標変換することにより、入力画像と構図が同じ複数の座標変換画像を生成する。ここで、構図が同じとは、画像中の被写体の相対的な座標位置が同じことをいう。
また、ある1つの入力画像Ikと構図が同じ座標変換画像の座標位置は、入力画像Ikの座標位置を拡大率rで拡大することで算出する。この拡大率rは長さの比率であり、あらかじめユーザーの指示によって与えられるとする。
以下、座標変換部111の動作を詳しく説明する。以下では、複数の入力画像Ij,(j=1..N)と対応点pi,j,(i=1..n, j=1..N)を用いて、ある1つの入力画像Ikと構図が同じ複数の座標変換画像Ik,jを生成する動作を説明する。
座標変換部111は、ある1つの入力画像Ikの対応点pi,k,(i=1..n)の画像座標(xi,j,yi,j),(i=1..n)に、拡大率rを乗じた座標値を算出し、これを複数の座標変換画像Ik,j(j=1..N)に共通の対応点qi,k=(r・xi,k,r・yi,k),(i=1..n)とする。
さらに、座標変換部111は、座標変換画像の対応点qi,k,(i=1..n)と、各対応点pi,j,(i=1..n、j=1..N)と、各入力画像Ij,(j=1..N)とを用いてテクスチャマッピングすることで、複数の座標変換画像Ik,j(j=1..N)を生成する。
座標変換画像Ik,jをテクスチャマッピングで生成する方法の例を説明する。まず、入力画像Ikのn個の対応点pi,k,(i=1..n)から、ドロネー三角分割法によって、複数の三角形の集まりとして構造化する。そして、座標変換画像上の三角形内の画素の座標値は、対応する入力画像上の三角形内の画素の座標値のアフィン変換により関係づけられると仮定する。すると、座標変換画像上の任意の画素の座標値と、入力画像上の画素の座標値との対応関係が得られる。これにより、座標変換画像上のある画素の画素値として、対応する入力画像の画素値を用いることで、座標変換画像を生成することができる。なお、画像と対応点を用いて、テクスチャマッピングにより合成画像を生成する上述の手法は、コンピュータグラフィックスの手法として広く知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
さらに、座標変換部111は、各入力画像Ij,(j=1..N)中の被写体面積に対する、座標変換画像Ik,j(j=1..N)中の被写体面積の比を、面積比sk,j,(j=1..N)として算出して出力する。なお、被写体面積の比は座標変換画像中の被写体面積/入力画像中の被写体面積として求めることができる。
以上の手順によって生成される複数の座標変換画像Ik,j(j=1..N)は、入力画像Ikに対して、被写体の相対的な2次元座標位置(構図)は同じである。しかし、座標変換画像Ik,j(j=1..N)の画素値は、複数の入力画像Ij,(j=1..N)の画素値を用いて生成されているため、変換前後の照明条件は異なっている。さらに、座標変換画像Ik,j(j=1..N)は、入力画像Ikに対して、その座標値がr倍された画像、すなわち画像サイズの大きい画像となっているという特徴を持つ。
座標変換部111は、上述した動作によって、ある1つの入力画像Ikと構図が同じ複数の座標変換画像Ik,j,(j=1..N)からなる組を生成する。さらに上述の動作を繰り返し処理することで、複数の組からなる入力画像Ik,(k=1..N)と座標変換画像Ik,j,(k=1..N),(j=1..N)生成して出力する。
図8は6枚の画像Ijの例を示す。各画像は照明条件が異なっている。画素数は、いずれも640画素×480画素とする。
図9は、図8(c)の1つの入力画像I3(k=3)と構図が同じである複数の座標変換画像I3,jの例である。本実施形態では、拡大率rを2としている。生成される座標変換画像の画像サイズは1280画素×960画素となる。
図9(a)〜(f)から明らかなように、図8(c)の入力画像I3に対して、図9の6枚の座標変換画像I3,jは、構図が同じで、照明条件が異なり、かつ、画像サイズが大きいことが理解される。
座標変換部111は、図9に示す座標変換画像Ij,k(k=1..N)の組を、各入力画像Ik(k=1..N)に対して複数組生成するとともに、面積比rk,jを算出して出力する。
画像生成部112は、複数の座標変換画像の組Ik,jと面積比rk,jを受け取り、各組ごとに、複数の座標変換画像から、同じ座標位置の画素の輝度値が満たす光学拘束式の係数(変換係数)を算出する。
以下、画像生成部112において変換係数を算出する方法を説明する。
画像生成部112は、座標変換画像Ik,jと面積比rk,jを受け取り、各組kごとに面積比rk,j,(j=1..N)のうち、値が小さい方から3つの座標変換画像を選択する。ここで選択された3つの座標変換画像をIk,a、Ik,b、Ik,cとし、その任意の点piの画素値をIk,a(pi)、Ik,b(pi)、Ik,c(pi)とする。このとき、入力画像Ikの拡大画像に相当する座標変換画像Ik,kの画素値Ik,k(pi)と、画素値Ik,a(pi)、Ik,b(pi)、Ik,c(pi)には、(数11)の光学拘束式が成り立つ。
Figure 2008108071
(数11)において、Dk,a、Dk,b、Dk,c(これらをDkと記述する)は変換係数である。
この変換係数Dkは、複数の座標変換画像上の3点以上のpiの画素値から算出することができる。(数11)の式は、原理上は座標変換画像Ik,k、Ik,a、Ik,b、Ik,cの解像度が同一の場合に成り立つ。しかし、実際には複数の座標変換画像の解像度は同一とは限らないため、(数11)の関係式は誤差を含み得る。そこで、本実施形態では、3点より十分に多い点piにおける画素値から、最小2乗法を用いて変換係数Dkを生成する。
図9の例では、6つの座標変換画像I3,jにおいて、その被写体面積は同じである。また、図8の6つの入力画像において、その被写体面積は大きい方からI6、I5、I4、I3、I2、I1の順となる。ゆえに、面積比s3,kは小さい方から順にs3,6、s3,5、s3,4、s3,3、s3,2、s3,1となる。したがって、変換係数D3は、座標変換画像I3,3と、座標変換画像I3,4、I3,5、I3,6を用いて算出されることとなる。
次に、画像生成部112は、変換係数Dk、座標変換画像Ik,jを(数12)に代入して線形画像I’kを生成する。
Figure 2008108071
(数12)の線形結合によって生成される線形画像I’kは、入力画像Ikの拡大に相当する座標変換画像Ik,kと比べて、構図と照明条件は同じで、解像度が高くなる場合がある。
例えば、図8の6つの入力画像における被写体の面積は、入力画像I3よりも入力画像I4、I5、I6の方が大きいので、入力画像I3よりも入力画像I4、I5、I6の方が解像度は高い。一方、図9の6つの座標変換画像I3,jは、被写体面積が同じである。したがって、入力画像I3,(k=3)から生成した座標変換画像I3,3(図9(c))よりも、入力画像I4、I5、I6からそれぞれ生成した座標変換画像I3,4、I3,5、I3.6(図9(d)(e)(f))の方が、解像度が高くなる。したがって、座標変換画像I3,4、I3,5、I3.6の線形結合(数12)によって生成される線形画像I’3の解像度は、座標変換画像I3,3よりも高くなる。
逆に、図8(f)に示す入力画像I6,(k=6)と構図が同じ複数の座標変換画像I6,j,(j=1..N)から生成した線形画像I’6は、座標変換画像I6,6よりも解像度が低くなると考えられる。複数の入力画像Ijの中に入力画像I6よりも解像度の高い画像が存在しないためである。
そこで画像生成部112は、線形画像I’kと座標変換画像Ik,kの空間周波数成分を解析して高周波成分がより多い方を選択し、合成画像I’’kとして画像記憶部102に記憶する。上述の動作によって得られる合成画像I’’kは、入力画像Ikと構図と照明条件は同じで、解像度は高いか、または、同じになる。
図10は、本実施形態による画像処理装置120が生成した合成画像の例を示す。そして図11(a)は図10(c)の合成画像の拡大図であり、図11(b)は図8(c)の入力画像の拡大図である。図11(a)の合成画像は、図11(b)の入力画像よりも、解像度が高くなっていることが理解される。
上述したように、被写体とカメラと光源の位置関係の異なる複数の画像(図8)を入力として、解像度を高めた合成画像(図11)を生成している。特に、被写体とカメラの距離が異なる複数の画像のうち、解像度の高い被写体の画像(例えば図8(f))の情報を利用することで、解像度の解像度の高めた合成画像を生成できると言える。
上述の処理では、合成前の画像と、合成に利用される被写体の解像度が高い画像との間で被写体と光源の位置関係が異なるため、位置誤差の少ない対応点を如何に算出するかが重要である。
図12(a)は、従来の技術による対応点算出手法で得られた対応点と、本発明による対応点算出手法で得られた対応点との比較例を示す。
図12(a)の2つの入力画像において、従来の対応点算出手法により求めた対応点を「×」印で示す。画像間の矩形領域の輝度差や相関値を評価値として対応点を算出する従来法では、被写体表面の輝度が変化する画像間の対応点を正確に求めるのが困難である。
多くの位置誤差を含む対応点を用いて、画像合成部110を用いて合成画像を生成したとしても、被写体の解像度が向上しなかったり、合成画像の一部の輝度に誤差を含むという問題が発生する。
図12(b)は、位置誤差の多い対応点から生成した合成画像の例を示す。この図では、被写体の左目付近は、対応点の位置ずれによって、合成画像がぼけたような画像となる。また、右あご付近は、位置ずれによって輝度誤差が大きい(暗い)画像となっている。
本発明による対応点の算出方法では、このような問題の発生を十分低減できる。実施形態1の画像処理装置100の説明において詳述したように、光学拘束式と幾何拘束式を満たす基準対応点を選択する手法によって、被写体と光源の相対的な位置が異なる場合、すなわち照明条件が異なる場合でも位置誤差が低減された対応点を算出することができるためである。
図12(a)は、本実施形態の画像処理装置120が算出した対応点が「○」印で示されている。被写体表面の輝度が変化しても画像間の対応点が正確に求められていることが理解される。
画像処理装置120の画像合成部110は、合成画像の幾何的変形を行ったのち、同じ光学拘束式を用いて合成画像の生成を行う。図12(c)は、位置誤差の少ない対応点から生成した合成画像の例を示す。光学拘束式と幾何拘束式を満たすように算出された対応点を用いることによって、図12(c)のように輝度誤差や位置誤差が少なく、かつ、より高い解像度の合成画像を生成することが可能になる。
以上、本発明の実施形態1および2を説明した。上述の実施形態の説明では、幾何拘束式および光学拘束式を導くに当たって種々の前提条件((1)撮影対象の被写体が剛体であり、(2)光が平行に被写体に入射し、(3)被写体表面において光が完全拡散反射され、(4)アフィンカメラで被写体を撮影する)を設定した。しかし、これらは各拘束式を数学的に導くための条件であり、本願発明にかかる画像処理装置および方法等を実施するに当たってはこれらの条件が厳密に満たされている必要はない。
たとえば、被写体は剛体であると仮定したが、厳密には剛体ではなくてもよい。複数の画像間で被写体が局所的に変形している場合であっても、画像間における被写体とカメラ位置の相対的な位置変動に対して、被写体の局所的な変形が十分に小さい場合は近似的に剛体として考えることができるため、上述した処理を行うことができる。または、被写体に入射する光は厳密に平行でなくてもよいし、被写体表面において光が完全拡散反射されていなくてもよい。
なお、本発明の実施形態1および2において、画像データ中には1つの被写体が存在し、複数の対応点(初期対応点、基準対応点、着目対応点を含む)は、同一の被写体に存在するものとして説明した。画像データ中に複数の物体が存在する場合であっても、物体間の相対位置が変化しない場合は、同一の剛体とみなすことができる。したがって、画像データ中に複数の被写体が存在し、かつ、被写体間の相対位置が変化しない場合は、同一の被写体とみなして同様に処理を行うことができる。
さらに、画像データ中に複数の被写体が存在し、かつ、複数の被写体間の相対位置が変化する場合、対応点再算出部104で算出される対応点は、いずれか1つの被写体に存在する対応点のみが出力されることとなる。なぜならば、複数の対応点が相対位置が変化する複数の剛体(被写体)に存在する場合、これら複数の対応点は幾何拘束式(数3)を満たさないためである。以上のことから、画像データ中に複数の被写体が存在し、かつ、複数の被写体間の相対位置が変化する場合、実施形態1および2で説明した一連の動作を一度行うと、複数の被写体のうちのある1つの被写体について、対応点の生成や画像の高解像度化を行うことができる。さらに、一連の動作を一度行った結果生成された対応点が存在する画像領域を除外した上で、同様の処理を繰り返すことで、複数の被写体のうちの別のある1つの被写体について、対応点の生成や画像の高解像度化を行うことができる。以上のことから、画像データ中に複数の被写体が存在する場合であっても、本発明の実施形態1および2と同様の処理を行うことができる。
上述の実施形態においては、図1および図7に示す機能ブロックを用いて画像処理装置を説明した。このような機能ブロックは、ハードウェア的には、デジタル信号プロセッサ(DSP)のような1つの半導体チップまたはICによって実現することも可能であるし、たとえばコンピュータとソフトウェア(コンピュータプログラム)とを用いて実現することもできる。
たとえば、図13はコンピュータによって構成された画像処理装置のハードウェア構成を示す。
図1および図7に示す機能ブロックと、図13に示すハードウェアとの対応関係は以下のとおりである。すなわち、図1および図7のカメラ101は、図13に示すカメラ1001およびA/D変換器1002に対応する。また、図1および図7の画像記憶部102は、図13に示すフレームメモリ1003またはハードディスクドライブ(HDD)1010に対応する。そして図1および図7の初期対応点算出部113および対応点再算出部104は、コンピュータプログラムを実行した図13のCPU1004によって実現される。また、図7の画像合成部110についてもコンピュータプログラムを実行した図13のCPU1004によって実現される。図1の出力部109は種々考えられる。たとえば出力されるデータが他のプログラム(たとえば、手ぶれ補正プログラムや符号化プログラム)へ渡される場合には、出力部109は図13におけるRAM1006となる。
図13のコンピュータを動作させるコンピュータプログラムは、たとえばROM1005に保持されている。コンピュータプログラムは、プロセッサであるCPU1004によってRAM1006に読み出されて展開される。CPU1004はコンピュータプログラムの実態であるコード化された各命令を実行する。
なお、コンピュータプログラムは、たとえば図6に示すフローチャートのような手順で記述されている。コンピュータプログラムは、半導体であるROM1005に限られず、たとえば光ディスク、磁気ディスクに格納されていてもよい。また、有線や無線のネットワーク、放送などを介して伝送され、コンピュータのRAM1006に取り込まれてもよい。
本発明にかかる画像処理装置は、カメラで撮影された画像の画質改善、動画像の符号化、ならびに画像中の被写体の形状認識を行う画像処理装置として有用である。その利用形態は、独立した画像処理装置であっても良いし、カメラやディスプレイに内蔵されるものであっても良い。
本発明は、複数の画像間の対応点を算出する画像処理技術に関し、特に複数の画像間で被写体と光源の相対的な位置が異なる場合にも、位置誤差の小さい対応点の算出が可能な画像処理技術に関する。
従来から、複数画像間の対応点や動画像の動きベクトルを算出する技術の研究開発が広く行われてきている。この技術は、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラにおける画像の手ぶれ補正などの画質改善処理や、動画像の符号化処理、自動車の安全運転支援システムやロボットのための形状認識処理などに共通して利用される基礎技術である。
ここで言う「複数画像」とは、視点位置が異なる複数のカメラによって撮影された多視点画像と、一つのカメラによって一定の時間間隔(たとえば1/30秒)で連続して撮影された複数枚の画像からなる動画像の両者を含んでいる。なお、多視点画像の対応点を計算する技術と、動画像の動きベクトルを計算する技術とは共通する部分が多いため、本願明細書においては両者を区別しない。
複数の画像間の対応点や動きベクトルを算出する技術のうちで代表的なものが、たとえば特許文献1、非特許文献1および2に記載されている。具体的には、画像間の矩形領域の輝度差や相関値を評価値としてこの値が最良となる位置を求めるブロックマッチング法、画像の輝度の空間的勾配と画像間の輝度差を用いて変位量を求める勾配法、フーリエ変換を用いて位相相関関数のピーク値から変位量を求める位相相関法である。ただし、これらの従来の技術には、複数の画像間において、照明条件が異なる場合(光源と被写体とカメラの相対的な位置が異なる場合や光源の強度が異なる場合など)に、算出される対応点の位置誤差が大きくなるという課題が知られている。
一方、たとえば特許文献2および3には、照明条件が異なる画像間の対応点の位置誤差を低減する技術が開示されている。
特許文献2に記載された技術は、入力画像の特定の輝度範囲の画素を抽出することによって画像中の鏡面反射領域の影響を低減し、それにより、位置誤差の少ない動きベクトルを算出する。この技術によれば、鏡面反射領域の動きベクトルの誤差を小さくすることは期待できる。しかし、非鏡面反射領域の動きベクトルの誤差を低減することはできない。
一方、特許文献3に記載された技術は、輝度の空間勾配やその変化が大きいエッジやコーナーなどの領域に着目し、この領域の動きベクトルを算出している。この技術によれば、輝度勾配が大きいエッジ領域の動きベクトルの位置誤差を小さくすることが可能である。
特許第2676978号明細書 特開2000−36051号公報 特開平7−66989号公報 Bruce D. Lucas and Takeo Kanade. "An Iterative Image Registration Technique with an Application to Stereo Vision.", International Joint Conference on Artificial Intelligence, pages 674-679, 1981. Carlo Tomasi and Takeo Kanade. "Detection and Tracking of Point Features.", Carnegie Mellon University Technical Report CMU-CS-91-132, April 1991.
しかしながら、特許文献3に記載された技術のような、エッジ領域の動きベクトルを算出する方法は、非エッジ領域の動きベクトルの位置誤差を低減するものではない。したがって、例えば被写体が立体的な形状であり、被写体の動きによるエッジ領域と非エッジ領域の動きベクトルが異なる場合には、非エッジ領域の動きベクトルの位置誤差が大きくなるという課題があった。
本発明の目的は、照明条件の異なる複数の画像が入力された場合でも、位置誤差が少ない対応点や動きベクトルを生成することである。
本発明による画像処理装置は、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出する初期対応点算出部と、前記n組の初期対応点から、s組(s:4以上n以下の整数)の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を選択して、M組(M:2以上の整数)の基準対応点の候補を生成する基準候補生成部と、前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出する係数算出部と、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成する新規候補生成部と、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価し、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力する第1選択部と、前記第1選択部の評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択し、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力する第2選択部とを備えている。
前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点の前記N枚の画像の輝度値からなるN×s輝度行列の独立性を評価し、評価結果に基づいて、前記M組の基準対応点の各候補を選択してもよい。
前記基準候補生成部は、前記N×s輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比を評価値として、より大きい評価値が得られたN×s輝度行列に対応するs個の初期対応点の集合から順に基準対応点の候補として選択してもよい。
前記基準候補生成部は、前記N×s輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比があらかじめ定められたしきい値より小さい場合において、前記N×s輝度行列に対応するs組の初期対応点の集合を、基準対応点の候補から除外してもよい。
前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点について、各画像上の点近傍の輝度値の空間勾配の大きさを評価し、より大きい空間勾配が得られたs組の初期対応点の集合から優先的に基準対応点の候補として選択してもよい。
前記N枚の画像は色画像であり、前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点について、各画像上の点近傍の各色画像間の相関を評価し、より低い相関が得られたs組の初期対応点の集合から優先的に基準対応点の候補として選択してもよい。
前記係数算出部は、各画像上の各点の点間距離および各画像における被写体の倍率の一方に応じてカットオフ周波数が定められる空間方向の低域通過フィルタを前記画像データに対して適用し、得られた輝度値を前記各画像上の互いに対応付けられた点の輝度値として使用してもよい。
前記係数算出部は、前記各基準対応点の候補の各画像上点の輝度値として、当該点の近傍に位置する少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出してもよい。
前記係数算出部は、当該点の周囲に近接し、かつ、当該点の輝度値との差が所定範囲内の少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出してもよい。
前記係数算出部は、当該点の輝度値と、当該点の周囲の近接点の輝度値との差が所定範囲よりも大きくなったとき、当該点の近傍に位置する少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出してもよい。
前記画像処理装置は、N枚の画像のうちの少なくとも1枚の画像を所定の拡大率で拡大し、拡大後の画像の画素値として、前記N枚の画像のうちの少なくともk枚(k:3以上N以下の整数)の画像の各画素値を前記所定の拡大率に応じてマッピングした複数の座標変換画像の組を生成する座標変換部と、前記複数の座標変換画像のうちのk枚の座標変換画像を選択して、前記k枚の座標変換画像間で互いに対応する各座標変換画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である変換係数を算出し、前記N枚の座標変換画像を変換係数によって線形結合することによって合成画像を生成する画像生成部とをさらに備えていてもよい。
前記画像生成部は、変換前の各画像に含まれる被写体の面積と、前記座標変換画像に含まれる被写体の面積とに応じて決定される被写体面積の比の大きさに応じて、前記k枚の座標変換画像を選択してもよい。
本発明による画像処理方法は、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、前記n組の初期対応点から、s組(s:4以上n以下の整数)の初期対応点を選択するステップと、s組の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップとを包含する。
本発明による記録媒体には、コンピュータプログラムが記録されている。前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、前記N枚の画像にわたるs組(s:4以上、n以下の整数)の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップとを実行させる。
本発明によるプロセッサは、コンピュータプログラムを実行することが可能である。前記プロセッサは、画像処理プログラムを実行することにより、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、前記N枚の画像にわたるs組の初期対応点の集合を1組とする基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組について、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップとを実行する。
本発明による画像処理装置は、N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出する初期対応点算出部と、前記n組の初期対応点から、幾何拘束式と光学拘束式を満たすs組の(s:4以上n以下の整数)初期対応点を選択して基準対応点として出力するとともに、前記基準対応点に基づく幾何拘束式と光学拘束式を満たす着目対応点を算出して出力する対応点再算出部とを備えている。
本発明によれば、被写体と光源の相対位置変化に依存する輝度の変化の拘束式である光学拘束式と、被写体とカメラの相対位置変化に依存する対応点の位置の拘束式である幾何拘束式とを同時に満たす点を、複数画像にわたって対応付けられた対応点として特定する。これにより、複数の画像間で被写体と光源の相対的な位置が異なる場合であっても、位置誤差が低減された対応点を算出することができる。また、動画像を高解像度化する処理に適用することにより、動きベクトルの位置誤差が低減された画質(解像度)の高い映像データを得ることができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による画像処理装置の実施形態を説明する。
本願明細書においては、実空間中に存在する被写体を撮影して得られた1枚または複数枚の画像に関連して「対応点」という用語を定義する。
「対応点」(a corresponding point)とは、実空間中の任意の1個の点に対応する1画像上の点を意味する。
「複数画像(N枚)にわたる対応点」(corresponding points across N number of images)とは、実空間中の任意の1個の点に対応する複数画像(N枚)の各々に定義される1組の対応点を意味する。これは、実空間中の同一の点に対応して各画像上に定められる対応点の集合であり、具体的には各画像上の対応点の画像座標値を複数画像(N枚)分まとめた1組の画像座標値として表現される。複数画像にわたる対応点は、特定の1画像上の1点に対する他の画像上の1点として限定して定められるものではないことに留意されたい。
「複数画像(N枚)にわたる複数組(n組)の対応点」とは、実空間中のn個の点の各々に定義される、複数画像(N枚)にわたる対応点の集合を意味する。これは、「複数画像(N枚)にわたる対応点」を、異なるn組分集めたものである。このとき、各画像上には異なる組に属する対応点がn個存在することになる。
本願明細書では、「初期対応点」、「基準対応点」等、種々の「対応点」が規定されているが、どの種類の対応点についても上述と同様の定義が適用される。
(実施形態1)
図1は、本実施形態による画像処理装置100の機能ブロックの構成を示す。画像処理装置100は、カメラ101と、画像記憶部102と、初期対応点算出部112と、対応点再算出部104と、出力部109とを有している。
カメラ101は、被写体を撮影して画像データを出力する。カメラ101は、動画および静止画のいずれの画像データを出力することもできる。動画データの場合には、所定の周波数(たとえば30Hz)で切り替えられる複数枚の画像で構成される画像データが出力される。静止画データの場合には、1枚の画像の画像データが出力される。
画像記憶部102は、カメラ101で撮影された画像データを記憶する記録媒体であり、たとえばフレームメモリやハードディスクドライブである。画像記憶部102に記録された画像データは、後述の初期対応点算出部113および対応点再算出部104に入力される。
初期対応点算出部113は、画像記憶部102に記憶された画像データを受け取り、その画像データに基づいて複数画像にわたる対応点(この対応点を以下「初期対応点」という)を複数組生成する。
対応点再算出部104は、初期対応点算出部113で生成された複数組の初期対応点と画像データとを受け取って、全ての初期対応点の組を全体集合としたときの部分集合を複数抽出する。後述の処理によって、各部分集合を構成する初期対応点の組から「基準対応点の組」が決定される。そのため、各部分集合を構成する初期対応点の組を、以下「基準対応点候補」と呼ぶ。対応点再算出部104は、複数の基準対応点候補の中から最良の基準対応点の組を選択する。また、選択した最良の基準対応点の組とともに、その基準対応点に対応して新たに求めた対応点(「着目対応点」とも言う)の組を出力する。
対応点再算出部104は、基準候補生成部103と、光学係数算出部105と、新規候補生成部106と、新規候補選択部107と、基準候補選択部108とを有している。
基準候補生成部103は、初期対応点算出部113で生成された、複数画像にわたる複数組の初期対応点を受け取り、全ての初期対応点の組のうちから一部の初期対応点の部分集合を選択し、これを1組とした基準対応点の候補を複数組生成する。
光学係数算出部105は、画像データと複数組の基準対応点候補とを受け取り、複数組の基準対応点の候補の各組について、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすようにその光学拘束式の係数である光学係数を算出する。
新規候補生成部106は、複数の基準対応点候補を受け取り、各基準対応点候補に応じた幾何拘束式を満たす複数の対応点を新たに算出して着目対応点候補として出力する。
新規候補選択部107は、画像データ、各基準対応点候補に応じた光学係数と着目対応点候補とを受け取って、着目対応点候補から光学拘束式を満たす程度を評価し、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して各基準対応点候補に応じた着目対応点として出力する。
基準候補選択部108は、複数の基準対応点候補と基準対応点候補に対応する着目対応点を受け取り、新規候補選択部107の評価結果に基づいて当初作成した複数の基準対応点候補を評価し、評価結果に基づいて複数の基準対応点候補から1組の基準対応点の候補を選択する。そして、選択した基準対応点および選択した基準対応点に対応する着目対応点を、画像データの複数画像にわたる対応点として出力する。
出力部109は、画像記憶部102に記憶された複数の画像と、対応点再算出部104によって算出された対応点とを組にして出力する。
本実施形態においては、画像処理装置100は、複数の画像の対応点を算出するための初期対応点算出部113および対応点再算出部104を備えるだけでなく、画像を撮影して記録するカメラ101、画像記憶部102、および、撮影された画像と対応点の組を出力する出力部109をも備えている。これにより、画像処理装置100は、カメラで撮影した画像の対応点を算出して出力することが可能になる。
発明の理解を容易にするため、まず具体例に沿って画像処理装置100の動作の概要を説明する。その後、画像処理装置100の動作原理および詳細な動作を説明する。
(画像処理装置100の動作の概要の説明)
図2(a)は、画像処理装置100が用いられる画像の撮影環境を示し、図2(b)は、撮影された画像の例を示す。図2(a)に示されるように、本実施形態においては、カメラ、被写体(彫像)、光源の位置は、それぞれ画像処理装置100の動作とは無関係に任意に変化するとしている。図2(a)の環境で撮影された一連の複数(N枚)の画像を、入力画像として扱う。図2中の3次元座標系(X,Y,Z)は、被写体に固定された座標系であるとする。
いま、たとえば図4に示されるような、同じ被写体を撮影した4枚の画像(N=4)が得られたとする。被写体上に8個の点(n=8)を仮定すると、それら8点の各々に対応する、被写体上の同じ位置を表す点を各画像上に設定することができる(たとえば図4の「○」と「×」)。これらの点の各々が対応点であり、被写体上の同じ位置を表す点の組が、複数画像にわたって存在する対応点である。さらに、複数画像にわたって存在する8組の対応点から、座標位置が正確に求められた4組を選択できたと仮定すると、これら4組(s=4)をまとめて、1組の基準対応点と呼ぶ(たとえば図4の「○」)。
同一被写体上の任意の1点の4枚の画像にわたる対応点の座標値(位置ベクトル)は、同じ4枚の画像にわたる4個の基準対応点の座標値(位置ベクトル)の線形結合によって記述される。そのとき成立する式を、幾何拘束式という。各基準対応点の座標値に乗じられる係数は、本願明細書では“A”によって表される。
また、新たな画像(たとえば5枚目の画像)が得られた場合には、その画像上にも被写体上の8個の各々に対応する点(対応点)を設定することができる。そのような、新たな画像上の対応点の座標(位置ベクトル)は、直前4枚の画像にわたる各対応点の座標値(位置ベクトル)の線形結合によって記述される。そのとき成立する式もまた、幾何拘束式という。各対応点の座標値に乗じられる係数は、本願明細書では“B”によって表される。この幾何拘束式の係数“B“は、直前4枚の画像にわたる4つの基準対応点に対応する新たな画像上の点の座標から求めることができる。
ある画像上の任意の点の画素値(たとえば輝度値)は、その点の他の3枚の画像上の対応点の画素値の線形結合によって記述できる。そのとき成立する式は、光学拘束式という。各対応点の画素値に乗じられる係数は、本願明細書では“C”によって表される。
4個の基準対応点が与えられると、与えられた基準対応点に基づいて、光学拘束式の係数が得られる。
4個の基準対応点が与えられ、4枚の画像にわたる基準対応点以外の新たな対応点(着目対応点)の組を求めようとするとき、それらの新たな対応点の組は、幾何拘束式および上述の係数が適用された光学拘束式をそれぞれ満たす必要がある。
後に詳細に説明するように、最初の画像上に設定された点(着目点)に対して第2の画像上の対応点と考えられる候補が与えられると、幾何拘束式の係数Aが算出され、また第3および第4の画像上の対応点の座標も算出される。第2の画像上の対応点が正しく与えられていた場合には、求められた新たな対応点の組は、光学拘束式を満たすはずである。
そこで、本実施形態においては、第2の画像上の対応点の与え方を所定範囲内で変化させることによって、次々に第3および第4の画像上の対応点候補を求める。そして、第1〜第3の画像上の対応点候補の画素値を光学拘束式に代入して得られた値が、第4の画像上の対応点候補の画素値と一致した場合には、正しく対応点が求められていたとする。一致しない場合には、誤差が最も小さい対応点候補を正しい対応点として出力する。
上述の処理によれば、基準対応点から光学係数を算出するとともに、与えられた着目点の対応点の候補を幾何拘束式から算出し、光学拘束式で評価する。得られた対応点は、必ず幾何拘束式を満たし、かつ同時に光学拘束式を最もよく満たしている。よって、複数の画像間で被写体と光源の相対的な位置が異なる場合であっても、位置誤差が低減された対応点を算出することができる。
なお、上述の説明では、4枚の画像にわたって規定された各基準対応点の組は、それぞれが正確に対応点として特定されていることを前提とした。しかし、画像データが初めて与えられた場合等においては、基準対応点が正しく与えられない可能性がある。そこで、本実施形態においては8組(n=8)の対応点から4組(s=4)を選択して得られる基準対応点についても複数の候補を設定する。そして、基準対応点の各候補に対して上述の処理を実行し、誤差が少ない基準対応点の候補を正しい基準対応点として特定する。これにより、各画像上において、基準対応点とともに、基準対応点以外の新たな対応点(着目対応点)をより正確に求めることが可能になる。
(画像処理装置100の動作原理の説明)
次に、図2を参照しながら、本実施形態による画像処理装置100が利用する3つの動作原理を詳細に説明する。具体的には、複数画像にわたる複数の対応点が全て正しく与えられた場合に、対応点の座標値が満たすべき2つの幾何拘束式と、対応点の輝度値が満たすべき光学拘束式である。拘束式を導くに当たっては、(1)撮影対象の被写体が剛体であり、(2)光が平行に被写体に入射し、(3)被写体表面において光が完全拡散反射され、(4)アフィンカメラで被写体を撮影する、という前提条件を設定した。なお、実際には複数の物体であっても、相対位置が普遍の複数の物体は、同一の剛体、すなわち、同一の被写体とみなすことができる。
はじめに、複数の画像上の対応点の拘束式である幾何拘束式を説明する。剛体である同一被写体上のn個の点Piの3次元座標値を(Xi,Yi,Zi),(i=1..n)とし、これをアフィン投影カメラで観察して得たN枚の画像上の点をpi,j,(i=1..n,j=1..N)、点pi,jの画像座標値を(xi,j,yi,j),(i=1..n,j=1..N)とすると、2×4の行列を用いた(数1)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
(数1)において、係数aj,bjは、被写体座標系におけるカメラの位置(向きも含む)と、アフィンカメラによる投影とを積算した係数を意味する。
本実施形態では、カメラ101は、(数1)で示したアフィンカメラのモデルで近似的に表現できるものとする。なお、(数1)のアフィンカメラのモデルよりも、透視投影のモデルの方が一般的なカメラのより良い近似モデルとなる場合が多い。しかし、相対的に、カメラの焦点距離が長い、被写体の奥行き方向の厚みが小さい、被写体の動きが少ない等の場合においては、アフィンカメラの近似精度は良くなる。
同一被写体の上のn個の点を、カメラ位置を変えながらN枚の画像を撮影した場合の、画像上の点の座標値は(数2)のようになる。
Figure 2008108071
ここで右辺の左側のアフィン投影行列aj,bjは独立であり、かつ、右辺右側の対応点の3次元座標値Piは独立であると仮定する。このとき、右辺は各々4次の空間を張ることから、左辺の行列もたかだかランク4であり、次の関係式が成り立つ。
対応点pi,jのうち、N枚の画像(Nは4以上の整数)における任意の4組(s=4)の対応点pi,j(i=1..4,j=1..N)が既知であるとする。このときN枚の画像(j=1..N)におけるその他の対応点pi',j'(i’=5..n)は(数3)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
また、5枚目以降(j’=5..N)の画像上のn個の対応点の座標値は、1〜4枚目の画像のn組の対応点の座標値を用いて(数4)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
上述の複数の対応点の座標値の間に成り立つ2つの式を、幾何拘束式と呼ぶ。これらの関係式は、A. Shashua, "Trilinear Tensor: The Fundamental Construct of Multiple-view Geometry and its Applications", APAC 1997などに開示されているため、本明細書においてはこれらの文献を援用し、詳細な説明は省略する。
次に、複数の対応点の輝度値の間に成り立つ光学拘束式を説明する。光学拘束式は、被写体は完全拡散反射物体であり、かつ、照明は並行光源である場合に、被写体と照明の相対位置が異なる複数の画像の輝度値の間に成り立つ拘束式である。
ここでは画像はグレースケール(モノクロ)画像であるものとし、N枚の画像Ij,(j=1..N)において、対応点pi,jの画素における輝度値を、Ij(pi,j)とする。このとき、4枚目以降の画像上の対応点の輝度値Ij'(pi,j'),(j’=4..N)は、1〜3枚目の画像の対応点の輝度値Ij(pi,j),(j=1..3)を用いて(数5)の関係式で表すことができる。
Figure 2008108071
光学拘束式の詳細については、A.Shashua、"Geometry and Photometry in 3D Visual Recognition", Ph.D thesis, pages 79-91, Dept. Brain and Cognitive Science, MIT (1992).などに開示されているため、本明細書においてはこれらの文献を援用し、詳細な説明は省略する。
(画像処理装置100の詳細な動作の説明)
次に、上述した動作原理を用いた画像処理装置100の詳細な動作を説明する。
本実施形態においては、ユーザーがカメラ101を操作し、図2(a)の撮影環境において一連の動画像を撮影するとする。画像処理装置100は、撮影された動画像のデータを画像記憶部102に一時的に記憶し、そのデータに対して対応点を算出し、画像処理を行う。
カメラ101は、ユーザーの操作によって図2の撮影環境において動画像を撮影し、画像データを画像記憶部102に送る。画像記憶部102はその画像データを記憶する。図3は、カメラ101で撮影され、画像記憶部102に記憶された動画像の一連の画像の例を示す。上段左、上段右、中段左、中段右、下段の順に、カメラと被写体が照明に対して少しずつ動く撮影状況で撮影されている。
画像処理装置100は、たとえば図3に示すような画像記憶部102に記憶された4枚目以上の画像データを利用して、画像間の対応点を算出して出力する。複数の画像には共通して1つの被写体が写っており、その被写体は剛体であるとする。
初期対応点算出部113は、図3に示す画像データを受け取って、連続した4枚(N=4)の画像ごとに、4枚の画像にわたる対応点である初期対応点を予め定められた数(n組)算出する。
本実施形態においては、複数画像にわたる初期対応点を算出する方法として小矩形領域間の正規化相互相関を評価値として、相関が最も高くなる位置を算出するブロックマッチング法を用いるものとする。正規化相互相関を用いたブロックマッチング法による対応点探索手法は、例えば、「デジタル画像処理/奥富正敏編、202−204ページ、財団法人画像情報教育振興協会発行」などに開示されているとおり周知であるため、詳細な説明は省略する。
なお、初期対応点算出部113において、従来の対応点算出方法により算出した初期対応点は、上記課題欄で説明したとおり特に複数の画像間で照明条件が変動する場合に対応点の位置誤差が大きくなるという問題を有している。したがって、初期対応点算出部113で生成されるn組の初期対応点は、無視できない程度の大きな確率で、位置の誤差が大きい対応点の組を含むこととなる。
そこで対応点再算出部104は、初期対応点算出部113で生成された、位置誤差の大きな対応点の組を含むn組の初期対応点から、最も位置誤差の小さい4組(s=4)の初期対応点で構成される基準対応点を選択し、選択した基準対応点をもとに新たに生成した着目対応点とともに、新たな対応点として出力する。
以下、対応点再算出部104の動作についてさらに詳しく説明する。
基準候補生成部103は、初期対応点算出部113で算出された4枚の画像にわたる初期対応点をn組受け取って、4組ずつたとえばランダムに選択し、得られた4組の初期対応点の集合を1組の基準対応点候補として生成する。そして、この基準対応点候補をM組(M:2以上の整数)生成して出力する。
図4は、基準対応点候補の例を示す。図4中の「○」印で表される4組の初期対応点の集合から構成される基準対応点候補に関してはほぼ正しく対応点が算出されているのに対して、「×」印で表される4組の初期対応点の集合から構成される基準対応点候補に関しては、一部の対応点の組(たとえば鼻の位置の対応点の組)に大きな位置誤差を含んでいる。
光学係数算出部105は、4枚の入力画像と基準候補生成部103で生成されたM組の基準対応点候補を受け取り、基準対応点候補の各組について、基準対応点候補を構成する4組の対応点における輝度値の関係式(数5)から光学係数Cj'を算出して出力する。
より具体的には、4枚の画像のうち1〜3枚目の画像をI1,I2,I3とし、4枚目の画像をIjとする。このとき各基準対応点候補を構成する4組の対応点の輝度値Ij(pi,j)は(数5)の関係式を満たすため、(数5)中の3つの係数Cj'1,Cj'2およびCj'3を算出できる。この3つの光学係数を、M組の基準対応点候補の各組ごとに算出して出力する。
新規候補生成部106は、M組の基準対応点候補を受け取って、各基準対応点候補を構成する初期対応点の組ごとに、幾何拘束式を満たす複数の対応点を算出し、これらを着目対応点候補として出力する。着目対応点候補は、基準対応点候補とは異なる対応点の組である。以下、図5を参照しながら、ある1組の基準対応点候補に対応する着目対応点候補を算出する方法について説明する。
図5(a)〜(d)は、各画像における着目対応点候補の例を示す。図5(a)〜(d)において、「○」印はM組の基準対応点候補のうちの1組を示す。たとえば、図5(a)〜(d)に示されている、被写体の像の額に位置する基準対応点候補(「○」印)は、被写体の像の額に関する対応点として、画像間で対応付けられている。以下の説明では、画像間で互いに対応付けられている基準対応点候補は、位置誤差がほとんどないと仮定して説明する。このとき新規候補生成部106は、1枚目の画像上の全ての画素に対して、各画素の画像座標値(xi,1,yi,1)を1個の着目点とした場合の、2〜4枚目の画像上の対応する点の候補の画像座標値を複数算出する。
以下、ある1個の着目点(xi,1,yi,1)に対応する2〜4枚目の画像上の対応点の候補(着目対応点候補)を算出する手順を説明する。
着目点(xi,1,yi,1)に対応する2枚目の画像での対応点候補の座標(xi,2,dx,yi,2,dy)を、点(xi,1,yi,1)を中心とした予め定められた矩形の探索範囲の幅±wsx,±wsyを用いて与える(数6)。
Figure 2008108071
1枚目の着目点(xi,1,yi,1)に対する2枚目の対応点候補(xi,2,dx,yi,2,dy)が予め与えられているとすると、3、4枚目の画像での対応点候補の座標(xi,3,dx,yi,3,dy),(xi,4,dx,yi,4,dy)は、(数3)を変形して得た関数Fを用いた式(数7)により算出することができる。
Figure 2008108071
すなわち、数7は1枚目の画像上の着目点と2枚目の画像上の対応点候補が決定されれば、3、4枚目の画像上での対応点候補が算出できることを意味している。
いま、図5(a)中の「+」印を1枚目の画像上の着目点とすると、図5(b)中での矩形の領域内の複数の点が、2枚目の画像上の対応点候補となる。3、4枚目の画像上での対応点候補の領域は、図5(c)(d)中の四辺形で囲まれた領域に存在する。
以上のようにして、1枚目のある1つの着目点(xi,1,yi,1)に対して、着目点に対する対応点の候補(xi,2,dx,yi,2,dy)、(xi,3,dx,yi,3,dy)、(xi,4,dx,yi,4,dy)を、W通り(W:(2*wsx+1)×(2*wsy+1))算出することができ、これを1組の着目対応点候補とする。
新規候補生成部106は、上述の処理を1枚目の画像のすべて画素(S画素)を着目点として繰り返し、基準対応点候補の1組について着目対応点候補を複数組(S組)生成する。
新規候補生成部106は、上述の処理をさらにM組の基準対応点候補の各組に対して行い、都合、M×S組の着目対応点候補の組を生成する。以上のようにして新規候補生成部106によって生成されたM×S×W通りの着目対応点候補は、対応する基準対応点候補に対して、いずれも幾何拘束式(数3)を満たした対応点の組となっている。
新規候補選択部107は、入力画像と、光学係数算出部105で算出された光学係数と、新規候補生成部106で生成された着目対応点候補を受け取って、光学拘束式(数5)を最も良く満たす着目対応点候補を選択して出力する。新規候補選択部107の動作の原理は以下のとおりである。
すなわち、ある1組の基準対応点候補に対応する複数組の着目対応点候補の各組において、ある1個の着目点に対応する複数通り(W通り)の対応点の候補のうちの正しく対応している対応点の候補(着目対応点)は、その1組の基準対応点候補が満たす光学拘束式(数5)を満たすはずである。
言い換えると、1組(W通り)の着目対応点候補うちの正しい着目対応点は、光学係数Cj’と、1枚目の着目点(xi,1,yi,1)とその対応点の候補(xi,2,dx,yi,2,dy)、(xi,3,dx,yi,3,dy)、(xi,4,dx,yi,4,dy)との関係を表す(数8)の誤差評価式err(xi,1,yi,1,xi,2,dx,yi,2,dy)が理想的には0となるはずである。
Figure 2008108071
そこで、新規候補選択部107は、1組(W通り)の着目対応点候補から(数8)が最小となる(xi,2,yi,2),(xi,3,yi,3),(xi,4,yi,4)を計算によって特定し、選択する(数9)。
Figure 2008108071
この着目点(xi,1,yi,1)と選択された(xi,2,yi,2),(xi,3,yi,3),(xi,4,yi,4)の組を着目対応点とする。この選択された1組の着目対応点は、ある1組の基準対応点候補に対応する1組(W通り)の着目対応点候補のうちで、同じ基準対応点候補の光学拘束式(数5)を最も良く満たす対応点を意味する。
新規候補選択部107は、上述の処理を1組の基準対応点候補に対するS組の着目対応点候補について繰り返し、1組の基準対応点候補に対してS組の着目対応点を算出する。新規候補選択部107は、さらにM組の基準対応点候補に対して同様の処理を繰り返し、基準対応点候補の各組についてそれぞれS組の着目対応点を算出する。
上述の新規候補選択部107の説明では、理解の簡単化のために、1枚目の着目点(xi,1,yi,1)を基準にした矩形の探索範囲(±wsx,±wsy)内の点が2枚目の画像上の対応点候補であるとした。
しかし、基準となる着目点を設定する画像や探索範囲を設定する画像を限定するものではなく、どのような組み合わせであっても良い。例えば、1枚目の着目点(xi,1,yi,1)を基準として、2枚目のx座標xi,2,dxと3枚目のx座標xi,3,dxとに対して、それぞれ探索範囲±wsx2,±wsx3を設定することができる。このとき、(数3)式を変形すると、2枚目のy座標、3枚目のy座標、および、4枚目のx,y座標(yi,2,dy,yi,3,dy,xi,4,dx,yi,4,dy)を算出することができる。このような着目対応点候補を用いても、同様に新規候補選択部107において光学拘束式(数5)を最も良く満たす着目対応点候補を選択することができる。
基準候補選択部108では、新規候補生成部106で生成されたM組の基準対応点候補と、新規候補選択部107で選択された基準対応点候補の各組についてS組の着目対応点を入力として、1組の基準対応点候補を選択し、選択された基準対応点候補(基準対応点)とそれに対応した着目対応点を、入力画像に対応する最良の対応点として出力する。
基準候補選択部108におけるM組の基準対応点候補から1組を選択する手順を説明する。ある1組の基準対応点候補に対する評価値Emを(数10)で算出する。さらに、M組の基準対応点候補について、それぞれ評価値を算出し、この評価値が最小となる基準対応点候補の組を最良の基準対応点として選択する。
Figure 2008108071
そして、基準候補選択部108は、選択された1組の基準対応点とそれに対応する1組の着目対応点を、4枚の入力画像に対する新たな対応点として出力する。
上述した各処理要素の動作手順によれば、4つの画像わたる新たな対応点を複数算出することができる。動画像に含まれる画像が4枚より多い場合は、上述した手順を連続した4画像ごとに順次繰り返せばよい。これにより、全ての入力画像に対して対応点を算出することができる。
上述の(数10)の評価値Emは、ある1組の基準対応点候補から得られるS組の着目対応点の光学拘束式(数5)に対する誤差の総和を示す。さらに、着目対応点の各組は幾何拘束式(数3)も同時に満たしている。このことから、(数10)の評価値Emは、ある1組の基準対応点候補とそれに対応するS組の着目対応点が光学拘束式と幾何拘束式を満たす度合いを表す値となる。したがって、基準候補選択部108において選択された1組の基準対応点とそれに対応するS組の着目対応点からなる新たな対応点は、M組の基準対応点候補とそれに対応する着目対応点のうち、光学拘束式と幾何拘束式を最もよく満たす組となっている。
なお、上述の基準候補選択部108は、M組の基準対応点候補と対応する着目対応点のうち、光学拘束式と幾何拘束式を最もよく満たす組を選択するとしたが、必ずしも最もよく満たす組である必要はない。例えば、M組の基準対応点候補それらに対応する着目対応点のうち、光学拘束式と幾何拘束式を満たす度合いがあらかじめ定められた基準値以内である組が複数ある場合、光学拘束式と幾何拘束式を満たすどの組を選択しても構わない。
以上から、本発明の実施形態1で算出される対応点は、入力画像が照明条件の変化する画像であり、初期対応点113で生成された初期対応点が、ある確率で位置誤差を含む場合であったとしても、初期対応点から生成した複数の基準対応点の候補の中から、最も良く光学拘束式と幾何拘束式を満たす基準対応点を選択することができる。この光学拘束式は、照明条件の変化する画像であっても、その画像間の対応点の輝度値が満たすべき拘束式である。その結果、照明条件の変化する画像に対しても適切な基準対応点候補と位置誤差の小さい対応点を算出できる。
図6は、画像処理装置100の動作の手順を示すフローチャートである。上述の処理は、図6に示す一般化された手順にしたがって実行される。
ステップS61において、基準候補生成部103はN枚(N:4以上の整数)の画像で構成される画像データを画像記憶部102から読み出す。
ステップS62において、初期対応点算出部113は、N枚の画像にわたる対応点を初期対応点としてn組(n:4以上の整数)算出し、出力する。ステップS63において、基準候補生成部103は、n組の初期対応点のうちから、s組(s:4以上、n以下の整数)の初期対応点の集合を1組の基準対応点の候補として選択し、合計M組の異なる基準対応点の候補を生成する。
ステップS64において、光学係数算出部105は、M組の候補の組ごとに、各画像上の対応点の輝度値が光学拘束式を満たすように、光学係数を算出する。
次のステップS65において、新規候補生成部106は、M組の候補の組ごとに定まる幾何拘束式を満たすように、M組の候補の各組に対応して、画像間で対応付けられた新たな対応点(着目対応点)の組の候補をS組生成する。
ステップS66において、新規候補選択部107は、着目対応点の各候補に対して、各画像上の対応する着目対応点の輝度値と算出された光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度(誤差)を評価する。そしてステップS67において、新規候補選択部107は、各評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択し、着目対応点として出力する。
最後にステップS68において、基準候補選択部108は、上記評価結果を基準対応点の候補の組ごとに評価し、評価結果に基づいて1組の基準対応点の候補を選択する。そしてその候補を基準対応点として出力する。
以上の処理によって、画像処理装置100は、複数画像間の変化が被写体の相対的な動きと照明条件の変化によるという仮定に最も合致した対応点の組を算出することが可能になる。その結果、照明条件が異なる複数の画像が入力された場合であっても、位置誤差を低減した対応点を算出することができる。
本実施形態においては、基準候補生成部103は、初期対応点の複数の組からランダムに選択して基準対応点候補を生成するとした。しかし、複数の初期対応点からランダムに選択した上で、4画像分の4組の初期対応点の輝度値から4行4列の輝度行列を生成し、独立性の高い輝度行列を選択して出力するとしても良い。
この4行4列の輝度行列は、被写体が完全拡散反射物体、照明が並行光源という条件下で、4枚の画像において被写体に対する光源方向が独立であり、かつ4対応点の法線が独立である場合に、ランク3の行列となる。しかし、画像間で光源方向が近い場合や、対応点間の法線方向が近い場合に、その独立性が低下し、ランクが2以下になることがある。
この輝度行列の独立性は、輝度行列の固有値を算出し、その最も大きい固有値(第1固有値)と3番目に大きい固有値(第3固有値)の比(条件数)で評価することができ、この比が大きいとき独立性が高い。この輝度行列の独立性が高い基準対応点候補は、独立性の低い基準対応点候補に対して、(数5)の光学拘束式を算出した場合の精度が向上する。したがって、輝度行列の独立性の高い基準対応点候補を用いた場合、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなるという効果がある。
なお、本実施形態においては、基準候補生成部103は複数の初期対応点からランダムに選択して4組の初期対応点からなる基準対応点候補を生成するとした。
しかし、基準対応点候補を生成するにあたっては、複数の初期対応点からランダムに選択した上で、4フレームにわたる4個の対応点の輝度値から4行4列の輝度行列を生成し、その輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比が予め定められた値より小さい初期対応点の組を基準対応点の候補に入れないように除外してもよい。前述のように、輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比が小さい場合には(数5)の光学拘束式を算出した場合の精度が低下する。そこで、このような基準対応点の候補を除くことによって、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなる。予め定められた値の具体例として、例えば、第1固有値に対する第3固有値の比が0.01より小さい場合に基準対応点の候補から除外する、としてもよい。前述したように、画像間で光源方向が近い場合や、対応点間の法線方向が近い場合に、その独立性が低下してランクが2以下になることがある。しかしながら、実際には計測された輝度値には微小な誤差を含むために、第1固有値に対する第3固有値の比が完全に0になることはまれである。そこで、予め定められた値より小さい場合に基準対応点の候補から除外することで、実質的にランクが2以下である基準対応点の候補を除くことができる。その結果、より独立性の高い基準対応点の候補を生成することが可能となり、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなる。
また、複数の初期対応点の候補をランダムに選択する代わりに、対応点近傍の各色画像間の相関がより低い初期対応点を、優先的に選択して基準対応点の候補を生成するとしても良い。たとえば、入力画像が赤(R)緑(G)青(B)の3原色で構成される色画像であるとする。そして、各対応点の近傍の小領域画像に対して、G画像とR画像、または、G画像とB画像の輝度値の相関値を算出する。そして色画像間の相関値が低い対応点を含む対応点を優先的に選択する。ここでいう「色画像間の相関値」とは、たとえば画像の輝度の空間勾配を利用して評価することができる。
画像の輝度の空間勾配の変化は、被写体表面のテクスチャと、被写体表面の凹凸による輝度変化の大きく2つに起因する。光源の向きが変化すると、被写体表面のテクスチャの輝度は小領域内で同じ比率で変化するのに対し、被写体表面の凹凸による輝度変化は局所的に発生する。そのため、ある画素を中心としたその近傍(たとえば5画素以内)の画素群を含む小領域中の輝度の空間勾配が同じである場合、その要因がテクスチャである場合は、被写体表面の凹凸による場合に比べて、対応点の位置誤差が小さくなることが期待できる。さらに、被写体方面の凹凸によって輝度が変化する場合、各色均等に輝度が変化するため、小領域中のRGB各色画像間で相関が高くなる。したがって、各色画像間の相関がより低い対応点は、従来の対応点算出方法で算出した場合においても、その位置誤差が小さいことが期待できる。そこで、複数の初期対応点の中から、このような初期対応点を優先的に選択して基準対応点候補を生成することで、結果として位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなるという効果がある。
なお、小領域中の輝度値の空間勾配が大きいということは、輝度の差が大きいことを意味している。したがって、画像の変化に応じて被写体の角度が変化している場合であっても、その小領域を特定しやすいといえる。よって、空間勾配が大きい小領域中の画素を基準対応点候補として優先的に選択すると、位置誤差の小さい対応点を算出できる可能性が高くなる。
本実施形態においては、対応点再算出部104を構成する各処理要素は、複数の入力画像のうち4枚の画像に対して前述の処理を繰り返すとしたが、5枚目以降の処理については、新規候補生成部106において、(数4)の式を用いて着目対応点候補を算出するとしても良い。なお、上述した4枚分の画像における対応点が既知である場合に、5枚目以降の対応点を算出する処理は周知であるため、詳細の説明を省略する。例えば「A.Shashua、"Geometry and Photometry in 3D Visual Recognition", Ph.D thesis, pages 107-124, Dept. Brain and Cognitive Science, MIT (1992).」などに開示されている処理を用いることができる。
本実施形態においては、基準対応点候補は4個(s=4)の初期対応点の組で構成されるものとしたが、4個に限定するものではない。例えば、5個以上(s>=5)の初期対応点の組であっても、最小二乗法によって(数3)(数4)の係数をそれぞれ算出することができるため、上述の処理と同様の処理を行うことができる。5個以上の初期対応点の組から最小二乗法によって係数を算出することで、ノイズの影響を受けにくくなるという効果がある。
光学係数算出部105は、基準対応点候補の各対応点の座標値の入力画像の輝度値を用いて光学係数を算出するものとしたが、基準対応点の各画像ごとの点間距離に応じて、入力画像に空間方向の低域通過フィルタをかけた輝度値を用いて光学係数を算出するとしても良い。上述の複数の入力画像は被写体とカメラの距離が画像によって異なるため、基準対応点候補の対応点の1画素に対応する被写体表面上での面積も画像によって異なる。そのため、本来は被写体表面の同一点の輝度値の拘束式である光学拘束式(数5)に、誤差が含まれることになる。
誤差を低減するためには、対応点の1画素に対応する被写体表面上での面積が、複数の入力画像間でなるべく一定になるようにすると良い。例えば、複数の入力画像のうち、1画素に対応する被写体表面の面積がより小さい画像に対し、カットオフ周波数のより低い低域通過フィルタを施した画素値を対応点の画素値として用いることで、光学拘束式の誤差を低減することができる。しかしながら、1画素に対応する被写体表面の面積を直接得ることはできない。一方、基準対応点の点間距離が大きいほど、1画素に対応する被写体表面での面積が小さいと言える。
そこで、入力画像ごとに基準対応点候補の対応点間距離の平均値を算出し、その比に応じたカットオフ周波数をもつ低域通過フィルターを入力画像に施すことで、等価的に1画素に対応する被写体表面上での面積が複数の入力画像間でより均一に近づくため、光学拘束式の誤差が低減し対応点の精度が向上するという効果がある。
上述の点間距離に代えて、他の方法で光学拘束式の誤差を低減することもできる。たとえばExif規格などのように、被写体までの距離や焦点距離などの倍率の情報が画像データに付加される場合には、その倍率情報から1画素に対応する被写体表面の面積の情報を算出してカットオフ周波数を設定した低域通過フィルタを設定してもよい。この倍率情報を利用すると、画像上の被写体の倍率が異なっている場合であっても、1画素に対応する被写体表面上での面積を複数の入力画像間で均一に近づけることができるため、光学拘束式に発生する誤差を低減することができる。
(実施形態2)
図7は、本実施形態による画像処理装置120の機能ブロックの構成を示す。本実施形態による画像処理装置120が、実施形態1の画像処理装置100と異なる点は、画像処理装置100の出力部109に代えて、画像合成部110を設けたことにある。画像合成部110は、複数枚の画像と、複数画像にわたって特定された対応点とを受け取って、入力された画像の解像度よりも解像度が高い合成画像を出力する。ここで「解像度が高い」とは、被写体の同一領域を映した画像において、高い空間周波数成分を有することを意味する。
以下、画像合成部110の詳細を説明する。なお、図7に示す画像処理装置120の構成要素のうち、画像処理装置100(図1)の構成要素と同じ構成要素に対しては、同じ参照符号を付し、その説明は省略する。
画像合成部110は、座標変換部111と画像生成部112とを有している。
座標変換部111は、複数画像とその対応点とを受け取り、それらの画像から、座標を変換した画像(座標変換画像)を生成する。座標変換画像とは、受け取った複数枚の画像のうち、ある画像と相対的な座標位置(構図)が同じで、かつ画像サイズを大きくした画像である。座標変換部111は、各画像に対応した複数の座標変換画像を生成してそれらを1組として出力する。
画像生成部112は、複数組の座標変換画像を受け取って、各組ごとに、複数の座標変換画像から同じ位置の画素の輝度値が満たす光学拘束式の係数である変換係数を算出し、複数の座標変換画像の変換係数による線形結合によって合成画像を生成して出力する。
次に、画像処理装置120の動作を説明する。以下では、対応点再算出部104までの処理は実施形態1と同じであるため説明は省略し、対応点再算出部104の出力処理から説明する。また、対応点再算出部104から出力されるN枚の入力画像をIj,(j=1..N)とし、入力された複数枚の画像にわたるn組の対応点をpi,j,(i=1..n,j=1..N)とし、その画像座標を(xi,j,yi,j),(i=1..n,j=1..N)と表す。
図8は、本実施形態における複数枚の入力画像の例を示す。入力された画像は6枚(N=6)であり、各入力画像のサイズは640画素×480画素であるとする。対応点pi,jは、被写体(彫像)の領域に存在するとして説明する。
座標変換部111は、複数枚画像で構成される画像データとその対応点を受け取り、各画像を座標変換することにより、入力画像と構図が同じ複数の座標変換画像を生成する。ここで、構図が同じとは、画像中の被写体の相対的な座標位置が同じことをいう。
また、ある1つの入力画像Ikと構図が同じ座標変換画像の座標位置は、入力画像Ikの座標位置を拡大率rで拡大することで算出する。この拡大率rは長さの比率であり、あらかじめユーザーの指示によって与えられるとする。
以下、座標変換部111の動作を詳しく説明する。以下では、複数の入力画像Ij,(j=1..N)と対応点pi,j,(i=1..n, j=1..N)を用いて、ある1つの入力画像Ikと構図が同じ複数の座標変換画像Ik,jを生成する動作を説明する。
座標変換部111は、ある1つの入力画像Ikの対応点pi,k,(i=1..n)の画像座標(xi,j,yi,j),(i=1..n)に、拡大率rを乗じた座標値を算出し、これを複数の座標変換画像Ik,j(j=1..N)に共通の対応点qi,k=(r・xi,k,r・yi,k),(i=1..n)とする。
さらに、座標変換部111は、座標変換画像の対応点qi,k,(i=1..n)と、各対応点pi,j,(i=1..n、j=1..N)と、各入力画像Ij,(j=1..N)とを用いてテクスチャマッピングすることで、複数の座標変換画像Ik,j(j=1..N)を生成する。
座標変換画像Ik,jをテクスチャマッピングで生成する方法の例を説明する。まず、入力画像Ikのn個の対応点pi,k,(i=1..n)から、ドロネー三角分割法によって、複数の三角形の集まりとして構造化する。そして、座標変換画像上の三角形内の画素の座標値は、対応する入力画像上の三角形内の画素の座標値のアフィン変換により関係づけられると仮定する。すると、座標変換画像上の任意の画素の座標値と、入力画像上の画素の座標値との対応関係が得られる。これにより、座標変換画像上のある画素の画素値として、対応する入力画像の画素値を用いることで、座標変換画像を生成することができる。なお、画像と対応点を用いて、テクスチャマッピングにより合成画像を生成する上述の手法は、コンピュータグラフィックスの手法として広く知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
さらに、座標変換部111は、各入力画像Ij,(j=1..N)中の被写体面積に対する、座標変換画像Ik,j(j=1..N)中の被写体面積の比を、面積比sk,j,(j=1..N)として算出して出力する。なお、被写体面積の比は座標変換画像中の被写体面積/入力画像中の被写体面積として求めることができる。
以上の手順によって生成される複数の座標変換画像Ik,j(j=1..N)は、入力画像Ikに対して、被写体の相対的な2次元座標位置(構図)は同じである。しかし、座標変換画像Ik,j(j=1..N)の画素値は、複数の入力画像Ij,(j=1..N)の画素値を用いて生成されているため、変換前後の照明条件は異なっている。さらに、座標変換画像Ik,j(j=1..N)は、入力画像Ikに対して、その座標値がr倍された画像、すなわち画像サイズの大きい画像となっているという特徴を持つ。
座標変換部111は、上述した動作によって、ある1つの入力画像Ikと構図が同じ複数の座標変換画像Ik,j,(j=1..N)からなる組を生成する。さらに上述の動作を繰り返し処理することで、複数の組からなる入力画像Ik,(k=1..N)と座標変換画像Ik,j,(k=1..N),(j=1..N)生成して出力する。
図8は6枚の画像Ijの例を示す。各画像は照明条件が異なっている。画素数は、いずれも640画素×480画素とする。
図9は、図8(c)の1つの入力画像I3(k=3)と構図が同じである複数の座標変換画像I3,jの例である。本実施形態では、拡大率rを2としている。生成される座標変換画像の画像サイズは1280画素×960画素となる。
図9(a)〜(f)から明らかなように、図8(c)の入力画像I3に対して、図9の6枚の座標変換画像I3,jは、構図が同じで、照明条件が異なり、かつ、画像サイズが大きいことが理解される。
座標変換部111は、図9に示す座標変換画像Ij,k(k=1..N)の組を、各入力画像Ik(k=1..N)に対して複数組生成するとともに、面積比rk,jを算出して出力する。
画像生成部112は、複数の座標変換画像の組Ik,jと面積比rk,jを受け取り、各組ごとに、複数の座標変換画像から、同じ座標位置の画素の輝度値が満たす光学拘束式の係数(変換係数)を算出する。
以下、画像生成部112において変換係数を算出する方法を説明する。
画像生成部112は、座標変換画像Ik,jと面積比rk,jを受け取り、各組kごとに面積比rk,j,(j=1..N)のうち、値が小さい方から3つの座標変換画像を選択する。ここで選択された3つの座標変換画像をIk,a、Ik,b、Ik,cとし、その任意の点piの画素値をIk,a(pi)、Ik,b(pi)、Ik,c(pi)とする。このとき、入力画像Ikの拡大画像に相当する座標変換画像Ik,kの画素値Ik,k(pi)と、画素値Ik,a(pi)、Ik,b(pi)、Ik,c(pi)には、(数11)の光学拘束式が成り立つ。
Figure 2008108071
(数11)において、Dk,a、Dk,b、Dk,c(これらをDkと記述する)は変換係数である。
この変換係数Dkは、複数の座標変換画像上の3点以上のpiの画素値から算出することができる。(数11)の式は、原理上は座標変換画像Ik,k、Ik,a、Ik,b、Ik,cの解像度が同一の場合に成り立つ。しかし、実際には複数の座標変換画像の解像度は同一とは限らないため、(数11)の関係式は誤差を含み得る。そこで、本実施形態では、3点より十分に多い点piにおける画素値から、最小2乗法を用いて変換係数Dkを生成する。
図9の例では、6つの座標変換画像I3,jにおいて、その被写体面積は同じである。また、図8の6つの入力画像において、その被写体面積は大きい方からI6、I5、I4、I3、I2、I1の順となる。ゆえに、面積比s3,kは小さい方から順にs3,6、s3,5、s3,4、s3,3、s3,2、s3,1となる。したがって、変換係数D3は、座標変換画像I3,3と、座標変換画像I3,4、I3,5、I3,6を用いて算出されることとなる。
次に、画像生成部112は、変換係数Dk、座標変換画像Ik,jを(数12)に代入して線形画像I’kを生成する。
Figure 2008108071
(数12)の線形結合によって生成される線形画像I’kは、入力画像Ikの拡大に相当する座標変換画像Ik,kと比べて、構図と照明条件は同じで、解像度が高くなる場合がある。
例えば、図8の6つの入力画像における被写体の面積は、入力画像I3よりも入力画像I4、I5、I6の方が大きいので、入力画像I3よりも入力画像I4、I5、I6の方が解像度は高い。一方、図9の6つの座標変換画像I3,jは、被写体面積が同じである。したがって、入力画像I3,(k=3)から生成した座標変換画像I3,3(図9(c))よりも、入力画像I4、I5、I6からそれぞれ生成した座標変換画像I3,4、I3,5、I3.6(図9(d)(e)(f))の方が、解像度が高くなる。したがって、座標変換画像I3,4、I3,5、I3.6の線形結合(数12)によって生成される線形画像I’3の解像度は、座標変換画像I3,3よりも高くなる。
逆に、図8(f)に示す入力画像I6,(k=6)と構図が同じ複数の座標変換画像I6,j,(j=1..N)から生成した線形画像I’6は、座標変換画像I6,6よりも解像度が低くなると考えられる。複数の入力画像Ijの中に入力画像I6よりも解像度の高い画像が存在しないためである。
そこで画像生成部112は、線形画像I’kと座標変換画像Ik,kの空間周波数成分を解析して高周波成分がより多い方を選択し、合成画像I’’kとして画像記憶部102に記憶する。上述の動作によって得られる合成画像I’’kは、入力画像Ikと構図と照明条件は同じで、解像度は高いか、または、同じになる。
図10は、本実施形態による画像処理装置120が生成した合成画像の例を示す。そして図11(a)は図10(c)の合成画像の拡大図であり、図11(b)は図8(c)の入力画像の拡大図である。図11(a)の合成画像は、図11(b)の入力画像よりも、解像度が高くなっていることが理解される。
上述したように、被写体とカメラと光源の位置関係の異なる複数の画像(図8)を入力として、解像度を高めた合成画像(図11)を生成している。特に、被写体とカメラの距離が異なる複数の画像のうち、解像度の高い被写体の画像(例えば図8(f))の情報を利用することで、解像度の解像度の高めた合成画像を生成できると言える。
上述の処理では、合成前の画像と、合成に利用される被写体の解像度が高い画像との間で被写体と光源の位置関係が異なるため、位置誤差の少ない対応点を如何に算出するかが重要である。
図12(a)は、従来の技術による対応点算出手法で得られた対応点と、本発明による対応点算出手法で得られた対応点との比較例を示す。
図12(a)の2つの入力画像において、従来の対応点算出手法により求めた対応点を「×」印で示す。画像間の矩形領域の輝度差や相関値を評価値として対応点を算出する従来法では、被写体表面の輝度が変化する画像間の対応点を正確に求めるのが困難である。
多くの位置誤差を含む対応点を用いて、画像合成部110を用いて合成画像を生成したとしても、被写体の解像度が向上しなかったり、合成画像の一部の輝度に誤差を含むという問題が発生する。
図12(b)は、位置誤差の多い対応点から生成した合成画像の例を示す。この図では、被写体の左目付近は、対応点の位置ずれによって、合成画像がぼけたような画像となる。また、右あご付近は、位置ずれによって輝度誤差が大きい(暗い)画像となっている。
本発明による対応点の算出方法では、このような問題の発生を十分低減できる。実施形態1の画像処理装置100の説明において詳述したように、光学拘束式と幾何拘束式を満たす基準対応点を選択する手法によって、被写体と光源の相対的な位置が異なる場合、すなわち照明条件が異なる場合でも位置誤差が低減された対応点を算出することができるためである。
図12(a)は、本実施形態の画像処理装置120が算出した対応点が「○」印で示されている。被写体表面の輝度が変化しても画像間の対応点が正確に求められていることが理解される。
画像処理装置120の画像合成部110は、合成画像の幾何的変形を行ったのち、同じ光学拘束式を用いて合成画像の生成を行う。図12(c)は、位置誤差の少ない対応点から生成した合成画像の例を示す。光学拘束式と幾何拘束式を満たすように算出された対応点を用いることによって、図12(c)のように輝度誤差や位置誤差が少なく、かつ、より高い解像度の合成画像を生成することが可能になる。
以上、本発明の実施形態1および2を説明した。上述の実施形態の説明では、幾何拘束式および光学拘束式を導くに当たって種々の前提条件((1)撮影対象の被写体が剛体であり、(2)光が平行に被写体に入射し、(3)被写体表面において光が完全拡散反射され、(4)アフィンカメラで被写体を撮影する)を設定した。しかし、これらは各拘束式を数学的に導くための条件であり、本願発明にかかる画像処理装置および方法等を実施するに当たってはこれらの条件が厳密に満たされている必要はない。
たとえば、被写体は剛体であると仮定したが、厳密には剛体ではなくてもよい。複数の画像間で被写体が局所的に変形している場合であっても、画像間における被写体とカメラ位置の相対的な位置変動に対して、被写体の局所的な変形が十分に小さい場合は近似的に剛体として考えることができるため、上述した処理を行うことができる。または、被写体に入射する光は厳密に平行でなくてもよいし、被写体表面において光が完全拡散反射されていなくてもよい。
なお、本発明の実施形態1および2において、画像データ中には1つの被写体が存在し、複数の対応点(初期対応点、基準対応点、着目対応点を含む)は、同一の被写体に存在するものとして説明した。画像データ中に複数の物体が存在する場合であっても、物体間の相対位置が変化しない場合は、同一の剛体とみなすことができる。したがって、画像データ中に複数の被写体が存在し、かつ、被写体間の相対位置が変化しない場合は、同一の被写体とみなして同様に処理を行うことができる。
さらに、画像データ中に複数の被写体が存在し、かつ、複数の被写体間の相対位置が変化する場合、対応点再算出部104で算出される対応点は、いずれか1つの被写体に存在する対応点のみが出力されることとなる。なぜならば、複数の対応点が相対位置が変化する複数の剛体(被写体)に存在する場合、これら複数の対応点は幾何拘束式(数3)を満たさないためである。以上のことから、画像データ中に複数の被写体が存在し、かつ、複数の被写体間の相対位置が変化する場合、実施形態1および2で説明した一連の動作を一度行うと、複数の被写体のうちのある1つの被写体について、対応点の生成や画像の高解像度化を行うことができる。さらに、一連の動作を一度行った結果生成された対応点が存在する画像領域を除外した上で、同様の処理を繰り返すことで、複数の被写体のうちの別のある1つの被写体について、対応点の生成や画像の高解像度化を行うことができる。以上のことから、画像データ中に複数の被写体が存在する場合であっても、本発明の実施形態1および2と同様の処理を行うことができる。
上述の実施形態においては、図1および図7に示す機能ブロックを用いて画像処理装置を説明した。このような機能ブロックは、ハードウェア的には、デジタル信号プロセッサ(DSP)のような1つの半導体チップまたはICによって実現することも可能であるし、たとえばコンピュータとソフトウェア(コンピュータプログラム)とを用いて実現することもできる。
たとえば、図13はコンピュータによって構成された画像処理装置のハードウェア構成を示す。
図1および図7に示す機能ブロックと、図13に示すハードウェアとの対応関係は以下のとおりである。すなわち、図1および図7のカメラ101は、図13に示すカメラ1001およびA/D変換器1002に対応する。また、図1および図7の画像記憶部102は、図13に示すフレームメモリ1003またはハードディスクドライブ(HDD)1010に対応する。そして図1および図7の初期対応点算出部113および対応点再算出部104は、コンピュータプログラムを実行した図13のCPU1004によって実現される。また、図7の画像合成部110についてもコンピュータプログラムを実行した図13のCPU1004によって実現される。図1の出力部109は種々考えられる。たとえば出力されるデータが他のプログラム(たとえば、手ぶれ補正プログラムや符号化プログラム)へ渡される場合には、出力部109は図13におけるRAM1006となる。
図13のコンピュータを動作させるコンピュータプログラムは、たとえばROM1005に保持されている。コンピュータプログラムは、プロセッサであるCPU1004によってRAM1006に読み出されて展開される。CPU1004はコンピュータプログラムの実態であるコード化された各命令を実行する。
なお、コンピュータプログラムは、たとえば図6に示すフローチャートのような手順で記述されている。コンピュータプログラムは、半導体であるROM1005に限られず、たとえば光ディスク、磁気ディスクに格納されていてもよい。また、有線や無線のネットワーク、放送などを介して伝送され、コンピュータのRAM1006に取り込まれてもよい。
本発明にかかる画像処理装置は、カメラで撮影された画像の画質改善、動画像の符号化、ならびに画像中の被写体の形状認識を行う画像処理装置として有用である。その利用形態は、独立した画像処理装置であっても良いし、カメラやディスプレイに内蔵されるものであっても良い。
実施形態1による画像処理装置100の機能ブロックの構成を示す図である。 (a)は画像処理装置100が用いられる画像の撮影環境を示す図であり、(b)は撮影された画像の例を示す図である。 カメラ101で撮影され、画像記憶部102に記憶された動画像の一連の画像の例を示す図である。 基準対応点候補の例を示す図である。 (a)〜(d)は、各画像における着目対応点候補の例を示す図である。 画像処理装置100の動作の手順を示すフローチャートである。 実施形態2による画像処理装置120の機能ブロックの構成を示す図である。 実施形態2における複数枚の入力画像の例を示す図である。 図8(c)の1つの入力画像I3(k=3)と構図が同じである複数の座標変換画像I3,jの例である。 実施形態2による画像処理装置120が生成した合成画像の例を示す図である。 (a)は図10(c)の合成画像の拡大図であり、(b)は図8(c)の入力画像の拡大図である。 (a)は、従来の技術による対応点算出手法で得られた対応点と、本発明による対応点算出手法で得られた対応点との比較例を示す図であり、(b)は位置誤差の多い対応点から生成した合成画像の例を示す図であり、(c)は位置誤差の少ない対応点から生成した合成画像の例を示す図である。 コンピュータによって構成された画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
符号の説明
100、120 画像処理装置
101 カメラ
102 画像記憶部
113 初期対応点算出部
103 基準候補生成部
104 対応点再算出部
105 光学係数算出部
106 新規候補生成部
107 新規候補選択部
108 基準候補選択部
109 出力部
110 画像合成部
111 座標変換部
112 画像生成部

Claims (16)

  1. N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出する初期対応点算出部と、
    前記n組の初期対応点から、s組(s:4以上n以下の整数)の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を選択して、M組(M:2以上の整数)の基準対応点の候補を生成する基準候補生成部と、
    前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出する係数算出部と、
    前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成する新規候補生成部と、
    前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価し、評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力する第1選択部と、
    前記第1選択部の評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択し、選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力する第2選択部と
    を備えた画像処理装置。
  2. 前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点の前記N枚の画像の輝度値からなるN×s輝度行列の独立性を評価し、評価結果に基づいて、前記M組の基準対応点の各候補を選択する、請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記基準候補生成部は、前記N×s輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比を評価値として、より大きい評価値が得られたN×s輝度行列に対応するs個の初期対応点の集合から順に基準対応点の候補として選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記基準候補生成部は、前記N×s輝度行列の第1固有値に対する第3固有値の比があらかじめ定められたしきい値より小さい場合において、前記N×s輝度行列に対応するs組の初期対応点の集合を、基準対応点の候補から除外する、請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点について、各画像上の点近傍の輝度値の空間勾配の大きさを評価し、より大きい空間勾配が得られたs組の初期対応点の集合から優先的に基準対応点の候補として選択する、請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記N枚の画像は色画像であり、前記基準候補生成部は、選択したs組の初期対応点について、各画像上の点近傍の各色画像間の相関を評価し、より低い相関が得られたs組の初期対応点の集合から優先的に基準対応点の候補として選択する、請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 前記係数算出部は、各画像上の各点の点間距離および各画像における被写体の倍率の一方に応じてカットオフ周波数が定められる空間方向の低域通過フィルタを前記画像データに対して適用し、得られた輝度値を前記各画像上の互いに対応付けられた点の輝度値として使用する、請求項1に記載の画像処理装置。
  8. 前記係数算出部は、前記各基準対応点の候補の各画像上点の輝度値として、当該点の近傍に位置する少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出する、請求項1に記載の画像処理装置。
  9. 前記係数算出部は、当該点の周囲に近接し、かつ、当該点の輝度値との差が所定範囲内の少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出する、請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 前記係数算出部は、当該点の輝度値と、当該点の周囲の近接点の輝度値との差が所定範囲よりも大きくなったとき、当該点の近傍に位置する少なくとも1つの点の輝度値を用いて前記光学係数を算出する、請求項8に記載の画像処理装置。
  11. N枚の画像のうちの少なくとも1枚の画像を所定の拡大率で拡大し、拡大後の画像の画素値として、前記N枚の画像のうちの少なくともk枚(k:3以上N以下の整数)の画像の各画素値を前記所定の拡大率に応じてマッピングした複数の座標変換画像の組を生成する座標変換部と、
    前記複数の座標変換画像のうちのk枚の座標変換画像を選択して、前記k枚の座標変換画像間で互いに対応する各座標変換画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である変換係数を算出し、前記N枚の座標変換画像を変換係数によって線形結合することによって合成画像を生成する画像生成部と
    をさらに備えた、請求項1に記載の画像処理装置。
  12. 前記画像生成部は、変換前の各画像に含まれる被写体の面積と、前記座標変換画像に含まれる被写体の面積とに応じて決定される被写体面積の比の大きさに応じて、前記k枚の座標変換画像を選択する、請求項11に記載の画像処理装置。
  13. N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、
    前記n組の初期対応点から、s組(s:4以上n以下の整数)の初期対応点を選択するステップと、
    s組の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、
    前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、
    前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、
    前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、
    評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、
    前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、
    選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップと
    を包含する画像処理方法。
  14. コンピュータプログラムが記録された記録媒体であって、
    前記コンピュータプログラムは、コンピュータに
    N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、
    前記N枚の画像にわたるs組(s:4以上、n以下の整数)の初期対応点の集合を1組とした基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、
    前記M組の基準対応点の候補の各組について、各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、
    前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、
    前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、
    評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、
    前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、
    選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップと
    を実行させる、コンピュータプログラムが記録された記録媒体。
  15. コンピュータプログラムを実行することが可能なプロセッサであって、
    画像処理プログラムを実行することにより、
    N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出するステップと、
    前記N枚の画像にわたるs組の初期対応点の集合を1組とする基準対応点の候補を、M組(M:2以上の整数)生成するステップと、
    前記M組の基準対応点の候補の各組について、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値が光学拘束式を満たすように、前記光学拘束式の係数である光学係数を算出するステップと、
    前記M組の基準対応点の候補の各組に対して、前記各組に応じて定まる画像間の幾何拘束式を満たすように、画像間で互いに対応付けられた新たな対応点の集合を1組とした着目対応点の候補を複数組生成するステップと、
    前記複数組の着目対応点の候補の各組に対して、画像間で互いに対応付けられた各画像上の点の輝度値と算出された前記光学係数とに基づいて光学拘束式を満たす程度を評価するステップと、
    評価結果に基づいて1組の着目対応点の候補を選択して着目対応点として出力するステップと、
    前記評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補の各組を評価し、評価結果に基づいて前記M組の基準対応点の候補から1組の基準対応点の候補を選択するステップと、
    選択された前記1組の基準対応点の候補および選択された前記候補に対応する着目対応点を、前記N枚の画像にわたる対応点として出力するステップと
    を実行するプロセッサ。
  16. N枚(N:4以上の整数)の画像の画像データに基づいて前記N枚の画像にわたる対応点である初期対応点をn組(n:4以上の整数)算出する初期対応点算出部と、
    前記n組の初期対応点から、幾何拘束式と光学拘束式を満たすs組の(s:4以上n以下の整数)初期対応点を選択して基準対応点として出力するとともに、前記基準対応点に基づく幾何拘束式と光学拘束式を満たす着目対応点を算出して出力する対応点再算出部と
    を備えた画像処理装置。
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