JPWO2008096880A1 - スフィンゴ糖脂質の合成法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、未だ確立されていない効率的な糖脂質合成法を開発することを課題とする。本発明により、糖脂質を生成するための方法が提供される。この方法は、以下:(a)保護された糖と脂質アミド保護体とを、該保護された糖と該脂質アミド保護体とが結合する条件下で反応させて、糖−脂質アミドアクセプター前駆体を生成させる工程;(b)該糖−脂質アミドアクセプター前駆体を、該糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件で反応させて、糖−脂質アミドアクセプターを生成させる工程;(c)該糖−脂質アミドアクセプターと保護された糖鎖ドナーとを、該糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する条件下で反応させて、保護された糖脂質を生成させる工程;および(d)該保護された糖脂質を、該保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件下で脱保護反応をさせて、糖脂質を生成させる工程を包含する。

Description

本発明は、糖脂質のケミカル合成法に関する。詳細には、スフィンゴ糖脂質のケミカル合成に関する。本発明のスフィンゴ糖脂質は、特に、シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドに関する。
無生物の分子の集合体である我々が、生命体として機能する背景には、膨大な情報を統御し、高度な組織化を可能にする生体分子の存在がある。複雑な生命現象、例えば、細胞増殖およびその制御、分化および形質発現、免疫等ならびにそれらの異常に起因する病態に目を向ける時、そこに決まって登場するのは細胞表面および細胞間マトリックスに存在し、複合糖質と呼ばれる一連の糖質である。複合糖質は、生体内細胞表層に普遍的に存在し、生体組織の構造体として、または特異的な機能の担い手として作用している。糖質は、核酸が支配する生命の同質性の中で、核酸支配から僅かに距離を隔てることで、生命に多様性をもたらす分子としての機能を獲得した。多種多様な構造を形成しうる糖質の特徴は、生体内の様々な情報を外界へ向けて発信し、また外界からの情報を受容する役割によく応え、生物の進化に深く関係してきた。糖質の中でも、特に、シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドは、動物の細胞表層に存在し、そのシアリル糖鎖部分を細胞外に配向させ、外界の情報の認識や自己の存在を顕示し、ホルモン、ウイルス、バクテリア、細胞毒素、その他のレセプター機能をはじめ、細胞間認識および細胞の分化・増殖、がん化、免疫などの基本的な生命現象に深く関与する分子種であることが過去の研究により論証されてきた(非特許文献1〜3)。
ガングリオシドを初めとする様々な複合糖質は、生体膜のラフト画分に存在し、生体内において様々な機能を担っている。糖脂質が細胞膜に到達してから持続的に存在するラフトは、脂質二重層内のスフィンゴ脂質とコレステロールの相互作用によって形成されると考えられている。ラフト形成の基礎となる分子間相互作用はあまり解明されていないが、複合糖質が、ラフトにおいてクラスター効果を発揮することで、生体レベルでの機能を発現しているといった報告が多数存在する中(非特許文献4)、集合化した複合糖質が具体的にどのような機能を果たしているのかを一層明らかにすることは今後の重要な研究課題である。
ガングリオシドは、生体内において極微量しか存在せず、オリゴ糖鎖構造の多様性に加えて、シアル酸および脂質部分であるセラミド分子にも多様性があり、天然から純粋な単一化合物として得ることはきわめて困難である。このことが、ガングリオシドの構造と機能についての厳密な解明を拒んできた。この課題を解決するために、本発明者らは、天然型ガングリオシドはもとより、誘導体および類縁体を有機化学的手法を用いて合成し、得られた多彩な合成標品を糖鎖プローブとして用いることで、多様な糖鎖の生理機能を「分子のレベル」で解き明かし、広く医学・生物学の発展を目指してきた。合成化学的手法は、純粋かつ大量な標品の提供に加え、あらゆる類縁体・誘導体の入手を可能とするため、遺伝子工学・タンパク質工学が進んだ今日においても必要不可欠な分野であると考えられる。実際、インフルエンザウイルスが見分ける糖鎖、白血球接着分子「セレクチン」が認識する糖鎖リガンドの構造、新規シアル酸認識レクチン「シグレック」の高親和性リガンド、細菌毒素のレセプター糖脂質等の研究において、構成糖、脂質部分の構造および結合位置、結合様式さらには官能基を変化させた様々な誘導体・類縁体を用いることにより、数々の新しい知見を見出してきた(非特許文献5)。
このように、多種多彩な糖鎖を合成し、生命科学の発展に寄与してきた糖鎖合成化学にも、未だ困難な課題が存在している。それは、糖鎖への脂質の導入である。糖鎖への脂質の導入は、ガングリオシドの合成における最も重要な反応の一つであり、合成戦略としては2種類が考えられる。1つは、還元末端のグルコースまたはラクトースに脂質を導入し、その後非還元末端方向に糖鎖を伸長する方法である。もう一つは、糖鎖構築を完了した後に脂質を導入する方法である。(下式)
(1)非還元末端方向に糖鎖を伸長する方法
Figure 2008096880
(2)糖鎖構築を完了した後に脂質を導入する方法
Figure 2008096880
一つ目の方法の例として、Hashimotoらは、適切に保護されたグルコースとセラミドから、グルコシルセラミドアクセプターを調製し、Siaα(2→3)Galの二糖に導入することで、80%の収率で、ヘマトシド系ガングリオシドGM3の合成を行った(非特許文献6)。(下式:非還元末端方向に糖鎖を伸長する方法)
Figure 2008096880
この方法は、最も困難とされるセラミドと糖鎖の縮合を単糖(グルコース)の段階で行い、さらにそれをアクセプターとしてシアリルガラクトースドナーと縮合することで、収斂的にGM3の合成を達成している。シアリルガラクトースには、反応性がよいとされる1,4−ラクトン体を用い、脱離基には、フォスフォルアミデートを用いることで、80%という高収率でGM3の構築に成功している。しかしながら、セラミドの不飽和結合存在下、保護基として用いているBn基の脱保護の際に、操作が煩雑なBirch還元を用いなければならない点、さらに糖鎖が複雑になった際の反応性については未だ報告がなされていない。また、非還元末端側の2糖Siaα(2→3)Galが1,4−ラクトン体を形成しているために、GM1などのGal4位からのさらなる糖鎖伸長が困難となっている。
従来のガングリオシド合成においては、糖鎖を構築後脂質を導入する、二つ目の方法が汎用されてきた。しかし、この方法にも問題点が存在する。セラミドの1級水酸基の反応性が2位アミド基との水素結合の影響で低下しており、オルソエステルの副生による収率の低下を招きやすい。この問題の解決策としては、2つの方法論が考案されている。1つは糖供与体側の改良であり、還元末端グルコースの2位水酸基に立体的に嵩高く、オルソエステルを生成しにくい保護基(典型的にはピバロイル基)を導入する方法である(下式)(非特許文献7)。もう一つは、脂質受容体側の改良であり、脂質としてセラミドの前駆体であるアジドスフィンゴシンを用いる方法である(下式下)(非特許文献8)。
(糖鎖構築を完了した後に脂質を導入する方法(糖供与体側の改良))
Figure 2008096880
(Acはアセチル基であり、Meはメチル基であり、MS4Aはモレキュラーシーブである。Bzはベンジル基であり、Pivは、ピバロイル基である。Etはエチル基である。)
(糖鎖構築を完了した後に脂質を導入する方法(脂質受容体側の改良))
Figure 2008096880
(WSCは、1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochlorideである。)
還元末端グルコースの2位水酸基に立体的に嵩高い保護基を導入することで、オルソエステルの生成は減少し、目的のβ面からセラミドの求核攻撃が可能となる。脂質としてアジドスフィンゴシンを用いる方法は、セラミドが有する二本のアルキル鎖の立体障害を軽減し、さらにアジドにすることで一級水酸基とアミドの水素結合による一級水酸基の求核性低下を防止する意図がある。縮合収率という点では後者のアジドスフィンゴシンを用いる方法が優れているが、アジドスフィンゴシンの調製、アジド基の還元、脂肪酸の導入およびその前後に煩雑な合成ステップが必要であり、それぞれに一長一短がある。
本発明者らは、ガングリオシドを合成する際のセラミド導入において、セラミドの前駆体であるアジドスフィンゴシンを用いる方法(上式)を汎用してきた。この方法は、糖鎖還元末端側のグルコースの1位をイミデート化、続いてi)アジドスフィンゴシン誘導体を縮合し、ii)アジド基の選択的還元、iii)脂肪酸の導入、脱保護という段階を経る。
以下に、ガングリオ系ガングリオシドと、ラクト系ガングリオシドにおける各段階での収率を挙げる(下表)。
(表1 従来のセラミド導入法における各段階の収率)
Figure 2008096880
多くの場合において、i)アジドスフィンゴシン誘導体の縮合が低収率となっている。糖鎖およびセラミドは、親水性と疎水性という両極端な性質と共に嵩高い分子構造を有しており、立体障害および水素結合等グリコシル化を阻害する要因が重なり、反応性が著しく低下している。セラミド導入の課題の克服には、この点の改善が須要であると考えられる。
非特許文献9には、アジドスフィンゴシンというセラミドの前駆体を導入する反応の結果が記載されている。この方法では、この前駆体を導入する反応後、アジド基の還元およびステアリン酸との縮合を経る必要がある。そして、非特許文献9ではある程度の収率が達成されているが、この方法で用いられる試薬は高価なものが多く、産業化には適していない。
非特許文献14には、ガングリオシドGQ1bの合成および関連するポリシアロガングリオシドが記載されている。しかし、収率や選択性はそれほど高くなく、産業化には適していない。
非特許文献15には、腫瘍関連ガングリオシドの合成が記載されている。しかし、収率や選択性はそれほど高くなく、産業化には適していない。
非特許文献16には、ガングリオシドGM1bおよびGD1aの合成が記載されている。しかし、収率や選択性はそれほど高くなく、産業化には適していない。
非特許文献17には、スクシニルで結合されたグリコシドを介する分子内α−グリコシル化が記載されている。しかし、収率や選択性はそれほど高くない。しかし、収率や選択性はそれほど高くなく、産業化には適していない。
非特許文献18は、GM3などのガングリオシドの合成に関する総説である。しかし、収率や選択性の向上に関する記載は記載されておらず、産業化に向けた改良についても記載されていない。
しかし、非特許文献14〜18には、分子内縮合で得られたグルコシルセラミドを合成中間体として用いることも、さらに高次のガングリオシドの合成にも応用できる汎用性の高い方法であること記載の示唆もされていない。
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上記のように、従来は、セラミドのような脂質アミドの導入において、セラミドの場合、その前駆体であるアジドスフィンゴシンを用いる方法が利用されてきた。この方法は、糖鎖への脂質の導入収率が最もよいとされるが、それでも満足のいく導入収率は達成されていない。この方法はまた、アジドスフィンゴシンの調製およびアジド基の還元において、煩雑な実験操作および有害な試薬の利用を必要とするので、効率のよい方法ではない。
このような理由で、糖鎖の種類にも大きさにも影響せず、簡便で、高収率なセラミドのような脂質アミドの導入法が期待されている。先に述べたように、従来の糖鎖構造の構築法に加えて、効率的な脂質導入法を確立することは、ラフトの概念および複合糖質、さらには脂質自身の重要性が多数報告される今日において非常に有用であり、更なる糖鎖生命科学の発展における寄与が期待される。従って、脂質の導入方法、保護基、簡便性および汎用性に関して再考し、効率的な糖脂質合成法を開発することを目的とした。本発明ではまた、以下
Figure 2008096880
に例示されるGM3のようなガングリオシド(式中Acはアセチルを示す)の調製も目的とする。
本発明者らは、糖(グルコース)へのセラミドの導入に分子内縮合を用いることで、高収率にてグルコシルセラミドを合成し、得られたグルコシルセラミドが、そのままアクセプターとして、更なる糖鎖伸長に利用できることを見出したことによって上記課題を解決した。したがって、本発明はまた、糖脂質の合成法およびその利用法を提供する。
たとえば、非特許文献9の方法では、セラミド前駆体を使用するなど煩雑な手法を用いる必要があり、また使用される試薬も高いものが必要であることから産業化には適していない。他方、本発明の方法では、植物型のみならず動物型のセラミドを含むセラミド一般について、そのものを用いても高い収率で縮合することが達成できた。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
糖脂質を生成するための方法であって、以下:
(a)保護された糖と脂質アミド保護体とを、該保護された糖と該脂質アミド保護体とが結合する条件下で反応させて、糖−脂質アミドアクセプター前駆体を生成させる工程;
(b)該糖−脂質アミドアクセプター前駆体を、該糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件で反応させて、糖−脂質アミドアクセプターを生成させる工程;
(c)該糖−脂質アミドアクセプターと保護された糖鎖ドナーとを、該糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する条件下で反応させて、保護された糖脂質を生成させる工程;および
(d)該保護された糖脂質を、該保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件下で脱保護反応をさせて、糖脂質を生成させる工程
を包含する、方法。
(項目2)
前記保護された糖が、
Figure 2008096880
からなる群より選択される糖の保護体であり、ここで、
PROは、独立して、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、MPM(p−メトシキベンジル)、メトキシフェニル(MP)、アセチル、ベンジル、およびメチルからなる群より選択される保護基であり、
Lは、独立して、−SPh、−SCH、−SCHCH、−F、−OPO(OPh)(ここで、Phはフェニルである。)、−OPO(N(CHおよびトリクロロアセトイミデートからなる群より選択される脱離基である、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記脂質アミド保護体が、以下の式:
Figure 2008096880
ここで、該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基またはアルケニル基から選択され;
該Rは、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリチル(Tr)、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基である、
上記項目に記載の方法。
(項目4)
前記脂質アミド保護体が、
Figure 2008096880
からなる群より選択され;
前記糖−脂質アミドアクセプター前駆体が、
Figure 2008096880
であり、前記糖−脂質アミドアクセプターが、
Figure 2008096880
であり、ここで
該Rが、p−メトキシベンジル(MPM)、メトキシフェニル(MP)、アリルであり;
該Rが、MPM、Bz、MP、アリルであり;
該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
該Rおよび該Rは、独立して、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基であり、Phはフェニルである、
上記項目に記載の方法。
(項目5)
前記保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する条件は、アルコールとカルボン酸とが結合する条件である、上記項目に記載の方法。
(項目6)
前記工程(a)は、溶媒中において試薬の存在下で所定の反応温度および反応時間、前記保護された糖鎖と、前記脂質アミドとを混合し、反応させることを包含し、
該反応温度が、室温以上であり;
該溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、CHCl、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびそれらの組合せからなる群より選択され;
該試薬が、トリフェニルホスフィン(PPh)、アゾジカルボン酸ジエチルエステル(DEAD)、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC)、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、トリエチルアミン(EtN)、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびそれらの組合せからなる群より選択され;および
該反応時間が、2時間〜4時間である、
上記項目に記載の方法。
(項目7)
前記試薬が、PPhおよびDEADであり、前記溶媒がTHFであり、前記反応温度が90℃以上である、上記項目に記載の方法。
(項目8)
前記試薬が、WSCあるいは2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、EtNおよびDMAPであり、前記溶媒が、CHClであり、前記反応温度が、30〜60℃である、上記項目に記載の方法。
(項目9)
前記試薬が、WSCであり、前記溶媒が、CHClであり、前記反応温度が室温である、上記項目に記載の方法。
(項目10)
前記反応時間が、3時間である、上記項目に記載の方法。
(項目11)
前記溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)であり、
前記試薬がトリフェニルホスフィン(PPh:3.0当量)およびDEAD(3.0当量)であり、該当量は、前記保護された糖鎖に対する当量であり、
前記反応温度が、90℃であり、前記反応は還流下で実施される、
上記項目に記載の方法。
(項目12)
前記溶媒が、CHClであり、
前記試薬が、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC:3.0等量)であり、該当量は、前記保護された糖鎖に対する当量であり、
前記温度が、室温である、
上記項目に記載の方法。
(項目13)
前記溶媒が、CHClであり、
前記試薬が、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(1.1等量)、トリエチルアミン(EtN:1.5等量)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP:3.0等量)であり、該当量は、前記保護された糖鎖に対する当量であり、
前記温度が、室温である、
上記項目に記載の方法。
(項目14)
前記工程(a)は、前記糖および前記脂質アミド保護体に、さらにスペーサー前駆体を加えることにより、前記脂質アミド保護体を、スペーサーを介して該糖に結合させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目15)
前記スペーサーと、前記糖または前記脂質アミド保護体とが予め結合されている、上記項目に記載の方法。
(項目16)
前記脂質アミド保護体を、該脂質アミド保護体の1位水酸基が脱保護される条件下で反応させて、該1位水酸基を脱保護する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目17)
前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、
は、イソプロピリデンケタールまたはメトキシベンジリデンアセタールであり、Rは、
Figure 2008096880
(Ac)または
Figure 2008096880
(Bx)であり、そして
は、AcまたはBxである、上記項目に記載の方法。
(項目18)
前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、
は、トリチル(Tr)、TBDPSおよびTBDMSからなる群より選択され、
は、スクシニル、マロニル、オキサリル、カルボニル、グルタリルおよびフタロイル、からなる群より選択され、そして
は、アセチルまたはベンゾイルである、
上記項目に記載の方法。
(項目19)
前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、
は、Tr、TBDPSおよびTBDMSからなる群より選択され、
は、スクシニル、マロニル、オキサリル、カルボニル、グルタリルおよびフタロイル、からなる群より選択され、そして
は、アセチルまたはベンゾイルである、
上記項目に記載の方法。
(項目20)
前記オリゴ糖の還元末端側の糖残基が、前記脂質アミド保護体とスペーサーを介して結合する、上記項目に記載の方法。
(項目21)
前記工程(b)は、前記分子内縮合反応を活性化させるための活性化剤の存在下で行われ、該活性化剤は、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)およびそれらの組合せからなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目22)
前記工程(b)は、
−80℃〜室温の反応温度にて;
CHCl、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せからなる群より選択される溶媒中で;
N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)およびそれらの組合せからなる群より選択されるの試薬の存在下で;および
1〜48時間の反応時間にわたり行われる、
上記項目に記載の方法。
(項目23)
前記反応温度が、−20〜0℃である、上記項目に記載の方法。
(項目24)
前記溶媒が、ジクロロメタンである、上記項目に記載の方法。
(項目25)
前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)である、上記項目に記載の方法。
(項目26)
前記反応時間が、1時間〜5時間である、上記項目に記載の方法。
(項目27)
前記工程(b)は、
溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、TMSOTfおよびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、1.5時間の反応時間、0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目28)
前記工程(b)は、
溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、5時間の反応時間、−40℃で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目29)
前記工程(b)は、
溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、36時間の反応時間、初めは−80℃で、次に−60℃で、次に−40℃で、次に0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目30)
前記工程(b)は、
溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、48時間の反応時間、初めは―40℃で、次に0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目31)
前記工程(b)は、
溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、1.5時間の反応時間、−0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目32)
前記工程(b)は、
溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、3時間の反応時間、−20℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目33)
前記工程(b)は、
溶媒として、ジエチルエーテルを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、25時間の反応時間、初めは0℃で、次に、室温の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目34)
前記工程(b)は、
溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、1時間の反応時間、0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目35)
前記工程(b)は、
溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、5時間の反応時間、0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目36)
前記工程(b)は、
溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、1.5時間の反応時間、−20℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目37)
前記工程(b)は、
溶媒として、CHClを用いて、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、2時間の反応時間、0℃で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目38)
前記分子内縮合反応が、グリコシル化である、上記項目に記載の方法。
(項目39)
前記工程(c)は、
2.5当量より多くのアクセプターに対するドナーの当量にて;−40〜0℃の反応温度にて;CHClの溶媒中で;トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)試薬の存在下で、1〜48時間の反応時間反応をさせることを包含する、
上記項目に記載の方法。
(項目40)
前記アクセプターに対するドナーの当量が2.5当量であり;
前記反応温度が、0℃であり;
前記溶媒が、CHClであり;
前記試薬が、TMSOTfであり;および
前期反応時間が、7時間である、
上記項目に記載の方法。
(項目41)
前記保護された糖鎖ドナーが、
Figure 2008096880
−SPh、−SCH、−SCHCH、−F、−OPO(OPh)(ここで、Phはフェニルである。)および−OPO(N(CHからなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目42)
前記工程(d)は、
CHClの溶媒中で;
トリフルオロ酢酸の試薬の存在下で;
室温の反応温度にて;および
2〜12時間の反応時間にわたり行われる、
上記項目に記載の方法。
(項目43)
前記反応時間が、2時間である、上記項目に記載の方法。
(項目44)
(e)前記工程(d)の生成物を、アシル系保護基が脱保護する条件下で反応させ、脱保護する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目45)
前記(e)工程は、
メタノール(CHOH)または水(HO)の溶媒中で;
ナトリウムメトキシド(NaOCH)またはKOHの試薬の存在下で;
室温〜100℃の反応温度にて;および
1時間〜1週間の反応時間にわたり行われる、
上記項目に記載の方法。
(項目46)
前記溶媒が、メタノール(CHOH)であり;
前記試薬が、ナトリウムメトキシド(NaOCH)であり;
前記反応温度が、室温であり;および
前記反応時間が、12時間である、
上記項目に記載の方法。
(項目47)
Figure 2008096880
を生成させる方法であって、該方法は、アクセプター化合物
Figure 2008096880
とドナー化合物
Figure 2008096880
とを、該アクセプター化合物と該ドナー化合物とが結合する条件下で反応させる工程(A)、
を包含し、ここで、
は、AcまたはHであり;
は、Acまたは2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)
Figure 2008096880
であり;
SPhは、
Figure 2008096880
であり;
MPは、
Figure 2008096880
であり;
SEは、
Figure 2008096880
であり;
Acは、
Figure 2008096880
であり;
Bzは、
Figure 2008096880
であり、
Bnは、
Figure 2008096880
であり;
Meは、メチルである、方法。
(項目48A)
前記工程(A)は、以下:
−40℃〜室温の反応温度にて;
CHCN、CHCl、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せの溶媒中で;
N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)およびそれらの組合せの触媒の存在下で;および
1時間〜3日間の反応時間にわたり行われる、
上記項目に記載の方法。
(項目48B)
前記工程(A)は、以下:
−50℃〜室温の反応温度にて;
CHCN、CHCl、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せの溶媒中で;
N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)およびそれらの組合せの触媒の存在下で;および
1時間〜3日間の反応時間にわたり行われる、
上記項目に記載の方法。
(項目49)
前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびそれらの組合せからなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目50)
前記溶媒が、CHCN、CHClまたはCHCNとCHClとの混合液である、上記項目に記載の方法。
(項目51)
前記反応温度が、−30℃〜0℃である、上記項目に記載の方法。
(項目52)
前記反応時間が、1時間〜1日間である、上記項目に記載の方法。
(項目53)
前記工程(A)は、
初めに溶媒としてCHCNを、次にCHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、2日間の反応時間、初めは−30℃で、次に室温の反応温度にて反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目54)
前記工程(A)は、
溶媒として、CHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびTMSOTfを触媒として用いて、3日間の反応時間、初めは−30℃で、次に室温の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目55)
前記工程(A)は、
溶媒として、CHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、2日間の反応時間、初めは−30℃で、次に0℃の反応温度で反応させることを包含する、上記項目に記載の方法。
(項目56)
前記工程(A)は、
溶媒として、CHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、3日間の反応時間、−30℃の反応温度で反応させることを包含する、
上記項目に記載の方法。
(項目57)
前記工程(A)は、
溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、1日間の反応時間、−30℃の反応温度で反応させることを包含する、
上記項目に記載の方法。
(項目58)
前記工程(A)は、
溶媒として、プロピオニトリルとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、6時間の反応時間、−50℃の反応温度で反応させることを包含する、
上記項目に記載の方法。
(項目59)
以下の式:
Figure 2008096880
Figure 2008096880
で示される化合物。
(項目60) アミノ基がトリクロロエトキシカルボニル(Troc)で保護されたアミノ糖と、メトキシフェニル(MP)で保護された糖とを、該Trocで保護されたアミノ糖と該MPで保護された糖とが結合する条件下で反応させる工程を包含する、オリゴ糖を合成するための方法。
(項目61) 前記アミノ糖が、脱離基Lを有する、項目60に記載の方法。
(項目62) 前記脱離基Lが、−SPh、−SCH、−SCHCH、−F、−OPO(OPh)(ここで、Phはフェニルである。)および−OPO(N(CHからなる群より選択される、項目61に記載の方法。
(項目63) 前記Trocで保護されたアミノ糖が、以下
Figure 2008096880
であり、
Proは、独立して、アセチル(Ac)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、MPM(p−メトシキベンジル)およびメトキシフェニル(MP)からなる群より選択される保護基であり、
は、アルキルである、
項目60に記載の方法。
(項目64) 前記MPで保護された糖が、以下
Figure 2008096880
からなる群より選択され、
Proは、独立して、アセチル(Ac)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、MPM(p−メトシキベンジル)およびメトキシフェニル(MP)からなる群より選択される保護基である、
項目60に記載の方法。
(項目65) 前記Troc基を、Zn(Cu)存在下で脱保護する工程を包含する、項目60〜64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66) 以下の構造:
Figure 2008096880
からなる群より選択される構造を有する、化合物。
(項目67)
以下の式:
Figure 2008096880
で示される化合物であって、ここで、
該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基およびアルケニル基から選択され;
該Rは、tert−ブチルジフェニルシリル(tert−buthyldiphenylsilyl(TBDPS))、tert−ブチルジメチルシリル(tert−buthyldimethylsilyl(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(triisopropylsily(TIPS))、トリチル(Tr)、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基である、化合物。
(項目68)
以下の式:
Figure 2008096880
で示される化合物であって、ここで
該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基およびアルケニル基から選択され;
該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基である、化合物。
従って、本発明のこれらおよび他の利点は、以下の詳細な説明を読めば、明白である。
本発明により、煩雑なセラミドの前駆体の調製を経ることなく、高収率でセラミドを糖へ導入でき、その後ステップを踏むことなく更なる糖鎖伸長へ用いることができる。脱保護においても、簡便かつ速やかに行うことができる。
本発明の合成方法は、セラミド体を縮合する収率が従来技術と比べて顕著に優れている。また、本発明は、分子内縮合で得られたグルコシルセラミドを合成中間体として用いることにより、その合成中間体を、さらに高次のガングリオシドの合成にも応用できるという、汎用性の高い合成方法を提供する。
本発明では、糖鎖生命科学における糖鎖合成化学の重要性に鑑み、未だ確立されていない効率的な糖脂質合成法の開発を目的に、(1)糖鎖と脂質との間の縮合収率の向上;(2)脂質導入における立体選択性;(3)セラミドのような脂質アミドの調製と変換の簡便化という三点を主眼に置き、研究を行った。その結果、本発明により、代表的に、以下のような顕著な効果が提供された。
(1)糖鎖と脂質の縮合収率の向上は、分子内グリコシル化を用いてグリコシル化自体の収率を向上させることにより成果が得られた。本発明の方法では、分子内グリコシル化、シアリルガラクトースドナーとの縮合において、クロルアセチル基を始め、他のどのような基によってもグルコース4位を保護する必要はなかった。セラミド水酸基との反応性の差異は充分であり、保護および脱保護の工程を省略したことにより反応行程をきわめて簡略化することができた。工程数を減らすことは、工業スケールへの拡大、すなわち産業化にとって重要な要素であるが、本発明は、このような工程数の大幅な減少を達成することによって、従来ではほとんど不可能と考えられていた、GM3などの糖脂質の工業生産を可能とすることができたという点で、顕著な効果を奏するといえる。
また、グリコシルセラミドアクセプターにおいてシアリルガラクトースドナーを2.5当量用いることによって高収率にてGM3類縁体へと導くことに成功した。出発物質を節約することは、産業化において重要であるが、この要望も達成することができた。
(2)脂質導入における立体選択性は、グルコース2位にBz基を用いたときは、隣接基関与によって完全なβ選択性が得られた。しかしながら、グルコースの2位にMPM基を用いたときは、期待したコハク酸による分子内グリコシル化の立体制御は発揮されず、αとβの混合物を得た。反応溶媒・反応温度を検討した結果、アセトニトリルの溶媒効果によるβ選択性が得られた。
通常、立体選択性としては、1/5程度以上あれば、十分に産業利用性があるといわれているが、従来技術の方法では、このような高選択性の手法は知られていなかった。したがって、事実上産業規模での立体選択性の優れた合成手法は知られていなかったといえる。本発明は、この課題をも解決したという点で顕著な効果を奏するというべきである。
(3)セラミドの調製と変換の簡便化については、セラミドをそのままグリコシル化に用いることで変換の効率を向上させた。従来技術では、糖脂質の合成には前駆体であるアジドスフィンゴシンを用いる必要があった。その後の変換は、多くの場合低収率になり、多段階をへて合成してきた糖鎖が無駄になっていた。本発明は、セラミドをそのままグリコシル化に用いることができるので、糖鎖の無駄を省き、セラミドの調製と変換の簡便化を達成することができた。また、最終的な収率も高くなるという効果も奏する。
なお、本発明が達成した効果は上記に限られず、本明細書に記載された事項から当業者が理解しうるすべてものを含むことが理解されるべきである。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
以下、各発明について、実施形態を詳しく説明する。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(略記一覧)
本明細書において、必要に応じて以下に示す省略表記を用いた。
Ac:アセチル(acetyl)
AcO:無水酢酸(acetic anhydride)
BDA:ベンズアルデヒドジメチルアセタール(benzaldehyde dimethyl acetal)
BF・OEt:トリフルオロボランジエチルエーテラート(trifluoroborane diethyletherate)
Bn:ベンジル(benzyl)
Bz:ベンゾイル(benzoyl)
BzO:安息香酸無水物(benzonic anhydride)
CSA:(±)−カンファースルホン酸((±)−camphorsulfonic acid)
DBTO:ジブチル錫オキシド(dibutyl tin oxide)
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチルエステル(azodicarboxylic acid diethyl ester)
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン(4−dimethylaminopyridine)
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−dimethylformamide)
DMTST:ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(dimethyl(methylthio)sulfonium triflate)
Et:エチル
Me:メチル
MP:p−メトキシフェニル(p−methoxyphenyl)
MPM:p−メトキシフェニルメチル(p−methoxyphenylmethyl)MS3A:モレキュラーシーブ3Å(molecular sieves 3Å)
MS4A:モレキュラーシーブ4Å(molecular sieves 4Å)
PPh:トリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)
TBAB:臭化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium bromide)
TEA:トリエチルアミン(triethylamine)
TFA:トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)
THF:テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)
p−TsOH:p−トルエンスルホン酸(p−toluenesulfonic acid)
WSC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)−carbodiimide hydrogenchloride)
(一般技術)
本発明における有機化学的な手法を実施するに当たっては、実験化学講座(日本化学会編、丸善、第4版、1992年)、有機化学実験の手引き1〜5 化学同人、取り扱い注意試薬ラボガイド 東京化成工業(株)編 講談社サイエンティフィク、生理活性糖鎖研究法 生物化学実験法42 学会出版センター、精密有機合成―実験マニュアル− 南江堂などのような実験マニュアルを参照することができ、これらの内容は、その全体が参考として援用される。
ガングリオシドの合成について、Kameyama,A.;Ishida,H.;Kiso,M.;Hasegawa,A.Cabohydr.Res.1990,200,269−285;Hasegawa,A.;Nagahama,T.;Ohki,H.;Kiso,M.J.Carbohydr.Chem.1992,11,699−714;Ando,H.;Ishida,H.;Kiso,M.;Hasegawa,A.Carbohydr.Res.1997,300,207−217;Ishida,H.−K.;Ishida,H.;Kiso,M.;Hasegawa,A.Carbohydr.Res.1994,260,C1−C6等の文献を参照することができ、これらの内容は、その全体が参考として援用される。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において「糖鎖」とは、単位糖(単糖および/またはその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合は、各々の単位糖同士の間は、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。したがって、本明細書では、糖鎖は、「多糖(ポリサッカリド)」、「糖質」、「炭水化物」と互換可能に使用され得る。また、特に言及しない場合、本明細書において「糖鎖」は、糖鎖および糖鎖含有物質の両方を包含することがある。代表的には、約20種類の単糖(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体など)が鎖状につながった物質で、生体の細胞内外のタンパク質や脂質に付いている。単糖の配列によって機能が異なり、通常は複雑に枝分かれしていて、人体には数百種類以上の多様な構造の糖鎖があると予想されており、さらに、人体において有用な構造は数万種類以上あると考えられている。細胞間での分子・細胞認識機能などタンパク質や脂質が生体内で果たす高次機能に関係していると見られているが、そのメカニズムは未解明の部分が多い。核酸、タンパク質に次ぐ第3の生命鎖として現在のライフサイエンスで注目されている。とりわけ、細胞認識におけるリガンド(情報分子)としての糖鎖の機能が期待され、その高機能材料開発への応用が研究されている。
本明細書において「糖鎖基」とは、糖鎖が別の基と結合したときに付される名称である。糖鎖基は場合に応じて一価または二価のものを指す。例えば、糖鎖基としては、シアリルルイスX基、N−アセチルラクトサミン基、α1−6マンノビオース基が挙げられる。
本明細書において「糖」または「単糖」とは、少なくとも1つの水酸基および少なくとも1つのアルデヒド基またはケトン基を含む、ポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒドロキシケトンをいい、糖鎖の基本単位を構成する。本明細書において、糖はまた、炭水化物ともいい、両者は互換的に用いられる。本明細書において、特に言及するときは、糖鎖は、1つ以上糖が連なった鎖または配列をいい、糖または単糖というときは、糖鎖を構成する1つの単位をいう。ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9および10であるものを、それぞれジオース、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノースおよびデコースという。一般に鎖式多価アルコールのアルデヒドまたはケトンに相当するもので、前者をアルドース,後者をケトースという。本発明では、いずれの形式のものでも使用され得る。
本発明において使用され得る糖鎖は、一般的な糖鎖合成方法によって合成され得る。これらの方法としては、(1)化学合成による方法、(2)遺伝子組換え細胞あるいは微生物による発酵法、(3)糖加水分解酵素(グリコシダーゼ)を用いて合成する方法、(4)糖転移酵素(グリコシルトランスフェラーゼ)を用いて合成する方法が挙げられる。(WO2002/081723、特開平9−31095公報、特開平11−42096公報、特開2004−180676公報、畑中研一、西村紳一郎、大内辰郎および小林一清(1997)糖質の科学と工業、講談社、東京などを参照のこと)。
本発明において糖を記載するために使用する命名法および略称は、通常の命名法に従う。例えば、β−D−ガラクトース
Figure 2008096880
は、Gal;
N−アセチル−α−D−ガラクトサミン
Figure 2008096880
は、GalNAc;
α−D−マンノース
Figure 2008096880
は、Man;
β−D−グルコース
Figure 2008096880
は、Glc;
N−アセチル−β−D−グルコサミン
Figure 2008096880
は、GlcNAc;
α−L−フコース
Figure 2008096880
は、Fuc;
α−N−アセチルノイラミン酸
Figure 2008096880
は、Neu5Ac;
セラミド
Figure 2008096880
は、Cerにより表す。なお、Cerは通常脂質に分類されるが、本明細書では、糖鎖を構成する糖の一種の定義にも入り得ることに留意すべきである。環状の2つのアノマーは、αおよびβにより表す。表示上の理由により、aまたはbと表すことがある。従って、本明細書において、αとa、βとbは、アノマー表記については交換可能に使用される。
本明細書において、「ガラクトース」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはβ−D−ガラクトースであり、特に言及しないときには、β−D−ガラクトースを指すものとして使用される。
本明細書において、「アセチルガラクトサミン」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはN−アセチル−α−D−ガラクトサミンであり、特に言及しないときには、N−アセチル−α−D−ガラクトサミンを指すものとして使用される。
本明細書において、「マンノース」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはα−D−マンノースであり、特に言及しないときには、α−D−マンノースを指すものとして使用される。
本明細書において、「グルコース」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはβ−D−グルコースであり、特に言及しないときには、β−D−グルコースを指すものとして使用される。
本明細書において、「アセチルグルコサミン」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはN−アセチル−β−D−グルコサミンであり、特に言及しないときには、N−アセチル−β−D−グルコサミンを指すものとして使用される。
本明細書において、「フコース」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはα−L−フコースであり、特に言及しないときには、α−L−フコースを指すものとして使用される。
本明細書において「シアル酸」とは、ノイラミン酸(neuraminic acid)の誘導体の総称である。N−アシル(N−アセチルまたはN−グリコリル)ノイラミン酸およびN−アシル−O−アセチルノイラミン酸が天然に存在する。9以上の炭素数を有するアミノ糖の総称.ノイラミン酸のN‐またはO‐アシル誘導体で表すことができる。
本明細書において、「アセチルノイラミン酸」とは、任意の異性体を指すが、代表的にはα−N−アセチルノイラミン酸であり、特に言及しないときにはα−N−アセチルノイラミン酸を指すものとして使用される。
本明細書において、糖の表示記号、呼称、略称(Glcなど)などは、単糖を表すときと、糖鎖中で使用されるときとは、異なることに留意する。糖鎖中、単位糖は、結合先の別の単位糖との間に脱水縮合があるので、相方から水素または水酸基を除いた形で存在することになる。従って、これらの糖の略号は、単糖を表すときに使用されるときは、すべての水酸基が存在するが、糖鎖中で使用されるときは、水酸基が結合先の糖の水酸基とが脱水縮合されて酸素のみが残存した状態を示していることが理解される。
糖が、アルブミンと共有結合されるときには、糖の還元末端がアミノ化され、そのアミン基を介してアルブミンなどの他の成分に結合することができるが、その場合は還元末端の水酸基がアミン基に置換されたものを指すことに留意する。
単糖は一般に、グリコシド結合により結合されて二糖および多糖を形成する。環の平面に関する結合の向きは、αおよびβにより示す。2つの炭素の間の結合を形成する特定の炭素原子も記載する。
必要に応じて、本明細書において糖鎖は、
Figure 2008096880
により表すがこれに限定されない。この方法を用いた場合、例えば、ガラクトースのC−1とグルコースのC−4との間のβグリコシド結合はβ1,4により表される。従って、例えば、シアリルルイスX(SLX)は、Neu5Acα2,3Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAcと表される。N−アセチルラクトサミン(G4GN)は、Galβ1,4GlcNAcと表される。α1−6マンノビオース(A6)は、Manα1,6Manと表される。本明細書では、必要に応じて、他の表示方法も用いることができる。
糖鎖の分岐は、括弧により表し、結合する単位糖のすぐ左に配置して表記する。例えば、
Figure 2008096880
と表され、括弧の中は、
Figure 2008096880
と表記される。従って、例えば、ガラクトースのC−1とグルコースのC−4との間がβグリコシド結合し、さらにこのグルコースのC−3がフコースのC−1とαグリコシド結合している場合、Galβ1,4(Fucα1,3)Glcと表される。
単糖は、(潜在)カルボニル原子団になるだけ小さい番号を付けることを基本にして表される。有機化学命名法の一般基準では(潜在)カルボニル原子団より優位な原子団が分子中に導入されたときでも、通常上記の番号付けで表される。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
本明細書において使用される糖鎖としては、例えば、シアリルルイスX、N−アセチルラクトサミン、α1−6マンノビオースならびにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される糖鎖が挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上の組み合わせが使用可能な理由としては、理論に束縛されないが、上記糖鎖の各々が目的の送達部位の組織または細胞に局在するレクチンに対して特異性を有しており、混在してもその特異性を発揮すると考えられるからである。
本明細書において、「保護された糖」とは、保護基で保護された糖をいう。保護基としては、糖の基を一定の反応から保護することができる限り、どのようなものでも用いることができる。なぜなら、保護基は、一般的には、水酸基またはアミノ基の保護のみならず、グリコシルかの立体制御に使われることもあるが、本発明の方法では、溶媒効果により立体制御を達成しているので、保護基の役割は一定の反応から糖を保護することにあり、それさえ達成することができれば、糖脂質を生成することができるからである。また、保護基は、その反応性を考慮して種々のものを用いることができる。したがって、保護された糖は、例えば、
Figure 2008096880
を挙げることができるが、これらに限定されない。上に例示した保護された糖鎖は、天然に存在する主要な糖を用いたものであり、これらの組み合わせにより多彩な糖鎖が構築され得る。また、式中オリゴ糖の表示は例示であり、含まれる糖の数は2以上であれば任意の数であってよいことが理解される。また、上記の糖は、糖誘導体であってもよい。なぜなら、非天然型の糖誘導体であっても、生理活性を有する例が報告されているからである。
1つの実施形態において、本発明において使用される保護された糖では、水酸基の保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基等が使用され得、カルボキシル基の保護としては、メチル基、ベンジル基などが使用され得るが、これらに限定されない。脱離基としては、フェニルチオ基、フッ素基、トリクロロアセトイミデート基などが使用され得るが、これらに限定されない。
本明細書において、「脂質アミド保護体」とは、以下の式:
Figure 2008096880
を有する、保護基を有する脂質アミド(例えば、セラミド)の総称であり、ここで、該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基またはアルケニル基から選択され;該Rは、TBDPS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタール、メトキシベンジリデンアセタールであり得;該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチル、ピバロイルであり得る保護基である。保護基は、その反応性を考慮して種々のものを用いることができる。これらの保護基は、保護機能を果たす限り、例示された保護基以外のどのような保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、1位の1級水酸基のみをグリコシル化し、それ以外の水酸基を保護することができれば、上記以外の脂質アミド保護体を使用しても糖脂質を生成することができるからである。
例えば、脂質アミド保護体としては、
Figure 2008096880
が挙げられるが、これらに限定されない。これらの保護基R、RおよびRは、保護機能を果たす限り、例示された保護基以外であっても、どのような保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、1位の1級水酸基のみをグリコシル化し、それ以外の水酸基を保護することができれば、上記以外の脂質アミド保護体を使用しても糖脂質を生成することができるからである。
本明細書において、「保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する条件」とは、保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する任意の条件であればよく、当業者は、上記技術に列挙した教科書を参考にして適宜実施することができる。例示的な条件としては、例えば、アルコールとカルボン酸とが結合する条件であり得る。なぜなら、保護された糖には、一カ所だけ保護されてない遊離の水酸基が存在し、脂質アミド保護体にはカルボキシル基を有するスペーサーが存在するからである。理論に束縛されることは望まないが、保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する条件が、アルコールとカルボン酸とが結合する条件であればよいという、合理的な説明が提示される。
別の例示的な条件として、例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、CHCl、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、それらの組合せであり得るが、これらに限定されない。
試薬は、トリフェニルホスフィン(PPh)、DEAD、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC)、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、トリエチルアミン(EtN)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、それらの組み合わせなどであり得るが、これらに限定されない。
反応時間は、2時間〜4時間であり得るが、この範囲以下の時間であっても、この範囲を超える反応時間であってもよい。なぜなら、反応が充分に進まなければ、反応時間を延長することができ、他方、効率よく反応が進めば、反応時間は短縮されるからである。
反応温度は、例えば、0℃、0℃〜室温(例えば、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃等)、室温以上(例えば、室温〜90℃、還流90℃、90℃以上)であり得るが、これらに限定されない。なぜなら、反応温度は、溶媒などの他の条件によって変動し得るからである。
これらの反応条件は、反応の進行状況を考慮しながら、当業者が適宜選択することができる。
本発明において使用される場合、「室温」とは、約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃の範囲の温度をいう。
本明細書において、「糖−脂質アミドアクセプター前駆体」とは、糖−脂質アミドアクセプターではないが、これをさらに反応(例えば、縮合)させると糖−脂質アミドアクセプターとなる任意の物質をいう。別の表現方法を用いると、糖と脂質アミドアクセプター前駆体とが結合した化合物の総称である。脂質アミドがセラミドである場合は、糖−セラミドアクセプター前駆体と称することもできる。
糖−脂質アミドアクセプター前駆体としては、例えば、
Figure 2008096880
該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基、アルケニル基等であり得;該Rはtert−ブチルジフェニルシリル(tert−buthyldiphenylsilyl(TBDPS))、tert−ブチルジメチルシリル(tert−buthyldimethylsilyl(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(triisopropylsily(TIPS))、トリチル(Tr)、イソプロピリデンケタール、メトキシベンジリデンアセタールであり得;該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチル、ピバロイルのような保護基であり得るが、これらに限定されない。これらの保護基は、保護機能を果たす限り、例示された保護基以外であっても、どのような保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、脱離基としてチオグリコシドが用いられており、その活性化条件に耐性が有りさえすれば、上記以外の保護基を使用した糖−脂質アミドアクセプター前駆体を用いても糖脂質を生成することができるからである。
本明細書において、「糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件」とは、糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する任意の条件であればよく、当業者は、上記技術に列挙した教科書を参考にして適宜実施することができる。
例示的な条件としては、反応温度は、例えば、−80℃〜室温(例えば、−40℃〜室温、−20℃〜0℃、−80℃〜0℃)であり得るが、これらに限定されない。
1つの実施形態において、反応温度は、反応の間に変動してもよい。反応温度を変動する例としては、例えば、初めは−80℃、次に−60℃、次に−40℃、次に0℃と順に上昇させてもよいし、−40℃から0℃に低下させてもよいし、0℃から室温へ上昇させてもよい。なぜなら、反応温度は、反応が充分に進みさえすればよいからである。従って、当業者は、反応の状況を考慮して、反応温度を適宜変更することができる。
溶媒としては、例えば、CHCl、ジエチルエーテル((CHCHO)、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタン、それらの組合せなどが使用され得るが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような溶媒を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する溶媒を適宜選択することができる。
試薬としては、例えば、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)などを使用することができる。ここで、用いられる試薬としては、触媒の他、乾燥剤などを適宜存在させることができることが理解される。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような試薬を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する試薬を適宜選択することができる。
反応時間としては、例えば、1〜48時間(例えば、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、5時間、10時間、15時間、20時間、24時間、36時間、48時間)(好ましくは1時間〜5時間)などであり得るが、これら以外の範囲であってもよい。なぜなら、反応が充分に進まなければ、反応時間を延長することができ、他方、効率よく反応が進めば、反応時間は短縮されるからである。
本明細書において、「糖−脂質アミドアクセプター」とは、糖鎖を受け取る機能を有し、その構造中に糖−脂質構造を有する化合物をいう。
糖−脂質アミドアクセプターとしては、例えば、
Figure 2008096880
該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基、アルケニル基であり得;該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタール、メトキシベンジリデンアセタールであり得;該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチル、ピバロイルであり得る保護基である。これらの保護基は、保護機能を果たす限り、例示された保護基以外であっても、どのような保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、脱離基としてチオグリコシドが用いられており、その活性化条件に耐性が有りさえすれば、上記以外の保護基を使用した糖−脂質アミドアクセプターを用いても糖脂質を生成することができるからである。
本明細書において、「保護された糖鎖ドナー」とは、保護基で保護された「糖鎖ドナー」をいう。用いられる保護基は、保護機能を果たす限り、例示された保護基以外であっても、どのような保護基であってもよいことが理解される。これら保護された糖鎖ドナーとしては、例えば、
Figure 2008096880
を挙げることができるが、これらに限定されない。この保護された糖鎖ドナーは、糖鎖還元末端に脱離基を有し、他の保護基が保護してあれば、いかなる糖であってもよい。なぜなら、グリコシル化において活性化剤によって糖鎖還元末端の糖残基のアノマー位だけが脱離し、そこへ糖−脂質アミドアクセプターが求核攻撃を起こすからである。したがって、そのような脱離基としては、例えば、−SPh、−SCH、−SCHCH、−F,−OPO(OPh)、−OPO(N(CH(ここで、Phはフェニル)を挙げることができるがこれらに限定されない。
本明細書において、「糖鎖ドナー」とは、糖アクセプターに糖鎖を与える化合物をいう。したがって、「糖鎖ドナー」とは、糖アクセプターに対して糖鎖を提供することができる任意の物質であってもよく、代表的には、糖部分とそれ以外の部分とからなる。本明細書では、「糖鎖ドナー」と「糖供与体(glycosyl donor)」とは、交換可能に使用され得る。
本明細書において、「糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する条件」とは、糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する任意の条件であればよく、当業者は、上記技術に列挙した教科書を参考にして適宜実施することができる。
例示的な例として、例えば、約2.5当量より多くのアクセプターに対するドナーの当量が使用され得るが、これらに限定されない。なぜなら、他の条件を考慮して、当業者はドナーの当量を適宜変更することができるからである。
反応温度としては、例えば、−40〜0℃(例えば、−40℃、−35℃、−30℃、−25℃、−20℃、−15℃、−10℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃など)であり得るが、これらに限定されない。なぜなら、反応温度は、反応が充分に進みさえすればよいからである。従って、当業者は、反応の状況を考慮して、反応温度を適宜変更することができる。
溶媒としては、例えば、CHClなどが挙げられるが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような溶媒を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する溶媒を適宜選択することができる。
試薬としては、例えば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)などが挙げられるが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような試薬を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する試薬を適宜選択することができる。
反応時間としては、例えば、1〜48時間(例えば、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、5時間、10時間、15時間、20時間、24時間、36時間、48時間)(好ましくは1時間〜5時間)などであり得るが、これら以外の範囲であってもよい。なぜなら、反応が充分に進まなければ、反応時間を延長することができ、他方、効率よく反応が進めば、反応時間は短縮されるからである。
本明細書において、「保護された糖脂質」とは、保護基で保護された糖脂質をいう。用いられる保護基は、保護機能を果たす限り、例示された保護基以外であっても、どのような保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、脱離基としてチオグリコシドが用いられており、その活性化条件に耐性が有りさえすれば、上記以外の保護基を使用した保護された糖脂質を用いても糖脂質を生成することができるからである。
本明細書において、「糖脂質」とは、炭水化物残基を含む複合脂質の総称である。脂質部分の種類によりスフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質、その他の糖脂質に分けられるこれらとしては、例えば、ガングリオシドGM3、ガングリオシドGM4が挙げられるが、これらに限定されない。スフィンゴ糖脂質を代表するものとしてはガラクトセレブロシド,グルコセレブロシド,グロボシドなどの中性スフィンゴ糖脂質,ガングリオシドなどの酸性スフィンゴ糖脂質があり,グリセロ糖脂質にはモノおよびジガラクトシルジアシルグリセロールなどを挙げることができる。ウロン酸を含むもの(ウロン酸含有糖脂質)、ホスホン酸を含むホスホノ糖脂質,燐酸を含む燐糖脂質など別の種類のものも見出されている。
Figure 2008096880
本明細書において、「アルコールとカルボン酸とが結合する条件」とは、アルコールとカルボン酸が反応する任意の条件であればよく、当業者は、上記一般技術に列挙した教科書を参酌して適宜実施することができる。例示的な条件としては、以下を挙げることができる。
Figure 2008096880
本明細書において、「スペーサー前駆体」とは、糖と糖脂質アミド保護体との間に介在して、糖と糖脂質アミド保護体とを結合する「スペーサー」の前駆体をいう。
本明細書において、「スペーサー」とは、糖と糖脂質アミド保護体とを結合する物質をいう。例えば、スペーサーとしては、コハク酸、マロン酸、フタル酸、オキザル酸、カルボン酸、イソプロピリデンケタール、メトキシベンジリデンアセタールが挙げられるがそれらに限定されない。なぜなら、分子内反応では反応する官能基間の相対的位置が重要であるが、本発明の方法では、比較的自由度の大きな分子(例えば、コハク酸など)で縮合反応をしても充分に良い成績が得られたので、上記以外の分子での架橋も充分に有効であると考えられるからである。
本明細書において、「保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件」とは、保護された糖鎖ドナーが脱保護する任意の条件であればよく、当業者は、上記技術に列挙した教科書を参考にして適宜実施することができる。
例示的な例として、反応温度は、例えば、室温、好ましくは、室温であり得るが、これらに限定されない。なぜなら、反応温度は、反応が充分に進みさえすればよいからである。従って、当業者は、反応の状況を考慮して、反応温度を適宜変更することができる。
溶媒としては、例えば、CHClなどが挙げられるが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような溶媒を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する溶媒を適宜選択することができる。
試薬としては、例えば、トリフルオロ酢酸などが挙げられるが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような試薬を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する試薬を適宜選択することができる。
反応時間としては、例えば、2〜12時間(例えば、2時間、2.5時間、3時間、5時間、10時間、12時間)などであり得るが、これら以外の範囲であってもよい。なぜなら、反応が充分に進まなければ、反応時間を延長することができ、他方、効率よく反応が進めば、反応時間は短縮されるからである。
本明細書において、「脂質アミド保護体の1位水酸基が脱保護される条件下」とは、脂質アミド保護体の1位水酸基のみが選択的に脱保護され、他の保護基に影響を与えない条件をいう。例えば、セラミド1位水酸基をシリル系保護基で保護した場合、この条件は、THF溶媒中、TBAF、AcOHの存在下、0℃にて起こり得る。
本明細書において、「アシル系保護基」とは、アシル基を有する保護基をいい、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、「アシル系保護基が脱保護する条件」とは、アシル系保護基が脱保護する任意の条件であればよく、当業者は、上記技術に列挙した教科書を参考にして適宜実施することができる。
例示的な例として、反応温度は、例えば、室温〜100℃(例えば、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃)であり得るが、これらに限定されない。なぜなら、反応温度は、反応が充分に進みさえすればよいからである。従って、当業者は、反応の状況を考慮して、反応温度を適宜変更することができる。
溶媒としては、例えば、メタノール(MeOH)、水(HO)などが挙げられるが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような溶媒を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する溶媒を適宜選択することができる。
試薬としては、例えば、ナトリウムメトキシド(NaOCH)、KOHなどが挙げられるが、これらに限定されない。なぜなら、目的の反応が進みさえすれば、どのような試薬を用いてもよいからである。当業者は、反応の状況を考慮して、使用する試薬を適宜選択することができる。
反応時間としては、例えば、1時間〜1週間(例えば、1時間、2時間、2.5時間、3時間、5時間、10時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間)などであり得るが、これら以外の範囲であってもよい。なぜなら、反応が充分に進まなければ、反応時間を延長することができ、他方、効率よく反応が進めば、反応時間は短縮されるからである。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(糖脂質の生成方法)
一つの局面において、本発明は、糖脂質を生成するための方法を提供する。この方法は、(a)保護された糖と脂質アミド保護体とを、該保護された糖と該脂質アミド保護体とが結合する条件下で反応させて、糖−脂質アミドアクセプター前駆体を生成させる工程;(b)該糖−脂質アミドアクセプター前駆体を、該糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件で反応させて、糖−脂質アミドアクセプターを生成させる工程;(c)該糖−脂質アミドアクセプターと保護された糖鎖ドナーとを、該糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する条件下で反応させて、保護された糖脂質を生成させる工程;および(d)該保護された糖脂質を、該保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件下で脱保護反応をさせて、糖脂質を生成させる工程を包含する。
(a)保護された糖と脂質アミド保護体とを、該保護された糖と該脂質アミド保護体とが結合する条件下で反応させて、糖−脂質アミドアクセプター前駆体を生成させる工程は以下のように実施することができる。
適切に保護された糖と脂質アミド保護体をジクロロメタン溶媒中、室温にて、WSC、DMAPなどの適切な試薬を作用させ、脂質アミド保護体のカルボキシル基と糖の水酸基を結合させる。続いて、脂質アミド保護体1位の保護基の脱保護を行う。これらの条件は、当業者が、本明細書に基づき、周知技術を考慮して任意に設計することができることが理解される。
(b)該糖−脂質アミドアクセプター前駆体を、該糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件で反応させて、糖−脂質アミドアクセプターを生成させる工程は以下のように実施することができる。
糖−脂質アミドアクセプター前駆体を、分子内グリコシル化反応(例えば、ジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤に、NIS2当量、TfOHを0.3当量用いる。)を行う。これらの条件は、当業者が、本明細書に基づき、周知技術を考慮して任意に設計することができることが理解される。
(c)該糖−脂質アミドアクセプターと保護された糖鎖ドナーとを、該糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する条件下で反応させて、保護された糖脂質を生成させる工程は以下のように実施することができる。
得られた糖−脂質アミドアクセプターと保護された糖鎖ドナーをを、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン溶媒)中,適切な温度(例えば、0℃)にて、活性化剤(例えば、TMSOTf(トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸)を0.04当量を使用する)を作用させ、縮合反応を行う。これらの条件は、当業者が、本明細書に基づき、周知技術を考慮して任意に設計することができることが理解される。
(d)該保護された糖脂質を、該保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件下で脱保護反応をさせて、糖脂質を生成させる工程は以下のように実施することができる。
得られた保護された糖脂質を適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン溶媒)中、室温にて、脱保護剤(例えば、TFA(トリフルオロメタンスルホン酸))を作用させ、保護基(例えば、MPM基)を脱保護し、続いて、適切な溶媒(例えば、メタノール溶媒)中、室温にて、別の脱保護剤(例えば、NaOMe(ナトリウムメトキシド))を作用させ、別の保護基(例えば、この場合、アシル系保護基)の脱保護を行う。最後に、シアル酸の有するメチルエステルがある場合は、適切な加水分解剤(例えば、水(HO))を加え、アルカリ加水分解することで、シアル酸の有するメチルエステルを脱保護し糖脂質へと導く。これらの条件は、当業者が、本明細書に基づき、周知技術を考慮して任意に設計することができることが理解される。
一つの実施形態において、本方法により使用され得る保護された糖としては、例えば、
Figure 2008096880
が挙げられる得るが、これらに限定されない糖の保護体である。
1つの実施形態において、本発明において使用される保護された糖では、水酸基の保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基等が使用され得、カルボキシル基の保護としては、メチル基、ベンジル基などが使用され得るが、これらに限定されない。脱離基としては、フェニルチオ基、フッ素基、トリクロロアセトイミデート基などが使用され得るが、これらに限定されない。
他の実施形態において、本方法において使用され得る脂質アミド保護体は、例えば、
Figure 2008096880
ここで、該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基またはアルケニル基から選択され;
該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタール、メトキシベンジリデンアセタールであり得;該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチル、ピバロイルであり得る保護基である。これらの保護基は、その機能を果たす限り別の保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、1位の1級水酸基のみをグリコシル化し、それ以外の水酸基を保護することができれば、上記以外の脂質アミド保護体を使用しても糖脂質を生成することができるからである。
好ましい実施形態において、本発明において使用され得る脂質アミド保護体は、
Figure 2008096880
であり得、糖−脂質アミドアクセプター前駆体は、
Figure 2008096880
であり得、糖−脂質アミドアクセプターが、
Figure 2008096880
であり得、ここで
該Rが、MPMであり;該Rが、MPM、Bzであり;該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;該Rおよび該Rは、独立して、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルであり得る保護基である。これらの保護基は、その機能を果たす限り別の保護基であってもよいことが理解される。なぜなら、本発明の方法では、脱離基としてチオグリコシドが用いられており、その活性化条件に耐性が有りさえすれば、上記以外の保護基を使用した糖−脂質アミドアクセプターを用いても糖脂質を生成することができるからである。
別の実施形態において、本方法において、前記保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する条件は、例えば、アルコールとカルボン酸とが結合する条件であり得る。なぜなら、保護された糖には、一カ所だけ保護されてない遊離の水酸基が存在し、脂質アミド保護体にはカルボキシル基を有するスペーサーが存在するからである。理論に束縛されることは望まないが、保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する条件が、アルコールとカルボン酸とが結合する条件であればよいという、合理的な説明が提示される。
別の実施形態では、前記工程(a)は、溶媒中において試薬の存在下で所定の反応温度および反応時間、前記保護された糖鎖と、前記脂質アミドとを混合し、反応させることを包含する。ここで、該溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、CHCl、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびそれらの組合せであり得;該試薬は、トリフェニルホスフィン(PPh)、DEAD、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC)、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、トリエチルアミン(EtN)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)またはそれらの組み合わせであり得;および該反応時間は、2時間〜4時間であり得る。
別の実施形態において、この工程(a)では、前記反応温度は、室温以上であり得、好ましくは、室温〜90℃であり得るが、これらは、溶媒等によって変動する。
1つの例示的実施形態として、試薬が、PPhおよびDEADであり、前記溶媒がTHFであり、前記反応温度が90℃以上である条件を挙げることができる。
好ましい実施形態において、工程(a)は、前記溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)であり、前記試薬がトリフェニルホスフィン(PPh:3.0当量)およびDEAD(3.0当量)であり、前記温度が、還流(90℃)であり得る。
別の好ましい実施形態において、工程(a)は、前記溶媒が、CHClであり、前記試薬が、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC:3.0当量)および2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(1.1当量)であり、前記温度が、室温であり得る。ここで、当量は、反応の主物質(例えば、保護された糖鎖)に対する当量である。
別の好ましい実施形態において、工程(a)は、前記溶媒が、CHClであり、前記試薬が、トリエチルアミン(EtN:1.5当量)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP:3.0当量)であり、前記温度が、室温である。
別の実施形態において、前記工程(a)は、前記糖および前記脂質アミド保護体に、さらにスペーサー前駆体を加えることにより、前記脂質アミド保護体を、スペーサーを介して該糖に結合させることを包含し得る。前記脂質アミド保護体を、スペーサーを介して該糖に結合させるには、例えば、(1)WSC,DMAP、CHClの存在下、室温;(2)PPh、DEAD、THFの存在下、還流、(3)2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、EtN、DMAP、CHClの存在下、室温などの条件が挙げられるが、これらに限定されない。このスペーサーと、前記糖または前記脂質アミド保護体とは予め結合されていてもよい。
さらなる実施形態において、工程(a)は、前記脂質アミド保護体を、該脂質アミド保護体の1位水酸基が脱保護される条件下で反応させて、該1位水酸基を脱保護する工程を包含し得る。該脂質アミド保護体の1位水酸基が脱保護される条件下としては、セラミド1位水酸基をシリル系保護基で保護した場合、この条件は、THF溶媒中、TBAF,AcOHの存在下0℃を挙げることができる。
別の実施形態において、前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、Rは、イソプロピリデンケタール、メトキシベンジリデンアセタールであり得、Rは、
Figure 2008096880
Figure 2008096880
であり得、そしてRは、Ac、Bxであり得るが、これらに限定されない。
別の実施形態において、前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、Rは、Tr、TBDPS、TBDMSであり得、Rは、スクシニル、マロニル、オキサリル、カルボニル、グルタリル、フタロイル等であり得、そしてRは、アセチル、ベンゾイルであり得るが、これらに限定されない。
別の実施形態において、前記スペーサー前駆体はコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、Rは、Tr、TBDPS、TBDMS等であり得、Rは、スクシニル、マロニル、オキサリル、カルボニル、グルタリル、フタロイル等であり得、そしてRは、アセチル、ベンゾイル等であり得るが、これらに限定されない。なぜなら、分子内反応では反応する官能基間の相対的位置が重要であるが、本発明の方法では、比較的自由度の大きな分子(例えば、コハク酸など)で縮合反応をしても充分に良い成績が得られたので、上記以外の分子での架橋も充分に有効であると考えられるからである。
別の実施形態において、前記オリゴ糖の還元末端側の糖残基は、前記脂質アミド保護体とスペーサーを介して結合し得る。
一つの実施形態において、前記工程(b)は、前記分子内縮合反応を活性化させるための活性化剤の存在下で行われ、該活性化剤は、シアル酸のSPh基を活性化するものであれば、何でもよく、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)TMSOTf、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。なぜなら、シアル酸のSPh基を活性化することができれば、分子内縮合反応の活性化を達成することができ、同時に糖−脂質アミドアクセプターを精製することができるからである。
他の実施形態において、前記工程(b)は、−80℃〜室温の反応温度にて、CHCl、ジエチルエーテル((CHCHO)、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せのような溶媒中で;N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)の試薬(ここで、用いられる試薬としては、触媒の他、乾燥剤などを適宜存在させることができることが理解される。)の存在下で;1〜48時間の反応時間にわたり行われることができる。
好ましい実施形態において、前記反応温度は、−20〜0℃であり得るが、これらに限定されない。理論に束縛されることを望まないが、反応が有利に進むからであり、グリコシル化の反応温度は、反応の進行を阻害しない程度でなるべく低温下で行われるのが一般的であるからである。
好ましい実施形態において、前記溶媒は、ジクロロメタンであり得るが、これらに限定されない。理論に束縛されることを望まないが、ジクロロメタンが最も高反応性を示したからであるが、他にもジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンを用いてもよいことが理解される。
好ましい実施形態において、前記試薬は、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)であり得るが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、前記反応時間は、1時間〜5時間であり得るが、これらに限定されない。ただし、反応溶媒や温度によって変化することが理解される。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、0℃であり;前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、TMSOTf、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)であり;前記反応時間が、1.5時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、−40℃であり;前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)であり;前記反応時間が、5時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、−80℃→−60℃→−40℃→0℃であり;前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)であり;前記反応時間が、36時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、−40℃→0℃であり;
前記溶媒が、アセトニトリル(MeCN)であり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)であり;前記反応時間が、48時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、−0℃であり;前記溶媒が、アセトニトリル(MeCN)であり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)であり;前記反応時間が、1.5時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、−20℃であり;前記溶媒が、アセトニトリル(MeCN)であり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)であり;前記反応時間が、3時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、0℃→室温であり;前記溶媒が、ジエチルエーテル(EtO)であり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)であり;前記反応時間が、25時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、0℃であり;前記溶媒が、アセトニトリル(MeCN)であり;前記試薬が、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)であり;前記反応時間が、1時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、0℃であり;前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)であり;前記反応時間が、5時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、−20℃であり;前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)であり;前記反応時間が、1.5時間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(b)は、前記反応温度が、0℃であり;前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)であり;前記反応時間が、2時間であり得る。
工程(b)における「該糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件」は、上記の条件でなくても、糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件であれば、いかなる条件であってもよい。なぜなら、本法の目的は効率的な脂質部位の導入であるため、条件は問わない。また、分子内グリコシル化が達成されれば、同時に糖−脂質アミドアクセプターが合成されたことになるからであるからである。
別の実施形態において、前記分子内縮合反応は、グリコシル化であり得るが、これらに限定されない。グリコシル化を用いることによって、本発明では、脂質アミドを適切に糖に導入することができることを見出した。
一つの実施形態において、本方法の工程(c)は、2.5当量より多くのアクセプターに対するドナーの当量にて;−40〜0℃の反応温度にて;CHClの溶媒中で;トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)試薬の存在下で、1〜48時間の反応時間反応をさせることを包含し得る。
好ましい実施形態において、工程(c)は、前記アクセプターに対するドナーの当量が2.5当量であり;前記反応温度が、0℃であり;前記溶媒が、CHClであり;
前記試薬が、TMSOTfであり;前記反応時間が、7時間であり得る。
他の実施形態において、前記保護された糖鎖ドナーは、例えば、
Figure 2008096880
を挙げることができるが、これらに限定されない。この保護された糖鎖ドナーは、糖鎖還元末端に脱離基を有し、他の保護基が保護してあれば、いかなる糖であってもよい。なぜなら、グリコシル化において活性化剤によって糖鎖還元末端の糖残基のアノマー位だけが脱離し、そこへ糖−脂質アミドアクセプターが求核攻撃を起こすからである。したがって、そのような脱離基としては、例えば、−SPh、−SCH、−SCHCH、−F,−OPO(OPh)、−OPO(N(CH(ここで、Phはフェニル)を挙げることができるがこれらに限定されない。
一つの実施形態において、本方法の工程(d)は、CHClの溶媒中で;トリフルオロ酢酸の試薬の存在下で;室温の反応温度にて;2〜12時間の反応時間にわたり行われ得るが、これらに限定されない。工程(d)は、該保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件下であれば、いかなる条件下であってもよい。
好ましい実施形態において、工程(d)は、前記溶媒が、CHClであり;前記試薬が、トリフルオロ酢酸であり;前記反応温度が、室温であり;前記反応時間が、2時間であり得る。
一つの実施形態において、本方法の工程(e)は、前記工程(d)の生成物を、アシル系保護基が脱保護する条件下で反応させ、脱保護する工程をさらに包含し得る。
別の実施形態において、前記(e)工程は、メタノール(MeOH)または水(HO)の溶媒中で;ナトリウムメトキシド(NaOCH)またはKOHの試薬の存在下で;室温〜100℃の反応温度にて;1時間〜1週間の反応時間にわたり行われ得るが、この条件に限定されない。なぜなら、工程(e)では、アシル系保護基を脱保護することができさえすればよいからである。
好ましい実施形態において、工程(e)の実施される条件は、前記溶媒が、メタノール(MeOH)であり;前記試薬が、ナトリウムメトキシド(NaOMe)であり;前記反応温度が、室温であり;前記反応時間が、12時間であり得る。
(糖鎖の合成方法)
一つの局面において、本発明は、
Figure 2008096880
を生成させる方法を提供する。この方法は、アクセプター化合物
Figure 2008096880
とドナー化合物
Figure 2008096880
とを、該アクセプター化合物と該ドナー化合物とが結合する条件下で反応させる工程(A)、を包含し、ここで、Rは、AcまたはHであり;Rは、AcまたはTrocであり;SPhは、
Figure 2008096880
であり;MPは、
Figure 2008096880
であり;SEは、
Figure 2008096880
であり;Acは、
Figure 2008096880
であり;Bzは、
Figure 2008096880
であり、Bnは、
Figure 2008096880
であり;Meは、メチルである。
他の実施形態において、前記工程(A)は、以下:−40℃〜室温の反応温度にて;CHCN、CHCl、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せとの混合液の溶媒中で;N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、TMSOTfまたはそれらの組合せの触媒の触媒の存在下で;1時間〜3日間の反応時間にわたり行われ得るが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)またはトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本方法において使用され得る触媒は、シアリルドナーとラクトシルアクセプターとよく溶解し、縮合時によく立体制御(αシアリル化)を達成するものでありさえすれば、どうような触媒であってもよい。活性化したシアリルドナーとラクトシルアクセプターさえ存在すれば、縮合反応は進行するからである。
好ましい実施形態において、前記溶媒は、例えば、CHCN、CHCl、CHCNとCHClとの混合液であり得るが、これらに限定されない。本方法において使用され得る溶媒は、シアル酸のSPh基を活性化するものでありさえすれば、どうような溶媒であってもよい。なぜなら、シアリルドナーが活性化されれば、ラクトースの遊離の水酸基の求核性により速やかに反応が進行するからである。
好ましい実施形態において、前記反応温度は、例えば、−30℃〜0℃であり得るが、これらに限定されない。他の好ましい実施形態において、前記反応温度は、−50℃であり得る。
好ましい実施形態において、前記反応時間は、例えば、2〜3日間、約4〜8時間、好ましくは約6時間であり得るが、これらに限定されない。グリコシル化は通常1時間〜1日以内であるが、反応の進行状態によって任意に反応時間を設定することが可能であり、これらに限定されない。
別の実施形態において、前記工程(A)は、
−30℃→室温の反応温度で;CHCN→CHCNとCHClとの混合液を溶媒として用いて;N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて;および2日間の反応時間反応させることを包含し得る。
別の実施形態において、前記工程(A)は、
前記反応温度が、−30℃→室温であり;前記溶媒が、CHCNとCHClとの混合液であり;前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびTMSOTfであり;前記反応時間が、3日間であり得る。
別の実施形態において、工程(A)は、前記反応温度が、−30℃→0℃であり;前記溶媒が、CHCNとCHClとの混合液であり;前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)であり;前記反応時間が、2日間であり得る。
別の実施形態において、工程(A)は、前記反応温度が、−30℃であり;前記溶媒が、CHCNとCHClとの混合液であり;前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)であり;前記反応時間が、3日間であり得る。
別の実施形態において、工程(A)は、前記反応温度が、室温であり;前記溶媒が、CHClであり;前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)であり;前記反応時間が、1日間であり得る。
別の実施形態において、前記工程(A)は、前記反応温度が、−50℃であり;前記溶媒が、プロピオニトリルとCHClとの混合液であり;前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)であり;前記反応時間が、約6時間であり得る。
(糖鎖)
一つの局面において、本発明は、本方法の糖鎖の合成方法により製造された糖鎖を提供する。ここで糖鎖の合成方法は、上述の(糖鎖の合成方法)に記載される任意の形態が使用され得る。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本明細書の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
(用途)
本発明により作成した糖または糖誘導体は、医薬品材料とすることができる。このようにして製造した医薬品材料は、バリデーションが簡単であるという利点を有し得る。本発明を利用すれば、医薬品原料及び医薬品において、リコンビナント化をして、動物由来の原料も含め生体原料を使わないことができる。使用する場合、大きなコストとリスク(不明な生体内挙動、汚染等)を抱えることになることから、本発明はこれらを回避することができる点優れているといえる。
本発明を用いた場合、医薬品等において均一性及び安定性の向上を図ることができる。これは、不純物を除去することによる。
本発明を用いた場合、医薬品等の安全、安定供給が可能である。例えば、必要なスケールアップを可能とし、汚染及び品不足が起きないからである。本原料のみ動物材料の抽出物として利用することも可能である。
本発明は、例えば、乳に含まれるガングリオシドと同様の用途が考えられる。乳は、主に、GM3、GD3が含まれるが、GM1もまた微量に含まれている。母乳に含まれるガングリオシドは、細菌やウイルスなどの毒素が、乳児(宿主)の口腔、咽頭または消化管などの粘膜上皮細胞に結合するのを、阻害する作用がある。したがって、本発明の生成物もまた、同様の有用性を有し得る。
GM3、GD3、GM1は、毒素性大腸菌が、腸上皮細胞に付着することを、阻害する作用がある。したがって、本発明によって生産された生成物もまた、同様の効果を期待することができる。GM3、GM1は、ラクトシルセラミド(Galβ1−4Glcβ1−1Cer)およびシアル酸から構成されている。しかし、ラクトシルセラミドにもシアル酸にも、GM3、GM1のような、毒素性大腸菌の腸上皮細胞への付着を阻害する作用は見られない。
加えて、本発明を利用することによって、GM3およびGD3等のガングリオシドの経口的接種により、脳中ガングリオシド量の減少抑制および学習行動改善が可能である。また、抗酸化剤としても使用し得る(特開平11−126418号、特開平11−209756号)。
本発明を利用することによって、GM3によるインフルエンザウイルスの阻害、血管新生阻害効果が達成され得る(特開平8−59684号、特開平6−145069号)。
本発明を利用することによって、GM3によるグリオーマの化学療法剤を提供し得る(特開2002−510291号)。
さらに、本方法を用いることよって、GM3により、ヒト白血病細胞株HL60を単球・マクロファージ系へ分化誘導することが可能である。
本発明を利用することによって、GM4により、表皮剥離毒素の阻害剤が提供され得る。GM4は、中枢神経の脱髄に関連しているとされており、また、抗ウイルス剤としても注目されている(特開2001−233773)。
その他、本発明を用いることによって、がん細胞の増殖抑制、神経細胞突起の伸長に関与する生成物を生産することができる。
最近、糖タンパク、プロテオグリカン、糖脂質などの複合糖質が生化学的見地から注目を集めている。さらに、植物および細菌の細胞壁に存在する多糖類の生理的役割も徐々に明らかにされている。それに伴って、それらのオリゴ糖部分(糖鎖)の構築が有機合成化学的に重要な課題として認識されるようになった(Paulsen,H.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1982,21,155−.)。糖鎖の構造は、糖鎖を構成する糖の種類、数、配列順序、グリコシド結合の立体化学、糖残基間の結合の位置をあわせると極めて多様性に富んでいる。従って、糖鎖の合成を効率よく行うためには、グリコシド結合を立体及び位置選択的に形成させる手段が必要となる。その際の基本的な方法論となるO−グリコシル化反応についてこれまで数多くの研究がなされている。しかし、その立体化学を支配する要因について十分な理解が及んでいるとは言い難い。また、現状ではあらゆる種類のO−グリコシド結合に適用できる万能の反応は存在しない。しかしながら、既存のグリコシル化反応は立体選択性に影響を及ぼす因子について微妙に異なった特性を持っている。従って、脱離基および保護基ならびに溶媒、活性化剤、温度等の反応条件を組み合わせることにより立体選択性について幅広いバリエーションを持たせることが可能である。実際、現在では、ピラノシドに関しては、殆どのO−グリコシル化反応についてかなりの程度まで立体化学を制御することが可能になってきている(Wulff,G.;Rohl,G.Angew.Chem.Int.Ed.1974,13,157−.)。
(グリコシル化反応における立体化学制御)
O−グリコシル化反応を一般式で表すと次のようになる(O−グリコシル化反応)。通常(1)を糖供与体(グリコシルドナー、glycosyl donor)、(2)を糖受容体(グリコシルアクセプター、glycosyl acceptor)もしくはアグリコン(aglycon)と呼んでいる。糖供与体のアノマー位の置換基Xは脱離基(leaving group)と呼ばれる。グリコシル化反応を行うためには、糖供与体の脱離能を高めるために、触媒量または化学量論量の活性化剤(activatorまたはpromoter)が必要である。また、活性化剤は、反応に伴って生成する酸の捕捉剤としての役割を果たすこともある。
(O−グリコシル化反応)
Figure 2008096880
O−グリコシドを合成化学的見地から大別すると、2−ヒドロキシ系、2−アミノ系及び2−デオキシ系に分類される。この中で、2−ヒドロキシ系及び2−アミノ系グリコシドは、1,2−cis型及び1,2−trans型に分けて考えられる。さらに、2−ヒドロキシ系グリコシドの合成においては、1,2−cis及び1,2−transのそれぞれについてマンノース型(マンノ型)とグルコース型(グルコ型)で異なった方法論が用いられる。O−グリコシル化反応における立体化学制御に用いられる方法論を大まかに分類すると次の三つになる。(1)in situ anomerizationによるα−グリコシドの合成、(2)S2型反転によるβ−グリコシドの合成、(3)隣接基関与を利用する1,2−transグリコシドの合成である。下記表(O−グリコシドの分類と合成法)にO−グリコシドの基本構造とその合成に利用されている方法論をまとめた。以下、脱離基としてBrまたはClを有するグリコシルハライドを例にとって基本となる考え方を述べる。
(O−グリコシドの分類と合成法)
Figure 2008096880
(a. in situアノマー化(anomerization)法)
グルコシルハライドは、通常、その大部分が熱力学的に安定なα体(3a)として存在している。しかし、α体(3a)を重金属塩、第四級アンモニウム塩などで活性化するとオキソカルベニウムイオン(4a)が生成し、β−型のイオン対を経由してβ−ハライド(3b)との間に平衡が成立する。ここで系内にアルコール(R−OH)が存在すれば(4a)はβ−グリコシド(5b)を、(4b)はα−グリコシド(5a)を与えると考えられる。隣接基関与を行わないような糖供与体はこのような様式で反応し、その立体化学はこれらの一連の反応の相対的な速度によって決定される。ここでアノマー効果を考えに入れると、(4b)の方が(4a)より反応性が高いと考えられる(K>K)。従って、この平衡が十分速ければ(K≫K)、反応は主として(4b)を経由して進行し、α−グリコシド(5a)を与える。このような型の反応は、α−グルコ型及びα−マンノ型グリコシドの合成に有用である。C−2位水酸基の保護基としては、隣接基関与を防ぐためにベンジル基、アリル基などのエーテル系保護基が用いられる。2−アミノ系グリコシドもアミノ基と等価なC−2位置換基の種類を選ぶことにより、同様にα選択的に行うことができる。ここで注意すべきことは、高い選択性を得るためには、基質の反応性との兼ね合いで、なるべく穏和な反応条件を選ぶ必要があるということである。すなわち、基質の反応性に対して活性化剤が強すぎたり反応温度が高すぎたりすると、(3a)→(4a)→(5b)の経路に沿って反応が進み、β体をかなり副生することがある。一方、あらかじめβ−ハライドを調製して直接反応に用いる方法も知られている。この方法は、反応性の高い基質のα−グリコシル化に有用である。
(グリコシル化反応の経路(その1))
Figure 2008096880
(b. S2型反転を伴うグリコシル化)
ある種の不溶性触媒を活性化剤として用いるとハライドの活性化によって生成するイオン対が触媒表面に固定されるので、ハライドのアノマー間の平衡が抑制される。このような条件下では、S2的な立体化学の反転を伴ってα−ハライドが反応し、β−グリコシドを与える。この型の反応は、特に、β−マンノ型グリコシドの合成に有用である。また、非常に強い活性化剤、脱離能の高い糖供与体を用いると、アノメリゼーションの速度を置換反応の速度が上回るため(K>K)β体を主生成物として得ることができる。
(c. 隣接基関与による立体化学の制御)
糖供与体のC−2位水酸基の保護基としてアセチル基、ベンゾイル基などのアシル基を用いると、β−グルコ及びα−マンノ型グリコシドを選択的に合成することができる。この現象はアシル基の隣接基関与を想定することにより説明されている。すなわち、グリコシルハライド(6)から生成するオキソカルベニウムイオン(7)に対してアシルオキシ基が隣接基関与を起こし、より安定な環状アシロキソニウムイオン(8)へと異性化する。(8)に対してはアノマー位へのアルコールの求核攻撃の方向が限定されるため(経路(a))、1,2−trans配位の生成物(9)のみが得られる。この方法は立体化学制御の点からは非常に信頼性の高い反応である。ただし、しばしば、(b)の経路が競合しオルトエステル(10)の副生が問題となる。また、アノマー位の隣に電子求引性のアシル基が存在するためハライドの反応性が低下し、一般的に強い反応条件が必要である。
2−アミノ糖についてもN−アシル基やN−フタロイル基などの隣接基関与が利用されている。一方、2−デオキシ糖はそのままでは当然隣接基関与は利用できないが、C−2位にハロゲン、硫黄、セレンなどの置換基を導入して立体化学を制御する試みが盛んに行われている。
(グリコシル化反応の経路(その2))
Figure 2008096880
もう一つの問題点として、糖残基間の結合位置の制御がある。オリゴ糖は分子内に数多くの水酸基を有しており、これを厳密に区別して目的とする水酸基のみを反応させる必要がある。そのための手段の一つとして水酸基の反応性の相違を利用する方法がある。例えば、C−6位の第一級水酸基は他の水酸基と比べて遙かに反応性が高いため選択的に糖残基を導入することができる。また、エカトリアル水酸基がアキシアル水酸基より立体障害が小さいことを利用して、位置選択的なグリコシル化を行うこともしばしば可能である。しかしこれらはあくまで特殊な例であって、より一般的には保護基の選択的な導入によって糖質の有機溶媒に対する溶解性を高め、必要とする水酸基のみを遊離にさせておくのが望ましい。実際に複雑なオリゴ糖を合成する際には、種々の保護基をその特性に応じて使い分ける必要があり、その適切な選定が合成の正否に決定的な重要性を持っている。
(反応条件の設定)
グリコシル化反応は当然ながら厳密に無水の条件下で行うことが望ましい。従って溶媒、試薬、基質、反応容器の全てについてできる限り水分を除去することが必要である。特に銀塩は吸湿性が高いため注意を要する。現在では、反応の実行にあたっては窒素またはアルゴンの雰囲気下、注射器を用いて溶液を注入する方法が一般的である。銀塩を用いる反応は光を遮断して行う方がよい。一方、殆どのグリコシル化反応はモレキュラーシーブス(MS)や無水硫酸カルシウム(Drierite)によって妨げられない。特に小スケールの精密合成においては、その技術的な困難を軽減するためにこれらの乾燥剤の存在下で反応を行うことが多い。汎用されている溶媒にはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルがあり、ニトロメタンやアセトニトリル等の極性溶媒もしばしば用いられる。グリコシル化反応における溶媒の効果を一律に解釈することは困難であるが、一般的にはニトロメタンのような極性溶媒中では反応が加速される。立体選択性との関連についても多くのデータが蓄積されている。特に興味深いのはアセトニトリルとジエチルエーテルの溶媒効果である。すなわちある種の反応においてアセトニトリル中ではβ体が、ジエチルエーテルではα体が主生成物として得られる。ジクロロメタンの様な他の非極性溶媒と比べてもエーテル中ではα選択性が向上することがしばしば認められるため、アセトニトリルとの方向性の相違は単純に極性の差によるものではないようである。反応温度は基質の反応性により−70℃から100℃前後と極めて幅広いが、普通は反応の進行に差し障りのない限り低温で行うのが望ましいとされている。濃度の影響については系統的な研究はされていないが、分子間反応の通例として高濃度で行う方がよいと考えられる。しかし中には、高希釈下でのみよい結果が得られるという例もあり(Nicolaou,K.C.;Daines,R.A.;Ogawa,Y.;Chakraboty,T.K.J.Am.Chem.Soc.1988,110,4696−.)、当業者はこれらの情報を考慮して、本明細書の記載に基づき、適宜適切な条件を選択することができる。
(セラミド導入新規合成戦略の好ましい製造例の立案)
上述の通り、本発明者らは、複雑なガングリオシドを合成する際には、アジドスフィンゴシンを用いてセラミド部位を導入する方法(下記参照のこと。)を汎用してきた。その理由として、糖鎖の分子量が上がるにつれて、他の方法では脂質の導入が非常に困難であることが挙げられる。アジド体にすることで、セラミドが有する二本のアルキル鎖の立体障害を軽減し、さらにセラミドの一級水酸基とアミドの水素結合に起因する一級水酸基の求核性低下を抑制することにより、セラミド骨格の導入を容易にしている。
糖鎖構築を完了した後に脂質を導入する方法(脂質受容体側の改良)
Figure 2008096880
しかしながら、この従来技術の方法においても満足な導入収率は得られていない。加えて本法は、アジドスフィンゴシンの調製、アジド基の還元、脂肪酸の導入と縮合の前後に煩雑な合成ステップを要する。そこで、これらの問題を精査した結果、改善のポイントは以下の三点であると考えられる。(1)糖鎖と脂質の縮合収率の向上(2)脂質導入における立体選択性(3)セラミドの調製と変換の簡便化。本発明では、以上の点を考慮して、分子内縮合反応を用いる新規合成戦略を立案した。適切に設計された分子内グリコシル化によって、上記全ての問題点を改善できると考えられる。
分子内グリコシル化の主な利点は、反応性と立体選択性、位置選択性の向上にある。さらに、固相合成や連結合成への応用も可能となる。分子内反応は、分子間反応に比べて、二つの分子が一つになるためにエントロピー的に有利となり、結果として反応性が大幅に増大すると考えられる。適切に化合物を設計することで、二分子が反応点においてより頻繁に衝突し、反応の平衡状態を目的化合物側に傾けることが期待できる。また、立体選択性および位置選択性についても、用いるスペーサーの種類(長さ、有する官能基の性質、柔軟性)および位置、あるいは溶媒および反応温度を複合して考慮することによって、両分子が立体的に様々な規制を受ける結果、選択性を向上させることが可能になる。
合成糖化学の分野においても、この特質を生かした合成が数多く利用されてきた。分子内グリコシル化の歴史は古く、これまでに様々な反応が検討されてきた(Jung,K.H.;Muller,M.;Schmidt,R.R.Chem.Rev.2000,100,4423−4442.)。分子内グリコシル化は、糖供与体(donor)と糖受容体(acceptor)を結合するスペーサーによって大きく三種類のタイプに分類することができる。
(分子内グリコシル化の分類)
Figure 2008096880
脱離基ベース分子内グリコシル化(Leaving group−based intramolecular glycosylation)は、糖受容体(acceptor)が糖供与体(donor)の脱離基に結合しており、脱離基の脱離と同時に受容体が供与体のアノマー炭素に攻撃するものである。
二機能性を有するスペーサーに結合した受容体原子(Linkage of the accepting atom via a bifunctional group)は、受容体(acceptor)が二機能性を有するスペーサーを介して糖供与体(donor)(一般的には2位水酸基)に結合しており、脱離基が脱離すると受容体原子が同時か後処理において、スペーサーの除去に働くものである。
反応点でない部位をスペーサーが仲介する結合(Spacer−mediated linkage via nonreacting centers)は、受容体(acceptor)が、機能や位置を問わず反応に関与しないスペーサーによって、糖供与体(donor)と結合しており、一般に受容体に一つ(あるいはそれ以上)存在する無保護の水酸基によって反応が進行するものである。
分子内グリコシル化を利用した最も有名な提案の一つに、Ito、Ogawaらによるβ−マンノシドの合成が挙げられる(Ito,Y.;Ogawa,T.;J.Am.Chem.Soc.1997,119,5562−.)。β−マンノシドは、マンノースの構造上、前述したin situ anomerization法も隣接基によるの立体制御法も用いることができず、その上熱力学的にも速度論的にも不安定なβグリコシドを形成しなければならない。したがって、様々な立体制御法が報告されている今日においても、最も困難な課題の一つとして存在している。以下には、高等動物における主なグリコシドの結合様式と合成難度を示す。
(高等動物における主なグリコシドの結合様式と合成難度)
Figure 2008096880
Ito、Ogawaらは分子内グリコシル化を固相合成に応用し、高立体選択的、効率的なβ−マンノシドの合成に成功している(Ito,Y.;Ogawa,T.;J.Am.Chem.Soc.1997,119,5562−.)。
(Ito・Ogawaらによる分子内グリコシル化を利用したβ−マンノシドの合成)
Figure 2008096880
上記の反応では、糖供与体を樹脂に結合することで従来のカラムクロマトグラフィーを用いた精製を省略化した。また、適切に設計された構造より、困難とされるβ-マンノシド化を立体選択的に行っている。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本明細書の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以下、実施例により、本発明の構成をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において使用した試薬類は、特に言及した場合を除いて、市販されているものを使用した。
(合成例)
本発明において、分子内グリコシル化を用いるとき、還元末端の糖(グルコース)およびセラミドのどの水酸基を架橋するか、スペーサーとして何を用いるか、そして3種類の分子内グリコシル化のタイプのうちどの方法を用いるかを検討した。まず、還元末端の糖(グルコース)とセラミドのどの水酸基を架橋するかについては、結合収率を考慮した結果、反応性の高いグルコースの一級水酸基である6位とセラミドの3位水酸基とを結合するのが適切であると考えられる。スペーサーとして何を用いるかについては様々な検討が可能である。そこで、まずは分子内グリコシル化において汎用されており、扱いが容易で、かつ最終の脱保護においてZemplen condition(Plattner,J.J.;Gless,R.D.;Rapoport,H.J.Am.Chem.Soc.1972,94,8613−.)によって効率的に脱保護が可能であるコハク酸を用いることとした。以上の理由より、3種類の分子内グリコシル化のタイプのうち(Spacer−mediated linkage via nonreacting centers)を用いることとした。
分子内グリコシル化を用いるセラミドの導入にも2種類の合成戦略が考えられる。一つ目は、糖鎖構築後に分子内グリコシル化を用いる方法である(下式)。また、二つ目の方法として、先に糖鎖還元末端となるグルコースにセラミドを、コハク酸を介した分子内縮合によって導入し、その後、グルコシルセラミドアクセプターとして、糖鎖へ導入する方法も存在する(下式)。
(糖鎖構築後に分子内グリコシル化を用いる方法)
Figure 2008096880
(グルコースに分子内グリコシル化を用いグルコシルセラミドアクセプターを利用する方法)
Figure 2008096880
まず、分子内グリコシル化によって、セラミドが糖に導入できること検証することとした。そこで、糖鎖として単糖のグルコースを用いた。グルコースをセラミドと架橋させ、分子内グリコシル化を行って、分子内グリコシル化の結果を考察した。その後、二つの合成戦略をそれぞれ検討した。
以上の理由により、まず適切に保護されたグルコースドナーおよびセラミドアクセプターを調製し、GlcH−6とCerH−3とをコハク酸を用いて架橋する。次いで、分子内グリコシル化を行う。その結果を考察し、得られたグルコシルセラミドアクセプターを用いて糖鎖に導入を行う。そして、より複雑な糖鎖においても分子内グリコシル化の検討を行っていくこととした(スキーム1)。
(スキーム1)
Figure 2008096880
(グルコースドナーの調製)
天然のガングリオシドにおいてグルコースは糖鎖還元末端に位置し、ガラ系(糖鎖・セラミド間がβ-ガラクトシド結合により構成される糖脂質)を除くほとんどのガングリオシドでGalβ(1−4)Glcβ(1−1)Cerの構造を有している。
(代表的なスフィンゴ糖脂質の基本糖鎖構造)
Figure 2008096880
上記の構造を踏まえるとグルコースドナー2位の保護基には、隣接基関与が期待できるアシル系のBz基を導入することが最も確実な方法であると考えられる。また、グルコースの4位へは糖鎖を導入するため、グルコースの3位の保護基は、4位糖鎖導入の際、4位水酸基の反応性低下を招かない保護基がより好ましい。以上から、3位保護基は、電子供与性保護基でその有用性が確認されているエーテル系のBn基やMPM基などによる保護が適切であると考えられる。Bn基の脱保護には、主に接触水素添加が用いられているが、本法を用いると、セラミドの有する不飽和結合を還元してしまうため、Bn基よりもMPM基を用いるほうがよいようである。グルコースの4,6位は、コハク酸を用いたセラミドとの架橋の際は、遊離の水酸基で行い、最も反応性が高い6位の一級水酸基と反応性が低い4位の2級水酸基との反応性の差を利用することにより、6位選択的にコハク酸と架橋を行うこととした。コハク酸を用いた架橋の後は、グルコース4位の水酸基を選択的脱保護が可能なクロルアセチル基で保護し、分子内グリコシル化へ導くこととした。また、アノメリック位の保護については様々な保護基が考えられるが、保護基として比較的安定であり、セラミドとの縮合時に、そのまま脱離基として利用することが可能であるSPh基を用いることとした。SPh基は、活性化剤の種類が豊富であり、他の脱離基に容易に誘導可能であるなどの特徴を有している(下式:求められるグルコースアクセプターの保護様式)。
(求められるグルコースアクセプターの保護様式)
Figure 2008096880
さらに、より効率的なグルコースアクセプターも考案し、合成することとした。具体的には、グルコースアクセプターの2位をBz基から、電子供与性のMPM基に変換し、グルコースアクセプターの調製を簡便にすると共に、アームド糖として、1位SPh基の脱離能の向上、並びに4位糖鎖導入における反応性の向上を期待した(下式:求められるグルコースアクセプターの保護様式2)。MPM基に変換することで、2位の隣接基関与は失われるが、コハク酸を用いた分子内グリコシル化の高立体選択性の特性を活用し、セラミド導入時の立体選択性を巧みに制御したいと考えられる。
(求められるグルコースアクセプターの保護様式2)
Figure 2008096880
(グルコースドナー(2−Bz)の調製例)
まず、化合物1に45℃にて、AcO、ピリジン(pyr.)を作用させ、定量的に化合物2を得た。その後、グルコースのアノメリック位をSPh基で保護するため、アルゴン雰囲気下、CHCl溶媒中、室温にて、PhSHとBF・OEtを作用させ、収率67%で化合物3へと導いた。続いて、アルゴン雰囲気下、MeOH溶媒中、室温にて、MeONaを作用させ、2,3,4,6位のAc基を脱保護し、収率93%にて化合物4を得た。続いて、化合物4にアルゴン雰囲気下、MeCN溶媒中、室温にて、BDAとp−TsOHを作用させ、収率93%にて、化合物5を得た。なお、生成物の構造決定のため、化合物5をAc化し、H−NMRスペクトルを確認したところ、化合物5の2位プロトンのシグナルδ(ppm)3.4(m、1H)と3位プロトンのシグナル3.8(m、1H)が、それぞれ5.0(t、1H)、5.3−5.4(t、1H)と低磁場シフトを示した。このことから、4,6位のベンジリデン基導入を確認した。
次に、化合物5をtoluene溶媒中、還流下にて、DBTO、TBAB、MPMClを作用させ、収率77%にて、化合物6を導いた。BuSnOは環状のstannylene化合物を形成し、シスーグリコールを真っ先に活性化し、そのうちのequatorialの水酸基に反応が起こりやすいとされている。化合物5には、シスグリコールが存在せず、4,6位がベンジリデン基で保護されているため、2,3位でstannylene化合物を形成し、3位選択的にMPM化が進行したものと考えられる。生成物の構造決定のため、化合物6をAc化し、H−NMRスペクトルを確認したところ、化合物6の2位プロトンのシグナルδ(ppm)3.5(m、1H)が、5.2−5.3(t、1H)と低磁場シフトしていた。このことから、2位がAc化されている、つまり3位にMPM基が導入していることが確認された。
続いて、化合物6にアルゴン雰囲気下、ピリジン(pyr.)溶媒中、室温にて、ベンゾイルクロライドとDMAPを作用させ、収率80%で、化合物7を得た。化合物7を85%−AcOH水溶液、40℃にて、4,6位ベンジリデン基を脱保護し、収率82%にて化合物8を得た(スキーム2)。
(スキーム2)
Figure 2008096880
(グルコースドナー(2−MPM)の調製例)
より効率的なグルコースアクセプターの調製に向けて、グルコースアクセプターの2位をBz基から、電子供与性のMPM基に変換したものも調製することとした。2位をMPM基にすることで、グルコースアクセプターの調製を簡便にすると共に、アームド糖として、1位SPh基の脱離能の向上、並びに4位糖鎖導入における反応性の向上を期待した。MPM基に変換することで、2位の隣接基関与は失われるが、コハク酸を用いた分子内グリコシル化の立体選択性という特質を利用し、セラミド導入におけるアノメリック位の立体選択性を上手く制御したいと考えられる。
グルコースドナー(2−MPM)の調製では、調製していた化合物7にMeOH/THF混合溶媒中、室温にて、NaOMeを触媒量作用させ、2位のBz基を脱保護し、続いて、DMF溶媒中、室温にて、NaHとMPMClを作用させ、2位をMPM化し、2工程収率70%にて、化合物9を得た。続いて化合物9に83%酢酸を30℃で作用させ、収率86%にてグルコースドナー(2−MPM)を調製した(スキーム3)。
(スキーム3)
Figure 2008096880
(セラミドの調製例)
本発明では、当初、哺乳動物に広く存在するスフィンゴシン型のセラミドを用いて研究を進めていた。しかしながら、分子内グリコシル化の有用性が確認できない中、スフィンゴシン型のセラミドが有する不飽和結合のために、研究を遂行する上で様々な困難を強いられた。具体的には、Bn基などを脱保護する際に用いられている接触水素添加法が不飽和結合を還元してしまうために容易に用いることができない点、およびグリコシル化において、NISのような不飽和結合に付加する可能性がある活性化剤を用いることができない点である。また、セラミドのサンプル不足にも苦しめられた。現在では、セラミドを調製する方法がいくつか報告されている((a)Berg,R.V.;Korevaar,C.;Overkleeft,H.;Marel,G.V.;Boom J.V.J.Org.Chem.2004,69,5699−5704.(b)Alexander,M.;Richard,J.K.T.;Robert,J.W.;Norman,Lewis.Synthesis.1994,31−33.(c)Murakami,T.;Furusawa.K.;Tetrahedron.2002,58,9257−9263.)が、分子内グリコシル化の有用性についての確証が早急に望まれた。そこで、まずは、大量に入手でき、保護基、活性化剤等の制限が少なく、詳細な条件検討が可能であるファイトスフィンゴシン型のセラミドを用いて、セラミド導入法の開発を行うこととした。
なお、本実施例ではファイトスフィンゴシン型のセラミドを用いた実施例を主に記載しているが、本明細書の他の場所に記載されているように、本発明において、哺乳動物に広く存在するスフィンゴシン型のセラミドを用いても、分子内縮合によって糖脂質が合成することができることが明らかになった。したがって、本発明は、従来では予想することができなかったセラミド一般、特にスフィンゴシン型のセラミドでも、糖脂質を分子内縮合によって製造することができることを見出した点においても顕著であるといえる。
スフィンゴシン型のセラミドにおいては、1位の一級水酸基の他に3位に2級の水酸基を有している。そこで、以前3位水酸基にコハク酸を結合し、1位水酸基を選択的保護・脱保護が可能な保護基で保護することでセラミドアクセプターとして用いていた。一方、ファイトスフィンゴシン型のセラミドは、1位の一級水酸基の他に3位および4位に2級の水酸基を有している。本研究では、ファイトスフィンゴシン型のセラミドを用いて、スフィンゴシン型のセラミドにも適用可能なセラミド導入法の開発を目的としているため、ファイトスフィンゴシン型のセラミドにおいても3位にコハク酸を有するセラミドアクセプターを調製することとした。また、セラミド1位の保護には、一級選択的保護が可能であり、かつ脱保護の際に他の保護基との選択性を有する保護基が求められた。グルコースドナーにおいて酸性条件に弱いMPM基を用いているため、一級水酸基の保護基として汎用されているTr基は適さず、塩基性条件下で保護、脱保護が可能である保護基が求められた。この要求に叶う保護基として、シリル系のTBDPS基、TBDMS基が考えられた。シリル系の保護基は、フッ素アニオンの求核攻撃によって選択的に脱保護が可能であり、TBDPS基、TBDMS基は、その嵩高さから、一級水酸基の選択的保護に汎用されている。セラミドの4位水酸基は導入が簡便で、最後の脱保護においてZemplenconditionによって同時に脱保護されるアシル系のBz基を用いることとした(下式)。
(求められるセラミドの保護様式例)
Figure 2008096880
(セラミドの調製1)
ファイトスフィンゴシンをスタート物質とし、2位アミノ基にステアリン酸を導入した。続いて、CerH−1、CerH−3をベンジリデン基を用いて、保護したところ、1,3位ベンジリデン体に加えて、3,4位ベンジリデン体が1対1の割合で、生成してくる結果となった。さらに、1,3位ベンジリデン体において、ピリジン(pyr.)溶媒中、室温にて、無水安息香酸を1当量作用させ、セラミド4位水酸基のBz化を行ったところ、反応がわずかしか進まないことが確認された。このことから、セラミド4位水酸基の周りの立体障害がBz化を阻害しているのではないかと考察した(スキーム4)。
(スキーム4)
Figure 2008096880
そこで、当初の調製計画を変更し、ファイトスフィンゴシンセラミドの1位をTBDPS化し、3,4位遊離の水酸基で、ピリジン(pyr.)溶媒中、室温にて、無水コハク酸を1当量作用させれば、4位水酸基の周りの立体障害により、3位選択的にコハク酸を導入できるのではないかと考えられる。しかしながら、予想に反して、4位優先的にコハク酸が導入してくるという結果となった。このため当初予定していたセラミドの3位にコハク酸を有するセラミド誘導体は得られず、4位にコハク酸を有するセラミド誘導体を得た(スキーム5)。
(スキーム5)
Figure 2008096880
(セラミドの調製例2)
前述したセラミドアクセプターの調製1(スキーム5)において、3,4位の選択性、合成効率において課題を残していたが、1,3位ベンジリデン化を検討し、これらの課題を改善した。これまでセラミド1,3位のベンジリデン基を用いた保護には、アセトニトリル溶媒中、室温にて、BDA,p−TsOHを作用させていた。ここで、ベンジリデン基がセラミドの1,3位では六員環を形成し、3,4位では五員環を形成する事実に注目し、40℃の熱をかけて行った。これにより、ベンジリデン基が熱力学的安定な六員環構造を優先して形成し、1,3位ベンジリデン基を用いた保護の収率向上を達成した。その後、化合物15をピリジン(pyr.)溶媒中,40℃にて、無水コハク酸、DMAPを作用させ、4位にコハク酸を導入した。化合物16はカルボキシル基を有しているために非常に高極性となり、精製がきわめて困難であった。そこで、カルボキシル基をBn基で保護した後に精製を行った。続いて、化合物17に80%酢酸水溶液を用いてベンジリデン基の脱保護を行った。ここで、ベンジリデン基が脱保護された1位および3位の水酸基にコハク酸が転位した化合物がそれぞれ確認された。酸性条件下、60℃という反応温度が転位を促進したものと考えられる。続いて、化合物18にジクロロメタン溶媒中、40℃にて、TBDPSCl、TEA、DMAPを作用させ、セラミド1位水酸基の選択的保護を行った。続いて、セラミドの3位をAc基を用いて保護し、化合物20に導いた。最後に、接触水素添加法を用いることで、セラミドアクセプターへと導いた(スキーム6)。
(スキーム6)
Figure 2008096880
(グルコシルセラミドアクセプターの合成例)
(グルコースドナーとセラミドの縮合)
上述のとおり、当初予定していたセラミドの3位にコハク酸を有するセラミド誘導体は得られず、4位にコハク酸を有するセラミド誘導体を得た。しかしながら、Glcとの大環状を形成する分子内グリコシル化や新たなグルコシルセラミドアクセプターの開発には十分に参考になると考え、得られた4位にコハク酸を有するセラミド誘導体をそのまま用いていくこととした。
(グルコース(2−Bz 4−CA)とセラミドの縮合)
先に調製したグルコースドナー8とセラミドアクセプター14を用い、ジクロロメタン溶媒中、室温にて、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロライド、TEA、DMAPを作用させ、収率75%にてグルコースとセラミドをコハク酸を介して結合した(スキーム7)。懸念されていたグルコースの4位水酸基とセラミドとの縮合物は生成しなかった。その後、Glcの4位をクロルアセチル基で保護した。続いて、セラミド1位のTBDPS基の脱保護を行った。Entry1では、THF溶媒中、室温にて、TBAFを2当量作用させるという条件で行った(表3)。反応開始から3時間でスタート物質がなくなったが、6割近く、セラミド3位のアセチル基が1位へ転移し、またGlcの4位のクロルアセチル基が脱離したものが生成してきた。そこで、entry2の条件では、TBAFの塩基性を緩衝する酢酸を7.5当量加え、TBAFを1.5当量作用させた。この場合は、反応終了まで、18時間かかったが、副生成物も見られず、92%と高収率であった。Entry3は、少しスケールをアップして、entry2と同じ条件で行った。しかし、18時間たっても、反応が終了していなかったため、TBAFを0.5当量追加した。そして、さらに18時間反応させたところ、Glc4位のCA基が脱保護された副生成物が多く生成し、目的化合物の収率は、36%であった。ここで再現性が得られなかった詳細な原因は言及できないが、TBAF1.5当量に対して酢酸を7.5当量用いているため、反応の進行が遅く、スケールアップに伴ってより強くその傾向が現れたものと考えられる。
(スキーム7)
Figure 2008096880
(セラミド1−TBDPS基の脱保護)
Figure 2008096880
(グルコース(2−MPM 4−CA)とセラミドの縮合例)
グルコースドナー10とセラミドアクセプター14とを、ジクロロメタン溶媒中、室温にて、WSC、DMAPを作用させ、2ステップ収率61%で化合物24を得た。続いてGlc4位のクロルアセチル化を収率95%で行った。次に、セラミド1位のTBDPS基の脱保護を行った(スキーム8)。上記脱TBDPS化で、反応時間が長くなるとバイプロの生成が増加してくる傾向がみられることがわかったため、entry1では、THF溶媒中、室温にて、酢酸とTBAFをそれぞれ1当量用いて、反応を行った(表4)。2時間たってもスタートは消失しなかったが、反応を停止し、生成物を確認した。主に2つの生成物が確認された。そのうち一つは、収率22%で、目的化合物26であった。副生成物は、目的化合物よりも極性が少し高く、分子量が1342であった。この化合物をH−NMRで解析した結果、目的化合物のH−NMRとほぼ一致したが、CA基のメチレン(−CH)水素だけが異なり、低磁場シフトしていた。このため、CA基のClがFで置き換わった化合物が生成したのではないかと考えられたが、マススペクトルより得られた分子量が一致せず、同定には至らなかった。続いて、entry2では、3位Ac基の転位やグルコース4位のCA基への影響を抑える目的で、低温条件で反応を行った。THF溶媒中、0℃にて、酢酸を1当量、TBAFを1当量用いて、反応を行った。TLC上では、比較的高収率で進行したようにみられたが、セラミド3位のAc基がセラミドの1位へ転位している副生成物も得られた。この副生成物は、反応中に生成したもの以外にも、精製中に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの酸性によっても、増加していると考えられる。反応温度を低温にしたことで、3位Ac基の転位が多少抑制された結果となった。
(スキーム8)
Figure 2008096880
(表4 セラミド1−TBDPS基の脱保護)
Figure 2008096880
(グルコース(2−Bz 4−OH)とセラミドの縮合)
これまで、分子内グリコシル化の前にグルコース4位をCA基を用いて保護していたが、効率面を考慮して、その必要性について検討を行った。CA基の存在によって、セラミド1位の脱TBDPS化の際に、様々な副反応が起こり問題となっていた。そこで、セラミド1位の一級水酸基とグルコース4位の二級水酸基との反応性の違い、およびコハク酸で架橋された際の立体環境の違い、分子間と分子内の反応性の違いを検討した。その結果、グルコース4位水酸基の保護を行わなくても目的の分子内グリコシル化が達成されると考えられる。そこで、グルコース4位を保護せず、分子内グリコシル化を行うこととした(スキーム9)。
グルコースドナー8およびセラミドアクセプター14を、溶媒中、室温にて、WSC、DMAPを作用させ、2ステップ収率68%で化合物21へと導いた。続いて、セラミド1位のTBDPS基の脱保護を行った。上述のとおり、低温条件下での脱TBDPSでセラミド3位のAc基の1位への転位が抑制されることが明らかとなったので、反応温度を0℃に設定した。化合物21を、THF溶媒中、0℃にて、酢酸を3.0当量、TBAFを3.0当量用いて反応を行った。12時間後に反応を停止し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、収率75%で目的化合物を得た。この反応条件においては、セラミド3位のAc基が1位へ転位した化合物は殆ど確認されなかった。
(スキーム9)
Figure 2008096880
(グルコース(2−MPM 4−OH)とセラミドの縮合例)
グルコースドナー10およびセラミドアクセプター14を、溶媒中、室温にて、WSC、DMAPを作用させ、2工程収率61%で化合物24を得た。次に、セラミド1位のTBDPS基の脱保護を行った。THF溶媒中、0℃にて、酢酸を1当量、TBAFを1当量用いて反応を行った。TLC上では、比較的高収率で進行したようにみられたが、収率は58%であった。副生成物として、セラミド3位のAc基がセラミドの1位へ転位している副生成物も得られた。この副生成物は、反応中に生成したもの以外にも、精製中に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの酸性によっても、増加していると考えられる(スキーム10)。
(スキーム10)
Figure 2008096880
(分子内グリコシル化例)
(グルコース(2−Bz 4−CA)とセラミドの分子内グリコシル化)
化合物23をジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤にNIS、TfOHを用いて、反応させたところ、反応は6時間で終了し、収率60%にて、目的の化合物29を得た。H−NMRにて、グルコースの1位および2位のプロトンのカップリング定数は7.813であり、β体であることを確認した。グルコース2位のBz基によって、完全なβ選択的なグリコシル化が進行した。再現性を得る目的でもう一度同じ条件で分子内グリコシル化を行った結果、反応は3時間で終了し、収率は69%であった(下式)。
(分子内グリコシル化)
Figure 2008096880
(グルコース(2−MPM 4−CA)とセラミドの分子内グリコシル化例)
化合物26を、ジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤に、NISを2当量、TfOHを0.2当量用いて反応させた。アームド糖として、反応性が期待された化合物であったが、反応の進行は確認されなかった。2時間後、TfOHを0.2当量追加し、温度を室温まで上昇させたが、僅かにラクトールが生成したのみであった。
(分子内グリコシル化)
Figure 2008096880
(グルコース(2−Bz 4−OH)とセラミドの分子内グリコシル化例)
化合物27をジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤にNISを2.0当量、TfOHを0.3当量を用いて反応させた。この反応は、5時間で終了し、収率85%にて目的の化合物31を得た。H−NMRから、GlcH−1とGlcH−2とのカップリング定数が7.8Hzであったことから、β体であることを確認した。続いて、化合物27を、ジクロロメタン溶媒中、−20℃にて、活性化剤にNIS3.0当量、TfOH0.3当量を用いて、反応させたところ(entry2)、収率85%にて目的の化合物31を得た。H−NMRにて、GlcH−1とGlcH−2とのカップリング定数が7.8Hzであったことから、β体であることを確認した。Entry3では、ジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤にDMTSTを1.5当量用いて、反応を行ったところ、2時間で反応は終了し、収率75%にて、目的の化合物31を得た。H−NMRにて、GlcH−1とGlcH−2とのカップリング定数が7.8Hzであったことから、β体であることを確認した。活性化剤にDMTSTを用いた系(entry3)でも反応が進行したことから、不飽和結合を有するため、活性化剤としてNISを用いることができないスフィンゴシン型のセラミドにおいても、本法の適用が期待できる結果となった。Entry1〜3の全てにおいて、グルコース2位Bz基の隣接基関与によって、β選択的に目的とする化合物が得られた。しかしながら、entry1〜3の全ての反応において僅かながら、副生成物の存在が確認された。この化合物は、目的化合物と一致する分子量を持つが、H−NMRスペクトル上に違いが現れた。GlcH−2は、Bz基の存在にもかかわらず高磁場シフトしており、GlcH−3およびGlcH−5は目的化合物に比べてやや低磁場シフトしていた。そして、GlcH−4は遊離のまま存在しているが、GlcH−6は、低磁場シフトしていた。さらに、GlcH−1とGlcH−2とのカップリング定数は10.9Hzであった。以上の点から、副生成物はオルソエステルであると予想した。オルソエステルの生成により、2位Bz基のカルボニル基が消失し、電子吸引性が低下したものと考えられる。また、GlcH−3、GlcH−5、GlcH−6が低磁場シフトしたことについては、コハク酸の架橋によるピラノース環のひずみによるものと推測される。オルソエステル生成時におけるGlcH−1とGlcH−2のカップリング定数が10.9Hzとやや大きいが、こちらもコハク酸による架橋が影響しているのではないかと考えられる。
(分子内グリコシル化)
Figure 2008096880
(グルコース(2−MPM 4−OH)とセラミドの分子内グリコシル化例)
まず、化合物28をジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤にNISを2.0当量、TfOHを0.2当量を用いて反応させた。この反応は、1時間半ほどで終了し、収率55%(α/β比は1/1)にて目的化合物32を得た。続いて、entry2では、ジクロロメタン溶媒中、−40℃にて、活性化剤にNIS2.0当量、TfOH0.2当量を用いて、反応を行ったところ、5時間で反応は終了し、収率74%(α/β比は1/1)にて目的化合物32を得た。続いて、entry3では、ジクロロメタン溶媒中、−80℃にて、活性化剤にNIS2.0当量、TfOH0.2当量を用いて、反応を行った。entry3では、反応の進行が見られなかったため、NIS2.0当量とTfOH0.2当量を追加し、反応温度を−60℃、−40℃、0℃と徐々に上げていった。36時間反応させたが原料は消失せず、副生成物として少量のヘミアセタール体を確認した。続いて、entry4では、アセトニトリル溶媒中、−40℃にて、活性化剤にNIS2.0当量、TfOH0.2当量を用いて、反応を行ったところ、反応の進行が遅く35時間後に反応温度を0℃にした。48時間で反応は終了し、収率28%(α/β比は1/6.3)にて目的化合物32を得た。この時副生成物として、大量のラクトールが確認された。アセトニトリルの溶媒効果によって、ジクロロメタン溶媒に比べ、β選択性は向上したが、アセトニトリル溶媒に−40℃という反応温度が低かったためか、反応の進行が緩やかであった。極性溶媒であるアセトニトリルを用いた反応は通常加速され、ニトリル溶媒効果と合わさり、β選択性が高まると考えられる。しかしながら、反応が緩やかに進行したために本来のβ選択性が発揮されなかったのではないかと考察した。続いて、entry5では、アセトニトリル溶媒中、0℃にて、活性化剤にNISを3.0当量、TfOHを0.3当量を用いて、反応を行ったところ、1.5時間で反応は終了し、収率81%(α/β比は1/8.4)にて目的化合物32を得た。この場合は、反応が早く進行し、β配位のカウンターアニオンを経ることなく、アセトニトリルの溶媒効果も合わさって、高いβ選択性が得られたものと考えられる。次にentry6では、アセトニトリル溶媒中、−20℃にて、活性化剤にNIS3.0当量、TfOH0.3当量を用いて、反応を行い、3時間で反応を終了させ、収率47%(α/β比はβonly)にて目的化合物32を得た。0℃のentry5と比べて、反応の進行が遅く、副生成物としてヘミアセタール体が確認された。Entry7では、α選択性を目的として、ジエチルエーテル溶媒中、0℃にて、活性化剤にNIS3.0当量、TfOH0.3当量を用いて、反応を行ったところ、反応の進行が遅く20時間後に反応温度を室温にした。25時間で反応は終了し、収率44%(α/β比は1/1.9)にて目的化合物32を得た。ジエチルエーテルを用いたときは通常反応は緩やかに進行し、insitu anomerizationによってα選択的なグリコシル化が起こる。しかしながら、コハク酸を用いた架橋が不適切であるためか、目立ったα選択性は見られなかった。Entry8では、アセトニトリル溶媒中、0℃にて、活性化剤にDMTST4.0当量を用いて、反応を行ったところ、1時間で反応は終了し、収率76%(α/β比は1/6)にて目的化合物32を得た。活性化剤にDMTSTを用いた系でも反応が進行したことから、不飽和結合を有し、活性化剤にNISが用いられないスフィンゴシン型のセラミドにおいても本法の適用が期待できる結果となった。
2位がMPM基のグルコースドナーを用いた分子内グリコシル化において、armed糖としての高い反応性、すなわち高収率を期待したが、2位がBz基のグルコースドナーに比べて特に目立った反応性の向上は観測されなかった。また、コハク酸による架橋によって高い立体選択性を期待したが、架橋による立体選択性は殆ど見られず、アセトニトリル等の溶媒効果による立体選択性のみ得られる結果となった。したがって、本発明は、これらの情報を元に、適宜適切な設計をすることによって実施することができることが明らかになった。
(分子内グリコシル化)
Figure 2008096880
(GM3類縁体の合成例)
(シアリルガラクトースドナーとグルコシルセラミドアクセプターの縮合)
分子内グリコシル化を用いるセラミドの導入にも2種類の合成戦略が考えられる。一つ目は、糖鎖構築後に分子内グリコシル化を用いる方法である(上式:糖鎖構築後に分子内グリコシル化を用いる方法)。また、二つ目の方法は、先に糖鎖還元末端となるグルコースにセラミドを、コハク酸を介した分子内縮合によって導入し、その後、グルコシルセラミドアクセプターとして、糖鎖へ導入する方法である(上式:グルコースに分子内グリコシル化を用いグルコシルセラミドアクセプターを利用する方法)。先の合成戦略において、まず単糖のグルコースを用いて、セラミドと架橋し、分子内グリコシル化を行い、その結果を受けて二つの合成戦略をそれぞれ検討していくと述べた。そこで、まずは、合成戦略の2つ目の方法の得られたグルコシルセラミドアクセプターを用いて、糖鎖(Neuα(2−3)Gal)に導入することとした。
アクセプターに対して2.5当量のシアリルα(2−3)ガラクトースドナー33およびグルコシルセラミドアクセプター32をジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤にTMSOTf0.02当量用い反応させた。反応の進行が現れなくなったため、2時間後にTMSOTfを0.02当量追加した。7時間後に反応は終了し、収率は72%(βonly)であった。H−NMRにて、GalH−1とGalH−2のカップリング定数を8.1Hzとβ体であることを確認した。副生成物としてシアリルガラクトースのラクトールが確認された。シアリルガラクトースドナーを2.5当量用いたときは、アクセプターの穏やかな反応性にもドナーが十分量存在したため、反応が完結した。
アクセプターに対して1.2当量のシアリルα(2−3)ガラクトースドナー33およびグルコシルセラミドアクセプター32を、ジクロロメタン溶媒中、0℃にて、活性化剤にTMSOTf0.02当量用い反応させた。4時間後にTMSOTfを0.02当量追加した。6時間後に反応は終了し、収率は18%(βonly)であった。アクセプターが消失せず、ドナーがラクトールとなってしまった。副生成物としてシアリルガラクトースのラクトールとシアリルガラクトースのガラクトースの2位Bz基が1位へ転位した化合物が確認された。H−NMRにて、GalH−1とGalH−2のカップリング定数を8.1Hzとβ体であることを確認した。シアリルがラクとードナーを1.2当量用いた時は、アクセプターの攻撃が起こる前に、ドナーがラクトールとなり、反応が完結しなかった。以上の結果から、グルコシルセラミドアクセプターは高い反応性を有しているとは言い難い。しかしながら、ドナーを十分量用いたentry1では、高収率でグリコシル化が達成されており、また、entry2においても未反応のアクセプターが回収可能なことからアクセプターの安定性は高いといえる。よって、ドナーの脱離基として非常に不安定なイミデートを他の安定な脱離基に変換することでグリコシル化の収率向上が期待できるのではないかと考えられる。
(NeuGalドナー+GlcCerアクセプター)
Figure 2008096880
(脱保護例)
Figure 2008096880
(実施例1.一般手順)
Hおよび13C NMRスペクトルを、Varian INOVA 400および500により測定した。化学シフトを、δ0 ppmに調節したMeSiのシグナルと相対的なppm(δ)で示す。MALDI−TOF MSスペクトルを、マトリックスとしてα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)を使用したBruker Autoflexでの推定イオン形式で記録した。モレキュラーシーブを、Wako Chemicals Inc.から購入し、使用前に、マッフル炉中で300℃、2時間、乾燥させた。反応媒体としての溶媒をモレキュラーシーブで乾燥させ、精製せずに用いた。TLC分析を、Merck TLC(ガラスプレート上シリカゲル60F254)上で実施した。Fuji Silysia Co.により製造されたシリカゲル(80メッシュおよび300メッシュ)を、フラッシュカラムクロマトグラフィーに用いた。シリカゲルの量は、充填したサンプルの200〜400倍の重量として通常見積もった。カラムクロマトグラフィーにおける溶媒系は、v/vで記載した。エバポレーションおよび濃度を減圧下で実施した。比旋光度を、Horiba SEPA−300高感度偏光計で測定した。
(グルコースドナー(2−Bz)の調製例)
まず、化合物1に45℃にて、AcO、ピリジン(pyr.)を作用させ、定量的に化合物2を得た。その後、グルコースのアノメリック位をSPh基で保護するため、アルゴン雰囲気下、CHCl溶媒中、室温にて、PhSHとBF・OEtを作用させ、収率67%で化合物3へと導いた。続いて、アルゴン雰囲気下、MeOH溶媒中、室温にて、MeONaを作用させ、2,3,4,6位のAc基を脱保護し、収率93%にて化合物4を得た。続いて、化合物4にアルゴン雰囲気下、MeCN溶媒中、室温にて、BDAとp−TsOHを作用させ、収率93%にて、化合物5を得た。なお、生成物の構造決定のため、化合物5をAc化し、H−NMRスペクトルを確認したところ、化合物5の2位プロトンのシグナルδ(ppm)3.4(m、1H)と3位プロトンのシグナル3.8(m、1H)が、それぞれ5.0(t、1H)、5.3−5.4(t、1H)と低磁場シフトを示した。このことから、4,6位のベンジリデン基導入を確認した。
次に、化合物5をトルエン溶媒中、還流下にて、DBTO、TBAB、MPMClを作用させ、収率77%にて、化合物6を導いた。BuSnOは環状のスタニレン(stannylene)化合物を形成し、シスーグリコールを真っ先に活性化し、そのうちのequatorialの水酸基に反応が起こりやすいとされている。化合物5には、シスグリコールが存在せず、4,6位がベンジリデン基で保護されているため、2,3位でstannylene化合物を形成し、3位選択的にMPM化が進行したものと考えた。生成物の構造決定のため、化合物6をAc化し、H−NMRスペクトルを確認したところ、化合物6の2位プロトンのシグナルδ(ppm)3.5(m、1H)が、5.2−5.3(t、1H)と低磁場シフトしていた。このことから、2位がAc化されている、つまり3位にMPM基が導入していることが確認された。
(フェニル2−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−1−デオキシ−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコプラノシド(7)の調製)
ピリジン(3.56 mL)中、化合物6(171 mg,0.356 mmol)の溶液に、塩化ベンゾイル(62.0 μL,0.534 mmol)およびDMAP(4.35 mg,0.036 mmol)を添加した。そしてこの混合物を、室温で4時間攪拌した。出発物質が完全に消費したことを、TLC分析(トルエン/MeOH 50/1)で確認した。この反応混合物に0℃でメタノールを添加し、トルエンで共エバポレートした。この混合物をCHClで希釈し、2 M HCl、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。残渣を、シリカゲル(CHCl)のカラムクロマトグラフィーにより精製し、7(166 mg,80%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
(フェニル2−O−ベンゾイル−1−デオキシ−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(8)の調製)
AcOH(15.0 mL)中、化合物7(200 mg,0.330 mmol)の溶液に、HO(3.00 mL)を添加した。40℃で12時間攪拌(TLCモニタリング:トルエン/EtOAc 1/1)した後、この混合物をCHClで希釈し、そしてHO、飽和水性のNaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。この残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 3/1)により精製して8(145 mg,86%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880

(フェニル4,6−O−ベンジリデン−1−デオキシ−2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(9)の調製)
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、以下の実験を行った。
例えば、MeONaを含むMeOH/THF=2/1中の化合物7の溶液を室温で撹拌して、化合物7aを得た。
DMF(85.6 mL)中、化合物7a(4.11 g,8.56 mmol)の溶液に、NaH(307 mg,12.8 mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した後、0℃で、この混合物にMPMCl(1.74 mL,12.5 mmol)を添加した。この混合物を室温で12時間攪拌した。出発物質が完全に消費したことを、TLC分析(トルエン/EtOAc 20/1)で確認した。この混合物をEtOAcで希釈し、2 M HCl、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)そして濃縮した。この残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 200/1)により精製し、9(3.60 g,70%)を得た。
Figure 2008096880

(グルコースドナー10(2−MPM)の調製)
化合物8の調製と同様の方法を使用して、以下の実験を行った。例えば、化合物9に83%酢酸を30℃で作用させ、収率86%にてグルコースドナー10(2−MPM)を調製した。
((2S,3S,4R)−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン(13)の調製)
CHCl中、化合物11の溶液に、WSC存在下、ステアリン酸を添加した。室温で攪拌し、12(96%)を得た。
CHCl(8.57 mL)中、化合物12(500 mg,0.857 mmol)およびトリエチルアミン(10.0 mL)の溶液に、TBDPSCl(0.260
mL,1.03 mmol)およびDMAP(209 mg,1.71 mmol)を添加した。室温で20時間攪拌(TLCモニタリング:CHCl/MeOH 50/1)した後、この混合物にMeOHを0℃で添加した。濃縮後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 100/1)により精製し、13(533 mg,76%)を得た。
Figure 2008096880

(セラミド誘導体14の調製1)
Numata, M.; Sugimoto, M.; Koike, K.; Ogawa, T.; Carbohydr. Res.1990, 203, 205−217.の記載に基づいて、以下の実験を行った。例えば、化合物13を、ピリジン溶媒中、室温にて、DMAP存在下、無水コハク酸を1当量と作用させ、次いで、40℃に昇温した。この生成物をAcOで処理して、4位にコハク酸を有するセラミド誘導体14を得た(2工程で収率40%)。
(化合物16の調製)
Numata, M.; Sugimoto, M.; Koike, K.; Ogawa, T.; Carbohydr. Res.1990, 203, 205−217.の記載に基づいて、以下の実験を行った。例えば、化合物12を、アセトニトリル溶媒中、BDA、p−TsOHを加えて、40℃の熱をかけ、化合物15を得た。この化合物15をピリジン溶媒中、40℃にて、無水コハク酸、DMAPを作用させ、4位にコハク酸を導入した化合物16を得た。
((2S,3S,4R)−1,3−O−ベンジリデン−1−デオキシ−4−O−スクシノイルベンジルエステル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン(17)の調製)
MeCN(130 mL)およびDMF(130 mL)中、化合物16(10.0 g,13.0 mmol)の溶液に、KCO(1.80 g,13.0 mmol)およびBnBr(1.70 mL,14.3 mmol)を添加した。この混合物を室温で16時間攪拌(TLCモニタリング: トルエン/EtOAc 2/1)した。この反応混合物をトルエンで共エバポレートし、CHClで抽出した。有機相を、2 M HCl、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 40/1)により精製し、17 (9.0 g,80%)を得た。
Figure 2008096880
((2S,3S,4R)−4−O−スクシノイルベンジルエステル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン(18)の調製)
AcOH(0.8 mL)中、化合物17(20.3 mg,0.023 mmol)の溶液に、HO(0.2 mL)を添加した。60℃で12時間、攪拌(TLCモニタリング:トルエン/EtOAc 2/1)した後、この混合物をCHClで希釈し、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 2/1)により精製し、18(11.0 mg,62%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
((2S,3S,4R)−3−O−アセチル−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−4−O−スクシノイルベンジルエステル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン(20)の調製)
1,2−ジクロロエタン(1.3 mL)中、化合物18(100 mg,0.129 mmol)およびトリエチルアミン(1.0 mL)の溶液に、TBDPSCl(66.5 μL,0.259 mmol)およびDMAP(30.6 mg,0.250 mmol)を添加した。この混合物を、40℃で12時間攪拌した。出発物質が完全に消費したことを、TLC分析(トルエン/EtOAc 1/1)で確認した後、0℃でMeOHを添加した。この反応混合物を、エバポレートし、30時間、真空ラインで引いた。この残渣を、ピリジン(3.0 mL)に溶解し、AcOを添加した。この混合物を、室温で、16時間、攪拌(TLCモニタリング : トルエン/EtOAc 2/1)した。この反応混合物を、トルエンで共エバポレートし、CHClで抽出した。有機相を、2 M HCl、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 4/1)により精製し、20(98.0 mg,72%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880

(セラミド誘導体14の調製2)
Numata, M.; Sugimoto, M.; Koike, K.; Ogawa, T.; Carbohydr. Res.1990, 203, 205−217.の記載に基づいて、以下の実験を行った。例えば、化合物20を、EtOH中、Pd(OH)を使用して、40℃で、接触水素添加法を用いることで、セラミドアクセプター14を得た。
(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−2−O−ベンゾイル−1−デオキシ−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(21)の調製1)
CHCl(2.12 mL)中、化合物14(204 mg,0.212 mmol)の溶液に、2,4,6−トリクロロ塩化ベンゾイル(50.0 μL,0.318 mmol)、DMAP(39.0 mg,0.318 mmol)、トリエチルアミン(44.4 μL,0.318 mmol)および化合物8(105 mg,0.212 mmol)を添加した。この混合物を、室温で2時間攪拌した。出発物質が完全に消費したことを、TLC分析(トルエン/EtOAc 2/1)で確認した。この混合物を、CHClで希釈し、そして飽和水溶性NaHCO、HO、およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1/6)により精製し、21(229 mg,75%)を得た
Figure 2008096880
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(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−2−O−ベンゾイル−4−O−クロロアセチル−1−デオキシ−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(22)の調製)
CHCl(2.20 mL)中、化合物21(200 mg,0.138 mmol)の溶液に、トリエチルアミン(38.7 μL,0.277 mmol)および無水クロロ酢酸(47.4 mg,0.277 mmol)を添加した。この混合物を、室温で2時間攪拌した。出発物質が完全に消費したことを、TLC分析(EtOAc/ヘキサン 1/3)で確認した。この反応混合物に、0℃でメタノールを添加し、この混合物をCHCl希釈し、2 M HCl、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1/8)により精製し、22(208 mg,98%)を得た。
Figure 2008096880
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(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−2−O−ベンゾイル−4−O−クロロアセチル−1−デオキシ−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(23)の調製)
THF(224 μL)中、化合物22(17.0 mg,0.011 mmol)の溶液に、AcOH(5.00 μL,0.084 mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(16.8 μL,0.017 mmol)を添加した。この混合液を、室温で18時間攪拌した。出発物質が完全に消失したことをTLC分析(EtOAc/ヘキサン 1/1)で確認した。この混合物を、CHClで希釈し、2 M HCl、飽和水性NaHCOで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。この残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 2/3)により精製、23(13.2 mg,92%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−1−デオキシ−2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(24)の調製)
CHCl(9.6 mL)中、化合物10(490 mg,0.957 mmol)および化合物14(1.11 g,1.15 mmol)の溶液に、WSC(550 mg,2.87 mmol)を添加した。この混合物を、室温で6時間攪拌した。反応を終わりを、TLC(トルエン/EtOAc 3/1)で確認した。この反応混合物を、CHClで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:3)により精製し、24(851 mg,61%)を得た。
Figure 2008096880
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(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−4−O−クロロアセチル−1−デオキシ−2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(25)の調製)
CHCl(1.6 mL)中、化合物24(150 mg,0.103 mmol)の溶液に、トリエチルアミン(28.8 μL,0.206 mmol)および無水クロロ酢酸(35.1 mg,0.205 mmol)を添加した。この混合物を、室温で2時間攪拌した。出発物質が完全に消費したことを、TLC分析(EtOAc/ヘキサン 1/3)で確認した後、0℃でMeOHを添加した。この混合物を、CHClで希釈し、2 M HCl、HO、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 2/9)により精製し、25(158 mg,定量的)を得た。
Figure 2008096880
(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−4−O−クロロアセチル−1−デオキシ−2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(26)の調製)
THF (1.0 mL)中、化合物25(157 mg,0.102 mmol)の溶液に、AcOH(6.4 μL,0.102 mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(102 μL,0.102 mmol)を添加した。0℃で3時間、攪拌(TLCモニタリング:EtOAc/ヘキサン 1/1)した後、この混合液を、CHClで希釈し、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1/4)により精製し、26(76 mg,58%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−2−O−ベンゾイル−1−デオキシ−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(27)の調製)
THF(338 μL)中、化合物21(48.8 mg,0.034 mmol)の溶液に、AcOH(6.0 μL,0.101 mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(102 μL,0.102 mmol)を添加した。0℃で12時間攪拌(TLCモニタリング:EtOAc/ヘキサン 1/2)した後、この混合物を、CHClで希釈し、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 1.5:1)により精製し、27(30 mg,75%)を得た。
Figure 2008096880
(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−1−デオキシ−2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(28)の調製)
THF(1.1 mL)中、化合物24(157 mg,0.108 mmol)の溶液に、AcOH(6.5 μL,0.108 mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(110 μL,0.110 mmol)を添加した。0℃で3時間、攪拌(TLCモニタリング:EtOAc/ヘキサン 1/1)した後、この混合液を、CHClで希釈し、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 3/2)により精製し、28(76 mg,58%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
(フェニル6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−1−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2−オクタデカノイルアミノ−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−2−O−ベンゾイル−3−O−p−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(7)
Figure 2008096880
CHCl(2.1 mL)中の化合物6(204 mg,0.212 mmol)の溶液に、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイル(50.0 μL,0.318 mmol)、DMAP(39.0 mg,0.318 mmol),トリエチルアミン(44.4μL,0.318 mmol)および化合物3(105 mg,0.212 mmol)を添加した。この混合物を2時間室温で撹拌した。開始物質の消費をTLC分析(トルエン/EtOAc 2/1)で確認した後、この混合物を、CHClで希釈し、sat.NaHCO,HOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1/6)を行い、化合物7を得た(229 mg,76%):
[α] + 0.39° (c 1.9, CHCl); H NMR (500 MHz, CDCl): d 6.60−8.10 (m, 24H, 5Ph), 5.95 (s, 1H, J2,NH=9.5 Hz, NH), 5.35 (dd, 1H, H−3Cer), 5.19 (t, 1H, J1,2 = J2,3 = 9.9 Hz, H−2Glc), 4.95 (dt, 1H, H−4Cer), 4.76 (d, 1H, J1,2 = 9.9 Hz, H−1Glc), 4.66 (d, 1H, Jgem = 11.0 Hz, PhCH), 4.63 (d, 1H, Jgem = 11.0 Hz, PhCH), 4.46 (dd, 1H, H−6’Glc), 4.39 (dd, 1H, H−6’Glc), 4.22 (m, 1H, H−2Cer), 3.72 (m, 1H, H−4Glc), 3.71 (s, 3H, OMe), 3.63 (m, 1H, H−3Glc), 3.53 (m, 1H, H−5Glc), 2.60−2.66 (2d, 4H, −OCOCHCHCOO−), 1.00−2.20 (m, 58 H, −CH−), 0.90 (t, 6H, 2−CH); 13C NMR (125 MHz, CDCl): d 172.7, 172.2, 171.9, 170.5, 165.1, 159.3, 135.7, 135.5, 133.2, 132.8, 132.6, 129.9, 129.8, 129.7, 128.7, 128.4, 127.9, 127.8, 127.8, 113.8, 86.3, 82.9, 73.9, 72.1, 71.6, 69.8, 63.0, 62.3, 55.1, 49.2, 36.8, 31.9, 29.7, 29.7, 29.6, 29.5, 29.4, 29.4, 29.4, 29.1, 27.9, 26.8, 25.7, 22.7, 20.7, 19.2, 14.1; MALDI−TOF−MS: m/z = 1464 [M + Na]
(フェニル 6−O−[{(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカノイルアミノ−オクタデカン−4−イルオキシ}カルボニルプロパノイル]−2−O−ベンゾイル−3−O−4−メトキシベンジル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(8)
THF (338μL)中の化合物7(48.8 mg, 0.034 mmol)の溶液に、AcOH (6.0μL,0.101 mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(102μL,0.102 mmol)を添加した。0℃で12時間攪拌した後(TLCモニタリング:EtOAc/ヘキサン 1/2)、この混合物をCHClで希釈し、sat. NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)そして濃縮した。この残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーを行い(トルエン/EtOAc 1.5/1)、化合物8を得た(30 mg,77%):
[α] + 7.4° (c 0.6, CHCl); H NMR (500 MHz, CDCl): d 6.66−8.05 (m, 13H, 3 Ph), 6.23 (d, 1H, J2,NH = 9.0 Hz, NH), 5.21 (t, 1H, J1,2 = J2,3 = 10.0 Hz, H−2Glc), 5.01−5.06 (m, 2H, H−3Cer, H−4Cer), 4.78 (d, 1H, J1,2 = 10.0 Hz, H−1Glc), 4.63 (2 d, 2H, Jgem = 11.5 Hz, PhCH), 4.48 (dd, 1H, Jgem = 12.0 Hz, H−6’Glc), 4.39 (dd, 1H, Jgem = 12.0 Hz, H−6Glc), 4.19 (m, 1H, H−2Cer), 3.65−3.74 (m, 6H, H−1’Cer, H−3Glc, H−4Glc, OMe), 3.54−3.59 (m, 2H, H−1Cer, H−5Glc), 2.60−2.75 (m, 4H, −OCOCHCHCOO−), 2.15 (s, 3H, OAc), 1.20−2.20 (m, 58H, −CH−), 0.89 (t, 6H, 2−CH); 13C NMR (100 MHz, CDCl): d 173.3, 172.6, 171.9, 171.5, 165.2, 159.3, 133.2, 132.8, 132.5, 129.8, 129.8, 129.7, 129.0, 128.7, 128.4, 128.2, 127.8, 125.3, 113.7, 86.4, 82.9, 77.8, 74.5, 73.4, 73.2, 72.0, 69.7, 63.3, 61.4, 55.1, 49.6, 36.7, 31.9, 29.7, 29.6, 29.5, 29.3, 29.3, 29.1, 28.6, 25.6, 25.5, 22.7, 20.9, 14.1; MALDI−TOF−MS: m/z = 1226 [M + Na]
(2−O−ベンゾイル−3−O−4−メトキシベンジル−β−D−グルコピラノシル−(1(R)1)−(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカノイルアミノ−オクタデカン−4,6−スクシネート(9)
CHCl(1.2 mL)中の化合物8(43 mg,0.036 mmol)の溶液に、MS4Å(40 mg)を添加した。1時間攪拌後、この懸濁液に、NIS (16.0 mg、0.071 mmol)およびTfOH (0.6 μL,0.0079 mmol)を添加した。この混合物を5時間攪拌した。反応の終了をTLC (トルエン/EtOAc 1/1)で確認した。反応混合物をCeliteを通して濾過した。合わせた濾液および洗浄液をCHClで抽出し、sat. NaHCO3,sat. Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)濃縮した。残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーを行い(トルエン/EtOAc 3:1)、化合物9 (33 mg, 85%)を得た:
[α] + 3.7° (c 1.1, CHCl); H NMR (500 MHz, CDCl): d 6.67−8.00 (m, 9H, 2 Ph), 6.02 (d, 1H, J2,NH = 9.0 Hz, NH), 5.18 (m, 2H, J1,2 = 7.5 Hz, H−4Cer, H−2Glc), 5.10 (t, 1H, H−3Cer), 4.66 (d, 1H, Jgem = 11.5 Hz, PhCH), 4.55 (d, 1H, Jgem = 11.5 Hz, PhCH), 4.47 (d, 1H, J1,2 = 7.5 Hz, H−1Glc), 4.39 (m, 3H, J1,2 = 5.5 Hz, H−2Cer, H−6Glc, H−6’Glc), 3.81 (dd, 1H, Jgem = 11.5 Hz, J1,2 = 5.5 Hz, H−1Cer), 3.73 (s, 3H, OMe), 3.61−3.69 (m, 3H, H−1Cer, H−3Glc, H−5Glc), 3.49 (dt, 1H, H−4Glc), 2.50−2.80 (m, 4H, −OCOCHCHCOO−), 2.10 (s, 3H, OAc), 1.10−2.00 (m, 58H, −CH−), 0.84 (t, 6H, 2−CH); 13C NMR (100 MHz, CDCl): d 172.9, 171.4, 171.2, 170.8, 165.0, 159.3, 133.3, 129.8, 129.7, 129.6, 129.5, 128.5, 114.0, 113.9, 100.1, 81.5, 74.7, 74.3, 73.8, 73.7, 72.7, 70.4, 63.8, 55.1, 47.4, 37.4, 37.1, 36.5, 33.5, 32.7, 31.9, 30.2, 30.0, 29.7, 29.6, 29.6, 29.5, 29.5, 29.4, 29.3, 29.3, 29.2, 27.4, 27.1, 25.4, 25.0, 24.4, 22.7, 21.0, 19.7, 14.1; MALDI−TOF−MS: m/z = 1116 [M + Na]
(メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−β−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート)−(2→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2−O−ベンゾイル−3−O−4−メトキシベンジル−β−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカノイルアミノオクタデカン−4,6−スクシネート(11)
Figure 2008096880
CHCl(1.1 mL)中の化合物9(63 mg,0.0578 mmol)および化合物10(152 mg,0.137 mmol)の溶液に、モレキュラーシーブ(AW−300) (200 mg)を添加した。1時間攪拌後、この懸濁液に、TMSOTf (1.0 μL,0.00548 mmol)を添加した。反応の過程をTLC (トルエン/EtOAc 1/3)でモニタリングした。4時間の攪拌後、この反応混合物をCeliteのパッドを通して濾過した。濾液および洗浄液を合わせ、CHClで抽出し、sat. NaHCO3,およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)そして濃縮した。残留物をシリカゲルのクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 1/2)を行い、化合物11を得た(83 mg, 70%):
[α] +24.4° (c 0.7, CHCl); H NMR (400 MHz, CDCl): d 7.34−8.21 (m, 20H, 4Ph), 6.43−7.01 (2d, 4H, PMB), 5.94 (d, 1H, J2,NH = 8.2 Hz, NHCer), 5.68 (m, 1H, H−8Neu), 5.55 (near t, 1H, J1,2 = 8.2 Hz, H−2Gal), 5.36 (d, 1H, H−4Gal), 5.24 (dd, 1H, H−7Neu), 5.04−5.12 (m, 3H, J1,2 = 8.2 Hz, H−1Gal H−3Cer, J1,2 = 7.8 Hz, H−2Glc), 4.91−4.98 (m, 3H, H−4Cer, NHNeu, H−3Gal), 4.81 (m, 1H, H−4Neu), 4.66−4.87 (2d, 2H, Jgem = 11.0 Hz, PhCH), 4.42 (dd, 1H, Jgem = 12.4 Hz, H−9’Neu), 4.14−4.37 (m, 7H, H−5Gal, H−6Gal, H−6’Gal, H−6Glc, H−6’Glc, J1,2 = 7.8 Hz, H−1Glc, H−2Cer), 4.05 (dd, 1H, Jgem = 12.4 Hz, H−9Neu), 3.71−3.82 (m, 8H, H−1Cer, H−1’Cer, H−3Glc, H−4Glc, H−5Neu, OMe), 3.61 (dd, 1H, H−6Neu), 3.57 (s, 3H, OMe), 3.50 (t, 1H, H−5Glc), 2.36−2.67 (m, 4H, −OCOCHCHCOO−), 2.48 (dd, 1H, H−3eqNeu), 1.64 (m, 1H, H−3axNeu), 1.52−2.18 (6s, 18H, OAc), 1.10−1.40 (m, 58H, −CH−), 0.87 (t, 6H, 2−CH); 13C NMR (100 MHz, CDCl): d 172.84, 170.97, 170.90, 170.75, 170.67, 170.61, 170.25, 170.08, 168.16, 165.73, 165.56, 165.05, 158.82, 133.33, 133.12, 130.36, 130.15, 129.88, 129.78, 129.72, 129.63, 129.35, 128.56, 128.53, 128.31, 113.37, 101.29, 98.78, 96.94, 79.50, 78.72, 77.66, 74.53, 74.36, 73.36, 73.12, 73.06, 71.95, 71.55, 71.41, 70.94, 69.39, 68.23, 67.61, 66.59, 63.33, 62.35, 61.72, 54.97, 53.23, 48.82, 46.55, 37.35, 36.34, 31.93, 30.80, 30.04, 29.67, 29.62, 29.55, 29.45, 29.38, 29.20, 25.30, 25.15, 23.16, 22.70, 21.47, 20.93, 20.83, 20.73, 20.41, 14.13; MALDI−TOF−MS: m/z = 2064 [M+Na]
Figure 2008096880
上記の表2に記載される条件で反応させて、GlcとCerとを架橋させた。
(化合物29の調製)
Figure 2008096880
例えば、上記と同様の方法を使用して、化合物29を、EtOH中、DABCO存在下で、55℃で処理すると、化合物35を得た(収率60%)。
Figure 2008096880

(化合物30の調製)
例えば、上記と同様の方法を使用して、以下の表1に記載される条件で反応させると、化合物30を得た。
Figure 2008096880
(2−O−ベンゾイル−3−O−p−メトキシベンジル−β−D−グルコピラノシド−(1→1)−(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4,6−スクシネート(31)の調製)
CHCl(1.2 mL)中、化合物27(43 mg,0.036 mmol)の溶液に、モレキュラーシーブ4Å(MS4Å)(40 mg)を添加した。1時間、攪拌した後、この懸濁液に、NIS(16.0 mg 0.071 mmol)およびTfOH(0.6μL,0.0079 mmol)を添加した。この混合液を5時間攪拌した。反応を終わりを、TLC(トルエン/EtOAc 1/1)により確認した。この反応混合物を、セライトにより濾過した。合わせた濾過物および洗浄物をCHClで抽出し、そして飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 3:1)により精製し、31(33 mg,85%)を得た。
Figure 2008096880
(2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−α−D−グルコピラノシド−(1→1)−(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4,6−スクシネート(32)の調製)
MeCN(870 μL)中、化合物28(32 mg,0.026 mmol)の溶液に、モレキュラーシーブ3Å(MS3Å)(30 mg)を添加した。1時間、攪拌した後、この懸濁液に、NIS(17.7 mg 0.079 mmol)およびTfOH(0.7 μL,0.0079 mmol)を添加し、1.5時間にわたって攪拌を続けた。反応の終わりを、TLC(トルエン/EtOAc 1/1)で確認した。この反応混合物を、セライトでろ濾過した。合わせた濾過物および洗浄物を、CHClで抽出し、飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 3/1)により精製し、32(2.5 mg,9%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
(2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−β−D−グルコピラノシド−(1→1)−(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4,6−スクシネート(32)の調製)
MeCN(870 μL)中、化合物28(32 mg,0.026 mmol)の溶液に、MS3Å(30 mg)を添加した。1時間、攪拌した後、この懸濁液に、NIS(17.7 mg 0.079 mmol)およびTfOH(0.7 μL,0.0079 mmol)を添加し、そして1.5時間にわたって攪拌を続けた。反応を終わりを、TLC (トルエン/EtOAc 1/1)により確認した。この反応混合物を、セライトにより濾過した。合わせた濾過物および洗浄物を、CHClで抽出し、そして飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 3/1)により精製し、32(21 mg,72%)を得た。
Figure 2008096880
(シアリルα(2−3)ガラクトースドナー33の調製)
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、以下の実験を行った。
例えば、シアリルα(2−3)ガラクトースドナー33を、(化合物49Aの調製)と同様の方法を使用して調製した。
((メチル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノンウロピラノシロネート−(2→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3−ジ−O−p−メトキシベンジル−β−D−グルコピラノシド−(1→1)−(2S,3S,4R)−3−O−アセチル−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−4,6−スクシネート(34)の調製)
CHCl(430μL)中、化合物32(23.9 mg,0.022 mmol)および化合物33(60.0 mg,0.054 mmol)の溶液に、モレキュラーシーブ(AW300)(84 mg)を添加した。1時間、攪拌した後、この懸濁液に、TMSOTf(CHCl中、0.55 M溶液、0.2μL,0.001 mmol)を添加した。この反応の進行を、TLC(トルエン/EtOAc 1/3)によりモニタリングした。攪拌の7時間後、この反応混合物をCelite(登録商標)のパッドにより濾過した。この濾過物を、CHClで希釈し、有機相を飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc 2/5)により精製し、34(32 mg,72%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
CHCl中、化合物29および保護された糖鎖ドナー(例えば、化合物33)の溶液に、モレキュラーシーブ(AW300)を添加する。攪拌した後、この懸濁液に、TMSOTf(CHCl中)を添加する。この反応の進行を、TLCによりモニタリングする。攪拌後、この反応混合物をCelite(登録商標)のパッドにより濾過する。この濾過物を希釈し、有機相を飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮する。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc)により精製し、生成物を得る。
CHCl中、化合物30および保護された糖鎖ドナー(例えば、化合物33)の溶液に、モレキュラーシーブ(AW300)を添加する。攪拌した後、この懸濁液に、TMSOTf(CHCl中)を添加する。この反応の進行を、TLCによりモニタリングする。攪拌後、この反応混合物をCelite(登録商標)のパッドにより濾過する。この濾過物を希釈し、有機相を飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮する。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc)により精製し、生成物を得る。
CHCl中、化合物31および保護された糖鎖ドナー(例えば、化合物33)の溶液に、モレキュラーシーブ(AW300)を添加する。攪拌した後、この懸濁液に、TMSOTf(CHCl中)を添加する。この反応の進行を、TLCによりモニタリングする。攪拌後、この反応混合物をCelite(登録商標)のパッドにより濾過する。この濾過物を希釈し、有機相を飽和水性NaHCO3、飽和水性Naおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮する。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc)により精製し、生成物を得る。
(脱保護)
(フィトスフィンゴシン GM3の脱保護)
Figure 2008096880
O−(5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロン酸)−(2→3)−(O−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−O−β−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−オクタデカンアミド−オクタデカン−1,3,4−トリオール (3).
1,2−ジクロロエタン(800 μL)中の化合物1(38 mg, 0.0184 mmol)の溶液に、 トリフルオロ酢酸(370 μL)を加えた。この混合物を7時間室温で攪拌した。開始物質の完全な消費をTLC分析(EtOAc/ヘキサン 6/1)で確認した後、0℃で、EtNを添加した。反応混合物をエバポレートし、トルエンとともに同時に蒸発させた。エバポレーションの後に、30時間ポンプで減圧にした。残留物をMeOH (1.0 mL)に溶解させ、NaOMe (7.2 mMのMeOH溶液, 100 μL, 0.00518 mmol)を、0℃で添加した。室温で26時間攪拌した後(TLCモニタリング:BuOH/MeOH/HO 10/1/1)、この混合物に0℃でHOを添加した。この混合物を室温で10時間攪拌した(TLCモニタリング: BuOH/MeOH/HO 10/1/1)。この反応混合物をDowex (H)で中和し、濾過した。濾液を合わせ、洗浄液を濃縮した。残留物を、Sephadex LH−20 200 (g)のカラムクロマトグラフィー(MeOH)によって、化合物3(22.1 mg, 定量的)を得た。
Figure 2008096880
上記方法と同様の方法をしようして、例えば、化合物34を、トリフルオロ酢酸の存在下で、CHCl中、室温で撹拌し、次いで、MeOHおよびHO中のNaOMeで、室温で処理して、脱保護された生成物を得る。
(スフィンゴシン型セラミドのグルコース(Glc)との架橋)
Figure 2008096880
化合物2(1.6g、2.07mmol)をアルゴン下CHCl(19ml)に溶解し、WSC(1.1g、5.64mmol)、DMAP(69mg、0.564mmol)、化合物1(935mg、1.88mmol)を加え、室温にて、4時間攪拌した。反応溶液をクロロホルムで希釈し、水、brineで洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン=1/3)で精製を行い、化合物3(1.64g)を得た。
化合物3(280mg、0.223mmol)をアルゴン下THF(2.3ml)に溶解し、0℃にて、AcOH(40μL、0.669mmol)、TBAF(670μL、0.669mmol)を加え、0℃にて1時間反応させた。1時間後、反応温度を室温に上げ、4時間攪拌した。反応溶液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン=1/1.3)で精製を行い、化合物4(225mg)を得た。
(スフィンゴシン型セラミド―コハク酸―グルコース(Glc)、分子内グリコシル化)
Figure 2008096880
化合物4(72mg、0.0630mmol)をアルゴン下、CHCl(13ml)に溶解し、MS4A(70mg)を入れて、室温にて1時間攪拌した。一時間後、反応温度を0℃にし、DMTST(102mg、0.189mmol)を加えた。0℃にて2時間攪拌し、反応終了後、セライト濾過を行った。ろ液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=130/1)で精製を行い、化合物5(58mg)を得た。
(GM3の合成:(NeuGalドナー+GlcCerアクセプター))
Figure 2008096880
化合物6(21mg、0.0189mmol)と化合物5(13mg、0.0126mmol)をアルゴン下、CHCl(420μL)に溶解し、AW300(100mg)を加え、室温で1時間攪拌した。1時間後、反応温度を0℃にし、TMSOTf(0.3μL、0.00151mmol)を加え、0℃にて、2時間半攪拌した。反応終了後、セライト濾過をし、ろ液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(トルエン/AcOEt/MeOH=50/20/1)で精製し、化合物7(23mg)を得た。
(GM3の脱保護)
Figure 2008096880
化合物7(35mg,0.0177mmol)をアルゴン下、CHCl(700μl)に溶解し、0℃にて、TFA(350μl)を加え、室温で、2時間攪拌した。反応終了後、0℃にて、EtN(2ml)を加え、トルエン共沸を行い、残留物を減圧下、12時間乾燥させた(化合物8)。続いて、化合物8をアルゴン下、MeOH(1.0ml)に溶解させ、0℃にて、NaOMe(0.34mg,0.00177mmol)を加え、室温にて17時間攪拌した。17時間後、HO(0.5ml)を加え、13時間攪拌した。反応終了後、Dowex(H)で中和を行い、綿濾過し、ろ液をSephadex LH−20(MeOH)にてゲル濾過し、化合物9(19mg)を得た。
(GM2の合成:(GM2ドナー+GlcCerアクセプター))
Figure 2008096880
化合物10と化合物5をアルゴン下、CHClに溶解し、AW300を加え、室温で攪拌する。反応温度を0℃にし、TMSOTfを加え、0℃にて、攪拌する。反応終了後、セライト濾過をし、ろ液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(トルエン/AcOEt/MeOH)で精製し、化合物11を得る。
(GM2の脱保護)
Figure 2008096880
化合物11をアルゴン下、CHClに溶解し、0℃にて、TFAを加え、室温で、攪拌する。反応終了後、0℃にて、EtNを加え、トルエン共沸を行い、残さを減圧下、乾燥させる(化合物12)。続いて、化合物12をアルゴン下、MeOHに溶解させ、0℃にて、NaOMeを加え、室温にて攪拌する。その後、HOを加え、攪拌する。反応終了後、Dowex(H)で中和を行い、綿濾過し、ろ液をSephadex LH−20(MeOH)にてゲル濾過し、化合物13を得る。
(GM1の合成:(GM1ドナー+GlcCerアクセプター)
Figure 2008096880
化合物14と化合物5をアルゴン下、CHClに溶解し、AW300を加え、室温で攪拌する。反応温度を0℃にし、TMSOTfを加え、0℃にて、攪拌する。反応終了後、セライト濾過をし、ろ液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(トルエン/AcOEt/MeOH)で精製し、化合物15を得る。
(GM1の脱保護)
Figure 2008096880
化合物15をアルゴン下、CHClに溶解し、0℃にて、TFAを加え、室温で、攪拌する。反応終了後、0℃にて、EtNを加え、トルエン共沸を行い、残さを減圧下、乾燥させる(化合物16)。続いて、化合物16をアルゴン下、MeOHに溶解させ、0℃にて、NaOMeを加え、室温にて攪拌する。その後、HOを加え、攪拌する。反応終了後、Dowex(H)で中和を行い、綿濾過し、ろ液をSephadex LH−20(MeOH)にてゲル濾過し、化合物17を得る。
(GM4の合成:(GM4ドナー+GlcCerアクセプター))
Figure 2008096880

化合物18と化合物5をアルゴン下、CHClに溶解し、AW300を加え、攪拌する。TMSOTfを加え、攪拌する。反応終了後、セライト濾過をし、ろ液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物19を得る。
(GM4の脱保護)
Figure 2008096880

化合物19をアルゴン下、CHClに溶解し、TFAを加え、攪拌する。反応終了後、EtNを加え、トルエン共沸を行い、残留物を減圧下、乾燥する(化合物20)。続いて、化合物20をアルゴン下、MeOHに溶解させ、NaOMeを加え、攪拌する。HOを加え、攪拌する。反応終了後、Dowex(H)で中和を行い、綿濾過し、ろ液をSephadex LH−20(MeOH)にてゲル濾過し、化合物21を得る。
(Lactose部位の調製)
Figure 2008096880
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、上記表に記載の条件で反応を行い、ラクトース部位を調製した。
(シアル酸部位の調製)
Figure 2008096880
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、上記表に記載の条件で反応を行い、シアル酸部位を調製した。
(シアル酸部位の調製)
(3糖の合成)
Figure 2008096880
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、上記表に記載の条件で反応を行い、シアル酸部位を調製した。
(シアル酸部位の変更1)
Figure 2008096880
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、上記表に記載の条件で反応を行い、シアル酸部位を変更した。
(シアル酸部位の変更2)
Figure 2008096880
Hiromune Ando, Yusuke Koike, Hideharu Ishida, and Makoto Kisoら、Tetrahedron Letters 44 (2003) 6883-6886の記載に基づいて、上記表に記載の条件で反応を行い、シアル酸部位を変更した。
(実施例2.GM3の調製)
(化合物31Aの調製)
Figure 2008096880

4−メトキシフェニル[メチル4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−5−(2,2,2−トリクロロエトキシカルバモイル)−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート(nonulopyranosylonate)]−(2→3)−(2,6−O−ジ−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3,6−O−トリ−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(31A)
Figure 2008096880

化合物25A(500 mg,0.557 mmol:Borbas, A.; Csavas, M.; Szilagyi, L.; Majer, G.; Liptak, A. J. Carbohydr. Chem. 2004, 23, 133−146.に従って調製した)と化合物30A(796 mg,1.11 mmol:Ando, H.; Koike, Y.; Ishida, H.; Kiso, M. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 6883−6886.に従って調製した)を、10:1 CCN−CHCl(8.5 ml)に溶解し MS−4A(1.3 g)存在下室温にて1時間攪拌した。その後、N−ヨードスクシンイミド(501mg,2.22mmol)を加え、−50℃に冷却、トリフルオロメタンスルホン酸(24 μl,0.274 mmol)を加え−50℃にて6時間攪拌した。TEAを加え中和後、固形物をセライト濾過しクロロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせNaHCO sat.、HO 、Na、HO、sat.、ブラインの順で洗浄、得られた有機層をNaSOにて乾燥し有機層と固形物とに濾別した。濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:AcOEt=6:1)にて精製し、化合物31α(468 mg,45%)を得た。さらに、副生成物として化合物31β(146 mg,14%)を得た。
Figure 2008096880
Figure 2008096880
(化合物33Aの調製)
Figure 2008096880

4−メトキシフェニル[メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート]−(2→3)−(4−O−アセチル−2,6−O−ジ−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3,6−O−トリ−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(33A)
化合物31A(50 mg,0.0333 mmol)を、3:1 AcOH−(CHCl)(1 ml)に溶解しZn(Cu)(250 mg)存在下50℃にて1.5 時間攪拌した。その後、セライト濾過を行い固形物を濾別しクロロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせHO、NaHCO sat.、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物とを濾別しトルエンと共に減圧濃縮して得られたシロップを減圧下で1時間乾燥。その後、ピリジンに溶解させ氷浴で冷却後、無水酢酸(50 μl,)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)触媒量を加えた後、氷浴を除き2.5時間攪拌した。その後、MeOHを加え反応を停止、減圧濃縮して得られたシロップを2N HCl、HO、NaHCO sat.、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物を濾別し濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=60:1)にて精製し、化合物33A(35 mg,75%)を得た。
Figure 2008096880
(化合物35Aの調製)
Figure 2008096880

4−メトキシフェニル[メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート]−(2→3)−(2,4,6−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3,6−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(35A)
化合物33A(450 mg,0.318 mmol)を、1:1 EtOH−THF(5 ml)に溶解し Pd(OH)−C(1.0 g)を加え水素ガス気流下40℃にて1 時間攪拌した。反応終了後、固形物をセライト濾過しククロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせトルエンと共に減圧濃縮した。得られたシロップを減圧下で1時間乾燥。その後、Ar置換し、ピリジンに溶解、氷浴で冷却後無水酢酸(1 ml)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を触媒量加え氷浴を除き5時間攪拌した。氷浴で冷却後MeOHを加え反応を停止、減圧濃縮して得られたシロップを2N HCl、HO 、NaHCO sat.、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物と濾別し濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=50:1)にて精製し、化合物35A(358 mg,96%)を得た。
Figure 2008096880
(化合物37Aの調製)
Figure 2008096880

メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート]−(2→3)−(2,4,6−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3,6−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルトリクロロアセトイミデート(37A)
化合物35A(53 mg,0.0452 mmol)を 6:5:3 トルエン−MeCN−HO(2 ml)に溶解し、氷浴にて冷却後、硝酸ジアンモニウムセリウム(IV)(CAN)(74 mg)を加えた。15分後、氷浴を除き室温にて5.5 時間攪拌した。反応終了後、AcOEtにて溶液を希釈し、HO 、NaHCO sat.、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物を濾別し濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=25:1)にて精製し、化合物36Aを得た。
Figure 2008096880
得られた化合物36AをCHCl(2 ml)に溶解し、氷浴にて冷却後CClCN(452μl,4.516 mmol),DBU(3.4 μl,0.021 mmol)を加えた。加えた後、氷浴を除き室温にて2 時間攪拌した。反応終了後、溶液を減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:アセトン=5:1)にて精製し、化合物37A(44 mg,81% 2工程)を得た。
Figure 2008096880
(化合物38A)の調製
Figure 2008096880

メチル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート]−(2→3)−(2,4,6−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3,6−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→1)−2−(テトラデシル)−ヘキサデカノール(38A)
化合物8A
Figure 2008096880

(91 mg,0.207 mmol)と化合物37A(50 mg,0.0414 mmol)を CHCl(2.5 ml)に溶解し AW300(150 mg)存在下室温にて1時間攪拌した。その後、0℃に冷却し、TMSOTf(1.5 μl,0.0082 mmol)を加え、0℃にて 10 時間攪拌した。 TEAを加え中和後、固形物をセライト濾過しクロロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせNaHCO sat.、HO、sat.、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物と濾別し濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:アセトン=2:1)にて精製し、化合物38A(22 mg,36%)得た。
Figure 2008096880
(化合物3Aの調製)
Figure 2008096880

5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート−(2→3)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシル−(1→1)−2−(テトラデシル)ヘキサデカノール(3A)
化合物38A(22 mg,0.0148 mmol)をMeOH(1.0 ml)に懸濁しNaOMe(0.040mg,0.00074 mmol)を加え室温にて21時間攪拌した。MALDI−TOFMSにより化合物中の全Ac基の脱保護を確認した後、HOを加え3.5時間攪拌後、MALDI−TOFMSによりカルボン酸の生成を確認した。Dowex(H)を用いて溶液をPH7に中和、溶液とDowex(H)を濾別し、濾別して得られた溶液を減圧濃縮後、得られたシロップをカラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20,MeOH)にて精製し化合物3A(11 mg,69%)を得た。
Figure 2008096880
(化合物39Aの調製)
Figure 2008096880

メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート]−(2→3)−(2,4,6−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−2,3,6−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3R,4E)−3,4−O−ジベンゾイル−2−オクタデカンアミド−4−オクタデセン−1,3−ジオール(39A)
化合物6A
Figure 2008096880

(55 mg,0.0826 mmol)と化合物37A(50 mg,0.0413 mmol)をCHCl(1 ml)に溶解し、AW300(150 mg)存在下室温にて1時間攪拌した。その後、0℃に冷却し、TMSOTf(1.5μl,0.00818 mmol)を加え、0℃にて22時間攪拌した。 TEAを加え中和後、固形物をセライト濾過しクロロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせNaHCO sat.、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥後、濾別し減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:アセトン=2:1)にて精製し、化合物39A(13 mg,18%)を得た。
Figure 2008096880
(実施例3.GM4の調製)
(化合物45Aの調製)
Figure 2008096880

4−メトキシフェニル(メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル3,5−ジデオキシD− グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート)−(2→3)−4−O−アセチル−2,6−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシド(45A)
1,2−ジクロロエタン(15.0 mL)中の化合物43A
Figure 2008096880

(2.0 g,1.87 mmol:Fuse, T.; Ando, H.; Imamura, A.; Sawada, N.; Ishida, H.; Kiso, M.; Ando, T.; Li, S. C.; Li li Y. -T. Glycoconj. J. 2006, 23, 329−343に従って調製した)の溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で、酢酸(45.0 mL)および Zn−Cu(10.0 g)を添加した。この混合物を、反応の進行をTLC(CHCl:MeOH = 15:1)でモニターしながら、40°Cで1.5時間撹拌した。この反応混合物を、Celiteで濾過した。濾液および洗浄液を合わせ、CHClで抽出し、有機層をHO,sat. NaCO,およびブラインで洗浄し、NaSO で乾燥させ、濃縮した。ピリジン(9.0 mL)中の残留物の溶液に、無水酢酸(614 μL)を、アルゴン雰囲気下、0℃で添加した。この混合物を、反応の進行をTLC(CHCl:MeOH = 15:1)でモニターしながら、13時間、周囲温度で撹拌した。この反応混合物をトルエンと同時に蒸発させ、CHClで抽出した。有機相を2M HCl,HO,sat. NaHCO およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc:hexane = 3:1)で精製して、45A(1.69 g,92 %)を得た;
Figure 2008096880
(化合物47Aの調製)
4−メトキシフェニル(メチル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラO−アセチル3,5−ジデオキシD− グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート)−(2→3)−4−O−アセチル−2,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(47A)
Figure 2008096880

EtOH(30 mL)中の化合物45A(385 mg,392 μmol)の溶液に、水酸化パラジウム[Pd(OH)](20 wt. % 炭素担持Pd)(400 mg)を、周囲温度で、アルゴン雰囲気下で添加した。この混合物を、TLC(CHCl:MeOH = 15:1)でモニターしながら、反応の進行を4時間、水素雰囲気下、周囲温度で激しく撹拌した。この反応混合物をCeliteで濾過し、合わせた濾液および洗浄液を濃縮した。ピリジン(5.0 mL)中の残留物の溶液に、無水安息香酸(354 mg,1.57mmol)をアルゴン雰囲気下、0℃で添加した。この混合物を、反応の進行をTLC(CHCl:MeOH = 15:1)でモニターしながら、16時間、周囲温度で撹拌した。この反応混合物をトルエンと同時に蒸発させ、CHClで抽出した。有機相を2M HCl,HO,sat. NaHCOおよびブラインで洗浄し、濃縮した。残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc:hexane = 3:1)で精製して、47A(380 mg,95 %)を得た;
Figure 2008096880
化合物47Aは、化学式C4955NO22であり、正確な質量は1009.3216であり、分子量は、1009.9545である。Na塩は、化学式C4955NNaO22であり、正確な質量は1032.3113であり、分子量は、1032.9443である。K塩は、化学式C4955NKO22であり、正確な質量は1048.2853であり、分子量は、1049.0528である。
(化合物49Aの調製)
Figure 2008096880

メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2− ノヌロピラノシロネート−(2→3)−4−O−アセチル−2,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート(49A)
混合溶媒(MeCN−PhMe−HO = 3.5 mL:2.9 mL:1.7 mL)中の化合物47A(164 mg,162 μmol)の溶液に、硝酸ジアンモニウムセリウム(IV)(CAN)(445 mg,812 μmol)を添加した。この混合物を、TLC(CHCl:MeOH = 20:1)でモニターしながら、反応の進行を5時間、周囲温度で撹拌した。この反応混合物を、CHClで抽出し、有機層をHO,sat. NaHCO およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH = 65:1)で精製し、標的化合物(147 mg)を得た。CHCl(5.0 mL)中の化合物の溶液に、トリクロロアセトニトリル(410 μL,407 μmol)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)(4.9 μL,33.0 μmol)を添加した。この混合物を、反応の進行をTLC(CHCl:MeOH = 20:1)でモニターしながら、2時間、0℃で撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH = 75:1)で精製し、49A(132 mg,78 %)を得た;
Figure 2008096880
(化合物50Aの調製)
Figure 2008096880

メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート−(2→3)−4−O−アセチル−2,6−O−ジベンゾイルβ−D−ガラクトピラノシル)−(1→1)−2−(テトラデシル)−ヘキサデカノール(50A)
化合物8A
Figure 2008096880

(136 mg,0.310 mmol)と化合物49A(65 mg,0.0621 mmol)を CHCl(3 ml)に溶解し AW300(200 mg)存在下室温にて1時間攪拌した。その後、0℃に冷却し、TMSOTf(2.2μl,0.0124mmol)を加え、0℃にて20 時間攪拌した。TEAを加え中和後、固形物をセライト濾過しクロロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせsat.NaHCO、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物とを濾別し濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:アセトン=2:1)にて精製し、化合物50A(62 mg,76%)を得た。
Figure 2008096880
(化合物51Aの調製)
Figure 2008096880

5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート−(2→3)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−2−(テトラデシル)−ヘキサデカノール(51A)
化合物50A(28mg,0.0212 mmol)とMeOH(5.0 ml)に懸濁し触媒量のNaOMeを加え室温にて21時間攪拌後、55℃に加熱し48時間攪拌後MALDI−TOFMS により各水酸基のAc基とBz基の脱保護を確認した。その後、HOを加え3.5時間攪拌し、MALDI−TOFMSによりカルボン酸の生成を確認した。Dowex(H)を用いて溶液をpH7に中和、溶液とDowex(H)を濾別し溶液を減圧濃縮後、得られたシロップをカラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20,MeOH)にて精製し化合物51A(15 mg,79%)を得た。
Figure 2008096880
(化合物52Aの調製)
Figure 2008096880

メチル 5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート]−(2→3)−(2,4,6−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→1)−(2S,3R,4E)−3,4−O−ベンゾイル−2−オクタデカンアミド−4−オクタデカ−1,3,4−トリオール(52A)
化合物49A(76 mg,0.956 mmol)と化合物7A(50 mg,0.0478 mmol)をCHCl(1.5 ml)に溶解しAW300(150 mg)存在下室温にて1時間攪拌した。その後、0℃に冷却し、TMSOTf(1.8μl,mmol)を加え、0℃にて24時間攪拌した。
Figure 2008096880
TEAを加え中和後、固形物をセライト濾過しクロロホルムにて洗浄した。濾液と洗液を合わせsat.NaHCO、HO、ブラインの順で洗浄した。得られた有機層をNaSOにて乾燥、有機層と固形物と濾別し濾液と洗液を合わせ減圧濃縮して得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:アセトン=2:1)にて精製し、化合物52A(56 mg,70%)を得た。
Figure 2008096880
(化合物53Aの調製)
Figure 2008096880

5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート−(2→3)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3R,4E)−3,4−O−ベンゾイル−2−オクタデカンアミド−4−オクタデカ−1,3,4−トリオール(53A)
化合物52A(35 mg,0.0208 mmol)とMeOH(5.0 ml)に懸濁し触媒量のNaOMeを加え55℃にて60時間攪拌した。MALDI−TOFMSにより化合物中の各水酸基のAc基及びBz基の脱保護を確認した。その後、HOを加え3.5時間攪拌後、MALDI−TOFMSによりカルボン酸の生成を確認。Dowex(H)を用いて溶液をpH7に中和、溶液とDowex(H)を濾別し溶液を減圧濃縮後、得られたシロップをカラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20,MeOH)にて精製し化合物53(21 mg,quant.)を得た。
Figure 2008096880
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本明細書の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明を様々な糖やアグリコンに適用したり、糖鎖合成後に分子内縮合を用いたセラミドの導入を行う等の利用も考えられ、食品、医薬品、農芸化学分野等種々の分野における応用が期待される。

Claims (68)

  1. 糖脂質を生成するための方法であって、以下:
    (a)保護された糖と脂質アミド保護体とを、該保護された糖と該脂質アミド保護体とが結合する条件下で反応させて、糖−脂質アミドアクセプター前駆体を生成させる工程;
    (b)該糖−脂質アミドアクセプター前駆体を、該糖−脂質アミドアクセプター前駆体内の分子内縮合反応が進行する条件で反応させて、糖−脂質アミドアクセプターを生成させる工程;
    (c)該糖−脂質アミドアクセプターと保護された糖鎖ドナーとを、該糖−脂質アミドアクセプターと該保護された糖鎖ドナーとが連結する条件下で反応させて、保護された糖脂質を生成させる工程;および
    (d)該保護された糖脂質を、該保護された糖鎖ドナーが脱保護する条件下で脱保護反応をさせて、糖脂質を生成させる工程
    を包含する、方法。
  2. 前記保護された糖が、
    Figure 2008096880
    からなる群より選択される糖の保護体であり、ここで、
    PROは、独立して、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、MPM(p−メトシキベンジル)、メトキシフェニル(MP)、アセチル、ベンジル、およびメチルからなる群より選択される保護基であり、
    Lは、独立して、−SPh、−SCH、−SCHCH、−F、−OPO(OPh)(ここで、Phはフェニルである。)、−OPO(N(CHおよびトリクロロアセトイミデート基からなる群より選択される脱離基である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記脂質アミド保護体が、以下の式:
    Figure 2008096880
    ここで、該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基またはアルケニル基から選択され;
    該Rは、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリチル(Tr)、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
    該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基である、
    請求項1に記載の方法。
  4. 前記脂質アミド保護体が、
    Figure 2008096880
    からなる群より選択され;
    前記糖−脂質アミドアクセプター前駆体が、
    Figure 2008096880
    であり、前記糖−脂質アミドアクセプターが、
    Figure 2008096880
    であり、ここで
    該Rが、p−メトキシベンジル(MPM)、メトキシフェニル(MP)、アリルであり;
    該Rが、MPM、Bz、MP、アリルであり;
    該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
    該Rおよび該Rは、独立して、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基であり、Phはフェニルである、
    請求項3に記載の方法。
  5. 前記保護された糖と脂質アミド保護体とが結合する条件は、アルコールとカルボン酸とが結合する条件である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記工程(a)は、溶媒中において試薬の存在下で所定の反応温度および反応時間、前記保護された糖鎖と、前記脂質アミドとを混合し、反応させることを包含し、
    該反応温度が、室温以上であり;
    該溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、CHCl、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびそれらの組合せからなる群より選択され;
    該試薬が、トリフェニルホスフィン(PPh)、アゾジカルボン酸ジエチルエステル(DEAD)、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC)、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、トリエチルアミン(EtN)、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびそれらの組合せからなる群より選択され;および
    該反応時間が、2時間〜4時間である、
    請求項1に記載の方法。
  7. 前記試薬が、PPhおよびDEADであり、前記溶媒がTHFであり、前記反応温度が90℃以上である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記試薬が、WSCあるいは2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド、EtNおよびDMAPであり、前記溶媒が、CHClであり、前記反応温度が、30〜60℃である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記試薬が、WSCであり、前記溶媒が、CHClであり、前記反応温度が室温である、請求項6に記載の方法。
  10. 前記反応時間が、3時間である、請求項6に記載の方法。
  11. 前記溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)であり、
    前記試薬がトリフェニルホスフィン(PPh:3.0当量)およびDEAD(3.0当量)であり、該当量は、前記保護された糖鎖に対する当量であり、
    前記反応温度が、90℃であり、前記反応は還流下で実施される、
    請求項6に記載の方法。
  12. 前記溶媒が、CHClであり、
    前記試薬が、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSC:3.0等量)であり、該当量は、前記保護された糖鎖に対する当量であり、
    前記温度が、室温である、
    請求項6に記載の方法。
  13. 前記溶媒が、CHClであり、
    前記試薬が、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(1.1等量)、トリエチルアミン(EtN:1.5等量)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP:3.0等量)であり、該当量は、前記保護された糖鎖に対する当量であり、
    前記温度が、室温である、
    請求項6に記載の方法。
  14. 前記工程(a)は、前記糖および前記脂質アミド保護体に、さらにスペーサー前駆体を加えることにより、前記脂質アミド保護体を、スペーサーを介して該糖に結合させることを包含する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記スペーサーと、前記糖または前記脂質アミド保護体とが予め結合されている、請求項1に記載の方法。
  16. 前記脂質アミド保護体を、該脂質アミド保護体の1位水酸基が脱保護される条件下で反応させて、該1位水酸基を脱保護する工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、
    は、イソプロピリデンケタールまたはメトキシベンジリデンアセタールであり、
    は、
    Figure 2008096880
    (Ac)または
    Figure 2008096880
    (Bx)であり、そして
    は、AcまたはBxである、請求項14に記載の方法。
  18. 前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、
    は、トリチル(Tr)、TBDPSおよびTBDMSからなる群より選択され、
    は、スクシニル、マロニル、オキサリル、カルボニル、グルタリルおよびフタロイル、からなる群より選択され、そして
    は、アセチルまたはベンゾイルである、
    請求項14に記載の方法。
  19. 前記スペーサー前駆体がコハク酸であり、該コハク酸が前記脂質アミド保護体のRに結合する場合、
    は、Tr、TBDPSおよびTBDMSからなる群より選択され、
    は、スクシニル、マロニル、オキサリル、カルボニル、グルタリルおよびフタロイル、からなる群より選択され、そして
    は、アセチルまたはベンゾイルである、
    請求項14に記載の方法。
  20. 前記オリゴ糖の還元末端側の糖残基が、前記脂質アミド保護体とスペーサーを介して結合する、請求項2に記載の方法。
  21. 前記工程(b)は、前記分子内縮合反応を活性化させるための活性化剤の存在下で行われ、該活性化剤は、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  22. 前記工程(b)は、
    −80℃〜室温の反応温度にて、;
    CHCl、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せからなる群より選択される溶媒中で;
    N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)、モレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)、モレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)およびそれらの組合せからなる群より選択されるの試薬の存在下で;および
    1〜48時間の反応時間にわたり行われる、
    請求項1に記載の方法。
  23. 前記反応温度が、−20〜0℃である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記溶媒が、ジクロロメタンである、請求項22に記載の方法。
  25. 前記試薬が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)である、請求項22に記載の方法。
  26. 前記反応時間が、1時間〜5時間である、請求項22に記載の方法。
  27. 前記工程(b)は、
    溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、TMSOTfおよびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、1.5時間の反応時間、0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  28. 前記工程(b)は、
    溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、5時間の反応時間、−40℃で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  29. 前記工程(b)は、
    溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、36時間の反応時間、初めは−80℃で、次に−60℃で、次に−40℃で、次に0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  30. 前記工程(b)は、
    溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、48時間の反応時間、初めは―40℃で、次に0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  31. 前記工程(b)は、
    溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、1.5時間の反応時間、−0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  32. 前記工程(b)は、
    溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、3時間の反応時間、−20℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  33. 前記工程(b)は、
    溶媒として、ジエチルエーテルを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、25時間の反応時間、初めは0℃で、次に、室温の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  34. 前記工程(b)は、
    溶媒として、アセトニトリル(MeCN)を用いて、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)およびモレキュラーシーブス3オングストローム(MS3Å)を試薬として用いて、1時間の反応時間、0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  35. 前記工程(b)は、
    溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、5時間の反応時間、0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  36. 前記工程(b)は、
    溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、1.5時間の反応時間、−20℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  37. 前記工程(b)は、
    溶媒として、CHClを用いて、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST)およびモレキュラーシーブス4オングストローム(MS4Å)を試薬として用いて、2時間の反応時間、0℃で反応させることを包含する、請求項22に記載の方法。
  38. 前記分子内縮合反応が、グリコシル化である、請求項1に記載の方法。
  39. 前記工程(c)は、
    2.5当量より多くのアクセプターに対するドナーの当量にて;−40〜0℃の反応温度にて;CHClの溶媒中で;トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)試薬の存在下で、1〜48時間の反応時間反応をさせることを包含する、
    請求項1に記載の方法。
  40. 前記アクセプターに対するドナーの当量が2.5当量であり;
    前記反応温度が、0℃であり;
    前記溶媒が、CHClであり;
    前記試薬が、TMSOTfであり;および
    前期反応時間が、7時間である、
    請求項39に記載の方法。
  41. 前記保護された糖鎖ドナーが、
    Figure 2008096880
    −SPh、−SCH、−SCHCH、−F、−OPO(OPh)(ここで、Phはフェニルである。)および−OPO(N(CHからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  42. 前記工程(d)は、
    CHClの溶媒中で;
    トリフルオロ酢酸の試薬の存在下で;
    室温の反応温度にて;および
    2〜12時間の反応時間にわたり行われる、
    請求項1に記載の方法。
  43. 前記反応時間が、2時間である、請求項42に記載の方法。
  44. (e)前記工程(d)の生成物を、アシル系保護基が脱保護する条件下で反応させ、脱保護する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  45. 前記(e)工程は、
    メタノール(CHOH)または水(HO)の溶媒中で;
    ナトリウムメトキシド(NaOCH)またはKOHの試薬の存在下で;
    室温〜100℃の反応温度にて;および
    1時間〜1週間の反応時間にわたり行われる、
    請求項44に記載の方法。
  46. 前記溶媒が、メタノール(CHOH)であり;
    前記試薬が、ナトリウムメトキシド(NaOCH)であり;
    前記反応温度が、室温であり;および
    前記反応時間が、12時間である、
    請求項45に記載の方法。
  47. Figure 2008096880
    を生成させる方法であって、該方法は、アクセプター化合物
    Figure 2008096880
    とドナー化合物
    Figure 2008096880
    とを、該アクセプター化合物と該ドナー化合物とが結合する条件下で反応させる工程(A)、
    を包含し、ここで、
    は、AcまたはHであり;
    は、Acまたは2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)
    Figure 2008096880
    であり;
    SPhは、
    Figure 2008096880
    であり;
    MPは、
    Figure 2008096880
    であり;
    SEは、
    Figure 2008096880
    であり;
    Acは、
    Figure 2008096880
    であり;
    Bzは、
    Figure 2008096880
    であり、
    Bnは、
    Figure 2008096880
    であり;
    Meは、メチルである、方法。
  48. 前記工程(A)は、以下:
    −40℃〜室温の反応温度にて;
    CHCN、CHCl、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ニトロメタンおよびそれらの組合せの溶媒中で;
    N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSOTf)およびそれらの組合せの触媒の存在下で;および
    1時間〜3日間の反応時間にわたり行われる、
    請求項47に記載の方法。
  49. 前記触媒が、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
  50. 前記溶媒が、CHCN、CHClまたはCHCNとCHClとの混合液である、請求項48に記載の方法。
  51. 前記反応温度が、−30℃〜0℃である、請求項48に記載の方法。
  52. 前記反応時間が、1時間〜1日間である、請求項48に記載の方法。
  53. 前記工程(A)は、
    初めに溶媒としてCHCNを、次にCHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、2日間の反応時間、初めは−30℃で、次に室温の反応温度にて反応させることを包含する、請求項48に記載の方法。
  54. 前記工程(A)は、
    溶媒として、CHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)およびTMSOTfを触媒として用いて、3日間の反応時間、初めは−30℃で、次に室温の反応温度で反応させることを包含する、請求項48に記載の方法。
  55. 前記工程(A)は、
    溶媒として、CHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、2日間の反応時間、初めは−30℃で、次に0℃の反応温度で反応させることを包含する、請求項48に記載の方法。
  56. 前記工程(A)は、
    溶媒として、CHCNとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、3日間の反応時間、−30℃の反応温度で反応させることを包含する、
    請求項48に記載の方法。
  57. 前記工程(A)は、
    溶媒として、CHClを用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、1日間の反応時間、−30℃の反応温度で反応させることを包含する、
    請求項48に記載の方法。
  58. 前記工程(A)は、
    溶媒として、プロピオニトリルとCHClとの混合液を用いて、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を触媒として用いて、6時間の反応時間、−50℃の反応温度で反応させることを包含する、
    請求項48に記載の方法。
  59. 以下の式:
    Figure 2008096880
    Figure 2008096880
    で示される化合物。
  60. アミノ基がトリクロロエトキシカルボニル(Troc)で保護されたアミノ糖と、メトキシフェニル(MP)で保護された糖とを、該Trocで保護されたアミノ糖と該MPで保護された糖とが結合する条件下で反応させる工程を包含する、オリゴ糖を合成するための方法。
  61. 前記アミノ糖が、脱離基Lを有する、請求項60に記載の方法。
  62. 前記脱離基Lが、−SPh、−SCH、−SCHCH、−F、−OPO(OPh)(ここで、Phはフェニルである。)および−OPO(N(CHからなる群より選択される、請求項61に記載の方法。
  63. 前記Trocで保護されたアミノ糖が、以下
    Figure 2008096880
    であり、
    Proは、独立して、アセチル(Ac)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、MPM(p−メトシキベンジル)およびメトキシフェニル(MP)からなる群より選択される保護基であり、
    は、アルキルである、
    請求項60に記載の方法。
  64. 前記MPで保護された糖が、以下
    Figure 2008096880
    からなる群より選択され、
    Proは、独立して、アセチル(Ac)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、MPM(p−メトシキベンジル)およびメトキシフェニル(MP)からなる群より選択される保護基である、
    請求項60に記載の方法。
  65. 前記Troc基を、Zn(Cu)存在下で脱保護する工程を包含する、請求項60〜64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 以下の構造:
    Figure 2008096880
    からなる群より選択される構造を有する、化合物。
  67. 以下の式:
    Figure 2008096880
    で示される化合物であって、ここで、
    該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基およびアルケニル基から選択され;
    該Rは、tert−ブチルジフェニルシリル(tert−buthyldiphenylsilyl(TBDPS))、tert−ブチルジメチルシリル(tert−buthyldimethylsilyl(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(triisopropylsily(TIPS))、トリチル(Tr)、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
    該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基である、化合物。
  68. 以下の式:
    Figure 2008096880
    で示される化合物であって、ここで
    該Rおよび該Rは、独立して、アルキル基およびアルケニル基から選択され;
    該Rは、TBDPS、TBDMS、TIPS、Tr、イソプロピリデンケタールおよびメトキシベンジリデンアセタールからなる群より選択され;
    該Rは、スクシニル、マロニル、フタロイル、オキザリル、カルボニル、ベンゾイル、アセチルおよびピバロイルからなる群より選択される保護基である、化合物。
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