JPWO2008038578A1 - 軸不斉を有する光学活性な4級アンモニウム塩およびそれを用いたα−アミノ酸およびその誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
グリシン誘導体の立体選択的アルキル化を可能にするキラル相間移動触媒は、利用し易いことおよびその適用範囲が広いことから、プロセス化学の分野で重要性が高まっている。そして、主としてシンコナアルカロイド誘導体を使用して、相間移動触媒の設計についての多くの研究が行われ、すでにいくつかの有用な方法が報告されている(例えば、Shioiri,T.ら、Stimulating Concepts in Chemistry,Vogtle,F.ら編,WILEY−VCH:Weinheim,2000年,p.123およびO’Donnell,M.J.、Aldrichimica Acta,2001年,34巻,p.3参照)。しかし、このような相間移動触媒を用いた反応では、ハロゲン系溶媒を使用すること、反応に長時間を要すること、低温条件が必要であることなどの種々の問題があった。特に、上記のα,α−ジアルキル−α−アミノ酸の合成では、このようなシンコナアルカロイドに由来するキラル相間移動触媒の使用は、あまり効率的とはいえない。
本発明者らは、軸不斉を有する光学活性な4級アンモニウム塩を調製し、α−アルキル−α−アミノ酸およびα,α−ジアルキル−α−アミノ酸を立体選択的に合成する相間移動触媒として利用できることを明らかにした(特開2001−48866号公報、特開2003−81976号公報、およびOoi,T.ら,J.Am.Chem.Soc.,2000年,122巻,p.5228を参照)。例えば、以下の式:
(ここで、PhF3は3,4,5−トリフルオロフェニル基を表す)で表されるスピロ型の化合物は、グリシン誘導体の立体選択的ダブルアルキル化およびα−アルキル−α−アミノ酸誘導体の立体選択的モノアルキル化を触媒し、α,α−ジアルキル−α−アミノ酸の立体選択的製造に非常に有効である。しかし、このようなスピロ型触媒の調製には、多くの工程が必要であり、例えば、入手が容易なキラルビナフトールを出発原料とする場合、触媒の化学構造式において左側半分で表される部分を調製するだけでも11工程を要する。このように、従来の軸不斉を有する光学活性な4級アンモニウム塩は、調製に非常に手間がかかり、コスト高となる恐れが指摘されている。
本発明は、以下の式(I)で表される、化合物:
ここで、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R7およびR8はそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8は一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される基である)
からなる群より選択される二価の基を表し、そして
X−は、ハロゲン化物アニオン、SCN−、HSO4 −、HF2 −、CF3SO3 −、CH3−C6H4−SO3 −、およびCH3SO3 −からなる群より選択されるアニオンである、を提供する。
1つの実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR2およびR2’はともに水素原子である。
1つの実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR2およびR2’はともにアリール基であり、ここで、該アリール基は、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である。
1つの実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR4およびR4’はともにアリール基であり、ここで、該アリール基は、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である。
本発明はまた、上記式(I)で表される化合物を製造するための方法を提供し、該方法は、以下の式(II):
で表される化合物を、有機溶媒中、酸捕捉剤の存在下にて、
以下の式(III):
で表される2級アミンと反応させる工程、を包含し、
ここで、式(II)において、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、そして
Zはハロゲン原子であり、
そして式(III)において、
R7およびR8はそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8は一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される基である)
からなる群より選択される二価の基を表す、方法である。
1つの実施態様では、上記式(II)で表される化合物のR2およびR2’はともに水素原子である。
1つの実施態様では、上記式(II)で表される化合物のR2およびR2’はともにアリール基であり、ここで、該アリール基は、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である。
1つの実施態様では、上記式(II)で表される化合物のR4およびR4’はともにアリール基であり、ここで、該アリール基は、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である。
本発明はまた、以下の式(II)で表される化合物:
ここで、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、そして
Zはハロゲン原子である、を提供する。
本発明はまた、以下の式(VII)で表される化合物:
ここで、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、Z1はハロゲン原子であり、そして
Z2は水素原子またはハロゲン原子である、を提供する。
本発明はまた、式(VI)で表される化合物:
を立体選択的に製造するための方法を提供し、該方法は、
軸不斉に関して純粋な式(I):
で表される化合物を相間移動触媒として用い、式(IV)で表される化合物:
を、媒体中、無機塩基の存在下、式(V)の化合物:
でアルキル化する工程、を包含し、
ここで、式(I)において、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子または、分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R7およびR8はそれぞれ独立して一価の有機基であるか、あるいは
R7およびR8は一緒になって二価の有機基を表し、そして
X−はハロゲン化物アニオンであり、
式(IV)および式(VI)において、
R14およびR15は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;あるいは
(ii)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、ただしR14およびR15がともに水素原子である場合を除き、
R16は、
(i)水素原子;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基であって、該アルキル基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
で置換されていてもよい、アルキル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(v)アラルキル基であって、該アラルキル基を構成するアリール部分が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vi)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R17は、分岐または環を形成していてもよいC1〜C8アルキル基であり、
式(V)および式(VI)において、
R18は、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基であって、該アルキル基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
で置換されていてもよい、アルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(iv)アラルキル基であって、該アラルキル基を構成するアリール部分が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;ならびに
(v)分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C3〜C9のプロパルギル基または置換プロパルギル基;
からなる群より選択される基であり、
式(V)において、
Wは、脱離能を有する官能基であり、
そして式(VI)において
*は、新たに生成する不斉中心を示す、方法である。
1つの実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR7およびR8はそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8が一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される二価の基を表す。
さらなる実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR2およびR2’はともに水素原子である。
さらなる実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR2およびR2’はともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である。
さらなる実施態様では、上記式(I)で表される化合物のR4およびR4’はともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である。
1つの実施態様では、上記無機塩基は無機塩基水溶液の形態で用いられる。
さらなる実施態様では、上記式(IV)で表される化合物1当量に対し、上記無機塩基水溶液中の上記無機塩基は0.5当量以上かつ280当量以下の割合で使用される。
またさらなる実施態様では、上記無機塩基水溶液の濃度は10w/w%から70w/w%である。
またさらなる実施態様では、上記式(IV)で表される化合物1モルに対し、上記式(I)で表される化合物は、0.0001モル%から5モル%の割合で使用される。
またさらなる実施態様では、上記媒体と上記無機塩基水溶液との容積比は、7:1から1:5である。
本発明はまた、光学活性なα−アミノ酸を製造するための方法を提供し、該方法は、上記いずれかの方法により得られた式(VI)で表される化合物:
(ここで、R14、R15、R16、R17およびR18は上記に定義した基と同様である)のイミノ基(R14R15C=N−)を酸性条件下で加水分解する工程;および該酸性加水分解産物のエステル基(−CO2R17)を酸性もしくは塩基性条件下で加水分解する工程;を包含する。
本発明はまた、光学活性なα−アミノ酸を製造するための方法を提供し、該方法は、上記いずれかの方法により得られた式(VI)で表される化合物:
(ここで、R14、R15、R16、R17およびR18は上記に定義した基と同様である)のエステル基(−CO2R17)を塩基性条件下で加水分解する工程;および該塩基性加水分解産物のイミノ基(R14R15C=N−)を酸性条件下で加水分解する工程;を包含する。
本発明によれば、より単純化された構造のキラル相間移動触媒が提供される。この相間移動触媒は、従来の化合物よりもより少ない工程により製造することができる。このように、より容易に提供され得る本発明の相間移動触媒は、例えば、α−アルキル−α−アミノ酸誘導体およびα,α−ジアルキル−α−アミノ酸の合成に利用され得る。
用語「分岐または環を形成していてもよい、C1〜Cnのアルキル基」(ここでnは整数)は、炭素数1〜nの任意の直鎖アルキル基、炭素数3〜nの任意の分岐鎖アルキル基、および炭素数3〜nの任意の環状アルキル基を包含する。例えば、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルが挙げられ、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが挙げられ、そして炭素数3〜6の任意の環状アルキル基としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。さらに、例えば、用語「分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C12のアルキル基」という場合は、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、炭素数3〜12の任意の分岐鎖アルキル基、および炭素数3〜12の任意の環状アルキル基を包含し、これらの任意の位置の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなアルキル基としては、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−デシル、n−ドデシルなどが挙げられる。
用語「分岐または環を形成していてもよい、C2〜Cnのアルケニル基」(ここでnは整数)は、炭素数2〜nの任意の直鎖アルケニル基、炭素数3〜nの任意の分岐鎖アルケニル基、および炭素数3〜nの任意の環状アルケニル基を包含する。例えば、炭素数2〜6の任意の直鎖アルケニル基としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニルなどが挙げられ、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルケニル基としては、イソプロペニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−メチル−2−ブテニル、などが挙げられ、そして炭素数3〜6の任意の環状アルケニル基としては、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。さらに、例えば、用語「分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基」という場合は、炭素数2〜12の直鎖アルケニル基、炭素数3〜12の任意の分岐鎖アルケニル基、および炭素数3〜12の任意の環状アルケニル基を包含し、これらの任意の位置の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなアルケニル基としては、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、1−デセニル、1−ドデセニルなどが挙げられる。
用語「分岐または環を形成していてもよい、C2〜Cnのアルキニル基」(ここでnは整数)は、炭素数2〜nの任意の直鎖アルキニル基、炭素数3〜nの任意の分岐鎖アルキニル基、および炭素数3〜nの任意の環状アルキニル基を包含する。例えば、炭素数2〜6の任意の直鎖アルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、1−ヘキシニルなどが挙げられ、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルキニル基としては、1−メチル−2−プロピニルなどが挙げられ、そして炭素数3〜6の任意の環状アルキニル基としては、シクロプロピルエチニル、シクロブチルエチニルなどが挙げられる。さらに、例えば、用語「分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基」という場合は、炭素数1〜12の直鎖アルキニル基、炭素数3〜12の任意の分岐鎖アルキニル基、および炭素数3〜12の任意の環状アルキニル基を包含し、これらの任意の位置の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなアルキニル基としては、1−ヘプチニル、1−オクチニル、1−デシニル、1−ドデシニルなどが挙げられる。
用語「分岐していてもよいC1〜Cnのアルコキシ基」(ここでnは整数)は、炭素数1〜nの任意の直鎖アルキル基を有するアルコキシ基および炭素数3〜nの任意の分岐鎖アルキル基を有するアルコキシ基を包含する。例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、tert−ブチルオキシなどが挙げられる。
本発明において、用語「アラルキル基」の例としては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、4−フェニルブチルおよび2−フェニルブチルなどが挙げられる。
本発明において、用語「アリール基」の例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどが挙げられる。
本発明において、用語「ハロゲン原子」の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびフッ素原子が挙げられる。なお、本発明において、用語「ハロゲン化物アニオン」とは、ハロゲンイオンのことを意味し、例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、およびフッ化物イオンが挙げられる。
本発明において、用語「分岐していてもよい、C3〜Cnのプロパルギル基または置換プロパルギル基」(ここでnは整数)は、プロパルギル基、あるいは1および/または3位に置換基を有する任意の合計炭素数4〜nの置換プロパルギル基を意味する。例えば、2−プロピニル、3−トリメチルシリル−2−プロピニルなどが挙げられる。
以下、本発明について詳述する。
<4級アンモニウム塩>
本発明の化合物は新規な4級アンモニウム塩であり、後述する光学活性なα−アミノ酸誘導体等の製造において、好ましくは軸不斉に関して純粋である。本発明の化合物は、以下の式(I):
(ここで、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R7およびR8はそれぞれ独立して、一価の有機基であるか、あるいは一緒になって二価の有機基を表し、そして
X−は、ハロゲン化物アニオン、SCN−、HSO4 −、HF2 −、CF3SO3 −、CH3−C6H4−SO3 −、およびCH3SO3 −からなる群より選択されるアニオンである)で表すことができる。
上記式(I)で表される化合物は、例えば、後述する光学活性なα−アミノ酸またはその誘導体、特に、α,α−ジアルキル−α−アミノ酸またはその誘導体を製造するための相間移動触媒として有用に機能する。より具体的には、式(IV)で表される化合物を式(V)で表される化合物でアルキル化して式(VI)で表される光学活性なα−アミノ酸またはその誘導体を製造するために、上記式(I)で表される化合物を相間移動触媒として用いる場合、当該化合物のカチオンを構成するアンモニウム部分:
が、該アルキル化における反応性に寄与し、かつ軸不斉に関して純粋なビフェニル部分:
が、該アルキル化反応の立体選択性に寄与する。したがって、式(I)で表される化合物におけるR7およびR8は、1つの実施態様においては、上記カチオンのアンモニウム部分とビフェニル部分とに由来する触媒活性および立体選択性を保持し得る(あるいは、これら触媒活性および選択性をともに阻害しない)基である。例えば、上記アンモニウム部分およびビフェニル部分と比較して不活性な一価の有機基または二価の有機基であり得る。言い換えれば、R7およびR8は、それら自体(またはそれ自体)が反応性に富む基である必要はなく、後述するアミノ酸またはその誘導体の製造における反応に悪影響を及ぼさない基であれば任意の置換基であり得る。あるいは、上記式(I)で表される化合物を、後述する光学活性なα−アミノ酸またはその誘導体の誘導体を製造するための相間移動触媒として使用する場合、上記式(I)において、R7およびR8は、それぞれ独立して
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8が一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される(二価の有機)基である。
本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR2およびR2’がともに水素原子であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR2およびR2’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR4およびR4’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR7およびR8が、好ましくは、それぞれ独立して、分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基である。あるいは、本明細書中において、R7およびR8はそれぞれ独立して、好ましくは分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C12のアルキル基であるか、あるいは分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC13〜C30のアルキル基(より好ましくは分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC13〜C22のアルキル基)である。あるいは、本明細書中において、R7およびR8はそれぞれ独立して、好ましくは分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であり、そしてより好ましくは、当該アルキル基を構成する炭素原子数は、1以上、3以上、13以上、15以上、17以上、または18以上の下限と、30以下、22以下、21以下、20以下、12以下、8以下、または4以下の上限とから構成される範囲から選択され得る。特に、上記式(I)では、当該化合物のR7およびR8がともにn−ブチル基であることが好ましい。このような置換基を有する式(I)で表される化合物を、光学活性なα−アミノ酸およびその誘導体、好ましくはα,α−ジアルキル−α−アミノ酸またはその誘導体を製造するための触媒(例えば、相間移動触媒)として使用する場合、当該アミノ酸またはその誘導体をより優れた収率かつ光学純度で製造することができるからである。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR2とR2’とが同一であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR3とR3’とが同一であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR4とR4’とが同一であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR7とR8とが同一であることが好ましい。
<4級アンモニウム塩の製造方法>
上記式(I)で表される4級アンモニウム塩は、以下の式(II):
で表される化合物を、有機溶媒中、酸捕捉剤の存在下にて、以下の式(III):
で表される2級アミンと反応させることにより製造することができる。
ここで、式(II)において、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、そして
Zはハロゲン原子であり、
そして式(III)において、
R7およびR8はそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8は一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される基である)
からなる群より選択される(二価の基)基である。
本発明においては、上記式(II)で表される化合物のR2およびR2’がともに水素原子であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(II)で表される化合物のR2およびR2’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(II)で表される化合物のR4およびR4’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいい、アリール基;であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR2とR2’とが同一であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR3とR3’とが同一であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR4とR4’とが同一であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、上記式(I)で表される化合物のR7とR8とが同一であることが好ましい。
本発明に用いられる式(II)の化合物は、例えば、以下のような方法を用いて合成することができる。
まず、出発物質として以下で表される化合物:
(6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオール)が用意される。当該6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオールは、最終的に製造しようとする本発明の化合物(I)の絶対配置に対応してS体またはR体のいずれかを使用することができる。当該6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオールはそれ自体公知の構造である。例えば、以下のような反応スキームを通じて合成することもできる。このような反応スキームを通じて合成する方法は、例えば、特開2004−189696号公報により公知である。
この6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオールを、アセトンなどの有機溶媒中、酸捕捉剤(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基が挙げられる)の存在下にて、アルキル化剤と反応させる。
当該アルキル化剤の例としては、R40Y(ここで、R40は、ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルキル基であり、そしてYは、ハロゲン原子または以下の式で表される基:
(ここで、R42は、ハロゲン原子か、アルキル基か、またはニトロ基かで置換されていてもよいC1〜C5アルキル基であるか、あるいはハロゲン原子か、アルキル基か、またはニトロ基かで置換されていてもよいアリール基である)である)で表される化合物が挙げられる。好ましいアルキル化剤の例としては、ヨウ化メチルおよびヨウ化イソプロピルが挙げられる。このようにして得た6,6’−ジメチル−2,2’−ジアルコキシビフェニルを、ジクロロメタンなどの有機溶媒中、臭素(Br2)などのハロゲン化剤と反応させる。
なお、ここで得られる化合物は、上記アルキル化剤との反応に先立ち、当該6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオールは臭素(Br2)などを用いて3位、3’位、5位および5’位をそれぞれハロゲン化したのち、アセトンなどの有機溶媒中、酸捕捉剤(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基が挙げられる)の存在下にて、アルキル化剤と反応させることによっても得ることができる。
このようにして、以下の式(VII):
(ここで、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、
Z1はハロゲン原子であり、そして
Z2は水素原子またはハロゲン原子である)で表される化合物を得ることができる。
次いで、上記式(VII)の化合物は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの有機溶媒中、パラジウム触媒の存在下にて、R4−B(OH)2またはR4’−B(OH)2で表される少なくとも1種のボロン酸誘導体(ここで、R4およびR4’はそれぞれ独立して、上記に定義した基と同様である)とのSuzuki−Miyauraカップリング反応に供される。当該ボロン酸誘導体のより具体的な例としては、3,4,5−トリフルオロフェニルボロン酸が挙げられる。その後、当該化合物のメチル基を、当該分野で通常用いられる手段によってハロゲン化することにより、上記式(II)で表される化合物を得ることができる。
一方、本発明の式(I)で表される化合物の製造方法において、上記式(III)の2級アミンは、市販されているものが多く入手が容易であるか、あるいは、周知の方法により容易に製造することができる。
本発明の上記式(I)の化合物の製造のための反応工程に用いられる有機溶媒としては、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、エーテル系溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、2−メトキシエチルエーテルなど)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなど)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど)、アミド系溶媒(例えば、DMF、N,N−ジメチルアセトアミドなど)などが挙げられる。本発明においては、特に、アセトニトリルが好ましい。酸捕捉剤としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基が挙げられる。
上記反応において、式(III)の2級アミンは、式(II)の化合物に対して好ましくは0.5当量〜10当量、より好ましくは0.8当量〜3当量で用いられる。酸捕捉剤は、式(II)の化合物に対して好ましくは0.5当量〜10当量、より好ましくは0.8当量〜5当量で用いられる。式(II)の化合物と式(III)の2級アミンとの反応は、酸捕捉剤の存在下、適切な有機溶媒中、好ましくは攪拌しながら行われる。反応温度は、好ましくは、室温から使用する有機溶媒の沸点までであり、より好ましくは加熱還流下で反応が行われる。反応時間は、好ましくは15分間〜24時間、より好ましくは30分間〜12時間である。このとき、有機溶媒は、式(II)の化合物に対して容積(mL)/重量(g)比で、例えば5倍〜50倍、あるいは6倍〜30倍の量を用いる。反応終了後、反応混合物を、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチルなどによる抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどによって単離・精製することにより、式(I)の化合物を得ることができる。あるいは、反応混合物を、そのまま以下に詳述するα−アミノ酸誘導体の製造方法に相間移動触媒として使用してもよい。
このようにして得られたX−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物は、軸不斉に関して純粋な形態であり、相間移動触媒として使用され得る。ここで、「軸不斉に関して純粋」とは、軸不斉によって生み出される各種立体異性体のうち、1つの特定の異性体の存在率が、他の異性体より多いことをいう。当該異性体の特定な一つの存在率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上である。
さらに、上記X−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物は、例えば、以下の工程を経て、ハロゲン化物アニオンがSCN−、HSO4 −、HF2 −、CF3SO3 −、CH3−C6H4−SO3 −(CH3−Ph−SO3 −と表記する場合がある)、またはCH3SO3 −に変換された化合物とすることができる。
まず、X−がSCN−またはHSO4 −である式(I)の化合物の製造方法について説明する。
上記のようにして得られたX−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物は、特開2002−173492号公報に記載の方法に準じて、例えば、適切な第二の有機溶媒中に溶解し、チオシアン酸アルカリ金属塩の飽和水溶液と混合することにより、X−であるハロゲン化物アニオンが、SCN−に変換される。
この交換において使用可能な第二の有機溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、および酢酸エチルが挙げられる。チオシアン酸アルカリ金属塩の例としては、チオシアン酸カリウムおよびチオシアン酸ナトリウムが挙げられる。
X−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物と、チオシアン酸アルカリ金属塩との反応は、例えば、室温のような比較的温和な条件下の溶液中で混合接触することにより、容易に進行し、反応生成物(すなわち、X−がSCN−である式(I)の化合物を定量的収率で得ることができる。
また、上記X−がSCN−である式(I)の化合物は、濃硫酸と反応させることにより、X−がSCN−から、さらにHSO4 −へと容易に変換される。
このようにして得られたX−がHSO4 −である式(I)の化合物は、さらにフッ化アルカリ金属塩(例えば、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、またはフッ化リチウム)と反応させることによって、例えば、シリルエノールエーテルとカルボニル化合物との反応(アルドール反応)における触媒として利用可能な式(Ia):
(ここで、R2、R2’、R3、R3’、R4、R4’、R7およびR8は、それぞれ独立して、上記式(I)において定義されたものと同様である)で表される化合物を得ることもできる。
上記アルドール反応において使用されるシリルエノールエーテルは、例えば、トリアルキルシリルエノールエーテルである。トリアルキルシリルエノールエーテルは、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリドなどのクロロシランを、塩基の存在下にてカルボニル化合物(例えば、2−ブタノン、4−ペンテン−2−オン、ジエチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロナフトン、シクロヘキサノン、1−オキソインダン、1−テトラロン、または2−テトラロンのようなケトン誘導体)と反応させることにより予め調製され得る。
上記アルドール反応において使用されるシリルエノールエーテルと反応するカルボニル化合物としては、シリルエノールエーテルの前駆体であるカルボニル化合物(上記ケトン誘導体)に加えて、アセチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ドテシルアルデヒド、パルミチンアルデヒド、ステアリンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンカルブアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ニコチンアルデヒド、シンナムアルデヒド、α−ナフトアルデヒド、β−ナフトアルデヒドなどのアルデヒド化合物が挙げられる。
このようなシリルエノールエーテルおよびカルボニル化合物に対し、式(Ia)で表される化合物は、上記アルドール反応の触媒として使用され、当該反応の立体選択性を制御することができる。
次に、X−がHF2 −、CF3SO3 −、CH3−Ph−SO3 −、またはCH3SO3 −である式(I)の化合物の製造方法について説明する。
上記のようにして得られたX−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物を、まず、イオン交換樹脂と接触させ、第一の中間体を生成する。
上記イオン交換樹脂は、当業者によって任意に選択可能である。使用可能なイオン交換樹脂の具体的な例としては、アンバーリストA26(OH)(オルガノ社製)が挙げられる。
X−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物とイオン交換樹脂との接触は、例えば、上記X−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物を適切な第三の溶媒に溶解し、この溶液を、当該イオン交換樹脂を充填したカラムに通すことにより行われる。このような接触を行う際に使用され得る第三の溶媒はアルコール溶媒が好ましい。アルコール溶媒の具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびノルマルプロピルアルコールが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
この接触において使用される上記X−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物および第三の溶媒の量は、特に限定されず、当業者によって適切に設定され得る。
このようにして、第一の中間体が生成される。
次いで、得られた第一の中間体は、好ましくは上記溶媒を除去することなく、酸の溶液(例えば、フッ化水素水溶液、メタンスルホン酸溶液、トルエンスルホン酸溶液、トリフルオロメタンスルホン酸溶液)で処理される。
本発明に用いられるフッ化水素水溶液またはスルホン酸溶液の使用量は、特に限定されないが、生産性を高める点から、好ましくは、上記で使用したX−がハロゲン化物アニオンである式(I)の化合物に対して等量以上のフッ化水素またはスルホン酸が反応するように選択される。これにより、第一の中間体から4級アンモニウム部分が遊離し、溶液中に、X−がハロゲン化物アニオンから、さらにHF2 −、CF3SO3 −、CH3−Ph−SO3 −、またはCH3SO3 −へと変換された式(Ib)〜式(Ie):
のいずれかで表される化合物を沈殿させることができる。
その後、この式(Ib)〜式(Ie)の化合物は、当業者が通常用いる手段を用いて溶媒を除去することにより、容易に単離され得る。
このようにして得られた、式(Ib)〜式(Ie)の化合物のうち、特に式(Ib)の化合物は、例えば、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に制御されたニトロアルコールを生成するための触媒としても利用され得る。
<α−アミノ酸誘導体の製造方法>
次に、式(I)で表される本発明の4級アンモニウム化合物を相間移動触媒として用いて、α−アミノ酸誘導体を製造する方法について説明する。
式(VI)で表されるα−アミノ酸誘導体:
(ここで、
R14およびR15は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;あるいは
(ii)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、ただしR14およびR15がともに水素原子である場合を除き、
R16は、
(i)水素原子;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基であって、該アルキル基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
で置換されていてもよい、アルキル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(v)アラルキル基であって、該アラルキル基を構成するアリール部分が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vi)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R17は、分岐または環を形成していてもよいC1〜C8アルキル基であり、
R18は、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基であって、該アルキル基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
で置換されていてもよい、アルキル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(v)アラルキル基であって、該アラルキル基を構成するアリール部分が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、
および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;ならびに
(vi)分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C3〜C9のプロパルギル基または置換プロパルギル基;
からなる群より選択される基であり、そして
*は、新たに生成する不斉中心を示す)は、
式(IV)で表される化合物:
(ここで、R14、R15、R16、およびR17、上記式(VI)において定義されたものと同様である)
を、媒体中、無機塩基の存在下、上記式(I)で表される化合物を相間移動触媒として用いて、式(I)の化合物:
(ここで、R18は、上記式(VI)において定義されたものと同様であり、そしてWは、脱離能を有する官能基である)でアルキル化する工程によって、立体選択的に製造することができる。
上記アルキル化工程で用いられる媒体としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、シクロペンチルメチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどが挙げられる。あるいは、媒体は、これらのうちの水と混ざらない媒体と水との二相系媒体であってもよい。媒体は、式(IV)の化合物に対して容積(mL)/重量(g)比で好ましくは0.5倍〜30倍、より好ましくは1倍〜25倍を使用し得る。
上記アルキル化工程で用いられる無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。無機塩基は、式(IV)の化合物に対して好ましくは0.5当量〜100当量、より好ましくは0.8当量〜40当量を使用し得る。
なお、上記アルキル化工程において、無機塩基は無機塩基水溶液の形態で用いられてもよい。無機塩基水溶液の形態で用いられる場合、無機塩基水溶液中に含有されていてもよい無機塩基の上限は、式(IV)の化合物に対して、好ましくは280当量以下、より好ましくは150当量以下、さらにより好ましくは56当量以下である。また、無機塩基水溶液中に含有されていてもよい無機塩基の下限は、式(IV)の化合物に対して、好ましくは0.5当量以上、より好ましくは0.8当量以上、さらにより好ましくは0.9当量以上である。無機塩基水溶液としては、好ましくは5w/w%〜70w/w%、より好ましくは10w/w%〜60w/w%を使用し得る。
媒体と無機塩基水溶液との容積比は、媒体容積(mL)/無機塩基水溶液容積(mL)比で、好ましくは7/1〜1/5、より好ましくは5/1〜1/3、さらにより好ましくは4/1〜1/1である。
上記アルキル化工程において、式(V)の化合物は、式(IV)の化合物に対して、好ましくは0.5当量〜10当量、より好ましくは0.7当量〜6当量、さらにより好ましくは0.9当量〜5当量で用いられる。式(I)の化合物は、式(IV)の化合物1モルに対して、好ましくは0.0001モル%以上、より好ましくは0.0005モル%以上の下限で、かつ好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下、さらにより好ましくは1モル%以下、またさらにより好ましくは0.5モル%以下の上限で相間移動触媒として用いる。このように本発明に用いられる相間移動触媒は、その活性自体が非常に高いため、式(IV)の化合物1モルに対して極めて少量を使用することのみで、所望の光学活性なα−アミノ酸およびその誘導体を得ることができる。
また、本発明においては、式(I)で表される不斉相間移動触媒とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)のようなアキラルな4級アンモニウム塩を併用してもよい。例えば、TBABは本発明における反応系において助触媒として機能し、得られるα−アミノ酸およびその誘導体の収率を向上させるとともに、本発明に用いられる式(I)で表される不斉相間移動触媒の使用量をさらに低減させることができる。本発明において使用され得るTBABの量は、上記式(IV)の化合物1モルに対し、好ましくは0.005モル%〜1モル%であり、より好ましくは0.01%〜0.8モル%である。
上記アルキル化工程はまた、例えば、−70℃から室温までの間の適切な温度、好ましくは−20℃〜20℃で、空気中、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下などにて行われる。この工程は、アルキル化反応が十分に進行するまで適切な時間にわたって、攪拌しながら行われ得る。反応時間は、好ましくは30分間〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。
なお、上記アルキル化工程を行うにあたり、上記無機塩基水溶液を用いる場合、以下のように当該工程を複数に分けて行うことが好ましい。
すなわち、まず、上記媒体に、式(IV)の化合物、式(I)の相間移動触媒、および式(V)の化合物をそれぞれ添加して混合物が調製される。この際、氷・塩などの冷却下にて充分な攪拌を行うことが好ましい。その後、この混合物を冷却し、かつ上記無機塩基水溶液を添加することにより、該式(IV)の化合物がアルキル化される。この混合物の冷却に際して設定される温度は、好ましくは−20℃〜20℃であり、より好ましくは−15℃〜15℃であり、さらにより好ましくは−10℃〜10℃である。
上記のように式(I)の化合物を用いる本発明の方法によれば、光学活性な式(VI)の化合物を、高収率かつ高光学純度で得ることができる。ここで、高光学純度とは、好ましくは80%ee以上、より好ましくは85%ee以上、さらより好ましくは90%ee以上、またさらにより好ましくは95%ee以上の光学純度であることをいう。
<α−アミノ酸の製造方法>
本発明の別の局面では、本発明は、光学活性なα−アミノ酸の製造方法を提供する。
すなわち、本発明においては、上記の方法により得られた光学活性な式(IV)の化合物(光学活性なα−アミノ酸誘導体)を用いて、例えば、以下のいずれかの手順を行うことにより、光学活性なα−アミノ酸を製造することができる。
第一の方法では、まず、上記の方法により得られた光学活性な式(IV)の化合物(光学活性なα−アミノ酸誘導体)を構成するイミノ基(R14R15C=N−)部分が酸性条件下で加水分解される(イミンの酸性加水分解工程)。このイミンの酸性加水分解工程に用いられる酸の例としては、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)あるいは3塩基酸を含む有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、トシル酸)が挙げられる。このイミンの酸性加水分解工程はまた、具体的には、適切な媒体(例えば、テトラヒドロフランまたはトルエン)中、式(VI)の化合物を、上記酸の水溶液を用いて適切な温度(例えば、室温)にて処理することによって進行する。その結果、酸性加水分解産物として、末端アミノ基が遊離したアミノ酸のエステル誘導体を得ることができる。
次いで、上記で得られたアミノ酸のエステル誘導体(酸性加水分解産物)は、必要に応じて、イミンの加水分解よりも強い酸性条件もしくは塩基性条件下、加水分解反応に供せられる。これにより、当該酸性加水分解物の末端(すなわち、当該酸性加水分解産物を構成するエステル基(−CO2R17))がカルボン酸となった目的のアミノ酸を得ることができる。
あるいは、第二の方法では、上記と反対の工程が採用される。すなわち、上記のアルキル化反応によって得られた光学活性な式(VI)の化合物(光学活性なα−アミノ酸誘導体)を構成するエステル基(−CO2R17)を、最初に塩基性条件下で加水分解する(エステルの塩基性加水分解工程)。このエステルの塩基性加水分解工程には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液が用いられ得る。このような加水分解を行うことにより、式(VI)の化合物の末端(すなわち、当該式(VI)の化合物を構成するエステル基(−CO2R17))がカルボン酸となった塩基性加水分解産物を得ることができる。
次いで、上記で得られた塩基性加水分解産物のイミノ基(R14R15C=N−)部分を酸性条件下に加水分解する(イミンの酸性加水分解工程)。このイミンの酸性加水分解工程に用いられる酸の例としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、硫酸)あるいは3塩基酸を含む有機酸(例えば、酢酸、クエン酸)が挙げられる。このイミンの酸性加水分解工程は、具体的には、適切な媒体(例えば、テトラヒドロフランまたはトルエン)中、上記塩基性加水分解産物を、上記酸の水溶液を用いて適切な温度(例えば、室温)で処理することによって進行する。その結果、末端アミノ基が遊離した目的のアミノ酸を得ることができる。
本発明においては、式(VI)の化合物からアミノ酸を製造する場合、上記第一の方法または第二の方法のいずれが用いられてもよく、実際に製造するアミノ酸の具体的な構造その他製造条件によって当業者が任意に選択することができる。
このようにして、所望の光学活性なα−アミノ酸を、その構造上の制約を受けることなく、効率的かつ任意に製造することができる。
なお、以下の実施例においては、特に記載のない限り、以下の条件にて測定した。
赤外(IR)スペクトルを、(株)島津製作所製IRPrestage−21スペクトロメータで記録した。
1Hおよび13C NMRスペクトルを、日本電子(株)製JEOL JUM−FX400 NMR装置(1H NMRについては400MHzであり、13C NMRについては100MHzであった)で室温にて測定し、他に示さない限りは、内部標準としてSi(CH3)4(δ=0ppm)およびCDCl3トリプレット(δ=77ppm)の中心線を用いて校正した。以下の略号を用いて多重度を表現した:s=シングレット;d=ダブレット;t=トリプレット;q=カルテット;m=マルチプレット;br=ブロード。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、ダイセル化学工業(株)製Daisel CHIRALPAK ODまたはOD−H4.6mm×25mmカラムを用いて(株)島津製作所製Shimadzu 10A装置で行った。
高分解能質量分析(HRMS)を、ブルーカー社製BRUKER micrOTOF focus−KRで行った。
旋光性を、日本分光(株)製JASCO DIP−1000デジタル旋光計で測定した。
全ての反応を、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターした。TLCには、メルク社製シリカゲルプレート(厚み0.25mm,60F−254)を用い、254nmのUV光またはKMnO4、リンモリブデン酸(PMA)およびCeSO4のような染料で可視化した。生成物を、シリカゲル60(メルク社製1.09386.9025,230メッシュ〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
<実施例1:(S)−2,2’−ジメトキシ−6,6’−ジメチルブチルフェニル(6)の合成>
(S)−6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオール(5)(89mg,0.42mmol)のアセトン(5.0ml)溶液に、ヨウ化メチル(0.52mL,8.3mmol)およびK2CO3(0.57mg,4.2mmol)を添加した。室温で5時間攪拌した後、得られた混合物を、酢酸エチルとともにセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、標題化合物(6)(105mg,定量的)を得た。
得られた化合物(6)の物性データを表1に示す。
実施例1で得られた(S)−2,2’−ジメトキシ−6,6’−ジメチルビフェニル(6)(105mg,0.415mmol)のCH2Cl2(4.0mL)溶液に、酢酸(0.005mL,0.083mmol)およびBr2(0.45mL,0.87mmol)を連続的に添加した。得られた溶液を室温で1時間攪拌し、そして氷冷した飽和NaHCO3に注いだ。有機相を分離し、そして水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた抽出液をNa2SO4で乾燥しそして濃縮して残渣のオイルを得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、標題化合物(7)(161mg,97%)を得た。
得られた化合物(7)の物性データを表2に示す。
実施例2で得られた(S)−3,3’−ジブロモ−6,6’−ジメトキシ−2,2’−ジメチルビフェニル(7)(550mg,1.37mmol)の乾燥DMF(15mL)溶液に、3,4,5−トリフルオロフェニルボロン酸(868mg,5.50mmol)、Pd(OAc)2(62mg,0.28mmol)、P(o−トリル)3(P(o−Tol)3:335mg,1.10mmol)およびK3PO4−nH2O(3.93g,13.8mmol)を続けて添加した。アルゴン雰囲気下にて一晩還流した後、得られた混合物を、ジエチルエーテルとともにセライトパッドで濾過した。濾液をH2Oとジエチルエーテルとの混合物に激しく攪拌しながら注いだ。有機相を分離し、水相をジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた抽出物をNa2SO4で乾燥しそして濃縮して、残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、標題化合物(8)を定量的収率で得た。
得られた化合物(8)の物性データを表3に示す。
実施例3で得られた(S)−3,3’−ジ(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6,6’−ジメトキシ−2,2’−ジメチルビフェニル(8)(690mg,1.37mmol)のベンゼン(10mL)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(611mg,3.43mmol)および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(23mg,0.14mmol)を連続して添加した。1.5時間還流した後、この混合物を室温まで冷却し、そしてジエチルエーテルを用いるセライトパッドを用いて濾過した。濾液を濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル)により精製して、標題化合物(9)(820mg,91%)を得た。
得られた化合物(9)の物性データを表4に示す。
実施例4で得られた(S)−2,2’−ビス(ブロモメチル)−6,6’−ジメトキシ−3,3’−ジ(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビフェニル(9)(316mg,0.48mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、Bu2NH(0.74mL,0.43mmol)およびK2CO3(0.60mg,4.4mmol)を添加した。85℃で一晩攪拌した後、得られた混合物を室温まで冷却し、そしてCH2Cl2を用いるセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH)により精製して、標題化合物である、白色固体のキラルアンモニウム塩((S)−4a)(290mg,94%)を得た。
得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の物性データを表5に示す。
実施例1で用いたヨウ化メチルの代わりに、ヨウ化イソプロピル(0.81mL,8.3mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(S)−2,2’−ジイソプロポキシ−6,6’−ジメチルブチルフェニルを合成した。次いで、実施例1で得られた化合物(6)の代わりに、当該(S)−2,2’−ジイソプロポキシ−6,6’−ジメチルブチルフェニルを用い、上記実施例2から実施例5までの同様の処理をして、以下のキラルアンモニウム塩((S)−4b)(250mg,78%)を得た。
得られたキラルアンモニウム塩((S)−4b)の物性データを表6に示す。
(S)−6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオール(5)(110mg,0.51mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液に、酢酸(0.006mL,0.10mmol)およびBr2(0.11mL,2.10mmol)を連続して添加した。室温で40分間攪拌した後、得られた溶液を、激しく攪拌しながらH2OとCH2Cl2との混合物に注いだ。有機層を分離し、そして水層をCH2Cl2で2回抽出した。合わせた抽出物を、Na2SO4で乾燥しそして濃縮して、残渣の固体を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、標題化合物(10)(236mg,87%)を得た。
得られた化合物(10)の物性データを表7に示す。
実施例7で得られた(S)−3,3’,5,5’−テトラブロモ−6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジオール(10)(236mg,0.45mmol)のアセトン(10mL)溶液に、ヨウ化メチル(0.56mL,8.9mmol)およびK2CO3(0.62mg,4.45mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、得られた混合物を、酢酸エチルを用いたセライトパッドを通じて濾過した。濾液を濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、標題化合物(11)(246mg,98%)を得た。
得られた化合物(11)の物性データを表8に示す。
実施例8で得られた(S)−3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’−ジメトキシ−6,6’−ジメチルビフェニル(11)(423mg,0.76mmol)の乾燥DMF(10mL)溶液に、3,4,5−トリフルオロフェニルボロン酸(718mg,4.55mmol)、Pd(OAc)2(34mg,0.15mmol)、P(o−Tol)3(185mg,0.61mmol)およびK3PO4−nH2O(2.17g,7.58mmol)を続けて添加した。アルゴン雰囲気下で20時間還流した後、得られた混合物を、ジエチルエーテルを用いるセライトパッドを通じて濾過した。濾液を、H2Oとジエチルエーテルとの混合物に激しく攪拌しながら注いだ。合わせた抽出物をNa2SO4で乾燥し、そして濃縮して残渣を絵、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル)で精製することにより、標題化合物(12)(377mg,65%)を得た。
得られた化合物(12)の物性データを表9に示す。
実施例9で得られた(S)−3,3’−ジ(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6,6’−ジメトキシ2,2’−ジメチルビフェニル(12)(377mg,0.49mmol)のベンゼン(5.0mL)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(203mg,1.14mmol)および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(8mg,0.049mmol)を連続して添加した。30分間還流した後、混合物を室温まで冷却し、そしてジエチルエーテルを用いるセライトパッドを通じて濾過した。濾液を濃縮して残渣の固体でなる化合物(13)を得、これをさらに精製することなく次の反応に使用した。
上記で得られた粗生成物(化合物(13))のアセトニトリル(5mL)溶液に、Bu2NH(0.051mL,0.30mmol)およびK2CO3(410mg,2.96mmol)を添加した。95℃で10時間攪拌した後、得られた混合物を室温まで冷却し、そしてCH2Cl2を用いるセライトパッドを通じて濾過した。濾液を濃縮して残渣を残し、シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/メタノール)で精製することにより、白色固体のキラルアンモニウム塩((S)−5)(254mg,二工程により53%)を得た。
得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)の物性データを表10に示す。
50%KOH水溶液(1mL)とN−(ビフェニルメチレン)グリシンtert−ブチルエステル(20)(88.6mg,0.3mmol)のトルエン溶液(1.5mL)との混合物に、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)(1モル%;相間移動触媒)と上記式R18−Wで表される化合物としてベンジルブロミド(3当量)との混合物を加え、アルゴン雰囲気下、0℃にて5時間激しく攪拌した。反応の終了をTLCで確認した後、混合物を水中に注ぎ、エーテルで抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣のオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液として、エーテル/ヘキサン=1/10)で精製して、対応する化合物(21)((R)−tert−ブチルN−(ジフェニルメチレン)フェニルアラニン)を得た(収率96%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を、HPLCにて分析した[Daicel Chiralcel OD;溶離液:ヘキサン/2−プロパノール=100/1、流速0.5mL/分;保持時間:(R)体=14.8分、(S)体=28.2分]。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表11に示す。
<実施例12:グリシンのα−ベンジル化の確認(A2)>
反応温度を0℃の代わりに室温とし、かつ反応時間を5時間の代わりに3時間としたこと以外は、実施例11と同様にして、化合物(21)を定量的収率で得た。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表11に示す。
<実施例13:グリシンのα−ベンジル化の確認(A3)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例6で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4b)(1モル%)を用い、かつ反応時間を5時間の代わりに4時間としたこと以外は、実施例11と同様にして、化合物(21)を得た(収率95%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表11に示す。
<実施例14:グリシンのα−ベンジル化の確認(A4)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例6で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4b)(1モル%)を用い、反応温度を0℃の代わりに室温とし、かつ反応時間を5時間の代わりに2.5時間としたこと以外は、実施例11と同様にして、化合物(21)を得た(収率92%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表11に示す。
<実施例15:グリシンのα−ベンジル化の確認(A5)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、かつ反応時間を5時間の代わりに10時間としたこと以外は、実施例11と同様にして、化合物(21)を得た(収率82%)。TLCにより、出発物質の一部が残留していることを確認した。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表11に示す。
<実施例16:グリシンのα−ベンジル化の確認(A6)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、反応温度を0℃の代わりに室温とし、かつ反応時間を5時間の代わりに2.5時間としたこと以外は、実施例11と同様にして、化合物(21)を得た(収率96%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表11に示す。
<実施例17:グリシンのα−ベンジル化の確認(B1)>
50%KOH水溶液(1mL)とN−(ビフェニルメチレン)グリシンtert−ブチルエステル(20)(88.6mg,0.3mmol)のトルエン溶液(1.5mL)との混合物に、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)(1モル%;相間移動触媒)と上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチル(8当量)との混合物を加え、アルゴン雰囲気下、0℃にて8時間激しく攪拌した。反応の終了をTLCで確認した後、混合物を水中に注ぎ、エーテルで抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣のオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液として、エーテル/ヘキサン=1/10)で精製して、対応する化合物(21)((R)−tert−ブチルN−(ジフェニルメチレン)フェニルアラニン)を得た(収率92%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を、HPLCにて分析した[Daicel Chiralcel OD;溶離液:ヘキサン/2−プロパノール=100/1]。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例18:グリシンのα−ベンジル化の確認(B2)>
上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、アリルブロミド(3当量)を用い、かつ反応時間を8時間の代わりに2.5時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率90%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例19:グリシンのα−ベンジル化の確認(B3)>
上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、プロパルギルブロミド(3当量)を用い、かつ反応時間を8時間の代わりに10時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率82%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例20:グリシンのα−ベンジル化の確認(B4)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、ベンジルブロミド(1.5当量)を用い、かつ反応時間を8時間の代わりに4時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率94%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例21:グリシンのα−ベンジル化の確認(B5)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、プロパルギルブロミド(1.5当量)を用い、かつ反応時間を8時間の代わりに3時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率94%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例22:グリシンのα−ベンジル化の確認(B6)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、アリルブロミド(1.5当量)を用い、かつ反応時間を8時間の代わりに3.5時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率92%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例23:グリシンのα−ベンジル化の確認(B7)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、かつ反応時間を8時間の代わりに10時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率86%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例24:グリシンのα−ベンジル化の確認(B8)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(0.2モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、プロパルギルブロミド(2当量)を用い、反応温度を0℃の代わりに20℃とし、かつ反応時間を8時間の代わりに6時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率92%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例25:グリシンのα−ベンジル化の確認(B9)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(0.5モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、アリルブロミド(1.5当量)を用い、反応温度を0℃の代わりに20℃とし、かつ反応時間を8時間の代わりに5時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率95%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例26:グリシンのα−ベンジル化の確認(B10)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(1モル%)を用い、反応温度を0℃の代わりに20℃とし、かつ反応時間を8時間の代わりに10時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率81%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例27:グリシンのα−ベンジル化の確認(B11)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(0.5モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、ベンジルブロミド(1.2当量)を用い、反応温度を0℃の代わりに20℃とし、かつ反応時間を8時間の代わりに5時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率93%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
<実施例28:グリシンのα−ベンジル化の確認(B12)>
相間移動触媒として、実施例5で得られたキラルアンモニウム塩((S)−4a)の代わりに、実施例10で得られたキラルアンモニウム塩((S)−5)(0.1モル%)を用い、上記式R18−Wで表される化合物としてヨウ化エチルの代わりに、ベンジルブロミド(1.5当量)を用い、反応温度を0℃の代わりに20℃とし、かつ反応時間を8時間の代わりに12時間としたこと以外は、実施例17と同様にして、化合物(21)を得た(収率94%)。本実施例で得られた化合物(21)の光学純度を表12に示す。
Claims (25)
- 以下の式(I)で表される、化合物:
ここで、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R7およびR8はそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8は一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基
からなる群より選択される基である)
からなる群より選択される二価の基を表し、そして
X−は、ハロゲン化物アニオン、SCN−、HSO4 −、HF2 −、CF3SO3 −、CH3−C6H4−SO3 −、およびCH3SO3 −からなる群より選択されるアニオンである。 - 前記式(I)で表される化合物のR2およびR2’がともに水素原子である、請求項1に記載の化合物。
- 前記式(I)で表される化合物のR2およびR2’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である、請求項1に記載の化合物。 - 前記式(I)で表される化合物のR4およびR4’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である、請求項1に記載の化合物。 - 請求項1に記載の、式(I)で表される化合物を製造するための方法であって、以下の式(II):
で表される化合物を、有機溶媒中、酸捕捉剤の存在下にて、
以下の式(III):
で表される2級アミンと反応させる工程、を包含し、
ここで、式(II)において、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、そして
Zはハロゲン原子であり、
そして式(III)において、
R7およびR8はそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8は一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される基である)
からなる群より選択される二価の基を表す、方法。 - 前記式(II)で表される化合物のR2およびR2’がともに水素原子である、請求項5に記載の方法。
- 前記式(II)で表される化合物のR2およびR2’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である、請求項5に記載の方法。 - 前記式(II)で表される化合物のR4およびR4’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である、請求項5に記載の方法。 - 以下の式(II)で表される化合物:
ここで、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、そして
Zはハロゲン原子である。 - 式(VI)で表される化合物:
を立体選択的に製造するための方法であって、
軸不斉に関して純粋な式(I):
で表される化合物を相間移動触媒として用い、式(IV)で表される化合物:
を、媒体中、無機塩基の存在下、式(V)の化合物:
でアルキル化する工程、を包含し、
ここで、式(I)において、
R2およびR2’は、それぞれ独立して、
水素原子;あるいは
アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、
R3およびR3’は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子および/またはアリール基で置換されていてもよく、および/または分岐または環を形成していてもよい、C1〜C5アルコキシ基であり、
R4およびR4’は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)ハロゲン原子;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C6のアルキル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(v)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(vi)アラルキル基であって、ここで、該アラルキル基を構成するアリール部分が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vii)アリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R7およびR8はそれぞれ独立して一価の有機基であるか、あるいは
R7およびR8は一緒になって二価の有機基を表し、そして
X−はハロゲン化物アニオンであり、
式(IV)および式(VI)において、
R14およびR15は、それぞれ独立して、
(i)水素原子;あるいは
(ii)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;であり、ただしR14およびR15がともに水素原子である場合を除き、
R16は、
(i)水素原子;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基であって、該アルキル基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
で置換されていてもよい、アルキル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(iv)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(v)アラルキル基であって、該アラルキル基を構成するアリール部分が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;
(vi)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であり、
R17は、分岐または環を形成していてもよいC1〜C8アルキル基であり、
式(V)および式(VI)において、
R18は、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基であって、該アルキル基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
で置換されていてもよい、アルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C6のアルキニル基;
(iv)アラルキル基であって、該アラルキル基を構成するアリール部分が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アラルキル基;ならびに
(v)分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C3〜C9のプロパルギル基または置換プロパルギル基;
からなる群より選択される基であり、
式(V)において、
Wは、脱離能を有する官能基であり、
そして式(VI)において
*は、新たに生成する不斉中心を示す、方法。 - 前記式(I)で表される化合物のR7およびR8がそれぞれ独立して、
(i)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C30のアルキル基;
(ii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルケニル基;
(iii)分岐または環を形成していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C12のアルキニル基;
(iv)アリール基であって、該アリール基が
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;
からなる群より選択される基であるか、あるいは、
R7およびR8が一緒になって、−(CH2)m−(ここで、mは2から8の整数である);
(ここで、R27、R28、R29、R32、R33およびR34はそれぞれ独立して、
水素原子;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C1〜C8アルキル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルケニル基;
分岐または環を形成していてもよく、および/またはハロゲン原子で置換されていてもよい、C2〜C8アルキニル基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール基;
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基か、シアノ基か、ハロゲン原子か、ニトロ基か、−NR30R31(ここで、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素原子か、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基かである)か、あるいはC2〜C8アルキレン基で環を構成してなる環状アミノ基か、で置換されていてもよい、アリール部分を有する、アラルキル基;
からなる群より選択される基である)
からなる群より選択される二価の基を表す、請求項11に記載の方法。 - 前記式(I)で表される化合物のR2およびR2’がともに水素原子である、請求項12に記載の方法。
- 前記式(I)で表される化合物のR2およびR2’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である、請求項12に記載の方法。 - 前記式(I)で表される化合物のR4およびR4’がともにアリール基であって、ここで、該アリール基が、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、
分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシ基、
ハロゲン原子、または分岐していてもよくかつハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、アリール基、および
ハロゲン原子
からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい、アリール基;である、請求項12に記載の方法。 - 前記無機塩基が無機塩基水溶液の形態で用いられる、請求項11から15のいずれかに記載の方法。
- 前記式(IV)で表される化合物1当量に対し、前記無機塩基水溶液中の前記無機塩基が0.5当量以上かつ280当量以下の割合で使用される、請求項16に記載の方法。
- 前記無機塩基水溶液の濃度が10w/w%から70w/w%である、請求項17に記載の方法。
- 前記式(IV)で表される化合物1モルに対し、前記式(I)で表される化合物が、0.0001モル%から5モル%の割合で使用される、請求項17または18に記載の方法。
- 前記媒体と前記無機塩基水溶液との容積比が、7:1から1:5である、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
- 前記媒体と前記無機塩基水溶液との容積比が、7:1から1:5である、請求項16に記載の方法。
- 前記無機塩基水溶液の濃度が10w/w%から70w/w%である、請求項21に記載の方法。
- 前記式(IV)で表される化合物1モルに対し、前記式(I)で表される化合物が、0.0001モル%から5モル%の割合で使用される、請求項21または22に記載の方法。
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