JPWO2008023489A1 - スクエア酸誘導体化合物、及び該化合物を含むタンパク質検出用試薬、並びに該試薬を用いたタンパク質の検出方法 - Google Patents

スクエア酸誘導体化合物、及び該化合物を含むタンパク質検出用試薬、並びに該試薬を用いたタンパク質の検出方法 Download PDF

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    • G01N33/5308Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for analytes not provided for elsewhere, e.g. nucleic acids, uric acid, worms, mites

Abstract

本発明は、ペプチド又はタンパク質を高感度かつ簡便に検出することができる試薬として有用な新規スクエア酸誘導体を提供すること、及び該化合物を含むタンパク質検出用試薬、並びに該試薬を用いた効率的かつ網羅的にペプチド濃度又はタンパク質濃度を測定する方法を提供すること、を目的とする。本発明では、下記式(I)で表される構造を有する新規化合物を、タンパク質分析用試薬として使用する。【化1】(式中、R1及びR2は互いに独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表し;m1及びm2は1〜3の整数;n1=5−m1、n2=5−m2の整数である。)

Description

本発明は、新規なスクエア酸誘導体化合物、及び該化合物を含むタンパク質検出用試薬、並びに該試薬を用いたタンパク質の検出方法に関する。
体内のタンパク質を網羅的に調べて病気の状態や原因を探るプロテオーム研究の進展に伴って、癌マーカータンパク質のように疾患の目印となるタンパク質を決定しようとする研究が急速に加速している。とりわけ、タンパク質表面の分子認識、タンパク質表面間の分子認識は、生命現象における共通の言語と考えられ、細胞外からの情報の多くは、細胞膜や細胞内部でのタンパク質表面を介した相互作用によって、増幅し伝達される。近年、DNAチップ技術の向上により、RNAの発現を網羅的に解析するトランスクリプトーム解析が盛んに行われている。しかしながら、このRNA発現プロファイルとタンパク質の発現プロファイルは必ずしも一致するわけでなく、その相関は50%以下であると言われている。そこで、RNAの網羅的解析に加え、タンパク質の網羅的解析が重要となり、最近、著しく発達している二次元電気泳動法や質量分析計、さらにはプロテインチップのようなゲノム解析に匹敵するハイスループット分析を駆使して、タンパク質の機能を明らかにしようとしている。今後、その成果を医療や健康管理の現場で役立てるためには、疾患のマーカーとなるタンパク質を、簡便かつ迅速に分析する技術を確立しておくことが重要となってくる。
試料中のタンパク質を定量する代表的な方法として、(i)吸光光度法、(ii)Biuret試薬を用いたBiuret法、(iii)フェノール試薬とBiuret法を組み合わせたLowry法、(iv)Bradford法が挙げられる。以下にそれぞれの方法の原理、長所、及び短所について記す。
(1)吸光光度法
この方法の原理は、タンパク質中のチロシンやトリプトファンに起因する280nm付近の吸収帯を利用してタンパク質濃度を算出するものである。タンパク質の種類によってチロシンやトリプトファンの含量が異なるので280nmにおける吸光度は変動するが、通常1mg/mlの濃度の時A280nmは1.0として計算できる。この方法の長所は、操作が簡便であり、測定後サンプルの回収が可能であることである。また短所は、タンパク質の種類により吸光度が変動すること、また280nmに吸収を持たないタンパク質(コラーゲン、ゼラチンなど)は測定できないこと、さらに紫外部に吸収を持つ物質の混入は定量を妨害することなどである(非特許文献1)。
(2)Biuret法
この方法の原理は、タンパク質をアルカリ性条件下でCu2+溶液と反応させると、Cu2+がポリペプチド鎖中の窒素原子と配位結合して赤色に発色する現象を利用して、540nmにおける吸光度を測定するものである。この方法の長所は、タンパク質の違いによる発色率の差が少なく、操作が簡単であることである。また短所は、感度が低く、低濃度試料には向かないことである(非特許文献1)。
(3)Lowry法
この方法の原理は、リンモリブデン酸とリンタングステン酸を酸性溶液に溶解したフェノール試薬を用いて、タンパク質中のチロシン、トリプトファン及びシステインと反応させることにより、青色を呈色させるものである。この方法では、ペプチド結合に由来する発色効果が強く表れるためBiuret法よりはるかに感度が高い。この方法の長所は、感度が高く、最も一般に使用されていることである。一方短所は、還元反応によって呈色させるため、他の還元物質により発色が妨害されること、操作が煩雑で測定までに時間がかかること、タンパク質によって発色率に差があることなどである(非特許文献2)。
(4)Bradford法
酸性溶液中、トリフェニルメタン系青色色素のクーマシーブリリアントブルーG−250がタンパク質と結合すると、極大吸収波長が465nmから595nmにシフトし、色調が赤紫色から青色に変化することに基づく方法である。この現象を利用してタンパク質を定量する。この方法の長所は、妨害物質の影響を受けにくく、操作が非常に簡単であることである。短所は、タンパク質の種類により発色率に差があり、また界面活性剤の混入により発色が妨害されることである(非特許文献3)。
(5)ELISA法
この方法は、特定のタンパク質とだけ結合する抗体を利用した免疫学的な手法である。この方法の短所は、対象となるタンパク質(抗原)と抗体の結合反応を繰り返す必要があるため、測定に6時間以上かかるなど、迅速に結果を求めることができないことである(非特許文献4)。
一方、蛍光光度法は、種々の化学物質を分析する慣習的な方法である。この方法は、高感度である、試料が少量ですむ、大掛かりな装置、熟練した技術を必要としないといった利点がある。また、比色分析法に至っては、目視で判断が出来るため、試料中のタンパク質を迅速かつ簡易に分析することが出来る。
これまでにも蛍光光度法を利用したタンパク質定量の報告はある。例えば、フルオレサミンは1級アミンと反応すると、495nmに蛍光を発する強い蛍光物質となることを利用した方法や、シアニン系色素を用いた分析が代表的である。しかしながらこれまでの方法は色素とタンパク質を共有結合を介して反応させるため、反応時間が遅い、タンパク質の種類によって反応性が変わる、検量線が直線でない、色素同士の会合による測定誤差、ストークスシフトが小さいといった問題点がある。また、比色分析方法を利用した例として、CBBを用いた分析が代表的である。しかしながら、タンパク質間ごとの測定誤差が大きい、色の変化が明瞭でない、酸性条件下においてのみしか、タンパク質を認識することが出来ない、といった問題点がある(非特許文献5〜8)。さらに、従来の分析試薬は、蛍光分析試薬であれば蛍光分析しか適用できない、あるいは比色分析試薬であれば、比色分析にしか適用できず、一つの分析試薬で両方の分析方法を行うことが出来る試薬は無い。
岡田雅人、宮崎香編:改訂タンパク質実験ノート(上),pp29, 羊土社, 1999 Lowry, O. H. et al. J. Biol. Chem., 193, 265-275 (1951). Bradford, M. M., Anal. Biochem., 72, 248-254 (1976). 生化学辞典(第3版)、東京化学同人、1998. R. P. Haugland, V. L. Singer, L. J. Jones, T. H. Steinberg, U. S. Patent 5616502 (1997). Haugland, R. P. Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, 9th ed.; Molecular Probes Inc.: Leiden, 2002. L. J. Jones, R. P. Haugland, V. L. Singer, Biotechniques, 34, 850 (2003). R. F. Pasternack, C. Fleming, S. Herring, P. J. Collings, J. DePaula, G. DeCastro, E. J. Gibbs, Biophys. J., 79, 550 (2000).
本発明は、上記問題点を解決し、ペプチド又はタンパク質を高感度かつ簡便に検出することができる試薬として有用な新規化合物を提供することを目的とする。また、本発明は効率的かつ網羅的にペプチド濃度又はタンパク質濃度を測定する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、スクエア酸に基づいて合成した新規化合物が色素として有用であり、タンパク質と結合することにより発色変化及び蛍光発光を生じることを発見した。そして、このスクエア酸誘導体を利用してタンパク質を高感度かつ簡便に検出することができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、つぎの1〜7の構成を採用するものである。
1.下記式(I)で表される化合物。
Figure 2008023489
(式中、R1及びR2は互いに独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表し;m1及びm2は1〜3の整数;n1=5−m1、n2=5−m2の整数である。)
2.上記式(I)で表される化合物が、下記式(II)で表される化合物であることを特徴とする1に記載の化合物。
Figure 2008023489
3.請求項1又は2に記載の化合物を含有するタンパク質検出用試薬。
4.試薬が、前記化合物を溶媒に溶解したものであることを特徴とする3に記載のタンパク質検出用試薬。
5.試薬が、前記化合物を担体に固定したものであることを特徴とする3に記載のタンパク質検出用試薬。
6.被検サンプルと3〜5のいずれか1項に記載のタンパク質検出用試薬とを接触させ、該タンパク質検出用試薬の色の変化又は該タンパク質検出用試薬から生じる蛍光を検出することを特徴とする被検サンプル中のタンパク質の検出方法。
7.タンパク質の検出を蛍光光度法、吸光光度法、及び試験紙光電光度法からなる群より選択される方法で行こなうことを特徴とする6に記載の検出方法。
本発明により、タンパク質分析用試薬として有用なスクエア酸誘導体が提供される。この化合物は、タンパク質と混合するだけで瞬時に反応し、蛍光の発光と色変化が同時に生じることから、タンパク質の高感度検出が可能となるばかりでなく、目視定量分析が可能となる。従って、タンパク質の検出を、高価な装置や熟練した技術を必要とせずに、迅速にかつ簡便に行うことが可能となる。
本分析用試薬とタンパク質との複合体形成による蛍光発光及び発色変化の模式図を示す。 分析用試薬に種々の濃度のBSAを添加したときの吸収スペクトルを示す。 BSA添加前後の分析用試薬溶液の色の変化を示す。Aは試薬のみ、Bは試薬+BSAを示す。 600nmにおける吸光度をBSA濃度に対してプロットしたグラフである。 分析用試薬に種々の濃度のBSAを添加したときの、試薬の蛍光スペクトルを示す。 610nmにおける蛍光強度をBSA濃度に対してプロットしたグラフである。 SDS−PAGEによって分離されたタンパク質の染色画像である。Aは本分析用試薬を用いた場合を示し、BはCBB法を用いた場合を示す。
本発明のスクエア酸誘導体は、下記の一般式(I)で表される新規化合物である。
Figure 2008023489
(式中、R1及びR2は互いに独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表し;m1及びm2は1〜3の整数;n1=5−m1、n2=5−m2の整数である。)
上記式(I)で表されるスクエア酸誘導体としては、例えば下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008023489
本発明の式(I)で表されるスクエア酸誘導体は、いわゆるシアニン色素の1種であり、スクエアレート環を含む発色団を有することから色素として有用である。そして、これらの色素化合物は、特にタンパク質検出用試薬として好適に用いられる。
本発明の新規化合物をタンパク質検出用試薬として使用するには、被検サンプルと上記式(I)で表されるスクエア酸誘導体とを接触させ、該スクエア酸誘導体の色の変化又は該スクエア酸誘導体から生じる蛍光を検出する。この検出方法は、例えば蛍光光度法、吸光光度法、試験紙光電光度法などの方法によって行うことができる。
以下、本発明のスクエア酸誘導体を用いたタンパク質検出用試薬について、詳細に説明する。
1.タンパク質分析用試薬
本発明では、一般式(I)で表されるスクエア酸誘導体をタンパク質検出用試薬として使用する。
本発明は、式(I)の構造を有する化合物とタンパク質とを接触させると、それらが疎水性相互作用により複合体を形成することによって発色の変化及び蛍光発光が生じることに基づいている。この色素変化又は蛍光強度を測定することにより、タンパク質の定性分析及び定量分析等を行うことができる。
本発明者は、(i)タンパク質と複合体を形成し、ソルバトクロミズム効果によって蛍光の変化と色調の変化を同時に引き起こす部位として、スクエア酸を選択し、(ii)共役系を伸長し、かつ高いモル吸光係数及び高い蛍光量子収率を促すために、スクエア酸部位にオレフィン基を導入し、オレフィン基の先に、フェニル基を導入し、(iii)さらに水溶性を付与するため、かつ電子を供与するために水酸基を選択することによって、上記式(I)の構造を設計した。
なお、ソルバトクロミズム効果とは、通常は溶液状態において溶媒の種類の変化によりスペクトルが変化する現象を指すが、本発明においては、液相に限らず、遊離状態からタンパク質との結合状態への、色素分子の周囲に存在する環境の変化によってスペクトルが変化することも意味する。
式(I)で表される構造を有する化合物の好適な具体例としては、上記の式(II)で表される化合物が挙げられる。
これらのスクエア酸誘導体は、式(I)の構造を有することによって、疎水性相互作用によってタンパク質と結合し、複合体を形成することができる。したがって、タンパク質検出用試薬として好適に用いられる。
本発明のタンパク質分析用試薬は、図1に示すように、式(I)の構造を有することによって、遊離状態における呈色と他の物質との結合状態における呈色とに変化が生ずる。色の変化については、色素分子のπ電子軌道のエネルギー準位が、タンパク質の疎水場に入り込むことによって安定化し、光の吸収波長が長波長側に移動するためと考えられる。式(I)で示した構造は、タンパク質との結合によって、例えば、黄色→緑色、黄色→赤色、緑色→青色といった色調の変化が生じると考えられる。また、タンパク質分析用試薬は、図1に示すように、遊離状態においては無蛍光であるが、他の物質との結合状態では蛍光を発する。蛍光の発光については、色素がタンパク質の疎水場に入ることによって、蛍光量子収率が増加するため考えられる。
例えば式(II)で表される化合物は、遊離状態において赤色を呈色し、無蛍光であるが、タンパク質と複合体形成した際には、青色を呈色し、蛍光を発する。
式(I)の構造を有する化合物は、例えば、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオンと相当する芳香族化合物をトルエン−n−ブタノール混合溶媒に溶解後、アルゴン雰囲気下、24時間、還流を行うことによって合成することができる(例えば、K. T. Arun and D. Ramaiah, J. Phys. Chem. A, 109, 5571-5578 (2005)参照)。溶媒を減圧留去後、再結晶、最沈殿、あるいはカラムクロマトグラフィーなどの操作を用いて、精製を行う。
例えば、式(II)で表される化合物は、フェノールとスクエア酸とを適当な溶媒中で反応させることにより生成することができる。
2.タンパク質の検出方法
本発明のタンパク質検出用試薬は、タンパク質と疎水性相互作用により複合体を形成し、ソルバトクロミズム効果によって発色の変化及び蛍光発光を生じる。従って、本分析用試薬とタンパク質を含む可能性のあるサンプルとを接触させ、生じる発色の変化又は蛍光を検出することによって、サンプル中のタンパク質を検出することができる。本分析用試薬とタンパク質との反応は、モル吸光係数と蛍光量子収率が高いため、極微量のタンパク質でも検出することができる。本発明において、タンパク質の「検出」とは、サンプルにおけるタンパク質の存在の有無を検出することだけではなく、タンパク質を定量的に検出することも含む。
本分析用試薬を用いて分析の対象となるタンパク質は、連結した複数のアミノ酸を含み、疎水性相互作用によって本分析用試薬と結合可能な化合物であれば特に限定されるものではない。分析対象のタンパク質としては、例えば、ペプチド、タンパク質、タンパク質複合体(例:糖タンパク質、タンパク質−核酸複合体、標識タンパク質)などが挙げられる。
またサンプルとしては、タンパク質を含有することが疑われるサンプルであれば特に限定されるものではなく、液体サンプル又は固体サンプルのいずれでもよい。具体的には、例えばタンパク質を含有する可能性のある溶液、タンパク質を電気泳動したゲル、タンパク質を移した膜(PVDF膜など)、細胞又は組織、糞尿、血液などが挙げられる。
使用する本分析用試薬は、適当な溶媒(NaCl溶液、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、MES緩衝液、メタノール、エタノール、DMSOなど)に溶解させて使用してもよいし、又は適当な担体(膜、試験紙など)に固定して使用してもよい。
タンパク質の検出は、典型的には、サンプルを本分析用試薬と接触させ、分析用試薬の発色の変化及び/又は蛍光発光を検出することを含む。本発明において「接触」とは、サンプル中に存在するタンパク質と本分析用試薬とが複合体を形成することができるように近接する状態にすることを意味する。例えば、液体サンプルと本分析用試薬の溶液とを混合すること、本分析用試薬を固定した担体(膜、試験紙など)に液体サンプルを浸潤させること、固体サンプルに対して本分析用試薬を塗布すること、本分析用試薬に固体サンプルを浸漬することなどの操作が含まれる。
サンプルと本分析用試薬とを接触させる条件は、使用するサンプルの種類及び量、接触形態などを考慮して当業者であれば適宜選択することができる。例えばサンプル中に含まれるタンパク質量が0〜1000μg/mL程度であると推定される場合には、10〜100μM、好ましくは15〜80μM(例えば約20〜30μM)の本分析用試薬を使用する。また接触は、室温(約20〜30℃)で、約1〜30分、好ましくは約1〜15分行う。
サンプルと本分析用試薬とを接触させた後、当技術分野で公知の方法を用いて分析用試薬の発色の変化及び/又は蛍光発光を検出する。発色の変化は、例えば目視観察、吸光光度法(分光光度計、プレートリーダーなどを用いる)、反射スペクトル分析法などによって検出することができる。また蛍光発光は、例えば蛍光光度法(蛍光光度計、蛍光プレートリーダー、蛍光スキャナーなどを用いる)などによって検出することができる。
反応後は、例えば加熱操作、溶媒のアルカリ性化(例えばpH10以上とする)などによって、結合した本分析用試薬とタンパク質とを脱離することができる。
本発明に係るタンパク質の検出方法は、タンパク質を高感度、迅速に、かつ複雑な機器を用いることなく検出することが可能である。また本分析用試薬は、特定のタンパク質と一定割合で結合するため、検量線を作成することによって簡便に定量することが可能である。さらに本分析用試薬は、特定のタンパク質と特異的に結合する抗体などとは異なり、あらゆるタンパク質と結合することができることから、複数種のタンパク質を網羅的に分析することが可能である。従って、本検出方法は、生化学、医療、分析化学の分野において有用である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例においては、タンパク質分析用試薬(色素)として用いるためのスクエア酸誘導体を合成した。この色素の合成は、下記反応式に従って行った。
Figure 2008023489
具体的には、50ml三口フラスコに、フェノール(0.2g,1.7mmol)、スクエア酸(0.1g,0.9mmol)、n−ブタノール:トルエン=1:3v/vの混合溶媒40mLを加え、アルゴン気流下、24時間還流した。溶媒を減圧留去後、大型薄層クロマトグラフィー(SiO2,アセトン:AcOEt=1:1v/v)で精製し、褐色固体を得た。
収率55%
1H-NMR (400 MHz, Acetone-d6, TMS, r.t., d/ppm) 5.5〜5.8 (m, 4H)。
ESI(+) [M+Na]=353
(実施例2)
本実施例では、実施例1で合成した色素の特性評価(吸収スペクトル測定)を行った。
吸収スペクトル測定は、下記条件にて、吸光光度計((株)島津製作所製UV−1650PC)を用いて行った:
濃度:[色素]=25μM
[BSA]=0〜1000μg/mL
溶媒:0.9%NaCl水溶液
測定温度:25℃
濃度0,60,120,250,500,1000(μg/mL)のBSAを添加した時の、色素の吸収スペクトルを下から順に図2に示す。BSAの濃度の増加と共に、吸光度が増加した。さらに極大蛍光波長はBSAの濃度の増加と共に、530nmから600nmへシフトした。この極大吸収波長の大きなシフトによって、色素の溶液の色は、図3に示したように、BSAの添加前(A)と後(B)で、赤色から青色へと変化した。
600nmにおける吸光度をBSA濃度に対してプロットした結果を、図4に示す。600nmにおける吸光度とBSAの濃度との間には、下記の式で表される良好な直線関係が得られた。
y=0.0004x+0.0101
=0.997
(実施例3)
本実施例では、実施例1で合成した色素の特性評価(蛍光スペクトル測定)を行った。
蛍光スペクトル測定は、下記条件にて、蛍光光度計(日本分光(株)製FP−6500)を用いて行った:
濃度:[色素]=25μM
[BSA]=0〜1000μg/mL
溶媒:0.9%NaCl水溶液
測定温度:25℃
励起波長:595nm
色素に濃度0,60,120,250,500,1000(μg/mL)のBSAを添加したときの蛍光スペクトル変化を測定した結果を、図5に下から順に示した。図5に示したように、BSA濃度の増加に伴い、蛍光強度の増加が観察された。BSAを1000μg/mL添加した時の蛍光強度は、色素単独の蛍光強度と比較して、約4500倍増加した。
色素にBSAを添加した時の610nmにおける蛍光強度をBSA濃度に対してプロットしたところ、図6に示したように、良好な直線関係が得られた。また検出限界は100ng/mLであり、Bradfold法よりも約20倍感度が良いことが分かった。
(実施例4)
本実施例では、実施例1で合成した色素の特性評価(電気泳動実験)を行った。
電気泳動実験は、下記条件にて行った:
濃度:[色素]=0.1mg/mL(30%EtOH中)
[BSA]=0〜5μg/ウエル
固定化液及び洗浄液;HO:MeOH:AcOH=87:10:3v/v
電気泳動(SDS−PAGE)システム:Sureblot F1 Gel System
電気泳動終了後、ゲルを取り出し、固定化液中で30分間洗浄した。その後、染色液中で30分間、ゲルを浸した後、洗浄液中で30分間洗浄した。
結果を図7のAに示す。電気泳動によって泳動されたゲル中のタンパク質は、分析用試薬と複合体を形成することによって、図7のAに示したような、赤色のバンドが観察された。
さらに、現在、市販されている電気泳動のタンパク質染色剤であるCBB法(Bradford法)(図7のB)と比較したところ、CBBよりも検出感度が高いことが明らかとなった。
本発明により、タンパク質分析用試薬として有用な新規スクエア酸誘導体が提供される。この化合物を含有するタンパク質分析用試薬は、タンパク質と混合するだけで瞬時に反応し、蛍光の発光と色変化が同時に生じることから、タンパク質の高感度検出が可能となるばかりでなく、目視定量分析が可能となる。従って、タンパク質の検出を、高価な装置や熟練した技術を必要とせずに、迅速にかつ簡便に行うことが可能となる。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される化合物。
    Figure 2008023489
    (式中、R1及びR2は互いに独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表し;m1及びm2は1〜3の整数;n1=5−m1、n2=5−m2の整数である。)
  2. 上記式(I)で表される化合物が、下記式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
    Figure 2008023489
  3. 請求項1又は2に記載の化合物を含有するタンパク質検出用試薬。
  4. 試薬が、前記化合物を溶媒に溶解したものであることを特徴とする請求項3に記載のタンパク質検出用試薬。
  5. 試薬が、前記化合物を担体に固定したものであることを特徴とする請求項3に記載のタンパク質検出用試薬。
  6. 被検サンプルと請求項3〜5のいずれか1項に記載のタンパク質検出用試薬とを接触させ、該タンパク質検出用試薬の色の変化又は該タンパク質検出用試薬から生じる蛍光を検出することを特徴とする被検サンプル中のタンパク質の検出方法。
  7. タンパク質の検出を蛍光光度法、吸光光度法、及び試験紙光電光度法からなる群より選択される方法で行こなうことを特徴とする請求項6に記載の検出方法。
JP2008530824A 2006-08-21 2007-06-01 スクエア酸誘導体化合物、及び該化合物を含むタンパク質検出用試薬、並びに該試薬を用いたタンパク質の検出方法 Pending JPWO2008023489A1 (ja)

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