JPWO2008016039A1 - 妊娠促進剤 - Google Patents

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Abstract

ヒトの胚盤胞移植をベースとし,それによる妊娠の確率を向上させるための手段が開示されている。当該手段は,ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養して得られる培養物の培養上清を含有してなる,胚盤胞移植における妊娠促進剤を含む。当該薬剤の製造方法,及び,ヒトにおける妊娠促進のための方法であって,ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養し,当該培養物の上清を含む組成物を,胚盤胞移植を受けることになっているヒト患者の子宮腔内に注射し,次いで当該患者に胚盤胞を移植することを含むものである方法も,開示されている。

Description

本発明は,ヒトの胚盤胞移植による不妊治療において,妊娠を促進させる組成物及びその製造方法に関する。
ヒトの不妊症は,全カップルの10%程度に見られると言われている。このため不妊治療の需要は大きく,現在では広く行われている。不妊治療として行われているうち,精子や卵を直接取り扱うものは,人工授精及び体外受精である。人工授精は,カテーテル等の器具により,精子を子宮頸部近くの膣内または直接子宮内や卵管に注入することによって受精を促す技術であり,精子が卵子と遭遇するに至るまでに存在する諸々の障害を回避することによって,受精の確率を高めることを目的とするものである。これに対し,体外受精は,患者に排卵誘発剤を投与して産生させた卵を体内から採取し,試験管内で精子と混ぜ合わせることで受精させ(媒精),受精卵を培養し,通常,培養2日目又は3日目に,4分割又は8分割の胚をカテーテルで,一般には子宮腔内に移植する技術である。移植された胚が着床し易いように,通常は,子宮内膜を整えるための黄体ホルモン補充が行われる。
着床前胚は,母体に自らの存在について母体に信号を発するために,発生時に数種の因子を産生する。例えばインターロイキン−1(IL−1)は,母体の子宮内膜と胚の間での情報交換を調節する主要な因子であり,完全なIL−1系が,ヒト胚において発生の全ての段階で検出される(非特許文献1参照)。他の胚由来因子であるヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)は,2細胞期胚で既にその遺伝子が転写されている(非特許文献2参照)。またこれらの因子を含む情報交換に関連する数種の胚由来因子が,インビトロ(試験管内)において胚を培養したとき細胞外へ放出されることが観察されている。すなわち,子宮内膜の受容力を調節する数種の胚由来因子が,胚の培養上清中に検出される(非特許文献3〜9参照)。インビボ(生体内)でも,卵管において発生している胚が,子宮内膜の分化を誘導することが知られている(非特許文献10参照)。これらのこと全てが,胚の発生初期段階において,胚と子宮内膜との間で,胚が産生する因子を介して情報交換が行われていることを示している。事実,子宮腔内の着床前胚のみならず,卵管内の初期胚もまた,着床を胚そのものが制御できるように,子宮内膜の分子を調節することができることが明らかにされている(非特許文献10参照)。
近年,体外受精の一形態である胚盤胞移植が,ヒトの不妊治療における着床の確率を改善する方法として提唱され,臨床上行われている(非特許文献11〜13参照)。この移植技術は,上記の体外受精後の胚を5日目〜6日目まで培養し,それにより胚盤胞にまで成育させたものを子宮腔内に注入する。胚盤胞移植では,子宮内膜と胚の発生段階との生理的同期化ができること,また長期間の体外培養により着床能の高い胚を選択することが比較的容易になること等により,初期胚移植に比して着床の確率が高くなる(非特許文献14及び15参照)。着床に至るまでの日数が,2〜3日培養の胚では4〜5日であるのに比して胚盤胞移植では,1日と短く,子宮外への胚の流失のリスクが低下することも,着床に有利である。しかしそれでも,ヒトの胚盤胞移植における妊娠率は,36.4%程度に留まっているのが現状である。胚盤胞移植における着床の不成功は,胚盤胞が透明帯から孵化できなかったためか,あるいは移植された胚盤胞の発生が子宮腔内において停止したこと等によるものと考えられている。このように,現在行われている胚盤胞移植によっても妊娠に至らないケースが多いことから,妊娠の確率を高める更なる手段が求められている。
De los Santos MJ, Anderson DJ, Racowsky C, Simon C, and Hill JA(1998) Biol Reprod.59,1419-1424 Jurisicova A, Antenos M, Kapasi K, Meriano J, and Casper RF(1999)Hum Reprod.14,1852-1858 Tazuke SI, and Giudice LC,(1996)Semin Reprod Endocrinol.14,231-245 Simon C, Gimeno MJ, Mercader A, O‘Connor JE, Remohi J, Polan ML,and Pellicer A(1997)J Clin Endocrinol Metab.82,2607-2616 Giudice LC(1995) Semin Reprod Endocrinol.13,93-101 Sheth KV, Roca GL, al-Sedairy ST, Parhar RS, Hamilton CJ, and al-Abdul Jabbar F(1991)Fertil Steril.55,952-957 Baranao RI, Piazza A, Rumi LS, and Polak de Fried E(1997)Am J Reprod Immunol.37,191-194 Licht P, Russu V, and Wildt L(2001)Semin Reprod Med.19,37-47 Perrier d‘Hauterive S, Charlet-Renard C, Berndt S, Dubois M, Munaut C, Goffin F, et. al.(2004)Hum Reprod.19,2633-2643 Wakuda K, Takakura K, Nakanishi K, Kita N, Shi H, Hirose M, and Noda Y(1999)J Reprod Fertil.115,315-324 Gardner DK, Schoolcraft WB, Wagley L, Schlenker T, Stevens J, and Hesla JA(1998)Hum Reprod.13,3434-3440 Scholtes MC, and Zeilmaker GH(1998)Fertil Steril.69,78-83 Milki AA, Fisch JD, and Behr B(1999)Fertil Steril.72,225-228 Gardner DK, Vella P, Lane M, Wagley L, Schlenker T, and Schoolcraft WB(1998)Fertil Steril.69,84-88 Edwards RG, and Beard HK(1999)Hum Reprod.14,1-4
本発明の目的は,現時点において,36.4%程度に留まっているヒトの胚盤胞移植をベースとし,それによる妊娠の確率を向上させるための手段を提供することである。
本発明者は,胚盤胞移植が不成功に終わる一要因として,初期胚から胚盤胞までの発生段階における,子宮内膜と胚との間の情報交換の欠落があるものと想定した。この情報交換の欠落は,子宮内膜の胚受容能を十分に調節できない原因となり得る。このことから,本発明者は,ヒトの胚盤胞移植における着床および妊娠の確率を高めるため,胚そのものによる子宮内膜の受容能の調節に着目し,検討を行った。すなわちヒトの胚の培養上清を予め受け手の子宮腔に注入した上で,胚盤胞移植を試みたところ,本発明者は,これまでの胚盤胞移植に比して顕著に高い確率で着床及び妊娠が得られることを見出した。胚の培養上清を子宮に予め注入することにより胚盤胞移植における着床及び妊娠の確率を高められることについてはこれまで報告がなく,本発明は,この知見に基づき更に検討の結果完成させたものである。
すなわち本発明は,以下を提供する。
1.ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養して得られる培養物の培養上清を含有してなる,胚盤胞移植における妊娠促進剤。
2.該培養上清が,その中でヒト胚が少なくとも2日間培養された培地から得られるものである,上記1の妊娠促進剤。
3.培養がヒト胚1個当たり10〜100μlの培地中で行われるものである,上記1又は2の妊娠促進剤。
4.少なくともヒト胚0.3個分の培養上清を含んでなるものである,上記1ないし3の妊娠促進剤。
5.該培地が無血清培地である,上記1ないし4の何れかの妊娠促進剤。
6.ヒト胚を培地中で培養して胚盤胞を形成させるステップと,胚盤胞を形成している培養液の上清を採取するステップとを含んでなる,胚盤胞移植における妊娠促進剤の製造方法。
7.該培養が少なくとも2日間行われるものである,上記6の妊娠促進剤の製造方法。

8.培養がヒト胚1個当たり10〜100μlの培地中で行われるものである,上記6又は7の妊娠促進剤の製造方法。
9.少なくともヒト胚0.3個分の培養上清を採取するものである,上記6ないし8の何れかの妊娠促進剤の製造方法。
10.該培地が無血清培地である,上記6ないし9の何れかの妊娠促進剤の製造方法。
11.ヒトにおいて妊娠を促進するための方法であって,
ヒト胚を培地中で,該ヒト胚が胚盤胞に発生するまで培養するステップと,
該培養物の上清を含む組成物を,胚盤胞移植を受けることになっているヒト患者の子宮腔内に注射するステップと,そして
1個又は2個以上の胚盤胞を該患者の子宮腔内に移植するステップと
を含んでなる方法。
12.該培養が少なくとも2日間行われるものである,上記12の方法。
13.該培養が,ヒト胚1個当たり10〜100μLの培地中で行われるものである,上記11又は12の方法。
14.該組成物が,少なくともヒト胚0.3個分の培養上清を含むものである,上記11ないし13の何れかの方法。
15.該培地が無血清培地である,上記11ないし14の何れかの方法。
16.該組成物の注射が胚盤胞移植の1〜5日前に行われるものである,上記11ないし15の何れかの方法。
上記本発明による妊娠促進剤は,胚の受け手となるヒトの子宮内に胚盤胞を移植するに先立って子宮腔に注入しておくことにより,移植された胚盤胞の着床及び妊娠の確率を,現行の胚盤胞移植の場合に比して,著しく高めることができる。
本発明者は,本発明による胚盤胞移植での着床及び妊娠の確率の著しい増大が,胚の培養上清に胚から分泌された,子宮内膜の受容能を調節する胚由来因子が存在し,その投与により子宮内膜が刺激され,胚盤胞の移植に最適な環境が与えられることによってもたらされるものであろうと考える。本発明は,従って,これまでの胚盤胞移植で欠落している,初期胚から胚盤胞までの発生段階における子宮内膜と胚との間の情報伝達を,胚盤胞移植に先立って培養液中の胚由来因子によって補うことにより,着床及び妊娠の確率を増大させるものである。
本発明の妊娠促進剤は,ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養して得られる培養上清を含んでなる組成物(例えば,培養上清それ自体)である。採取する培養上清は,好ましくは採取まで少なくとも2日間,より好ましくは少なくとも3日間の培養に用いられたものである。用いる培地は,胚盤胞移植における慣用のものの何れでもよく,プリオンその他の感染性因子の混入の可能性を遮断することを考慮すれば,無血清培地が好ましい。そのような好ましい無血清培地としては,現在例えば,BlastAssist System 培地1及び2,特に,胚盤胞までの約3日間の培養に好適に用いられるBlastAssist System 培地2(MediCult社, Jyllinge, Denmark)が挙げられる。
上記におけるヒト胚の培養は,胚盤胞に十分量の培地を提供する必要性と,培養液からの胚盤胞の採取の便宜とを考慮して,ヒト胚1個当たり10〜100μlの培地中で行うことが好ましく,10〜60μlの培地中で行うことがより好ましい。
胚盤胞までに発生したヒト胚の培養上清のうち,少なくとも胚0.3個分の培養上清が含有されていることが好ましい。すなわち,例えば,胚1個を50μlの培地中で胚盤胞の発生まで培養した場合,培地から採取した少なくとも15μl(すなわち,50μl×0.3)の液量の上清が,本発明の組成物に含まれることが好ましい。尤も,より少量の単位として分割して保管し,使用時(患者への注入時)に複数単位を合わせて用いることもできるから,その場合には,必ずしも単位投与量の組成物中に胚0.3個分の培養上清が含まれなくともよい。
採取した培養上清は,そのまま用いても,また凍結保存しておき使用時に解凍して用いてもよい。また薬剤学的に不活性な希釈剤(例えば,滅菌精製水,又は実施例の部に記載のBlastAssist System 培地2に含有されるヒト血漿アルブミン,グルコース、塩化ナトリウム等の成分を含有する水溶液)を加えて,取り扱いやすい液量,例えば0.2ml又は0.5ml等へと希釈し増量することもできる。
本発明の妊娠促進剤は,胚盤胞移植において,妊娠及び着床の確率を高めるため,胚盤胞を受け手の子宮内に移植するに先立って,受け手の子宮腔に注入される。胚盤胞の受け手は,その胚の元となった卵子の提供者本人である場合が主であるが第三者であることもでき,従ってまた,本発明の妊娠促進剤の注入を受けるのも,胚の元となった卵の提供者でもよく,第三者でもよい。また,多数の胚の培養により得られた上清を,例えば個別に,冷凍保存しておき,他の受け手への別の胚盤胞の移植において,移植に先立って解凍したものを受け手の子宮腔内に注入してもよい。
本発明の妊娠促進剤は,好ましくは,患者に胚盤胞を移植する1〜5日前,より好ましくは2〜4日前に,患者の子宮腔内に注入される。注入は1回(例えば,3日前に1回)でもよく,また複数回の注入を隔日若しくは毎日行ってもよい。
本発明はまた,ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養し,その培養上清を含んでなる上記組成物(例えば,培養上清それ自体)を,胚盤胞の移植を受けるヒトの子宮腔に注入し,その後に胚盤胞を移植することを含む,妊娠促進方法をも提供する。ここにおいて,当該組成物の注入は,胚盤胞の移植の好ましくは1〜5日前,より好ましくは2〜4日前,特に好ましくは3日前に行われる。
本発明はまた,ヒトにおける妊娠促進のための方法であって,ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養し,当該培養物の上清を含む組成物(例えば,当該培養上清それ自体)を,胚盤胞移植を受けることになっているヒト患者の子宮腔内に注射し,次いで当該患者の子宮腔内に胚盤胞を移植することを含むものである方法をも提供する。ここに,本組成物の注射は,胚盤胞移植の1〜5日前,より好ましくは2〜4日前,そして特に好ましくは3日前に行われる。
本発明の妊娠促進剤は,胚盤胞の移植に先立って受け手の子宮腔に注入しておくことにより,胚盤胞移植における着床及び妊娠の確率を著しく向上させることができる。
以下,実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが,本発明が実施例に限定されることは意図しない。
〔試験プロトコール〕
22名の患者を登録した。これらの患者は,2005年1月から2006年4月までの間にエストロゲンとプロゲステロンによるホルモン補充療法(HRT)下に,凍結融解された胚盤胞の移植を受けた。この試験における対象患者の基準は、年齢が32歳以上であり、胚盤胞移植または二段階(連続した2回の)胚移植を過去に1回以上不成功の治療歴を有し、かつ、採卵周期の2日目に初期胚に発生した胚を少なくとも4個以上有することであった。
前治療サイクルとして、患者はロングプロトコールによる措置を施された。すなわち、治療前周期の高温期の7日目からゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト600μgを使用開始し、月経3日目から,次席卵胞の直径が18mmになるまで連日卵胞刺激ホルモン(FSH製剤またはHMG製剤)による卵巣刺激を受けた。次席卵胞の直径が18mmを超えたとき,排卵を促した。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)5000単位を筋肉注射しその36時間後に,超音波検査法を頼りに経膣的に採卵した。卵胞の計測は,超音波スキャニング(Mitsubishi RDF173H)により行った。
回収卵子は媒精法、または卵細胞質内精子注入法により受精させた。受精卵を、BlastAssist System 培地1〔合成血漿代替物 (SSR),ヒト血漿アルブミン,グルコース,ピルビン酸ナトリウム,乳酸塩,硫酸カリウム,硫酸マグネシウム,塩化ナトリウム,リン酸水素ナトリウム,非必須アミノ酸,L−グルタミン,タウリン,重炭酸ナトリウム,HEPES,ストレプトマイシン 50mg/L,ペニシリン 50,000 IU/L,及びフェノールレッドを含有;MediCult社, Jyllinge, Denmark〕の小滴50μl中で培養し,2日目に初期胚を得た。次いで、得られた初期胚の1〜4個をミネラルオイル(Oil Embryo Culture, Irvine Scientific Santa Ana California USA)の被膜下で、BlastAssist System培地2〔合成血漿代替物 (SSR),ヒト血漿アルブミン,グルコース,ピルビン酸ナトリウム,乳酸,硫酸カリウム,硫酸マグネシウム,塩化ナトリウム,リン酸水素ナトリウム,必須アミノ酸,非必須アミノ酸,L−グルタミン,重炭酸ナトリウム,ストレプトマイシン 50mg/L,ペニシリン 50,000 IU/L,及びフェノールレッドを含有;MediCult社, Jyllinge, Denmark〕の小滴50μl中で,すなわち胚1個当たりの培地量12.5〜50μlで,更に3日、合わせて5日目まで培養し胚盤胞を得た。培養プレートとして,FALCON353002 Tissue Culture Dish(Becton Dickinson、Franklin Lakes USA)を使用した。胚の培養は5%CO2,5%O2,90%N2,37℃,100%湿度に設定したインキュベーター(TE-HER PRODUCT O2・CO2 incubator CP O2-1800 シリーズ,ヒラサワ、東京、日本)内で実施した。この培養過程で得られた初期胚及び胚盤胞の一部は新鮮な状態で前治療周期の移植に用いられた。前治療周期の移植に用いなかった余剰の胚盤胞は凍結保存した。また、BlastAssist System 培地2における胚培養上清を−20℃で保存した。
患者に、採卵後2日目に上記培養で得られた初期胚、採卵後5日目に上記培養で得られた胚盤胞を、それぞれ前治療周期で移植した。この前処理により妊娠した患者は本試験から離脱した。
前治療周期の移植で妊娠をしなかった患者(22名)に対して、同移植後の月経次周期若しくは月経次々周期に、次の処置を施した。エストラジオール製剤としてエストラダームMの貼付を月経周期2日目より開始した。2日目からエストラダームM2枚を隔日に貼付し10日目に3枚、12日目に4枚、さらに14日目に6枚に漸増し、その後16日目から妊娠判定日である30日目までは3枚を維持した。更に、プロゲステロン製剤として、月経周期15日目からプロゲステロン膣坐剤(400mg/日)と酢酸クロルマジノン12mg/日(内服)を併用した。
ホルモン補充療法(HRT)サイクルの20日目に、1または2個の胚盤胞を患者に移植した。移植は、子宮頸管を通してFai con IVF カテーテル(Fuji systems)を用いて行った。
子宮内膜刺激胚移植群〔SEET(Stimulation of Endometrium Embryo Transfer)群〕では、胚盤胞移植に先立って、ホルモン補充療法(HRT)サイクル17日目に、凍結保存したBlastAssist System 培地2における患者自身の胚培養上清を解凍し、これを11名の各患者の子宮腔に約20μl投与した。投与は、胚培養上清20μlを装填したFai con IVF カテーテル(Fuji systems)を子宮頸管に挿入し、カテーテルの先が子宮腔の基底部から約1cmに達したときに培地を放出することによって行った。
コントロールである通常の胚盤胞移植群(BT群)に属する11名の患者では、胚培養上清の子宮腔への投与をすることなく、胚盤胞移植を行った。
胚移植後17日目に、超音波スキャニング(Mitsubishi RDF173H)により子宮内の胎嚢の有無を確認した。
〔被験者群〕
SEET群とBT群の患者の基礎的特徴を表1に示した。SEET群とBT群の平均年齢(±SD)は、それぞれ,37.1±4.1歳及び36.0±3.4歳であった(p=0.47)。不妊の継続期間(±SD)は、SEET群7.6±3.8年、BT群6.0±2.3年であった(p=0.27)。今回の試験前に経験した体外受精などの生殖補助技術(ART)サイクル数は、SEET群1.6±0.9回、BT群2.5±2.9回であった(p=0.39)。卵胞刺激ホルモン(FSH)の基礎値(±SD)は、SEET群6.5±2.0mIU/ml、BT群5.7±2.7mIU/mlであった(p=0.46)。受精させた卵細胞の数(±SD)は、SEET群8.5±2.0個、BT群8.5±1.7個であった(p=1.0)。移植された胚盤胞の数(±SD)は、SEET群で1.5±0.5個、BT群で1.5±0.5個であった(p=0.69)。以上のように、SEET群とBT群の患者の間で,基礎的特徴に有意な差は認められなかった。また,移植された胚盤胞の質は,両群間で同等であった。
〔結果〕SEETの有効性及び安全性
試験結果を表1に示した。SEET群では11名中10名が妊娠したのに対し、BT群においては妊娠は11名中4名に止まった。妊娠率〔胎嚢の発生が認められた患者の割合(%)〕は,SEET群91.9%でBT群36.4%であり、BT群と比較したときのSEET群の妊娠率向上は,統計学的に有意であった(p=0.027)。また、着床率〔移植した胚盤胞のうち胎嚢へと発生したものの割合(%)〕はSEET群70.6%,BT群25.0%であり、BT群と比較したSEET群における着床率向上は統計学的に有意であった(p=0.023)。両群ともに,患者に副作用は観察されなかった。
Figure 2008016039

本発明は、胚盤胞移植における妊娠率、着床率を著しく改善する新しいタイプの妊娠促進剤として有用である。

Claims (16)

  1. ヒト胚を培地中で胚盤胞に至るまで培養して得られる培養物の培養上清を含有してなる,胚盤胞移植における妊娠促進剤。
  2. 該培養上清が,その中でヒト胚が少なくとも2日間培養された培地から得られるものである,請求項1の妊娠促進剤。
  3. 培養がヒト胚1個当たり10〜100μlの培地中で行われるものである,請求項1又は2の妊娠促進剤。
  4. 少なくともヒト胚0.3個分の培養上清を含んでなるものである,請求項1ないし3の妊娠促進剤。
  5. 該培地が無血清培地である,請求項1ないし4の何れかの妊娠促進剤。
  6. ヒト胚を培地中で培養して胚盤胞を形成させるステップと,胚盤胞を形成している培養液の上清を採取するステップとを含んでなる,胚盤胞移植における妊娠促進剤の製造方法。
  7. 該培養が少なくとも2日間行われるものである,請求項6の妊娠促進剤の製造方法。
  8. 該培養がヒト胚1個当たり10〜100μlの培地中で行われるものである,請求項6又は7の妊娠促進剤の製造方法。
  9. 少なくともヒト胚0.3個分の培養上清を採取するものである,請求項6ないし8の何れかの妊娠促進剤の製造方法。
  10. 該培地が無血清培地である,請求項6ないし9の何れかの妊娠促進剤の製造方法。
  11. ヒトにおいて妊娠を促進するための方法であって,
    ヒト胚を培地中で,該ヒト胚が胚盤胞に発生するまで培養するステップと,
    該培養物の上清を含む組成物を,胚盤胞移植を受けることになっているヒト患者の子宮腔内に注射するステップと,そして
    1個又は2個以上の胚盤胞を該患者の子宮腔内に移植するステップと
    を含んでなる方法。
  12. 該培養が少なくとも2日間行われるものである,請求項12の方法。
  13. 該培養が,ヒト胚1個当たり10〜100μLの培地中で行われるものである,請求項11又は12の方法。
  14. 該組成物が,少なくともヒト胚0.3個分の培養上清を含むものである,請求項11ないし13の何れかの方法。
  15. 該培地が無血清培地である,請求項11ないし14の何れかの方法。
  16. 該組成物の注射が胚盤胞移植の1〜5日前に行われるものである,請求項11ないし15の何れかの方法。
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