JPWO2008007638A1 - 皮膚通電測定装置 - Google Patents

皮膚通電測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2008007638A1
JPWO2008007638A1 JP2008524787A JP2008524787A JPWO2008007638A1 JP WO2008007638 A1 JPWO2008007638 A1 JP WO2008007638A1 JP 2008524787 A JP2008524787 A JP 2008524787A JP 2008524787 A JP2008524787 A JP 2008524787A JP WO2008007638 A1 JPWO2008007638 A1 JP WO2008007638A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
skin
measurement
value
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008524787A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4896133B2 (ja
Inventor
剛智 福元
剛智 福元
恒 秋山
恒 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2008524787A priority Critical patent/JP4896133B2/ja
Publication of JPWO2008007638A1 publication Critical patent/JPWO2008007638A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4896133B2 publication Critical patent/JP4896133B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/05Detecting, measuring or recording for diagnosis by means of electric currents or magnetic fields; Measuring using microwaves or radio waves 
    • A61B5/053Measuring electrical impedance or conductance of a portion of the body
    • A61B5/0531Measuring skin impedance
    • A61B5/0532Measuring skin impedance specially adapted for acupuncture or moxibustion
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61HPHYSICAL THERAPY APPARATUS, e.g. DEVICES FOR LOCATING OR STIMULATING REFLEX POINTS IN THE BODY; ARTIFICIAL RESPIRATION; MASSAGE; BATHING DEVICES FOR SPECIAL THERAPEUTIC OR HYGIENIC PURPOSES OR SPECIFIC PARTS OF THE BODY
    • A61H39/00Devices for locating or stimulating specific reflex points of the body for physical therapy, e.g. acupuncture
    • A61H39/02Devices for locating such points
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B2562/00Details of sensors; Constructional details of sensor housings or probes; Accessories for sensors
    • A61B2562/02Details of sensors specially adapted for in-vivo measurements
    • A61B2562/0209Special features of electrodes classified in A61B5/24, A61B5/25, A61B5/283, A61B5/291, A61B5/296, A61B5/053
    • A61B2562/0215Silver or silver chloride containing
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61HPHYSICAL THERAPY APPARATUS, e.g. DEVICES FOR LOCATING OR STIMULATING REFLEX POINTS IN THE BODY; ARTIFICIAL RESPIRATION; MASSAGE; BATHING DEVICES FOR SPECIAL THERAPEUTIC OR HYGIENIC PURPOSES OR SPECIFIC PARTS OF THE BODY
    • A61H2230/00Measuring physical parameters of the user
    • A61H2230/65Impedance, e.g. skin conductivity; capacitance, e.g. galvanic skin response [GSR]

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Rehabilitation Therapy (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)
  • Finger-Pressure Massage (AREA)

Abstract

皮膚通電測定装置は、電流発生部11a〜11iから発生させて両極性パルス電流を、被験体の皮膚30の複数の測定点に不分極性の電極3a〜3iを通じて印加する。通電した電流と、通電によって生じた電圧を測定部6にて測定し、特徴量抽出部7にて各測定点での電流の流れやすさを特徴づける特徴量を抽出し、その結果を表示部8によって表示する。特徴量抽出部7において抽出される指標は、皮膚30の電気的等価回路パラメータRp,Cp,Rsを基に算出される。定量的で信頼性・再現性のある測定結果が得られる。

Description

本発明は、人体の電流の流れやすさを測定し、それを利用し経穴の位置を探したり、健康度などを評価する良導絡に使用する皮膚通電測定装置に関する。
従来、生体の特定箇所の電気伝導率を測定し、その結果に基づいて経穴の位置を探したり、健康度などを評価する良導絡に使用する皮膚通電測定装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2など)。これらの従来技術は被検体の特定箇所の皮膚表面に配置された2つの金属電極間に直流電圧を印加し、その2つの電極間に流れた直流電流を測定することにより、特定箇所の直流での電気伝導度を測定するものである。「経穴」は東洋医学における治療点として存在しており、経穴に物理的な刺激(例えば、機械的、熱的、電気的な刺激)を与えることにより、除痛や自律神経系の調節を行う。経穴の多くは、周辺部位と比べ、皮膚の抵抗が低い部位として観測されることが多く、その皮膚抵抗低部位は「経絡(簡単にいうと、経穴を線で結んだもの)」に沿って分布することが知られている。つまり、皮膚抵抗低部位と経穴が等価であると捉え、又、そのような部位を皮膚通電測定装置で探索し、刺激をし、治療をするという行為を行うことが行われている。これらの行為は「良導絡自律神経調整法」と呼ばれている。本明細書も、皮膚抵抗低部位と経穴が等価であることを前提として記載している。
図6に特許文献1に記載の発明を実施した測定装置の概要を示す。握り導子201の電極は金属製の棒状部材であり、使用者はこの握り導子201を一方の手で握り、他方の手で測定導子203を握って測定を行う。測定導子203の先端にはコーン状のキャップ207があり、内部に金属製の電極部材(図示せず)が配置されている。測定時には測定導子203の電極部材と接触するように、キャップ207内に湿らせた綿を詰めて、当該綿を測定部位にあてる。その後、直流可変電圧源202からの直流電圧Ecの印加により両手に握られた導子201,203間の生体に流れた直流通電を、検出抵抗206により電圧値へと変換する。なお、図6において符号204は電流調整用の可変抵抗で、符号208は平衡のためのコンデンサである。
特開2003−61926号公報 特開平9−75419号公報
以下、従来の皮膚通電測定装置について本発明の発明者が行った詳細な検討について説明する。
図6の従来技術において、握り導子201及び測定導子203の電極の電気的等価回路と、皮膚の電気的等価回路は、単純に考えても図7のような抵抗値Rpの抵抗801と容量Cpのコンデンサ802の並列接続回路に抵抗値Rsの抵抗803が直列に接続された回路となる。また、生体の深部組織の電気的等価回路は抵抗が直列に接続された形で表現されることが知られている。よって、図6の測定装置で測定した場合の等価回路は図8に示すような回路で表現される。
図8では、簡単のため、握り導子201の電極201aと測定導子203の電極203aが皮膚上のA点、B点に配置されている。測定導電子203の電極203aの電気的等価回路は、抵抗301(抵抗値Re1)とコンデンサ302(容量Ce1)の並列接続回路に抵抗303(抵抗値Res1)を直列に接続してなる。同様に、握り導子201の電極201aの電気的等価回路は、抵抗401(抵抗値Re2)とコンデンサ402(容量Ce2)の並列接続回路に抵抗403(抵抗値Res2)を直列に接続してなる。測定導子203と握り導子201の電極203a,201aと接触する皮膚の電気的等価回路は、抵抗501,601(抵抗値Rs1,Rs2)とコンデンサ502,602(容量Cs1,Cs2)の並列接続回路に抵抗503,603(抵抗値R1,R2)を直列に接続してなる。深部組織の等価回路を構成する複数の直列に接続された抵抗703(抵抗503,603もこれらの抵抗703に直列に接続されている。)は抵抗値Ri(i=1〜N)を有する。電極201a,203a及びこれらの電極201a,301aと接触する皮膚の等価回路のインピーダンスは、それぞれZe1,Ze2,Zs1,Zs2とする。
図6の従来技術では、直流電圧Ecを印加した際の直流電流Icを測定しており、図8の等価回路のうち、直流抵抗の部分のみに着目していることになる。つまり、以下の式(1)で表される直流電流Icを測定していることになる。
Figure 2008007638
式(1)において、検出抵抗206の抵抗値Rcと調整用の抵抗204の抵抗値Rvaは既知の値である。従って、式(1)の電流Icを測定することは、抵抗206,204以外の抵抗部分が測定部位もしくは測定時刻によって異なることを検出していることと等価である。この従来の測定法では測定結果の信頼性ならびに再現性を十分保証できない。その理由は、主に下記の4つの理由によるものである。
(1)2電極法を用いた測定を行っている。
(2)皮膚の電気的等価回路のうち直流抵抗のみに着目している。
(3)分極性電極を使用している。
(4)皮膚抵抗の電圧もしくは電流依存性を考慮していない。
以下では、これらの理由(1)〜(4)について具体的に説明する。
まず、理由(1)については、上述のように測定された電流は、式(1)で表現される。抵抗値Rc,Rvaは外部から調節可能な既知の値である。測定された前記電流の差異は、電極201a(B点)と電極203a(A点)の間に存在する下記式(2)の差異に起因するものであり、純粋に前記2つの電極201a,203a間の皮膚抵抗に起因する電流値を測定していることにならない。
Figure 2008007638
ここで、前記両電極201a,203aのインピーダンスが生体のそれと比較して十分小さければ、つまり、図8においてZe1<<Zs1かつZe1<<Zs1、換言すれば、(Re1+Res1)<<(Rs1+R1)かつ(Re2+Res2)<<(Rs2+R2)を満たせば、皮膚抵抗を適切に評価できることになる。しかし、一般に、金属電極の電極インピーダンスは周波数が低いほど大きくなり、後述するような分極性の電極の場合は直流抵抗が極めて大きな値となることが知られている。従って、2電極法では皮膚抵抗を適切に評価できない。また、仮に電極インピーダンスが小さいと仮定しても、電極201a(B点)直下の皮膚の直流抵抗による差異なのか電極203a(A点)直下の皮膚の直流抵抗による差異なのか区別することは不可能である。本来ならば、測定導子203の電極203a直下のA点における皮膚抵抗に起因する電流値の差異を測定したいにもかかわらず、前記両電極201a,203a直下のうちいずれの電極の直下の皮膚の直流抵抗に起因するかを明確に区別することができない。
理由(2)については、皮膚の電気的な等価回路が純粋な直流抵抗のみで表現されるならば、前記従来の測定装置で測定した場合の電流波形は図9Bの一点鎖線のようになり、電極を皮膚に接触させた直後から定常状態になる(図9Aは印加される直流電圧Ecの波形を示す)。しかし、一般には、皮膚の電気的等価回路は、前述したように抵抗501,601とコンデンサ502,602の並列接続で表現されるため、図9Bの実線に示したように、測定電流には過渡応答が含まれることになる。この過渡応答が消失し、定常状態になるには、皮膚の電気的等価回路が図7のような最も単純な回路で表現されると考えた場合でも、時定数τ(=Rp・Cp)の4倍(4τ)ほどの時間が必要となる。つまり、4τ以上経過するまでは、測定対象が同一特性を持っていても、測定電流値を読み取る時刻によって測定結果が異なってしまうことになる。また、生体の皮膚では、測定部位によって時定数τの値が大きく異なることが予想されるので、測定時間を統一して複数の部位の電流値の差異を測定しても、全ての測定点において測定電流が定常状態になっていることは保証できない。かといって、長時間待ってから電流値を測定すれば良いかというと、測定に時間がかかり不便であるし、同一方向の電圧、電流が長時間印加されることによって皮膚の電気的破壊、電極の電気分解の発生など、皮膚や電極の電気的特性に不可逆的に変化が生じてしまう。一方、時定数τが非常に小さく、測定開始直後に定常状態にあったとしても、実際に測定される電流波形はばらつくことがある。これは、皮膚上のある2点間に電極を配置して、その間の電圧を測定すると、自発的に数mVから数100mV不規則に変動する理由と同様の理由で、2つの電極と皮膚との界面でのイオン濃度差が一定ではないことに起因する。特に人の手掌は精神性発汗などによる皮膚―電極界面のイオン濃度差の変動が大きく、前記従来のような測定方法では、測定結果が不安定になってしまい、どの時刻の測定結果を採用するかに依存してしまうことになる。
理由(3)については、白金をはじめとする不活性な分極性電極では、表面での電荷の移動が起こりにくいため、その電圧−電流特性は著しい非線形性を有する。また、分極性電極ではその等価回路におけるコンデンサと並列接続された抵抗の抵抗値Rp(図8では抵抗301,401の抵抗値Re1,Re2)に相当する電極抵抗が非常に大きいため、使用する電極の材質、印加する電圧もしくは電流の値によっては図8のインピーダンスZe1,Zs1ならびにZe2,Zs2の大小関係がZe1>>Zs1もしくはZe2>>Zs2となる可能性もある。これは、分極性電極を使用した場合、皮膚の特性を測定しているのか、電極の特性による差異を測定しているのかが区別できないことを意味する。
理由(4)については、前記理由(3)で述べた電極のインピーダンスが電流もしくは電圧に依存性を有するのと同様、皮膚などの生体組織の電気的特性も、電流もしくは電圧依存性を有する。一般的に、印加する電流値もしくは電圧値が小さく、かつ周波数が高ければ、この依存性は問題とはならず、皮膚の電気的特性は線形とみなせるが、周波数が低く、かつ電流値もしくは電圧値が大きいほど、非線形性が顕著になる。前記従来技術においては、この非線形性を考慮していない。また、この非線形性の程度については、測定対象、測定部位毎に非線形性が生ずる条件が異なることが知られている。よって、同一の印加電圧値もしくは電流値で測定した場合でも、測定箇所によっては著しい非線形性を有する場合もあり、測定結果の信頼性を保証することが難しくなる。
以上のように、前記従来の測定方法においては、測定上の問題が多く含まれており、測定結果の信頼性・再現性を十分保証できるものではないことを、本発明者は新たに見出した。
本発明は前記従来における問題点を可能な限り回避するもので、皮膚の電気的特性を十分考慮した測定手法により、信頼性・再現性のある皮膚通電測定装置を提供することを目的とする。
前記従来の問題点を解決するために、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、パルス状の電流を発生可能な電流発生部と、皮膚上の複数の異なる測定点上に配置される複数の不分極性の電極を備え、前記電流発生部からの出力電流を、前記複数の測定点に実質的に同時に(遅延させることなく)通電する電極系と、前記複数の測定点に通電された電流をそれぞれ検出する複数の電流検出器と、前記電流検出器により検出された電流と、前記電極系への通電によって前記複数の測定点の皮膚に生じた電圧を測定する測定部と、前記測定部により測定された電流と電圧との関係から、各測定点での電流の流れやすさを特徴づける特徴量を抽出する特徴量抽出部と、前記特徴量抽出部で生成された各測定点での特徴量を表示する表示部と、前記電流発生部、前記測定部、及び前記特徴量抽出部への制御信号を生成する制御部とを備えることを特徴とする。
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ信頼性・再現性を十分保証可能な測定結果を得ることができる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記不分極性の電極が銀―塩化銀電極であることを特徴とする。
このような構成にすることで、測定結果に与える電極インピーダンスの影響を最小限することができる。また、不電極性の電極は、電解質を含むソリッドゲルもしくはペーストを有するものでもよい。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記電流発生部の発生する前記パルス状の電流が両極性のパルス電流であることを特徴とする。
このような構成にすることで、測定時の生体へのネットチャージをゼロにでき、電極や生体の特性に不可逆的な変化が生ずることを回避できる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置では、前記制御部は、前記電流発生部から出力される電流の電流値を個々の前記複数の測定点毎に異なる値に設定することが好ましい。
このような構成にすることで、適切な刺激量を調節可能になり、少ない刺激量で効果的な刺激を生体に与えることが可能になる。
特に、前記制御部は、前記電流発生部から出力される電流の電流値を前記測定点の皮膚の電流依存性が認められない値に設定することが好ましい。
このような構成にすることで、電極や生体の特性に不可逆的な変化が生ずることを回避できる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、皮膚の電気的等価回路が第1の抵抗とコンデンサの並列接続に第2の抵抗を直列に接続した回路であるであると仮定した場合の、前記第1の抵抗の抵抗値Rp、前記コンデンサの容量Cp、及び前記第2の抵抗の抵抗値Rsの少なくともいずれか2つに関連することを特徴とする。
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ、より信頼性のある定量的な測定結果を提供可能になる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、前記抵抗値Rp及び前記抵抗値Rsと以下の式(3)関係を有する電気伝導率Gであることを特徴とする。
Figure 2008007638
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ、より信頼性のある定量的な測定結果を提供可能になる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、前記抵抗値Rp及び前記容量Cpと以下の式(4)関係を有する時定数τであることを特徴とする。
Figure 2008007638
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ、より詳細で信頼性のある定量的な測定結果を提供可能になる。
前記制御部は、個々の前記特徴量抽出部で抽出された特徴量に応じて、前記電流発生部から出力される電流値を測定点毎に設定することが好ましい。
このような構成にすることで、適切な刺激量を調節可能になり、少ない刺激量で効果的な刺激を生体に与えることが可能になる。
本発明は、前記の特徴を備えることにより、皮膚抵抗をより適切に評価することができ、より詳細で定量的で信頼性・再現性のある測定結果が得られる皮膚通電測定装置を提供可能になる。
本発明の第1の実施の形態における概略構成を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態における皮膚通電測定装置の一部の詳細を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態における皮膚通電測定装置の一部の詳細を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態における通電電流波形と電圧波形の模式図。 電圧波形を部分的に拡大した模式図。 本発明の第2の実施の形態における特徴量の抽出動作を説明するための模式図。 従来技術の皮膚通電測定装置を示す模式図。 皮膚の電気的等価回路の模式図。 従来技術の問題点を説明するための模式図。 従来技術の問題点を説明するための電圧波形を示す模式図。 従来技術の問題点を説明するための電流波形を示す模式図。
符号の説明
1 電流発生部
2a〜2i 電流検出器
3a〜3i 電流印加電極
4 接地電極
5 不関電極
6 測定部
7 特徴量抽出部
8 表示部
20 制御部
11a〜11i 電流源
61a〜61i 差動増幅器、
63a〜63i,68a〜68i プログラマブルゲインアンプ
64a〜64i,69a〜69i ローパスフィルタ
65a〜65z A/D変換器
201 握り導子
202 可変直流電圧
203 測定導子
204 可変抵抗
206 検出抵抗、
207 キャップ
210〜212 制御信号
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の皮膚通電測定装置の概略構成を示すブロック図である。また、図2A及び図2Bは、前記電流発生部1ならびに前記測定部6のより詳細な構成例を示すブロック図である。この皮膚通電測定装置は、電流発生部1、複数の電極3a〜3i,4,5を含む電極系、電流検出器2a〜2i、測定部6、特徴量検出部7、表示部8、及び制御部20を備える。電流発生部1は少なくとも1つの電流源1〜nを備える。電流系は少なくとも1つの電流印加電極3a〜3i、接地電極4、及び不関電極5を備える。測定部6は、電圧の測定及び電流測定値の処理のために、少なくとも1つの差動増幅器61a〜61i、プログラマブルゲインアンプ68a〜68i、のローパスフィルタ69a〜69i、少なくとも1つの及びA/D変換器65a〜65iを備える。また、測定部6は、電流の測定及び電流測定値の処理のために、プログラマブルゲインアンプ71a〜71i、ローパスフィルタ72a〜72i、及びA/D変換器70a〜70iを備える。制御部20は、電流発生部1、測定部6、特徴量抽出部7、及び表示部8への制御信号を生成する。
個々の電流印加電極3a〜3iは、電流発生部1の対応する電流源1〜nに接続されている。電流印加電極3a〜3iと電流源1〜nの間には電流検出器2a〜2iがそれぞれ介設されている。また、電流印加電極3a〜3iは測定部6の対応する差動増幅器61a〜61iに接続されている。電極系の不関電極5は、電流発生部1の差動増幅器61a〜61iに接続されている。
電流発生部1から発生された電流は、被検体の皮膚30の各測定点(測定点1〜測定点n)へ電流印加電極3a〜3iを通じて印加され、接地電極4へと流れていく。この通電によって生じた個々の電流印加電極3a〜3iと不関電極5との間の皮膚に生じた電圧降下を、前記接地電極4の電位を基準にして測定部6の差動増幅器61a〜61iにより測定する。このような電極系により測定する手法は3電極法と呼ばれ、電流印加電極3a〜3iの直下、つまり、測定点1〜測定点nの直下における皮膚インピーダンスを測定する。
ここで、図1に示してある電極3a〜3i,4,5は全て不分極性の電極であり、例えば、Ag−AgCl(銀−塩化銀)電極を使用する。こうすることで、電極インピーダンスZeと皮膚インピーダンスZsとの関係が常にZs>>Zeとなるので、測定される電流は常に皮膚インピーダンスZsの差異や変動に起因するものとなり、前記分極性電極を使用する従来技術と比較して皮膚抵抗を適切に評価できる。なお、本実施の形態では、不分極性電極を使用することで、Zs>>Zeを満たし易いことから、不分極性電極の使用を前提として記述しているが、Zs>>Zeを満たすのであれば、例えば、Ag(銀)など、比較的分極抵抗が小さい、分極性の電極を使用してもよい。また、皮膚30への接触状態を良好に保つため、電極3a〜3i,4,5と皮膚30との間に、電解質を含んだソリッドゲルもしくはペーストを電極面積と同様の面積に加工し配置する。ここで、ペーストを用いた場合、含まれる水分によって、皮膚の電気的特性の経時変化が激しくなる恐れがあるので、ソリッドゲルがより好ましい。
電流発生部1の各電流源11a〜11iは各測定点へ通電する電流を発生する。ここで、各電流源11a〜11iから発生される両極性パルス電流の振幅、周期、繰り返し回数は制御部20からの制御信号210により設定可能になっている。各電流源11a〜11iから各測定点へ通電する電流の電流値は、各測定部位の皮膚30に電流依存性が認められない電流値となるように、個々の測定点について電流源11a〜11iから出力する電流の電流値が設定されている。電流依存性が認められない電流値を通電する手法は種々あるが、例えば簡易な手法としては以下のものがある。図2Aの各電流源11a〜11iから通電するパルス電流値をゼロから徐々に上昇させていき、同時に測定部6にて、通電によって生じた電圧波形を測定する。測定された電圧波形を通電したパルス電流値にて割ったものを重ね書きすると、もし、電流依存性が認められないならば、パルス電流値が異なっても同一波形になる。そうならない場合の最低の電流値を検出し、その値の半分の電流値によって測定を行うことにする。これを各測定点に対して行う。
図3に前記両極性パルス電流波形i(t)と通電によって皮膚に生ずる電圧波形v(t)の模式図を示す。図3は、皮膚30が前述の図4のような等価回路で表現されると考えた場合のものであり、通電開始、つまり正の方向への立ち上がり時刻をt1、正の方向から0への立下り時刻をt2、負の方向への立下り時刻をt3、負の方向から0への立ち上がり時刻をt4、通電終了時刻をt5パルスの振幅をA、パルス幅をTw、パルス周期をTとしている。なお、図3では、周期Tの両極性のパルス電流が1組通電される場合の模式図であるが、本発明はこれを限定するものではなく、図3のようなパルスを複数組通電するなどしても良い。
通電によって各測定点1〜nの皮膚30に生じた電圧は各差動増幅器61a〜61iにより測定され、測定された各測定点1〜nの電圧は必要に応じて各プログラマブルゲインアンプ63a〜63iにより増幅され、各ローパスフィルタ64a〜64iにより不要な高周波成分が除去される。また、各測定点の皮膚に通電された電流は電流検出器2a〜2iにより測定されるが、後述する特徴量抽出部7での処理の簡略化を考慮すると、各測定点での電圧と同じ信号処理を、各測定点に通電した電流に対して行っておいた方が良い。そのため、差動増幅器61a〜61iと同様に、個々の電流検出器2a〜2iに対して、プログラマブルゲインアンプ71a〜71iとローパスフィルタ72a〜72iを設置している。ここで、各プログラマブルゲインアンプ63a〜63i,68a〜68iの増幅率は制御部20からの制御信号211、212によって制御可能にしておく。
なお、本発明は、測定された電流と電圧に対して行う信号処理の順序や手段を限定するものではなく、特徴量抽出部7において所望の特徴量が正確に行えるのであれば、信号処理の順序や手段は特に限定されない。
各測定点に印加した両極性のパルス電流波形i(t)と、各測定での電圧波形v(t)とは各A/D変換器65a〜65i,70a〜70iによってディジタル信号へと変換され、特徴量抽出部7へと送出される。
特徴量抽出部7では、各測定点の皮膚に通電されたパルス電流波形i(t)と、各測定点の皮膚の電圧波形v(t)とから、皮膚の電気的等価回路が単純な1次系(前述の図7に図示するような抵抗値Rpの抵抗801と容量Cpのコンデンサ802の並列接続回路に抵抗値Rsの抵抗803が直列に接続された回路)であると仮定した場合の等価回路のパラメータである抵抗値Rp,Rsと容量Cpを推定する。図4に、図3の電圧波形の一部分(時刻t1〜t2)を拡大したものを示す。ここで、皮膚30の電気的等価回路が図7のように表現されると仮定した場合、パルス電流の振幅をIcとすると測定される理想的な電圧波形Vt(t)は、以下の式(5)で表現される。
Figure 2008007638
上式の抵抗値Rsに関しては、理想的にはt=0における電圧値がVt(0)=Ic・Rsと表現されることを利用して算出できる。しかし、一般的に抵抗値Rsは抵抗値Rpに比べ小さく、また、増幅器の整定時間が有限の値を持つことを考えると、v(0)を正確に測定するのは難しい。従って、v(0)を用いて抵抗値Rsを正確に推定するのは現実的ではない。そこで、本実施形態においては、式(5)に基づいて、Levenberg-Marquardtアルゴリズム等の非線形最小2乗法を用いて、時刻t=0からt=t1において測定されたv(t)をVt(t)にて近似し、得られたRs,Rp,Cpを推定する。また、前記従来技術において使用されている指標である電気伝導率Gを算出するには、図7の等価回路のうち、抵抗成分のみを考えれば良く、特徴量抽出部7はG=1/(Rp+Rs)から電気伝導率Gを算出する。
なお、前記の説明では、推定に利用する時間をt=t1からt=t2としているが、本発明はそれを限定するものではなく、例えば、t=t3からt=t4にするなど、前記等価回路のパラメータRs,Rp,Cpの値を正確に推定できる範囲であればどのような時間的範囲を推定に使用しても良い。
以上のようにして前記特徴量抽出部7にて推定された前記等価回路のパラメータ値Rs,Rp,Cpや前記特徴量Gは表示部8へと送出され、モニタなどの表示手段によって適宜表示される。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の概略構成を示すブロック図は図1と同一であり、第1の実施の形態と同じ構成要素については同じ符号用い、説明を省略する。本実施の形態が、第1の実施の形態と異なる点は、特徴量抽出部7において抽出する特徴量が前記等価回路の時定数τであることであり、その他の構成要素の動作などについては、説明を省略する。以下では、本実施例での特徴量抽出方法の具体的な内容について説明する。
第1の実施の形態では、各測定点の皮膚に通電された電流波形i(t)と、各測定点の皮膚の電圧波形V(t)とから、皮膚の電気的等価回路が単純な1次系であると仮定した場合の等価回路の応答波形Vt(t)が理想的には式(5)で表現されることに基づいて、等価回路の3つのパラメータRs,Rp,Cpを全て推定している。この結果を利用して、特徴量抽出部7が特徴量として時定数τをτ=1/(Rp・Cp)という関係から計算し、表示部8に出力しても良い。しかし、本実施の形態では、以下に示すvt(t)の時間微分波形に着目する。
Figure 2008007638
この時間微分係数は式(5)より、以下の式(6)のように表現される。
Figure 2008007638
ここで、式(6)の両辺を自然対数をとると、以下の式(7)が得られる。
Figure 2008007638
ここで横軸を時間t、縦軸を以下に示す前述のvt(t)の時間微分波形の自然対数とすると平面を考える。
Figure 2008007638
この平面上では、式(7)は以下の傾きと切片を有する直線である。
Figure 2008007638
従って、図5を参照すると、特徴量算出部7では、前記測定部6によって測定された電圧波形v(t)の微分係数の自然対数をとり、この平面にプロットし、t軸方向の直線の傾きを最小2乗法で推定し、推定された傾きの逆数の絶対値として時定数τを得る。この特徴量である時定数τは抵抗成分と容量成分の両者の情報を含んでいることから、より詳細な皮膚の電気的測定の差異が検出可能になる。
ここで、前記実施の形態1,2の説明では、皮膚の電気特性の測定にのみ言及したが、皮膚表面に配置した複数の電極はいわゆる表面刺激電極としても使用できる。例えば特徴量抽出部7にて抽出された各測定点1〜nでの特徴量が小さい程、その測定点は電流が流れ易いということであり、そのような部分はいわゆる経穴として捉えられている。そのような部分を効果的に刺激可能なように、特徴量を基に電流発生部1から出力される電流や、通電する電流印加電極3a〜3iを制御部20にて選択するようにしても良い。こうすることで、初心者でも、効果的な経穴の刺激が可能になる。
なお、上述のように刺激をしている最中、もしくは、刺激後は、皮膚の電気的特性に電流依存性が認められるが、非線形インピーダンスを前記皮膚の電気的等価回路に用いることで、刺激中の皮膚の電気的特性を評価可能になるため、刺激をしながら、前記実施の形態1、2で説明したのと同様に、皮膚の電気的特性を特徴づける特徴量を抽出すれば、ほぼリアルタイムに刺激電流を変化させることが可能になるため、より効率の良い刺激を与えることが可能である。
以上のように、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記従来技術が有する問題点を可能な限り排除可能であり、前記従来技術に比べ、より詳細で定量的で信頼性・再現性のある測定結果が得られることから、医療分野にて人体の導電率を測定し、それを利用し経穴の位置を探したり、健康度などを評価するなど、皮膚の電気的特性の差異を非侵襲的かつ客観的に評価する差異に有用である。
本発明は、人体の電流の流れやすさを測定し、それを利用し経穴の位置を探したり、健康度などを評価する良導絡に使用する皮膚通電測定装置に関する。
従来、生体の特定箇所の電気伝導率を測定し、その結果に基づいて経穴の位置を探したり、健康度などを評価する良導絡に使用する皮膚通電測定装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2など)。これらの従来技術は被検体の特定箇所の皮膚表面に配置された2つの金属電極間に直流電圧を印加し、その2つの電極間に流れた直流電流を測定することにより、特定箇所の直流での電気伝導度を測定するものである。「経穴」は東洋医学における治療点として存在しており、経穴に物理的な刺激(例えば、機械的、熱的、電気的な刺激)を与えることにより、除痛や自律神経系の調節を行う。経穴の多くは、周辺部位と比べ、皮膚の抵抗が低い部位として観測されることが多く、その皮膚抵抗低部位は「経絡(簡単にいうと、経穴を線で結んだもの)」に沿って分布することが知られている。つまり、皮膚抵抗低部位と経穴が等価であると捉え、又、そのような部位を皮膚通電測定装置で探索し、刺激をし、治療をするという行為を行うことが行われている。これらの行為は「良導絡自律神経調整法」と呼ばれている。本明細書も、皮膚抵抗低部位と経穴が等価であることを前提として記載している。
図6に特許文献1に記載の発明を実施した測定装置の概要を示す。握り導子201の電極は金属製の棒状部材であり、使用者はこの握り導子201を一方の手で握り、他方の手で測定導子203を握って測定を行う。測定導子203の先端にはコーン状のキャップ207があり、内部に金属製の電極部材(図示せず)が配置されている。測定時には測定導子203の電極部材と接触するように、キャップ207内に湿らせた綿を詰めて、当該綿を測定部位にあてる。その後、直流可変電圧源202からの直流電圧Ecの印加により両手に握られた導子201,203間の生体に流れた直流通電を、検出抵抗206により電圧値へと変換する。なお、図6において符号204は電流調整用の可変抵抗で、符号208は平衡のためのコンデンサである。
特開2003−61926号公報 特開平9−75419号公報
以下、従来の皮膚通電測定装置について本発明の発明者が行った詳細な検討について説明する。
図6の従来技術において、握り導子201及び測定導子203の電極の電気的等価回路と、皮膚の電気的等価回路は、単純に考えても図7のような抵抗値Rpの抵抗801と容量Cpのコンデンサ802の並列接続回路に抵抗値Rsの抵抗803が直列に接続された回路となる。また、生体の深部組織の電気的等価回路は抵抗が直列に接続された形で表現されることが知られている。よって、図6の測定装置で測定した場合の等価回路は図8に示すような回路で表現される。
図8では、簡単のため、握り導子201の電極201aと測定導子203の電極203aが皮膚上のA点、B点に配置されている。測定導電子203の電極203aの電気的等価回路は、抵抗301(抵抗値Re1)とコンデンサ302(容量Ce1)の並列接続回路に抵抗303(抵抗値Res1)を直列に接続してなる。同様に、握り導子201の電極201aの電気的等価回路は、抵抗401(抵抗値Re2)とコンデンサ402(容量Ce2)の並列接続回路に抵抗403(抵抗値Res2)を直列に接続してなる。測定導子203と握り導子201の電極203a,201aと接触する皮膚の電気的等価回路は、抵抗501,601(抵抗値Rs1,Rs2)とコンデンサ502,602(容量Cs1,Cs2)の並列接続回路に抵抗503,603(抵抗値R1,R2)を直列に接続してなる。深部組織の等価回路を構成する複数の直列に接続された抵抗703(抵抗503,603もこれらの抵抗703に直列に接続されている。)は抵抗値Ri(i=1〜N)を有する。電極201a,203a及びこれらの電極201a,301aと接触する皮膚の等価回路のインピーダンスは、それぞれZe1,Ze2,Zs1,Zs2とする。
図6の従来技術では、直流電圧Ecを印加した際の直流電流Icを測定しており、図8の等価回路のうち、直流抵抗の部分のみに着目していることになる。つまり、以下の式(1)で表される直流電流Icを測定していることになる。
Figure 2008007638
式(1)において、検出抵抗206の抵抗値Rcと調整用の抵抗204の抵抗値Rvaは既知の値である。従って、式(1)の電流Icを測定することは、抵抗206,204以外の抵抗部分が測定部位もしくは測定時刻によって異なることを検出していることと等価である。この従来の測定法では測定結果の信頼性ならびに再現性を十分保証できない。その理由は、主に下記の4つの理由によるものである。
(1)2電極法を用いた測定を行っている。
(2)皮膚の電気的等価回路のうち直流抵抗のみに着目している。
(3)分極性電極を使用している。
(4)皮膚抵抗の電圧もしくは電流依存性を考慮していない。
以下では、これらの理由(1)〜(4)について具体的に説明する。
まず、理由(1)については、上述のように測定された電流は、式(1)で表現される。抵抗値Rc,Rvaは外部から調節可能な既知の値である。測定された前記電流の差異は、電極201a(B点)と電極203a(A点)の間に存在する下記式(2)の差異に起因するものであり、純粋に前記2つの電極201a,203a間の皮膚抵抗に起因する電流値を測定していることにならない。
Figure 2008007638
ここで、前記両電極201a,203aのインピーダンスが生体のそれと比較して十分小さければ、つまり、図8においてZe1<<Zs1かつZe1<<Zs1、換言すれば、(Re1+Res1)<<(Rs1+R1)かつ(Re2+Res2)<<(Rs2+R2)を満たせば、皮膚抵抗を適切に評価できることになる。しかし、一般に、金属電極の電極インピーダンスは周波数が低いほど大きくなり、後述するような分極性の電極の場合は直流抵抗が極めて大きな値となることが知られている。従って、2電極法では皮膚抵抗を適切に評価できない。また、仮に電極インピーダンスが小さいと仮定しても、電極201a(B点)直下の皮膚の直流抵抗による差異なのか電極203a(A点)直下の皮膚の直流抵抗による差異なのか区別することは不可能である。本来ならば、測定導子203の電極203a直下のA点における皮膚抵抗に起因する電流値の差異を測定したいにもかかわらず、前記両電極201a,203a直下のうちいずれの電極の直下の皮膚の直流抵抗に起因するかを明確に区別することができない。
理由(2)については、皮膚の電気的な等価回路が純粋な直流抵抗のみで表現されるならば、前記従来の測定装置で測定した場合の電流波形は図9Bの一点鎖線のようになり、電極を皮膚に接触させた直後から定常状態になる(図9Aは印加される直流電圧Ecの波形を示す)。しかし、一般には、皮膚の電気的等価回路は、前述したように抵抗501,601とコンデンサ502,602の並列接続で表現されるため、図9Bの実線に示したように、測定電流には過渡応答が含まれることになる。この過渡応答が消失し、定常状態になるには、皮膚の電気的等価回路が図7のような最も単純な回路で表現されると考えた場合でも、時定数τ(=Rp・Cp)の4倍(4τ)ほどの時間が必要となる。つまり、4τ以上経過するまでは、測定対象が同一特性を持っていても、測定電流値を読み取る時刻によって測定結果が異なってしまうことになる。また、生体の皮膚では、測定部位によって時定数τの値が大きく異なることが予想されるので、測定時間を統一して複数の部位の電流値の差異を測定しても、全ての測定点において測定電流が定常状態になっていることは保証できない。かといって、長時間待ってから電流値を測定すれば良いかというと、測定に時間がかかり不便であるし、同一方向の電圧、電流が長時間印加されることによって皮膚の電気的破壊、電極の電気分解の発生など、皮膚や電極の電気的特性に不可逆的に変化が生じてしまう。一方、時定数τが非常に小さく、測定開始直後に定常状態にあったとしても、実際に測定される電流波形はばらつくことがある。これは、皮膚上のある2点間に電極を配置して、その間の電圧を測定すると、自発的に数mVから数100mV不規則に変動する理由と同様の理由で、2つの電極と皮膚との界面でのイオン濃度差が一定ではないことに起因する。特に人の手掌は精神性発汗などによる皮膚―電極界面のイオン濃度差の変動が大きく、前記従来のような測定方法では、測定結果が不安定になってしまい、どの時刻の測定結果を採用するかに依存してしまうことになる。
理由(3)については、白金をはじめとする不活性な分極性電極では、表面での電荷の移動が起こりにくいため、その電圧−電流特性は著しい非線形性を有する。また、分極性電極ではその等価回路におけるコンデンサと並列接続された抵抗の抵抗値Rp(図8では抵抗301,401の抵抗値Re1,Re2)に相当する電極抵抗が非常に大きいため、使用する電極の材質、印加する電圧もしくは電流の値によっては図8のインピーダンスZe1,Zs1ならびにZe2,Zs2の大小関係がZe1>>Zs1もしくはZe2>>Zs2となる可能性もある。これは、分極性電極を使用した場合、皮膚の特性を測定しているのか、電極の特性による差異を測定しているのかが区別できないことを意味する。
理由(4)については、前記理由(3)で述べた電極のインピーダンスが電流もしくは電圧に依存性を有するのと同様、皮膚などの生体組織の電気的特性も、電流もしくは電圧依存性を有する。一般的に、印加する電流値もしくは電圧値が小さく、かつ周波数が高ければ、この依存性は問題とはならず、皮膚の電気的特性は線形とみなせるが、周波数が低く、かつ電流値もしくは電圧値が大きいほど、非線形性が顕著になる。前記従来技術においては、この非線形性を考慮していない。また、この非線形性の程度については、測定対象、測定部位毎に非線形性が生ずる条件が異なることが知られている。よって、同一の印加電圧値もしくは電流値で測定した場合でも、測定箇所によっては著しい非線形性を有する場合もあり、測定結果の信頼性を保証することが難しくなる。
以上のように、前記従来の測定方法においては、測定上の問題が多く含まれており、測定結果の信頼性・再現性を十分保証できるものではないことを、本発明者は新たに見出した。
本発明は前記従来における問題点を可能な限り回避するもので、皮膚の電気的特性を十分考慮した測定手法により、信頼性・再現性のある皮膚通電測定装置を提供することを目的とする。
前記従来の問題点を解決するために、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、パルス状の電流を発生可能な電流発生部と、皮膚上の複数の異なる測定点上に配置される複数の不分極性の電極を備え、前記電流発生部からの出力電流を、前記複数の測定点に実質的に同時に(遅延させることなく)通電する電極系と、前記複数の測定点に通電された電流をそれぞれ検出する複数の電流検出器と、前記電流検出器により検出された電流と、前記電極系への通電によって前記複数の測定点の皮膚に生じた電圧を測定する測定部と、前記測定部により測定された電流と電圧との関係から、各測定点での電流の流れやすさを特徴づける特徴量を抽出する特徴量抽出部と、前記特徴量抽出部で生成された各測定点での特徴量を表示する表示部と、前記電流発生部、前記測定部、及び前記特徴量抽出部への制御信号を生成する制御部とを備えることを特徴とする。
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ信頼性・再現性を十分保証可能な測定結果を得ることができる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記不分極性の電極が銀―塩化銀電極であることを特徴とする。
このような構成にすることで、測定結果に与える電極インピーダンスの影響を最小限することができる。また、不電極性の電極は、電解質を含むソリッドゲルもしくはペーストを有するものでもよい。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記電流発生部の発生する前記パルス状の電流が両極性のパルス電流であることを特徴とする。
このような構成にすることで、測定時の生体へのネットチャージをゼロにでき、電極や生体の特性に不可逆的な変化が生ずることを回避できる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置では、前記制御部は、前記電流発生部から出力される電流の電流値を個々の前記複数の測定点毎に異なる値に設定することが好ましい。
このような構成にすることで、適切な刺激量を調節可能になり、少ない刺激量で効果的な刺激を生体に与えることが可能になる。
特に、前記制御部は、前記電流発生部から出力される電流の電流値を前記測定点の皮膚の電流依存性が認められない値に設定することが好ましい。
このような構成にすることで、電極や生体の特性に不可逆的な変化が生ずることを回避できる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、皮膚の電気的等価回路が第1の抵抗とコンデンサの並列接続に第2の抵抗を直列に接続した回路であるであると仮定した場合の、前記第1の抵抗の抵抗値Rp、前記コンデンサの容量Cp、及び前記第2の抵抗の抵抗値Rsの少なくともいずれか2つに関連することを特徴とする。
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ、より信頼性のある定量的な測定結果を提供可能になる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、前記抵抗値Rp及び前記抵抗値Rsと以下の式(3)関係を有する電気伝導率Gであることを特徴とする。
Figure 2008007638
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ、より信頼性のある定量的な測定結果を提供可能になる。
また、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、前記抵抗値Rp及び前記容量Cpと以下の式(4)関係を有する時定数τであることを特徴とする。
Figure 2008007638
このような構成にすることで、前記従来技術に比べ、より詳細で信頼性のある定量的な測定結果を提供可能になる。
前記制御部は、個々の前記特徴量抽出部で抽出された特徴量に応じて、前記電流発生部から出力される電流値を測定点毎に設定することが好ましい。
このような構成にすることで、適切な刺激量を調節可能になり、少ない刺激量で効果的な刺激を生体に与えることが可能になる。
本発明は、前記の特徴を備えることにより、皮膚抵抗をより適切に評価することができ、より詳細で定量的で信頼性・再現性のある測定結果が得られる皮膚通電測定装置を提供可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の皮膚通電測定装置の概略構成を示すブロック図である。また、図2A及び図2Bは、前記電流発生部1ならびに前記測定部6のより詳細な構成例を示すブロック図である。この皮膚通電測定装置は、電流発生部1、複数の電極3a〜3i,4,5を含む電極系、電流検出器2a〜2i、測定部6、特徴量検出部7、表示部8、及び制御部20を備える。電流発生部1は少なくとも1つの電流源1〜nを備える。電流系は少なくとも1つの電流印加電極3a〜3i、接地電極4、及び不関電極5を備える。測定部6は、電圧の測定及び電圧測定値の処理のために、少なくとも1つの差動増幅器61a〜61i、プログラマブルゲインアンプ68a〜68i、ローパスフィルタ69a〜69i、A/D変換器65a〜65iを備える。また、測定部6は、電流の測定及び電流測定値の処理のために、プログラマブルゲインアンプ71a〜71i、ローパスフィルタ72a〜72i、及びA/D変換器70a〜70iを備える。制御部20は、電流発生部1、測定部6、特徴量抽出部7、及び表示部8への制御信号を生成する。
個々の電流印加電極3a〜3iは、電流発生部1の対応する電流源1〜nに接続されている。電流印加電極3a〜3iと電流源1〜nの間には電流検出器2a〜2iがそれぞれ介設されている。また、電流印加電極3a〜3iは測定部6の対応する差動増幅器61a〜61iに接続されている。電極系の不関電極5は、電流発生部1の差動増幅器61a〜61iに接続されている。
電流発生部1から発生された電流は、被検体の皮膚30の各測定点(測定点1〜測定点n)へ電流印加電極3a〜3iを通じて印加され、接地電極4へと流れていく。この通電によって生じた個々の電流印加電極3a〜3iと不関電極5との間の皮膚に生じた電圧降下を、前記接地電極4の電位を基準にして測定部6の差動増幅器61a〜61iにより測定する。このような電極系により測定する手法は3電極法と呼ばれ、電流印加電極3a〜3iの直下、つまり、測定点1〜測定点nの直下における皮膚インピーダンスを測定する。
ここで、図1に示してある電極3a〜3i,4,5は全て不分極性の電極であり、例えば、Ag−AgCl(銀−塩化銀)電極を使用する。こうすることで、電極インピーダンスZeと皮膚インピーダンスZsとの関係が常にZs>>Zeとなるので、測定される電流は常に皮膚インピーダンスZsの差異や変動に起因するものとなり、前記分極性電極を使用する従来技術と比較して皮膚抵抗を適切に評価できる。なお、本実施の形態では、不分極性電極を使用することで、Zs>>Zeを満たし易いことから、不分極性電極の使用を前提として記述しているが、Zs>>Zeを満たすのであれば、例えば、Ag(銀)など、比較的分極抵抗が小さい、分極性の電極を使用してもよい。また、皮膚30への接触状態を良好に保つため、電極3a〜3i,4,5と皮膚30との間に、電解質を含んだソリッドゲルもしくはペーストを電極面積と同様の面積に加工し配置する。ここで、ペーストを用いた場合、含まれる水分によって、皮膚の電気的特性の経時変化が激しくなる恐れがあるので、ソリッドゲルがより好ましい。
電流発生部1の各電流源11a〜11iは各測定点へ通電する電流を発生する。ここで、各電流源11a〜11iから発生される両極性パルス電流の振幅、周期、繰り返し回数は制御部20からの制御信号210により設定可能になっている。各電流源11a〜11iから各測定点へ通電する電流の電流値は、各測定部位の皮膚30に電流依存性が認められない電流値となるように、個々の測定点について電流源11a〜11iから出力する電流の電流値が設定されている。電流依存性が認められない電流値を通電する手法は種々あるが、例えば簡易な手法としては以下のものがある。図2Aの各電流源11a〜11iから通電するパルス電流値をゼロから徐々に上昇させていき、同時に測定部6にて、通電によって生じた電圧波形を測定する。測定された電圧波形を通電したパルス電流値にて割ったものを重ね書きすると、もし、電流依存性が認められないならば、パルス電流値が異なっても同一波形になる。そうならない場合の最低の電流値を検出し、その値の半分の電流値によって測定を行うことにする。これを各測定点に対して行う。
図3に前記両極性パルス電流波形i(t)と通電によって皮膚に生ずる電圧波形v(t)の模式図を示す。図3は、皮膚30が前述の図のような等価回路で表現されると考えた場合のものであり、通電開始、つまり正の方向への立ち上がり時刻をt1、正の方向から0への立下り時刻をt2、負の方向への立下り時刻をt3、負の方向から0への立ち上がり時刻をt4、通電終了時刻をt5パルスの振幅をA、パルス幅をTw、パルス周期をTとしている。なお、図3では、周期Tの両極性のパルス電流が1組通電される場合の模式図であるが、本発明はこれを限定するものではなく、図3のようなパルスを複数組通電するなどしても良い。
通電によって各測定点1〜nの皮膚30に生じた電圧は各差動増幅器61a〜61iにより測定され、測定された各測定点1〜nの電圧は必要に応じて各プログラマブルゲインアンプ6a〜6iにより増幅され、各ローパスフィルタ6a〜6iにより不要な高周波成分が除去される。また、各測定点の皮膚に通電された電流は電流検出器2a〜2iにより測定されるが、後述する特徴量抽出部7での処理の簡略化を考慮すると、各測定点での電圧と同じ信号処理を、各測定点に通電した電流に対して行っておいた方が良い。そのため、差動増幅器61a〜61iと同様に、個々の電流検出器2a〜2iに対して、プログラマブルゲインアンプ71a〜71iとローパスフィルタ72a〜72iを設置している。ここで、各プログラマブルゲインアンプ71a〜71i,68a〜68iの増幅率は制御部20からの制御信号211、212によって制御可能にしておく。
なお、本発明は、測定された電流と電圧に対して行う信号処理の順序や手段を限定するものではなく、特徴量抽出部7において所望の特徴量が正確に行えるのであれば、信号処理の順序や手段は特に限定されない。
各測定点に印加した両極性のパルス電流波形i(t)と、各測定での電圧波形v(t)とは各A/D変換器65a〜65i,70a〜70iによってディジタル信号へと変換され、特徴量抽出部7へと送出される。
特徴量抽出部7では、各測定点の皮膚に通電されたパルス電流波形i(t)と、各測定点の皮膚の電圧波形v(t)とから、皮膚の電気的等価回路が単純な1次系(前述の図7に図示するような抵抗値Rpの抵抗801と容量Cpのコンデンサ802の並列接続回路に抵抗値Rsの抵抗803が直列に接続された回路)であると仮定した場合の等価回路のパラメータである抵抗値Rp,Rsと容量Cpを推定する。図4に、図3の電圧波形の一部分(時刻t1〜t2)を拡大したものを示す。ここで、皮膚30の電気的等価回路が図7のように表現されると仮定した場合、パルス電流の振幅をIcとすると測定される理想的な電圧波形Vt(t)は、以下の式(5)で表現される。
Figure 2008007638
上式の抵抗値Rsに関しては、理想的にはt=0における電圧値がVt(0)=Ic・Rsと表現されることを利用して算出できる。しかし、一般的に抵抗値Rsは抵抗値Rpに比べ小さく、また、増幅器の整定時間が有限の値を持つことを考えると、v(0)を正確に測定するのは難しい。従って、v(0)を用いて抵抗値Rsを正確に推定するのは現実的ではない。そこで、本実施形態においては、式(5)に基づいて、Levenberg-Marquardtアルゴリズム等の非線形最小2乗法を用いて、時刻t=0からt=t1において測定されたv(t)をVt(t)にて近似し、得られたRs,Rp,Cpを推定する。また、前記従来技術において使用されている指標である電気伝導率Gを算出するには、図7の等価回路のうち、抵抗成分のみを考えれば良く、特徴量抽出部7はG=1/(Rp+Rs)から電気伝導率Gを算出する。
なお、前記の説明では、推定に利用する時間をt=t1からt=t2としているが、本発明はそれを限定するものではなく、例えば、t=t3からt=t4にするなど、前記等価回路のパラメータRs,Rp,Cpの値を正確に推定できる範囲であればどのような時間的範囲を推定に使用しても良い。
以上のようにして前記特徴量抽出部7にて推定された前記等価回路のパラメータ値Rs,Rp,Cpや前記特徴量Gは表示部8へと送出され、モニタなどの表示手段によって適宜表示される。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の概略構成を示すブロック図は図1と同一であり、第1の実施の形態と同じ構成要素については同じ符号用い、説明を省略する。本実施の形態が、第1の実施の形態と異なる点は、特徴量抽出部7において抽出する特徴量が前記等価回路の時定数τであることであり、その他の構成要素の動作などについては、説明を省略する。以下では、本実施例での特徴量抽出方法の具体的な内容について説明する。
第1の実施の形態では、各測定点の皮膚に通電された電流波形i(t)と、各測定点の皮膚の電圧波形V(t)とから、皮膚の電気的等価回路が単純な1次系であると仮定した場合の等価回路の応答波形Vt(t)が理想的には式(5)で表現されることに基づいて、等価回路の3つのパラメータRs,Rp,Cpを全て推定している。この結果を利用して、特徴量抽出部7が特徴量として時定数τをτ=1/(Rp・Cp)という関係から計算し、表示部8に出力しても良い。しかし、本実施の形態では、以下に示すvt(t)の時間微分波形に着目する。
Figure 2008007638
この時間微分係数は式(5)より、以下の式(6)のように表現される。
Figure 2008007638
ここで、式(6)の両辺を自然対数をとると、以下の式(7)が得られる。
Figure 2008007638
ここで横軸を時間t、縦軸を以下に示す前述のvt(t)の時間微分波形の自然対数とすると平面を考える。
Figure 2008007638
この平面上では、式(7)は以下の傾きと切片を有する直線である。
Figure 2008007638
従って、図5を参照すると、特徴量算出部7では、前記測定部6によって測定された電圧波形v(t)の微分係数の自然対数をとり、この平面にプロットし、t軸方向の直線の傾きを最小2乗法で推定し、推定された傾きの逆数の絶対値として時定数τを得る。この特徴量である時定数τは抵抗成分と容量成分の両者の情報を含んでいることから、より詳細な皮膚の電気的測定の差異が検出可能になる。
ここで、前記実施の形態1,2の説明では、皮膚の電気特性の測定にのみ言及したが、皮膚表面に配置した複数の電極はいわゆる表面刺激電極としても使用できる。例えば特徴量抽出部7にて抽出された各測定点1〜nでの特徴量が小さい程、その測定点は電流が流れ易いということであり、そのような部分はいわゆる経穴として捉えられている。そのような部分を効果的に刺激可能なように、特徴量を基に電流発生部1から出力される電流や、通電する電流印加電極3a〜3iを制御部20にて選択するようにしても良い。こうすることで、初心者でも、効果的な経穴の刺激が可能になる。
なお、上述のように刺激をしている最中、もしくは、刺激後は、皮膚の電気的特性に電流依存性が認められるが、非線形インピーダンスを前記皮膚の電気的等価回路に用いることで、刺激中の皮膚の電気的特性を評価可能になるため、刺激をしながら、前記実施の形態1、2で説明したのと同様に、皮膚の電気的特性を特徴づける特徴量を抽出すれば、ほぼリアルタイムに刺激電流を変化させることが可能になるため、より効率の良い刺激を与えることが可能である。
以上のように、本発明に係わる皮膚通電測定装置は、前記従来技術が有する問題点を可能な限り排除可能であり、前記従来技術に比べ、より詳細で定量的で信頼性・再現性のある測定結果が得られることから、医療分野にて人体の導電率を測定し、それを利用し経穴の位置を探したり、健康度などを評価するなど、皮膚の電気的特性の差異を非侵襲的かつ客観的に評価する差異に有用である。
本発明の第1の実施の形態における概略構成を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態における皮膚通電測定装置の一部の詳細を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態における皮膚通電測定装置の一部の詳細を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態における通電電流波形と電圧波形の模式図。 電圧波形を部分的に拡大した模式図。 本発明の第2の実施の形態における特徴量の抽出動作を説明するための模式図。 従来技術の皮膚通電測定装置を示す模式図。 皮膚の電気的等価回路の模式図。 従来技術の問題点を説明するための模式図。 従来技術の問題点を説明するための電圧波形を示す模式図。 従来技術の問題点を説明するための電流波形を示す模式図。
1 電流発生部
2a〜2i 電流検出器
3a〜3i 電流印加電極
4 接地電極
5 不関電極
6 測定部
7 特徴量抽出部
8 表示部
20 制御部
11a〜11i 電流源
61a〜61i 差動増幅器、
63a〜63i,68a〜68i プログラマブルゲインアンプ
64a〜64i,69a〜69i ローパスフィルタ
65a〜65z A/D変換器
201 握り導子
202 可変直流電圧
203 測定導子
204 可変抵抗
206 検出抵抗、
207 キャップ
210〜212 制御信号

Claims (9)

  1. パルス状の電流を発生可能な電流発生部と、
    皮膚上の複数の異なる測定点上に配置される複数の不分極性の電極を備え、前記電流発生部からの出力電流を、前記複数の測定点に実質的に同時に通電する電極系と、
    前記複数の測定点に通電された電流をそれぞれ検出する複数の電流検出器と、
    前記電流検出器により検出された電流と、前記電極系への通電によって前記複数の測定点の皮膚に生じた電圧を測定する測定部と、
    前記測定部により測定された電流と電圧との関係から、各測定点での電流の流れやすさを特徴づける特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
    前記特徴量抽出部で生成された各測定点での特徴量を表示する表示部と、
    前記電流発生部、前記測定部、及び前記特徴量抽出部への制御信号を生成する制御部と
    を備えることを特徴とする皮膚通電測定装置。
  2. 前記不分極性の電極が銀―塩化銀電極であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚通電測定装置。
  3. 前記電流発生部の発生する前記パルス状の電流が両極性のパルス電流であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚通電測定装置。
  4. 前記制御部は、前記電流発生部から出力される電流の電流値を個々の前記複数の測定点毎に異なる値に設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の皮膚通電測定装置。
  5. 前記制御部は、前記電流発生部から出力される電流の電流値を前記測定点の皮膚の電流依存性が認められない値に設定することを特徴とする請求項4に記載の皮膚通電制御部。
  6. 前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、皮膚の電気的等価回路が第1の抵抗とコンデンサの並列接続に第2の抵抗を直列に接続した回路であるであると仮定した場合の、前記第1の抵抗の抵抗値Rp、前記コンデンサの容量Cp、及び前記第2の抵抗の抵抗値Rsの少なくともいずれか2つに関連することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の皮膚通電測定装置。
  7. 前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、前記抵抗値Rp及び前記抵抗値Rsと以下の関係を有する電気伝導率Gであることを特徴とする請求項6に記載の皮膚通電測定装置。
    Figure 2008007638
  8. 前記特徴量抽出部で抽出される特徴量は、前記抵抗値Rp及び前記容量Cpと以下の関係を有する時定数τであることを特徴とする請求項6に記載の皮膚通電測定装置。
    Figure 2008007638
  9. 前記制御部は、個々の前記特徴量抽出部で抽出された特徴量に応じて、前記電流発生部から出力される電流値を測定点毎に設定することを特徴とする、請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の皮膚通電測定装置。
JP2008524787A 2006-07-10 2007-07-09 皮膚通電測定装置 Expired - Fee Related JP4896133B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008524787A JP4896133B2 (ja) 2006-07-10 2007-07-09 皮膚通電測定装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006189203 2006-07-10
JP2006189203 2006-07-10
PCT/JP2007/063664 WO2008007638A1 (fr) 2006-07-10 2007-07-09 Dispositif mesurant la conductivité de la peau
JP2008524787A JP4896133B2 (ja) 2006-07-10 2007-07-09 皮膚通電測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008007638A1 true JPWO2008007638A1 (ja) 2009-12-10
JP4896133B2 JP4896133B2 (ja) 2012-03-14

Family

ID=38923197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008524787A Expired - Fee Related JP4896133B2 (ja) 2006-07-10 2007-07-09 皮膚通電測定装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20090312666A1 (ja)
JP (1) JP4896133B2 (ja)
CN (1) CN101489476B (ja)
DE (1) DE112007001642T5 (ja)
WO (1) WO2008007638A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109394518A (zh) * 2018-11-14 2019-03-01 佛山市凌远医疗科技有限公司 一种穴位检测治疗系统及使用其的针灸经络笔

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2661766T3 (es) * 2008-01-22 2018-04-03 Yeda Research And Development Company Ltd. Procedimiento y dispositivo para la supervisión de la lactancia materna
WO2011132129A1 (en) * 2010-04-22 2011-10-27 Koninklijke Philips Electronics N.V. Skin contact detector
US20120041332A1 (en) * 2010-08-11 2012-02-16 Georgiy Lifshits Device and method for oriental medicine diagnosis and treatment
RU2528075C2 (ru) * 2012-11-08 2014-09-10 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования Рязанский Государственный Радиотехнический Университет Способ определения электродермальной активности кожи в режиме реального времени и устройство для его осуществления
CA2947024A1 (en) * 2014-04-29 2015-11-05 The Regents Of The University Of California Bio-impedance measurement method using bi-phasic current stimulus excitation for implantable stimulator
KR101792823B1 (ko) 2016-09-06 2017-11-20 주식회사 디자인케이 피부미용장치
KR101695905B1 (ko) * 2016-09-06 2017-01-18 주식회사 디자인케이 피부미용장치
CN106510705B (zh) * 2016-11-03 2019-06-18 上海中嘉衡泰医疗科技有限公司 一种人体体质年龄评估方法
WO2019215687A1 (en) * 2018-05-11 2019-11-14 Vicwood Prosperity Technology Limited Living body detection method and apparatus (touching behavior)
CN109856496B (zh) * 2019-02-25 2020-12-15 绵阳立德电子股份有限公司 一种中性电极监测装置
US11896358B2 (en) * 2020-05-11 2024-02-13 Wellness Allied Inc Device and method for dynamic skin impedance measurement and correction

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3234094B2 (ja) * 1994-03-28 2001-12-04 ヒロセ電機株式会社 皮膚インピーダンスの測定装置
JPH0975419A (ja) 1995-09-14 1997-03-25 Matsushita Electric Works Ltd 良導絡センサー
DE69923183T2 (de) * 1998-07-06 2006-02-23 Pastor, Aleksander Gerät zur feststellung von hautimpedanzveränderungen
US6714814B2 (en) * 2000-03-30 2004-03-30 Tanita Corporation Bioelectrical impedance measuring apparatus
JP2003061926A (ja) 2001-08-27 2003-03-04 Marutaka Co Ltd 皮膚通電測定装置
JP2003126055A (ja) * 2001-10-19 2003-05-07 Gosuke Muteki 経絡のインピーダンス測定装置
CA2379268A1 (en) * 2002-03-26 2003-09-26 Hans Kolpin Skin impedance matched biopotential electrode
US6887239B2 (en) * 2002-04-17 2005-05-03 Sontra Medical Inc. Preparation for transmission and reception of electrical signals
JP4247969B2 (ja) * 2003-05-15 2009-04-02 株式会社 東北テクノアーチ 経穴位置の評価装置
US7542796B2 (en) * 2003-07-16 2009-06-02 Biomeridian International, Inc. Methods for obtaining quick, repeatable, and non-invasive bioelectrical signals in living organisms
DE102004059082A1 (de) * 2004-12-02 2006-06-08 Biotronik Crm Patent Ag Vorrichtung zum Bestimmen der Thorax-Impedanz
JP4881574B2 (ja) * 2005-04-21 2012-02-22 パナソニック株式会社 経穴位置評価装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109394518A (zh) * 2018-11-14 2019-03-01 佛山市凌远医疗科技有限公司 一种穴位检测治疗系统及使用其的针灸经络笔

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008007638A1 (fr) 2008-01-17
CN101489476B (zh) 2011-05-18
DE112007001642T5 (de) 2009-05-28
JP4896133B2 (ja) 2012-03-14
CN101489476A (zh) 2009-07-22
US20090312666A1 (en) 2009-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4896133B2 (ja) 皮膚通電測定装置
Vargas Luna et al. Dynamic impedance model of the skin-electrode interface for transcutaneous electrical stimulation
JP5624669B2 (ja) 生体電気信号計測装置
Grimnes et al. Electrodermal activity by DC potential and AC conductance measured simultaneously at the same skin site
JP2017514618A (ja) 神経測定の改善
EP3330724B1 (en) Simultaneous impedance testing method and apparatus
JP2016509951A (ja) メッシュ構造を用いた生体信号測定および電気刺激装置
CN107233664B (zh) 一种基于针刺穴位阻抗的电针治疗系统
KR100866543B1 (ko) 운동점 측정 및 전자기 자극 치료 장치
US11896358B2 (en) Device and method for dynamic skin impedance measurement and correction
Saadi et al. Electrode-gel-skin interface characterization and modeling for surface biopotential recording: Impedance measurements and noise
Mayer et al. Faradic resistance of the electrode/electrolyte interface
Martinsen et al. Sources of error in AC measurement of skin conductance
JP3234094B2 (ja) 皮膚インピーダンスの測定装置
Vargas Luna et al. Comparison of twitch responses during current‐or voltage‐controlled transcutaneous neuromuscular electrical stimulation
KR100742697B1 (ko) 경혈 측정 시스템 및 방법
Hary et al. Circuit models and simulation analysis of electromyographic signal sources-I: The impedance of EMG electrodes
JP2001112843A (ja) 鍼刺激効果および径穴位置の評価方法および装置
Peuscher Galvanic skin response (GSR)
Iusan et al. Determination of the electrical parameters of some ECG electrodes
Liu et al. On the noise performance of Pt electrodes
Iusan et al. Measuring skin's electrical properties with ECG electrodes The skin's electrical properties under ECG electrodes
Shen et al. Dynamically characterizing bioimpedance of fingertip skin through a developed CVD based electrotactile rendering system
Grimnes et al. Noise properties of the 3-electrode skin admittance measuring circuit
Kukučka et al. THE INFLUENCE OF THE SKIN FATIGUE, ITS PERSPIRATION AND THE TIME OF STIMULATION IN MEASUREMENT OF THE ACTIVE POINTS ON HUMAN SKIN

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100702

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees