JPWO2007119754A1 - 白血病予防用又は治療用の薬剤、並びに飲食物 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な白血病予防用又は治療用の薬剤を提供すること。【解決手段】オリーブ葉由来組成物を少なくとも含有する白血病予防用又は治療用の薬剤、及び、該組成物を少なくとも含有させた、白血病の予防用又は治療用の飲食物を提供する。本発明に係るオリーブ葉由来組成物は、白血病細胞の増殖を抑制する作用を有することに加え、白血病細胞から白血球細胞(正常細胞)への分化誘導作用を有する。従って、本発明に係る薬剤及び飲食物は、白血病の予防又は治療に有用な可能性が高い。その他、本発明に係る薬剤及び飲食物には、長期間、連続的に適用できる可能性が高い、副作用の少ない可能性が高いなどの利点がある。【選択図】図1
Description
本発明は、オリーブ葉由来組成物を含有する白血病予防用又は治療用の薬剤、該組成物を含有させた白血病の予防用又は治療用の飲食物、などに関する。
悪性腫瘍(がん、肉腫など)は、細胞の一部が異常増殖を始める疾患で、周りの正常組織に浸潤して増殖を続け、それらの組織の正常な機能を破壊したり、細胞の一部が身体の他の離れた場所に転移したりする。一般的には、白血病(白血球の悪性腫瘍化)、結腸がん、乳がん、胃がん、肺がん、骨肉腫などのように、発生した臓器・組織ごとに分類されることが多い。
白血病をはじめ、悪性腫瘍は、罹患した際の死亡率が非常に高い疾患である。そこで、各研究機関などにおいて、新規な抗悪性腫瘍剤の開発・スクリーニングが進められている(例えば、特許文献1参照)。
オリーブ(学名「Olea europaea」)はモクセイ科の常緑樹であり、その野生種は地中海沿岸からアフリカ北岸一帯に自生している。古くから、オリーブの果実は、食用油(オリーブオイル)や食材として利用されている。近年、オリーブオイルに多く含有するオレイン酸にコレステロールを下げる作用があることが明らかになり、また、オリーブ果実の有するその他の健康作用についても種々の研究が進められている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−277268号公報
特開2002−316937号公報
本発明は、新規な白血病予防用又は治療用の薬剤を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、オリーブ葉由来組成物が、白血病細胞の増殖を抑制する作用を有すること、及び、白血病細胞から白血球細胞(正常細胞)への分化誘導を引き起こす作用を有することを新規に見出した。
そこで、本発明では、オリーブ葉由来組成物を少なくとも含有する白血病予防用又は治療用の薬剤、及び、該組成物を少なくとも含有させた、白血病の予防用又は治療用の飲食物を提供する。
前記の通り、本発明に係るオリーブ葉由来組成物は、白血病細胞の増殖を抑制する作用を有することに加え、白血病細胞から白血球細胞(正常細胞)への分化誘導作用を有する。従って、本発明に係る薬剤及び飲食物は、白血病の予防又は治療に有用な可能性が高い。
本発明に係る薬剤及び飲食物に含有するオリーブ葉由来組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、エタノール又は熱水で抽出することができる。
本発明に係る薬剤及び飲食物に含有するオリーブ葉由来組成物は、白血病予防用又は治療用効果を有すれば、その有効成分は特に限定されないが、好ましくは、有効成分として、apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinを含むものが良い。この場合、apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinにより、白血病細胞から白血球細胞への分化が誘導される。apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinは、両者とも単独でも白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用を有するが、両者を一緒に含有するオリーブ葉由来組成物では、apigenin 7-O-glucosideの分化誘導作用を、oleuropeinが制御するという効果が生じる。
加えて、本発明に係る薬剤及び飲食物には、次のような有利性がある。
本発明に係る化合物は、植物由来成分であるため、長期間、連続的に適用できる可能性が高い。また、長期間、連続的に適用しても、副作用は少ない可能性が高い。従って、例えば、本発明に係る化合物を、健常者がサプリメント・健康飲食物などとして長期間、連続的に適用することにより、白血病の発生を予防できる可能性がある。加えて、白血病を発症している場合でも、長期間、連続的な適用が可能であるため、白血病の悪化を抑制できる可能性があり、また、根本治療にも一定の効果がある可能性がある。
本発明に係る薬剤及び飲食物は、白血病の予防又は治療に有用な可能性が高い。その他、本発明に係る薬剤及び飲食物には、長期間、連続的に適用できる可能性が高い、副作用の少ない可能性が高いなどの利点がある。
<本発明に係る薬剤について>
本発明に係る薬剤は、オリーブ葉由来組成物を含有していればよい。
本発明に係る薬剤は、オリーブ葉由来組成物を含有していればよい。
オリーブ葉由来組成物は、例えば、オリーブ葉から溶媒(例えば、エタノールなどの有機溶媒、熱水など)で抽出することにより、又は、その抽出物を濃縮・精製などすることにより得ることができる。また、オリーブ葉又はその乾燥物を破砕などして得てもよい。
なお、溶媒抽出、濃縮・精製などの手順は公知の方法を用いることができる。
なお、溶媒抽出、濃縮・精製などの手順は公知の方法を用いることができる。
用いるオリーブの品種などについては、特に限定されないが、例えば、Chemchali種、Chemlali種、Chetoui種、Gerboui種、Sayali種、Zalmati種、Zarrazi種などのチュニジア原産種オリーブがより好適である。
また、本発明に係る薬剤に含有するオリーブ葉由来組成物は、白血病予防用又は治療用効果を有すれば、その作用機序は特に限定されないが、白血病細胞の増殖を抑制する作用を有することに加え、白血病細胞から白血球細胞(正常細胞)への分化誘導作用を有すると良い。その場合の有効成分は特に限定されないが、好ましくは、有効成分として、apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinを含むものが良い。この場合、apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinにより、白血病細胞から白血球細胞への分化が誘導される。
apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinは、両者とも単独でも白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用を有する。しかし、両者を一緒に含有するオリーブ葉由来組成物では、apigenin 7-O-glucosideの分化誘導作用を、oleuropeinが制御できるという効果が生じる。例えば、oleuropeinの含有量によって、apigenin 7-O-glucosideの分化誘導作用を増強させたり、逆に減少させたりすることが可能である。
オリーブ葉由来組成物中のapigenin 7-O-glucosideの濃度は、特に限定されないが、好ましくは2.7×10−6μM以上である。オリーブ葉由来組成物の白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用は、apigenin 7-O-glucosideの濃度に依存するからである。即ち、apigenin 7-O-glucosideの濃度が2.7×10−6μM未満であると、前記分化誘導作用が十分に得られない。
オリーブ葉由来組成物中のoleuropeinの濃度は、好ましくは4.8×10−6μM未満である。オリーブ葉由来組成物中のoleuropein濃度が4.8×10−6μMを超えると、オリーブ葉由来組成物中のapigenin 7-O-glucosideの白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用を減弱してしまうからである。
本発明に係る薬剤の剤型は特に限定されない。例えば、経口剤(散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、丸剤など)、外用剤(軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、外用液剤、点眼液剤、点鼻液剤、吸入剤、坐剤、スプレーなど)、注射剤などとして用いることができる。
経口剤の場合、例えば、本発明に係る化合物に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、矯味剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤などを適宜含有させてもよい。
外用剤の場合、例えば、本発明に係る化合物に、基材、保存剤、乳化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤などを適宜含有させてもよい。
注射剤の場合、例えば、本発明に係る化合物に、溶剤、安定剤、溶解補助剤、懸濁化剤、保存剤、等張化剤などを適宜含有させてもよい。
<本発明に係る飲食物について>
本発明に係る飲食物は、オリーブ葉からエタノール又は熱水で抽出することにより得られたオリーブ葉由来組成物を含有させたものであればよい。
本発明に係る飲食物は、オリーブ葉からエタノール又は熱水で抽出することにより得られたオリーブ葉由来組成物を含有させたものであればよい。
例えば、保健機能食品(特定保健機能食品、栄養機能食品など)、いわゆる健康飲食物、その他の各種飲食物などに含有させたり、各種調味料などに配合したりすることができる。また、口中に一時的に含むもの、例えば、歯磨剤、染口剤、チューインガム、うがい剤などに含有させてもよい。
実施例1では、オリーブ葉由来組成物に、白血病細胞に対する増殖抑制作用があるかどうかを、MTTアッセイにより検討した。
MTTアッセイは、生存細胞数を相対的に測定する方法である。MTT(3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide)は、生細胞中のミトコンドリア内脱水素酵素(フタル酸脱水素酵素)により、MTTホルマザンに還元される。産生されたMTTホルマザン量と生存細胞数は比例する。従って、培養細胞中にMTT試薬を添加などした後、550〜600nmにおける吸光度を測定してMTTホルマザン産生量(相対値)を取得することにより、生存細胞数を相対的に測定できる。
本実施例では、白血病細胞にオリーブ葉由来組成物を添加した後、MTTアッセイを行い、白血病細胞の生存細胞数を測定した。そして、白血病細胞の生存細胞数を測定することにより、オリーブ葉由来組成物に、白血病細胞に対する増殖抑制作用があるかどうかを調べた。
実験手順の概要を以下に示す。
オリーブ葉には、以下のチュニジア原産種オリーブの葉を用いた。Chemchali種(以下、「C1種」と略す)、Chemlali種(以下、「C2種」と略す)、Chetoui種(以下、「C3種」と略す)、Gerboui種(以下、「G種」と略す)、Sayali種(以下、「S種」と略す)、Zalmati種(以下、「Z1種」と略す)、Zarrazi種(以下、「Z2種」と略す)。
オリーブ葉由来組成物のサンプル調製手順は、以下の通りである。まず、乾燥させたオリーブ葉10gを破砕した後、70%エタノール100mlに浸漬し、少なくとも一週間室温で静置した。そして、得られたオリーブ葉由来成分のエタノール抽出溶液を、孔径0.45μmのフィルター(日本ミリポア株式会社製)でろ過滅菌し、サンプル(溶液)を得た。なお、各サンプルは、使用時まで−80℃条件下で保存した。
白血病細胞には、HL60細胞を用いた。この細胞は、急性前骨髄球性白血病患者の末梢血から樹立された培養細胞で、前骨髄球性の白血病細胞である。HL60細胞の培養には、フェノールレッド非存在RPMI−1640培地(GIBCO社製、以下同じ)に、ウシ胎仔血清(FBS;Fetal bovine serum、Sigma社製、以下同じ)を最終濃度で10%、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(ペニシリン5,000IU/ml、ストレプトマイシン5,000μl/mlをそれぞれ含有、ICN Biomedicals Inc.製、以下同じ)を最終濃度で1%、それぞれ添加した培地を用いた。CO2インキュベーター(CO2濃度5%、加湿条件、以下同じ)で、37℃条件下で培養し、2日ごとに、顕微鏡による細胞の成長の監視と培地交換を行った。
まず、HL60細胞を60〜80%コンフルエントの状態に培養した後、96wellプレート(Falcon社製)の各ウエルに2×104cells/100μLずつHL60細胞を播種し、一晩、37℃条件下で培養した。なお、エッジ効果の影響を最小限にするため、96wellプレートの両端の2列(第1列、第2列、第11列、第12列)の各ウエルをコントロールとし、第1列及び第12列のウエルには、細胞を添加せず、培地のみを入れ、第2列及び第11列には、後述するサンプルを添加せず、細胞液のみを入れた。
次に、オリーブ葉由来組成物のサンプルの最終濃度がそれぞれ1/10,000、1/1,000、1/500、1/100になるように、各ウエルに、サンプルを添加し、48時間培養した。
次に、MTT試薬(株式会社同仁化学研究所製)をPBSで5mg/mLに溶解した後、各ウエルに10μLずつ添加し、24時間培養した。次に、10%SDS溶液を各ウエルに100μL添加後、一晩、CO2インキュベーター内に放置し、MTTホルマザンを完全に溶解させた。
次に、プレートリーダー(「POWERSCAN HT」、大日本製薬株式会社製、「POWERSCAN」は登録商標)で570nmにおける吸光度を測定し、MTTホルマザン産生量(相対値)の値を得た。
結果を図1に示す。
図1は、HL60細胞にオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフである。
グラフの縦軸は細胞の生存率(Cell Viability)を表す。なお、縦軸の数値は、オリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における各測定値を、コントロール(サンプルを添加しなかった場合)の測定値で除し、100を乗じて算出した値(% of control)である。
グラフ中、「C1」はC1種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C2」はC2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C3」はC3種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「G」はG種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「S」はS種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「Z1」はZ1種のオリーブ葉の抽出サンプルを用いた場合の結果であることを、「Z2」はZ2種のオリーブ葉の抽出サンプル添加した場合の結果であることを、それぞれ表す。
グラフ中、オリーブ種ごとに表された各5つの棒線のうち、一番左側の棒線(「0」の棒線)はコントロール(サンプル溶液を添加しなかった場合)の結果を示し、左から2番目から5番目の各棒線(それぞれ、「1/10,000」「1/1,000」、「1/500」、「1/100」の棒線)は、オリーブ葉由来組成物のサンプルの最終濃度が、それぞれ、1/10,000、1/1,000、1/500、1/100の濃度になるようにサンプルを添加した場合の結果を表す。
図1に示す通り、オリーブ葉由来組成物のサンプルの最終濃度が1/100になるようにサンプルを添加した場合、どの種類のオリーブ葉を用いた場合でも、サンプル溶液を添加しなかった場合(コントロール)と比較して、白血病細胞の細胞生存率が減少した。また、S種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合、白血病細胞の細胞生存率が、濃度依存的に減少した。これらの結果は、オリーブ葉由来組成物に、白血病細胞に対する増殖抑制作用があることを示唆する。
実施例2では、オリーブ葉由来組成物を添加した場合における白血病細胞の形態変化を顕微鏡観察した。
まず、実施例1と同様の方法により、各種オリーブの葉からオリーブ葉由来組成物のサンプルを調製した。そして、オリーブ葉由来組成物の各サンプルの最終濃度が1/100になるように、それぞれ、HL60細胞にサンプルを添加し、その24時間後に、白血病細胞の形態変化を顕微鏡観察した。
結果を図2に示す。
図2は、オリーブ葉由来組成物を添加した場合における白血病細胞の形態変化を示す顕微鏡写真である。
図2中、「C1」はC1種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C2」はC2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C3」はC3種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「G」はG種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「S」はS種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「Z1」はZ1種のオリーブ葉の抽出サンプルを用いた場合の結果であることを、「Z2」はZ2種のオリーブ葉の抽出サンプル添加した場合の結果であることを、それぞれ表す。
図2に示す通り、どの種のオリーブ葉由来組成物を添加した場合でも、HL60細胞の形態変化が観察された。また、どの種のオリーブ葉由来組成物を添加した場合でも、いくつかのHL60細胞では、顆粒球・単球などへの分化誘導が観察された(例えば、図中の矢印など参照)。
以上の結果は、オリーブ葉由来組成物が、白血病細胞の細胞増殖を抑制すること、及び、白血病細胞から白血球細胞への分化を誘導することを示唆する。即ち、本実験結果は、オリーブ葉由来組成物が、白血病の治療剤として有効な可能性を示唆する。
実施例3では、オリーブ葉由来組成物により、白血病細胞のアポトーシスが誘導されるか、DNA断片化アッセイ(DNA fragmentation assay)により検討した。
まず、ペトリ皿にHL60細胞を5×105cells/mlの濃度で播種し、実施例1で調製したオリーブ葉由来組成物のサンプルを、その最終濃度が1/100になるように添加し、19時間培養した。次に、遠心分離により、培養した細胞を集め、上清を除去した。次に、集めた細胞にPBSを1ml添加して撹拌した後、1.5mlエッペンドルフチューブに移した。
次に、DNA精製キット「Wizard Genomic DNA Purification kit(プロメガ株式会社製)」を用いて、細胞からDNAを抽出した。
次に、抽出したDNA溶液10μlにローディングバッファー2μlを加え、その溶液をゲル上の各ウエルに入れた後、電気泳動を行った。電気泳動用ゲルには2%アガロースゲルを用い、50Vの電圧で25分間、電気泳動を行った。そして、電気泳動を止め、エチジウムブロマイドでDNAを染色し、紫外光を照射してDNAのバンドを観察した。
結果を図3に示す。
図3は、オリーブ葉由来組成物を添加した場合におけるDNA断片化アッセイの結果を示す電気泳動写真である。
図3中、レーン「1」は分子量マーカーを電気泳動した場合のバンドを、レーン「2」はコントロール(オリーブ葉由来組成物のサンプルを添加しない細胞からDNA抽出を行った場合のバンド)を、レーン「3」はC1種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、レーン「4」はC2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、レーン「5」はC3種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、レーン「6」はG種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、レーン「7」はS種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、レーン「8」はZ1種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、レーン「9」はZ2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した細胞からDNA抽出を行った場合のバンドを、それぞれ表す。
図3に示す通り、レーン3からレーン9(特に、レーン3、レーン4、及び、レーン8)では、DNAラダー(DNAの断片化により、主なバンドよりも下方(低分子側)に連続的に見られるバンド)が観察された。このことは、オリーブ葉由来組成物を添加することにより、白血病細胞のアポトーシスが誘導されたことを示唆する。
実施例4では、オリーブ葉由来組成物により白血病細胞の分化が誘導されるかどうかを、NBTアッセイにより検討した。
NBTアッセイは、白血病細胞から白血球への分化誘導率を取得する方法である。白血病細胞が白血球に分化すると、活性酸素生成能が上昇することが知られている。一方、活性酸素は、NBT(Nitroblue tetrazolium)を還元してホルマザン沈澱(青色)を生じさせる。そこで、目的の物質(本実施例ではオリーブ葉由来組成物)を添加した場合にホルマザン沈殿を生成した白血病細胞の細胞数をカウントし、そのカウント数を全細胞数で除することにより、NBT還元能(即ち、白血病細胞から白血球への分化誘導率)を取得する。なお、このNBTアッセイは、抗腫瘍物質のスクリーニング方法として、一般的に利用されている。
実験手順の概要を以下に示す。
まず、ペトリ皿に3×105cells/mlの濃度のHL60細胞液を1ml入れ、実施例1で調製したオリーブ葉由来組成物のサンプルを、その最終濃度が1/100になるように添加し、一晩、培養した。
次に、RPMI−1640培地に、ウシ胎仔血清を最終濃度で10%、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液を最終濃度で1%、NBT試薬(和光純薬株式会社製)を最終濃度で0.1%それぞれ添加した培地を準備した。そして、細胞を集めた後、その培地に3×105cells/mlの濃度の細胞液を1ml入れ、37℃条件下で2〜3時間培養した。
次に、位相差顕微鏡を用いて、全細胞数及びホルマザン沈澱(青色)を生じた細胞の細胞数をそれぞれカウントした。そして、ホルマザン沈殿を生成した白血病細胞の細胞数を全細胞数で除し、NBT還元能を取得した。
結果を図4に示す。
図4は、オリーブ葉由来組成物を添加した場合におけるNBTアッセイの結果を示すグラフである。
このグラフの縦軸はNBT還元能(NBT reduction ability)を表す。なお、縦軸の数値は、ホルマザン沈殿を生成した白血病細胞の細胞数を全細胞数で除した値(%)である。
グラフ中、「control」はコントロール(オリーブ葉を添加しなかった場合の結果であること)を、「G」はG種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C1」はC1種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C2」はC2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C3」はC3種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「S」はS種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「Z1」はZ1種のオリーブ葉の抽出サンプルを用いた場合の結果であることを、「Z2」はZ2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、それぞれ表す。
図4に示す通り、どの種類のオリーブ葉を用いた場合でも、コントロールと比較して、NBT還元能が大幅に上昇した。NBT還元能の上昇は、G種のオリーブ葉を用いた場合に特に顕著だった。これらの結果は、オリーブ葉由来組成物には、白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用があることを示唆する。
実施例5では、オリーブ葉由来組成物により白血病細胞から顆粒球又は単球への分化が誘導されるかどうかを、エステラーゼ染色により検討した。
まず、8ウエルのLab−Tekチェンバースライド(「Lab−Tek」は登録商標、ナルゲ ヌンク インターナショナル コーポレーション製)にRPMI培地を入れ、2×105cells/mlのHL60細胞を1ml播種し、一晩、培養した。次に、実施例1で調製したオリーブ葉由来組成物のサンプルを、その最終濃度が1/100になるように添加し、24時間、培養した。
次に、細胞の固定を行った。固定液には、クエン酸塩25ml、アセトン65ml、37%ホルムアルデヒド8mlの混合溶液を用いた。
次に、NAE(α−Naphthyl acetate esterase、米Sigma−Aldrich社製、以下同じ)及びNCAE(naphtol As−D chloroacetate esterase、米Sigma−Aldrich社製、以下同じ)を用いて、付属プロトコルに従い、固定した細胞に対して、エステラーゼ二重染色を行った。なお、NAEは非特異的エステラーゼであり、主に単球系の細胞を、顆粒状に、黒色に染色する。NCAEは特異的エステラーゼであり、顆粒球系の細胞を、顆粒状に、赤色に染色する。
結果を図5及び図6に示す。
図5は、各オリーブ葉由来組成物を添加した白血球細胞をエステラーゼ染色した場合における、倍率200倍の顕微鏡写真である。図6は、図5のうち、G種のオリーブ葉由来組成物を添加した白血球細胞をエステラーゼ染色した場合における顕微鏡写真を拡大した写真であって、倍率400倍の顕微鏡写真である。
図5中、「control」はコントロール(オリーブ葉を添加しなかった場合の結果であること)を、「G」はG種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C1」はC1種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C2」はC2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「C3」はC3種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「S」はS種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、「Z1」はZ1種のオリーブ葉の抽出サンプルを用いた場合の結果であることを、「Z2」はZ2種のオリーブ葉の抽出サンプルを添加した場合の結果であることを、それぞれ表す。
図5に示す通り、C2種及びS種のオリーブ葉由来組成物を添加した場合における顕微鏡写真を除き、全ての顕微鏡写真で、赤色及び黒色に染色された細胞が観察された(なお、赤色に染色された細胞の一例として矢印で示す部分を、黒色に染色された細胞の一例として三角印で示す部分を、それぞれ参照)。特に、G種のオリーブ葉由来組成物を添加した場合における顕微鏡写真では、赤色及び黒色に染色された細胞が顕著に観察された(図5中、「G」の顕微鏡写真の枠で囲まれた部分、及び、図6を参照)。これらの結果は、オリーブ葉由来組成物により白血病細胞から顆粒球又は単球への分化が誘導されることを示す。
なお、前記の通り、本実施例では、C2種及びS種のオリーブ葉由来組成物を添加した場合、赤色又は黒色に染色された細胞はほとんど観察されなかった。しかし、実施例4において、これらのオリーブ葉由来組成物を添加した場合でも、NBT還元能は35%以上であった。この点に関して、C2種及びS種のオリーブ葉由来組成物が、白血病細胞から顆粒球・単球以外の白血球細胞への分化を誘導した可能性が考える。
実施例6では、オリーブ果実由来組成物にも、白血病細胞に対する増殖抑制作用があるかどうかを、MTTアッセイにより検証した。
実験手順の概要は実施例1と同様である。即ち、C1種、C2種、C3種、S種のオリーブ果実から抽出したオリーブオイルを、それぞれサンプルとして作製し、HL60細胞を播種した96wellプレートを準備し、最終濃度がそれぞれ1/1,000、1/500、1/100、1/10になるように、各ウエルに各種オリーブオイルを添加し、48時間培養した後、MTTアッセイを行い、各オリーブオイルにHL60細胞に対する増殖抑制作用があるかどうかを検証した。なお、各種オリーブオイルは、各種オリーブ果実を破砕後、押搾して得た。
結果を図7に示す。図7は、HL60細胞に各種オリーブオイルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフである。
図1と同様、グラフの縦軸は細胞の生存率(Cell Viability)を表し、「C1」はC1種のオリーブ果実から抽出したオリーブオイルを添加した場合の結果であることを、「C2」はC2種のオリーブ果実から抽出したオリーブオイルを添加した場合の結果であることを、「C3」はC3種のオリーブ果実から抽出したオリーブオイルを添加した場合の結果であることを、「S」はS種のオリーブ果実から抽出したオリーブオイルを添加した場合の結果であることを、それぞれ表す。
また、図1と同様、グラフ中、オリーブ種ごとに表された各5つの棒線のうち、一番左側の棒線(「0」の棒線)はコントロール(サンプル溶液を添加しなかった場合)の結果を示し、左から2番目から5番目の各棒線(「1/1,000」、「1/500」、「1/100」、「1/10」の棒線)は、オリーブオイルの最終濃度が、それぞれ、「1/1,000」、「1/500」、「1/100」、「1/10」の濃度になるようにオリーブオイルを添加した場合の結果を表す。
図7に示す通り、オリーブオイルを添加した場合には、白血病細胞の細胞生存率は、ほとんど変化しなかった。実施例1(図1)の結果を勘案すると、これらの実験結果は、白血病細胞に対する増殖抑制作用の有効成分が、オリーブ果実にはほとんど含有しない成分であることを示唆する。
実施例7では、オリーブ葉由来組成物に、結腸がん細胞及び乳がん細胞に対する増殖抑制作用があるかどうかを、MTTアッセイにより検討した。
本実施例では、結腸がん細胞として、ヒト結腸がん由来の培養細胞であるCaco−2細胞を、乳がん細胞として、ヒト乳がん由来の培養細胞であるMCF7細胞を、それぞれ用いた。実験手順の概要は実施例1と同様である。
結果を図8〜図14に示す。
図8は各細胞にC1種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図9はC2種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図10はC3種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図11はG種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図12はS種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図13はZ1種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図14はZ2種のオリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、である。
各グラフの縦軸は細胞の生存率(Cell Viability)を表す。算出方法は実施例1と同様である。
各グラフ中、「Caro−2」の各棒線は、各オリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合におけるCaco−2細胞の生存率を、「MCF−7」の各棒線は、各オリーブ葉由来組成物のサンプルを添加した場合におけるCaco−2細胞の生存率を、それぞれ表す。
各グラフ中、「0」に示す棒線はサンプルを添加しなかった場合(コントロール)の結果であり、「1/10,000」「1/1,000」、「1/500」、「1/100」に示す棒線は、サンプルを各濃度添加した場合の結果である。
図8から図14に示す通り、オリーブ葉由来組成物のサンプルの最終濃度が1/100になるようにサンプルを添加した場合、どの種類のオリーブ葉を用いた場合でも、サンプル溶液を添加しなかった場合(コントロール)と比較して、結腸がん細胞及び乳がん細胞の細胞生存率が減少した。これらの結果は、オリーブ葉由来組成物に、結腸がん細胞及び乳がん細胞に対する増殖抑制作用があることを示唆する。
実施例8では、オリーブ果実由来組成物にも、結腸がん細胞に対する増殖抑制作用があるかどうかを、MTTアッセイにより検証した。
実験手順の概要は実施例1と同様である。結腸がん細胞には、実施例8と同様、Caco−2細胞を用いた。サンプルとして、各種オリーブの果実から抽出したオリーブオイル、各種オリーブの葉からエタノール抽出して得た溶液、各種オリーブから熱水抽出して得た溶液をそれぞれ作製し、用いた。なお、オリーブオイルは実施例6と同様の手順で調製して、エタノール抽出溶液は実施例1と同様の手順で調製して、熱水注出溶液はオリーブ葉を破砕後熱水に入れて煮沸して、それぞれ得た。
結果を図15〜図21に示す。
図15は細胞にC1種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図16はC2種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図17はC3種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図18はG種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図19はS種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図20はZ1種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、図21はZ2種のオリーブオイル、オリーブ葉エタノール抽出画分、又は、オリーブ葉熱水抽出画分を添加した場合における細胞生存数を示すグラフ、である。
各グラフの縦軸は細胞の生存率(Cell Viability)を表す。算出方法は実施例1と同様である。各グラフの横軸(「Sample dilution magnification」)はサンプル添加濃度(最終濃度)を表す。
各グラフ中、「Olive oil」の曲線はオリーブの果実から抽出したオリーブオイルを添加した場合におけるCaco−2細胞の生存率を、「Ethanol」の曲線はエタノール抽出したオリーブ葉由来組成物を添加した場合におけるCaco−2細胞の生存率を、「Water」の曲線は熱水抽出したオリーブ葉由来組成物を添加した場合におけるCaco−2細胞の生存率を、それぞれプロットして得た近似曲線である。
図15から図21に示す通り、いずれのオリーブ種由来のサンプルを用いた場合においても、オリーブオイルを添加した場合には、結腸がん細胞の細胞生存率はほとんど変化しなかった。それに対し、オリーブ葉からエタノール抽出したサンプル(オリーブ葉エタノール抽出画分)及びオリーブ葉から熱水抽出したサンプル(オリーブ葉熱水抽出画分)では、特に、サンプルの最終濃度が1/100になるようにサンプルを添加した場合において、ほぼ同等に、結腸がん細胞の細胞生存率が減少した。
これらの結果は、結腸がん細胞に対する増殖抑制作用の有効成分が、オリーブ果実(オリーブオイル)にはほとんど含有しないが、オリーブ葉のエタノール抽出画分又は熱水抽出画分には含有する成分であることを示唆する。
実施例9では、オリーブ葉抽出物の細胞分化誘導作用のメカニズムを解明するため、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)により、オリーブ葉抽出物に含まれるフェノール類の定量を行った。
具体的には、実施例1で調整した各種サンプル(各チュニジア原産種オリーブ葉抽出物)に含まれるフェノール類の定量を行った。各フェノール類の定量は、高速液体クロマトグラフ(日本分光株式会社製)を用いて行った。分析用カラムには、表1に示す逆相(RP−18)Lichrospher100カラムを用い、カラム温度は30℃に維持した。
表2に示す溶離液A、及び、溶離液Bを用い、表3に示す溶出勾配に従って行った。
全フェノール類の定量は、標準物質p-ヒドロキシフェニル酢酸を用い、波長280nmの吸光度にて行い、フラボンの定量は、標準物質o-クマル酸を用い、波長335nmの吸光度にて行った。
その結果、各種サンプル(各チュニジア原産種オリーブ葉抽出物)からは、いくつかの成分が検出されたが、その中で比較的含有量が多かったのはフラボノイド化合物apigenin 7-O-glucosideとoleuropeinだった。表4に各種サンプル(各チュニジア原産種オリーブ葉抽出物)を100倍希釈した場合におけるapigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinの含有量を示す。
実施例10では、二重染色エステラーゼアッセイにより、フラボノイド化合物apigenin 7-O-glucosideとoleuropeinの細胞分化率への影響を調べた。
以下、具体的方法を示す。HL60細胞(6×104cells/well)溶液300μLをガラスチャンバー(8-well Lab Tek(登録商標)、 Nalge Nunc International, Apolgent Technologie Company, USA)に移した後、一晩インキュベーターにて培養した。そして、apigenin 7-O-glucoside (Fluka, USA)とoleuropein (Extrasynthese, France)を前記HL60細胞に添加し、さらに24時間インキュベートした。
前記HL60細胞を25mLのクエン酸塩、65mLのアセトン、8mLの37%ホルムアルデヒド(CAF)にて固定した後、市販のキット(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を用いて特異的・非特異的エステラーゼ活性の確認を行った。単球(黒い粒)と顆粒球(赤い粒)それぞれの確認には、α-Naphtyl acetate esterase (NAE)とnaphtyl As-D chloroacetate esterase (NCAE)を用いた。
以上のことを、表5(I)〜(VII)に示す各濃度において行い、それぞれの濃度での分化率を比べた。
結果を図22に示す。図22に示す通り、apigenin 7-O-glucoside単独添加でも、分化誘導を引き起こすことが分かった(図22中(IV)、(V)参照)。また、図22中(IV)、(V)の結果を参照すると、apigenin 7-O-glucosideの濃度は、少なくとも2.7×10−6μM以上が好ましいと考えられる。特に、5.4×10−6μM付近では、高い分化誘導作用が認められる。
また、oleuropein単独添加でも、分化誘導を引き起こすことが分かった(図22中(II)、(III)参照)。しかし、図22中(II)、(III)の結果を参照する限り、oleuropeinの濃度によっては、分化誘導作用が減弱すると考えられる。
更に、図22中(VI)に示す通り、apigenin 7-O-glucosideとoleuropeinの両方を添加することにより、単独添加に比べて、分化誘導作用は増強することが分かった。しかし、図22中(VII)に示す通り、oleuropeinの濃度によっては、分化誘導作用を減弱させてしまうことも分かった。
実施例9、及び10では、オリーブ葉抽出物中で分化誘導を引き起こす主な成分は、Apigenin 7-O-glucosideであり、また、オリーブ葉抽出物中のoleuropein濃度によってその分化誘導作用が増減することが分かった。
また、実施例10で最も高い分化率を示すapigenin 7-O-glucosideとoleuropeinの濃度(図22中(VI)参照)は、実施例4において最も高い効果を示したG種のオリーブ葉抽出物のapigenin 7-O-glucosideとoleuropeinの濃度と一致した(表5参照)。
以上より、apigenin 7-O-glucoside濃度が2.7×10−6μM以上で、かつ、oleuropein濃度が4.8×10−6μM未満の場合に、良好な分化誘導作用が期待できることが分かった。その中でも特に最適な濃度としては、apigenin 7-O-glucoside濃度が5.4×10−6M付近、oleuropein濃度が2.4×10−6M付近であると示唆される。
Claims (6)
- オリーブ葉由来組成物を少なくとも含有する白血病予防用又は治療用の薬剤。
- 白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の薬剤。
- オリーブ葉からエタノール又は熱水で抽出することにより得られたオリーブ葉由来組成物を少なくとも含有させた、白血病の予防用又は治療用の飲食物。
- 前記オリーブ葉由来組成物は、apigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinを有効成分として含むことを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれか一項に記載の薬剤。
- 前記オリーブ葉由来組成物中のapigenin 7-O-glucoside及びoleuropeinにより、白血病細胞から白血球細胞への分化を誘導することを特徴とする請求の範囲第4項記載の薬剤。
- 前記apigenin 7-O-glucosideの白血病細胞から白血球細胞への分化誘導作用を、前記oleuropeinが制御することを特徴とする請求の範囲第5項記載の薬剤。
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