本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態によるマルチホップ無線ネットワークシステム10の概略図である。マルチホップ無線ネットワークシステム10は、無線装置M1〜M9を備える。無線装置M1〜M9は、無線通信空間に配置される。そして、無線装置M1〜M9の各々は、他の無線装置を介して送信先の無線装置との間で無線通信を行なう。例えば、無線装置M1は、無線装置M2,M5を介して無線装置M8と無線通信を行ない、無線装置M4は、無線装置M7,M8を介して無線装置M9と無線通信を行なう。
図2は、図1に示す無線装置M1の構成を示す概略ブロック図である。無線装置M1は、アンテナ11と、入力部12と、出力部13と、ユーザアプリケーション14と、通信制御部15とを含む。
アンテナ11は、無線通信空間を介して他の無線装置からデータを受信し、その受信したデータを通信制御部15へ出力するとともに、通信制御部15からのデータを無線通信空間を介して他の無線装置へ送信する。
入力部12は、無線装置1の操作者が入力したメッセージおよびデータの宛先を受付け、その受付けたメッセージおよび宛先をユーザアプリケーション14へ出力する。出力部13は、ユーザアプリケーション14からの制御に従ってメッセージを表示する。
ユーザアプリケーション14は、入力部12からのメッセージおよび宛先に基づいてデータを生成して通信制御部15へ出力する。
通信制御部15は、ARPA(Advanced Research Projects Agency)インターネット階層構造に従って、通信制御を行なう複数のモジュールからなる。即ち、通信制御部15は、無線インターフェースモジュール16と、MAC(Media Access Control)モジュール17と、上位層18とからなる。
無線インターフェースモジュール16は、物理層に属し、所定の規定に従って送信信号または受信信号の変復調を行なうとともに、アンテナ11を介して信号を送受信する。
MACモジュール17は、MAC層に属し、上位層18からIPパケットを受け、その受けたIPパケットにMACヘッダを付加してパケットPKTを作成する。
MACモジュール17は、作成したパケットPKTを送信先へ送信する場合、パケットPKTをEDCA方式によって、複数のアクセスカテゴリ(AC:Access Category)に分類し、優先度が高いアクセスカテゴリACに属するパケットPKTを優先的に送信先へ送信する。
そして、MACモジュール17は、各アクセスカテゴリACに属するパケットPKTを送信先へ送信する場合、後述するアドミッションコントロールに従ってパケットPKTを送信先へ送信する。
上位層18は、インターネット層、トランスポート層およびプロセス/アプリケーション層からなり、ユーザアプリケーション14から受けたデータに基づいてIPパケットを生成する。IPパケットは、IPヘッダと、データを格納するためのIPデータ部とからなる。そして、上位層18は、ユーザアプリケーション14からデータを受けると、その受けたデータをIPデータ部に格納してIPパケットを生成する。
上位層18は、IPパケットを生成すると、その生成したIPパケットを送信する経路を決定し、その決定した経路に沿ってIPパケットを送信先の無線装置へ送信するように、IPパケットをMACモジュール17へ送信する。
この場合、上位層18は、テーブル駆動型のプロトコルおよびオンデマンド型のプロトコルのいずれかのプロトコルを用いて送信先の無線装置までの経路を決定する。
なお、図1に示す無線装置M2〜M9の各々も、図2に示す無線装置M1の構成と同じ構成からなる。
図3は、図2に示すMACモジュール17の機能ブロック図である。MACモジュール17は、分類部171と、キュー172A,172B,172C,172Dと、EDCAコントロール部173A,173B,173C,173Dと、スケジューラー174と、送信部175と、測定部176と、制御部177と、受信部178と、識別部179とを含む。
分類部171は、上位層18からIPパケットを受け、その受けたIPパケットにMACヘッダを付加してパケットPKTを作成する。そして、分類部171は、その作成したパケットPKTを4つのアクセスカテゴリAC1〜AC4に分類する。
例えば、分類部171は、パケットPKTが音声データからなるとき、パケットPKTをキュー172Aに格納し、パケットPKTが映像データからなるとき、パケットPKTをキュー172Bに格納し、パケットPKTがベストエフォートで送信すればよいパケットであるとき、パケットPKTをキュー172Cへ格納し、パケットPKTがバックグランドのパケットであるとき、パケットPKTをキュー172Dに格納する。
キュー172A,172B,172C,172Dは、それぞれ、アクセスカテゴリAC1〜AC4に対応して設けられる。そして、キュー172A,172B,172C,172Dは、分類部171によって分類されたパケットPKTを格納し、その格納したパケットPKTを格納した順にそれぞれEDCAコントロール部173A,173B,173C,173Dへ出力する。
EDCAコントロール部173A,173B,173C,173Dは、それぞれ、キュー172A,172B,172C,172Dに対応して設けられる。EDCAコントロール部173Aは、フレーム送信間隔AIFS(Arbitration Inter Frame Space)[AC1]と、バックオフのためのバックオフタイムBackoff[AC1]とを有する。そして、EDCAコントロール部173Aは、キュー172Aに格納されたパケットPKTを読み出し、その読み出したパケットPKTをフレーム送信間隔AIFS[AC1]の経過後、バックオフタイムBackoff[AC1]が“0”へ減少するまで保持し、その後、スケジューラー174へ出力する。
EDCAコントロール部173Bは、フレーム送信間隔AIFS[AC2]と、バックオフのためのバックオフタイムBackoff[AC2]とを有する。そして、EDCAコントロール部173Bは、キュー172Bに格納されたパケットPKTを読み出し、その読み出したパケットPKTをフレーム送信間隔AIFS[AC2]の経過後、バックオフタイムBackoff[AC2]が“0”へ減少するまで保持し、その後、スケジューラー174へ出力する。
EDCAコントロール部173Cは、フレーム送信間隔AIFS[AC3]と、バックオフのためのバックオフタイムBackoff[AC3]とを有する。そして、EDCAコントロール部173Cは、キュー172Cに格納されたパケットPKTを読み出し、その読み出したパケットPKTをフレーム送信間隔AIFS[AC3]の経過後、バックオフタイムBackoff[AC3]が“0”へ減少するまで保持し、その後、スケジューラー174へ出力する。
EDCAコントロール部173Dは、フレーム送信間隔AIFS[AC4]と、バックオフのためのバックオフタイムBackoff[AC4]とを有する。そして、EDCAコントロール部173Dは、キュー172Dに格納されたパケットPKTを読み出し、その読み出したパケットPKTをフレーム送信間隔AIFS[AC4]の経過後、バックオフタイムBackoff[AC4]が“0”へ減少するまで保持し、その後、スケジューラー174へ出力する。
そして、フレーム送信間隔AIFS1,AIFS2,AIFS3,AIFS4の間には、AIFS1<AIFS2<AIFS3<AIFS4の大小関係がある。バックオフタイムBackoff[ACi](i=1〜4)は、Backoff[ACi]=Random[ACi]×aSlotTimeによって決定される。ここで、aSlotTimeは、物理層の媒体特性によって決まる一定長のスロット時間である。また、Random[ACi]は、[0,CW[ACi]]から取った一様乱数であり、CW[ACi]は、aCWmin[ACi]≦CW[ACi]≦aCWmax[ACi]である。
そして、aCWmin[AC1],aCWmin[AC2],aCWmin[AC3],aCWmin[AC4]の間には、aCWmin[AC1]<aCWmin[AC2]<aCWmin[AC3]<aCWmin[AC4]の大小関係があり、aCWmax[AC1],aCWmax[AC2],aCWmax[AC3],aCWmax[AC4]の間には、aCWmax[AC1]<aCWmax[AC2]<aCWmax[AC3]<aCWmax[AC4]の大小関係がある。
従って、EDCAコントロール部173Aは、最も短い間隔でキュー172AからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高く、EDCAコントロール部173Bは、EDCAコントロール部173Aの次に短い間隔でキュー172BからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高く、EDCAコントロール部173Cは、EDCAコントロール部173Bの次に短い間隔でキュー172CからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高く、EDCAコントロール部173Dは、最も長い間隔でキュー172DからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高い。
その結果、分類部171は、優先度が最も高いアクセスカテゴリAC1のパケットをキュー172Aへ格納し、優先度が2番目に高いアクセスカテゴリAC2のパケットをキュー172Bへ格納し、優先度が3番目に高いアクセスカテゴリAC3のパケットをキュー172Cへ格納し、優先度が最も低いアクセスカテゴリAC4のパケットをキュー172Dへ格納する。
スケジューラー174は、EDCAコントロール部173A〜173Dからパケットが出力されると、その出力されたパケットを送信部175に渡す。この場合、スケジューラー174は、2個以上のパケットがEDCAコントロール部173A〜173Dから同時刻で出力されると、その中で優先度が最も高いパケットを送信部175へ出力する。
送信部175は、スケジューラー174からのパケットPKTまたは制御部177からのパケットPKTを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して他の無線装置へ送信する。
測定部176は、制御部177からの要求に応じて、キュー172Aまたはキュー172Bにおける輻輳状態を測定し、その測定結果を制御部177へ出力する。より具体的には、測定部176は、分類部171からキュー172Aに格納されるパケットPKTの数がキュー172Aから読み出されるパケットPKTの数よりも多いとき、キュー172Aが輻輳状態であると判定し、キュー172Aの輻輳状態を測定したことを示す“1”を制御部177へ出力する。また、測定部176は、分類部171からキュー172Aに格納されるパケットPKTの数がキュー172Aから読み出されるパケットPKTの数よりも少ないとき、キュー172Aが輻輳状態でないと判定し、キュー172Aの輻輳状態を測定しなかったことを示す“0”を制御部177へ出力する。測定部176は、キュー172Bについても、同様にして、輻輳状態を測定し、その測定結果を制御部177へ出力する。
また、測定部176は、制御部177からの要求に応じて、パケットPKTがキュー172Aへ格納されてからパケットPKTがEDCAコントロール部173Aから読み出されるまでの時間を測定することにより、アクセスカテゴリAC1(音声データ)の遅延時間を測定し、その測定した遅延時間を制御部177へ出力する。そして、測定部176は、アクセスカテゴリAC2(映像データ)についても、同様にして、遅延時間を測定し、その測定した遅延時間を制御部177へ出力する。
更に、測定部176は、送信先の無線装置へ送信したパケットPKTの数NPKTを送信部175から受け、送信したパケットPKTに対して受信したACK(Acknowledge)パケットの数NACKを識別部179および制御部177を介して受信部178から受ける。そして、測定部176は、制御部177からの要求に応じて、その受けたパケットPKTの数NPKTと、ACKパケットの数NACKとに基づいてパケット伝達率local_delivery_ratio(=NACK/NPKT)を演算し、その演算したパケット伝達率local_delivery_ratioを制御部177へ出力する。
制御部177は、MACモジュール17が搭載された無線装置が送信元の無線装置であるとき、測定部176が測定した輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioを含めて送信元から送信先までの無線通信経路の特性を測定するための特性測定用パケットRMPを生成し、その生成した特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力する。
また、制御部177は、MACモジュール17が搭載された無線装置が送信元から送信先までの無線通信を中継する無線装置であるとき、他の無線装置から受信した特性測定用パケットRMPを制御部177を介して識別部179から受け、その受けた特性測定用パケットRMPに含まれている輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioを後述する方法によって更新し、その更新した輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioを含む特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力する。
更に、制御部177は、MACモジュール17が搭載された無線装置がマルチメディア・トラフィック(音声データまたは映像データ)の送信元の無線装置であるとき、アドミッションコントロールを要求するアドミッション要求パケットADDTSrequestを生成して送信部175へ出力する。
更に、制御部177は、MACモジュール17が搭載された無線装置がアドミッションコントロールを判断する無線装置であるとき、送信元の無線装置からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受けると、特性測定用パケットRMPに含まれている輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioに基づいて、アドミッションコントロールを許可するか拒否するかを判定し、その判定結果をアドミッション応答パケットADDTSreplyに格納して送信部175へ出力する。
受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して他の無線装置から受信したパケットPKTを識別部179へ出力する。
識別部179は、受信部178から受けたパケットがデータパケットである場合、そのパケットを上位層18へ出力する。また、識別部179は、受信部178から受けたパケットがMAC制御用パケットまたは測定用パケットである場合、そのパケットを制御部177へ出力する。
図4は、特性測定用パケットRMPの構成図である。特性測定用パケットRMPは、Element IDと、Total Lengthと、Measurement Type1と、Unable to measure1と、Length1と、Measured value1と、Measurement Type2と、Unable to measure2と、Length2と、Measured value2と、Measurement Type3と、Unable to measure3と、Length3と、Measured value3とからなる。
Element IDは、特性測定用パケットRMPが無線通信経路の特性を測定するために作成されたことを表す。Total Lengthは、特性測定用パケットRMPの全体の長さを表す。Measurement Type1〜Measurement Type3の各々は、要求される測定のタイプを表す。
Unable to measure1〜Unable to measure3の各々は、送信元から送信先までの無線通信経路上の無線装置が各要素の測定ができないとき、“1”に設定される。Length1〜Length3の各々は、“Length”フィールドに続く測定値を格納するフィールドのビット数を表す。Measured value1〜Measured value3の各々は、各測定された測定値を含む。
図5は、アドミッション要求パケットADDTSrequestの構成図である。アドミッション要求パケットADDTSrequestは、Categoryと、Actionと、Dialog tokenと、Admittedと、TSPEC(Traffic Specification)とからなる。
Categoryは、QoS要求を表す“1”からなる。Actionは、アドミッション要求パケットADDTSrequestを表す“0”からなる。Dialog tokenは、同時に発生した動作要求が複数個存在する場合、動作応答と動作要求とのマッチングを取るために用いられる。Admittedは、マルチホップ無線ネットワークシステムにおけるアドミッションコントロールであることを表すためのフィールドであり、1ビットからなる。TSPECは、パケットPKTの流れであるトラフィックの仕様を表し、トラフィックの特性およびQoS要求が明示される。
図5に示すTSPECの主な要素には、Nominal MSDU(Mac Service Data Unit)サイズ、Maximum MSDUサイズ、Minimum MSDUサイズ、Maximum Service Interval、Inactivity Interval、Service Start time、Minimum data rate、Mean data rate、Burstサイズ、Delay bound、Minimum PHY rate、およびSurplus bandwidth Allowance等がある。
TSPECに含まれるElement IDは、TSPECがトラフィックの仕様であることを表す。TSPECに含まれるLengthは、TSPECの全体の長さを表す。Nominal MSDUサイズは、フレームサイズの平均値を表す。Maximum MSDUサイズは、フレームサイズの最大値を表す。Minimum MSDUサイズは、フレームサイズの最小値を表す。Maximum Service Intervalは、サービス期間を表す。
Inactivity Intervalは、リンクのタイムアウト値を表す。Service Start timeは、サービスを開始する時間を表す。Minimum data rateは、転送レートの最小値を表す。Mean data rateは、データレートの平均値を表す。Maximum burstサイズは、ピークデータレートにおけるMSDUの最大バースト値を表す。Delay boundは、許容遅延時間を表す。Minimum PHY rateは、物理層における転送レートの最小値を表す。Surplus bandwidth Allowanceは、再送等を考慮した標準帯域比を表す。従って、TSPECには、トラフィックの特性およびQoS要求が格納される。
図6は、アドミッション応答パケットADDTSreplyの構成図である。アドミッション応答パケットADDTSreplyは、Categoryと、Actionと、Dialog tokenと、Status Codeと、TSPECとからなる。
Categoryは、“1”からなる。Actionは、“1”からなる。Status Codeは、要求動作が成功したか失敗したかを示すために用いられる。Dialog tokenおよびTSPECについては、上述したとおりである。
この発明は、マルチホップ無線ネットワークシステム10において、ネットワークのキャパシティを越えないようにアドミッション・コントロールを行なうことによって、優先順位が高いアクセス・カテゴリAC1またはAC2で通信を望む音声トラフィックまたは動画トラフィックが許可されたトラフィックの品質を確保できるようにするものである。具体的には、マルチほっむ無線ネットワークシステム10においては、送信元の無線装置は、他の無線装置を介して送信先の無線装置との間で無線通信を行なうため、送信元から送信先までの無線通信経路の特性を測定し、その測定した無線通信経路の特性に基づいて、アドミッションコントロールを行なう。
従って、アドミッションコントロールの基礎となる無線通信経路の特性の測定について説明する。
[無線通信経路の特性の測定]
無線通信経路の特性の測定は、送信元の無線装置が特性測定用パケットRMPを生成して送信することにより開始される。
以下においては、無線装置M1−無線装置M2−無線装置M5−無線装置M8からなる無線通信経路の特性を測定する場合について説明する。この場合、無線装置M1が送信元であり、無線装置M8が送信先であり、無線装置M2,M5が送信元と送信先との間で無線通信を中継する中継端末である。
また、各無線装置M1,M2,M5,M8は、例えば、輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率を無線通信経路の特性として測定する。輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率が無線通信経路の特性として測定される場合、特性測定用パケットRMPのMeasurement Type1,Measurement Type2,Measurement Type3には、それぞれ、輻輳状態の測定要求、遅延時間の測定要求およびパケット伝達率delivery_ratio(=エンド・エンドのパケット伝達率)の測定要求が格納され、Measured value1,Measured value2,Measured value3(図4参照)には、それぞれ、輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率delivery_ratioが格納される。
送信元の無線装置M1において、制御部177は、輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioを測定するように測定部176を制御し、測定部176は、制御部177からの制御に応じて、上述した方法によって、輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioを測定し、その測定した輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioを制御部177へ出力する。
そうすると、送信元の無線装置M1において、制御部177は、無線通信経路の特性を測定するための特性測定用パケットであること示す記号をElement IDに格納し、Measurement Type1,Measurement Type2,Measurement Type3に、それぞれ、輻輳状態の測定要求、遅延時間の測定要求およびパケット伝達率delivery_ratioの測定要求を格納するとともに、測定部176から受けた輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率local_delivery_ratioをそれぞれMeasured value1,Measured value2,Measured value3に格納して特性測定用パケットRMPを生成する。
この場合、送信元の無線装置M1において、制御部177は、測定部176が該当のアクセス・カテゴリに対するキューが輻輳状態であるとき、“1”をMeasured value1に格納し、測定部176が輻輳状態を測定しないとき、“0”をMeasured value1に格納する。
送信元の無線装置M1において、制御部177は、特性測定用パケットRMPを生成すると、その生成した特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177からの特性測定用パケットRMPを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して無線装置M2へ送信する。
(A)中継端末における輻輳状態の測定
図7は、中継端末における輻輳状態を測定する動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置M2の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して無線装置M1から特性測定用パケットRMPを受信し、その受信した特性測定用パケットRMPを識別部179を介して制御部177へ出力する。
無線装置M2において、制御部177は、受信部178から特性測定用パケットRMPを受ける。これによって、特性測定用パケットRMPが到着する(ステップS1)。
そして、無線装置M2において、制御部177は、特性測定用パケットRMPのElement IDを参照して、無線通信経路の特性の測定が要求されていることを検知するとともに、特性測定用パケットRMPのMeasurement Type1を参照して、輻輳状態の測定が要求されているか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2において、輻輳状態の測定が要求されていないと判定されたとき、一連の動作は終了する。一方、ステップS2において、輻輳状態の測定が要求されていると判定されたとき、無線装置M2の制御部177は、特性測定用パケットRMPのMeasured value1(=Congested フィールド)の値が“0”であるか否かを更に判定する(ステップS3)。
ステップS3において、Measured value1(=Congested フィールド)の値が“0”でないと判定されたとき、一連の動作は終了する。
一方、ステップS3において、Measured value1(=Congested フィールド)の値が“0”であると判定されたとき、無線装置M2において、制御部177は、該当のアクセスカテゴリ(例えば、アクセスカテゴリAC1)の輻輳状態を測定するように測定部176を制御する。
そして、無線装置M2の測定部176は、アクセスカテゴリAC1の輻輳状態を上述した方法によって測定し、その測定結果を制御部177へ出力する。無線装置M2の制御部177は、測定部176から受けた測定結果に基づいて、自端末が該当のアクセスカテゴリAC1に対して輻輳状態であるか否かを判定する(ステップS4)。
より具体的には、無線装置M2の制御部177は、輻輳状態を示す“1”を測定部176から受ければ、自端末が該当のアクセスカテゴリAC1に対して輻輳状態であると判定し、輻輳状態でないことを示す“0”を測定部176から受ければ、自端末が該当のアクセスカテゴリAC1に対して輻輳状態でないと判定する。
ステップS4において、自端末が該当のアクセスカテゴリAC1に対して輻輳状態でないと判定されたとき、一連の動作は終了する。一方、ステップS4において、自端末が該当のアクセスカテゴリAC1に対して輻輳状態であると判定されたとき、無線装置M2の制御部177は、Measured Value1(=Congested フィールド)の値を“1”に設定する(ステップS5)。これによって、一連の動作は終了する。
ステップS3において、Measured Value1(=Congested フィールド)の値が“0”でないとき、一連の動作が終了することにしたのは、この場合、Measured Value1(=Congested フィールド)の値は“1”に設定されており、送信元の無線装置M1の該当のアクセスカテゴリAC1が既に輻輳状態にあるので、無線装置M2の該当のアクセスカテゴリAC1が輻輳状態であるか否かを測定する必要がないからである。即ち、この発明においては、送信元から送信先までの無線通信経路上の複数の無線装置M1,M2,M5,M8のうち、少なくとも1つの無線装置において輻輳状態が測定されれば、その無線通信経路の特性を輻輳状態とする。
また、ステップS4において、自端末が該当のアクセスカテゴリAC1に対して輻輳状態でないと判定されたとき、一連の動作が終了することにしたのは、ステップS4が実行されるのは、無線装置M1が輻輳状態でないと判定されたときであるので、無線装置M2が輻輳状態でないと判定されたとき、特性測定用パケットRMPのMeasured value1(=Congested フィールド)を更新する必要がないからである。
上述したように、中継端末である無線装置M2の制御部177は、自己における輻輳状態の測定結果を考慮して特性測定用パケットRMPのMeasured value1(=Congested フィールド)を更新する。
なお、中継端末である無線装置M5も、図7に示すフローチャートに従って特性測定用パケットRMPのMeasured value1(=Congested フィールド)を更新する。
(B)中継端末における遅延時間の測定
図8は、中継端末における遅延時間を測定する動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置M2の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して無線装置M1から特性測定用パケットRMPを受信し、その受信した特性測定用パケットRMPを識別部179を介して制御部177へ出力する。
無線装置M2において、制御部177は、受信部178から特性測定用パケットRMPを受ける。これによって、特性測定用パケットRMPが到着する(ステップS11)。
そして、無線装置M2において、制御部177は、特性測定用パケットRMPのElement IDを参照して、無線通信経路の特性の測定が要求されていることを検知するとともに、特性測定用パケットRMPのMeasurement Type2を参照して、エンド・エンドの遅延時間の測定が要求されているか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、エンド・エンドの遅延時間の測定が要求されていないと判定されたとき、一連の動作は終了する。一方、ステップS12において、エンド・エンドの遅延時間の測定が要求されていると判定されたとき、無線装置M2の制御部177は、無線装置M2における該当のアクセスカテゴリAC1の遅延時間を測定するように測定部176を制御する。
そして、無線装置M2の測定部176は、制御部177からの制御に従って、特性測定用パケットRMPの到着時刻arrival_timeを現在時刻current_timeに設定する(ステップS13)。
その後、無線装置M2の制御部177は、特性測定用パケットRMPを分類部171へ出力し、分類部171は、制御部177から受けた特性測定用パケットRMPを該当のアクセスカテゴリAC1のバッファ(=キュー172A)に格納する(ステップS14)。そして、無線装置M2のバッファ(=キュー172A)は、格納された特性測定用パケットRMPをEDCAコントロール部173Aへ出力し、EDCAコントロール部は、バッファ(=キュー172A)から受けた特性測定用パケットRMPをフレーム送信間隔AIFS[AC1]の経過後、バックオフタイムBackoff[AC1]が“0”に減少するまで保持し、その後、バッファ(=キュー172A)から受けた特性測定用パケットRMPをスケジューラー174へ出力する。
スケジューラー174は、EDCAコントロール部173Aからの特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力する。これによって、特性測定用パケットRMPの送信準備が完了する(ステップS15)。
無線装置M2の送信部175は、スケジューラー174から特性測定用パケットRMPを受けると、特性測定用パケットRMPを受信したことを示す通知を測定部176へ出力する。
そうすると、無線装置M2の測定部176は、特性測定用パケットRMPを受信したことを示す通知を送信部175から受けた時刻を現在時刻current_timeに設定し、現在時刻current_timeから到着時刻arrival_timeを減算することにより、無線装置M2における遅延時間sojourn(=current_time−arrival_time)を演算する。そして、無線装置M2の測定部176は、その演算した遅延時間sojournを制御部177へ出力する。
無線装置M2の制御部177は、測定部176から遅延時間sojournを受けると、特性測定用パケットRMPのMeasured value2に格納されたエンド・エンドの遅延時間delayを読み出し、測定部176から受けた遅延時間sojournをエンド・エンドの遅延時間delayに加算してエンド・エンドの遅延時間delayを更新する(ステップS16)。
無線装置M2の制御部177は、エンド・エンドの遅延時間delayを更新すると、その更新したエンド・エンドの遅延時間delayを特性測定用パケットRMPのMeasured value2に格納して特性測定用パケットRMPを更新する。これによって、一連の動作は終了する。
このように、中継端末である無線装置M2は、送信元の無線装置M1から無線装置M2までの遅延時間delayに自己における遅延時間sojournを加算してエンド・エンドの遅延時間delayを更新する。
なお、中継端末である無線装置M5も、図8に示すフローチャートに従って自己における遅延時間sojournを測定し、その測定した遅延時間sojournによってエンド・エンドの遅延時間delayを更新する。
(C)中継端末におけるパケット伝達率の測定
図9は、中継端末におけるパケット伝達率delivery_ratioを測定する動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置M2の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して無線装置M1から特性測定用パケットRMPを受信し、その受信した特性測定用パケットRMPを識別部179を介して制御部177へ出力する。
無線装置M2において、制御部177は、受信部178から特性測定用パケットRMPを受ける。これによって、特性測定用パケットRMPが到着する(ステップS21)。
そして、無線装置M2において、制御部177は、特性測定用パケットRMPのElement IDを参照して、無線通信経路の特性の測定が要求されていることを検知するとともに、特性測定用パケットRMPのMeasurement Type3を参照して、パケット伝達率delivery_ratioの測定が要求されているか否かを判定する(ステップS22)。
ステップS22において、パケット伝達率delivery_ratioの測定が要求されていないと判定されたとき、一連の動作は終了する。一方、ステップS22において、パケット伝達率delivery_ratioの測定が要求されていると判定されたとき、無線装置M2におけるパケット伝達率local_delivery_ratioを測定するように測定部176を制御する。
そうすると、無線装置M2の測定部176は、上述した方法によって、無線装置M2におけるパケット伝達率local_delivery_ratioを測定し、その測定したパケット伝達率local_delivery_ratioを制御部177へ出力する。
無線装置M2の制御部177は、パケット伝達率local_delivery_ratioを測定部176から受けると、特性測定用パケットRMPのMeasured value3に格納されたパケット伝達率delivery_ratioを読み出し、その読み出したパケット伝達率delivery_ratioにパケット伝達率local_delivery_ratioを乗算して、特性測定用パケットRMPに格納されたパケット伝達率delivery_ratioを更新する(ステップS23)。
そうすると、無線装置M2の制御部177は、更新したパケット伝達率delivery_ratioを特性測定用パケットRMPのMeasured value3に格納して特性測定用パケットRMPを更新する。これによって、一連の動作が終了する。
このように、中継端末である無線装置M2は、送信元の無線装置M1から無線装置M2までのパケット伝達率delivery_ratioに自己におけるパケット伝達率local_delivery_ratioを乗算して無線通信経路のパケット伝達率delivery_ratioを更新する。
なお、無線装置M5も、図9に示すフローチャートに従って自己におけるパケット伝達率local_delivery_ratioを測定し、その測定したパケット伝達率local_delivery_ratioによって、無線通信経路のパケット伝達率delivery_ratioを更新する。
中継端末である無線装置M2の制御部177は、上述した動作によって、特性測定用パケットRMPを更新すると、その更新した特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177からの特性測定用パケットRMPを無線装置M5へ送信する。また、中継端末である無線装置M5の制御部177は、上述した動作によって、特性測定用パケットRMPを更新すると、その更新した特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177からの特性測定用パケットRMPを送信先の無線装置M8へ送信する。これによって、測定された特性(=輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率delivery_ratio)は、送信先の無線装置M8へ送信される。
[無線通信経路の特性の測定における具体例]
図10は、無線通信経路の特性の測定における具体例を示す図である。一連の動作が開始されると、送信端末(=無線装置M1、以下、同じ。)は、アクセスカテゴリAC2に対する無線通信経路の特性を測定するために、測定要素として輻輳状態、遅延時間、およびパケット伝達率delivery_ratioを決定する(ステップS1)。
そして、送信端末は、輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率delivery_ratioの各測定のためのフィールド(Measurement Type1からMeasured value3までのフィールド)を設定して特性測定用パケットRMPを生成する(ステップS32)。
その後、送信端末は、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.2s、およびパケット伝達率=1を上述した方法によって測定し(ステップS33)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.2s、およびパケット伝達率=1を特性測定用パケットRMPの各フィールドに格納して特性測定用パケットRMPを中継端末1(=無線装置M2、以下、同じ。)へ送信する(ステップS34)。
そして、中継端末1は、送信端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.3s、およびパケット伝達率=0.9を上述した方法によって測定し(ステップS35)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.3s、およびパケット伝達率=0.9によって、送信端末からの特性測定用パケットRMPに格納された輻輳状態=0、遅延時間=0.2s、およびパケット伝達率=1をそれぞれ更新する。
より具体的には、中継端末1は、送信端末からの特性測定用パケットRMPに格納された輻輳状態=0を自己における輻輳状態=0によって輻輳状態=0に更新し、送信端末からの特性測定用パケットRMPに格納された遅延時間=0.2sを自己における遅延時間=0.3sによって遅延時間=0.5s(=0.2s+0.3s)に更新し、送信端末からの特性測定用パケットRMPに格納されたパケット伝達率=1を自己におけるパケット伝達率=0.9によってパケット伝達率=0.9(=1×0.9)に更新する。
そして、中継端末1は、その更新した輻輳状態=0、遅延時間=0.5sおよびパケット伝達率=0.9を特性測定用パケットRMPの各フィールドに格納して中継端末2(=無線装置M5、以下、同じ。)へ送信する(ステップS36)。
中継端末2は、中継端末1から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=1、遅延時間=0.4s、およびパケット伝達率=0.8を上述した方法によって測定し(ステップS37)、その測定した輻輳状態=1、遅延時間=0.4s、およびパケット伝達率=0.8によって、中継端末1からの特性測定用パケットRMPに格納された輻輳状態=0、遅延時間=0.5s、およびパケット伝達率=0.9をそれぞれ更新する。
より具体的には、中継端末2は、中継端末1からの特性測定用パケットRMPに格納された輻輳状態=0を自己における輻輳状態=1によって輻輳状態=1に更新し、中継端末1からの特性測定用パケットRMPに格納された遅延時間=0.5sを自己における遅延時間=0.4sによって遅延時間=0.9s(=0.5s+0.4s)に更新し、中継端末1からの特性測定用パケットRMPに格納されたパケット伝達率=0.9を自己におけるパケット伝達率=0.8によってパケット伝達率=0.72(=0.9×0.8)に更新する。
そして、中継端末2は、その更新した輻輳状態=1、遅延時間=0.9sおよびパケット伝達率=0.72を特性測定用パケットRMPの各フィールドに格納して送信先端末(=無線装置M8、以下、同じ。)へ送信する(ステップS38)。
そうすると、送信先端末は、中継端末2から特性測定用パケットRMPを受信し(ステップS39)、その受信した特性測定用パケットRMPから輻輳状態=1、遅延時間=0.9sおよびパケット伝達率=0.72を読み出し、輻輳状態=1、エンド・エンドの遅延時間=0.9sおよびエンド・エンドのパケット伝達率=0.72からなる無線通信経路の特性を把握する(ステップS40)。
このように、送信元から送信先までの無線通信経路の特性は、送信端末による特性測定用パケットRMPの生成および送信によって測定が開始され、最終的に送信先端末へ送信される。
この発明においては、アドミッションコントロールは、上述した方法によって測定された無線通信経路の特性に基づいて行われるが、そのアドミッションコントロールを行なう無線装置は、送信先端末、中継端末、送信端末および集中制御端末のいずれかである。
そこで、以下においては、送信先端末、中継端末、送信端末および集中制御端末がアドミッションコントロールを行なう場合について、順次、説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1においては、送信先端末がアドミッションコントロールを行なう場合について説明する。
図11は、送信先端末がアドミッションコントロールを行なう動作を説明するためのフローチャートである。送信端末の上位層18が新たに生成されるマルチメディア・トラフィック(音声または映像)の品質か言う穂の要求信号REQを分類部171へ出力し、分類部171は、その旨を制御部177の伝えることにより一連の動作が開始される。一連の動作が開始されると、送信端末は、上述した方法によって特性測定用パケットRMPを作成するとともに、自己における無線通信経路の特性を測定し、その測定した無線通信経路の特性を特性測定用パケットRMPに格納して中継端末へ送信する(ステップS41)。
そして、中継端末は、送信端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、必要な要素(輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率)を測定し、その測定した必要な要素(輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率)によって各要素のフィールドを更新して送信先端末へ送信する(ステップS42)。
送信先端末は、中継端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、特性測定用パケットRMPに格納された要素(輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率)を読み出して、無線通信経路の特性を把握する(ステップS43)。
その後、送信端末の制御部177は、トラフィックの特性およびQoS要求を明記したアドミッション要求パケットADDTSrequestを生成し、その生成したアドミッション要求パケットADDTSrequestを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション要求パケットADDTSrequestを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して送信先端末へ送信する(ステップS44)。
送信先端末の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して送信端末からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信し、その受信したアドミッション要求パケットADDTSrequestを識別部179を介して制御部177へ出力する。送信先端末の制御部177は、アドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestからトラフィックのQoS要求を読み出し、ステップS43において受信した無線通信経路の特性がトラフィックのQoS要求を満たすか否かを判定することにより、トラフィックのQoS要求を許可または拒否する。即ち、送信先端末の制御部177は、トラフィックのQoS要求および無線通信経路の特性を考慮してアドミッション要求を許可または拒否する(ステップS45)。
そして、送信先端末の制御部177は、アドミッション要求を許可または拒否したとき、その結果をStatus code(図6参照)に格納してアドミッション応答パケットADDTSreplyを作成し、その作成したアドミッション応答パケットADDTSreplyを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション応答パケットADDTSreplyを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して中継端末(=無線装置M2,M5、以下、同じ。)へ送信する(ステップS46)。
中継端末の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して送信先端末からアドミッション応答パケットADDTSreplyを受信し、その受信したアドミッション応答パケットADDTSreplyを識別部179を介して制御部177へ出力する。
中継端末の制御部177は、受信部178からアドミッション応答パケットADDTSreplyを受けると、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeを参照して、アドミッション要求が許可されたか否かを判定する。そして、中継端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を許可する旨が格納されていれば、アドミッション要求が許可されたと判定し、送信端末から要求されたトラフィックのQoS要求を満たすための帯域を確保する。そして、中継端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyを送信部175へ出力し、送信部175は、アドミッション応答パケットADDTSreplyを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して送信端末へ送信する(ステップS47)。
その後、送信端末の受信部178は、中継端末からアドミッション応答パケットADDTSreplyを受信し、その受信したアドミッション応答パケットADDTSreplyを識別部179を介して制御部177へ出力する。
送信端末の制御部177は、受信部178からアドミッション応答パケットADDTSreplyを受けると、その受けたアドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeを参照してアドミッション要求が許可されたか否かを判定する。そして、送信端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を許可する旨が格納されていれば、アドミッション要求が許可されたと判定し、許可信号ALLWを生成して分類部171へ出力する。
送信端末の分類部171は、制御部177からの許可信号ALLWに応じて、該当のトラフィックに対するアドミッションコントロールが許可されたことを上位層18に知らせ、街灯のトラフィックのパケットPKTを該当の優先順位が高いアクセス・カテゴリのキューに格納する。即ち、送信端末は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を許可する旨が格納されていれば、該当の優先順位の高いアクセス・カテゴリで該当のトラフィックの送信を開始する(ステップS48)。
一方、送信端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を拒否する旨が格納されていれば、アドミッション要求が拒否されたと判定し、拒否信号REJを生成して分類部171へ出力する。送信端末の分類部171は、制御部177からの拒否信号REJに応じて、該当のトラフィックに対するアドミッションコントロールが拒否されたことを上位層18に知らせ、街灯のパケットPKTを優先順位の高いアクセス・カテゴリに対するバッファに格納することを拒否する。
なお、送信端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を拒否する旨が格納されていても、ベストエフォートクラスでトラフィックの送信を開始してもよい。
これによって、送信先端末がアドミッションコントロールを行なう場合の動作が終了する。
このように、実施の形態1においては、送信端末、中継端末および送信先端末からなるマルチホップ無線ネットワークシステムにおいて、送信端末および中継端末は、無線通信経路の特性を測定して送信先端末へ送信し、送信先端末は、受信した無線通信経路の特性に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可または拒否(=アドミッションコントロール)する。
従って、実施の形態1によれば、マルチホップ無線ネットワークシステムにおいても、アドミッションコントロールを容易に行なうことができる。
なお、送信端末は、特性測定用パケットRMPおよびアドミッション要求パケットADDTSrequestを同時に送信してもよい。この場合、アドミッション要求パケットADDTSrequestは、特性測定用パケットRMPに載せられて送信される。
また、アドミッション要求パケットADDTSrequestに応じて、アドミッション要求を許可または拒否する送信先端末の制御部177は、「無線制御局」を構成する。
[実施の形態2]
実施の形態2においては、中継端末がアドミッションコントロールを行なう場合について説明する。
図12は、中継端末がアドミッションコントロールを行なう動作を説明するためのフローチャートである。図12に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートのステップS44,S45をステップS51〜S53に代えたものであり、その他は、図11に示すフローチャートと同じである。
一連の動作が開始されると、上述したように、送信端末および中継端末は、送信端末から送信先端末までの無線通信経路の特性を測定し、その測定した無線通信経路の特性を含む特性測定用パケットRMPを送信先端末へ送信し、送信先端末は、特性測定用パケットRMPを受信して送信端末から送信先端末までの無線通信経路の特性を把握する(ステップS41〜ステップS43)。
その後、送信端末の制御部177は、admittedフィールドを“1”に設定し、かつ、トラフィックの特性およびQoS要求を明記してアドミッション要求パケットADDTSrequestを生成する。そして、送信端末の制御部177は、その生成したアドミッション要求パケットADDTSrequestを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション要求パケットADDTSrequestを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して中継端末へ送信する(ステップS51)。
中継端末の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して送信端末からアドミッション要求パケットADDTDrequestを受信し、その受信したアドミッション要求パケットADDTDrequestを識別部179を介して制御部177へ出力する。
中継端末の制御部177は、受信部178からアドミッション要求パケットADDTDrequestを受けると、アドミッション要求パケットADDTDrequestに明記されたQoS要求を読み出して自端末がトラフィックのQoS要求を満足できるか否かを判断する。
この場合、中継端末の制御部177は、自端末における輻輳状態等に基づいて、自端末がトラフィックのQoS要求を満足できるか否かを判定する。
そして、中継端末の制御部177は、自端末がトラフィックのQoS要求を満足できると判断したとき、admittedフィールドを“1”に維持したまま、アドミッション要求パケットADDTSrequestを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション要求パケットADDTSrequestを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して送信先端末へ送信する。
一方、中継端末の制御部177は、自端末がトラフィックのQoS要求を満足できないと判断したとき、admittedフィールドを“0”に設定してアドミッション要求パケットADDTSrequestを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション要求パケットADDTSrequestを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して送信先端末へ送信する(ステップS52)。
送信先端末の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して中継端末からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信し、その受信したアドミッション要求パケットADDTSrequestを識別部179を介して制御部177へ出力する。
送信先端末の制御部177は、受信部178からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受けると、その受けたアドミッション要求パケットADDTSrequestのadmittedフィールドを参照してadmittedフィールドが“0”に設定されているか否かを判定する。
そして、送信先端末の制御部177は、admittedフィールドが“0”に設定されていれば、送信端末からのアドミッション要求を即座に拒否する。一方、送信先端末の制御部177は、admittedフィールドが“0”に設定されていなければ、アドミッション要求パケットADDTSrequestからトラフィックのQoS要求を読み出し、ステップS43において受信した無線通信経路の特性がトラフィックのQoS要求を満たすか否かを判定することにより、トラフィックのQoS要求を許可または拒否する。即ち、送信先端末の制御部177は、トラフィックのQoS要求および無線通信経路の特性を考慮してアドミッション要求を許可または拒否する(ステップS53)。
その後、送信先端末は、上述したステップS46を実行し、中継端末は、上述したステップS47を実行し、送信端末は、上述したステップS48を実行する。これによって、一連の動作が終了する。
送信先端末の制御部177は、アドミッション要求パケットADDTSrequestのadmittedフィールドが“0”に設定されていれば、送信端末からのアドミッション要求を即座に拒否し、アドミッション要求パケットADDTSrequestのadmittedフィールドが“1”に設定されている場合に、無線通信経路の特性に基づいて、送信端末からのアドミッション要求を許可するか拒否するかを判断するので(ステップS53参照)、実施の形態2においては、中継端末が実質的にアドミッションコントロールを行なうことになる。
なお、中継端末の制御部177は、自端末がトラフィックのQoS要求を満足できないと判断したとき、アドミッション要求パケットADDTSrequestを送信先端末へ送信せずに、アドミッション要求を拒否する旨をStatus codeに明記したアドミッション応答パケットADDTSreplyを作成して送信端末へ送信するようにしてもよい。
このように、実施の形態2においては、送信端末、中継端末および送信先端末からなるマルチホップ無線ネットワークシステムにおいて、送信端末および中継端末は、無線通信経路の特性を測定して送信先端末へ送信し、中継端末は、送信端末からのアドミッション要求を許可するか拒否するかを実質的に判断(=アドミッションコントロール)する。
従って、実施の形態2によれば、マルチホップ無線ネットワークシステムにおいて、アドミッションコントロールを容易に行なうことができる。
なお、アドミッション要求パケットADDTSrequestに応じて、アドミッション要求を実質的に許可または拒否する中継端末の制御部177は、「無線制御局」を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態3]
実施の形態3においては、送信端末がアドミッションコントロールを行なう場合について説明する。
図13は、送信端末がアドミッションコントロールを行なう動作を説明するためのフローチャートである。図13に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートのステップS43〜ステップS48をステップS61〜ステップS64に代えたものであり、その他は、図11に示すフローチャートと同じである。
一連の動作が開始されると、上述したように、送信端末および中継端末は、送信端末から送信先端末までの無線通信経路の特性を測定し、その測定した無線通信経路の特性を含む特性測定用パケットRMPを送信先端末へ送信する(ステップS41,S42)。
送信先端末の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して中継端末から特性測定用パケットRMPを受信し、その受信した特性測定用パケットRMPを識別部179を介して制御部177へ出力する。
送信先端末の制御部177は、受信部178から特性測定用パケットRMPを受けると、その受けた特性測定用パケットRMPから輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率を読み出して送信端末から送信先端末までの無線通信経路の特性が測定されていることを検知する。そうすると、送信先端末の制御部177は、特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けた特性測定用パケットRMPを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して送信端末へ送信する(ステップS61)。
送信端末の受信部178は、特性測定用パケットRMPを送信先端末から受信し、その受信した特性測定用パケットRMPを識別部179を介して制御部177へ出力する。送信端末の制御部177は、受信部178から特性測定用パケットRMPを受けると、その受けた特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率を読み出して送信端末から送信先端末までの無線通信経路の特性を把握する(ステップS62)。
その後、送信端末の制御部177は、把握した無線通信経路の特性がトラフィックのQoS要求を満たすか否かを判定し、トラフィックを該当のアクセス・カテゴリAC1で送信すべきか否かを決定する(ステップS63)。
そして、送信端末の制御部177は、トラフィックを該当のアクセス・カテゴリAC1で送信すべきであると決定すると、許可信号ALLWを生成して分類部171へ出力し、分類部171は、制御部177からの許可信号ALLWに応じて、該当のトラフィックに対するアドミッションコントロールが許可されたことを上位層18に知らせ、該当のトラフィックのパケットPKTを該当の優先順位が高いアクセス・カテゴリのキューに格納する。即ち、送信端末は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を許可する旨が格納されていれば、該当の有線順位の高いアクセス・カテゴリで該当のトラフィックの送信を開始する(ステップS64)。
一方、送信端末の制御部177は、トラフィックを該当のアクセス・カテゴリAC1で送信すべきでないと決定すると、拒否信号REJを生成して分類部171へ出力する。送信端末の分類部171は、制御部177からの拒否信号REJに応じて、該当のトラフィックに対するアドミッションコントロールが拒否されたことを上位層18に知らせ、該当のパケットPKTを優先順位の高いアクセス・カテゴリに対するバッファに格納することを拒否する。これによって、一連の動作が終了する。
このように、実施の形態3においては、送信端末、中継端末および送信先端末からなるマルチホップ無線ネットワークシステムにおいて、送信端末および中継端末は、無線通信経路の特性を測定して送信先端末へ送信し、送信先端末は、無線通信経路の特性を送信端末へ報告し、送信端末は、送信先端末から受信した無線通信経路の特性に基づいて、アドミッション要求を許可するか拒否するかを判断(=アドミッションコントロール)する。
従って、実施の形態3によれば、マルチホップ無線ネットワークシステムにおいても、アドミッションコントロールを容易に行なうことができる。
なお、アドミッション要求を許可または拒否する送信端末の制御部177は、「無線制御局」を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態4]
実施の形態4においては、集中制御端末がアドミッションコントロールを行なう場合について説明する。集中制御端末は、送信端末、中継端末および送信先端末以外の端末であり、マルチホップ無線ネットワークシステム10がメッシュ型の無線ネットワークシステムからなるとき、集中制御端末は、例えば、ゲートウエイ(GW:Gate Way=無線装置M3、以下、同じ。)からなる。
また、集中制御端末がアドミッションコントロールを行なう場合、上述した無線通信経路の特性は、定期的またはアドミッションコントロールが必要なときに測定される。そして、測定された無線通信経路の特性は、集中制御端末へ送信される。従って、送信先端末は、中継端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、その受信した特性測定用パケットRMPを集中制御端末へ送信する。
更に、集中制御端末がアドミッションコントロールを行なう場合、上述した無線通信経路の特性のみならず、マルチホップ無線ネットワークシステム10のネットワーク状態も考慮してアドミッション要求を許可するか拒否するかが判断される。なお、ネットワーク状態は、マルチホップ無線ネットワークシステム10におけるトラフィックの数、マルチホップ無線ネットワークシステム10において無線通信を行なっている無線装置と無線通信を行なっていない無線装置との識別、およびマルチホップ無線ネットワークシステム10における無線装置M1〜M9のトポロジー等からなる。
図14は、集中制御端末がアドミッションコントロールを行なう動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、送信端末の制御部177は、トラフィックの特性およびQoS要求を明記したアドミッション要求パケットADDTSrequestを生成し、その生成したアドミッション要求パケットADDTSrequestを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション要求パケットADDTSrequestを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して集中制御端末へ送信する(ステップS71)。
集中制御端末の受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して送信端末からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信し、その受信したアドミッション要求パケットADDTSrequestを識別部179を介して制御部177へ出力する。集中制御端末の制御部177は、アドミッション要求パケットADDTSrequestを受けると、アドミッション要求パケットADDTSrequestからトラフィックのQoS要求を読み出し、無線通信経路の特性およびネットワーク状態がトラフィックのQoS要求を満たすか否かを判定することにより、トラフィックのQoS要求を許可または拒否する。即ち、集中制御端末の制御部177は、トラフィックのQoS要求、無線通信経路の特性およびネットワーク状態を考慮してアドミッション要求を許可または拒否する(ステップS72)。
そして、集中制御端末の制御部177は、アドミッション要求を許可または拒否したとき、その結果をStatus code(図6参照)に格納してアドミッション応答パケットADDTSreplyを作成し、その作成したアドミッション応答パケットADDTSreplyを送信部175へ出力し、送信部175は、制御部177から受けたアドミッション応答パケットADDTSreplyを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して送信端末へ送信する(ステップS73)。
その後、送信端末の受信部178は、集中制御端末からアドミッション応答パケットADDTSreplyを受信し、その受信したアドミッション応答パケットADDTSreplyを識別部179を介して制御部177へ出力する。
送信端末の制御部177は、受信部178からアドミッション応答パケットADDTSreplyを受けると、その受けたアドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeを参照してアドミッション要求が許可されたか否かを判定する。そして、送信端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を許可する旨が格納されていれば、アドミッション要求が許可されたと判定し、許可信号ALLWを生成して分類部171へ出力する。
送信端末の分類部171は、制御部177からの許可信号ALLWに応じて、該当のトラフィックに対するアドミッションコントロールが許可されたことを上位層18に知らせ、該当のトラフィックのパケットPKTを該当の優先順位が高いアクセス・カテゴリのキューに格納する。即ち、送信端末は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を許可する旨が格納されていれば、該当の優先順位の高いアクセス・カテゴリで該当のトラフィックの送信を開始する(ステップS74)。
一方、送信端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を拒否する旨が格納されていれば、アドミッション要求が拒否されたと判定し、拒否信号REJを生成して分類部171へ出力する。送信端末の分類部171は、制御部177からの拒否信号REJに応じて、該当のトラフィックに対するアドミッションコントロールが拒否されたことを上位層18に知らせ、該当のパケットPKTを優先順位の高いアクセス・カテゴリに対するバッファに格納することを拒否する。
なお、送信端末の制御部177は、アドミッション応答パケットADDTSreplyのStatus codeにアドミッション要求を拒否する旨が格納されていても、ベストエフォートクラスでトラフィックの送信を開始してもよい。
これによって、集中制御端末がアドミッションコントロールを行なう場合の動作が終了する。
このように、実施の形態4においては、送信端末、中継端末、送信先端末および集中制御端末からなるマルチホップ無線ネットワークシステムにおいて、集中制御端末は、無線通信経路の特性およびネットワーク状態を把握しており、無線通信経路の特性およびネットワーク状態に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可または拒否(=アドミッションコントロール)する。
従って、実施の形態4によれば、マルチホップ無線ネットワークシステムにおいても、アドミッションコントロールを容易に行なうことができる。
なお、アドミッション要求パケットADDTSrequestに応じて、アドミッション要求を許可または拒否する集中制御端末の制御部177は、「無線制御局」を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[アドミッションコントロールの具体例]
中継端末がアドミッションコントロールを行なう場合を例にしてアドミッションコントロールの具体例について説明する。
(第1の具体例)
図15は、アドミッションコントロールの第1の具体例を説明するためのフローチャートである。送信端末は、アクセス・カテゴリAC2上におけるトラフィックの送信を希望し、そのトラフィックのQoS要求は、輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間が0.2s以下であり、かつ、パケット伝達率が0.97以上である。
一連の動作が開始されると、送信端末は、上述した方法によって、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.01sおよびパケット伝達率=1.00を測定し(ステップS81)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.01sおよびパケット伝達率=1.00を含む特性測定用パケットRMPを生成して中継端末1へ送信する(ステップS82)。
中継端末1は、送信端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.02sおよびパケット伝達率=1を測定するとともに(ステップS83)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.02sおよびパケット伝達率=1によって、特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態=0、遅延時間=0.01sおよびパケット伝達率=1.00をそれぞれ輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1に更新し、その更新した輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1を含む特性測定用パケットRMPを中継端末2へ送信する(ステップS84)。
中継端末2は、中継端末1から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1を測定するとともに(ステップS85)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1によって、特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1.00をそれぞれ輻輳状態=0、遅延時間=0.06sおよびパケット伝達率=1に更新し、その更新した輻輳状態=0、遅延時間=0.06sおよびパケット伝達率=1を含む特性測定用パケットRMPを送信先端末へ送信する(ステップS86)。
送信先端末は、中継端末2から特性測定用パケットRMP=[輻輳状態=0/遅延時間=0.06s/パケット伝達率=1]を受信し、その受信した特性測定用パケットRMP=[輻輳状態=0/遅延時間=0.06s/パケット伝達率=1]から輻輳状態=0/遅延時間=0.06s/パケット伝達率=1を検出し(ステップS87)、無線通信経路の特性を把握する(ステップS88)。
その後、送信端末の制御部177は、admittedフィールドを“1”に設定し、かつ、QoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を明記したアドミッション要求パケットADDTSrequestを作成して中継端末1へ送信する(ステップS89)。
中継端末1の制御部177は、送信端末からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestに含まれるQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を読出し、送信端末から中継端末1までの無線通信経路の特性である[輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可するか拒否するかを判断する。
この場合、送信端末から中継端末1までの経路における輻輳状態=0は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たし、送信端末から中継端末1までの遅延時間=0.03sは、QoS要求に含まれる遅延時間=0.2s以下を満たし、送信端末から中継端末1までのパケット伝達率=1は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たすので、中継端末1の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可、即ち、送信端末からのアドミッション要求を許可する。そして、中継端末1の制御部177は、admittedフィールドを“1”に維持したまま、アドミッション要求パケットADDTSrequestを中継端末2へ送信する(ステップS90)。
中継端末2の制御部177は、中継端末1からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestに含まれるQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を読出し、送信端末から中継端末2までの無線通信経路の特性である[輻輳状態=0、遅延時間=0.06sおよびパケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可するか拒否するかを判断する。
この場合、送信端末から中継端末2までの経路における輻輳状態=0は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たし、送信端末から中継端末2までの遅延時間=0.06sは、QoS要求に含まれる遅延時間=0.2s以下を満たし、送信端末から中継端末2までのパケット伝達率=1は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たすので、中継端末2の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可、即ち、送信端末からのアドミッション要求を許可する。そして、中継端末2の制御部177は、admittedフィールドを“1”に維持したまま、アドミッション要求パケットADDTSrequestを送信先端末へ送信する(ステップS91)。
送信先端末の制御部177は、中継端末2からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestのadmittedフィールドが“1”に設定されていることを検出し、中継端末1,2が送信端末からのアドミッション要求を許可していることを検知する。
そうすると、送信先端末の制御部177は、ステップS88において受信した無線通信経路の特性=[輻輳状態=0、エンド・エンドの遅延時間=0.06s、パケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンドの遅延時間=0.2s以下、パケット伝達率=0.97以上]を許可するか否かを判定する。
この場合、送信端末から送信先端末までの無線通信経路における輻輳状態=0は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たし、送信端末から送信先端末までの遅延時間=0.06sは、QoS要求に含まれる遅延時間=0.2s以下を満たし、送信端末から送信先端末までのパケット伝達率=1は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たすので、送信先端末の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可、即ち、送信端末からのアドミッション要求を許可する。そして、送信先端末の制御部177は、Status codeにアドミッション要求を許可する旨を格納したアドミッション応答パケットADDTSreplyを生成して送信端末へ送信する(ステップS92)。
その後、送信端末は、アドミッション要求を許可する旨を含むアドミッション応答パケットADDTSreplyを受信し、該当のアクセス・カテゴリに属するトラフィックの送信を開始する。
(第2の具体例)
図16は、アドミッションコントロールの第2の具体例を説明するためのフローチャートである。第2の具体例におけるQoS要求は、第1の具体例におけるQoS要求と同じである。
一連の動作が開始されると、送信端末は、上述した方法によって、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.07sおよびパケット伝達率=1.00を測定し(ステップS101)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.07sおよびパケット伝達率=1.00を含む特性測定用パケットRMPを生成して中継端末1へ送信する(ステップS102)。
中継端末1は、送信端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1を測定するとともに(ステップS103)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.03sおよびパケット伝達率=1によって、特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態=0、遅延時間=0.07sおよびパケット伝達率=1.00をそれぞれ輻輳状態=0、遅延時間=0.10sおよびパケット伝達率=1に更新し、その更新した輻輳状態=0、遅延時間=0.10sおよびパケット伝達率=1を含む特性測定用パケットRMPを中継端末2へ送信する(ステップS104)。
中継端末2は、中継端末1から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=1、遅延時間=0.01sおよびパケット伝達率=1を測定するとともに(ステップS105)、その測定した輻輳状態=1、遅延時間=0.01sおよびパケット伝達率=1によって、特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態=0、遅延時間=0.10sおよびパケット伝達率=1.00をそれぞれ輻輳状態=1、遅延時間=0.11sおよびパケット伝達率=1に更新し、その更新した輻輳状態=1、遅延時間=0.11sおよびパケット伝達率=1を含む特性測定用パケットRMPを送信先端末へ送信する(ステップS106)。
送信先端末は、中継端末2から特性測定用パケットRMP=[輻輳状態=1/遅延時間=0.11s/パケット伝達率=1]を受信し、その受信した特性測定用パケットRMP=[輻輳状態=1/遅延時間=0.11s/パケット伝達率=1]から輻輳状態=1/遅延時間=0.11s/パケット伝達率=1を検出し(ステップS107)、無線通信経路の特性を把握する(ステップS108)。
その後、送信端末の制御部177は、admittedフィールドを“1”に設定し、かつ、QoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を明記したアドミッション要求パケットADDTSrequestを作成して中継端末1へ送信する(ステップS109)。
中継端末1の制御部177は、送信端末からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestに含まれるQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を読出し、送信端末から中継端末1までの無線通信経路の特性である[輻輳状態=0、遅延時間=0.10sおよびパケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可するか拒否するかを判断する。
この場合、送信端末から中継端末1までの輻輳状態=0は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たし、送信端末から中継端末1までの遅延時間=0.10sは、QoS要求に含まれる遅延時間=0.2s以下を満たし、送信端末から中継端末1までのパケット伝達率=1は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たすので、中継端末1の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可、即ち、送信端末からのアドミッション要求を許可する。そして、中継端末1の制御部177は、admittedフィールドを“1”に維持したまま、アドミッション要求パケットADDTSrequestを中継端末2へ送信する(ステップS110)。
中継端末2の制御部177は、中継端末1からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestに含まれるQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を読出し、送信端末から中継端末2までの無線通信経路の特性である[輻輳状態=1、遅延時間=0.11sおよびパケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可するか拒否するかを判断する。
この場合、送信端末から中継端末2までの輻輳状態=1は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たさないので、中継端末2の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を拒否、即ち、送信端末からのアドミッション要求を拒否する。そして、中継端末2の制御部177は、admittedフィールドを“0”に設定してアドミッション要求パケットADDTSrequestを送信先端末へ送信する(ステップS111)。
送信先端末の制御部177は、中継端末2からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestのadmittedフィールドが“0”に設定されていることを検出し、中継端末1,2のいずれかが送信端末からのアドミッション要求を拒否していることを検知する。
そうすると、送信先端末の制御部177は、輻輳によりアドミッション要求を拒否する旨をStatus codeに格納したアドミッション応答パケットADDTSreplyを作成して送信端末へ送信する(ステップS112)。
そして、送信端末は、アドミッション要求を拒否する旨を含むアドミッション応答パケットADDTSreplyを受信し、トラフィックの送信を停止する。
(第3の具体例)
図17は、アドミッションコントロールの第3の具体例を説明するためのフローチャートである。第3の具体例におけるQoS要求は、第1の具体例におけるQoS要求と同じである。
一連の動作が開始されると、送信端末は、上述した方法によって、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.07sおよびパケット伝達率=1.00を測定し(ステップS121)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.07sおよびパケット伝達率=1.00を含む特性測定用パケットRMPを生成して中継端末1へ送信する(ステップS122)。
中継端末1は、送信端末から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.05sおよびパケット伝達率=1を測定するとともに(ステップS123)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.05sおよびパケット伝達率=1によって、特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態=0、遅延時間=0.07sおよびパケット伝達率=1.00をそれぞれ輻輳状態=0、遅延時間=0.12sおよびパケット伝達率=1に更新し、その更新した輻輳状態=0、遅延時間=0.12sおよびパケット伝達率=1を含む特性測定用パケットRMPを中継端末2へ送信する(ステップS124)。
中継端末2は、中継端末1から特性測定用パケットRMPを受信すると、自己における輻輳状態=0、遅延時間=0.06sおよびパケット伝達率=0.90を測定するとともに(ステップS125)、その測定した輻輳状態=0、遅延時間=0.06sおよびパケット伝達率=0.90によって、特性測定用パケットRMPに含まれる輻輳状態=0、遅延時間=0.12sおよびパケット伝達率=1.00をそれぞれ輻輳状態=0、遅延時間=0.18sおよびパケット伝達率=0.90に更新し、その更新した輻輳状態=0、遅延時間=0.18sおよびパケット伝達率=0.90を含む特性測定用パケットRMPを送信先端末へ送信する(ステップS126)。
送信先端末は、中継端末2から特性測定用パケットRMP=[輻輳状態=0/遅延時間=0.18s/パケット伝達率=0.90]を受信し、その受信した特性測定用パケットRMP=[輻輳状態=0/遅延時間=0.18s/パケット伝達率=0.90]から輻輳状態=0/遅延時間=0.18s/パケット伝達率=0.90を検出し(ステップS127)、無線通信経路の特性を把握する(ステップS128)。
その後、送信端末の制御部177は、admittedフィールドを“1”に設定し、かつ、QoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を明記したアドミッション要求パケットADDTSrequestを作成して中継端末1へ送信する(ステップS129)。
中継端末1の制御部177は、送信端末からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestに含まれるQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を読出し、送信端末から中継端末1までの無線通信経路の特性である[輻輳状態=0、遅延時間=0.12sおよびパケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可するか拒否するかを判断する。
この場合、送信端末から中継端末1までの輻輳状態=0は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たし、送信端末から中継端末1までの遅延時間=0.12sは、QoS要求に含まれる遅延時間=0.2s以下を満たし、送信端末から中継端末1までのパケット伝達率=1は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たすので、中継端末1の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可、即ち、送信端末からのアドミッション要求を許可する。そして、中継端末1の制御部177は、admittedフィールドを“1”に維持したまま、アドミッション要求パケットADDTSrequestを中継端末2へ送信する(ステップS130)。
中継端末2の制御部177は、中継端末1からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestに含まれるQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンド間の遅延時間=0.2以下、パケット伝達率=0.97以上]を読出し、送信端末から中継端末2までの無線通信経路の特性である[輻輳状態=0、遅延時間=0.18sおよびパケット伝達率=1]に基づいて、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可するか拒否するかを判断する。
この場合、送信端末から中継端末2までの輻輳状態=0は、QoS要求に含まれる輻輳状態=0を満たし、送信端末から中継端末2までの遅延時間=0.18sは、QoS要求に含まれる遅延時間=0.2s以下を満たし、送信端末から中継端末2までのパケット伝達率=1は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たすので、中継端末2の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を許可、即ち、送信端末からのアドミッション要求を許可する。そして、中継端末2の制御部177は、admittedフィールドを“1”に維持したまま、アドミッション要求パケットADDTSrequestを送信先端末へ送信する(ステップS131)。
送信先端末の制御部177は、中継端末2からアドミッション要求パケットADDTSrequestを受信すると、アドミッション要求パケットADDTSrequestのadmittedフィールドが“1”に設定されていることを検出し、中継端末1,2が送信端末からのアドミッション要求を許可していることを検知する。
そうすると、送信先端末の制御部177は、ステップS128において受信した無線通信経路の特性=[輻輳状態=0、エンド・エンドの遅延時間=0.18s、パケット伝達率=0.90]に基づいて、送信端末からのQoS要求=[輻輳状態=0、エンド・エンドの遅延時間=0.2s以下、パケット伝達率=0.97以上]を許可するか否かを判定する。
この場合、送信端末から送信先端末までのパケット伝達率=0.90は、QoS要求に含まれるパケット伝達率=0.97以上を満たさないので、送信先端末の制御部177は、送信端末からのトラフィックのQoS要求を拒否、即ち、送信端末からのアドミッション要求を拒否する。そして、送信先端末の制御部177は、アドミッション要求を拒否する旨をStatus codeに格納したアドミッション応答パケットADDTSreplyを生成して送信端末へ送信する(ステップS132)。
その後、送信端末は、アドミッション要求を拒否する旨を含むアドミッション応答パケットADDTSreplyを受信し、トラフィックの送信を停止する。
[中継端末における帯域確保]
図18は、異なるトラフィックのアドミッション要求が同時に許可される場合の問題点を説明するための図である。中継端末1,2は、同一通信範囲内に存在する。そして、中継端末1が経路1上で送信端末1から送信されたVideo1を送信先端末1へ中継し、中継端末2が経路2上で送信端末2から送信されたVideo2を送信先端末2へ中継することが同時に決定された場合を考える。
この場合、これらの2つのトラフィックに対するアドミッション要求の許可は、中継端末1,2がそれぞれVideo1,2の中継を開始する前の無線通信経路の特性の測定結果に基づいて決定されたものであるため、中継端末1は、Video2の影響を考慮しておらず、中継端末2は、Video1の影響を考慮していない。
従って、これらの2つのトラフィックの通信が同時に開始されると、中継端末1,2の通信範囲内において、トラフィックが急激に増加し、輻輳が発生する恐れがある。
図19は、図18に示す輻輳を回避する方法を説明するための図である。上述した問題を回避するために、特定のトラフィックに対する中継サービスが決定された場合、各中継端末は、自己が行なう中継サービスを近隣の端末に知らせる必要がある。
中継端末1は、アドミッション応答パケットADDTSreply1を送信先端末1から受信すると、その受信したアドミッション応答パケットADDTSreply1を送信端末1へ転送する。この場合、中継端末1,2は、同一通信範囲内に存在するため、中継端末2は、中継端末1が送信したアドミッション応答パケットADDTSreply1を受信する。
また、中継端末2は、送信先端末2からもアドミッション応答パケットADDTSreply2を受信し、その受信したアドミッション応答パケットADDTSreply2を送信端末2へ送信する。そして、中継端末1は、中継端末2が送信したアドミッション応答パケットADDTSreply2を受信する。
そうすると、中継端末1,2の各々は、2つのアドミッション応答パケットADDTSreply1,2を受信するため、その受信した2つのアドミッション応答パケットADDTSreply1,2に明記されたQoS要求を満たすように帯域を確保する。
また、送信端末1,2は、それぞれ、アドミッション応答パケットADDTSreply1,2を受信し、アドミッション要求が許可されたことを検知すると、それぞれ、アドミッション応答パケットADDTSreply1,2をブロードキャストし、近い将来、新しいトラフィックの送信が開始されることを明示的に近隣の端末に知らせる。
このようにすることにより、2つのトラフィックを中継する2つの中継端末1,2が同一通信範囲内に存在していても、輻輳を回避できる。
上記においては、アドミッションコントロールを行なう制御部177(=無線制御局)は、送信端末、中継端末1,2、送信先端末および集中制御端末のいずれかに設けられると説明したが、この発明によるマルチホップ無線ネットワークシステムにおいては、アドミッションコントロールを行なう制御部177(=無線制御局)の配置位置は、どこであってもよい。従って、この発明によるマルチホップ無線ネットワークシステムは、送信端末と、中継端末と、送信先端末と、アドミッションコントロールを行なう無線制御局とを備えるものであればよい。アドミッションコントロールを行なう無線制御局を備えていれば、マルチホップ無線ネットワークシステムにおけるアドミッションコントロールを集中管理できるからである。
なお、QoS要求は、「品質保持要求」を構成する。
また、アドミッション要求パケットADDTSrequestは、「判断要求パケット」を構成する。
更に、アドミッション要求の許可を含むアドミッション応答パケットADDTSreplyは、「第1の判断応答パケット」を構成し、アドミッション要求の拒否を含むアドミッション応答パケットADDTSreplyは、「第2の判断応答パケット」を構成する。
更に、admittedフィールドの設定値“1”は、「第1のフラグ」を構成し、admittedフィールドの設定値“0”は、「第2のフラグ」を構成する。
更に、TSPECは、「トラフィックの要求品質」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。