JPWO2007083546A1 - 触覚センサ装置 - Google Patents

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Abstract

測定対象物の固さを精度良く検出する。センサ本体4は空気圧源6と空気管路8を介して接続されており、空気管路8には空気圧調整手段10が設けられる。空気圧調整手段10によりセンサ本体4のダイヤフラム26に設けられた半導体歪検出素子12は、測定対象物36の固さに応じた電圧を出力する。信号処理回路14は、出力値より測定対象物36の固さに関連する値を抽出し、出力する。

Description

本発明は、測定対象物との接触状態における様々な物理量を測定する触覚センサ装置に関するものである。
近年、高機能ロボットの開発が進み、これに伴い、ロボットの指先等に用いることのできる高感度の触覚センサが開発されてきている。この高感度の触覚センサは、測定対象物との接触状態において、人間の指先の感覚と同様の情報を検知することが必要とされる。従来より開発されている触覚センサは、測定対象物の固さに関する情報を検知するもの(下記非特許文献1および非特許文献2)や、測定対象物の接触力を検知するもの(下記特許文献1)が知られている。
M. Shikida, T. Shimizu, K. Sato, and K. Itoigawa, "Active tactile sensor for detecting contact force and hardness of an object", Sensors and Actuators A, 103, pp.213-218,2003 Y. Hasegawa, H. Sasaki, T. Ando, M. Shikida, K. Sato, and K. Itoigawa, "Multifunctional Active Tactile Sensor using Magnetic Micro Actuator," Proc, IEEE MEMS2005, pp275-278, Miami USA, 2005 特開2004−163166号公報
非特許文献1および非特許文献2は、測定対象物の固さ情報を検知する触覚センサであり、触覚センサから過渡的な入力を測定対象物に与え、その入力に対する応答特性を検知し、測定対象物の固さを検知するものである。また、特許文献1は、薄膜よりなるダイヤフラム構造の触覚センサにある一定の圧力をかけておき、測定対象物との接触によって変形したダイヤフラム表面の応力を検出し、測定対象物との接触力(あるいは測定対象物の形状)を検知するものである。
しかしながら、上述した従来技術には以下に述べる問題があった。非特許文献1および非特許文献2は、過渡的な入力に対する出力信号より測定対象物の固さ情報を検出するものであるが、測定対象物の固さによって発生する出力信号の応答特性が異なるため、正確な固さ情報を検知することが困難であった。すなわち、触覚センサからの入力信号に応答する出力信号の特性は、測定対象物の固さに応じて急激に立ち上がったり、緩やかに立ち上がったりするが、出力信号に交流成分ノイズが重畳した場合には、固さ情報による信号とノイズとの判別が困難であった。また、特許文献1の触覚センサは、測定対象物との接触力を検出するものであり、測定対象物の固さ情報を検知することができないものであった。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、入力信号に応答する信号を出力信号から抽出して検知することにより、精度良く固さ情報を検知することのできる触覚センサ装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1に係る発明は、所定の密閉空間を形成する空気室と、前記空気室の圧力を調整する空気圧調整手段と、前記空気室の隔壁の一部を形成し、前記空気室の空気圧の変化に伴い撓むことが可能なダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが撓む部分に配置される力検出素子と、前記力検出素子の出力信号から所定の信号を抽出する信号処理回路とを備え、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態で、接触状態に関する物理量を測定する触覚センサ装置において、前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力値が振動変化するように空気圧を調整するものであり、前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号を検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とする触覚センサ装置によって構成される。上記の構成によれば、ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態において、空気室の圧力値が振動変化させられ、これによってダイヤフラムは微小に振動するが、測定対象物からの反発力を力検出素子により検出することができる。測定対象物の固さが固いほどダイヤフラムへの反発力が大きくなるため、力検出素子の出力より測定対象物の固さを検出することができる。本発明では、空気圧を振動変化させ、その反発力を力検出素子で得るものであるが、空気圧の振動の周波数は予め分かっているため、力検出素子の出力から当該周波数の信号を抽出することは容易である。したがって、従来の触覚センサに比べ、高周波ノイズが少ない出力値を得ることができ、精度良く接触対象物の固さに関する値を検出することができる。
ここで、所定の密閉空間を形成する空気室は、完全な密閉空間としても良いし、空気室に空気圧源が接続されて密閉空間を形成しても良い。また、空気室の圧力を調整する空気圧調整手段は、空気室が密閉空間の場合は、密閉空間の体積を変化させることにより、空気室の空気圧を調整することとしても良いし、空気室が空気圧源に接続されたものである場合は、空気室と空気圧源の間の空気管路の流路面積を可変させて空気室の空気圧を調整することとしても良い。また、ダイヤフラム上に設けられる力検出素子は、ダイヤフラムの空気室側に設けられても良いし、ダイヤフラムの測定対象物側に設けられても良い。また、力検出素子は、ダイヤフラムが撓む部分に及ぼされる力を検出することができる素子であれば良く、例えばピエゾ素子等の半導体歪検出素子、ひずみゲージ、静電容量式コンデンサ等を用いることができる。特に、静電容量式コンデンサを用いた場合は、力検出素子の検出感度を向上させることができる。
また、本発明はさらに、前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号の振幅の大きさを検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、力検出素子の出力値の振幅の大きさは、測定対象物の固さに応じて変化するため、振幅の大きさを検出することにより、測定対象物の固さを検出することができる。
また、本発明はさらに、前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号の周波数を検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、力検出素子の出力値の大きさは、空気圧振動の周波数に応じて変化するが、空気圧振動の周波数が測定対象物の表面が弾性振動する際の固有周波数と一致した場合、力検出素子の出力値が大きくなる。したがって、そのときの周波数を特定することにより、測定対象物の固さを検出することができる。
また、本発明はさらに、前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号の振幅の大きさ及び周波数を検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、力検出素子の振幅の大きさと周波数の両方から測定対象物の固さを検出することができるため、精度良く測定対象物の固さを検出することができる。
また、本発明はさらに、前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力を所定の圧力値を中心として圧力値が振動するように変化させるものであり、前記信号処理回路は、力検出素子の出力信号から、所定の周波数成分を抽出することにより、測定対象物の押圧力に関する値と固さに関する値を出力するものであるように構成することもできる。この構成によれば、測定対象物の固さに関する値と押圧力に関する値の両方を同時に検出することができるため、容易に測定対象物の接触状態を検出することができるようになる。
また、本発明はさらに、前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力信号の変化度合いより、前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力を検出することを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の微弱押圧力を精度良く検出することができるようになる。また、本発明はさらに、前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力から、前記空気室の圧力の振動の周波数に基づいて抽出される交流成分より、前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力を検出することを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、空気室の圧力の振動周波数によって出力信号から微弱押圧力が抽出されるため、精度良く微弱押圧力を検出することができる。
また、本発明はさらに、前記信号処理回路は、前記信号処理回路により抽出された交流成分から、前記空気室の圧力の振動と同位相の信号より前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力に関する信号を検出し、前記空気室の圧力の振動と逆位相の信号より前記測定対象物の固さに関する信号を検出することを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、出力信号の空気室の圧力と同位相の信号に基づき微弱押圧力が検出され、空気室の圧力と逆位相の信号に基づき固さが検出されるため、位相を用いて両者の信号を抽出することで、精度良く微弱押圧力および固さを検出することができる。
また、本発明はさらに、前記力検出素子は、前記ダイヤフラムの測定対象物と接触する面と反対の面に設けられることを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、力検出素子が測定対象物に接触することが無いため、力検出素子が測定対象物と接触して破損することを防止できる。
また、本発明はさらに、前記力検出素子は、前記ダイヤフラムの表面付近に集積化して設けられることを特徴とするように構成することもできる。この構成によれば、ダイヤフラム上に複数の力検出素子が集積化されて設けられるため、測定対象物の局所的な固さ分布や、測定対象物の局所的な押圧力分布を検出することができる。なお、力検出素子がダイヤフラムの表面付近に集積化される場合は、ダイヤフラムの測定対象物側の表面付近でも良いし、ダイヤフラムの空気室側の表面付近でも良い。また、力検出素子をダイヤフラムの測定対象物側表面付近に集積化する場合は、力検出素子を何らかの保護材で覆い、測定対象物等の接触による破損を防止することが望ましい。
また、本発明は、所定の密閉空間を形成する空気室と、前記空気室の圧力を調整する空気圧調整手段と、前記空気室の隔壁の一部を形成し、前記空気室の空気圧の変化に伴い撓むことが可能なダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが撓む部分に配置される力検出素子と、前記力検出素子の出力信号から所定の信号を抽出する信号処理回路とを備え、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態で、接触状態に関する物理量を測定する触覚センサ装置において、前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力値が振動変化するように空気圧を調整するものであり、前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力信号の変化度合いより、前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力を検出することを特徴とする触覚センサ装置として構成することもできる。この構成によれば、ダイヤフラムは空気圧値の振動により微小に振動させられ、ダイヤフラムが測定対象物に接触する前の段階では、最もダイヤフラムが大きく振動しているため、この状態の力検出素子の出力値は大きいものとなる。その後、ダイヤフラムへ測定対象物が接触すると、ダイヤフラムの振動は規制され、力検出素子の出力値が急激に減少する。したがって、この状態における力検出素子の出力値変化を検出することで、ダイヤフラムへの測定対象物の微弱押圧力を精度良く検出することが可能となる。
また、本発明は、所定の密閉空間を形成する空気室と、前記空気室の圧力を調整する空気圧調整手段と、前記空気室の隔壁の一部を形成し、前記空気室の空気圧の変化に伴い撓むことが可能なダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが撓む部分に配置される力検出素子と、前記力検出素子の出力信号から所定の信号を抽出する信号処理回路とを備え、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態で、接触状態に関する物理量を測定する触覚センサ装置において、前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力値が振動変化するように空気圧を調整するものであり、前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力信号の変化度合いより、前記測定対象物がダイヤフラムへ接触している状態か接触していない状態かを判別することを特徴とする触覚センサ装置によって構成される。この構成によれば、ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態であるか否かを精度良く検出することができる。
本発明によれば、ダイヤフラムの力検出素子の出力信号より測定対象物の固さに関する値を精度良く検出することが可能となる。また、測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力の大きさも精度良く検出することができる。
本発明に係る第1実施形態の触覚センサ装置2の概略を示す全体構成図である。 本発明に係る第1実施形態のセンサ本体4の構成を示す斜視図である。 本発明に係る第1実施形態の半導体歪検出素子12の構成を示す平面図である。 本発明に係る第1実施形態の触覚センサ装置2の検出原理を説明するための模式図である。 本発明に係る第1実施形態の触覚センサ装置2の検出原理を説明するグラフである。 本発明に係る第1実施形態の信号処理回路14の信号の抽出方法を説明するためのグラフである。 本発明に係る第1実施形態の触覚センサ装置2によって、押圧力を測定した結果を示すグラフである。 本発明に係る第1実施形態の触覚センサ装置2によって、固さを測定した結果を示すグラフである。 本発明に係る第2実施形態の触覚センサ2装置の概略を示す全体構成図である。 測定対象物36の持つ固有周波数に対する固さを示すグラフである。 本発明に係る第3実施形態の触覚センサ装置2の概略を示す全体構成図である。 本発明に係る第3の実施形態において、押圧力に対する出力電圧の変化を示すグラフである。 本発明に係る第3の実施形態の微弱押圧力及び固さ検出手段42の構成を説明する図である。
符号の説明
2 触覚センサ装置
4 センサ本体
6 空気圧源
8 空気管路
10 空気圧調整手段
12 半導体歪検出素子
14 信号処理回路
26 ダイヤフラム
30 空気室
36 接触対象物
40 固有周波数特定手段
42 微弱押圧力及び固さ検出手段
本発明を実施するための実施の形態について以下に詳細に説明する。図1は、本発明が適用された第1の実施形態の全体構成を説明するための図である。触覚センサ装置2は、測定対象物に接触し、接触状態に応じた信号を出力するセンサ本体4を備えている。センサ本体4には空気圧源6が空気管路8を介して接続されている。また、空気管路8の途中には、空気圧源6からセンサ本体4に及ぼされる空気圧の大きさを調整する空気圧調整手段10が設けられている。
空気圧調整手段10は、空気圧源6からセンサ本体4に及ぼされる空気圧の大きさを調整するものであり、空気圧の大きさを一定の大きさとすることもできるし、空気圧の大きさを、ある一定圧を中心として、所定の振幅かつ所定の周波数をもって振動するような大きさとすることもできる。このような空気圧の大きさを、本実施形態では、PDC±PACと表現する。空気圧PDCは、一定の大きさの空気圧を示し、空気圧の大きさ成分の直流成分(DC成分)とみなすことができる。また、PACは、振幅PACの大きさで所定の周波数(例えば、周波数f)で振動する空気圧の交流成分(AC成分)とみなすことができる。なお、上記の空気圧は、後述するダイヤフラム26内の空気室30の空気圧を意味する。
なお、ダイヤフラム26内の空気室30の空気圧の変化は、PDCを中心としてPACの振幅をもって振動させられれば良く、空気室30の空気圧が、PACの振幅を持つ正弦波状に変化させられても良いし、PACの振幅を持つ三角波状あるいは方形波状に変化させられても良い。
センサ本体4は、測定対象物の接触状態に応じた信号を出力する半導体歪検出素子12と、半導体歪検出素子12の出力信号を処理する信号処理回路14を備えている。半導体歪検出素子12は、ピエゾ抵抗素子より構成される半導体材料からなる素子であり、外部から及ぼされる力に応じて電圧を発生する回路の一部として構成される。信号処理回路14は、半導体歪検出素子12の出力信号から、周波数に応じて特定の信号を抽出するものであり、抽出された信号を外部に出力するものである。具体的には、半導体歪検出素子12の出力信号から、非常に低い周波数の領域の信号(直流成分)を測定対象物の押圧力(接触力)に関する信号として抽出し、これを出力する。また、信号処理回路14は、半導体歪検出素子12の出力信号より、予め決められたある周波数(f)付近の信号を測定対象物の固さに関する物理量として抽出し、出力する。なお、信号処理回路14が抽出する信号の周波数は様々な値に設定することができ、空気圧調整手段10のPAC成分の周波数がfからfに変更された場合は、信号処理回路14の抽出に用いる周波数もfに変更される。なお、信号処理回路14には、空気圧調整手段10から信号線15が接続され、空気圧調整手段10で調整する空気圧振動(PAC)の検波の位相とタイミングを知るための信号が送信される。信号処理回路14では、周波数f付近の信号を抽出するために、信号線15の信号が用いられる。
次に、図2を用いてセンサ本体4の構造について説明する。図2は、センサ本体4を測定対象物と接触する側から見た斜視図であり、センサ本体4の説明を行い易くするために、一部を断面図として示している。
センサ本体4は、単結晶シリコン基板を既知の集積化技術、エッチング技術を用いて加工されるものであり、センサ本体4の4つの辺の周縁部には、支持基板22が形成されている。支持基板22は、十分な厚さを持ち、センサ本体4の骨格として働くものである。支持基板22は、測定対象物による押圧力がセンサ本体4に及ぼされた場合でも、ある程度の剛性をもって後述するダイヤフラム26を支持する。また、支持基板22の上面付近には、信号処理回路14が形成されており、既知の集積化技術により所望の機能を持つ回路を構成している。
また、支持基板22の内方側でかつ、センサ本体4の上面側(測定対象物側)には、ダイヤフラム26が設けられている。ダイヤフラム26の形成の仕方の一例を以下に示す。シリコンウエハの下面側に、集積化技術を用いて半導体歪検出素子12および信号処理回路14を形成する。次に、シリコンウエハの下面側に、ダイヤフラム26と対向する部分に窪みを有する別のシリコンウエハを接合する。その後、ダイヤフラム26の上面側からシリコンウエハを削ることで、所望の厚さのダイヤフラム26およびダイヤフラム26下面側に半導体歪検出素子12が形成されるのである。ダイヤフラム26は測定対象物と接触することで変形する程度に薄く形成されれば良く、ダイヤフラムの厚さは10μmには限られない。また、ダイヤフラム26の外縁側端部は支持基板22と密着しており、ダイヤフラム26と支持基板22との間においては、空気のリークは無い。なお、ダイヤフラム26の表面積は、測定対象物の大きさやダイヤフラム26に構成される半導体歪検出素子12の集積数や大きさに応じて適宜設計されるものである。また、ダイヤフラム26の形状は、図2では四角形(正方形)としたが、形状はこれに限らず、測定対象物の形状や集積化する半導体歪検出素子14の集積数や形状により適宜設計されるものであり、ダイヤフラム26の形状を長方形としたり、円形としたり、任意の形状とすることもできる。
また、ダイヤフラム26の下面側(測定対象物側と反対側)の表面付近には、半導体歪検出素子12が形成されている。半導体歪検出素子12は、既知の集積化技術を用いてダイヤフラム26の表面に形成されるものであり、本実施形態ではn型拡散抵抗を利用したピエゾ抵抗素子を用いて形成されている。なお、半導体歪検出素子12は、本実施形態では、ダイヤフラム26上に、縦6個×横6個の36個形成されている。なお、ダイヤフラム26上に形成される半導体歪検出素子12の個数は、測定対象物に対する面方向の必要な分解能に応じて適宜設定される。
支持基板22の下方側の面には、カバー28が密着した状態で配置されている。カバー28は支持基板22の下面およびダイヤフラム26に形成された半導体歪検出素子12を下側から覆うように配置されている。したがって、図2に示すように、支持基板22、ダイヤフラム26およびカバー28によって空気室30が形成されている。また、カバー28の略中央部には、外部から空気を供給するための孔が形成されており、この孔に空気管路8が接続され、空気圧源6からの空気が供給される。
次に図3を用いて、半導体歪検出素子12の構成について説明する。図3は半導体歪検出素子12の構成を説明するための平面図である。半導体歪検出素子12には、縦方向ピエゾ抵抗32と横方向ピエゾ抵抗34が設けられており、それぞれの抵抗の抵抗値変化によって回路中で発生する電圧(以下、出力電圧)は、電極35より検出され、図2の信号処理回路部12に出力される。
次に図4および図5を用いて、本実施形態の触覚センサ装置2の検出原理について説明する。図4は、本実施形態の触覚センサ装置2の検出原理を説明するための模式図であり、図5はセンサ本体4の内圧変化による半導体歪検出素子12の出力変化を説明するための図である。図4において、センサ本体4の空気室30の内圧は、空気圧源6および空気圧調整手段10を用いて制御される。
ダイヤフラム26と測定対象物36が図4のように接触した状態において、空気室30の内圧は、空気圧調整手段10により、PDC±PACとなるように制御される。PDC±PACの変化の様子を図5に示す。なお、PACの振幅で空気圧を振動させる場合の振動数(周波数)はfとしている。
ダイヤフラム26内の圧力が変化すると、ダイヤフラム26に形成された半導体歪検出素子12の出力電圧が測定対象物36の押圧力および固さに応じて変化する。ダイヤフラム26に設けられた半導体歪検出素子12は、図5に図示されているように、ある電圧値を中心として所定の振幅をもって振動する電圧の波形を出力する。この出力波形は、測定対象物36の押圧力による一定の電圧値の成分(直流成分)と、測定対象物36の固さによる電圧値の振動成分(交流成分)が重畳したものと考えることができる。
図4を用いて測定対象物36の固さの検出原理について詳説する。図4に示すように、空気室30の内圧をPACの振幅で振動させる場合は、PACの内圧がダイヤフラム26に力を及ぼすため、ダイヤフラム26はバネ定数ksの弾性体より力を受けた状態とみなせる。なお、バネ定数ksの弾性体より受ける力は、ダイヤフラム26の半導体歪検出素子12の位置に関係なく、一定である。一方、測定対象物36の固さが局部的に異なる場合は、図4のようにそれぞれ、kx1、kx2、kx3、kx4のバネ定数の弾性体より力を受けることになる。ダイヤフラム26に設けられた半導体歪検出素子12は、測定対象物36の各位置におけるバネ定数に応じた力を受けることになる。バネ定数に応じた力は、バネ定数が大きい位置では、バネ定数が小さい位置よりも大きいものとなる。
したがって、図5に示すように、半導体歪検出素子12の出力電圧のうち、電圧の振動成分の振幅の大きさは、測定対象物36の固さに依存して変化するものと考えられる。また、半導体歪検出素子12の出力信号の振動は、上述したように、振幅PACの空気圧の変動により発生するため、半導体歪検出素子12の振動周波数は、PACの周波数fと一致する。
したがって、半導体歪検出素子12の出力電圧から、直流成分である信号を抽出することにより、測定対象物36の押圧力を検出することができ、また、半導体歪検出素子12の交流成分の信号の大きさを抽出することにより、測定対象物36の固さを検出することができる。
次に、図6を用いて、半導体歪検出素子12の出力電圧から、測定対象物36の押圧力と固さの出力をそれぞれ抽出する方法について説明する。図6は、半導体歪検出素子12の出力電圧を周波数に応じて抽出する方法を説明するための図である。図6において、半導体歪検出素子12の出力中の直流成分は、ローパスフィルタを用いて抽出することができる。このローパスフィルタにより抽出された信号スペクトルの大きさは、ダイヤフラム26に測定対象物36より及ぼされた押圧力として検出することができる。一方、半導体歪検出素子12の出力に含まれる交流成分は、半導体歪検出素子12の出力から、PACの周波数である周波数fの成分を通過させるバンドパスフィルタにより抽出することができる。このバンドパスフィルタにより抽出された信号スペクトルの大きさは、ダイヤフラム26と接触する測定対象物36の固さに関する値とすることができる。なお、バンドパスフィルタの中心周波数は、PACの周波数fとして予め分かっているため、半導体歪検出素子12の出力信号から容易に周波数fで振動する成分の信号を抽出することができる。
次に、本実施形態の触覚センサ装置2を用いて、測定対象物36の押圧力を測定した結果について図7を用いて説明する。図7は、ダイヤフラム26内の空気圧PDCを5.0kPaから64.1kPaまで変化させて、測定対象物36からの押圧力に対する半導体歪検出素子12の出力電圧の直流成分(DC成分)の大きさを示すグラフである。図7より、例えば、PDCが5.0kPaの時は、測定対象物36の押圧力を約15mN以下の領域では、半導体歪検出素子12の出力の直流成分の大きさは、測定対象物36の押圧力が大きくなるにつれて上昇する。しかしながら、測定対象物36の押圧力が15mN以上の領域では、半導体歪検出素子12の出力の直流成分の大きさは略一定値となり、測定対象物36の押圧力の増加に比例しない。また、空気室30の空気圧を十分に大きくした場合(PDC=64.1kPA)では、測定対象物36の押圧力の増加に対して、半導体歪検出素子12の出力の直流成分の大きさは比例して増加し、測定対象物36の押圧力に対応した大きさの出力信号となる。
上述の測定結果では、測定対象物36の押圧力の増加に対して、半導体歪検出素子12の出力の直流成分の大きさも増加した。したがって、半導体歪検出素子12の出力の直流成分の大きさを検出することで、測定対象物36の押圧力を精度良く検出することができる。また、測定対象物36のダイヤフラム26への押圧力の最大値が予め分かっている場合や、押圧力の最大値が予測できる場合は、半導体歪検出素子12の出力の直流成分が、当該最大値まで押圧力の大きさに比例して出力されるように、ある程度大きな空気圧のPDCを選択することが望ましい。また、測定対象物36の押圧力の最大値が予め分かっている場合は、むやみにPDCを大きな圧力の値とするのではなく、半導体歪検出素子12の直流成分の値が、押圧力の最大値まで比例的に測定できる程度のPDCを空気圧値とすることが望ましい。図7において、PDC=35.1kPaとPDC=64.1kPaの場合も、40mN程度の押圧力を測定することが可能であるが、35.1kPaの場合の方が64.1kPaの場合に比べて、半導体歪検出素子12の出力の分解能を高くすることができ、より精度良く測定対象物36の押圧力を測定することができるのである。
次に、本実施形態の触覚センサ装置2を用いて、測定対象物36の固さを測定した結果について図8を用いて説明する。図8は、3種類の固さの測定対象物36を用いて触覚センサ装置2により、測定対象物36の固さを検出した結果を示すグラフである。なお、測定対象物36の固さは、0.59mN/μm(プラスチック)、1.72mN/μm(ゴム)、7.04mN/μm(シリコンチューブ)の3種類を用いた。図8のX軸は測定対象物36の固さを示す値であり、Y軸は、半導体歪検出素子12の出力から交流成分を抽出した出力電圧をPACの圧力振幅で除算したものである。測定対象物36の固さ検出に関しては、図4乃至図6で説明したように、空気室30の空気圧をPDC±PACとし、振幅PACの振動成分に対する信号を、半導体歪検出素子12の出力波形から抽出して得たものである。
図8より、測定対象物36の固さの種類に応じて、半導体歪検出素子12の出力値が変化することがわかる。したがって、空気室30の空気圧をPACの振幅で振動させ、半導体歪検出素子12の信号を抽出することで、測定対象物36の固さを検出することができる。また、図8より分かるように、固さが0.59mN/μmの物と1.72mN/μmの物の検出結果の差異が、1.72mN/μmと7.04mN/μmの差異よりも大きく表れている。本実施形態の検出原理で述べたように、ダイヤフラム26は振幅PACの空気圧変動によって微小に振動させられるが、測定対象物36が圧力PDCによって決まるダイヤフラム26の表面の固さと比べて一定以上に固い場合は、測定対象物36の反発力の差を区別することが困難となる。従って、測定対象物36がダイヤフラム26表面と比較して比較的柔らかい物であれば、固い物よりも、より精度良く測定対象物36の固さを検出することができると考えられる。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態の触覚センサ装置2は、空気室30にPDC±PACの空気圧を与え、測定対象物36から及ぼされる物理量を半導体歪検出素子12で出力し、出力信号から所定の周波数の信号を抽出することで、精度良く測定対象物36の押圧力と固さに関する値を検出することができる。本実施形態では、空気室30の空気圧をPDC±PACとすることで、測定対象物36の押圧力と固さを同時に検出することができるため、測定対象物の押圧力と固さを別個独立の検出装置で検出する場合に比べ、容易に押圧力と固さを検出することができる。なお、第1の実施形態の触覚センサ装置2は、測定対象物36の押圧力と固さ両方を検出することができるものであるが、これに限らず、本実施形態の触覚センサ装置2を、固さのみを検出するように変更しても良いし、押圧力のみを検出するように変更しても良い。
また、本実施形態の触覚センサ装置2は、半導体歪検出素子12をダイヤフラム26上に36個並べて配置しているため、測定対象物36の各位置についての押圧力と固さの分布状況を検出することができる。特に本実施形態の触覚センサ装置2は、センサ本体4の半導体歪検出素子12を、半導体の集積化技術を用いて集積化しているため、容易に構成することができる。また、本実施形態の触覚センサ装置2は、ダイヤフラム26をシリコン基板より形成し、ダイヤフラム26の一部に半導体歪検出素子12を設けるため、製造過程を一連の半導体加工技術とすることができ、加工に係る時間、コストを削減することができる。
また、本実施形態の触覚センサ装置2の半導体歪検出素子12は、ダイヤフラム26の測定対象物36との接触面と反対側の面に設けられているため、半導体歪検出素子12が測定対象物36に接触して素子自体や素子の配線等が破損することを防止することができる。また、半導体歪検出素子12が設けられるダイヤフラム26の内側は、空気室30となっており、外部から水分や埃が浸入する可能性が少ないため、半導体歪検出素子12の破損を少なくすることができる。なお、本実施形態では、半導体歪検出素子12をダイヤフラム26の空気室30側に配置させた構成としたが、これに限らず、半導体歪検出素子12をダイヤフラム26の測定対象物36と接触する側に配置しても良い。この場合は、シリコンウエハの上面側に半導体歪検出素子12と信号処理回路14が形成され、下面側から所定の厚さのダイヤフラム26が形成されるように、シリコンウエハがエッチングされる。なお、ダイヤフラム26に半導体歪検出素子12を集積化するにあたり、製造上の容易性からダイヤフラム26の測定対象物36側に半導体歪検出素子12を配置する場合は、半導体歪検出素子12の破損を防止するために何らかの被覆部材で覆うことが望ましい。また、本実施形態の触覚センサ装置2は、単結晶シリコン基板を加工して作製されるため、増幅回路、信号処理回路などを同じシリコン基板上に作製することができ、センサの集積化、小型化を実現することができる。なお、センサの集積化を実現するためには、触覚センサ2をシリコン基板上に加工することが望ましいが、これ以外にも、プラスチックフィルムでダイヤフラム26を構成し、このプラスチックフィルム上にひずみゲージ等を貼りつけるようにしても良い。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、ダイヤフラム26と測定対象物36が接触した状態で、空気室30の空気圧を振動させて出力電圧の振幅の大きさで測定対象物36の固さを検出したが、第2の実施形態では、空気室30の内圧の振動周波数を変化させて測定対象物36の各位置の固有振動数を求め、測定対象物36の固さを検出するものである。
図9に第2の実施形態の触覚センサ装置2の全体構成図を示す。なお、図2乃至図3については、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。図9において、センサ本体4は空気圧源6に空気管路8を介して接続され、空気圧調整手段10はセンサ本体4の空気室30の内圧を調整する。空気圧調整手段10は、センサ本体4の空気室の空気圧をPDC±PACCとなるように制御するが、第2の実施形態では、振幅PACで振動する空気圧の周波数fを周波数fから周波数fまで変化させる。周波数fから周波数fまでの周波数範囲は、測定対象物36の持つ固有周波数を含むものである。また、空気圧調整手段10で設定されら周波数fは、信号線38を介して信号処理回路14に伝達される。
測定対象物36は、ダイヤフラム26が接触した状態で周波数fが与えられると振動するが、周波数fが測定対象物36の固有振動数になった場合、測定対象物36は他の周波数よりも大きく振動する。この状態で測定対象物36は、他の周波数の時よりもダイヤフラム26に大きな反発力を及ぼすため、半導体歪検出素子12の出力値より測定対象物36の固有周波数の検出が可能となる。図10に示すように、固有周波数は測定対象物36の固さによって異なる値となるため、測定対象物36の固有周波数を求めることで測定対象物36の固さを検知することができるのである。
図9において、半導体歪検出素子12の出力信号が信号処理回路14に伝達される。信号処理回路14は、第1の実施形態と同様に、出力信号の直流成分を抽出して測定対象物36の押圧力として出力する。また、信号処理回路14は、空気圧調整手段10から得たPACの周波数fより、半導体歪検出素子12の出力信号から周波数fの信号を抽出して固有周波数特定手段40に出力する。固有周波数特定手段40は、信号処理回路14から出力された各周波数の出力値の大きさを比較し、最も大きい周波数を固有周波数と特定する。さらに固有周波数特定手段40は、特定された固有周波数より、図10を用いて測定対象物36の固さに関する値を特定し、固さに関する物理量を出力する。
したがって、第2の実施形態においては、測定対象物36の押圧力に加え、測定対象物36の固さを検出することができる。本実施形態においても、測定対象物36の押圧力と固さを同時に検出することができるため、押圧力と固さを別個独立に検出する場合に比べて、検出が容易になる。
次に、第3の実施形態について図11を用いて説明する。第3の実施形態についても、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について詳細に説明する。第1実施態様と同様に、センサ本体4は空気圧調整手段10により、空気圧がPDC±PACとなるように制御され、半導体歪検出素子12の出力は信号処理回路14に入力される。信号処理回路14は、半導体歪検出素子12の出力値の直流成分を抽出し、押圧力として出力する。また、信号処理回路14は、半導体歪検出素子12の出力信号からPACの周波数の成分を抽出し、微弱押圧力及び固さ検出手段42に出力する。また、空気圧調整手段10の空気圧PACの振動の位相とタイミングは、信号線44を介して信号処理回路14および微弱押圧力及び固さ検出素子42に出力される。
微弱押圧力および固さ検出手段42に入力される出力信号を図12に示す。図12において、X軸は測定対象物36のダイヤフラム26に対する押圧力であり、Y軸は半導体歪検出素子12の出力信号より信号処理回路14によって抽出された信号の大きさを示している。図12のグラフの測定にあたっては、ダイヤフラム26に対する測定対象物36の押圧力を0Nから徐々に増加させ、これに対して出力する半導体歪検出素子の出力信号を信号処理回路14を用いて抽出した。なお、図12にあるように、測定対象物36は固さが1.72mN/μmのものと7.04mN/μmのものの2つものについて測定を行った。
図12より、いずれの固さの測定対象物36においても、押圧力が極小さな領域(500μN以下の領域)で、出力値が約550μVから約50μVまで急激に減少しているのが分かる。これは以下のように説明できる。センサ本体4のダイヤフラム26が測定対象物36に接触する前の状態、すなわち押圧力が0Nの時には、ダイヤフラム26は自由に振動することができるため、ダイヤフラム26に設けられる半導体歪検出素子12には比較的大きな歪力が及ぼされ、大きな値(550μV)を出力する。その後、ダイヤフラム26が測定対象物36に接触し始めると、ダイヤフラム26の自由な振動は制限されるため、半導体歪検出素子12の出力は急激に減少する。したがって、このような信号の急激な減少の状況を測定することで、ダイヤフラム26と測定対象物36の接触初期の微弱押圧力の大きさを測定することができる
なお、ダイヤフラム26が測定対象物36の微弱な押圧力を出力する状態では、ダイヤフラム26は測定対象物36に対して同位相で振動していると考えられる。一方、ダイヤフラム26が測定対象物36から反発力を受ける状態、すなわち、ダイヤフラム26の出力電圧が測定対象物36の固さを出力する場合は、ダイヤフラム26は測定対象物36に対して逆位相で振動していると考えられる。従って、空気圧調整手段10の空気圧PACの振動の位相と信号処理回路14の出力信号の位相を比較すれば、図12におけるY軸の出力のうち、微弱押圧力と固さの信号を判別することができる。
上述した測定結果に対する考察より、第3の実施形態では、微弱押圧力及び固さ検出手段42を図13に示すように構成している。図13において、信号処理回路14で抽出された空気圧PACの周波数の信号成分は、微弱押圧力及び固さ検出手段42の位相検波器46と位相検波器48に入力される。位相検波器46には、空気圧調整手段10から接続される信号線44より、空気圧PACの位相の信号が入力されており、信号処理回路14の出力信号から、空気圧PACの位相と同期する信号が微弱力として出力される。一方、位相検波器48には、位相反転回路50を介して空気圧調整回路10の空気圧PACの位相信号が入力される。従って、位相検波器48からは、空気圧PACと位相が半周期異なる成分が抽出されることになり、空気圧PACと逆位相である測定対象物36の固さ信号が出力されることになる。
したがって、第3の実施形態の触覚センサ装置2は、ダイヤフラム26と測定対象物36の間の微弱接触力を精度良く検出することができる。上述したように、ダイヤフラム26と測定対象物36の間の押圧力は、第1及び第2実施形態に示したように、センサ本体4の出力値の直流成分を抽出することによっても検出することができる。しかしながら、半導体歪検出素子12の出力値の直流成分には、低周波雑音が含まれるため、第3の実施形態のような極めて小さい押圧力を検出することは非常に困難である。本実施形態では、半導体歪検出素子12の出力値からPACの周波数の成分を抽出手段18によって抽出することで、半導体歪検出素子12の出力値に含まれる低周波雑音を除去した状態で、微弱押圧力を精度良く検出することが可能となるのである。
なお、上述の第3の実施形態では、微弱押圧力及び固さ検出手段42は、位相検波器46及び48によって、微弱押圧力と固さ信号を抽出する構成としたが、別の構成も考えられる。例えば、信号処理回路14で抽出される直流成分の押圧力の大きさが大きい場合は、ダイヤフラム26は測定対象物36から反発力を受けていると判断し、信号処理回路14の信号より固さ信号を抽出し、押圧力の大きさが小さい場合は、ダイヤフラム26が測定対象物36から反発力を受ける前の段階と判断し、信号処理回路14の信号より微弱押圧力信号を抽出しても良い。この場合、図12に示すような測定を行い、予め微弱接触力を測定できる範囲を求めておくことで、押圧力の大きさに応じて微弱押圧力と固さ信号の判別を精度良く行うことができるようになる。
また、第3の実施形態では、押圧力の極小さな領域では、押圧力の増加に対してセンサ本体4の出力信号が線形的に減少すると仮定したが、第3の実施形態の触覚センサ装置2をタッチセンサのような、ダイヤフラム26が測定対象物36に接触したか否かのみを検出する場合にも、第3の実施形態を応用することができる。その場合、図12の出力値が例えば、300μV以下になった場合にダイヤフラム26が測定対象物36に接触した状態とすることで、精度良く両者の接触状態を検出することができるようになる。
また、第3の実施形態では、信号処理回路14により半導体歪検出素子12の出力信号の直流成分が押圧力として出力され、微弱押圧力及び固さ検出手段42により、微弱な押圧力が出力される構成としているが、両方の押圧力を組み合わせて微弱な領域の押圧力から比較的大きい値の押圧力まで広範囲に渡って押圧力を検出するようにすることが望ましい。これにより、第3実施形態の触覚センサ装置2は、第1及び第2実施形態に比較して、押圧力を広範囲に検出することができる。また、上記構成によれば、特に、押圧力が極小さな領域においては、押圧力を高精度に検出することができる。
また、上述の3つの実施形態においては、空気圧PDC±PACを空気圧として変化させたが、空気室30内の気体は空気に限らず、気圧をPDC±PACとすることができれば他の気体であっても良い。また、ダイヤフラム26に伝達される圧力の大きさをPDC±PACと変化させることのできる流体であれば気体に限られず、液体としても良い。

Claims (12)

  1. 所定の密閉空間を形成する空気室と、
    前記空気室の圧力を調整する空気圧調整手段と、
    前記空気室の隔壁の一部を形成し、前記空気室の空気圧の変化に伴い撓むことが可能なダイヤフラムと、
    前記ダイヤフラムが撓む部分に配置される力検出素子と、
    前記力検出素子の出力信号から所定の信号を抽出する信号処理回路とを備え、
    前記ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態で、接触状態に関する物理量を測定する触覚センサ装置において、
    前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力値が振動変化するように空気圧を調整するものであり、
    前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号を検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とする触覚センサ装置。
  2. 前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号の振幅の大きさを検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ装置。
  3. 前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号の周波数を検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ装置。
  4. 前記信号処理回路は、空気室の圧力値が振動変化したことによる前記力検出素子の信号の振幅の大きさ及び周波数を検出し、測定対象物の固さに関する値として出力することを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ装置。
  5. 前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力を所定の圧力値を中心として圧力値が振動するように変化させるものであり、
    前記信号処理回路は、力検出素子の出力信号から、所定の周波数成分を抽出することにより、測定対象物の押圧力に関する値と固さに関する値を出力するものである請求項1から4のいずれか1項に記載の触覚センサ装置。
  6. 前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力信号の変化度合いより、前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の触覚センサ装置。
  7. 前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力から、前記空気室の圧力の振動の周波数に基づいて抽出される交流成分より、前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力を検出することを特徴とする請求項5に記載の触覚センサ装置。
  8. 前記信号処理回路は、前記信号処理回路により抽出された交流成分から、前記空気室の圧力の振動と同位相の信号より前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力に関する信号を検出し、前記空気室の圧力の振動と逆位相の信号より前記測定対象物の固さに関する信号を検出することを特徴とする請求項7に記載の触覚センサ装置。
  9. 前記力検出素子は、前記ダイヤフラムの測定対象物と接触する面と反対の面に設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の触覚センサ装置。
  10. 前記力検出素子は、前記ダイヤフラムの表面付近に集積化して設けられることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の触覚センサ装置。
  11. 所定の密閉空間を形成する空気室と、
    前記空気室の圧力を調整する空気圧調整手段と、
    前記空気室の隔壁の一部を形成し、前記空気室の空気圧の変化に伴い撓むことが可能なダイヤフラムと、
    前記ダイヤフラムが撓む部分に配置される力検出素子と、
    前記力検出素子の出力信号から所定の信号を抽出する信号処理回路とを備え、
    前記ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態で、接触状態に関する物理量を測定する触覚センサ装置において、
    前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力値が振動変化するように空気圧を調整するものであり、
    前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力信号の変化度合いより、前記測定対象物のダイヤフラムへの微弱押圧力を検出することを特徴とする触覚センサ装置。
  12. 所定の密閉空間を形成する空気室と、
    前記空気室の圧力を調整する空気圧調整手段と、
    前記空気室の隔壁の一部を形成し、前記空気室の空気圧の変化に伴い撓むことが可能なダイヤフラムと、
    前記ダイヤフラムが撓む部分に配置される力検出素子と、
    前記力検出素子の出力信号から所定の信号を抽出する信号処理回路とを備え、
    前記ダイヤフラムが測定対象物に接触した状態で、接触状態に関する物理量を測定する触覚センサ装置において、
    前記空気圧調整手段は、前記空気室の圧力値が振動変化するように空気圧を調整するものであり、
    前記信号処理回路は、前記ダイヤフラムが測定対象物に接触し始めた直後の力検出素子の出力信号の変化度合いより、前記測定対象物がダイヤフラムへ接触している状態か接触していない状態かを判別することを特徴とする触覚センサ装置。
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