JPWO2007055325A1 - 動脈硬化性疾患予防・治療薬および治療手段の評価方法 - Google Patents
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Abstract
採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(特にタンパク質)の動脈硬化を増悪させる作用(例えば、酵素活性のような薬理作用)の強さに対応する値を、当該物質の動脈硬化病変における量に相関して変動し、かつ評価しようとする治療薬あるいは治療手段の影響を受けない補正マーカーの動脈硬化病変試料における量で補正した値を、該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤の投与群あるいは治療手段を施した群と非投与群あるいは非治療群の各々から採取された試料に関して比較評価する動脈硬化治療薬あるいは治療手段の効果の評価方法を提供する。
Description
本発明は、ACATに代表される動脈硬化病変に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(特にタンパク質)の動脈硬化を増悪させる作用(例えば、薬理活性(例えば、酵素活性))に対する、該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤または治療手段の効果(例えば、当該標的タンパク質の薬理活性の阻害薬による阻害作用)を評価するための方法に関するものである。
ACAT(アシルコエンザイムAコレステロールアシル転移酵素)は、動脈硬化病巣の形成、食事性コレステロールの吸収、リポタンパク合成等において重要な働きを担っている。そのため、ACATの活性を阻害するACAT阻害薬は、血中コレステロール低下作用、泡沫細胞形成抑制を介した動脈硬化の予防・治療薬として期待され、多くのACAT阻害薬の開発が現在までに試みられている。
ACAT阻害薬を臨床評価する上で、ACAT阻害薬がヒト動脈硬化病変に存在するACATの酵素活性をどの程度阻害するかを評価することは、その有効用量を推定し、適切に設計された評価プロトコルの下、候補薬物の臨床上の価値を正しく評価する上で極めて重要と考えられる。
しかしながら、ヒトの動脈硬化病変は同じ患者であってもその部位により均質なものではなく極めて多様な性質を持つことから、部位により動脈硬化病変中のACATの酵素活性のバラツキが大きく、薬物投与患者と薬物非投与患者から採取した動脈硬化病変中のACATの酵素活性を測定して単純に比較しただけでは、薬物の阻害作用の程度を検出することは極めて困難であると考えられており、さらに、動脈硬化病変中のACATタンパク量を直接的に測定することは困難であるため当該タンパク量による補正も容易ではなく、従来このような評価は行われて来なかった。
また、従来動脈硬化病変から採取した試料を用いて当該試料中のACATに対する薬剤の作用を評価することは、行われていない。これは、動脈硬化病変を摘出しACAT活性測定に供する過程において薬剤が酵素源から遊離すること、動脈硬化病変の多様性により病変中ACAT活性が大きくばらつくことなどにより、薬剤の阻害作用を正確に評価することが難しいことが想定されたためと考えられる。
このため、従来は候補薬剤の血中脂質濃度の低下作用、動物モデル(例えば、Watanabe heritable hyperlipidemic(WHHL)ウサギが広く使用されている)での候補薬剤の長期投与後の動脈硬化病変自体の評価結果に基づいて、臨床試験に入らざるを得ず、その効果がヒトでも反映されるのかは、臨床評価を相当程度進めてみて初めてわかるというのが実情であり、前臨床データからの期待に反して満足できる臨床効果が得られない場合も多く、新薬の効率的な創出の障害となっていた。
例えば、Avasimibeは、前臨床試験ではマウス、ウサギ、ハムスターなど各種動物モデルにおいて動脈硬化病変中コレステロールエステルを低下させるなどの抗動脈硬化作用を有するACAT阻害薬であると認識されていた(非特許文献1−3)。しかしながら、これら前臨床試験での抗動脈硬化作用の成績は、肝臓や小腸のACATを阻害することによる血漿コレステロール低下を伴っており、Avasimibeが動脈硬化病変中のACATを阻害することにより抗動脈硬化作用を示していることを直接的に示す実験成績は示されていなかった。
Avasimibeはこれら前臨床試験での成績をもとに臨床試験が実施されたが、肝臓や小腸のACAT阻害に基づくと考えられる血中脂質への効果は認められたものの(非特許文献4−5)、抗動脈硬化作用を調べる臨床試験では効果を認めず開発を中止した(非特許文献6)。
「サーキュレーション、2001年、第103巻、p.1778−1786」 「アテロスクレロシス、1998年、第137巻、p.77−85」 「アテロスクレロシス、2001年、第157巻、p.97−105」 「アテロスクレロシス、2001年、第157巻、p.137−144」 「アテロスクレロシス、2003年、第171巻、p.273−279」 「サーキュレーション、2004年、第110巻、p.3372−3377」
ACAT阻害薬を臨床評価する上で、ACAT阻害薬がヒト動脈硬化病変に存在するACATの酵素活性をどの程度阻害するかを評価することは、その有効用量を推定し、適切に設計された評価プロトコルの下、候補薬物の臨床上の価値を正しく評価する上で極めて重要と考えられる。
しかしながら、ヒトの動脈硬化病変は同じ患者であってもその部位により均質なものではなく極めて多様な性質を持つことから、部位により動脈硬化病変中のACATの酵素活性のバラツキが大きく、薬物投与患者と薬物非投与患者から採取した動脈硬化病変中のACATの酵素活性を測定して単純に比較しただけでは、薬物の阻害作用の程度を検出することは極めて困難であると考えられており、さらに、動脈硬化病変中のACATタンパク量を直接的に測定することは困難であるため当該タンパク量による補正も容易ではなく、従来このような評価は行われて来なかった。
また、従来動脈硬化病変から採取した試料を用いて当該試料中のACATに対する薬剤の作用を評価することは、行われていない。これは、動脈硬化病変を摘出しACAT活性測定に供する過程において薬剤が酵素源から遊離すること、動脈硬化病変の多様性により病変中ACAT活性が大きくばらつくことなどにより、薬剤の阻害作用を正確に評価することが難しいことが想定されたためと考えられる。
このため、従来は候補薬剤の血中脂質濃度の低下作用、動物モデル(例えば、Watanabe heritable hyperlipidemic(WHHL)ウサギが広く使用されている)での候補薬剤の長期投与後の動脈硬化病変自体の評価結果に基づいて、臨床試験に入らざるを得ず、その効果がヒトでも反映されるのかは、臨床評価を相当程度進めてみて初めてわかるというのが実情であり、前臨床データからの期待に反して満足できる臨床効果が得られない場合も多く、新薬の効率的な創出の障害となっていた。
例えば、Avasimibeは、前臨床試験ではマウス、ウサギ、ハムスターなど各種動物モデルにおいて動脈硬化病変中コレステロールエステルを低下させるなどの抗動脈硬化作用を有するACAT阻害薬であると認識されていた(非特許文献1−3)。しかしながら、これら前臨床試験での抗動脈硬化作用の成績は、肝臓や小腸のACATを阻害することによる血漿コレステロール低下を伴っており、Avasimibeが動脈硬化病変中のACATを阻害することにより抗動脈硬化作用を示していることを直接的に示す実験成績は示されていなかった。
Avasimibeはこれら前臨床試験での成績をもとに臨床試験が実施されたが、肝臓や小腸のACAT阻害に基づくと考えられる血中脂質への効果は認められたものの(非特許文献4−5)、抗動脈硬化作用を調べる臨床試験では効果を認めず開発を中止した(非特許文献6)。
「サーキュレーション、2001年、第103巻、p.1778−1786」 「アテロスクレロシス、1998年、第137巻、p.77−85」 「アテロスクレロシス、2001年、第157巻、p.97−105」 「アテロスクレロシス、2001年、第157巻、p.137−144」 「アテロスクレロシス、2003年、第171巻、p.273−279」 「サーキュレーション、2004年、第110巻、p.3372−3377」
上記のような状況下、ACAT阻害薬の臨床上の効果(特に、臨床用量)を精度良く推定するため、ACAT阻害薬によるヒト動脈硬化病変に存在するACATの酵素阻害活性の程度を精度高く評価する方法の確立が望まれていた。また、ACAT阻害薬だけではなく、動脈硬化病変試料に存在するACAT以外のタンパク質等、動脈硬化を増悪させる性質を有する物質一般の動脈硬化を増悪させる作用の強さを精度高く評価する方法の確立が望まれていた。
培養細胞などを用いる場合に比較すると、動脈硬化病変は複雑な構成成分(細胞種多様、細胞以外の壊死巣、脂質の蓄積、繊維質等)を有するため、動脈硬化病変試料を採取した個体により、また、採取部位により、その組成は大きく異なり、そのため元来その試料中に存在するACATの量が相当程度異なるため、例えば、仮にACAT阻害薬投与後の当該試料中のACAT酵素活性が低い値を示したとしても、元来その試料中のACATの存在量が少なかったために低い活性を示したのか、あるいは、ACAT阻害薬が酵素を強く阻害したことの結果として低い活性を示したのかが明らかではなく、結果として示されたACAT酵素活性の絶対値のみからでは、ACAT阻害薬の酵素阻害活性を正確に評価できないことが、問題の所在であった。
かかる問題を解決する方法としては、例えば、採取された動脈硬化病変試料中に存在するACATタンパク量を測定して、当初のACAT酵素活性を想定することにより、ACAT阻害薬の酵素阻害活性の程度を評価することが考えられる。
しかしながら、例えばWestern blot法のような常法によりタンパク量を測定する場合には、組織由来の夾雑物の影響により測定範囲が狭く、かつ、測定誤差が大きいとの問題があり、初期の目的を達成することはできなかった。
一方、直接ACATタンパク量を測定することに代えて、対応するmRNAの量を測定することも考えられるが、安定した定量が困難であること、また、必ずしもmRNAの存在量がタンパク量とは一致しないことから、これによっても初期の目的を達成することはできなかった。
かかる問題を解決する方法としては、例えば、採取された動脈硬化病変試料中に存在するACATタンパク量を測定して、当初のACAT酵素活性を想定することにより、ACAT阻害薬の酵素阻害活性の程度を評価することが考えられる。
しかしながら、例えばWestern blot法のような常法によりタンパク量を測定する場合には、組織由来の夾雑物の影響により測定範囲が狭く、かつ、測定誤差が大きいとの問題があり、初期の目的を達成することはできなかった。
一方、直接ACATタンパク量を測定することに代えて、対応するmRNAの量を測定することも考えられるが、安定した定量が困難であること、また、必ずしもmRNAの存在量がタンパク量とは一致しないことから、これによっても初期の目的を達成することはできなかった。
そこで、発明者は、ACATタンパク量に代わる指標として、動脈硬化病変中のACATと発現量が相関するタンパク質を選択し(以後、補正マーカーという)、試料中に元来発現しているACAT量に代えて、対応する補正マーカーのタンパク量を用いて各試料中の当初のACATタンパク量を評価し、これを指標として各試料間の当初ACATタンパク量のバラツキに基づく阻害活性の評価の困難性を是正する補正を行うことにより問題点を解決できるものと考え、鋭意検討の後、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値を、当該物質の動脈硬化病変における量に相関して変動し、かつ評価しようとする治療薬あるいは治療手段の影響を受けない補正マーカーの動脈硬化病変試料における量で補正した値を、該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤の投与群あるいは治療手段を施した群と非投与群あるいは非治療群の各々から採取された試料に関して比較評価することを特徴とする、動脈硬化治療薬あるいは治療手段の効果の評価方法;
(2)採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性を、当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値で除した補正値を、標的タンパク質の薬理活性の阻害薬の投与群と非投与群の各々から採取された試料に関して比較評価することを特徴とする、当該阻害薬による動脈硬化病変に存在する標的タンパク質の薬理活性阻害作用の評価方法;
(3)「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」が、ACATであり、
「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」が、ACAT酵素活性であり、
「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」が、ACAT阻害薬である、上記(2)に記載の評価方法;
(4)「当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカー」が、酵素活性を有するタンパク質である、上記(2)に記載の評価方法;
(5)当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値が、当該補正マーカーの酵素活性である、上記(2)に記載の評価方法;
(6)採取された動脈硬化病変試料が、ヒト由来のものである、上記(2)に記載の評価方法;
(7)上記(6)に記載の評価方法による評価において、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を選択することからなる、当該阻害薬の臨床用量の設定方法;
(8)標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、1投与単位あたり上記(7)に記載の方法により設定された臨床用量含有するように製剤化したことを特徴とする、哺乳動物における動脈硬化性疾患の予防および/または治療剤;
(9)上記(7)に記載の方法により設定された臨床用量の標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、哺乳動物に投与することを特徴とする、動脈硬化性疾患の予防および/または治療方法;
などを提供する。
(1)採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値を、当該物質の動脈硬化病変における量に相関して変動し、かつ評価しようとする治療薬あるいは治療手段の影響を受けない補正マーカーの動脈硬化病変試料における量で補正した値を、該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤の投与群あるいは治療手段を施した群と非投与群あるいは非治療群の各々から採取された試料に関して比較評価することを特徴とする、動脈硬化治療薬あるいは治療手段の効果の評価方法;
(2)採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性を、当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値で除した補正値を、標的タンパク質の薬理活性の阻害薬の投与群と非投与群の各々から採取された試料に関して比較評価することを特徴とする、当該阻害薬による動脈硬化病変に存在する標的タンパク質の薬理活性阻害作用の評価方法;
(3)「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」が、ACATであり、
「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」が、ACAT酵素活性であり、
「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」が、ACAT阻害薬である、上記(2)に記載の評価方法;
(4)「当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカー」が、酵素活性を有するタンパク質である、上記(2)に記載の評価方法;
(5)当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値が、当該補正マーカーの酵素活性である、上記(2)に記載の評価方法;
(6)採取された動脈硬化病変試料が、ヒト由来のものである、上記(2)に記載の評価方法;
(7)上記(6)に記載の評価方法による評価において、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を選択することからなる、当該阻害薬の臨床用量の設定方法;
(8)標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、1投与単位あたり上記(7)に記載の方法により設定された臨床用量含有するように製剤化したことを特徴とする、哺乳動物における動脈硬化性疾患の予防および/または治療剤;
(9)上記(7)に記載の方法により設定された臨床用量の標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、哺乳動物に投与することを特徴とする、動脈硬化性疾患の予防および/または治療方法;
などを提供する。
上記ACATについて確立された評価方法と同様の手法は、動脈硬化病変中に存在する他の動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性の阻害薬の評価にも適用できる。さらに、タンパク質のみならず、動脈硬化病変中に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤あるいは治療手段の評価にも適用できる。取り分け、当該標的タンパク質の定量が困難な場合、また動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の定量が困難な場合に、有益な評価方法となる。
本発明の評価方法においては、採取した動脈硬化病変中の標的タンパク質に対する阻害薬の直接の作用を評価することができる。従って、係る動脈硬化病変への直接作用による阻害薬の有効性を適切に評価することができ、例えば、採取されたヒトの患者由来の動脈効果病変試料に基づいて評価を行った場合には、この評価における有効用量に基づいて実際の患者での臨床用量を合理的に決定することができる。
上記で示された本発明の評価方法における種々の用語等を、以下に詳細に説明する。但し、これらに限定する趣旨ではない。
「採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(タンパク質)の作用(薬理活性)の測定」
「採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(タンパク質)の作用(薬理活性)の測定」
(a)動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(タンパク質)
本発明の適用対象となる「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質」(以下「標的物質」という場合がある)は、特に限定されるものではなく、動脈硬化病変中に存在または発現し、その作用(薬理活性等)の発揮により動脈硬化病変の拡大等、動脈硬化病変を増悪させる性質を有する物質(タンパク質、脂質(コレステロールとその酸化物を含む誘導体、コレステロール以外のクラスの脂質とその酸化物を含む誘導体)、動脈硬化病巣の感染微生物由来物質など)等、特にタンパク質)が広く包含される。かかる標的物質の動脈硬化病変中での存在量の定量が難しい場合に、取り分け本発明の対象とすることが有利となる。
本発明の適用対象となる「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」(以下「標的タンパク質」という場合がある)は、特に限定されるものではなく、動脈硬化病変中で発現し、その薬理活性の発揮により動脈硬化病変の拡大等、動脈硬化病変を増悪させる性質を有するタンパク質が広く包含される。このようなタンパク質としては、例えば、ACAT、リポタンパク結合型ホスホリパーゼA2, リポキシゲナーゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ、カテプシンなどが挙げられる。
かかるタンパク質の動脈硬化病変中での存在量の定量が難しい場合に、取り分け本発明の対象とすることが有利となる。
本発明の適用対象となる「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質」(以下「標的物質」という場合がある)は、特に限定されるものではなく、動脈硬化病変中に存在または発現し、その作用(薬理活性等)の発揮により動脈硬化病変の拡大等、動脈硬化病変を増悪させる性質を有する物質(タンパク質、脂質(コレステロールとその酸化物を含む誘導体、コレステロール以外のクラスの脂質とその酸化物を含む誘導体)、動脈硬化病巣の感染微生物由来物質など)等、特にタンパク質)が広く包含される。かかる標的物質の動脈硬化病変中での存在量の定量が難しい場合に、取り分け本発明の対象とすることが有利となる。
本発明の適用対象となる「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」(以下「標的タンパク質」という場合がある)は、特に限定されるものではなく、動脈硬化病変中で発現し、その薬理活性の発揮により動脈硬化病変の拡大等、動脈硬化病変を増悪させる性質を有するタンパク質が広く包含される。このようなタンパク質としては、例えば、ACAT、リポタンパク結合型ホスホリパーゼA2, リポキシゲナーゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ、カテプシンなどが挙げられる。
かかるタンパク質の動脈硬化病変中での存在量の定量が難しい場合に、取り分け本発明の対象とすることが有利となる。
(b)動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(タンパク質)の動脈硬化を増悪させる作用(薬理活性)
「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化を増悪させる作用」(以下、「動脈硬化増悪作用」という場合がある)とは、当該標的物質が生体内で発揮する作用(例えば、酵素活性、シグナル伝達機能、脂質蓄積、炎症性細胞の浸潤や増殖や炎症反応、動脈硬化病変の進展や脆弱化、等)をいい、例えば、標的物質がタンパク質である場合は、その薬理活性をいう。
「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」とは、当該標的タンパク質が生体内で発揮する薬理活性(例えば、酵素活性、シグナル伝達機能、等)をいい、例えば、標的タンパク質がACATである場合は、その酵素活性をいう。
「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化を増悪させる作用」(以下、「動脈硬化増悪作用」という場合がある)とは、当該標的物質が生体内で発揮する作用(例えば、酵素活性、シグナル伝達機能、脂質蓄積、炎症性細胞の浸潤や増殖や炎症反応、動脈硬化病変の進展や脆弱化、等)をいい、例えば、標的物質がタンパク質である場合は、その薬理活性をいう。
「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」とは、当該標的タンパク質が生体内で発揮する薬理活性(例えば、酵素活性、シグナル伝達機能、等)をいい、例えば、標的タンパク質がACATである場合は、その酵素活性をいう。
(c)標的物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤または治療手段および標的タンパク質の薬理活性の阻害薬
「標的物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤または治療手段」とは、標的とする上記「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質」に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤または治療手段をいい、そのような作用を有する薬剤または治療手段であれば、特に限定されるものではない。例えば、標的物質が酵素タンパク質である場合には、酵素阻害薬が対象薬剤となる。例えば、標的物質が脂質である場合には、脂質低下薬(例えば、スタチン類、フィブラート類など)が対象薬剤となり、脂質を低下させるような外科的な手術などが、治療手段となる。
「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」とは、標的とする上記「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」の「薬理活性」を阻害する活性を有する薬剤をいい、特に限定されるものではない。例えば、標的タンパク質がACATである場合には、ACAT阻害薬が対象薬剤となる。
本発明の適用対象となるACAT阻害薬は、ACAT阻害活性を有するものであれば特に限定されない。現在までにACAT阻害薬としては多種のものが知られており、一つの特徴ある薬剤としてのグループを形成するものとして、当業者には広く認識されている。例えば、FR−129169、CI−1011、F−1394、F−12511、T−2591、FCE−28654、K−10085、HL−004、NTE−122、FR−186054、(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸、N−(1−ペンチル−4,6−ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド又はN−(1−オクチル−5−カルボキシメチル−4,6−ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド、等が知られているが、本発明の対象となる「ACAT阻害薬」はこれらに限定されるものではない。本発明の評価方法に付すことで、動脈硬化病変に存在するACATの酵素阻害活性を正確に評価することができる。
「標的物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤または治療手段」とは、標的とする上記「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質」に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤または治療手段をいい、そのような作用を有する薬剤または治療手段であれば、特に限定されるものではない。例えば、標的物質が酵素タンパク質である場合には、酵素阻害薬が対象薬剤となる。例えば、標的物質が脂質である場合には、脂質低下薬(例えば、スタチン類、フィブラート類など)が対象薬剤となり、脂質を低下させるような外科的な手術などが、治療手段となる。
「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」とは、標的とする上記「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」の「薬理活性」を阻害する活性を有する薬剤をいい、特に限定されるものではない。例えば、標的タンパク質がACATである場合には、ACAT阻害薬が対象薬剤となる。
本発明の適用対象となるACAT阻害薬は、ACAT阻害活性を有するものであれば特に限定されない。現在までにACAT阻害薬としては多種のものが知られており、一つの特徴ある薬剤としてのグループを形成するものとして、当業者には広く認識されている。例えば、FR−129169、CI−1011、F−1394、F−12511、T−2591、FCE−28654、K−10085、HL−004、NTE−122、FR−186054、(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸、N−(1−ペンチル−4,6−ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド又はN−(1−オクチル−5−カルボキシメチル−4,6−ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド、等が知られているが、本発明の対象となる「ACAT阻害薬」はこれらに限定されるものではない。本発明の評価方法に付すことで、動脈硬化病変に存在するACATの酵素阻害活性を正確に評価することができる。
(d)動脈硬化病変試料
本発明を実施するに当たっては、「標的物質に直接または間接的に作用して、動脈硬化病変を改善する薬剤」または「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」もしくは対照品(例えば、溶媒)を動脈硬化症を罹患している哺乳動物(例えば、ウサギ、サル、イヌ、ヒト、等)に一定期間投与後、動脈硬化病変から採取された試料を生化学的測定に供する。
「標的物質に直接または間接的に作用して、動脈硬化病変を改善する治療手段」を動脈硬化症を罹患している哺乳動物(例えば、ウサギ、サル、イヌ、ヒト、等)に施して、一定期間処置後、処置群および対照(非治療/非処置群)の動脈硬化病変から採取された試料を生化学的測定に供する。
なお、「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」の投薬期間は、かかる薬剤(阻害薬)の投与による、「標的物質」の存在量(「標的タンパク質」の発現量)そのものへの影響を無視できる期間が好ましく、一般には7日間程度、より好ましくは3日間程度の投薬期間を設定するのが有利である。また、投与量は、当該薬剤(阻害薬)のin vitro data や動物に投与した場合の血中濃度、等の基礎データに基づいて、適宜当業者が設定することができる。
ここで、「標的物質に直接または間接的に作用して、動脈硬化病変を改善する薬剤」または「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」もしくは対照品の投与経路は特に限定されず、経口投与、静脈内投与、等の経路を適宜選択して投与することができる。また、ヒト以外の動物を試験に供する場合には、動脈硬化症は、例えば、高コレステロール食飼育による等、人為的に作り出したものでもよいし、また、遺伝的に自然発症したものでもよい。そのような動物モデルとしては、例えば、WHHLウサギが挙げられる。
病変からの試料の採取は、例えば、摘出した大動脈から、病変組織片を採取することにより行うことができる。ヒトの患者から動脈硬化病変試料を採取する場合には、例えば、頸動脈内膜切除術(carotid endarterectomy)、カテーテル型の器具(Directional Coronary Atherectomy(DCA)カテーテル、Plaque excision system(Foxhollow社)など)による動脈硬化病変の切除等、医療上適切な方法により採取された試料を評価に供することが必要である。
採取された試料は、ホモジナイズ等の適当な処理の後に、生化学的試験に供される。
本発明を実施するに当たっては、「標的物質に直接または間接的に作用して、動脈硬化病変を改善する薬剤」または「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」もしくは対照品(例えば、溶媒)を動脈硬化症を罹患している哺乳動物(例えば、ウサギ、サル、イヌ、ヒト、等)に一定期間投与後、動脈硬化病変から採取された試料を生化学的測定に供する。
「標的物質に直接または間接的に作用して、動脈硬化病変を改善する治療手段」を動脈硬化症を罹患している哺乳動物(例えば、ウサギ、サル、イヌ、ヒト、等)に施して、一定期間処置後、処置群および対照(非治療/非処置群)の動脈硬化病変から採取された試料を生化学的測定に供する。
なお、「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」の投薬期間は、かかる薬剤(阻害薬)の投与による、「標的物質」の存在量(「標的タンパク質」の発現量)そのものへの影響を無視できる期間が好ましく、一般には7日間程度、より好ましくは3日間程度の投薬期間を設定するのが有利である。また、投与量は、当該薬剤(阻害薬)のin vitro data や動物に投与した場合の血中濃度、等の基礎データに基づいて、適宜当業者が設定することができる。
ここで、「標的物質に直接または間接的に作用して、動脈硬化病変を改善する薬剤」または「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」もしくは対照品の投与経路は特に限定されず、経口投与、静脈内投与、等の経路を適宜選択して投与することができる。また、ヒト以外の動物を試験に供する場合には、動脈硬化症は、例えば、高コレステロール食飼育による等、人為的に作り出したものでもよいし、また、遺伝的に自然発症したものでもよい。そのような動物モデルとしては、例えば、WHHLウサギが挙げられる。
病変からの試料の採取は、例えば、摘出した大動脈から、病変組織片を採取することにより行うことができる。ヒトの患者から動脈硬化病変試料を採取する場合には、例えば、頸動脈内膜切除術(carotid endarterectomy)、カテーテル型の器具(Directional Coronary Atherectomy(DCA)カテーテル、Plaque excision system(Foxhollow社)など)による動脈硬化病変の切除等、医療上適切な方法により採取された試料を評価に供することが必要である。
採取された試料は、ホモジナイズ等の適当な処理の後に、生化学的試験に供される。
(e)動脈硬化を増悪させる性質を有する物質(タンパク質)の動脈硬化増悪作用(薬理活性)の測定方法
本発明において、「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化増悪作用」または「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」の測定方法は特に限定されるものではなく、測定対象となる作用または薬理活性に応じて公知の測定方法あるいはそれらに準じる方法で測定することができる。例えば、標的タンパク質がACATである場合には、その酵素活性の測定方法は特に限定されるものではなく、当分野で酵素活性の測定に通常使用される方法が用いられる。例えば、標的物質が脂質である場合には、その脂質の存在量の測定方法は特に限定されるものではなく、当分野で脂質量の測定に通常使用される方法が用いられる。
具体的には、例えば、一定量の動脈硬化病変試料を取り、適切な溶媒中、例えば、反応用緩衝液(e.g. 0.19 M Tris-HCl pH 7.5, 3 mM EDTA, Cholesterol 0.2 mg/ml, BSA 3 mg/ml)と水との混合液中、ラジオアイソトープで標識化されたACATの基質(例えば、[3H]Oleyl−CoA等のアシル−CoA)一定量を含む基質溶液と混合し、適温下(37℃付近)で一定時間反応させた後、常法に従って反応を停止させ、分画後コレステロールエステル画分の放射活性を測定することにより行うことができる。
本発明において、「動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化増悪作用」または「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」の測定方法は特に限定されるものではなく、測定対象となる作用または薬理活性に応じて公知の測定方法あるいはそれらに準じる方法で測定することができる。例えば、標的タンパク質がACATである場合には、その酵素活性の測定方法は特に限定されるものではなく、当分野で酵素活性の測定に通常使用される方法が用いられる。例えば、標的物質が脂質である場合には、その脂質の存在量の測定方法は特に限定されるものではなく、当分野で脂質量の測定に通常使用される方法が用いられる。
具体的には、例えば、一定量の動脈硬化病変試料を取り、適切な溶媒中、例えば、反応用緩衝液(e.g. 0.19 M Tris-HCl pH 7.5, 3 mM EDTA, Cholesterol 0.2 mg/ml, BSA 3 mg/ml)と水との混合液中、ラジオアイソトープで標識化されたACATの基質(例えば、[3H]Oleyl−CoA等のアシル−CoA)一定量を含む基質溶液と混合し、適温下(37℃付近)で一定時間反応させた後、常法に従って反応を停止させ、分画後コレステロールエステル画分の放射活性を測定することにより行うことができる。
「補正マーカーの選択」
本発明を実施する上では、補正マーカーの選択が重要である。補正マーカーとして満たすべき条件としては、(a)動脈硬化病変中での存在量または発現量が、当該病変中に存在する「標的物質」の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値(例えば、その存在量)または「標的タンパク質」(例えば、ACAT)の発現量に相関して変動すること、(b)実際に評価を行うに際しての利便性を有すること(例えば、酵素活性を有し、この活性を指標として定量的評価ができること)、(c) 評価しようとする治療薬(阻害薬)あるいは治療手段の影響を受けない等が挙げられる。
好適な補正マーカーの選択は、具体的には、例えば、以下のような手順で対象を絞り込むことで行うことができる(但し、これに限定されるものではない)。
本発明を実施する上では、補正マーカーの選択が重要である。補正マーカーとして満たすべき条件としては、(a)動脈硬化病変中での存在量または発現量が、当該病変中に存在する「標的物質」の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値(例えば、その存在量)または「標的タンパク質」(例えば、ACAT)の発現量に相関して変動すること、(b)実際に評価を行うに際しての利便性を有すること(例えば、酵素活性を有し、この活性を指標として定量的評価ができること)、(c) 評価しようとする治療薬(阻害薬)あるいは治療手段の影響を受けない等が挙げられる。
好適な補正マーカーの選択は、具体的には、例えば、以下のような手順で対象を絞り込むことで行うことができる(但し、これに限定されるものではない)。
1)遺伝子発現データベースを利用して、動脈硬化病変に存在する「標的タンパク質」(標的タンパク質が、ACATである場合には、例えば、サブタイプであるACAT-1)と発現量が相関する遺伝子を選択する。原則として、相関性の高いものから順に補正マーカー候補を絞り込むことが有利である。
2)当該遺伝子がコードするタンパク質から、酵素活性を持つものを、補正マーカーとして選択する。
3)測定方法の簡便さ、特異性の観点から、利便性の高いものを補正マーカーとして選択する。例えば、比色、蛍光など一般的な検出系により酵素反応をモニターできる基質が入手可能な酵素活性を有するものを選択するのが有利である。また、補正マーカーの酵素活性を測定する際に、その測定条件が、標的タンパク質の薬理活性の評価や他の補正マーカーの定量に影響を与えないようなものを選択することが好ましい。逆に標的タンパク質の薬理活性の測定条件が、補正マーカーの定量に影響を与えないものを選択することが同様に好ましい。
4)動脈硬化病変における補正マーカーの発現量が、哺乳動物(例えば、ウサギ、サル、イヌ、ヒト、等)由来の動脈硬化病変における「標的タンパク質の薬理活性」(例えば、ACAT酵素活性)と相関性を有するものを選択する。
5)以上の観点から対象を絞り込み、使用されるべき補正マーカーを選択する。
標的タンパク質がACATである場合には、このようにして選択される好適な補正マーカーとしては、例えば、リソソーム酸性リパーゼ(LAL)、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)、カテプシンD(CTSD)、等のタンパク質が挙げられる。
「標的物質」が、タンパク質以外の場合でも、同様の方法で補正マーカーを選択できる。補正マーカーは、後述の補正マーカーの条件を満たすものであれば、タンパク質以外のものであってもよく、特に限定されるものではない。
標的タンパク質がACATである場合には、このようにして選択される好適な補正マーカーとしては、例えば、リソソーム酸性リパーゼ(LAL)、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)、カテプシンD(CTSD)、等のタンパク質が挙げられる。
「標的物質」が、タンパク質以外の場合でも、同様の方法で補正マーカーを選択できる。補正マーカーは、後述の補正マーカーの条件を満たすものであれば、タンパク質以外のものであってもよく、特に限定されるものではない。
「補正マーカーによる補正」
本発明における補正マーカーによる補正は、動脈硬化病変試料中の「標的物質」または「標的タンパク質の薬理活性」(例えば、ACAT酵素活性)を直接に比較検討したのでは、試料間で当初存在する「標的物質」(「標的タンパク質」(例えば、ACAT))の存在量(発現量)に大きなバラツキがあるため、薬剤または治療手段(ACAT阻害薬)による動脈硬化病変改善作用(酵素阻害活性)を正確に評価できない点を補完するために行われる。
ここで、「補正マーカーの動脈硬化病変試料における量(発現量)に対応する値」とは、補正マーカーの発現量に相関して定量的に変動する値であって、当該値を測定することで、補正マーカーの発現の程度を検知できる値をいう。
例えば、使用される補正マーカーが酵素としての機能を有する場合には、その酵素活性の程度を動脈硬化病変試料中における補正マーカーの発現量に対応する値として用いることができる。かかる酵素活性は、当該酵素活性に応じて常法(例えば、後述の実施例で説明された測定方法)により測定することができる。但し、酵素活性を指標とするものに補正マーカーが限定されるものではない。例えば、補正マーカーの発現量そのものが測定できる場合には、その値を「補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値」として用いてもよい。また、補正マーカーをコードするmRNA量を用いることができる場合がある。
本発明における補正マーカーによる補正は、動脈硬化病変試料中の「標的物質」または「標的タンパク質の薬理活性」(例えば、ACAT酵素活性)を直接に比較検討したのでは、試料間で当初存在する「標的物質」(「標的タンパク質」(例えば、ACAT))の存在量(発現量)に大きなバラツキがあるため、薬剤または治療手段(ACAT阻害薬)による動脈硬化病変改善作用(酵素阻害活性)を正確に評価できない点を補完するために行われる。
ここで、「補正マーカーの動脈硬化病変試料における量(発現量)に対応する値」とは、補正マーカーの発現量に相関して定量的に変動する値であって、当該値を測定することで、補正マーカーの発現の程度を検知できる値をいう。
例えば、使用される補正マーカーが酵素としての機能を有する場合には、その酵素活性の程度を動脈硬化病変試料中における補正マーカーの発現量に対応する値として用いることができる。かかる酵素活性は、当該酵素活性に応じて常法(例えば、後述の実施例で説明された測定方法)により測定することができる。但し、酵素活性を指標とするものに補正マーカーが限定されるものではない。例えば、補正マーカーの発現量そのものが測定できる場合には、その値を「補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値」として用いてもよい。また、補正マーカーをコードするmRNA量を用いることができる場合がある。
補正は、例えば以下のように行われる。
阻害薬投与群の哺乳動物から採取した動脈硬化病変試料毎に測定した「標的タンパク質の薬理活性」(例えば、ACAT酵素活性)を、「補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値」(例えば、当該補正マーカーの酵素活性)で除し、動脈硬化病変試料毎の当該補正マーカーにより補正された標的タンパク質薬理活性(「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性」)を算出する。
一方、阻害薬非投与群(Control群)の哺乳動物から採取した動脈硬化病変試料群に関しても同様に補正された標的タンパク質薬理活性を算出し、それらの平均値を当該補正マーカーにおける補正時の「ベース補正標的タンパク質薬理活性」とする。
既に算出された動脈硬化病変試料毎の「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性」を、「ベース補正標的タンパク質薬理活性」を100%とした場合の比率に換算し、「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性比率」(% of Control)を算出する。
各動脈硬化病変試料で得られた「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性比率」を常法により統計処理して(例えば、Student t-検定, 分散分析など)、当該阻害薬の標的タンパク質の薬理活性の阻害作用の程度を評価する。
上記の方法に従って選択された補正マーカーは、試料の由来に関係なく当該試料中に発現している標的タンパク質のタンパク量に相関して発現しているため、測定された標的タンパク質の薬理活性を、上記のように「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性比率」に換算して比較検討することで、試料の由来に関係なく、阻害薬による標的タンパク質の薬理活性の阻害作用を定量的に比較検討することができる。
これにより、試料間の標的タンパク質量のバラツキを補正して、阻害薬の作用の強弱を正確に評価することができる。
同様に、動脈硬化病変を改善する薬剤投与群または治療処置群の哺乳動物から採取した動脈硬化病変試料毎に測定した「標的物質の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値」(例えば、標的物質の存在量)を、「補正マーカーの動脈硬化病変試料における量に対応する値」で補正し(例えば、除し)、動脈硬化病変試料毎の当該補正マーカーにより補正された標的物質の動脈硬化増悪作用を算出する。
阻害薬投与群の哺乳動物から採取した動脈硬化病変試料毎に測定した「標的タンパク質の薬理活性」(例えば、ACAT酵素活性)を、「補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値」(例えば、当該補正マーカーの酵素活性)で除し、動脈硬化病変試料毎の当該補正マーカーにより補正された標的タンパク質薬理活性(「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性」)を算出する。
一方、阻害薬非投与群(Control群)の哺乳動物から採取した動脈硬化病変試料群に関しても同様に補正された標的タンパク質薬理活性を算出し、それらの平均値を当該補正マーカーにおける補正時の「ベース補正標的タンパク質薬理活性」とする。
既に算出された動脈硬化病変試料毎の「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性」を、「ベース補正標的タンパク質薬理活性」を100%とした場合の比率に換算し、「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性比率」(% of Control)を算出する。
各動脈硬化病変試料で得られた「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性比率」を常法により統計処理して(例えば、Student t-検定, 分散分析など)、当該阻害薬の標的タンパク質の薬理活性の阻害作用の程度を評価する。
上記の方法に従って選択された補正マーカーは、試料の由来に関係なく当該試料中に発現している標的タンパク質のタンパク量に相関して発現しているため、測定された標的タンパク質の薬理活性を、上記のように「阻害薬投与後補正標的タンパク質薬理活性比率」に換算して比較検討することで、試料の由来に関係なく、阻害薬による標的タンパク質の薬理活性の阻害作用を定量的に比較検討することができる。
これにより、試料間の標的タンパク質量のバラツキを補正して、阻害薬の作用の強弱を正確に評価することができる。
同様に、動脈硬化病変を改善する薬剤投与群または治療処置群の哺乳動物から採取した動脈硬化病変試料毎に測定した「標的物質の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値」(例えば、標的物質の存在量)を、「補正マーカーの動脈硬化病変試料における量に対応する値」で補正し(例えば、除し)、動脈硬化病変試料毎の当該補正マーカーにより補正された標的物質の動脈硬化増悪作用を算出する。
「臨床用量の設定」
本発明の評価をヒト由来の動脈硬化病変を用いて行った場合には、ヒトでの臨床用量を設定することができる。
本発明による評価において、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を選択することにより、臨床用量を設定することができる。用量の選択に当たっては、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を2以上選択することにより、一定の幅を持った臨床用量を設定することもできる。
なお、臨床用量の設定に当たっては、複数の補正マーカーを使用して本発明による当該阻害薬による標的タンパク質の薬理活性阻害作用の評価を行い、各評価結果を全体として統計処理した上で、上記手法に従って臨床用量を決定することもできる。
本発明の評価をヒト由来の動脈硬化病変を用いて行った場合には、ヒトでの臨床用量を設定することができる。
本発明による評価において、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を選択することにより、臨床用量を設定することができる。用量の選択に当たっては、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を2以上選択することにより、一定の幅を持った臨床用量を設定することもできる。
なお、臨床用量の設定に当たっては、複数の補正マーカーを使用して本発明による当該阻害薬による標的タンパク質の薬理活性阻害作用の評価を行い、各評価結果を全体として統計処理した上で、上記手法に従って臨床用量を決定することもできる。
本発明の評価方法により、評価対象となる「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」の有効用量(医療用の場合は、臨床用量)を決定することができるが、これに基づいて例えば動脈硬化症を罹患している患者に対する阻害薬の一投与単位の投与量を決定することができる。
従って、この臨床用量もしくはそれ以上の用量を含有する医薬用組成物を製造することで、動脈硬化性疾患の予防・治療剤を製造することができる。具体的には、標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、1投与単位あたり設定された臨床用量(もしくはそれ以上)含有するように製剤化したことを特徴とする、医薬組成物の形で投与することができる。
ここで、「動脈硬化性疾患」としては、心筋梗塞、狭心症、等の虚血性心疾患、脳出血、脳梗塞、等の脳血管疾患、大血管の大動脈瘤、下肢閉塞性動脈硬化症、等が挙げられる。
従って、この臨床用量もしくはそれ以上の用量を含有する医薬用組成物を製造することで、動脈硬化性疾患の予防・治療剤を製造することができる。具体的には、標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、1投与単位あたり設定された臨床用量(もしくはそれ以上)含有するように製剤化したことを特徴とする、医薬組成物の形で投与することができる。
ここで、「動脈硬化性疾患」としては、心筋梗塞、狭心症、等の虚血性心疾患、脳出血、脳梗塞、等の脳血管疾患、大血管の大動脈瘤、下肢閉塞性動脈硬化症、等が挙げられる。
医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤化することができる。かかる製剤は通常活性成分を賦型剤、希釈剤,担体等の添加剤と混合/練合することにより製造することができる。本明細書において、非経口とは、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射あるいは点滴法などを含むものである。注射用調剤、例えば、無菌注射用水性懸濁物あるいは油性懸濁物は、適当な分散化剤または湿化剤及び懸濁化剤を用いて当該分野で知られた方法で調製されうる。その無菌注射用調剤は、また、例えば水溶液などの非毒性の非経口投与することのできる希釈剤あるいは溶剤中の無菌の注射のできる溶液または懸濁液であってもよい。使用することのできるベーヒクルあるいは溶剤として許されるものとしては、水、リンゲル液、等張食塩液などがあげられる。さらに、通常溶剤または懸濁化溶媒として無菌の不揮発性油も用いられうる。このためには、いかなる不揮発性油も脂肪酸も使用でき、天然あるいは合成あるいは半合成の脂肪性油又は脂肪酸、そして天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジあるいはトリグリセリド類も含められる。
直腸投与用の座剤は、その薬物と適当な非刺激性の補形剤、例えば、ココアバターやポリエチレングリコール類といった常温では固体であるが腸管の温度では液体で、直腸内で融解し、薬物を放出するものなどと混合して製造されることができる。
また、適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル等)と組合わせ徐放性製剤とすることも有効である。
直腸投与用の座剤は、その薬物と適当な非刺激性の補形剤、例えば、ココアバターやポリエチレングリコール類といった常温では固体であるが腸管の温度では液体で、直腸内で融解し、薬物を放出するものなどと混合して製造されることができる。
また、適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル等)と組合わせ徐放性製剤とすることも有効である。
経口投与用の固形投与剤型としては、粉剤、顆粒剤、錠剤(口腔内崩壊錠を含む)、ピル剤、カプセル剤、フィルム剤(口腔内崩壊フィルムを含む)などの上記したものがあげられる。そのような剤型の製剤は、活性成分化合物と、少なくとも一つの添加物、例えば、ショ糖、乳糖(ラクトース)、セルロース糖、マンニトール(D−マンニトール)、マルチトール、デキストラン、デンプン類(例、コーンスターチ)、微結晶セルロース、寒天、アルギネート類、キチン類、キトサン類、ペクチン類、トラガントガム類、アラビアゴム類、ゼラチン類、コラーゲン類、カゼイン、アルブミン、合成又は半合成のポリマー類又はグリセリド類とを混合及び/又は練合することにより製造することができる。そのような剤型物はまた、通常の如く、さらなる添加物を含むことができ、例えば不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、パラベン類、ソルビン酸などの保存剤、アスコルビン酸、α−トコフェロール、システインなどの抗酸化剤、崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)、増粘剤、緩衝化剤、甘味付与剤、フレーバー付与剤、パーフューム剤などがあげられる。錠剤及びピル剤はさらにエンテリックコーティングされて製造されることもできる。経口投与用の液剤は、医薬として許容されるエマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤などがあげられ、それらは当該分野で普通用いられる不活性希釈剤、例えば水及び必要により添加物を含んでいてよい。これら経口用液剤は、活性成分化合物と不活性希釈剤、及び必要により他の添加剤を混合する等慣用方法に従い製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「試験方法」
1.遺伝子発現データベースを用いた補正マーカーの選択
121例のヒト動脈硬化病変における発現遺伝子に関するデータベース(Gene logic社製)から、動脈硬化病変に存在するACATサブタイプであるACAT-1の遺伝子と発現量が相関する遺伝子を選択し、相関係数が高い遺伝子に対応するタンパクであり、かつ、酵素活性を有するタンパクを補正マーカーとして選択した。
1.遺伝子発現データベースを用いた補正マーカーの選択
121例のヒト動脈硬化病変における発現遺伝子に関するデータベース(Gene logic社製)から、動脈硬化病変に存在するACATサブタイプであるACAT-1の遺伝子と発現量が相関する遺伝子を選択し、相関係数が高い遺伝子に対応するタンパクであり、かつ、酵素活性を有するタンパクを補正マーカーとして選択した。
2.動脈硬化病変試料の調製
「ACAT阻害薬の投与・動脈採取」
高コレステロール食飼育、或いは遺伝性高脂血症などにより大動脈に動脈硬化病変を有するウサギを用い、ACAT阻害薬または媒体を1日1回、3日間経口投与した。最終投与約2時間後に麻酔・放血致死後、大動脈を摘出し凍結保存した。 凍結保存した大動脈を解凍後、生検トレパンを用いて動脈硬化病変存在部位組織片を採取した。或いは、大動脈摘出時に生検トレパンを用いて採取・凍結保存した動脈硬化病変の組織片を解凍し以後の実験に供した。
「動脈硬化病変ホモジネートの調製」
動脈硬化病変の組織片を剪刀でミンスし、これにSTE buffer (250 mM sucrose, 50 mM Tris-HCl pH 7.0, 1 mM EDTA-2Na, Leupeptin 2μg/ml)を一定量加え、ホモジナイズ後、遠心分離(4000rpm, 5min)により組織残渣を除いて得たホモジネートを生化学測定の「動脈硬化病変試料」とした。
「ACAT阻害薬の投与・動脈採取」
高コレステロール食飼育、或いは遺伝性高脂血症などにより大動脈に動脈硬化病変を有するウサギを用い、ACAT阻害薬または媒体を1日1回、3日間経口投与した。最終投与約2時間後に麻酔・放血致死後、大動脈を摘出し凍結保存した。 凍結保存した大動脈を解凍後、生検トレパンを用いて動脈硬化病変存在部位組織片を採取した。或いは、大動脈摘出時に生検トレパンを用いて採取・凍結保存した動脈硬化病変の組織片を解凍し以後の実験に供した。
「動脈硬化病変ホモジネートの調製」
動脈硬化病変の組織片を剪刀でミンスし、これにSTE buffer (250 mM sucrose, 50 mM Tris-HCl pH 7.0, 1 mM EDTA-2Na, Leupeptin 2μg/ml)を一定量加え、ホモジナイズ後、遠心分離(4000rpm, 5min)により組織残渣を除いて得たホモジネートを生化学測定の「動脈硬化病変試料」とした。
3.各種生物活性の測定
(1)ACAT酵素活性の測定
ACATの反応は、反応用緩衝液(0.19 M Tris-HCl pH 7.5, 3 mM EDTA, Cholesterol 0.2 mg/ml, BSA 3 mg/ml)、上記「動脈硬化病変試料」、および、基質溶液([3H] Oleoyl-CoA)を加え撹拌、37℃30分間反応させ、この脂質画分をを薄層クロマトグラフィーにて分画し、cholesteryl ester画分に取り込まれた放射活性(DPM)を液体シンチレーションカウンターで測定した。Blank用サンプル(ホモジネートの代わりにSTE bufferを入れたもの)の放射活性も測定し、各サンプルの放射活性からblankの放射活性を引いた値をACAT酵素活性とした。
(1)ACAT酵素活性の測定
ACATの反応は、反応用緩衝液(0.19 M Tris-HCl pH 7.5, 3 mM EDTA, Cholesterol 0.2 mg/ml, BSA 3 mg/ml)、上記「動脈硬化病変試料」、および、基質溶液([3H] Oleoyl-CoA)を加え撹拌、37℃30分間反応させ、この脂質画分をを薄層クロマトグラフィーにて分画し、cholesteryl ester画分に取り込まれた放射活性(DPM)を液体シンチレーションカウンターで測定した。Blank用サンプル(ホモジネートの代わりにSTE bufferを入れたもの)の放射活性も測定し、各サンプルの放射活性からblankの放射活性を引いた値をACAT酵素活性とした。
(2)タンパク濃度測定
ホモジネートのタンパク濃度はBCA protein assay kit(PIERCE社)を用い、既知濃度のBovine Serum Albuminを標準として測定した。
ホモジネートのタンパク濃度はBCA protein assay kit(PIERCE社)を用い、既知濃度のBovine Serum Albuminを標準として測定した。
(3)コレステロール含量測定
ホモジネート中の総コレステロール、遊離コレステロール、コレステリルエステルを以下の手順で測定した。常法に従いホモジネートから総脂質を抽出・回収、コレステロールEテストワコー(和光純薬)、遊離コレステロールEテストワコー(和光純薬)を用い、総コレステロール濃度及び遊離コレステロール濃度を測定、ホモジネート中総コレステロール、遊離コレステロール含量を算出した。総コレステロールから遊離コレステロールを差し引いた値をコレステリルエステル含量とした。
ホモジネート中の総コレステロール、遊離コレステロール、コレステリルエステルを以下の手順で測定した。常法に従いホモジネートから総脂質を抽出・回収、コレステロールEテストワコー(和光純薬)、遊離コレステロールEテストワコー(和光純薬)を用い、総コレステロール濃度及び遊離コレステロール濃度を測定、ホモジネート中総コレステロール、遊離コレステロール含量を算出した。総コレステロールから遊離コレステロールを差し引いた値をコレステリルエステル含量とした。
(4)リソソーム酸性リパーゼ(LAL)活性測定
S.Zhang等の報告(バイオケミカルジャーナル、第348巻、p621−632)の方法を一部改変して測定した。すなわち、蛍光測定用マイクロプレートに緩衝液(0.4M sodium acetate pH5.5) 100μL、水50μL、「動脈硬化病変試料」ホモジネート25μLを加えて37℃に保ち、基質として4-methylumbellyferyl oleate溶液25μLを各ウェルに添加し、37℃で30分反応させ、蛍光プレートリーダーでEx355/Em460の蛍光を測定した。「動脈硬化病変試料」ホモジネートの代わりにホモジネート調製用緩衝液を加えて反応させ蛍光測定したものをblankとし、サンプルの蛍光からblankを引いた値をサンプルの活性とした。
S.Zhang等の報告(バイオケミカルジャーナル、第348巻、p621−632)の方法を一部改変して測定した。すなわち、蛍光測定用マイクロプレートに緩衝液(0.4M sodium acetate pH5.5) 100μL、水50μL、「動脈硬化病変試料」ホモジネート25μLを加えて37℃に保ち、基質として4-methylumbellyferyl oleate溶液25μLを各ウェルに添加し、37℃で30分反応させ、蛍光プレートリーダーでEx355/Em460の蛍光を測定した。「動脈硬化病変試料」ホモジネートの代わりにホモジネート調製用緩衝液を加えて反応させ蛍光測定したものをblankとし、サンプルの蛍光からblankを引いた値をサンプルの活性とした。
(5)酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)活性測定
S.Scheriff等の報告(ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー、1995年、第270巻、p27766−27772)の方法を一部改変して測定した。すなわち、蛍光測定用マイクロプレートに緩衝液(80mM citrate-160 mM sodium phosphate buffer (pH4.4))100μL、水50μL、「動脈硬化病変試料」ホモジネート25μLを分注してシールし37℃に保ち基質として4-methylumbellyferyl-β-galactopyranoside溶液25μLを各ウェルに添加し、37℃30分間反応させ、蛍光プレートリーダーでEx355/Em460の蛍光を測定した。「動脈硬化病変試料」ホモジネートの代わりにホモジネート調製用緩衝液STE bufferを加えて反応させ蛍光測定したものをblankとし、サンプルの蛍光からblankを引いた値をサンプルの活性とした。
S.Scheriff等の報告(ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー、1995年、第270巻、p27766−27772)の方法を一部改変して測定した。すなわち、蛍光測定用マイクロプレートに緩衝液(80mM citrate-160 mM sodium phosphate buffer (pH4.4))100μL、水50μL、「動脈硬化病変試料」ホモジネート25μLを分注してシールし37℃に保ち基質として4-methylumbellyferyl-β-galactopyranoside溶液25μLを各ウェルに添加し、37℃30分間反応させ、蛍光プレートリーダーでEx355/Em460の蛍光を測定した。「動脈硬化病変試料」ホモジネートの代わりにホモジネート調製用緩衝液STE bufferを加えて反応させ蛍光測定したものをblankとし、サンプルの蛍光からblankを引いた値をサンプルの活性とした。
(6)カテプシンD(CTSD)活性測定
蛍光測定用マイクロプレートに「動脈硬化病変試料」ホモジネート50μL、基質としてAc-Gly-Lys-Pro-Ile-Leu-Phe-Phe-Arg-Leu-Lys (Dnp)-D-Arg-NH2溶液50μLを分注して、37℃で30分反応させ、蛍光プレートリーダーでEx320/Em405の蛍光を測定した。「動脈硬化病変試料」ホモジネートの代わりにホモジネート調製用緩衝液を加えて反応させ蛍光測定したものをblankとし、サンプルの蛍光からblankを引いた値をサンプルの活性とした。
蛍光測定用マイクロプレートに「動脈硬化病変試料」ホモジネート50μL、基質としてAc-Gly-Lys-Pro-Ile-Leu-Phe-Phe-Arg-Leu-Lys (Dnp)-D-Arg-NH2溶液50μLを分注して、37℃で30分反応させ、蛍光プレートリーダーでEx320/Em405の蛍光を測定した。「動脈硬化病変試料」ホモジネートの代わりにホモジネート調製用緩衝液を加えて反応させ蛍光測定したものをblankとし、サンプルの蛍光からblankを引いた値をサンプルの活性とした。
4.ACAT酵素活性の補正
動脈硬化病変試料毎にホモジネートについて算出したACAT酵素活性を、タンパク量、コレステロール量、リソソーム酸性リパーゼ(LAL)活性、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)活性、カテプシンD(CTSD)活性で除し、それぞれの補正マーカーによる補正ACAT酵素活性を算出した。さらに、薬剤無処置のウサギサンプル(Control群)の補正ACAT酵素活性の平均値を100%とし、薬剤処置ウサギサンプルの補正ACAT酵素活性の比率(% of Control)を求めた。
動脈硬化病変試料毎にホモジネートについて算出したACAT酵素活性を、タンパク量、コレステロール量、リソソーム酸性リパーゼ(LAL)活性、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)活性、カテプシンD(CTSD)活性で除し、それぞれの補正マーカーによる補正ACAT酵素活性を算出した。さらに、薬剤無処置のウサギサンプル(Control群)の補正ACAT酵素活性の平均値を100%とし、薬剤処置ウサギサンプルの補正ACAT酵素活性の比率(% of Control)を求めた。
「試験結果」
1.動脈硬化病変における発現がACAT-1と相関する酵素の選択
相関係数が高く且つ酵素活性を有する酵素を選択し、さらに、その活性測定系構築の利便性からリソソーム酸性リパーゼ(LAL)、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)、カテプシンD(CTSD)を選択し(表1)、各々活性測定系を設定した。
1.動脈硬化病変における発現がACAT-1と相関する酵素の選択
相関係数が高く且つ酵素活性を有する酵素を選択し、さらに、その活性測定系構築の利便性からリソソーム酸性リパーゼ(LAL)、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)、カテプシンD(CTSD)を選択し(表1)、各々活性測定系を設定した。
2.WHHLウサギ動脈硬化病変におけるACAT酵素活性と各種指標との相関性
20サンプルのWHHLウサギ大動脈動脈硬化病変部位について、組織ホモジネートを調製し、ACAT酵素活性及び各種指標(前記の3種の補正マーカー、並びに、タンパク濃度(protein)、病変組織重量(wet weight)、総コレステロール含量(TC)、遊離コレステロール含量(FC)、および、コレステリルエステル含量(CE))を測定し、ACAT酵素活性との相関を調べた(図1〜8)。
その結果、ACAT酵素活性は、タンパク濃度(protein)、病変組織重量(wet weight)、総コレステロール含量(TC)、遊離コレステロール含量(FC)、コレステリルエステル含量(CE)に比べ、GLB1活性, LAL活性, CTSD活性との相関が高く、ヒト動脈硬化病変において遺伝子発現レベルでACAT-1との相関の高かった3種の補正マーカーが、ウサギ動脈硬化病変における酵素活性レベルにおいても、実際に相関性が高いことが示された。
20サンプルのWHHLウサギ大動脈動脈硬化病変部位について、組織ホモジネートを調製し、ACAT酵素活性及び各種指標(前記の3種の補正マーカー、並びに、タンパク濃度(protein)、病変組織重量(wet weight)、総コレステロール含量(TC)、遊離コレステロール含量(FC)、および、コレステリルエステル含量(CE))を測定し、ACAT酵素活性との相関を調べた(図1〜8)。
その結果、ACAT酵素活性は、タンパク濃度(protein)、病変組織重量(wet weight)、総コレステロール含量(TC)、遊離コレステロール含量(FC)、コレステリルエステル含量(CE)に比べ、GLB1活性, LAL活性, CTSD活性との相関が高く、ヒト動脈硬化病変において遺伝子発現レベルでACAT-1との相関の高かった3種の補正マーカーが、ウサギ動脈硬化病変における酵素活性レベルにおいても、実際に相関性が高いことが示された。
3.ACAT阻害薬の動脈硬化病変ACAT酵素阻害試験におけるACAT酵素活性の補正マーカーによる補正の効果
(1)試験化合物
ACAT阻害薬として、以下の化合物(以下、化合物Xという)を用いて試験を行った。
モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)・3水和物
この化合物は、以下の通り合成された。なお、この試験化合物Xは、国際特許出願PCT/JP2005/003838号に開示されている。
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ナトリウム(5.0g)、エタノール(45ml)、水(9ml)の混合物を60℃に加熱して溶解した。溶液中の不純物を除塵ろ過後、温めたエタノール/水(5/1、6ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせ60℃で攪拌しながらカルシウムクロリド(0.524g)の水溶液(10ml)を滴下した。60℃で3時間攪拌した後、25℃で1時間攪拌した。結晶をろ取し、エタノール/水(1/1、10ml)および水(10ml×3)で順次洗浄して表題化合物(4.47g、収率:89.8%)を無色結晶として得た。得られた結晶は図1に示すような粉末X線回折像を示し、結晶化度は66%であった。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ(ppm):2.17(3H,s),3.32(2H,br),6.47(1H,d,J=16Hz),6.87(1H,s),7.21〜7.23(1H,m),7.32〜7.54(6H,m),7.66(2H,s),9.65(1H,brs).
(1)試験化合物
ACAT阻害薬として、以下の化合物(以下、化合物Xという)を用いて試験を行った。
モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)・3水和物
この化合物は、以下の通り合成された。なお、この試験化合物Xは、国際特許出願PCT/JP2005/003838号に開示されている。
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ナトリウム(5.0g)、エタノール(45ml)、水(9ml)の混合物を60℃に加熱して溶解した。溶液中の不純物を除塵ろ過後、温めたエタノール/水(5/1、6ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせ60℃で攪拌しながらカルシウムクロリド(0.524g)の水溶液(10ml)を滴下した。60℃で3時間攪拌した後、25℃で1時間攪拌した。結晶をろ取し、エタノール/水(1/1、10ml)および水(10ml×3)で順次洗浄して表題化合物(4.47g、収率:89.8%)を無色結晶として得た。得られた結晶は図1に示すような粉末X線回折像を示し、結晶化度は66%であった。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ(ppm):2.17(3H,s),3.32(2H,br),6.47(1H,d,J=16Hz),6.87(1H,s),7.21〜7.23(1H,m),7.32〜7.54(6H,m),7.66(2H,s),9.65(1H,brs).
(2)試験方法
30羽のWHHLウサギを、対照群(媒体・0.5%メチルセルロース投与)、ACAT阻害薬である化合物Xの3mg/kg投与、及び10mg/kg投与の各10羽ずつ3群に群分けし、1日1回3日間投薬後動脈硬化病変サンプルを採取、動脈硬化病変組織ホモジネートのACAT酵素活性及び補正指標(タンパク濃度、リソソーム酸性リパーゼ(LAL)活性、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)活性、カテプシンD(CTSD)活性)を測定し、それぞれの指標による補正ACAT酵素活性を図9に示した。
対照群において、LAL,GLB1,CTSDともタンパク濃度に比べACAT酵素活性と高い相関を示した。また、タンパク濃度補正では大きくばらついたACAT酵素活性が、3つの酵素(LAL,GLB1,CTSD)活性による補正によりばらつきが小さくなり、阻害薬としての作用強度が正確に評価できるようになった。
その結果として、化合物X投与群のACAT酵素活性はタンパク濃度補正では10 mg/kgでp値が0.022の抑制を示すにとどまったのに対し、GLB1、CTSD補正では10 mg/kg投与群でp値0.002以下の顕著な抑制、さらにLAL補正では3 mg/kg から有意な抑制を検出することができ、阻害活性を精度良く評価することができた。
30羽のWHHLウサギを、対照群(媒体・0.5%メチルセルロース投与)、ACAT阻害薬である化合物Xの3mg/kg投与、及び10mg/kg投与の各10羽ずつ3群に群分けし、1日1回3日間投薬後動脈硬化病変サンプルを採取、動脈硬化病変組織ホモジネートのACAT酵素活性及び補正指標(タンパク濃度、リソソーム酸性リパーゼ(LAL)活性、酸性βガラクトシダーゼ(GLB1)活性、カテプシンD(CTSD)活性)を測定し、それぞれの指標による補正ACAT酵素活性を図9に示した。
対照群において、LAL,GLB1,CTSDともタンパク濃度に比べACAT酵素活性と高い相関を示した。また、タンパク濃度補正では大きくばらついたACAT酵素活性が、3つの酵素(LAL,GLB1,CTSD)活性による補正によりばらつきが小さくなり、阻害薬としての作用強度が正確に評価できるようになった。
その結果として、化合物X投与群のACAT酵素活性はタンパク濃度補正では10 mg/kgでp値が0.022の抑制を示すにとどまったのに対し、GLB1、CTSD補正では10 mg/kg投与群でp値0.002以下の顕著な抑制、さらにLAL補正では3 mg/kg から有意な抑制を検出することができ、阻害活性を精度良く評価することができた。
4.化合物XのWHHLウサギにおける抗動脈硬化作用試験
上述のWHHLウサギを用いた動脈硬化病変ACAT酵素阻害試験において阻害作用を認めた3及び10mg/kgの化合物Xの投与について、長期投与の抗動脈硬化作用を調べた。
(試験方法)
7ヶ月齢のWHHLウサギを用い、化合物X(3, 10 mg/kg/d)を1日1回、12週間経口投与し動脈硬化症への影響を調べた。WHHLウサギは薬物投与前に血管内超音波(IVUS)により大動脈の動脈硬化症を検査し、大動脈の動脈硬化症と血漿コレステロール値及び性別をもとに群分けした。
投与開始前、及び投与1, 2, 4, 6, 8, 10, 12週目に採血し、生化学自動分析装置を用いて血漿総コレステロール値を測定し、台形公式により投薬期間中の血漿総コレステロール暴露量を求めた。投薬後、胸部大動脈を摘出し、動脈硬化症の指標としてコレステロールエステル含量を測定した。
(成績)
3及び10 mg/kgの化合物Xは投薬期間中の血漿総コレステロール暴露量に対しては低下傾向にとどまったが(表 2)、胸部大動脈のコレステロールエステル含量を有意に低下させた(図 10)。
上述のWHHLウサギを用いた動脈硬化病変ACAT酵素阻害試験において阻害作用を認めた3及び10mg/kgの化合物Xの投与について、長期投与の抗動脈硬化作用を調べた。
(試験方法)
7ヶ月齢のWHHLウサギを用い、化合物X(3, 10 mg/kg/d)を1日1回、12週間経口投与し動脈硬化症への影響を調べた。WHHLウサギは薬物投与前に血管内超音波(IVUS)により大動脈の動脈硬化症を検査し、大動脈の動脈硬化症と血漿コレステロール値及び性別をもとに群分けした。
投与開始前、及び投与1, 2, 4, 6, 8, 10, 12週目に採血し、生化学自動分析装置を用いて血漿総コレステロール値を測定し、台形公式により投薬期間中の血漿総コレステロール暴露量を求めた。投薬後、胸部大動脈を摘出し、動脈硬化症の指標としてコレステロールエステル含量を測定した。
(成績)
3及び10 mg/kgの化合物Xは投薬期間中の血漿総コレステロール暴露量に対しては低下傾向にとどまったが(表 2)、胸部大動脈のコレステロールエステル含量を有意に低下させた(図 10)。
5.考察
3日間投与の試験(上記3の試験を参照)でACAT阻害薬である化合物Xが、WHHLウサギの動脈硬化病変ACAT活性を用量依存性に阻害することを、補正マーカーを利用することでより明確に評価することができた。
一方、化合物Xは、動脈硬化病変ACATを阻害する3及び10mg/kgの用量で長期間処置することにより、動物モデル試験において明確な抗動脈硬化作用を発揮した(上記4の試験を参照)。
これらの成績から、ACAT阻害薬について短期間投薬による動脈硬化病変に存在するACATの薬理活性の阻害作用を調べることにより、長期間処置を要する抗動脈硬化作用の有効用量(動脈硬化病変が採取されたものと同一の動物における)を知ることができると考えられた。
このことはWHHLウサギだけでなく、ヒトにも適用可能と考えられ、短期間のACAT阻害薬処置によるヒト由来の動脈硬化病変ACAT阻害作用を調べることにより、長期間を要する抗動脈硬化作用試験や動脈硬化性疾患発症予防試験の有効用量、即ち、臨床用量を推定することが可能と考えられる。また、そのACAT阻害剤がウサギとヒトで同じ血中薬物濃度で効果を発揮すると仮定するならば、これらWHHLウサギの有効用量における血中の薬物濃度を調べておくことで、臨床試験での血中薬物濃度を指標にヒトでの有効用量を推定することも可能と考えられる。
3日間投与の試験(上記3の試験を参照)でACAT阻害薬である化合物Xが、WHHLウサギの動脈硬化病変ACAT活性を用量依存性に阻害することを、補正マーカーを利用することでより明確に評価することができた。
一方、化合物Xは、動脈硬化病変ACATを阻害する3及び10mg/kgの用量で長期間処置することにより、動物モデル試験において明確な抗動脈硬化作用を発揮した(上記4の試験を参照)。
これらの成績から、ACAT阻害薬について短期間投薬による動脈硬化病変に存在するACATの薬理活性の阻害作用を調べることにより、長期間処置を要する抗動脈硬化作用の有効用量(動脈硬化病変が採取されたものと同一の動物における)を知ることができると考えられた。
このことはWHHLウサギだけでなく、ヒトにも適用可能と考えられ、短期間のACAT阻害薬処置によるヒト由来の動脈硬化病変ACAT阻害作用を調べることにより、長期間を要する抗動脈硬化作用試験や動脈硬化性疾患発症予防試験の有効用量、即ち、臨床用量を推定することが可能と考えられる。また、そのACAT阻害剤がウサギとヒトで同じ血中薬物濃度で効果を発揮すると仮定するならば、これらWHHLウサギの有効用量における血中の薬物濃度を調べておくことで、臨床試験での血中薬物濃度を指標にヒトでの有効用量を推定することも可能と考えられる。
本発明は、ACATに代表される動脈硬化病変に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性(例えば、酵素活性)に対する、当該標的タンパク質の薬理活性の阻害薬による阻害作用を評価するための方法に関するものである。本発明により、臨床試験段階並びに市販後の臨床用量を設定することができるとの利点があるが、研究段階・前臨床試験段階での候補化合物の選択や、医療の現場で患者に当該阻害薬を投与する段階で、当該患者に対する有効量の再設定、等にも有用である。
また、本発明は動脈硬化病変に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質一般の動脈硬化を増悪させる作用に対する、当該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤あるいは治療手段を評価するための方法に関するものである。
また、本発明は動脈硬化病変に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質一般の動脈硬化を増悪させる作用に対する、当該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤あるいは治療手段を評価するための方法に関するものである。
Claims (9)
- 採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有する物質の動脈硬化を増悪させる作用の強さに対応する値を、当該物質の動脈硬化病変における量に相関して変動し、かつ評価しようとする治療薬あるいは治療手段の影響を受けない補正マーカーの動脈硬化病変試料における量で補正した値を、該物質に直接または間接的に作用して動脈硬化病変を改善する薬剤の投与群あるいは治療手段を施した群と非投与群あるいは非治療群の各々から採取された試料に関して比較評価することを特徴とする、動脈硬化治療薬あるいは治療手段の効果の評価方法。
- 採取された哺乳動物由来の動脈硬化病変試料に存在する動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性を、当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値で除した補正値を、標的タンパク質の薬理活性の阻害薬の投与群と非投与群の各々から採取された試料に関して比較評価することを特徴とする、当該阻害薬による動脈硬化病変に存在する標的タンパク質の薬理活性阻害作用の評価方法。
- 「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質」が、ACATであり、
「動脈硬化を増悪させる性質を有するタンパク質の薬理活性」が、ACAT酵素活性であり、
「標的タンパク質の薬理活性の阻害薬」が、ACAT阻害薬である、請求項2に記載の評価方法。 - 「当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカー」が、酵素活性を有するタンパク質である、請求項2に記載の評価方法。
- 当該標的タンパク質の動脈硬化病変における発現に相関して発現する補正マーカーの動脈硬化病変試料における発現量に対応する値が、当該補正マーカーの酵素活性である、請求項2に記載の評価方法。
- 採取された動脈硬化病変試料が、ヒト由来のものである、請求項2に記載の評価方法。
- 請求項6に記載の評価方法による評価において、対照群に対して有意差をもって標的タンパク質の薬理活性を阻害する阻害薬用量を選択することからなる、当該阻害薬の臨床用量の設定方法。
- 標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、1投与単位あたり請求項7に記載の方法により設定された臨床用量含有するように製剤化したことを特徴とする、哺乳動物における動脈硬化性疾患の予防および/または治療剤。
- 請求項7に記載の方法により設定された臨床用量の標的タンパク質の薬理活性の阻害薬を、哺乳動物に投与することを特徴とする、動脈硬化性疾患の予防および/または治療方法。
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