JPWO2006098463A1 - ポリ核酸結合物質 - Google Patents
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Abstract
Description
RRE及びTARをコードするRNAは、HIVが複製する間、特定のHIVタンパク質と相互作用する。すなわち、HIVタンパク質RevはRREを認識するとRREに結合し、Rev/RRE複合体が形成される。Rev/RRE複合体の形成は、HIVタンパク質Revが当該複合体を介してmRNAを刺激するプロセスに関与し、また、Revの往復(Shuttling)に必須である核外輸送シグナル伝達に関与する。
このように、Rev/RRE複合体の相互作用はウイルスが増殖する場合に必須であるため、この過程の機能を抑制することは、後天性免疫不全症(AIDS)の進行の抑制に大きく寄与する。
Revを標的にした治療は、アンチセンスやリボザイムを用いて試みられていた。更にRREデコイRNAを用いた遺伝子治療も行なわれている。
発明者らは、以前よりcDNAライブラリー又はペプチドライブラリーからRNA結合タンパク質をスクリーニングする方法を開発し、新規物質の同定を行ってきた(特表平11−511653号公報、Hadas Peled−Zehavi,et al.,RNA 9,252−261,2003)。そして、これらの方法において得られたポリペプチドは、標的のRNAとの結合活性を有し、特にHIVのRREに結合することによってHIVの増殖を阻害する能力を有するものである(国際公開第2005/007686号パンフレット)。しかし、HIVの治療に得られたポリペプチドをより効果的に用いるために、そのRNA結合活性や薬理効果をさらに改良することが望まれている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、求電子基をRNA結合ペプチドに付加すると、ペプチドの薬理作用が上昇することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ポリ核酸に結合する物質であって、求電子基を有する第1部分と、ペプチド、化合物および核酸からなる群から選択される1種以上を有する第2部分とを含むことを特徴とするポリ核酸結合物質。
(2)ポリ核酸がRNAである、(1)記載のポリ核酸結合物質。
(3)RNAがRRE配列部位を含むものである、(2)記載のポリ核酸結合物質。
(4)第2部分がペプチドを含む、(1)記載のポリ核酸結合物質。
(5)ペプチドが、次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、その誘導体又はこれらの塩である、(4)記載のポリ核酸結合物質。
(6)ペプチドが、以下の(a)又は(b)のペプチド、その誘導体又はこれらの塩である、(4)記載のポリ核酸結合物質。
(a)次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含む12〜23残基の長さのアミノ酸配列を有するペプチド
(b)次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含む12〜23残基の長さのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、RNA結合活性を有するペプチド
(7)Rが少なくとも9〜11残基含まれることを特徴とする、(5)又は(6)記載のポリ核酸結合物質。
(8)ペプチドが、以下の(a)又は(b)のペプチド、その誘導体又はこれらの塩である、(4)記載のポリ核酸結合物質。
(a)配列番号1〜27で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号1〜27で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、RNA結合活性を有するペプチド
(9)求電子基が下記式で表される基である、(1)記載のポリ核酸結合物質。
(式中、Zはハロゲン原子を表す。)
(10)第1部分と第2部分との間に、スペーサーを有することを特徴とする、(1)記載のポリ核酸結合物質。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載のポリ核酸結合物質を含有してなる医薬組成物。
(12)HIVの増殖抑制剤である、(11)記載の医薬組成物。
(13)HIVの感染予防剤である、(11)記載の医薬組成物。
(14)AIDSの予防剤又は治療剤である、(11)記載の医薬組成物。
なお、本明細書において引用した文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
1.本発明の概要
本発明は、求電子基を有する第1部分と、ペプチド、化合物および核酸からなる群から選択される1種以上を有する第2部分とを含むことを特徴とする、ポリ核酸結合物質に関するものである。
本明細書において、「ポリ核酸結合物質」とは、ポリ核酸に結合することのできる物質を意味する。本発明のポリ核酸結合物質は、ポリ核酸に結合する活性を有すればよく、ポリ核酸への結合の強さによって限定されるものではない。
本明細書において、「ポリ核酸」とは、鎖状に複数個つながった核酸を意味する。
本明細書において、「核酸」は、mRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA、デコイRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、siRNAなどの天然および人工RNA(ribonucleic acid)、cDNA、genome DNA、ssDNA(single strand DNA)、dsDNA(double strand DNA)などのDNA(deoxyribonucleic acid)、およびPNA(peptide nucleic acid)が含まれるが、好ましくはRNAである。
上記のウイルスには、Rev応答性エレメント(RRE)配列部位またはその類似構造を有するレトロウイルスであるHIV、FIV、SIV、BIV、HTLVなどのウイルスを挙げることができる。
本発明において第2部分は、好ましくはペプチドを含む。
2.第1部分
(1)求電子基
本発明において、第1部分は求電子基を有する。
本明細書において、「求電子基」とは、電子が不足している反応種(例えば、陽イオン、酸、酸化剤)を意味する。求電子基は、相手から電子をとって酸化するか、相手から電子をとって配位結合をつくるかの2通りの反応をする性質を有する。
本発明の第1部分に含まれる求電子基は、求電子基として機能する限り、どのような基であってもよい。本発明の第1部分に含まれる求電子基は、例えば、下記式、
(式中、Zはハロゲン原子を意味する。)
(本発明において、以下、「ZAc−」ともいう。)で表される基を挙げることができる。
本明細書において、「ハロゲン原子」は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、より好ましくは塩素原子である。
(2)スペーサー
本発明において、第1部分と第2部分との間に、スペーサーを含有させることもできる。スペーサーを含有させることによって、ポリ核酸と第2部分との結合を維持したまま、適切な距離関係に存在する求核原子団を反応ターゲットとすることができる。
本発明において、スペーサーは、例えばGABA(γ−アミノ酪酸)、ε−アミノカプロン酸、または5−アミノ−3−オキソペンタン酸等のエーテル系アミノアルカン酸を挙げることができる。また、分岐して複数のアミノ基を有するカルボン酸も使用できる。これらスペーサーは、スペーサー中のアミノ基の位置で第1部分と結合することができ、また、スペーサー中のカルボキシル基の位置で第2部分と結合することができる。
この場合、以下のようにGABAのN末端側を求電子基(下記の例ではClAc−)に結合させ、C末端側を第2部分(図示せず)に結合させることが好ましい。
GABAをスペーサーに用いる場合、第1部分は、GABAのアミノ基とクロロ酢酸のカルボキシル基とを結合させることにより、導入することができる。
(3)第2部分との結合
本発明において、第1部分と第2部分とは、共有結合であるアミド結合で結合しており、これらは公知の方法で反応させることができる。
また、本発明において、1つの第2部分に複数の第1部分および/またはスペーサーが結合していてもよい。
第2部分がペプチドの場合は、第1部分またはスペーサーはペプチドのN末端側および/またはC末端側に結合することができる。
第1部分にカルボニル基が含まれる場合は、当該カルボニル基とペプチドまたはスペーサーのN末端とは、アミド結合により結合する。例えばZが塩素原子である場合(ClAc−)、第1部分が付加されたペプチドまたはスペーサーは、側鎖官能基を保護したペプチドまたはスペーサーと、クロロ酢酸とを直接縮合剤とともに反応させるか、一旦縮合剤でクロロ酢酸をクロロ酢酸無水物に変換後反応させるか、クロロ酢酸パラニトロフェニルエステル等の活性エステルを用いて反応させるか、またはクロロ酢酸クロリドを塩基とともに反応させることにより得ることができる。また例えば、第1部分またはスペーサーがカルボニル基を有する場合は、第1部分またはスペーサーのカルボニル基に続いて、ペプチドを順次合成していくこともできる。
あるいは、第1部分にアミノ基が含まれる場合は、当該アミノ基とペプチドまたはスペーサーのC末端とが結合する場合も、アミド結合により結合する。アミド結合は、当業者であれば公知の方法により行うことができる。
また、第2部分が化合物の場合は、第1部分が付加された化合物またはスペーサーは、例えばZが塩素原子である場合、付加前の化合物または化合物に含まれるスペーサーと、縮合剤でクロロ酢酸無水物に変換後反応させるか、クロロ酢酸パラニトロフェニルエステル等の活性エステルを用いて反応させるか、またはクロロ酢酸クロリドを塩基とともに反応させることにより得ることができる。
さらに、第2部分が核酸の場合は、求電子基またはスペーサーと核酸とは、エステル化反応で結合することができる。
第2部分のポリ核酸への結合活性は、例えば、RNA結合ペプチドの場合は、HIV感染細胞の生存細胞数を測定することで評価することができる(実施例1)。また、例えば、上記のRNA結合ペプチドとRNAとの結合活性は、下記のKANシステムにおけるレポーター遺伝子の発現量を基に、既知のペプチドとの相対的定量化によって評価することができる。
本発明のポリ核酸結合物質の好ましい態様は、例えば、
ClAc−GABA−RRDRRRLRQRARRRAAAA(配列番号29)
である。
3.第2部分
本発明において、第2部分は、ペプチド、化合物、および核酸からなる群から選択される異種以上を有する。本発明において、第2部分は好ましくはペプチドを含む。
(1)ペプチド
本発明において第2部分に含まれるペプチド(ポリペプチドを含む)は、標的とするポリ核酸に結合することのできるペプチドであればどのようなペプチドであってもよい。本発明の第2部分に含まれるペプチドは、好ましくはRNAに結合する活性を有するペプチド、すなわちRNA結合ペプチドである。
(i)RNA結合ペプチド
本発明において、RNA結合ペプチドは、例えば、アルギニンに富む15個のアミノ酸配列を骨格としつつ23個のアミノ酸配列を含み、かつHIVのRev応答エレメント(RRE)に結合する活性を有するペプチドであり、当該ペプチドをHIVに接触させることによってHIVの増殖を抑制させることができる。
本発明の第2部分に含まれるペプチドは、少なくとも次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、その誘導体又はこれらの塩である。
上記式において、R及びQはアミノ酸の1文字表記をしたものであり、それぞれアルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)を表す(他のアミノ酸についても同様)。Xは、アルギニンを除く他のアミノ酸残基を表す。
本発明の第2部分に含まれるペプチドは、上記式のアミノ酸配列を含み、好ましくは12〜23個のアミノ酸配列を有する。そして、その中のいくつかのアミノ酸はアルギニンに富むドメイン(「アルギニンリッチドメイン」という)を形成する。例えば、23アミノ酸残基を有するペプチドは、その中の5番目から19番目がアルギニンリッチドメインを形成する。本発明の第2部分に含まれるペプチドは、アルギニンを好ましくは9〜11残基含むものである。いくつかのRNA結合タンパク質のアルギニンリッチドメインは、それらの類似のRNAと高親和性及び特異性をもって結合することが示されている。そして、配列がシンプルであること、及び構造が多様であることから、アルギニンリッチドメインは新規RNA結合ペプチドを同定するために有効なツールとして利用することができる。本発明の第2部分に含まれるペプチドは、極めて多数の組合せをもつペプチドライブラリーから、カナマイシン・アンチターミネーション・システム(「KANシステム」という)と呼ばれるスクリーニング手法により得ることができる。
KANシステムとは、細胞内でカナマイシン耐性遺伝子の機能を用いて、RNAとペプチドの相互作用を検出するアッセイを意味する(Hadas Peled−Zehavi,et al.,RNA 9,252−261,2003)。
具体的には、標的RNAに対応するオリゴDNA(ここで、「対応するオリゴDNA」とは、標的配列と同一の配列を有するように設計されたオリゴDNAを意味する)と、レポーター遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子とを組み込んだNレポータープラスミド、及びペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを組み込んだN発現プラスミドを細胞に導入する。細胞内でRNAとペプチドが相互作用するとカナマイシン耐性遺伝子が転写翻訳され、標的RNAとペプチドとが接触したシグナルとして、細胞はカナマイシン耐性を獲得する。細胞には、酵母や大腸菌などを用いることができる。大腸菌を用いた場合、カナマイシンを含んだ培地で生存した大腸菌には、RNAと相互作用するペプチドが発現していることになる。
また、上記KANシステムにより得られた本発明の第2部分に含まれるペプチドのアミノ酸配列を以下の配列番号1〜27に例示するが、本発明の第2部分に含まれるペプチドがRNA結合活性(HIVのRREに結合する活性)を有する限り、当該アミノ酸配列の1個又は数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい(これらを本発明において「変異体」という)。例えば、配列番号1〜27で表わされるアミノ酸配列の1個又は数個、好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号1〜27で表わされるアミノ酸配列に1個又は数個、好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号1〜27で表わされるアミノ酸配列の1個又は数個、好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。
17:MASARRRRRRRRRQRARRRAAAA(配列番号1)
39:MASRDRTRRRRTRQRSRRRAAAA(配列番号2)
42:MANDRRRRRRTRQRDRRRNAAAA(配列番号3)
11:MASLRRNRRRSRQRARRREAAAA(配列番号4)
26:MALLPRRERRRRRQRERRRAAAA(配列番号5)
8 :MAVATRRERRRRRQRTRRRAAAA(配列番号6)
2−28:MASDPRRQRRRRRQRARRRAAAA(配列番号7)
2−07:MANPARRARRRCRQRERRRAAAA(配列番号8)
2−06:MAILARRQRRRGRQRERRRAAAA(配列番号9)
2−04:MAQRERRERRRERQRNRRKAAAA(配列番号10)
3−07:MGANARRRRRRARQRARRRGGG(配列番号11)
3−14:MGLSPRRDKRRRQRARRRGGG(配列番号12)
3−01:MGPHRRQRRRDRQRRRRRAAA(配列番号13)
3−12:MGLLRRDRRRQRQRQRRRGGG(配列番号14)
DRRRLRQRARRR(配列番号15)
DRRRARQRARRR(配列番号16)
ERRRNRQRARRR(配列番号17)
DRRRSRQRARRR(配列番号18)
HRRRLRQRARRR(配列番号19)
IRRRNRQRARRR(配列番号20)
LRRRARQRMRRR(配列番号21)
DRRRLRQRLRRR(配列番号22)
IRRRLRQRARRR(配列番号23)
ERRRIRQRARRR(配列番号24)
TRRRLRQRARRR(配列番号25)
HRRRLRQRLRRR(配列番号26)
DRRRRRQRIRRR(配列番号27)
本発明の第2部分に含まれるペプチドとRNAとの結合活性は、KANシステムにおけるレポーター遺伝子の発現量を基に、既知のペプチドとの相対的定量化を行い評価することにより測定することができる。このときの解離定数は100pM〜10pMである。
本発明は、上記ペプチドのほかにその誘導体も使用することができる。「誘導体」とは、本発明の第2部分に含まれるペプチドを起源とし、3以上のアミノ酸にまでアミノ酸の数を減らす、あるいは一部のアミノ酸を非天然の物を含んだ他のアミノ酸に置換したものをいう。また、上記誘導体は、天然物の一部を修飾したものであっても、化学合成により合成された修飾残基を含むペプチドであってもよい。
本発明の第2部分に含まれるペプチドは、アミノ酸配列の一部に化学修飾が施されたものも含む。「化学修飾」とは、化学試薬をタンパク質に反応させ、主にアミノ酸残基側鎖の化学構造を変えることをいう。例えば、本発明の第2部分に含まれるペプチドの活性部位又は活性部位近傍に存在すると予想されるアミノ酸を特異的に修飾する試薬(例えばポリエチレングリコール)を反応させる方法などが採用される。アフィニティラベルを行ってもよい。また、化学修飾にはアミノ酸のα炭素をメチル化したものも含む。化学修飾法は、当分野において周知である(大野素徳・金岡祐一・崎山文夫・前田浩 著、生物化学実験法 12、蛋白質の化学修飾(上)、学会出版センター)。
なお、化学修飾されたアミノ酸配列を含むペプチドの修飾部分は、ペプチド本来の活性には影響せず、他の効果として作用する(Yamaguchi,H.et al.,Biosci.Biotechnol.Biochem.,67(10),2269−2272,2003)。
置換、欠失等の変異が導入されているかどうかは、アミノ酸配列の配列決定、分子進化的工学やX線やNMRなどによる構造解析を用いて確認することができる。
また、本発明の第2部分に含まれるペプチドの誘導体には、そのレトロエナンチオマーも含む。「レトロエナンチオマー」とは、上記ペプチドのアミノ酸配列の向きが左右逆になること(鏡像体を形成すること)を意味する。すなわち、ペプチドのN末端がC末端となり、C末端がN末端となり、かつ各アミノ酸がDアミノ酸によって構成されている配列となることを意味する。このようなレトロエナンチオマーも、RNA結合活性を有する限り本発明に含まれる。例えば、配列番号15に示すアミノ酸配列のレトロエナンチオマーは、RRRARQRLRRRD(配列番号28)となる。他のペプチドのアミノ酸配列についても同様である。
さらに、本発明は、上記ペプチド(配列番号1〜27)、その変異体、又はその誘導体を構成するアミノ酸配列の65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を含むペプチド、その誘導体又はこれらの塩を使用することもできる。上記65%の領域としては、例えば配列番号1〜27に示す配列のうち、5番目〜19番目(アルギニンリッチドメイン)の領域などが挙げられる。また、配列番号1〜27に示すアミノ酸配列のうち、70%以上、80%以上、90%以上の領域としてそれぞれ3番目〜19番目、1番目〜19番目、3番目〜23番目の領域を例示することができ、95%以上の領域として連続する22個のアミノ酸の領域を例示することができる。
さらに、配列番号1〜27に示すアミノ酸配列のほか、これらのアミノ酸配列のN末端側に2個のアルギニン(R)が付加されたアミノ酸配列(14個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列)も、本発明の第2部分に含まれるペプチドに含有される。
上記のとおり本発明の第2部分に含まれるペプチドのアミノ酸配列が決定されると、その後は、当該アミノ酸配列をコードするDNAを構築し、これを発現させることにより、あるいは上記ペプチドを化学合成することにより、得ることができる。
本発明の第2部分に含まれるペプチドの塩としては、生理学的に許容される酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。酸付加塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸との塩、あるいは酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。塩基性塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基との塩、あるいはカフェイン、ピペリジン、トリメチルアミン、ピリジンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
塩は、塩酸などの適切な酸、あるいは水酸化ナトリウムなどの適切な塩基を用いて調製することができる。例えば、水中、又はメタノール、エタノール若しくはジオキサンなどの不活性な水混和性有機溶媒を含む液体中で、標準的なプロトコルを用いて処理することにより調製し得る。
(ii)ペプチドの化学合成
本発明の第2部分に含まれるペプチドの化学合成を行う場合は、ペプチドの合成の周知方法によって合成できる。例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法等が挙げられる。また、その合成は、固相合成法及び液相合成法のいずれをも適用することができる。市販のペプチド合成装置(島津製作所製PSSM−8など)を使用してもよい。
反応後は、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶などの通常の精製法を組み合わせて本発明の第2部分に含まれるペプチドを精製することができる。
(iii)ペプチドをコードするポリヌクレオチド
本発明の第2部分に含まれるペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明に使用するペプチドを遺伝子工学的に設計し、得ることができる。例えば、本発明の第2部分に含まれるペプチドのアミノ酸配列をもとに塩基配列を設計し、合成すればよい。ポリヌクレオチドとしてはDNA、RNAなどが挙げられるが、DNAであることが好ましい。
変異体のペプチドを遺伝子工学的に得るには、配列番号1〜27のアミノ酸配列をコードするポリペプチドを、当分野において周知の部位特異的突然変異誘発法によって変異体を作製することができる。市販の部位特異的突然変異誘発用キットを用いてもよい(例えばTaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Mutan−K、Mutan−Super Express Km等:タカラバイオ社製))。
(iv)組換えベクター、形質転換体及びペプチド
タンパク質発現用組換えベクターは、上記ポリヌクレオチドを適当なベクターに連結することにより得ることができ、形質転換体は、上記組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる(Sambrook J and Russel D.Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd edition,CSHL Press,2001)。
ベクターには、宿主微生物で自律的に増殖し得るファージ又はプラスミドが使用される。プラスミドDNAとしては、大腸菌、枯草菌又は酵母由来のプラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージが挙げられる。さらに、動物ウイルス、昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
組換えベクターの作製は、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位等に挿入してベクターに連結すればよい。
形質転換に使用する宿主としては、目的の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。
宿主への組換えベクターの導入方法は公知であり、任意の方法(例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等)が挙げられる。
本発明の第2部分に含まれるペプチドは、前記形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることもできる。「培養物」とは、(a)培養上清、(b)培養細胞若しくは培養菌体又はその破砕物のいずれをも意味するものである。
培養法は、当分野において周知である(前記Sambrookら、Molecular Cloningを参照)。
培養後、目的ペプチドが菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することによりタンパク質を抽出する。また、目的タンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、目的のペプチドを単離精製することができる。
本発明においては、in vitro翻訳によるペプチド合成を採用することができる。この場合は、RNAを鋳型にする方法とDNAを鋳型にする方法(転写/翻訳)の2通りの方法を用いることができる。鋳型RNAとしては、前記(iii)に記載のポリヌクレオチドが挙げられ、鋳型DNAとしては、翻訳開始点の上流にプロモーターとリボゾーム結合部位を有している上記ポリヌクレオチド、あるいは翻訳開始点の上流に転写に必要なプロモーター等が組み込まれたポリヌクレオチドが挙げられる。in vitro翻訳システムは、市販のシステム、例えばExpresswayTMシステム(Invitrogen社)、PURESYSTEM(登録商標;ポストゲノム研究所)、TNTシステム(登録商標;Promega社)などを用いることができる。in vitro翻訳システムによるペプチド合成後は、上記の一般的な生化学的方法を単独又は組み合わせることにより、目的のペプチドを単離精製することができる。
(2)化合物
本発明の第2部分に含まれる化合物は、標的とするポリ核酸に結合することのできる化合物であれば、どのような化合物であってもよい。例えば、天然または合成低分子化合物ライブラリー、植物または動物由来抽出物に含まれる1〜複数個の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、新規な化合物であっても、公知の化合物であってもよい。
標的ポリ核酸に結合する化合物は、例えば標的ポリ核酸と化合物との結合アッセイにより得ることができる。この場合は、例えば標的ポリ核酸が固相化された担体に化合物ライブラリーなどを接触させて、ポリ核酸に結合した化合物を選択することができる。また、前記のKANシステムを一部分使用して標的ポリ核酸に結合する化合物を選択することもできる。この場合、前述のNレポータープラスミドを導入した細胞に化合物を接触させたときにカナマイシン耐性を獲得した細胞に接触させた化合物を、標的ポリ核酸に結合する化合物として選択することができる。
本発明の第2部分に含まれる化合物は、標的とするポリ核酸に結合する作用を有する限り、塩を形成していてもよく、それらの水和物であってもよい。または、CADD(Computer Aided Drug Design)で同定される化合物も、標的ポリ核酸に結合する作用を有する限り、本発明の第2部分に含まれる化合物に含まれる。
本発明の第2部分に含まれる化合物の好ましい例としては、例えば、アミノグリコシド、複素環アミン、もしくはその塩、またはそれらの水和物が挙げられる。
(3)核酸
本発明の第2部分に含まれる核酸は、標的とするポリ核酸に結合する作用を有する限り、どのような核酸であってもよく、特に限定されるわけではないが、好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはsiRNAである。本発明の第2部分に含まれる核酸は、例えば、結合相手(標的)のポリ核酸に相補的な塩基配列を有する核酸、結合相手のポリ核酸にストリンジェントな条件下で結合する塩基配列を有する核酸等を挙げることができる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、ハイブリダイゼーション後の洗浄時の条件であって、例えば塩濃度が300〜2000mM、温度が40〜75℃、好ましくは塩濃度が600〜900mM、温度が65℃の条件を意味する。本発明の第2部分に含まれる核酸には、このようなストリンジェントな条件下において、特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドとしては、結合相手のポリ核酸の有する塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有する核酸が挙げられる。
本発明の第2部分に含まれる核酸は、新規な配列を有する核酸であってもよいし、公知の配列を有する核酸であってもよい。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的とするmRNAに相補的な配列を有する核酸であり、アンチセンス法に用いられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当業者であれば標的mRNAに応じて適宜設計し、合成することができる。
siRNAは、細胞内でDicerによってプロセッシングを受けて産生される短鎖RNAであり、RNAiのエフェクターとして用いられる。
siRNAの設計基準は以下の通りであり、当業者であればsiRNAを適宜設計し、合成することができる。
(a)結合相手のポリ核酸を含有する遺伝子の開始コドンの下流の領域を選択する。開始コドンより下流の配列であれば特に限定されるものではなく、任意の領域を全て候補にすることが可能である。
(b)選択した領域から、aaで始まる連続する15〜30塩基、好ましくは18〜25塩基の配列を選択し、その配列のGC含量が、例えば20〜80%となるものを選択する。
本発明の第2部分に含まれる核酸は、自動核酸合成機で合成することができる。あるいは、当業者であれば、本発明の第2部分に含まれる核酸をプラスミドなどのベクターに導入して、大腸菌などの宿主−ベクター系を用いて本発明の第2部分に含まれる核酸を産生することができる。
3.ポリ核酸結合物質を含む医薬組成物
本発明のポリ核酸結合物質は、医薬組成物として使用することができる。
本発明のポリ核酸結合物質に含まれる第2部分が、標的ポリ核酸の遺伝子発現を抑制または亢進する作用を有する場合には、本発明の医薬組成物は、当該遺伝子の発現の増減に起因する疾患の治療剤または予防剤として用いることができる。本発明において、疾患は単独であっても、併発したものであっても、上記以外の他の疾病を併発したものであってもよく、いずれも本発明のペプチドを使用する対象とすることができる。
また、本発明のポリ核酸結合物質含まれる第2部分が、例えば、HIVのRREに結合する活性を有する場合には、本発明の医薬組成物はHIVの増殖抑制剤又は感染予防剤として用いることができる。
本発明の医薬組成物をHIVの増殖抑制剤又は感染予防剤として使用する場合は、AIDS(後天性免疫不全症候群)患者、HIVウイルス陽性の健常者に対して治療又は予防を特異目的として用いることができる。また、健常者に対して、感染予防の目的で使用することができる。
本発明の医薬組成物は、経口又は非経口的に全身又は局所投与することができる。本発明の医薬組成物を経口投与する場合は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、内用水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等のいずれのものであってもよく、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。また、本発明の医薬組成物を非経口投与する場合は、静脈内注射(点滴を含む)、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、坐剤などの製剤形態を選択することができ、注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供される。
これらの各種製剤は、製剤上通常用いられる賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤等などを適宜選択し、常法により製造することができる。
上記各種製剤は、医薬的に許容される担体又は添加物を共に含むものであってもよい。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトースなどが挙げられる。使用される添加物は、本発明の剤型に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
本発明の医薬組成物の投与量は、投与対象の年齢、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。本発明のポリ核酸結合物質の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組合せとして投与される有効量は、一回につき体重1kgあたり10〜1000mg/body、好ましくは50〜500mg/bodyの範囲の投与量を選ぶことができ、1日1回から数回に分けて1日以上投与される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
抗HIV活性試験
(1)方法
本実施例は、Pauwels et al.,J.Virol.Methods,20;309−321,1988、Nakashima et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,36;1249−1255,1992、Nakashima et al.,Antiviral Chemist.Chemother.,6;271−280,1995に記載の方法に従って行った。
具体的には、96穴マイクロタイタープレートに、種々の濃度の試験物質とともにHIV感染MT−4細胞(2.5×104cell/well、MOI:0.01)を感染直後に加えた。
試験物質のMT−4細胞に対する細胞毒性を知るために、ウイルス非感染細胞を同様に宿野濃度で試験物質とともに培養した。血清を添加して培養を行った。
CO2インキュベータで37℃で5日間培養した後、MTT法で生存細胞数を測定した。抗ウイルス活性は、HIV感染による細胞傷害を50% protectionする濃度(EC50;50% effective concentration)、細胞毒性は試験物質による50%細胞傷害濃度(CC50;50% cytotoxic concentration)でそれぞれ表現した。また、有効係数(Selectivity Index;SI)はCC50/EC50として計算した。
用いた試験物質は、
コントロールペプチド1:suc−RRDRRRLRQRARRRAAAA−OH(配列番号30)
試験ペプチド5:ClAc−GABA−RRDRRRLRQRARRRAAAA−OH(配列番号31)
である。「suc」は、保護基であるスクシニルを意味する。
(2)結果
結果を表1に示す。
Claims (14)
- ポリ核酸に結合する物質であって、求電子基を有する第1部分と、ペプチド、化合物および核酸からなる群から選択される1種以上を有する第2部分とを含むことを特徴とするポリ核酸結合物質。
- ポリ核酸がRNAである、請求項1記載のポリ核酸結合物質。
- RNAがRRE配列部位を含むものである、請求項2記載のポリ核酸結合物質。
- 第2部分がペプチドを含む、請求項1記載のポリ核酸結合物質。
- ペプチドが、次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、その誘導体又はこれらの塩である、請求項4記載のポリ核酸結合物質。 - ペプチドが、以下の(a)又は(b)のペプチド、その誘導体又はこれらの塩である、請求項4記載のポリ核酸結合物質。
(a)次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含む12〜23残基の長さのアミノ酸配列を有するペプチド
(b)次式I:
R−Q−R−X (I)
(XはR以外のアミノ酸残基を表す。)
で示されるアミノ酸配列を含む12〜23残基の長さのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、RNA結合活性を有するペプチド - Rが少なくとも9〜11残基含まれることを特徴とする、請求項5又は6記載のポリ核酸結合物質。
- ペプチドが、以下の(a)又は(b)のペプチド、その誘導体又はこれらの塩である、請求項4記載のポリ核酸結合物質。
(a)配列番号1〜27で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号1〜27で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、RNA結合活性を有するペプチド - 第1部分と第2部分との間に、スペーサーを有することを特徴とする、請求項1記載のポリ核酸結合物質。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のポリ核酸結合物質を含有してなる医薬組成物。
- HIVの増殖抑制剤である、請求項11記載の医薬組成物。
- HIVの感染予防剤である、請求項11記載の医薬組成物。
- AIDSの予防剤又は治療剤である、請求項11記載の医薬組成物。
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