JPWO2006082963A1 - 標的分子とリガンドあるいはリガンド候補化合物との結合検出方法 - Google Patents

標的分子とリガンドあるいはリガンド候補化合物との結合検出方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、NMR測定によりリガンドあるいはリガンド候補化合物の結合および結合部位を同定する方法において、標的分子のより広範な範囲を観測し、リガンドやリガンド候補化合物の結合および結合部位の同定をより正確に行なえる方法を提供することである。本発明では、標的分子のアミノ酸残基の主鎖の炭素原子とアミドプロトンとの相関シグナル、あるいは主鎖の原子に結合した水素原子と標的分子中の他の水素原子との相関シグナルを取得し、該標的分子とリガンドあるいはリガンド候補化合物とを接触させた後に同じ相関シグナルを取得して、両シグナルを比較することによって標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合を検出する。

Description

本発明は、標的分子とこれと結合するリガンドあるいはリガンド候補化合物との結合を検出する方法、標的分子に結合するリガンドの結合部位の同定方法、および標的分子とリガンドとの解離定数を測定する方法等に関する。
NMRを用いて、標的分子に結合する基質やリガンドを同定したり、その結合部位を特定することは、これまでにも広く行われてきた。主に用いられている方法は、タンパク質中の窒素原子を、安定同位体でNMR観測可能な15Nを用いて標識し、1H−15N HSQC(heteronuclear single quantum coherence)スペクトルを用いる方法(例えば、特許第3032301号公報を参照)である。具体的には、標的分子単独の状態において1H−15N HSQCを観測し、さらに標的分子に想定される基質やリガンドを共存させた状態で1H−15N HSQCを観測し、両者のスペクトルを比較し、シグナルの変化が見られるかどうかで標的生体分子に基質やリガンドが結合したかどうかを知ることができる。また、他のNMR測定を組み合わせ、1H−15N HSQCスペクトルの各シグナルのアミノ酸の種類と番号まで含めた帰属を行い(例えば、Ikura, et al., Biochemistry, 30, 5498-5504(1992)を参照)、それらのデータを基に、基質やリガンドが標的生体分子に結合する部位の同定(例えば、Hensmann, et al., Protein Science, 3, 1020-1030(1994)を参照)を行う方法も開示されている。このような方法を、例えば標的分子を病因タンパク質とし、リガンドを低分子化合物として適用することにより、病因タンパク質を特異的に阻害する新規薬剤候補物質をスクリーニングしたり、スクリーニングの結果得られた化合物や他の方法によって得られた化合物が病因タンパク質のどの部位に結合しているかを同定することができ、迅速な薬剤設計に用いることができるため、産業上も非常に有用である。
1H−15N HSQC測定は、感度が比較的高いので、このような標的分子に対する基質やリガンドの結合を同定するのに試料濃度が比較的少なくて済み、測定時間も短くて済むなどの特徴が有る。しかし、標的分子が、例えば高分子量タンパク質の場合には、1H−15N HSQCスペクトルの各シグナルが重なることが多く、想定された基質やリガンドが結合するか否かの判定、また結合する場合の結合部位の判定において、不具合が生じる場合があった。
また、標的分子がタンパク質の場合1H−15N HSQC測定において観測されるNMRシグナルは、主にポリペプチド鎖の主鎖の1H−15N直接結合に由来するシグナルである。ポリペプチド鎖の主鎖においては、原子は、窒素原子、α炭素原子、カルボニル炭素原子の順番で繰り返し連結されているので、窒素原子は3原子に1つの割合でしか出現しない。すなわち、1H−15N HSQCスペクトルにおいては、基質の結合を検出する部位が、3原子おきにしか存在しないことになる。また、1H−15N HSQCスペクトルで検出されるシグナルは、直接結合した1Hと15Nの相関シグナルであり、これらの化学シフトの移動には相関関係があるので、2次元NMR測定でありながら、一つのシグナルの変化は実質的に一つの原子の化学シフトの変化を見ていることになる。これらのことから、1H−15N HSQCスペクトルを用いる方法は、実際には標的分子の限られた範囲における変化だけを検出していることになる。よって、基質やリガンドが標的分子に結合したかどうか、あるいは結合部位を正確に特定するためには、より広い部位を観測でき、しかもある程度感度の良い方法が望まれている。
一方、タンパク質中の炭素原子を、安定同位体でNMR測定可能な13Cを用いて標識し、1H−13C HSQC(heteronuclear single quantum coherence)スペクトルを用いる方法(例えば、特表2004−510952号公報を参照)も開発されている。具体的には、標的分子の側鎖のメチル基の炭素原子と水素原子の間のHSQC測定を行い、さらに標的分子に想定される基質やリガンドを共存させた状態で標的分子の側鎖のメチル基の炭素原子と水素原子の間のHSQC測定を行って、両者のスペクトルを比較し、シグナルの変化を検出することにより、標的分子と基質やリガンドとの結合を検出する方法である。この方法では、標的分子の主にメチル基の炭素原子と水素原子の間のHSQC測定を行うことで、シグナルが重なることを防いでいるが、逆にメチル基を有するアミノ酸でしかHSQCシグナルを取得することができないので、標的分子と基質あるいはリガンドとの結合を限られた範囲でしか検出することができない。
また、標識化していないタンパク質中の2つの水素原子間の2次元または多次元相関スペクトルを用いる方法(例えば、WO03/054532号公報を参照)も開発されている。この方法では、NMRの測定感度が非常に低いこと、および高分子のタンパク質においてはスペクトルが取得できない等の問題があった。
そこで、上記のようなNMR測定方法とは異なる、リガンドやリガンド候補化合物と標的分子との結合、および結合部位の同定を、より確実に、アミノ酸の種類などに限定されずに行える方法が求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、NMR測定によりリガンドあるいはリガンド候補化合物の結合および結合部位を同定する方法において、標的分子のより広範な範囲を観測し、リガンドやリガンド候補化合物の結合および結合部位の同定をより正確に行える方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、標的分子であるヒトFKBPタンパク質を、15N/13C二重標識し、主鎖の窒素原子に結合した水素原子と該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中のカルボニル炭素原子の2次元相関スペクトル、及び主鎖の窒素原子に結合した水素原子と該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中のα炭素原子の相関スペクトルが取得可能な2次元NMR測定を行い、さらに、標的分子とリガンド候補化合物として1−アセチルプロリンメチルエステル等とを共存させた状態で上記2次元NMR測定を行って、得られた2つのシグナルを比較したところ、標的分子に、想定されるリガンド候補物質が結合するかどうか、また結合する場合には、リガンド物質が結合する標的分子の部位を精度良く同定することが可能なことを見出だした。さらに本発明者らは、標的分子であるヒトFKBPタンパク質を、15N/13C二重標識し、主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子の2次元相関スペクトルが取得可能な2次元NMR測定を行い、さらに、標的分子とリガンド候補化合物として1−アセチルプロリンメチルエステル等とを共存させた状態で上記2次元NMR測定を行って、得られた2つのシグナルを比較したところ、標的分子に、想定されるリガンド候補物質が結合するかどうか、また結合する場合には、リガンド物質が結合する標的分子の部位を精度良く同定することが可能なことを見出だした。本発明は、これらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1) (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合の検出方法。
(2) (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、リガンド候補化合物の混合物とを接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、
(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、該リガンド候補化合物の混合物中の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
(f)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(e)で得られた2次元スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法。
(3) (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンドまたはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び
(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、違いが見られるシグナルに相当するアミノ酸を特定する工程を含む、標的分子に結合するリガンドまたはリガンド化合物の結合部位の同定方法。
(4) (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、各種濃度のリガンドまたはリガンド化合物を接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
(d)工程(a)で得られる2次元相関スペクトルと、工程(c)で得られる2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び
(e)該2次元相関スペクトルに違いが見られた場合、該スペクトルの違いをリガンドまたはリガンド化合物濃度の関数として定量する工程を含む、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法。
(5) 標的分子がポリペプチドである、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 2次元相関スペクトルが、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識されたカルボニル炭素原子の2次元相関スペクトルである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 2次元相関スペクトルが、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子の2次元相関スペクトルである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(8) (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合の検出方法。
(9) (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、2つ以上のリガンド候補化合物を含むリガンド候補化合物の混合物とを接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、
(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、該リガンド候補化合物の混合物中の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
(f)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(e)で得られた2次元スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法。
(10) (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、1つ以上のリガンドまたはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び
(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、違いが見られるシグナルに相当するアミノ酸を特定する工程を含む、標的分子に結合するリガンドまたはリガンド化合物の結合部位の同定方法。
(11) (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(b)該標的分子と、各種濃度のリガンドまたはリガンド化合物を接触させる工程、
(c)工程(b)の標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
(d)工程(a)で得られる2次元相関スペクトルと、工程(c)で得られる2次元相関スペクトルを比較する工程、及び
(e)該2次元相関スペクトルに違いが見られた場合、該スペクトルの違いをリガンドまたはリガンド化合物濃度の関数として定量する工程を含む、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法。
(12) 標的分子がポリペプチドである、(8)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13) 標的分子が、主鎖の窒素及び炭素が標識された標的分子で、標識された主鎖の原子に結合した水素原子が、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子で、標的分子中の他の水素原子が、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子であることを特徴とする、(8)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14) 標的分子が、主鎖の窒素及び炭素が標識された標的分子で、標識された主鎖の原子に結合した水素原子が、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子で、標的分子中の他の水素原子が、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基、およびその1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子であることを特徴とする、(8)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(15) 標的分子が、主鎖の窒素及び炭素が標識された標的分子で、標識された主鎖の原子に結合した水素原子が、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子で、標的分子中の他の水素原子が、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子、および上記窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中のβ炭素原子に結合した水素原子であることを特徴とする、(8)〜(12)のいずれかに記載の方法、
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)標的分子とリガンドあるいはリガンド候補化合物との結合の検出方法
本発明の第一の態様によれば、(a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、及び(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合の検出方法が提供される。
本発明の第二の態様によれば、(a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、及び(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合の検出方法が提供される。
「標的分子」とは、(1)アミノ酸が連結した主骨格を有し、(2)上記した本発明の第一の態様の場合には、13C/15N二重標識化することができ、また上記した本発明の第二の態様の場合には、その主鎖の炭素原子あるいは窒素原子を13Cあるいは15N等のNMR測定可能な標識で標識化することができ、かつ(3)後述する2次元相関スペクトルが取得できるものであれば何れのものでもよい。具体的には、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、その部分フラグメント、あるいはその誘導体、リポタンパク質、その部分フラグメント、あるいはその誘導体等が挙げられる。また、その分子量も、後述する2次元相関スペクトルが取得できる範囲であれば特に制限はないが、ポリペプチドあるいはタンパク質の場合、10〜1000アミノ酸残基からなるものが好ましい。また、糖タンパク質あるいはリポタンパク質等の場合には、分子量が1〜100kD程度のものが好ましく用いられる。ポリペプチドまたはタンパク質の場合は、化学合成、組換え体を用いた合成、無細胞タンパク質合成系等如何なる方法で取得されたものでもよい。
上記した本発明の第一の態様において、標的分子を13C/15N二重標識化する場合、標的分子中の全ての炭素原子あるいは窒素原子が上記安定同位体である必要はなく、少なくとも、後述する2次元相関スペクトルを取得するのに必要な主鎖の窒素原子が15Nで、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中のα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子が13Cであればよく、その他の部分の窒素原子および炭素原子は、15Nあるいは13Cで標識化されていてもされていなくてもよい。また、主鎖の標識化された窒素原子に結合する水素原子は1Hであることが必要であるが、それ以外の水素原子は、重水素等で標識化されていてもいなくてもよい。ここで、特に高分子量の標的分子の場合には、感度の低下を防ぐために、窒素原子に結合した水素原子以外の水素原子の一部または全部が重水素等で標識化されていることが好ましい。
上記した本発明の第二の態様において、標的分子を13C及び/または15Nで標識化する場合、標的分子中の全ての炭素原子あるいは窒素原子が上記安定同位体である必要はなく、少なくとも、後述する2次元相関スペクトルを取得するのに必要な原子が15Nあるいは13Cであればよく、その他の部分の窒素原子および炭素原子は、15Nあるいは13Cで標識化されていてもされていなくてもよい。後述する2次元相関スペクトルを取得するのに標識が必要な原子は、少なくとも主鎖窒素及び/または炭素であり、主鎖以外の窒素または炭素に結合した水素原子を後述する2次元相関スペクトルの取得に用いる場合には、該水素原子が結合した窒素または炭素も標識されていることが好ましい。具体的には、標的分子中の主鎖の窒素原子に結合した水素原子と標的分子中の他の水素原子(以下、これを「第2の水素原子」と称することがある)の2次元相関スペクトルを取得する場合は主鎖の窒素原子と、好ましくは、第2の水素原子が結合した窒素または炭素も標識されている標的分子が用いられる。また、標的分子中の主鎖の炭素原子に結合した水素原子と標的分子中の他の水素原子の2次元相関スペクトルを取得する場合は主鎖のα炭素原子と、好ましくは、第2の水素原子が結合した窒素あるいは炭素も標識されている標的分子が用いられる。また、後述する2次元相関スペクトルを取得する水素原子は1Hであることが必要であるが、それ以外の水素原子は、重水素等で標識化されていてもいなくてもよい。ここで、特に高分子量の標的分子の場合には、感度の低下を防ぐために、NMRシグナルを観測する水素原子以外の水素原子の一部または全部が重水素等で標識化されていることが好ましい。
また、標的分子に含まれるアミノ酸のうち、上記窒素原子および炭素原子の15Nあるいは13Cによる標識化が必要なアミノ酸は、リガンドまたはリガンド化合物が結合するアミノ酸が既に同定されていたり、または想定されている場合には、そのアミノ酸のみの窒素原子及び/または炭素原子が15Nあるいは13Cによって標識化(以下、これを「標識化」と称することがある)されていればよく、それ以外のアミノ酸については標識化されていてもされていなくてもよい。下述する2次元NMR測定において、主鎖の窒素原子に結合する水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基に隣接するアミノ酸残基の炭素原子または該窒素原子が存在するアミノ酸残基に隣接するアミノ酸残基の炭素原子に結合した水素原子との2次元相関スペクトルを取得する場合には、リガンドあるいはリガンド化合物が結合するアミノ酸およびそれに隣接するアミノ酸が上記標識化をされている必要がある。また、リガンドまたはリガンド化合物が結合するアミノ酸が既に同定されていたり、または想定されていない場合には、全てのアミノ酸について上記標識化がされていることが好ましい。このように標識化された標的分子を、本明細書中では、「標識化標的分子」と称することがある。
標的分子の標識化は、上記の窒素原子および炭素原子が標識化される方法で、通常用いられる方法により行うことができる。また、市販の標識化アミノ酸(Cambridge Isotope Laboratories社製等)を用いることができる。標的分子がポリペプチドあるいはタンパク質である場合には、標識化および非標識化アミノ酸を基質としてタンパク質合成を行なうことにより標識化標的分子を製造する方法が好ましく用いられる。タンパク質合成系は、安定同位体を用いたタンパク質合成であるため、無細胞タンパク質合成系が好ましく用いられ、特にコムギ胚芽抽出液を用いる無細胞タンパク質合成系が好ましく用いられる。コムギ胚芽抽出液としては、例えば、Sawasaki,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 97, 559-564(2000)、特開2000−2368996号公報、特開2002−125693号公報、特開2002−204689号公報等に従って調製されたものや、あるいはPROTEIOSTM(TOYOBO社製)等の市販のもの等が挙げられる。
コムギ胚芽抽出液を用いたタンパク質の合成は、通常用いられる方法で行うことができるが、具体的には、例えば、Sawasaki,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 97, 559-564(2000)に記載の方法等が挙げられる。この場合、標識化基質および非標識化基質の濃度としては、0.05〜0.4mMの範囲が適当である。
コムギ胚芽抽出液を上記標識化標的分子の合成に用いる場合、該抽出液中に含まれるアミノ酸代謝酵素による影響を考慮する必要がある。コムギ胚芽抽出液中のアミノ酸代謝酵素によれば、アラニンがアスパラギン酸およびグルタミン酸に代謝され、アスパラギン酸がグルタミン酸に代謝され、さらにグルタミン酸がアスパラギン酸またはグルタミンに代謝される。そこで、標的分子中のアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸を選択的に標識化する場合には、それぞれのアミノ酸代謝酵素の活性を阻害して、かつ該タンパク質合成系における翻訳反応を阻害しない条件下で標識化標的分子を合成する必要がある。具体的には、アラニンあるいはアスパラギン酸を選択的に標識化する場合、無細胞タンパク質合成系の翻訳反応液に、トランスアミナーゼ阻害剤を、タンパク質合成活性を阻害しない濃度範囲で存在させる方法等が用いられる。トランスアミナーゼの具体例としては、アミノオキシ酢酸等が用いられ、翻訳反応液中の好ましい濃度範囲は0.01〜10mMである。また、グルタミン酸を選択的に標識化する場合には、無細胞タンパク質合成系の翻訳反応液に、トランスアミナーゼ阻害剤およびグルタミン合成阻害剤を、タンパク質合成活性を阻害しない濃度範囲で存在させる方法等が用いられる。トランスアミナーゼの具体例としては、アミノオキシ酢酸等が用いられ、翻訳反応液中の好ましい濃度範囲は0.01〜10mMである。また、グルタミン合成酵素の具体例は、例えば、L−メチオニンサルフォキシイミン等が用いられ、翻訳反応液中の好ましい濃度範囲は0.01〜20mMである。
かくして合成された標識化標的分子は、これを翻訳反応液から回収し、必要であれば適当な方法により精製することにより取得することができる。しかし、コムギ胚芽抽出液で合成された標的分子をNMR測定に用いる場合には、精製は必ずしも必要なく、それ自体公知の方法により適当な濃度に濃縮して、かつ緩衝液をNMR測定用に交換することで十分なことが多い。濃縮方法としては、例えば、限外濾過濃縮装置を用いる方法が挙げられる。また、緩衝液の交換は、市販のスピンカラムを用いる方法等が好ましく用いられる。
本発明の第一の態様の方法では、まず(a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトル(以下、これを「1H−13C相関スペクトル」あるいは「1H−13C相関シグナル」と称することがある)を測定する。標的分子中の標識された窒素原子に結合した水素原子(以下、これを「アミドプロトン」と称することがある)と2次元相関スペクトルを取得する炭素原子は、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子のいずれでもよい。用いられるNMR測定方法は、上記アミドプロトンおよび炭素原子の相関スペクトルが取得できるものであれば如何なるものでもよいが、シグナルが多いと、それらが重なりあってしまい、解析が困難になるので、1つのアミドプロトンに対しては、1つまたは2つの炭素原子の相関スペクトルが得られるNMR測定方法が好ましく、さらには1つのアミドプロトンに対して1つの炭素原子の相関スペクトルが得られるNMR測定方法が最も好ましい。具体例を以下に示す。
アミドプロトンと、1つ前のアミノ酸残基のカルボニル炭素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としては、H(N)CO法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のNHCO3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。また、アミドプロトンと同一アミノ酸残基中のカルボニル炭素原子、及び1つの前のアミノ酸残基中のカルボニル炭素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としてH(NCA)CO法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のHN(CA)CO3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)が用いられる。また、アミドプロトンと、1つの前のアミノ酸残基のα炭素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としてはH(NCO)CA法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のHN(CO)CA3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。また、アミドプロトンと同一アミノ酸残基中のα炭素原子、及び1つ前のアミノ酸残基中のα炭素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としてH(N)CA法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のHNCA3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)、アミドプロトンと同一アミノ酸残基中のα炭素原子とβ炭素原子、また1つ前のアミノ酸残基中のα炭素原子とβ炭素原子との2次元相関スペクトルを取得する方法としてH(N)CACB法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のHNCACB3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)、及びCBCA(N)H法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のCBCANH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。さらに、アミドプロトンと1つ前のアミノ酸残基中のα炭素原子とβ炭素原子との2次元相関スペクトルを取得する方法としては、H(NCO)CACB法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のHN(CO)CACB3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)、及びCBCA(CON)H法(Cavanagh, W. J., et al., Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practice. Academic Press (1996)に記載のCBCA(CO)NH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。また、アミドプロトンと同一アミノ酸残基中のβ炭素原子及び1つ前のアミノ酸残基中のβ炭素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としてはH(NCA)CB法(Yamazaki, T. et al., J. Am. Chem. Soc. 116 (1994) 11655-11666に記載のHNCACB3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。さらにアミドプロトンと1つ前のアミノ酸残基中のβ炭素原子との2次元相関スペクトルを取得する方法としてはH(NCOCA)CB法(Yamazaki, T. et al., J. Am. Chem. Soc. 116 (1994) 11655-11666に記載のHN(COCA)CB3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。高分子量の蛋白質の場合は、上記全ての測定方法にTROSY(Pervushin, K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94 (1997) 12366-12371)を組み合わせたTROSY−H(N)CO、TROSY−H(NCA)CO、TROSY−H(NCO)CA、TROSY−H(N)CA、TROSY−H(N)CACB、TROSY−CBCA(N)H、TROSY−H(NCO)CACB、TROSY−CBCA(CO)NH、TROSY−H(NCA)CB、TROSY−H(NCOCA)CB法等を用いる事が望ましい。これらの測定方法のうち、H(N)CO法、H(NCO)CA法、H(N)CA法が好ましく、H(N)CO法が最も好ましい。
また、本発明の第二の態様の方法では、まず(a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子との2次元相関スペクトル(以下、これを「1H−1H相関スペクトル」あるいは「1H−1H相関シグナル」と称することがある)を測定する。「標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子」とは、主鎖の窒素原子に結合した水素原子(以下、これを「アミドプロトン」と称することがある)、標識された主鎖のα炭素原子に結合した水素原子(以下、これを「α水素原子」と称することがある)の何れでもよい。また、「標的分子中の他の水素原子」とは、標的分子中のいずれの水素原子でもよい。具体的には、例えば、現在NMRにより2次元相関スペクトルが取得できる範囲である、上記窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子やβ炭素原子に結合した水素原子等が挙げられる。この場合、該水素原子が結合している窒素原子あるいは炭素原子が上記標識化されていることが好ましい。
用いられるNMR測定方法は、上記水素原子間の2次元相関スペクトルが取得できるものであれば如何なるものでもよいが、シグナルが多いと、それらが重なりあってしまい、解析が困難になるので、1つの標識された主鎖の原子に結合した水素原子に対しては、1つまたは2つの水素原子の相関スペクトルが得られるNMR測定方法が好ましく、さらには1つの標識された主鎖の原子に結合した水素原子に対して1つの水素原子の相関スペクトルが得られるNMR測定方法が最も好ましい。具体例を以下に示す。
アミドプロトンと、1つ前のアミノ酸残基のα水素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としては、HA(CACON)H法(Boucher, W. et al., J. Am. Chem. Soc. 114 (1992) 2262-2264に記載のHCA(CO)NH4次元測定法において、Cα及びNの展開時間を省略した2次元測定:図1)またはH(NCOCA)HA法(Kay, L. E. et al., J. Magn. Reson. 98 (1992) 443-450に記載のNH(CO)CAHA4次元測定法において、Cα及びNの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。また、アミドプロトンと同一アミノ酸残基中のα水素原子、及び1つ前のアミノ酸残基中のα水素原子の2次元相関スペクトルを取得する方法としてHA(CAN)H法(Kay, L. E. et al., J. Magn. Reson. 91 (1991) 84-92に記載のHA(CA)NH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)またはH(NCA)HA法(Clubb, R. T. et al., J.Biomol. NMR2 (1992) 203-210に記載のHN(CA)HA3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。
また、アミドプロトンと1つ前のアミノ酸残基中のα水素原子、及びβ炭素原子に結合した水素原子(以下、これを「β水素原子」と称することがある)との2次元相関スペクトルを取得する方法としては、HBHA(CBACACON)H法(Grzesiek, S., J. Biomol. NMR3 (1993) 185-204に記載のHBHA(CBCACO)NH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。さらに、アミドプロトンと同一アミノ酸残基中のα水素原子とβ水素原子、また1つ前のアミノ酸残基中のα水素原子とβ水素原子との2次元相関スペクトルを取得する方法としてHBHA(CBCAN)H法(Wang. A.C. et al., J.Magn. Reson. B105 (1994) 196-198に記載のHBHA(CBCA)NH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。さらに、アミドプロトンと1つ前のアミノ酸残基中のα水素原子、β水素原子及びその他の水素原子との2次元相関スペクトルを取得する方法としては、H(CCCON)H法(Sattler, M.et al., Prog. Nuc. Magn. Reson. Spectroscopy 34(1999)93-158に記載のH(CCCO)NH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定:図1)等が用いられる。高分子量の蛋白質の場合は、上記の測定方法にTROSY(Pervushin, K. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94(1997)12366-12371)を組み合わせた測定法を用いる事が望ましい。これらの測定方法のうち、H(NCOCA)HA法またはHA(CACON)H法が最も好ましい。この測定法によれば、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素に結合した水素原子との2次元相関スペクトルが取得される。さらには、上記HA(CAN)H法またはH(NCA)HA法が好ましい。この測定法によれば、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基、およびその1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子との2次元相関スペクトルが取得できる。
上記NMR測定において、用いられる緩衝液および標的分子の濃度等は通常NMR測定法において用いられている範囲で適宜選択することができる。具体的には、例えば、NMR測定用緩衝液としては、25mMリン酸カリウムpH6.5、50mM NaCl、5mM DTTのもの等が好ましく用いられる。該緩衝液に標的分子を適当な濃度で溶解することによりNMR測定用試料として用いる。標的分子の濃度はNMR測定が行い得る範囲であれば特に制限はないが、具体的には、例えば10μM〜10mMの範囲が好ましい。
本発明では、次に(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程を行なう。「リガンド」とは、上記標的分子が生体内分子である場合、これに生体内で結合している物質またはその誘導体を意味する。また、「リガンド候補化合物」とは、標的分子に結合して、標的分子の機能を制御する可能性のある化合物を意味する。このような可能性のある化合物であれば如何なる構造を有するものでもよい。「リガンド化合物」とは、標的分子に結合してその機能を制御する活性のある化合物を意味する。リガンドあるいはリガンド化合物は、必ずしも1分子で標的分子に結合するものでなくてもよく、同一のまたは異なる2分子以上が融合して標的分子と複合体を形成するものでもよい。2つ以上の分子が融合して標的分子と複合体を形成するものである場合、これらと標的分子との結合状態を解析して新たなリガンド化合物の設計を行なうことができる。具体的には、例えば、特許第3032301号に記載の方法等が用いられる。
標的分子とリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物を接触させる方法は、これらが結合し得る条件下であれば如何なる方法でもよい。具体的には、上記標的分子を適当濃度で含むNMR測定用緩衝液にリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物を添加する方法等が挙げられる。リガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物の濃度は、標的分子と該物質との関係により適宜選択することができるが、例えば10μM〜100mM程度の範囲が好ましい。標的分子に接触させるリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物は、少なくとも1つである。また、リガンド候補化合物の混合物を標的分子と接触させれば一度に多数の化合物の標的分子への結合を検出することができる。リガンド候補化合物の混合物とは、例えば、ある化合物の誘導体群や、医薬品等の候補化合物ライブラリー等複数の化合物が混在しているもの等を用いることができる。
本発明の第一の態様の方法では、次に、(c)上記のNMR測定用試料中の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程を行う。NMR測定方法は、上記のとおりである。また、本発明の第二の態様の方法では、次に、(c)上記のNMR測定用試料中の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、該標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程を行なう。NMR測定方法は、上記のとおりである。
本発明の第一の態様の方法では、次に、(d)上記工程(a)で得られた1H−13C相関スペクトルと上記工程(c)で得られた1H−13C相関スペクトルとを比較する工程を行う。また、本発明の第二の態様の方法では、次に、(d)上記工程(a)で得られた1H−1H相関スペクトルと、上記工程(c)で得られた1H−1H相関スペクトルとを比較する工程を行なう。ここで、比較する2つの2次元相関スペクトルは、上記のNMR測定法のうち、同一の測定方法により測定されたものである必要がある。1H−13C相関スペクトルまたは1H−1H相関スペクトルの比較は、2つのスペクトルの相違が検出できる方法であれば如何なるものでもよい。具体的には2つのスペクトルを重ねあわせ、目視により相違を検出する方法等が用いられるし、スペクトル中のシグナルの化学シフトを一般的なNMR解析ソフトウェアを用いて同定し、その値を比較しても良い。
具体的な1H−13C相関スペクトルを用いて説明すると、例えば、15N/13C標識化標的分子(ヒトFKBPタンパク質)について、上記H(N)CO法によりNMR測定した2次元相関スペクトルは、図4に示すとおりである。標的分子に結合することがわかっている1−アセチルブロリンメチルエステルを接触させた後に、同じH(N)CO法によりNMR測定して得られた2次元相関スペクトルを図4に重ね合わせたものが図8である。重ね合わせることにより両スペクトルを比較すると、図8に示されるように3つのシグナルにおいて相違があることがわかる。このように、両スペクトルにおいて相違が見られた場合、標的分子に接触させたリガンドまたはリガンド候補化合物と標的分子との結合を検出することができる。
具体的な1H−1H相関スペクトルを用いて説明すると、例えば、15N/13C標識化標的分子(ヒトFKBPタンパク質)について、上記HA(CACON)H法によりNMR測定した2次元相関スペクトルは、図20に示すとおりである。標的分子に結合することがわかっている1−アセチルブロリンメチルエステルを接触させた後に、同じHA(CACON)H法によりNMR測定して得られた2次元相関スペクトルを図20に重ね合わせたものが図24である。重ね合わせることにより両スペクトルを比較すると、図24に示されるように相違があることがわかる。このように、両スペクトルにおいて相違が見られた場合、標的分子に接触させたリガンドまたはリガンド候補化合物と標的分子との結合を検出することができる。
(2)標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法
本発明の別の側面によれば、(a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、リガンド候補化合物の混合物とを接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、該リガンド候補化合物の混合物中の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、及び(f)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(e)で得られた2次元スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法が提供される。
さらに本発明によれば、(a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、2つ以上のリガンド候補化合物を含むリガンド候補化合物の混合物とを接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、該リガンド候補化合物の混合物中の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、及び(f)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(e)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法が提供される。
「リガンド化合物」とは、標的分子に結合して標的分子の機能を制御する活性を有する化合物を意味する。リガンド化合物のスクリーニング方法における上記工程(a)〜(d)は、(1)に説明したものである。ここで「リガンド候補化合物の混合物」は、如何なる化合物の混合物であってもよいが、同一のNMR測定の条件で標的分子に結合し得るものの集まりであることが必要である。また、工程(e)で上記リガンド候補化合物群に含まれる個々の化合物について標的分子との結合を検出するので、個々に分離し得る集団であることも必要である。
上記の工程(e)においては、工程(d)で該1H−13C相関スペクトルに相違が見られた場合、工程(b)のリガンド候補化合物の混合物中の個々の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定するか、あるいは、工程(d)で該1H−1H相関スペクトルに相違が見られた場合、工程(b)のリガンド候補化合物の混合物中の個々の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する。標的分子との接触方法およびNMR測定方法は、上述のとおりである。
さらに工程(f)においては、工程(a)で得られた1H−13C相関スペクトルと工程(e)で得られた1H−13C相関スペクトルとを比較する工程を行なうか、あるいは工程(a)で得られた1H−1H相関スペクトルと工程(e)で得られた1H−1H相関スペクトルとを比較する工程を行なう。2つの1H−13C相関スペクトルの比較方法及び2つの1H−1H相関スペクトルの比較方法は上述のとおりである。この比較により1H−13C相関スペクトルまたは1H−1H相関スペクトルに相違が見られた場合、標的分子と接触させたリガンド候補化合物はリガンド化合物として選択される。
(3)標的分子に結合するリガンドの結合部位の同定方法
本発明のさらに別の側面によれば、(a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンドまたはリガンド候補化合物とを接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、違いが見られるシグナルに相当するアミノ酸を特定する工程を含む、標的分子に結合するリガンドまたはリガンド化合物の結合部位の同定方法が提供される。
本発明によればさらに、(a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンドまたはリガンド候補化合物とを接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、(d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び(e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、違いが見られるシグナルに相当するアミノ酸を特定する工程を含む、標的分子に結合するリガンドまたはリガンド化合物の結合部位の同定方法が提供される。
上記方法の工程(a)〜(d)は(1)で説明したとおりである。但し、標的分子は、上記NMR測定を行なった場合に得られる1H−13C相関スペクトルまたは1H−1H相関スペクトルの各シグナルがどのアミノ酸に由来するものであるかが帰属されている必要がある。工程(d)で1H−13C相関スペクトルまたは1H−1H相関スペクトルに違いが見出されたアミノ酸は、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との結合に関連していると決定することができる。各シグナルの帰属は、上記NMR測定を行なう前でも後でもよい。標的分子の各シグナルの帰属方法はそれ自体公知の通常用いられる方法で行うことができるが、以下に説明する方法で行えば効率良く帰属付けを行なうことができる。
例えば、以下のように、1H−15N相関スペクトルの各シグナルの帰属を決定した後に、これをもとに、標的分子のアミノ酸のアミドプロトンと13Cの相関シグナルを決定することができる。具体的には、(i)蛋白質のアミドプロトンと15Nの相関シグナルについて下述の方法によりその帰属を決定し、(ii)標的分子のアミノ酸配列上で、同定しようとするアミノ酸のα炭素原子またはカルボニル炭素原子が13Cで標識されたものを調製し、(iii)該蛋白質について、同定しようとするアミノ酸中のアミドプロトンと、同じアミノ酸の13Cで標識された炭素原子との相関シグナルを取得し、(iv)上記(i)のアミドプロトンと15Nの相関シグナルと(iii)のアミドプロトンと13Cに共通するアミドプロトンの化学シフトが同じであることを指標として、アミドプロトンと13Cとの相関シグナルを該アミドプロトンと15Nの相関シグナルに対応付けて、アミドプロトンと13Cとの相関シグナルの帰属を決定する方法である。
また、例えば、以下のように、1H−15N相関スペクトルの各シグナルの帰属を決定した後に、これをもとに標的分子の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と標的分子の他の水素原子間の相関シグナルを決定することができる。具体的には、(i)蛋白質のアミドプロトンと15Nの相関シグナルについて下述の方法によりその帰属を決定し、(ii)標的分子の主鎖のアミドプロトンと、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを取得して、(iii)上記(i)のアミドプロトンと15Nの相関シグナルと(ii)のアミドプロトンと水素原子間の2次元相関スペクトルに共通する、アミドプロトンの化学シフトが同じであることを指標として、アミドプロトンと他の水素原子間の相関シグナルを、該アミドプロトンと15Nの相関シグナルに対応付けて、アミドプロトンと他の水素原子との相関シグナルの帰属を決定する方法である。
同定しようとするアミノ酸とは、1種類でもよく、複数種類でもよく、また、全部のアミノ酸でもよいが、後述するシグナルの対応付けでシグナルが重ならずに対応付けが可能な範囲であれば何れでもよい。まず、1H−15N相関スペクトルの各シグナルの帰属の決定方法を以下に詳細に説明する。
シグナルの帰属を行う標的分子は、その主要骨格であるアミノ酸配列が同定されていることが必要である。まず、シグナルの帰属を決定しようとするアミノ酸について、標的分子のアミノ酸配列上で該アミノ酸に隣接するどちらか一方のアミノ酸を特定し、該隣接アミノ酸についてはそのα炭素原子およびカルボニル炭素原子が13Cで、また主鎖の窒素原子が15Nで二重標識されていて(以下、これを「二重標識化アミノ酸」と称することがある)、それ以外のアミノ酸については、主鎖の窒素原子のみが15Nで標識されたアミノ酸からなるもの(以下、これを「13C/15N二重標識化標的分子」と称することがある)を調製する。標的分子がポリペプチドまたはタンパク質の場合には、該隣接アミノ酸についてはそのα炭素原子およびカルボニル炭素原子が13Cで、また主鎖の窒素原子が15Nで二重標識されていて、それ以外のアミノ酸については、主鎖の窒素原子のみが15Nで標識されたアミノ酸を基質として、標的分子を合成することで調製することができる。
次に、上記の13C/15N二重標識化標的分子について、13C/15N二重標識化アミノ酸に隣接するアミノ酸残基のアミドプロトンと主鎖の窒素原子の2次元相関スペクトルのみ(以下、これを「1H−15N相関シグナル」と称することがある)が取得可能なNMR解析を行う。具体的には、HN(CO)法(Cavanagh, W. J., et al., Protein Spectroscopy, Principles. Press(1996)に記載のHNCO3次元測定法において、COの展開時間を省略した2次元測定)等が挙げられる。HN(CO)測定により得られたシグナルは、二重標識化アミノ酸のC末側に隣接するアミノ酸残基のものである。ここでは、二重標識化アミノ酸のC端側に隣接するアミノ酸の1H−15N相関シグナルのみを取得できるHN(CO)測定を行っているが、二重標識化アミノ酸のN端側に隣接するアミノ酸の1H−15N相関シグナルのみを取得できる測定法が有れば、その測定法を用いてもよい。
これらのシグナルの中から、目的アミノ酸のシグナルを選択する方法としては、目的アミノ酸の主鎖の窒素原子のみが15Nで標識されたアミノ酸を基質として目的タンパク質を合成し、該タンパク質についてNMR測定により1H−15N相関シグナルを取得して、HN(CO)測定と比較することにより行うことができる。
上記の同定しようとするアミノ酸の1H−15N相関シグナルは、以下の方法で取得してもよい。まず、同定しようとするアミノ酸は13C/15N二重標識化アミノ酸、その他は15N標識化アミノ酸を基質として目的タンパク質を合成し、該タンパク質について二重標識化アミノ酸の1H−15N相関シグナルと、それに隣接するアミノ酸残基の1H−15N相関シグナルの両方が検出されるNMR測定、具体的にはHN(CA)法(Cavanagh, W. J., et al., Protein Spectroscopy, Principles. Press(1996)に記載のHNCA3次元測定法において、CAの展開時間を省略した2次元測定)等で測定する。また、同じタンパク質についてHN(CO)法で測定してシグナルを取得し、HN(CA)法で得られたシグナルと比較する。ここで、重なっていないシグナルが目的アミノ酸を含む同じアミノ酸のシグナルである。また、二重標識化アミノ酸を2種類以上用いて合成した目的タンパク質を用いても、上記方法と同様の方法を用いて、アミノ酸番号の帰属が可能である。この場合には、帰属の手順が若干複雑にはなるが、試料の数を20種類より減らすことが可能である。
ここで、同定しようとするアミノ酸と隣接するアミノ酸の組み合わせがその目的タンパク質配列中に1つしか存在しないようなアミノ酸残基についてのみ帰属を行えば良い場合には、同定しようとするアミノ酸に隣接するアミノ酸の標識は、必ずしも13C/15Nの二重の標識が必要ではない。すなわち、そのカルボニル炭素原子が13C標識されていればよい。この場合には、目的タンパク質として、さらに同定しようとするアミノ酸を含む複数のアミノ酸の主鎖の窒素原子が15Nで標識されているものを合成する。合成されたタンパク質をHN(CO)法等で測定してシグナルを取得し、これらのシグナルの組み合わせと、同定しようとするアミノ酸の主鎖の窒素原子だけを15Nで標識化したタンパク質の1H−15N HSQCスペクトルと比較することによって、上記と同様にシグナルを帰属することができる。この方法を用いることによれば、カルボニル炭素原子が13C標識されていて、同定しようとするアミノ酸の主鎖の窒素原子が15Nで標識されているものを合成し、このHN(CO)法等により測定して得られたシグナルを取得していく従来の方法に比べて、標識タンパク質の種類が少なくてすむという効果がある。上記の方法は、これを繰り返すことによって、標的分子中の全てのアミノ酸に対してNMRで得られるシグナルの帰属を行うことができるが、同定しようとするアミノ酸と隣接するアミノ酸の組み合わせがその目的タンパク質配列中に1つしか存在しない場合にのみ用いることができる方法である。
標的分子中に同定しようとするアミノ酸と隣接するアミノ酸の組み合わせが2つ以上存在する場合、以下に示す方法により帰属を行うことができる。まず、(i)標的分子のアミノ酸配列上で同定しようとするアミノ酸に隣接するどちらか一方のアミノ酸について、その特定の原子とアミドプロトンとの相関シグナルを上記の方法で帰属を決定する。次に、(ii)帰属が決定されたアミノ酸残基中の特定の原子とアミドプロトンとの相関シグナルと、(iii)同定しようとするアミノ酸中の(i)と同じ特定の原子とアミドプロトンとの相関シグナルを、(iv)それらの間に存在する原子とアミドプロトンとの相関シグナルを取得して、共通する原子の化学シフトが同じであることをもとに対応付けていくことにより、帰属が決定されたアミノ酸に隣接するアミノ酸の相関シグナルであることを同定して帰属を決定することができる。
具体的には、まず、(a)標的分子のアミノ酸配列上で、同定しようとするアミノ酸に隣接するどちらか一方のアミノ酸について、上記の方法でその帰属を決定する。次に(b)同定しようとするアミノ酸に隣接するアミノ酸のα炭素原子およびカルボニル炭素原子が13Cで、また主鎖の窒素原子が15Nで二重標識され、さらに少なくとも同定しようとするアミノ酸の主鎖の窒素原子が15Nで標識された標的分子を調製する。(c)得られた二重標識化標的分子について、二重標識されたアミノ酸残基の13Cとアミドプロトンとの2次元相関スペクトルと、二重標識されたアミノ酸残基の13Cと隣接する同定しようとするアミノ酸残基のアミドプロトンとの2次元相関スペクトルが取得可能なNMR測定、例えば、H(N)CA法等で測定し、シグナルを取得する。さらに、(d)同定しようとするアミノ酸残基と、上記で二重標識したアミノ酸残基のアミドプロトンと主鎖の窒素原子の相関シグナルをH(NCO)CA法(Cavanagh, W. J., et al., Protein Spectroscopy, Principles. Press(1996)に記載のHN(CO)CA3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定)等で取得する。
次に、(e)(d)で取得したシグナル中の帰属が決定されているアミノ酸のアミドプロトンの化学シフトと同一の化学シフトを有するシグナルを(c)で得られたシグナルの中から選択する。さらに、(f)選択されたシグナルの13Cの化学シフトと同一の化学シフトを有するシグナルを(c)で得られたシグナルの中から選択し、(g)選択されたシグナルのアミドプロトンの化学シフトと同一の化学シフトを有するシグナルを(d)で得られたシグナルの中から選択する。ここで、選択されたシグナルが、もとのシグナルに帰属されるアミノ酸と隣接するアミノ酸のシグナルであると決定される。
上記のシグナルの帰属法における標識方法についてであるが、上記標識法ではアミノ酸C(任意のアミノ酸)だけを13C/15N二重標識化しその他のアミノ酸は15N標識化した目的タンパク質を調製したが、実際に測定シグナルを与えるのはアミノ酸C及びその一つ後ろにあるアミノ酸残基だけであるから、目的タンパク質のアミノ酸配列から、アミノ酸残基Cの後ろにあるアミノ酸の種類のみを15N標識化してもHN(CO)、HN(CA)、HN(CO)CAに関して、残りのアミノ酸全てを15N標識化したものと全く同じスペクトルが得られる。また、13C/15N二重標識化するアミノ酸の種類は一タンパク質試料に一種類である必要はなく、適宜数種類のアミノ酸を13C/15N二重標識化し、他のアミノ酸を15N標識化しても、シグナルの帰属は可能である。この場合は、必要な標識タンパク質が20種類より減らすことができるが、解析が若干複雑になるので、必要に応じて標識の仕方を変更すればよい。
本発明の一態様によれば、上記の方法を用いることにより、タンパク質中の1H−15N相関スペクトルの各シグナルが帰属されるが、上記の標識を行った標的分子に対して、1H−13C相関シグナルを取得する。具体的には、H(N)CO、H(NCO)CA法等で測定を行う。例えば、H(N)COでは二重標識化アミノ酸と次のアミノ酸残基のアミドプロトンと二重標識化アミノ酸のカルボニル炭素との相関シグナル相関シグナルが、H(NCO)CAでは、二重標識化アミノ酸の次の残基のアミドプロトンと二重標識化アミノ酸のα炭素原子との相関シグナルが得られる。これらのシグナルのアミドプロトンの化学シフトに注目し、すでに帰属されている1H−15Nシグナルのアミドプロトンのうち同一の化学シフトをもつシグナルを選択して帰属を参照することにより、H(N)CO、H(NCO)CAの測定で得られるシグナルの帰属が容易に行える。H(N)CO、H(NCO)CAの測定だけではなく、H(NCA)CO、H(N)CA等の測定を行っても、全く同様の方法により、シグナルの帰属が可能である。
上記の方法は、1H−15Nシグナルの帰属を行った後に、1H−13Cシグナルの帰属を行う方法であるが、帰属の方法はこれに限らない。例えば、上記と同じ標識を行った目的タンパク質のH(N)CAとH(NCO)CAのスペクトルの組み合わせ、あるいはH(N)COとH(NCA)COのスペクトルの組み合わせを順次取得し、前後の残基のα炭素原子またはカルボニル炭素の化学シフトとアミドプロトンの化学シフトの相関関係を上記と同様の方法によって順次連結していくことによっても、α炭素原子或いはカルボニル炭素原子とアミドプロトンの相関シグナルの帰属を行うことが可能である。
本発明の別の態様によれば、上記の方法を用いることにより、タンパク質中の1H−15N相関スペクトルの各シグナルが帰属されるが、上記の標識を行った標的分子に対して、1H−1H相関シグナルを取得する。具体的には、上述したH(NCOCA)HA、HA(CACON)H、HBHA(CBCACON)H法等で測定を行う。例えば、H(NCOCA)HAやHA(CACON)Hではアミドプロトンと該アミドプロトンが結合している窒素原子が存在する1つ前のアミノ酸残基のα水素原子との相関シグナルが、HBHA(CBCACON)Hではアミドプロトンと該アミドプロトンが結合している窒素原子が存在する1つ前のアミノ酸残基のα水素原子及びβ水素原子との相関シグナルが得られる。これらのシグナルのアミドプロトンの化学シフトに注目し、すでに帰属されている1H−15Nシグナルのアミドプロトンのうち同一の化学シフトをもつシグナルを選択して帰属を参照することにより、H(NCOCA)HA、HA(CACON)H、HBHA(CBCACON)Hの測定で得られるシグナルの帰属が容易に行える。H(NCOCA)HA、HA(CACON)H、HBHA(CBCACON)Hの測定だけではなく、H(NCA)HA、HA(CAN)H、HBHA(CBCAN)H等の測定を行っても、全く同様の方法により、シグナルの帰属が可能である。
上記の方法は、1H−15Nシグナルの帰属を行った後に、1H−1Hシグナルの帰属を行う方法であるが、帰属の方法はこれに限らない。例えば、上記と同じ標識を行った目的タンパク質のH(NCOCA)HAまたはHA(CACON)HとH(NCA)HAまたはHA(CAN)Hのスペクトルの組み合わせ、あるいはHBHA(CBCACON)HとHBHA(CBCAN)Hのスペクトルの組み合わせを順次取得し、前後の残基のα水素原子またはβ水素原子の化学シフトとアミドプロトンの化学シフトの相関関係を上記と同様の方法によって順次連結していくことによっても、α水素原子或いはβ水素原子とアミドプロトンの相関シグナルの帰属を行うことが可能である。
(4)標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法
本発明のさらに別の側面によれば、(a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、各種濃度のリガンドまたはリガンド化合物を接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、(d)工程(a)で得られる2次元相関スペクトルと、工程(c)で得られる2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び(e)該2次元相関スペクトルに違いが見られた場合、該スペクトルの違いをリガンドまたはリガンド化合物濃度の関数として定量する工程を含む、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法が提供される。
本発明によればさらに、(a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、(b)該標的分子と、各種濃度のリガンドあるいはリガンド化合物を接触させる工程、(c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、(d)工程(a)で得られる2次元相関スペクトルと、工程(c)で得られる2次元相関スペクトルを比較する工程、及び(e)該2次元相関スペクトルに違いが見られた場合、該スペクトルの違いをリガンドまたはリガンド化合物濃度の関数として定量する工程を含む、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法が提供される。
工程(a)〜(d)までは上記(1)に記載のとおりであるが、工程(b)において、異なる濃度のリガンド、またはリガンド化合物と標的分子を接触させたものについて同じNMR測定を行なう。リガンドまたはリガンド化合物濃度は適当に異なる濃度のものを接触させるが、最も高くは、飽和する濃度で接触させたものを調製してNMR測定を行なうことが好ましい。飽和濃度では飽和の極限化学シフト値(δsat)を測定する。飽和濃度のリガンドまたはリガンド化合物を接触させた標的分子について上記NMR測定を行なった場合、標的分子と該リガンドあるいはリガンド化合物との解離定数は下記数式1で算出される。
上記式中、[P]0は標的分子の総モル濃度であり、[L]0はリガンドあるいはリガンド化合物の総モル濃度であり、xは下記数式2で算出される。
式中、δfreeは遊離種の化学シフトであり、δobsは観察された化学シフト値であり、Δは飽和の場合の極限化学シフト値とリガンドまたはリガンド化合物を含まない標的分子の化学シフト値との差である。
このように測定した解離定数を測定データに対するベストフィットが標準の曲線あてはめ統計法を用いて得られるまでその値を変化させて測定する。δsatが既知でない場合には、KD及びδsatを変化させて同じ曲線当てはめ法にかける。さらに、このような解離定数の測定により、より好ましいリガンドの誘導体あるいはリガンド化合物を選択することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1 ヒトFKBPタンパク質とリガンドとの結合の検出
(1)鋳型mRNAの調製
ヒトFKBPタンパク質(アミノ酸配列は、配列表の配列番号3に示される)の遺伝子(Genbank accession No.M54881)は、Human Universal Quick Clone cDNA(Clontech社製)を鋳型として、配列番号1および2に記載の塩基配列からなるプライマーを用いてPCR法を用いて増幅し、Glutathione S−transferase(Amersham社製)との融合タンパク質となるように連結後、プラスミドpEU3b(Sawasaki,T.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,99(23),14652−14657(2002))のSpe IとSal Iの部位に導入した。16mMのマグネシウムイオン存在下で上記プラスミドを鋳型として、Glutathione S−transferaseとヒトFKBPの融合タンパク質のmRNAをSP6 RNA polymerase(Promega社製)で転写し、合成した。
(2)均一に13C/15N二重標識化されたアミノ酸を基質に用いた目的タンパク質合成
上記(1)で合成したmRNAを100μg/50μlに成るように濃縮し、コムギ胚芽抽出液(ProteiosTM、TOYOBO社製)と混合した(4.8ml)。その混合液を、20種類すべてのアミノ酸が13C/15N二重標識化された(Cambridge Isotope Laboratories社製)透析緩衝液に対して、2日間反応を行い、透析緩衝液を交換し、さらに3日間のタンパク質合成反応を行った。反応液を、あらかじめ緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.2、5mM Dithiothreitol、100mM NaCl)で平衡化されたGlutathione Sepharose 4B(Amersham社製)に結合させ、PreScission Protease(Amersham社製)で融合タンパク質を切断後、溶出することにより精製ヒトFKBPタンパク質溶液を得た。このタンパク質溶液をミリポア社製のCentricon−3限外濾過濃縮装置で800μlまで濃縮し、NMR測定用緩衝液(25mM リン酸カリウムpH6.5、50mM NaCl、5mM DTT)に置換後、最終的に250μlまで濃縮してNMR測定試料とした。この濃縮液中のヒトFKBPタンパク質は70μMとなった。
(3)NMR測定
NMR測定には、Bruker社製Avance−500スペクトロメーターを用い、測定試料には磁場の安定性を保つためのNMRロック用に5%D2Oを添加し、測定を行った。測定温度は30℃とした。
アミドプロトン、主鎖の窒素原子、カルボニル炭素原子、α炭素原子の化学シフトの帰属は、文献(Rosen et al.,Biochemistry,30,4774−4789;Xu et al.,Biopolymers,33,535−550(1993))の値を参考とし、HNCA、HN(CO)CA、HN(CO)、HN(CA)COの測定を行った。
薬剤を作用させる前のFKBPタンパク質の2次元相関スペクトルとして、13C/15N二重標識したヒトFKBPタンパク質の1H−15N HSQCスペクトル(図3)、H(N)COスペクトル(Cavanagh, W.J., et al., Protein NMR Spectroscopy. Principles and Practice, Academic Press (1996)に記載のNHCO3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定)(図4)、H(NCO)CAスペクトル(Cavanagh, W.J., et al., Protein NMR Spectroscopy. Principles and Practice, Academic Press (1996)に記載のNH(CO)CA3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元測定)(図5)を測定した。
(4)FKBPタンパク質と1−アセチルプロリンメチルエステルとの複合体の形成およびNMR測定
次に、FKBPタンパク質に結合することがわかっている1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を1mMになるようにFKBPタンパク質に混合し、1H−15N HSQCスペクトルを測定した。ACPM存在下と非存在下における1H−15N HSQCスペクトルを重ね合わせたものを図6に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応する残基は、図7の立体構造上で示すように、ある特定の領域に集中しており、この領域がACPMの結合部位であることが同定された。
次に、ACPM存在下で、H(N)CO2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図8に示した。図8においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
また、ACPM存在下で、H(NCO)CA2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図9に示した。図9においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
(5)FKBPタンパク質と1−ホルミルピペリジンとの複合体の形成およびNMR測定
同様にして、FKBPタンパク質に結合することがわかっている1−ホルミルピペリジン(FOPI)を1mMになるようにFKBPタンパク質に混合し、1H−15N HSQCスペクトルを測定した。FOPI存在下と非存在下における1H−15N HSQCスペクトルを重ね合わせたものを図10に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応する残基は、図11の立体構造上で示すように、ある特定の領域に集中しており、この領域がFOPIの結合部位であることが同定された。
次に、FOPI存在下で、H(N)CO2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図12に示した。図12においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
また、FOPI存在下で、H(NCO)CA2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図13に示した。図13においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
(6)FKBPタンパク質と1−ピペリジンカロボキサミドとの複合体の形成およびNMR測定
さらに、FKBPタンパク質に結合することがわかっている1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を1mMになるようにFKBPタンパク質に混合し、1H−15N HSQCスペクトルを測定した。PICA存在下と非存在下における1H−15N HSQCスペクトルを重ね合わせたものを図14に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応する残基は、図15の立体構造上で示すように、ある特定の領域に集中しており、この領域がPICAの結合部位であることが同定された。
次に、PICA存在下で、H(N)CO2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図16に示した。図16においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
また、PICA存在下で、H(NCO)CA2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図17に示した。図17においてシグナルの移動が見られた残基は、1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
以上のことより、H(N)COあるいはH(N)CA2次元測定法を用いることにより、標的分子に基質や化合物が結合したかどうかを同定すること、および結合する場合に、標的分子のどの部位に結合するのかを同定することが可能であることがわかった。
実施例2 ヒトFKBPタンパク質とリガンドとの結合の検出
(1)鋳型mRNAの調製
ヒトFKBPタンパク質(アミノ酸配列は、配列表の配列番号3に示される)の遺伝子(Genbank accession No.M54881)は、Human Universal Quick Clone cDNA(Clontech社製)を鋳型として、配列番号1および2に記載の塩基配列からなるプライマーを用いてPCR法を用いて増幅し、Glutathione S−transferase(Amersham社製)との融合タンパク質となるように連結後、プラスミドpEU3b(Sawasaki, T.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,99(23),14652−14657(2002))のSpe IとSal Iの部位に導入した。16mMのマグネシウムイオン存在下で上記プラスミドを鋳型として、Glutathione S−transferaseとヒトFKBPの融合タンパク質のmRNAをSP6 RNA polymerase(Promega社製)で転写し、合成した。
(2)均一に13C/15N二重標識化されたアミノ酸を基質に用いた目的タンパク質合成
上記(1)で合成したmRNAを100μg/50μlに成るように濃縮し、コムギ胚芽抽出液(ProteiosTM、TOYOBO社製)と混合した(4.8ml)。その混合液を、20種類すべてのアミノ酸が13C/15N二重標識化された(Cambridge Isotope Laboratories社製)透析緩衝液に対して、2日間反応を行い、透析緩衝液を交換し、さらに3日間のタンパク質合成反応を行った。反応液を、あらかじめ緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.2、5mM Dithiothreitol、100mM NaCl)で平衡化されたGlutathione Sepharose 4B(Amersham社製)に結合させ、PreScission Protease(Amersham社製)で融合タンパク質を切断後、溶出することにより精製ヒトFKBPタンパク質溶液を得た。このタンパク質溶液をミリポア社製のCentricon−3限外濾過濃縮装置で800μlまで濃縮し、NMR測定用緩衝液(25mM リン酸カリウムpH6.5、50mM NaCl、5mM DTT)に置換後、最終的に250μlまで濃縮してNMR測定試料とした。この濃縮液中のヒトFKBPタンパク質は70μMとなった。
(3)NMR測定
NMR測定には、Bruker社製Avance−500スペクトロメーターを用い、測定試料には磁場の安定性を保つためのNMRロック用に5%D2Oを添加し、測定を行った。測定温度は30℃とした。アミドプロトン、主鎖の窒素原子、カルボニル炭素原子、α炭素原子の化学シフトの帰属は、文献(Rosen et al.,Biochemistry,30,4774−4789;Xu et al.,Biopolymers,33,535−550(1993))の値を参考とし、HA(CACON)H、HA(CAN)Hの測定を以下のように行った。
薬剤(リガンド化合物)を作用させる前のFKBPタンパク質の2次元相関スペクトルとして、13C/15N二重標識したヒトFKBPタンパク質の1H−15N HSQCスペクトル(図19)、HA(CACON)Hスペクトル(Boucher,W.et al.,J.Am.Chem.Soc.114(1992)2262−2264に記載のHCA(CO)NH4次元測定法において、Cα及びNの展開時間を省略した2次元測定)(図20)、HA(CAN)H法(Kay,L.E.et al.,J.Magn.Reson.91(1991)84−92に記載のHA(CA)NH3次元測定法において、Nの展開時間を省略した2次元スペクトル)(図21)を測定した。
(4)FKBPタンパク質と1−アセチルプロリンメチルエステルとの複合体の形成およびNMR測定
次に、FKBPタンパク質に結合することがわかっている1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を1mMになるようにFKBPタンパク質に混合し、1H−15N HSQCスペクトルを測定した。ACPM存在下と非存在下における1H−15N HSQCスペクトルを重ね合わせたものを図22に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応するアミノ酸残基を確認した。図中、移動が見られたシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(V24、T27、G28、F48、L50、G51、Q53、I56、R57、E60、E61、G62、A64、Q65、Y80、I90、F99、D100)で示した。これらの、シグナルが移動したアミノ酸残基は、図23の立体構造上で示すように、ある特定の領域に集中しており、この領域がACPMの結合部位であることが同定された。
次に、ACPM存在下で、HA(CACON)H2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図24に示した。図24に示した両スペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応するアミノ酸残基を確認した。図中、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(V24、T27、G28、F48、L50、G51、Q53、I56、R57、E60、E61、G62、A64、Q65、Y80、I90、F99、D100)で示した。図24においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
また、ACPM存在下で、HA(CAN)H2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図25に示した。図25に示した両スペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応するアミノ酸残基を確認した。図中、大文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルは、残基内のアミドプロトンとα水素原子の相関シグナル、小文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルはアミドプロトンとそのアミドプロトンの属する残基の一つ手前の残基に属するα水素原子との相関シグナルを表している。ここで、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(V24、T27、G28、F48、L50、G51、Q53、I56、R57、E60、E61、G62、A64、Q65、Y80、I90、F99、D100)で示した。図25においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基と一致していた。
(5)FKBPタンパク質と1−ホルミルピペリジンとの複合体の形成およびNMR測定
同様にして、FKBPタンパク質に結合することがわかっている1−ホルミルピペリジン(FOPI)を1mMになるようにFKBPタンパク質に混合し、1H−15N HSQCスペクトルを測定した。FOPI存在下と非存在下における1H−15N HSQCスペクトルを重ね合わせたものを図26に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応する残基を確認した。図中、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(G19、V24、Y26、T27、G28、S38、R42、K47、F48、L50、G51、K52、Q53、E54、V55、I56、R57、W59、E60、E61、G62、V63、Q65、M66、Q70、T75、I76、Y80、V98、F99、D100、L103)で示した。これらは、図27の立体構造上で示すように、ある特定の領域に集中しており、この領域がFOPIの結合部位であることが同定された。
次に、FOPI存在下で、HA(CACON)H2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図28に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られたシグナルに対応する残基を確認した。図中、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(G19、V24、Y26、T27、G28、S38、R42、K47、F48、L50、G51、Q53、E54、V55、I56、R57、G58、E60、E61、G62、Q65、M66、T75、I76、Y80、V98、F99、D100、L103)で示した。図28においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基とほぼ一致していた。
また、FOPI存在下で、HA(CAN)H2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図29に示した。図29に示した両スペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応するアミノ酸残基を確認した。図中、大文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルは、残基内のアミドプロトンとα水素原子の相関シグナル、小文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルはアミドプロトンとそのアミドプロトンの属する残基の一つ手前の残基に属するα水素原子との相関シグナルを表している。ここで、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(g19、V24、Y26、T27、g28、S38、R42、K47、F48、L50、g51、Q53、E54、V55、I56、R57、E60、E61、g62、V63、Q65、M66、T75、I76、Y80、V98、F99、D100、L103)で示した。図29においてシグナルの移動が見られた残基は1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基と一致していた。
(6)FKBPタンパク質と1−ピペリジンカロボキサミドとの複合体の形成およびNMR測定
さらに、FKBPタンパク質に結合することがわかっている1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を1mMになるようにFKBPタンパク質に混合し、1H−15N HSQCスペクトルを測定した。PICA存在下と非存在下における1H−15N HSQCスペクトルを重ね合わせたものを図30に示した。この2つのスペクトルを比較し、移動が見られるシグナルに対応する残基を確認した。図中、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(G19、V24、Y26、T27、G28、E31、S38、R42、K47、F48、L50、G51、K52、Q53、V55、I56、R57、W59、E61、G62、V63、A64、Q65、M66、I76、I91、F99)で示した。図30においてシグナルの移動が見られたアミノ酸残基は、図31の立体構造上で示すように、ある特定の領域に集中しており、この領域がPICAの結合部位であることが同定された。
次に、PICA存在下で、HA(CACON)H2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図32に示した。図32においてシグナルの移動が見られた残基を確認した。図中、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(G19、V24、Y26、T27、G28、E31、S38、R42、K47、F48、L50、G51、K52、Q53、V55、I56、R57、W59、E61、G62、A64、Q65、M66、I76、I91、F99)で示した。図32においてシグナルの移動が見られたアミノ酸残基は、1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基と一致していた。
また、PICA存在下で、HA(CAN)H2次元相関スペクトルを測定し、非存在下におけるスペクトルと重ね合わせたものを図33に示した。図33においてシグナルの移動が見られた残基を確認した。図中、大文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルは、残基内のアミドプロトンとα水素原子の相関シグナル、小文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルはアミドプロトンとそのアミドプロトンの属する残基の一つ手前の残基に属するα水素原子との相関シグナルを表している。ここで、移動が見られるシグナルをアミノ酸番号とアミノ酸の名前(g19、V24、Y26、T27、g28、E31、S38、R42、K47、F48、L50、g51、K52、Q53、V55、I56、R57、E61、g62、V63、A64、Q65、M66、I76、I91、F99)で示した。図33においてシグナルの移動が見られたアミノ酸残基は、1H−15N HSQCスペクトルにおいてシグナルの移動が見られた残基と一致していた。
以上のことより、HA(CACON)HあるいはHA(CAN)H2次元測定法を用いることにより、標的分子に基質や化合物が結合したかどうかを同定すること、および結合する場合に、標的分子のどの部位に結合するのかを同定することが可能であることがわかった。
本発明の標的分子とリガンドまたはリガンド候補化合物との結合の検出方法等は、その検出に用いる2次元NMR測定が、主鎖の窒素原子に結合した水素原子と炭素原子との2次元相関スペクトル、又は標識された主鎖の原子に結合した1つの水素原子と、標的分子中の他の1つの水素原子との2次元相関スペクトルを取得するものである。主鎖の原子、即ち窒素原子あるいは炭素原子は、標的分子の全てのアミノ酸が有するものであるので、シグナルが全てのアミノ酸において取得することができる。つまり、標的分子とリガンドあるいはリガンド候補物質との結合がどのアミノ酸において起こっていても制限なく検出することができる。このことは、標的分子とリガンドあるいはリガンド候補化合物との結合部位の同定や、解離定数の測定方法等を行う上でも非常に有利な特徴である。
図1は、標識された主鎖の窒素に結合した水素原子と、該窒素と同一または隣接するアミノ酸中のα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子の2次元相関スペクトルを取得するためのNMR測定方法を示した図である。 図2は、ヒトFKBPタンパク質のアミノ酸配列を示す図である。 図3は、ヒトFKBPタンパク質の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。 図4は、ヒトFKBPタンパク質のH(N)CO法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。 図5は、ヒトFKBPタンパク質のH(NCO)CA法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。 図6は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図7は、1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)の構造式、および、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後に、シグナルの位置が変化した残基を示す(灰色に着色した部分)立体構造図である。 図8は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後のH(N)CO法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図9は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後のH(NCO)CA法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図10は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図11は、1−ホルミルピペリジン(FOPI)の構造式、および、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後に、シグナルの位置が変化した残基を示す(灰色に着色した部分)立体構造図である。 図12は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後のH(N)CO法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図13は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後のH(NCO)CA法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図14は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図15は、1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)の構造式、および、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後に、シグナルの位置が変化した残基を示す(灰色に着色した部分)立体構造図である。 図16は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後のH(N)CO法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図17は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後のH(NCO)CA法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図18は、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中のその他の水素原子間の2次元相関スペクトルを取得するためのNMR測定方法を示した図である。矢印でつながれている実線で囲んだ原子の組み合わせが相関シグナルを与える。点線で囲まれている原子は、炭素原子は13C、窒素原子は15Nで標識化されている必要が有る。 図19は、ヒトFKBPタンパク質の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。 図20は、ヒトFKBPタンパク質のHA(CACON)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。 図21は、ヒトFKBPタンパク質のHA(CAN)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。 図22は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図23は、1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)の構造式、および、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後に、シグナルの位置が変化した残基を示す(灰色に着色した部分)立体構造図である。 図24は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後のHA(CACON)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。それぞれのアミノ酸番号は、アミド水素原子の属するアミノ酸の番号である。 図25は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−アセチルプロリンメチルエステル(ACPM)を作用させた後のHA(CAN)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。大文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルは、残基内のアミドプロトンとα水素原子の相関シグナル、小文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルはアミドプロトンとそのアミド水素原子の属する残基の一つ手前の残基に属するα水素原子との相関シグナルを表している。 図26は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図27は、1−ホルミルピペリジン(FOPI)の構造式、および、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後に、シグナルの位置が変化した残基を示す(灰色に着色した部分)立体構造図である。 図28は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後のHA(CACON)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図29は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ホルミルピペリジン(FOPI)を作用させた後のHA(CAN)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。大文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルは、残基内のアミドプロトンとα水素原子の相関シグナル、小文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルはアミドプロトンとそのアミドプロトンの属する残基の一つ手前の残基に属するα水素原子との相関シグナルを表している。 図30は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後の1H−15N HSQCスペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図31は、1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)の構造式、および、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後に、シグナルの位置が変化した残基を示す(灰色に着色した部分)立体構造図である。 図32は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後のHA(CACON)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。 図33は、ヒトFKBPタンパク質単独及び、ヒトFKBPタンパク質に1−ピペリジンカロボキサミド(PICA)を作用させた後のHA(CAN)H法により得られた2次元相関スペクトルを示す図である。シグナルが移動した残基のみアミノ酸番号を記している。大文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルは、残基内のアミドプロトンとα水素原子の相関シグナル、小文字で書かれたアミノ酸番号に対応するシグナルはアミドプロトンとそのアミドプロトンの属する残基の一つ手前の残基に属するα水素原子との相関シグナルを表している。

Claims (15)

  1. (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
    (d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合の検出方法。
  2. (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、リガンド候補化合物の混合物とを接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、
    (e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、該リガンド候補化合物の混合物中の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
    (f)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(e)で得られた2次元スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法。
  3. (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンドまたはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び
    (e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、違いが見られるシグナルに相当するアミノ酸を特定する工程を含む、標的分子に結合するリガンドまたはリガンド化合物の結合部位の同定方法。
  4. (a)13C/15N二重標識化された標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、各種濃度のリガンドまたはリガンド化合物を接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子と同一または隣接するアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子、β炭素原子またはカルボニル炭素原子との2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (d)工程(a)で得られる2次元相関スペクトルと、工程(c)で得られる2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び
    (e)該2次元相関スペクトルに違いが見られた場合、該スペクトルの違いをリガンドまたはリガンド化合物濃度の関数として定量する工程を含む、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法。
  5. 標的分子がポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 2次元相関スペクトルが、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識されたカルボニル炭素原子の2次元相関スペクトルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 2次元相関スペクトルが、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子と、該窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識されたα炭素原子の2次元相関スペクトルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、少なくとも1つのリガンド、リガンド化合物、あるいはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
    (d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子とリガンドあるいはリガンド化合物との結合の検出方法。
  9. (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、2つ以上のリガンド候補化合物を含むリガンド候補化合物の混合物とを接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、
    (e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、該リガンド候補化合物の混合物中の化合物を個別に標的分子と接触させ、標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、及び
    (f)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(e)で得られた2次元スペクトルとを比較する工程を含む、標的分子に結合するリガンド化合物のスクリーニング方法。
  10. (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、1つ以上のリガンドまたはリガンド候補化合物とを接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (d)工程(a)で得られた2次元相関スペクトルと工程(c)で得られた2次元相関スペクトルとを比較する工程、及び
    (e)工程(d)で該2次元相関スペクトルに違いが見出された場合、違いが見られるシグナルに相当するアミノ酸を特定する工程を含む、標的分子に結合するリガンドまたはリガンド化合物の結合部位の同定方法。
  11. (a)少なくとも主鎖の窒素及び/または炭素が標識された標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (b)該標的分子と、各種濃度のリガンドまたはリガンド化合物を接触させる工程、
    (c)工程(b)の標的分子中の、標識された主鎖の原子に結合した水素原子と、標的分子中の他の水素原子間の2次元相関スペクトルを測定する工程、
    (d)工程(a)で得られる2次元相関スペクトルと、工程(c)で得られる2次元相関スペクトルを比較する工程、及び
    (e)該2次元相関スペクトルに違いが見られた場合、該スペクトルの違いをリガンドまたはリガンド化合物濃度の関数として定量する工程を含む、標的分子とリガンドまたはリガンド化合物との解離定数の測定方法。
  12. 標的分子がポリペプチドである、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 標的分子が、主鎖の窒素及び炭素が標識された標的分子で、標識された主鎖の原子に結合した水素原子が、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子で、標的分子中の他の水素原子が、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 標的分子が、主鎖の窒素及び炭素が標識された標的分子で、標識された主鎖の原子に結合した水素原子が、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子で、標的分子中の他の水素原子が、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基、およびその1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 標的分子が、主鎖の窒素及び炭素が標識された標的分子で、標識された主鎖の原子に結合した水素原子が、標識された主鎖の窒素原子に結合した水素原子で、標的分子中の他の水素原子が、上記窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中の標識された主鎖の炭素原子に結合した水素原子、および上記窒素原子が存在するアミノ酸残基の1つ前のアミノ酸残基中のβ炭素原子に結合した水素原子であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
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