JPWO2006035776A1 - 音場測定方法および音場測定装置 - Google Patents

音場測定方法および音場測定装置 Download PDF

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Abstract

本発明に係る音場測定装置は、測定信号として、少なくとも1つの変節点を有し、暗騒音の周波数スペクトラムの形状に応じた形状となる周波数スペクトラムを有する測定信号を用いる。これにより、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定において、広い周波数帯域に渡って高いS/N比で測定することが可能となる。

Description

本発明は、リスニングルームや車室内空間などの音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定するための音場測定方法および音場測定装置に関し、より特定的には、広い周波数帯域に渡って高いS/N比を確保できる測定信号を用いた音場測定方法および音場測定装置に関するものである。
従来、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定において、全ての周波数帯域で平坦な周波数スペクトラムを有する測定信号を用いた測定方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、音場測定において高いS/N比を確保して測定するには、音場空間のノイズ成分である暗騒音を考慮する必要がある。この暗騒音は、典型的に、低域になるほどエネルギーレベルが大きくなる周波数スペクトラムを有している(図10参照)。なお、図10は、あるリスニングルームで測定した暗騒音の周波数スペクトラムを示す図である。図10に示す暗騒音の周波数スペクトラムは、周波数帯域Aでは低域になるほどエネルギーレベルが大きくなり、周波数帯域Bではエネルギーレベルがほぼ一定となる周波数スペクトラムを有している。したがって、上記従来の音場測定方法では、周波数帯域Aにおいて低域になるほど暗騒音のエネルギーレベルが大きくなるために、S/N比が劣化するという問題があった。
そこで、上記問題を解決するために、図11に示すように、周波数スペクトラムが高域から低域に向かって3dB/Oct.で上昇する信号を測定信号として用いた測定方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。図11は、低域におけるS/N比の劣化を改善した従来の測定信号の周波数スペクトラムを示す図である。この測定信号は、正弦波信号の周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形(対数比例)に掃引することで作成される。このような測定信号を用いることで、特に低い周波数帯域Aにおいて、暗騒音の影響を低減した測定が可能となる。
特許第2725838号公報 特許第2867769号公報
近年、DVD−AudioやSACDなどの新しいオーディオ再生機器が実用化されている。これらの記録再生帯域は、およそ100kHzまで及んでいる。それに伴い、新しいオーディオ再生機器を再生する音場空間の音場測定においても、100kHzまでという従来以上に高い周波数帯域まで測定することが求められている。
しかしながら、図11に示した周波数スペクトラムを有する従来の測定信号では、エネルギーレベルが周波数が高くなるにつれて3dB/Octで下降するものであるので、20Hzから100kHzまでの周波数帯域で40dB近くS/N比が劣化してしまう。また、図10に示した暗騒音のエネルギーレベルは、周波数帯域Bにおいてほぼ一定である。このため、S/N比の劣化は周波数帯域Bのような高い周波数帯域において、特に顕著であった。また、20kHz以上のさらに高い周波数帯域においては、なおさらである。このように、従来の音場測定方法では、高い周波数帯域において高いS/N比を確保した音場測定が極めて困難であった。
それ故、本発明は、広い周波数帯域に渡って高いS/N比を確保することが可能な測定信号を作成し、当該測定信号を用いた音場測定方法および音場測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明における第1の局面は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定方法において、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を用いることを特徴とする。
本発明における第2の局面は、上記第1の局面において、測定信号は、変節点の周波数の前後において掃引方法を変えて周波数を掃引した正弦波信号であることを特徴とする。
本発明における第3の局面は、上記第2の局面において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第4の局面は、上記第2の局面において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第5の局面は、上記第2の局面において、測定信号は、変節点を2つ有し、各変節点の間の周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、各変節点の間以外の周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第6の局面は、上記第2の局面において、測定信号は、変節点を複数有し、変節点で区切られた各周波数帯域において周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であり、各周波数帯域における掃引量が、高い周波数帯域ほど小さくなることを特徴とする。
本発明における第7の局面は、上記第2の局面において、変節点を1つ以上有し、変節点で区切られた各周波数帯域において、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引する掃引方法、周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引する掃引方法、または周波数を一定の掃引量で掃引する掃引方法のうちいずれかの掃引方法を用いて作成された信号であることを特徴とする。
本発明における第8の局面は、上記第1の局面において、測定信号がランダムノイズであることを特徴とする。
本発明における第9の局面は、上記第1の局面において、暗騒音の周波数スペクトラムは、所定周波数以上の高い周波数帯域においてエネルギーレベルが略一定となる周波数スペクトラムであり、測定信号は、周波数が所定周波数である変節点を有し、測定信号の周波数スペクトラムの特性が、所定周波数以上の高い周波数帯域において暗騒音に対して所定のレベル以上のエネルギーレベルを有する特性であることを特徴とする。
本発明における第10の局面は、上記第1の局面において、暗騒音の周波数スペクトラムを測定し、測定された暗騒音の周波数スペクトラムから変節点を少なくとも1つ決定し、決定された変節点に基づいて測定信号を作成することを特徴とする。
本発明における第11の局面は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定装置であって、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を記憶する測定信号記憶部と、測定信号記憶部に記憶された測定信号を音場空間に再生する測定信号再生部と、測定信号再生部によって再生された測定信号に対する音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定部と、応答信号測定部において測定された応答信号に対して、逆フィルタによるたたみ込み処理によって音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出部とを備える音場測定装置である。
本発明における第12の局面は、上記第11の局面において、測定信号は、変節点の周波数の前後において掃引方法を変えて周波数を掃引した正弦波信号であることを特徴とする。
本発明における第13の局面は、上記第12の局面において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第14の局面は、上記第12の局面において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第15の局面は、上記第12の局面において、測定信号は、変節点を2つ有し、各変節点の間の周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、各変節点の間以外の周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第16の局面は、上記第12の局面において、測定信号は、変節点を複数有し、変節点で区切られた各周波数帯域において周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であり、各周波数帯域における掃引量が、高い周波数帯域ほど小さくなることを特徴とする。
本発明における第17の局面は、上記第12の局面において、測定信号は、変節点を1つ以上有し、変節点で区切られた各周波数帯域において、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引する掃引方法、周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引する掃引方法、または周波数を一定の掃引量で掃引する掃引方法のうちいずれかの掃引方法を用いて作成された信号であることを特徴とする。
本発明における第18の局面は、上記第11の局面において、測定信号がランダムノイズであることを特徴とする。
本発明における第19の局面は、上記第11の局面において、暗騒音の周波数スペクトラムは、所定周波数以上の高い周波数帯域においてエネルギーレベルが略一定となる周波数スペクトラムであり、測定信号は、周波数が所定周波数である変節点を有し、測定信号の周波数スペクトラムの特性が、所定周波数以上の高い周波数帯域において暗騒音に対して所定のレベル以上のエネルギーレベルを有する特性であることを特徴とする。
本発明における第20の局面は、上記第11の局面において、暗騒音の周波数スペクトラムを測定する暗騒音測定部と、暗騒音測定部において測定された暗騒音の周波数スペクトラムから変節点を少なくとも1つ決定する変節点決定部と、変節点決定部において決定された変節点に基づいて測定信号を作成する測定信号作成部とをさらに備える音場測定装置である。
本発明における第21の局面は、上記第11の局面において、応答信号測定部は複数のマイクを有し、算出部は、複数のマイクが測定した応答信号それぞれについて音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出することを特徴とする。
本発明における第22の局面は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を音場測定装置が備える記憶部に記憶する測定信号記憶ステップと、記憶部に記憶された測定信号を音場空間に再生する測定信号再生ステップと、測定信号再生ステップによって再生された測定信号に対する音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定ステップと、応答信号測定部において測定された応答信号に対して、逆フィルタによるたたみ込み処理によって音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出ステップとをコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明における第23の局面は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する集積回路であって、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を記憶する測定信号記憶部と、測定信号を音場空間に再生する測定信号再生部に測定信号記憶部に記憶された測定信号を出力する出力端子と、測定信号再生部によって再生された測定信号に対する音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定部からの出力を入力する入力端子と、入力端子から入力する応答信号に対して、逆フィルタによるたたみ込み処理によって音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出部とを備える集積回路である。
上記第1の局面によれば、測定信号の周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように少なくとも1つの変節点を有することで、測定信号と暗騒音の周波数スペクトラムとのS/N比を高く確保することができる。これにより、例えば20Hzから100kHzまでの広い周波数帯域において高いS/N比を確保した音場測定を行うことが可能となる。
上記第2の局面によれば、正弦波信号を用いてその周波数を変節点の周波数の前後において異なる掃引方法で掃引することで、変節点の周波数の前後の周波数帯域におけるエネルギーレベルの調整を容易に行うことができる。その結果、被測定音場の暗騒音の周波数スペクトラムの形状に応じた周波数スペクトラムを有する測定信号が容易に作成でき、より高いS/N比で測定することが可能になる。
上記第3の局面によれば、測定信号が、低い周波数帯域においてはエネルギーレベルが大きく、高い周波数帯域においてはエネルギーレベルがほぼ一定となる一般的な暗騒音の周波数スペクトラムに対応した周波数スペクトラムを有する信号となり、特にエネルギーレベルがほぼ一定となる高い周波数帯域において、高いS/N比を確保した測定が可能となる。
上記第4の局面によれば、変節点以上の高い周波数帯域において測定信号の周波数スペクトラムの特性は、周波数が高くなるにつれてエネルギーレベルが大きくなる特性となるので、空気の粘性抵抗によって生じる、周波数が高くなるにつれてエネルギーが減衰するという問題を改善することができる。これにより、さらに広い周波数帯域において安定的に高いS/N比を確保した音場測定を行うことが可能となる。
上記第5の局面によれば、測定信号が、暗騒音の周波数スペクトラムの形状に対して所望のS/N比を確保することが可能な信号となり、所望のS/N比を確保した測定が可能となる。
上記第6の局面によれば、測定信号の周波数スペクトラムを、変節点で区切られた周波数帯域毎に暗騒音のエネルギーレベルに対応したエネルギーレベルを有する周波数スペクトラムとすることができ、周波数帯域毎に所望のS/N比を確保した測定を行うことができる。
上記第7の局面によれば、暗騒音の周波数スペクトラムに形状に応じて、変節点で区切られた周波数帯域毎にエネルギーレベルや確保すべきS/N比を自由に設定することができる。
上記第8の局面によれば、ランダムノイズで高いS/N比を確保可能な測定信号を構成することができる。
上記第9の局面によれば、従来において十分なS/N比を確保することができなかった所定周波数以上の高い周波数帯域において、高いS/N比を確保した測定を行うことができる。
上記第10の局面によれば、暗騒音の周波数スペクトラムの実測値に対応した測定信号を作成することができ、高いS/N比を確保した音場測定を精度よく行うことができる。
上記第21の局面によれば、例えば人頭程度の空間領域のように、様々な位置でのインパルス応答または伝達関数を測定することが必要な空間に対して、高いS/N比を確保した音場測定が可能となる。
図1は、本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムの一例を示す図である。 図2は、式(1)〜式(4)を用いて計算した測定信号の時間波形を示す図である。 図3は、本発明に係る測定信号を用いて測定した応答信号の周波数スペクトラムを示す図である。 図4は、本発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す図である。 図5は、本発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す図である。 図6は、本発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す図である。 図7は、第1の実施形態に係る音場測定装置の構成例を示す略図である。 図8は、第1の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー図である。 図9は、第2の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー図である。 図10は、あるリスニングルームで測定した暗騒音の周波数スペクトラムを示す図である。 図11は、低域におけるS/N比の劣化を改善した従来の測定信号の周波数スペクトラムを示す図である。
符号の説明
1 汎用PC
2 CPU
3 内部メモリ
4 ハードディスク
5 サウンドカード
6 マウス
7 キーボード
8 ディスプレイ
9 音場空間
10 アンプ
11 スピーカ
12 マイク
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明に係る測定信号について説明する。図1は、本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムの一例を示す図である。
一般に暗騒音の周波数スペクトラム(以下、暗騒音スペクトラムとする)は、低い周波数のエネルギーレベルが大きい。この暗騒音には、インパルス応答を測定する音場空間に存在する音響エネルギーと、音場測定装置全体の測定系が有する機械系または電気系の歪やノイズ成分とが含まれている。図10に示した暗騒音スペクトラムにおいては、周波数帯域Aにおいて、低い周波数に向かってエネルギーレベルが大きくなっている。ただし、周波数帯域Bにおいては、暗騒音スペクトラムは周波数に対してほぼ一定レベルである。
このように、暗騒音スペクトラムは、全ての周波数帯域に渡って単調に高域に向かって減少するものではない。そのため、従来技術の課題でも述べた通り、図11に示すような周波数に対して単純に対数比例して掃引した正弦波信号を測定信号として音場測定を行うと、20kHz以上の高い周波数帯域においては特に測定信号のエネルギーレベルが小さくなり、高いS/N比で測定することが極めて困難になる。
そこで、本発明においては、図1に示すように、測定信号の周波数スペクトラムを図10の暗騒音スペクトラムの形状にあわせて、低い周波数と高い周波数とで異なる周波数特性をもつスペクトラムにすることを考える。図1に示す本発明に係る測定信号は、図10に示した暗騒音スペクトラムの形状にあわせて、2kHz以下の周波数帯域では周波数が低くなるにつれてエネルギーレベルが大きくなり、2kHz以上の周波数帯域では周波数に関わらずエネルギーレベルが一定となる周波数スペクトラムを有する。このような周波数スペクトラムを有する測定信号であれば、周波数が高くなってもエネルギーレベルが低下せず一定であるので、当然ながら20kHz以上の高い周波数帯域においても高いS/N比で測定することが可能になる。
図1に示す周波数スペクトラムを有する測定信号を作成するためには、正弦波信号を用いて、ある周波数を周波数掃引における変節点とし、変節点の前後の周波数において異なる方法で周波数掃引を行って作成する。つまり、図1に示した本発明に係る測定信号は、図11で示した従来の測定信号のように周波数を掃引する方法を測定対象とする周波数の全帯域において一様とする信号ではなく、ある周波数を変節点として、当該変節点の前後で周波数の掃引方法が異なる信号である。ここで、変節点とは、周波数を片対数軸で表した片対数グラフ上において、周波数スペクトラムの変化度合(特性)が変化する点をいうものとする。さらに言えば、図11に示した従来の測定信号は、測定対象とする周波数の全帯域において低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形(対数比例)に掃引して作成された信号である。一方、図1に示した本発明に係る測定信号は、変節点を境にして、変節点よりも低い周波数帯域では非線形(対数比例)で、変節点以上の高い周波数帯域では線形(一定)に掃引して作成された信号である。
以下、本発明に係る測定信号の作成方法について、より具体的に説明する。図1に示した本発明に係る測定信号は、下記の式(1)〜式(4)を用いて作成される。i=0,1,2,…,(n−1)であるサンプル点iに対し、掃引周波数が変節点となるサンプル点をk(0<k<n−1)とする。ここで、変節点より低い周波数帯域(i<k)では、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形(対数比例)に掃引する。換言すれば、周波数が高くなるにつれて掃引量(単位時間あたりの掃引周波数)が大きくなるように非線形(対数比例)に掃引する。このときのサンプル点iの掃引周波数Freq(i)は式(1)で表現される。
Freq(i)
=f1*exp((log(fc)−log(f1))*i/k)…(1)
なお、式(1)において、f1は掃引開始周波数であり、fcは変節点の周波数である。
また、変節点以上の高い周波数帯域(k≦i)では、周波数を式(2)に基づいて線形に掃引する。つまり、一定の掃引量(例えば、単位時間あたり10Hzなど)で周波数が掃引されることとなる。
Freq(i)=fc+(f2−fc)*(i−k)/(n−1−k)…(2)
なお、式(2)において、f2は掃引終了周波数である。
さらに、変節点の前後を含めた全てのサンプル点T(i)(0<i<n−1)において位相ang(i)が連続となるようにすると、位相ang(i)は式(3)で表現される。
ang(i)=ang(i−1)+2π*Freq(i)/fs…(3)
なお、式(3)において、fsはサンプリング周波数であり、ang(0)=0である。
このとき、図1に示した周波数スペクトラムを有する測定信号のサンプル点T(i)の時間波形を表す式は、式(4)となる。
T(i)=sin(ang(i))…(4)
ここで、変節点の周波数を例えば2kHzとし、上式(1)〜式(4)を用いて計算した測定信号の時間波形を図2に示す。このとき、1波長が0.5msecとなる時間波形(つまり、2kHzの時間波形)が変節点の時間波形を示すこととなる。そして、この変節点より低い周波数帯域では、対数比例で変化する周波数に伴って時間波形が変化する。また、この変節点より高い周波数帯域では、一定の掃引量で変化する周波数に伴って時間波形が変化する。
また、変節点の周波数を例えば2kHzとし、上式(1)〜式(4)を用いて作成した測定信号を音場空間に再生し、測定した応答信号の周波数スペクトラムを図3に示す。図3は、本発明に係る測定信号を用いて測定した応答信号の周波数スペクトラムを示す図である。図3に示すように、変節点以上の高い周波数帯域において一定のエネルギーレベルとなる測定信号を用いて音場測定しているので、測定信号の応答成分が暗騒音スペクトラムに埋もれることなく、高いS/N比が確保された音場測定が実現できていることがわかる。
このように、本発明に係る測定信号は、暗騒音スペクトラムの形状に応じた変節点を有していることによって、低音域から20kHz以上の高い周波数帯域まで高いS/N比を確保した音場測定を可能にするものである。また、変節点の前後の周波数帯域で周波数の掃引方法を変えることによって、それらの周波数帯域間でのエネルギーレベルの調整を容易に行うことができる。その結果、被測定音場の暗騒音スペクトラムの形状に合わせた測定信号が容易に作成でき、より高いS/N比で測定することが可能になる。
なお、本発明に係る測定信号は、図1に示した周波数スペクトラムを有する信号に限らず、少なくとも1つ以上の変節点を有し、暗騒音スペクトラムの形状に応じた形状となるように作成された信号であればよい。例えば、本発明に係る測定信号は図4〜図6に示す周波数スペクトラムを有する測定信号であってもよい。図4〜図6は、本発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す図である。
図4に示す周波数スペクトラムは、例えば2kHzの変節点を1つ有している。この変節点よりも低い周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引されている。変節点以上の高い周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が低周波数側では急激な変化、高域側では緩やかな変化となるように非線形に掃引されている。換言すれば、周波数が高くなるにつれて緩やかな変化となるように(掃引量が小さくなるように)掃引する。ここで、一般に、周波数が高くなるほど空気の粘性抵抗によって応答信号のエネルギーが減衰しやすい。しかしながら、図4に示す周波数スペクトラムを有する測定信号を用いれば、変節点以上の高い周波数帯域におけるエネルギーレベルが大きくなっているので、上記応答信号のエネルギーの減衰を打ち消すことができ、さらに高いS/N比を確保した音場測定を実現することができる。
図5に示す周波数スペクトラムは、例えば200Hzおよび2kHzに変節点を有している。200Hzよりも低い周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が一定の掃引量で掃引されている。200Hzから2kHzまでの周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引されている。2kHz以上の高い周波数帯域においては、再び正弦波信号の周波数が一定の掃引量で掃引されている。
図6に示す周波数スペクトラムは、例えば200Hz、2kHz、および20kHzに変節点を有している。200Hz以下、200Hz〜2kHz、2kHz〜20kHz、および20kHz〜200kHzの各周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が一定の掃引量で掃引されている。なお、各周波数帯域における掃引量は、変節点の前後で異なる値となる。また、各周波数帯域における掃引量は、周波数帯域が高くなるにしたがって小さい値となる。これにより、周波数帯域が高くなるにしたがってエネルギーレベルが小さくなっている。例えば、200Hzよりも低い周波数帯域においては、エネルギーレベルが0dB一定であるのに対し、200Hz〜2kHzの周波数帯域においてはエネルギーレベルが−5dB一定と変化している。このように、200Hzの変節点において線形掃引の掃引量を変える(掃引方法を変える)ことにより、周波数スペクトラムの変化度合(特性)が0dB一定から−5dB一定に変化している。図6に示す周波数スペクトラムでは、例えば高い周波数帯域に対しては最低10dBのS/N比を確保するように設定するなど、各周波数帯域に対して自由にエネルギーレベルを設定することができる。
このように、図4〜図6に示す周波数スペクトラムを有する測定信号は、各変節点で区切られた周波数帯域毎に、対数掃引であれば上式(1)を、線形掃引であれば上式(2)をそれぞれ選択し、全ての周波数帯域において順次算出することによって作成することができる。
また、本発明に係る測定信号は、変節点を少なくとも1つ有することによって、暗騒音スペクトラムの形状に応じた周波数スペクトラムを有するとした。ここで、従来において想定されていなかった20kHz以上の周波数帯域においては、図10に示したように、暗騒音スペクトラムのエネルギーレベルが一定となる。したがって、少なくとも20kHz以上の周波数帯域において、本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムの特性を、所定のエネルギーレベルで一定となる特性やエネルギーレベルが上昇する特性にすることで、20kHz以上の周波数帯域において高いS/N比を確保した音場測定を行うことができる。
また、上述した図1、図4〜図6に示した周波数スペクトラムの例では、正弦波信号について掃引するとしたが、これに限定されない。少なくとも1つの変節点を有し、暗騒音スペクトラムの形状に応じた形状となる周波数スペクトラムを有する測定信号であれば、例えばランダムノイズによって作成された測定信号であってもよい。また、図1、図4および図5において示した周波数スペクトラムは、変節点の前後において連続する形状であるが、図6に示したように変節点の前後において不連続な形状であってもよい。
次に、図7および図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る音場測定装置について説明する。本実施形態に係る音場測定装置は、上述した本発明に係る測定信号を用いて音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する装置である。図7は、第1の実施形態に係る音場測定装置の構成例を示す略図である。図7において、音場測定装置は、汎用PC1、CPU2、内部メモリ3、ハードディスク4、サウンドカード5、マウス6、キーボード7、ディスプレイ8、アンプ10、スピーカ11、およびマイク12を備える。また、図8は、第1の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー図である。
スピーカ11、マイク12、およびアンプ10は、インパルス応答を測定する対象となる音場空間9に設置される。アンプ10は、サウンドカード5から出力される測定信号を増幅して、増幅した測定信号をスピーカ11に出力する。スピーカ11は、アンプ10から出力された測定信号を再生する。マイク12は、音場空間9の応答信号を測定する。
以下、図8を参照しながら本実施形態に係る音場測定装置の動作について説明する。本実施形態に係る音場測定装置は、汎用PC1を構成要素の1つとして用いている。そして、本実施形態に係る音場測定装置は、その汎用PC1上で動作するインパルス応答の測定プログラムによって、音場空間9のインパルス応答を算出する。なお汎用PC1は、一般的な仕様および性能をもつ汎用コンピュータであれば本実施形態に係る音場測定装置を構成するのに十分である。
汎用PC1内にあるハードディスク4には、上述のインパルス応答を測定する測定プログラムが保存されている。また、本実施形態においては、図1に示したような本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムのデータについても、予めハードディスク4に保存されているとする。
インパルス応答の測定を開始する際にはCPU2の制御の元に測定プログラムが内部メモリ3に読み込まれて実行される。なお、測定プログラムの呼び出しや実行、および後述する測定プログラムにおける動作の実行や選択には、汎用PC1の一般的な入出力装置であるマウス6、キーボード7、およびディスプレイ8が利用できるものとする。
測定プログラムが実行されると、ハードディスク4に保存されている測定信号のデータが呼び出され、サウンドカード5よりオーディオ信号としてアンプ10に供給される(ステップS11)。なお、複数種類の測定信号がハードディスク4に保存され、音場空間9の特性や測定する周波数帯域に応じて適切なものを選択できるようにしてもよい。
ステップS11の次に、アンプ10で増幅された測定信号は、スピーカ11によってインパルス応答を測定する音場空間9に再生される(ステップS12)。再生された測定信号に基づく応答信号はマイク12によって収録され、再びサウンドカード5より汎用PC1内の内部メモリ3に取り込まれる(ステップS13)。内部メモリ3に取り込まれた測定信号に基づく応答信号は、測定プログラムによって、音場空間9に再生された測定信号の逆特性を持つフィルタによってたたみ込み処理してインパルス化され、音場空間9のインパルス応答または伝達関数が算出される(ステップS14)。インパルス応答の算出結果は、ハードディスク4に保存される(ステップS15)。以上の動作で測定プログラムは終了する。
なお、上述した本実施形態に係る音場測定装置を機能的な構成部で表現すると、本実施形態に係る音場測定装置は、測定信号記憶部、測定信号再生部、応答信号測定部、および算出部とを備える。測定信号記憶部は、上述したハードディスク4で構成され、本発明に係る測定信号を記憶している。測定信号再生部は、音場空間9に設置されたアンプ10およびスピーカ11で構成され、測定信号記憶部に記憶された測定信号を再生する。応答信号測定部は、マイク12を用いて再生された測定信号の音場空間に対する応答信号を測定する。算出部は、ステップS14を実行するCPU2で構成され、測定された測定信号に基づく応答信号を測定信号の逆特性を持つフィルタによってたたみ込み処理してインパルス化し、音場空間9のインパルス応答または伝達関数を算出する。
以上のように、本実施形態に係る音場測定装置は、図1に示したような周波数スペクトラムを有する測定信号を用いて音場空間9の応答信号を測定している。これにより、本実施形態に係る音場測定装置によれば、測定対象となる全ての周波数帯域において、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を高いS/N比で測定することが可能となる。
なお、音場空間9の応答信号を測定するマイク12に関しては、必ずしも1つのマイクユニットである必要はない。例えば、人頭程度の空間領域に複数のマイクユニットを配置し、その複数のマイクユニット毎に音場空間9の応答信号を測定し、インパルス応答の算出および保存を行うものであってもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る音場測定装置について説明する。本実施形態に係る音場測定装置は、図7に示した第1の実施形態に係る音場測定装置と同じ構成で実現されるものであるが、汎用PC1上で動作するインパルス応答の測定プログラムの動作が第1の実施形態と異なるものである。具体的には、本実施形態においては、測定系の暗騒音を測定し、その測定結果に基づいて音場空間9に再生する測定信号を作成する点において第1の実施形態と異なるものである。以下、異なる点を中心に説明する。
図9は、第2の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー図である。なお、測定信号の再生(ステップS12)からインパルス応答の保存(ステップS15)までの動作は、上述した第1の実施形態と同様の動作であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る音場測定装置において、測定プログラムが実行されると、まず最初にマイク12を用いて暗騒音スペクトラムが測定される(ステップS21)。ここでの暗騒音スペクトラムは、インパルス応答を測定する音場空間9に存在する音響エネルギーと、汎用PC1、サウンドカード5、アンプ10、スピーカ11およびマイク12等で構成される測定系が有する機械系または電気系の歪やノイズ成分とを含むものである。
ステップS21において測定された暗騒音スペクトラムは、サウンドカード5を介して内部メモリ3に取り込まれ、その測定結果に基づいて変節点が決定される(ステップS22)。変節点の決定方法は、測定プログラムのアルゴリズムにより任意のものとすることができるが、例えば、暗騒音のオクターブ毎の周波数スペクトラムを低周波数側より順次算出し、隣り合うオクターブ毎のエネルギー量の差分が所定値以下になる周波数を変節点とする方法でもよい。また、上記変節点は、例えば暗騒音スペクトラムがディスプレイ8に表示され、ユーザがその暗騒音スペクトラムの形状に応じて任意に設定するものであってもよい。
ステップS22において決定された変節点と上式(1)〜式(4)を用いて、例えば図1に示したような周波数スペクトラムを有する測定信号を作成する(ステップS23)。この測定信号が再生されるステップS11以降の動作については、実施の形態1と同様である。
なお、上述した本実施形態に係る音場測定装置を機能的な構成部で表現すると、本実施形態に係る音場測定装置は、第1の実施形態に係る音場測定装置に対してさらに、暗騒音測定部、暗騒音測定部、および測定信号作成部を備える。暗騒音測定部は、マイク12を用いて音場空間9の暗騒音スペクトラムを測定する。変節点決定部は、ステップS22を実行するCPU2で構成され、暗騒音測定部で測定された暗騒音スペクトラムに基づいて変節点を少なくとも1つ決定する。測定信号作成部は、ステップS23を実行するCPU2で構成され、変節点決定部において決定された変節点に基づいて測定信号記憶部に記憶される測定信号を作成する。
なお、第1の実施形態と同様に、音場空間9の応答信号を測定するマイク12に関しては、必ずしも1つのマイクユニットである必要はない。例えば、人頭程度の空間領域に複数のマイクユニットを配置し、その複数のマイクユニット毎に音場空間9の応答信号を測定し、インパルス応答の算出および保存を行うものであってもよい。
以上のように、本実施形態に係る音場測定装置は、測定する音場空間および測定系の特性に応じた測定信号を作成することで、より精度の高いインパルス応答の測定を行うことが可能となる。
なお、上述した第1および第2の実施形態に係る音場測定装置の各構成のうち少なくとも一部の構成は、集積回路でも実現可能である。第1の実施形態に係る音場測定装置においては、例えば測定信号記憶部および算出部を集積回路で実現してもよい。この場合、当該集積回路は、測定信号記憶部に記憶された測定信号をアンプ10またはスピーカ11で構成される測定信号再生部に出力する出力端子と、マイク12からの出力信号を入力するための入力端子とを備える。また、第2の実施形態に係る音場測定装置においては、さらに、暗騒音測定部、暗騒音測定部、および測定信号作成部を集積回路で実現してもよい。
本発明に係る音場測定方法および音場測定装置は、例えば20Hzから100kHzまでの広い周波数帯域に渡って高いS/N比で音場測定が可能な音場測定方法および音場測定装置等として有用である。
本発明は、リスニングルームや車室内空間などの音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定するための音場測定方法および音場測定装置に関し、より特定的には、広い周波数帯域に渡って高いS/N比を確保できる測定信号を用いた音場測定方法および音場測定装置に関するものである。
従来、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定において、全ての周波数帯域で平坦な周波数スペクトラムを有する測定信号を用いた測定方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、音場測定において高いS/N比を確保して測定するには、音場空間のノイズ成分である暗騒音を考慮する必要がある。この暗騒音は、典型的に、低域になるほどエネルギーレベルが大きくなる周波数スペクトラムを有している(図10参照)。なお、図10は、あるリスニングルームで測定した暗騒音の周波数スペクトラムを示す図である。図10に示す暗騒音の周波数スペクトラムは、周波数帯域Aでは低域になるほどエネルギーレベルが大きくなり、周波数帯域Bではエネルギーレベルがほぼ一定となる周波数スペクトラムを有している。したがって、上記従来の音場測定方法では、周波数帯域Aにおいて低域になるほど暗騒音のエネルギーレベルが大きくなるために、S/N比が劣化するという問題があった。
そこで、上記問題を解決するために、図11に示すように、周波数スペクトラムが高域から低域に向かって3dB/Oct.で上昇する信号を測定信号として用いた測定方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。図11は、低域におけるS/N比の劣化を改善した従来の測定信号の周波数スペクトラムを示す図である。この測定信号は、正弦波信号の周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形(対数比例)に掃引することで作成される。このような測定信号を用いることで、特に低い周波数帯域Aにおいて、暗騒音の影響を低減した測定が可能となる。
特許第2725838号公報 特許第2867769号公報
近年、DVD−AudioやSACDなどの新しいオーディオ再生機器が実用化されている。これらの記録再生帯域は、およそ100kHzまで及んでいる。それに伴い、新しいオーディオ再生機器を再生する音場空間の音場測定においても、100kHzまでという従来以上に高い周波数帯域まで測定することが求められている。
しかしながら、図11に示した周波数スペクトラムを有する従来の測定信号では、エネルギーレベルが周波数が高くなるにつれて3dB/Octで下降するものであるので、20Hzから100kHzまでの周波数帯域で40dB近くS/N比が劣化してしまう。また、図10に示した暗騒音のエネルギーレベルは、周波数帯域Bにおいてほぼ一定である。このため、S/N比の劣化は周波数帯域Bのような高い周波数帯域において、特に顕著であった。また、20kHz以上のさらに高い周波数帯域においては、なおさらである。このように、従来の音場測定方法では、高い周波数帯域において高いS/N比を確保した音場測定が極めて困難であった。
それ故、本発明は、広い周波数帯域に渡って高いS/N比を確保することが可能な測定信号を作成し、当該測定信号を用いた音場測定方法および音場測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明における第1の発明は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定方法において、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を用いることを特徴とする。
本発明における第2の発明は、上記第1の発明において、測定信号は、変節点の周波数の前後において掃引方法を変えて周波数を掃引した正弦波信号であることを特徴とする。
本発明における第3の発明は、上記第2の発明において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第4の発明は、上記第2の発明において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第5の発明は、上記第2の発明において、測定信号は、変節点を2つ有し、各変節点の間の周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、各変節点の間以外の周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第6の発明は、上記第2の発明において、測定信号は、変節点を複数有し、変節点で区切られた各周波数帯域において周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であり、各周波数帯域における掃引量が、高い周波数帯域ほど小さくなることを特徴とする。
本発明における第7の発明は、上記第2の発明において、変節点を1つ以上有し、変節点で区切られた各周波数帯域において、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引する掃引方法、周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引する掃引方法、または周波数を一定の掃引量で掃引する掃引方法のうちいずれかの掃引方法を用いて作成された信号であることを特徴とする。
本発明における第8の発明は、上記第1の発明において、測定信号がランダムノイズであることを特徴とする。
本発明における第9の発明は、上記第1の発明において、暗騒音の周波数スペクトラムは、所定周波数以上の高い周波数帯域においてエネルギーレベルが略一定となる周波数スペクトラムであり、測定信号は、周波数が所定周波数である変節点を有し、測定信号の周波数スペクトラムの特性が、所定周波数以上の高い周波数帯域において暗騒音に対して所定のレベル以上のエネルギーレベルを有する特性であることを特徴とする。
本発明における第10の発明は、上記第1の発明において、暗騒音の周波数スペクトラムを測定し、測定された暗騒音の周波数スペクトラムから変節点を少なくとも1つ決定し、決定された変節点に基づいて測定信号を作成することを特徴とする。
本発明における第11の発明は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定装置であって、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を記憶する測定信号記憶部と、測定信号記憶部に記憶された測定信号を音場空間に再生する測定信号再生部と、測定信号再生部によって再生された測定信号に対する音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定部と、応答信号測定部において測定された応答信号に対して、逆フィルタによるたたみ込み処理によって音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出部とを備える音場測定装置である。
本発明における第12の発明は、上記第11の発明において、測定信号は、変節点の周波数の前後において掃引方法を変えて周波数を掃引した正弦波信号であることを特徴とする。
本発明における第13の発明は、上記第12の発明において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第14の発明は、上記第12の発明において、測定信号は、変節点を1つ有し、変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第15の発明は、上記第12の発明において、測定信号は、変節点を2つ有し、各変節点の間の周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、各変節点の間以外の周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする。
本発明における第16の発明は、上記第12の発明において、測定信号は、変節点を複数有し、変節点で区切られた各周波数帯域において周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であり、各周波数帯域における掃引量が、高い周波数帯域ほど小さくなることを特徴とする。
本発明における第17の発明は、上記第12の発明において、測定信号は、変節点を1つ以上有し、変節点で区切られた各周波数帯域において、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引する掃引方法、周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引する掃引方法、または周波数を一定の掃引量で掃引する掃引方法のうちいずれかの掃引方法を用いて作成された信号であることを特徴とする。
本発明における第18の発明は、上記第11の発明において、測定信号がランダムノイズであることを特徴とする。
本発明における第19の発明は、上記第11の発明において、暗騒音の周波数スペクトラムは、所定周波数以上の高い周波数帯域においてエネルギーレベルが略一定となる周波数スペクトラムであり、測定信号は、周波数が所定周波数である変節点を有し、測定信号の周波数スペクトラムの特性が、所定周波数以上の高い周波数帯域において暗騒音に対して所定のレベル以上のエネルギーレベルを有する特性であることを特徴とする。
本発明における第20の発明は、上記第11の発明において、暗騒音の周波数スペクトラムを測定する暗騒音測定部と、暗騒音測定部において測定された暗騒音の周波数スペクトラムから変節点を少なくとも1つ決定する変節点決定部と、変節点決定部において決定された変節点に基づいて測定信号を作成する測定信号作成部とをさらに備える音場測定装置である。
本発明における第21の発明は、上記第11の発明において、応答信号測定部は複数のマイクを有し、算出部は、複数のマイクが測定した応答信号それぞれについて音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出することを特徴とする。
本発明における第22の発明は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を音場測定装置が備える記憶部に記憶する測定信号記憶ステップと、記憶部に記憶された測定信号を音場空間に再生する測定信号再生ステップと、測定信号再生ステップによって再生された測定信号に対する音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定ステップと、応答信号測定部において測定された応答信号に対して、逆フィルタによるたたみ込み処理によって音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出ステップとをコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明における第23の発明は、非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する集積回路であって、測定信号として、その周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を記憶する測定信号記憶部と、測定信号を音場空間に再生する測定信号再生部に測定信号記憶部に記憶された測定信号を出力する出力端子と、測定信号再生部によって再生された測定信号に対する音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定部からの出力を入力する入力端子と、入力端子から入力する応答信号に対して、逆フィルタによるたたみ込み処理によって音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出部とを備える集積回路である。
上記第1の発明によれば、測定信号の周波数スペクトラムが音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように少なくとも1つの変節点を有することで、測定信号と暗騒音の周波数スペクトラムとのS/N比を高く確保することができる。これにより、例えば20Hzから100kHzまでの広い周波数帯域において高いS/N比を確保した音場測定を行うことが可能となる。
上記第2の発明によれば、正弦波信号を用いてその周波数を変節点の周波数の前後において異なる掃引方法で掃引することで、変節点の周波数の前後の周波数帯域におけるエネルギーレベルの調整を容易に行うことができる。その結果、被測定音場の暗騒音の周波数スペクトラムの形状に応じた周波数スペクトラムを有する測定信号が容易に作成でき、より高いS/N比で測定することが可能になる。
上記第3の発明によれば、測定信号が、低い周波数帯域においてはエネルギーレベルが大きく、高い周波数帯域においてはエネルギーレベルがほぼ一定となる一般的な暗騒音の周波数スペクトラムに対応した周波数スペクトラムを有する信号となり、特にエネルギーレベルがほぼ一定となる高い周波数帯域において、高いS/N比を確保した測定が可能となる。
上記第4の発明によれば、変節点以上の高い周波数帯域において測定信号の周波数スペクトラムの特性は、周波数が高くなるにつれてエネルギーレベルが大きくなる特性となるので、空気の粘性抵抗によって生じる、周波数が高くなるにつれてエネルギーが減衰するという問題を改善することができる。これにより、さらに広い周波数帯域において安定的に高いS/N比を確保した音場測定を行うことが可能となる。
上記第5の発明によれば、測定信号が、暗騒音の周波数スペクトラムの形状に対して所望のS/N比を確保することが可能な信号となり、所望のS/N比を確保した測定が可能となる。
上記第6の発明によれば、測定信号の周波数スペクトラムを、変節点で区切られた周波数帯域毎に暗騒音のエネルギーレベルに対応したエネルギーレベルを有する周波数スペクトラムとすることができ、周波数帯域毎に所望のS/N比を確保した測定を行うことができる。
上記第7の発明によれば、暗騒音の周波数スペクトラムに形状に応じて、変節点で区切られた周波数帯域毎にエネルギーレベルや確保すべきS/N比を自由に設定することができる。
上記第8の発明によれば、ランダムノイズで高いS/N比を確保可能な測定信号を構成することができる。
上記第9の発明によれば、従来において十分なS/N比を確保することができなかった所定周波数以上の高い周波数帯域において、高いS/N比を確保した測定を行うことができる。
上記第10の発明によれば、暗騒音の周波数スペクトラムの実測値に対応した測定信号を作成することができ、高いS/N比を確保した音場測定を精度よく行うことができる。
上記第21の発明によれば、例えば人頭程度の空間領域のように、様々な位置でのインパルス応答または伝達関数を測定することが必要な空間に対して、高いS/N比を確保した音場測定が可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明に係る測定信号について説明する。図1は、本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムの一例を示す図である。
一般に暗騒音の周波数スペクトラム(以下、暗騒音スペクトラムとする)は、低い周波数のエネルギーレベルが大きい。この暗騒音には、インパルス応答を測定する音場空間に存在する音響エネルギーと、音場測定装置全体の測定系が有する機械系または電気系の歪やノイズ成分とが含まれている。図10に示した暗騒音スペクトラムにおいては、周波数帯域Aにおいて、低い周波数に向かってエネルギーレベルが大きくなっている。ただし、周波数帯域Bにおいては、暗騒音スペクトラムは周波数に対してほぼ一定レベルである。
このように、暗騒音スペクトラムは、全ての周波数帯域に渡って単調に高域に向かって減少するものではない。そのため、従来技術の課題でも述べた通り、図11に示すような周波数に対して単純に対数比例して掃引した正弦波信号を測定信号として音場測定を行うと、20kHz以上の高い周波数帯域においては特に測定信号のエネルギーレベルが小さくなり、高いS/N比で測定することが極めて困難になる。
そこで、本発明においては、図1に示すように、測定信号の周波数スペクトラムを図10の暗騒音スペクトラムの形状にあわせて、低い周波数と高い周波数とで異なる周波数特性をもつスペクトラムにすることを考える。図1に示す本発明に係る測定信号は、図10に示した暗騒音スペクトラムの形状にあわせて、2kHz以下の周波数帯域では周波数が低くなるにつれてエネルギーレベルが大きくなり、2kHz以上の周波数帯域では周波数に関わらずエネルギーレベルが一定となる周波数スペクトラムを有する。このような周波数スペクトラムを有する測定信号であれば、周波数が高くなってもエネルギーレベルが低下せず一定であるので、当然ながら20kHz以上の高い周波数帯域においても高いS/N比で測定することが可能になる。
図1に示す周波数スペクトラムを有する測定信号を作成するためには、正弦波信号を用いて、ある周波数を周波数掃引における変節点とし、変節点の前後の周波数において異なる方法で周波数掃引を行って作成する。つまり、図1に示した本発明に係る測定信号は、図11で示した従来の測定信号のように周波数を掃引する方法を測定対象とする周波数の全帯域において一様とする信号ではなく、ある周波数を変節点として、当該変節点の前後で周波数の掃引方法が異なる信号である。ここで、変節点とは、周波数を片対数軸で表した片対数グラフ上において、周波数スペクトラムの変化度合(特性)が変化する点をいうものとする。さらに言えば、図11に示した従来の測定信号は、測定対象とする周波数の全帯域において低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形(対数比例)に掃引して作成された信号である。一方、図1に示した本発明に係る測定信号は、変節点を境にして、変節点よりも低い周波数帯域では非線形(対数比例)で、変節点以上の高い周波数帯域では線形(一定)に掃引して作成された信号である。
以下、本発明に係る測定信号の作成方法について、より具体的に説明する。図1に示した本発明に係る測定信号は、下記の式(1)〜式(4)を用いて作成される。i=0,1,2,…,(n−1)であるサンプル点iに対し、掃引周波数が変節点となるサンプル点をk(0<k<n−1)とする。ここで、変節点より低い周波数帯域(i<k)では、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形(対数比例)に掃引する。換言すれば、周波数が高くなるにつれて掃引量(単位時間あたりの掃引周波数)が大きくなるように非線形(対数比例)に掃引する。このときのサンプル点iの掃引周波数Freq(i)は式(1)で表現される。
Freq(i)
=f1*exp((log(fc)−log(f1))*i/k)…(1)
なお、式(1)において、f1は掃引開始周波数であり、fcは変節点の周波数である。
また、変節点以上の高い周波数帯域(k≦i)では、周波数を式(2)に基づいて線形に掃引する。つまり、一定の掃引量(例えば、単位時間あたり10Hzなど)で周波数が掃引されることとなる。
Freq(i)=fc+(f2−fc)*(i−k)/(n−1−k)…(2)
なお、式(2)において、f2は掃引終了周波数である。
さらに、変節点の前後を含めた全てのサンプル点T(i)(0<i<n−1)において位相ang(i)が連続となるようにすると、位相ang(i)は式(3)で表現される。
ang(i)=ang(i−1)+2π*Freq(i)/fs…(3)
なお、式(3)において、fsはサンプリング周波数であり、ang(0)=0である。
このとき、図1に示した周波数スペクトラムを有する測定信号のサンプル点T(i)の時間波形を表す式は、式(4)となる。
T(i)=sin(ang(i))…(4)
ここで、変節点の周波数を例えば2kHzとし、上式(1)〜式(4)を用いて計算した測定信号の時間波形を図2に示す。このとき、1波長が0.5msecとなる時間波形(つまり、2kHzの時間波形)が変節点の時間波形を示すこととなる。そして、この変節点より低い周波数帯域では、対数比例で変化する周波数に伴って時間波形が変化する。また、この変節点より高い周波数帯域では、一定の掃引量で変化する周波数に伴って時間波形が変化する。
また、変節点の周波数を例えば2kHzとし、上式(1)〜式(4)を用いて作成した測定信号を音場空間に再生し、測定した応答信号の周波数スペクトラムを図3に示す。図3は、本発明に係る測定信号を用いて測定した応答信号の周波数スペクトラムを示す図である。図3に示すように、変節点以上の高い周波数帯域において一定のエネルギーレベルとなる測定信号を用いて音場測定しているので、測定信号の応答成分が暗騒音スペクトラムに埋もれることなく、高いS/N比が確保された音場測定が実現できていることがわかる。
このように、本発明に係る測定信号は、暗騒音スペクトラムの形状に応じた変節点を有していることによって、低音域から20kHz以上の高い周波数帯域まで高いS/N比を確保した音場測定を可能にするものである。また、変節点の前後の周波数帯域で周波数の掃引方法を変えることによって、それらの周波数帯域間でのエネルギーレベルの調整を容易に行うことができる。その結果、被測定音場の暗騒音スペクトラムの形状に合わせた測定信号が容易に作成でき、より高いS/N比で測定することが可能になる。
なお、本発明に係る測定信号は、図1に示した周波数スペクトラムを有する信号に限らず、少なくとも1つ以上の変節点を有し、暗騒音スペクトラムの形状に応じた形状となるように作成された信号であればよい。例えば、本発明に係る測定信号は図4〜図6に示す周波数スペクトラムを有する測定信号であってもよい。図4〜図6は、本発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す図である。
図4に示す周波数スペクトラムは、例えば2kHzの変節点を1つ有している。この変節点よりも低い周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引されている。変節点以上の高い周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が低周波数側では急激な変化、高域側では緩やかな変化となるように非線形に掃引されている。換言すれば、周波数が高くなるにつれて緩やかな変化となるように(掃引量が小さくなるように)掃引する。ここで、一般に、周波数が高くなるほど空気の粘性抵抗によって応答信号のエネルギーが減衰しやすい。しかしながら、図4に示す周波数スペクトラムを有する測定信号を用いれば、変節点以上の高い周波数帯域におけるエネルギーレベルが大きくなっているので、上記応答信号のエネルギーの減衰を打ち消すことができ、さらに高いS/N比を確保した音場測定を実現することができる。
図5に示す周波数スペクトラムは、例えば200Hzおよび2kHzに変節点を有している。200Hzよりも低い周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が一定の掃引量で掃引されている。200Hzから2kHzまでの周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引されている。2kHz以上の高い周波数帯域においては、再び正弦波信号の周波数が一定の掃引量で掃引されている。
図6に示す周波数スペクトラムは、例えば200Hz、2kHz、および20kHzに変節点を有している。200Hz以下、200Hz〜2kHz、2kHz〜20kHz、および20kHz〜200kHzの各周波数帯域においては、正弦波信号の周波数が一定の掃引量で掃引されている。なお、各周波数帯域における掃引量は、変節点の前後で異なる値となる。また、各周波数帯域における掃引量は、周波数帯域が高くなるにしたがって小さい値となる。これにより、周波数帯域が高くなるにしたがってエネルギーレベルが小さくなっている。例えば、200Hzよりも低い周波数帯域においては、エネルギーレベルが0dB一定であるのに対し、200Hz〜2kHzの周波数帯域においてはエネルギーレベルが−5dB一定と変化している。このように、200Hzの変節点において線形掃引の掃引量を変える(掃引方法を変える)ことにより、周波数スペクトラムの変化度合(特性)が0dB一定から−5dB一定に変化している。図6に示す周波数スペクトラムでは、例えば高い周波数帯域に対しては最低10dBのS/N比を確保するように設定するなど、各周波数帯域に対して自由にエネルギーレベルを設定することができる。
このように、図4〜図6に示す周波数スペクトラムを有する測定信号は、各変節点で区切られた周波数帯域毎に、対数掃引であれば上式(1)を、線形掃引であれば上式(2)をそれぞれ選択し、全ての周波数帯域において順次算出することによって作成することができる。
また、本発明に係る測定信号は、変節点を少なくとも1つ有することによって、暗騒音スペクトラムの形状に応じた周波数スペクトラムを有するとした。ここで、従来において想定されていなかった20kHz以上の周波数帯域においては、図10に示したように、暗騒音スペクトラムのエネルギーレベルが一定となる。したがって、少なくとも20kHz以上の周波数帯域において、本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムの特性を、所定のエネルギーレベルで一定となる特性やエネルギーレベルが上昇する特性にすることで、20kHz以上の周波数帯域において高いS/N比を確保した音場測定を行うことができる。
また、上述した図1、図4〜図6に示した周波数スペクトラムの例では、正弦波信号について掃引するとしたが、これに限定されない。少なくとも1つの変節点を有し、暗騒音スペクトラムの形状に応じた形状となる周波数スペクトラムを有する測定信号であれば、例えばランダムノイズによって作成された測定信号であってもよい。また、図1、図4および図5において示した周波数スペクトラムは、変節点の前後において連続する形状であるが、図6に示したように変節点の前後において不連続な形状であってもよい。
次に、図7および図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る音場測定装置について説明する。本実施形態に係る音場測定装置は、上述した本発明に係る測定信号を用いて音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する装置である。図7は、第1の実施形態に係る音場測定装置の構成例を示す略図である。図7において、音場測定装置は、汎用PC1、CPU2、内部メモリ3、ハードディスク4、サウンドカード5、マウス6、キーボード7、ディスプレイ8、アンプ10、スピーカ11、およびマイク12を備える。また、図8は、第1の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー図である。
スピーカ11、マイク12、およびアンプ10は、インパルス応答を測定する対象となる音場空間9に設置される。アンプ10は、サウンドカード5から出力される測定信号を増幅して、増幅した測定信号をスピーカ11に出力する。スピーカ11は、アンプ10から出力された測定信号を再生する。マイク12は、音場空間9の応答信号を測定する。
以下、図8を参照しながら本実施形態に係る音場測定装置の動作について説明する。本実施形態に係る音場測定装置は、汎用PC1を構成要素の1つとして用いている。そして、本実施形態に係る音場測定装置は、その汎用PC1上で動作するインパルス応答の測定プログラムによって、音場空間9のインパルス応答を算出する。なお汎用PC1は、一般的な仕様および性能をもつ汎用コンピュータであれば本実施形態に係る音場測定装置を構成するのに十分である。
汎用PC1内にあるハードディスク4には、上述のインパルス応答を測定する測定プログラムが保存されている。また、本実施形態においては、図1に示したような本発明に係る測定信号の周波数スペクトラムのデータについても、予めハードディスク4に保存されているとする。
インパルス応答の測定を開始する際にはCPU2の制御の元に測定プログラムが内部メモリ3に読み込まれて実行される。なお、測定プログラムの呼び出しや実行、および後述する測定プログラムにおける動作の実行や選択には、汎用PC1の一般的な入出力装置であるマウス6、キーボード7、およびディスプレイ8が利用できるものとする。
測定プログラムが実行されると、ハードディスク4に保存されている測定信号のデータが呼び出され、サウンドカード5よりオーディオ信号としてアンプ10に供給される(ステップS11)。なお、複数種類の測定信号がハードディスク4に保存され、音場空間9の特性や測定する周波数帯域に応じて適切なものを選択できるようにしてもよい。
ステップS11の次に、アンプ10で増幅された測定信号は、スピーカ11によってインパルス応答を測定する音場空間9に再生される(ステップS12)。再生された測定信号に基づく応答信号はマイク12によって収録され、再びサウンドカード5より汎用PC1内の内部メモリ3に取り込まれる(ステップS13)。内部メモリ3に取り込まれた測定信号に基づく応答信号は、測定プログラムによって、音場空間9に再生された測定信号の逆特性を持つフィルタによってたたみ込み処理してインパルス化され、音場空間9のインパルス応答または伝達関数が算出される(ステップS14)。インパルス応答の算出結果は、ハードディスク4に保存される(ステップS15)。以上の動作で測定プログラムは終了する。
なお、上述した本実施形態に係る音場測定装置を機能的な構成部で表現すると、本実施形態に係る音場測定装置は、測定信号記憶部、測定信号再生部、応答信号測定部、および算出部とを備える。測定信号記憶部は、上述したハードディスク4で構成され、本発明に係る測定信号を記憶している。測定信号再生部は、音場空間9に設置されたアンプ10およびスピーカ11で構成され、測定信号記憶部に記憶された測定信号を再生する。応答信号測定部は、マイク12を用いて再生された測定信号の音場空間に対する応答信号を測定する。算出部は、ステップS14を実行するCPU2で構成され、測定された測定信号に基づく応答信号を測定信号の逆特性を持つフィルタによってたたみ込み処理してインパルス化し、音場空間9のインパルス応答または伝達関数を算出する。
以上のように、本実施形態に係る音場測定装置は、図1に示したような周波数スペクトラムを有する測定信号を用いて音場空間9の応答信号を測定している。これにより、本実施形態に係る音場測定装置によれば、測定対象となる全ての周波数帯域において、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を高いS/N比で測定することが可能となる。
なお、音場空間9の応答信号を測定するマイク12に関しては、必ずしも1つのマイクユニットである必要はない。例えば、人頭程度の空間領域に複数のマイクユニットを配置し、その複数のマイクユニット毎に音場空間9の応答信号を測定し、インパルス応答の算出および保存を行うものであってもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る音場測定装置について説明する。本実施形態に係る音場測定装置は、図7に示した第1の実施形態に係る音場測定装置と同じ構成で実現されるものであるが、汎用PC1上で動作するインパルス応答の測定プログラムの動作が第1の実施形態と異なるものである。具体的には、本実施形態においては、測定系の暗騒音を測定し、その測定結果に基づいて音場空間9に再生する測定信号を作成する点において第1の実施形態と異なるものである。以下、異なる点を中心に説明する。
図9は、第2の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー図である。なお、測定信号の再生(ステップS12)からインパルス応答の保存(ステップS15)までの動作は、上述した第1の実施形態と同様の動作であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る音場測定装置において、測定プログラムが実行されると、まず最初にマイク12を用いて暗騒音スペクトラムが測定される(ステップS21)。ここでの暗騒音スペクトラムは、インパルス応答を測定する音場空間9に存在する音響エネルギーと、汎用PC1、サウンドカード5、アンプ10、スピーカ11およびマイク12等で構成される測定系が有する機械系または電気系の歪やノイズ成分とを含むものである。
ステップS21において測定された暗騒音スペクトラムは、サウンドカード5を介して内部メモリ3に取り込まれ、その測定結果に基づいて変節点が決定される(ステップS22)。変節点の決定方法は、測定プログラムのアルゴリズムにより任意のものとすることができるが、例えば、暗騒音のオクターブ毎の周波数スペクトラムを低周波数側より順次算出し、隣り合うオクターブ毎のエネルギー量の差分が所定値以下になる周波数を変節点とする方法でもよい。また、上記変節点は、例えば暗騒音スペクトラムがディスプレイ8に表示され、ユーザがその暗騒音スペクトラムの形状に応じて任意に設定するものであってもよい。
ステップS22において決定された変節点と上式(1)〜式(4)を用いて、例えば図1に示したような周波数スペクトラムを有する測定信号を作成する(ステップS23)。この測定信号が再生されるステップS11以降の動作については、実施の形態1と同様である。
なお、上述した本実施形態に係る音場測定装置を機能的な構成部で表現すると、本実施形態に係る音場測定装置は、第1の実施形態に係る音場測定装置に対してさらに、暗騒音測定部、変節点決定部、および測定信号作成部を備える。暗騒音測定部は、マイク12を用いて音場空間9の暗騒音スペクトラムを測定する。変節点決定部は、ステップS22を実行するCPU2で構成され、暗騒音測定部で測定された暗騒音スペクトラムに基づいて変節点を少なくとも1つ決定する。測定信号作成部は、ステップS23を実行するCPU2で構成され、変節点決定部において決定された変節点に基づいて測定信号記憶部に記憶される測定信号を作成する。
なお、第1の実施形態と同様に、音場空間9の応答信号を測定するマイク12に関しては、必ずしも1つのマイクユニットである必要はない。例えば、人頭程度の空間領域に複数のマイクユニットを配置し、その複数のマイクユニット毎に音場空間9の応答信号を測定し、インパルス応答の算出および保存を行うものであってもよい。
以上のように、本実施形態に係る音場測定装置は、測定する音場空間および測定系の特性に応じた測定信号を作成することで、より精度の高いインパルス応答の測定を行うことが可能となる。
なお、上述した第1および第2の実施形態に係る音場測定装置の各構成のうち少なくとも一部の構成は、集積回路でも実現可能である。第1の実施形態に係る音場測定装置においては、例えば測定信号記憶部および算出部を集積回路で実現してもよい。この場合、当該集積回路は、測定信号記憶部に記憶された測定信号をアンプ10またはスピーカ11で構成される測定信号再生部に出力する出力端子と、マイク12からの出力信号を入力するための入力端子とを備える。また、第2の実施形態に係る音場測定装置においては、さらに、暗騒音測定部、変節点決定部、および測定信号作成部を集積回路で実現してもよい。
本発明に係る音場測定方法および音場測定装置は、例えば20Hzから100kHzまでの広い周波数帯域に渡って高いS/N比で音場測定が可能な音場測定方法および音場測定装置等として有用である。
発明に係る測定信号の周波数スペクトラムの一例を示す (1)〜式(4)を用いて計算した測定信号の時間波形を示す 発明に係る測定信号を用いて測定した応答信号の周波数スペクトラムを示す 発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す 発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す 発明に係る測定信号における周波数スペクトラムの他の例を示す 1の実施形態に係る音場測定装置の構成例を示す略 1の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー 2の実施形態に係る音場測定装置において、汎用PC1上で動作する、インパルス応答を測定する測定プログラムの動作フロー るリスニングルームで測定した暗騒音の周波数スペクトラムを示す 域におけるS/N比の劣化を改善した従来の測定信号の周波数スペクトラムを示す
符号の説明
1 汎用PC
2 CPU
3 内部メモリ
4 ハードディスク
5 サウンドカード
6 マウス
7 キーボード
8 ディスプレイ
9 音場空間
10 アンプ
11 スピーカ
12 マイク

Claims (23)

  1. 非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定方法において、
    前記測定信号として、その周波数スペクトラムが前記音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、前記測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を用いることを特徴とする、音場測定方法。
  2. 前記測定信号は、前記変節点の周波数の前後において掃引方法を変えて周波数を掃引した正弦波信号であることを特徴とする、請求項1に記載の音場測定方法。
  3. 前記測定信号は、前記変節点を1つ有し、前記変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、前記変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする、請求項2に記載の音場測定方法。
  4. 前記測定信号は、前記変節点を1つ有し、前記変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、前記変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引して作成される信号であることを特徴とする、請求項2に記載の音場測定方法。
  5. 前記測定信号は、前記変節点を2つ有し、各前記変節点の間の周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、各前記変節点の間以外の周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする、請求項2に記載の音場測定方法。
  6. 前記測定信号は、前記変節点を複数有し、前記変節点で区切られた各周波数帯域において周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であり、
    前記各周波数帯域における前記掃引量が、高い周波数帯域ほど小さくなることを特徴とする、請求項2に記載の音場測定方法。
  7. 前記測定信号は、前記変節点を1つ以上有し、前記変節点で区切られた各周波数帯域において、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引する掃引方法、周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引する掃引方法、または周波数を一定の掃引量で掃引する掃引方法のうちいずれかの掃引方法を用いて作成された信号であることを特徴とする、請求項2に記載の音場測定方法。
  8. 前記測定信号がランダムノイズであることを特徴とする、請求項1に記載の音場測定方法。
  9. 前記暗騒音の周波数スペクトラムは、所定周波数以上の高い周波数帯域においてエネルギーレベルが略一定となる周波数スペクトラムであり、
    前記測定信号は、周波数が前記所定周波数である前記変節点を有し、前記測定信号の周波数スペクトラムの特性が、前記所定周波数以上の高い周波数帯域において前記暗騒音に対して所定のレベル以上のエネルギーレベルを有する特性であることを特徴とする、請求項1に記載の音場測定方法。
  10. 前記音場測定方法において、
    前記暗騒音の周波数スペクトラムを測定し、
    測定された前記暗騒音の周波数スペクトラムから前記変節点を少なくとも1つ決定し、
    決定された前記変節点に基づいて前記測定信号を作成することを特徴とする、請求項1に記載の音場測定方法。
  11. 非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定装置であって、
    前記測定信号として、その周波数スペクトラムが前記音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、前記測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を記憶する測定信号記憶部と、
    前記測定信号記憶部に記憶された測定信号を前記音場空間に再生する測定信号再生部と、
    前記測定信号再生部によって再生された測定信号に対する前記音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定部と、
    前記応答信号測定部において測定された応答信号に対して、前記逆フィルタによるたたみ込み処理によって前記音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出部とを備える、音場測定装置。
  12. 前記測定信号は、前記変節点の周波数の前後において掃引方法を変えて周波数を掃引した正弦波信号であることを特徴とする、請求項11に記載の音場測定装置。
  13. 前記測定信号は、前記変節点を1つ有し、前記変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、前記変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする、請求項12に記載の音場測定方法。
  14. 前記測定信号は、前記変節点を1つ有し、前記変節点より低い周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、前記変節点以上の高い周波数帯域においては周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引して作成される信号であることを特徴とする、請求項12に記載の音場測定方法。
  15. 前記測定信号は、前記変節点を2つ有し、各前記変節点の間の周波数帯域においては周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引し、各前記変節点の間以外の周波数帯域においては周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であることを特徴とする、請求項12に記載の音場測定方法。
  16. 前記測定信号は、前記変節点を複数有し、前記変節点で区切られた各周波数帯域において周波数を一定の掃引量で掃引して作成される信号であり、
    前記各周波数帯域における前記掃引量が、高い周波数帯域ほど小さくなることを特徴とする、請求項12に記載の音場測定方法。
  17. 前記測定信号は、前記変節点を1つ以上有し、前記変節点で区切られた各周波数帯域において、周波数を低周波数側では緩やかな変化、高周波数側では急激な変化となるように非線形に掃引する掃引方法、周波数を低周波数側では急激な変化、高周波数側では緩やかな変化となるように非線形に掃引する掃引方法、または周波数を一定の掃引量で掃引する掃引方法のうちいずれかの掃引方法を用いて作成された信号であることを特徴とする、請求項12に記載の音場測定方法。
  18. 前記測定信号がランダムノイズであることを特徴とする、請求項11に記載の音場測定方法。
  19. 前記暗騒音の周波数スペクトラムは、所定周波数以上の高い周波数帯域においてエネルギーレベルが略一定となる周波数スペクトラムであり、
    前記測定信号は、周波数が前記所定周波数である前記変節点を有し、前記測定信号の周波数スペクトラムの特性が、前記所定周波数以上の高い周波数帯域において前記暗騒音に対して所定のレベル以上のエネルギーレベルを有する特性であることを特徴とする、請求項11に記載の音場測定方法。
  20. 前記暗騒音の周波数スペクトラムを測定する暗騒音測定部と、
    前記暗騒音測定部において測定された暗騒音の周波数スペクトラムから前記変節点を少なくとも1つ決定する変節点決定部と、
    前記変節点決定部において決定された変節点に基づいて前記測定信号を作成する測定信号作成部とをさらに備える、請求項11に記載の音場測定装置。
  21. 前記応答信号測定部は複数のマイクを有し、
    前記算出部は、前記複数のマイクが測定した応答信号それぞれについて前記音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出することを特徴とする、請求項11に記載の音場測定装置。
  22. 非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する音場測定装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記測定信号として、その周波数スペクトラムが前記音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、前記測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を前記音場測定装置が備える記憶部に記憶する測定信号記憶ステップと、
    前記記憶部に記憶された測定信号を前記音場空間に再生する測定信号再生ステップと、
    前記測定信号再生ステップによって再生された測定信号に対する前記音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定ステップと、
    前記応答信号測定部において測定された応答信号に対して、前記逆フィルタによるたたみ込み処理によって前記音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出ステップとを前記コンピュータに実行させるプログラム。
  23. 非インパルスの測定信号をインパルス化する逆フィルタによるたたみ込み処理によって、線形で時間不変な被測定系である音場空間のインパルス応答または伝達関数を測定する集積回路であって、
    前記測定信号として、その周波数スペクトラムが前記音場空間の暗騒音の周波数スペクトラムに応じた形状になるように、前記測定信号の周波数スペクトラムの特性が変化する変節点を少なくとも1つ有する信号を記憶する測定信号記憶部と、
    前記測定信号を前記音場空間に再生する測定信号再生部に前記測定信号記憶部に記憶された測定信号を出力する出力端子と、
    前記測定信号再生部によって再生された測定信号に対する前記音場空間からの応答信号を測定する応答信号測定部からの出力を入力する入力端子と、
    前記入力端子から入力する応答信号に対して、前記逆フィルタによるたたみ込み処理によって前記音場空間のインパルス応答または伝達関数を算出する算出部とを備える、集積回路。
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