JPWO2005109402A1 - 音声パケット送信方法、音声パケット送信装置、および音声パケット送信プログラムとそれを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
現在広く使われているインターネットはベストエフォート型のネットワークであり、パケットが確実に送信先に到着する保証がないため、TCP(Transmission Control Protocol)(非特許文献2参照)プロトコルなどによる再送制御を実現した通信により確実なパケット通信を行うことが多い。しかしVoIP(Voice over Internet Protocol)など通信のリアルタイム性が重要となる場合には、パケットロス発生時に再送制御により紛失パケットを求めると、パケットの到着が大きく遅れるために、受信バッファにおける蓄積状態のパケット数を大きく設定しなければならず、リアルタイム性が損なわれてしまうという問題がある。そのためVoIPなどでは再送制御を行わないUDP(User Datagram Protocol)(非特許文献3参照)プロトコルにより通信が行われることが多いが、ネットワークの輻輳時にパケットロスが発生し、音質の劣化が生じてしまう問題があった。
受信側でパケットロスが生じることを送信側で予め想定し、送信側で現フレーム中のピッチ長の音声波形の繰り返しにより音声波形を合成し、その合成音声波形の次フレームの原音声波形に対する品質が閾値より小さければ、現フレームの音声符号と共に次フレームの圧縮音声符号をサブフレーム符号としてパケットにより送信することが提案されている(特許文献2)。この方法によれば、受信側では、現フレームのパケットロスが生じた場合、その前後のフレームのパケットにサブフレーム符号が含まれていなければ前フレーム中の1ピッチ長の波形から現フレームを合成し、もしサブフレーム符号が含まれていればそれを復号して使用する。いずれにしても原音声信号より品質の低下した音声波形が生じることになるが、補完波形の品質が規定より悪い場合に、現フレームに加えて前後パケットにサブコーデックの情報を加える方式のため、サブコーデックの情報を前後のパケットにより送信しても、3連続以上のパケットロスが発生すると、現フレームに対する符号化情報及びサブコーデックの符号化情報が共に利用できなくなり、復号音声の音質が劣化してしまう問題があった。
[図2]図1A中の補完音声作成部20の具体的機能構成例を示すブロック図。
[図3A]波形合成方法を説明するための図。
[図3B]ピッチがフレームより長い場合の波形合成方法を説明するための図。
[図4]波形合成方法の他の例を説明するための図。
[図5]図5Aは図4において波形を接続するための一方の重み関数の例を示す図であり、図5Bは他方の重み関数の例を示す図。
[図6]図1中の音質判定部40の具体的機能構成例を示すブロック図。
[図7]音質評価値と重複レベルとの関係例を規定するテーブルの例を示す図。
[図8]音質評価値と重複レベルとの関係例を規定するテーブルの他の例を示す図。
[図9]音質評価値と重複レベルとの関係を規定するテーブルの更に他の例を示す図。
[図10]図1における音質判定部40の他の構成例を示す図。
[図11]図10の音質判定部を使用する場合の音質評価値と重複レベルの関係を規定するテーブルの例を示す図。
[図12]図1における音質判定部40とパケット生成部105の処理手順を示すフロー図。
[図13]図1の送信装置に対応する受信装置の機能構成例を示すブロック図。
[図14]図14Aは図13における受信パケットの処理手順を示すフロー図であり、図14Bは図13における再生音声の生成手順を示すフロー図。
[図15]この発明の音声パケット送信装置の第2実施形態の機能構成例を示すブロック図。
[図16]図15中の音質判定部40の具体的機能構成例を示すブロック図。
[図17]評価値と重複レベルとの関係を規定するテーブルの更に他の例を示す図。
[図18]図15の送信装置における音質判定部40とパケット作成部15の処理手順を示すフロー図。
[図19]図15に示した音声パケット送信装置に対応する音声パケット受信装置の機能構成例を示すブロック図。
[図20]この発明の音声パケット送信装置の第3実施形態の機能構成例を示すブロック図。
[図21]図20中の補完音声作成部20の具体的機能構成例を示すブロック図。
[図22]図20に示した送信装置に対応する受信装置の機能構成例を示すブロック図。
[図23]この発明の音声パケット送信装置の第4実施形態の機能構成を示すブロック図。
[図24]図23における補助情報作成部30の具体的構成例を示すブロック図。
[図25]図23における補完音声作成部20の具体的構成例を示すブロック図。
[図26]図23における音質判定部40の具体的構成例を示すブロック図。
[図27]評価値と重複レベル及び音質劣化レベルとの関係を規定するテーブルの例を示す図。
[図28]評価値と音質劣化レベルの関係を規定するテーブルの例を示す図。
[図29]図23の送信装置の第1動作例における音質判定部40とパケット作成部15の処理手順を示すフロー図。
[図30]図23の送信装置の第2動作例における音質判定部40とパケット作成部15の処理手順を示すフロー図。
[図31]図23の送信装置の第3動作例における音質判定部40とパケット作成部15の処理手順の前半部を示すフロー図。
[図32]図31の後半部のフロー図。
[図33]図23の送信装置の第4動作例における音質判定部40とパケット作成部15の処理手順の後半部のフロー図。
[図34]図23の送信装置に対応する受信装置の例を示すブロック図。
[図35]図34における補完音声作成部70の具体的構成例を示すブロック図。
[図36]図36Aは図34における受信パケットの処理手順を示すフロー図であり、図36Bは図34における再生音声の生成処理手順を示すフロー図。
図1に、この発明による音声パケット送信装置の第1実施形態の機能構成例を示す。この発明では、パケットはUDP/IPプロトコルにより送受信される。UDP/IPプロトコルによれば、各パケットは図1Bに示すように、送信先アドレスDEST ADD、送信元アドレスORG ADD、RTPフォーマットによるデータを含んでいる。このRTPフォーマットにおけるデータとして音声信号のフレーム番号FR#と音声データDATAを含ませる。音声データは、入力されたPCM音声信号を符号化した符号化音声信号であっても、入力されたPCM音声信号そのままであってもよいが、この実施形態では、パケットに格納する音声データは符号化音声信号の場合である。以降の説明では1つのパケットに1フレームの音声データを格納して送信するものとして説明するが、1つのパケットに複数フレームの音声データを格納してもよい。
図3Aではメモリ領域A0〜A5に書き込まれた音声波形データの現フレームmから過去のフレームm−3の途中までの波形例を模式的に示している。波形切り出し部203Bは検出されたピッチ長の波形3Aを現フレームより過去のフレームからコピーし、図3Aに示すように1フレーム長となるまで過去側から未来方向に向かって波形3B、3C,3Dのように繰り返し貼り付けて現フレームに対する補完音声信号を合成する。ただし、一般にフレーム長はピッチ長の整数倍とは限らないので、貼り付ける最後の波形はそのフレームの残りの区間に合わせて切り取る。また、検出されたピッチ長が1フレーム長より長い場合は、例えば図3Bに示すように、現フレームの直前の1ピッチ長の波形の過去側開始点から1フレーム長の波形3Aをコピーした波形3Bを現フレームの補完音声信号として使用する。
図1の説明に戻る。入力端子100より音声信号(原音声信号)、復号化部12の出力信号および補完音声作成部20の出力信号は音質判定部40に送られ、パケットの重複レベルLdを決定する。
Fw1=10log(S/N)=10log(Porg/Pdif1) (1)
の計算を行う。各フレームのサンプル数をNとし、原音声信号及び復号音声信号のフレーム内のn番目のサンプルイ直をそれぞれxn、ynとすれば、Porg=Σxn 2、Pdif1=Σ(xn−yn)2である。ただしΣはフレーム内のサンプル番号0からN−1についての総和をあらわす。同様に、第2計算部413では、客観評価値Fw2として、1フレームの原音声信号のパワーPorgを信号Sとし、1フレームの原音声信号と補完音声信号の差のパワーPdif2を雑音Nとして、
Fw2=10log(S/N)=10log(Porg/Pdif2) (2)
の計算を行う。ただし、補完音声信号のフレーム内のn番目のサンプル値をznとすれば、Pdif2=Σ(xn−zn)2である。
前述の図6の例においては評価値計算部41は客観評価値として原音声信号のパワーPorgと、原音声信号と復号音声信号の差のパワーPdif1とから式(1)により求めた評価値Fw1と、原音声信号のパワーPorgと、原音声信号と補完音声信号の差のパワーPdif2とから式(2)により求めた評価値Fw2との2つの評価値を使用して重複レベルLdを決める例を示したが、図10に音質判定部40の他の例を示すように、復号音声信号と補完音声信号だけから客観評価値を求めてもよい。即ち、評価値計算部41では、復号音声信号のパワーPdecと、復号音声信号と補完音声信号の差のパワーPdif’とから評価値Fw’を次式
Fw’=10log(Pdec/Pdif’) (3)
により求める。この場合、差のパワーPdif’が大きくなれば評価値Fw’が小さくなり、それだけ補完音声信号の音質が悪くなることを意味している。重複送信判定部42内のテーブルには例えば図11に示すように、評価値Fw’が10dB以上ではLd=1、2dB≦Fw’<10dBではLd=2,Fw’<2dBではLd=3のように評価値Fw’に対し重複レベルLdを規定してある。このテーブルは予め実験に基づいて決めてある。
ステップS1:評価値計算部41において、原音声信号OrgのパワーPorgと、原音信号Orgと復号音声信号Decの聴覚重み付け差信号のパワーWPdif1から
WSNR=10log(Porg/WPdif1)を評価値Fw1として求める。以後この計算を
Fw1=WSNR(Org,Dec)と表すことにする。
WSNR=10log(Porg/WPdif2)を評価値Pw2として求める。以後この計算を
Fw2=WSNR(Org,Ext)と表すことにする。
ステップS3:差分Fd=Fw1−Fw2を求める。
ステップS4:重複送信判定部42においてFd<2dBか判定し、2dBより小であればステップS5でLd=1と決め、そうでなければステップS6に移る。
ステップS6:2dB≦Fd<10dBであるか判定し、そうであればステップS7で図7のテーブルからLd=2と決め、そうでなければステップS8に移る。
ステップS11:パケット作成部15はLd個のパケットにそれぞれ同じ現フレームの音声データを格納し、順次送信する。
図1に示した音声パケット送信装置と対応する音声パケット受信装置の機能構成を図13に示す。受信装置は受信部50と、符号構成部61と、復号化部62と、補完音声作成部70と、出力信号選択部63とから構成されている。受信部50はパケット受信部51と、バッファ52と、制御部53とから構成されている。制御部53はパケット受信部51で受信されたパケットが格納する音声データのフレーム番号と同じフレーム番号の音声データを格納したパケットが既にバッファ52に蓄積されているかチェックし、もし既に蓄積されていれば、受信パケットを破棄し、蓄積されてなければその受信パケットをバッファ52に蓄積する。
図14A、14Bは図13の受信装置によるパケット受信処理と、音声信号再生処理の手順を示す。パケット受信処理は、図14Aにおいて、ステップS1Aでパケットが受信されたか判定し、受信されるとステップS2Aでそのパケットが格納する音声データのフレーム番号と同じフレーム番号の音声データを格納したパケットが既にバッファ52に蓄積されているか判定する。同じフレーム番号の音声データを格納したパケットが見つかればステップS3Aで受信パケットを破棄し、ステップS1Aで次のパケットを待つ。バッファ52に同一フレーム番号の音声データを格納したパケットがなければ、ステップS4Aで受信パケットをバッファ52に蓄積し、ステップS1Aに戻り次のパケットを待つ。
[第2実施形態]
図15に、この発明による音声パケット送信装置の第2実施形態の機能構成を示す。ここでは第1実施形態に示した符号化部11、および復号化部12を設けず、入力PCM音声信号を直接パケット化し、送信する。入力端子100よりのPCM入力音声信号から補完音声作成部20にて補完音声信号を作成する。補完音声作成部20の処理は図2に示した処理と同じである。ここで作成した補完音声信号は、音質判定部40に送られる。音質判定部40ではパケットの重複レベルLdを決定し、パケット作成部15へ出力する。
図18は図15の送信装置において、図17のテーブルを使って図16の音質判定部40により重複レベルLdを求める処理と、パケット作成部15によるパケット作成処理の手順を示す。この例も評価値Fwとして重み付信号対雑音比WSNRを使用するものとする。ステップS1で原音声信号OrgのパワーPorgと、原音声信号Orgと補完音声信号Comの聴覚重み付き差信号のパワーWPdifから評価値Fwを
WSNR=10log(Porg/WPdif)
として求める。以降この計算をFw=WSNR(Org,Com)と表すことにする。ステップS2で評価値Fwが2dB未満か判定し、そうであればステップS3で図17のテーブルを参照してFwの値から重複レベルLd=3と決定する。Fwが2dB未満でなければステップS4でFwが2dB以上、10dB未満であるが判定し、そうであればステップS5で図17のテーブルを参照してLd=2と決定し、そうでなければステップS6でLd=1と決定する。ステップS7でパケット作成部15は決定された重複レベルLdに従って、Ld個の各パケットにそれぞれ現フレームの音声信号を格納して送信部16に与え、順次送信する。
[第3実施形態]
前述の各実施形態では、補完音声信号を過去のフレームから外挿法により作成する場合を示したが、この第3実施形態では現フレームに対し前後のフレームの波形から内挿法で補完音声信号を作成する。図20に、この発明による音声パケット送信装置の第3実施形態の機能構成を示す。この実施例における符号化部11、復号化部12、音質判定部40、パケット作成部15、送信部16の構成及び動作は図1の実施例のそれぞれ対応するものと同じである。この実施例は現フレームの音声信号に対する補完音声信号を、それより過去のフレームの音声信号と、現フレームの次のフレームの音声信号から内挿法により作成するように構成されている。
[第4実施形態]
前述の各実施形態では、送信側において現フレームの音声信号に対し、それに隣接する少なくとも1つのフレームから作成した補完音声信号の音質が規定より低い場合は、受信側においてそのフレームに対応するパケットの損失が生じた場合に隣接フレームから補完音声信号を作成しても、その音質が悪い。そこで、できるだけパケットロスが生じないよう、同じそのフレームの音声信号を格納するパケットを、予測される補完音声信号の客観評価値に応じて決めた重複レベルLd回数だけ繰り返し送信する。その場合、補完音声信号の作成は、隣接する少なくとも1つのフレームの音声波形からピッチ長の波形をコピーして、1フレーム長となるまで繰り返し貼り付ける例を説明した。
(1)図1と同様に少なくとも1つの隣接フレームから、そのピッチを検出してピッチ長の波形を切り出し、その波形に基づいて第1補完音声信号を作成する第1機能と、
(2)前記第1機能において隣接フレームの波形から検出したピッチを使用する代わりに、補助情報作成部30により検出した現フレームの音声信号のピッチパラメータを使用して隣接フレームの波形からピッチ長の波形を切り出して第2補完音声波形を作成する第2機能と、
(3)更に前記第2機能において補助情報作成部30で求めた現フレームの音声信号のパワーパラメータに基づいて前記合成した第2補完音声信号のパワーを調整し、現フレームの音声信号パワーと一致した第3補完音声波形を作成する第3機能、
を有している。
パケット作成部15は、重複レベルLdの値及び音質劣化レベルQL_1、QL_2、QL_3間の比較結果に基づいて、Ld個のパケットに現フレームの音声データを格納して送出するか、1つのパケットに現フレームの音声データを格納し、残りのLd−1個のパケットに同じ補助情報(ピッチパラメータ、又はピッチパラメータとパワーパラメータ)をそれぞれ格納して送信するかを判定し、判定結果に従ってパケットを作成し送信する。これらの処理については後でフローチャートを参照して説明する。
が計算される。ただし、入力音声信号が8kHzの場合、40≦k≦120として計算するとよい。ピッチパラメータ決定部305は自己相関係数R(k)がピークとなるkをピッチとして検出し、ピッチパラメータを出力する。
第1動作実施例
図29は図23の送信装置による第1の動作実施例を示す。ここでは図1で示した過去のフレームの波形とピッチ長を使用して補完音声信号Ext1を作成する場合と、現フレームのピッチと過去のフレームの波形を使って補完音声信号Ext2を作成する場合とを、音質劣化レベルによって選択する。ここで、補完音声作成部20には現フレームの入力音声信号に対し、補助情報作成部30で求めたピッチパラメータと、パワーパラメータと、現フレームの音声信号を符号化部11で符号化し、その符号化音声を復号化部12で復号化した復号音声信号とが与えられている。
ステップS1:補完音声作成部20により原音声信号(Org)と復号音声信号(Dec)からFw1=WSNR(Org,Dec)を計算し、原音声信号(Org)と第1補完音声信号(Com1)からFw2=WSNR(Org,Com1)を計算し、原音声信号(Org)と第2補完音声信号(Com2)からFw3=WSNR(Org,Com2)を計算する。
ステップS2:差分評価値Fd1=Fw1−Fw2とFd2=Fw1−Fw3を計算する。
ステップS3〜S9Bにおいては、差分評価値Fd1が図27のテーブルにおいてどの領域に属するか判定し、その領域に対応する重複レベルLdと音質劣化レベルQL_1の値をそれぞれ決定する。
ステップS10〜S16においては、差分評価値Fd2が図28のテーブルにおいてどの領域に属するか判定し、その領域に対応する音質劣化レベルQL_2の値を決定する。
ステップS17:音質劣化レベルQL_1がQL_2より小さいか、即ち、現フレームのピッチを用いて作成した補完音声信号Com2のほうが過去のフレームのピッチを用いて作成した補完音声信号Com1より音質劣化レベルが小さいか判定する。小さくない場合、即ち現フレームのピッチを使っても音質が改善されない場合、ステップS18でLd個のパケットすべてに現フレームの符号化音声データを格納して順次送信する。
ステップS19:音質劣化レベルQL_2がQL_1より小さければ、過去のフレームの音声信号だけで作成した補完音声信号Ext1より、現フレームの音声信号のピッチを使って過去のフレームの音声波形から切り出したピッチ長の波形により作成した補完音声信号Ext2のほうが音質が改善されるので、1個のパケットに現フレームの符号化音声データを格納し、Ld−1個のすべてのパケットにそれぞれ補助情報として現フレームのピッチパラメータを格納して送信する。
第2動作実施例
図30に第2動作実施例を示す。この動作例において、ステップS1〜S18は図29のステップS1〜S18とまったく同じであり、それ以降のステップが異なる。即ち、ステップS19で劣化レベル差Ndup1=QL_1−QL_2を補助情報(ピッチパラメータ)の重複数と決め、ステップS20でLd個のパケットのうち、Ndup1個のパケットに現フレームの補助情報(ここではピッチパラメータ)をそれぞれ格納し、残りのLd−Ndup1個のパケットにそれぞれ現フレームの符号化音声データを格納し、送信する。即ち、この動作例では、過去のフレームの音声データだけから補完音声信号を作成するよりも現フレームのピッチを使って作成したほうが音質劣化が少ない場合、その音質劣化の低減効果に応じて同一補助情報を送出するパケット重複数を変えることにより、同じ現フレームの符号化音声データを送出するパケットの重複数も相反的に変化できるようにしている。
第3動作実施例
図31,32に第3動作実施例を示す。この動作例では、第1及び第2動作例における第1及び第2補完音声信号Com1,Com2に加えて、更に現フレームのピッチパラメータとパワーパラメータを補助情報として使い、過去のフレームの波形から第3補完音声信号Com3を作成する。これに伴い、ステップS1では図30におけるステップS1におけるWSNRの計算に更に第4評価値Fw4=WSNR(Org,Com3)の計算が追加され、ステップS2では図30のステップS2におけるWSNR差分計算として更にFd3=Fw1−Fw4の計算が追加される。また、図30のステップS10〜S16によるFd2に対する音質劣化レベルQL_2の決定と同様なFd3に対する音質劣化レベルQL_3の決定ステップS110〜S116が追加されている。
第4動作実施例
第4動作実施例は第3動作実施例の変形であり、その前半のステップは第3動作実施例である図31のステップS1〜S16とまったく同じであり、図31を兼用するものとする。ステップS16より後の処理を図33のステップS110〜S23に示す。これらのうち、Fd3に対する音質劣化レベルQL_3を決めるステップS110〜S116も第3動作実施例の図32に示すステップS110〜S116と同様であり、更にステップS17,S18も同様である。
制御部53は、受信されたパケットが格納するデータと同じフレームに対するパケットがバッファ52に既に蓄積されているかチェックし、蓄積されてなければバッファ52に受信パケットを蓄積する。この処理の詳細は図36Aのフローを参照して後で詳述する。
補助情報抽出部81はそのパケットから現フレームの補助情報(ピッチパラメータ、又はピッチパラメータとパワーパラメータの組)を抽出し、補完音声作成部70の紛失信号生成部703に与える。補助情報が与えられると補助情報中の現フレームのピッチパラメータがピッチ切替部703Dを介して波形切り出し部703Bに与えられ、従って、波形切り出し部703Bは与えられた現フレームのピッチ長の波形を領域A1の音声波形から切り出し、それに基づいてフレーム波形合成部703Cにおいて1フレーム長の波形が合成され、補完音声信号として出力される。補助情報中に現フレームのパワーパラメータも含まれている場合は、フレーム波形合成部703Cはそのパワーパラメータにより、合成フレーム波形のパワーを調整し、補完音声信号として出力する。補完音声信号を作成した場合は、いずれも信号選択部704を介してメモリ702の領域A0に書き込む。
ステップS1Aでパケットが受信されたか判定し、受信されたならステップS2Aでその受信パケットが格納するデータのフレーム番号と同じフレーム番号のデータを格納するパケットがバッファ52内に既に存在するかチェックし、もし存在すればステップS3Aでバッファ内のそのパケットのデータが符号化音声データであるかチェックする。もし符号化音声データであれば、受信パケットは不要であり、ステップS4Aで受信パケットを破棄し、ステップS1Aに戻り次のパケットを待つ。
ステップS1Bでバッファ52に必要とする現フレームに対するパケットが存在するかチェックし、存在しなければパケットロスと判定してステップS2Bで紛失信号生成部703のピッチ検出部703Aにより過去のフレームからピッチを検出する。検出ピッチ長を使ってステップS3Bで過去のフレームの音声波形からピッチ長の波形を切り出し、1フレームの波形を合成し、ステップS7Bでその合成波形を補完音声信号としてメモリ702の領域A0に格納し、ステップS8Bで補完音声信号を出力してステップS1Bに戻り、次のフレームの処理を開始する。
前述の図6の例においては評価値計算部41は客観評価値として原音声信号のパワーPorgと、原音声信号と復号音声信号の差のパワーPdif1とから式(1)により求めた評価値Fw1と、原音声信号のパワーPorgと、原音声信号と補完音声信号の差のパワーPdif2とから式(2)により求めた評価値Fw2との2つの評価値を使用して重複レベルLdを決める例を示したが、図10に音質判定部40の他の例を示すように、復号音声信号と補完音声信号だけから客観評価値を求めてもよい。即ち、評価値計算部41では、復号音声信号のパワーPdecと、復号音声信号と補完音声信号の差のパワーPdif'とから評価値Fw’を次式
Fw’=10log(Pdec/Pdif') (3)
により求める。この場合、差のパワーPdif'が大きくなれば評価値Fw’が小さくなり、それだけ補完音声信号の音質が悪くなることを意味している。重複送信判定部42内のテーブルには例えば図11に示すように、評価値Fw’が2dB未満ではLd=1、2dB≦Fw’<10dBではLd=2,Fw’≧10dBではLd=3のように評価値Fw’に対し重複レベルLdを規定してある。このテーブルは予め実験に基づいて決めてある。
ステップS3:差分Fd=Fw1-Fw2を求める。
ステップS4:重複送信判定部42においてFd<2dBか判定し、2dBより小であればステップS5でLd=1と決め、そうでなければステップS6に移る。
ステップS6:2dB≦Fd<10dBであるか判定し、そうであればステップS7で図7のテーブルからLd=2と決め、そうでなければステップS8に移る。
ステップS11:パケット作成部15はLd個のパケットにそれぞれ同じ現フレームの音声データを格納し、順次送信する。
図1に示した音声パケット送信装置と対応する音声パケット受信装置の機能構成を図13に示す。受信装置は受信部50と、符号列構成部61と、復号化部62と、補完音声作成部70と、出力信号選択部63とから構成されている。受信部50はパケット受信部51と、バッファ52と、制御部53とから構成されている。制御部53はパケット受信部51で受信されたパケットが格納する音声データのフレーム番号と同じフレーム番号の音声データを格納したパケットが既にバッファ52に蓄積されているかチェックし、もし既に蓄積されていれば、受信パケットを破棄し、蓄積されてなければその受信パケットをバッファ52に蓄積する。
[第4実施形態]
前述の各実施形態では、送信側において現フレームの音声信号に対し、それに隣接する少なくとも1つのフレームから作成した補完音声信号の音質が規定より低い場合は、受信側においてそのフレームに対応するパケットの損失が生じた場合に隣接フレームから補完音声信号を作成しても、その音質が悪い。そこで、できるだけパケットロスが生じないよう、同じそのフレームの音声信号を格納するパケットを、予測される補完音声信号の客観評価値に応じて決めた重複レベルLd回数だけ繰り返し送信する。その場合、補完音声信号の作成は、隣接する少なくとも1つのフレームの音声波形からピッチ長の波形をコピーして、1フレーム長となるまで繰り返し貼り付ける例を説明した。
Claims (13)
- 入力音声信号をフレームごとにパケットにより送信する音声パケット送信方法であって、
(a)現処理フレームと隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号から現処理フレームの音声信号に対する補完音声信号を作成するステップと、
(b)前記補完音声信号の音質評価値を計算するステップと、
(c)前記音質評価値に基づき、補完音声信号の音質が悪いほど段階的に大となる整数値の1以上の重複レベルを決めるステップと、
(d)前記重複レベルにより指定される数だけ、前記現フレームの音声信号についてのパケットを作成するステップと、
(e)前記作成されたパケットをネットワークに送信するステップ、
とを含む音声パケット送信方法。 - 請求項1記載の音声パケット送信方法において、
前記ステップ(b)は前記入力音声信号と前記補完音声信号とから前記音質評価値を計算するステップであり、
前記ステップ(d)は、前記現フレームの入力音声信号をそのままパケットに作成するステップを含む。 - 請求項1記載の音声パケット送信方法において、
前記ステップ(a)は、前記入力音声信号を符号化して符号列を生成するステップと、前記符号列を復号化して復号音声信号を生成するステップとを含み、
前記ステップ(b)は、前記入力音声信号と前記復号音声信号から第1音質評価値を計算するステップと、前記入力音声信号と前記補完音声信号とから第2音質評価値を計算するステップとを含み、
前記ステップ(c)は、前記第1音質評価値と前記第2音質評価値に基づき前記重複レベルを求めるステップを含む。 - 請求項1記載の音声パケット送信方法において、
前記ステップ(a)は、
(a−1)前記現フレームの音声信号の特徴パラメータである少なくともピッチパラメータを含む補助情報を作成するステップと、
(a−2)前記少なくとも1つの隣接フレームの音声信号から、その音声信号のピッチを有する第1の補完音声信号を作成するステップと、
(a−3)前記補助情報中の少なくともピッチパラメータを使用して前記少なくとも1つの隣接フレームの音声信号から第2の補完音声信号を作成するステップ、
とを含み、
前記ステップ(b)は、前記第1補完音声信号の第1音質評価値を求めるステップと、前記第2補完音声信号の第2音質評価値を求めるステップとを含み、
前記ステップ(c)は、前記第1音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる前記重複レベルと第1音質劣化レベルを決めるステップと、前記第2音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる第2音質劣化レベルを決めるステップとを含み、
前記ステップ(d)は、前記第2音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さくないときは前記現フレームの音声信号のパケットを前記重複レベル数だけ作成し、前記第2音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さいときは、前記現フレームの音声信号のパケットを1個以上と、前記補助情報のパケットを1個以上とを合計で前記重複レベルと同数だけ作成するステップを含み、
前記ステップ(e)は、前記現フレームについて前記合計で重複レベルと同数のパケットを送信するステップである。 - 請求項4記載の音声パケット送信方法において、
前記ステップ(c)は、更に前記第1音質劣化レベルと前記第2音質劣化レベルの差を補助情報重複数として計算するステップを含み、
前記ステップ(d)は、前記第2音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さくないときに、前記補助情報のパケットを前記補助情報重複数だけ作成する。 - 請求項1記載の音声パケット送信方法において、
前記ステップ(a)は、
(a−1)前記現フレームの音声信号の特徴パラメータであるピッチパラメータとパワーパラメータを含む補助情報を作成するステップと、
(a−2)前記少なくとも1つの隣接フレームの音声信号から、その音声信号のピッチを有する第1の補完音声信号を作成するステップと、
(a−3)前記補助情報中のピッチパラメータを使用して前記少なくとも1つの隣接フレームの音声信号から第2の補完音声信号を作成するステップと、
(a−4)前記補助情報中の前記ピッチパラメータと前記パワーパラメータとを使って前期少なくとも1つの隣接フレームの音声信号から第3の補完音声信号を作成するステップ、
とを含み、
前記ステップ(b)は、前記第1補完音声信号の第1音質評価値を求めるステップと、前記第2補完音声信号の第2音質評価値を求めるステップと、前記第3補完音声信号の第3音質評価値を求めるステップとを含み、
前記ステップ(c)は、
(c−1)前記第1音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる前記重複レベルと第1音質劣化レベルを決めるステップと、
(c−2)前記第2音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる第2音質劣化レベルを決めるステップと、
(c−3)前記第3音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる第3音質劣化レベルを決めるステップ、
とを含み、
前記ステップ(d)は、前記第2及び第3音質劣化レベルのうち小さい方が前記第1音質劣化レベルより小さくないときは、前記現フレームの音声信号のパケットを前記重複レベル数だけ作成するステップと、
前記第2及び第3音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さいときは、前記第3音質劣化レベルが前記第2音質劣化レベルより小さくなければ前記現フレームの音声信号のパケットを1個以上と、前記ピッチパラメータのパケットを1個以上とを合計で前記重複レベル数だけ作成し、前記第3音質劣化レベルが前記第2音質劣化レベルより小さければ、前記現フレームの音声信号のパケットを1個以上と、前記ピッチパラメータと前記パワーパラメータを含む補助情報のパケットを1個以上とを合計で前記重複レベルと同数だけ作成するステップとを含み、
前記ステップ(e)は、前記現フレームについて前記合計で重複レベルと同数のパケットを送信するステップである。 - 請求項6記載の音声パケット送信方法において、
前記ステップ(c)は、更に前記第1音質劣化レベルと前記第2音質劣化レベルの差を第1補助情報重複数として計算するステップと、前記第1音質劣化レベルと前記第3音質劣化レベルの差を第2補助情報重複数として計算するステップとを含み、
前記ステップ(d)は、前記第3音質劣化レベルが前記第2音質劣化レベルより小さくないときに、前記ピッチパラメータのパケットを前記第1補助情報重複数だけ作成し、前記第3音質劣化レベルが前記第2音質劣化レベルより小さいときは、前記ピッチパラメータと前記パワーパラメータを含む補助情報のパケットを前記第2補助情報重複数だけ作成する。 - 入力音声信号をフレームごとにパケットにより送信する音声パケット送信装置であって、
現フレームと隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号からから現フレームに対する補完音声信号を作成する補完音声作成部と、
少なくとも前記補完音声信号が入力され、その補完音声信号の音質評価値を計算する評価値計算部と、
前記音質評価値に基づき補完音声信号の音質が悪いほど段階的に大となる整数値の重複レベルを決める重複送信判定部と、
前記重複レベルにより指定される数だけ、前記現フレームの音声信号についてのパケットを作成するパケット作成部と、
前記作成された音声パケットをネットワークに送信する送信部、
とを含む音声パケット送信装置。 - 請求項8記載の音声パケット送信装置は、更に前記現フレームの入力音声を符号化し、符号化音声を得る符号化部と、前記符号化音声を復号化して復号音声を得る復号化部とを含み、前記補完音声作成部は前記現フレームと隣接する少なくとも1つのフレームの前記復号音声を使って前記補完音声を作成する。
- 請求項8記載の音声パケット送信装置は、更に前記現フレームの音声信号のピッチパラメータを補助情報として作成する補助情報作成部を含み、
前記補完音声作成部は前記現フレームに隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号のみから第1補完音声を作成し、前記現フレームの前記ピッチパラメータを使って前記隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号から第2補完音声を作成し、
前記音質評価値計算部は前記第1補完音声の第1音質評価値と、前記第2補完音声の第2音質評価値を求め、前記重複送信判定部は前記第1音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる前記重複レベルと第1音質劣化レベルを決め、前記第2音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる第2音質劣化レベルを決め、
前記パケット作成部は前記第2音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さくないときは前記現フレームの音声信号のパケットを前記重複レベル数だけ作成し、前記第2音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さいときは、前記現フレームの音声信号のパケットを1個以上と、前記補助情報のパケットを1個以上とを合計で前記重複レベル数と同数だけ作成する。 - 請求項8記載の音声パケット送信装置は、更に前記現フレームの音声信号のピッチパラメータとパワーパラメータを補助情報として作成する補助情報作成部を含み、
前記補完音声作成部は前記現フレームに隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号のみから第1補完音声を作成し、前記現フレームのピッチパラメータを使って前記隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号から第2補完音声を作成し、前記現フレームのピッチパラメータとパワーパラメータとを使って前記隣接する少なくとも1つのフレームの音声信号から第3補完音声を作成し、
前記音質評価値計算部は前記第1補完音声の第1音質評価値と、前記第2補完音声の第2音質評価値と、前記第3補完音声の第3音質評価値とを求め、
前記重複送信判定部は前記第1音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる前記重複レベルと第1音質劣化レベルを決め、前記第2音質評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる第2音質劣化レベルを決め、前記第3温室評価値に基づいて音質が悪いほど段階的に大となる第3音質劣化レベルを決め、
前記パケット作成部は、前記第2及び第3音質劣化レベルのうち小さい方が前記第1音質劣化レベルより小さくないときは、前記現フレームの音声信号のパケットを前記重複レベル数だけ作成し、前記第2及び第3音質劣化レベルが前記第1音質劣化レベルより小さいときは、前記第3音質劣化レベルが前記第2音質劣化レベルより小さくなければ前記現フレームの音声信号のパケットを1個以上と、前記ピッチパラメータのパケットを1個以上とを合計で前記重複レベル数だけ作成し、前記第3音質劣化レベルが前記第2音質劣化レベルより小さければ、前記現フレームの音声信号のパケットを1個以上と、前記ピッチパラメータと前記パワーパラメータを含む補助情報のパケットを1個以上とを合計で前記重複レベル数と同数だけ作成する。 - 請求項1記載の音声パケット送信方法をコンピュータで実行可能なプログラム。
- 請求項1に記載した音声パケット送信方法をコンピュータで実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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