本発明は、無線通信端末装置が受信した下りマルチキャリア信号の受信品質を基地局装置に報告する方法に関し、さらにはその方法で使用される無線通信端末装置及び基地局装置に関する。
従来、3GPP(3rd Generation Partnership Project)のHSDPA(High−Speed Downlink Packet Access)においては、下り回線高速パケット伝送のために、基地局装置が伝搬路状況に応じて無線通信端末装置の使用する変調方式を適応的に制御する適応変調と、基地局装置が伝搬路状況の比較的良い無線通信端末装置を選択して信号を送信するスケジューリングと、が用いられている。また、beyond 3G移動通信システムの伝送方式として検討されているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やMC−CDMA(Multi Carrier−Code Division Multiple Access)等のマルチキャリア伝送方式では、多数のサブキャリアを用いることによって高速伝送を実現する。
これらのマルチキャリア伝送方式では、適応変調やスケジューリングをマルチキャリア信号のサブキャリア毎に行なうため、無線通信端末装置が基地局装置に瞬時の各サブキャリアのチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)を報告する必要がある。従って、適応変調やスケジューリングを行うマルチキャリア伝送システムでは、複数の無線通信端末装置はそれぞれ、下りマルチキャリア信号における全サブキャリア分のCQIを基地局装置に報告し、その報告を受けた基地局装置は、各無線通信端末装置からのCQIを考慮しつつ所定のスケジューリングアルゴリズムを用いて、各無線通信端末装置に送信する下りマルチキャリア信号におけるサブキャリア、変調方式及び符号化率を決定する。
このようなマルチキャリア伝送システムにおいて基地局装置が複数の無線通信端末装置に対して下りマルチキャリア信号を同時に送信する場合には、その基地局装置は、全ての無線通信端末装置から送信されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリア別のCQIを用いて周波数スケジューリングを行ない、複数の無線通信端末装置それぞれに対して伝搬路状況が比較的良好な下りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てて、その伝搬路状況において所定のパケット誤り率が満たされるような変調方式と符号化率を決定する。
ここで、適応変調やスケジューリングを行うマルチキャリア伝送システムにおいて、例えば下りマルチキャリア信号が64本のサブキャリアで構成される場合には、無線通信端末装置はそれぞれ、64個のCQIを基地局装置に報告することになる。さらに、64個のCQIがそれぞれ5ビットで表記されるとすれば、無線通信端末装置はそれぞれ、下りマルチキャリア信号毎に64個×5ビット=320ビットの受信品質データを一つの上りマルチキャリア信号で基地局装置に送信することになる。
原 川端 段 関口,「周波数スケジューリングを用いたMC−CDM方式」,信学技報,2002年7月,RCS2002−129,pp.61−pp.66
しかしながら、上記従来の無線通信端末装置では、基地局装置に送信するCQIのデータ量が膨大になるため、上り回線におけるチャネルリソースの多くがCQIの送信に費やされてしまい、上り回線のスループットが著しく低下してしまう、或いはその消費電力が大きくなるため、バッテリー電力を短期間で消耗してしまうという問題がある。
本発明の目的は、上り回線で基地局装置に送信される受信品質データのデータ量を削減して上り回線のスループットを改善させる受信品質報告方法、並びにこの受信品質報告方法において使用される基地局装置及び消費電力の小さい無線通信端末装置を提供することである。
本発明に係る受信品質報告方法は、マルチキャリア信号を受信する受信ステップと、前記マルチキャリア信号の受信品質をサブキャリア単位で測定する測定ステップと、前記測定ステップにおけるサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とを対比して対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データを生成する生成ステップと、生成された複数の前記受信品質データの中からデータ量の最も少ない前記受信品質データを選択する選択ステップと、選択された前記受信品質データを送信する送信ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、サブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とが対比され、その対比結果がフォーマット変換されることにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、これらの受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されて上り回線で基地局装置に送信されるため、受信品質データの送信に費やされていた上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データ又は前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値未満である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データの少なくとも一方と、を含むようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、マルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信品質と所定の閾値との対比結果をサブキャリア番号順にビット表記した第1の受信品質データと、その対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上又は未満であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2又は第3の受信品質データと、がそれぞれ生成されるため、簡素な手法によって信号処理量の増加を抑制しつつ、下りマルチキャリア信号についてデータ量の異なる複数の受信品質データを生成することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、を含むものであって、さらに、前記マルチキャリア信号によって通信を行う他の無線通信端末装置の数が増えたときには、前記生成ステップにおける前記閾値を増加させる一方、前記他の無線通信端末装置の数が減ったときには、前記閾値を減少させる閾値調節ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、無線通信端末装置の数が増えたときには、選択ステップにおいて第2の受信品質データが選択され易くなるため、無線通信端末装置の増加に伴って無線通信端末装置それぞれの占有できる上り回線のチャネルリソースが少なくなっても、無線通信端末装置それぞれが受信品質データの送信に使用する上り回線のチャネルリソースを削減できることから、無線通信端末装置それぞれについて上り回線のスループットを改善することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値未満である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、を含むものであって、さらに、前記マルチキャリア信号によって通信を行う他の無線通信端末装置の数が増えたときには、前記生成ステップにおける前記閾値を増加させる一方、前記他の無線通信端末装置の数が減ったときには、前記閾値を減少させる閾値調節ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、無線通信端末装置の数が増えたときには、選択ステップにおいて第2の受信品質データが選択され易くなり、一方で無線通信端末装置の数が減ったときには、選択ステップにおいて第3の受信品質データが選択され易くなるため、無線通信端末装置の数の増減に関わらず、第1の受信品質データよりも第2の受信品質データ又は第3の受信品質データが選択され易くなることから、上り回線のスループットを常に改善することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記第1の受信品質データ、前記第2の受信品質データ又は前記第3の受信品質データは、ビット表記されたそれぞれ異なる識別番号を先頭又は後尾の少なくとも一方に具備するようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、第1〜第3の受信品質データがそれぞれビット表記された異なる識別番号を先頭及び後尾の少なくとも一方に具備するため、基地局装置において受信品質データのフォーマットを容易に判定できるようになる。
本発明に係る受信品質報告方法は、下りマルチキャリア信号を受信した複数の無線通信端末装置が前記下りマルチキャリア信号を送信した基地局装置に前記下りマルチキャリア信号の受信品質を報告する受信品質報告方法であって、前記基地局装置が複数の前記無線通信端末装置に前記下りマルチキャリア信号を送信する下り送信ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記下りマルチキャリア信号を受信する下り受信ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記下りマルチキャリア信号の受信品質をサブキャリア単位で測定する測定ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記測定ステップにおけるサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とを対比して対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データを生成する生成ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが生成された複数の前記受信品質データの中からデータ量の最も少ない前記受信品質データを選択する選択ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報を抽出する抽出ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記抽出ステップで抽出された前記制御情報によって指定されたサブキャリアに前記選択ステップで選択された前記受信品質データを割り当てて上りマルチキャリア信号を作成する上り信号作成ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが作成された前記上りマルチキャリア信号を前記基地局装置に送信する上り送信ステップと、前記基地局装置が複数の前記無線通信端末装置それぞれから送信された前記上りマルチキャリア信号を受信する上り受信ステップと、前記基地局装置が受信した前記上りマルチキャリア信号に含まれる前記受信品質データそれぞれのフォーマットを判定する判定ステップと、前記基地局装置が、判定された前記受信品質データそれぞれのフォーマットに応じて、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記上り信号作成ステップで前記受信品質データに割り当てるサブキャリアを指定する前記制御情報を作成する制御情報作成ステップと、前記基地局装置が前記制御情報を含む前記下りマルチキャリア信号を作成する下り信号作成ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、下りマルチキャリア信号のサブキャリア単位の受信品質の測定結果と所定の閾値との対比結果がフォーマット変換されることにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、これらの受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されて上り回線で基地局装置に送信されるため、受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。また、この方法によれば、基地局装置が、複数の無線通信端末装置それぞれに対して下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用する上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、複数の無線通信端末装置が同一周波数のサブキャリアを使用してしまうことを回避して、伝搬路での衝突によって受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、を含むものであって、前記制御情報作成ステップにおいて、前記基地局装置が、前記判定ステップで前記上りマルチキャリア信号に前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データとが含まれていると判定した場合には、前記上り送信ステップで前記第1の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置よりも、前記上り送信ステップで前記第2の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置に対して優先的に前記制御情報を作成する、ようにした。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値未満である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、を含むものであって、前記制御情報作成ステップにおいて、前記基地局装置が、前記判定ステップで前記上りマルチキャリア信号に前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データ又は前記第3の受信品質データの少なくとも一方とが含まれていると判定した場合には、前記上り送信ステップで前記第1の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置よりも、前記上り送信ステップで前記第2の受信品質データ又は前記第3の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置に対して優先的に前記制御情報を作成する、ようにした。
これらの方法によれば、前記発明による効果に加えて、基地局装置が、第1の受信品質データを送信した無線通信端末装置よりも、第2又は第3の受信品質データを送信した無線通信端末装置に対して優先的に、その第2又は第3の受信品質データによって示された下りマルチキャリア信号における受信品質が所定の閾値以上のサブキャリアを次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用するように指示する。そのため、これらの方法によれば、基地局装置は、第1の受信品質データよりもデータ量の少ない第2又は第3の受信品質データを再度送信してくる可能性の高い無線通信端末装置に優先的に上りマルチキャリア信号のサブキャリアを使用させることになるため、無線通信システム全体での上り回線のスループットを一層高めることができる。さらに、これらの方法によれば、基地局装置が、第2又は第3の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置に対して、その下りマルチキャリア信号の受信品質データに示された受信品質の良いサブキャリアで次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データを送信してくるように指示するため、次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データについて基地局装置が第2又は第3の受信品質データの識別番号を誤って判定してしまう確率を低下させることができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、ビット表記による第1の識別番号を具備し、かつ、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、ビット表記による第2の識別番号を具備し、かつ、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、を含むものであって、前記生成ステップにおいて、複数の前記無線通信端末装置それぞれが、前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データとのデータ量が同じ場合には、前記第2の受信品質データに前記第2の識別番号を複数個付加して、前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データとのデータ量に差を形成する、ようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、第1の受信品質データと第2の受信品質データとのデータ量が同じ場合には、第2の受信品質データのデータ量を増やすことにより、第1の受信品質データと第2の受信品質データとのデータ量に差を形成するため、第1の受信品質データと第2の受信品質データとのデータ量が同じ場合には、無線通信端末装置が基地局装置に第1の受信品質データを送信するようになる。そのため、この方法によれば、基地局装置は、フォーマットの単純な第1の受信品質データから受信品質の良いサブキャリアを直接的に知得できるため、判定ステップにおける信号処理の負荷を軽減することができる。また、この方法によれば、伝搬路状況や生成ステップで使用される閾値の大きさに関わらず第1の受信品質データのデータ量が常に一定であることから、無線通信端末装置から基地局装置に第2又は第3の受信品質データが送信される場合よりも、判定ステップにおける受信品質データのフォーマットの判定において、その誤り率を低下させることができる。
本発明に係る無線通信端末装置は、下りマルチキャリア信号を受信する受信手段と、前記下りマルチキャリア信号の受信品質をサブキャリア単位で測定する測定手段と、前記測定手段によるサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とを対比し、対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データを生成する生成手段と、生成された複数の前記受信品質データの中からデータ量の最も少ない前記受信品質データを選択する選択手段と、選択された前記受信品質データを含む上りマルチキャリア信号を送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、生成手段によって下りマルチキャリア信号のサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値との対比結果がフォーマット変換されて、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、選択手段によって生成された複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択され、送信手段によって選択された下りマルチキャリア信号の受信品質データが上りマルチキャリア信号で基地局装置に送信されるため、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
本発明に係る基地局装置は、前記発明に係る無線通信端末装置と無線通信を行う基地局装置であって、複数の前記無線通信端末装置に対して下りマルチキャリア信号を送信する送信手段と、複数の前記無線通信端末装置から送信されてくる前記下りマルチキャリア信号の受信品質を示す受信品質データを含む上りマルチキャリア信号を受信する受信手段と、前記上りマルチキャリア信号に含まれる前記受信品質データのフォーマットを前記無線通信端末装置毎に判定する判定手段と、判定されたフォーマットに応じて前記無線通信端末装置に割り当てるサブキャリアを決定する割当決定手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、割当決定手段が、複数の無線通信端末装置それぞれに対して、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、複数の無線通信端末装置が上りマルチキャリア信号において同一周波数のサブキャリアを使用してしまうことを回避して、伝搬路での衝突によって下りマルチキャリア信号の受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
本発明によれば、下りマルチキャリア信号のサブキャリア単位の受信品質の測定結果と所定の閾値との対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、生成された複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されて上りマルチキャリア信号で基地局装置に送信されるため、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図
実施の形態1における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データそれぞれのデータ量との関係の一例を示す図
本発明の実施の形態1に係る受信品質報告方法を説明するフロー図
本発明の実施の形態2に係る無線通信端末装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係る受信品質報告方法を説明するフロー図
実施の形態2における基地局装置と同時通信を行う無線通信端末装置の数に対する閾値Tの設定例を示す図
実施の形態2における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データそれぞれのデータ量との関係の一例を示す図
実施の形態2における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データそれぞれのデータ量との関係の一例を示す図
以下に、本発明に係る実施の形態について、適宜図を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1では、複数の無線通信端末装置と基地局装置とで構成される無線通信システムにおいてOFDM方式の無線通信が行われるものとし、また基地局装置が無線通信端末装置それぞれの使用する上りマルチキャリア信号(OFDM信号)の周波数即ちサブキャリアを指定することにより、基地局装置と複数の無線通信端末装置との同時通信が可能になるものとする。
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置100の構成を示すブロック図である。無線通信端末装置100は、アンテナ素子101、無線受信部102、S/P変換部103、126、FFT部104、データ抽出部105、復調部106、復号部107、パイロット信号抽出部108、受信品質測定部109、受信品質データ生成選択部110、符号化部121、123、変調部122、124、マッピング部125、IFFT部127、無線送信部128及び制御情報処理部150を具備する。また、制御情報処理部150は、制御情報抽出部151、復調部152及び復号部153を具備する。
アンテナ素子101は、後述する基地局装置200から送信されてくる下りマルチキャリア信号を捕捉して無線受信部102に入力すると伴に、無線送信部128から送信されてくる上りマルチキャリア信号を基地局装置200に向けて無線送信する。
無線受信部102は、バンドパスフィルタ、A/D変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、アンテナ素子101から入力されてくる下りマルチキャリア信号に雑音の除去、増幅及びガードインターバルの除去等の所定の受信信号処理を施した後に、受信信号処理された下りマルチキャリア信号をS/P変換部103に入力する。
S/P変換部103は、無線受信部102から入力されてくる下りマルチキャリア信号を複数のパラレル信号に変換し、変換後のパラレル信号をFFT部104に入力する。
FFT部104は、S/P変換部103から入力されてくる複数のパラレル信号にフーリエ変換処理等を施した後にシリアル信号に変換して、シリアル信号に変換された下りマルチキャリア信号をデータ抽出部105とパイロット信号抽出部108と制御情報抽出部151とにそれぞれ入力する。
データ抽出部105は、FFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号から、基地局装置200によって無線通信端末装置100に割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアに対応する区間を抽出し、抽出された区間の下りマルチキャリア信号を復調部106に入力する。なお、無線通信端末装置100に割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアは、後述する制御情報処理部150によって知得され、制御情報処理部150における復号部153からデータ抽出部105に通知される。
復調部106は、データ抽出部105から入力されてくる下りマルチキャリア信号の抽出された区間を復調して、復調後の下りマルチキャリア信号を復号部107に入力する。
復号部107は、復調部106から入力されてくる復調後の下りマルチキャリア信号を復号して下り受信データを生成する。そして、復号部107は、生成した下り受信データを図示しないベースバンド部等に入力する。
パイロット信号抽出部108は、FFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号からパイロット信号を抽出して、抽出されたパイロット信号を受信品質測定部109に入力する。
受信品質測定部109は、パイロット信号抽出部108から入力されてくる下りマルチキャリア信号に含まれるパイロット信号の受信SIR(Signal to Interference Ratio:信号電力対干渉電力比)を測定することにより、下りマルチキャリア信号を構成する全てのサブキャリアについてサブキャリア毎の受信SIR即ち受信品質を測定する。そして、受信品質測定部109は、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値を全て受信品質データ生成選択部110に入力する。
受信品質データ生成選択部110は、受信品質測定部109から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値と予め設定された閾値Tとをサブキャリア毎に対比して、この対比結果をサブキャリア番号順にビット表記した第1の受信品質データを先ず生成し、続いてこの第1の受信品質データをフォーマット変換することにより、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が閾値T以上であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が閾値T未満であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、を生成する。なお、これら第1〜第3の受信品質データの生成過程やデータ構造については、後に詳述する。また、受信品質データ生成選択部110は、生成された第1〜第3の受信品質データのデータ量を比較して、データ量の最も少ない下りマルチキャリア信号の受信品質データを選択し、選択された下りマルチキャリア信号の受信品質データにそのフォーマットを示す識別番号を付加して、その識別番号を付加された下りマルチキャリア信号の受信品質データを符号化部121に入力する。
符号化部121は、受信品質データ生成選択部110から入力されてくる下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのいずれかを予め設定された方式で符号化し、その符号化された下りマルチキャリア信号の受信品質データを変調部122に入力する。
変調部122は、符号化部121から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データを所定の変調方式で変調し、変調された下りマルチキャリア信号の受信品質データをマッピング部125に入力する。
符号化部123は、図示しないベースバンド部から入力されてくる上り送信データを予め設定された方式で符号化し、符号化された上り送信データを変調部124に入力する。
変調部124は、符号化部123から入力されてくる上り送信データを所定の変調方式で変調し、変調された上り送信データをマッピング部125に入力する。
マッピング部125は、変調部122から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データと、変調部124から入力されてくる上り送信データと、に対して、後述するIFFT部127による逆フーリエ変換処理等が施された後に、それらのデータが制御情報処理部150から通知された上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報(制御情報)の内容通りに配置されるようにマッピングを行う。また、マッピング部125は、マッピングされた下りマルチキャリア信号の受信品質データと上り送信データとをS/P変換部126に入力する。
S/P変換部126は、マッピング部125から入力されてくるマッピングされた下りマルチキャリア信号の受信品質データと上り送信データとをパラレル信号に変換し、そのパラレル信号をIFFT部127に入力する。
IFFT部127は、S/P変換部126から入力されてくるパラレル信号に逆フーリエ変換等を施した後にシリアル信号に変換することにより、上りマルチキャリア信号を作成する。また、IFFT部127は、作成した上りマルチキャリア信号を無線送信部128に入力する。
無線送信部128は、バンドパスフィルタ、D/A変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、IFFT部127から入力されてくる上りマルチキャリア信号にガードインターバルを挿入し、さらに増幅や周波数選択等の所定の送信信号処理を施した後に、この上りマルチキャリア信号をアンテナ素子101を介して基地局装置200に無線送信する。
制御情報処理部150は、基地局装置200から送信されてくる下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報に所定の受信信号処理を行う。具体的には、制御情報処理部150では、先ず制御情報抽出部151がFFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号から制御情報用に割り当てられているサブキャリアを抽出し、続いて復調部152が制御情報抽出部151によって抽出されたサブキャリアの信号を所定の方式で復調し、続いて復号部153が復調部152によって復調された信号を予め設定された方式で復号して制御情報を生成する。ここで、生成された制御情報には、基地局装置200が下りマルチキャリア信号において無線通信端末装置100(自局)に割り当てたサブキャリアを示す情報と、基地局装置200が上りマルチキャリア信号において自局に割り当てたサブキャリアを示す情報と、が含まれる。そして、制御情報処理部150は、基地局装置200が下りマルチキャリア信号において自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をデータ抽出部105に入力すると伴に、基地局装置200が上りマルチキャリア信号において自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をマッピング部125に入力する。
一方で、図2は、本実施の形態に係る基地局装置200の構成を示すブロック図である。基地局装置200は、複数の端末応答部210、上りサブキャリア(SC)割当決定部221、下りSC割当決定部222、マッピング部223、S/P変換部224、231、IFFT部225、無線送信部226、アンテナ素子227、無線受信部228及びFFT部232を具備する。
端末応答部210は、基地局装置200と同時通信可能な無線通信端末装置100の最大数と同数設けられ、その使用に際して都度対応する(担当する)無線通信端末装置100が決定される。また、端末応答部210はそれぞれ、符号化部211、変調部212、復調部213、復号部214、受信品質データ抽出部215、フォーマット判定部216、パイロット信号抽出部217及び受信品質測定部218を具備する。なお、図2では、端末応答部210にそれぞれ1〜nの枝番を付して区別できるように表記しているが、端末応答部210−1〜210−nは同じ機能を発揮するものであるため、それらの機能等を説明する際には、枝番を省略する場合がある。
アンテナ素子227は、複数の無線通信端末装置100から送信されてくる上りマルチキャリア信号を捕捉して、無線受信部228に入力すると伴に、無線送信部226から入力されてくる下りマルチキャリア信号を複数の無線通信端末装置100に向けて無線送信する。
無線受信部228は、バンドパスフィルタ、A/D変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、アンテナ素子227から入力されてくる上りマルチキャリア信号に対して雑音の除去、増幅及びガードインターバルの除去等の所定の受信信号処理を施した後に、受信信号処理された上りマルチキャリア信号をS/P変換部231に入力する。
S/P変換部231は、無線受信部228から入力されてくる上りマルチキャリア信号を複数のパラレル信号に変換し、変換後のパラレル信号をFFT部232に入力する。
FFT部232は、S/P変換部231から入力されてくる複数のパラレル信号にフーリエ変換処理等を施した後にシリアル信号に変換して、シリアル信号に変換された上りマルチキャリア信号を端末応答部210−1〜210−nにおける復調部213−1〜213−nとパイロット信号抽出部217−1〜217−nにそれぞれ入力する。
復調部213−1〜213−nはそれぞれ、FFT部232から入力されてくる上りマルチキャリア信号の中から対応する無線通信端末装置100に係る区間のみを抽出し、抽出された区間の上りマルチキャリア信号を予め設定された方式で復調する。また、復調部213は、復調された上りマルチキャリア信号を復号部214に入力する。
復号部214は、復調部213から入力されてくる区間の上りマルチキャリア信号に所定の復号処理を施して上り受信データを生成し、生成された上り受信データを受信品質データ抽出部215と図示しないベースバンド部等とにそれぞれ入力する。
受信品質データ抽出部215は、復号部214から入力されてくる上り受信データの中から下りマルチキャリア信号の受信品質データを抽出する。そして、受信品質データ抽出部215は、抽出した下りマルチキャリア信号の受信品質データをフォーマット判定部216に入力する。
フォーマット判定部216は、受信品質データ抽出部215から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データに付加された識別番号を参照してそのフォーマットを判定する、即ちその信号が第1〜第3の受信品質データのいずれであるかを判定する。そして、フォーマット判定部216は、その判定結果を上りSC割当決定部221に入力すると伴に、下りマルチキャリア信号の受信品質データを下りSC割当決定部222に入力する。
パイロット信号抽出部217−1〜217−nはそれぞれ、FFT部232から入力されてくる上りマルチキャリア信号の中から対応する無線通信端末装置100に係る区間のみを抽出し、さらに抽出された区間の上りマルチキャリア信号からパイロット信号を抽出して、抽出された上りマルチキャリア信号のパイロット信号を受信品質測定部218−1〜218−nに入力する。
受信品質測定部218は、パイロット信号抽出部217から入力されてくる上りマルチキャリア信号に含まれるパイロット信号の受信SIRを測定することにより、上りマルチキャリア信号を構成する全てのサブキャリアについてサブキャリア毎の受信SIR即ち受信品質を測定する。そして、受信品質測定部218は、上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値を上りSC割当決定部221に入力する。
上りSC割当決定部221は、フォーマット判定部216−1〜216−nから入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データのフォーマットの判定結果と、受信品質測定部218−1〜218−nから入力されてくる上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRと、を用いて、無線通信端末装置100それぞれに割り当てる上りマルチキャリア信号のサブキャリアを決定する。この上りマルチキャリア信号のサブキャリアの割り当てにおいては、第2又は第3の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100に、第1の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100よりも優先してサブキャリアを割り当てる。この理由については後述する。また、上りSC割当決定部221は、無線通信端末装置100それぞれに割り当てた上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報を符号化部211−1〜211−nに入力する。
下りSC割当決定部222は、フォーマット判定部216−1〜216−nそれぞれから入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データに基づいて、無線通信端末装置100それぞれの下りマルチキャリア信号における受信品質の良いサブキャリアを把握し、下りマルチキャリア信号においてその受信品質の良いサブキャリアを無線通信端末装置100それぞれに割り当てることを決定する。ここで、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの割り当ての方法として、MaxCIR法やProportional Fairness法などの公知のアルゴリズムが例示される。また、下りSC割当決定部222は、無線通信端末装置100それぞれに割り当てた下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報をマッピング部223と符号化部211−1〜211−nとにそれぞれ入力する。なお、下りSC割当決定部222は、無線通信端末装置100における制御情報処理部150が割り当てられたサブキャリアを知得し、さらに制御情報処理部150がその内容をデータ抽出部105に通知した後に、情報抽出部105が対応するサブキャリアを抽出するまでのタイムラグを考慮して、割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報が下り送信データよりもある程度前に無線通信端末装置100に向けて無線送信されるように調節する。
符号化部211は、上りSC割当決定部221から入力されてくる上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、下りSC割当決定部222から入力されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、から制御情報を生成する。また、符号化部211は、生成した制御情報と図示しないベースバンド部等から入力されてくる下り送信データとに予め設定された方式で符号化処理を施した後に、符号化処理された制御情報と下り送信データとを変調部212に入力する。
変調部212は、符号化部211から入力されてくる制御情報と下り送信データとに所定の方式で変調処理を施した後に、変調された下り送信信号をマッピング部223に入力する。
マッピング部223は、変調部212−1〜212−nから入力されてくる変調された下り送信信号を、後述するIFFT部225における逆フーリエ変換処理等の後に下りSC割当決定部222から入力されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報に示されたサブキャリアに配置されるようにマッピングする。そして、マッピング部223は、マッピングした信号をS/P変換部224に入力する。
S/P変換部224は、マッピング部223から入力されてくるマッピングされた信号をパラレル信号に変換し、変換されたパラレル信号を全てIFFT部225に入力する。
IFFT部225は、S/P変換部224から入力されてくるパラレル信号に逆フーリエ変換等の信号処理を施した後にシリアル信号に変換することにより、下りマルチキャリア信号を作成し、作成された下りマルチキャリア信号を無線送信部226に入力する。
無線送信部226は、バンドパスフィルタ、D/A変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、IFFT部225から入力されてくる下りマルチキャリア信号にガードインターバルを挿入し、さらに増幅や周波数選択等の所定の送信信号処理を施した後に、この所定の送信信号処理を施された下りマルチキャリア信号をアンテナ素子227を介して複数の無線通信端末装置100に向けて無線送信する。
図3に、受信品質測定部109による下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と、第1〜第3の受信品質データそれぞれのフォーマットと、の一例を示す。図3に示す例では、下りマルチキャリア信号は16本のサブキャリアで構成されており、その16本のサブキャリアには周波数の小さい方から順にサブキャリア(SC)番号0〜15が付されている。図3において、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が任意に設定された閾値T以上となるサブキャリアは、SC5を除く残り15本のサブキャリアである。
ここで、第1〜第3の受信品質データそれぞれのフォーマットについて説明する。第1の受信品質データでは、下りマルチキャリア信号のサブキャリアそれぞれについて、受信SIRの測定値が閾値T以上である場合には「1」と、受信SIRの測定値が閾値T未満である場合には「0」と、ビット表記される。また、第1の受信品質データには、その先頭又は後尾の少なくとも一方に第1の受信品質データであることをフォーマット判定部216に識別させるための2ビットの識別番号例えば「00」が付加される。従って、図3に示す第1の受信品質データのフォーマットであれば、そのデータ量は、サブキャリアの総数に識別番号の2ビットを加えたものとなるから、サブキャリアの総数を「N」とすると、「2+N」ビットとなる。また、図3に示す例では、「N=16」であるから、第1の受信品質データのデータ量は、「2+6=18」ビットとなる。このように、第1の受信品質データは、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と閾値Tとの対比から直接的に生成される。次に説明する第2の受信品質データ及び第3の受信品質データは、この第1の受信品質データをフォーマット変換することによって生成される。
第2の受信品質データでは、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値が閾値T以上のサブキャリアのサブキャリア番号がビット表記され、さらにその先頭又は後尾の少なくとも一方に第2の受信品質データであることをフォーマット判定部216に識別させるための2ビットの識別番号例えば「01」が付加される。ここで、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの総数を「N」とすると、そのSC番号をビット表記しようとすれば、そのデータ量はlog2Nとなる。そして、受信SIRの測定値が閾値T以上となるサブキャリアの数が「M」であるとすると、図3に示す第2の受信品質データのデータ量は、「2+M×log2N」となる。よって、図3に示す例では、「N=16=24」、「M=15」であるから、第2の受信品質データのデータ量は、「2+15×4=62」ビットとなる。
また、第3の受信品質データでは、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値が閾値T未満のサブキャリアのサブキャリア番号がビット表記され、さらにその先頭又は後尾の少なくとも一方に第3の受信品質データであることをフォーマット判定部216に識別させるための2ビットの識別番号例えば「11」が付加される。ここで、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの総数を「N」とすると、そのSC番号をビット表記しようとすれば、そのデータ量はlog2Nとなる。この点は、第2の受信品質データと同じである。そして、受信SIRの測定値が閾値T以上となるサブキャリアの数が「M」であるとすると、図3に示す第3の受信品質データのデータ量は、「2+(N−M)×log2N」となる。よって、図3に示す例では、「N=16=24」、「M=15」であるから、第3の受信品質データのデータ量は、「2+(16−15)×4=6」ビットとなる。
なお、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの数「N」が2のべき乗でない場合は、第2の受信品質データ及び第3の受信品質データのデータ量の算出において、NをNより大きく、かつ、Nに最も近い2のべき乗数とみなすことになる。例えば、「N=20」の場合は、第2の受信品質データ及び第3の受信品質データのデータ量の算出において、「N=32=25」とみなすことになる。
従って、図3に示す下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定結果であれば、第1の受信品質データのデータ量は18ビットとなり、第2の受信品質データのデータ量は62ビットとなり、第3の受信品質データのデータ量は6ビットとなる。そのため、図3に示す例では、受信品質データ生成選択部110において、第3の受信品質データが選択されることになる。
次いで、複数の無線通信端末装置100及び基地局装置200を含んで構成される無線通信システムの動作について、図4に示すフロー図を用いて詳細に説明する。
先ず、ステップST410では、基地局装置200が無線通信端末装置100に向けて下りマルチキャリア信号を無線送信する。
続いて、ステップST420では、無線通信端末装置100が下りマルチキャリア信号を受信し、受信品質測定部109がこの下りマルチキャリア信号に含まれるパイロット信号を用いて全てのサブキャリア毎の受信SIRを測定する。
続いて、ステップST430では、受信品質データ生成選択部110が下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と閾値Tとを対比して、その対比結果から第1の受信品質データを生成し、生成された第1の受信品質データをフォーマット変換することによって第2の受信品質データ及び第3の受信品質データを生成する。
続いて、ステップST440では、受信品質データ生成選択部110が生成された第1〜第3の受信品質データのデータ量を比較して、それらの中からデータ量の最も少ないもの、図3に示す例では第3の受信品質データを選択する。
続いて、ステップST450では、制御情報処理部150が下りマルチキャリア信号に含れる制御情報を抽出し、その内容を知得する。
続いて、ステップST460では、制御情報処理部150がステップST450で知得した制御情報に従って、ステップST440で選択された下りマルチキャリア信号の受信品質データを上りマルチキャリア信号の所定のサブキャリアに割り当てるようにマッピング部125に指示する。また、ステップST460では、IFFT部127等において下りマルチキャリア信号の受信品質データが所定のサブキャリアに割り当てられた上りマルチキャリア信号が作成され、アンテナ素子101を介して基地局装置200に無線送信される。
続いて、ステップST470では、基地局装置200が複数の無線通信端末装置100からほぼ同時に送信された上りマルチキャリア信号を受信する。
続いて、ステップST480では、フォーマット判定部216−1〜216−nそれぞれが対応する無線通信端末装置100から送信されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データの識別番号を調べることにより、その受信品質データのフォーマットがいずれであるか、即ちその受信品質データが第1〜第3の受信品質データのいずれであるかを判定する。
続いて、ステップST490では、上りSC割当決定部221が、上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果に基づいて、第1の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100よりも、第2の受信品質データ又は第3の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100に対して優先的に、次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てる。また、ステップST490では、下りSC割当決定部222が、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信品質データに公知のアルゴリズムを適用することにより、複数の無線通信端末装置100それぞれに下りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てる。さらに、ステップST490では、端末応答部210における符号化部211がこれらの上り及び下りマルチキャリア信号に割り当てられたサブキャリアの情報を内容とする制御情報を生成する。そして、ステップST490では、生成された制御情報を含む下りマルチキャリア信号が作成され、作成された下りマルチキャリア信号が複数の無線通信端末装置100それぞれに無線送信される。
また、ステップST490が実行された後、無線通信端末装置100のいずれかと基地局装置200との間で引き続き無線通信が行なわれる場合には、再びステップST410に戻って上述の各ステップが順次実行される。
このように、本実施の形態に係る受信品質報告方法では、基地局装置200が、第1の受信品質データを送信した無線通信端末装置100より、第2又は第3の受信品質データを送信した無線通信端末装置100に対して優先的に、上りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てる。固定長である第1の受信品質データのフォーマットを表す識別番号が基地局装置200に誤って判定されても、基地局装置200は、そのデータ長から第1の受信品質データであると判断できる。一方で、第2及び第3の受信品質データのフォーマットを表す識別番号が基地局装置200に誤って判定されると、基地局装置200は、その受信品質データのフォーマットを正しく認識し直すことができない。そのため、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、識別番号誤りの影響が強い第2又は第3の受信品質データを送信してくる可能性の高い無線通信端末装置100に対して優先的に、上りマルチキャリア信号における受信品質の良好なサブキャリアを使用させることによって、基地局装置200における下りマルチキャリア信号の受信品質データの判定誤りを減少させることができる。なお、基地局装置200は、伝搬路変動が緩やかであれば、次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データのフォーマットが前回のものと同じである可能性の高いので、そのフォーマットを予測することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200が、複数の無線通信端末装置100それぞれに対して、上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果に基づいて次以降の上りマルチキャリア信号で使用させるサブキャリアを割り当て、また下りマルチキャリア信号の受信品質データに基づいて次以降の下りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てるため、次以降の上り及び下りマルチキャリア信号の受信品質を向上させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200における下りマルチキャリア信号の受信品質データの誤り率を低下させることができると伴に、無線通信端末装置100と基地局装置200との間における上り及び下りマルチキャリア信号の再送頻度を低下させて、上り及び下り回線におけるスループットを向上させることができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、受信品質データ生成選択部110によって生成された下りマルチキャリア信号の複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されるため、従来は下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用されていた上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、受信品質データ生成選択部110によって生成される下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのフォーマットがいずれも簡素であることから、受信品質データ生成選択部110の信号処理の負荷を増加させることなく、下りマルチキャリア信号についてデータ量の異なる複数の受信品質データをリアルタイムで生成することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、受信品質データ生成選択部110において、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と所定の閾値Tとの対比結果を単純にサブキャリア番号順にビット表記することによって第1の受信品質データが生成され、さらにこの第1の受信品質データをフォーマット変換することによってビット表記による第2の受信品質データ及び第3の受信品質データが生成されるため、簡素な手法によって下りマルチキャリア信号についてデータ量の異なる複数の受信品質データを生成することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データがそれぞれビット表記された異なる識別番号を先頭又は後尾の少なくとも一方に具備するため、基地局装置200において無線通信端末装置100から送信されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データのフォーマットを容易に判定できる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200が、同時通信を行う複数の無線通信端末装置100それぞれに、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、上り回線において複数の無線通信端末装置100が同一のサブキャリアを使用して下りマルチキャリア信号の受信品質データを基地局装置200に送信することを回避して、伝搬路における衝突によって下りマルチキャリア信号の受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態に係る無線通信端末装置100によれば、受信品質データ生成選択部110によって下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と所定の閾値Tとが対比され、その対比結果から第1の受信品質データが生成され、生成された第1の受信品質データがフォーマット変換されることにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、受信品質データ生成選択部110によって生成された複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択され、無線送信部128からその受信品質データが上りマルチキャリア信号で基地局装置200に送信されるため、受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
また、本実施の形態に係る基地局装置200によれば、上りSC割当決定部221が複数の無線通信端末装置100それぞれに対して、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、複数の無線通信端末装置100が上りマルチキャリア信号における同一のサブキャリアを使用してそれぞれの下りマルチキャリア信号の受信品質データを送信してしまうことを回避して、伝搬路における衝突によって下りマルチキャリア信号の受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態に係る無線通信端末装置100について、以下のように応用したり、変形したりしてもよい。
本実施の形態では、受信品質測定部109において下りマルチキャリア信号の全てのサブキャリアについてそのサブキャリア毎の受信SIRを測定する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質測定部109において隣接する複数本のサブキャリアを一単位として、その一単位毎に下りマルチキャリア信号の受信SIRを測定するようにしてもよい。また、例えば受信品質測定部109が、所定周波数間隔でサブキャリアをサンプリングし、サンプリングされたサブキャリアについてのみ下りマルチキャリア信号の受信SIRを測定するようにしてもよい。このようにすれば、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定に要する受信品質測定部109の負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態では、受信品質測定部109が下りマルチキャリア信号の受信品質としてそのサブキャリア毎の受信SIRを測定する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質測定部109が下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信電力レベルを測定するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データが生成される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方とが生成されるようにしてもよい。このようにすれば、受信品質データ生成選択部110の信号処理の負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態では、受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量が全て同一となる場合は殆ど想定されないため特に説明しなかったが、上述のように受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方とが生成されるときには、それらのデータ量が同一になる場合も考えられる。このような場合には、生成された下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方に、その識別番号を繰り返し付加して、第1の受信品質データのデータ量との間に差を形成するようにしてもよい。このようにすれば、受信品質データ生成選択部110において必然的に下りマルチキャリア信号の第1の受信データが選択されることになるため、下りSC割当決定部222における信号処理の負荷を軽減することができる。これは、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データを構成する各ビットの位置がサブキャリア番号と直接結びついているため、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データであれば、受信品質の良いサブキャリアをその構成ビットの位置から直接知得できるからである。
また、本実施の形態では、下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのフォーマットを識別するために2ビットの識別番号を使用する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方とを使用する場合には、1ビットの識別番号を使用してもよい。
また、本実施の形態では、上りSC割当決定部221によって割り当てられた上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、下りSC割当決定部222によって割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、が符号化部211において一つの制御情報として生成される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば上りSC割当決定部221と下りSC割当決定部222とがそれぞれ個別に例えばタイミングをずらして制御情報を生成し、生成された制御情報を別々の下りマルチキャリア信号で複数の無線通信端末装置100に送信するようにしてもよい。
なお、第1〜第3の受信品質データをサブキャリアのグループ毎にまとめて計算し、グループ毎に異なるフォーマットを用いて品質データのフィードバックを行っても良い。
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2では、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が変動する場合について説明する。また、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数は、基地局装置200によってリアルタイムに把握され、その数の情報は制御情報に埋め込まれて、常時無線通信端末装置500それぞれに通知されるものとする。
図5は、本発明の実施の形態2に係る無線通信端末装置500の構成を示すブロック図である。無線通信端末装置500は、実施の形態1に係る無線通信端末装置100において、受信品質データ生成選択部110の代わりに受信品質データ生成選択部510を、また制御情報処理部150の代わりに制御情報処理部550を具備するものである。なお、無線通信端末装置500は、無線通信端末装置100の構成部と同様の機能を発揮する構成部を多く具備するため、そのような構成部については、無線通信端末装置100の構成部と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
制御情報処理部550は、制御情報抽出部551、復調部552及び復号部553を具備し、基地局装置200から送信された下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報の抽出及び受信信号処理を行う。具体的には、制御情報処理部550では、先ず制御情報抽出部551がFFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号から制御情報用に割り当てられているサブキャリアを抽出し、続いて復調部552が制御情報抽出部551によって抽出されたサブキャリアの信号を所定の方式で復調し、続いて復号部553が復調部552によって復調された信号を予め設定された方式で復号して制御情報を生成する。ここで、生成された制御情報には、基地局装置200が下りマルチキャリア信号について無線通信端末装置500(自局)に割り当てたサブキャリアを示す情報と、基地局装置200が上りマルチキャリア信号について自局に割り当てたサブキャリアを示す情報と、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数を示す情報と、が含まれている。そして、制御情報処理部550は、基地局装置200が下りマルチキャリア信号について自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をデータ抽出部105に入力し、基地局装置200が上りマルチキャリア信号について自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をマッピング部125に入力し、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数を示す情報を受信品質データ生成選択部510に入力する。
受信品質データ生成選択部510は、制御情報処理部550から入力されてくる無線通信端末装置500の数の情報に応じて、閾値Tを増減する調節を行う。また、受信品質データ生成選択部510は、受信品質測定部109から入力されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と調節された閾値Tとをサブキャリア毎に対比して、この対比結果をサブキャリア番号順にビット表記した第1の受信品質データを先ず生成し、続いてこの第1の受信品質データをフォーマット変換することにより、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が調節された閾値T以上であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が調節された閾値T未満であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、をそれぞれ生成する。そして、受信品質データ生成選択部510は、生成した下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量を比較して、データ量の最も少ない受信品質データを選択し、選択された受信品質データにそのフォーマットを示す識別番号を付加して、識別番号を付加された下りマルチキャリア信号の受信品質データを符号化部121に入力する。
次いで、本実施の形態に係る無線通信端末装置500及び基地局装置200を含んで構成される無線通信システムの動作について説明する。図6は、本実施の形態に係る無線通信システムの動作を示すフロー図である。図6では、図4におけるステップST420とステップST430との間にステップST425が設けられ、またステップST470とステップST480との間にステップST475が設けられている。以下、図6に示す各ステップについて説明するが、図4に示すステップと同一のステップには、図4に示すステップと同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
ステップST425では、受信品質データ生成選択部510が制御情報処理部550から入力されてくる基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の情報に応じて、予め設定された閾値Tbを増減する調節を行う。
ステップST475では、基地局装置200が同時通信を行う無線通信端末装置500の数を測定して、測定されたその数の情報をステップST490において制御情報に埋め込むようにする。
図7に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数に対する閾値Tの設定値の一例を示す。図7では、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えるに従って、閾値Tが段階的に増加するように設定されている。具体的には、閾値Tbを基準として、閾値Tは、無線通信端末装置500の数が増えたときには閾値Th1さらには閾値Th2に上昇遷移する一方、無線通信端末装置500の数が減ったときには閾値Tl1さらには閾値Tl2に下降遷移する。
図7に示すように、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に同調して閾値Tが増減するように設定しておけば、その無線通信端末装置500の数が増えたときには、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データが選択され易くなり、一方でその無線通信端末装置500の数が減ったときには、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データが選択され易くなる。つまり、このように基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に同調して閾値Tが増減するように設定しておけば、無線通信端末装置500の数が増えても減っても、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データよりも同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データの方が受信品質データ生成選択部510によって選択され易くなる。その結果、無線通信端末装置500の数の変動に関わらず、無線通信端末装置500それぞれについて、上り回線のスループットが改善されることになる。
図8に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えるに伴って閾値Tbを閾値Th2に増加させた場合における下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量を示す。なお、図8における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果は、図3のそれと同一であり、同様に図8における閾値Tbは、図3の閾値Tと同一である。図8に示すように、閾値Tbを閾値Th2に増加させると、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データのデータ量は18ビット(固定長)であり、下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データのデータ量は10ビットとなり、下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データのデータ量は58ビットとなる。従って、図8に示す例では、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データが選択されることになる。
図9に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が減るに伴って閾値Tbを閾値Tl1に減少させた場合における下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量を示す。なお、図9についても、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と閾値Tbとは、図3のそれらと同一である。図9に示すように、閾値Tbを閾値Tl1に減少させると、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データのデータ量は18ビット(固定長)であり、下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データのデータ量は62ビットとなり、下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データのデータ量は6ビットとなる。従って、図9に示す例では、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データが選択されることになる。
このように、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に応じて、受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tが増減するように設定されるため、無線通信端末装置500の数が増えても減っても、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データよりも同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データの方が受信品質データ生成選択部510によって選択され易くなる。その結果、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に関わらず、無線通信端末装置500それぞれから基地局装置200へのスループットを常に改善することができる。
なお、本実施の形態に係る無線通信端末装置500について、以下のように応用したり、変形したりしてもよい。
本実施の形態では、受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tが基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の絶対量に対応付けられている場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tを離散値で用意しておき、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えたときには、現状の閾値Tから一単位増加させ、一方で基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が減ったときには、現状の閾値Tから一単位減少させるようにしてもよい。このようにすれば、基地局装置200は、同時通信を行う無線通信端末装置500の数が変動したときに限り、現在通信中の無線通信端末装置500に対して下りマルチキャリア信号で無線通信端末装置500の数の変動を通知すればよくなるため、基地局装置200が下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報に無線通信端末装置500の数の情報を埋め込む回数を削減できると伴に、下り回線のスループットを改善することができる。
また、本実施の形態では、受信品質データ生成選択部510において下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データが生成される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質データ生成選択部510において下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データとが生成され、さらに基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えたときには、受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tを増加させる一方、その無線通信端末装置500の数が減ったときには、その閾値Tを減少させるようにしてもよい。このようにすれば、受信品質データ生成選択部510が下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データを生成して対比しなくてもよくなるため、受信品質データ生成選択部510の信号処理の負荷を軽減できると伴に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えたときには、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データが一層選択され易くなることから、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の増加に伴って無線通信端末装置500それぞれの占有できる上り回線のチャネルリソースが少なくなっても、無線通信端末装置500それぞれから基地局装置200へのスループットを有効に改善することができる。
なお、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
本明細書は、2004年3月12日出願の特願2004−71277に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る受信品質報告方法、無線通信端末装置及び基地局装置は、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善できるという効果を有し、OFDM方式による無線通信システム等に有用である。
本発明は、無線通信端末装置が受信した下りマルチキャリア信号の受信品質を基地局装置に報告する方法に関し、さらにはその方法で使用される無線通信端末装置及び基地局装置に関する。
従来、3GPP(3rd Generation Partnership Project)のHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)においては、下り回線高速パケット伝送のために、基地局装置が伝搬路状況に応じて無線通信端末装置の使用する変調方式を適応的に制御する適応変調と、基地局装置が伝搬路状況の比較的良い無線通信端末装置を選択して信号を送信するスケジューリングと、が用いられている。また、beyond 3G移動通信システムの伝送方式として検討されているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やMC−CDMA(Multi Carrier - Code Division Multiple Access)等のマルチキャリア伝送方式では、多数のサブキャリアを用いることによって高速伝送を実現する。
これらのマルチキャリア伝送方式では、適応変調やスケジューリングをマルチキャリア信号のサブキャリア毎に行なうため、無線通信端末装置が基地局装置に瞬時の各サブキャリアのチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)を報告する必要がある。従って、適応変調やスケジューリングを行うマルチキャリア伝送システムでは、複数の無線通信端末装置はそれぞれ、下りマルチキャリア信号における全サブキャリア分のCQIを基地局装置に報告し、その報告を受けた基地局装置は、各無線通信端末装置からのCQIを考慮しつつ所定のスケジューリングアルゴリズムを用いて、各無線通信端末装置に送信する下りマルチキャリア信号におけるサブキャリア、変調方式及び符号化率を決定する。
このようなマルチキャリア伝送システムにおいて基地局装置が複数の無線通信端末装置に対して下りマルチキャリア信号を同時に送信する場合には、その基地局装置は、全ての無線通信端末装置から送信されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリア別のCQIを用いて周波数スケジューリングを行ない、複数の無線通信端末装置それぞれに対して伝搬路状況が比較的良好な下りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てて、その伝搬路状況において所定のパケット誤り率が満たされるような変調方式と符号化率を決定する。
ここで、適応変調やスケジューリングを行うマルチキャリア伝送システムにおいて、例えば下りマルチキャリア信号が64本のサブキャリアで構成される場合には、無線通信端末装置はそれぞれ、64個のCQIを基地局装置に報告することになる。さらに、64個のCQIがそれぞれ5ビットで表記されるとすれば、無線通信端末装置はそれぞれ、下りマルチキャリア信号毎に64個×5ビット=320ビットの受信品質データを一つの上りマルチキャリア信号で基地局装置に送信することになる。
原 川端 段 関口,「周波数スケジューリングを用いたMC−CDM方式」,信学技報,2002年7月,RCS2002−129,pp.61−pp.66
しかしながら、上記従来の無線通信端末装置では、基地局装置に送信するCQIのデータ量が膨大になるため、上り回線におけるチャネルリソースの多くがCQIの送信に費や
されてしまい、上り回線のスループットが著しく低下してしまう、或いはその消費電力が大きくなるため、バッテリー電力を短期間で消耗してしまうという問題がある。
本発明の目的は、上り回線で基地局装置に送信される受信品質データのデータ量を削減して上り回線のスループットを改善させる受信品質報告方法、並びにこの受信品質報告方法において使用される基地局装置及び消費電力の小さい無線通信端末装置を提供することである。
本発明に係る受信品質報告方法は、マルチキャリア信号を受信する受信ステップと、前記マルチキャリア信号の受信品質をサブキャリア単位で測定する測定ステップと、前記測定ステップにおけるサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とを対比して対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データを生成する生成ステップと、生成された複数の前記受信品質データの中からデータ量の最も少ない前記受信品質データを選択する選択ステップと、選択された前記受信品質データを送信する送信ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、サブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とが対比され、その対比結果がフォーマット変換されることにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、これらの受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されて上り回線で基地局装置に送信されるため、受信品質データの送信に費やされていた上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データ又は前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値未満である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データの少なくとも一方と、を含むようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、マルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信品質と所定の閾値との対比結果をサブキャリア番号順にビット表記した第1の受信品質データと、その対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上又は未満であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2又は第3の受信品質データと、がそれぞれ生成されるため、簡素な手法によって信号処理量の増加を抑制しつつ、下りマルチキャリア信号についてデータ量の異なる複数の受信品質データを生成することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、を含むものであって、さらに、前記マルチキャリア信号によって通信を行う他の無線通信端末装置の数が増えたときには、前記生成ステップにおける前記閾値を増加させる一方、前記他の無線通信端末装置の数が減ったときには、前記閾値を減少させる閾値調節ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、無線通信端末装置の数が増えたときには、選択ステップにおいて第2の受信品質データが選択され易くなるため、無線通信端末装置の増加に伴って無線通信端末装置それぞれの占有できる上り回線のチャネルリソー
スが少なくなっても、無線通信端末装置それぞれが受信品質データの送信に使用する上り回線のチャネルリソースを削減できることから、無線通信端末装置それぞれについて上り回線のスループットを改善することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値未満である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、を含むものであって、さらに、前記マルチキャリア信号によって通信を行う他の無線通信端末装置の数が増えたときには、前記生成ステップにおける前記閾値を増加させる一方、前記他の無線通信端末装置の数が減ったときには、前記閾値を減少させる閾値調節ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、無線通信端末装置の数が増えたときには、選択ステップにおいて第2の受信品質データが選択され易くなり、一方で無線通信端末装置の数が減ったときには、選択ステップにおいて第3の受信品質データが選択され易くなるため、無線通信端末装置の数の増減に関わらず、第1の受信品質データよりも第2の受信品質データ又は第3の受信品質データが選択され易くなることから、上り回線のスループットを常に改善することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記第1の受信品質データ、前記第2の受信品質データ又は前記第3の受信品質データは、ビット表記されたそれぞれ異なる識別番号を先頭又は後尾の少なくとも一方に具備するようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、第1〜第3の受信品質データがそれぞれビット表記された異なる識別番号を先頭及び後尾の少なくとも一方に具備するため、基地局装置において受信品質データのフォーマットを容易に判定できるようになる。
本発明に係る受信品質報告方法は、下りマルチキャリア信号を受信した複数の無線通信端末装置が前記下りマルチキャリア信号を送信した基地局装置に前記下りマルチキャリア信号の受信品質を報告する受信品質報告方法であって、前記基地局装置が複数の前記無線通信端末装置に前記下りマルチキャリア信号を送信する下り送信ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記下りマルチキャリア信号を受信する下り受信ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記下りマルチキャリア信号の受信品質をサブキャリア単位で測定する測定ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記測定ステップにおけるサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とを対比して対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データを生成する生成ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが生成された複数の前記受信品質データの中からデータ量の最も少ない前記受信品質データを選択する選択ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報を抽出する抽出ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記抽出ステップで抽出された前記制御情報によって指定されたサブキャリアに前記選択ステップで選択された前記受信品質データを割り当てて上りマルチキャリア信号を作成する上り信号作成ステップと、複数の前記無線通信端末装置それぞれが作成された前記上りマルチキャリア信号を前記基地局装置に送信する上り送信ステップと、前記基地局装置が複数の前記無線通信端末装置それぞれから送信された前記上りマルチキャリア信号を受信する上り受信ステップと、前記基地局装置が受信した前記上りマルチキャリア信号に含まれる前記受信品質データそれぞれのフォーマットを判定する判定ステップと、前記基地局装置が、判定された前記受
信品質データそれぞれのフォーマットに応じて、複数の前記無線通信端末装置それぞれが前記上り信号作成ステップで前記受信品質データに割り当てるサブキャリアを指定する前記制御情報を作成する制御情報作成ステップと、前記基地局装置が前記制御情報を含む前記下りマルチキャリア信号を作成する下り信号作成ステップと、を具備するようにした。
この方法によれば、下りマルチキャリア信号のサブキャリア単位の受信品質の測定結果と所定の閾値との対比結果がフォーマット変換されることにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、これらの受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されて上り回線で基地局装置に送信されるため、受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。また、この方法によれば、基地局装置が、複数の無線通信端末装置それぞれに対して下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用する上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、複数の無線通信端末装置が同一周波数のサブキャリアを使用してしまうことを回避して、伝搬路での衝突によって受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、を含むものであって、前記制御情報作成ステップにおいて、前記基地局装置が、前記判定ステップで前記上りマルチキャリア信号に前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データとが含まれていると判定した場合には、前記上り送信ステップで前記第1の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置よりも、前記上り送信ステップで前記第2の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置に対して優先的に前記制御情報を作成する、ようにした。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値未満である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、を含むものであって、前記制御情報作成ステップにおいて、前記基地局装置が、前記判定ステップで前記上りマルチキャリア信号に前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データ又は前記第3の受信品質データの少なくとも一方とが含まれていると判定した場合には、前記上り送信ステップで前記第1の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置よりも、前記上り送信ステップで前記第2の受信品質データ又は前記第3の受信品質データを送信した前記無線通信端末装置に対して優先的に前記制御情報を作成する、ようにした。
これらの方法によれば、前記発明による効果に加えて、基地局装置が、第1の受信品質データを送信した無線通信端末装置よりも、第2又は第3の受信品質データを送信した無線通信端末装置に対して優先的に、その第2又は第3の受信品質データによって示された下りマルチキャリア信号における受信品質が所定の閾値以上のサブキャリアを次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用するように指示する。そのため、これらの方法によれば、基地局装置は、第1の受信品質データよりもデータ量の少ない第2又は第3の受信品質データを再度送信してくる可能性の高い無線通信端末装置に優先的に上りマルチキャリア信号のサブキャリアを使用させることになるため、無線通信システム全体での上り回線のスループットを一層高めることができる。さらに、これらの方法によ
れば、基地局装置が、第2又は第3の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置に対して、その下りマルチキャリア信号の受信品質データに示された受信品質の良いサブキャリアで次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データを送信してくるように指示するため、次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データについて基地局装置が第2又は第3の受信品質データの識別番号を誤って判定してしまう確率を低下させることができる。
本発明に係る受信品質報告方法は、前記発明において、前記生成ステップで生成される複数の前記受信品質データは、ビット表記による第1の識別番号を具備し、かつ、前記マルチキャリア信号を構成するサブキャリアのサブキャリア番号順に前記対比結果をビット表記した第1の受信品質データと、ビット表記による第2の識別番号を具備し、かつ、前記対比結果に基づいて受信品質が前記閾値以上である前記サブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、を含むものであって、前記生成ステップにおいて、複数の前記無線通信端末装置それぞれが、前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データとのデータ量が同じ場合には、前記第2の受信品質データに前記第2の識別番号を複数個付加して、前記第1の受信品質データと前記第2の受信品質データとのデータ量に差を形成する、ようにした。
この方法によれば、前記発明による効果に加えて、第1の受信品質データと第2の受信品質データとのデータ量が同じ場合には、第2の受信品質データのデータ量を増やすことにより、第1の受信品質データと第2の受信品質データとのデータ量に差を形成するため、第1の受信品質データと第2の受信品質データとのデータ量が同じ場合には、無線通信端末装置が基地局装置に第1の受信品質データを送信するようになる。そのため、この方法によれば、基地局装置は、フォーマットの単純な第1の受信品質データから受信品質の良いサブキャリアを直接的に知得できるため、判定ステップにおける信号処理の負荷を軽減することができる。また、この方法によれば、伝搬路状況や生成ステップで使用される閾値の大きさに関わらず第1の受信品質データのデータ量が常に一定であることから、無線通信端末装置から基地局装置に第2又は第3の受信品質データが送信される場合よりも、判定ステップにおける受信品質データのフォーマットの判定において、その誤り率を低下させることができる。
本発明に係る無線通信端末装置は、下りマルチキャリア信号を受信する受信手段と、前記下りマルチキャリア信号の受信品質をサブキャリア単位で測定する測定手段と、前記測定手段によるサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値とを対比し、対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データを生成する生成手段と、生成された複数の前記受信品質データの中からデータ量の最も少ない前記受信品質データを選択する選択手段と、選択された前記受信品質データを含む上りマルチキャリア信号を送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、生成手段によって下りマルチキャリア信号のサブキャリア単位の測定結果と所定の閾値との対比結果がフォーマット変換されて、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、選択手段によって生成された複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択され、送信手段によって選択された下りマルチキャリア信号の受信品質データが上りマルチキャリア信号で基地局装置に送信されるため、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
本発明に係る基地局装置は、前記発明に係る無線通信端末装置と無線通信を行う基地局装置であって、複数の前記無線通信端末装置に対して下りマルチキャリア信号を送信する送信手段と、複数の前記無線通信端末装置から送信されてくる前記下りマルチキャリア信
号の受信品質を示す受信品質データを含む上りマルチキャリア信号を受信する受信手段と、前記上りマルチキャリア信号に含まれる前記受信品質データのフォーマットを前記無線通信端末装置毎に判定する判定手段と、判定されたフォーマットに応じて前記無線通信端末装置に割り当てるサブキャリアを決定する割当決定手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、割当決定手段が、複数の無線通信端末装置それぞれに対して、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、複数の無線通信端末装置が上りマルチキャリア信号において同一周波数のサブキャリアを使用してしまうことを回避して、伝搬路での衝突によって下りマルチキャリア信号の受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
本発明によれば、下りマルチキャリア信号のサブキャリア単位の受信品質の測定結果と所定の閾値との対比結果をフォーマット変換することにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、生成された複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されて上りマルチキャリア信号で基地局装置に送信されるため、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
以下に、本発明に係る実施の形態について、適宜図を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1では、複数の無線通信端末装置と基地局装置とで構成される無線通信システムにおいてOFDM方式の無線通信が行われるものとし、また基地局装置が無線通信端末装置それぞれの使用する上りマルチキャリア信号(OFDM信号)の周波数即ちサブキャリアを指定することにより、基地局装置と複数の無線通信端末装置との同時通信が可能になるものとする。
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置100の構成を示すブロック図である。無線通信端末装置100は、アンテナ素子101、無線受信部102、S/P変
換部103、126、FFT部104、データ抽出部105、復調部106、復号部107、パイロット信号抽出部108、受信品質測定部109、受信品質データ生成選択部110、符号化部121、123、変調部122、124、マッピング部125、IFFT部127、無線送信部128及び制御情報処理部150を具備する。また、制御情報処理部150は、制御情報抽出部151、復調部152及び復号部153を具備する。
アンテナ素子101は、後述する基地局装置200から送信されてくる下りマルチキャリア信号を捕捉して無線受信部102に入力すると伴に、無線送信部128から送信されてくる上りマルチキャリア信号を基地局装置200に向けて無線送信する。
無線受信部102は、バンドパスフィルタ、A/D変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、アンテナ素子101から入力されてくる下りマルチキャリア信号に雑音の除去、増幅及びガードインターバルの除去等の所定の受信信号処理を施した後に、受信信号処理された下りマルチキャリア信号をS/P変換部103に入力する。
S/P変換部103は、無線受信部102から入力されてくる下りマルチキャリア信号を複数のパラレル信号に変換し、変換後のパラレル信号をFFT部104に入力する。
FFT部104は、S/P変換部103から入力されてくる複数のパラレル信号にフーリエ変換処理等を施した後にシリアル信号に変換して、シリアル信号に変換された下りマルチキャリア信号をデータ抽出部105とパイロット信号抽出部108と制御情報抽出部151とにそれぞれ入力する。
データ抽出部105は、FFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号から、基地局装置200によって無線通信端末装置100に割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアに対応する区間を抽出し、抽出された区間の下りマルチキャリア信号を復調部106に入力する。なお、無線通信端末装置100に割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアは、後述する制御情報処理部150によって知得され、制御情報処理部150における復号部153からデータ抽出部105に通知される。
復調部106は、データ抽出部105から入力されてくる下りマルチキャリア信号の抽出された区間を復調して、復調後の下りマルチキャリア信号を復号部107に入力する。
復号部107は、復調部106から入力されてくる復調後の下りマルチキャリア信号を復号して下り受信データを生成する。そして、復号部107は、生成した下り受信データを図示しないベースバンド部等に入力する。
パイロット信号抽出部108は、FFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号からパイロット信号を抽出して、抽出されたパイロット信号を受信品質測定部109に入力する。
受信品質測定部109は、パイロット信号抽出部108から入力されてくる下りマルチキャリア信号に含まれるパイロット信号の受信SIR(Signal to Interference Ratio:信号電力対干渉電力比)を測定することにより、下りマルチキャリア信号を構成する全てのサブキャリアについてサブキャリア毎の受信SIR即ち受信品質を測定する。そして、受信品質測定部109は、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値を全て受信品質データ生成選択部110に入力する。
受信品質データ生成選択部110は、受信品質測定部109から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値と予め設定された閾値Tとをサブキャリア毎に対
比して、この対比結果をサブキャリア番号順にビット表記した第1の受信品質データを先ず生成し、続いてこの第1の受信品質データをフォーマット変換することにより、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が閾値T以上であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が閾値T未満であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、を生成する。なお、これら第1〜第3の受信品質データの生成過程やデータ構造については、後に詳述する。また、受信品質データ生成選択部110は、生成された第1〜第3の受信品質データのデータ量を比較して、データ量の最も少ない下りマルチキャリア信号の受信品質データを選択し、選択された下りマルチキャリア信号の受信品質データにそのフォーマットを示す識別番号を付加して、その識別番号を付加された下りマルチキャリア信号の受信品質データを符号化部121に入力する。
符号化部121は、受信品質データ生成選択部110から入力されてくる下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのいずれかを予め設定された方式で符号化し、その符号化された下りマルチキャリア信号の受信品質データを変調部122に入力する。
変調部122は、符号化部121から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データを所定の変調方式で変調し、変調された下りマルチキャリア信号の受信品質データをマッピング部125に入力する。
符号化部123は、図示しないベースバンド部から入力されてくる上り送信データを予め設定された方式で符号化し、符号化された上り送信データを変調部124に入力する。
変調部124は、符号化部123から入力されてくる上り送信データを所定の変調方式で変調し、変調された上り送信データをマッピング部125に入力する。
マッピング部125は、変調部122から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データと、変調部124から入力されてくる上り送信データと、に対して、後述するIFFT部127による逆フーリエ変換処理等が施された後に、それらのデータが制御情報処理部150から通知された上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報(制御情報)の内容通りに配置されるようにマッピングを行う。また、マッピング部125は、マッピングされた下りマルチキャリア信号の受信品質データと上り送信データとをS/P変換部126に入力する。
S/P変換部126は、マッピング部125から入力されてくるマッピングされた下りマルチキャリア信号の受信品質データと上り送信データとをパラレル信号に変換し、そのパラレル信号をIFFT部127に入力する。
IFFT部127は、S/P変換部126から入力されてくるパラレル信号に逆フーリエ変換等を施した後にシリアル信号に変換することにより、上りマルチキャリア信号を作成する。また、IFFT部127は、作成した上りマルチキャリア信号を無線送信部128に入力する。
無線送信部128は、バンドパスフィルタ、D/A変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、IFFT部127から入力されてくる上りマルチキャリア信号にガードインターバルを挿入し、さらに増幅や周波数選択等の所定の送信信号処理を施した後に、この上りマルチキャリア信号をアンテナ素子101を介して基地局装置200に無線送信する。
制御情報処理部150は、基地局装置200から送信されてくる下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報に所定の受信信号処理を行う。具体的には、制御情報処理部150
では、先ず制御情報抽出部151がFFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号から制御情報用に割り当てられているサブキャリアを抽出し、続いて復調部152が制御情報抽出部151によって抽出されたサブキャリアの信号を所定の方式で復調し、続いて復号部153が復調部152によって復調された信号を予め設定された方式で復号して制御情報を生成する。ここで、生成された制御情報には、基地局装置200が下りマルチキャリア信号において無線通信端末装置100(自局)に割り当てたサブキャリアを示す情報と、基地局装置200が上りマルチキャリア信号において自局に割り当てたサブキャリアを示す情報と、が含まれる。そして、制御情報処理部150は、基地局装置200が下りマルチキャリア信号において自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をデータ抽出部105に入力すると伴に、基地局装置200が上りマルチキャリア信号において自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をマッピング部125に入力する。
一方で、図2は、本実施の形態に係る基地局装置200の構成を示すブロック図である。基地局装置200は、複数の端末応答部210、上りサブキャリア(SC)割当決定部221、下りSC割当決定部222、マッピング部223、S/P変換部224、231、IFFT部225、無線送信部226、アンテナ素子227、無線受信部228及びFFT部232を具備する。
端末応答部210は、基地局装置200と同時通信可能な無線通信端末装置100の最大数と同数設けられ、その使用に際して都度対応する(担当する)無線通信端末装置100が決定される。また、端末応答部210はそれぞれ、符号化部211、変調部212、復調部213、復号部214、受信品質データ抽出部215、フォーマット判定部216、パイロット信号抽出部217及び受信品質測定部218を具備する。なお、図2では、端末応答部210にそれぞれ1〜nの枝番を付して区別できるように表記しているが、端末応答部210−1〜210−nは同じ機能を発揮するものであるため、それらの機能等を説明する際には、枝番を省略する場合がある。
アンテナ素子227は、複数の無線通信端末装置100から送信されてくる上りマルチキャリア信号を捕捉して、無線受信部228に入力すると伴に、無線送信部226から入力されてくる下りマルチキャリア信号を複数の無線通信端末装置100に向けて無線送信する。
無線受信部228は、バンドパスフィルタ、A/D変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、アンテナ素子227から入力されてくる上りマルチキャリア信号に対して雑音の除去、増幅及びガードインターバルの除去等の所定の受信信号処理を施した後に、受信信号処理された上りマルチキャリア信号をS/P変換部231に入力する。
S/P変換部231は、無線受信部228から入力されてくる上りマルチキャリア信号を複数のパラレル信号に変換し、変換後のパラレル信号をFFT部232に入力する。
FFT部232は、S/P変換部231から入力されてくる複数のパラレル信号にフーリエ変換処理等を施した後にシリアル信号に変換して、シリアル信号に変換された上りマルチキャリア信号を端末応答部210−1〜210−nにおける復調部213−1〜213−nとパイロット信号抽出部217−1〜217−nにそれぞれ入力する。
復調部213−1〜213−nはそれぞれ、FFT部232から入力されてくる上りマルチキャリア信号の中から対応する無線通信端末装置100に係る区間のみを抽出し、抽出された区間の上りマルチキャリア信号を予め設定された方式で復調する。また、復調部213は、復調された上りマルチキャリア信号を復号部214に入力する。
復号部214は、復調部213から入力されてくる区間の上りマルチキャリア信号に所定の復号処理を施して上り受信データを生成し、生成された上り受信データを受信品質データ抽出部215と図示しないベースバンド部等とにそれぞれ入力する。
受信品質データ抽出部215は、復号部214から入力されてくる上り受信データの中から下りマルチキャリア信号の受信品質データを抽出する。そして、受信品質データ抽出部215は、抽出した下りマルチキャリア信号の受信品質データをフォーマット判定部216に入力する。
フォーマット判定部216は、受信品質データ抽出部215から入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データに付加された識別番号を参照してそのフォーマットを判定する、即ちその信号が第1〜第3の受信品質データのいずれであるかを判定する。そして、フォーマット判定部216は、その判定結果を上りSC割当決定部221に入力すると伴に、下りマルチキャリア信号の受信品質データを下りSC割当決定部222に入力する。
パイロット信号抽出部217−1〜217−nはそれぞれ、FFT部232から入力されてくる上りマルチキャリア信号の中から対応する無線通信端末装置100に係る区間のみを抽出し、さらに抽出された区間の上りマルチキャリア信号からパイロット信号を抽出して、抽出された上りマルチキャリア信号のパイロット信号を受信品質測定部218−1〜218−nに入力する。
受信品質測定部218は、パイロット信号抽出部217から入力されてくる上りマルチキャリア信号に含まれるパイロット信号の受信SIRを測定することにより、上りマルチキャリア信号を構成する全てのサブキャリアについてサブキャリア毎の受信SIR即ち受信品質を測定する。そして、受信品質測定部218は、上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値を上りSC割当決定部221に入力する。
上りSC割当決定部221は、フォーマット判定部216−1〜216−nから入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データのフォーマットの判定結果と、受信品質測定部218−1〜218−nから入力されてくる上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRと、を用いて、無線通信端末装置100それぞれに割り当てる上りマルチキャリア信号のサブキャリアを決定する。この上りマルチキャリア信号のサブキャリアの割り当てにおいては、第2又は第3の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100に、第1の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100よりも優先してサブキャリアを割り当てる。この理由については後述する。また、上りSC割当決定部221は、無線通信端末装置100それぞれに割り当てた上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報を符号化部211−1〜211−nに入力する。
下りSC割当決定部222は、フォーマット判定部216−1〜216−nそれぞれから入力されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データに基づいて、無線通信端末装置100それぞれの下りマルチキャリア信号における受信品質の良いサブキャリアを把握し、下りマルチキャリア信号においてその受信品質の良いサブキャリアを無線通信端末装置100それぞれに割り当てることを決定する。ここで、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの割り当ての方法として、MaxCIR法やProportional Fairness法などの公知のアルゴリズムが例示される。また、下りSC割当決定部222は、無線通信端末装置100それぞれに割り当てた下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報をマッピング部223と符号化部211−1〜211−nとにそれぞれ入力する。なお、下りSC割当決定部222は、無線通信端末装置100における制御情報処理部150が割り当てられたサブキャリアを知得し、さらに制御情報処理部150がその内容をデータ抽出部105
に通知した後に、情報抽出部105が対応するサブキャリアを抽出するまでのタイムラグを考慮して、割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報が下り送信データよりもある程度前に無線通信端末装置100に向けて無線送信されるように調節する。
符号化部211は、上りSC割当決定部221から入力されてくる上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、下りSC割当決定部222から入力されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、から制御情報を生成する。また、符号化部211は、生成した制御情報と図示しないベースバンド部等から入力されてくる下り送信データとに予め設定された方式で符号化処理を施した後に、符号化処理された制御情報と下り送信データとを変調部212に入力する。
変調部212は、符号化部211から入力されてくる制御情報と下り送信データとに所定の方式で変調処理を施した後に、変調された下り送信信号をマッピング部223に入力する。
マッピング部223は、変調部212−1〜212−nから入力されてくる変調された下り送信信号を、後述するIFFT部225における逆フーリエ変換処理等の後に下りSC割当決定部222から入力されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報に示されたサブキャリアに配置されるようにマッピングする。そして、マッピング部223は、マッピングした信号をS/P変換部224に入力する。
S/P変換部224は、マッピング部223から入力されてくるマッピングされた信号をパラレル信号に変換し、変換されたパラレル信号を全てIFFT部225に入力する。
IFFT部225は、S/P変換部224から入力されてくるパラレル信号に逆フーリエ変換等の信号処理を施した後にシリアル信号に変換することにより、下りマルチキャリア信号を作成し、作成された下りマルチキャリア信号を無線送信部226に入力する。
無線送信部226は、バンドパスフィルタ、D/A変換器及び低雑音アンプ等を含んで構成され、IFFT部225から入力されてくる下りマルチキャリア信号にガードインターバルを挿入し、さらに増幅や周波数選択等の所定の送信信号処理を施した後に、この所定の送信信号処理を施された下りマルチキャリア信号をアンテナ素子227を介して複数の無線通信端末装置100に向けて無線送信する。
図3に、受信品質測定部109による下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と、第1〜第3の受信品質データそれぞれのフォーマットと、の一例を示す。図3に示す例では、下りマルチキャリア信号は16本のサブキャリアで構成されており、その16本のサブキャリアには周波数の小さい方から順にサブキャリア(SC)番号0〜15が付されている。図3において、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が任意に設定された閾値T以上となるサブキャリアは、SC5を除く残り15本のサブキャリアである。
ここで、第1〜第3の受信品質データそれぞれのフォーマットについて説明する。第1の受信品質データでは、下りマルチキャリア信号のサブキャリアそれぞれについて、受信SIRの測定値が閾値T以上である場合には「1」と、受信SIRの測定値が閾値T未満である場合には「0」と、ビット表記される。また、第1の受信品質データには、その先頭又は後尾の少なくとも一方に第1の受信品質データであることをフォーマット判定部216に識別させるための2ビットの識別番号例えば「00」が付加される。従って、図3に示す第1の受信品質データのフォーマットであれば、そのデータ量は、サブキャリアの
総数に識別番号の2ビットを加えたものとなるから、サブキャリアの総数を「N」とすると、「2+N」ビットとなる。また、図3に示す例では、「N=16」であるから、第1の受信品質データのデータ量は、「2+6=18」ビットとなる。このように、第1の受信品質データは、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と閾値Tとの対比から直接的に生成される。次に説明する第2の受信品質データ及び第3の受信品質データは、この第1の受信品質データをフォーマット変換することによって生成される。
第2の受信品質データでは、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値が閾値T以上のサブキャリアのサブキャリア番号がビット表記され、さらにその先頭又は後尾の少なくとも一方に第2の受信品質データであることをフォーマット判定部216に識別させるための2ビットの識別番号例えば「01」が付加される。ここで、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの総数を「N」とすると、そのSC番号をビット表記しようとすれば、そのデータ量はlog2Nとなる。そして、受信SIRの測定値が閾値T以上となるサブキャリアの数が「M」であるとすると、図3に示す第2の受信品質データのデータ量は、「2+M×log2N」となる。よって、図3に示す例では、「N=16=24」、「M=15」であるから、第2の受信品質データのデータ量は、「2+15×4=62」ビットとなる。
また、第3の受信品質データでは、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値が閾値T未満のサブキャリアのサブキャリア番号がビット表記され、さらにその先頭又は後尾の少なくとも一方に第3の受信品質データであることをフォーマット判定部216に識別させるための2ビットの識別番号例えば「11」が付加される。ここで、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの総数を「N」とすると、そのSC番号をビット表記しようとすれば、そのデータ量はlog2Nとなる。この点は、第2の受信品質データと同じである。そして、受信SIRの測定値が閾値T以上となるサブキャリアの数が「M」であるとすると、図3に示す第3の受信品質データのデータ量は、「2+(N−M)×log2N」となる。よって、図3に示す例では、「N=16=24」、「M=15」であるから、第3の受信品質データのデータ量は、「2+(16−15)×4=6」ビットとなる。
なお、下りマルチキャリア信号のサブキャリアの数「N」が2のべき乗でない場合は、第2の受信品質データ及び第3の受信品質データのデータ量の算出において、NをNより大きく、かつ、Nに最も近い2のべき乗数とみなすことになる。例えば、「N=20」の場合は、第2の受信品質データ及び第3の受信品質データのデータ量の算出において、「N=32=25」とみなすことになる。
従って、図3に示す下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定結果であれば、第1の受信品質データのデータ量は18ビットとなり、第2の受信品質データのデータ量は62ビットとなり、第3の受信品質データのデータ量は6ビットとなる。そのため、図3に示す例では、受信品質データ生成選択部110において、第3の受信品質データが選択されることになる。
次いで、複数の無線通信端末装置100及び基地局装置200を含んで構成される無線通信システムの動作について、図4に示すフロー図を用いて詳細に説明する。
先ず、ステップST410では、基地局装置200が無線通信端末装置100に向けて下りマルチキャリア信号を無線送信する。
続いて、ステップST420では、無線通信端末装置100が下りマルチキャリア信号
を受信し、受信品質測定部109がこの下りマルチキャリア信号に含まれるパイロット信号を用いて全てのサブキャリア毎の受信SIRを測定する。
続いて、ステップST430では、受信品質データ生成選択部110が下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と閾値Tとを対比して、その対比結果から第1の受信品質データを生成し、生成された第1の受信品質データをフォーマット変換することによって第2の受信品質データ及び第3の受信品質データを生成する。
続いて、ステップST440では、受信品質データ生成選択部110が生成された第1〜第3の受信品質データのデータ量を比較して、それらの中からデータ量の最も少ないもの、図3に示す例では第3の受信品質データを選択する。
続いて、ステップST450では、制御情報処理部150が下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報を抽出し、その内容を知得する。
続いて、ステップST460では、制御情報処理部150がステップST450で知得した制御情報に従って、ステップST440で選択された下りマルチキャリア信号の受信品質データを上りマルチキャリア信号の所定のサブキャリアに割り当てるようにマッピング部125に指示する。また、ステップST460では、IFFT部127等において下りマルチキャリア信号の受信品質データが所定のサブキャリアに割り当てられた上りマルチキャリア信号が作成され、アンテナ素子101を介して基地局装置200に無線送信される。
続いて、ステップST470では、基地局装置200が複数の無線通信端末装置100からほぼ同時に送信された上りマルチキャリア信号を受信する。
続いて、ステップST480では、フォーマット判定部216−1〜216−nそれぞれが対応する無線通信端末装置100から送信されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データの識別番号を調べることにより、その受信品質データのフォーマットがいずれであるか、即ちその受信品質データが第1〜第3の受信品質データのいずれであるかを判定する。
続いて、ステップST490では、上りSC割当決定部221が、上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果に基づいて、第1の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100よりも、第2の受信品質データ又は第3の受信品質データを送信してきた無線通信端末装置100に対して優先的に、次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てる。また、ステップST490では、下りSC割当決定部222が、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信品質データに公知のアルゴリズムを適用することにより、複数の無線通信端末装置100それぞれに下りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てる。さらに、ステップST490では、端末応答部210における符号化部211がこれらの上り及び下りマルチキャリア信号に割り当てられたサブキャリアの情報を内容とする制御情報を生成する。そして、ステップST490では、生成された制御情報を含む下りマルチキャリア信号が作成され、作成された下りマルチキャリア信号が複数の無線通信端末装置100それぞれに無線送信される。
また、ステップST490が実行された後、無線通信端末装置100のいずれかと基地局装置200との間で引き続き無線通信が行なわれる場合には、再びステップST410に戻って上述の各ステップが順次実行される。
このように、本実施の形態に係る受信品質報告方法では、基地局装置200が、第1の受信品質データを送信した無線通信端末装置100より、第2又は第3の受信品質データを送信した無線通信端末装置100に対して優先的に、上りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てる。固定長である第1の受信品質データのフォーマットを表す識別番号が基地局装置200に誤って判定されても、基地局装置200は、そのデータ長から第1の受信品質データであると判断できる。一方で、第2及び第3の受信品質データのフォーマットを表す識別番号が基地局装置200に誤って判定されると、基地局装置200は、その受信品質データのフォーマットを正しく認識し直すことができない。そのため、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、識別番号誤りの影響が強い第2又は第3の受信品質データを送信してくる可能性の高い無線通信端末装置100に対して優先的に、上りマルチキャリア信号における受信品質の良好なサブキャリアを使用させることによって、基地局装置200における下りマルチキャリア信号の受信品質データの判定誤りを減少させることができる。なお、基地局装置200は、伝搬路変動が緩やかであれば、次以降の下りマルチキャリア信号の受信品質データのフォーマットが前回のものと同じである可能性の高いので、そのフォーマットを予測することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200が、複数の無線通信端末装置100それぞれに対して、上りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果に基づいて次以降の上りマルチキャリア信号で使用させるサブキャリアを割り当て、また下りマルチキャリア信号の受信品質データに基づいて次以降の下りマルチキャリア信号のサブキャリアを割り当てるため、次以降の上り及び下りマルチキャリア信号の受信品質を向上させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200における下りマルチキャリア信号の受信品質データの誤り率を低下させることができると伴に、無線通信端末装置100と基地局装置200との間における上り及び下りマルチキャリア信号の再送頻度を低下させて、上り及び下り回線におけるスループットを向上させることができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、受信品質データ生成選択部110によって生成された下りマルチキャリア信号の複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択されるため、従来は下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用されていた上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、受信品質データ生成選択部110によって生成される下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのフォーマットがいずれも簡素であることから、受信品質データ生成選択部110の信号処理の負荷を増加させることなく、下りマルチキャリア信号についてデータ量の異なる複数の受信品質データをリアルタイムで生成することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、受信品質データ生成選択部110において、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と所定の閾値Tとの対比結果を単純にサブキャリア番号順にビット表記することによって第1の受信品質データが生成され、さらにこの第1の受信品質データをフォーマット変換することによってビット表記による第2の受信品質データ及び第3の受信品質データが生成されるため、簡素な手法によって下りマルチキャリア信号についてデータ量の異なる複数の受信品質データを生成することができる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データがそれぞれビット表記された異なる識別番号を先頭又は後尾の少なくとも一方に具備するため、基地局装置200において無線通信端末装置100から送
信されてくる下りマルチキャリア信号の受信品質データのフォーマットを容易に判定できる。
また、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200が、同時通信を行う複数の無線通信端末装置100それぞれに、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、上り回線において複数の無線通信端末装置100が同一のサブキャリアを使用して下りマルチキャリア信号の受信品質データを基地局装置200に送信することを回避して、伝搬路における衝突によって下りマルチキャリア信号の受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態に係る無線通信端末装置100によれば、受信品質データ生成選択部110によって下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と所定の閾値Tとが対比され、その対比結果から第1の受信品質データが生成され、生成された第1の受信品質データがフォーマット変換されることにより、ビット表記による複数の受信品質データが生成され、受信品質データ生成選択部110によって生成された複数の受信品質データの中からデータ量の最も少ないものが選択され、無線送信部128からその受信品質データが上りマルチキャリア信号で基地局装置200に送信されるため、受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善することができる。
また、本実施の形態に係る基地局装置200によれば、上りSC割当決定部221が複数の無線通信端末装置100それぞれに対して、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上りマルチキャリア信号のサブキャリアを指定するため、複数の無線通信端末装置100が上りマルチキャリア信号における同一のサブキャリアを使用してそれぞれの下りマルチキャリア信号の受信品質データを送信してしまうことを回避して、伝搬路における衝突によって下りマルチキャリア信号の受信品質データが破壊され失われてしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態に係る無線通信端末装置100について、以下のように応用したり、変形したりしてもよい。
本実施の形態では、受信品質測定部109において下りマルチキャリア信号の全てのサブキャリアについてそのサブキャリア毎の受信SIRを測定する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質測定部109において隣接する複数本のサブキャリアを一単位として、その一単位毎に下りマルチキャリア信号の受信SIRを測定するようにしてもよい。また、例えば受信品質測定部109が、所定周波数間隔でサブキャリアをサンプリングし、サンプリングされたサブキャリアについてのみ下りマルチキャリア信号の受信SIRを測定するようにしてもよい。このようにすれば、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定に要する受信品質測定部109の負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態では、受信品質測定部109が下りマルチキャリア信号の受信品質としてそのサブキャリア毎の受信SIRを測定する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質測定部109が下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信電力レベルを測定するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データが生成される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質データ生成選択部110において下り
マルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方とが生成されるようにしてもよい。このようにすれば、受信品質データ生成選択部110の信号処理の負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態では、受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量が全て同一となる場合は殆ど想定されないため特に説明しなかったが、上述のように受信品質データ生成選択部110において下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方とが生成されるときには、それらのデータ量が同一になる場合も考えられる。このような場合には、生成された下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方に、その識別番号を繰り返し付加して、第1の受信品質データのデータ量との間に差を形成するようにしてもよい。このようにすれば、受信品質データ生成選択部110において必然的に下りマルチキャリア信号の第1の受信データが選択されることになるため、下りSC割当決定部222における信号処理の負荷を軽減することができる。これは、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データを構成する各ビットの位置がサブキャリア番号と直接結びついているため、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データであれば、受信品質の良いサブキャリアをその構成ビットの位置から直接知得できるからである。
また、本実施の形態では、下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのフォーマットを識別するために2ビットの識別番号を使用する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データのいずれか一方とを使用する場合には、1ビットの識別番号を使用してもよい。
また、本実施の形態では、上りSC割当決定部221によって割り当てられた上りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、下りSC割当決定部222によって割り当てられた下りマルチキャリア信号のサブキャリアの情報と、が符号化部211において一つの制御情報として生成される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば上りSC割当決定部221と下りSC割当決定部222とがそれぞれ個別に例えばタイミングをずらして制御情報を生成し、生成された制御情報を別々の下りマルチキャリア信号で複数の無線通信端末装置100に送信するようにしてもよい。
なお、第1〜第3の受信品質データをサブキャリアのグループ毎にまとめて計算し、グループ毎に異なるフォーマットを用いて品質データのフィードバックを行っても良い。
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2では、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が変動する場合について説明する。また、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数は、基地局装置200によってリアルタイムに把握され、その数の情報は制御情報に埋め込まれて、常時無線通信端末装置500それぞれに通知されるものとする。
図5は、本発明の実施の形態2に係る無線通信端末装置500の構成を示すブロック図である。無線通信端末装置500は、実施の形態1に係る無線通信端末装置100において、受信品質データ生成選択部110の代わりに受信品質データ生成選択部510を、また制御情報処理部150の代わりに制御情報処理部550を具備するものである。なお、無線通信端末装置500は、無線通信端末装置100の構成部と同様の機能を発揮する構成部を多く具備するため、そのような構成部については、無線通信端末装置100の構成部と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
制御情報処理部550は、制御情報抽出部551、復調部552及び復号部553を具備し、基地局装置200から送信された下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報の抽出及び受信信号処理を行う。具体的には、制御情報処理部550では、先ず制御情報抽出部551がFFT部104から入力されてくる下りマルチキャリア信号から制御情報用に割り当てられているサブキャリアを抽出し、続いて復調部552が制御情報抽出部551によって抽出されたサブキャリアの信号を所定の方式で復調し、続いて復号部553が復調部552によって復調された信号を予め設定された方式で復号して制御情報を生成する。ここで、生成された制御情報には、基地局装置200が下りマルチキャリア信号について無線通信端末装置500(自局)に割り当てたサブキャリアを示す情報と、基地局装置200が上りマルチキャリア信号について自局に割り当てたサブキャリアを示す情報と、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数を示す情報と、が含まれている。そして、制御情報処理部550は、基地局装置200が下りマルチキャリア信号について自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をデータ抽出部105に入力し、基地局装置200が上りマルチキャリア信号について自局に割り当てたサブキャリアを示す情報をマッピング部125に入力し、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数を示す情報を受信品質データ生成選択部510に入力する。
受信品質データ生成選択部510は、制御情報処理部550から入力されてくる無線通信端末装置500の数の情報に応じて、閾値Tを増減する調節を行う。また、受信品質データ生成選択部510は、受信品質測定部109から入力されてくる下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定値と調節された閾値Tとをサブキャリア毎に対比して、この対比結果をサブキャリア番号順にビット表記した第1の受信品質データを先ず生成し、続いてこの第1の受信品質データをフォーマット変換することにより、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が調節された閾値T以上であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第2の受信品質データと、下りマルチキャリア信号の受信SIRの測定値が調節された閾値T未満であるサブキャリアのサブキャリア番号をビット表記した第3の受信品質データと、をそれぞれ生成する。そして、受信品質データ生成選択部510は、生成した下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量を比較して、データ量の最も少ない受信品質データを選択し、選択された受信品質データにそのフォーマットを示す識別番号を付加して、識別番号を付加された下りマルチキャリア信号の受信品質データを符号化部121に入力する。
次いで、本実施の形態に係る無線通信端末装置500及び基地局装置200を含んで構成される無線通信システムの動作について説明する。図6は、本実施の形態に係る無線通信システムの動作を示すフロー図である。図6では、図4におけるステップST420とステップST430との間にステップST425が設けられ、またステップST470とステップST480との間にステップST475が設けられている。以下、図6に示す各ステップについて説明するが、図4に示すステップと同一のステップには、図4に示すステップと同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
ステップST425では、受信品質データ生成選択部510が制御情報処理部550から入力されてくる基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の情報に応じて、予め設定された閾値Tbを増減する調節を行う。
ステップST475では、基地局装置200が同時通信を行う無線通信端末装置500の数を測定して、測定されたその数の情報をステップST490において制御情報に埋め込むようにする。
図7に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数に対する閾値
Tの設定値の一例を示す。図7では、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えるに従って、閾値Tが段階的に増加するように設定されている。具体的には、閾値Tbを基準として、閾値Tは、無線通信端末装置500の数が増えたときには閾値Th1さらには閾値Th2に上昇遷移する一方、無線通信端末装置500の数が減ったときには閾値Tl1さらには閾値Tl2に下降遷移する。
図7に示すように、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に同調して閾値Tが増減するように設定しておけば、その無線通信端末装置500の数が増えたときには、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データが選択され易くなり、一方でその無線通信端末装置500の数が減ったときには、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データが選択され易くなる。つまり、このように基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に同調して閾値Tが増減するように設定しておけば、無線通信端末装置500の数が増えても減っても、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データよりも同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データの方が受信品質データ生成選択部510によって選択され易くなる。その結果、無線通信端末装置500の数の変動に関わらず、無線通信端末装置500それぞれについて、上り回線のスループットが改善されることになる。
図8に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えるに伴って閾値Tbを閾値Th2に増加させた場合における下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量を示す。なお、図8における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果は、図3のそれと同一であり、同様に図8における閾値Tbは、図3の閾値Tと同一である。図8に示すように、閾値Tbを閾値Th2に増加させると、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データのデータ量は18ビット(固定長)であり、下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データのデータ量は10ビットとなり、下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データのデータ量は58ビットとなる。従って、図8に示す例では、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データが選択されることになる。
図9に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が減るに伴って閾値Tbを閾値Tl1に減少させた場合における下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データのデータ量を示す。なお、図9についても、下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と閾値Tbとは、図3のそれらと同一である。図9に示すように、閾値Tbを閾値Tl1に減少させると、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データのデータ量は18ビット(固定長)であり、下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データのデータ量は62ビットとなり、下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データのデータ量は6ビットとなる。従って、図9に示す例では、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データが選択されることになる。
このように、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に応じて、受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tが増減するように設定されるため、無線通信端末装置500の数が増えても減っても、下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データよりも同第2の受信品質データ又は同第3の受信品質データの方が受信品質データ生成選択部510によって選択され易くなる。その結果、本実施の形態に係る受信品質報告方法によれば、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の変動に関わらず、無線通信端末装置500それぞれから基地局装置200へのスループットを常に改善することができる。
なお、本実施の形態に係る無線通信端末装置500について、以下のように応用したり、変形したりしてもよい。
本実施の形態では、受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tが基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の絶対量に対応付けられている場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tを離散値で用意しておき、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えたときには、現状の閾値Tから一単位増加させ、一方で基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が減ったときには、現状の閾値Tから一単位減少させるようにしてもよい。このようにすれば、基地局装置200は、同時通信を行う無線通信端末装置500の数が変動したときに限り、現在通信中の無線通信端末装置500に対して下りマルチキャリア信号で無線通信端末装置500の数の変動を通知すればよくなるため、基地局装置200が下りマルチキャリア信号に含まれる制御情報に無線通信端末装置500の数の情報を埋め込む回数を削減できると伴に、下り回線のスループットを改善することができる。
また、本実施の形態では、受信品質データ生成選択部510において下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データが生成される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば受信品質データ生成選択部510において下りマルチキャリア信号の第1の受信品質データと同第2の受信品質データとが生成され、さらに基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えたときには、受信品質データ生成選択部510で使用される閾値Tを増加させる一方、その無線通信端末装置500の数が減ったときには、その閾値Tを減少させるようにしてもよい。このようにすれば、受信品質データ生成選択部510が下りマルチキャリア信号の第3の受信品質データを生成して対比しなくてもよくなるため、受信品質データ生成選択部510の信号処理の負荷を軽減できると伴に、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数が増えたときには、受信品質データ生成選択部510によって下りマルチキャリア信号の第2の受信品質データが一層選択され易くなることから、基地局装置200と同時通信を行う無線通信端末装置500の数の増加に伴って無線通信端末装置500それぞれの占有できる上り回線のチャネルリソースが少なくなっても、無線通信端末装置500それぞれから基地局装置200へのスループットを有効に改善することができる。
なお、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
本明細書は、2004年3月12日出願の特願2004−71277に基づく。この内
容はすべてここに含めておく。
本発明に係る受信品質報告方法、無線通信端末装置及び基地局装置は、下りマルチキャリア信号の受信品質データの送信に使用される上り回線のチャネルリソースを開放して、上り回線のスループットを改善できるという効果を有し、OFDM方式による無線通信システム等に有用である。
本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図
実施の形態1における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データそれぞれのデータ量との関係の一例を示す図
本発明の実施の形態1に係る受信品質報告方法を説明するフロー図
本発明の実施の形態2に係る無線通信端末装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係る受信品質報告方法を説明するフロー図
実施の形態2における基地局装置と同時通信を行う無線通信端末装置の数に対する閾値Tの設定例を示す図
実施の形態2における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データそれぞれのデータ量との関係の一例を示す図
実施の形態2における下りマルチキャリア信号のサブキャリア毎の受信SIRの測定結果と下りマルチキャリア信号の第1〜第3の受信品質データそれぞれのデータ量との関係の一例を示す図