JPWO2005049821A1 - RNAi活性およびmiRNA活性の評価方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、RNAi活性およびmiRNA活性を簡便に評価できる方法を提供する。少なくとも標的配列と前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、前記標的配列を含むRNAに対してRNAi活性またはmiRNA活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給して、RNAi活性またはmiRNA活性を評価する。
Description
本発明は、RNAi活性およびmiRNA活性の評価方法に関し、より詳しくは、簡便にRNAi活性およびmiRNA活性を評価することができる方法に関する。なお、本明細書において「RNAi」とはRNA干渉(RNA interference)ともいう。また、「miRNA」は、マイクロRNA(micro RNA)ともいう。
RNA干渉は、機能阻害したい遺伝子の特定領域と相同なセンスRNAとアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNA(double-stranded RNA;以下「dsRNA」という)が標的遺伝子の転写産物であるmRNAの相同部分を干渉破壊するという現象で、1998年に線虫を用いた実験により初めて提唱された(非特許文献1)。この現象を利用して所望の遺伝子の発現を阻害するRNAi法が注目されている。しかし、哺乳類においては、約30塩基対以上の長いdsRNAを細胞内へ導入すると、インターフェロンレスポンスが誘導され、細胞がアポトーシスによって死んでしまうため、RNAi法を用いることが困難であった。
一方、マウス初期胚や哺乳類培養細胞では、RNA干渉が起こりえることが示され、RNA干渉の誘導機構そのものは、哺乳類細胞にも存在することが明らかとなってきた。現在では、およそ21〜23塩基対の短い二本鎖RNA(short interfering RNA、以下「siRNA」という)が、哺乳類細胞系でも細胞毒性を示さずにRNA干渉を誘導できることが示され、哺乳類においてもRNAi法を利用することが可能となってきている(非特許文献2、非特許文献3)。
また、最近、タンパク質に翻訳されない20数塩基のRNAが翻訳抑制あるいはmRNAの分解に関与していることが示唆されている。このような20数塩基のRNAは、miRNA(マイクロRNA)と呼ばれている(非特許文献4、非特許文献5)。
Fire, A. et al., Potent and specific genetic interference bydouble-stranded RNA in Caenorhabditis elegans, Nature, 391: 806-811, 1998
Zamore, P.D. et al., RNAi:double-stranded RNA directs the ATP-dependent cleavage of mRNA at 21 to 23nucleotide intervals. Cell, 101: 25-33, 2000
Elbashir, S. M. et al.,: Duplexes of 21-nucleotide RNAs mediate RNAinterference in cultured mammalian cells, Nature, 411: 494-498, 2001
Grishok, A. et al., The rde-1 gene, RNA amplification in dsRNAinterference regulate expression of the small temporal RNAs that control C.elegans developmental timing. Cell, 110: 513-520, 2002
Rhoades, M. W. et al., Prediction of plant micro RNA targets, Cell,110: 513-520, 2002
RNAi法は様々な応用が期待される技術である。しかし、ショウジョウバエや線虫では、ある遺伝子の特定領域と相同なdsRNAおよびsiRNAは、ほとんどの配列でRNA干渉効果を示すのに対して、哺乳類では無作為に選択した(21塩基の)siRNAの70〜80%はRNA干渉効果を示さない。これは、哺乳類においてRNAi法を用いた遺伝子機能解析を行う際に大きな問題点となっている。さらに、内在性遺伝子を標的とした場合、遺伝子によってmRNAの発現量および安定性などが異なるため、siRNAの有効性を評価することが困難な場合がある。また、miRNAについては未だ機能的に解明されていない点も多く、miRNAの活性について簡便に評価する方法が求められている。
上記のような状況の下、本発明は、RNAi活性およびmiRNA活性を簡便に評価できる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を進めたところ、評価対象となる分子と、標的となる配列を含むポリヌクレオチドとを発現系に導入し、評価対象となる分子が標的となる配列に対してRNAi活性またはmiRNA活性を有するか否かを評価する簡便な手法を見いだした。すなわち、本発明は、下記RNAi活性の評価方法およびmiRNA活性の評価方法を提供するものである。
(1) 少なくとも標的配列と前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、
前記標的配列を含むRNAに対してRNAi活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、
前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、
前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する、
RNAi活性の評価方法。
(2) 前記標的発現分子が、標的配列の上流および下流のそれぞれに、PCRプライマーがアニール可能な配列を有するPCRプライマー対応領域を備え、
前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが前記発現系に供給されて生じた標的配列を含むRNAを、PCRプライマー対応領域の配列にアニールする1対のプライマーを用いてRT−PCRにより定量し、
前記評価対象核酸分子を前記発現系に供給しない場合と比較して、前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する、上記(1)に記載のRNAi活性の評価方法。
(3) 標的配列の上流および下流にあるPCRプライマー対応領域の少なくとも一方の領域内部にイントロンが挟み込まれており、かつ、前記発現系がRNAをスプライシング可能な発現系である、上記(2)に記載のRNAi活性の評価方法。
(4) 前記標的発現分子が、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置に、レポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列を含み、
前記レポーターの発現を検出することによりRNAが切断されたか否かを検出する、上記(1)に記載のRNAi活性の評価方法。
(5) 前記発現系が、無細胞発現系または細胞発現系である、上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(6) 転写されるmRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子を、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給する、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(7) 前記標的発現分子に、転写されるRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列が組み込まれている、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(8) 前記標的配列が、評価対象核酸分子が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有する、上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(9) 少なくとも、標的配列と、前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域と、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、
前記標的配列を含むRNAに対してmiRNA活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、
前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、
前記レポーターの発現が抑制されたか否かを検出する、
miRNA活性の評価方法。
(10) 前記発現系が、無細胞発現系または細胞発現系である、上記(9)に記載のmiRNA活性の評価方法。
(11) 評価対象核酸分子によって発現抑制されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子を、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給する、上記(9)または(10)に記載のmiRNA活性の評価方法。
(12) 前記コントロール供給分子が、前記標的発現分子に組み込まれている、上記(11)に記載の、miRNA活性の評価方法。
(13) 前記標的配列が、評価対象核酸分子が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有する、上記(9)から(12)のいずれか一項に記載のmiRNA活性の評価方法。
前記標的配列を含むRNAに対してRNAi活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、
前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、
前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する、
RNAi活性の評価方法。
(2) 前記標的発現分子が、標的配列の上流および下流のそれぞれに、PCRプライマーがアニール可能な配列を有するPCRプライマー対応領域を備え、
前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが前記発現系に供給されて生じた標的配列を含むRNAを、PCRプライマー対応領域の配列にアニールする1対のプライマーを用いてRT−PCRにより定量し、
前記評価対象核酸分子を前記発現系に供給しない場合と比較して、前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する、上記(1)に記載のRNAi活性の評価方法。
(3) 標的配列の上流および下流にあるPCRプライマー対応領域の少なくとも一方の領域内部にイントロンが挟み込まれており、かつ、前記発現系がRNAをスプライシング可能な発現系である、上記(2)に記載のRNAi活性の評価方法。
(4) 前記標的発現分子が、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置に、レポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列を含み、
前記レポーターの発現を検出することによりRNAが切断されたか否かを検出する、上記(1)に記載のRNAi活性の評価方法。
(5) 前記発現系が、無細胞発現系または細胞発現系である、上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(6) 転写されるmRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子を、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給する、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(7) 前記標的発現分子に、転写されるRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列が組み込まれている、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(8) 前記標的配列が、評価対象核酸分子が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有する、上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
(9) 少なくとも、標的配列と、前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域と、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、
前記標的配列を含むRNAに対してmiRNA活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、
前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、
前記レポーターの発現が抑制されたか否かを検出する、
miRNA活性の評価方法。
(10) 前記発現系が、無細胞発現系または細胞発現系である、上記(9)に記載のmiRNA活性の評価方法。
(11) 評価対象核酸分子によって発現抑制されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子を、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給する、上記(9)または(10)に記載のmiRNA活性の評価方法。
(12) 前記コントロール供給分子が、前記標的発現分子に組み込まれている、上記(11)に記載の、miRNA活性の評価方法。
(13) 前記標的配列が、評価対象核酸分子が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有する、上記(9)から(12)のいずれか一項に記載のmiRNA活性の評価方法。
本発明により、RNAi活性またはmiRNA活性を簡便に評価することができる方法が提供される。本発明の方法は、特に、内在性遺伝子に由来する配列、人工的な配列など配列の由来、種類などを問わず、任意の配列を標的としてRNAi活性またはmiRNA活性の評価を簡便に行うことができる点で優れている。本発明の評価方法は、簡便なものであるため大量の試験を短時間で行うことが可能である。
図中の符号の説明は、下記のとおりである。
「pro/enh」 プロモーター/エンハンサー
「intron」 イントロン
「PAR」 プライマー対応領域
「target」 標的配列
「MCS」 マルチクローニングサイト
「poly A」 ポリAシグナル配列
「Kozak」 コザック配列
「Kozak+ATG」 コザック配列およびATG配列
「neo」 ネオマイシン耐性遺伝子
「puro」 ピューロマイシン耐性遺伝子
「F.Luc」 ファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子
「R.Luc」 レニラルシフェラーゼ遺伝子
「pro/enh」 プロモーター/エンハンサー
「intron」 イントロン
「PAR」 プライマー対応領域
「target」 標的配列
「MCS」 マルチクローニングサイト
「poly A」 ポリAシグナル配列
「Kozak」 コザック配列
「Kozak+ATG」 コザック配列およびATG配列
「neo」 ネオマイシン耐性遺伝子
「puro」 ピューロマイシン耐性遺伝子
「F.Luc」 ファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子
「R.Luc」 レニラルシフェラーゼ遺伝子
以下、本発明の実施の形態について、最良の形態に言及しつつ、
1.RNAi活性の評価方法、
2.miRNA活性の評価方法、
3.RNA干渉の標的塩基配列検索方法、
4.RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法、
5.二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法、
6.遺伝子の発現抑制方法、
の順に説明する。
1.RNAi活性の評価方法、
2.miRNA活性の評価方法、
3.RNA干渉の標的塩基配列検索方法、
4.RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法、
5.二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法、
6.遺伝子の発現抑制方法、
の順に説明する。
なお、分子生物学的な基本的手法については、BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1986); Sambrookら、MOLECULAR
CLONING: A LABORATORY MANUAL、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold
Spring Harbor、N.Y. (1989)、細胞工学ハンドブック、黒木登志夫ら編、羊土社(1992)、新遺伝子工学ハンドブック改訂第3版、村松ら編、羊土社(1999)など、多くの標準的な実験マニュアルがあり、これらの文献の内容は本明細書に取り込まれるものとする。また、本明細書において塩基配列は、特に断らない限り、センス鎖、すなわち、mRNAの配列を基準として示す。
CLONING: A LABORATORY MANUAL、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold
Spring Harbor、N.Y. (1989)、細胞工学ハンドブック、黒木登志夫ら編、羊土社(1992)、新遺伝子工学ハンドブック改訂第3版、村松ら編、羊土社(1999)など、多くの標準的な実験マニュアルがあり、これらの文献の内容は本明細書に取り込まれるものとする。また、本明細書において塩基配列は、特に断らない限り、センス鎖、すなわち、mRNAの配列を基準として示す。
1.RNAi活性の評価方法
本発明のRNAi活性の評価方法では、標的発現分子と評価対象核酸分子とを、RNAを発現させることが可能な発現系に供給して、標的発現分子から発現したRNAが評価対象核酸分子によって切断されたか否かを検出する。
本発明のRNAi活性の評価方法では、標的発現分子と評価対象核酸分子とを、RNAを発現させることが可能な発現系に供給して、標的発現分子から発現したRNAが評価対象核酸分子によって切断されたか否かを検出する。
標的発現分子は、RNAiの標的となる配列(以下「標的配列」という場合がある)を有するRNAを発現させる分子である。標的発現分子は、標的配列のRNAを発現系に提供し得るポリヌクレオチドであればよいが、安定性、操作性などの観点からDNAであることが好ましく、より具体的には発現ベクター等が好適なものとして用いられる。発現ベクターは市販されているものなど既に多数のものがある。発現ベクターによって発現させる場合、発現ベクターは、例えば培養細胞系の種類あるいは無細胞系の条件などに応じて、適宜選択することができる。標的配列を挿入させたり、その他所定の配列を挿入させたりするために、標的発現分子はマルチクローニングサイト(「MCS」と略称する場合がある)を有するものであることが好ましい。ベクターとしては、具体的一例としては、例えばpCI−neoなどが用いられる。
標的配列を発現系に供給するため、標的発現分子は、少なくとも標的配列およびこの標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域とを含む。標的配列は任意であり、評価を行う者が所望の遺伝子等から任意に配列を選ぶことができる。一例として、標的配列は、下記「3.RNA干渉の標的塩基配列検索方法」などによって検索された配列を選択することができ、検索された配列が実際にRNAiの対象となり得るかを実験系にて確認することになる。また、標的発現分子は、標的配列を含むRNAを発現させるための発現調節領域を備える。発現調節領域は、例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリA領域などによって構成される。プロモーター、エンハンサー等は、ベクターや宿主などの条件に応じて適宜選択される。また、標的発現分子には、ターミネーターなどベクターに組み込み得る他の配列を組み込んでもよい。
プロモーターは、遺伝子の発現に用いる培養細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主細胞として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、HIV・LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、HSV−TKプロモーター、CAGプロモーターなどが挙げられる。
評価対象核酸分子は、RNAi活性を評価しようとする対象となる配列を有する核酸分子である。核酸分子は、核酸を構成主体とする分子であり、主にRNAからなるが、RNAとDNAとのハイブリッド分子およびキメラ分子並びにこれらの変性分子などであってもよい。ここで、変性分子としては、二本鎖が完全な塩基対を形成していない変性分子のほか、ヌクレオチドの一部が修飾されたものも含む。より具体的には、例えば、上記の標的配列に対するRNAi活性の程度を評価しようとするsiRNA候補分子、またはsiRNA候補分子を発現する核酸分子であり、偶然発見された分子や、RNAi活性を有するものと期待して設計された分子など様々なものも候補分子となり得る。
RNAi活性を有する蓋然性が高い配列の設計方法としては、例えば、下記「4.RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法」などが挙げられる。すなわち、本発明の評価方法は、下記「4.RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法」および「5.二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法」に記載の方法に従って得られたsiRNA活性を有する蓋然性が高い分子のRNAi活性を実験系で簡便に確認する手法としても好適に用いられる。
また、評価対象核酸分子は、発現系にRNAi候補分子を提供するものであり、siRNAの形態そのものであってもよいし、またはsiRNAの形態の分子を発現するベクターであってもよい。
標的発現分子および評価対象核酸分子は、標的発現分子から標的配列を含むRNAが発現可能な発現系に供給されることもできる。RNAが発現可能な発現系は、細胞系であっても無細胞系であってもよいが、少なくともmRNAの転写が行われる条件を備えていることを要する。したがって、発現系内には、RNA分子を合成するための材料、および酵素等が含まれている。細胞系としては、適当な培養細胞内で標的発現分子を発現させることができる。培養細胞に標的対象核酸分子および評価対象核酸分子を供給する方法は、細胞内に分子を導入するトランスフェクションなどの一般的な方法であることができる。また無細胞系は、例えば、試験管内など細胞外で、所定の緩衝液などに細胞抽出液、リボ核酸、RNAポリメラーゼ、ATPなどを加えた系である。
細胞発現系として宿主細胞を用いる場合、宿主細胞の例としては、例えば、ドロソフィラS2(Drosophila S2)およびスポドプテラSf9(Spodoptera Sf9)などの昆虫細胞;CHO、COS、HeLa、C127、NIH3T3、BHK、HEK293、バウエス(Bowes)黒色腫細胞および血球系細胞などの動物細胞;ならびに植物細胞が挙げられる。
発現系内に取り込まれた標的発現分子からは、標的配列を含むmRNAが転写される。そして、同じく発現系内に導入された評価対象核酸分子が、その評価対象配列を干渉するものであれば、標的配列を含むRNAは切断され、干渉しないものであれば切断されない。したがって、mRNAが切断されたか否かを検出することにより、評価対象核酸分子がRNAi活性を有するか否か、あるいはRNAi活性の程度を評価することができる。RNAが切断されたか否かの検出方法としては、RNAの発現を定性的または定量的に測定する方法や、標的発現分子に、標的配列と共に転写される所定のレポーターを組み込んでおき、そのレポーターを定性的または定量的に測定する方法などが挙げられる。具体的な検出方法、およびそれに適した形態については下記にて別途詳説する。
内在性遺伝子をターゲットとして、その内在性遺伝子を有する細胞または生体に、直接RNAi活性を有する候補分子を投与しても、そもそも内在性遺伝子の発現量が少ない場合やその遺伝子産物の安定性が低い場合には、RNAiの効果について評価するのが困難である。また、トランスフェクション効率の低い培養細胞系では、RNAi活性を有していても、siRNAによる内在性遺伝子の抑制の効果が見えにくい。さらに、例えばRT−PCR(reverse transcribed-PCR)によってRNAの発現量を測定しようとする場合には、標的とする内在性遺伝子に応じてプライマーの組み合わせ、PCRサイクルの条件など、プロトコルを大幅に調整する必要性がある。すなわち、例えば標的対象の内在性遺伝子が10,000種あったとすると、10,000種のプライマーの組み合わせ、およびPCRサイクルの大幅な条件検討を要することになる。
これに対して、本発明の評価方法は、クローニングや遺伝子発現系などの簡便な実験系を用いてRNAi活性を測定することができる簡便な方法である。本発明の評価方法によれば、所望の標的配列を組み換える以外は、一定のプロトコルで多数の標的配列についてRNAi活性を評価することができるという簡便さが提供される。また、発現ベクター−宿主系などの確立した実験系をベースとすることができるので、生体内では発現量の少ない内在性遺伝子であっても、RNAi活性の評価を適切に行うことができる。また、元来の生体内では標的配列を含む発現産物が早期に分解されてしまうような場合でも、本発明の方法によれば、そのような原因を除く細胞系または無細胞系を比較的容易に調製し得る。さらに、本発明の評価方法は、siRNAとベクターとを発現系に同時に入れることが可能であり、そのため、トランスフェクションの効率が低い系であっても、アッセイ可能にすることができる。RNAiは、遺伝子のノックアウト技術、医薬としての利用など、さまざまな利用が検討されており、今後めざましい発展を遂げる可能性を秘めた分野であり、本発明の評価方法は、RNAi関連技術の発展に大きく寄与するものである。
次に、本発明の評価方法の好ましい実施形態の例について、さらに具体的に説明する。
1−1 PCR方式
標的配列を含むRNAが切断されたか否かをRT−PCRを用いて検出する実施形態について説明する。この実施形態は、転写されたRNAに対応するcDNAをPCRによって増幅するものであり、増幅されたDNAを検出して、RNAが切断されたか否かを判別する。
1−1 PCR方式
標的配列を含むRNAが切断されたか否かをRT−PCRを用いて検出する実施形態について説明する。この実施形態は、転写されたRNAに対応するcDNAをPCRによって増幅するものであり、増幅されたDNAを検出して、RNAが切断されたか否かを判別する。
本PCR方式の場合、標的発現分子は、標的配列の上流および下流のそれぞれに、PCRプライマーがアニール可能な配列を有するPCRプライマー対応領域を備える。プライマーの配列には特に限定はなく、PCRの条件などに応じて適宜設定される。より好ましい形態として、標的配列の上流および下流にあるPCRプライマー対応領域の少なくとも一方の領域内部にイントロンが挟み込まれるようにする。挟み込むというのは、PCRプライマー対応領域の端部に接続されるのではなく、PCRプライマー対応領域を分断するように組み込まれることを意味する。PCRプライマー対応領域にイントロンを挟み込ませることにより、発現ベクターを鋳型としてDNAが増幅してしまうことが防止される。その結果、発現ベクターから転写され且つスプライシングされたRNA、すなわち、イントロンが除去されたRNAを基にしてPCRが行われるので、より正確な評価をすることができる。
イントロンは、真核生物の遺伝子DNA中に見出すことができる。本発明において用いられるイントロンは、アミノ酸配列情報を有さず、mRNAのスプライシングにおいて除去される配列であれば特に限定はない。イントロンには多数の例があるが、一部具体例として例示すると、β−グロビン由来のイントロン、IgG由来のイントロンなどが挙げられる。
PCRプライマー対応領域にイントロンが挟み込まれる形態においては、発現系としてはRNAをスプライシング可能な発現系を用いる。例えば、スプライシング可能な発現系としては、RNAのスプライシングが行われることが確認されている真核生物系の発現ベクター−宿主系を用いてもよい。また、無細胞系であれば少なくともスプライシングに要するスプライセオソームなどを含む系を構築すればよい。また、無細胞系としては、真核生物の細胞の破砕物を含む混合溶液を用いてもよい。
図1に標的発現分子として発現ベクターを用いた場合の設計例を示す。発現調節領域としてプロモーター及びエンハンサー(「pro/enh」)が組み込まれている。発現調節領域の下流にはイントロン(「intron」)が挟み込まれたフォワードプライマーに対するプライマー対応領域(「PAR(F)1」:primer annealing region (F)1)が組み込まれている。フォワードプライマーのプライマー対応領域(「PAR(F)1」)の下流にはマルチクローニングサイト(「MCS」)があり、マルチクローニングサイト(「MCS」)を使って、所望の標的配列(「target」)が組み込まれる。さらに標的配列(「target」)の下流にはリバースプライマーに対応するプライマー対応領域(「PAR(R)1」:primer
annealing region (R)1)が組み込まれている。
annealing region (R)1)が組み込まれている。
図2および図3に、標的発現分子としてのPCRベースフラグメントの組み合わせを示す。図2および図3の組み合わせは、PCR方式であると共に、検出シグナルを正規化するための内部標準コントロール(以下、「インターナルコントロール」;internal controlともいう)を備える。
図2には、23塩基からなる標的配列を含む標的発現分子であるPCRフラグメント1(「PCR fragment 1」)を示す。図3には、標的配列部位の発現量を相対的に定量する際にコントロールとして用いるPCRフラグメント2(「PCR fragment 2」)が示されている。コントロールを用いることにより、トランスフェクション効率のばらつき、RNAの収率のばらつき等、試料サンプル間の誤差を補正することなどが可能である。PCRフラグメント1および2は、二本鎖DNAにより構築されている。PCRフラグメント1はプロモーター及びエンハンサー(「pro/enh」)を有し、その下流にフォワードプライマーに対応するプライマー対応領域(「PAR(F)1」)を有する。フォワードプライマー対応領域(「PAR(F)1」)の内部には、イントロン(「intron」)が挟み込まれており、PCRフラグメント1そのものがPCRの鋳型としては機能しないように設計されている。なお、図2に示す例では、イントロンはPAR(F)1に挟み込まれているが、PAR(R)1に挟み込んでもよい。フォワードプライマーに対応するプライマー対応領域(「PAR(F)1」)の下流には、標的配列(「target」)が組み込まれている。標的配列(「target」)の下流にはリバースプライマーに対応するプライマー対応領域(「PAR(R)1」)が組み込まれている。さらにその下流にはポリAシグナル(「poly A」)配列を備える。図3に示すPCRフラグメント2は、相対定量の際のコントロールとして用いるネオマイシン耐性遺伝子(「neo」)が組み込まれている。PCRフラグメント1および2を用いる場合、両者を共にRNAを発現可能な発現系に導入する。なお、検出シグナルを正規化する実施形態については、下記「1−3 インターナルコントロールによる検出シグナル正規化」にて別途詳説する。
前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給された発現系からRNAを回収して逆転写を行い、PCRプライマー対応領域の配列にアニールする1対のプライマーを供給してRT−PCRを行い、標的配列を含むポリヌクレオチドを定量する。発現系は、無細胞発現系であっても細胞系発現系であってもよい。RT−PCRを行うために、逆転写酵素およびオリゴ(dT)プライマーまたはランダムヘキサマーを用いてcDNAが生成される。生成されたcDNAを鋳型としてPCRによりDNAが増幅され、増幅を速度論的に評価することによりmRNAの定量を行うことが可能である。温度やサイクルなどRT−PCRの他の条件は適宜調整してよい。
評価対象核酸分子を供給する系と同様に、評価対象核酸分子を供給しない系についてもRT−PCRを行う。そして、評価対象核酸分子を前記発現系に供給しない場合と比較して、前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する。評価対象核酸分子を供給しない系には、例えばコントロールとして、標的配列に対しRNAi活性を有しないことが判明している分子(例えば評価対象核酸分子と類似した分子)を供給して比較するという実施形態も含まれる。
RT−PCRを用いてRNAi活性を検出する方法は特に限定されない。例えば、評価対象核酸分子がRNAi活性を十分に発揮する場合、標的配列を含むDNAの増幅の遅れとなって現れることが多いので、増幅されたDNA量の時系列的な変化を測定してRNAi活性を評価することができる。評価の方法の例を図4に示す。図4は、例示的に、増幅されたDNA量の経時的変化を示したものであり、横軸がPCRサイクル数、縦軸がDNA量(PCR産物量)を示す。図4において、(I)に示す曲線は評価対象核酸分子を供給しない系の結果を示し、(II)に示す曲線はRNAi活性がある分子を供給した場合の結果である。図4(I)の曲線とは異なって、RNAi活性を有する分子が発現系に供給されると、図4(II)に示す曲線のようにDNAの増幅が遅れて現れる。評価対象核酸分子が、標的発現分子から転写されるRNAを切断し、RT−PCRの鋳型が減少したためである。したがって、この遅れの程度はRNAi活性の程度を表す1つの指標となり得る。RNAi活性があるにもかかわらず、DNA量が増えてくる場合があるのは、活性の程度などにより、RNAiを免れ得る分子が現れ、1つの鋳型ができてしまえばPCRによって容易に増幅されてしまうためである。
また、経時的にDNAの量を測定せずとも、図4の(I)と(II)のような差が現れやすい時点(またはPCRサイクル数)を予め知っておけば、その時点でのみDNA量を測定し、DNA量の差からRNAi活性を評価することもできる。
1−2 レポーター方式
次に、標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する方法として、レポーターを用いる実施形態について説明する。本レポーター方式の場合には、標的発現分子に、標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列を組み込んでおき、レポーターの発現を検出することによりRNAが切断されたか否かを検出する。レポーター方式においても、発現系は無細胞発現系であっても細胞発現系であってもよい。
次に、標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する方法として、レポーターを用いる実施形態について説明する。本レポーター方式の場合には、標的発現分子に、標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列を組み込んでおき、レポーターの発現を検出することによりRNAが切断されたか否かを検出する。レポーター方式においても、発現系は無細胞発現系であっても細胞発現系であってもよい。
レポーターは、その発現が検出可能なものであれば特に限定はなく、例えば、各種の蛍光タンパク質、発光タンパク質、生成酵素、分解酵素、耐性遺伝子などが挙げられる。より具体的には、レポーターとして例えば、EGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein;強化緑色蛍光タンパク質)などのオワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質遺伝子、Discoma
sp.由来の赤色蛍光タンパク質遺伝子(DsRed)、Heteractis crispa由来の近赤外蛍光タンパク質遺伝子(HcRed)、ファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子(Firefly
luciferase gene)、レニラルシフェラーゼ遺伝子(Renilla Luciferase gene)、ピューロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、アルカリフォスファターゼ遺伝子およびこれらの変異体などの他、多数のものを好適なものとして用いることができる。レポーターは、標的発現分子内において標的配列と一体のmRNAとして転写される位置に備えられる。したがって、標的配列をコードするmRNAが切断された場合、レポーターの配列について翻訳が阻害され、レポーターの発現産物が検出されない、あるいは抑制されるという現象となって現れる。
sp.由来の赤色蛍光タンパク質遺伝子(DsRed)、Heteractis crispa由来の近赤外蛍光タンパク質遺伝子(HcRed)、ファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子(Firefly
luciferase gene)、レニラルシフェラーゼ遺伝子(Renilla Luciferase gene)、ピューロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、アルカリフォスファターゼ遺伝子およびこれらの変異体などの他、多数のものを好適なものとして用いることができる。レポーターは、標的発現分子内において標的配列と一体のmRNAとして転写される位置に備えられる。したがって、標的配列をコードするmRNAが切断された場合、レポーターの配列について翻訳が阻害され、レポーターの発現産物が検出されない、あるいは抑制されるという現象となって現れる。
レポーターの検出は、レポーターの種類に応じて適宜選択される。例えば、レポーターが蛍光タンパク質等であれば、その蛍光強度を測定することによりレポーターの発現を検出することができる。また、レポーターが耐性遺伝子であれば、耐性遺伝子が導入された細胞の耐性をアッセイすることにより、レポーターの発現を検出することができる。生成酵素や分解酵素をレポーターとする場合には、これらの酵素が触媒する反応によって生じる産物を定量することによりレポーターの発現を検出することができる。何れの場合であっても定量的あるいは定性的に測定が可能である。また、定量的な測定の場合は、量の違いがRNAi活性の程度として反映されるようにすることが好ましい。
図5から図7に、標的発現分子として、レポーターを組み込んだ発現ベクターの構築例を示す。図5は、レポーターとしてピューロマイシン耐性遺伝子(「puro」)を組み込んだ発現ベクターである。上流から、プロモーターおよびエンハンサー(「pro/enh」)、翻訳を円滑に行わせるためのKozak配列およびATG(「Kozak+ATG」)、さらにはマルチクローニングサイト(「MCS」)を有し、マルチクローニングサイト(「MCS」)を利用して、標的配列(「target」)およびピューロマイシン耐性遺伝子(「puro」)が組み込まれている。ピューロマイシン耐性遺伝子の下流にはポリAシグナル(「poly A」)が組み込まれている。さらに、ネオマイシン耐性遺伝子(「neo」)が組み込まれている。
図5に示す発現ベクターと評価対象核酸分子とを、培養細胞系に導入し、細胞がピューロマイシン耐性を有するかどうかを判定する。評価対象核酸分子がRNAi活性を有しない場合には、ピューロマイシン耐性遺伝子が発現し、細胞はピューロマイシン耐性を有するためピューロマイシン含有培地で生育が可能である。これに対し、評価対象核酸分子がRNAi活性を有する場合には、標的配列部でmRNAが切断されてしまうためピューロマイシン耐性遺伝子がコードするタンパク質は翻訳されない。そのため、宿主細胞はピューロマイシン耐性を有さず、細胞が生存できないかあるいは増殖が抑制されるという現象が現れる。この生育の差により、RNAi活性の有無を判別することができる。図5に示す発現ベクターには、ネオマイシン耐性遺伝子(「neo」)が組み込まれている。
図6に示す発現ベクターは、レポーターとしてEGFP遺伝子が組み込まれたものである。すなわち、標的配列と共に一体として転写される位置にEGFP遺伝子(「EGFP」)が挿入されている。RNAi活性の検出は、EGFPの蛍光量を検出することにより行うことができる。蛍光量の測定は、通常の方法に従って行うことができる。また、EGFP遺伝子とは別の発現調節領域支配下に耐性遺伝子としてピューロマイシン耐性遺伝子(「puro」)が組み込まれており、トランスフェクトされた細胞のピューロマイシンによる選択(濃縮)が可能である。
図6に示す発現ベクターには、イントロン(「intron」)が挟み込まれたフォワードプライマー対応領域(「PAR(F)1」)、リバースプライマー対応領域(「PAR(R)1」)が組み込まれている。すなわち、図6の発現ベクターを用いて、上記RT−PCRによる検出を行うこともできる。ピューロマイシン耐性遺伝子(「puro」)には、イントロンが挟み込まれたPAR(F)3およびPAR(R)3が含まれており、ピューロマイシン耐性遺伝子内のプライマー対応領域を利用してピューロマイシン耐性遺伝子のRNAを定量し、インターナルコントロールとして用いることができる。また、ピューロマイシン耐性について細胞の選択を行うことにより、発現ベクター等が導入された細胞の割合を高めることができる。他の点は、図5の例の場合と同様である。
図7に示す発現ベクターは、レポーターとしてファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子(「F.Luc」:Firefly Luciferase gene)が組み込まれている。すなわち、標的配列(「target」)と共に一体として転写される位置にファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子(「F.Luc」)が組み込まれている。また、これとは別の発現調節領域支配下にレニラルシフェラーゼ遺伝子(「R.Luc」:
Renilla Luciferase gene)が組み込まれている。RNAi活性は、ルシフェラーゼアッセイ法によりルミノメーターなどを用いて発光の測定を行うことで判別することができる。ファイヤーフライルシフェラーゼの発光が検出されればRNAi活性がないと判別される。ファイヤーフライルシフェラーゼの発光が抑制あるいは検出されない場合には、RNAi活性があると判別される。レニラルシフェラーゼの発光はインターナルコントロールとして用いることができる。また、現時点においてであるが、ルシフェラーゼアッセイはRT−PCRよりも簡便なアッセイ法であり、よりハイスループットな評価方法とすることができる。他の点は図5または図6と同様である。
Renilla Luciferase gene)が組み込まれている。RNAi活性は、ルシフェラーゼアッセイ法によりルミノメーターなどを用いて発光の測定を行うことで判別することができる。ファイヤーフライルシフェラーゼの発光が検出されればRNAi活性がないと判別される。ファイヤーフライルシフェラーゼの発光が抑制あるいは検出されない場合には、RNAi活性があると判別される。レニラルシフェラーゼの発光はインターナルコントロールとして用いることができる。また、現時点においてであるが、ルシフェラーゼアッセイはRT−PCRよりも簡便なアッセイ法であり、よりハイスループットな評価方法とすることができる。他の点は図5または図6と同様である。
1−3 インターナルコントロールによる検出シグナル正規化
本発明の他の好ましい実施形態として、インターナルコントロールを用い、各試験サンプル間の各種の誤差、具体的には、標的発現分子および評価対象核酸分子のトランスフェクション効率のばらつき、回収時の細胞数のばらつき、RNA抽出後のRNA収量(RNA収率)のばらつき、PCRのテンプレートとして加えるcDNA量のばらつきなどを是正することができる実施形態について説明する。
本発明の他の好ましい実施形態として、インターナルコントロールを用い、各試験サンプル間の各種の誤差、具体的には、標的発現分子および評価対象核酸分子のトランスフェクション効率のばらつき、回収時の細胞数のばらつき、RNA抽出後のRNA収量(RNA収率)のばらつき、PCRのテンプレートとして加えるcDNA量のばらつきなどを是正することができる実施形態について説明する。
本発明の評価方法においては、細胞発現系であっても、無細胞発現系であっても、標的発現分子および評価対象核酸分子を発現系に供給し、標的発現分子から所定のRNAを発現させる。ところで、RNAi活性がある場合、RNAが切断されるため、RNAi活性があることは、所定のDNAの増幅が抑制される、あるいは、発現産物が検出されないなどの現象として判別される。しかしながら、何らかの理由でもともと標的発現分子等が発現系に適切に供給されていない場合あるいは発現系が適切に機能していない場合にも、所定のDNAの増幅抑制、または発現産物の不検出などの現象が現れる。また、各試料サンプル間で標的発現分子および評価対象核酸分子のトランスフェクション効率のばらつき、回収時の細胞数のばらつき、RNA抽出後のRNA収量(RNA収率)のばらつき、PCRのテンプレートとして加えるcDNA量のばらつきなどを生じる可能性もある。そこで、このような問題を是正する手段が設けられることがより好ましい。
本検出シグナルの正規化を含む実施形態では、転写されるRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子が、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給される。
コントロール供給分子は、コントロール配列を含むポリヌクレオチドである。コントロール配列は検出可能な発現産物をコードしている。発現産物としては、例えばRNA、ポリペプチド、タンパク質などが含まれる。また、コントロール配列は、同じく発現系に供給される評価対象核酸分子によって少なくともmRNAが切断されないものである。すなわち、本導入確認系の実施形態は、評価対象核酸分子によってRNAiを受けない分子を供給するものである。評価対象核酸分子によってmRNAが切断されないという条件を満たす限り、例えば、上記「1−2」で例示したレポーターを用いることができる。発現産物の検出は、発現産物の種類に応じて適宜選択される。
評価対象核酸分子によって切断されない配列は、実験により確認されたものであってもよい。例えば、本発明の評価方法により、評価対象核酸分子がRNAi活性を示さない配列も容易に検出することができるため、本発明の評価方法で予めRNAi活性を示さないことを確認した配列を用いることができる。標的対象核酸分子がRNAi活性を示さないことは、RT−PCRによるDNAの増幅、発現産物の検出という現象で把握できるため、偽陽性の問題は生じず、判別は容易である。
具体例としては、例えば図2および図3の組み合わせなどによる方式が含まれる。この場合、図3に示すPCRフラグメント2がコントロール供給分子として用いられる。例えば、PAR(F)1およびPAR(R)1を利用した標的配列に係るPCRとは別に、コントロール配列部位に係るPAR(F)2およびPAR(R)2の組み合わせによるPCRを行い、標的配列に係るPCRの測定値をコントロール配列部位に係るPCRの測定値で割った値を各試料サンプルについて求めることにより、各サンプル間での誤差を正規化して、より的確に比較することができる。具体的には、例えば、標的発現分子および評価対象核酸分子のトランスフェクション効率のばらつき、回収時の細胞数のばらつき、RNA抽出後のRNA収量(RNA収率)のばらつき、PCRのテンプレートとして加えるcDNA量のばらつきなどの各サンプル間の誤差について正規化することができる。
PCRフラグメント2はネオマイシン耐性遺伝子を有している。図3に示す例では、PAR(F)2およびPAR(R)2はネオマイシン耐性遺伝子中の配列をそのまま利用して、PCRプライマーが設計される。
上記のようにコントロール供給分子を標的発現分子とは別個に作製して発現系に供給しても良いが、他の形態として、コントロール配列を標的発現分子に組み込んでもよい。標的発現分子に組み込むには、コントロール配列およびコントロール配列を発現させるための発現調節領域を標的発現分子内に備えるようにすればよい。コントロール配列は、上記コントロール供給分子に含まれるコントロール配列と同様である。
コントロール配列を標的発現分子に組み込んで発現系に導入する場合、コントロール供給分子と共に必ず標的配列部分も発現系内に導入される。したがって、コントロール配列を標的発現分子内に組み込むことにより、コントロール供給分子と標的発現分子についてトランスフェクション効率の差を考慮することを要しないという点でメリットがある。他方、標的発現分子にコントロール供給分子を組み込まない場合、一般にトランスフェクション効率は分子サイズが小さいほど良くなる傾向があるため、標的発現分子のトランスフェクション効率を良くすることができる。また、図2および3に示すPCRフラグメントからなる標的発現分子は、ベクターをコンストラクションすることなくPCRにより簡便に作製できる点でメリットがある。
標的発現分子の具体例としては、例えば、図6および7に示す形態などが示される。図6に示す例では、標的発現分子中にピューロマイシン耐性遺伝子(「puro」)が組み込まれており、このピューロマイシン耐性遺伝子(「puro」)中にイントロン(「intron」)、PAR(F)3およびPAR(R)3が設けられており、インターナルコントロールとして用いることができる。図6に示す例では、PAR(F)3中にイントロンが組み込まれている。インターナルコントロールによる正規化の手法における他の点は、上記図2および3の例における正規化の説明と同様である。
図7に示す例では、標的発現分子にレニラルシフェラーゼ遺伝子(「R.Luc」)が組み込まれている。レニラルシフェラーゼ遺伝子は、ファイヤーフライルシフェラーゼ遺伝子のインターナルコントロールである。標的発現分子に組み込まれたレニラルシフェラーゼ遺伝子中には、PAR(F)4、PAR(R)4およびイントロンが設けられている。「ファイヤーフライルシフェラーゼの発光度値/レニラルシフェラーゼの発光度値」を算出することによりルシフェラーゼの相対活性を求めることもできる。正規化された値に基づき、より正確なデータの比較が可能である。
1−4 副作用確認系
RNAi活性を有するsiRNA、siRNAを発現するRNAiベクターなどは所定の遺伝子の発現を抑制することができるため、遺伝子治療薬等としての用途が考えられる。しかし、治療薬とするためには、ある特定のsiRNAが、生体内の他の遺伝子等にも作用して、副作用を生じさせないことが求められる。
RNAi活性を有するsiRNA、siRNAを発現するRNAiベクターなどは所定の遺伝子の発現を抑制することができるため、遺伝子治療薬等としての用途が考えられる。しかし、治療薬とするためには、ある特定のsiRNAが、生体内の他の遺伝子等にも作用して、副作用を生じさせないことが求められる。
ところで、RNAiを受ける配列とsiRNAの配列とは、同じ塩基配列を有する。しかし、類似した配列どうしの場合でもRNAiが生じることがある。したがって、どのような類似範囲でRNAiが生じるのかを評価することは上記のような副作用防止の観点から重要である。
本副作用確認系の実施形態は、上記本発明の評価方法において、評価対象核酸分子として、標的配列が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有するものを用いる。あえて標的配列とは異なる塩基配列を評価対象として用いることにより、その評価対象核酸分子が有するRNAi活性の作用範囲を明らかにすることができる。
2.miRNA活性の評価方法
また、本発明は、miRNA活性の評価法も提供する。本発明のmiRNA活性の評価方法は、上記RNAi活性の評価方法における評価対象核酸分子として、miRNA活性を測定しようとする分子を用いる。すなわち、本発明のmiRNA活性の評価方法では、少なくとも、標的配列と、前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域と、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、前記標的配列を含むRNAに対してmiRNA活性を有するか否かを評価の対象とする評価対象核酸分子とを、前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、前記レポーターの発現が抑制されたか否かを検出する。
また、本発明は、miRNA活性の評価法も提供する。本発明のmiRNA活性の評価方法は、上記RNAi活性の評価方法における評価対象核酸分子として、miRNA活性を測定しようとする分子を用いる。すなわち、本発明のmiRNA活性の評価方法では、少なくとも、標的配列と、前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域と、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、前記標的配列を含むRNAに対してmiRNA活性を有するか否かを評価の対象とする評価対象核酸分子とを、前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、前記レポーターの発現が抑制されたか否かを検出する。
miRNAは、タンパク質に翻訳されない20数塩基のRNAとして知られている。したがって、評価対象核酸分子としては、タンパク質に翻訳されない20数塩基のRNAまたはヘアピン構造を有するmiRNA前駆体などが用いられる。なお、このようなRNAを発現する発現ベクターを用いて、標的配列発現分子を供給する発現系へ供給してもよい。
miRNAは主に翻訳抑制として作用するものと考えられているため、miRNA活性の評価としては、標的配列を含むRNAがコードするタンパク質の発現が抑制されたか否かを検出することが、より正確な評価を行う上で好適である。すなわち、標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列を、標的発現分子中に組み込む。miRNA活性の検出手法は、上記RNAi活性の評価方法における「1−2 レポーター方式」の欄に説明した方法と同様にして行うことができる。miRNA活性がある場合には、レポーターが検出されない、またはレポーターの発現が抑制されるという形態で判別される。
標的発現分子等が供給される発現系は、無細胞発現系でもあっても、細胞発現系であってもよい。また、miRNA活性の評価方法においても、RNAi活性の評価方法の場合と同様に、インターナルコントロールによる検出シグナル正規化(上記「1−3」参照)の実験系を構築することができる。ただし、miRNA活性の評価の場合には、コントロール配列は、評価対象核酸分子によって発現抑制されない配列からなり、かつ、検出可能な発現産物をコードする。さらに、RNAi活性の評価方法と同様に、副作用確認系(上記「1−4」参照)の実験系を構築することもできる。
3.RNA干渉の標的塩基配列検索方法
本RNA干渉の標的塩基配列検索方法(以下「本検索方法」という場合がある)は、標的とする遺伝子の塩基配列中から、RNA干渉の起因となる塩基配列を探し出す方法である。具体的には、本検索方法では、RNA干渉の標的遺伝子の塩基配列から、下記(a)から(d)の規則に従う配列部位を検索する。
(a)3’末端の塩基が、アデニン、チミンまたはウラシルである。
(b)5’末端の塩基が、グアニンまたはシトシンである。
(c)3’末端の7塩基の配列において、アデニン、チミンおよびウラシルからなる群より選ばれる1種または2種以上の塩基がリッチである。
(d)塩基数が、細胞毒性を生じさせずにRNA干渉を生じさせ得る数である。
本RNA干渉の標的塩基配列検索方法(以下「本検索方法」という場合がある)は、標的とする遺伝子の塩基配列中から、RNA干渉の起因となる塩基配列を探し出す方法である。具体的には、本検索方法では、RNA干渉の標的遺伝子の塩基配列から、下記(a)から(d)の規則に従う配列部位を検索する。
(a)3’末端の塩基が、アデニン、チミンまたはウラシルである。
(b)5’末端の塩基が、グアニンまたはシトシンである。
(c)3’末端の7塩基の配列において、アデニン、チミンおよびウラシルからなる群より選ばれる1種または2種以上の塩基がリッチである。
(d)塩基数が、細胞毒性を生じさせずにRNA干渉を生じさせ得る数である。
「標的遺伝子」における「遺伝子」とは、遺伝情報をコードする媒体のことをいう。「遺伝子」はDNA、RNA、DNAおよびRNAの複合体など遺伝情報をコードする物質により構成されるが、遺伝情報としては、物質そのものではなく塩基配列を電子データ化したものをコンピュータ上などで扱うことが可能である。「標的遺伝子」は、1つのコード領域としてもよいし、複数のコード領域にわたっていてもよいし、また、配列が判明したすべてのポリヌクレオチドを標的としてもよい。特定の機能を有する遺伝子について検索したい場合には、その特定遺伝子のみを標的とすることにより、当該特定遺伝子に特異的にRNA干渉を生じさせる塩基配列を効率よく検索することができる。すなわち、RNA干渉はmRNAを干渉破壊する現象として知られており、特定のコード領域を選択することにより検索負荷を軽減できる。また、転写領域のひとまとまりを標的遺伝子として検索してもよい。なお、本明細書中では上記(a)から(d)の規則を満たす塩基配列のことを「規定配列」という。上記規則においては、塩基配列がDNAの配列であればチミンが、RNAの配列であればウラシルが対応する。
規則(c)は、3'末端近傍の配列にアデニン、チミン、およびウラシルからなる群より選ばれる塩基がリッチに含まれていることを規定しており、具体的に検索を行う際の一指標として3'末端部から7塩基の範囲内において、アデニン、チミン、およびウラシルから選ばれる塩基がリッチな配列であることを規定している。
規則(c)において、「リッチな配列」とは特定の塩基が現れる頻度が高いことを意味し、割合を概略的に示すと、規定配列における3’末端側の5〜10塩基、好ましくは7塩基の配列中にアデニン、チミンおよびウラシルからなる群より選ばれる1種または2種以上が、少なくとも40%以上、より好ましくは50%以上含まれることを意味する。より具体的には、例えば約19塩基程度の規定配列の場合を例に挙げると、3’末端側の7塩基のうち好ましくは少なくとも3塩基以上、より好ましくは4塩基以上、特に好ましくは5塩基以上が、アデニン、チミンおよびウラシルからなる群より選ばれる1種または2種以上である。
規則(c)に該当するか否かを確認する手段は特に制限されず、7塩基中の好ましくは3塩基以上、より好ましくは4塩基以上、特に好ましくは5塩基以上がアデニン、チミンまたはウラシルであることを確認できればよい。例えば、アデニン、チミンおよびウラシルからなる群より選ばれる1種または2種以上が、3'末端側の7塩基の配列中に3つ以上含まれることをリッチであると定義した場合を例として説明すると、3'末端の第1番目の塩基から逐次上記3種の塩基のいずれかであるか否かを照合し、第7番目の塩基に至るまでに3つ現れた場合に、規則(c)に適合すると判断することができる。例えば、第3番目までに3つ現れれば、3つの塩基を調べれば足りる。すなわち、規則(c)について検索する場合、必ずしも3'末端側の7塩基についてすべて照合することは要しない。逆に第7番目までに3つ以上現れなければリッチではなく、規則(c)を満たさないと判断される。
二本鎖ポリヌクレオチドにおいてはアデニンとチミンまたはウラシルとが相補的に水素結合することは周知である。また、グアニンとシトシンとの相補的な水素結合(G−C水素結合)においては3つの水素結合部位が形成されるのに対し、アデニンとチミンまたはウラシルとの相補的水素結合(A−(T/U)水素結合)においては2つの水素結合部位があり、一般的にいって、G−C水素結合に対し、A−(T/U)水素結合のほうが結合力は弱い。
規則(d)においては、検索する塩基配列の塩基数を規定している。検索する塩基配列の塩基数は、RNA干渉を生じさせ得る塩基数である。また、生物の種類などの条件により、塩基数があまりに大きすぎるsiRNAでは細胞毒性を生じてしまうことが知られている。塩基数の上限は、RNA干渉を生じさせようとする生物の種類などにより異なるが、siRNAを構成する一本鎖の塩基数はいずれの種にせよ30以下であることが好ましい。また、哺乳動物の場合には、塩基数は、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である。また、下限はRNA干渉を生じさせる限りにおいて特に制限されるものではないが、好ましくは15以上、より好ましくは18以上、さらに好ましくは20以上である。siRNAを構成する一本鎖としての塩基数は、21で検索することが特に好ましい。
なお、以下においても説明するが、siRNAには、規定配列の3’末端にオーバーハング部が設けられる。オーバーハング部は塩基数2であることが好適である。したがって、オーバーハング部を含めず、規定配列のみの塩基数の上限としては、好ましくは28以下、より好ましくは22以下、さらに好ましくは20以下であり、下限としては、好ましくは13以上、より好ましくは16以上、さらに好ましくは18以上である。規定配列の最も好ましい塩基数は19である。RNAiの標的塩基配列の検索は、オーバーハング部を含める場合および含めない場合のいずれで検索してもよい。
規定配列に従う塩基配列は、RNA干渉を生じさせる確率が極めて高い。したがって、本検索方法により、RNA干渉を生じさせる配列を極めて高い確率で検出することが可能であり、RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの設計を簡便化することができる。
なお、規定配列は、塩基数を定めた上で上記の(a)から(c)の規則に従う部分を検索するようなプログラムを搭載するコンピュータを用いて効率的に検出可能である。
4.RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法
本塩基配列設計方法は、上記の検索方法により検索された塩基配列に基づいてRNA干渉を生じさせるポリヌクレオチド(siRNA)の塩基配列を設計するものである。siRNAは主としてRNAからなるが、一部にDNAが含まれている混成ポリヌクレオチドも含まれる。本塩基配列設計方法では、上記(a)から(d)の規則に従う塩基配列を標的遺伝子の塩基配列から検索し、検索された塩基配列と相同な塩基配列を設計する。(a)から(d)の規則および検索の手法については、上記検索方法について説明したとおりである。
本塩基配列設計方法は、上記の検索方法により検索された塩基配列に基づいてRNA干渉を生じさせるポリヌクレオチド(siRNA)の塩基配列を設計するものである。siRNAは主としてRNAからなるが、一部にDNAが含まれている混成ポリヌクレオチドも含まれる。本塩基配列設計方法では、上記(a)から(d)の規則に従う塩基配列を標的遺伝子の塩基配列から検索し、検索された塩基配列と相同な塩基配列を設計する。(a)から(d)の規則および検索の手法については、上記検索方法について説明したとおりである。
「相同な配列」とは、同一の配列およびRNA干渉を生じさせるという機能を失わない範囲で前記同一配列に対し欠失、置換、挿入などの変異を含む配列のことをいう。標的遺伝子の種類、配列などの条件にもよるが、許容される変異を相同性(ホモロジー)で例示すると、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%である。許容される変異の程度としての相同性を算出する場合、同一の検索アルゴリズムを用いて算出された数値どうしを比較することが望ましい。検索アルゴリズムは特に限定されないが、局所的な配列の検索に適したもの、より具体的にはBLAST、SSearchなどを好適に用いることができる。
上記のように、検索された配列は若干の改変が許容されるが、設計される塩基配列の塩基数は、検索された配列と同一とすることが特に好ましい。塩基数を同一とした場合について改変の許容度を例示すると、設計される塩基配列の塩基が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上検索された配列と一致することが好適である。例えば、塩基数19の塩基配列を設計する場合であれば、好ましくは16塩基以上、より好ましくは18塩基以上が、検索された塩基配列と一致することが好ましい。また、検索された塩基配列と相同な配列を設計する場合、検索された塩基配列の3’末端の塩基と設計される塩基配列の3’末端の塩基とは同一であることが望ましく、また、検索された塩基配列の5’末端の塩基と設計される塩基配列の5’末端の塩基とが同一であることが望ましい。
通常siRNA分子には、オーバーハング部が設けられる。オーバーハング部とは、二本鎖のsiRNA分子において、各鎖の3’末端に設けられた、一本鎖の状態で突出した部分である。オーバーハング部は、生物の種類などにもよるが、塩基数は2が特に好適である。オーバーハング部の塩基配列は、基本的には任意であるが、検索元の標的遺伝子と同一の塩基配列、TT、あるいはUUなどが好適に用いられる場合がある。上記のように検索された塩基配列と相同な配列となるように設計された規定配列の3’末端に、オーバーハング部を設けることにより、siRNAを構成するセンス鎖が設計される。
また、最初から規定配列およびオーバーハング部を含めて検索を行い、設計することもできる。オーバーハング部の好ましい塩基数は2である。したがって、例えば、塩基数19の規定配列および塩基数2のオーバーハング部からなるsiRNAを構成する一本鎖の設計をする場合には、オーバーハング部を含めたsiRNAの塩基数としては塩基数21の配列を標的遺伝子から検索すればよく、また二本鎖の状態について検索する場合には、塩基数23の配列を検索してもよい。
本塩基配列設計方法では、上記のように所望の標的遺伝子から所定の配列を検索してくるが、RNA干渉を生じさせようとする対象は、標的遺伝子の由来と必ずしも一致せずともよく、類縁種などに適用可能である。例えば、第1の種から単離された遺伝子を標的遺伝子とし、第1の種の類縁種である第2の種に用いるsiRNAを設計することもできる。さらに、例えば複数種の哺乳類から共通配列を検索し、この共通配列から上記規定配列を検索して設計することにより、哺乳類に幅広く適用可能なsiRNAの設計が可能である。複数の哺乳類に共通する配列は、他の哺乳類においても保存されている確率が高いと考えられるためである。
標的遺伝子と関係のない遺伝子についてまでRNA干渉を生じさせないようにするためには、設計した配列と同一または類似の配列が他の遺伝子に含まれていないか検索することが好ましい。設計した配列と同一または類似の配列の検索は、一般的なホモロジー検索を行うことができるソフトウエア等を用いて行えばよい。このような同一/類似配列を除外することにより、標的とする遺伝子のみに特異的にRNA干渉を生じさせる配列を設計することができる。
本塩基配列設計方法により、RNA干渉を生じさせるRNA分子を、高い確率でしかも容易に設計することができる。RNAの合成は、未だ労力、時間、費用を要するが、本塩基配列設計方法によりそれらを大幅に軽減することが可能である。
5.二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法
本二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法は、RNA干渉を生じさせる確率の高い二本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法である。本二本鎖ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの塩基配列が上記塩基配列設計方法に従って設計され、その配列設計に従うように二本鎖ポリヌクレオチドが合成される。配列の設計における好ましい形態は、上記塩基配列設計方法についての説明と同様である。
本二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法は、RNA干渉を生じさせる確率の高い二本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法である。本二本鎖ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの塩基配列が上記塩基配列設計方法に従って設計され、その配列設計に従うように二本鎖ポリヌクレオチドが合成される。配列の設計における好ましい形態は、上記塩基配列設計方法についての説明と同様である。
二本鎖ポリヌクレオチドはRNA干渉を生じさせる二本鎖ポリヌクレオチドを構成するものであり、このような二本鎖ポリヌクレオチドとしてsiRNAが知られている。なお、本二本鎖ポリヌクレオチド作製方法により製造される二本鎖ポリヌクレオチドはRNAにより構成されることが好ましいが、一部にDNAを含む混成ポリヌクレオチドであってもよい。本明細書では一部にDNAを含むものもsiRNAの概念に含める。また、本発明者らの研究によれば、siRNAは構造的または機能的にアシンメトリー性(非対称性)を有する傾向が認められ、RNA干渉を生じさせるという目的からすると、センス鎖の5’末端側の半分、アンチセンス鎖の3’末端側の半分はRNAで構成されることが望ましい。
二本鎖ポリヌクレオチドは、一方の鎖が標的遺伝子の塩基配列中に含まれる、(a)から(d)の規則に従う規定配列と相同な塩基配列の3’末端にオーバーハング部を設けて形成され、他方の鎖が、前記規定配列と相同な塩基配列と相補的な配列の3’末端にオーバーハング部を設けて形成される。各鎖の塩基数はオーバーハング部を含め18〜24であり、より好ましくは20〜22、特に好ましくは21である。また、オーバーハング部の塩基数は2であることが好ましい。全体の塩基数が21、そのうちオーバーハング部が塩基数2で構成されるsiRNAは、哺乳類でも細胞毒性を生じさせずに高確率でRNA干渉を生じさせるsiRNAとして好適である。
RNAの合成は、例えば、化学合成によって行ってもよいし、また、通常のバイオテクノロジー等の手法に従って行うこともできる。例えば、所定の配列を有するDNA鎖を作製し、これを鋳型として転写酵素を用いて一本鎖RNAを合成し、一本鎖RNAを二本鎖化するなどの手法により合成することができる。
上記本二本鎖ポリヌクレオチド作製方法により得られるポリヌクレオチドとして好ましい形態としては、RNA干渉の標的遺伝子の塩基配列中から上記(a)から(d)の規則に従う塩基数13〜28の配列部位を検索し、一方の鎖が、標的遺伝子の塩基配列中に含まれる、上記(a)から(d)の規則に従う規定配列と相同な塩基配列の3’末端にオーバーハング部を設けて形成され、他方の鎖が、前記規定配列と相同な塩基配列と相補的な配列の3’末端にオーバーハング部を設けて形成され、各鎖の塩基数が15〜30であるように合成された、二本鎖ポリヌクレオチドが例示される。当該ポリヌクレオチドは、RNA干渉を生じさせる確率の高いポリヌクレオチドである。
また、siRNAを発現するような発現ベクターを調製することもできる。規定配列を含む配列を発現するベクターを、発現が行われ得る無細胞系または細胞系の条件下におくことで、発現ベクターを用いて所定のsiRNAを供給することができる。
従来、siRNAの設計は、試験者の経験や勘に依存していたため、試行錯誤を繰り返すことが多かった。しかし、本二本鎖ポリヌクレオチド作製方法により、RNA干渉を生じさせる二本鎖ポリヌクレオチドを高い確率で製造することが可能である。上記標的塩基配列検索方法、配列設計方法または二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法によれば、RNA干渉を利用した各種の試験や製造等に要する労力、時間、コストを大幅に削減することが可能である。すなわち、上記標的塩基配列検索方法、塩基配列設計方法および二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法は、遺伝子解析、創薬ターゲットの探索、創薬、遺伝子治療、生物種間の差の研究などのRNA干渉を利用する様々な試験、研究、開発、製造等を大幅に簡便にし、効率の向上を図ることができる。
6.遺伝子の発現抑制方法
本遺伝子発現抑制方法は、所定の塩基配列を検索する工程と、検索された塩基配列に基づいてsiRNAの塩基配列を設計して合成する工程と、得られたsiRNAを標的遺伝子を含む発現系に導入する工程とを含む。
所定の塩基配列を検索する工程は、上記RNA干渉の標的塩基配列検索方法に従う。好ましい態様も上記のとおりである。また、検索された塩基配列に基づいてsiRNAの塩基配列を設計して合成する工程は、上記、RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法、二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法に従って行うことができ、好ましい形態も同様である。
本遺伝子発現抑制方法は、所定の塩基配列を検索する工程と、検索された塩基配列に基づいてsiRNAの塩基配列を設計して合成する工程と、得られたsiRNAを標的遺伝子を含む発現系に導入する工程とを含む。
所定の塩基配列を検索する工程は、上記RNA干渉の標的塩基配列検索方法に従う。好ましい態様も上記のとおりである。また、検索された塩基配列に基づいてsiRNAの塩基配列を設計して合成する工程は、上記、RNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドの塩基配列設計方法、二本鎖ポリヌクレオチドの作製方法に従って行うことができ、好ましい形態も同様である。
得られた二本鎖ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現系に添加されて標的遺伝子の発現を抑制する。標的遺伝子の発現系とは、標的遺伝子が発現している系のことであり、より具体的には、少なくとも標的遺伝子のmRNAが形成される反応系を備える系である。標的遺伝子の発現系としては、In vitro、In vivoのいずれのものも含まれる。標的遺伝子の発現系として、培養細胞、培養組織、生体などのほか、無細胞系を用いることも可能である。発現抑制をしようとする標的遺伝子(抑制標的遺伝子)は必ずしも検索された配列の由来と一致する生物種のものに限らずともよいが、検索対象遺伝子と抑制対象遺伝子との由来が近縁であればあるほど、特異的かつ効果的に特定遺伝子の抑制を行うことができる。
「標的遺伝子の発現系に導入する」とは、導入対象を標的遺伝子の発現反応系の中に取り込ませるということである。具体的に例を挙げると、標的遺伝子を有する培養細胞に二本鎖ポリヌクレオチドをトランスフェクトし、細胞内に取り込ませる、規定配列およびオーバーハング部からなる塩基配列を有する発現ベクターを作製し、標的遺伝子を有する細胞内に導入するなどの手法が挙げられる。
本遺伝子抑制方法によれば、効率よくRNA干渉を生じさせるポリヌクレオチドを得られるため、効率よく、また簡便に遺伝子を抑制することが可能である。
以下、本発明の実施例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
1.標的発現ベクターpTRECの構築
pCI−neo(GenBank Accession No. U47120、プロメガ社製)のCMVエンハンサー/プロモーター下流に標的mRNA配列を構築した(図8)。すなわち、コザック配列(「Kozak」)、標的となる23塩基対配列(「target」)及び組み換えのための制限酵素(NheI、EcoRI、XhoI)認識配列を有する下記の二本鎖オリゴマーを合成した。この二本鎖オリゴマーは配列表の配列番号1に示す配列とその相補的な配列とからなる。合成した二本鎖オリゴマーをpCI−neoのNheI、XbaIサイトに挿入し、標的発現ベクターpTRECを構築した(図8)。なお、イントロンは、pCI−neoに当初から組み込まれているβ−グロビン由来のイントロン部位を用いた。
5'-gctagccaccatggaattcacgcgtctcgagtctaga-3' (配列番号1)
1.標的発現ベクターpTRECの構築
pCI−neo(GenBank Accession No. U47120、プロメガ社製)のCMVエンハンサー/プロモーター下流に標的mRNA配列を構築した(図8)。すなわち、コザック配列(「Kozak」)、標的となる23塩基対配列(「target」)及び組み換えのための制限酵素(NheI、EcoRI、XhoI)認識配列を有する下記の二本鎖オリゴマーを合成した。この二本鎖オリゴマーは配列表の配列番号1に示す配列とその相補的な配列とからなる。合成した二本鎖オリゴマーをpCI−neoのNheI、XbaIサイトに挿入し、標的発現ベクターpTRECを構築した(図8)。なお、イントロンは、pCI−neoに当初から組み込まれているβ−グロビン由来のイントロン部位を用いた。
5'-gctagccaccatggaattcacgcgtctcgagtctaga-3' (配列番号1)
2.標的mRNA検出用プライマーの効果
(1)培養細胞へのトランスフェクション
24穴プレートの1穴あたりに0.2〜0.3×106cellsのHeLa細胞をまき、1日後にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、マニュアルにしたがって0.5μgのpTRECベクターをトランスフェクトした。
(1)培養細胞へのトランスフェクション
24穴プレートの1穴あたりに0.2〜0.3×106cellsのHeLa細胞をまき、1日後にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、マニュアルにしたがって0.5μgのpTRECベクターをトランスフェクトした。
(2)細胞の回収およびmRNAの定量
トランスフェクションの1日後、細胞を回収し、Trizol(Invitrogen社製)を用いて全RNAを抽出した。このRNA 100ngを用いて、オリゴ(dT)をプライマーとし、SuperScript
II RT(Invitrogen社製)により逆転写してcDNA合成反応を行った。コントロールとして、逆転写酵素を加えないものを用意した。得られたcDNAの320分の1量をPCRテンプレートとし、SYBR
Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いて、50μlの反応系で定量的PCRを行い、標的mRNA(mRNA(T)と称する)および、内部コントロールとしてpTREC上のネオマイシン耐性遺伝子に由来するmRNA(mRNA(C)と称する)を定量した。定量的PCRにはリアルタイムモニタリング装置ABI PRIZM 7000(Applied Biosystems社製)を用い、mRNA(T)の定量にはプライマー対T(配列表配列番号2および3)、mRNA(C)の定量にはプライマー対C(配列表配列番号4および5)をそれぞれ使用した。
トランスフェクションの1日後、細胞を回収し、Trizol(Invitrogen社製)を用いて全RNAを抽出した。このRNA 100ngを用いて、オリゴ(dT)をプライマーとし、SuperScript
II RT(Invitrogen社製)により逆転写してcDNA合成反応を行った。コントロールとして、逆転写酵素を加えないものを用意した。得られたcDNAの320分の1量をPCRテンプレートとし、SYBR
Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いて、50μlの反応系で定量的PCRを行い、標的mRNA(mRNA(T)と称する)および、内部コントロールとしてpTREC上のネオマイシン耐性遺伝子に由来するmRNA(mRNA(C)と称する)を定量した。定量的PCRにはリアルタイムモニタリング装置ABI PRIZM 7000(Applied Biosystems社製)を用い、mRNA(T)の定量にはプライマー対T(配列表配列番号2および3)、mRNA(C)の定量にはプライマー対C(配列表配列番号4および5)をそれぞれ使用した。
プライマー対T:
aggcactgggcaggtgtc (配列番号2)
tgctcgaagcattaaccctcacta (配列番号3)
aggcactgggcaggtgtc (配列番号2)
tgctcgaagcattaaccctcacta (配列番号3)
プライマー対C
atcaggatgatctggacgaag (配列番号4)
ctcttcagcaatatcacgggt (配列番号5)
atcaggatgatctggacgaag (配列番号4)
ctcttcagcaatatcacgggt (配列番号5)
図9および図10に、PCRの結果を示す。図9および10は、縦軸にそれぞれのPCR産物量を、横軸にPCRのサイクル回数をとり、グラフに表したものである。ネオマイシン耐性遺伝子の場合、逆転写酵素によりcDNAを合成したもの(+RT)と、逆転写酵素を加えないコントロール(−RT)で、得られたPCR産物の増幅の差は小さかった(図9)。これは、cDNAのみならず、細胞内に残っているベクターもPCRの鋳型となって増幅されたことを示す。他方、標的配列mRNAでは、逆転写酵素を添加した場合(+RT)と添加しない場合(−RT)とによる差が大きかった(図10)。この結果は、プライマー対Tのうち一方がイントロンを挟む形でデザインされているため、イントロンが除去されたmRNAに由来するcDNAが効率的に増幅される一方、イントロンを有する残存ベクターが鋳型となりにくくなっていることを示している。
3.siRNAによる標的mRNAの発現抑制
(1)ターゲット発現ベクターへの評価配列のクローニング
ヒトビメンチン(VIM)遺伝子(Ref Seq ID: NM_003380)コード領域の812−834、35−57に相当する配列を評価の対象とした。これらの配列およびEcoRI、XhoIの認識配列を有する下記配列表配列番号6および7の合成オリゴヌクレオチド(評価配列フラグメント)を作製した。
評価配列VIM−35(VIMの35−57に相当)
5'-gaattcgcaggatgttcggcggcccgggcctcgag-3' (配列番号6)
(1)ターゲット発現ベクターへの評価配列のクローニング
ヒトビメンチン(VIM)遺伝子(Ref Seq ID: NM_003380)コード領域の812−834、35−57に相当する配列を評価の対象とした。これらの配列およびEcoRI、XhoIの認識配列を有する下記配列表配列番号6および7の合成オリゴヌクレオチド(評価配列フラグメント)を作製した。
評価配列VIM−35(VIMの35−57に相当)
5'-gaattcgcaggatgttcggcggcccgggcctcgag-3' (配列番号6)
評価配列VIM−812(VIMの812−834に相当)
5'-gaattcacgtacgtcagcaatatgaaagtctcgag-3' (配列番号7)
5'-gaattcacgtacgtcagcaatatgaaagtctcgag-3' (配列番号7)
得られた評価配列フラグメントを、その両端にあるEchoRIサイトおよびXhoIサイトを利用して、pTRECのEcoRI、XhoIサイト間に、新たな標的配列としてクローニングし、pTREC−VIM35、pTREC−VIM812を構築した。
(2)siRNAの作製
評価配列VIM−35(配列表の配列番号8、図11)、評価配列VIM−812(配列番号9、図12)、およびコントロール配列(siContorol、配列番号10、図13)にそれぞれ相当するsiRNAフラグメントを合成し、アニーリングした。下記siRNAの各配列においては、3’末端にオーバーハング部を設けてある。
評価配列VIM−35(配列表の配列番号8、図11)、評価配列VIM−812(配列番号9、図12)、およびコントロール配列(siContorol、配列番号10、図13)にそれぞれ相当するsiRNAフラグメントを合成し、アニーリングした。下記siRNAの各配列においては、3’末端にオーバーハング部を設けてある。
siVIM−35 5'-aggauguucggcggcccgggc-3' (配列番号8)
siVIM−812 5'-guacgucagcaauaugaaagu-3' (配列番号9)
コントロールとして、ルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNAを用いた。
siControl 5'-cauucuauccgcuggaagaug-3'(配列番号10)
(3)培養細胞へのトランスフェクション
24穴プレートの1穴あたりに0.2〜0.3×106cellsのHeLa細胞をまき、1日後にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、マニュアルにしたがって0.5μgのpTREC−VIM35またはpTREC−VIM812と、それぞれのVIM由来配列に相当するsiRNA(siVIM−35、siVIM−812、それぞれ終濃度100nM)を同時にトランスフェクトした。コントロール細胞には、0.5μgのpTREC−VIM35またはpTREC−VIM812とルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNA(siControl、終濃度100nM)とを同時にトランスフェクトした。
24穴プレートの1穴あたりに0.2〜0.3×106cellsのHeLa細胞をまき、1日後にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、マニュアルにしたがって0.5μgのpTREC−VIM35またはpTREC−VIM812と、それぞれのVIM由来配列に相当するsiRNA(siVIM−35、siVIM−812、それぞれ終濃度100nM)を同時にトランスフェクトした。コントロール細胞には、0.5μgのpTREC−VIM35またはpTREC−VIM812とルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNA(siControl、終濃度100nM)とを同時にトランスフェクトした。
(4)細胞の回収およびmRNAの定量
トランスフェクションの1日後、細胞を回収し、Trizol(Invitrogen)を用いて全RNAを抽出した。このRNA 100ngを用いて、オリゴ(dT)をプライマーとし、SuperScript
II RT(Invitrogen社製)により逆転写してcDNAを得た。得られたcDNAの320分の1量をPCRテンプレートとし、SYBR Green PCR
Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いて、50μlの反応系で定量的PCRを行い、評価しようとするVIM由来の配列を含むmRNA(mRNA(T)と称する)および内部コントロールとして、pTREC上のネオマイシン耐性遺伝子に由来するmRNA(mRNA(C)と称する)を定量した。
トランスフェクションの1日後、細胞を回収し、Trizol(Invitrogen)を用いて全RNAを抽出した。このRNA 100ngを用いて、オリゴ(dT)をプライマーとし、SuperScript
II RT(Invitrogen社製)により逆転写してcDNAを得た。得られたcDNAの320分の1量をPCRテンプレートとし、SYBR Green PCR
Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いて、50μlの反応系で定量的PCRを行い、評価しようとするVIM由来の配列を含むmRNA(mRNA(T)と称する)および内部コントロールとして、pTREC上のネオマイシン耐性遺伝子に由来するmRNA(mRNA(C)と称する)を定量した。
定量的PCRにはリアルタイムモニタリング装置ABI PRIZM 7000(Applied Biosystems社製)を用い、mRNA(T)の定量にはプライマー対T(配列表配列番号2および3)、mRNA(C)の定量にはプライマー対C(配列表配列番号4および5)をそれぞれ使用した。得られたそれぞれのmRNAの値の比(T/C)を縦軸(標的mRNA相対量(%))としてグラフに表した(図14)。
コントロール細胞の場合、ルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNAは標的mRNAに効果を及ぼさないため、T/C比はほぼ1になった。VIM−812 siRNAでは、T/C比が著しく下がった。これは、VIM−812 siRNAが、相当する配列を有するmRNAを切断したためであり、VIM−812 siRNAがRNAi効果を有することが示された。一方、VIM−35 siRNAの場合、T/C比はコントロールとほぼ同じ値であったことから、VIM−35の配列にはRNAi効果がほとんどないことが示された。
実施例2
1.siRNAによる内在性ビメンチンの発現抑制
(1)培養細胞へのトランスフェクション
24穴プレートの1穴あたりに0.2〜0.3×106cells のHeLa細胞をまき、1日後にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、マニュアルにしたがって、VIMに対するsiRNA(siVIM−35またはsiVIM−812)またはコントロールsiRNA(siControl)100nM、トランスフェクション効率のコントロールとして0.5μgのpEGFP(Clontech社製)を同時にトランスフェクトした。pEGFPにはEGFPが組み込まれている。
1.siRNAによる内在性ビメンチンの発現抑制
(1)培養細胞へのトランスフェクション
24穴プレートの1穴あたりに0.2〜0.3×106cells のHeLa細胞をまき、1日後にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、マニュアルにしたがって、VIMに対するsiRNA(siVIM−35またはsiVIM−812)またはコントロールsiRNA(siControl)100nM、トランスフェクション効率のコントロールとして0.5μgのpEGFP(Clontech社製)を同時にトランスフェクトした。pEGFPにはEGFPが組み込まれている。
(2)内在性ビメンチンmRNAの測定
トランスフェクションの3日後、細胞を回収し、Trizol(Invitrogen社製)を用いて全RNAを抽出した。このRNA100ngを用いて、オリゴ(dT)をプライマーとし、SuperScript
II RT(Invitrogen社製)により逆転写してcDNA合成反応を行なった。得られたcDNA産物を鋳型として、ビメンチンに対するプライマーVIM−F3−84、VIM−R3−274(配列番号11および12)を用いてPCRを行った。
トランスフェクションの3日後、細胞を回収し、Trizol(Invitrogen社製)を用いて全RNAを抽出した。このRNA100ngを用いて、オリゴ(dT)をプライマーとし、SuperScript
II RT(Invitrogen社製)により逆転写してcDNA合成反応を行なった。得られたcDNA産物を鋳型として、ビメンチンに対するプライマーVIM−F3−84、VIM−R3−274(配列番号11および12)を用いてPCRを行った。
VIM−F3−84;
gagctacgtgactacgtcca (配列番号11)
VIM−R3−274; gttcttgaactcggtgttgat (配列番号12)
gagctacgtgactacgtcca (配列番号11)
VIM−R3−274; gttcttgaactcggtgttgat (配列番号12)
また、コントロールとして、β−アクチンに対するプライマーACTB−F2−481、ACTB−R2−664(配列番号13および14)を用いてPCRを行い、各サンプル間のβ−アクチンの定量値を合わせたうえで、ビメンチンの発現量を評価した。
ACTB−F2−481; cacactgtgcccatctacga(配列番号13)
ACTB−R2−664; gccatctcttgctcgaagtc(配列番号14)
ACTB−R2−664; gccatctcttgctcgaagtc(配列番号14)
結果を図15に示す。図15では、siControl(すなわち、標的とは無関係な配列のsiRNA)を入れた場合を100%として比較し、VIMに対するsiRNAを入れた場合に、VIMのmRNAがどの程度減少したかを表している。siVIM−812は効果的にVIM mRNAを抑制できたのに対して、siVIM−35を用いた場合はほとんどRNAi効果を示さなかった。
(3)細胞の抗体染色
トランスフェクションの3日後、細胞を3.7%のホルムアルデヒドにより固定し、定法によりブロッキングを行った。その後、ウサギ抗ビメンチン抗体(α−VIM)または内部コントロールとしてウサギ抗Yes抗体(α−Yes)を加え、室温で反応させた。その後、細胞表面をPBS(Phosphate Buffered Saline;リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、二次抗体として蛍光標識抗ウサギIgG抗体を加え、室温で反応させた。細胞表面をPBSで洗浄の後、蛍光顕微鏡による観察を行った。
(3)細胞の抗体染色
トランスフェクションの3日後、細胞を3.7%のホルムアルデヒドにより固定し、定法によりブロッキングを行った。その後、ウサギ抗ビメンチン抗体(α−VIM)または内部コントロールとしてウサギ抗Yes抗体(α−Yes)を加え、室温で反応させた。その後、細胞表面をPBS(Phosphate Buffered Saline;リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、二次抗体として蛍光標識抗ウサギIgG抗体を加え、室温で反応させた。細胞表面をPBSで洗浄の後、蛍光顕微鏡による観察を行った。
蛍光顕微鏡観察の結果を図16に示す。図16中、9つの各枠内において、白く表示されている部分が蛍光が現れている部分である。EGFPおよびYesについては、何れの細胞でも同程度の発現が確認された。siControl、siVIM−35を導入した細胞では、ビメンチンの抗体染色による蛍光が観察され、内在性ビメンチンの存在が確認された。一方、siVIM−812を導入した細胞では、siControl、siVIM−35を導入した細胞に比べて蛍光が著しく弱かった。この結果は、siVIM−812により内在性のビメンチンmRNAが干渉を受けた結果、ビメンチンの蛋白質の発現量が減少したことを示すものであり、siVIM−812は内在性ビメンチンmRNAにもRNAi効果を有することが明らかになった。
本発明のアッセイ系で得られた結果(実施例1)は、実際に内在性遺伝子に対してそれぞれのsiRNAを用いた結果(実施例2)とよく一致していたため、このアッセイ系は任意のsiRNAのRNAi活性を評価する方法として有効なものと考えられる。
本発明のアッセイ系で得られた結果(実施例1)は、実際に内在性遺伝子に対してそれぞれのsiRNAを用いた結果(実施例2)とよく一致していたため、このアッセイ系は任意のsiRNAのRNAi活性を評価する方法として有効なものと考えられる。
本発明は、バイオテクノロジーの実験、研究、開発、さらには医薬開発などに好適に用いることができる。
この出願は、平成15年11月21日出願の日本特許出願、特願2003−392304に基づくものであり、特願2003−392304の明細書および特許請求の範囲に記載された内容は、すべてこの出願明細書に包含される。
配列番号1;NheI、EcoRIおよびXhoI制限サイトを含むオリゴマー
配列番号2;PCRプライマーT
配列番号3;PCRプライマーT
配列番号4;PCRプライマーC
配列番号5;PCRプライマーC
配列番号6;標的配列VIM35
配列番号7;標的配列VIM812
配列番号8;評価対象siRNA、siVIM−35
配列番号9;評価対象siRNA、siVIM−812
配列番号10;コントロールsiRNA、siControl
配列番号11;PCRプライマーVIM−F3−84
配列番号12;PCRプライマーVIM−R3−274
配列番号13;PCRプライマー ACTB−F2−481
配列番号14;PCRプライマー ACTB−R2−664
配列番号2;PCRプライマーT
配列番号3;PCRプライマーT
配列番号4;PCRプライマーC
配列番号5;PCRプライマーC
配列番号6;標的配列VIM35
配列番号7;標的配列VIM812
配列番号8;評価対象siRNA、siVIM−35
配列番号9;評価対象siRNA、siVIM−812
配列番号10;コントロールsiRNA、siControl
配列番号11;PCRプライマーVIM−F3−84
配列番号12;PCRプライマーVIM−R3−274
配列番号13;PCRプライマー ACTB−F2−481
配列番号14;PCRプライマー ACTB−R2−664
Claims (13)
- 少なくとも標的配列と前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、
前記標的配列を含むRNAに対してRNAi活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、
前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、
前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する、
RNAi活性の評価方法。 - 前記標的発現分子が、標的配列の上流および下流のそれぞれに、PCRプライマーがアニール可能な配列を有するPCRプライマー対応領域を備え、
前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが前記発現系に供給されて生じた標的配列を含むRNAを、PCRプライマー対応領域の配列にアニールする1対のプライマーを用いてRT−PCRにより定量し、
前記評価対象核酸分子を前記発現系に供給しない場合と比較して、前記標的配列を含むRNAが切断されたか否かを検出する、請求の範囲1記載のRNAi活性の評価方法。 - 標的配列の上流および下流にあるPCRプライマー対応領域の少なくとも一方の領域内部にイントロンが挟み込まれており、かつ、前記発現系がRNAをスプライシング可能な発現系である、請求の範囲2記載のRNAi活性の評価方法。
- 前記標的発現分子が、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置に、レポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列を含み、
前記レポーターの発現を検出することによりRNAが切断されたか否かを検出する、請求の範囲1記載のRNAi活性の評価方法。 - 前記発現系が、無細胞発現系または細胞発現系である、請求の範囲1から4のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
- 転写されるRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子を、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給する、請求の範囲1から5のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
- 前記標的発現分子に、転写されるRNAが評価対象核酸分子によって切断されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列が組み込まれている、請求の範囲1から5のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
- 前記標的配列が、評価対象核酸分子が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有する、請求の範囲1から7のいずれか一項に記載のRNAi活性の評価方法。
- 少なくとも、標的配列と、前記標的配列を含むRNAの発現を調節する発現調節領域と、前記標的配列と一体のmRNAとして転写される位置にレポーターとして検出可能な発現産物をコードする配列とを含むポリヌクレオチドである標的発現分子と、
前記標的配列を含むRNAに対してmiRNA活性を有するか否か評価の対象とする評価対象核酸分子とを、
前記標的発現分子が標的配列を含むRNAを発現可能な発現系内に供給し、
前記レポーターの発現が抑制されたか否かを検出する、
miRNA活性の評価方法。 - 前記発現系が、無細胞発現系または細胞発現系である、請求の範囲9記載のmiRNA活性の評価方法。
- 評価対象核酸分子によって発現抑制されない配列からなり、かつ検出可能な発現産物をコードするコントロール配列を含むコントロール供給分子を、前記標的発現分子と前記評価対象核酸分子とが供給される発現系内に供給する、請求の範囲9または10記載のmiRNA活性の評価方法。
- 前記コントロール供給分子が、前記標的発現分子に組み込まれている、請求の範囲11記載の、miRNA活性の評価方法。
- 前記標的配列が、評価対象核酸分子が有する塩基配列とは異なる塩基配列を有する、請求の範囲9から12のいずれか一項に記載のmiRNA活性の評価方法。
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US20050203040A1 (en) * | 2001-05-18 | 2005-09-15 | Sirna Therapeutics, Inc. | RNA interference mediated inhibition of vascular cell adhesion molecule (VCAM) gene expression using short interfering nucleic acid (siNA) |
US20050158735A1 (en) * | 2001-05-18 | 2005-07-21 | Sirna Therapeutics, Inc. | RNA interference mediated inhibition of proliferating cell nuclear antigen (PCNA) gene expression using short interfering nucleic acid (siNA) |
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JP2003116543A (ja) * | 2001-10-10 | 2003-04-22 | Tosoh Corp | 薬効と毒性の評価法 |
WO2003044188A1 (fr) * | 2001-11-21 | 2003-05-30 | Mitsubishi Chemical Corporation | Procede pour inhiber l'expression de genes |
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2004
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JPN6010040709, Curr. Biol., Jan.2003, Vol.13, p.41−46 * |
JPN6010040710, Nucleic Acids Res., Jan.2003, Vol.31, No.2, p.700−707 * |
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