JP4853892B2 - 変異対立遺伝子に対する特異的なRNAiの評価方法 - Google Patents
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本発明は、RNA分子の、標的変異対立遺伝子に対する特異的なRNAi活性を評価するための方法に関する。さらに、本発明は、APP変異対立遺伝子の発現を特異的に抑制するための二本鎖RNA分子に関する。
RNAi(RNA干渉)は、二本鎖RNA(dsRNA)によって誘導される配列特異的な遺伝子転写後抑制機構である。この現象は、ハエ、昆虫、原生動物、脊椎動物、高等植物などの様々な種において観察されている。RNAiの分子レベルでの作用機序に関し、ショウジョウバエ(Drosophila)および線虫(Caenorhabditis elegans)における多くの研究により、siRNA(短鎖干渉RNA)と呼ばれる21〜25ヌクレオチド長のRNA断片がRNAiにとって必須の配列特異的メディエーターであること(非特許文献1:Hammond, S.M. et al., Nature 404, 293-296, 2000;Parrish, S. et al., Mol. Cell. 6, 1077-1087, 2000;Zamore, P.D. et al., Cell 101, 25-33, 2000)、ならびにこのsiRNAが長い二本鎖RNAから、Dicerと呼ばれるRNアーゼIII様ヌクレアーゼにより生成すること(非特許文献2:Brenstein, E. et al., Nature 409, 363-366, 2001;Elbashir, S.M. et al., Genes Dev. 15, 188-200, 2001)がわかっている。
RNA分子と、
発現に必要な要素の制御下に置かれ、第一のタンパク質をコードする第一のDNA断片を含んでなり、かつ該第一のDNA断片における3’末端非翻訳領域が、変異対立遺伝子を含んでなる、第一のベクターと、
発現に必要な要素の制御下に置かれた、第一のマーカータンパク質と峻別可能な第二のマーカータンパク質をコードする第二のDNA断片を含んでなり、かつ該第二のDNA断片における3’末端非翻訳領域が、正常対立遺伝子を含んでなる、第二のベクターと
を細胞に導入し、
第一および第二のマーカータンパク質の発現レベルを測定し、
第一のマーカータンパク質の発現レベルと、前記第二のマーカータンパク質の発現レベルとを比較することを少なくとも含んでなる、方法が提供される。
その二本鎖部分の長さが19〜20塩基対からなり、
二本鎖RNA分子を構成するアンチセンス鎖が、その二本部分において、
(1)配列番号3における第18番〜43番で表される、第一の標的配列、
(2)配列番号7における第18番〜40番で表される、第二の標的配列、
(3)配列番号9における第18番〜40番で表される、第三の標的配列、または
(4)配列番号11における第19番〜41番で表される、第四の標的配列から選択される、標的配列と相補的なヌクレオチド配列を有し、
二本鎖RNA分子を構成するセンス鎖が、その3’末端において突出部を有さず、かつその二本鎖部分において、3’末端から順に1以上のヌクレオチド残基が、アンチセンス鎖に相補的でないヌクレオチド残基とされ、かつ該ヌクレオチド残基以外のセンス鎖におけるヌクレオチド残基がアンチセンス鎖と相補的である、二本鎖RNA分子が提供される。
変異対立遺伝子に特異的なRNAiとマーカータンパク質の発現
本発明による評価方法は、RNA分子が、細胞内において、RNAiによって、正常対立遺伝子と比較して標的変異対立遺伝子の発現を特異的に抑制するかどうかを評価するためのであり、標的変異対立遺伝子を含む第一のベクターと、正常対立遺伝子を含む第二のベクターとを用いる。上記評価は、第一のベクターおよび第二のベクターと、RNA分子とを細胞に導入して行われる。この際、標的変異対立遺伝子の発現レベルが、第一のベクター由来の第一のマーカータンパク質の発現レベルに対応し、正常対立遺伝子の発現レベルが第二のベクター由来の第二のマーカータンパク質の発現レベルに対応することから、第一のマーカータンパク質の発現レベルと、第二のマーカータンパク質の発現レベルとを比較することにより、RNA分子が、標的変異対立遺伝子の発現をRNAiにより特異的に抑制しているかどうか、さらにはその特異的な抑制の程度を簡易かつ迅速に評価することができる。そして、本発明にあっては、各々対立遺伝子を含む二つのベクターを細胞に同時にトランスフェクトすることから、細胞内で標的となる対立遺伝子のペアは、ヘテロの状態で同時に細胞中に存在し、評価されるということになる。この特徴は、変異対立遺伝子に特異的なRNAiを正確かつ適切に評価するためには有利である。
まず、図1において、第一のベクターは(a)で表され、第二のベクターは(b)で表される。第一のマーカータンパク質DNA(e)および第二のマーカータンパク質DNA(h)は、いずれも通常プロモーター(d)の下流に位置する。そして、第一のベクター(a)において、第一のマーカータンパク質DNA(e)は、その3’末端非翻訳領域(g)に標的変異対立遺伝子(f)を含んでなる。同様に、第二のベクター(b)において、第二のマーカータンパク質DNA(h)は、その3’末端非翻訳領域(i)に正常対立遺伝子(j)を含んでなる。標的変異対立遺伝子(f)および正常対立遺伝子(j)はそれぞれ、非翻訳領域中に存在することから、マーカータンパク質の発現を妨げない。
そして、本発明にあっては、第一のベクター(a)、第二のベクター(b)、およびRNA分子(c)を細胞(k)へ導入する。
まず、第二のベクター(A)にあっては、正常対立遺伝子(C)を含む第二のマーカータンパク質DNA(B)は、mRNA(D)を発現しても、RNAiによって分解されることなく、そのまま翻訳されて第二のマーカータンパク質(E)を発現する。一方、第一のベクター(F)にあっては、標的変異対立遺伝子(G)を含む第一のマーカータンパク質DNA(H)がmRNA(I)を発現した後、RNA分子(J)と、標的変異体遺伝子に相当する配列を含むmRNA(I)とは、RNA誘導型サイレンシング複合体(K)を形成する。そして、mRNAが分解(L)し、その結果、第一のマーカータンパク質(M)は発現しないことになる。
本発明にあっては、標的変異対立遺伝子およびその正常対立遺伝子は、適宜選択してよいが、常染色体優性遺伝病や多因子疾患に関与する変異対立遺伝子を選択した場合、本発明は、正常遺伝子の発現を抑制することなく、RNAiによって特異的に病因変異対立遺伝子をノックアウトまたはノックダウンするRNA分子を同定するために有利に利用することができる。そして、標的変異対立遺伝子としては、好ましくは、家族型アルツハイマー病の原因遺伝子であるAPP遺伝子の変異対立遺伝子であり、具体的には、配列番号3で表されるDNA配列、配列番号7におけるで表されるDNA配列、配列番号9で表されるDNA配列、または配列番号11で表されるDNA配列を有するものが挙げられる。
本発明は、上記二つのマーカータンパク質の発現レベルを比較することにより、標的対立遺伝子に対する特異的なRNAiの活性を評価するものであるから、評価の確実性を考慮すれば、第一のマーカータンパク質DNAと、第二のマーカータンパク質DNAとは、それぞれのベクター上で同一の構造カセットとして存在することが好ましい。したがって、本発明の好ましい態様によれば、第一のマーカータンパク質をコードする第一のDNA断片と、前記第二のマーカータンパク質をコードする第二のDNA断片とは、実質的に同一の構造を有してベクター上に存在していることが好ましい。とりわけ、プロモーターは、マーカータンパク質の発現に与える影響が大きいことから、二つのベクターにおけるプロモーターを一致させることが好ましい。よって、本発明の好ましい態様によれば、第一のマーカータンパク質をコードする第一のDNA断片と、第二のマーカータンパク質をコードする第二のDNA断片とは各々、ベクター中の同一のプロモーターと連結されてなる。そして、プロモーターは、マーカータンパク質の発現効率や宿主細胞などを考慮して適宜選択されてよく、好ましくはTKプロモーターである。
また、本発明の好ましい態様によれば、ベクターはプラスミドであることが好ましい。
被検物質であるRNA分子としては、例えば、二本鎖RNA分子が挙げられるが、好ましくはsiRNAある。種々の構造を取るRNA分子を適宜合成して評価し、RNA分子の構造が標的変異対立遺伝子の発現に与える影響について知見を得るために、本発明は有利に利用することができる。
本発明による評価方法にあっては、上述の通り,第一のベクターと、第二のベクターと、RNA分子とをまず、細胞へ導入する。この際、2つのベクターに与えられる影響などを考慮し、これらは時に細胞へ導入することが好ましい。この際、コントロールベクターをあわせて導入してもよい。この細胞への導入は、トランスフェクションまたは形質転換方法として当該技術分野において公知の方法を用いることが可能であるが、好ましくはリポフェクション法である。この際、細胞の生育およびマーカータンパク質の発現に適切な条件下にて行われ、条件は適宜設定されてよい。
また、上記細胞は、ベクターの性質等を勘案して適宜選択されてよいが、このような細胞として、好ましくは哺乳動物細胞であり、より好ましくはヒト由来細胞である。
本発明による評価方法にあっては、細胞への導入後、第一および第二のマーカータンパク質の発現レベルを測定し、第一のマーカータンパク質の発現レベルと、前記第二のマーカータンパク質の発現レベルとを比較する。マーカータンパク発現レベルの測定手法は、マーカータンパク質の種類、性質を考慮して適宜決定されてよい。マーカータンパク質として蛍光タンパク質を用いた場合には、蛍光顕微鏡による観察、フローサイトメトリーなどにより行われてよい。このような方法を用いることにより、RNA分子の標的変異対立遺伝子に特異的なRNAi活性を定性的のみならず、定量的に知ることが可能となる。この際、スクリーニングは細胞の生育およびマーカータンパク質の発現に適切な条件下にて行われ、条件は適宜設定されてよい。
APP前駆タンパク質の変異対立遺伝子の発現をRNAiにより特異的に抑制しうる二本鎖RNA分子
本発明による二本鎖RNA分子は、上述の通り、本発明における第一の態様による評価方法によって見出されたものであり、細胞内でAPPの変異対立遺伝子の発現をRNAiにより特異的に抑制しうる二本鎖RNA分子である。そして、この二本鎖RNA分子は、上述のアルツハイマー病の病因となるAPPのアミノ酸変異に対応するヌクレオチド変異部位を含む、APPの変異対立遺伝子におけるDNA配列の一部を標的配列として設計されたものである。
本発明による二本鎖RNA分子は、RNAiによって、APPの正常対立遺伝子と比較して、変異対立遺伝子の発現を特異的に抑制するものであり、このような対立遺伝子特異的な抑制作用は、アルツハイマー病の治療において意義がある。
第一の標的配列は、APPにおけるアミノ酸変異が、第670番目のリシン残基がアスパラギン残基に変異し、かつ第671番目のメチオニン残基がロイシン残基に置換するアミノ酸変異(以下、「K670N−M671L」という)である場合に対応するDNA配列である。そして、第一の標的配列は、配列番号3における第18番〜43番で表され、その第27番〜32番のヌクレオチド残基は、K670N−M671Lに対応する。
そして、本発明による二本鎖RNA分子を構成するアンチセンス鎖は、上述の四つの標的配列に基づいて設計されたものであり、その二本鎖部分において、上記標的配列と相補的なヌクレオチド配列を有するものである。そして、アンチセンス鎖は3’末端に突出部を有していてもよく、この突出部は好ましくは、2個のヌクレオチド残基を有するものである。
対立遺伝子に特異的なRNAiの評価を行うことを目的として、以下の手法により2種類のレポーター遺伝子発現プラスミドを作製した。
標的変異対立遺伝子の調製
標的変異対立遺伝子として、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子である、APP変異遺伝子を選択した。APP変異遺伝子としては、Swedish型(K670N−M671Lのアミノ酸変異を有するものをいう)、およびLondon型「V717I」、「V717F」、または「V717G」を有するものをいう)を選択した。そして、それぞれの標的変異対立遺伝子について正常対立遺伝子および変異対立遺伝子に対応する標的DNA配列を合成した。各種標的DNA配列を表1に示す。表1では、各標的DNA配列のセンス鎖を「ss」とし、アンチセンス鎖を「as」とした。また、各標的DNA配列の名称において、「sw」はSwedish型変異に対応する配列であることを表し、さらに、「K670N−M671L」はそのアミノ酸変異型を表す。また、「London」はLondon型変異に対応する配列であることを表し、さらに、「V717I」、「V717F」、および「V717G」は、そのアミノ酸変異型に相当する配列であることを表す。また、「WT」は、正常対立遺伝子に相当する配列であることを表す。
レポーター遺伝子としては、ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子およびウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子を選択した。そして、ウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子の発現ベクターとしては、phRL-TKプラスミド(プロメガ社製)を用いた。一方、ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子の発現ベクターとしては、pGL3-TKプラスミドを用いた。ここで、pGL3-TKプラスミドは、pGL3-controlベクター(プロメガ社製)からルシフェラーゼ遺伝子を含むHind III―Xba I断片を単離し、このHind III―Xba I断片をphRL-TKプラスミドにおけるウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子をコードするHind III―Xba I領域と入れ替えて、構築した。このような操作によって、二つのベクターにおけるプロモーターを一致させた。
各種二本鎖RNA分子の調製
評価対象として、APP遺伝子におけるSwedish型変異またはLondon型変異に対応するヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを常法に従い、合成した。
設計したオリゴヌクレオチドを下記の表2〜7に示す。
また、「A8」は、二本鎖RNA分子における5’末端から第8番目のヌクレオチド残基がLondon型変異のV717Iにおける置換塩基Aに対応することを表す。また、「A9」「A10」「A11」および「A12」についても、「A8」と同様の規則に従い命名している。
また、「T8」は、二本鎖RNA分子における5’末端から第8番目のヌクレオチド残基がLondon型変異のV717Fにおける置換塩基Tに対応することを表す。「T9」「T10」「T11」および「T12」についても「T8」と同様の規則に従い命名している。
また、「G8」は、二本鎖RNA分子における5’末端から第8番目のヌクレオチド残基がLondon型変異のV717Gにおける置換塩基Tに対応することを表す。「G9」「G10」「G11」および「G12」についても「G8」と同様の規則に従い命名している。
また、「conv.」は、ミスマッチを含んでいない二本鎖RNA分子を表す。また、「Fork」は、その二本鎖RNA分子が、センス鎖の3’末端における2つのヌクレオチド残基にミスマッチを導入しているものを表す。「Fork」の場合、二本鎖RNA分子のアンチセンス鎖は、「conv.」を同様である。
本例では、アルツハイマー病の原因遺伝子であるAPP遺伝子のSwedish型変異をターゲットとして用い、以下の実験を行った。なお、以下の実験において、正常対立遺伝子、疾患関連対立遺伝子に対する二本鎖RNA分子の発現抑制効果は、コントロール(対照)であるβ−ガラクトシダーゼの活性に対するそれぞれの対立遺伝子を持ったルシフェラーゼの活性の比で示される。そして、これら二種類のルシフェラーゼ活性の比は、遺伝子発現抑制を起こさないsiRNA二量体(siCont)(Qiagen社)を用いた対照サンプルについて得られたものを1.0として標準化した値を示す。各データは少なくとも4回の独立した実験からの平均値であり、また、各データに付されたエラーバーは標準偏差を表わす。
実施例3において、2種のプラスミドに対し挿入した標的DNA配列を逆転させ、実施例3と同様な実験を行った。すなわち、正常対立遺伝子に対応するプラスミドとして、phRL-TKにAPPsw/WTを挿入したプラスミドを用いた。Swedish変異対立遺伝子に対応する含むプラスミドとして、pGL3-TKにAPPsw/K670N-M671Lを挿入したプラスミドを用いた。
評価対象の二本鎖RNA分子として、3’末端にミスマッチを含まないConv.T12/T13と、3’末端にミスマッチを含むFork.T12/T13とを用い、これらの対立遺伝子特異的なRNAi活性を実験1と同様の手法により評価した。この際、正常対立遺伝子に対応するベクターとしてpGL3-TK(ホタル・ルシフェラーゼ発現プラスミド)にAPPsw/WTを挿入したプラスミドを用い、APPsw/K670N-M671Lを挿入したプラスミドの代えて、Swedish型のK670N-M671L変異対立遺伝子に対応するプラスミドとして、phRL-TK(ウミシイタケ・ルシフェラーゼ発現プラスミド)にAPPsw/K670N-M671Lを挿入したプラスミドを用いた。
結果は、図5に示される通りであった。ミスマッチを含まないConv.T12/T13よりも3’末端にミスマッチを含むFork.T12/T13が、より選択的に変異型アレルに対応するウミシイタケ・ルシフェラーゼの発現を抑制する傾向が確認された。
評価対象の二本鎖RNA分子として、3’にミスマッチを含まないConv.A8、Conv.A10、およびConv.A11と、そのFork型二本鎖RNA分子に対応するFork.A8、Fork.A10、およびFork.A11とを用い、これらの対立遺伝子特異的なRNAi活性を試験例7と同様の手法により評価した。この際、正常対立遺伝子に対応するベクターとしてphRL-TK(ウミシイタケ・ルシフェラーゼ発現プラスミド)にAPPLondon/WTを挿入したプラスミドを用い、London型のK670N-M671L変異対立遺伝子に対応するプラスミドとして、pGL3-TK(ホタル・ルシフェラーゼ発現プラスミド)にAPPLondon/V717Fを挿入したプラスミドを用いた。
評価対象の二本鎖RNA分子として、3’にミスマッチを含まないConv.F8、Conv.F10、およびConv.F11と、そのFork型二本鎖RNA分子に対応するFork.F8、Fork.F10、およびFork.F11とを用い、これらの対立遺伝子特異的なRNAi誘導を試験例6と同様の手法により評価した。この際、正常対立遺伝子に対応するベクターとしてphRL-TK(ウミシイタケ・ルシフェラーゼ発現プラスミド)にAPPLondon/WTを挿入したプラスミドを用い、London型のK670N-M671L変異対立遺伝子に対応するプラスミドとして、pGL3-TK(ホタル・ルシフェラーゼ発現プラスミド)にAPPLondon/V717Fを挿入したプラスミドを用いた。
評価対象として、二本鎖RNA分子としてT9/10二本鎖を用い、対立遺伝子特異的なRNAiの評価において、ルシフェラーゼの発現を指標とする場合と、RT−PCRによるmRNAの発現を指標にする場合とを比較するため、以下の実験を行った。
Claims (12)
- RNA分子が、細胞内において、RNAiによって、正常対立遺伝子と比較して、標的変異対立遺伝子の発現を特異的に抑制するかどうかを評価する方法であって、
前記RNA分子と、
発現に必要な要素の制御下に置かれた、第一のマーカータンパク質をコードする第一のDNA断片を含んでなり、かつ該第一のDNA断片における3’末端非翻訳領域が、前記標的変異対立遺伝子を含んでなる、第一のベクターと、
発現に必要な要素の制御下に置かれた、前記第一のマーカータンパク質と峻別可能な第二のマーカータンパク質をコードする第二のDNA断片を含んでなり、かつ該第二のDNA断片における3’末端非翻訳領域が、前記正常対立遺伝子を含んでなる、第二のベクターとを細胞に導入し、
前記第一および第二のマーカータンパク質の発現レベルを測定し、
前記第一のマーカータンパク質の発現レベルと、前記第二のマーカータンパク質の発現レベルとを比較することを少なくとも含んでなり、
ここで、前記第一および第二のベクターにおいて、前記第一のマーカータンパク質をコードする第一のDNA断片および前記第二のマーカータンパク質をコードする第二のDNA断片とが各々、実質的に同一の構造を有してベクター中に存在しており、かつ
前記第一のマーカータンパク質をコードする第一のDNA断片と、前記第二のマーカータンパク質をコードする第二のDNA断片とが各々、同一のプロモーターと連結されており、
前記第一および第二のマーカータンパク質がルシフェラーゼである、方法。 - 前記第一のマーカータンパク質の発現レベルが、前記第二のマーカータンパク質の発現レベルより低い場合、RNA分子が、前記標的変異対立遺伝子の発現をRNAiによって特異的に抑制したものとする、請求項1に記載の方法。
- 前記プロモーターが、TKプロモーターである、請求項1に記載の方法。
- 前記ベクターがプラスミドである、請求項1に記載の方法。
- 前記第一のマーカータンパク質および第二のマーカータンパク質の組み合わせが、ホタル・ルシフェラーゼタンパク質およびウミシイタケ・ルシフェラーゼの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
- 前記標的変異対立遺伝子が、APP前駆タンパク質の変異対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
- 前記標的変異対立遺伝子が、配列番号3で表されるDNA配列、配列番号7で表されるDNA配列、配列番号9で表されるDNA配列、または配列番号11で表されるDNA配列を有するものである、請求項1に記載の方法。
- 前記RNA分子が二本鎖RNA分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記RNA分子がsiRNAである、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記標的変異対立遺伝子の発現をRNAiによって特異的に抑制するRNA分子のスクリーニングに用いられる、請求項1に記載の方法。
- RNA分子が、細胞内において、正常対立遺伝子と比較して標的変異対立遺伝子の発現を特異的に抑制するかどうかを評価するためのキットであって、少なくとも請求項1〜11のいずれか一項に記載の第一および第二のベクターを含んでなるものである、キット。
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