JPWO2005045028A1 - セル・フリー・Notch切断分析方法及び薬剤スクリーニング方法 - Google Patents

セル・フリー・Notch切断分析方法及び薬剤スクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、アルツハイマー病の治療等に有効なγセクレターゼ阻害薬の薬剤スクリーニング等に利用できるセル・フリー・Notch切断分析方法、及び、該薬剤スクリーニング方法を提供するものであり、Notchタンパク質変異体を発現させた細胞の粗膜分画と被検物質とを接触させるセル・フリー切断反応工程と、前記セル・フリー切断反応工程におけるNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解(推定膜貫通ドメインにおける2段階の切断)により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程とを有し、被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するセル・フリー・Notch切断分析方法であって、前記Notchタンパク質変異体が、Notchタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、少なくとも推定膜貫通ドメインよりもアミノ末端側のアミノ酸配列の一部を欠失し、かつ推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有することを特徴とするセル・フリー・Notch切断分析方法である。

Description

アルツハイマー病やがん治療等に有効なγセクレターゼ阻害薬及び修飾薬の薬剤スクリーニング等に利用できるセル・フリー法によるγ切断の分析及び薬剤スクリーニング方法に関する。
アルツハイマー病治療薬としてγセクレターゼ阻害薬は極めて本質的である。即ち、アルツハイマー病の病理過程の始まりは生理的に細胞外に分泌されるアミロイドβタンパク質(Aβ)が凝集及び蓄積する過程にあるとされており、このAβが不溶化し集積及び蓄積する過程にアルツハイマー病の本質があるとする考え方が一般的である。
Aβは、β-アミロイド前駆体タンパク質(β-Amyloid Precursor Protein(βAPP))の段階的なタンパク分解により生成される約40アミノ酸残基のペプチドである(図1)。主要な生成物である40アミノ酸残基のAβ40に対して、その切断部位の多様性のため、Aβ37、Aβ38、Aβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42及びAβ43などが少量存在する。家族性アルツハイマー病(FAD)に見られるアルツハイマー病原性プレセニリン突然変異体により、カルボキシル末端が2〜3残基延長したAβ42やAβ43がAβ40に対して相対的に増えることも知られている(図1)。これらのAβ42やAβ43は特に毒性が強く、凝集、蓄積もしやすいため家族性アルツハイマー病の原因とされている。重要なことにこの長さの長いAβ42やAβ43の蓄積は一般の孤発性アルツハイマー病の病理組織上で例外なく認められるものである。したがって、Aβの細胞外分泌を阻害したり、このペプチドの切断部位に影響を与えたりする薬剤は根本的なアルツハイマー病治療薬になると考えられている。
Aβの毒性を決定づけるカルボキシル末端側の切断は、γ切断と呼ばれ、プレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解であることがわかっている。膜貫通タンパク質であるβAPPは、該タンパク質の細胞外部分のシェディングが引き金となり、プレセニリン/γセクレターゼ依存的な膜内タンパク分解が起こり、その結果生じたフラグメントのうち、一方のAICD(βAPP intracellular cytoplasmic domain)が細胞質へ、もう一方のAβが細胞外へ、それぞれ膜から分離されて放出される。この膜内タンパク分解は、膜内の異なる2箇所の蛋白分解(膜内における「dual-cleavage」(γ40/γ49))からなる。
これらのことから、プレセニリン/γセクレターゼ阻害薬によるAβ産生阻害を利用してアルツハイマー病治療薬の開発が進められている。しかし、副作用の報告により現在頓挫しており、未だ実用化に至っていない。
Aβ産生を阻害するプレセニリン/γセクレターゼ阻害薬のスクリーニングには、βAPPやその変異体を強制発現させた細胞の上清中のAβ量を測定する系が使用されてきた。また、最近、βAPPやその変異体を強制発現させた細胞の膜分画を37℃で培養することでプレセニリン/γセクレターゼによる膜内タンパク質分解の結果として生じるカルボキシル末端フラグメントであるAICDの産生を観察するセル・フリーγセクレターゼ・アッセイ系が確立された(例えば、非特許文献1及び2)。しかし、Aβ産生とAICD産生を異なるアッセイ系で測定した場合、薬剤のAβ産生阻害とAICD産生との阻害濃度の違いは実際上測定不可能であった。
ところで、前記βAPPの膜内タンパク分解と同一のγセクレターゼ・メカニズムが、Notchレセプタータンパク質(単にNotch又はNotchタンパク質ということがある)の膜内タンパク分解を起こすことを発明者らは最近明らかにした(例えば非特許文献6)。すなわちNotchの段階的蛋白分解の過程でγセクレターゼ・メカニズムによる膜内蛋白分解が起こり細胞外フラグメントとしてNβ(Notch-1 Aβ-like peptide)が産生され、細胞内フラグメントとしてアンキリンリピートを含む転写調節因子であるNICD(Notch intracellular cytoplasmic domain)が産生される(図1)。そしてこのNβとNICDを産生する切断は異なる2つの蛋白分解(S3部位とS4部位における「dual-cleavage」)からなる。さらに、S4の切断によりN末端フラグメントであるNβが細胞外に放出される。
Notchは、細胞表面に存在するタイプ1膜貫通型タンパク質であり、細胞外部分にEGFリピートを持ち、細胞内部分にアンキリンリピートを含む転写調節因子であるNICD(Notch intracellular cytoplasmic domain)を持つ。
また、Notchは、細胞分化に関する細胞間情報伝達に関与することが知られており、例えば、脳神経系の発生過程では、外胚葉系の細胞の一部が神経前駆細胞(幹細胞)に分化し、さらにニューロン細胞やグリア細胞へと分化するが、この過程において、Notchを介した細胞間情報伝達が重要である。まず、Notchは、Notchシグナル伝達の受け手側細胞のレセプターとして発現される。細胞表面に輸送されたNotchは、フリン等のプロテアーゼで細胞外部分領域のS1部位で切断されてヘテロ2量体になっているが、これらはS-S結合した状態で、そのまま細胞表面に存在する。次に、細胞表面にNotchリガンドであるデルタやJaggedを発現するNotchシグナルの送り手側の細胞が近接して存在すると、細胞表面でNotchリガンドがNotchレセプターと相互作用し、段階的なタンパク質分解が誘導され、シグナル伝達が開始される。即ち、Notchは細胞膜表面付近のS2部位で切断され、さらにこの切断が引き金となって細胞膜内あるいは細胞内側の細胞膜の極めて近傍S3で切断が起こり、その結果生じる細胞内部分の断片であるNICDは細胞内に放出され、直接核に移行して遺伝子の転写を制御すると考えられている。前記S2部位の切断はTACE(TNFa-Converting Enzyme)による細胞外切断であり、それに続くS3部位の切断はプレセニリン/γセクレターゼ依存的である。
このように、Notchシグナル伝達機構は細胞分化における細胞間情報伝達に極めて重要であるが、近年の研究により、細胞の腫瘍化やアポトーシスなど、胎生期のみならず、成人になってからも様々な役割を担っていることが報告されている(例えば非特許文献3、4及び5)。したがって、Notch切断の解析は細胞分化、細胞腫瘍化、アポトーシス等の研究のために重要な技術である。
前述のように、発明者らは、S4の切断によりN末端フラグメントであるNβが細胞外に放出されていることを報告した。しかし、NICDの放出とNβの放出を同時に解析でき、かつ、その切断部位を詳細に解析できるような、Notchに関するプレセニリン/γセクレターゼ依存的膜内タンパク分解の解析方法については、未だ確立されていなかった。
Inga Pinnix et al., THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, Vol.276, No.1, pp.481−487, 2001 CHRIS MCLENDON et al., The FASEB Journal, Vol.14, pp.2383−2386, 2000 大河内等「アルツハイマー病とプレセニリンの生物学」分子精神医学Vol.1 No.3 2002 影山等「Notchによる神経分化制御」タンパク質 酵素 核酸 Vol.45 No.3 2000 Brian et al., Blood Vol.96 No.5 p1906 1913 sep.1 2000 Okochi et al., The EMBO Journal Vol.21 No.20 pp.5408-5416, 2002
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、アルツハイマー病の治療等に有効なγセクレターゼ阻害薬及び修飾薬の薬剤スクリーニング等に利用できるセル・フリー・Notch切断分析方法、及び、該薬剤スクリーニング方法を提供することを目的とする。
プレセニリン/γセクレターゼがβAPPだけではなく、Notchタンパク質をはじめとする十数種のタンパク質の膜内タンパク質分解に関わっていることから、アルツハイマー病の治療薬としてのγセクレターゼ阻害薬開発の頓挫は、βAPPに対する作用のみを手がかりとするそのスクリーニング方法の問題であると考えられた。例えば、その阻害薬がそれらのタンパク質をおしなべて阻害すれば、βAPP以外のタンパク質に対する阻害による副作用が出現すると考えられる。プレセニリンのノック・アウトマウスがNotch表現型を呈することからも示唆されるように、これらのタンパク質のなかでもNotchの作用は、生体にとって極めて重要なものであるため、コンパウンドのスクリーニングの過程で、コンパウンドのNotchに関する詳細な作用を把握することは重要であるという考えに基づき、これを得る戦略について考案した。
この問題を解決するためにAβ産生を阻害するがNICD産生を阻害しない物質を、βAPP発現細胞からAβ産生をしない物質をスクリーニングし、その物質がNICD産生を阻害するかどうか生細胞を用いて検査することが検討されている。しかし、このようにNotchタンパク質とAβとの2つの基質について、別々のアッセイ系を用いて分析した場合、種々の要因が影響するため、γセクレターゼによる膜内蛋白分解への基質の違いによる被検物質の影響の差を直接比較することは困難である。また、発明者らは同一薬剤の膜内dual切断への効果が基質間(例えば、Notchタンパク質とβAPPとの間)で異なるよりも基質内(例えば、Notchタンパク質におけるS3部位の切断とS4部位の切断との間)で異なるとの知見を得た(図9A、B及び図10)。この事実は、dual切断の一方だけを分析していたり、dual切断を別々のアッセイ系によって分析している既存のアッセイ系ではγセクレターゼ阻害薬のスクリーニング方法として不十分であることを示している。
さらに、アスピリンやその誘導体に代表されるステロイド以外の抗炎症薬(NSAID:non-steroidal anti-inflammatory drugs)などの薬剤によりAβ産生の正確さを変化させAβ42産生を阻害することで治療薬を開発しようとする試みも行われている。発明者らはこのNSAIDのようなγセクレターゼ修飾薬の、NICDあるいはAICDのアミノ末端の正確さへのγ切断の効果がシグナル伝達量に影響を及ぼしている可能性があるとの知見を得た(図11A〜C及び図12A-1〜図12B)。したがって、γセクレターゼ修飾薬については、Aβのカルボキシル末端以外への効果、すなわちAICDのアミノ末端、Nβのカルボキシル末端、NICDのアミノ末端への効果(主に切断の正確さへの効果)を検討する必要があると考えた。つまりNSAIDにはγセクレターゼ阻害剤にない副作用の可能性があり、切断部位に微妙な変化を高感度に認識するアッセイ系が必要である。また、これらのことから、Notchシグナルの調節を目的としたNotchタンパク質をターゲットとするγセクレターゼ阻害薬及び修飾薬等の開発においても、S3部位の切断とS4部位の切断について、切断量及び切断の正確さへの効果が問題となることが示唆された。
そこで、発明者らは、Notchに対する作用を正確に解析するために、F-NEXTΔCを開発し質量分析解析とウエスタンブロット法を組み合わせることで、Notch-1のS3/S4切断を正確に再現するセル・フリー・アッセイ系を開発した。さらにそれをβAPPのセル・フリー・アッセイと組み合わせることにより、βAPPタンパク質のγ40/γ49切断とNotch-1のS3/S4切断の4つの切断同時に再現するセル・フリー・アッセイ系を開発した。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> Notchタンパク質変異体を発現させた細胞の粗膜分画と被検物質とを接触させるセル・フリー切断反応工程と、
前記セル・フリー切断反応工程におけるNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程とを有し、
被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するセル・フリー・Notch切断分析方法であって、
前記Notchタンパク質変異体が、Notchタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、少なくとも推定膜貫通ドメインよりもアミノ末端側のアミノ酸配列の一部を欠失し、かつ推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有することを特徴とするセル・フリー・Notch切断分析方法である。
<2> 前記検出工程が、被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解の量に与える影響を分析する前記<1>に記載のセル・フリー・Notch切断分析方法である。
<3> 前記検出工程が、質量分析法を用いて前記アミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する工程であり、被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解部位の正確さに与える影響を分析する前記<1>に記載のセル・フリー・Notch切断分析方法である。
<4> セル・フリー切断反応工程における粗膜分画が、Notchタンパク質変異体とβAPPタンパク質変異体とを共発現させた細胞の粗膜分画であり、検出工程において、前記セル・フリー切断反応工程におけるβAPPタンパク質変異体の膜内蛋白分解により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程をさらに有し、被検物質がNotchタンパク質変異体のおよびβAPPタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するセル・フリー・Notch切断分析方法であって、
前記βAPPタンパク質変異体が、βAPPタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法である。
<5> Notchタンパク質変異体が、(1)及び(2)のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法である。
(1)配列番号1で表されるポリペプチド(FLAG-NEXT)
配列番号1:
MPRLLTPLLCLTLLPARAARGLRDYKDDDDKMVMKSEPVEPPLPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKRRRQHGQLWFPEGFKVSEASKKKRREPLGEDSVGLKPLKNASDGALMDDNQNEWGDEDLETKKFRFEEPVVLPDLSDQTDHRQWTQQHLDAADLRMSAMAPTPPQGEVDADCMDVNVRGPDGFTPLMIASCSGGGLETGNSEEEEDAPAVISDFIYQGASLHNQTDRTGETALHLAARYSRSDRRKRLEASADANIQDNMGRTPLHAAVSADAQGVFQILLRNRATDLDARMHDGTTPLILAARLAVEGMLEDLINSHADVNAVDDLGKSALHWAAAVNNVDAAVVLLKNGANKDIENNKEETSLFLSIRRESYETAKVLLDHFANRDITDHMDRLPRDIAQERMHHDIVRLLDEYNLVRSPQLHGTALGGTPTLSPTLCSPNGYPGNLKSATQGKKARKPSTKGLACGSKEAKDLKARRKSSQDGKGWLLDSSEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDL
(2)γ-セクレターゼによる膜内蛋白分解の部位及び膜内分解の量の傾向が配列番号1で表されるポリペプチド(FLAG-NEXT)と実質的に同じであるポリペプチド
<6> Notchタンパク質変異体が前記(2)のポリペプチドであり、前記(2)に記載のポリペプチドが、セル・フリー切断反応工程により切断されたときに、質量分析可能なNotchタンパク質変異体である前記<5>に記載のセル・フリー・Notch切断分析方法である。
<7> Notchタンパク質変異体が、配列番号1で表されるポリペプチド(FLAG-NEXT)において推定膜貫通ドメインよりもカルボキシル末端側のアミノ酸配列の一部を欠失させたポリペプチドである前記<5>及び<6>のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法である。
<8> 請求項1から7のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法により検出される、被検物質によるNotch切断量の増減及びNotch切断部位の正確さの変化を指標として、薬剤の有効成分を選択することを特徴とする薬剤スクリーニング方法である。
<9> 配列番号2で表されるポリペプチド(FLAG-NEXTΔC)、及び、
前記FLAG-NEXTΔCのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向がFLAG-NEXTΔCと実質的に同じであるアミノ酸配列、からなることを特徴とする組換えタンパク質である。
配列番号2:
MPRLLTPLLCLTLLPARAARGLRDYKDDDDKMVMKSEPVEPPLPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKRRRQHGQLWFPEGFKVSEAEQKLISEEDL
<10> 前記<9>に記載の組換えタンパク質をコードすることを特徴とする発現用遺伝子である。
<11> 前記<9>に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有することを特徴とする組換えベクターである。
<12> 前記<9>に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを含むことを特徴とする形質転換体である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、アルツハイマー病の治療等に有効なγセクレターゼ阻害薬の薬剤スクリーニング等に利用できるセル・フリー・Notch切断分析方法、及び、該薬剤スクリーニング方法を提供することができる。
図1は、Notchタンパク質とβAPPタンパク質における段階的切断を表す図であり、細胞外へ放出されるポリペプチドのカルボキシル末端がアルツハイマー病原性プレセニリン突然変異体により変化することを説明する図である。 図2Aは、F-NEXTΔCがプレセニリン/γセクレターゼによる膜内タンパク質分解を受け、即ち、S4及びS3で切断され、F-Nβ及びNICDΔCを分泌することを示した図である。 図2Bは、F-NEXTをどのように改変してNotchタンパク質変異体であるF-NEXTΔCを作成したかを示した図である。アミノ酸配列は、細胞内外に分泌されるペプチドの切断を受ける前の配列である。 図3Aは、細胞をホモジネートして粗精製膜分画(CMF)を調製する手順を示した。 図3Bは、粗精製膜分画(CMF)を用いて、セル・フリー・Notch切断・アッセイを行う実験手順を示した。 図4Aは、野生型PS1を用いたチェイスラベル実験の結果を示す。 図4Bは30分間ラベリング後の2時間チェイスの間に放射線標識をされた分子のうちどれくらいがF-Nβとして放出されたか検討した。 図Cは、プレセニリンのドミナント・ネガティブ変異として知られているPS1 D385Nを用いたチェイスラベル実験の結果を示す。 図4Dは、L685,458で2時間の前処理を加えた場合の阻害実験の結果を表す。 図5A−1は、F-NEXT発現細胞から分泌されるF-NβのMALDI-TOF MS質量分析のスペクトラムである。 図5A−2は、F-NEXTΔC発現細胞から分泌されるF-NβのMALDI-TOF MS質量分析のスペクトラムである。 図5Bは、各ピークの分子量とそのペプチド配列を列挙した。 図5Cは、Notch-1の膜内アミノ酸配列の中でどの部分での切断がF-Nβを放出しているか図示したものである。 図6Aは、野生型NotchとF-NEXTΔCとの段階的タンパク質分解の仕組みを比較した図である。 図6Bは、野生型Notchと同様にS1、S2、S3の段階的タンパク質分解を受けるNotch-1タンパク質の変異体(N1LNG CC>SS)から、タグのない野生型のNβを同定したものの質量分析スペクトラムである。 図6Cは、図6BのNβ断片のアミノ酸配列を列挙した図である。 図7Aは、セル・フリー・Notch切断分析の結果産生されたNTFであるde novo F-Nβの質量分析スペクトラムである。 図7B−1は、セル・フリー・Notch切断分析のCTFであるde novo F-NEXTΔCの質量分析スペクトラムを表す。 図7B−2は、図7B−1のピークのアミノ酸配列を表す。 図7Cは、図7B−1及びB−2で認められるS4及びS3切断部位を示した。 図8は、βAPP及びNotch-1を組み合わせた多基質セル・フリー・アッセイ系で認められるNβ、Aβ、NICDΔC、AICDの4フラグメントの質量分析スペクトラムとS4、γ40、S3、γ49切断部位を示した。 図9Aは、L685,458の濃度を変化させたときのS4、γ40、S3、γ49切断の活性について4段階評価で評価した結果を表す。 図9Bは、DAPTの濃度を変化させたときのS4、γ40、S3、γ49切断の活性について4段階評価で評価した結果を表す。 図10は、Aβ及びNβと、AICD及びNICDとの産生に関するγ切断の阻害率を表す図である。 図11Aは、F-NEXTとその変異体であるF-NEXT V1744GおよびF-NEXT V1744Lの構築を表す図である。 図11Bは、F-NEXTとその変異体であるF-NEXT V1744GおよびF-NEXT V1744Lの分解と、NICDの産生を表す図である。 図11Cは、F-NEXTとその変異体であるF-NEXT V1744GおよびF-NEXT V1744Lの分解による、Nβの産生を表す図である。 図12A−1は、F-NEXTΔCのS3部位の切断により産生される断片のIP-MS法による解析結果を表す図である。 図12A−2は、F-NEXTΔC V1744GのS3部位の切断により産生される断片のIP-MS法による解析結果を表す図である。 図12Bは、F-NEXTΔC及びF-NEXTΔC V1744GのS3部位の切断により産生される断片を表す図である。 図13は、NSAIDのセル・フリー・notch切断分析方法による結果を表す図である。
本発明のセル・フリー・Notch切断分析方法は、Notchタンパク質変異体を発現させた細胞の粗膜分画と被検物質とを接触させるセル・フリー切断反応工程と、前記セル・フリー切断反応工程におけるNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程とを有し、被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するものである。
前記Notchタンパク質変異体は、Notchタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、少なくとも推定膜貫通ドメインよりもアミノ末端側のアミノ酸配列の一部を欠失し、かつ推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有する。
Notchタンパク質は、生物種を超えて広く保存されており、その由来に制限はなく、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ブタ、ウシ、ショウジョウバエ、線虫等であってもよいが、ヒトに対する薬剤のスクリーニングに用いる場合には、ヒトやマウスなどの脊椎動物に由来するアミノ酸配列を有することが好ましく、ヒト又はマウスのNotch1〜4などが挙げられ、代表的にはヒト又はマウスのNotch-1が挙げられる。
また、推定膜貫通ドメイン(TM)とは、Notchタンパク質が膜を貫通していると推定される部分をいい、ヒトNotch-1では配列番号3、マウスNotch-1では配列番号4で表される配列部分である。この膜貫通ドメイン(TM)は、S3及びS4切断部位を含み、この部位における切断により生じる断片の産生が分析されることになる。すなわち、「Notchタンパク質変異体の膜内蛋白分解」とは、推定膜貫通ドメインにおけるS3及びS4の2段階の切断をいう。
LHFMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLS (配列番号3)
LHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLS (配列番号4)
前記Notchタンパク質変異体としては、その切断量及び切断部位の傾向に影響を与えない限り、切断後の断片の検出のためのタグやフラッグ部分を有することができる。前記タグやフラッグは特異的抗体等により認識されるよう設計される。
前記Notchタンパク質変異体としては、配列番号1で表されるポリペプチドであるFLAG-NEXT(図2B上段)や、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向が野生型Notch受容体又はFLAG-NEXTと実質的に同じである(図6B)ポリペプチドが挙げられる。ここで、NEXT(Notch Extra cellular Truncation)は、細胞外切断部位であるS2部位で切断後に残ったポリペプチドを表すが、FLAG-NEXTは、前記NEXTのアミノ末端付近を改変して、FLAG配列を付加し、カルボキシル末端に6回連続するc-myc配列を付加したポリペプチドであり、細胞外部分の断片はFLAG配列により検出でき細胞内部分の断片はc-myc配列により検出できるように設計されている。また、FLAG-NEXTは、FLAG配列の付加されていない野生型のNEXTのγ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向を実質的に保持している(図5A-1及び図6B)。
また、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向が野生型Notch受容体又はFLAG-NEXTと実質的に同じであれば、本発明のNotchタンパク質変異体として用いることができる。γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向が野生型Notch受容体又はFLAG-NEXTと実質的に同じであるとは、FLAG-NEXT又はフラッグ化されていないNEXTのγ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向(図6B)を実質的に保持していることをいう。体内におけるNotchタンパク質の切断を反映させるためである。したがって、「実質的に同じである」とは、被検物質の影響を考慮する必要のある、体内におけるNotchタンパク質の切断に関する影響を推定できる程度に、切断位置等が保持されていることをいい、切断量等が全く一致している必要はない。このようなポリペプチドとしては、前記FLAG-NEXTにおいて推定膜貫通ドメインよりもカルボキシル末端側のアミノ酸配列の一部を欠失させたポリペプチドが挙げられ、例えば、配列番号2で表されるポリペプチドであるFLAG-NEXTΔCが挙げられる(図2B下段)。FLAG-NEXTΔCは、FLAG-NEXTのNICD配列の大部分と6回連続するc-myc配列のうち5回分を削除したアミノ酸配列を有し、かつ、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向がFLAG-NEXT、又は、FLAG配列の付加されていない野生型のNEXTと実質的に同じであるポリペプチドである。FLAG-NEXTΔCは、FLAG-NEXTのNICD側の配列を短くすることにより、始めてS3の切断位置の正確な解析を可能にしたものである。
FLAG-NEXTΔCの塩基配列を配列番号5に表す。
配列番号5:
ATGCCACGGCTCCTGACGCCCTTGCTCTGCCTAACGCTGCTGCCCGCGCTCGGCGCAAGAGGCTTGAGAGACTACAAGGACGACGATGACAAGATGGTGATGAAGAGTGAGCCGGTGGAGCCTCCGCTGCCCTCGCAGCTGCACCTCATGTACGTGGCAGCGGCCGCCTTCGTGCTCCTGTTCTTTGTGGGCTGTGGGGTGCTGCTGTCCCGCAAGCGCCGGCGGCAGCATGGCCAGCTCTGGTTCCCTGAGGGTTTCAAAGTGTCAGAGGCCGAGCAAAAGCTCATTTCTGAAGAGGACTTGTAG
また、前記Notchタンパク質変異体は、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向がFLAG-NEXTと実質的に同じである限り、その前記FLAG-NEXTや前記FLAG-NEXTを短縮したポリペプチドにおいて、フラッグや抗体認識部位を改変したり、さらに1個若しくは数個のアミノ酸を欠失、置換若しくは付加する変異を含んでいてもよい。
前記Notchタンパク質変異体を発現する細胞としては、前記ポリペプチドが強制発現するように遺伝子導入された細胞が挙げられる。導入方法や宿主細胞には特に制限はなく公知の方法から選択して用いることができる。宿主細胞としては例えばプレセニリンを安定に発現するヒト胎児腎臓293細胞(K293細胞)などを用いることができる。
粗膜分画としては該細胞の粗精製膜分画(CMF)を用いることができ、該粗精製膜分画の取得方法は公知の方法を適宜用いることができる。具体的には、遺伝子導入された細胞を一定時間以上培養した後、細胞を破砕して1,000×g程度で遠心分離して得られた上清を、さらに100,000×g程度で遠心分離した場合の沈査分画を採ることにより得られる。バッファーにはアスパルチルプロテアーゼ以外のプロテアーゼを阻害するプロテアーゼ阻害剤を入れておくことが好ましい。
セル・フリー・Notch切断分析は、前記粗精製膜分画(CMF)をよく洗浄してバッファー中に懸濁し、被検物質存在下において37℃で40分間程度培養して行う(図3B)。反応時間は、適宜調節することができる。また、化合物の作用機序によっては、膜分画を抽出する前に、被検物質存在下で培養する前処理工程を行ってもよい。前記FLAG-NEXTΔCを基質として用いる場合を例にとって説明すると、被検物質とFLAG-NEXTΔCを発現させた細胞から前記の手法により取得した粗膜分画とを接触させ、該反応物を100,000×gで15分間程度遠心分離した上清であるS1-40min分画(図3B)を細胞内部分の特異的抗体で免疫沈降するとS3切断が起こっている場合にはNICDΔC(即ち、前記「カルボキシル末端側の断片」にあたる)が認識される。このNICDΔCの分子量をMALDI-TOF型質量分析装置で解析すると、NICDΔCのアミノ末端であるS3切断部位の多様性が解析できる。このS3部位の多様性は、現在まで報告がなく、本発明の解析方法によりはじめて明らかにすることができた。
また、S1-40min分画を採取後の沈査分画を短時間超音波破砕し、さらに100,000×gで15分間遠心分離した上清分画をS2-40min分画として採取し、このS2-40min分画を細胞外部分に特異的な抗体で免疫沈降すると、S4切断が起こっている場合にはNβ(即ち、前記「アミノ末端側の断片」にあたる)が認識される。これをMALDI-TOF型質量分析装置で解析するとNβのカルボキシル末端であるS4切断部位の多様性が解析できる。S2-40min分画で質量分析ピークの比較的小さいF-Nβについては、その多様性パターンを詳細に検討するため、さらにオーバーナイト12時間37℃で培養した分画を採取することもできる。
γセクレターゼの切断量に対する被検物質の影響は、免疫染色等によって検出することができ、本発明はこれらのいずれの方法も含むものである。しかし、γセクレターゼによる切断は、通常の蛋白分解とは異なり膜内蛋白分解の特徴である主な切断部位とその周囲のマイナーな切断部位群を伴う。この切断の正確さに対する薬剤の影響を見るためには、質量分析方法を用いる必要がある。質量分析方法としては、公知の手法を用いることができる(例えば Wang R, Sweeney D, Gandy SE, Sisodia SS. The profile of soluble amyloid beta protein in cultured cell media. Detection and quantification of amyloid beta protein and variants by immunoprecipitation-mass spectrometry. J Biol Chem. 1996 Dec 13;271(50):31894-902.)。ただし、正確な質量分析を可能にするためには、産生されるフラグメントの長さを短くする必要があり、FLAG-NEXTΔCのような、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向が野生型のNotch及びFLAG-NEXTと実質的に同じであり、かつ、産生されるフラグメントの長さを精度よく質量分析できる程度の長さに短くデザインした変異体を用いることが好ましい。
質量分析を用いる利点は、(1)セル・フリー産生された蛋白フラグメントの断端を正確に決定できること、(2)同時に質量分析スペクトラムから断端の異なるフラグメントの存在比率が一目瞭然となること、(3)その存在比率は「膜内蛋白分解の特徴である主な切断部位とその周囲のマイナーな切断部位群」に対する薬剤の直接的効果を反映しているころである。
本発明のセル・フリー・Notch切断分析方法は、Notchシグナリングを制御し得るプリセニリン/γセクレターゼ阻害剤のスクリーニングや、Notchに関する各種研究的利用に用いることができる他、アルツハイマー病に有効なプリセニリン/γセクレターゼ阻害剤や修飾剤に関し、Notchタンパク質の切断の量や正確さへの影響を考慮したコンパウンドのスクリーニング等に利用することができる。
本発明の薬剤スクリーニング方法は、前記本発明のセル・フリー・Notch切断分析方法により検出される、被検物質によるNotch切断量の増減及びNotch切断部位の変化を指標として、薬剤の有効成分を選択することを特徴とする。これにより、特にアルツハイマー病に有効なプリセニリン/γセクレターゼ阻害剤に関し、Notchタンパク質への影響を考慮したコンパウンドのスクリーニングが可能となった。これにより、Notchタンパク質への作用による副作用の可能性の少ないプリセニリン/γセクレターゼ阻害剤のスクリーニングが可能となる。
アルツハイマー病に有効なプリセニリン/γセクレターゼ阻害剤のスクリーニングに関しては、前記セル・フリー・Notch切断分析方法と共に、βAPP切断分析を実施することが好ましい。プリセニリン/γセクレターゼ阻害剤の両タンパク質に対する作用を正確に比較分析することが上記のようにγセクレターゼ阻害薬の開発のためには必須であり、本発明のセル・フリー・Notch切断分析方法と同一の系において、セル・フリー・βAPP切断分析を同時に実施することが好ましい。即ち、前記セル・フリー切断反応工程における粗膜分画が、Notchタンパク質変異体とβAPPタンパク質変異体とを共発現させた細胞の粗膜分画であり、検出工程において、前記セル・フリー切断反応工程におけるβAPPタンパク質変異体の膜内蛋白分解により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程をさらに有し、被検物質がNotchタンパク質変異体のおよびβAPPタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するセル・フリー・Notch切断分析方法であることが好ましい。前記βAPPタンパク質変異体は、βAPPタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有する。なお、Notchタンパク質変異体の場合と同様に、抗体認識部位は、タンパク質変異体の配列を人工的にデザインしてタグ化していてもよいし、天然の配列に対する特異的抗体を作成してもよい。
これらを同時に行う方法としては、βAPPを前記Notchタンパク質変異体と共発現している細胞の膜分画を用いることが好ましい。βAPPを発現する細胞としては、配列番号6で表されるスウェーデン型突然変異体βAPP(swβAPP)を遺伝子導入した細胞が好適に用いられる。
配列番号6:
MLPGLALLLLAAWTARALEVPTDGNAGLLAEPQIAMFCGRLNMHMNVQNGKWDSDPSGTKTCIDTKEGILQYCQEVYPELQITNVVEANQPVTIQNWCKRGRKQCKTHPHFVIPYRCLVGEFVSDALLVPDKCKFLHQERMDVCETHLHWHTVAKETCSEKSTNLHDYGMLLPCGIDKFRGVEFVCCPLAEESDNVDSADAEEDDSDVWWGGADTDYADGSEDKVVEVAEEEEVAEVEEEEADDDEDDEDGDEVEEEAEEPYEEATERTTSIATTTTTTTESVEEVVRVPTTAASTPDAVDKYLETPGDENEHAHFQKAKERLEAKHRERMSQVMREWEEAERQAKNLPKADKKAVIQHFQEKVESLEQEAANERQQLVETHMARVEAMLNDRRRLALENYITALQAVPPRPRHVFNMLKKYVRAEQKDRQHTLKHFEHVRMVDPKKAAQIRSQVMTHLRVIYERMNQSLSLLYNVPAVAEEIQDEVDELLQKEQNYSDDVLANMISEPRISYGNDALMPSLTETKTTVELLPVNGEFSLDDLQPWHSFGADSVPANTENEVEPVDARPAADRGLTTRPGSGLTNIKTEEISEVNLDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIATVIVITLVMLKKKQYTSIHHGVVEVDAAVTPEERHLSKMQQNGYENPTYKFFEQMQN

前記スウェーデン型突然変異体βAPPは、ヒトのcDNAライブラリーからクローニングした野生型遺伝子に、KM/594595/NL変異(スウェーデン変異)を導入することにより、得ることができる。スウェーデン変異は、公知の2ステップPCR法により導入できる。また、膜分画の取得や、γ切断により産生される断片の検出には、前記Notchタンパク質の場合と同様の手法を用いることができる。なお、βAPPは、推定膜貫通部位(配列番号7)よりカルボキシル末端側の配列はもともと短いため、Notchタンパク質のように短く改変しなくても、質量分析により切断の位置を検出することができる。
配列番号7:
GAIIGLMVGGVVIATVIVITLVML
本発明の分析方法は、セル・フリー系を用いることにより、膜内蛋白分解により産生された蛋白フラグメントの分解が起こらず、正確な解析が可能である。また、リード化合物に毒性がある場合でも広くスクリーニングが可能である点でも有利である。このような毒性は後の最適化により除去できる場合もあり、有用な薬剤となる場合もあるからである。
本発明の組換えタンパク質は、FLAG-NEXTΔC、及び、FLAG-NEXTΔCのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量がFLAG-NEXTΔCと実質的に同じであるアミノ酸配列、からなることを特徴とする。これらは、前述の通り、本発明のセル・フリー・Notch切断分析方法において好ましく用いられる。
本発明の発現用遺伝子は、前記組換えタンパク質をコードすることを特徴とするが、本発明のセル・フリー・Notch切断分析方法に用いる膜分画を製造するために、組換えベクターに導入し、宿主細胞に導入するために用いられる。
本発明の組換えベクターは、本発明の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有するものであれば特に制限はない。
本発明の形質転換体は、本発明の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを含み、本発明の組換えタンパク質を強制発現するものであれば、導入方法や宿主細胞には特に制限はない。宿主細胞としては、プレセニリンを安定に発現するものが好ましく、例えばヒト胎児腎臓293細胞(K293細胞)などが挙げられる。このような、形質転換体は、本発明の前記セル・フリー・Notch切断分析方法に用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における試薬、材料及び実験手法は、以下のとおりである。
(試薬)
γ-セクレターゼ(γ-Secretase)阻害剤である、L685,458及びDAPT、そしてフォルボールエステルであるPMA(phorbol-12-myristate-13-acetate)は、Calbiochem社から購入した。
(培養細胞及び細胞株)
ヒト胎児腎臓293細胞(K293細胞)を、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、500μg/mlネオマイシン(neomycin;βAPP発現を選択するため)200μg/mlゼオシン(zeocin;PS1発現を選択するため)及び100μg/mlハイグロマイシン(hygromycin;F-NEXTΔC及びF-NEXT発現を選択するため)を添加したDMEM培地にて培養した。
細胞へのβAPP、F-NEXTΔC、mN1LNG CC>SS及びF-NEXT導入は、商品名Lipofectamine 2000 (Invitrogen社)を用いて行った。約20日の抗生物質によるセレクションの後、安定的に導入タンパク質を発現する細胞株を単離培養しシングル・セル・クローンとして使用するか、又は数十のシングル・セル・クローンを混ぜたプール・セル・クローンを実験に使用した。PS1 wt又はPS1 D385Nを安定的に発現するK293細胞は大河内ら及びシュタイナーらの方法により作成した(Okochi et al, 2000, Steiner et al, 1999)。
(パルス-チェイス実験)
F-NEXTΔC又はF-NEXTを発現する細胞から、プレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解の結果、N末端フラグメント(NTF:F-Nβ)が放出されるかを判断するために、F-NEXTΔC又はF-NEXT安定発現細胞(K293)を、10cmディッシュ中で、コンフルエントな状態まで培養した。その細胞をメチオニン欠乏DMEM(Gibco社の市販品を改変)溶液中で45分間培養しメチオニン飢餓状態にした。引き続いて同じメチオニン欠乏DMEM溶液を用いて培養液を交換し、同時に300μCi [35S]メチオニン・システイン(Pro-mix, Amersham社)を加えた培養液中で、代謝的にパルスラベルを30分間行った。その後、10%FCS/DMEMで2時間チェイスした。
(パルスチェイス実験における免疫沈降/SDS-PAGE)
チェイス期間の終了後、培地を集めて直ちに氷上においた。ついで、3,000×gで遠心分離を行い、細胞残屑を排除した。次に、プロテアーゼ阻害剤カクテル(1:1000; Sigma社)及び0.025%のアジ化ナトリウムを加えた。その試料を、4G8抗体、あるいは抗FLAG-M2-アガロース(Sigma社)を用いて一晩免疫沈降を行い、0.1%SDS、0.5%deoxycholic acid及び1% TritonX-100を含むRIPAバッファーで三回洗浄した。そのあとトリス-トリシン10〜20%勾配ゲル(Invitrogen社)を使用してSDS-PAGEを行った。細胞は、氷冷PBS中でかき集め、1500×gの遠心分離によって培養液と分離・収集し、100μlの10倍濃度の前記RIPAで溶解した。そして、プロテアーゼ阻害混合液(1:500; Sigma社)を含む900μlのPBSを、前記溶解した細胞に加えた。
不溶画分は、15,000×gの遠心分離で分離し、その上清(RIPA可溶分画)を免疫沈降反応に使用した。免疫沈降用の試料は、プロテインAセファロース(protein A sepharose; Sigma社)で前処理し、6336、9E10、6618又はM2アガロースで免疫沈降した。
次に、洗浄したタンパク質試料を、8%若しくはトリス-トリシンSDS-PAGEにて分離した。ゲルを固定した後、増幅蛍光写真撮影法試薬(Amplify Fluorographic Reagent、Amersham社)中で振とうし、ついで乾燥し、最後にオートラジオグラフィーを行った。
(免疫沈降/MALDI-TOF MS解析)
培養上清の場合、F-NEXT及びその派生物を安定に発現する細胞をコンフルエントな状態まで20cmディッシュで培養した後、培養培地を新しい10% FCS/DMEMと取り替えた。CO2インキュベーター中で3時間培養した後、培養上清を集めてすぐに氷上におき、続いて遠心分離で細胞残屑を除去した。50mMトリス。バッファー(pH7.6)、5mM EDTA、プロテアーゼ阻害混合液(Sigma社;1:1000)及び0.025%アジ化ナトリウムを添加した後、その培地を、4G8あるいはM2アガロースを使用して、4時間、4℃で免疫沈降した。
セル・フリー・γセクレターゼ・アッセイの場合、アッセイ後の超遠心上清であるS1又はS2分画に4倍量以上の0.1% n-octylglucoside、140mM NaCl、10mM Tris (pH8.0)及び0.025%アジ化ナトリウムから成るMS洗浄バッファーを添加した。その混合物を6636、6618、4G8あるいはM2アガロースを使用して、4時間、4℃で免疫沈降した。免疫沈降後はMS洗浄バッファーを使用し、10分間、4℃で3回洗浄した。そして、さらに一回、0.025%アジ化ナトリウムを含む10mM Tris(pH8.0)で洗浄した後、さらにもう一回水で簡単に洗浄した。その結果得られた沈殿物中の特異抗体に結合したペプチドを、α-cyano-4hydroxy cinnamic acidで飽和したTFA/アセトニトリル/水(TFA:アセトニトリル:水=1:20:20)で溶出した。可溶化した試料を、ステンレスプレート上で乾燥させMALDI-TOF MS解析した。MSピークは、アンギオテンシン(Sigma社)及びインシュリンβ鎖(Sigma社)で較正した。
(実施例1)
Notch-1タンパク質の段階的タンパク質分解部位としてS1、S2、S3及びS4部位が同定されている。S1部位でのタンパク質分解とそれに引き続くNotchタンパク質の膜表面上でのヘテロ2量体形成はNotchが受容体として機能するのに必須の修飾であると考えられる。このNotch受容体は近接する細胞に発現されたNotchリガンドと結合するとそれが契機となりS2部位でさらに切断を受ける(細胞外シェディング)。S2で切断を受けた後のカルボキシル末端フラグメントをNEXT(Notch extra cellular truncation)と呼ぶ。NEXTはプレセニリン/γセクレターゼの基質となり膜内タンパク質分解を受けNotch-βとNICDを各々細胞外と細胞内に放出する。NICDについては機能解析が進んでおり直接核に移行してシグナル伝達分子として機能することが明らかになっている。
発明者らはNotchタンパク質のプレセニリン/γセクレターゼによる分解をより直接的、高感度且つ正確に観察するためにNEXTの変異類縁体を工夫作製した。
−F-NEXTΔCの開発−
Notchタンパク質の膜内タンパク質分解の詳細について検討するのに適したF-NEXTΔCを作成した(図2A)。図2BにFLAG-NEXT (F-NEXT)及びFLAG-NEXTΔC(F-NEXTΔC)の構成を示す。
(プラスミド)
まず、N末端にFLAG配列を付加したNEXT(C末端にさらに6回連続するc-myc配列を付加してある)、即ちFLAG-NEXT(F-NEXT)をコードするcDNAをpcDNA3(Hygro)に組み込んだ動物細胞発現プラスミドは大河内らの方法により調整した(Okochi,M., Steiner,H., Fukumori,A., Tanii,H., Tomita,T., Tanaka,T., Iwatsubo,T., Kudo,T., Takeda,M., Haass,C. Presenilins mediate a dual intramembranous gamma-secretase cleavage of Notch-1 EMBO J (2002) 21, 5408-5416.)。
F-NEXTから細胞内部分のアミノ酸配列を大幅に取り除いたF-NEXTΔC発現プラスミドは部位特的突然変異誘発キット(ExSite PCR-Based Site-Directed Mutagenesis Kit、Stratagene社)を用いてF-NEXTを鋳型として製造した。その際、下記の2つのプライマー1、2(配列番号8、9)を調製した。
プライマー1:5'-p-gag-caa-aag-ctc-att-tct-gaa-gag-gac-ttg-tag-tcc-tgc-agc-ccg-ggg-gat-cca-c-3' (55 mers)(配列番号8)
プライマー2:
5'-p-ggc-ctc-tga-cac-ttt-gaa-acc-ctc-agg-gaa-cca-gag-ctg-gcc-3' (42 mers) (配列番号9)
これらの変異体について、塩基配列を決定(シーケンス)し、突然変異誘発が成功したことを確かめた。
F-NEXTと比較するとF-NEXTΔCは膜内タンパク質分解後に細胞内に放出され核移行するNICD部分が大きく削除されている。さらにF-NEXTでカルボキシル末端に付加された人工的な6回連続するc-mycタグも1回のみに減少させてある。プレセニリン/γセクレターゼで細胞外分泌されたF-Nβは抗FLAGタグ抗体(M2アガロース)で認識し、細胞内に放出されたNICDΔCはそれを特異的に同定するように設計された6336抗血清で認識できるようにこのコンストラクトは設計されている。カルボキシル末端フラグメントがNICDからNICDΔCと短くなるように設計されているのは、(1)NICDΔCを免疫沈降、質量分析システムに適用しNICDを直接産生するプレセニリン/γセクレターゼ切断部位を正確に同定するためであるが、(2)NICDが核移行して機能を発揮することを防ぐことも考慮している。
(抗体)
細胞に発現させたF-NEXTΔCの細胞内部分は抗c-myc抗体で認識され難かったため、これを効率よく認識及び同定するためにウサギ抗血清を作成した。ポリクローナル抗体(6336)は、下記の合成ポリペプチド(配列番号10)に対する抗体である。まず、抗原となる前記ポリペプチドを準備した。さらにそのペプチドのアミノ末端のCys残基をKLHタンパク質に化学的に架橋結合させたものを抗原とした。
また、マウスNβを特異的に認識する抗血清を作成した。ポリクローナル抗体(6521)は下記のポリペプチド(配列番号11)のカルボキシル末端のCys残基をKLHタンパク質に化学的に架橋結合させたものを抗原として得られたものである。
6回連続するc-myc配列の認識には抗c-mycモノクローナル抗体(9E10)を、またFLAG配列の認識には抗FLAGモノクローナル抗体をアガロースに共有結合させた試薬であるM2-アガロースを使用した。4G8はSenetecから購入した。
配列番号10:
NH2-CEGFKVSEAEQKLISEEDL-COOH
配列番号11:
NH2-VKSEPVEPPLPSC-COOH

−膜分画の調整−
F-NEXTΔCで起こっているプレセニリン/γセクレターゼによる膜内タンパク質分解はF-NEXTで起こるそれと同一のものであるかどうか詳細に検討した。
まず、実施例2、3では細胞外に分泌されるアミノ末端フラグメント(NTF)のカルボキシル末端の切断の性質と部位の差異について検討した。
(実施例2)
F-NEXTΔC発現細胞から分泌されるF-Nβの種類と量はF-NEXT発現細胞からのそれと異ならないことを実証した(in vivo実験)。
F-NEXTΔC又はF-NEXTを安定的に発現するK293細胞を10cmディッシュ上でコンフルエントな状態にし、[35S]メチオニンで30分間のパルスそして2時間のチェース・ラベリング実験を行った(前述)。パルスラベル後のF-NEXTΔC発現細胞のライセートを6336で免疫沈降したあと10−20%トリス・トリシンSDS-PAGEにて分離しオートラジオグラフィー法で検出した(図4A)。
同様にF-NEXT発現細胞のライセートは9E10抗体で処理したあと8%トリス・グリシンSDS-PAGEにて分離した。F-NEXTΔC及びF-NEXTタンパク質のバンドから放出されるβ線量を測定しタンパク質発現量を測定した。図4Aに示したとおりほぼ同じ量のF-NEXTΔC及びF-NEXTタンパク質がそれぞれの細胞で産生されていることが明らかになった(図4A上)。同時に、パルス後2時間チェイスを行った細胞上清についてアイソトープ標識されたF-Nβの分泌を同定しその量を測定した(図4A下)。F-NEXTΔC及びF-NEXTタンパク質発現量に比したF-Nβの分泌量を測定しプロットしたところF-NEXTΔC及びF-NEXT発現細胞からのF-Nβ分泌効率には違いがなかった(図4B)。
さらに我々の観察しているタンパク質分解がプレセニリン依存的タンパク質分解であるかどうか、プレセニリンのドミナント・ネガティブ変異として知られているPS1 D385Nを用いて検討した。PS1 D385N発現細胞にさらにF-NEXTΔC又はF-NEXTを発現させて同様の実験を行ったところ、パルスラベル後の細胞ライセート中にアイソトープ標識されたF-NEXTΔC又はF-NEXTが存在するにもかかわらず(図4C上)、チェイス後の上清にF-Nβの分泌は認められなかった(図4C下)。このことはD385N突然変異により、F-NEXTΔC及びF-NEXTの膜内タンパク質分解が阻害されたことを示唆している。
さらに、γセクレターゼによるβAPPの膜内タンパク質分解とその結果生じるAβの細胞外分泌を特異的に阻害するL685,458をF-NEXTΔC及びF-NEXT発現細胞に添加し、F-Nβの分泌が阻害されるかどうか検討した(図4D)。
F-NEXTΔC及びF-NEXT発現細胞からのF-Nβの分泌は1μMのL685,458でほぼ完全に阻害された(図4D下)。この結果は、AβとF-Nβ産生が共通するメカニズム(γセクレターゼ)を介して起こっている可能性を示唆している。
ここまでの結果を総合すると(1)F-NEXTΔCとF-NEXTから分泌されるF-Nβ量から見てF-NEXTΔCとF-NEXTの膜内タンパク質分解効率に違いはない、(2)この膜内タンパク質分解はβAPPからAβを産生させるプレセニリン/γセクレターゼ活性による、ことが分子レベルで明らかになった。
一般的なタンパク質分解酵素の場合基質切断部位が厳密に定められているが、プレセニリン/γセクレターゼ活性による膜内タンパク質分解の特徴として、主要な切断部位とその周辺にマイナーな切断部位を持つことが知られている。実際、家族性アルツハイマー病患者が持つ病原性突然変異はこの「主要な切断部位とその周辺にマイナーな切断部位での切断の正確さに影響を及ぼす」ことが直接の病気を引き起こす原因となっていると考えられている。
発明者らは、次にF-Nβを産生するS4切断の正確さがF-NEXTΔCとF-NEXTの間で変化していないか検討した。S4切断の正確さはF-Nβのカルボキシル末端に反映されているはずである。F-NEXTΔC又はF-NEXTから生成されるいくつかの種類の混合物であるF-Nβの組成が同じかどうか検討した。F-NEXTΔC及びF-NEXT発現細胞を20cmディッシュでコンフルエントな状態にし、培養上清を交換し3時間培養後採取した。M2アガロースで免疫沈降した後MALDI-TOF型質量分析器でF-Nβ混合物の分子量スペクトラムを描いた(図5A−1及びA−2)。F-NEXTΔC及びF-NEXT発現細胞から分泌されるF-Nβの質量分析スペクトラムのパターン、各分子種の分子量は完全に一致した(図5A−1、A−2及びB)。
これらの結果からF-NEXTΔCで起こっている切断はF-NEXTで起こる膜内切断と同一であり、F-NEXTのカルボキシル末端側(NICD部分)のアミノ酸配列を大部分削除したことは、プレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解に何の影響も与えていないことが示唆された(図5C)。
Notch-1のプレセニリン/γセクレターゼによる膜内タンパク質分解部位であるS4は主要な切断部位とその周辺の幾つかのマイナーな切断部位から成り立っている(図5C)。そこで、このNotch-1のS4切断の正確さがNotch-1を著しく改変したF-NEXTΔCの場合変化していないかを次に検討した(図6A)。
(実施例3)
F-NEXTΔC発現細胞のS4切断のパターンはNotch-1のそれと極めて類似する(in vivo実験)。
Notch-1のS2切断とそれに引き続く膜内タンパク質分解(S3/S4)には、Notchリガンドの結合が必須である。このためマウスNotch-1の人工変異体であるmN1-LNG CC>SS cDNA(Mumm JS, Schroeter EH, Saxena MT, Griesemer A, Tian X, Pan DJ, Ray WJ, Kopan R. A ligand-induced extracellular cleavage regulates gamma-secretase-like proteolytic activation of Notch1. Mol Cell. (2000) 5:197-206.)をRafael Kopan博士から供与をうけた。mN1-LNG CC>SS変異体はリガンド結合の刺激なしにS2、S3で段階的タンパク質分解を受け、NICDを細胞外に放出されることが報告されている。発明者らこのcDNAをpcDNA3.1 (hygro) (Invitrogen社)に組み込んだ。そしてそのmN1-LNG CC>SS変異体発現プラスミドををK293細胞に安定的に感染させた。
タグのついていない野生型のNotch-1配列を持つmN1-LNG CC>SSの段階的タンパク質分解過程でのS4切断部位のパターンと直接S4切断の基質となるF-NEXTΔCのS4切断のパターンが異ならないかどうか検討した。即ち、mN1-LNG CC>SS変異体から生成される、いくつかの種類の混合物であるNβの組成がF-NEXTΔCから生成されるF-Nβの組成と同じかどうか検討した。
mN1-LNG CC>SS発現細胞を20cmディッシュでコンフルエントな状態にし、培養上清にフォルボールエステルであるPMAを100ng/mlの濃度で添加し2時間培養した。続いて培養上清を交換し6時間培養後採取した。6521で免疫沈降した後MALDI-TOF型質量分析器でNβ混合物の分子量スペクトラムを描いた(図6B)。
mN1-LNG CC>SS発現細胞から分泌される野生型Nβの質量分析スペクトラムのパターンはF-NEXTΔC発現細胞から分泌されるF-Nβのそれと極めて類似していた(図6B、C、図5A−1、A−2及びB)。
以上のように細胞外部分を人工的に改変したF-NEXTΔCのS4切断は野生型マウスNotch-1のS4切断と違いがないことが多面的に明らかとなった。
(実施例4)
βAPPタンパク質のγ40及びγ49膜内タンパク質分解部位の正確さの変化が家族性アルツハイマー病発症の原因となっていることが知られている。同じプレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解であるNotch-1タンパク質のS3及びS4切断の効率や正確さの変化を高感度に測定するために、F-NEXTΔC発現K293細胞の膜分画を用いた<Notch-1のプレセニリン/γセクレターゼによる膜内タンパク質分解を再現するセル・フリー・アッセイ系>を作成した。
−Notch-1のS3/S4切断を正確に再現するセル・フリー・アッセイ系の作成−
βAPPタンパク質のγセクレターゼによるタンパク質分解後細胞内に放出されるCTFをAICDと呼ぶ。NTFのAβが比較的簡単に培養上清中に認識できるのに比較して、細胞ライセート中にAICDを同定することは難しい。これはAβに比較してAICDのタンパク質分解の速度がきわめて速いためである。このため、βAPPタンパク質のプレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解でAICDを直接生成するタンパク質分解を同定するためにセル・フリー・γセクレターゼ・アッセイが開発された(Pinnix I, Musunuru U, Tun H, Sridharan A, Golde T, Eckman C, Ziani-Cherif C, Onstead L, Sambamurti K. A novel gamma-secretase assay based on detection of the putative C-terminal fragment-gamma of amyloid beta protein precursor. J Biol Chem. (2001) 276:481-7. McLendon C, Xin T, Ziani-Cherif C, Murphy MP, Findlay KA, Lewis PA, Pinnix I, Sambamurti K, Wang R, Fauq A, Golde TE. Cell-free assays for gamma-secretase activity. FASEB J. (2000) 14:2383-6.)。そしてAICDのアミノ末端を同定した結果、γ49膜内タンパク質分解部位が報告された。
発明者らF-NEXTΔC発現細胞のライセート中にF-NEXTΔCの発現、同時に培養上清中にF-Nβの細胞外放出も確認した。続いて、NICDΔCを細胞ライセート中に認識しようと試みたが、6336はF-NEXTΔCの発現を認識したにもかかわらずNICDΔCは全く認められなかった(結果は図示せず)。
いくつかの方法を試行錯誤した後、発明者らF-NEXTΔC発現細胞の膜分画を抽出し、よく洗浄した後<セル・フリー・Notch切断・アッセイ(セル・フリー・Notch切断分析)>を試みアッセイ系を確立した(方法は図3A及びB、結果は図7A、B−1、B−2及びC)。
(細胞のホモジナイズと膜分画の調整)
F-NEXTΔC発現細胞を20cmディッシュ、15枚中でコンフルエントな状態になるまで培養した。以下の過程は厳密に4℃下で行った。氷冷したPBSで2回洗浄し細胞培養上清の混入を排除した後、細胞をセル・スクレーパーでかき集めた後、1,500×gの遠心分離によってPBSと分離し、回収した。
ホモジナイズ・バッファー(0.25M シュークロース、10mM HEPES(pH7.4)、使用説明書において推奨されている濃度の1倍のロッシュ社製プロテアーゼ阻害薬混合物(protease inhibitor mix)を加えテフロン(R)・ホモジナイザーで20ストローク上下させることで細胞をすりつぶした。核分画と細胞の破砕された滓を取り除くために細胞ホモジネートを1000×gで5分間遠心し、その上清(PNS)を回収した。続いて、PNSを100,000×gで30分間遠心し沈査分画を採取した。
この沈査を反応バッファー(150mMクエン酸緩衝液(pH6.4)、使用説明書において推奨されている濃度の4倍のロッシュ社製プロテアーゼ阻害薬混合物、5mM 1,10-Phenanthroline(Sigma))で再懸濁し再び100,000×gで30分間遠心し洗浄した。この洗浄の過程を3回繰り返したあとの沈査分画を粗精製膜分画(CMF)とした(図3A)。
(セル・フリー・γセクレターゼ・アッセイ)
F-NEXTΔC発現K293細胞の粗精製膜分画(CMF:図3A)を反応バッファー(150mMクエン酸緩衝液(pH6.4)、使用説明書において推奨されている濃度の4倍のロッシュ社製プロテアーゼ阻害薬混合物、5mM 1,10-Phenanthroline(Sigma))中で再懸濁した。その懸濁液を37℃で培養することをセル・フリー切断反応工程とした。ここでは、37℃で40分間培養した(図3B)。反応物を100,000×gで15分間遠心分離した上清であるS1-40min分画(図3B)を6336で免疫沈降したところNICDΔCが認識された。このNICDΔCの分子量をMALDI-TOF型質量分析装置で解析した(図7B−1)。その結果、NICDΔCのアミノ末端が報告どおりS3に由来することが明らかになった(図7B−2)。このS3切断部位の多様性についてはこれが始めての報告である。
S1-40min分画を採取後の沈査分画を短時間超音波破砕し、さらに100,000×gで15分間遠心分離した上清分画をS2-40min分画として採取した(図3B)。このS2-40min分画をM2アガロースで免疫沈降しMALDI-TOF型質量分析装置で解析した(図7A)。その結果、培養上清を用いて同様の解析した場合とほぼ同じF-Nβの質量分析スペクトラムが得られた(図7Aと図5A−1及びA−2の比較)。したがって、細胞が生存中にプレセニリン/γセクレターゼによる切断を受け放出されたF-Nβとセル・フリー・Notch切断分析で放出されたF-Nβは幾つかのF-Nβ分子種のほぼ同じ組成の混合物であることが分かった。
図7Cにセル・フリー・Notch切断分析で同定されるS3及びS4切断部位の多様性について図示した。
上記の結果は今までの生きた細胞を使用した研究結果に反しなかった。また、セル・フリー・Notch切断分析ではS3及びS4切断部位の特徴である多様性の変化を同定できる。これを利用して薬剤に対する「S3又はS4切断の多様性の変化」を正確に検討できることがこのアッセイ系の特徴である。たとえばアルツハイマー病治療薬の可能性が注目されているイブプロフェンなどの一部のNSAIDはβAPPのプレセニリン/γセクレターゼによる切断の正確さに影響を及ぼす。これらの薬剤によるNotchタンパク質の切断に対する影響が詳細に検討できる。
また、同じくアルツハイマー病治療薬として開発が進んでいるγセクレターゼ阻害薬はフェーズ2治験も行われたが副作用の報告により現在頓挫している。この副作用の原因は、プレセニリン/γセクレターゼ・メカニズムがNotchタンパク質をはじめとする十数種のタンパク質の膜内タンパク質分解に関わっており、その阻害薬がそれらをおしなべて阻害するために出現すると考えられている。なかでもNotchタンパク質の作用は生体にとって極めて重要なものである。Aβ産生を阻害するプレセニリン/γセクレターゼ阻害薬のスクリーニングにはβAPPやその変異体を強制発現させた細胞の上清中のAβ量を測定する系が使用されてきた。
本発明の、セル・フリー・Notch切断・アッセイの一態様である、多基質膜内同時アッセイ系を利用することにより、γセクレターゼ阻害薬の性質として「βAPPのγ40切断やNotchのS4切断といった膜中央部分の切断とβAPPのγ49切断やNotchのS3切断といった膜の細胞内に近い部分での切断への効果が異なること」が解明された(図9A、B及び図10)。 したがってγセクレターゼ阻害薬スクリーニングの過程でNotchシグナル伝達阻害による副作用を未然に予測し、副作用のおこらない薬剤やその濃度について始めて言及できる(図10)と考えられる。さらに最近NSAID効果を持つコンパウンドの一部がγセクレターゼ調節作用を持ち、βAPPのγ40切断の正確さに影響を及ぼすことが知られてきた。これらのコンパウンドの他の3切断の効率については検討されているが、それぞれの正確さに対する効果については検討されていない。 われわれは最近S3切断の正確さの変化が結果的に産生されるNICDの安定性に影響を及ぼすことを明らかにした(詳細提示せず)。したがって、γセクレターゼ阻害薬又は修飾薬のシグナル伝達阻害作用による副作用を防ぐために、これから開発される第二世代γセクレターゼ阻害薬又は修飾薬開発に際してはAβを産生するγ40以外の他の切断の正確さについても検討されなければならない。その際に本特許の施行が不可欠であると考えられる。
(実施例5)
次に、セル・フリー・Notch切断分析をβAPPのセル・フリー・アッセイ系と結合させた。この結果、プレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解により生じたAβ、AICD、Nβ、NICDの4フラグメント産生の効率を同時に測定できる系を作成した。これにより、全く新しい種類のγセクレターゼ阻害薬をスクリーニングすることができる。なぜなら、プレセニリン/γセクレターゼによる4つの異なるほぼ同時に起こるタンパク質分解に対する薬剤の効果を別々に検討することで4つの切断に対する効果のプロファイルの異なる薬剤が選別できる(第二世代γセクレターゼ阻害薬)からである。
−βAPPタンパク質のγ40/γ49切断とNotch-1のS3/S4切断を再現するセル・フリー・アッセイ系の作成−
F-NEXTΔC及びスウェーデン型突然変異体βAPP(swβAPP)を恒常的に共発現するヒト胎児腎臓293細胞(K293細胞)は、Lipofectamine 2000 (Invitrogen社)を用いてスウェーデン型突然変異体βAPPを導入し、G418でセレクションをかけ、その後βAPPを発現している細胞に、F-NEXTΔCを導入して作成した。そして、最初にこの細胞のライセート中にF-NEXTΔC及びswβAPPの発現があること、同時に培養上清中にF-Nβ及びAβの放出が起こっていることを確認した(図5A〜C)。また、このF-Nβ及びAβの分子種の組成について検討しそれが今までの報告と矛盾しないことを確認した(結果は提示せず)。
そのF-NEXTΔC及びswβAPP共発現細胞の膜分画を用いて<βAPP及びNotch-1を組み合わせた多基質セル・フリー・アッセイ系>確立を試み、Aβ、AICD、Nβ、NICDの4フラグメント産生系を確立した。本実施例では、可逆的γセクレターゼ阻害薬であることが知られているL685,458又はDAPTを被検物質として用いた。
100nMのL685,458又は100nMのDAPTで、膜分画抽出前に2時間前処理したF-NEXTΔC及びswβAPP共発現K293細胞の粗精製膜分画を用いた。この粗精製膜分画からS1-40min分画を採取した。S1-40min分画を採取後の沈査分画を再び反応バッファー中に懸濁した後短時間超音波破砕した。続いて、100,000×gで15分間遠心分離した上清分画をS2-40min分画として採取した。
各フラグメントに対する特異的抗体(Aβは4G8、AICDは6618、F-NβはM2アガロース、NICDΔCは6336を使用した。)で免疫沈降しMALDI-TOF型質量分析装置で解析した(図8)。S1-40min分画中にはde novo NICDΔC及びAICDが同定された。S2-40min分画中にはF-Nβ及びAβが同定された(図8)。図8ではその質量分析パターンを示した。βAPP及びNotch-1を組み合わせた多基質セル・フリー・アッセイ系へ変更を加えても、プレセニリン/γセクレターゼによるタンパク質分解部位の多様性は保存されていた。
S2-40min分画中のF-Nβについて検討した結果、培養上清を用いて同様の解析した場合とほぼ同じ質量分析スペクトラムが得られた(図8と図5A−2の比較)。
なお、βAPPのプレセニリン/γセクレターゼによる膜内タンパク質分解後のC末端フラグメントであるAICDを効率よく認識するための前記ポリクローナル抗体(6618)は、下記の合成ポリペプチド(配列番号12)に対する抗体であり、以下のように作成した。まず、抗原となる前記ポリペプチドを準備した。さらにそのペプチドのアミノ末端のCys残基をKLHタンパク質に化学的に架橋結合させたものを抗原とした。
配列番号12:
NH2-CKMQQNGYENPTYKFFEQMQN-COOH
(実施例6)
βAPP及びNotch-1を組み合わせた多基質セル・フリー・アッセイ系を用いた市販γセクレターゼ阻害剤(L685,458及びDAPT)のNotch-1切断への影響
F-NEXTΔC及びβAPPsw共発現細胞をコンフルエントな状態にした後、3時間各濃度のγセクレターゼ阻害剤で処理した。γセクレターゼ阻害剤としてプレセニリン/γセクレターゼの活性中心に結合するtransition-state類縁体のL685,458及びtransition-state類縁体でないDAPTを用いた。処理後の細胞を氷冷PBSで2回洗浄し回収した。この細胞ライセートをホモジナイズしCMFを抽出した。続いてこの膜分画をアルカリ洗浄バッファー中に懸濁し30分間4度で静置した。その後、反応バッファー中で3回再懸濁・遠心を繰り返してアルカリ洗浄バッファーを洗い流した。ここまでの過程でCMFに含まれていた殆どのγセクレターゼ阻害剤は洗い流されていると考えられる。最後にもう一度反応バッファーに懸濁後、セル・フリー反応を実施した。S1-40minフラクション中のAICD/NICDΔC及びS2-40minフラクション中のAβ/Nβ量をMALDI-TOF MSピークの相対的高さから半定量し−、+、++、+++の4段階で評価した。
まずL685,458で前処理した場合のF-Nβ、Aβ、NICDΔC、AICD産生への影響について述べる。1μMの高濃度で前処理し、さらにホモジネート・バッファーや反応バッファーを含む全てのバッファーに1μMのL685,458を加えると4つのフラグメントはいずれも認められなかった。これは我々のアッセイ系でL685,458は報告どおり作用していることを示唆している。
しかしながら、1μMの高濃度で前処理しても、よく洗浄した場合γ切断のCTFであるAICD/NICDのde novo 産生が認識された。即ちS3/γ49切断が起こっていることが明らかになった。これはL685,458が報告どおり可逆的阻害剤であり、プレセニリン/γセクレターゼへの結合が洗浄により解離したことを示唆している。面白いことに、この時、同時にγ切断のNTFであるAβ/Nβは認められなかった。この事実はγ切断を構成する2つの切断のうちS4/γ40の方がS3/γ49よりもL685,458に対する感受性が高い可能性を示唆している。また、プレセニリン/γセクレターゼ阻害剤を用いてS4/γ40活性が低下してもS3/γ49活性は必ずしも阻害されない場合があることを示しているとも考えられる。
さらに、前処理に用いたL685.458濃度を100nM、10nMと減少させて同様に実験した。表のように阻害薬濃度の減少に伴い、NICDΔC/AICDに比較して1μM L685,458で阻害効果の強かったF-Nβ/Aβのde novo産生が回復していくことが明らかになった。L685,458 10nMの前処理で4フラグメントのピークの高さが平均して最大であった。
続いて、阻害薬の作用発現メカニズムがこの4フラグメントに対する阻害プロファイルに影響を及ぼすかどうか検討した。表のように同様の実験をDAPTを阻害剤として用いて行った。図9A及び9Bに示したようにL685,458及びDAPTの4つの切断に与える効果は極めて類似していた。したがって、L685,458が示した4つの切断に対する効果はtransition-state類縁体に特異的な阻害効果ではないことが明らかになった。
重要なことに、Aβ及びNβ産生に与える阻害剤の効果がAICD及びNICD産生に与える効果と異なる場合、その違いはβAPPとF-NEXTΔCの基質間で保存されていた。たとえば、阻害剤の前処理によりAICD産生に比較してF-Nβ産生阻害が強いとき、F-NEXTΔCでもNICDΔC産生に比較してF-Nβ産生の阻害が強かった。このことから阻害薬の作用発現メカニズムがβAPPとNotch-1の間で共通している可能性が示唆された。この結果を模式的に表したものが図10である。Aβ及びNβ産生に与える阻害剤の効果が1の曲線の傾向を示し、AICD及びNICD産生に与える阻害剤の効果が2の曲線の傾向を示す。
そしてそれを用いて今までにAβ産生でスクリーニングされた市販薬剤であるL685,458やDAPTがγ40とそれに対応するS4切断に感受性高く作用するが、γ49やS3切断にはそれほど感受性が高くないことを明らかにした。このアッセイ系を用いることにより、アルツハイマー病治療薬として開発されたγセクレターゼ阻害薬のNotchの切断阻害作用による副作用発現の可能性について始めて未然に言及できるようになる。このアッセイ系は現在開発中の第二世代γセクレターゼ阻害薬のスクリーニングに利用できると考えられる。
(実施例7)
NotchのS3切断部位の変異体であるV1744Gを持った遺伝子改変マウスはNotch表現型を呈し胎児性致死である(Huppert SS, Le A, Schroeter EH, Mumm JS, Saxena MT, Milner LA, Kopan R Embryonic lethality in mice homozygous for a processing-deficient allele of Notch1.Nature. 2000 Jun 22;405(6789):966-70.)。本実施例では、このS3部位の変異がS3およびS4切断にどのように関与するか検討した。
S3の変異をF-NEXTに導入したF-NEXT
V1744GおよびF-NEXT V1744Lを作成した(図11A)。30分パルスで蛋白発現を確認した後2時間チェイスしそのF-NEXT誘導体の分解について検討した(図11B)。
まずS3切断効率について検討した。図11Bの上欄によれば、野生型プレセニリンの背景でF-NEXT V1744GおよびF-NEXT V1744Lは、F-NEXTと同じように2時間チェイスの間に分解しその量が減少したことが分かる。ところが図11Bの上欄によれば、F-NEXT V1744GおよびF-NEXT V1744Lから産生されるNICD量はF-NEXTから産生されるそれよりもずっと少なかった。また、プレセニリン機能が阻害されたPS1 D385N発現細胞の背景で動揺の実験を行った。この場合、図11Bの下欄によれば、NICD産生のみならずF-NEXTとその誘導体の減少も2時間のチェイス時間後には認められなかった。このチェイス時間でのF-NEXTとその誘導体の減少はプレセニリンによる膜内蛋白分解の結果である。
次にS4切断効率について検討した。図11Cに示したように2時間チェイス後の上清中に認められるアイソトープ標識されたF-NβはF-NEXTとその誘導体であるF-NEXT V1744GおよびF-NEXT V1744L変異体で変化がなかった(図11C)。したがって、S4切断効率はS3切断部位変異の影響を受けない。以上をまとめるとS3変異によりS3およびS4切断効率は変化しないがNICDの細胞内量が減少している可能性が示唆された。
S3変異体の膜内蛋白分解の結果NICD量が減少した理由を検証するため、次のような実験を行った。プレセニリンによるF-NEXTおよびそのS3変異体であるV1744Gの切断部位を決定するためにF-NEXTΔCおよびF-NEXTΔC
V1744Gを作成し、粗膜分画のセル・フリー反応後IP-MS法でNICDΔCフラグメントの分子量を測定しS3切断部位を特定した(図12A−1及びA−2)。その結果V1744G変異体が導入されるとS3切断部位は通常のG1743とV1744の間ではなく、G1744とL1745の間になることが明らかになった(図12A−1、A−2及びB)。この結果F-NEXTΔCの場合に比較してF-NEXTΔC V1744Gでは産生されるNICDΔCのアミノ末端のアミノ酸が1残基ずれる。さらにF-NEXTおよびF-NEXT
V1744G細胞から抽出精製したNICDを細胞内液と混合しNICDフラグメントの安定性について検討したところF-NEXT V1744G細胞のNICDはF-NEXTのNICDよりもずっと不安定であった。
以上のことから、次のことが分かった。NotchのS3切断部位の変異体であるV1744Gはその変異を持つマウスでNotchシグナル伝達に障害を来たす。この原因について詳細に検討したところ、この変異の結果S3やS4切断部位での切断効率は減少しないにもかかわらず細胞内のNICD量が減少した。これはS3切断部位がこの変異によりずれた結果NICDのアミノ末端のアミノ酸が変化しNICD自体の安定性が低下したことが原因であると考えられる。この結果はS3切断の正確さの変化がシグナル伝達量を減少させたことを示唆したものである。
(実施例8)
コンパウンドの質量分析
被検物質として、NSAIDの誘導体を用い、Aβ42産生抑制効果とAβ38産生増強効果をセル・フリー・アッセイにより観察した。NotchとβAPPの共発現系においてセル・フリー反応工程後、IP-MS法により検出して観察した。被検物質は、細胞の祖膜分画を採取する前に24時間処理し、実験終了時まで、すべての培養液とバッファー中に被検物質を加えた。その結果、Aβ42の減少を伴うAβ38産生の増加が認められた(図13)。また、AICDのアミノ末端にはこの薬剤の効果は認められなかった(図13)。さらに、Notchについもこの効果は認められなかった(図13)。
本発明は、アルツハイマー病の治療等に有効なγセクレターゼ阻害薬の薬剤スクリーニング、及びそれに用いる組成物の製造等に利用できる。

Claims (12)

  1. Notchタンパク質変異体を発現させた細胞の粗膜分画と被検物質とを接触させるセル・フリー切断反応工程と、
    前記セル・フリー切断反応工程におけるNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程とを有し、
    被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するセル・フリー・Notch切断分析方法であって、
    前記Notchタンパク質変異体が、Notchタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、少なくとも推定膜貫通ドメインよりもアミノ末端側のアミノ酸配列の一部を欠失し、かつ推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有することを特徴とするセル・フリー・Notch切断分析方法。
  2. 前記検出工程が、被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解の量に与える影響を分析する請求の範囲第1項に記載のセル・フリー・Notch切断分析方法。
  3. 前記検出工程が、質量分析法を用いて前記アミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する工程であり、被検物質がNotchタンパク質変異体の膜内蛋白分解部位の正確さに与える影響を分析する請求の範囲第1項に記載のセル・フリー・Notch切断分析方法。
  4. セル・フリー切断反応工程における粗膜分画が、Notchタンパク質変異体とβAPPタンパク質変異体とを共発現させた細胞の粗膜分画であり、検出工程において、前記セル・フリー切断反応工程におけるβAPPタンパク質変異体の膜内蛋白分解により生じたアミノ末端側の断片とカルボキシル末端側の断片とを検出する検出工程をさらに有し、被検物質がNotchタンパク質変異体のおよびβAPPタンパク質変異体の膜内蛋白分解に与える影響を分析するセル・フリー・Notch切断分析方法であって、
    前記βAPPタンパク質変異体が、βAPPタンパク質の少なくとも推定膜貫通ドメインを有し、推定膜貫通ドメインよりアミノ末端側およびカルボキシル末端側のそれぞれに抗体認識部位を有する請求の範囲第1項から第3項のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法。
  5. Notchタンパク質変異体が、(1)及び(2)のいずれかである請求の範囲第1項から第4項のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法。
    (1)配列番号1で表されるポリペプチド(FLAG-NEXT)
    配列番号1:
    MPRLLTPLLCLTLLPARAARGLRDYKDDDDKMVMKSEPVEPPLPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKRRRQHGQLWFPEGFKVSEASKKKRREPLGEDSVGLKPLKNASDGALMDDNQNEWGDEDLETKKFRFEEPVVLPDLSDQTDHRQWTQQHLDAADLRMSAMAPTPPQGEVDADCMDVNVRGPDGFTPLMIASCSGGGLETGNSEEEEDAPAVISDFIYQGASLHNQTDRTGETALHLAARYSRSDRRKRLEASADANIQDNMGRTPLHAAVSADAQGVFQILLRNRATDLDARMHDGTTPLILAARLAVEGMLEDLINSHADVNAVDDLGKSALHWAAAVNNVDAAVVLLKNGANKDIENNKEETSLFLSIRRESYETAKVLLDHFANRDITDHMDRLPRDIAQERMHHDIVRLLDEYNLVRSPQLHGTALGGTPTLSPTLCSPNGYPGNLKSATQGKKARKPSTKGLACGSKEAKDLKARRKSSQDGKGWLLDSSEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDLEQKLISEEDL
    (2)γ-セクレターゼによる膜内蛋白分解の部位及び膜内分解の量の傾向が配列番号1で表されるポリペプチド(FLAG-NEXT)と実質的に同じであるポリペプチド
  6. Notchタンパク質変異体が前記(2)のポリペプチドであり、前記(2)に記載のポリペプチドが、セル・フリー切断反応工程により切断されたときに、質量分析可能なNotchタンパク質変異体である請求の範囲第5項に記載のセル・フリー・Notch切断分析方法。
  7. Notchタンパク質変異体が、配列番号1で表されるポリペプチド(FLAG-NEXT)において推定膜貫通ドメインよりもカルボキシル末端側のアミノ酸配列の一部を欠失させたポリペプチドである請求の範囲第5項及び第6項のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のセル・フリー・Notch切断分析方法により検出される、被検物質によるNotch切断量の増減及びNotch切断部位の正確さの変化の少なくともいずれかを指標として、薬剤の有効成分を選択することを特徴とする薬剤スクリーニング方法。
  9. 配列番号2で表されるポリペプチド(FLAG-NEXTΔC)、及び、
    前記FLAG-NEXTΔCのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、γ-セクレターゼによる切断位置及び切断量の傾向がFLAG-NEXTΔCと実質的に同じであるポリペプチドのいずれかからなることを特徴とする組換えタンパク質。
    配列番号2:
    MPRLLTPLLCLTLLPARAARGLRDYKDDDDKMVMKSEPVEPPLPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKRRRQHGQLWFPEGFKVSEAEQKLISEEDL
  10. 請求項9に記載の組換えタンパク質をコードすることを特徴とする発現用遺伝子。
  11. 請求項9に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有することを特徴とする組換えベクター。
  12. 請求項9に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを含むことを特徴とする形質転換体。

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