JPWO2005014927A1 - プレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロール - Google Patents

プレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロール Download PDF

Info

Publication number
JPWO2005014927A1
JPWO2005014927A1 JP2005512934A JP2005512934A JPWO2005014927A1 JP WO2005014927 A1 JPWO2005014927 A1 JP WO2005014927A1 JP 2005512934 A JP2005512934 A JP 2005512934A JP 2005512934 A JP2005512934 A JP 2005512934A JP WO2005014927 A1 JPWO2005014927 A1 JP WO2005014927A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
press belt
press
nco
belt
central region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005512934A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3926375B2 (ja
Inventor
疋田 孝寿
孝寿 疋田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamauchi Corp
Original Assignee
Yamauchi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamauchi Corp filed Critical Yamauchi Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP3926375B2 publication Critical patent/JP3926375B2/ja
Publication of JPWO2005014927A1 publication Critical patent/JPWO2005014927A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21FPAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
    • D21F3/00Press section of machines for making continuous webs of paper
    • D21F3/02Wet presses
    • D21F3/0209Wet presses with extended press nip
    • D21F3/0218Shoe presses
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21FPAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
    • D21F3/00Press section of machines for making continuous webs of paper
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21FPAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
    • D21F3/00Press section of machines for making continuous webs of paper
    • D21F3/02Wet presses
    • D21F3/0209Wet presses with extended press nip
    • D21F3/0218Shoe presses
    • D21F3/0227Belts or sleeves therefor
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21FPAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
    • D21F3/00Press section of machines for making continuous webs of paper
    • D21F3/02Wet presses
    • D21F3/0209Wet presses with extended press nip
    • D21F3/0218Shoe presses
    • D21F3/0227Belts or sleeves therefor
    • D21F3/0236Belts or sleeves therefor manufacturing methods
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S162/00Paper making and fiber liberation
    • Y10S162/901Impermeable belts for extended nip press

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Paper (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

耐クラック性、耐摩耗性、耐加圧変形性に優れ、かつ走行性が良好なプレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロールを提供する。回転走行するエンドレス形状のプレスベルト(2)と加圧手段(1、3)とを備えたプレス装置におけるプレスベルトであって、該プレスベルトが加圧手段の幅方向における両端部に対応する両端部対応域(B、B’)と、該両端部対応域の間に位置する中央域(A)とを含み、末端にイソシアネート基(NCO)を有するフェニレンイソシアネート誘導体と、末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを含む原料から得られた熱硬化性ポリウレタンを主成分とし、かつ活性水素基とイソシアネート基との当量比(H/NCO)が、両端部対応域で相対的に高く、中央域で相対的に低くされたプレスベルトおよびその製造方法。

Description

この発明は、製紙工業、磁気記録媒体製造工業、繊維工業等の各種工業において、プレス対象物を加圧処理するために用いられるプレスベルトおよびその製造方法、特にシュープレス用のプレスベルトおよびその製造方法、さらには該プレスベルトを外筒に用いたシュープレスロールに関する。
各種工業において、プレスベルト上に帯状のプレス対象物を載せ、プレスベルトの周内部に位置する一方の加圧部材とプレスベルトの周外部に位置する他方の加圧部材との間でプレス対象物を加圧処理するベルトプレスが一般的に行なわれている。ここでいう加圧部材とは、プレスロールや加圧シューなどである。ベルトプレスの例として、製紙工業における脱水プレスとしてのシュープレスが挙げられる。
シュープレスとは、製紙工程を例に簡単に説明すると、プレスベルトの周外部に位置する外部加圧手段としてのプレスロールと、プレスベルトの周内部に位置する内部加圧手段としての加圧シューとの間で、プレスベルトの外周面上に載せたプレス対象物(湿紙)にプレスベルトを介して面圧力をかけ、加圧処理(脱水処理)する方法である。2本のロールでプレスを行なうロールプレスはプレス対象物に線圧力を加えるのに対し、シュープレスでは走行方向に所定の幅を持つ加圧シューを用いることにより、プレス対象物に面圧力を加えることができる。このため、シュープレスによって脱水プレスを行なった場合ニップ幅を大きくすることができ、脱水効率を高めることができるという利点がある。
シュープレスをコンパクトにするため、たとえば特許文献1に典型的に開示されるように、内部加圧手段としての加圧シューを、可撓性のある筒状のプレスベルト(プレスジャケット)で覆い、ロール状に組み立てたシュープレスロールが普及している。
上記のような脱水工程の他にも、たとえば製紙工業、磁気記録媒体製造工業、繊維工業等においてプレス対象物の表面を平滑化し、光沢を付与するために行なわれるカレンダー工程等、プレス対象物の品質を向上させるために、ロールプレスに代えて、あるいはロールプレスと併用して、シュープレスが行なわれる場合がある。プレスベルトに対する一般的な要求特性としては、強度、耐摩耗性、可撓性および水、油、ガス等に対する非透過性が挙げられる。プレスベルトには、これらの諸特性を備えた材料として、ウレタンプレポリマーと硬化剤とを反応させて得られるポリウレタンが一般的に使用されている。しかし、プレスベルト、特にシュープレス用ベルトには、過酷な屈曲や加圧が繰り返されるため、外周面にクラックの発生しやすいことが耐久性の点で大きな問題となっている。
上記の問題を解決する方法として、特許文献2には、ベルトを構成する樹脂の硬度を、幅方向の中央域で高く、シューエッジ対応部位を含む両縁域で低くなるように変化させることによって、耐摩耗性と耐クラック性を改善したシュープレス用ベルトが開示されている。この場合、中央域では耐摩耗性や耐加圧変形性を維持し、両縁域ではクラックを起こりにくくできるという効果があると考えられる。
クラックは、プレスロールや加圧シューなどの加圧手段の幅方向両端部に対応する両端部対応域で集中して発生しやすい。両端部対応域の間に位置しプレス対象物の加圧処理面となる中央域ではさほど厳密な耐クラック性は要求されず、むしろ耐摩耗性や耐加圧変形性を重視すべきであると考えられる。
特許文献2はこのような思想に基づいてなされたものであるが、硬度の変化によって耐摩耗性と耐クラック性を両立させるためには、中央域と両縁部との硬度の変化をある程度大きくする必要がある。ポリウレタンの硬度が異なると、成形時の収縮力が異なる。このため、幅方向の中央域と両縁域での硬度の変化を大きくしたベルトは、円筒度が悪くなり、走行性に支障を来たす恐れがある。
一方、特許文献3には、プレスベルトの外周面を構成するポリウレタンの組成を、硬化剤の活性水素基(H)とウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が1<H/NCO<1.15となるように調製することにより、クラックを防ぐ方法が開示されている。
この方法によれば、プレスベルト全体のクラックを抑制することができる。しかしながら、1<H/NCO<1.15とした場合、プレスベルト全体の耐摩耗性が低下するという問題がある。特に抄紙機の脱水プレスに用いられるシュープレス用ベルトの場合、湿紙が通過する抄幅範囲で、ベルトの外周面には搾水用の凹部すなわち溝や盲孔が形成されており、プレスベルトに摩耗や加圧変形が生じると、凹部の容量が小さくなって搾水性能が低下する。
特開昭61−179359号公報 特開平10−298893号公報 特開2002−146694号公報
本発明は上記の課題を解決し、プレスロールや加圧シューなどの加圧部材の幅方向両端部に対応する両端部対応域でクラックが起こりにくく、かつ両端部対応域の間に位置しプレス対象物の加圧処理面となる中央域では耐摩耗性および耐加圧変形性に優れ、しかも円筒度が良く走行性が良好なプレスベルトを提供すること、さらには該プレスベルトを外筒として用いたシュープレスロールを提供することを目的とする。
本発明のプレスベルトは、エンドレス形状を有し回転走行するものであって、該プレスベルトの外周面側にプレス対象物を載せ、該プレスベルトの周内部および/または周外部に位置し所定の幅を有する加圧手段によって、プレス対象物を加圧処理する方法に用いられるものである。なお、本発明において「走行方向」および「幅方向」とは、特記がない限りそれぞれプレス対象物の走行方向および幅方向を指すものとする。
プレス対象物は、湿紙、磁気テープ、織物などの帯状材料であって特に限定はない。また、加圧手段は、プレスロールや加圧シューなどである。
プレスベルトは、加圧手段における幅方向両端部に対応する両端部対応域と、前記両端部対応域の間に位置する中央域とを含んで構成される。またプレスベルトは熱硬化性ポリウレタン(以下単に「ポリウレタン」と記す)を主成分として形成され、該ポリウレタンは、末端にイソシアネート基(NCO)を有するフェニレンイソシアネート誘導体と、末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを含む熱硬化性ポリウレタン原料(以下単に「ポリウレタン原料」と記す)から得られる。なお本発明において「活性水素基」とは、たとえば、OH、SH、NH、COOH等の原子団に含まれる水素であって、化学反応を起こし易いものをいう。
この発明の一つの特徴は、ポリウレタン原料において、活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、ベルトの両端部対応域で相対的に高く、中央域で相対的に低くなるように調製される点にある。
H/NCOの値が高くなるように調製されたポリウレタン原料から得られたポリウレタンは、耐クラック性に優れる反面、耐摩耗性、耐加圧変形性に劣り、H/NCOの値が低くなるように調製されたポリウレタン原料から得られたポリウレタンは、耐摩耗性、耐加圧変形性に優れる反面、耐クラック性に劣る傾向にある。そこで本発明においては、クラックが発生しやすい両端部対応域には、H/NCOの値が相対的に高いポリウレタン原料から得られるポリウレタンを用いることでクラックの発生を抑制し、プレス対象物の加圧処理面となる中央域には、H/NCOの値が相対的に低いポリウレタン原料から得られるポリウレタンを用いることで耐摩耗性および耐加圧変形性を維持する。本発明においては、両端部対応域と中央域とで大きな硬度変化をつける必要がないため、ベルト成形時の収縮力に幅方向でのばらつきが生じず、円筒度が良好なベルトを容易に得ることができる。中央域と両端部対応域の硬さの差が、タイプAデュロメータ硬さで1度未満となるようにすれば、円筒度を損なう危険性が少ないため好ましい。
もっとも、円筒度のばらつきがベルトの走行性に支障を来たさない範囲であれば、両端部対応域の硬度を中央域よりも低くして硬度差を設けても構わない。
ポリウレタン原料において、活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値は、両端部対応域で1.01以上1.14以下、さらに1.08以上1.14以下、中央域で0.85以上1.08未満、さらに0.92以上1.08未満とすることが好ましい。両端部対応域の(H/NCO)の値が1.01以上であれば耐クラック性が十分得られ、1.14以下であれば両端部対応域において最低限必要な耐摩耗性を確保できる。また、中央域の(H/NCO)の値が0.85以上であれば中央域において最低限必要な耐クラック性を確保でき、1.08未満であれば良好な耐摩耗性が得られる。
プレスベルトの一般的なサイズは、幅が2〜15m、周長が1〜30m、厚みが2〜10mm程度である。なお、この発明によるプレスベルトは、当量比(H/NCO)の値が低いポリウレタン原料を用いた中央域の厚みに対して、当量比(H/NCO)の値が高いポリウレタン原料を用いた両端部対応域の厚みを小さくするのが好ましい。当量比(H/NCO)の値が高いポリウレタン原料から得られたポリウレタンは、当量比(H/NCO)の値が低いポリウレタン原料から得られたポリウレタンよりも摩耗しやすい性質を持っている。そこで、両端部対応域における当量比(H/NCO)の値が高いポリウレタン原料を用いて形成されたプレスベルトの厚みを小さくすることにより、両端部対応域でプレスベルトに加えられる圧力を低減することができ、両端部対応域での摩耗を抑制することができる。
プレスベルトの両端部対応域での最も薄い部分の厚みは、中央域での最も厚い部分の厚みの50〜98%とするのが好ましい。この場合、両端部対応域でのプレスベルトの厚みが一定以上確保されるので、プレスベルトに必要な強度を維持することができ、プレス対象物の品質が低下する危険性も少ない。
プレスベルトが抄紙機の脱水プレスに用いられるシュープレス用ベルトである場合は、ベルトの外周面に、中央域から両端部対応域に亘って多数の搾水用凹部すなわち溝や盲孔が形成され得る。この場合も、ポリウレタン原料の当量比(H/NCO)の値を、ベルトの両端部対応域で相対的に高く、中央域で相対的に低くすることにより、クラックが発生しやすい両端部対応域においてクラックの発生を抑制でき、なおかつプレス対象物の加圧処理面となる中央域においては良好な耐摩耗性および耐加圧変形性を確保できるため、凹部の形状を維持して良好な搾水性を保つことができる。
プレスベルトの外周面に、中央域から両端部対応域に亘って多数の搾水用凹部を形成する場合は、両端部対応域における最も深い凹部の深さが、中央域に位置する最も浅い凹部の深さに対して、たとえば1.1〜3.0倍となるように形成することが好ましい。当量比(H/NCO)の値が低いポリウレタン原料を用いて形成された中央域に比べて、当量比(H/NCO)の値が高いポリウレタン原料を用いて形成された両端部対応域は摩耗しやすい性質を持っているが、中央部の最も浅い凹部の深さに対して両端部対応域の最も深い凹部の深さが1.1倍以上であれば、両端部対応域でプレスベルトが摩耗した場合でも凹部の深さを一定以上確保できるため、搾水性能が低下するのを抑制することができる。また、中央部の最も浅い凹部の深さに対して両端部対応域の最も深い凹部の深さが3.0倍以下であれば、両端部対応域においても凹部の耐久性が不十分になる危険性が少ない。
また、本発明の別の特徴は、本発明のプレスベルトが、末端にイソシアネート基(NCO)を有するフェニレンイソシアネート誘導体と末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを含み、かつ活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)が異なる少なくとも2種類の熱硬化性ポリウレタン原料を調製する第1工程と、活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、両端部対応域で相対的に高く、中央域で相対的に低くなるように、熱硬化性ポリウレタン原料を分布させる第2工程と、熱硬化性ポリウレタン原料を硬化させる第3工程と、を含む製造方法によって得られることにある。この場合、第2工程により、プレスベルトの少なくとも外周面を形成するのが好ましい。
本発明はさらに、上記のプレスベルトを用いたシュープレスロールに関する。本発明によるシュープレスロールは、エンドレス形状のベルトからなる外筒と、外筒の周内部に位置する加圧手段としての加圧シューとを備えている。そして、シュープレスロールの外筒は、本発明によるプレスベルトの特徴を備えたプレスベルトで構成される。
本発明によるプレスベルトは、ポリウレタン原料の活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、加圧手段の幅方向両端部に対応する両端部対応域で相対的に高く、両端部対応域の間に位置する中央域で相対的に低くなるように構成されるため、従来クラックが発生しやすかった両端部対応域においてもクラックが起こりにくく、かつプレス対象物の加圧処理面となる中央域では耐摩耗性および耐加圧変形性に優れたものとなる。しかも、両端部対応域と中央域とで大きな硬度変化をつける必要がないため、ベルト成形時の収縮力に幅方向のばらつきが生じず、円筒度の良好なベルトを得られ、走行性が良好となる。本発明によるプレスベルトは、シュープレスロールの外筒として用いるのに好適である。
抄紙機のプレス工程で用いられるシュープレス装置の走行方向断面を示す図である。 図1における加圧脱水部Pの幅方向断面を示す要部断面図である。 本発明の一の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。 本発明の他の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。 本発明の更に他の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。 本発明の更に他の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。 本発明のシュープレスロールの幅方向断面を示す図である。 耐クラック性試験の方法を説明する図である。
符号の説明
1,3 加圧手段、2,2a,2b,2c,2d プレスベルト、4 フェルト、5 湿紙、6,8 加圧面、7,7’,9,9’ 両端部、10 基布、11 ポリウレタン層、12,13,13’,14,14’,15,16,16’,17,17’,18,19,19’,20,20’,22,23,23’,24,24’ ポリウレタン、21,25,26,26’ 凹部、30 シュープレスロール、31 支持軸、32 油圧シリンダ、33 端部ディスク、34 ベアリング、35 固定プレート、36 外周、40 試験片、41 担持部材、42 金属製シャフト、43 ノズル、A 中央域、B,B’ 両端部対応域、C,C’ 最端域。
以下に、図を参照しながら本発明の実施の形態について具体的に説明する。
図1は、抄紙機のプレス工程で用いられるシュープレス装置の走行方向断面を示す図である。図1において、シュープレス装置は、加圧手段1としてのプレスロール、プレスロールに対向するプレスベルト2と、プレスベルト2の周内部に位置する加圧手段3としての加圧シューとを備えている。なお図1の装置においては、加圧シューをプレスベルト2で覆い、プレスベルト2を外筒としてロール状に組み立て、シュープレスロール30を構成しているが、プレスロール2はロール状に組み立てることなく、エンドレスベルトのまま使用することもできる。プレスロールは、プレスベルト2の周外部に位置し、一方の加圧手段として機能する。加圧シューは、プレスベルト2の周内部に位置し、他方の加圧手段として機能する。プレスベルト2とプレスロールとの間には、フェルト4に重ねられてプレス対象物としての湿紙5が通される。プレスベルト2の外周面とフェルト4とは直接接触している。プレスベルト2と加圧シューとの間には潤滑油が供給され、プレスベルト2は加圧シューの上を滑ることができる。プレスロールは駆動回転し、プレスベルト2は走行するフェルト4との摩擦力によって加圧シューの上を滑りながら従動回転する。加圧シューは、プレスベルト2の周内部側からプレスロールに向けて押し付けられており、この押付け力によって湿紙5はプレスされ、脱水される。加圧シューの表面は、プレスロールの表面に対応した凹状となっている。このため、プレスロールとプレスベルト2との間には、走行方向に広い幅を持った加圧脱水部Pが形成されている。
図2は、図1における加圧脱水部Pの幅方向断面を示す要部断面図である。図2に示すように、加圧手段1としてのプレスロールおよび加圧手段3としての加圧シューは、幅方向に一定の長さを有している。プレスベルト2は、中央域Aと、両端部対応域B、B’と、最端域C、C’とを有している。両端部対応域B、B’は、プレスロールの加圧面6の両端部7、7’および加圧シューの加圧面8の両端部9、9’を含む部位に対応する領域である。ここで、中央域Aは、両端部対応域B、B’の間に位置する領域である。最端域C、C’は、両端部対応域B、B’の更に端部側に位置する領域である。
プレスベルト2は、一般的に織布、網、糸等からなるエンドレス形状の補強基材に、ポリウレタンを含浸および被覆することによって形成される。該ポリウレタンを得る方法に限定はないが、簡便に所望のポリマーを得られるという点で、末端にイソシアネート基(NCO)を有するウレタンプレポリマーと、末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを反応させる方法を用いることが好ましい。
ウレタンプレポリマーは、たとえばポリオールとフェニレンイソシアネート誘導体とを反応させること等によって得られる。ポリオールは、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールの中から選択される。ポリエーテルポリオールとしては、たとえばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などが挙げられる。またポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペートなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合もしくは重合させて用いることができ、さらにこれらの変性体、たとえばシリコン変性体等も用いることができる。
ウレタンプレポリマーを得るためのフェニレンイソシアネート誘導体としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−キシレンジイソシアネート(m−XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
硬化剤としては、ポリウレタンの硬化剤として一般的に使用しうるポリオール系、芳香族ジオール系、芳香族ジアミン系等の硬化剤の中から、1種類または2種類以上の混合物として用いることができる。ポリオール系の硬化剤としては、前記ポリオールとして例示したものが使用できる。芳香族ジオール系の硬化剤としては、ヒドロキノンジ(β−ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)が挙げられる。芳香族ジアミン系の硬化剤としては、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(MOCA)、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾアート)(CUA−4)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、ジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)等が挙げられる。
プレスベルト2を形成するポリウレタンは、両端部対応域B、B’と中央域Aとでポリオール、フェニレンイソシアネート誘導体および硬化剤の配合割合を変化させることにより、活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、両端部対応域B、B’で相対的に高く、中央域Aで相対的に低くなるように調製されたポリウレタン原料から得られる。より具体的には、両端部対応域B、B’に用いるポリウレタン原料は、当量比(H/NCO)の値が1.01以上1.14以下とされ、中央域Aに用いるポリウレタン原料は、当量比(H/NCO)の値が0.85以上1.08未満とされる。なお、最端域C、C’に用いるポリウレタン原料の当量比(H/NCO)の値は、特に限定されない。
次に、図3〜6を参照して本発明によるプレスベルト2の実施形態を説明する。
図3は、本発明の一の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。プレスベルト2aは、補強基材としての多重織織布からなる基布10にポリウレタンが含浸および被覆された構造である。基布10の内周面側は、ポリウレタン層11によって均一に被覆されている。基布10の外周面側は、中央域Aに位置するポリウレタン12、両端部対応域B、B’に位置するポリウレタン13、13’および最端域C、C’に位置するポリウレタン14、14’によって被覆されている。外周面側を形成するポリウレタンのうち、両端部対応域B、B’のポリウレタン13、13’は、当量比(H/NCO)の値が1.01以上1.14以下のポリウレタン原料から得られ、中央域Aのポリウレタン12は、当量比(H/NCO)の値が0.85以上1.08未満のポリウレタン原料から得られる。プレスベルト2aは、中央域Aおよび両端部対応域B、B’の厚みが等しい。最端域C、C’の厚みは、プレスベルト2aのプレス装置への装着を容易にするために、他の領域よりも薄くされている。
図4は、本発明の他の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。プレスベルト2bは、図3に示したプレスベルト2aを変形したものである。プレスベルト2bがプレスベルト2aと異なる点は、中央域Aの厚みに対して両端部対応域B、B’の厚みが小さくされている点である。プレスベルト2bにおいて、基布10の外周面側は、中央域Aに位置するポリウレタン15、両端部対応域B、B’に位置するポリウレタン16、16’および最端域C、C’に位置するポリウレタン17、17’によって被覆されている。両端部対応域B、B’に位置するポリウレタン16、16’は、中央域Aに位置するポリウレタン15よりも厚みが薄くされており、プレスベルト2bの両端部対応域B、B’での厚みは、たとえば中央域Aでの厚みの50〜98%とされている。なお、最端域C、C’での厚みは、プレスベルト2aのプレス装置への装着を容易にするために、両端部対応域B、B’よりも更に薄くされている。プレスベルト2bにおいても、外周面側を形成するポリウレタンのうち、両端部対応域B、B’のポリウレタン16、16’は、当量比(H/NCO)の値が1.01以上1.14以下のポリウレタン原料から得られ、中央域Aのポリウレタン15は、当量比(H/NCO)の値が0.85以上1.08未満のポリウレタン原料から得られる。
図5は、本発明の更に他の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。プレスベルト2cは、図3に示したプレスベルト2aを変形したものである。プレスベルト2cがプレスベルト2aと異なる点は、プレスベルト2cの外周面に多数の凹部21すなわち搾水溝が形成されている点である。プレスベルト2cにおいて、基布10の外周面側は、中央域Aに位置するポリウレタン18、両端部対応域B、B’に位置するポリウレタン19、19’および最端域C、C’に位置するポリウレタン20、20’によって被覆されている。プレスベルト2cにおいても、外周面側を形成するポリウレタンのうち、両端部対応域B、B’のポリウレタン19、19’は、当量比(H/NCO)の値が1.01以上1.14以下のポリウレタン原料から得られ、中央域Aのポリウレタン18は、当量比(H/NCO)の値が0.85以上1.08未満のポリウレタン原料から得られるものである。
図6は、本発明の更に他の実施形態に係るプレスベルトの幅方向断面を示す図である。プレスベルト2dは、図5に示したプレスベルト2cを更に変形したものである。プレスベルト2dがプレスベルト2cと異なる点は、幅方向の位置によって搾水溝の深さが変化している点である。プレスベルト2dにおいて、基布10の外周面側は、中央域Aに位置するポリウレタン22、両端部対応域B、B’に位置するポリウレタン23、23’および最端域C、C’に位置するポリウレタン24、24’によって被覆されている。両端部対応域B、B’での凹部26、26’の深さは、中央域Aでの凹部25の深さの1.1〜3.0倍とされている。プレスベルト2dにおいても、外周面側を形成するポリウレタンのうち、両端部対応域B、B’のポリウレタン23、23’は、当量比(H/NCO)の値が1.01以上1.14以下のポリウレタン原料から得られ、中央域Aのポリウレタン22は、当量比(H/NCO)の値が0.85以上1.08未満のポリウレタン原料から得られる。
次に、図1および図7を参照して、本発明によるシュープレスロールの実施形態について説明する。図7は、本発明のシュープレスロールの幅方向断面を示す図である。図1において、シュープレスロール30は、加圧手段3としての加圧シューをプレスベルト2で覆い、プレスベルト2を外筒としてロール状に組み立てられている。加圧シューは、支持軸31上で油圧シリンダ32によって支持されており、上方向にプレスベルト2を押し付けることができる。支持軸31の両端部上には、端部ディスク33がベアリング34を介して回転自在に支持されている。プレスベルト2の端縁は、端部ディスク33の外周36上で半径方向内側に折り曲げられている。プレスベルト2端縁の折り曲げ部は、端部ディスク33の外周部と、リング状の固定プレート35とに挟まれ、ボルト等で締め付けられて固定されている。プレスベルト2と加圧シューとの間には潤滑油が供給される。このようにして、端部ディスク33に固定されたプレスベルト2は、加圧シューの上を滑りながら回転することができる。ここで、プレスベルト2としては、図2〜図6に示したものと同様のものを用いることができる。すなわち、プレスベルト2を形成するポリウレタンには、両端部対応域B、B’と中央域Aとでポリオール、フェニレンイソシアネート誘導体および硬化剤の配合割合を変化させることにより、活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、両端部対応域B、B’で相対的に高く、中央域Aで相対的に低くなるように調製されたポリウレタン原料が用いられている。
プレスベルトは、末端にイソシアネート基(NCO)を有するフェニレンイソシアネート誘導体と末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを含み、かつ活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)が異なる少なくとも2種類のポリウレタン原料を調製する第1工程と、活性水素基(H)とイソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、両端部対応域で相対的に高く、中央域で相対的に低くなるようにポリウレタン原料を分布させる第2工程と、ポリウレタン原料を硬化させる第3工程とを含む方法等によって製造される。なおプレスベルトは、ポリウレタン原料を織布、網、糸等からなるエンドレスの補強基材に含浸および被覆することによって製造されるのが一般的である。
第1工程においては、フェニレンイソシアネート誘導体と硬化剤とを含むポリウレタン原料を直接混合してもよいが、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを用い、ウレタンポリマーと硬化剤とを混合、硬化させる方法を用いれば、所望のポリウレタンを簡便かつ確実に得ることができるため好ましい。
第2工程においてポリウレタン原料を分布させる方法に限定はない。例えば、当量比(H/NCO)が相対的に高い両端部対応域用のポリウレタン原料と、当量比(H/NCO)が相対的に低い中央域用のポリウレタン原料とを予め第1工程にて調製し、補強基材の両端部対応域および中央域に、第1工程で調製した各々のポリウレタン原料を含浸させることによって、ポリウレタン原料を分布させることもできる。
最後に第3工程において、第2工程で分布させたポリウレタン原料を熱硬化させると、両端部対応域および中央域に所望のポリウレタンが形成されたプレスベルトを得ることができる。
補強基材の内周面側全面から単一のポリウレタン原料を含浸、硬化させた後に、さらに外周面側の両端部対応域と中央域とに第1工程で調製した異なる当量比(H/NCO)のポリウレタン原料を被覆することができる。また、本発明のプレスベルトの製造方法には、上記の工程以外にも、ベルト表面の研磨・切削工程等プレスベルトの製造に際して必要な任意の工程が含まれ得る。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、種々の当量比(H/NCO)のポリウレタン原料を単独で用いてプレスベルトを製造し、耐クラック性、耐摩耗性等の評価を行なった。このうち良好な結果が得られたものについて、両端部対応域に対して用いるもの、中央部に対して用いるものを各々1種、計2種選択し、この2種のポリウレタン原料を用いてプレスベルトを製造した。
(1)プレスベルトの製造1
基布として、2.5mmの厚みを有する4重織の織布を準備した。内周面側のポリウレタン層を形成する材料として、ウレタンプレポリマー(PTMG−MDI、NCO%=5%)100質量部に対して、硬化剤(PTMG/DMTDA=65/35、当量値=250)27.4質量部を混合し、ウレタン混合液(H/NCO=0.92)を準備した。このウレタン混合液を、表裏を反転させておいた基布の表面にコーティングし、80℃で10時間加熱して硬化させた。ウレタン混合液は、基布の厚みの約50%まで含浸させた。次いで、基布にコーティングしたポリウレタンを、基布の表面からの厚みが1.0mmになるように切削・研磨を行なった。その後、コーティングした面が内周面側となるように基布の表裏を反転させた。次いで、内周面側のポリウレタン層と同じ配合のウレタン混合液を基布の外周面側から含浸させ、基布の全体をポリウレタンで完全に満たした。
次に、表1に示すような組成の、H/NCOの値が異なるポリウレタンをそれぞれ単独で用い、基布の外周面全面を被覆した。その後、全体を127℃で16時間加熱し、ポリウレタンを完全に硬化させ、基布とポリウレタンとを接着一体化した。更に、外周面を構成するポリウレタン層の表面を、基布の表面からの厚みが1.5mmとなるように切削・研磨した。更に、外周面に、円周方向に沿って、溝幅0.9mm、深さ0.9mm、ピッチ2.54mmで多数の排水溝を形成した。上記の方法で、外周面を構成するポリウレタンがいずれの箇所もタイプAデュロメータ硬さで95であるプレスベルト(サンプル1〜11)を得た。
Figure 2005014927
(注1)プレポリマーはPTMG−TDIであり、NCO%=6.6%である。
(注2)硬化剤はDMTDAであり、当量値=107である。
(2)耐クラック性試験
図8は、耐クラック性試験の方法を説明する図である。まず、各サンプルから幅20mm、長さ420mmの試験片40を切り出した。次に、試験片40の長さ方向両端部を把持部材41で把持しながら、中間部内側に直径25mmの表面が滑らかな金属製シャフト42を当て、試験片40に9.8kN/mの張力Tをかけた。張力を保ったままで、試験片40の内面とシャフト42との間にノズル43より潤滑油を供給しながら、把持部材41を動かすことにより試験片40を10cmの幅で繰り返し往復運動させた。このような方法で、試験片40に張力をかけながら、内面とシャフト42との間で摺動を繰り返した。200万回の往復運動の後、サンプル表面へのクラックの発生状況を目視により観察した。結果を表1に示す。
(3)溝残存率評価
各サンプルについて、次の方法で加圧下での溝の残存率を比較した。まず、各サンプルのプレスベルトについて、溝中にインジェクションタイプのシリコーンゴムを流し込み、圧縮試験機でプレスベルトの厚さ方向に6.9MPaの荷重をかけながら、シリコーンゴムを硬化させた。次に、硬化したシリコーンゴムを溝から採取し、加圧時の溝の型を取った。そして、硬化したシリコーンゴムの体積から、加圧時の溝の容積を測定した。無加圧時の溝の容積に対する加圧時の溝の容積を百分率で表し、加圧下での溝残存率とした。結果を表1に示す。
(4)耐摩耗性の評価
サンプル3(H/NCO=1.12)およびサンプル7(H/NCO=1.00)のプレスベルトを抄紙機のシュープレス装置の実機に掛けて走行試験を行ない、耐摩耗性の評価を行なった。使用条件は、走行速度1200m/分、ニップ圧1000kN/mであった。走行前、30日間走行後、60日間走行後および120日間走行後において、無加圧状態での溝の容積を測定した。そして、使用日数に伴う溝の容積の減少度合をもって、耐摩耗性の評価基準とした。走行前における無加圧時の溝の容積を100%としたときの、各日数における溝の容積を百分率で表した。結果を表2に示す。
Figure 2005014927
プレスベルトの外周面に用いられるポリウレタン原料のH/NCOの値が大きいほど、耐クラック性が高くなるが、加圧下での溝の残存率は低くなり、逆に、H/NCOの値が小さいほど、加圧下での溝の残存率が高くなるが、耐クラック性は低くなることが判る。また、表2に示した結果も考慮すれば、H/NCOの値の違いによる溝の容積の差は、プレスベルトの使用日数が長くなるに従ってますます顕著になっていくことがわかる。
これらの結果より、両端部対応域には相対的に高いH/NCOの値を有するポリウレタン原料、中央域には相対的に低いH/NCOの値を有するポリウレタン原料を用いれば、両端部対応域における耐クラック性と、中央域における耐摩耗性が両立できることが示唆される。さらに、クラックが発生しやすい両端部対応域B、B’には、H/NCOの値が1.01以上1.14以下となる配合のポリウレタン原料が適していると考えられ、一方、湿紙の脱水処理面となり、耐摩耗性が要求される中央域Aには、H/NCOの値が0.85以上1.08未満となる配合のポリウレタン原料が適していると考えられる。
(5)プレスベルトの製造2
サンプル3のポリウレタン原料を両端部対応域に、サンプル8のポリウレタン原料を中央域にそれぞれ用い、図5に示すプレスベルト2cを次のようにして製造した。
基布10として、2.5mmの厚みを有する4重織の織布を準備した。内周面側のポリウレタン層11を形成する材料として、ウレタンプレポリマー(PTMG−MDI、NCO%=5%)100質量部に対して、硬化剤(PTMG/DMTDA=65/35、当量値=250)27.4質量部を混合し、ウレタン混合液(H/NCO=0.92)を準備した。このウレタン混合液を、表裏を反転させておいた基布10の表面にコーティングし、80℃で10時間加熱して硬化させた。ウレタン混合液は、基布10の厚みの約50%まで含浸させた。次いで、基布10にコーティングしたポリウレタン層11を、基布10の表面からの厚みが1.0mmになるように切削・研磨を行なった。その後、コーティングした面が内周面側となるように基布10の表裏を反転させた。次いで、内周面側のポリウレタン層11と同じ配合のウレタン混合液を基布10の外周面側から含浸させ、基布10の全体をポリウレタンで完全に満たした。
次に、H/NCOの値が異なる2種類の配合のポリウレタンによってプレスベルト2cの外周面を被覆した。まず、ウレタンプレポリマー(PTMG−TDI、NCO%=6.6%)100質量部に対して硬化剤(DMTDA、当量値=107)16.1質量部を混合したウレタン混合液(H/NCO=0.96)を、中央域Aにコーティングした。次に、同じウレタンプレポリマー100質量部に対して同じ硬化剤18.8質量部を混合したウレタン混合液(H/NCO=1.12)を両端部対応域B、B’にコーティングした。さらに、中央域Aと同じウレタン混合液を、最端域C、C’にコーティングした。
その後、全体を127℃で16時間加熱し、ポリウレタンを完全に硬化させ、基布とポリウレタンとを接着一体化した。更に、外周面を構成するポリウレタン層のうち、中央域Aおよび両端部対応域B、B’は基布10の表面からの厚みが1.5mmとなるように、最端域C、C’は基布10の表面からの厚みが0.5mmとなるように、ベルトの表面を切削・研磨した。更に、ベルトの外表面に、円周方向に沿って、溝幅0.9mm、深さ0.9mm、ピッチ2.54mmで多数の凹部21を形成した。上記の方法で、全体の厚みが5.0mmであり、裏面の硬さはタイプAデュロメータ硬さで90であり、表面の硬さは中央域A、両端部対応域B、B’、最端域C、C’いずれもタイプAデュロメータ硬さで95であるベルトを得た。
得られたプレスベルトは、サンプル3のポリウレタン原料を両端部対応域に、サンプル8のポリウレタン原料を中央域にそれぞれ用いているので、上記(2)〜(4)の結果を参照すれば、抄紙機のシュープレス装置に用いた場合、両端部対応域B、B’において良好な耐クラック性を確保しつつ、中央域Aにおいては良好な耐摩耗性および耐加圧変形性を確保できると考えられる。
なお、表面の硬さが中央域A、両端部対応域B、B’、最端域C、C’いずれも同じであるので、成形時の収縮力に幅方向におけるばらつきがなく、円筒度が良好であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によるプレスベルトは、従来クラックが発生しやすかった両端部対応域においてもクラックが起こりにくく、かつプレス対象物の加圧処理面となる中央域では耐摩耗性および耐加圧変形性に優れたものとなる。しかも両端部対応域と中央域とで大きな硬度変化をつける必要がないため、ベルト成形時の収縮力に幅方向のばらつきが生じにくい。したがって円筒度の良好なベルトを得られ、シュープレスロールとして用いた場合の走行性が良好となる。

Claims (10)

  1. 回転走行するエンドレス形状のプレスベルト(2)と、前記プレスベルトの周内部および/または周外部に位置する加圧手段(1、3)とを備えたプレス装置におけるプレスベルトであって、
    前記加圧手段の幅方向における両端部(7、7’、9、9’)に対応する両端部対応域(B、B’)と、前記両端部対応域の間に位置する中央域(A)とを含み、
    末端にイソシアネート基(NCO)を有するフェニレンイソシアネート誘導体と、末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを含む熱硬化性ポリウレタン原料から得られた熱硬化性ポリウレタンを主成分とし、
    前記活性水素基(H)と前記イソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、前記両端部対応域で相対的に高く、前記中央域で相対的に低くされた、プレスベルト。
  2. 前記熱硬化性ポリウレタンが、末端にイソシアネート基(NCO)を有するウレタンプレポリマーと、末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを反応させて得られる、請求の範囲第1項に記載のプレスベルト。
  3. 前記当量比(H/NCO)の値が、前記両端部対応域で1.01以上1.14以下であり、前記中央域で0.85以上1.08未満である、請求の範囲第1項に記載のプレスベルト。
  4. 前記中央域と前記両端部対応域での硬さの差は、タイプAデュロメータ硬さで1度未満である、請求の範囲第1項に記載のプレスベルト。
  5. 前記中央域での厚みに対して前記両端部対応域での厚みが小さい、請求の範囲第1項に記載のプレスベルト。
  6. 外周面に、前記中央域から前記両端部対応域に亘って多数の凹部(21)が形成されている、請求の範囲第1項に記載のプレスベルト。
  7. 前記中央域に位置する凹部(25)の深さに対して前記両端部対応域に位置する凹部(26、26’)が深い、請求の範囲第6項に記載のプレスベルト。
  8. エンドレス形状のプレスベルト(2)からなる外筒と、前記外筒の周内部に位置する加圧手段(3)としての加圧シューとを備えたシュープレスロール(30)であって、
    前記外筒は、請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載のプレスベルトである、シュープレスロール。
  9. 回転走行するエンドレス形状のプレスベルト(2)と、前記プレスベルトの周内部および/または周外部に位置する加圧手段(1、3)とを備えたプレス装置におけるプレスベルトの製造方法であって、
    前記プレスベルトは、前記加圧手段の幅方向における両端部(7、7’、9、9’)に対応する両端部対応域(B、B’)と、前記両端部対応域の間に位置する中央域(A)とを含み、
    前記プレスベルトの製造方法は、
    末端にイソシアネート基(NCO)を有するフェニレンイソシアネート誘導体と、末端に活性水素基(H)を有する硬化剤とを含み、前記活性水素基(H)と前記イソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)が異なる少なくとも2種類の熱硬化性ポリウレタン原料を調製する第1工程と、
    前記活性水素基(H)と前記イソシアネート基(NCO)との当量比(H/NCO)の値が、前記両端部対応域で相対的に高く、前記中央域で相対的に低くなるように、前記熱硬化性ポリウレタン原料を分布させる第2工程と、
    前記熱硬化性ポリウレタン原料を硬化させる第3工程と、
    を含む、プレスベルトの製造方法。
  10. 請求の範囲第9項に記載のプレスベルトの製造方法において、前記第2工程により、前記プレスベルトの少なくとも外周面を形成する、プレスベルトの製造方法。
JP2005512934A 2003-08-07 2004-08-04 プレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロール Expired - Fee Related JP3926375B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003288658 2003-08-07
JP2003288658 2003-08-07
PCT/JP2004/011140 WO2005014927A1 (ja) 2003-08-07 2004-08-04 プレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3926375B2 JP3926375B2 (ja) 2007-06-06
JPWO2005014927A1 true JPWO2005014927A1 (ja) 2007-09-27

Family

ID=34131518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005512934A Expired - Fee Related JP3926375B2 (ja) 2003-08-07 2004-08-04 プレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロール

Country Status (8)

Country Link
US (1) US7611608B2 (ja)
EP (1) EP1653001B1 (ja)
JP (1) JP3926375B2 (ja)
KR (1) KR100692161B1 (ja)
CN (1) CN1833070B (ja)
AU (1) AU2004262707B2 (ja)
CA (1) CA2534813C (ja)
WO (1) WO2005014927A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006274448A (ja) * 2005-03-04 2006-10-12 Yamauchi Corp プレスベルトおよびシュープレスロール
DE102005045428A1 (de) * 2005-09-23 2007-03-29 Voith Patent Gmbh Transferband
CN1940179B (zh) * 2005-09-27 2010-05-26 市川株式会社 砧台加压带
JP5731773B2 (ja) * 2010-09-02 2015-06-10 ヤマウチ株式会社 プレスベルト及びシュープレスロール並びにプレスベルトの製造方法
JP6467342B2 (ja) * 2013-06-14 2019-02-13 イチカワ株式会社 製紙用シュープレスベルト
WO2015042222A1 (en) * 2013-09-20 2015-03-26 Stowe Woodward Licensco, Llc Soft rubber roll cover with wide grooves
FI20216016A1 (en) 2021-09-30 2023-03-31 Valmet Technologies Oy Band

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3501635A1 (de) 1985-01-19 1986-07-24 J.M. Voith Gmbh, 7920 Heidenheim Presswalze
DE19652545B4 (de) * 1996-12-17 2006-03-23 Voith Sulzer Papiermaschinen Gmbh Preßwalze zum Behandeln bahnförmigen Gutes
JP3045975B2 (ja) 1997-04-24 2000-05-29 市川毛織株式会社 シュープレス用ベルト
JP3787458B2 (ja) * 1998-08-06 2006-06-21 イチカワ株式会社 抄紙用ベルト
JP3698984B2 (ja) 2000-11-10 2005-09-21 ヤマウチ株式会社 シュープレス用ベルト
JP3507432B2 (ja) * 2000-12-13 2004-03-15 ヤマウチ株式会社 製紙用弾性ベルト
CN1182295C (zh) * 2001-06-28 2004-12-29 市川毛织株式会社 压光带
JP2003049380A (ja) * 2001-07-31 2003-02-21 Ichikawa Woolen Textile Co Ltd シュープレス用ベルト

Also Published As

Publication number Publication date
JP3926375B2 (ja) 2007-06-06
AU2004262707A1 (en) 2005-02-17
CN1833070B (zh) 2010-12-29
AU2004262707B2 (en) 2010-11-18
KR20060031878A (ko) 2006-04-13
CA2534813C (en) 2009-10-13
CN1833070A (zh) 2006-09-13
KR100692161B1 (ko) 2007-03-12
US20060201649A1 (en) 2006-09-14
EP1653001A4 (en) 2007-10-03
EP1653001A1 (en) 2006-05-03
CA2534813A1 (en) 2005-02-17
WO2005014927A1 (ja) 2005-02-17
US7611608B2 (en) 2009-11-03
EP1653001B1 (en) 2012-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4516610B2 (ja) シュープレス用ベルト
JP3698984B2 (ja) シュープレス用ベルト
JP6985490B2 (ja) プレススリーブおよびその使用
CN101720370A (zh) 造纸用的靴形压榨带
EP1350889A1 (en) Elastic belt for papermaking
CN103243603B (zh) 造纸靴形压榨带
JP7290127B2 (ja) シュープレスベルトおよびシュープレスベルトの製造方法
JP3926375B2 (ja) プレスベルトおよびその製造方法、ならびにこれを用いたシュープレスロール
CN103243602B (zh) 造纸靴形压榨带
JP2005290358A (ja) 製紙機械用ベルト及びその製造方法
JP2006225839A (ja) シュープレス用ベルト
JP3803106B2 (ja) 製紙用ベルトおよび製紙用ベルトの製造方法
JP7290128B2 (ja) シュープレスベルトおよびシュープレスベルトの製造方法
JP7054319B1 (ja) 抄紙器具および抄紙器具の製造方法
JP7045516B1 (ja) 抄紙器具および抄紙器具の製造方法
JP7290129B2 (ja) シュープレスベルトおよびシュープレスベルトの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3926375

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees