JPWO2005012898A1 - 潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置、及び測定方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、酸分離を行う溶離液を貯めたタンク(9)と、前記溶離液を送液するポンプ(12)と、試料を前記溶離液に注入する試料注入部(13)と、前記試料注入部(13)から注入された前記試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラム(14)を有する系から供給される溶離液と、キノン及び支持電解質が含有されたキノン溶液を貯めたタンク(8)と、前記キノン溶液を送液するポンプ(11)を有する系から供給されるキノン溶液を混合する液混合部(15)と、前記試料から分離された前記短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部(16)を備えるようにしたものである。このような構成による潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置においては、血液の検査を行うことなく、短時間、かつ簡単、正確に潰瘍性大腸炎の診断を行うことが可能となる。

Description

本発明は、潰瘍性大腸炎を発見し、また薬物療法を中心とした治療を適切に行うために、便中に含まれる短鎖脂肪酸を個別に分離し、各々の短鎖脂肪酸を電気化学的方法で測定する潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置及び測定方法に関する。
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)は、「主として粘膜と粘膜下層をおかす、大腸とくに直腸の特発性、非特異性の炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが、小児や50歳以上の者にも見られる。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体をおかす場合には悪性化の傾向がある。」とされている、炎症性腸疾患の一種である。粘膜を超えて組織が浅く欠損する糜爛(びらん)や、深く欠損する潰瘍が大腸に形成され、下痢、血便、腹痛や発熱などの症状を呈する。この疾患は、良性でありながら、患者のQOLが著しく損なわれる原因不明の難治性疾患で、長期経過例では癌化するリスクが高くなる。わが国では、生活習慣の欧米化に伴い着実に増加を続けている。特定疾患の申請をしている日本の患者数は平成11年末で特定疾患受給者証の数で約60600人であり、最近は年間約4000人の方が発病していて患者数は増加し続けている。世界的にみると、欧米諸国を中心に患者数が多く、北欧やアメリカの白人、ユダヤ人に特に多いと言われている。また、様々な治療にもかかわらず、8〜9割の人が何回も再発を繰り返すのがこの病気の特徴である。
潰瘍性大腸炎の診断は、細菌性赤痢、アメーバー赤痢、日本住血吸中病、大腸結核などの感染性大腸炎、及び放射性腸炎、虚血性大腸炎、肉芽腫性大腸炎を除きX線所見、内視鏡所見、及び生検組織所見などから総合的に判断される。初期的な発見方法としては、潰瘍性大腸炎の症状で最も多く見られる便中の出血を検査する方法が一般的に集団検診等で行われている。便中の出血を調べて潰瘍性大腸炎等を検査する従来の方法は、排便中の潜血成分のヘモグロビンを、採便具により採取して、抗ヘモグロビン抗体を用いて免疫学的測定方法により測定する方法がある。しかし、この検査方法は手軽ではあるが、排便中のヘモグロビンを検便試料として長期間保存するため、保存中にヘモグロビンが分解し、ヘモグロビンを正確に測定できないといった問題が生じていた。ヘモグロビンの分解を抑制するため、ペニシリンや非ペニシリン系抗生物質を添加する方法が、特開平7−72154号公報に開示されているが、上記検査方法は測定に長時間を費やし、また、出血性の排便は、潰瘍性大腸炎に限らず、痔ろう等の慢性疾患でも起こり得るため、便中のヘモグロビンの存在が測定できても、それが痔ろうによる出血なのか、潰瘍性大腸炎等による出血なのかを区別することはできず、測定結果の正確性は低いものであった。このため、免疫学的測定方法とは異なる、新たな潰瘍性大腸炎の検査方法の創出が望まれている。
ところで、潰瘍性大腸炎に関して、患者の便中細菌とその代謝産物である短鎖脂肪酸との関係が、中村正樹著,日本消化器病学会雑誌,(財)日本消化器病学会,1989年8月,第86巻,第8号,p.1627−1637において報告されており、前記文献では、潰瘍性大腸炎患者の便中細菌数は健常人と比べ減少すると報告されている。なかでも嫌気性菌数が減少すると共に好気性菌数が増加し、この結果、健常人に比べて、腸内細菌による糖質の代謝産物である短鎖脂肪酸の濃度が便中細菌数に比例して減少し、非揮発性の短鎖脂肪酸である乳酸濃度が、揮発性の短鎖脂肪酸である酢酸、プロピオン酸、吉草酸、イソ吉草酸の濃度の総和に対して高くなると報告されている。また、病変が拡大するほど、そして緩解期より活発期にあたるほど乳酸濃度は増加すると報告されている。
かかる見識に基づけば、健常人では揮発性短鎖脂肪酸に対して乳酸が少ないため、乳酸濃度/揮発性短鎖脂肪酸濃度の比率は小さい値をとるが、潰瘍性大腸炎患者の便では短鎖脂肪酸が少なく乳酸が多いため、乳酸濃度/揮発性短鎖脂肪酸濃度の比率は相対的に大きな値をとることになる。従って、乳酸と揮発性短鎖脂肪酸の比率を正確に測定することができれば、上述した従来技術とは全く異なる潰瘍性大腸炎測定装置を得ることが可能となる。
このような潰瘍性大腸炎測定装置を実現するためには、非揮発性の乳酸と揮発性短鎖脂肪酸の濃度を正確に測定する必要がある。従来の短鎖脂肪酸の測定方法としては、短鎖脂肪酸の蛍光誘導体化による検出方法が知られている。かかる方法では、便から短鎖脂肪酸を溶液中に抽出した後、9−Anthryldiazomethane(ADAM試薬)と短鎖脂肪酸のカルボキシル基をエステル結合させることで、短鎖脂肪酸を蛍光誘導体化し、高速液体クロマトグラフで分離して蛍光検出を行っている。
しかしながら、上述した蛍光法で短鎖脂肪酸の濃度を測定する場合、短鎖脂肪酸に蛍光物を誘導体化するという測定前準備で2時間程度を要するという欠点があり、また、当該方法を使用した測定装置は、測定装置の精度の指標である測定値のRSD(相対標準偏差)が大きく、高精度の測定を行なうことができない。 また、上述した蛍光法とは異なり、脂肪酸等の有機酸の酸度を簡易に、しかも短時間で測定する方法として、アンペロメトリーを利用する測定方法が、高村喜代子,楠文代著,「デターミネーション・オブ・ザ・フリー・ファッティ・アシッド・コンテント・イン・ファッツ・アンド・オイルズ・バイ・フロー・インジェクション・アナリシス・ウィズ・エレクトロケミカル・ディテクション(Determination of the Free Fatty Acid Content in Fats and Oils by Flow Injection Analysis with Electrochemical Detection)」,アナリティカル・サイエンシイズ(ANALYTICAL SCIENCES),1995年12月,第11巻,第6号,p.979−981において提案されている。これは有機溶媒中に支持電解質と、ビタミンKなどのキノンを入れた共存電解液を一定流量で流している送液系に、作用電極と対極と参照極を設け、前記参照極に対して前記作用電極が一定の電位を示すように前記作用電極と前記対極の間に電圧を印加し、この状態で有機酸を含有した測定試料を一定量注入して前記測定試料中の酸度に比例した電流値を得るものである。
このような、短鎖脂肪酸をアンペロメトリーで測定する方法と、高速液体クロマトグラフなどが持つ酸分離カラムを用いて種々の短鎖脂肪酸に分離する方法とを組み合わせて、上述した蛍光法と同じように一般的なポストカラム誘導体化法を利用して、短鎖脂肪酸の濃度を測定することも考えられる。第7図は従来の高速液体クロマトグラフのポストカラム誘導体化法を行なうための装置を示す図である。第7図において、34は移動相を、35は誘導体化試薬を、36は分離カラムを、37はミキシングデバイスを、38は紫外・可視吸光検出器をそれぞれ表す。第7図に示す装置においてポストカラム誘導体化法を行なう場合、移動相34と誘導体化試薬35を混合し、ミキシングデバイス37で十分な混合行なった後、移動相34と誘導体化試薬35を反応させる必要があり、このため、ミキシングデバイス37の後段に反応コイルを設ける必要がある。反応コイルは誘導体化反応の種類によってその特性が異なるが、通常の高速液体クロマトグラフ分離系を使用する場合は、内径が0.5〜0.8mm程度のステンレスやテフロン(登録商標)製のチューブを用いる。ここで、ピーク拡散を最小限に止めるためには、カラム溶出液と反応溶液は1:1の割合で混合するのが良く、また、反応コイルの長さは、必要以上に長くしないのが良いと考えられる。
しかしながら、このような従来の高速液体クロマトグラフの一般的なポストカラム誘導体化法を利用してアンペロメトリーで測定する方法では、反応コイルで移動相34と誘導体化試薬35とを、バラツキなく、素早く反応させるための様々な工夫をしても、測定するピークがブロードになってしまい、感度がとれないという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、血液の検査を行うことなく、便中の短鎖脂肪酸濃度を測定して、短時間、簡易、且つ正確に腫瘍性大腸炎を判定するための潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置、及び測定方法を提供することを目的とする。
本発明の請求の範囲第1項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、酸分離を行う溶離液を貯めた溶離液タンクと、前記溶離液を送液する少なくとも1つのポンプと、試料を前記溶離液に注入する試料注入部と、前記試料注入部から注入された前記試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラムとを有する分離系から供給される溶離液と、キノン、及び支持電解質を含むキノン溶液を貯めた溶液タンクと、前記キノン溶液を送液する少なくとも1つのポンプとを有する送液系から供給されるキノン溶液とを混合する液混合部と、前記液混合部から流出する混合液に含まれる前記短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部とを備え、前記酸度測定部は、前記液混合部にて前記キノン溶液に順次混合される前記試料中の短鎖脂肪酸の酸度を連続的に測定することを特徴とするものである。
これにより、便中に含まれる種々の短鎖脂肪酸を、簡易な操作にて、短時間、かつ正確に測定することができ、また、潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の自動化が可能となる。
本発明の請求の範囲第2項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合部は、前記キノン溶液が流れる主管と、前記溶離液が流れる側管とを有し、前記側管は、その先端部の開口面が前記主管の内径面に対して平行になるように、前記主管内部に貫入されていることを特徴とするものである。
これにより、主管を流れるキノン溶液中に側管内部を流れる試料をばらつき無く拡散することが可能となり、測定精度の向上を図ることが可能となる。
本発明の請求の範囲第3項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第2項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合部は、前記側管の先端部の断面積が、前記主管の内部断面積に対して1/3以下であることを特徴とするものである。
これにより、主管内部を流れるキノン溶液中に、側管内部を流れる試料をばらつき無く拡散することが可能となり、測定精度の向上を図ることが可能となる。
本発明の請求の範囲第4項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸度測定部は、前記キノンの電気化学反応が進行する作用電極と、前記作用電極の電位制御の基準となる参照電極と、前記作用電極と対になり電流を流す対極を有し、前記作用電極の電位が前記参照電極に対して一定となるように電圧を印加し、前記作用電極に流れる前記キノンの電流を測定することを特徴とするものである。
これにより、アンペロメトリーで正確に測定することが可能となる。
本発明の請求の範囲第5項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸分離カラムは、イオン交換基と同じ電荷をもつイオンを静電的な斥力の差によって目的試料を分離するイオン排除型カラムであることを特徴とする。
これにより、試料中の種々の短鎖脂肪酸を分離することが容易にできるようになる。
本発明の請求の範囲第6項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記溶離液タンクからの流路と溶液タンクからの流路に、前記キノン溶液と前記溶離液中の気泡、及び溶存酸素を除去するデガッサーを備えたことを特徴とするものである。
これにより、キノン溶液に含まれ、ノイズの原因となる溶存酸素や気泡を除去することができ、測定精度の向上を図ることが可能となる。
本発明の請求の範囲第7項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸分離カラムの溶離液の流量は、7.96mm/min〜60.2mm/minであることを特徴とするものである。
これにより、種々の短鎖脂肪酸を効率よく分離することができる。
本発明の請求の範囲第8項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記キノン溶液の流量は、891mm/min〜5102mm/minであることを特徴とするものである。
これにより、試料中の酸度を正確に測定することができる。
本発明の請求の範囲第9項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第8項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記溶離液は、0.1mMの過塩素酸を含有した水溶液であることを特徴とするものである。
これにより、試料中の種々の短鎖脂肪酸を分離することができる。
本発明の請求の範囲第10項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第9項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記キノン溶液は、3mM〜6mMのキノンと、50mM〜150mMの過塩素酸リチウムを含有したエタノール溶液であることを特徴とするものである。
これにより、試料中の酸度を正確に測定することができる。
本発明の請求の範囲第11項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第10項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記試料は、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸の6種類の短鎖脂肪酸を含有する、人の便であることを特徴とするものである。
これにより、乳酸と揮発性酸である酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸の総和との比を簡便に求めることができる。
本発明の請求の範囲第12項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第11項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸度測定部の酸度測定感度は、5μM〜2mMまで測定できることを特徴とするものである。
これにより、短鎖脂肪酸の酸度を幅広い範囲で測定できる。
本発明の請求の範囲第13項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第1項ないし第12項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合部と前記酸度測定部との間に設けられる流路の長さは、20mm〜80mmである ことを特徴とするものである。
これにより、ノイズが発生せず、ピークがブロードにならない測定ができる。
本発明の請求の範囲第14項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定方法は、一定の流量で酸分離カラムに流出される溶離液に測定試料を注入し、前記酸分離カラムにて、前記測定試料中に含まれる短鎖脂肪酸を分離する酸分離ステップと、一定の流量で送液されるキノンと支持電解質を含有したキノン溶液に、前記酸分離カラムより流出する前記溶離液を混入する液混合ステップと、前記液混合ステップにおいて、前記キノン溶液に順次混入される前記測定試料中の短鎖脂肪酸の酸度を、連続的に測定する酸度測定ステップとを備えることを特徴とするものである。
これにより、従来の方法に比べ便中の種々の短鎖脂肪酸を前処理することなく測定することができ、短時間で正確な測定ができる。
本発明の請求の範囲第15項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求の範囲第14項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合ステップは、流路内の前記キノン溶液が流れる主管の流れに、前記溶離液が流れる側管の流れを混入することにより流路を形成し、前記側管から吐出される前記溶離液を、前記主管内部を流れるキノン溶液に対して平行に吐出することにより、前記溶離液を前記キノン溶液中に均一に拡散することを特徴とするものである。
これにより、主管のキノン溶液中に側管の試料がばらつき無く拡散することが可能となる。
第1図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の外観図である。
第2図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の概略図である。
第3図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の液混合部の断面図である。
第4図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の酸度測定部の電極詳細図である。
第5(a)図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置に試料を採取するためのツールを示す分解図である。
第5(b)図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置に試料を採取するためのツールを示す組立断面図である。
第6図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置で便中の短鎖脂肪酸量を酸度測定部で測定した場合の、試料を注入してからの保持時間と還元電流との相関図である。
第7図は、従来の高速液体クロマトグラフのポストカラム誘導体化法を行なうための装置を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
実施の形態1.
第1図は、本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の外観図である。
第1図において、1は本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置を内部に納める筐体、2は分離カラムを交換するためのドア、3は測定過程および測定結果を表示するディスプレー、4は測定試料を注入するための試料注入部、5は各種操作を行うための操作ボタン、6はトグルスイッチ、7は測定中に溜まった廃液を廃棄するための廃棄ドアである。
第2図は、本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の構成を表す概略図である。
第2図において、8は電気化学的酸度測定を行うための電解液を溜めておくための溶液タンクである。電解液は、溶媒としてエタノールを、支持電解質として過塩素酸リチウムを、キノンとしてビタミンK(以降VKと呼ぶ)を含有するものを使用している。ここで、過塩素酸リチウムの濃度が薄いとキノン溶液の抵抗が大きくなると共にノイズである充電電流の変動が大きくなり、また、その濃度が高いと塩の析出が生じてしまう。このため、過塩素酸リチウムの濃度は、50mM〜150mMとするのが好ましい。また、本発明においては、後述する酸度測定部16において、キノンの濃度に対する微量の酸を測定することとしているため、キノンの濃度については、溶媒との関係における溶解可能な範囲で、測定対象である酸の濃度よりも十分濃い必要がある。このため、エタノールを溶媒として使用する場合のキノン濃度は、3mM〜6mMとするのが好ましく、本実施の形態1においては、キノン濃度を3mMとしている。なお、上記溶媒は、エタノールの他に、メタノールやプロパノール、あるいはメタノール、エタノール、プロパノールの2〜3種混合系を使用しても良く、支持電解質は、上記過塩素酸リチウムの他に、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウムを使用しても良く、また、キノンは、VKの他に、3,5−ジ−t−ブチル1,2ベンゾキノン(DBBQ)、テトラブロモ1,2ベンゾキノンを使用しても良い。
9は酸分離を行うための溶離液を貯めておくための溶離液タンクである。溶離液は0.1mMの過塩素酸水溶液を使用している。ここで、溶離液としての過塩素酸の濃度を、例えば1mM程度まで濃くすると、後述する酸度測定部16におけるベースライン電流が増加し、測定結果にノイズが多く重畳されることになる。また、過塩素酸の濃度を例えば0.01mMのように極端に薄くすると、短鎖脂肪酸が酸分離カラムから溶出しなくなり、ピークとして出現しなくなる。このため、過塩素酸の濃度は、0.07mM〜0.3mM程度の濃度とするのが好ましい。なお、本実施の形態1では、後述するように酸分離カラム14としてイオン排除型カラムを使用しており、使用する溶離液は、上記過塩素酸水溶液の他に、リン酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸を使用しても良い。また、酸分離カラムとして逆相カラムを使用する場合は、水とメタノール、エタノール、アセトニトリル、プロパノールの2〜4種混合系が適しており、イオン交換カラムを使用する場合は、過塩素酸水溶液、リン酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸が適する。
10は電解液と溶離液中の気泡や溶存酸素を除去するためのデガッサーである。11はキノン溶液を送液するポンプAであり、流量1ml/分でキノン溶液を液混合部15まで供給する。ここで、前記キノン溶液の流量は、891mm/min〜5102mm/minになるようにする。これは、酸度測定部16におけるキノン溶液の流速が上記流速よりも遅い場合は、分離した酸が拡散してしまうので、酸度測定時のピークがブロードになり測定誤差が生じることになり、また、上記流速より早い場合は、電極24での還元反応のスピードが間に合わなくなるため、電極反応の応答性が悪くなり、測定誤差が生じることによる。
12は溶離液を送液するポンプBであり、流量0.6ml/分で溶離液を液混合部15まで供給する。ここで、前記酸分離カラムの溶離液の流量は、7.96mm/min〜60.2mm/minになるようにする。これは、酸分離カラム14の溶離液の流量が上記流速よりも遅い場合、測定時間がかかるのみならず、分離した酸が拡散してしまうので、酸度測定時のピークがブロードになり測定誤差が生じ、また、上記流速より早い場合は、酸を分離することができなくなることによる。なお、ポンプA11、及びポンプB12は、JIS K0124 高速液体クロマトグラフ分析通則4.2分離部(2)ポンプで規定されるポンプの使用が望ましい。
13は試料を溶離液中に注入するための試料注入部である。14は試料注入部13で注入された試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラムである。本実施の形態1では、酸分離カラム14として、イオン交換基と同じ電荷をもつイオン(共通イオン)を静電的な斥力の差によって目的試料を分離するイオン排除型カラム(島津製shim−pack SPR−H(250mm×7.8mm i.d.))を使用する。酸分離カラム14は、上記イオン排除型カラムの他に、サンプルの2相間(移動相と固定相)の分配平衡の差によって目的試料を分離するODSなどの逆相カラムや、イオン交換基と反対の電荷をもつイオン(対イオン)を静電的な親和力の差によって目的試料を分離するイオン交換カラムを使用することも可能であるが、測定精度を高めるためには、イオン排除型カラムの使用が望ましい。
15は酸分離カラム14から流出する溶離液とポンプB12で送液されるキノン溶液とを混合する液混合部であり、その詳細な構成について第3図を用いて説明する。第3図は、液混合部15の断面図である。
第3図において、21はキノン溶液が流れる主管であり、22は分離された短鎖脂肪酸を含む溶離液が流れる側管であり、23は側管22の先端部である。第3図に示すように、液混合部15では、主管21の一部に側管22を突き刺して、側管22の先端部23を主管21の内部に挿入し、更に、側管先端部23を主管21の中央の位置で位置決めする。この際に、側管先端部23が主管21内部のキノン溶液流出方向に対して平行であり、かつ側管先端部23の開口面が、主管21の内径面に対して平行になるようにする。以上の構成により、主管21内部の流れに側管22の流れを混入させて流路を形成し、側管22内部を流れる溶離液を、主管21内部のキノン溶液の流れに対して平行に吐出させる。なお、本実施の形態1においては、側管先端部23の開口面の面積が、主管21の内部断面積に対して、1/3になるように設計しているが、側管先端部23の半径と主管21の内部断面積との関係は上記の値に限られるものではなく、側管22が主管21の内部に入ることができるものであれば良い。
ここで、液混合部15にてキノン溶液に混入した短鎖脂肪酸は、後述する酸度測定部16に送液されるが、液混合部15と酸度測定部16の間の流路においても短鎖脂肪酸を分離した溶離液とキノン溶液の混合が行なわれるため、液混合部15と酸度測定部16の間の長さが短いと、十分な混合が行なわれず、ピークが低くなる。一方で、液混合部15と酸度測定部16の間の長さが長いと酸が拡散するため、短鎖脂肪酸のピーク幅が広がり、ピーク高さが低下する。このため、最も良好なピーク高さを得るためには、液混合部15と酸度測定部16の間の流路の長さを40〜60cmとするのが好ましい。なお、液混合部15と酸度測定部16の間の流路は、20〜80cmであれば良好なピーク高さを得ることができるため、装置の設計に応じて、液混合部15と酸度測定部16の間の長さを変更することが可能である。
16は分離された短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部であり、その詳細な構成を第4図を用いて説明する。第4図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の酸度測定部の電極詳細図である。
第4図において、24はキノン溶液中のキノンの電気化学反応が進行する作用電極であり、グラッシーカーボンを用いる。25は前記作用電極の電位制御の基準となる参照電極であり、飽和カロメロ電極(以降SCEと呼ぶ)を用いる。26は作用電極と対になり電極を流す対極である。対極26は流路を囲むように形成されており、材料はステンレスを使用している。27はキノン溶液の通路を確保するためのスペーサ、28は電極中を流れていく電解液である。酸度測定部16では、作用電極24の電位が参照電極25に対して一定となるように電位制御装置(ポテンシオスタット)を用いて電圧を印加し、作用電極24に流れるキノンの電流を測定する。
17は測定後のキノン溶液と溶離液を貯蔵する廃液槽であり、18はこの装置の電源を供給する電源ボックスであり、19はこの装置を制御する制御基板であり、20は種々の短鎖脂肪酸の酸度に対する還元電流値を表示するディスプレーである。
以上のように構成される潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の動作につき、以下説明する。
まず、測定試料を準備するため、第5(a)図、及び第5(b)図に示す採取便ツール29を用いて、便を採取する。第5(a)図は、採取便ツール29の分解図を表し、第5(b)図は、採取便ツール29の組立断面図を表す。採取便ツール29の先端のぎざぎざ部30にて便を採取し、第5(b)図に示すように、3%のフェノール水溶液で構成された殺菌水32で満たされる採取容器31に保管する。短鎖脂肪酸は、保管中に便中の殺菌水32中に抽出されており、短鎖脂肪酸が抽出された殺菌水32から固形物をメンブレンフィルターなどでフィルタリングする。なお、フィルタリングされた殺菌水32中の短鎖脂肪酸の濃度が0.005mM〜2mMになるように便の量、及び殺菌水32の量をコントロールする。
次に、潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置を起動させる。溶離液は、ポンプB12により、流量0.6ml/分で溶離液タンク9からデガッサー10を通って酸分離カラム14へ送られ、酸分離カラム14を通過後、液混合部15に到達する。また、キノン溶液は、ポンプA11により、流量1ml/分で溶液タンク8からデガッサー10を通って液混合部15まで供給される。
次に、殺菌水32の中から試料として20μLを取り出し、試料注入部13に注入する。試料に含まれる短鎖脂肪酸は、溶離液に混入し、酸分離カラム14に運ばれる。
酸分離カラム14では、試料に含まれる複数の短鎖脂肪酸が分離され、分離した短鎖脂肪酸は順次液混合部16に送られる。
液混合部15は、上述のように、側管22の側管先端部23が主管21の中央に位置し、かつ側管先端部23の開口面が、主管の内径面に平行になるよう構成しているので、主管21内の電解液の流れにより側管先端部23の出口部分の圧力が低圧になり、このため、側管22内を通過してきた溶離液は側管22の出口で圧力が開放され、第3図に示すように、溶離液は側管22出口で霧状に拡散しながらキノン溶液に混入していく。液混合部15にて溶液に混入した短鎖脂肪酸は、液混合部15と酸度測定部16の間の流路においてさらにキノン溶液と混合されながら酸度測定部16に送液される。
酸度測定部16に送られた混合溶液は、第4図に示すように、スペーサ27によって形成された流路を矢印の方向に流れていく。参照電極25に対して作用電極24の電位が−0.53Vになるように作用電極24と対極26の間に電圧が印加されており、これにより、試料より分離された短鎖脂肪酸を含むキノン溶液が酸度測定部16を通過すると、短鎖脂肪酸の酸度に比例する電流が得られる。短鎖脂肪酸を含むキノン溶液は、酸分離カラムから短鎖脂肪酸が分離される毎に液混合部15を経て酸度測定部16に供給されるため、酸度測定部16は、試料に含まれる短鎖脂肪酸の酸度に比例する電流を連続的に検出していく。
第6図は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置で便中の短鎖脂肪酸量を酸度測定部16で測定した場合の、試料を注入してからの保持時間と還元電流との相関図である。第6図において、横軸は試料を注入してからの保持時間、縦軸は酸度測定部で測定したVKの還元電流値を示す。乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸を含有した標準液を予め作成し、本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断及び予後試験用測定装置で測定して保持時間に従う各種短鎖脂肪酸のピーク発生位置を予め確認しておけば、測定試料に含まれる各種の短鎖脂肪酸を特定することができる。なお、短鎖脂肪酸の標準溶液を用いて検量線を作成したところ、酸度測定の感度が5μM〜2mMの範囲においてよい直線関係が得られる。本実施の形態1では、キノン溶液を3mMとして測定するので、酸が5μM以下では検出の限界となり、2mMより濃い濃度では、ピークが頭打ちになる。
以上のように、本実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置によれば、酸分離を行う溶離液を貯めた溶離液タンク9と、前記溶離液を送液する少なくとも1つのポンプ12と、試料を前記溶離液に注入する試料注入部13と、前記試料注入部13から注入された前記試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラム14を有する系から供給される溶離液と、キノン及び支持電解質が含有されたキノン溶液を貯めた溶液タンク8と、前記キノン溶液を送液する少なくとも1つのポンプ11を有する系から供給されるキノン溶液を混合する液混合部15と、前記試料から分離された前記短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部16とを備えるようにしたので、保管された殺菌水から得られた試料を試料注入部から注入することで簡単に揮発性短鎖脂肪酸の総和と乳酸の濃度を求めて乳酸濃度/揮発性短鎖脂肪酸濃度の比率を算出することができ、これにより、潰瘍性大腸炎を高精度で発見することが可能となる。
また、酸度測定部16において電気化学的測定法により試料中の揮発性短鎖脂肪酸の総和と乳酸の濃度を測定することとしたので、試料が少なくても迅速に測定することができる。
また、液混合部15において、前記溶離液が流れる側管22をキノン溶液が流れる主管21の内部に挿入し、側管22の先端部23の開口面が前記主管の内径面に対して平行になるように位置決めすることとしたので、作用電極24の表面にできるだけ乱流を発生させずに、溶離液をキノン溶液に混入することができ、これにより、酸度測定部16においてブロードにならないピーク波形を得ることが可能となる。また、各種短鎖脂肪酸の量を比較する場合にはノイズ成分が一定であるため、見かけ上ノイズが影響のない状態とすることができる。
本発明の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置及び測定方法は、血液の検査を行うことなく、短時間、かつ簡単、正確に短鎖脂肪酸を測定することにより、潰瘍性大腸炎を発見し、治療中の薬物療法を適切に行うことができる点において有用である。
本発明は、潰瘍性大腸炎を発見し、また薬物療法を中心とした治療を適切に行うために、便中に含まれる短鎖脂肪酸を個別に分離し、各々の短鎖脂肪酸を電気化学的方法で測定する潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置及び測定方法に関する。
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)は、「主として粘膜と粘膜下層をおかす、大腸とくに直腸の特発性、非特異性の炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが、小児や50歳以上の者にも見られる。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体をおかす場合には悪性化の傾向がある。」とされている、炎症性腸疾患の一種である。粘膜を超えて組織が浅く欠損する糜爛(びらん)や、深く欠損する潰瘍が大腸に形成され、下痢、血便、腹痛や発熱などの症状を呈する。この疾患は、良性でありながら、患者のQOLが著しく損なわれる原因不明の難治性疾患で、長期経過例では癌化するリスクが高くなる。わが国では、生活習慣の欧米化に伴い着実に増加を続けている。特定疾患の申請をしている日本の患者数は平成11年末で特定疾患受給者証の数で約60600人であり、最近は年間約4000人の方が発病していて患者数は増加し続けている。世界的にみると、欧米諸国を中心に患者数が多く、北欧やアメリカの白人、ユダヤ人に特に多いと言われている。また、様々な治療にもかかわらず、8〜9割の人が何回も再発を繰り返すのがこの病気の特徴である。
潰瘍性大腸炎の診断は、細菌性赤痢、アメーバー赤痢、日本住血吸中病、大腸結核などの感染性大腸炎、及び放射性腸炎、虚血性大腸炎、肉芽腫性大腸炎を除きX線所見、内視鏡所見、及び生検組織所見などから総合的に判断される。初期的な発見方法としては、潰瘍性大腸炎の症状で最も多く見られる便中の出血を検査する方法が一般的に集団検診等で行われている。便中の出血を調べて潰瘍性大腸炎等を検査する従来の方法は、排便中の潜血成分のヘモグロビンを、採便具により採取して、抗ヘモグロビン抗体を用いて免疫学的測定方法により測定する方法がある。しかし、この検査方法は手軽ではあるが、排便中のヘモグロビンを検便試料として長期間保存するため、保存中にヘモグロビンが分解し、ヘモグロビンを正確に測定できないといった問題が生じていた。ヘモグロビンの分解を抑制するため、ペニシリンや非ペニシリン系抗生物質を添加する方法が、特開平7−72154号公報に開示されているが、上記検査方法は測定に長時間を費やし、また、出血性の排便は、潰瘍性大腸炎に限らず、痔ろう等の慢性疾患でも起こり得るため、便中のヘモグロビンの存在が測定できても、それが痔ろうによる出血なのか、潰瘍性大腸炎等による出血なのかを区別することはできず、測定結果の正確性は低いものであった。このため、免疫学的測定方法とは異なる、新たな潰瘍性大腸炎の検査方法の創出が望まれている。
ところで、潰瘍性大腸炎に関して、患者の便中細菌とその代謝産物である短鎖脂肪酸との関係が、中村正樹著,日本消化器病学会雑誌,(財)日本消化器病学会,1989年8月,第86巻,第8号,p.1627−1637において報告されており、前記文献では、潰瘍性大腸炎患者の便中細菌数は健常人と比べ減少すると報告されている。なかでも嫌気性菌数が減少すると共に好気性菌数が増加し、この結果、健常人に比べて、腸内細菌による糖質の代謝産物である短鎖脂肪酸の濃度が便中細菌数に比例して減少し、非揮発性の短鎖脂肪酸である乳酸濃度が、揮発性の短鎖脂肪酸である酢酸、プロピオン酸、吉草酸、イソ吉草酸の濃度の総和に対して高くなると報告されている。また、病変が拡大するほど、そして緩解期より活発期にあたるほど乳酸濃度は増加すると報告されている。
かかる見識に基づけば、健常人では揮発性短鎖脂肪酸に対して乳酸が少ないため、乳酸濃度/揮発性短鎖脂肪酸濃度の比率は小さい値をとるが、潰瘍性大腸炎患者の便では短鎖脂肪酸が少なく乳酸が多いため、乳酸濃度/揮発性短鎖脂肪酸濃度の比率は相対的に大きな値をとることになる。従って、乳酸と揮発性短鎖脂肪酸の比率を正確に測定することができれば、上述した従来技術とは全く異なる潰瘍性大腸炎測定装置を得ることが可能となる。
このような潰瘍性大腸炎測定装置を実現するためには、非揮発性の乳酸と揮発性短鎖脂肪酸の濃度を正確に測定する必要がある。従来の短鎖脂肪酸の測定方法としては、短鎖脂肪酸の蛍光誘導体化による検出方法が知られている。かかる方法では、便から短鎖脂肪酸を溶液中に抽出した後、9−Anthryldiazomethane(ADAM試薬)と短鎖脂肪酸のカルボキシル基をエステル結合させることで、短鎖脂肪酸を蛍光誘導体化し、高速液体クロマトグラフで分離して蛍光検出を行っている。
しかしながら、上述した蛍光法で短鎖脂肪酸の濃度を測定する場合、短鎖脂肪酸に蛍光物を誘導体化するという測定前準備で2時間程度を要するという欠点があり、また、当該方法を使用した測定装置は、測定装置の精度の指標である測定値のRSD(相対標準偏差)が大きく、高精度の測定を行なうことができない。
また、上述した蛍光法とは異なり、脂肪酸等の有機酸の酸度を簡易に、しかも短時間で測定する方法として、アンペロメトリーを利用する測定方法が、高村喜代子,楠文代著,「デターミネーション・オブ・ザ・フリー・ファッティ・アシッド・コンテント・イン・ファッツ・アンド・オイルズ・バイ・フロー・インジェクション・アナリシス・ウィズ・エレクトロケミカル・ディテクション(Determination of the Free Fatty Acid Content in Fats and Oils by Flow Injection Analysis with Electrochemical Detection)」,アナリティカル・サイエンシィズ(ANALYTICAL SCIENCES),1995年12月,第11巻,第6号,p.979−981において提案されている。これは有機溶媒中に支持電解質と、ビタミンK3などのキノンを入れた共存電解液を一定流量で流している送液系に、作用電極と対極と参照極を設け、前記参照極に対して前記作用電極が一定の電位を示すように前記作用電極と前記対極の間に電圧を印加し、この状態で有機酸を含有した測定試料を一定量注入して前記測定試料中の酸度に比例した電流値を得るものである。
このような、短鎖脂肪酸をアンペロメトリーで測定する方法と、高速液体クロマトグラフなどが持つ酸分離カラムを用いて種々の短鎖脂肪酸に分離する方法とを組み合わせて、上述した蛍光法と同じように一般的なポストカラム誘導体化法を利用して、短鎖脂肪酸の濃度を測定することも考えられる。図7は従来の高速液体クロマトグラフのポストカラム誘導体化法を行なうための装置を示す図である。図7において、34は移動相を、35は誘導体化試薬を、36は分離カラムを、37はミキシングデバイスを、38は紫外・可視吸光検出器をそれぞれ表す。図7に示す装置においてポストカラム誘導体化法を行なう場合、移動相34と誘導体化試薬35を混合し、ミキシングデバイス37で十分な混合行なった後、移動相34と誘導体化試薬35を反応させる必要があり、このため、ミキシングデバイス37の後段に反応コイルを設ける必要がある。反応コイルは誘導体化反応の種類によってその特性が異なるが、通常の高速液体クロマトグラフ分離系を使用する場合は、内径が0.5〜0.8mm程度のステンレスやテフロン(登録商標)製のチューブを用いる。ここで、ピーク拡散を最小限に止めるためには、カラム溶出液と反応溶液は1:1の割合で混合するのが良く、また、反応コイルの長さは、必要以上に長くしないのが良いと考えられる。
しかしながら、このような従来の高速液体クロマトグラフの一般的なポストカラム誘導体化法を利用してアンペロメトリーで測定する方法では、反応コイルで移動相34と誘導体化試薬35とを、バラツキなく、素早く反応させるための様々な工夫をしても、測定するピークがブロードになってしまい、感度がとれないという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、血液の検査を行うことなく、便中の短鎖脂肪酸濃度を測定して、短時間、簡易、且つ正確に腫瘍性大腸炎を判定するための潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置、及び測定方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、酸分離を行う溶離液を貯めた溶離液タンクと、前記溶離液を送液する少なくとも1つのポンプと、試料を前記溶離液に注入する試料注入部と、前記試料注入部から注入された前記試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラムとを有する分離系から供給される溶離液と、キノン、及び支持電解質を含むキノン溶液を貯めた溶液タンクと、前記キノン溶液を送液する少なくとも1つのポンプとを有する送液系から供給されるキノン溶液とを混合する液混合部と、前記液混合部から流出する混合液に含まれる前記短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部とを備え、前記酸度測定部は、前記液混合部にて前記キノン溶液に順次混合される前記試料中の短鎖脂肪酸の酸度を連続的に測定することを特徴とするものである。
これにより、便中に含まれる種々の短鎖脂肪酸を、簡易な操作にて、短時間、かつ正確に測定することができ、また、潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の自動化が可能となる。
本発明の請求項2に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合部は、前記キノン溶液が流れる主管と、前記溶離液が流れる側管とを有し、前記側管は、その先端部の開口面が前記主管の内径面に対して平行になるように、前記主管内部に貫入されていることを特徴とするものである。
これにより、主管を流れるキノン溶液中に側管内部を流れる試料をばらつき無く拡散することが可能となり、測定精度の向上を図ることが可能となる。
本発明の請求項3に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項2に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合部は、前記側管の先端部の断面積が、前記主管の内部断面積に対して1/3以下であることを特徴とするものである。
これにより、主管内部を流れるキノン溶液中に、側管内部を流れる試料をばらつき無く拡散することが可能となり、測定精度の向上を図ることが可能となる。
本発明の請求項4に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸度測定部は、前記キノンの電気化学反応が進行する作用電極と、前記作用電極の電位制御の基準となる参照電極と、前記作用電極と対になり電流を流す対極を有し、前記作用電極の電位が前記参照電極に対して一定となるように電圧を印加し、前記作用電極に流れる前記キノンの電流を測定することを特徴とするものである。
これにより、アンペロメトリーで正確に測定することが可能となる。
本発明の請求項5に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸分離カラムは、イオン交換基と同じ電荷をもつイオンを静電的な斥力の差によって目的試料を分離するイオン排除型カラムであることを特徴とする。
これにより、試料中の種々の短鎖脂肪酸を分離することが容易にできるようになる。
本発明の請求項6に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記溶離液タンクからの流路と溶液タンクからの流路に、前記キノン溶液と前記溶離液中の気泡、及び溶存酸素を除去するデガッサーを備えたことを特徴とするものである。
これにより、キノン溶液に含まれ、ノイズの原因となる溶存酸素や気泡を除去することができ、測定精度の向上を図ることが可能となる。
本発明の請求項7に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸分離カラムの溶離液の流量は、7.96mm/min〜60.2mm/minであることを特徴とするものである。
これにより、種々の短鎖脂肪酸を効率よく分離することができる。
本発明の請求項8に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記キノン溶液の流量は、891mm/min〜5102mm/minであることを特徴とするものである。
これにより、試料中の酸度を正確に測定することができる。
本発明の請求項9に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記溶離液は、0.1mMの過塩素酸を含有した水溶液であることを特徴とするものである。
これにより、試料中の種々の短鎖脂肪酸を分離することができる。
本発明の請求項10に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記キノン溶液は、3mM〜6mMのキノンと、50mM〜150mMの過塩素酸リチウムを含有したエタノール溶液であることを特徴とするものである。
これにより、試料中の酸度を正確に測定することができる。
本発明の請求項11に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記試料は、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸の6種類の短鎖脂肪酸を含有する、人の便であることを特徴とするものである。
これにより、乳酸と揮発性酸である酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸の総和との比を簡便に求めることができる。
本発明の請求項12に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記酸度測定部の酸度測定感度は、5μM〜2mMまで測定できることを特徴とするものである。
これにより、短鎖脂肪酸の酸度を幅広い範囲で測定できる。
本発明の請求項13に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置は、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、前記液混合部と前記酸度測定部との間に設けられる流路の長さは、20cm〜80cmであることを特徴とするものである。
これにより、ノイズが発生せず、ピークがブロードにならない測定ができる。
本発明の請求項14に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定方法は、一定の流量で酸分離カラムに流出される溶離液に測定試料を注入し、前記酸分離カラムにて、前記測定試料中に含まれる短鎖脂肪酸を分離する酸分離ステップと、一定の流量で送液されるキノンと支持電解質を含有したキノン溶液に、前記酸分離カラムより流出する前記溶離液を混入する液混合ステップと、前記液混合ステップにおいて、前記キノン溶液に順次混入される前記測定試料中の短鎖脂肪酸の酸度を、連続的に測定する酸度測定ステップとを備えることを特徴とするものである。
これにより、従来の方法に比べ便中の種々の短鎖脂肪酸を前処理することなく測定することができ、短時間で正確な測定ができる。
本発明の請求項15に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定方法は、請求項14に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定方法において、前記液混合ステップは、流路内の前記キノン溶液が流れる主管の流れに、前記溶離液が流れる側管の流れを混入することにより流路を形成し、前記側管から吐出される前記溶離液を、前記主管内部を流れるキノン溶液に対して平行に吐出することにより、前記溶離液を前記キノン溶液中に均一に拡散することを特徴とするものである。
これにより、主管のキノン溶液中に側管の試料がばらつき無く拡散することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の外観図である。
図1において、1は本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置を内部に納める筐体、2は分離カラムを交換するためのドア、3は測定過程および測定結果を表示するディスプレー、4は測定試料を注入するための試料注入部、5は各種操作を行うための操作ボタン、6はトグルスイッチ、7は測定中に溜まった廃液を廃棄するための廃棄ドアである。
図2は、本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の構成を表す概略図である。
図2において、8は電気化学的酸度測定を行うための電解液を溜めておくための溶液タンクである。電解液は、溶媒としてエタノールを、支持電解質として過塩素酸リチウムを、キノンとしてビタミンK3(以降VK3と呼ぶ)を含有するものを使用している。ここで、過塩素酸リチウムの濃度が薄いとキノン溶液の抵抗が大きくなると共にノイズである充電電流の変動が大きくなり、また、その濃度が高いと塩の析出が生じてしまう。このため、過塩素酸リチウムの濃度は、50mM〜150mMとするのが好ましい。また、本発明においては、後述する酸度測定部16において、キノンの濃度に対する微量の酸を測定することとしているため、キノンの濃度については、溶媒との関係における溶解可能な範囲で、測定対象である酸の濃度よりも十分濃い必要がある。このため、エタノールを溶媒として使用する場合のキノン濃度は、3mM〜6mMとするのが好ましく、本実施の形態1においては、キノン濃度を3mMとしている。なお、上記溶媒は、エタノールの他に、メタノールやプロパノール、あるいはメタノール、エタノール、プロパノールの2〜3種混合系を使用しても良く、支持電解質は、上記過塩素酸リチウムの他に、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウムを使用しても良く、また、キノンは、VK3の他に、3,5−ジ−t−ブチル 1,2ベンゾキノン(DBBQ)、テトラブロモ 1,2ベンゾキノンを使用しても良い。
9は酸分離を行うための溶離液を貯めておくための溶離液タンクである。溶離液は0.1mMの過塩素酸水溶液を使用している。ここで、溶離液としての過塩素酸の濃度を、例えば1mM程度まで濃くすると、後述する酸度測定部16におけるベースライン電流が増加し、測定結果にノイズが多く重畳されることになる。また、過塩素酸の濃度を例えば0.01mMのように極端に薄くすると、短鎖脂肪酸が酸分離カラムから溶出しなくなり、ピークとして出現しなくなる。このため、過塩素酸の濃度は、0.07mM〜0.3mM程度の濃度とするのが好ましい。なお、本実施の形態1では、後述するように酸分離カラム14としてイオン排除型カラムを使用しており、使用する溶離液は、上記過塩素酸水溶液の他に、リン酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸を使用しても良い。また、酸分離カラムとして逆相カラムを使用する場合は、水とメタノール、エタノール、アセトニトリル、プロパノールの2〜4種混合系が適しており、イオン交換カラムを使用する場合は、過塩素酸水溶液、リン酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸が適する。
10は電解液と溶離液中の気泡や溶存酸素を除去するためのデガッサーである。11はキノン溶液を送液するポンプAであり、流量1ml/分でキノン溶液を液混合部15まで供給する。ここで、前記キノン溶液の流量は、891mm/min〜5102mm/minになるようにする。これは、酸度測定部16におけるキノン溶液の流速が上記流速よりも遅い場合は、分離した酸が拡散してしまうので、酸度測定時のピークがブロードになり測定誤差が生じることになり、また、上記流速より早い場合は、電極24での還元反応のスピードが間に合わなくなるため、電極反応の応答性が悪くなり、測定誤差が生じることによる。
12は溶離液を送液するポンプBであり、流量0.6ml/分で溶離液を液混合部15まで供給する。ここで、前記酸分離カラムの溶離液の流量は、7.96mm/min〜60.2mm/minになるようにする。これは、酸分離カラム14の溶離液の流量が上記流速よりも遅い場合、測定時間がかかるのみならず、分離した酸が拡散してしまうので、酸度測定時のピークがブロードになり測定誤差が生じ、また、上記流速より早い場合は、酸を分離することができなくなることによる。なお、ポンプA11、及びポンプB12は、JIS K0124 高速液体クロマトグラフ分析通則4.2分離部(2)ポンプで規定されるポンプの使用が望ましい。
13は試料を溶離液中に注入するための試料注入部である。14は試料注入部13で注入された試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラムである。本実施の形態1では、酸分離カラム14として、イオン交換基と同じ電荷をもつイオン(共通イオン)の静電的な斥力の差によって目的試料を分離するイオン排除型カラム(島津製shim−pack SPR−H(250mm×7.8mm i.d.))を使用する。酸分離カラム14は、上記イオン排除型カラムの他に、サンプルの2相間(移動相と固定相)の分配平衡の差によって目的試料を分離するODSなどの逆相カラムや、イオン交換基と反対の電荷をもつイオン(対イオン)の静電的な親和力の差によって目的試料を分離するイオン交換カラムを使用することも可能であるが、測定精度を高めるためには、イオン排除型カラムの使用が望ましい。
15は酸分離カラム14から流出する溶離液とポンプB12で送液されるキノン溶液とを混合する液混合部であり、その詳細な構成について図3を用いて説明する。図3は、液混合部15の断面図である。
図3において、21はキノン溶液が流れる主管であり、22は分離された短鎖脂肪酸を含む溶離液が流れる側管であり、23は側管22の先端部である。図3に示すように、液混合部15では、主管21の一部に側管22を突き刺して、側管22の先端部23を主管21の内部に挿入し、更に、側管先端部23を主管21の中央の位置で位置決めする。この際に、側管先端部23が主管21内部のキノン溶液流出方向に対して平行であり、かつ側管先端部23の開口面が、主管21の内径面に対して平行になるようにする。以上の構成により、主管21内部の流れに側管22の流れを混入させて流路を形成し、側管22内部を流れる溶離液を、主管21内部のキノン溶液の流れに対して平行に吐出させる。なお、本実施の形態1においては、側管先端部23の開口面の面積が、主管21の内部断面積に対して、1/3になるように設計しているが、側管先端部23の半径と主管21の内部断面積との関係は上記の値に限られるものではなく、側管22が主管21の内部に入ることができるものであれば良い。
ここで、液混合部15にてキノン溶液に混入した短鎖脂肪酸は、後述する酸度測定部16に送液されるが、液混合部15と酸度測定部16の間の流路においても短鎖脂肪酸を分離した溶離液とキノン溶液の混合が行なわれるため、液混合部15と酸度測定部16の間の長さが短いと、十分な混合が行なわれず、ピークが低くなる。一方で、液混合部15と酸度測定部16の間の長さが長いと酸が拡散するため、短鎖脂肪酸のピーク幅が広がり、ピーク高さが低下する。このため、最も良好なピーク高さを得るためには、液混合部15と酸度測定部16の間の流路の長さを40〜60cmとするのが好ましい。なお、液混合部15と酸度測定部16の間の流路は、20〜80cmであれば良好なピーク高さを得ることができるため、装置の設計に応じて、液混合部15と酸度測定部16の間の長さを変更することが可能である。
16は分離された短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部であり、その詳細な構成を図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の酸度測定部の電極詳細図である。
図4において、24はキノン溶液中のキノンの電気化学反応が進行する作用電極であり、グラッシーカーボンを用いる。25は前記作用電極の電位制御の基準となる参照電極であり、飽和カロメロ電極(以降SCEと呼ぶ)を用いる。26は作用電極と対になり電流を流す対極である。対極26は流路を囲むように形成されており、材料はステンレスを使用している。27はキノン溶液の通路を確保するためのスペーサ、28は電極中を流れていく電解液である。酸度測定部16では、作用電極24の電位が参照電極25に対して一定となるように電位制御装置(ポテンシオスタット)を用いて電圧を印加し、作用電極24に流れるキノンの電流を測定する。
17は測定後のキノン溶液と溶離液を貯蔵する廃液槽であり、18はこの装置の電源を供給する電源ボックスであり、19はこの装置を制御する制御基板であり、20は種々の短鎖脂肪酸の酸度に対する還元電流値を表示するディスプレーである。
以上のように構成される潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の動作につき、以下説明する。
まず、測定試料を準備するため、図5(a)、及び図5(b)に示す採取便ツール29を用いて、便を採取する。図5(a)は、採取便ツール29の分解図を表し、図5(b)は、採取便ツール29の組立断面図を表す。採取便ツール29の先端のぎざぎざ部30にて便を採取し、図5(b)に示すように、3%のフェノール水溶液で構成された殺菌水32で満たされる採取容器31に保管する。短鎖脂肪酸は、保管中に便中の殺菌水32中に抽出されており、短鎖脂肪酸が抽出された殺菌水32から固形物をメンブレンフィルターなどでフィルタリングする。なお、フィルタリングされた殺菌水32中の短鎖脂肪酸の濃度が0.005mM〜2mMになるように便の量、及び殺菌水32の量をコントロールする。
次に、潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置を起動させる。溶離液は、ポンプB12により、流量0.6ml/分で溶離液タンク9からデガッサー10を通って酸分離カラム14へ送られ、酸分離カラム14を通過後、液混合部15に到達する。また、キノン溶液は、ポンプA11により、流量1ml/分で溶液タンク8からデガッサー10を通って液混合部15まで供給される。
次に、殺菌水32の中から試料として20μLを取り出し、試料注入部13に注入する。試料に含まれる短鎖脂肪酸は、溶離液に混入し、酸分離カラム14に運ばれる。
酸分離カラム14では、試料に含まれる複数の短鎖脂肪酸が分離され、分離した短鎖脂肪酸は順次液混合部15に送られる。
液混合部15は、上述のように、側管22の側管先端部23が主管21の中央に位置し、かつ側管先端部23の開口面が、主管の内径面に平行になるよう構成しているので、主管21内の電解液の流れにより側管先端部23の出口部分の圧力が低圧になり、このため、側管22内を通過してきた溶離液は側管22の出口で圧力が開放され、図3に示すように、溶離液は側管22出口で霧状に拡散しながらキノン溶液に混入していく。液混合部15にて溶液に混入した短鎖脂肪酸は、液混合部15と酸度測定部16の間の流路においてさらにキノン溶液と混合されながら酸度測定部16に送液される。
酸度測定部16に送られた混合溶液は、図4に示すように、スペーサ27によって形成された流路を矢印の方向に流れていく。参照電極25に対して作用電極24の電位が−0.53Vになるように作用電極24と対極26の間に電圧が印加されており、これにより、試料より分離された短鎖脂肪酸を含むキノン溶液が酸度測定部16を通過すると、短鎖脂肪酸の酸度に比例する電流が得られる。短鎖脂肪酸を含むキノン溶液は、酸分離カラムから短鎖脂肪酸が分離される毎に液混合部15を経て酸度測定部16に供給されるため、酸度測定部16は、試料に含まれる短鎖脂肪酸の酸度に比例する電流を連続的に検出していく。
図6は、本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置で便中の短鎖脂肪酸量を酸度測定部16で測定した場合の、試料を注入してからの保持時間と還元電流との相関図である。図6において、横軸は試料を注入してからの保持時間、縦軸は酸度測定部で測定したVK3の還元電流値を示す。乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸を含有した標準液を予め作成し、本発明の実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断及び予後試験用測定装置で測定して保持時間に従う各種短鎖脂肪酸のピーク発生位置を予め確認しておけば、測定試料に含まれる各種の短鎖脂肪酸を特定することができる。なお、短鎖脂肪酸の標準溶液を用いて検量線を作成したところ、酸度測定の感度が5μM〜2mMの範囲においてよい直線関係が得られる。本実施の形態1では、キノン溶液を3mMとして測定するので、酸が5μM以下では検出の限界となり、2mMより濃い濃度では、ピークが頭打ちになる。
以上のように、本実施の形態1に係る潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置によれば、酸分離を行う溶離液を貯めた溶離液タンク9と、前記溶離液を送液する少なくとも1つのポンプ12と、試料を前記溶離液に注入する試料注入部13と、前記試料注入部13から注入された前記試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラム14を有する系から供給される溶離液と、キノン及び支持電解質が含有されたキノン溶液を貯めた溶液タンク8と、前記キノン溶液を送液する少なくとも1つのポンプ11を有する系から供給されるキノン溶液を混合する液混合部15と、前記試料から分離された前記短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部16とを備えるようにしたので、保管された殺菌水から得られた試料を試料注入部から注入することで簡単に揮発性短鎖脂肪酸の総和と乳酸の濃度を求めて乳酸濃度/揮発性短鎖脂肪酸濃度の比率を算出することができ、これにより、潰瘍性大腸炎を高精度で発見することが可能となる。
また、酸度測定部16において電気化学的測定法により試料中の揮発性短鎖脂肪酸の総和と乳酸の濃度を測定することとしたので、試料が少なくても迅速に測定することができる。
また、液混合部15において、前記溶離液が流れる側管22をキノン溶液が流れる主管21の内部に挿入し、側管22の先端部23の開口面が前記主管の内径面に対して平行になるように位置決めすることとしたので、作用電極24の表面にできるだけ乱流を発生させずに、溶離液をキノン溶液に混入することができ、これにより、酸度測定部16においてブロードにならないピーク波形を得ることが可能となる。また、各種短鎖脂肪酸の量を比較する場合にはノイズ成分が一定であるため、見かけ上ノイズが影響のない状態とすることができる。
本発明の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置及び測定方法は、血液の検査を行うことなく、短時間、かつ簡単、正確に短鎖脂肪酸を測定することにより、潰瘍性大腸炎を発見し、治療中の薬物療法を適切に行うことができる点において有用である。
本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の外観図である。 本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の概略図である。 本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の液混合部の断面図である。 本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置の酸度測定部の電極詳細図である。 本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置に試料を採取するためのツールを示す分解図である。 本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置に試料を採取するためのツールを示す組立断面図である。 本発明の実施の形態1における潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置で便中の短鎖脂肪酸量を酸度測定部で測定した場合の、試料を注入してからの保持時間と還元電流との相関図である。 従来の高速液体クロマトグラフのポストカラム誘導体化法を行なうための装置を示した図である。

Claims (15)

  1. 酸分離を行う溶離液を貯めた溶離液タンクと、前記溶離液を送液する少なくとも1つのポンプと、試料を前記溶離液に注入する試料注入部と、前記試料注入部から注入された前記試料中の短鎖脂肪酸を分離する酸分離カラムとを有する分離系から供給される溶離液と、キノン、及び支持電解質を含むキノン溶液を貯めた溶液タンクと、前記キノン溶液を送液する少なくとも1つのポンプとを有する送液系から供給されるキノン溶液とを混合する液混合部と、
    前記液混合部から流出する混合液に含まれる前記短鎖脂肪酸の酸度を測定する酸度測定部とを備え、
    前記酸度測定部は、前記液混合部にて前記キノン溶液に順次混合される前記試料中の短鎖脂肪酸の酸度を連続的に測定する、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  2. 請求の範囲第1項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記液混合部は、前記キノン溶液が流れる主管と、前記溶離液が流れる側管とを有し、
    前記側管は、その先端部の開口面が前記主管の内径面に対して平行になるように、前記主管内部に貫入されている、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  3. 請求の範囲第2項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記液混合部は、前記側管の先端部の断面積が、前記主管の内部断面積に対して1/3以下である、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  4. 請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記酸度測定部は、前記キノンの電気化学反応が進行する作用電極と、
    前記作用電極の電位制御の基準となる参照電極と、
    前記作用電極と対になり電流を流す対極を有し、
    前記作用電極の電位が前記参照電極に対して一定となるように電圧を印加し、前記作用電極に流れる前記キノンの電流を測定する、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  5. 請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記酸分離カラムは、イオン交換基と同じ電荷をもつイオンを静電的な斥力の差によって目的試料を分離するイオン排除型カラムである、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  6. 請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記溶離液タンクからの流路と溶液タンクからの流路に、前記キノン溶液と前記溶離液中の気泡、及び溶存酸素を除去するデガッサーを備えた、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  7. 請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記酸分離カラムの溶離液の流量は、7.96mm/min〜60.2mm/minである、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  8. 請求の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記キノン溶液の流量は、891mm/min〜5102mm/minである、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  9. 請求の範囲第1項ないし第8項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記溶離液は、0.1mMの過塩素酸を含有した水溶液である、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  10. 請求の範囲第1項ないし第9項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記キノン溶液は、3mM〜6mMのキノンと、50mM〜150mMの過塩素酸リチウムを含有したエタノール溶液である、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  11. 請求の範囲第1項ないし第10項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記試料は、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸の6種類の短鎖脂肪酸を含有する、人の便である、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  12. 請求の範囲第1項ないし第11項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記酸度測定部の酸度測定感度は、5μM〜2mMまで測定できる、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  13. 請求の範囲第1項ないし第12項のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記液混合部と前記酸度測定部との間に設けられる流路の長さは、20mm〜80mmである、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
  14. 一定の流量で酸分離カラムに流出される溶離液に測定試料を注入し、前記酸分離カラムにて、前記測定試料中に含まれる短鎖脂肪酸を分離する酸分離ステップと、
    一定の流量で送液されるキノンと支持電解質を含有したキノン溶液に、前記酸分離カラムより流出する前記溶離液を混入する液混合ステップと、
    前記液混合ステップにおいて、前記キノン溶液に順次混入される前記測定試料中の短鎖脂肪酸の酸度を、連続的に測定する酸度測定ステップとを備える、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定方法。
  15. 請求の範囲第14項に記載の潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置において、
    前記液混合ステップは、
    流路内の前記キノン溶液が流れる主管の流れに、前記溶離液が流れる側管の流れを混入することにより流路を形成し、
    前記側管から吐出される前記溶離液を、前記主管内部を流れるキノン溶液に対して平行に吐出することにより、前記溶離液を前記キノン溶液中に均一に拡散する、
    ことを特徴とする潰瘍性大腸炎診断・予後試験用測定装置。
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