JPWO2005002127A1 - 光受信装置および光受信方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、従来の光受信装置では、複数の識別器に識別を行うため、識別器の製造上の個体差や経年劣化により、光受信装置によって軟判定誤り訂正能力が異なってしまうという問題がある。
また、複数の識別器により識別を行うために回路規模の増大に伴い、消費電力が増大してしまうという問題がある。
また、運用中における入力電気信号の振幅の変化によって、誤り訂正能力がばらついてしまうという問題がある。
この発明は、従来の光受信装置の有する上記のような問題を解決することを目的とするものである。
これにより、識別器の製造上の個体差や経年劣化による光受信装置毎の誤り訂正能力のばらつきを抑えることができるのである。
また、複数の識別器による識別結果に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のうち、動作させる識別器の選択を行う制御手段を備えるものである。
これにより、光受信信号の品質に応じて消費電力を制御することができるのである。
また、複数の識別器における任意の1つで、複数の識別レベルに対する硬判定識別を行い、これらの硬判定識別結果に基いて、前記電気信号の平均振幅を計測し、この計測した平均振幅の経時変化に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段を備えるものである。
これにより、運用中における入力電気信号の振幅の変化に起因する誤り訂正能力のばらつきを抑えることができるのである。
図2はこの発明の実施の形態1による光受信装置におけるしきい値制御回路の構成を示すブロック図、
図3はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図4はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図5はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図6はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図7はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図8はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図9はこの発明の実施の形態1による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図10はこの発明の実施の形態2による光受信装置の構成を示すブロック図、
図11はこの発明の実施の形態3による光受信装置の構成を示すブロック図、
図12はこの発明の実施の形態4による光受信装置の構成を示すブロック図、
図13はこの発明の実施の形態5による光受信装置におけるしきい値制御回路の構成を示すブロック図、
図14はこの発明の実施の形態5による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図15はこの発明の実施の形態5による光受信装置の動作を説明するためのフローチャート、
図16はこの発明の実施の形態5による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図17はこの発明の実施の形態5による光受信装置の動作を説明するためのフローチャート、
図18はこの発明の実施の形態5による光受信装置の動作を説明するための説明図、
図19はこの発明の実施の形態6による光受信装置の動作を説明するためのフローチャート、
である。
この発明の実施の形態1に係る光受信装置は、光受信信号の識別を複数の識別器により複数の識別しきい値で行う軟判定誤り訂正機能を持つ光受信装置において、複数の識別器でそれぞれ硬判定識別を行い、各硬判定識別結果に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のしきい値の補正を行うことにより、識別器の製造上の個体差や経年劣化による光受信装置毎の誤り訂正能力のばらつきを抑えることができるものである。
図1はこの発明の実施の形態1における光受信装置の構成を示すブロック図である。
1は光受信装置、11は光電気変換部、12a〜12gは識別器、13は識別結果符号化器、14は直列並列変換回路、16は通信品質検出回路、17はしきい値制御回路、100は光受信信号、101はしきい値間隔設定信号、200は並列識別信号、201は識別器毎の識別頻度や誤り訂正数等の情報、202は通信品質信号である。図1において識別器は一例として7個の場合について示している。光電気変換部11が光電気変換手段に該当する。識別器12a〜識別器12gと識別結果符号化器13で軟判定識別手段を構成する。誤り訂正回路15が誤り訂正手段に該当する。通信品質検出回路16としきい値制御回路17で制御手段を構成する。
次に動作について説明する。光受信信号100が光電気変換部11に入力され、光電気変換部11では光信号を電気信号に変換し、識別器12a〜識別器12gに出力する。
識別器12a〜識別器12gは、光電気変換部11から入力した電気信号をそれぞれの設定しきい値に基いて、しきい値レベルよりも低ければ情報データ0と識別し、また、しきい値レベルよりも高ければ情報データ1と識別し、識別結果を識別結果符号化器13に出力する。
識別結果符号化器13は、1つの電気信号に対してそれぞれ識別器12a〜識別器12gから出力された識別結果に基いて、軟判定識別を行った結果としての識別信号及びこの識別信号の信頼度を示す信頼度情報をひとまとまりとして直列並列変換回路14に出力する。図14に示すように識別器が7個の場合は、識別信号が1ビットで、その識別信号の信頼度を示す信頼度情報が2ビットとなる。なお、例えば識別器が3個の場合は、信頼度情報は1ビットとなる。
直列並列変換回路14は、識別結果符号化器13より入力した直列の2進符号化データを並列データに変換して低速化し、誤り訂正回路15に出力する。低速化するのは誤り訂正回路15の処理スピードが低速ですむためである。なお、伝送速度と誤り訂正回路15の処理能力の関係によっては直列並列変換回路14が不要の場合も考えられる。
誤り訂正回路15は、直列並列変換回路14より入力した並列データを用いて誤り訂正を行い、誤り訂正した並列識別信号200を光受信装置1の識別結果として出力する。誤り訂正回路15はまた、識別器毎の情報データ0または情報データ1に対する識別頻度や誤り訂正数等の情報201を通信品質検出回路16に出力する。
通信品質検出回路16は、誤り訂正回路15から入力した情報201から誤り率や品質分布等の通信品質を検出し、通信品質信号202としてしきい値制御回路17に出力する。しきい値制御回路17は、通信品質検出回路16から入力した通信品質信号202に基いて識別器12a〜識別器12gに設定するしきい値を制御する。
図2は、図1におけるしきい値制御回路17の詳細を示したブロック図である。通信品質検出回路16から出力された通信品質信号202は最適しきい値検索回路21に入力される。最適しきい値検索回路21では、この通信品質信号202を基に識別器12a〜識別器12gのしきい値を設定するための情報を検索し、しきい値設定回路22に出力する。しきい値設定回路22では、最適しきい値検索回路21から入力された識別器12a〜識別器12gのしきい値を設定するための情報、および装置外から入力したしきい値間隔設定信号101に基いて、識別器12a〜識別器12gのしきい値を決定し、しきい値を出力する。
次に識別器12a〜識別器12gのしきい値を決める動作について詳細に説明する。図3は、受信信号100を7個の識別器で識別する場合の各しきい値レベルを示した説明図である。図において、太い実線は受信信号の波形、Dcは硬判定用中央しきい値レベルである。D+3、D+2、D+1はマーク(情報データ1)側のしきい値レベルであり、D+3が最も外側の配置である。D−1、D−2、D−3はスペース(情報データ0)側のしきい値レベルであり、D−3が最も外側の配置である。各識別器12a〜識別器12gにはそれぞれD+3〜D−3が設定されており、各識別器12a〜識別器12gは受信波形のレベルがそれぞれのしきい値より上か下かで識別結果を出力する。
図3では各しきい値は等間隔に設定されており、これら複数のしきい値に対応する識別結果に基き軟判定が行われる。しかし、一般に識別器には製造上の個体差や経年劣化があり、必ずしも希望のしきい値(この例では等間隔)が得られない。図4は、識別器のしきい値を初期の設定間隔に固定とし、一定量の硬判定識別を行った場合に各識別器が情報データ0または情報データ1と判定した数(以下、通信品質分布という)を示した説明図である。各識別器の製造上の個体差や経年劣化により、各識別器における情報データ0または情報データ1の識別頻度をしきい値レベル(D+3、D+2、D+1、Dc、D−1、D−2、D−3)に対してプロットした通信品質分布がきれいに揃っていない。
そこで、各識別器の製造上の個体差や経年劣化によるばらつきを揃えるための基準として、各識別器において情報データ0と判定する数と情報データ1のと判定する数とが等しくなるときの値を求める。各識別器を同じように構成した場合、ばらつきがなければそのしきい値は同一になるが、ばらつきがあると少しずつずれることになる。従って、そのずれを検索しておき、各識別器をそれぞれのしきい値(D+3、D+2、D+1、Dc、D−1、D−2、D−3)に設定する際に上記ずれに対応した補正を行うことで、7個の識別器のばらつきを抑えることができる。
図5は、硬判定識別における最適しきい値検索動作についてしきい値レベルDcの識別器12dを例とした場合を示した説明図である。まず、Dcについて硬判定識別を一定量行い、Dcの情報データ0の硬判定識別数と情報データ1の硬判定識別数を計数する。計数の結果、情報データ0の硬判定識別数の方が情報データ1の硬判定識別数より多い場合はしきい値を下げ、反対に情報データ1の硬判定識別数の方が情報データ0の硬判定識別数より多い場合はしきい値を上げて再度情報データ0の硬判定識別数と情報データ1の硬判定識別数を計数する。
以上の動作を、情報データ0の硬判定識別数と情報データ1の硬判定識別数が等しくなるまで繰り返す。情報データ0の硬判定識別数と情報データ1の硬判定識別数が等しい時に、硬判定識別しきい値が最適しきい値となる。同様に他の識別器(しきい値レベルD+3、D+2、D+1、D−1、D−2、D−3)についても硬判定識別を行い、硬判定識別における最適しきい値を検索する。
なお、硬判定識別における最適しきい値検索は、情報データ0の硬判定識別数と情報データ1の硬判定識別数ではなく、情報データ0の誤り数と情報データ1の誤り数から、それらが等しくなるように求めてもよい。また、硬判定識別における最適しきい値検索は、硬判定誤り訂正数が最も少なくなるように求めてもよい。
このように求めた各識別器の硬判定識別における最適しきいは、識別器の製造上の個体差や経年劣化が反映されたばらつきをもち、少しずつずれている。
そして、これら硬判定識別における最適しきい値のばらつき分だけ、軟判定識別しきい値における初期設定間隔に補正を加えて、軟判定識別しきい値の配置を行う。以上の硬判定識別結果に基く軟判定識別しきい値制御により、識別器の製造上の個体差や経年劣化による光受信装置毎の誤り訂正能力のばらつきを抑えることができる。
図6は、以上のような硬判定識別結果に基く軟判定識別しきい値制御後の通信品質の一例を示した説明図である。最適しきい値検索を行ったことにより、最適しきい値検索前に比べて通信品質分布はきれいに揃いつつあるが、まだ、誤り訂正能力が最も高くなる最適分布からはずれがあり、通信品質分布の不揃いが残る場合が考えられる。図7は、図6に示した通信品質分布に対し、誤り訂正能力が最も高くなる最適分布の一例を直線とし、重ねて破線で記述したものである。例えば最適分布は、不揃いが残る通信品質分布のプロットにフィッティングさせて、平均的な傾きをもち、最適しきい値に設定済みである中央しきい値レベルDcに対するプロットを通る直線(Y=A×X+B)を求めることで得られる。このような直線の傾きA及び切片Bは、中心の識別器における識別数Nc、マーク側の各識別器(しきい値レベルD+3、D+2、D+1、)における識別数の平均値N+、スペース側の各識別器(しきい値レベルD− 1、D−2、D−3)における識別数の平均値N−、中心の識別器におけるしきい値レベルDc、マーク側の中間の識別器におけるしきい値レベルD+2、スペース側の中間の識別器におけるしきい値レベルD−2より、次の式によって算出することができる。
A=(N+−N−)/(D+2−D−2) (1)
B=Nc−A×Dc (2)
図8は、上記の式によって算出した最適分布に通信品質分布を合わせるために各識別器のしきい値レベルをどのように移動すればよいかを示した説明図である。情報データ0では、算出した直線より頻度が高い場合は、しきい値レベルを下げ、直線より頻度が低い場合は、しきい値レベルを上げればよい。逆に情報データ1では、算出した直線より頻度が高い場合は、しきい値レベルを上げ、直線より頻度が低い場合は、しきい値レベルを下げればよいが、どちらか一方(例えば情報データ0)についてしきい値レベルの移動を行えば、もう一方もそれに伴い移動するので、どちらか一方でしきい値レベルの移動を行えばよい。図9は、このようにして各識別器のしきい値レベルを移動した後の通信品質分布を示した説明図である。各識別器のしきい値レベルを移動することにより、通信品質分布をきれいに揃えることができる。以上のしきい値制御により、誤り訂正能力を最適化することができる。
このように本発明の実施の形態1では、各識別器について硬判定識別を行い、硬判定識別における最適しきい値を検索し、識別器の製造上の個体差や経年劣化が反映された、これら最適しきい値のばらつき分だけ、軟判定識別しきい値における初期間隔設定に補正を加えて、しきい値の配置を行う軟判定識別しきい値制御により、識別器の製造上の個体差や経年劣化による光受信装置毎の誤り訂正能力のばらつきを抑えることができる。
これらの補正を受けた各識別器による識別結果に対応する情報データ0、情報データ1の識別頻度から表される通信品質分布がきれいに揃うようにしきい値レベルの移動を行う軟判定識別しきい値制御により、誤り訂正能力を最適化することができる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る光受信装置は、光受信信号の識別を複数の識別器により複数の識別しきい値で行う軟判定誤り訂正機能を持つ光受信装置において、軟判定識別手段の複数の識別器のうち、動作させる識別器の選択を行うことにより、光受信信号の品質に応じて消費電力を制御することができるものである。
図10は、この発明の実施の形態2における光受信装置の構成を示すブロック図である。図10において光電気変換部11、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15は、図1と同様の構成である。ただし、識別器12a〜識別器12gにはしきい値が入力されず、誤り訂正回路15からは識別器毎の情報データ0または情報データ1に対する識別数や誤り訂正数等の情報が出力されない。また、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15それぞれに装置外から動作モード設定信号が入力される。
誤り訂正能力は1つの識別器のみで判定する硬判定が最も低く、識別器の数を増やすほど、訂正能力が高くなる。ただし、識別器の数を増やすと回路規模と消費電力の増大を招く。一方、海底ケーブルシステムでは、敷設する光ファイバや中継器間隔の違い等により伝送品質劣化量はそれぞれの敷設区間により異なるが、一度敷設してしまえば、その区間の伝送品質劣化量はほぼ一定である。そのため、伝送品質劣化が小さい区間ほど識別器の数が少なくても光受信装置として十分な性能を発揮できる。
図10において動作モード設定信号により、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15は伝送品質劣化量に見合った識別器数に対応する回路のみを動作させることにより、無駄な電力消費を抑えることができる。
このように本発明の実施の形態2では、動作モード設定信号により適用する伝送区間の伝送品質劣化量に見合った識別器数に対応する回路のみを動作させるように構成したため、無駄な電力消費を抑えることができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る光受信装置は、光受信信号の識別を複数の識別器により複数の識別しきい値で行う軟判定誤り訂正機能を持つ光受信装置において、複数の識別器による識別結果に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のうち、動作させる識別器の選択を行うことにより、光受信信号の品質に応じて消費電力を制御することができるものである。
図11は、この発明の実施の形態3における光受信装置のブロック図である。図11において光電気変換部11、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15、通信品質検出回路16は図1と同様の構成である。ただし、光電気変換部11、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15には動作モード設定信号も入力される。動作モード選択回路31は、通信品質検出回路17から入力した通信品質信号から動作モードを選択し、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15それぞれに動作モード設定信号を出力する。
本発明の実施の形態2では、動作モード設定信号は外部から設定したが、その場合動作モードの設定は経年変化等の変化分のマージンを見て行われる。本発明の実施の形態3では、装置内で例えば誤り率といった通信品質を検出し、伝送品質劣化量に見合った動作モード設定を行うことにより、前記マージンを削減し、本発明の実施の形態2に対してさらに無駄な電力消費を抑えることができる。
図11において、動作モード選択回路31は、通信品質検出回路16から入力した通信品質から伝送品質劣化量に見合った識別器数に対応する回路のみを動作させる動作モードを選択し、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15それぞれに動作モード設定信号を出力する。動作モード設定信号により、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15は伝送品質劣化量に見合った識別器数に対応する回路のみを動作させることにより、無駄な電力消費を抑えることができる。
このように本発明の実施の形態3では、装置内で通信品質を検出し、適用する伝送区間の伝送品質劣化量に見合った識別器数に対応する回路のみを動作させるように構成したため、無駄な電力消費を抑えることができる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る光受信装置は、光受信信号の識別を複数の識別器により複数の識別しきい値で行う軟判定誤り訂正機能を持つ光受信装置において、複数の識別器とは独立に前記電気信号を硬判定識別できる硬判定識別器を備え、硬判定識別器で硬判定識別を行い、この硬判定識別結果の経時変化に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のしきい値の補正を行うことにより、識別器の製造上の個体差や経年劣化による光受信装置毎の誤り訂正能力のばらつきを抑えることができるものである。
図12は、本発明の実施の形態4における光受信装置のブロック図である。図12において、光電気変換部11、識別器12a〜識別器12g、識別結果符号化器13、直列並列変換回路14、誤り訂正回路15、通信品質検出回路16、しきい値制御回路17は図1と同様の構成である。硬判定および軟判定を行う識別器12a〜識別器12gのほかに常に硬判定による最適しきい値を検索できる掃引識別器41を設け、掃引識別器41は識別結果を誤り訂正回路15に出力し、誤り訂正回路15はまた識別器毎の情報データ0、情報データ1に対する識別数や誤り訂正数数等の情報を通信品質検出回路16に出力する。
まず、本発明の実施の形態1と同様に、識別器12a〜識別器12gの軟判定識別しきい値制御を行う。次に、本発明の実施の形態1と同様の手順で掃引識別器41の硬判定による最適しきい値を検索する。しきい値制御回路17はこのときの掃引識別器41の硬判定による最適しきい値を記憶しておく。その後、通信品質の変化や識別器の経年変化等が起こると、最適しきい値も変化することが考えられる。光受信装置1の立ち上げ後は通信がインサービスとなっているため、識別器12a〜識別器12gを再度硬判定による最適しきい値検索を行うことは出来ない。そこで、インサービス時でも硬判定による最適しきい値検索を行うことが出来る掃引識別器41の最適しきい値を検索し、立ち上げ時に記憶しておいた掃引識別器41の最適しきい値との差だけ識別器12a〜識別器12gの軟判定識別しきい値レベルをシフトする。
このように本発明の実施の形態4では、識別器12a〜識別器12gのほかに常に硬判定による最適しきい値を検索できる掃引識別器41を設け、立ち上げ時に記憶しておいた掃引識別器41の最適しきい値と、その後の掃引識別器41の最適しきい値との差だけ識別器12a〜識別器12gの軟判定識別しきい値レベルをシフトするように構成したため、通信品質の変化や識別器の経年変化等による軟判定誤り訂正能力の劣化を抑えることができる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る光受信装置は、光受信信号の識別を複数の識別器により複数の識別しきい値で行う軟判定誤り訂正機能を持つ光受信装置において、複数の識別器における任意の1つで、複数の識別レベルに対する硬判定識別を行い、これらの硬判定識別結果に基いて、前記電気信号の平均振幅を計測し、この計測した平均振幅の経時変化に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のしきい値の補正を行うことにより、運用中における入力電気信号の振幅の変化に起因する誤り訂正能力のばらつきを抑えることができるものである。
この発明の実施の形態5における光受信装置のブロック図は、図12と同様である。ただし、図13はこの発明の実施の形態5による光受信装置におけるしきい値制御回路の構成を示すブロック図であり、しきい値制御回路17における詳細な構成が異なる。すなわち、通信品質検出回路16から出力された通信品質信号202は最適しきい値検索回路21および入力振幅検索回路51に入力される。入力振幅検索回路51は図12に示す光電気変換部11から出力された電気信号の振幅を検索し、しきい値間隔演算回路52に出力する。閾値間隔演算回路52はしきい値間隔を演算し、しきい値間隔設定信号101を出力する。
次に入力振幅検索回路51の動作について詳細に説明する。光通信においては、一般に、情報データ0と情報データ1の雑音分布は、図14に示すように情報データ1の分散σ1が情報データ0の分散σ0より大きいガウス分布となる。図14においてμ0とμ1はそれぞれの情報データ0の平均電圧、情報データ1の平均電圧であり、μ0とμ1の差が入力信号(光電気変換直後の電気信号)の振幅となる。rを電圧として、f0(r)は情報データ0の分布、f1(r)は情報データ1の分布を表わす関数であり、Dはしきい値レベルである。通常、情報データ1の山のすそがμ0にかかる部分、および情報データ0の山のすそがμ1にかかる部分は十分に小さく無視でき、また、マーク率は1/2(情報データ0と情報データ1の割合は半々)であるので、しきい値レベルDがμ0に等しいとき、f1(r)はすべて1と識別され、f0(r)は1と識別される数と0と識別される数が半々となる。従って、しきい値レベルDがμ0に等しいとき、0と識別される数と1と識別される数の比が1:3となる。つまり、0と識別される数と1と識別される数の比が1:3となるしきい値レベルを検索することにより、μ0が求まる。
図15はμ0の検索方法を示すフローチャートである。まず振幅測定に用いる識別器を選定する(ステップST11)。装置立上げ時は運用開始前であるので、識別器12a〜識別器12gおよび掃引識別器41のどれを使ってもよい。運用中は、識別器12a〜識別器12gは軟判定識別に使用しているため、掃引識別器41のみがμ0の検索に使用できる。次に選定した識別器のしきい値レベルをμ0検索用の初期しきい値レベルに設定する(ステップST12)。初期しきい値レベルは任意でよいが、最大入力振幅と最小入力振幅における0レベルの中間の値に設定するのが好ましい。次に一定時間における0識別数と1識別数を積算し、1識別数に対する0識別数の比を求める(ステップST13)。1識別数に対する0識別数の比が1/3より小さいときは(ステップST14のYES)、しきい値レベルが図14に示すf0(r)の山のピークより0側(左側)にあるため、しきい値レベルを1側(右側)に移動し(ステップST15)、ステップST13に戻る。逆に1識別数に対する0識別数の比が1/3より大きいときは(ステップST14のNOかつステップST16のYES)、しきい値レベルが図14に示すf0(r)のピークより1側(右側)にあるため、しきい値レベルを0側(左側)に移動し(ステップST17)、ステップST13に戻る。そして、1識別数に対する0識別数の比が1/3に等しくなる(ステップST16のNO)まで繰り返す。なお、入力振幅演算は不定期の実施でもよいが、定期的に行うのが好ましい。
なお図15では1識別数に対する0識別数の比を用いて検索したが、0識別数または1識別数の絶対数を用いてもよい。例えば10Gbpsの速度なら、μ0は1秒間に0識別数が2.5Gbitになる場合のしきい値レベルである。
次にμ1を求める手順について詳細に説明する。図16に示すように、μ0の検索と同様に、0と識別される数と1と識別される数の比が3:1となるしきい値レベルDを検索することにより、μ1が求まる。
図17はμ1の検索方法を示すフローチャートである。図15の場合と同様に振幅測定に用いる識別器の選定(ステップST21)およびμ1検索用の初期しきい値レベルの設定(ステップST22)を行う。次に一定時間における0識別数と1識別数を積算し、1識別数に対する0識別数の比の比を求める(ステップST23)。1識別数に対する0識別数の比が3/1より小さいときは(ステップST24のYES)、しきい値レベルが図16に示すf1(r)の山のピークより0側(左側)にあるため、しきい値レベルを1側(右側)に移動し(ステップST25)、ステップST23に戻る。逆に1識別数に対する0識別数の比が3/1より大きいときは(ステップST26のYES)、しきい値レベルが図14に示すf1(r)のピークより1側(右側)にあるため、しきい値レベルを0側(左側)に移動し(ステップST27)、ステップST23に戻る。そして、1識別数に対する0識別数の比が3/1に等しくなる(ステップST26のNO)まで繰り返す。
最後に上述の手順で求めたμ1とμ0の差をとれば入力振幅が求められる。
次にしきい値間隔演算回路52の動作について詳細に説明する。図18は硬判定および軟判定識別における各しきい値の配置を示す説明図である。図18において、まず硬判定中央しきい値レベルDcは発明の実施の形態1に示した方法で検索する。同様に識別器12a〜識別器12gの個体差も検索する。次に中央しきい値レベルDcに対する各識別器のしきい値レベルD+3、D+2、D+1、D−1、D−2、D− 3のオフセット電圧を、所定の基準入力振幅と入力振幅検索回路51で求めた入力振幅との比から算出する、そして、これらのオフセット電圧に基づいて、識別器12a〜識別器12gのしきい値レベルを補正する。例えば基準入力振幅を500mVとし、その時の各識別器のしきい値レベルのオフセット電圧が(T+3、T+2、T+1、T−2、T−3、T−1)である場合、入力振幅750mV時における各識別器のしきい値レベルのオフセット電圧は、(T+3、T+2、T+1、T−2、T−3、T− 1)の1.5倍、入力振幅400mV時における各識別器のしきい値レベルのオフセット電圧は、(T+3、T+2、T+1、T−2、T−3、T−1)の0.8倍として求められる。
なお、各識別器のしきい値レベルは、上述のように所定の基準入力振幅に対する入力振幅の比から算出してもよいが、さらに微調整のための係数をかけてもよい。また、入力振幅に対する各識別器のしきい値レベルのオフセット電圧の設定テーブルを用意し、これを参照するようにしてもよい。
なお、図18に示すような光通信におけるガウス分布の形状から、識別器12a〜識別器12gの軟判定識別における最適しきい値レベルにおける1識別数に対する0識別数の比は一意に決まる。このため、上述のようなμ0とμ1の検出ではなく、直接各識別器について、軟判定識別における最適しきい値レベルにおける1識別数に対する0識別数の比となるようなしきい値レベルを検索し、設定するようにしてもよい。なお、全ての識別器について検索してもよいが、任意の識別器について検索し、残りの識別器はこの検索結果に基づいて演算し、設定するようにしてもよい。
また、図18に示すような光通信におけるガウス分布の形状から、Dcとμ0の差と、Dcとμ1の差との比(Dcとμ0の差:Dcとμ1の差)に基づいて各識別器のしきい値レベルを求めることもできる。
このように本発明の実施の形態5では、入力振幅検索回路51で入力電気信号の振幅を検索し、しきい値間隔演算回路52でしきい値間隔設定信号101を生成出力するように構成したので、運用中における入力電気信号の振幅の変化に対応して軟判定しきい値レベルを最適に補正することができ、運用中における入力電気信号の振幅の変化に起因する誤り訂正能力のばらつきを抑えることができる。
なお、本発明の実施の形態5では、上述のように、識別器による硬判定識別結果に基く入力電気信号の平均振幅の計測方法を、識別器のしきい値の補正に利用する実施例を示したが、用途はこれに限られるものではない。例えば、入力振幅をモニターし、システムの監視・制御に利用してもよい。このような識別器による入力平均振幅の計測方法によれば、入力振幅の計測手段を別に設ける必要がなくなり、装置構成の簡略化等の効果が期待できる。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る光受信装置は、光受信信号の識別を複数の識別器により複数の識別しきい値で行う軟判定誤り訂正機能を持つ光受信装置において、複数の識別器とは独立に硬判定識別できる硬判定識別器を備え、複数の識別器における各硬判定識別結果と硬判定識別器における硬判定識別結果との比較をそれぞれ行い、これらの比較結果の経時変化に基いて、軟判定識別手段の複数の識別器のしきい値の補正を行うことにより、識別器の経年変化による軟判定誤り訂正能力の劣化を抑えることができるものである。
この発明の実施の形態5における光受信装置のブロック図は、図12と同様である。ただし、図19は、図12に示すしきい値制御回路17において、識別器12a〜識別器12gのしきい値レベルの経年劣化を補正するためのフローチャートである。まず、立上げ時の設定における識別器12a〜識別器12gのしきい値レベルでの識別結果(0識別数および1識別数)と識別結果が同じになる掃引識別器41のしきい値レベルをそれぞれ検索し、記憶する(ステップST31)。次に所定の時間経過後に、識別器12a〜識別器12gの識別結果と、記憶している各しきい値レベルに対応する掃引識別器41の識別結果を比較し、識別結果が一致しない識別器がある場合には(ステップST32のNO)、その識別器のしきい値レベルを補正し(ステップST33)、ステップST32に戻る。そして、識別結果が全て一致する(ステップST32のYES)まで繰り返す。
なお、識別結果の比較は不定期の実施でもよいが、定期的に行うのが好ましい。また、硬判定しきい値レベルDcは発明の実施の形態1に示す方法で検索し、残りの6つの識別器について上述の手順で補正するようにしてもよい。
このように本発明の実施の形態6では、各識別器と掃引識別器の識別結果が一致するように各識別器のしきい値レベルを補正するように構成したため、識別器の経年変化による軟判定誤り訂正能力の劣化を抑えることができる。
産業上の利用の可能性
以上のように、この発明に係る光受信装置は、高速・大容量データを長距離伝送する海底ケーブルシステムのようなディジタル光伝送システムへの適用に有用である。ただし、用途はこれに限られるものではない。例えば、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Video Disk)といった光ディスクを記録媒体に用いた外部記憶装置等にも適用可能性のあるものである。
Claims (10)
- 受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換手段と、
前記光電気変換手段で変換した前記電気信号を識別する複数の識別器と、
前記複数の識別器による識別結果に対応した識別信号およびこの識別信号の信頼度を示す信頼度情報を求める軟判定識別手段と、
前記軟判定記識別手段で求めた前記信頼度情報を用いて、前記識別信号の誤り訂正を行う誤り訂正手段と、
前記複数の識別器でそれぞれ前記電気信号の硬判定識別を行い、各硬判定識別結果に基いて、前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする光受信装置。 - 前記複数の識別器でそれぞれ前記電気信号の硬判定識別を行い、各硬判定識別結果に対応した識別信号の誤り訂正結果に基いて、前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光受信装置。 - 前記複数の識別器のしきい値の補正後に、これらの補正を受けた複数の識別器による前記電気信号の識別結果に基いて、さらに前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光受信装置。 - 前記軟判定識別手段とは独立に前記電気信号を硬判定識別できる硬判定識別器を備え、
前記硬判定識別器で前記電気信号の硬判定識別を行い、この硬判定識別結果の経時変化に基いて、前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光受信装置。 - 受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換手段と、
前記光電気変換手段で変換した前記電気信号を識別する複数の識別器と、
前記複数の識別器による識別結果に対応した識別信号およびこの識別信号の信頼度を示す信頼度情報を求める軟判定識別手段と、
前記軟判定記識別手段で求めた前記信頼度情報を用いて、前記識別信号の誤り訂正を行う誤り訂正手段と、
前記複数の識別器による前記電気信号の識別結果に基いて、前記軟判定識別手段の複数の識別器のうち、動作させる識別器の選択を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする光受信装置。 - 受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換手段と、
前記光電気変換手段で変換した前記電気信号を識別する複数の識別器と、
前記複数の識別器による識別結果に対応した識別信号およびこの識別信号の信頼度を示す信頼度情報を求める軟判定識別手段と、
前記軟判定記識別手段で求めた前記信頼度情報を用いて、前記識別信号の誤り訂正を行う誤り訂正手段と、
外部から入力した制御情報に基いて、前記軟判定識別手段の複数の識別器のうち、動作させる識別器の選択を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする光受信装置。 - 受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換手段と、
前記光電気変換手段で変換した前記電気信号を識別する複数の識別器と、
前記複数の識別器による識別結果に対応した識別信号およびこの識別信号の信頼度を示す信頼度情報を求める軟判定識別手段と、
前記軟判定記識別手段で求めた前記信頼度情報を用いて、前記識別信号の誤り訂正を行う誤り訂正手段と、
前記複数の識別器における任意の1つで前記電気信号の硬判定識別を行い、この硬判定識別結果に基いて、前記電気信号の平均振幅を計測し、この計測した平均振幅の経時変化に基いて、前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする光受信装置。 - 受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換手段と、
前記光電気変換手段で変換した前記電気信号を識別する複数の識別器と、
前記複数の識別器による識別結果に対応した識別信号およびこの識別信号の信頼度を示す信頼度情報を求める軟判定識別手段と、
前記軟判定記識別手段で求めた前記信頼度情報を用いて、前記識別信号の誤り訂正を行う誤り訂正手段と、
前記軟判定識別手段とは独立に前記電気信号を硬判定識別できる硬判定識別器と、
前記硬判定識別器で前記電気信号の硬判定識別を行い、この硬判定識別結果に基いて、前記電気信号の平均振幅を計測し、この計測した平均振幅の経時変化に基いて、前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする光受信装置。 - 前記軟判定識別手段とは独立に前記電気信号を硬判定識別できる硬判定識別器を備え、
前記複数の識別器および前記硬判定識別器でそれぞれ前記電気信号の硬判定識別を行い、前記複数の識別器における各硬判定識別結果と前記硬判定識別器における硬判定識別結果との比較をそれぞれ行い、これらの比較結果の経時変化に基いて、前記軟判定識別手段の前記複数の識別器のしきい値の補正を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光受信装置。 - 受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換工程と、
前記光電気変換工程で変換した前記電気信号の硬判定識別を識別器で行い、この硬判定識別結果に基いて、前記電気信号の平均振幅の計測を行う振幅計測工程と、
を備えることを特徴とする光受信方法。
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